(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165986
(43)【公開日】2023-11-17
(54)【発明の名称】ゲノム編集分子の細胞内送達のためのペプチドおよびナノ粒子
(51)【国際特許分類】
C12N 15/09 20060101AFI20231110BHJP
C12N 15/11 20060101ALI20231110BHJP
C07K 4/04 20060101ALI20231110BHJP
C12N 15/88 20060101ALI20231110BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20231110BHJP
A61K 31/7105 20060101ALI20231110BHJP
A61K 31/711 20060101ALI20231110BHJP
A61K 38/02 20060101ALI20231110BHJP
A61K 38/46 20060101ALI20231110BHJP
A61K 47/62 20170101ALI20231110BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20231110BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20231110BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20231110BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20231110BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20231110BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231110BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20231110BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20231110BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20231110BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20231110BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20231110BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20231110BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
C12N15/09 100
C12N15/11 Z ZNA
C07K4/04
C12N15/88 Z
A61K48/00
A61K31/7105
A61K31/711
A61K38/02
A61K38/46
A61K47/62
A61K47/68
A61K47/42
A61P35/00
A61P3/10
A61P29/00
A61P43/00 105
A61P31/12
A61P27/02
A61P1/16
A61P11/00
A61P13/12
A61P43/00
A61P3/06
A61P35/02
A61P43/00 121
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023169638
(22)【出願日】2023-09-29
(62)【分割の表示】P 2021184056の分割
【原出願日】2017-05-26
(31)【優先権主張番号】62/394,140
(32)【優先日】2016-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/477,357
(32)【優先日】2017-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/342,823
(32)【優先日】2016-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514289920
【氏名又は名称】アーディジェン, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ジル ディビタ
(72)【発明者】
【氏名】ニール デサイ
(57)【要約】
【課題】ゲノム編集分子の細胞内送達のためのペプチドおよびナノ粒子の提供。
【解決手段】本発明は、タンパク質および/または核酸、例えばCRISPRタンパク質および/または核酸などの、ゲノム編集システムの1つまたは複数の分子の安定化および/または送達に有用である、ペプチド含有複合体/ナノ粒子に関する。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドを修飾するためのゲノム編集複合体であって、RNA誘導型エンドヌクレアーゼ(RGEN)およびガイドRNA(gRNA)を含むRGEN/gRNA複合体と会合している細胞膜透過ペプチドを含み、gRNAが、標的ポリヌクレオチド内の標的配列に相補的なガイド配列を含む、ゲノム編集複合体が提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2016年5月27日に出願された米国仮出願第62/342,823号、2016年9月13日に出願された米国仮出願第62/394,140号、および2017年3月27日に出願された米国仮出願第62/477,357号の優先権を主張し、これらすべての全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、CRISPR関連タンパク質および核酸などの、ゲノム編集システムの1つもしくは複数の分子の安定化ならびに/または細胞への送達に有用である、ペプチド含有複合体/ナノ粒子に関する。
ASCIIテキストファイルでの配列表の提出
【0003】
ASCIIテキストファイルでの以下の提出内容は、その全体が参照により本明細書に組み入れられている:コンピュータ読み取り可能な形式(CRF)の配列表(ファイル名:737372000840SeqList.txt、記録日:2017年5月26日、サイズ:48KB)。
【背景技術】
【0004】
CRISPR干渉技術には、ヒト、動物および他の生物の生殖細胞系列の変更ならびに食用作物の遺伝子の修飾を含む、非常に多くの潜在的用途がある。Cas9またはCpf1などのCRISPR関連ヌクレアーゼ、および適切なガイドRNAを細胞に送達することにより、生物のゲノムをほぼいずれの所望の位置でも切断することができる(Ledford
、H.(2015年). Nature. 522巻(7554頁);Zetscheら、(2015年). Cell. 163巻(3号):759~771頁)。CRISPRは、多くの異なる種に
おいてゲノム編集および遺伝子制御のために特異的エンドヌクレアーゼ酵素と連携して使用されている(Maliら、(2013年). Nature Methods. 10巻(10号):957~63頁)。CRISPRツールは、非相同末端結合(NHEJ)媒介変異導入を用いる二本鎖切断形成(Wangら、(2013年). Cell. 153巻:910~918頁)、NHEJ媒介変異導入を用いるニック形成(Chengら.(2014年). FEBS Lett. 588巻:3954~3958頁)、相同組換え修復(HDR)を用いるノックイン(Inuiら.(2014年). Sci. Rep. 4巻:5396頁)、およびゲノム再編成(Maddalo
ら.(2014年) Nature. 516巻:423~427頁)を含む、様々なゲノム修飾に使用されており、遺伝子発現を抑止または活性化する方法における使用に好適である。ヌクレアーゼ欠損Casヌクレアーゼを使用して、転写活性化因子の結合を遮断して特異的遺伝子の発現を阻止すること、転写活性化因子を送達して特定の遺伝子の発現を刺激すること、または標的配列にエピジェネティック修飾因子を送達してヒストンメチル化もしくはアセチル化を変化させることができる(Ledford, H. (2016年). Nature. 531巻:156~159頁)。
本明細書で言及するすべての刊行物、特許、特許出願および公開特許出願の開示は、それら全体が本明細書での参照により本明細書に組み入れられている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Ledford、H.(2015年). Nature. 522巻(7554頁)
【非特許文献2】Zetscheら、(2015年). Cell. 163巻(3号):759~771頁
【非特許文献3】Maliら、(2013年). Nature Methods. 10巻(10号):957~63頁
【非特許文献4】Wangら、(2013年). Cell. 153巻:910~918頁
【非特許文献5】Chengら.(2014年). FEBS Lett. 588巻:3954~3958頁
【非特許文献6】Inuiら.(2014年). Sci. Rep. 4巻:5396頁
【非特許文献7】Maddaloら.(2014年) Nature. 516巻:423~427頁
【非特許文献8】Ledford, H. (2016年). Nature. 531巻:156~159頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願は、CRISPR関連タンパク質および核酸などの、ゲノム編集システムの1つもしくは複数の分子の安定化ならびに/または細胞への送達に有用である、細胞膜透過ペプチドを含む複合体およびナノ粒子を提供する。
【0007】
一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドを修飾するためのゲノム編集複合体であって、RNA誘導型エンドヌクレアーゼ(RGEN)およびガイドRNA(gRNA)を含むRGEN/gRNA複合体と会合している細胞膜透過ペプチドを含み、gRNAが、標的ポリヌクレオチド内の標的配列に相補的なガイド配列を含む、ゲノム編集複合体が提供される。
【0008】
一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドを修飾するためのゲノム編集複合体であって、細胞膜透過ペプチドと、標的ポリヌクレオチドを標的とするゲノム編集システムの1つまたは複数の分子とを含み、細胞膜透過ペプチドが、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドおよびADGN-100ペプチドからなる群から選択される、ゲノム編集複合体が提供される。一部の実施形態では、1つまたは複数のゲノム編集システム分子は、a)RNA誘導型エンドヌクレアーゼ(RGEN)、および標的ポリヌクレオチド内の標的配列に相補的なガイド配列を含むガイドRNA(gRNA);b)DNA誘導型エンドヌクレアーゼ(DGEN)、および標的ポリヌクレオチド内の標的配列に相補的なガイド配列を含むガイドDNA(gDNA);c)標的ポリヌクレオチド内の標的配列を認識するジンクフィンガータンパク質(ZFP);d)標的ポリヌクレオチド内の標的配列を認識する転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN);e)標的ポリヌクレオチド内の標的配列を認識するホーミングエンドヌクレアーゼ;およびf)標的ポリヌクレオチド内の組換え部位を認識するインテグラーゼからなる群から選択される。
【0009】
一部の実施形態では、上記のゲノム編集複合体のいずれかによれば、細胞膜透過ペプチドは、VEPEP-3ペプチドである。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドは、配列番号1~14からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドは、配列番号75または76のアミノ酸配列を含む。
【0010】
一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドは、VEPEP-6ペプチドである。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドは、配列番号15~40からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドは、配列番号77のアミノ酸配列を含む。
【0011】
一部の実施形態では、上記のゲノム編集複合体のいずれかによれば、細胞膜透過ペプチドは、VEPEP-9ペプチドである。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドは、配列番号41~52からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドは、配列番号78のアミノ酸配列を含む。
【0012】
一部の実施形態では、上記のゲノム編集複合体のいずれかによれば、細胞膜透過ペプチドは、ADGN-100ペプチドである。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドは、配列番号53~70からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドは、配列番号79または80のアミノ酸配列を含む。
【0013】
一部の実施形態では、上記のゲノム編集複合体のいずれかによれば、細胞膜透過ペプチドは、細胞膜透過ペプチドのN末端に共有結合によって連結している1つまたは複数の部分をさらに含み、1つまたは複数の部分は、アセチル、脂肪酸、コレステロール、ポリエチレングリコール、核内移行シグナル、核外移行シグナル、抗体、多糖類およびターゲティング分子からなる群から選択される。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドは、そのN末端に共有結合によって連結しているアセチル基を含む。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドは、細胞膜透過ペプチドのC末端に共有結合によって連結している1つまたは複数の部分をさらに含み、1つまたは複数の部分は、システアミド、システイン、チオール、アミド、任意選択で置換されているニトリロ三酢酸、カルボキシル、任意選択で置換されている直鎖状または分枝状C1~C6アルキル、一級または二級アミン、オシド(osidic)誘導体、脂質、リン脂質、脂肪酸、コレステロール、ポリエチレングリコール、核内移行シグナル、核外移行シグナル、抗体、多糖類およびターゲティング分子からなる群から選択される。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドは、そのC末端に共有結合によって連結しているシステアミド基を含む。
【0014】
一部の実施形態では、上記のゲノム編集複合体のいずれかによれば、ゲノム編集複合体内の細胞膜透過ペプチドの少なくとも一部は、連結によりターゲティング部分に連結している。一部の実施形態では、連結は、共有結合である。
【0015】
一部の実施形態では、gRNAを含む上記のゲノム編集複合体のいずれかによれば、gRNAは、単一ガイドRNA(sgRNA)である。一部の実施形態では、sgRNAは、補助的なトランス活性化crRNA(tracrRNA)に融合している、特異性決定CRISPR RNA(crRNA)を含む。一部の実施形態では、gRNAは、ガイド配列と、tracrメイト配列と、tracr配列と、テール配列とを含む、sgRNAである。
【0016】
一部の実施形態では、RGENを含む上記のゲノム編集複合体のいずれかによれば、RGENは、Cas9である。
【0017】
一部の実施形態では、RGENとgRNAとを含む上記ゲノム編集複合体のいずれかによれば、RGENとgRNAのモル比は、約1:10~約10:1の間である。
【0018】
一部の実施形態では、RGENを含む上記のゲノム編集複合体のいずれかによれば、細胞膜透過ペプチドとRGENのモル比は、約1:1~約80:1の間(例えば、約1:1、5:1、10:1、20:1、30:1、40:1、50:1、60:1、70:1、80:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドとRGENのモル比は、約5:1~約20:1の間(例えば、約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、および20:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。
【0019】
一部の実施形態では、gRNAを含む上記のゲノム編集複合体のいずれかによれば、ゲノム編集複合体は、異なるガイド配列を含む1つまたは複数の追加のgRNAをさらに含む。一部の実施形態では、標的配列は、標的遺伝子内に存在し、1つまたは複数の追加のgRNAは、標的遺伝子内の配列に相補的なガイド配列を個々に含む。一部の実施形態では、標的配列は、第1の標的遺伝子内に存在し、1つまたは複数の追加のgRNAは、1つまたは複数の追加の標的遺伝子内に存在する配列に相補的なガイド配列を個々に含む。
【0020】
一部の実施形態では、上記のゲノム編集複合体のいずれかによれば、1つまたは複数のゲノム編集システム分子は、ZFPを含む。一部の実施形態では、上記のゲノム編集複合体のいずれかによれば、1つまたは複数のゲノム編集システム分子は、TALENを含む。一部の実施形態では、上記のゲノム編集複合体のいずれかによれば、1つまたは複数のゲノム編集システム分子は、ホーミングエンドヌクレアーゼを含む。
【0021】
一部の実施形態では、上記のゲノム編集複合体のいずれかによれば、ゲノム編集複合体は、標的ポリヌクレオチドに修飾を導入するためのドナー核酸であって、標的ポリヌクレオチドの修飾を含むように修飾される部分に対応する配列を含むドナー核酸をさらに含む。一部の実施形態では、修飾は、標的ポリヌクレオチドにおける1つまたは複数のヌクレオチドの付加、欠失または置換である。一部の実施形態では、ドナー核酸は、一本鎖DNAオリゴヌクレオチドである。一部の実施形態では、修飾は、標的ポリヌクレオチド内への異種核酸の挿入である。一部の実施形態では、ドナー核酸は、5’ホモロジーアームおよび3’ホモロジーアームに隣接した異種核酸を含む二本鎖DNAであり、5’ホモロジーアームおよび3’ホモロジーアームは、修飾される標的ポリヌクレオチドの領域に隣接する配列と相同である。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体は、1つまたは複数の追加の標的ポリヌクレオチドに修飾を導入するための1つまたは複数の追加のドナー核酸をさらに含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加のドナー核酸の各々は、1つまたは複数の追加の標的ポリヌクレオチドのうちの1つについての修飾を含むように修飾される部分に対応する配列を含む。
【0022】
一部の実施形態では、上記のゲノム編集複合体のいずれかによれば、1つまたは複数のゲノム編集システム分子は、インテグラーゼを含む。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体は、標的ポリヌクレオチドへの挿入のためのドナー核酸をさらに含み、インテグラーゼは、ドナー核酸内の組換え部位を認識し、ドナー核酸を標的ポリヌクレオチドに挿入するための標的ポリヌクレオチド内の組換え部位とドナー核酸内の組換え部位との組換えを媒介することができる。
【0023】
一部の実施形態では、上記のゲノム編集複合体のいずれかによれば、ゲノム編集複合体の直径平均値は、約10nm~約300nmの間である。
【0024】
一部の実施形態では、上記の実施形態のいずれかによるゲノム編集複合体を含むコアを含むナノ粒子が提供される。一部の実施形態では、コアは、1つまたは複数の追加の、上記の実施形態のいずれかによるゲノム編集複合体を含む。一部の実施形態では、コアは、標的ポリヌクレオチドに修飾を導入するためのドナー核酸であって、標的ポリヌクレオチドの修飾を含むように修飾される部分に対応する配列を含むドナー核酸をさらに含み、ドナー核酸は、第2の細胞膜透過ペプチドと複合体を形成している。一部の実施形態では、第2の細胞膜透過ペプチドは、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドおよびADGN-100ペプチドからなる群から選択される。一部の実施形態では、第2の細胞膜透過ペプチドは、配列番号1~70および75~80からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、修飾は、標的ポリヌクレオチドにおける1つまたは複数のヌクレオチドの付加、欠失または置換である。一部の実施形態では、ドナー核酸は、一本鎖DNAオリゴヌクレオチドである。一部の実施形態では、修飾は、標的ポリヌクレオチド内への異種核酸の挿入である。一部の実施形態では、ドナー核酸は、5’ホモロジーアームおよび3’ホモロジーアームに隣接した異種核酸を含む二本鎖DNAであり、5’ホモロジーアームおよび3’ホモロジーアームは、修飾される標的ポリヌクレオチドの領域に隣接する配列と相同である。一部の実施形態では、コアは、1つまたは複数の追加の標的ポリヌクレオチドに修飾を導入するための1つまたは複数の追加のドナー核酸をさらに含み、1つまたは複数の追加のドナー核酸の各々は、1つまたは複数の追加の標的ポリヌクレオチドのうちの1つについての修飾を含むように修飾される部分に対応する配列を含み、1つまたは複数の追加のドナー核酸の各々は、細胞膜透過ペプチドと複合体を形成している。一部の実施形態では、ナノ粒子中の細胞膜透過ペプチドの少なくとも一部は、連結によりターゲティング部分に連結している。一部の実施形態では、コアは、末梢細胞膜透過ペプチドを含むシェルにより被覆されている。一部の実施形態では、シェル中の末梢細胞膜透過ペプチドの少なくとも一部は、連結によりターゲティング部分に連結している。一部の実施形態では、連結は、共有結合である。一部の実施形態では、末梢細胞膜透過ペプチドは、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドおよびADGN-100ペプチドからなる群から選択される。一部の実施形態では、末梢細胞膜透過ペプチドは、配列番号1~70および75~80からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ナノ粒子の直径平均値は、約10nm~約400nmの間である。一部の実施形態では、ナノ粒子の直径平均値は、約50nm~約300nmの間である。一部の実施形態では、ナノ粒子の直径平均値は、約80nm~約200nmの間である。
【0025】
一部の実施形態では、上記の実施形態のいずれかによるゲノム編集複合体または上記の実施形態のいずれかによるナノ粒子と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物が提供される。一部の実施形態では、医薬組成物は、静脈内、腫瘍内、動脈内、局所、眼内、眼科的、門脈内、頭蓋内、脳内、側脳室内、髄腔内、膀胱内、皮内、皮下、筋肉内、鼻腔内、気管内、肺、空洞内または経口投与用に製剤化されている。一部の実施形態では、医薬組成物は、凍結乾燥されている。一部の実施形態では、医薬組成物は、第3の細胞膜透過ペプチドと、外来性タンパク質をコードする核酸分子とを含む発現複合体をさらに含む。一部の実施形態では、外来性タンパク質は、細胞の表面で発現され得る組換え受容体である。一部の実施形態では、組換え受容体は、キメラ抗原受容体(CAR)である。一部の実施形態では、第3の細胞膜透過ペプチドは、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドおよびADGN-100ペプチドからなる群から選択される。一部の実施形態では、第3の細胞膜透過ペプチドは、配列番号1~70および75~80からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0026】
一部の実施形態では、上記の実施形態のいずれかによるゲノム編集複合体を調製する方法であって、細胞膜透過ペプチドをRGEN/gRNA複合体と組み合わせるステップを含み、それによってゲノム編集複合体を形成する方法が提供される。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドは、RGEN/gRNA複合体と約1:1~約80:1の比で組み合わせられる。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドは、RGEN/gRNA複合体と約5:1~約20:1の比で組み合わせられる。
【0027】
一部の実施形態では、上記の実施形態のいずれかによるゲノム編集複合体を調製する方法であって、細胞膜透過ペプチドを1つまたは複数のゲノム編集システム分子と組み合わせるステップを含み、それによってゲノム編集複合体を形成する方法が提供される。一部の実施形態では、ゲノム編集システム分子は、RGENおよびgRNAを含み、細胞膜透過ペプチドおよびRGENは、それぞれ約1:1~約80:1の比で組み合わせられ、RGENおよびgRNAは、それぞれ約10:1~約1:10の比で組み合わせられる。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドおよびRGENは、それぞれ約5:1~約20:1の比で組み合わせられる。一部の実施形態では、RGENおよびgRNAは、約1:1の比で組み合わせられる。
【0028】
一部の実施形態では、ゲノム編集システムの1つまたは複数の分子を細胞に送達する方法であって、細胞を上記の実施形態のいずれかによるゲノム編集複合体または上記の実施形態のいずれかによるナノ粒子と接触させるステップを含み、ゲノム編集複合体またはナノ粒子が、1つまたは複数のゲノム編集システム分子を含む、方法が提供される。一部の実施形態では、細胞をゲノム編集複合体ナノ粒子と接触させるステップは、in vivoで行われる。一部の実施形態では、細胞をゲノム編集複合体ナノ粒子と接触させるステップは、ex vivoで行われる。一部の実施形態では、細胞をゲノム編集複合体ナノ粒子と接触させるステップは、in vitroで行われる。一部の実施形態では、細胞は、顆粒球、マスト細胞、単球、樹状細胞、B細胞、T細胞、ナチュラルキラー細胞、線維芽細胞、または肝細胞である。一部の実施形態では、細胞は、T細胞である。一部の実施形態では、細胞は、線維芽細胞である。一部の実施形態では、細胞は、肝細胞である。一部の実施形態では、細胞は、肺前駆細胞である。一部の実施形態では、細胞は、神経細胞である。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、PD-1、PD-L1、PD-L2、TIM-3、BTLA、VISTA、LAG-3、CTLA-4、TIGIT、4-1BB、OX40、CD27、TIM-1、CD28、HVEM、GITR、およびICOSからなる群から選択される遺伝子内の配列を標的とする。一部の実施形態では、方法は、細胞を、第4の細胞膜透過ペプチドと外来性タンパク質をコードする核酸分子とを含む発現複合体と接触させるステップをさらに含む。一部の実施形態では、外来性タンパク質は、細胞の表面で発現され得る組換え受容体である。一部の実施形態では、組換え受容体は、キメラ抗原受容体(CAR)である。一部の実施形態では、第4の細胞膜透過ペプチドは、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドおよびADGN-100ペプチドからなる群から選択される。一部の実施形態では、第4の細胞膜透過ペプチドは、配列番号1~70および75~80からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0029】
一部の実施形態では、細胞内の標的ポリヌクレオチドを修飾する方法であって、細胞を、上記の実施形態のいずれかによるゲノム編集複合体または上記の実施形態のいずれかによるナノ粒子と接触させるステップを含み、ゲノム編集複合体またはナノ粒子が、標的ポリヌクレオチド内の配列を標的とするゲノム編集システムの1つまたは複数の分子を含む、方法が提供される。
【0030】
一部の実施形態では、個体の疾患を処置する方法であって、個体に上記の実施形態のいずれかによる医薬組成物の有効量を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、疾患は、がん、糖尿病、炎症性疾患、線維症、ウイルス感染性疾患、遺伝性疾患、眼疾患、肝臓疾患、肺疾患、腎臓疾患、ならびに加齢および変性疾患からなる群から選択される。一部の実施形態では、疾患はがんである。一部の実施形態では、がんは、固形腫瘍であり、医薬組成物は、増殖因子およびサイトカイン、細胞表面受容体、シグナル伝達分子およびキナーゼ、転写因子および他の転写調節因子、タンパク質発現および修飾の制御因子、ならびにアポトーシスおよび転移の制御因子からなる群から選択される1つまたは複数のタンパク質の発現を調節するゲノム編集システムの1つまたは複数の分子を含む、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む。一部の実施形態では、がんは、肝臓、肺または腎臓のがんである。一部の実施形態では、がんは、血液悪性腫瘍であり、医薬組成物は、増殖因子およびサイトカイン、細胞表面受容体、シグナル伝達分子およびキナーゼ、転写因子および他の転写調節因子、タンパク質発現および修飾の制御因子、ならびにアポトーシスおよび転移の制御因子からなる群から選択される1つまたは複数のタンパク質の発現を調節するゲノム編集システムの1つまたは複数の分子を含む、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む。
【0031】
一部の実施形態では、上記の疾患を治療する方法のいずれかによれば、疾患は、ウイルス感染疾患であり、医薬組成物は、ウイルス感染性疾患の発症および/または進行に関与する1つまたは複数のタンパク質の発現を調節するゲノム編集システムの1つまたは複数の分子を含む、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む。
【0032】
一部の実施形態では、上記の疾患を治療する方法のいずれかによれば、疾患は、遺伝子疾患であり、医薬組成物は、遺伝性疾患の発症および/または進行に関与する1つまたは複数のタンパク質の発現を調節するゲノム編集システムの1つまたは複数の分子を含む、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む。
【0033】
一部の実施形態では、上記の疾患を治療する方法のいずれかによれば、疾患は、加齢または変性疾患であり、医薬組成物は、加齢または変性疾患の発症および/または進行に関与する1つまたは複数のタンパク質の発現を調節するゲノム編集システムの1つまたは複数の分子を含む、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む。
【0034】
一部の実施形態では、上記の疾患を治療する方法のいずれかによれば、疾患は、線維性または炎症性疾患であり、医薬組成物は、線維性または炎症性疾患の発症および/または進行に関与する2つまたはそれより多いタンパク質の発現を調節するゲノム編集システムの1つまたは複数の分子を含む、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む。
【0035】
一部の実施形態では、上記の疾患を処置する方法のいずれかによれば、個体はヒトである。
【0036】
一部の実施形態では、上記の実施形態のいずれかによるゲノム編集複合体および/または上記の実施形態のいずれかによるナノ粒子を含む組成物を含むキットが提供される。
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
標的ポリヌクレオチドを修飾するためのゲノム編集複合体であって、細胞膜透過ペプチドと、ゲノム編集システムの1つまたは複数の分子とを含み、前記細胞膜透過ペプチドが、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドおよびADGN-100ペプチドからなる群から選択され、前記1つまたは複数のゲノム編集システム分子が、
a)RNA誘導型エンドヌクレアーゼ(RGEN)、および前記標的ポリヌクレオチド内の標的配列に相補的なガイド配列を含むガイドRNA(gRNA)の一方または両方;
b)DNA誘導型エンドヌクレアーゼ(DGEN)、および前記標的ポリヌクレオチド内の標的配列に相補的なガイド配列を含むガイドDNA(gDNA)の一方または両方;
c)前記標的ポリヌクレオチド内の標的配列を認識するジンクフィンガータンパク質(ZFP);
d)前記標的ポリヌクレオチド内の標的配列を認識する転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN);
e)前記標的ポリヌクレオチド内の標的配列を認識するホーミングエンドヌクレアーゼ;および
f)前記標的ポリヌクレオチド内の組換え部位を認識するインテグラーゼ
からなる群から選択される、ゲノム編集複合体。
(項目2)
前記細胞膜透過ペプチドが、VEPEP-3ペプチドである、項目1に記載のゲノム編集複合体。
(項目3)
前記細胞膜透過ペプチドが、配列番号1~14からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、項目2に記載のゲノム編集複合体。
(項目4)
前記細胞膜透過ペプチドが、配列番号75または76のアミノ酸配列を含む、項目2に記載のゲノム編集複合体。
(項目5)
前記細胞膜透過ペプチドが、VEPEP-6ペプチドである、項目1に記載のゲノム編集複合体。
(項目6)
前記細胞膜透過ペプチドが、配列番号15~40からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、項目5に記載のゲノム編集複合体。
(項目7)
前記細胞膜透過ペプチドが、配列番号77のアミノ酸配列を含む、項目5に記載のゲノム編集複合体。
(項目8)
前記細胞膜透過ペプチドが、VEPEP-9ペプチドである、項目1に記載のゲノム編集複合体。
(項目9)
前記細胞膜透過ペプチドが、配列番号41~52からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、項目8に記載のゲノム編集複合体。
(項目10)
前記細胞膜透過ペプチドが、配列番号78のアミノ酸配列を含む、項目8に記載のゲノム編集複合体。
(項目11)
前記細胞膜透過ペプチドが、ADGN-100ペプチドである、項目1に記載のゲノム編集複合体。
(項目12)
前記細胞膜透過ペプチドが、配列番号53~70からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、項目11に記載のゲノム編集複合体。
(項目13)
前記細胞膜透過ペプチドが、配列番号79または80のアミノ酸配列を含む、項目11に記載のゲノム編集複合体。
(項目14)
前記細胞膜透過ペプチドが、前記細胞膜透過ペプチドのN末端に共有結合によって連結している1つまたは複数の部分をさらに含み、前記1つまたは複数の部分が、アセチル、脂肪酸、コレステロール、ポリエチレングリコール、核内移行シグナル、核外移行シグナル、抗体、多糖類およびターゲティング分子からなる群から選択される、項目1から13のいずれか一項に記載のゲノム編集複合体。
(項目15)
前記細胞膜透過ペプチドが、そのN末端に共有結合によって連結しているアセチル基を含む、項目14に記載のゲノム編集複合体。
(項目16)
前記細胞膜透過ペプチドが、前記細胞膜透過ペプチドのC末端に共有結合によって連結している1つまたは複数の部分をさらに含み、前記1つまたは複数の部分が、システアミド、システイン、チオール、アミド、任意選択で置換されているニトリロ三酢酸、カルボキシル、任意選択で置換されている直鎖状または分枝状C1~C6アルキル、一級または二級アミン、オシド誘導体、脂質、リン脂質、脂肪酸、コレステロール、ポリエチレングリコール、核内移行シグナル、核外移行シグナル、抗体、多糖類およびターゲティング分子からなる群から選択される、項目1から15のいずれか一項に記載のゲノム編集複合体。
(項目17)
前記細胞膜透過ペプチドが、そのC末端に共有結合によって連結しているシステアミド基を含む、項目16に記載のゲノム編集複合体。
(項目18)
前記ゲノム編集複合体中の前記細胞膜透過ペプチドの少なくとも一部が、連結によりターゲティング部分に連結している、項目1から17のいずれか一項に記載のゲノム編集複合体。
(項目19)
前記連結が、共有結合である、項目18に記載のゲノム編集複合体。
(項目20)
RGENおよびgRNAの一方または両方を含む、項目1から19のいずれか一項に記載のゲノム編集複合体。
(項目21)
RGENおよびgRNAを含む、項目20に記載のゲノム編集複合体。
(項目22)
前記gRNAが、単一ガイドRNA(sgRNA)である、項目20または21に記載のゲノム編集複合体。
(項目23)
前記RGENが、Cas9である、項目20から22のいずれか一項に記載のゲノム編集複合体。
(項目24)
RGENとgRNAのモル比が、約1:10~約10:1の間である、項目20から23のいずれか一項に記載のゲノム編集複合体。
(項目25)
前記細胞膜透過ペプチドと前記RGENのモル比が、約1:1~約80:1の間である、項目20から24のいずれか一項に記載のゲノム編集複合体。
(項目26)
前記細胞膜透過ペプチドと前記RGENのモル比が、約5:1~約20:1の間である、項目25に記載のゲノム編集複合体。
(項目27)
異なるガイド配列を含む1つまたは複数の追加のgRNAをさらに含む、項目20から26のいずれか一項に記載のゲノム編集複合体。
(項目28)
前記標的配列が、標的遺伝子内に存在し、前記1つまたは複数の追加のgRNAが、前記標的遺伝子内の配列に相補的なガイド配列を個々に含む、項目27に記載のゲノム編集複合体。
(項目29)
前記標的配列が、第1の標的遺伝子内に存在し、前記1つまたは複数の追加のgRNAが、1つまたは複数の追加の標的遺伝子内に存在する配列に相補的なガイド配列を個々に含む、項目27に記載のゲノム編集複合体。
(項目30)
DGENおよびgDNAの一方または両方を含む、項目1から19のいずれか一項に記載のゲノム編集複合体。
(項目31)
DGENおよびgDNAを含む、項目20のいずれか一項に記載のゲノム編集複合体。(項目32)
ZFPを含む、項目1から19のいずれか一項に記載のゲノム編集複合体。
(項目33)
TALENを含む、項目1から19のいずれか一項に記載のゲノム編集複合体。
(項目34)
ホーミングヌクレアーゼを含む、項目1から19のいずれか一項に記載のゲノム編集複合体。
(項目35)
前記標的ポリヌクレオチドに修飾を導入するためのドナー核酸であって、前記標的ポリヌクレオチドの前記修飾を含むように修飾される部分に対応する配列を含むドナー核酸をさらに含む、項目20から34のいずれか一項に記載のゲノム編集複合体。
(項目36)
前記修飾が、前記標的ポリヌクレオチドにおける1つまたは複数のヌクレオチドの付加、欠失または置換である、項目35に記載のゲノム編集複合体。
(項目37)
前記ドナー核酸が、一本鎖DNAオリゴヌクレオチドである、項目35または36に記載のゲノム編集複合体。
(項目38)
前記修飾が、前記標的ポリヌクレオチド内への異種核酸の挿入である、項目35に記載のゲノム編集複合体。
(項目39)
前記ドナー核酸が、5’ホモロジーアームおよび3’ホモロジーアームに隣接した異種核酸を含む二本鎖DNAであり、前記5’ホモロジーアームおよび前記3’ホモロジーアームが、修飾される前記標的ポリヌクレオチドの領域に隣接する配列と相同である、項目35または38に記載のゲノム編集複合体。
(項目40)
1つまたは複数の追加の標的ポリヌクレオチドに修飾を導入するための1つまたは複数の追加のドナー核酸をさらに含む、項目35から39のいずれか一項に記載のゲノム編集複合体。
(項目41)
インテグラーゼを含む、項目1から19のいずれか一項に記載のゲノム編集複合体。
(項目42)
前記標的ポリヌクレオチドへの挿入のためのドナー核酸をさらに含み、前記インテグラーゼが、前記ドナー核酸内の組換え部位を認識し、前記ドナー核酸を前記標的ポリヌクレオチドに挿入するための前記標的ポリヌクレオチド内の組換え部位と前記ドナー核酸内の組換え部位との組換えを媒介することができる、項目41に記載のゲノム編集複合体。
(項目43)
前記ゲノム編集複合体の平均直径が、約10nm~約300nmの間である、項目1から42のいずれか一項に記載のゲノム編集複合体。
(項目44)
項目1から43のいずれか一項に記載のゲノム編集複合体を含むコアを含むナノ粒子。(項目45)
前記コアが、1つまたは複数の追加の、項目1から43のいずれか一項に記載のゲノム編集複合体をさらに含む、項目44に記載のナノ粒子。
(項目46)
前記コアが、前記標的ポリヌクレオチドに修飾を導入するためのドナー核酸であって、前記標的ポリヌクレオチドの前記修飾を含むように修飾される部分に対応する配列を含むドナー核酸をさらに含み、前記ドナー核酸が、第2の細胞膜透過ペプチドと複合体を形成している、項目44または45に記載のナノ粒子。
(項目47)
前記第2の細胞膜透過ペプチドが、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドおよびADGN-100ペプチドからなる群から選択される、項目46に記載のナノ粒子。
(項目48)
前記第2の細胞膜透過ペプチドが、配列番号1~70および75~80からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、項目47に記載のナノ粒子。
(項目49)
前記修飾が、前記標的ポリヌクレオチドにおける1つまたは複数のヌクレオチドの付加、欠失または置換である、項目46から48のいずれか一項に記載のナノ粒子。
(項目50)
前記ドナー核酸が、一本鎖DNAオリゴヌクレオチドである、項目49に記載のナノ粒子。
(項目51)
前記修飾が、前記標的ポリヌクレオチド内への異種核酸の挿入である、項目46から48のいずれか一項に記載のナノ粒子。
(項目52)
前記ドナー核酸が、5’ホモロジーアームおよび3’ホモロジーアームに隣接した異種核酸を含む二本鎖DNAであり、前記5’ホモロジーアームおよび前記3’ホモロジーアームが、修飾される前記標的ポリヌクレオチドの領域に隣接する配列と相同である、項目51に記載のナノ粒子。
(項目53)
前記コアが、1つまたは複数の追加の標的ポリヌクレオチドに修飾を導入するための1つまたは複数の追加のドナー核酸をさらに含む、項目46から52のいずれか一項に記載のナノ粒子。
(項目54)
前記ナノ粒子中の前記細胞膜透過ペプチドの少なくとも一部が、連結によりターゲティング部分に連結している、項目44から53のいずれか一項に記載のナノ粒子。
(項目55)
前記コアが、末梢細胞膜透過ペプチドを含むシェルにより被覆されている、項目44から53のいずれか一項に記載のナノ粒子。
(項目56)
前記末梢細胞膜透過ペプチドが、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドおよびADGN-100ペプチドからなる群から選択される、項目55に記載のナノ粒子。
(項目57)
前記末梢細胞膜透過ペプチドが、配列番号1~70および75~80からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、項目56に記載のナノ粒子。
(項目58)
前記シェル内の前記末梢細胞膜透過ペプチドの少なくとも一部が、連結によりターゲティング部分に連結している、項目55から57のいずれか一項に記載のナノ粒子。
(項目59)
前記連結が、共有結合である、項目54または58に記載のナノ粒子。
(項目60)
前記ナノ粒子の平均直径が、約10nm~約400nmの間である、項目44から59のいずれか一項に記載のナノ粒子。
(項目61)
項目1から43のいずれか一項に記載のゲノム編集複合体または項目44から60のいずれか一項に記載のナノ粒子と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
(項目62)
第3の細胞膜透過ペプチドと、外来性タンパク質をコードする核酸分子とを含む発現複合体をさらに含む、項目61に記載の医薬組成物。
(項目63)
前記外来性タンパク質が、細胞の表面で発現され得る組換え受容体である、項目62に記載の医薬組成物。
(項目64)
前記組換え受容体が、キメラ抗原受容体(CAR)である、項目63に記載の医薬組成物。
(項目65)
前記第3の細胞膜透過ペプチドが、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドおよびADGN-100ペプチドからなる群から選択される、項目62から64のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目66)
前記第3の細胞膜透過ペプチドが、配列番号1~70および75~80からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、項目65に記載の医薬組成物。
(項目67)
項目1から19のいずれか一項に記載のゲノム編集複合体を調製する方法であって、前記細胞膜透過ペプチドを前記1つまたは複数のゲノム編集システム分子と組み合わせるステップを含み、それによって前記ゲノム編集複合体を形成する方法。
(項目68)
前記1つまたは複数のゲノム編集システム分子が、RGENおよびgRNAを含み、前記細胞膜透過ペプチドと前記RGENが、それぞれ約1:1~約80:1の比で組み合わせられ、前記RGENと前記gRNAが、それぞれ約10:1~約1:10の比で組み合わせられる、項目67に記載の方法。
(項目69)
前記細胞膜透過ペプチドと前記RGENが、それぞれ約5:1~約20:1の比で組み合わせられる、項目68に記載の方法。
(項目70)
前記RGENと前記gRNAが、約1:1の比で組み合わせられる、項目68または69に記載の方法。
(項目71)
ゲノム編集システムの1つまたは複数の分子を細胞に送達する方法であって、前記細胞を項目1から43のいずれか一項に記載のゲノム編集複合体または項目44から60のいずれか一項に記載のナノ粒子と接触させるステップを含み、前記ゲノム編集複合体または前記ナノ粒子が、前記1つまたは複数のゲノム編集システム分子を含む、方法。
(項目72)
前記細胞を前記ゲノム編集複合体またはナノ粒子と接触させる前記ステップが、in vivoで行われる、項目71に記載の方法。
(項目73)
前記細胞を前記ゲノム編集複合体またはナノ粒子と接触させる前記ステップが、ex vivoで行われる、項目71に記載の方法。
(項目74)
前記細胞を前記ゲノム編集複合体またはナノ粒子と接触させる前記ステップが、in vitroで行われる、項目71に記載の方法。
(項目75)
前記細胞が、顆粒球、マスト細胞、単球、樹状細胞、B細胞、T細胞、ナチュラルキラー細胞、線維芽細胞、肝細胞、肺前駆細胞、または神経細胞である、項目71から74のいずれか一項に記載の方法。
(項目76)
前記細胞がT細胞である、項目75に記載の方法。
(項目77)
前記ゲノム編集システムが、PD-1、PD-L1、PD-L2、TIM-3、BTLA、VISTA、LAG-3、CTLA-4、TIGIT、4-1BB、OX40、CD27、TIM-1、CD28、HVEM、GITRおよびICOSからなる群から選択される遺伝子内の配列を標的とする、項目75または76に記載の方法。
(項目78)
前記細胞を、第4の細胞膜透過ペプチドと外来性タンパク質をコードする核酸分子とを含む発現複合体と接触させるステップをさらに含む、項目71から77のいずれか一項に記載の方法。
(項目79)
前記外来性タンパク質が、細胞の表面で発現され得る組換え受容体である、項目78に記載の方法。
(項目80)
前記組換え受容体が、キメラ抗原受容体(CAR)である、項目79に記載の方法。
(項目81)
前記第4の細胞膜透過ペプチドが、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドおよびADGN-100ペプチドからなる群から選択される、項目78から80のいずれか一項に記載の方法。
(項目82)
前記第4の細胞膜透過ペプチドが、配列番号1~70および75~80からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、項目81に記載の方法。
(項目83)
細胞内の標的ポリヌクレオチドを修飾する方法であって、前記細胞を、項目1から43のいずれか一項に記載のゲノム編集複合体または項目44から60のいずれか一項に記載のナノ粒子と接触させるステップを含み、前記ゲノム編集複合体または前記ナノ粒子が、前記標的ポリヌクレオチド内の配列を標的とするゲノム編集システムの1つまたは複数の分子を含む、方法。
(項目84)
個体の疾患を処置する方法であって、前記個体に項目61から66のいずれか一項に記載の医薬組成物の有効量を投与するステップを含む方法。
(項目85)
前記疾患が、がん、糖尿病、炎症性疾患、線維症、ウイルス感染性疾患、遺伝性疾患、眼疾患、肝臓疾患、肺疾患、腎臓疾患、加齢および変性疾患、ならびにコレステロールレベル異常を特徴とする疾患からなる群から選択される、項目84に記載の方法。
(項目86)
前記疾患が、がんである、項目85に記載の方法。
(項目87)
前記がんが、固形腫瘍であり、前記医薬組成物が、増殖因子およびサイトカイン、細胞表面受容体、シグナル伝達分子およびキナーゼ、転写因子および他の転写調節因子、タンパク質発現および修飾の制御因子、腫瘍抑制因子、ならびにアポトーシスおよび転移の制御因子からなる群から選択される1つまたは複数のタンパク質の発現を調節するゲノム編集システムの1つまたは複数の分子を含む、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む、項目86に記載の方法。
(項目88)
前記がんが、肝臓、肺または腎臓のがんである、項目87に記載の方法。
(項目89)
前記がんが、血液悪性腫瘍であり、前記医薬組成物が、増殖因子およびサイトカイン、細胞表面受容体、シグナル伝達分子およびキナーゼ、転写因子および他の転写調節因子、タンパク質発現および修飾の制御因子、腫瘍抑制因子、ならびにアポトーシスおよび転移の制御因子からなる群から選択される1つまたは複数のタンパク質の発現を調節するゲノム編集システムの1つまたは複数の分子を含む、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む、項目86に記載の方法。
(項目90)
前記疾患が、ウイルス感染疾患であり、前記医薬組成物が、ウイルス感染性疾患の発症および/または進行に関与する1つまたは複数のタンパク質の発現を調節するゲノム編集システムの1つまたは複数の分子を含む、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む、項目85に記載の方法。
(項目91)
前記疾患が、遺伝性疾患であり、前記医薬組成物が、前記遺伝性疾患の発症および/または進行に関与する1つまたは複数のタンパク質の発現を調節するゲノム編集システムの1つまたは複数の分子を含む、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む、項目85に記載の方法。
(項目92)
前記疾患が、加齢または変性疾患であり、前記医薬組成物が、前記加齢または変性疾患の発症および/または進行に関与する1つまたは複数のタンパク質の発現を調節するゲノム編集システムの1つまたは複数の分子を含む、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む、項目85に記載の方法。
(項目93)
前記疾患が、線維性または炎症性疾患であり、前記医薬組成物が、前記線維性または炎症性疾患の発症および/または進行に関与する2つまたはそれより多いタンパク質の発現を調節するゲノム編集システムの1つまたは複数の分子を含む、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む、項目85に記載の方法。
(項目94)
前記個体がヒトである、項目84から93のいずれか一項に記載の方法。
(項目95)
項目1から43のいずれか一項に記載のゲノム編集複合体および/または項目44から60のいずれか一項に記載のナノ粒子を含む組成物を含むキット。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1A】
図1Aは、CY-5の蛍光によりモニターしたCPPに対するCAS9の結合タイトレーション曲線を示す。VEPEP-3b(配列番号76)、VEPEP-6(配列番号77)、VEPEP-9(配列番号78)、CADY(配列番号81)、およびADGN-100b(配列番号80)ペプチドの濃度を増加させることによって、5nMの固定濃度の蛍光標識CAS9をタイトレーションした。解離定数は、二次方程式を使用してデータフィッティングから算出した。
【0038】
【
図1B】
図1Bは、CY-5の蛍光によりモニターしたCPPに対するCAS9:gRNAの結合タイトレーション曲線を示す。VEPEP-3b(配列番号76)、VEPEP-6(配列番号77)、VEPEP-9(配列番号78)、CADY(配列番号81)、およびADGN-100b(配列番号80)ペプチドの濃度を増加させることによって、5nMの固定濃度の蛍光標識CAS9:gRNAをタイトレーションした。解離定数は、二次方程式を使用してデータフィッティングから算出した。
【0039】
【
図2A】
図2Aは、フローサイトメトリーにより定量化したCAS9:sgRNAの送達からのU2OS細胞におけるEGFPレポーター遺伝子の遺伝子破壊頻度を示す。10nM、25nM、および50nMのCAS9:gRNA複合体をそれぞれ1:5のモル比で異なるペプチドと、ならびにlipofectamine 2000およびRNAiMAXと会合させた。
【0040】
【
図2B】
図2Bは、フローサイトメトリーにより定量化したCAS9:sgRNAの送達からのU2OS細胞におけるEGFPレポーター遺伝子の遺伝子破壊頻度を示す。10nM、25nM、および50nMのCAS9:gRNA複合体をそれぞれ1:10のモル比で異なるペプチドと、ならびにlipofectamine 2000およびRNAiMAXと会合させた。
【0041】
【
図2C】
図2Cは、フローサイトメトリーにより定量化したCAS9:sgRNAの送達からのU2OS細胞におけるEGFPレポーター遺伝子の遺伝子破壊頻度を示す。10nM、25nM、および50nMのCAS9:gRNA複合体をそれぞれ1:20のモル比で異なるペプチドと、ならびにlipofectamine 2000およびRNAiMAXと会合させた。
【0042】
【
図2D】
図2Dは、異なるペプチドを使用したU2OSにおけるEGFPレポーター遺伝子の遺伝子破壊頻度の用量応答を示す。Lipofectamine 2000およびRNAiMAXを対照として使用した。括弧内の値は、ペプチドとCAS9:gRNA複合体のモル比を示した。
【0043】
【
図3A】
図3Aは、フローサイトメトリーにより定量化したCAS9:sgRNAの送達からのHEK細胞におけるEGFPレポーター遺伝子の遺伝子破壊頻度を示す。10nM、25nM、および50nMのCAS9:gRNA複合体をそれぞれ1:5のモル比で異なるペプチドと、ならびにlipofectamine 2000およびRNAiMAXと会合させた。
【0044】
【
図3B】
図3Bは、フローサイトメトリーにより定量化したCAS9:sgRNAの送達からのHEK細胞におけるEGFPレポーター遺伝子の遺伝子破壊頻度を示す。10nM、25nM、および50nMのCAS9:gRNA複合体をそれぞれ1:10のモル比で異なるペプチドと、ならびにlipofectamine 2000およびRNAiMAXと会合させた。
【0045】
【
図3C】
図3Cは、フローサイトメトリーにより定量化したCAS9:sgRNAの送達からのHEK細胞におけるEGFPレポーター遺伝子の遺伝子破壊頻度を示す。10nM、25nM、および50nMのCAS9:gRNA複合体をそれぞれ1:20のモル比で異なるペプチドと、ならびにlipofectamine 2000およびRNAiMAXと会合させた。
【0046】
【
図3D】
図3Dは、異なるペプチドを使用したHEK細胞におけるEGFPレポーター遺伝子の遺伝子破壊頻度の用量応答を示す。Lipofectamine 2000およびRNAiMAXを対照として使用した。括弧内の値は、ペプチドとCAS9:gRNA複合体のモル比を示した。
【0047】
【
図4A】
図4Aは、フローサイトメトリーにより定量化したCAS9:sgRNAの送達からのJURKAT T細胞におけるEGFPレポーター遺伝子の遺伝子破壊頻度を示す。10nM、25nM、および50nMのCAS9:gRNA複合体をそれぞれ1:50のモル比で異なるペプチドと、ならびにlipofectamine 2000およびRNAiMAXと会合させた。
【0048】
【
図4B】
図4Bは、フローサイトメトリーにより定量化したCAS9:sgRNAの送達からのJURKAT T細胞におけるEGFPレポーター遺伝子の遺伝子破壊頻度を示す。10nM、25nM、および50nMのCAS9:gRNA複合体をそれぞれ1:10のモル比で異なるペプチドと、ならびにlipofectamine 2000およびRNAiMAXと会合させた。
【0049】
【
図4C】
図4Cは、フローサイトメトリーにより定量化したCAS9:sgRNAの送達からのJURKAT T細胞におけるEGFPレポーター遺伝子の遺伝子破壊頻度を示す。10nM、25nM、および50nMのCAS9:gRNA複合体をそれぞれ1:20のモル比で異なるペプチドと、ならびにlipofectamine 2000およびRNAiMAXと会合させた。
【0050】
【
図4D】
図4Dは、異なるペプチドを使用したJURKAT T細胞におけるEGFPレポーター遺伝子の遺伝子破壊頻度の用量応答を示す。Lipofectamine 2000およびRNAiMAXを対照として使用した。括弧内の値は、ペプチドとCAS9:gRNA複合体のモル比を示した。
【0051】
【
図5A】
図5Aは、フローサイトメトリーにより定量化したCAS9:sgRNAの送達からのU2OS細胞におけるEGFPレポーター遺伝子の遺伝子破壊頻度を示す。10nM、25nM、および50nMのCAS9:gRNA複合体をそれぞれ1:20のモル比でVEPEP-3およびADGN-100のバリアント配列と会合させた。RNAiMAXを対照送達システムとして使用した。
【0052】
【
図5B】
図5Bは、フローサイトメトリーにより定量化したCAS9:sgRNAの送達からのJURKAT T細胞におけるEGFPレポーター遺伝子の遺伝子破壊頻度を示す。10nM、25nM、および50nMのCAS9:gRNA複合体をそれぞれ1:20のモル比でVEPEP-3およびADGN-100のバリアント配列と会合させた。RNAiMAXを対照送達システムとして使用した。
【0053】
【
図6A】
図6Aは、MTTアッセイにより測定したU2OS細胞に対するADGN-100a/CAS9/gRNAおよびVEPEP-3b/CAS9/gRNA複合体の毒性評価を示す。ペプチドを、Lipofectamine 2000およびRNAiMAXと複合体を形成したCAS9/gRNAと比較した。括弧内の値は、ペプチドとCAS9:gRNA複合体のモル比を示した。
【0054】
【
図6B】
図6Bは、MTTアッセイにより測定したHEK細胞に対するADGN-100a/CAS9/gRNAおよびVEPEP-3b/CAS9/gRNA複合体の毒性評価を示す。ペプチドをLipofectamine 2000およびRNAiMAXと比較した。括弧内の値は、ペプチドとCAS9:gRNA複合体のモル比を示した。
【0055】
【
図6C】
図6Cは、MTTアッセイにより測定したJURKAT細胞に対するADGN-100a/CAS9/gRNAおよびVEPEP-3b/CAS9/gRNA複合体の毒性評価を示す。ペプチドをLipofectamine 2000およびRNAiMAXと比較した。括弧内の値は、ペプチドとCAS9:gRNA複合体のモル比を示した。
【0056】
【
図7A】
図7Aは、U2OS細胞におけるEMX1遺伝子編集を示す。VEPEP-3b、ADGN-100a、VEPEP-9、またはRNAiMAXのいずれかと会合した25nMのCAS9/gRNAを細胞にトランスフェクトした。細胞試料をT7EI法により解析し、Fragment Analyzer Systemを使用して、非切断対切断DNAの量を定量化することによって挿入欠失(indel)の結果を決定し、表3に報告した。
【0057】
【
図7B】
図7Bは、K562細胞におけるEMX1遺伝子編集を示す。VEPEP-b3、ADGN-100a、VEPEP-9、またはRNAiMAXのいずれかと会合した25nMのCAS9/gRNAを細胞にトランスフェクトした。細胞試料をT7EI法により分析し、Fragment Analyzer Systemを使用して、非切断対切断DNAの量を定量化することによって挿入欠失の結果を決定し、表3に報告した。
【0058】
【
図7C】
図7Cは、JURKAT細胞におけるEMX1遺伝子編集を示す。VEPEP-3b、ADGN-100a、VEPEP-9、またはRNAiMAXのいずれかと会合した25nMのCAS9/gRNAを細胞にトランスフェクトした。細胞試料をT7EI法により解析し、Fragment Analyzer Systemを使用して、非切断対切断DNAの量を定量化することによって挿入欠失の結果を決定し、表3に報告した。
【0059】
【
図8A】
図8Aは、EGFP-U2OS細胞におけるEMX1遺伝子編集を示す。VEPEP-3b、ADGN-100a、VEPEP-9、またはRNAiMAXのいずれかと会合した25nMのCAS9/gRNAを細胞にトランスフェクトした。細胞試料をT7EI法により解析し、Fragment Analyzer Systemを使用して、非切断対切断DNAの量を定量化することによって挿入欠失の結果を決定し、表4に報告した。
【0060】
【
図8B】
図8Bは、EGFP-JURKAT細胞におけるEMX1遺伝子編集を示す。VEPEP-3b、ADGN-100a、VEPEP-9、またはRNAiMAXのいずれかと会合した25nMのCAS9/gRNAを細胞にトランスフェクトした。細胞試料をT7EI法により解析し、Fragment Analyzer Systemを使用して、非切断対切断DNAの量を定量化することによって挿入欠失の結果を決定し、表4に報告した。
【0061】
【
図8C】
図8Cは、フローサイトメトリーにより定量化したCAS9:sgRNAの送達からのU2OS細胞およびJURKAT T細胞の両方におけるEGFPレポーター遺伝子の遺伝子破壊頻度を示す。25nMのCAS9:gRNA複合体をそれぞれ1:20のモル比でVEPEP-3b、VEPEP-9、およびADGN-100aと、ならびにlipofectamine 2000およびRNAiMAXと会合させた。
【0062】
【
図9A】
図9Aは、U2OS細胞におけるEMX1遺伝子中のHindIIIおよびNheI制限酵素部位のHDR挿入効率の解析を示す。HDR編集のパーセントは、EMXI PCRアンプリコンのNheI消化によるRFLPアッセイを使用して算出した。
【0063】
【
図9B】
図9Bは、JURKAT細胞におけるEMX1遺伝子中のHindIIIおよびNheI制限酵素部位のHDR挿入効率の解析を示す。HDR編集のパーセントは、EMXI PCRアンプリコンのNheI消化によるRFLPアッセイを使用して算出した。
【0064】
【
図10】
図10は、ADGN-100aペプチドを使用したCAS9発現プラスミドおよびsgRNAの共送達からのU2OS細胞におけるEGFPレポーター遺伝子の遺伝子破壊頻度を示す。CAS9発現プラスミドおよびsgRNAを、ADGN-100aと、CAS9発現プラスミドおよびsgRNAのそれぞれのモル比10:1または20:1(括弧内の値によって示す)でADGN-100aと、およびlipofectamine 2000と会合させた。
【0065】
【
図11】
図11は、ADGN-100a/プラスミド複合体のトランスフェクション効率を示す。2つの濃度(2μgおよび5μg)で抗CD19 CARをコードするプラスミドを含有するADGN-100a粒子を初代T細胞にトランスフェクトした。4日目に、プロテインLのアッセイを使用してフローサイトメトリーによって抗CD19-CARの発現を評価した。トランスフェクトされなかった細胞に対してデータを正規化し、遊離プラスミドとインキュベートした細胞と比較した。
【0066】
【
図12】
図12は、ADGN-100a/プラスミド複合体によるトランスフェクション後の初代T細胞の生存能を示す。2つの濃度(2μgおよび5μg)で抗CD19 CARをコードするプラスミドを含有するADGN-100a粒子を初代T細胞にトランスフェクトした。4日目に、7-AADを使用してフローサイトメトリーによって細胞生存能を定量化した。トランスフェクトされなかった細胞に対してデータを正規化し、遊離プラスミドとインキュベートしたT細胞と比較した。
【0067】
【
図13】
図13は、ペプチド/RGEN/gRNA複合体と組み合わせて使用したADGN-100a/プラスミド複合体のトランスフェクション効率を示す。抗CD19 CARをコードするプラスミドを含有するADGN-100a粒子(5μg)およびgRNA/CAS9複合体を含有するペプチド粒子を初代T細胞にトランスフェクトした。6日目に、プロテインLのアッセイを使用してフローサイトメトリーによって抗CD19-CARの発現を評価した。トランスフェクトされなかった細胞に対してデータを正規化し、遊離プラスミドとインキュベートした細胞と比較した。
【0068】
【
図14】
図14は、MTTアッセイにより測定したJURKAT細胞およびK562細胞に対するADGN-100a/CAS9/gRNAおよびVEPEP-3a/CAS9/gRNA複合体の毒性評価を示す。RNAiMAXによるCAS9/gRNA複合体の送達を比較のために含めた。
【0069】
【
図15】
図15は、CAS9/gRNA複合体を含有するADGN-100aまたはVEPEP-3a粒子によるトランスフェクション後の初代T細胞の生存能を示す。2つの濃度(5μg/10μgのCAS9/gRNAおよび2.5μg/5μgのCAS9/gRNA)でCAS9/gRNA粒子を含有するADGN-100aまたはVEPEP-3a粒子をT細胞にトランスフェクトした。48時間後、7-AADを使用してフローサイトメトリーによって細胞生存能を定量化した。トランスフェクトされなかった細胞に対してデータを正規化し、遊離CAS9/gRNAとインキュベートしたT細胞と比較した。
【0070】
【
図16】
図16Aおよび16Bは、T7E1アッセイにより定量化した、CAS9/gRNAにより媒介される初代ヒト線維芽細胞(
図16A)または初代ヒト肝細胞(
図16B)におけるEMX1およびHPRT内因性遺伝子の遺伝子破壊頻度を示す。ADGN-100a(ペプチド対複合体について20:1のモル比)またはRNAiMAXのいずれかによってCAS9/gRNA複合体(10nM、20nM、または50nM)を送達した。
【0071】
【
図17】
図17Aおよび17Bは、MTTアッセイにより測定したヒト初代線維芽細胞(
図17A)またはヒト初代肝細胞(
図17B)に対するADGN-100a/CAS9/gRNA複合体の毒性評価を示す。ペプチド媒介性の送達をRNAiMAXによる送達と比較した。
【0072】
【
図18】
図18は、ADGN-100aまたはLipofectamine 2000のいずれかを使用してCSA9 mRNA(0.2μgまたは0.5μg)をトランスフェクトしたU2OS細胞におけるCAS9タンパク質発現のウエスタンブロット解析および定量化を示す。
【0073】
【
図19】
図19は、フローサイトメトリーにより定量化した、CAS9/gRNAまたはCAS9 mRNA/gRNAのADGN-100a媒介性の送達によるU2OS細胞におけるEGFPレポーター遺伝子の遺伝子破壊頻度を示す。CAS9/gRNA(2.5μM/5μM)またはCAS9 mRNA/gRNA(0.5μg/5μg)複合体をペプチド媒介性の送達のために20:1(ペプチド対複合体)のモル比でADGN-100aと会合させ、lipofectamine 2000またはRNAiMAXによる送達と比較した。
【0074】
【
図20】
図20Aおよび20Bは、ペプチドとmRNAとの20:1のモル比でADGN-100aペプチドと会合させたCAS9 mRNA(10μg)のin vivo投与後の異なる組織におけるウエスタンブロット(
図20A)またはELISA(
図20B)によるCAS9タンパク質発現の定量化を示す。組織をホモジナイズし、CRISPR/Cas9に対する抗体を使用してタンパク質抽出物に対してウエスタンブロットまたはELISAによりCAS9発現を解析した。
【0075】
【
図21】
図21は、遊離ADGN-100aペプチド(2匹の動物/群)、遊離CAS9 mRNA(2匹の動物/群)、またはCAS9 mRNA/gRNA/ADGN-100a(群あたり3匹の動物)の注射の72時間後のルシフェラーゼ発現についての動物全体の蛍光イメージングを示す。
【0076】
【
図22】
図22は、蛍光イメージングにより定量化した、mRNA CAS9/sgRNAのADGN-100a媒介性の送達に起因する肝臓におけるルシフェラーゼレポーター遺伝子のin vivo遺伝子破壊頻度を示す。遊離ADGN-100aペプチド、遊離CAS9 mRNA、またはCAS9 mRNA/gRNA/ADGN-100aの単回静脈注射をマウスに与えた。1群あたり3匹の動物(M1、M2、およびM3と称する)。
【0077】
【
図23】
図23は、20:1のペプチドとmRNA/gRNAのモル比でADGN-100aペプチドと会合させたCAS9 mRNA/gRNA(10μg)のin vivo投与後の異なる組織におけるCAS9タンパク質発現についてのELISA解析を示す。組織をホモジナイズし、CRISPR/Cas9に対する抗体を使用してタンパク質抽出物に対してELISAによりCAS9発現を解析した。
【0078】
【
図24】
図24は、T細胞におけるβ2ミクログロブリン遺伝子編集のFACS解析を示す。ADGN-100aまたはVEPEP-3aのいずれかとの会合またはエレクトロポレーションによってCAS9/gRNA(5μg/10μgのCAS9/gRNA)をT細胞にトランスフェクトした。遊離CAS9/gRNAおよび非処理条件を対照として含めた。β2ミクログロブリン発現を72時間後にFACSにより評価した。
【0079】
【
図25】
図25Aおよび25Bは、T細胞に対するCPP/CAS9/gRNA複合体の毒性解析を示す。PBMCから単離したT細胞を、ADGN-100aまたはVEPEP-3bと会合させたCAS9/gRNA複合体で処理するか、またはCAS9/gRNA複合体をエレクトロポレートし、48時間後にMTTアッセイによって(
図25A)、および72時間後に活性化損傷誘発細胞死(activation damage-induced cell death)(DICD)をモニターすることによって(
図25B)、毒性を評価した。非処理、遊離CAS9/gRNA、遊離ADGN-100a、および遊離VEPEP-3bの条件を対照として含めた。
【0080】
【
図26】
図26は、PCRのゲル解析により定量化した、CAS9/gRNAのVEPEP-3b媒介性およびADGN-100a媒介性の送達による未分化のおよび分化したマウス筋肉筋芽細胞(C2C12)におけるβ-カテニン遺伝子の遺伝子破壊を示す。20:1(ペプチド対複合体)のモル比でCPPと会合させた(+)またはさせなかった(-)CAS9/gRNA(2.5μM/5μM)複合体を細胞にトランスフェクトし、β-カテニン発現についてRNAiMAXによる送達と比較した。β-アクチン発現をローディング対照として含めた。
【0081】
【
図27】
図27は、CAS9/gRNAのVEPEP-3b媒介性およびADGN-100a媒介性の送達による未分化のおよび分化したマウス筋肉筋芽細胞(C2C12)におけるHPRT遺伝子の遺伝子破壊効率を示す。細胞試料をT7EI法により解析し、Fragment Analyzer Systemを使用して、非切断対切断DNAの量を定量化することによって挿入欠失の結果を決定した。RNAiMAXによる送達を対照として含めた。
【0082】
【
図28】
図28A~28Dは、ADGN-100a、VEPEP-6、VEPEP-9、もしくはVEPEP-3aペプチド、またはRNAiMAXを使用してCAS9 mRNA(0.5μg)をトランスフェクトした異なる細胞種におけるELISAによるCAS9タンパク質発現の定量化を示す。
図28AはU2OS細胞についての結果を示す。
図28BはHEPG2細胞についての結果を示す。
図28Cは初代ヒト線維芽細胞についての結果を示す。
図28DはK562細胞についての結果を示す。
【0083】
【
図29】
図29A~29Dは、T7E1アッセイにより定量化した、CAS9 mRNA/gRNAにより媒介されるU2OS細胞(
図29A)、HEPG2細胞(
図29B)、初代ヒト線維芽細胞(
図29C)、またはK562細胞(
図29D)における内因性EMX1遺伝子の遺伝子破壊頻度を示す。ADGN-100a、VEPEP-6、VEPEP-9、もしくはVEPEP-3aペプチド(CPP対カーゴについて20:1のモル比)、またはRNAiMAXによってCAS9 mRNA/gRNA(0.5μg/2.5μg)を送達した。
【0084】
【
図30】
図30は、MTTアッセイにより測定したU2OS、HEPG2、およびK562細胞株、ならびにヒト初代線維芽細胞に対するCPP/CAS9 mRNA/gRNA複合体の毒性評価を示す。ペプチド媒介性の送達をRNAiMAXによる送達と比較した。
【0085】
【
図31】
図31A~31Dは、T7E1アッセイにより定量化した、CAS9タンパク質/gRNAにより媒介されるU2OS細胞(
図31A)、HEPG2細胞(
図31B)、初代ヒト線維芽細胞(
図31C)、またはK562細胞(
図31D)における内因性EMX1遺伝子の遺伝子破壊頻度を示す。予めロードしたCAS9/gRNA複合体(2.5μg/5μgのCAS9/gRNA)をペプチド媒介性の送達のために20:1のCPPとCAS9/gRNA複合体のモル比でCPPペプチドと混合し、lipofectamine 2000またはRNAiMAXによる送達と比較した。
【0086】
【
図32】
図32A~32Cは、ADGN-100a、VEPEP-6、VEPEP-9、またはVEPEP-3aペプチドを使用して、またはlipofectamine 2000を使用してCAS9発現プラスミド(0.5μg)をトランスフェクトした異なる細胞種におけるELISAによるCAS9タンパク質発現の定量化を示す。
図32AはU2OS細胞についての結果を示す。
図32BはHEPG2細胞についての結果を示す。
図32Cは初代ヒト線維芽細胞についての結果を示す。
【0087】
【
図33】
図33A~33Cは、T7E1アッセイにより定量化した、CAS9発現プラスミドおよびgRNAにより媒介されるU2OS細胞(
図33A)、HEPG2細胞(
図33B)、または初代ヒト線維芽細胞(
図33C)における内因性EMX1遺伝子の遺伝子破壊頻度を示す。CAS9発現プラスミド(0.5μg)およびgRNA(5μg)を20:1のCPPと核酸(プラスミド+gRNA)のモル比でCPPペプチドと混合した。CAS9発現プラスミド/gRNAのペプチド媒介性の送達をlipofectamine 2000またはRNAiMAXによる送達と比較した。
【0088】
【
図34】
図34は、CPP/mRNA複合体のin vivo投与に関連する非特異的サイトカイン誘導の評価を示す。CAS9 mRNA/ADGN-100a、CAS9 mRNA/VEPEP-6、またはCAS9 mRNA/VEPEP-9の単回静脈注射をマウスに与えた。The Cytokine Mouse Magnetic 20-Plex Panelを使用して異なる時点において血清サイトカインレベルを評価した。対照は、LPSまたは遊離mRNAの投与を含んだ。各時点について、バーは左から右にそれぞれTNF-a、GM-CSF、IFN-γ、IL1α、IL2、IL5、IL6、IL10、IL12(p40/p70)、IL13、IL17、IL1β、VEGF、FGF、MIP-1a、およびFGFに対応する。
【0089】
【
図35】
図35A~35Cは、20:1のCPPとmRNAのモル比でADGN-100a、VEPEP-6、またはVEPEP-9ペプチドと会合させたCAS9 mRNA(5μg)のin vivo投与の3日後(
図35A)、6日後(
図35B)、および10日後(
図35C)の様々な組織におけるELISAによるCAS9タンパク質発現の定量化を示す。組織をホモジナイズし、CRISPR/Cas9に対する抗体を使用してタンパク質抽出物に対してELISAによりCAS9発現を解析した。
【0090】
【
図36】
図36は、20:1のCPPと核酸(mRNA+gRNA)のモル比でADGN-100a、VEPEP-6、またはVEPEP-9ペプチドと会合させたPCSK9エクソン1を標的とするCAS9 mRNA(5μg)/gRNAのin vivo投与後の異なる時点における血清PCSK9タンパク質レベルの定量化を示す。PCSK9の血清レベルは、Mouse Proprotein Convertase 9/PCSK9 Quantikine ELISA Kit(MPC-900、R&DSystems)を使用してELISAによって決定した。
【0091】
【
図37】
図37は、20:1のCPPと核酸(mRNA+gRNA)のモル比でADGN-100a、VEPEP-6、またはVEPEP-9ペプチドと会合させたPCSK9エクソン1を標的とするCAS9 mRNA(5μg)/gRNAのin vivo投与後の異なる時点における総血清コレステロールレベルの定量化を示す。総血清コレステロールレベルは、Infinity Cholesterol Reagent(Thermo Fisher)を使用して測定した。
【0092】
【
図38】
図38は、VEPEP-3a/CAS9タンパク質複合体のin vivo投与に関連する非特異的サイトカイン誘導の評価を示す。CAS9/VEPEP-3aの単回静脈注射をマウスに与えた。血清サイトカインレベルは、The Cytokine Mouse Magnetic 20-Plex Panelを使用して異なる時点において評価した。対照は、遊離cas9タンパク質またはLPSの投与を含んだ。各時点について、バーは左から右にそれぞれTNF-a、GM-CSF、IFN-γ、IL1α、IL2、IL5、IL6、IL10、IL12(p40/p70)、IL13、IL17、IL1β、VEGF、FGF、MIP-1a、およびFGFに対応する。
【0093】
【
図39】
図39Aおよび
図39Bは、初代ヒトT細胞におけるELISAにより決定したCAS9タンパク質発現の定量化を示す。
図39Aは、ADGN-100a、VEPEP-6、VEPEP-9、もしくはVEPEP-3aペプチド、またはRNAiMAXを使用してCAS9 mRNA(0.5μg)をトランスフェクトしたT細胞に対応する。
図39Bは、ADGN-100a、VEPEP-6、VEPEP-9、もしくはVEPEP-3aペプチド、またはlipofectamine 2000を使用してCAS9発現プラスミド(0.5μg)をトランスフェクトしたT細胞に対応する。
【0094】
【
図40】
図40A~40Dは、T7E1アッセイにより定量化した、RGEN/gRNAにより媒介されるヒト初代T細胞における内因性EMX1遺伝子の遺伝子破壊頻度を示す。
図40Aは、ADGN-100a、VEPEP-6、もしくはVEPEP-9(CPP対カーゴについて20:1のモル比)を使用して、またはRNAiMAXによってCAS9 mRNA/gRNA(0.5μg/2.5μg)をトランスフェクトしたT細胞に対応する。
図40Bは、予めロードしたCAS9/gRNA複合体(2.5μg/5μgのCAS9/gRNA)をトランスフェクトしたT細胞に対応する。複合体をADGN-100a、VEPEP-6、VEPEP-9、またはVEPEP-3a(CPP対複合体について20:1のモル比)と混合し、RNAiMAXによる送達と比較した。
図40Cは、ADGN-100a、VEPEP-6、もしくはVEPEP-9(CPP対カーゴについて20:1のモル比)を使用して、またはlipofectamine 2000/RNAiMAXによってCAS9発現プラスミド(0.5μg)およびgRNA(5μg)をトランスフェクトしたT細胞に対応する。
図40Dは、MTTアッセイにより測定したヒト初代T細胞におけるgRNAと会合させたまたは会合させなかったCAS9 mRNA、CAS9タンパク質、またはCAS9発現プラスミド(CAS9 pls)との複合体におけるCPPの毒性評価に対応する。ペプチド媒介性の送達をRNAiMAXまたはLipofectamine 2000による送達と比較した。
【発明を実施するための形態】
【0095】
ゲノム編集技術(例えば、デザイナーヌクレアーゼに基づくゲノム修飾、例えばCRISPR)を治療応用可能にするために、ゲノム編集システム分子(例えば、CRISPRシステム分子)を細胞内部のそれらの標的に効率的に送達しなければならない。アデノ随伴ウイルス粒子は、遺伝子送達剤としてよく使用きたが、安全性の問題および負荷容量制限のため、ウイルス担体は、理想的な送達ビヒクルでない(Swiechら、Nat. Biotechnol.33巻:102~106頁、2015年)。ゲノム編集システム分子を送達する非ウイ
ルス手段としては、2、3例を挙げると、脂質に基づくベクター、脂質ナノ粒子、高分子ベクター、ポリエチレンイミンおよびポリ(L-リシン)が挙げられるが、ゲノム編集の(例えば、CRISPRツールを使用することによる)in vivoでの応用は、現在使用されている送達手法の制限のため、いまだ課題である(Liら(2015年). Human
gene therapy、26巻(7号):452~462頁;Wangら(2016年). Proceedings of the National Academy of Sciences、113巻(11号):2868~
2873頁)。したがって、ゲノム編集システム分子(例えば、CRISPRシステム分子)の単純で効率的な改善された送達方法が必要である。
【0096】
本出願は、細胞膜透過ペプチド(CPP)と、ゲノム編集システムの1つまたは複数の分子とを含む、複合体およびナノ粒子であって、CPPが、1つまたは複数のゲノム編集システム分子の安定化および/または細胞への送達に好適である、複合体およびナノ粒子を提供する。複合体およびナノ粒子は、複数のゲノム編集システム分子を含むことができ、複数のゲノム編集システム分子の一部は、CPPとの会合前に既に複合体を形成していることもある。複合体およびナノ粒子は、全ゲノム編集システムを含むことができる(例えば、複合体およびナノ粒子は、細胞に送達されたとき、ゲノム編集システムが設計される目的であるゲノムへの修飾を果すのに十分である分子を含み得る)。細胞膜透過ペプチド技術は、ウイルスベクターまたは化学的トランスフェクションより複雑でなく、毒性が低く、使用が容易である。ゲノム編集システム分子は、ゲノム編集システムの分子をコードする核酸を含むことを意図したものである。例えば、ゲノム編集システムの分子は、例えば、a)酵素とRNAを含むこともあり、b)RNAと酵素をコードする核酸とを含むこともあり、c)酵素とRNAをコードする核酸とを含むこともあり、またはd)酵素とRNAの両方をコードする核酸を含むこともある。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、デザイナーヌクレアーゼ(またはデザイナーヌクレアーゼをコードする核酸、例えば、mRNAもしくはDNAプラスミド)、例えば、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、ホーミングエンドヌクレアーゼ(例えば、ARCヌクレアーゼ(商標)、または核酸誘導型エンドヌクレアーゼ(NGEN)、例えばRNA誘導型エンドヌクレアーゼ(RGEN、例えばCas9)もしくはDNA誘導型エンドヌクレアーゼ(DGEN)を含む。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、ガイド核酸(gNA)(またはガイド核酸をコードする核酸、例えば、mRNAもしくはDNAプラスミド)、例えば、ガイドRNA(gRNA)またはガイドDNA(gDNA)をさらに含む。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(clustered regularly interspaced short palindromic repeat)(CRISPR)システム(例えば、CRIS
PR関連タンパク質および/もしくは核酸、またはCRISPR関連タンパク質および/もしくは核酸の1つもしくは複数をコードする核酸を含む)である。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、ZFNを含む。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、TALENを含む。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、ホーミングエンドヌクレアーゼを含む。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、インテグラーゼ(またはインテグラーゼをコードする核酸、例えば、mRNAもしくはDNAプラスミド)を含む。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、インテグラーゼにより認識される組換え部位を含むドナー核酸をさらに含む。
【0097】
したがって、本出願は、一態様では、さらに下文でより詳細に説明される新規ゲノム編集複合体およびナノ粒子を提供する。
【0098】
別の態様では、細胞膜透過ペプチドを使用してゲノム編集システム分子を細胞に送達する方法が提供される。
【0099】
細胞膜透過ペプチドと、ゲノム編集システムの1つまたは複数の分子とを(例えば、複合体およびナノ粒子の形態で)含む医薬組成物、および疾患を処置するためのそれらの使用も提供される。
定義
【0100】
本発明の態様では、用語「単一ガイドRNA」または「sgRNA」は、ガイド配列、tracr配列およびtracrメイト配列を含む、ポリヌクレオチド配列を指す。用語「ガイド配列」は、標的部位を指定する、ガイドRNA内の約20bpの配列を指す。用語「tracrメイト配列」は、用語「ダイレクトリピート」と同義で使用されることもある。
【0101】
本明細書で使用される用語「野生型」は、当業者により理解されている当技術分野の用語であり、変異体またはバリアント形態と区別される、自然界に存在する生物、株、遺伝子または特性の典型的な形態を意味する。
【0102】
本明細書で使用される用語「バリアント」は、自然界に存在するものから逸脱するパターンを有する質を呈することを意味すると解釈されたい。
【0103】
用語「天然に存在しない」または「改変された」は、同義で使用され、人手の関与を示す。核酸分子またはポリペプチドに言及するときのこれらの用語は、核酸分子またはポリペプチドには、それらが自然界で天然に会合している、自然界では見られるような、少なくとも1つの他の成分が、少なくとも実質的にないことを意味する。
【0104】
「相補性」は、核酸が伝統的ワトソン・クリック塩基対合または他の非伝統型のどちらかにより別の核酸配列と水素結合を形成することができることを指す。相補性パーセントは、ある核酸分子中の、もう1つの核酸配列と水素結合(例えば、ワトソン-クリック塩基対合)を形成することができる残基の、パーセンテージを示す(例えば、10のうち5、6、7、8、9、10は、50%、60%、70%、80%、90%および100%相補性となる)。「完全に相補的」は、核酸配列の連続する残基の全てが、別の核酸配列内の同数の連続する残基と水素結合することになることを意味する。本明細書で使用される「実質的に相補的」は、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50ヌクレオチドもしくはそれより大きい領域にわたって少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%もしくは100%である相補性度を指すか、またはストリンジェントな条件下でハイブリダイズする2つの核酸を指す。
【0105】
ハイブリダイゼーションについて本明細書で使用される「ストリンジェントな条件」は、標的配列との相補性を有する核酸が主に標的配列とハイブリダイズし、非標的配列と実質的にハイブリダイズしない条件を指す。ストリンジェントな条件は、一般に配列依存性であり、いくつかの因子によって変わる。一般に、配列が長いほど、配列がその標的配列とハイブリダイズする温度は高い。ストリンジェントな条件の非限定的な例は、Tijssen
(1993年)、Laboratory Techniques In Biochemistry And Molecular Biology-Hybridization With Nucleic Acid Probes Part I、第2章「Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid probe assay
」. Elsevier、N.Y.に詳細に記載されている。
【0106】
「ハイブリダイゼーション」は、1つまたは複数のポリヌクレオチドが反応して、ヌクレオチド残基の塩基間の水素結合により安定化されている複合体を形成する反応を指す。水素結合は、ワトソン・クリック塩基対合により起こることもあり、フーグスティーン結合により起こることもあり、または任意の他の配列特異的様式で起こることもある。複合体は、二重鎖構造を形成する2本の鎖を含むこともあり、多鎖複合体を形成する3本またはそれより多い鎖を含むこともあり、自己ハイブリダイズする単一の鎖を含むこともあり、またはこれらの任意の組合せを含むこともある。ハイブリダイゼーション反応は、より大規模なプロセスの1ステップ、例えば、PCRの開始、または酵素によるポリヌクレオチドの開裂を構成することもある。所与の配列とハイブリダイズすることができる配列は、その所与の配列の「相補配列」と称される。
【0107】
本明細書で使用される「発現」は、ポリヌクレオチドが鋳型DNAから(例えば、mRNAまたは他のRNA転写物に)転写されるプロセス、および/または転写されたmRNAが、その後、ペプチド、ポリペプチドもしくはタンパク質に翻訳されるプロセスを指す。転写物およびコードされているポリペプチドは、まとめて「遺伝子産物」と称されることもある。ポリヌクレオチドがゲノムDNAに由来する場合、発現は、真核細胞におけるmRNAのスプライシングを含むことがある。
【0108】
用語「対象」、「個体」および「患者」は、本明細書では、脊椎動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトを指すために同義で使用される。哺乳動物には、マウス、サル、ヒト、家畜、競技用動物、およびペットが含まれるが、これらに限定されない。in vivoで得られたまたはin vitroで培養された生物学的実体の組織、細胞およびそれらの子孫も包含される。
【0109】
用語「治療剤」、「治療可能薬剤」または「処置剤」は、同義で使用され、対象への投与時に何らかの有益な効果をもたらす分子または化合物を指す。有益な効果には、診断を下すことをできるようにすること;疾患、症状、障害または病態の寛解;疾患、症状、障害または状態の発現を低減させるまたは予防すること;および疾患、症状、障害または病態を一般に抑えることが含まれる。
【0110】
本明細書で使用される「処置」または「処置すること」は、治療的有用性を含むがこれに限定されない有益なまたは所望の結果を得るための手法を指す。治療的有用性とは、処置中の1つもしくは複数の疾患、状態もしくは症状の、治療に関連するあらゆる改善、または処置中の1つもしくは複数の疾患、状態もしくは症状に対する、治療に関連するあらゆる効果を意味する。
【0111】
用語「有効量」または「治療有効量」は、有益なまたは所望の結果をもたらすのに十分である薬剤の量を指す。治療有効量は、処置を受ける対象および病状、対象の体重および年齢、病状の重症度、投与方法などのうちの1つまたは複数に依存して変わることがあり、当業者は治療有効量を容易に決定することができる。この用語は、本明細書に記載のイメージング方法のいずれか1つにより検出用の画像を得ることになる用量にも当てはまる。具体的な用量は、選択される特定の薬剤、従うことになる投与レジメン、他の化合物と組み合わせて投与されるかどうか、投与のタイミング、撮像されることになる組織、および担持される物理的送達システムのうちの1つまたは複数に依存して変わり得る。
【0112】
本明細書で使用される単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、別段の指示がない限り、複数形の言及を含む。
【0113】
本明細書での「約」値またはパラメーターへの言及は、その値またはパラメーター自体に関する実施形態を含む(および述べている)。例えば、「約X」に言及する記述は、「X」の記述を含む。
【0114】
本発明の組成物および方法は、本明細書に記載の本発明の本質的要素および制限、ならびに本明細書に記載のまたは別様に有用なあらゆる追加のまたは任意選択の構成要素、成分または制限を含むこともあり、それからなることもあり、またはそれから本質的になることもある。
【0115】
別段の断り書きがない限り、専門用語は、従来の用法に従って使用される。
複合体およびナノ粒子
【0116】
一部の態様では、本発明は、ゲノム編集システムの1つまたは複数の分子を細胞に送達するための、細胞膜透過ペプチドを含む複合体およびナノ粒子を提供する。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドは、ゲノム編集ヌクレアーゼ(またはゲノム編集ヌクレアーゼをコードする核酸、例えば、mRNAもしくはDNAプラスミド)と複合体を形成している。一部の実施形態では、ゲノム編集ヌクレアーゼは、ZFN、TALEN、ホーミングエンドヌクレアーゼ、RGEN(例えば、Cas9)、またはDGENである。一部の実施形態では、ゲノム編集ヌクレアーゼは、ZFNである。一部の実施形態では、ゲノム編集ヌクレアーゼは、TALENである。一部の実施形態では、ゲノム編集ヌクレアーゼは、核酸誘導型ヌクレアーゼ(例えば、RGENまたはDGEN)であり、細胞膜透過ペプチドは、細胞に送達され得るゲノム編集複合体またはナノ粒子を形成するために、ガイド配列(またはガイド配列をコードする核酸)と組み合わせた(例えば、複合体を形成している)核酸誘導型ヌクレアーゼ(または核酸誘導型ヌクレアーゼをコードする核酸)と複合体を形成している。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体またはナノ粒子は、細胞膜透過ペプチドと、ZFNもしくはTALEN、またはZFNもしくはTALENをコードする核酸とを含む。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体またはナノ粒子は、細胞膜透過ペプチドと、RGEN、もしくはRGENをコードする核酸と、ガイドRNA(gRNA)、もしくはgRNAをコードする核酸とを含む。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体またはナノ粒子は、細胞膜透過ペプチドと、DGEN、もしくはDGENをコードする核酸と、ガイドDNA(gDNA)、もしくはgDNAをコードする核酸とを含む。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドとゲノム編集ヌクレアーゼは、共有結合している。一部の実施形態では、RGENおよびgRNA、またはDGENおよびgDNAは、ゲノム編集複合体を形成するための細胞膜透過ペプチドとの会合前に既に複合体を形成している。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドは、ゲノム編集インテグラーゼ(またはゲノム編集インテグラーゼをコードする核酸)と複合体を形成している。一部の実施形態では、ゲノム編集インテグラーゼは、バクテリオファージインテグラーゼである。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドは、細胞に送達され得るゲノム編集複合体またはナノ粒子を形成するために、インテグラーゼにより認識される組換え部位を含むドナー核酸と組み合わせた(例えば、複合体を形成している)ゲノム編集インテグラーゼ(またはゲノム編集インテグラーゼをコードする核酸)と複合体を形成している。細胞膜透過ペプチドは、ゲノム編集システム分子(例えば、Casヌクレアーゼおよび/もしくはガイドRNA、またはCasヌクレアーゼおよび/もしくはガイドRNAをコードする核酸)を有する、安定した複合体およびナノ粒子を形成することができる。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体またはナノ粒子は、全ゲノム編集システムを含む(例えば、ゲノム編集複合体またはナノ粒子内の分子の送達は、細胞内でゲノム編集を果すのに十分なものである)。
【0117】
一部の態様では、本発明は、ZFPまたはZFNを宿主細胞に送達するための、細胞膜透過ペプチドを含む複合体およびナノ粒子を提供する。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドは、細胞に送達され得るゲノム編集複合体またはナノ粒子を形成するために、ZFPまたはZFN(またはZFPもしくはZFNをコードする核酸)と複合体を形成している。細胞膜透過ペプチドは、ZFPもしくはZFN、またはZFPもしくはZFNをコードする核酸を有する、安定した複合体およびナノ粒子を形成することができる。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体またはナノ粒子は、細胞膜透過ペプチドと、ZFPもしくはZFN、またはZFPもしくはZFNをコードする核酸とを含む。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドとZFPまたはZFNは、共有結合している。
【0118】
一部の態様では、本発明は、TALEまたはTALENを宿主細胞に送達するための、細胞膜透過ペプチドを含む複合体およびナノ粒子を提供する。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドは、細胞に送達され得るゲノム編集複合体またはナノ粒子を形成するために、TALEまたはTALEN(またはTALEもしくはTALENをコードする核酸)と複合体を形成している。細胞膜透過ペプチドは、TALEもしくはTALEN、またはTALEもしくはTALENをコードする核酸を有する、安定した複合体およびナノ粒子を形成することができる。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体またはナノ粒子は、細胞膜透過ペプチドと、TALEもしくはTALEN、またはTALEもしくはTALENをコードする核酸とを含む。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドとTALEまたはTALENは、共有結合している。
【0119】
一部の態様では、本発明は、1つまたは複数のCRISPRシステム分子を宿主細胞に送達するための、細胞膜透過ペプチドを含む複合体およびナノ粒子を提供する。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドは、細胞に送達され得るゲノム編集複合体またはナノ粒子を形成するために、任意選択でガイド配列(またはガイド配列をコードする核酸)と組み合わせた(例えば、複合体を形成している)、CRISPRヌクレアーゼ(例えば、Cas9)、またはCRISPRヌクレアーゼをコードする核酸と複合体を形成している。細胞膜透過ペプチドは、CRISPRシステム分子(例えば、Casヌクレアーゼおよび/もしくはガイドRNA)、および/またはCRISPRシステム分子の1つもしくは複数をコードする核酸を有する、安定した複合体およびナノ粒子を形成することができる。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体またはナノ粒子は、細胞膜透過ペプチドと、a)RGEN(例えば、Cas9)、もしくはRGENをコードする核酸、および/またはb)gRNA、もしくはgRNAをコードする核酸とを含む。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドとRGENは、共有結合している。一部の実施形態では、RGENおよびgRNAは、ゲノム編集複合体を形成するために細胞膜透過ペプチドまたはナノ粒子との会合前に既に複合体を形成している。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体またはナノ粒子は、全CRISPRシステムを含む。例えば、一部の実施形態では、ゲノム編集複合体またはナノ粒子は、細胞膜透過ペプチドと、RGEN(例えば、Cas9)、またはRGENをコードする核酸と、gRNA、またはgRNAをコードする核酸とを含む。
【0120】
一部の態様では、本発明は、Natronobacterium gregoryiアルゴノート(NgAgo)とガイドDNA(gDNA)とを含むDNA誘導型ゲノム編集システムを使用する、Gaoら、(2016年). Nature biotechnologyに記載されてい
るシステムなどの、DGENシステムの1つまたは複数の分子を宿主細胞に送達するための、細胞膜透過ペプチドを含む複合体およびナノ粒子を提供する。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドは、細胞に送達され得るゲノム編集複合体またはナノ粒子を形成するために、ガイド配列(またはガイド配列をコードする核酸)と組み合わせた(例えば、複合体を形成している)、DGEN(またはDGENをコードする核酸)と複合体を形成している。細胞膜透過ペプチドは、DGENシステム分子(例えば、NgAgoヌクレアーゼおよび/もしくはガイドDNA)、および/またはDGENシステム分子の1つもしくは複数をコードする核酸を有する、安定した複合体およびナノ粒子を形成することができる。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体またはナノ粒子は、細胞膜透過ペプチドと、DGEN、もしくはDGENをコードする核酸と、gDNA、もしくはgDNAをコードする核酸とを含む。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドとDGENは、共有結合している。一部の実施形態では、DGENおよびgDNAは、ゲノム編集複合体を形成するための細胞膜透過ペプチドとの会合前に既に複合体を形成している。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体またはナノ粒子は、全DGENシステムを含む。例えば、一部の実施形態では、ゲノム編集複合体またはナノ粒子は、細胞膜透過ペプチドと、DGEN、もしくはDGENをコードする核酸と、gDNA、もしくはgDNAをコードする核酸とを含む。
【0121】
一部の態様では、本発明は、インテグラーゼを宿主細胞に送達するための、細胞膜透過ペプチドを含む複合体およびナノ粒子を提供する。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドは、細胞に送達され得るゲノム編集複合体またはナノ粒子を形成するために、インテグラーゼ(またはインテグラーゼをコードする核酸)と複合体を形成している。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドは、細胞に送達され得るゲノム編集複合体またはナノ粒子を形成するために、インテグラーゼにより認識される組換え部位を含むドナー核酸と組み合わせた(例えば、複合体を形成している)インテグラーゼ(またはインテグラーゼをコードする核酸)と複合体を形成している。細胞膜透過ペプチドは、インテグラーゼ、またはインテグラーゼをコードする核酸を有する、安定した複合体およびナノ粒子を形成することができる。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体またはナノ粒子は、細胞膜透過ペプチドと、インテグラーゼ、またはインテグラーゼをコードする核酸とを含む。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドとインテグラーゼは、共有結合している。一部の実施形態では、インテグラーゼおよびドナー核酸は、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を形成するための細胞膜透過ペプチドとの会合前に既に複合体を形成している。
細胞膜透過ペプチド
【0122】
本発明のゲノム編集複合体またはナノ粒子中の細胞膜透過ペプチドは、ゲノム編集システムの様々な分子、例えば、ヌクレアーゼ(例えば、ZFN、TALEN、およびCRISPR関連ヌクレアーゼ(例えば、Cas9およびCpf1))、インテグラーゼ(例えば、バクテリオファージインテグラーゼ、例えばΦC31)、および核酸(例えば、ガイドRNA、ガイドDNA、およびドナー核酸)を有する、安定した複合体およびナノ粒子を形成することができる。本明細書に記載のいずれのゲノム編集複合体またはナノ粒子におけるいずれの細胞膜透過ペプチドが、このセクションに記載のいずれの細胞膜透過ペプチド配列を含んでいても、またはそれらからなってもよい。
【0123】
一部の実施形態では、本明細書に記載のゲノム編集複合体またはナノ粒子は、CADY、PEP-1、MPG、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-4ペプチド、VEPEP-5ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドおよびADGN-100ペプチドからなる群から選択される細胞膜透過ペプチドを含む。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドは、ゲノム編集複合体中に存在する。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドは、ナノ粒子のコア中に存在するゲノム編集複合体中に存在する。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドは、ナノ粒子のコア中に存在する。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドは、ナノ粒子のコア中に存在し、ZFN、TALEN、ホーミングエンドヌクレアーゼ、RGEN(例えば、Cas9)、DGENまたはインテグラーゼと会合している。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドは、ナノ粒子のコア中に存在し、gRNAまたはgDNAと会合している。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドは、ナノ粒子のコア中に存在し、RGEN/gRNA複合体またはDGEN/gDNA複合体と会合している。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドは、ナノ粒子のコア中に存在し、ドナー核酸と会合している。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドは、ナノ粒子の中間層中に存在する。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドは、ナノ粒子の表面層中に存在する。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドは、ターゲティング部分に連結している。一部の実施形態では、連結は、共有結合である。WO2014/053879には、VEPEP-3ペプチドが開示されており、WO2014/053881には、VEPEP-4ペプチドが開示されており、WO2014/053882には、VEPEP-5ペプチドが開示されており、WO2012/137150には、VEPEP-6ペプチドが開示されており、WO2014/053880には、VEPEP-9ペプチドが開示されており、WO2016/102687には、ADGN-100ペプチドが開示されており、米国特許出願公開第2010/0099626号には、CADYペプチドが開示されており、および米国特許第7,514,530号には、MPGペプチドが開示されており、これらの開示は、それら全体が本明細書での参照により本明細書に組み入れられている。
【0124】
一部の実施形態では、本明細書に記載のゲノム編集複合体またはナノ粒子は、アミノ酸配列X1X2X3X4X5X2X3X4X6X7X3X8X9X10X11X12X13(配列番号1)を含むVEPEP-3細胞膜透過ペプチドを含み、この配列中、X1は、ベータ-AまたはSであり、X2は、(互いに独立して)K、RまたはLであり、X3は、(互いに独立して)FまたはWであり、X4は、(互いに独立して)F、WまたはYであり、X5は、E、RまたはSであり、X6は、R、TまたはSであり、X7は、E、RまたはSであり、X8は、存在しないか、FまたはWであり、X9は、PまたはRであり、X10は、RまたはLであり、X11は、K、WまたはRであり、X12は、RまたはFであり、およびX13は、RまたはKである。一部の実施形態では、VEPEP-3ペプチドは、アミノ酸配列X1X2WX4EX2WX4X6X7X3PRX11RX13(配列番号2)を含み、この配列中、X1は、ベータ-AまたはSであり、X2は、K、RまたはLであり、X3は、FまたはWであり、X4は、F、WまたはYであり、X5は、E、RまたはSであり、X6は、R、TまたはSであり、X7は、E、RまたはSであり、X8は、存在しないか、FまたはWであり、X9は、PまたはRであり、X10は、RまたはLであり、X11は、K、WまたはRであり、X12は、RまたはFであり、およびX13は、RまたはKである。一部の実施形態では、VEPEP-3ペプチドは、アミノ酸配列X1KWFERWFREWPRKRR(配列番号3)、X1KWWERWWREWPRKRR(配列番号4)、X1KWWERWWREWPRKRK(配列番号5)、X1RWWEKWWTRWPRKRK(配列番号6)、またはX1RWYEKWYTEFPRRRR(配列番号7)を含み、これらの配列中のX1は、ベータ-AまたはSである。一部の実施形態では、VEPEP-3ペプチドは、細胞膜透過ペプチドが、10位のアミノ酸の非天然アミノ酸による置換、2位と3位のアミノ酸間への非天然アミノ酸の付加、および2つの非天然アミノ酸間への炭化水素連結の付加により修飾されている、配列番号1~7のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-3ペプチドは、アミノ酸配列X1KX14WWERWWRX14WPRKRK(配列番号8)を含み、この配列中、X1は、ベータ-AまたはSであり、およびX14は、非天然アミノ酸であり、ならびに2つの非天然アミノ酸間に炭化水素連結がある。一部の実施形態では、VEPEP-3ペプチドは、アミノ酸配列X1X2X3WX5X10X3WX6X7WX8X9X10WX12R(配列番号9)を含み、この配列中、X1は、ベータ-AまたはSであり、X2は、K、RまたはLであり、X3は、FまたはWであり、X5は、RまたはSであり、X6は、RまたはSであり、X7は、RまたはSであり、X8は、FまたはWであり、X9は、RまたはPであり、X10は、LまたはRであり、およびX12は、RまたはFである。一部の実施形態では、VEPEP-3ペプチドは、アミノ酸配列X1RWWRLWWRSWFRLWRR(配列番号10)、X1LWWRRWWSRWWPRWRR(配列番号11)、X1LWWSRWWRSWFRLWFR(配列番号12)、またはX1KFWSRFWRSWFRLWRR(配列番号13)を含み、これらの配列中のX1は、ベータ-AまたはSである。一部の実施形態では、VEPEP-3ペプチドは、細胞膜透過ペプチドが、5位または12位のアミノ酸の非天然アミノ酸による置換、および2つの非天然アミノ酸間への炭化水素連結の付加により修飾されている、配列番号1および9~13のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-3ペプチドは、アミノ酸配列X1RWWX14LWWRSWX14RLWRR(配列番号14)を含み、この配列中、X1は、ベータ-アラニンまたはセリンであり、およびX14は、非天然アミノ酸であり、ならびに2つの非天然アミノ酸間に炭化水素連結がある。一部の実施形態では、VEPEP-3ペプチドは、ゲノム編集複合体中に存在する。一部の実施形態では、VEPEP-3ペプチドは、ナノ粒子のコア中のゲノム編集複合体中に存在する。一部の実施形態では、VEPEP-3ペプチドは、ナノ粒子のコア中に存在する。一部の実施形態では、VEPEP-3ペプチドは、ナノ粒子のコア中に存在し、ZFN、TALEN、ホーミングエンドヌクレアーゼ、RGEN(例えば、Cas9)、DGENまたはインテグラーゼと会合している。一部の実施形態では、VEPEP-3ペプチドは、ナノ粒子のコア中に存在し、gRNAまたはgDNAと会合している。一部の実施形態では、VEPEP-3ペプチドは、ナノ粒子のコア中に存在し、RGEN/gRNA複合体またはDGEN/gDNA複合体と会合している。一部の実施形態では、VEPEP-3ペプチドは、ナノ粒子のコア中に存在し、ドナー核酸と会合している。一部の実施形態では、VEPEP-3ペプチドは、ナノ粒子の中間層中に存在する。一部の実施形態では、VEPEP-3ペプチドは、ナノ粒子の表面層中に存在する。一部の実施形態では、VEPEP-3ペプチドは、ターゲティング部分に連結している。一部の実施形態では、連結は、共有結合である。
【0125】
一部の実施形態では、本明細書に記載のゲノム編集複合体またはナノ粒子は、VEPEP-6細胞膜透過ペプチドを含む。一部の実施形態では、VEPEP-6ペプチドは、X1LX2RALWX9LX3X9X4LWX9LX5X6X7X8(配列番号15)、X1LX2LARWX9LX3X9X4LWX9LX5X6X7X8(配列番号16)およびX1LX2ARLWX9LX3X9X4LWX9LX5X6X7X8(配列番号17)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、これらの配列中、X1は、ベータ-AまたはSであり、X2は、FまたはWであり、X3は、L、W、CまたはIであり、X4は、S、A、NまたはTであり、X5は、LまたはWであり、X6は、WまたはRであり、X7は、KまたはRであり、X8は、Aであるか、または存在せず、およびX9は、RまたはSである。一部の実施形態では、VEPEP-6ペプチドは、アミノ酸配列X1LX2RALWRLX3RX4LWRLX5X6X7X8(配列番号18)を含み、この配列中、X1は、ベータ-AまたはSであり、X2は、FまたはWであり、X3は、L、W、CまたはIであり、X4は、S、A、NまたはTであり、X5は、LまたはWであり、X6は、WまたはRであり、X7は、KまたはRであり、およびX8は、Aであるか、または存在しない。一部の実施形態では、VEPEP-6ペプチドは、アミノ酸配列X1LX2RALWRLX3RX4LWRLX5X6KX7(配列番号19)を含み、この配列中、X1は、ベータ-AまたはSであり、X2は、FまたはWであり、X3は、LまたはWであり、X4は、S、AまたはNであり、X5は、LまたはWであり、X6は、WまたはRであり、X7は、Aであるか、または存在しない。一部の実施形態では、VEPEP-6ペプチドは、X1LFRALWRLLRX2LWRLLWX3(配列番号20)、X1LWRALWRLWRX2LWRLLWX3A(配列番号21)、X1LWRALWRLX4RX2LWRLWRX3A(配列番号22)、X1LWRALWRLWRX2LWRLWRX3A(配列番号23)、X1LWRALWRLX5RALWRLLWX3A(配列番号24)、およびX1LWRALWRLX4RNLWRLLWX3A(配列番号25)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、これらの配列中、X1は、ベータ-AまたはSであり、X2は、SまたはTであり、X3は、KまたはRであり、X4は、L、CまたはIであり、およびX5は、LまたはIである。一部の実施形態では、VEPEP-6ペプチドは、Ac-X1LFRALWRLLRSLWRLLWK-システアミド(配列番号26)、Ac-X1LWRALWRLWRSLWRLLWKA-システアミド(配列番号27)、Ac-X1LWRALWRLLRSLWRLWRKA-システアミド(配列番号28)、Ac-X1LWRALWRLWRSLWRLWRKA-システアミド(配列番号29)、Ac-X1LWRALWRLLRALWRLLWKA-システアミド(配列番号30)、およびAc-X1LWRALWRLLRNLWRLLWKA-システアミド(配列番号31)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、これらの配列中、X1は、ベータ-AまたはSである。一部の実施形態では、VEPEP-6ペプチドは、8位と12位の2つの残基間に炭化水素連結をさらに含む、配列番号15~31のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-6ペプチドは、Ac-X1LFRALWRSLLRSSLWRLLWK-システアミド(配列番号32)、Ac-X1LFLARWRSLLRSSLWRLLWK-システアミド(配列番号33)、Ac-X1LFRALWSSLLRSSLWRLLWK-システアミド(配列番号34)、Ac-X1LFLARWSSLLRSSLWRLLWK-システアミド(配列番号35)、Ac-X1LFRALWRLLRSSLWSSLLWK-システアミド(配列番号36)、Ac-X1LFLARWRLLRSSLWSSLLWK-システアミド(配列番号37)、Ac-X1LFRALWRLLSSSLWSSLLWK-システアミド(配列番号38)、Ac-X1LFLARWRLLSSSLWSSLLWK-システアミド(配列番号39)、およびAc-X1LFARSLWRLLRSSLWRLLWK-システアミド(配列番号40)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、これらの配列中、X1は、ベータ-AまたはSであり、下付文字「S」が後ろにある残基は、前記炭化水素連結により連結している残基である。一部の実施形態では、VEPEP-6ペプチドは、ゲノム編集複合体中に存在する。一部の実施形態では、VEPEP-6ペプチドは、ナノ粒子のコア中のゲノム編集複合体中に存在する。一部の実施形態では、VEPEP-6ペプチドは、ナノ粒子のコア中に存在する。一部の実施形態では、VEPEP-6ペプチドは、ナノ粒子のコア中に存在し、ZFN、TALEN、ホーミングエンドヌクレアーゼ、RGEN(例えば、Cas9)、DGENまたはインテグラーゼと会合している。一部の実施形態では、VEPEP-6ペプチドは、ナノ粒子のコア中に存在し、gRNAまたはgDNAと会合している。一部の実施形態では、VEPEP-6ペプチドは、ナノ粒子のコア中に存在し、RGEN/gRNA複合体またはDGEN/gDNA複合体と会合している。一部の実施形態では、VEPEP-6ペプチドは、ナノ粒子のコア中に存在し、ドナー核酸と会合している。一部の実施形態では、VEPEP-6ペプチドは、ナノ粒子の中間層中に存在する。一部の実施形態では、VEPEP-6ペプチドは、ナノ粒子の表面層中に存在する。一部の実施形態では、VEPEP-6ペプチドは、ターゲティング部分に連結している。一部の実施形態では、連結は、共有結合である。
【0126】
一部の実施形態では、本明細書に記載のゲノム編集複合体またはナノ粒子は、アミノ酸配列X1X2X3WWX4X5WAX6X3X7X8X9X10X11X12WX13R(配列番号41)を含むVEPEP-9細胞膜透過ペプチドを含み、この配列中、X1は、ベータ-AまたはSであり、X2は、Lであるか、または存在せず、X3は、Rであるか、または存在せず、X4は、L、RまたはGであり、X5は、R、WまたはSであり、X6は、S、PまたはTであり、X7は、WまたはPであり、X8は、F、AまたはRであり、X9は、S、L、PまたはRであり、X10は、RまたはSであり、X11は、Wであるか、または存在せず、X12は、Aであるか、Rであるか、または存在せず、およびX13は、WまたはFであり、ならびにX3が存在しない場合には、X2、X11およびX12も存在しない。一部の実施形態では、VEPEP-9ペプチドは、アミノ酸配列X1X2RWWLRWAX6RWX8X9X10WX12WX13R(配列番号42)を含み、この配列中、X1は、ベータ-AまたはSであり、X2は、Lであるか、または存在せず、X6は、SまたはPであり、X8は、FまたはAであり、X9は、S、LまたはPであり、X10は、RまたはSであり、X12は、AまたはRであり、およびX13は、WまたはFである。一部の実施形態では、VEPEP-9ペプチドは、X1LRWWLRWASRWFSRWAWWR(配列番号43)、X1LRWWLRWASRWASRWAWFR(配列番号44)、X1RWWLRWASRWALSWRWWR(配列番号45)、X1RWWLRWASRWFLSWRWWR(配列番号46)、X1RWWLRWAPRWFPSWRWWR(配列番号47)、およびX1RWWLRWASRWAPSWRWWR(配列番号48)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、これらの配列中、X1は、ベータ-AまたはSである。一部の実施形態では、VEPEP-9ペプチドは、X1WWX4X5WAX6X7X8RX10WWR(配列番号49)のアミノ酸配列を含み、この配列中、X1は、ベータ-AまたはSであり、X4は、RまたはGであり、X5は、WまたはSであり、X6は、S、TまたはPであり、X7は、WまたはPであり、X8は、AまたはRであり、およびX10は、SまたはRである。一部の実施形態では、VEPEP-9ペプチドは、X1WWRWWASWARSWWR(配列番号50)、X1WWGSWATPRRRWWR(配列番号51)、およびX1WWRWWAPWARSWWR(配列番号52)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、これらの配列中のX1は、ベータ-AまたはSである。一部の実施形態では、VEPEP-9ペプチドは、ゲノム編集複合体中に存在する。一部の実施形態では、VEPEP-9ペプチドは、ナノ粒子のコア中のゲノム編集複合体中に存在する。一部の実施形態では、VEPEP-9ペプチドは、ナノ粒子のコア中に存在する。一部の実施形態では、VEPEP-9ペプチドは、ナノ粒子のコア中に存在し、ZFN、TALEN、ホーミングエンドヌクレアーゼ、RGEN(例えば、Cas9)、DGENまたはインテグラーゼと会合している。一部の実施形態では、VEPEP-9ペプチドは、ナノ粒子のコア中に存在し、gRNAまたはgDNAと会合している。一部の実施形態では、VEPEP-9ペプチドは、ナノ粒子のコア中に存在し、RGEN/gRNA複合体またはDGEN/gDNA複合体と会合している。一部の実施形態では、VEPEP-9ペプチドは、ナノ粒子のコア中に存在し、ドナー核酸と会合している。一部の実施形態では、VEPEP-9ペプチドは、ナノ粒子の中間層中に存在する。一部の実施形態では、VEPEP-9ペプチドは、ナノ粒子の表面層中に存在する。一部の実施形態では、VEPEP-9ペプチドは、ターゲティング部分に連結している。一部の実施形態では、連結は、共有結合である。
【0127】
一部の実施形態では、本明細書に記載のゲノム編集複合体またはナノ粒子は、アミノ酸配列X1KWRSX2X3X4RWRLWRX5X6X7X8SR(配列番号53)を含むADGN-100細胞膜透過ペプチドを含み、この配列中、X1は、任意のアミノ酸であるか、または存在せず、およびX2~X8は、任意のアミノ酸である。一部の実施形態では、ADGN-100ペプチドは、アミノ酸配列X1KWRSX2X3X4RWRLWRX5X6X7X8SR(配列番号54)を含み、この配列中、X1は、βAであるか、Sであるか、または存在せず、X2は、AまたはVであり、X3は、またはLであり、X4は、WまたはYであり、X5は、VまたはSであり、X6は、R、VまたはAであり、X7は、SまたはLであり、およびX8は、WまたはYである。一部の実施形態では、ADGN-100ペプチドは、アミノ酸配列KWRSAGWRWRLWRVRSWSR(配列番号55)、KWRSALYRWRLWRVRSWSR(配列番号56)、KWRSALYRWRLWRSRSWSR(配列番号57)、またはKWRSALYRWRLWRSALYSR(配列番号58)を含む。一部の実施形態では、ADGN-100ペプチドは、炭化水素連結により連結している3つまたは6つの残基により隔てられている2つの残基を含む。一部の実施形態では、ADGN-100ペプチドは、アミノ酸配列KWRSSAGWRSWRLWRVRSWSR(配列番号59)、KWRSSAGWRWRSLWRVRSWSR(配列番号60)、KWRSAGWRSWRLWRVRSSWSR(配列番号61)、KWRSSALYRSWRLWRSRSWSR(配列番号62)、KWRSSALYRWRSLWRSRSWSR(配列番号63)、KWRSALYRSWRLWRSRSSWSR(配列番号64)、KWRSALYRWRSLWRSSRSWSR(配列番号65)、KWRSALYRWRLWRSSRSWSSR(配列番号66)、KWRSSALYRWRSLWRSALYSR(配列番号67)、KWRSSALYRSWRLWRSALYSR(配列番号68)、KWRSALYRWRSLWRSSALYSR(配列番号69)、またはKWRSALYRWRLWRSSALYSSR(配列番号70)を含み、これらの配列中、下付文字「S」の付いている残基は、炭化水素連結により連結している。一部の実施形態では、ADGN-100ペプチドは、ゲノム編集複合体中に存在する。一部の実施形態では、ADGN-100ペプチドは、ナノ粒子のコア中のゲノム編集複合体中に存在する。一部の実施形態では、ADGN-100ペプチドは、ナノ粒子のコア中に存在する。一部の実施形態では、ADGN-100ペプチドは、ナノ粒子のコア中に存在し、ZFN、TALEN、ホーミングエンドヌクレアーゼ、RGEN(例えば、Cas9)、DGENまたはインテグラーゼと会合している。一部の実施形態では、ADGN-100ペプチドは、ナノ粒子のコア中に存在し、gRNAまたはgDNAと会合している。一部の実施形態では、ADGN-100ペプチドは、ナノ粒子のコア中に存在し、RGEN/gRNA複合体またはDGEN/gDNA複合体と会合している。一部の実施形態では、ADGN-100ペプチドは、ナノ粒子のコア中に存在し、ドナー核酸と会合している。一部の実施形態では、ADGN-100ペプチドは、ナノ粒子の中間層中に存在する。一部の実施形態では、ADGN-100ペプチドは、ナノ粒子の表面層中に存在する。一部の実施形態では、ADGN-100ペプチドは、ターゲティング部分に連結している。一部の実施形態では、連結は、共有結合である。
【0128】
一部の実施形態では、本明細書に記載のCPP(例えば、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドまたはADGN-100ペプチド)は、CPPのN末端に連結している1つまたは複数の部分をさらに含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の部分は、CPPのN末端に共有結合によって連結している。一部の実施形態では、1つまたは複数の部分は、アセチル基、ステアリル基、脂肪酸、コレステロール、ポリエチレングリコール、核内移行シグナル、核外移行シグナル、抗体またはその抗体断片、ペプチド、多糖類、およびターゲティング分子からなる群から選択される。一部の実施形態では、1つまたは複数の部分は、アセチル基および/またはステアリル基である。一部の実施形態では、CPPは、そのN末端に連結しているアセチル基および/またはステアリル基を含む。一部の実施形態では、CPPは、そのN末端に連結しているアセチル基を含む。一部の実施形態では、CPPは、そのN末端に連結しているステアリル基を含む。一部の実施形態では、CPPは、そのN末端に共有結合によって連結しているアセチル基および/またはステアリル基を含む。一部の実施形態では、CPPは、そのN末端に共有結合によって連結しているアセチル基を含む。一部の実施形態では、CPPは、そのN末端に共有結合によって連結しているステアリル基を含む。
【0129】
一部の実施形態では、本明細書に記載のCPP(例えば、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドまたはADGN-100ペプチド)は、CPPのC末端に連結している1つまたは複数の部分をさらに含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の部分は、CPPのC末端に共有結合によって連結している。一部の実施形態では、1つまたは複数の部分は、システアミド基、システイン、チオール、アミド、ニトリロ三酢酸、カルボキシル基、直鎖状または分枝状C1~C6アルキル基、一級または二級アミン、オシド誘導体、脂質、リン脂質、脂肪酸、コレステロール、ポリエチレングリコール、核内移行シグナル、核外移行シグナル、抗体またはその抗体断片、ペプチド、多糖類、およびターゲティング分子からなる群から選択される。一部の実施形態では、1つまたは複数の部分は、システアミド基である。一部の実施形態では、CPPは、そのC末端に連結しているシステアミド基を含む。一部の実施形態では、CPPは、そのC末端に共有結合によって連結しているシステアミド基を含む。
【0130】
一部の実施形態では、本明細書に記載のCPP(例えば、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドまたはADGN-100ペプチド)は、ステープル化されている。本明細書において使用する「ステープル化」は、ペプチド中の2残基間の化学的連結を指す。一部の実施形態では、該ペプチドの2アミノ酸間に化学的連結を含むCPPは、ステープル化されている。一部の実施形態では、化学的連結により連結している2つのアミノ酸は、3つまたは6つのアミノ酸により隔てられている。一部の実施形態では、化学的連結により連結している2つのアミノ酸は、3つのアミノ酸により隔てられている。一部の実施形態では、化学的連結により連結している2つのアミノ酸は、6つのアミノ酸により隔てられている。一部の実施形態では、化学的連結により連結している2つのアミノ酸の各々は、RまたはSである。一部の実施形態では、化学的連結により連結している2つのアミノ酸の各々は、Rである。一部の実施形態では、化学的連結により連結している2つのアミノ酸の各々は、Sである。一部の実施形態では、化学的連結により連結している2つのアミノ酸の一方は、Rであり、他方は、Sである。一部の実施形態では、化学的連結は、炭化水素連結である。
複合体
【0131】
一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドを修飾するためのゲノム編集複合体であって、細胞膜透過ペプチドと、ゲノム編集システムの1つまたは複数の分子(1つまたは複数のゲノム編集システム分子のいずれかをコードする核酸を含む)とを含むゲノム編集複合体が、提供される。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体は、細胞膜透過ペプチド(例えば、VEPEP-3、VEPEP-6、VEPEP-9またはADGN-100ペプチド)およびゲノム編集ヌクレアーゼ(またはゲノム編集ヌクレアーゼをコードする核酸)を含む。一部の実施形態では、ゲノム編集ヌクレアーゼは、ZFN、TALEN、ホーミングエンドヌクレアーゼ、RGEN(例えば、Cas9)、またはDGENである。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体は、gRNAまたはgDNA(またはgRNAもしくはgDNAをコードする核酸)をさらに含み、gRNAまたはgDNAは、標的ポリヌクレオチド内の標的配列に相補的なガイド配列を含む。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体は、RGENおよびgRNAを含む既成複合体とまたはDGENおよびgDNAを含む既成複合体と会合している、細胞膜透過ペプチドを含む。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体は、細胞膜透過ペプチドおよびインテグラーゼ(またはインテグラーゼをコードする核酸)を含む。一部の実施形態では、インテグラーゼは、バクテリオファージインテグラーゼ(例えば、ΦC31)である。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体は、インテグラーゼにより認識される組換え部位を含むドナー核酸をさらに含む。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体中の細胞膜透過ペプチドの少なくとも一部は、ターゲティング部分に連結している。一部の実施形態では、連結は、共有結合である。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体中の細胞膜透過ペプチドと、1つまたは複数のゲノム編集システム分子のうちの少なくとも1つ(例えば、1つまたは複数のゲノム編集システム分子のすべて)のモル比は、約1:1~約80:1の間(例えば、約1:1、5:1、10:1、20:1、30:1、40:1、50:1、60:1、70:1、80:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体中の細胞膜透過ペプチドと、1つまたは複数のゲノム編集システム分子のうちの少なくとも1つ(例えば、1つまたは複数のゲノム編集システム分子のすべて)のモル比は、約5:1~約20:1の間(例えば、約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、および20:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、CPPは、これらに限定されないが、PTDに基づくペプチド、両親媒性ペプチド、ポリアルギニンに基づくペプチド、MPGペプチド、CADYペプチド、VEPEPペプチド(例えば、VEPEP-3、VEPEP-6またはVEPEP-9ペプチド)、ADGN-100ペプチド、Pep-1ペプチドおよびPep-2ペプチドを含む。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体は、異なるガイド配列を含む1つまたは複数の追加のgRNAまたはdDNAをさらに含む。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体は、標的ポリヌクレオチドに特異的修飾を導入するためのドナー核酸をさらに含む。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、コード配列が修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、非コード配列が修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、標的遺伝子の発現を減少させること、または不活性な産物を発現する修飾標的遺伝子をもたらすことなどにより、標的遺伝子を不活性化するように修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、標的遺伝子の発現を増加させること、または活性標的遺伝子産物を発現する修飾標的遺伝子をもたらすことなどにより、標的遺伝子を活性化するように修飾される。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体は、全ゲノム編集システムを含む。
【0132】
一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドを修飾するためのゲノム編集複合体であって、細胞膜透過ペプチド(例えば、VEPEP-3、VEPEP-6、VEPEP-9またはADGN-100ペプチド)とZFNまたはTALEN(またはZFNもしくはTALENをコードする1つもしくは複数の核酸)とを含むゲノム編集複合体が提供される。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体中の細胞膜透過ペプチドの少なくとも一部は、ターゲティング部分に連結している。一部の実施形態では、連結は、共有結合である。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体中の細胞膜透過ペプチドと、ZFNまたはTALENのモル比は、約1:1~約80:1の間(例えば、約1:1、5:1、10:1、20:1、30:1、40:1、50:1、60:1、70:1、80:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体中の細胞膜透過ペプチドと、ZFNまたはTALENのモル比は、約5:1~約20:1の間(例えば、約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、および20:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、CPPは、これらに限定されないが、PTDに基づくペプチド、両親媒性ペプチド、ポリアルギニンに基づくペプチド、MPGペプチド、CADYペプチド、VEPEPペプチド(例えば、VEPEP-3、VEPEP-6またはVEPEP-9ペプチド)、ADGN-100ペプチド、Pep-1ペプチドおよびPep-2ペプチドを含む。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体は、特異的修飾を標的ポリヌクレオチドに導入するためのドナー核酸をさらに含む。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、コード配列が修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、非コード配列が修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、標的遺伝子の発現を減少させること、または不活性な産物を発現する修飾標的遺伝子をもたらすことなどにより、標的遺伝子を不活性化するように修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、標的遺伝子の発現を増加させること、または活性標的遺伝子産物を発現する修飾標的遺伝子をもたらすことなどにより、標的遺伝子を活性化するように修飾される。
【0133】
一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドを修飾するためのゲノム編集複合体であって、細胞膜透過ペプチド(例えば、VEPEP-3、VEPEP-6、VEPEP-9またはADGN-100ペプチド)とインテグラーゼ(またはインテグラーゼをコードする1つもしくは複数の核酸)とを含むゲノム編集複合体が提供される。一部の実施形態では、インテグラーゼは、バクテリオファージインテグラーゼ(例えば、ΦC31)である。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体は、インテグラーゼにより認識される組換え部位を含むドナー核酸であって、標的ポリヌクレオチドに特異的修飾を導入するためのドナー核酸をさらに含む。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体中の細胞膜透過ペプチドの少なくとも一部は、ターゲティング部分に連結している。一部の実施形態では、連結は、共有結合である。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体中の細胞膜透過ペプチドとインテグラーゼのモル比は、約1:1~約80:1の間(例えば、約1:1、5:1、10:1、20:1、30:1、40:1、50:1、60:1、70:1、80:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体中の細胞膜透過ペプチドとインテグラーゼのモル比は、約5:1~約20:1の間(例えば、約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、および20:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、CPPは、これらに限定されないが、PTDに基づくペプチド、両親媒性ペプチド、ポリアルギニンに基づくペプチド、MPGペプチド、CADYペプチド、VEPEPペプチド(例えば、VEPEP-3、VEPEP-6またはVEPEP-9ペプチド)、ADGN-100ペプチド、Pep-1ペプチドおよびPep-2ペプチドを含む。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、コード配列が修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、非コード配列が修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、標的遺伝子の発現を減少させること、または不活性な産物を発現する修飾標的遺伝子をもたらすことなどにより、標的遺伝子を不活性化するように修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、標的遺伝子の発現を増加させること、または活性標的遺伝子産物を発現する修飾標的遺伝子をもたらすことなどにより、標的遺伝子を活性化するように修飾される。
【0134】
一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドを修飾するためのゲノム編集複合体であって、細胞膜透過ペプチド(例えば、VEPEP-3、VEPEP-6、VEPEP-9またはADGN-100ペプチド)と、RGEN(またはRGENをコードする核酸)およびgRNA(またはgRNAをコードする核酸)の一方または両方とを含み、gRNAが、標的ポリヌクレオチド内の標的配列に相補的なガイド配列を含む、ゲノム編集複合体が提供される。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体は、RGENおよびgRNAを含む既成複合体と会合している、細胞膜透過ペプチドを含む。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体中の細胞膜透過ペプチドの少なくとも一部は、ターゲティング部分に連結している。一部の実施形態では、連結は、共有結合である。一部の実施形態では、gRNAは、補助的なトランス活性化crRNA(tracrRNA)に融合している特異性決定CRISPR RNA(crRNA)を含む単一ガイドRNA(sgRNA)である。一部の実施形態では、gRNAは、ガイド配列と、tracrメイト配列と、tracr配列と、テール配列とを含む、sgRNAである。一部の実施形態では、RGENは、Cas9またはCpf1である。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体中のRGENとgRNAのモル比は、約10:1~約1:10の間(例えば、約10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、および1:10(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体中のRGENとgRNAのモル比は、約1:1である。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体中の細胞膜透過ペプチドとRGENのモル比は、約1:1~約80:1の間(例えば、約1:1、5:1、10:1、20:1、30:1、40:1、50:1、60:1、70:1、80:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体中の細胞膜透過ペプチドとRGENのモル比は、約5:1~約20:1の間(例えば、約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、および20:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、CPPは、これらに限定されないが、PTDに基づくペプチド、両親媒性ペプチド、ポリアルギニンに基づくペプチド、MPGペプチド、CADYペプチド、VEPEPペプチド(例えば、VEPEP-3、VEPEP-6またはVEPEP-9ペプチド)、ADGN-100ペプチド、Pep-1ペプチドおよびPep-2ペプチドを含む。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体は、異なるガイド配列を含む1つまたは複数の追加のgRNAをさらに含む。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体は、標的ポリヌクレオチドに特異的修飾を導入するためのドナー核酸をさらに含む。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、コード配列が修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、非コード配列が修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、標的遺伝子の発現を減少させること、または不活性な産物を発現する修飾標的遺伝子をもたらすことなどにより、標的遺伝子を不活性化するように修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、標的遺伝子の発現を増加させること、または活性標的遺伝子産物を発現する修飾標的遺伝子をもたらすことなどにより、標的遺伝子を活性化するように修飾される。
【0135】
一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドを修飾するためのゲノム編集複合体であって、細胞膜透過ペプチド(例えば、VEPEP-3、VEPEP-6、VEPEP-9またはADGN-100ペプチド)と、DGEN(またはDGENをコードする核酸)およびgDNA(またはgDNAをコードする核酸)の一方または両方とを含み、gDNAが、標的ポリヌクレオチド内の標的配列に相補的なガイド配列を含む、ゲノム編集複合体が提供される。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体は、DGENおよびgDNAを含む既成複合体と会合している、細胞膜透過ペプチドを含む。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体中の細胞膜透過ペプチドの少なくとも一部は、ターゲティング部分に連結している。一部の実施形態では、連結は、共有結合である。一部の実施形態では、DGENは、NgAgoである。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体中のDGENとgDNAのモル比は、約10:1~約1:10の間(例えば、約10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、および1:10(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体中のDGENとgDNAのモル比は、約1:1である。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体中の細胞膜透過ペプチドとDGENのモル比は、約1:1~約80:1の間(例えば、約1:1、5:1、10:1、20:1、30:1、40:1、50:1、60:1、70:1、80:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体中の細胞膜透過ペプチドとDGENのモル比は、約5:1~約20:1の間(例えば、約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、および20:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、CPPは、これらに限定されないが、PTDに基づくペプチド、両親媒性ペプチド、ポリアルギニンに基づくペプチド、MPGペプチド、CADYペプチド、VEPEPペプチド(例えば、VEPEP-3、VEPEP-6またはVEPEP-9ペプチド)、ADGN-100ペプチド、Pep-1ペプチドおよびPep-2ペプチドを含む。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体は、異なるガイド配列を含む1つまたは複数の追加のgDNAをさらに含む。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体は、標的ポリヌクレオチドに特異的修飾を導入するためのドナー核酸をさらに含む。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、コード配列が修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、非コード配列が修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、標的遺伝子の発現を減少させること、または不活性な産物を発現する修飾標的遺伝子をもたらすことなどにより、標的遺伝子を不活性化するように修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、標的遺伝子の発現を増加させること、または活性標的遺伝子産物を発現する修飾標的遺伝子をもたらすことなどにより、標的遺伝子を活性化するように修飾される。
【0136】
一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドを修飾するためのゲノム編集複合体であって、RGENとgRNAとを含む既成RGEN/gRNA複合体と会合している細胞膜透過ペプチド(例えば、VEPEP-3、VEPEP-6、VEPEP-9またはADGN-100ペプチド)を含み、gRNAが、標的ポリヌクレオチド内の標的配列に相補的なガイド配列を含む、ゲノム編集複合体が提供される。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体中の細胞膜透過ペプチドの少なくとも一部は、ターゲティング部分に連結している。一部の実施形態では、連結は、共有結合である。一部の実施形態では、gRNAは、補助的なトランス活性化crRNA(tracrRNA)に融合している特異性決定CRISPR RNA(crRNA)を含む単一ガイドRNA(sgRNA)である。一部の実施形態では、gRNAは、ガイド配列と、tracrメイト配列と、tracr配列と、テール配列とを含む、sgRNAである。一部の実施形態では、RGENは、Cas9またはCpf1である。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体中のRGENとgRNAのモル比は、約10:1~約1:10の間(例えば、約10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、および1:10(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体中のRGENとgRNAのモル比は、約1:1である。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体中の細胞膜透過ペプチドとRGENのモル比は、約1:1~約80:1の間(例えば、約1:1、5:1、10:1、20:1、30:1、40:1、50:1、60:1、70:1、80:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体中の細胞膜透過ペプチドとRGENのモル比は、約5:1~約20:1の間(例えば、約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、および20:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、CPPは、これらに限定されないが、PTDに基づくペプチド、両親媒性ペプチド、ポリアルギニンに基づくペプチド、MPGペプチド、CADYペプチド、VEPEPペプチド(例えば、VEPEP-3、VEPEP-6またはVEPEP-9ペプチド)、ADGN-100ペプチド、Pep-1ペプチドおよびPep-2ペプチドを含む。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体は、異なるガイド配列を含む1つまたは複数の追加のgRNAをさらに含む。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体は、標的ポリヌクレオチドに特異的修飾を導入するためのドナー核酸をさらに含む。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、コード配列が修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、非コード配列が修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、標的遺伝子の発現を減少させること、または不活性な産物を発現する修飾標的遺伝子をもたらすことなどにより、標的遺伝子を不活性化するように修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、標的遺伝子の発現を増加させること、または活性標的遺伝子産物を発現する修飾標的遺伝子をもたらすことなどにより、標的遺伝子を活性化するように修飾される。
【0137】
一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドに修飾を導入するためのゲノム編集複合体であって、細胞膜透過ペプチド(例えば、VEPEP-3、VEPEP-6、VEPEP-9またはADGN-100ペプチド)、ZFNまたはTALEN、およびドナー核酸を含み、ZFNまたはTALENが、標的ポリヌクレオチド内の標的配列を開裂させ、ドナー核酸が、標的ポリヌクレオチドの修飾を含むように修飾される部分に対応する配列を含む、ゲノム編集複合体が提供される。一部の実施形態では、修飾は、標的ポリヌクレオチドにおける1つまたは複数のヌクレオチドの付加、欠失または置換であり、ドナー核酸は、一本鎖DNAオリゴヌクレオチドである。一部の実施形態では、修飾は、標的ポリヌクレオチド内への異種核酸の挿入であり、ドナー核酸は、二本鎖DNA分子、例えばプラスミドである。ドナー核酸は、標的ポリヌクレオチドの修飾の5’側に隣接する部分を含む5’標的ホモロジー領域と相同である、5’ホモロジーアームと、標的ポリヌクレオチドの修飾の3’側に隣接する部分を含む3’標的ホモロジー領域と相同である、3’ホモロジーアームとを含む。一部の実施形態では、5’標的ホモロジー領域および/または3’標的ホモロジー領域は、標的配列中の少なくとも約1個(例えば、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20個、またはそれより多数のうちのいずれか)のヌクレオチドと重複する。一部の実施形態では、5’標的ホモロジー領域および/または3’標的ホモロジー領域は、標的配列から約1000ヌクレオチド以内(例えば、約1000、500、400、300、200、100、75、50、25、20、15、10、5または1ヌクレオチドのいずれか以内)にある。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体中の細胞膜透過ペプチドの少なくとも一部は、ターゲティング部分に連結している。一部の実施形態では、連結は、共有結合である。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体中の細胞膜透過ペプチドとZFNまたはTALENのモル比は、約1:1~約80:1の間(例えば、約1:1、5:1、10:1、20:1、30:1、40:1、50:1、60:1、70:1、80:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体中の細胞膜透過ペプチドとZFNまたはTALENのモル比は、約5:1~約20:1の間(例えば、約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、および20:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体は、TALENを含む。一部の実施形態では、CPPは、これらに限定されないが、PTDに基づくペプチド、両親媒性ペプチド、ポリアルギニンに基づくペプチド、MPGペプチド、CADYペプチド、VEPEPペプチド(例えば、VEPEP-3、VEPEP-6またはVEPEP-9ペプチド)、ADGN-100ペプチド、Pep-1ペプチドおよびPep-2ペプチドを含む。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体は、異なる修飾を含む1つまたは複数の追加のドナー核酸をさらに含む。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、コード配列が修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、非コード配列が修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、標的遺伝子の発現を減少させること、または不活性な産物を発現する修飾標的遺伝子をもたらすことなどにより、標的遺伝子を不活性化するように修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、標的遺伝子の発現を増加させること、または活性標的遺伝子産物を発現する修飾標的遺伝子をもたらすことなどにより、標的遺伝子を活性化するように修飾される。
【0138】
一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドに外来性核酸を導入するためのゲノム編集複合体であって、細胞膜透過ペプチド(例えば、VEPEP-3、VEPEP-6、VEPEP-9またはADGN-100ペプチド)と、インテグラーゼと、外来性核酸を含むドナー核酸とを含み、インテグラーゼが、標的ポリヌクレオチド内の第1の組換え部位とドナー核酸内の第2の組換え部位との組換えを媒介することができる、ゲノム編集複合体が提供される。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体中の細胞膜透過ペプチドの少なくとも一部は、ターゲティング部分に連結している。一部の実施形態では、連結は、共有結合である。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体中の細胞膜透過ペプチドとインテグラーゼのモル比は、約1:1~約80:1の間(例えば、約1:1、5:1、10:1、20:1、30:1、40:1、50:1、60:1、70:1、80:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体中の細胞膜透過ペプチドとインテグラーゼのモル比は、約5:1~約20:1の間(例えば、約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、および20:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、CPPは、これらに限定されないが、PTDに基づくペプチド、両親媒性ペプチド、ポリアルギニンに基づくペプチド、MPGペプチド、CADYペプチド、VEPEPペプチド(例えば、VEPEP-3、VEPEP-6またはVEPEP-9ペプチド)、ADGN-100ペプチド、Pep-1ペプチドおよびPep-2ペプチドを含む。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体は、異なる外来性核酸を含む1つまたは複数の追加のドナー核酸をさらに含む。一部の実施形態では、外来性核酸は、標的ポリヌクレオチドのコード配列に挿入される。一部の実施形態では、外来性核酸は、標的ポリヌクレオチドの非コード配列に挿入される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、標的遺伝子の発現を減少させること、または不活性な産物を発現する修飾標的遺伝子をもたらすことなどにより、標的遺伝子を不活性化するように修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、標的遺伝子の発現を増加させること、または活性標的遺伝子産物を発現する修飾標的遺伝子をもたらすことなどにより、標的遺伝子を活性化するように修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、外来性核酸の産物(例えば、タンパク質、例えば外来性タンパク質)を発現するように修飾される。
【0139】
一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドに修飾を導入するためのゲノム編集複合体であって、細胞膜透過ペプチド(例えば、VEPEP-3、VEPEP-6、VEPEP-9またはADGN-100ペプチド)と、RGEN(またはRGENをコードする核酸)、gRNA(またはgRNAをコードする核酸)およびドナー核酸のうちの1つまたは複数とを含み、gRNAが、標的ポリヌクレオチド内の標的配列に相補的なガイド配列を含み、ドナー核酸が、標的ポリヌクレオチドの修飾を含むように修飾される部分に対応する配列を含む、ゲノム編集複合体が提供される。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体は、a)RGENとgRNAとを含む既成複合体およびb)ドナー核酸と会合している、細胞膜透過ペプチドを含む。一部の実施形態では、修飾は、標的ポリヌクレオチドにおける1つまたは複数のヌクレオチドの付加、欠失または置換であり、ドナー核酸は、一本鎖DNAオリゴヌクレオチドである。一部の実施形態では、修飾は、標的ポリヌクレオチド内への異種核酸の挿入であり、ドナー核酸は、二本鎖DNA分子、例えばプラスミドである。ドナー核酸は、標的ポリヌクレオチドの修飾の5’側に隣接する部分を含む5’標的ホモロジー領域と相同である、5’ホモロジーアームと、標的ポリヌクレオチドの修飾の3’側に隣接する部分を含む3’標的ホモロジー領域と相同である、3’ホモロジーアームとを含む。一部の実施形態では、5’標的ホモロジー領域および/または3’標的ホモロジー領域は、標的配列中の少なくとも約1個(例えば、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20個、またはそれより多数のうちのいずれか)のヌクレオチドと重複する。一部の実施形態では、5’標的ホモロジー領域および/または3’標的ホモロジー領域は、標的配列から約1000ヌクレオチド以内(例えば、約1000、500、400、300、200、100、75、50、25、20、15、10、5または1ヌクレオチドのいずれか以内)にある。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体中の細胞膜透過ペプチドの少なくとも一部は、ターゲティング部分に連結している。一部の実施形態では、連結は、共有結合である。一部の実施形態では、gRNAは、補助的なトランス活性化crRNA(tracrRNA)に融合している特異性決定CRISPR RNA(crRNA)を含む単一ガイドRNA(sgRNA)である。一部の実施形態では、gRNAは、ガイド配列と、tracrメイト配列と、tracr配列と、テール配列とを含む、sgRNAである。一部の実施形態では、RGENは、Cas9またはCpf1である。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体中のRGENとgRNAのモル比は、約10:1~約1:10の間(例えば、約10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、および1:10(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体中のRGENとgRNAのモル比は、約1:1である。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体中の細胞膜透過ペプチドとRGENのモル比は、約1:1~約80:1の間(例えば、約1:1、5:1、10:1、20:1、30:1、40:1、50:1、60:1、70:1、80:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体中の細胞膜透過ペプチドとRGENのモル比は、約5:1~約20:1の間(例えば、約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、および20:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、CPPは、これらに限定されないが、PTDに基づくペプチド、両親媒性ペプチド、ポリアルギニンに基づくペプチド、MPGペプチド、CADYペプチド、VEPEPペプチド(例えば、VEPEP-3、VEPEP-6またはVEPEP-9ペプチド)、ADGN-100ペプチド、Pep-1ペプチドおよびPep-2ペプチドを含む。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体は、異なるガイド配列を含む1つまたは複数の追加のgRNAをさらに含む。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体は、異なる修飾を含む1つまたは複数の追加のドナー核酸をさらに含む。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、コード配列が修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、非コード配列が修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、標的遺伝子の発現を減少させること、または不活性な産物を発現する修飾標的遺伝子をもたらすことなどにより、標的遺伝子を不活性化するように修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、標的遺伝子の発現を増加させること、または活性標的遺伝子産物を発現する修飾標的遺伝子をもたらすことなどにより、標的遺伝子を活性化するように修飾される。
【0140】
一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドに修飾を導入するためのゲノム編集複合体であって、細胞膜透過ペプチド(例えば、VEPEP-3、VEPEP-6、VEPEP-9またはADGN-100ペプチド)、RGEN(またはRGENをコードする核酸)、gRNA(またはgRNAをコードする核酸)およびドナー核酸を含み、gRNAが、標的ポリヌクレオチド内の標的配列に相補的なガイド配列を含み、ドナー核酸が、標的ポリヌクレオチドの修飾を含むように修飾される部分に対応する配列を含み、修飾が、標的核酸における1つまたは複数のヌクレオチドの付加、欠失または置換である、ゲノム編集複合体が提供される。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体は、a)RGENとgRNAとを含む既成複合体およびb)ドナー核酸と会合している、細胞膜透過ペプチドを含む。一部の実施形態では、修飾は、標的ポリヌクレオチドにおける約1~約50個の間(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45および50個(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれか)のヌクレオチドの付加、欠失または置換である。一部の実施形態では、ドナー核酸は、一本鎖DNAオリゴヌクレオチドである。ドナー核酸は、標的ポリヌクレオチドの修飾の5’側に隣接する部分を含む5’標的ホモロジー領域と相同である、5’ホモロジーアームと、標的ポリヌクレオチドの修飾の3’側に隣接する部分を含む3’標的ホモロジー領域と相同である、3’ホモロジーアームとを含む。一部の実施形態では、5’標的ホモロジー領域および/または3’標的ホモロジー領域は、標的配列中の少なくとも約1個(例えば、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20個、またはそれより多数のうちのいずれか)のヌクレオチドと重複する。一部の実施形態では、5’標的ホモロジー領域および/または3’標的ホモロジー領域は、標的配列から約1000ヌクレオチド以内(例えば、約1000、500、400、300、200、100、75、50、25、20、15、10、5または1ヌクレオチドのいずれか以内)にある。一部の実施形態では、5’ホモロジーアームおよび3’ホモロジーアームは、各々個々に、長さが約20~約150ヌクレオチドの間(例えば、約20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140および150ヌクレオチド(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体中の細胞膜透過ペプチドの少なくとも一部は、ターゲティング部分に連結している。一部の実施形態では、連結は、共有結合である。一部の実施形態では、gRNAは、補助的なトランス活性化crRNA(tracrRNA)に融合している特異性決定CRISPR RNA(crRNA)を含む単一ガイドRNA(sgRNA)である。一部の実施形態では、gRNAは、ガイド配列と、tracrメイト配列と、tracr配列と、テール配列とを含む、sgRNAである。一部の実施形態では、RGENは、Cas9またはCpf1である。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体中のRGENとgRNAのモル比は、約10:1~約1:10の間(例えば、約10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、および1:10(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体中のRGENとgRNAのモル比は、約1:1である。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体中の細胞膜透過ペプチドとRGENのモル比は、約1:1~約80:1の間(例えば、約1:1、5:1、10:1、20:1、30:1、40:1、50:1、60:1、70:1、80:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体中の細胞膜透過ペプチドとRGENのモル比は、約5:1~約20:1の間(例えば、約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、および20:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、CPPは、これらに限定されないが、PTDに基づくペプチド、両親媒性ペプチド、ポリアルギニンに基づくペプチド、MPGペプチド、CADYペプチド、VEPEPペプチド(例えば、VEPEP-3、VEPEP-6またはVEPEP-9ペプチド)、ADGN-100ペプチド、Pep-1ペプチドおよびPep-2ペプチドを含む。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体は、異なるガイド配列を含む1つまたは複数の追加のgRNAをさらに含む。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体は、異なる修飾を含む1つまたは複数の追加のドナー核酸をさらに含む。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、コード配列が修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、非コード配列が修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、標的遺伝子の発現を減少させること、または不活性な産物を発現する修飾標的遺伝子をもたらすことなどにより、標的遺伝子を不活性化するように修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、標的遺伝子の発現を増加させること、または活性標的遺伝子産物を発現する修飾標的遺伝子をもたらすことなどにより、標的遺伝子を活性化するように修飾される。
【0141】
一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドに修飾を導入するためのゲノム編集複合体であって、細胞膜透過ペプチド(例えば、VEPEP-3、VEPEP-6、VEPEP-9またはADGN-100ペプチド)、RGEN(またはRGENをコードする核酸)、gRNA(またはgRNAをコードする核酸)およびドナー核酸を含み、gRNAが、標的ポリヌクレオチド内の標的配列に相補的なガイド配列を含み、ドナー核酸が、標的ポリヌクレオチドの修飾を含むように修飾される部分に対応する配列を含み、修飾が、標的核酸内への異種核酸の挿入である、ゲノム編集複合体が提供される。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体は、a)RGENとgRNAとを含む既成複合体およびb)ドナー核酸と会合している、細胞膜透過ペプチドを含む。一部の実施形態では、修飾は、長さが約50ヌクレオチドより長い(例えば、約50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000、3000、4000、5000ヌクレオチドまたはそれより多いヌクレオチド数(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれかより長い)異種核酸の挿入である。一部の実施形態では、ドナー核酸は、二本鎖DNA分子である。ドナー核酸は、標的ポリヌクレオチドの修飾の5’側に隣接する部分を含む5’標的ホモロジー領域と相同である、5’ホモロジーアームと、標的ポリヌクレオチドの修飾の3’側に隣接する部分を含む3’標的ホモロジー領域と相同である、3’ホモロジーアームとを含む。一部の実施形態では、5’標的ホモロジー領域および/または3’標的ホモロジー領域は、標的配列中の少なくとも約1個(例えば、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20個、またはそれより多数のうちのいずれか)のヌクレオチドと重複する。一部の実施形態では、5’標的ホモロジー領域および/または3’標的ホモロジー領域は、標的配列から約1000ヌクレオチド以内(例えば、約1000、500、400、300、200、100、75、50、25、20、15、10、5または1ヌクレオチドのいずれか以内)にある。一部の実施形態では、5’ホモロジーアームおよび3’ホモロジーアームは、各々個々に、長さが約300ヌクレオチドより長い(例えば、約300、400、500、600、700、800、900、1000ヌクレオチドまたはそれより多いヌクレオチド数(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれかより長い)。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体中の細胞膜透過ペプチドの少なくとも一部は、ターゲティング部分に連結している。一部の実施形態では、連結は、共有結合である。一部の実施形態では、gRNAは、補助的なトランス活性化crRNA(tracrRNA)に融合している特異性決定CRISPR RNA(crRNA)を含む単一ガイドRNA(sgRNA)である。一部の実施形態では、gRNAは、ガイド配列と、tracrメイト配列と、tracr配列と、テール配列とを含む、sgRNAである。一部の実施形態では、RGENは、Cas9またはCpf1である。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体中のRGENとgRNAのモル比は、約10:1~約1:10の間(例えば、約10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、および1:10(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体中のRGENとgRNAのモル比は、約1:1である。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体中の細胞膜透過ペプチドとRGENのモル比は、約1:1~約80:1の間(例えば、約1:1、5:1、10:1、20:1、30:1、40:1、50:1、60:1、70:1、80:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体中の細胞膜透過ペプチドとRGENのモル比は、約5:1~約20:1の間(例えば、約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、および20:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、CPPは、これらに限定されないが、PTDに基づくペプチド、両親媒性ペプチド、ポリアルギニンに基づくペプチド、MPGペプチド、CADYペプチド、VEPEPペプチド(例えば、VEPEP-3、VEPEP-6またはVEPEP-9ペプチド)、ADGN-100ペプチド、Pep-1ペプチドおよびPep-2ペプチドを含む。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体は、異なるガイド配列を含む1つまたは複数の追加のgRNAをさらに含む。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体は、異なる修飾を含む1つまたは複数の追加のドナー核酸をさらに含む。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、コード配列が修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、非コード配列が修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、標的遺伝子の発現を減少させること、または不活性な産物を発現する修飾標的遺伝子をもたらすことなどにより、標的遺伝子を不活性化するように修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、標的遺伝子の発現を増加させること、または活性標的遺伝子産物を発現する修飾標的遺伝子をもたらすことなどにより、標的遺伝子を活性化するように修飾される。
【0142】
一部の実施形態では、1つまたは複数の標的ポリヌクレオチドを修飾するためのゲノム編集複合体であって、細胞膜透過ペプチド(例えば、VEPEP-3、VEPEP-6、VEPEP-9またはADGN-100ペプチド)、RGEN(またはRGENをコードする核酸)、および複数のgRNA(または複数のgRNAをコードする1つもしくは複数の核酸)を含み、複数のgRNAの各々が、個々に、1つまたは複数の標的ポリヌクレオチドのうちの1つにおける標的配列に相補的な異なるガイド配列を含む、ゲノム編集複合体が提供される。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体は、RGENと複数のgRNAとを含む既成複合体と会合している、細胞膜透過ペプチドを含む。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体中の細胞膜透過ペプチドの少なくとも一部は、ターゲティング部分に連結している。一部の実施形態では、連結は、共有結合である。一部の実施形態では、複数のgRNAの各々は、補助的なトランス活性化crRNA(tracrRNA)に融合している特異性決定CRISPR RNA(crRNA)を含む単一ガイドRNA(sgRNA)である。一部の実施形態では、複数のgRNAの各々は、gRNAのガイド配列と、tracrメイト配列と、tracr配列と、テール配列とを含む、sgRNAである。一部の実施形態では、RGENは、Cas9またはCpf1である。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体中のRGENとgRNAのモル比は、約10:1~約1:10の間(例えば、約10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、および1:10(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体中のRGENとgRNAのモル比は、約1:1である。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体中の細胞膜透過ペプチドとRGENのモル比は、約1:1~約80:1の間(例えば、約1:1、5:1、10:1、20:1、30:1、40:1、50:1、60:1、70:1、80:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体中の細胞膜透過ペプチドとRGENのモル比は、約5:1~約20:1の間(例えば、約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、および20:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、CPPは、これらに限定されないが、PTDに基づくペプチド、両親媒性ペプチド、ポリアルギニンに基づくペプチド、MPGペプチド、CADYペプチド、VEPEPペプチド(例えば、VEPEP-3、VEPEP-6またはVEPEP-9ペプチド)、ADGN-100ペプチド、Pep-1ペプチドおよびPep-2ペプチドを含む。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体は、1つまたは複数のドナー核酸をさらに含み、1つまたは複数のドナー核酸の各々は、個々に、1つまたは複数の標的ポリヌクレオチドのうちの1つに修飾を導入するための配列を含む。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、コード配列が修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、非コード配列が修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、標的遺伝子の発現を減少させること、または不活性な産物を発現する修飾標的遺伝子をもたらすことなどにより、標的遺伝子を不活性化するように修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、標的遺伝子の発現を増加させること、または活性標的遺伝子産物を発現する修飾標的遺伝子をもたらすことなどにより、標的遺伝子を活性化するように修飾される。
【0143】
一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドを修飾するためのゲノム編集複合体であって、ヌクレアーゼまたはインテグラーゼなどのゲノム編集酵素(またはゲノム編集酵素をコードする核酸)と会合している、細胞膜透過ペプチドを含み、細胞膜透過ペプチドが、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドまたはADGN-100ペプチドのアミノ酸配列を含む、ゲノム編集複合体が提供される。一部の実施形態では、VEPEP-3ペプチドは、配列番号1~14、75および76のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-6ペプチドは、配列番号15~40および77のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-9ペプチドは、配列番号41~52および78のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ADGN-100ペプチドは、配列番号53~70、79および80のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ゲノム編集酵素は、ZFN、TALEN、ホーミングエンドヌクレアーゼ、RGENまたはDGENから選択されるヌクレアーゼである。一部の実施形態では、ゲノム編集酵素は、Cas9である。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体は、gRNAまたはgDNA(またはgRNAもしくはgDNAをコードする核酸)をさらに含む。一部の実施形態では、ゲノム編集酵素は、TALENである。一部の実施形態では、ゲノム編集酵素は、インテグラーゼである。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体は、標的ポリヌクレオチドに特異的修飾を導入するためのドナー核酸をさらに含む。
【0144】
一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドを修飾するためのゲノム編集複合体であって、RGENとgRNAとを含む既成RGEN/gRNA複合体と会合している、細胞膜透過ペプチドを含み、gRNAが、標的ポリヌクレオチド内の標的配列に相補的なガイド配列を含み、細胞膜透過ペプチドが、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドまたはADGN-100ペプチドのアミノ酸配列を含む、ゲノム編集複合体が提供される。一部の実施形態では、VEPEP-3ペプチドは、配列番号1~14、75および76のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-6ペプチドは、配列番号15~40および77のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-9ペプチドは、配列番号41~52および78のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ADGN-100ペプチドは、配列番号53~70、79および80のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、RGENは、Cas9である。
【0145】
一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドを修飾するためのゲノム編集複合体であって、細胞膜透過ペプチド、RGEN(またはRGENをコードする核酸)、およびgRNA(またはgRNAをコードする核酸)を含み、gRNAが、標的ポリヌクレオチド内の標的配列に相補的なガイド配列を含み、細胞膜透過ペプチドが、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドまたはADGN-100ペプチドのアミノ酸配列を含む、ゲノム編集複合体が提供される。一部の実施形態では、VEPEP-3ペプチドは、配列番号1~14、75および76のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-6ペプチドは、配列番号15~40および77のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-9ペプチドは、配列番号41~52および78のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ADGN-100ペプチドは、配列番号53~70、79および80のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、RGENは、Cas9である。
【0146】
一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドに修飾を導入するためのゲノム編集複合体であって、細胞膜透過ペプチド、RGEN(またはRGENをコードする核酸)、gRNA(またはgRNAをコードする核酸)およびドナー核酸を含み、gRNAが、標的ポリヌクレオチド内の標的配列に相補的なガイド配列を含み、ドナー核酸が、標的ポリヌクレオチドの修飾を含むように修飾される部分に対応する配列を含み、細胞膜透過ペプチドが、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドまたはADGN-100ペプチドのアミノ酸配列を含む、ゲノム編集複合体が提供される。一部の実施形態では、VEPEP-3ペプチドは、配列番号1~14、75および76のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-6ペプチドは、配列番号15~40および77のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-9ペプチドは、配列番号41~52および78のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ADGN-100ペプチドは、配列番号53~70、79および80のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体は、a)RGENとgRNAとを含む既成複合体およびb)ドナー核酸と会合している、細胞膜透過ペプチドを含む。一部の実施形態では、修飾は、標的ポリヌクレオチドにおける1つまたは複数のヌクレオチドの付加、欠失または置換であり、ドナー核酸は、一本鎖DNAオリゴヌクレオチドである。一部の実施形態では、修飾は、標的ポリヌクレオチドへの異種核酸の挿入であり、ドナー核酸は、二本鎖DNA分子、例えばプラスミドである。ドナー核酸は、標的ポリヌクレオチドの修飾の5’側に隣接する部分を含む5’標的ホモロジー領域と相同である、5’ホモロジーアームと、標的ポリヌクレオチドの修飾の3’側に隣接する部分を含む3’標的ホモロジー領域と相同である、3’ホモロジーアームとを含む。一部の実施形態では、5’標的ホモロジー領域および/または3’標的ホモロジー領域は、標的配列中の少なくとも約1個(例えば、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20個、またはそれより多数のうちのいずれか)のヌクレオチドと重複する。一部の実施形態では、5’標的ホモロジー領域および/または3’標的ホモロジー領域は、標的配列から約1000ヌクレオチド以内(例えば、約1000、500、400、300、200、100、75、50、25、20、15、10、5または1ヌクレオチドのいずれか以内)にある。一部の実施形態では、RGENは、Cas9である。
【0147】
一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドに修飾を導入するためのゲノム編集複合体であって、細胞膜透過ペプチド、RGEN(またはRGENをコードする核酸)、gRNA(またはgRNAをコードする核酸)およびドナー核酸を含み、gRNAが、標的ポリヌクレオチド内の標的配列に相補的なガイド配列を含み、ドナー核酸が、標的ポリヌクレオチドの修飾を含むように修飾される部分に対応する配列を含み、修飾が、標的核酸における1つまたは複数のヌクレオチドの付加、欠失または置換であり、細胞膜透過ペプチドが、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドまたはADGN-100ペプチドのアミノ酸配列を含む、ゲノム編集複合体が提供される。一部の実施形態では、VEPEP-3ペプチドは、配列番号1~14、75および76のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-6ペプチドは、配列番号15~40および77のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-9ペプチドは、配列番号41~52および78のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ADGN-100ペプチドは、配列番号53~70、79および80のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体は、a)RGENとgRNAとを含む既成複合体およびb)ドナー核酸と会合している、細胞膜透過ペプチドを含む。一部の実施形態では、修飾は、標的ポリヌクレオチドにおける約1~約50個の間(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45および50個(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれか)のヌクレオチドの付加、欠失または置換である。一部の実施形態では、ドナー核酸は、一本鎖DNAオリゴヌクレオチドである。ドナー核酸は、標的ポリヌクレオチドの修飾の5’側に隣接する部分を含む5’標的ホモロジー領域と相同である、5’ホモロジーアームと、標的ポリヌクレオチドの修飾の3’側に隣接する部分を含む3’標的ホモロジー領域と相同である、3’ホモロジーアームとを含む。一部の実施形態では、5’標的ホモロジー領域および/または3’標的ホモロジー領域は、標的配列中の少なくとも約1個(例えば、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20個、またはそれより多数のうちのいずれか)のヌクレオチドと重複する。一部の実施形態では、5’標的ホモロジー領域および/または3’標的ホモロジー領域は、標的配列から約1000ヌクレオチド以内(例えば、約1000、500、400、300、200、100、75、50、25、20、15、10、5または1ヌクレオチドのいずれか以内)にある。一部の実施形態では、5’ホモロジーアームおよび3’ホモロジーアームは、各々個々に、長さが約20~約150ヌクレオチドの間(例えば、約20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140および150ヌクレオチド(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、RGENは、Cas9である。
【0148】
一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドに修飾を導入するためのゲノム編集複合体であって、細胞膜透過ペプチド、RGEN(またはRGENをコードする核酸)、gRNA(またはgRNAをコードする核酸)およびドナー核酸を含み、gRNAが、標的ポリヌクレオチド内の標的配列に相補的なガイド配列を含み、ドナー核酸が、標的ポリヌクレオチドの修飾を含むように修飾される部分に対応する配列を含み、修飾が、標的核酸内への異種核酸の挿入であり、細胞膜透過ペプチドが、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドまたはADGN-100ペプチドのアミノ酸配列を含む、ゲノム編集複合体が提供される。一部の実施形態では、VEPEP-3ペプチドは、配列番号1~14、75および76のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-6ペプチドは、配列番号15~40および77のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-9ペプチドは、配列番号41~52および78のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ADGN-100ペプチドは、配列番号53~70、79および80のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体は、a)RGENとgRNAとを含む既成複合体およびb)ドナー核酸と会合している、細胞膜透過ペプチドを含む。一部の実施形態では、修飾は、長さが約50ヌクレオチドより長い(例えば、約50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000、3000、4000、5000ヌクレオチドまたはそれより多いヌクレオチド数(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれかより長い)異種核酸の挿入である。一部の実施形態では、ドナー核酸は、二本鎖DNA分子である。ドナー核酸は、標的ポリヌクレオチドの修飾の5’側に隣接する部分を含む5’標的ホモロジー領域と相同である、5’ホモロジーアームと、標的ポリヌクレオチドの修飾の3’側に隣接する部分を含む3’標的ホモロジー領域と相同である、3’ホモロジーアームとを含む。一部の実施形態では、5’標的ホモロジー領域および/または3’標的ホモロジー領域は、標的配列中の少なくとも約1個(例えば、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20個、またはそれより多数のうちのいずれか)のヌクレオチドと重複する。一部の実施形態では、5’標的ホモロジー領域および/または3’標的ホモロジー領域は、標的配列から約1000ヌクレオチド以内(例えば、約1000、500、400、300、200、100、75、50、25、20、15、10、5または1ヌクレオチドのいずれか以内)にある。一部の実施形態では、5’ホモロジーアームおよび3’ホモロジーアームは、各々個々に、長さが約300ヌクレオチドより長い(例えば、約300、400、500、600、700、800、900、1000ヌクレオチドまたはそれより多いヌクレオチド数(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれかより長い)。一部の実施形態では、RGENは、Cas9である。
【0149】
一部の実施形態では、1つまたは複数の標的ポリヌクレオチドを修飾するためのゲノム編集複合体であって、細胞膜透過ペプチド、RGEN(またはRGENをコードする核酸)、および複数のgRNA(または複数のgRNAをコードする1つもしくは複数の核酸)を含み、複数のgRNAの各々が、個々に、1つまたは複数の標的ポリヌクレオチドのうちの1つにおける標的配列に相補的な異なるガイド配列を含み、細胞膜透過ペプチドが、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドまたはADGN-100ペプチドのアミノ酸配列を含む、ゲノム編集複合体が提供される。一部の実施形態では、VEPEP-3ペプチドは、配列番号1~14、75および76のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-6ペプチドは、配列番号15~40および77のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-9ペプチドは、配列番号41~52および78のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ADGN-100ペプチドは、配列番号53~70、79および80のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体は、RGENと複数のgRNAとを含む既成複合体と会合している、細胞膜透過ペプチドを含む。一部の実施形態では、RGENは、Cas9である。
【0150】
一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドを修飾するためのゲノム編集複合体であって、Cas9とgRNAとを含む既成Cas9/gRNA複合体と会合している、細胞膜透過ペプチドを含み、gRNAが、標的ポリヌクレオチド内の標的配列に相補的なガイド配列を含み、細胞膜透過ペプチドが、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドまたはADGN-100ペプチドのアミノ酸配列を含む、ゲノム編集複合体が提供される。一部の実施形態では、VEPEP-3ペプチドは、配列番号1~14、75および76のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-6ペプチドは、配列番号15~40および77のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-9ペプチドは、配列番号41~52および78のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ADGN-100ペプチドは、配列番号53~70、79および80のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0151】
一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドを修飾するためのゲノム編集複合体であって、細胞膜透過ペプチド、Cas9(またはCas9をコードする核酸)、およびgRNA(またはgRNAをコードする核酸)を含み、gRNAが、標的ポリヌクレオチド内の標的配列に相補的なガイド配列を含み、細胞膜透過ペプチドが、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドまたはADGN-100ペプチドのアミノ酸配列を含む、ゲノム編集複合体が提供される。一部の実施形態では、VEPEP-3ペプチドは、配列番号1~14、75および76のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-6ペプチドは、配列番号15~40および77のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-9ペプチドは、配列番号41~52および78のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ADGN-100ペプチドは、配列番号53~70、79および80のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0152】
一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドに修飾を導入するためのゲノム編集複合体であって、細胞膜透過ペプチド、Cas9(またはCas9をコードする核酸)、gRNA(またはgRNAをコードする核酸)およびドナー核酸を含み、gRNAが、標的ポリヌクレオチド内の標的配列に相補的なガイド配列を含み、ドナー核酸が、標的ポリヌクレオチドの修飾を含むように修飾される部分に対応する配列を含み、細胞膜透過ペプチドが、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドまたはADGN-100ペプチドのアミノ酸配列を含む、ゲノム編集複合体が提供される。一部の実施形態では、VEPEP-3ペプチドは、配列番号1~14、75および76のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-6ペプチドは、配列番号15~40および77のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-9ペプチドは、配列番号41~52および78のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ADGN-100ペプチドは、配列番号53~70、79および80のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体は、a)Cas9とgRNAとを含む既成複合体およびb)ドナー核酸と会合している、細胞膜透過ペプチドを含む。一部の実施形態では、修飾は、標的ポリヌクレオチドにおける1つまたは複数のヌクレオチドの付加、欠失または置換であり、ドナー核酸は、一本鎖DNAオリゴヌクレオチドである。一部の実施形態では、修飾は、標的ポリヌクレオチドへの異種核酸の挿入であり、ドナー核酸は、二本鎖DNA分子、例えばプラスミドである。ドナー核酸は、標的ポリヌクレオチドの修飾の5’側に隣接する部分を含む5’標的ホモロジー領域と相同である、5’ホモロジーアームと、標的ポリヌクレオチドの修飾の3’側に隣接する部分を含む3’標的ホモロジー領域と相同である、3’ホモロジーアームとを含む。一部の実施形態では、5’標的ホモロジー領域および/または3’標的ホモロジー領域は、標的配列中の少なくとも約1個(例えば、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20個、またはそれより多数のうちのいずれか)のヌクレオチドと重複する。一部の実施形態では、5’標的ホモロジー領域および/または3’標的ホモロジー領域は、標的配列から約1000ヌクレオチド以内(例えば、約1000、500、400、300、200、100、75、50、25、20、15、10、5または1ヌクレオチドのいずれか以内)にある。
【0153】
一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドに修飾を導入するためのゲノム編集複合体であって、細胞膜透過ペプチド、Cas9(またはCas9をコードする核酸)、gRNA(またはgRNAをコードする核酸)およびドナー核酸を含み、gRNAが、標的ポリヌクレオチド内の標的配列に相補的なガイド配列を含み、ドナー核酸が、標的ポリヌクレオチドの修飾を含むように修飾される部分に対応する配列を含み、修飾が、標的核酸における1つまたは複数のヌクレオチドの付加、欠失または置換であり、細胞膜透過ペプチドが、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドまたはADGN-100ペプチドのアミノ酸配列を含む、ゲノム編集複合体が提供される。一部の実施形態では、VEPEP-3ペプチドは、配列番号1~14、75および76のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-6ペプチドは、配列番号15~40および77のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-9ペプチドは、配列番号41~52および78のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ADGN-100ペプチドは、配列番号53~70、79および80のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体は、a)Cas9とgRNAとを含む既成複合体およびb)ドナー核酸と会合している、細胞膜透過ペプチドを含む。一部の実施形態では、修飾は、標的ポリヌクレオチドにおける約1~約50個の間(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45および50個(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれか)のヌクレオチドの付加、欠失または置換である。一部の実施形態では、ドナー核酸は、一本鎖DNAオリゴヌクレオチドである。ドナー核酸は、標的ポリヌクレオチドの修飾の5’側に隣接する部分を含む5’標的ホモロジー領域と相同である、5’ホモロジーアームと、標的ポリヌクレオチドの修飾の3’側に隣接する部分を含む3’標的ホモロジー領域と相同である、3’ホモロジーアームとを含む。一部の実施形態では、5’標的ホモロジー領域および/または3’標的ホモロジー領域は、標的配列中の少なくとも約1個(例えば、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20個、またはそれより多数のうちのいずれか)のヌクレオチドと重複する。一部の実施形態では、5’標的ホモロジー領域および/または3’標的ホモロジー領域は、標的配列から約1000ヌクレオチド以内(例えば、約1000、500、400、300、200、100、75、50、25、20、15、10、5または1ヌクレオチドのいずれか以内)にある。一部の実施形態では、5’ホモロジーアームおよび3’ホモロジーアームは、各々個々に、長さが約20~約150ヌクレオチドの間(例えば、約20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140および150ヌクレオチド(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。
【0154】
一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドに修飾を導入するためのゲノム編集複合体であって、細胞膜透過ペプチド、Cas9(またはCas9をコードする核酸)、gRNA(またはgRNAをコードする核酸)およびドナー核酸を含み、gRNAが、標的ポリヌクレオチド内の標的配列に相補的なガイド配列を含み、ドナー核酸が、標的ポリヌクレオチドの修飾を含むように修飾される部分に対応する配列を含み、修飾が、標的核酸内への異種核酸の挿入であり、細胞膜透過ペプチドが、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドまたはADGN-100ペプチドのアミノ酸配列を含む、ゲノム編集複合体が提供される。一部の実施形態では、VEPEP-3ペプチドは、配列番号1~14、75および76のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-6ペプチドは、配列番号15~40および77のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-9ペプチドは、配列番号41~52および78のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ADGN-100ペプチドは、配列番号53~70、79および80のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体は、a)Cas9とgRNAとを含む既成複合体およびb)ドナー核酸と会合している、細胞膜透過ペプチドを含む。一部の実施形態では、修飾は、長さが約50ヌクレオチドより長い(例えば、約50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000、3000、4000、5000ヌクレオチドまたはそれより多いヌクレオチド数(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれかより長い)異種核酸の挿入である。一部の実施形態では、ドナー核酸は、二本鎖DNA分子である。ドナー核酸は、標的ポリヌクレオチドの修飾の5’側に隣接する部分を含む5’標的ホモロジー領域と相同である、5’ホモロジーアームと、標的ポリヌクレオチドの修飾の3’側に隣接する部分を含む3’標的ホモロジー領域と相同である、3’ホモロジーアームとを含む。一部の実施形態では、5’標的ホモロジー領域および/または3’標的ホモロジー領域は、標的配列中の少なくとも約1個(例えば、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20個、またはそれより多数のうちのいずれか)のヌクレオチドと重複する。一部の実施形態では、5’標的ホモロジー領域および/または3’標的ホモロジー領域は、標的配列から約1000ヌクレオチド以内(例えば、約1000、500、400、300、200、100、75、50、25、20、15、10、5または1ヌクレオチドのいずれか以内)にある。一部の実施形態では、5’ホモロジーアームおよび3’ホモロジーアームは、各々個々に、長さが約300ヌクレオチドより長い(例えば、約300、400、500、600、700、800、900、1000ヌクレオチドまたはそれより多いヌクレオチド数(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれかより長い)。
【0155】
一部の実施形態では、1つまたは複数の標的ポリヌクレオチドを修飾するためのゲノム編集複合体であって、細胞膜透過ペプチド、Cas9(またはCas9をコードする核酸)、および複数のgRNA(または複数のgRNAをコードする1つもしくは複数の核酸)を含み、複数のgRNAの各々が、個々に、1つまたは複数の標的ポリヌクレオチドのうちの1つにおける標的配列に相補的な異なるガイド配列を含み、細胞膜透過ペプチドが、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドまたはADGN-100ペプチドのアミノ酸配列を含む、ゲノム編集複合体が提供される。一部の実施形態では、VEPEP-3ペプチドは、配列番号1~14、75および76のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-6ペプチドは、配列番号15~40および77のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-9ペプチドは、配列番号41~52および78のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ADGN-100ペプチドは、配列番号53~70、79および80のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体は、Cas9と複数のgRNAとを含む既成複合体と会合している、細胞膜透過ペプチドを含む。
【0156】
一部の実施形態では、本明細書に記載の実施形態のいずれかによるゲノム編集複合体に含有されているgRNAのガイド配列は、免疫チェックポイント制御因子、および抗原提示に関与するタンパク質を含む、免疫応答の制御に関与するタンパク質をコードする遺伝子内の標的配列に相補的である。一部の実施形態では、本明細書に記載の実施形態のいずれかによるゲノム編集複合体に含有されているgRNAのガイド配列は、コレステロール輸送および/または代謝の制御に関与するタンパク質をコードする遺伝子内の標的配列に相補的である。一部の実施形態では、ガイド配列は、限定ではないが、PD-1、PD-L1、PD-L2、TIM-1、TIM-3、TIM-4、BTLA、VISTA、LAG-3、CTLA-4、TIGIT、4-1BB、OX40、CD27、CD28、HVEM、GITR、ICOS、CD40、CD80、CD86、B7-H2、B7-H3、B7-H4、B7-H6、2B4、CD160、gp49B、PIR-B、KIRファミリー受容体、SIRPアルファ(CD47)、CD48、2B4(CD244)、B7.1、B7.2、ILT-2、ILT-4、A2aR、Toll様受容体TLR-2、3、4、6、7、8および9、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、TNF、CD40L、FLT-3リガンド、サイトカイン、例えばIL-1、IL-2、IL-4、IL-7、IL-10、IL-12、IL-15、IL-21およびIL-35、FasL、TGF-β、インドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼ(indoleamine-2,3 dioxygenase)(IDO)、主要組織適合複合体(MHC)タンパク質(ベータ-2ミクログロブリン(beta-2 microglobulin)(β2M)を含む)、低密度リポタンパク
質(LDL)受容体(LDLR)、アポリポタンパク質B(ApoB)、低密度リポタンパク質受容体アダプタータンパク質1(LDLRAP1)、およびプロタンパク質転換酵素サブチリシン・ケキシン9型(proprotein convertase subtilisin kexin 9)(PCSK9)を含む、タンパク質をコードする遺伝子内の標的配列に相補的である。
【0157】
一部の実施形態では、本明細書に記載のゲノム編集複合体のいずれかによれば、ゲノム編集複合体は、ゲノム編集システム分子以外のタンパク質、または該タンパク質をコードする核酸分子(例えば、DNAプラスミドもしくはmRNA)をさらに含む。
【0158】
一部の実施形態では、本明細書に記載のゲノム編集複合体の平均サイズ(直径)は、約10nm~約10ミクロンのいずれかの間であり、これは、例えば、約30nm~約1ミクロンの間、約50nm~約250nmの間、約50nm~約180nmの間、および約150nm~約200nmの間を含む。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体は、約10nm~約400nmの間である。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体は、約20nm~約400nmの間である。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体は、約30nm~約200nmの間である。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体は、約40nm~約200nmの間である。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体は、約40nm~約150nmの間である。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体は、約40nm~約100nmの間である。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体は、実質的に非毒性である。
【0159】
一部の実施形態では、本明細書に記載のゲノム編集複合体のターゲティング部分は、該ゲノム編集複合体を組織または特異的細胞型にターゲティングする。一部の実施形態では、組織は、処置を必要とする組織である。一部の実施形態では、ターゲティング部分は、ゲノム編集システムにより処置され得る組織または細胞にゲノム編集複合体をターゲティングする。
ナノ粒子
【0160】
一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドを修飾するためのナノ粒子であって、本明細書に記載の1つまたは複数のゲノム編集複合体を含むコアを含むナノ粒子が提供される。一部の実施形態では、ナノ粒子コアは、複数のゲノム編集複合体を含む。一部の実施形態では、ナノ粒子コアは、所定の比率で存在する複数のゲノム編集複合体を含む。一部の実施形態では、所定の比率は、より詳細に下記で説明される方法のいずれかにおけるナノ粒子の最も有効な使用を可能にするように選択される。一部の実施形態では、ナノ粒子コアは、1つもしくは複数の追加の細胞膜透過ペプチド、1つもしくは複数の追加のゲノム編集ヌクレアーゼ、1つもしくは複数の追加のgRNA、および/または1つもしくは複数の追加のドナー核酸をさらに含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加の細胞膜透過ペプチドは、1つまたは複数のゲノム編集複合体のいずれかにおいて見いだされる細胞膜透過ペプチドを含まない。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加のゲノム編集ヌクレアーゼは、1つまたは複数のゲノム編集複合体のいずれかにおいて見いだされるゲノム編集ヌクレアーゼを含まない。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加のgRNAは、1つまたは複数のゲノム編集複合体のいずれかにおいて見いだされるgRNAを含まない。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加のドナー核酸は、1つまたは複数のゲノム編集複合体のいずれかにおいて見いだされるドナー核酸を含まない。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加の細胞膜透過ペプチドは、これらに限定されないが、PTDに基づくペプチド、両親媒性ペプチド、ポリアルギニンに基づくペプチド、MPGペプチド、CADYペプチド、VEPEPペプチド(例えば、VEPEP-3、VEPEP-6またはVEPEP-9ペプチド)、ADGN-100ペプチド、Pep-1ペプチドおよびPep-2ペプチドを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加の細胞膜透過ペプチドの少なくとも一部は、ターゲティング部分に連結している。一部の実施形態では、連結は、共有結合である。
【0161】
一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドを修飾するためのナノ粒子であって、1つまたは複数の細胞膜透過ペプチド(例えば、VEPEP-3、VEPEP-6、VEPEP-9またはADGN-100ペプチド)と、ヌクレアーゼまたはインテグラーゼなどのゲノム編集酵素(またはゲノム編集酵素をコードする核酸)とを含むコアを含むナノ粒子が提供される。一部の実施形態では、ナノ粒子中の1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドの少なくとも一部は、ターゲティング部分に連結している。一部の実施形態では、連結は、共有結合である。一部の実施形態では、ナノ粒子中に存在する複合体中の細胞膜透過ペプチドと、該細胞膜透過ペプチドと会合しているゲノム編集酵素のモル比は、約1:1~約80:1の間(例えば、約1:1、5:1、10:1、20:1、30:1、40:1、50:1、60:1、70:1、80:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、ナノ粒子中に存在する複合体中の細胞膜透過ペプチドと、該細胞膜透過ペプチドと会合しているゲノム編集酵素のモル比は、約5:1~約20:1の間(例えば、約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、および20:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、ゲノム編集酵素は、ZFN、TALEN、ホーミングエンドヌクレアーゼ、RGENまたはDGENから選択されるヌクレアーゼである。一部の実施形態では、ゲノム編集酵素は、Cas9である。一部の実施形態では、ナノ粒子コアは、1つまたは複数のgRNAまたはgDNA(または1つもしくは複数のgRNAもしくはgDNAをコードする1つもしくは複数の核酸)をさらに含む。一部の実施形態では、ゲノム編集酵素は、TALENである。一部の実施形態では、ゲノム編集酵素は、インテグラーゼである。一部の実施形態では、ナノ粒子コアは、標的ポリヌクレオチドに特異的修飾を導入するためのドナー核酸をさらに含む。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、コード配列が修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、非コード配列が修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、標的遺伝子の発現を減少させること、または不活性な産物を発現する修飾標的遺伝子をもたらすことなどにより、標的遺伝子を不活性化するように修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、標的遺伝子の発現を増加させること、または活性標的遺伝子産物を発現する修飾標的遺伝子をもたらすことなどにより、標的遺伝子を活性化するように修飾される。一部の実施形態では、1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドは、これらに限定されないが、PTDに基づくペプチド、両親媒性ペプチド、ポリアルギニンに基づくペプチド、MPGペプチド、CADYペプチド、VEPEPペプチド(例えば、VEPEP-3、VEPEP-6またはVEPEP-9ペプチド)、ADGN-100ペプチド、Pep-1ペプチドおよびPep-2ペプチドを含む。
【0162】
一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドを修飾するためのナノ粒子であって、1つまたは複数の細胞膜透過ペプチド(例えば、VEPEP-3、VEPEP-6、VEPEP-9またはADGN-100ペプチド)と、RGEN(またはRGENをコードする核酸)と、gRNA(またはgRNAをコードする核酸)とを含むコアを含み、gRNAが、標的ポリヌクレオチド内の標的配列に相補的なガイド配列を含む、ナノ粒子が提供される。一部の実施形態では、ナノ粒子コアは、RGENおよびgRNAを含む既成複合体(RGEN/gRNA複合体)と会合している、1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドのうちの1つを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子コアは、RGENと会合している1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドのうちの1つを含む第1の複合体、およびgRNAと会合している1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドのうちの1つを含む第2の複合体を含む。一部の実施形態では、ナノ粒子中の1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドの少なくとも一部は、ターゲティング部分に連結している。一部の実施形態では、連結は、共有結合である。一部の実施形態では、gRNAは、補助的なトランス活性化crRNA(tracrRNA)に融合している特異性決定CRISPR RNA(crRNA)を含む単一ガイドRNA(sgRNA)である。一部の実施形態では、gRNAは、ガイド配列と、tracrメイト配列と、tracr配列と、テール配列とを含む、sgRNAである。一部の実施形態では、RGENは、Cas9またはCpf1である。一部の実施形態では、ナノ粒子中のRGENとgRNAのモル比は、約10:1~約1:10の間(例えば、約10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、および1:10(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、ナノ粒子中のRGENとgRNAのモル比は、約1:1である。一部の実施形態では、a)ナノ粒子中に存在する複合体中の細胞膜透過ペプチドと、該細胞膜透過ペプチドと会合しているRGENのモル比、および/またはb)ナノ粒子中に存在する複合体中の細胞膜透過ペプチドと、該細胞膜透過ペプチドと会合しているgRNAのモル比は、約1:1~約80:1の間(例えば、約1:1、5:1、10:1、20:1、30:1、40:1、50:1、60:1、70:1、80:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、a)ナノ粒子中に存在する複合体中の細胞膜透過ペプチドと、該細胞膜透過ペプチドと会合しているRGENのモル比、および/またはb)ナノ粒子中に存在する複合体中の細胞膜透過ペプチドと、該細胞膜透過ペプチドと会合しているgRNAのモル比は、約5:1~約20:1の間(例えば、約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、および20:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、ナノ粒子コアは、異なるガイド配列を含む1つまたは複数の追加のgRNAをさらに含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加のgRNAのうちの少なくとも1つは、既成RGEN/gRNA複合体中に存在する。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加のgRNAのうちの少なくとも1つは、第2の複合体中に存在する。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加のgRNAのうちの少なくとも1つは、1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドのうちの1つを含む追加の複合体中に存在する。一部の実施形態では、ナノ粒子コアは、標的ポリヌクレオチドに特異的修飾を導入するためのドナー核酸をさらに含む。一部の実施形態では、ドナー核酸は、既成RGEN/gRNA複合体中に存在する。一部の実施形態では、ドナー核酸は、第1または第2の複合体中に存在する。一部の実施形態では、ドナー核酸は、1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドのうちの1つを含む追加の複合体中に存在する。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、コード配列が修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、非コード配列が修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、標的遺伝子の発現を減少させること、または不活性な産物を発現する修飾標的遺伝子をもたらすことなどにより、標的遺伝子を不活性化するように修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、標的遺伝子の発現を増加させること、または活性標的遺伝子産物を発現する修飾標的遺伝子をもたらすことなどにより、標的遺伝子を活性化するように修飾される。一部の実施形態では、1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドは、これらに限定されないが、PTDに基づくペプチド、両親媒性ペプチド、ポリアルギニンに基づくペプチド、MPGペプチド、CADYペプチド、VEPEPペプチド(例えば、VEPEP-3、VEPEP-6またはVEPEP-9ペプチド)、ADGN-100ペプチド、Pep-1ペプチドおよびPep-2ペプチドを含む。
【0163】
一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドを修飾するためのナノ粒子であって、1つまたは複数の細胞膜透過ペプチド(例えば、VEPEP-3、VEPEP-6、VEPEP-9またはADGN-100ペプチド)と、DGEN(またはDGENをコードする核酸)と、gDNA(またはgDNAをコードする核酸)とを含むコアを含み、gDNAが、標的ポリヌクレオチド内の標的配列に相補的なガイド配列を含む、ナノ粒子が提供される。一部の実施形態では、ナノ粒子コアは、DGENおよびgDNAを含む既成複合体(DGEN/gDNA複合体)と会合している、1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドのうちの1つを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子コアは、DGENと会合している1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドのうちの1つを含む第1の複合体、およびgDNAと会合している1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドのうちの1つを含む第2の複合体を含む。一部の実施形態では、ナノ粒子中の1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドの少なくとも一部は、ターゲティング部分に連結している。一部の実施形態では、連結は、共有結合である。一部の実施形態では、DGENは、NgAgoである。一部の実施形態では、ナノ粒子中のDGENとgDNAのモル比は、約10:1~約1:10の間(例えば、約10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、および1:10(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、ナノ粒子中のDGENとgDNAのモル比は、約1:1である。一部の実施形態では、a)ナノ粒子中に存在する複合体中の細胞膜透過ペプチドと、該細胞膜透過ペプチドと会合しているDGENのモル比、および/またはb)ナノ粒子中に存在する複合体中の細胞膜透過ペプチドと、該細胞膜透過ペプチドと会合しているgDNAのモル比は、約1:1~約80:1の間(例えば、約1:1、5:1、10:1、20:1、30:1、40:1、50:1、60:1、70:1、80:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、a)ナノ粒子中に存在する複合体中の細胞膜透過ペプチドと、該細胞膜透過ペプチドと会合しているDGENのモル比、および/またはb)ナノ粒子中に存在する複合体中の細胞膜透過ペプチドと、該細胞膜透過ペプチドと会合しているgDNAのモル比は、約5:1~約20:1の間(例えば、約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、および20:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、ナノ粒子コアは、異なるガイド配列を含む1つまたは複数の追加のgDNAをさらに含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加のgDNAのうちの少なくとも1つは、既成DGEN/gDNA複合体中に存在する。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加のgDNAのうちの少なくとも1つは、第2の複合体中に存在する。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加のgDNAのうちの少なくとも1つは、1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドのうちの1つを含む追加の複合体中に存在する。一部の実施形態では、ナノ粒子コアは、標的ポリヌクレオチドに特異的修飾を導入するためのドナー核酸をさらに含む。一部の実施形態では、ドナー核酸は、既成DGEN/gDNA複合体中に存在する。一部の実施形態では、ドナー核酸は、第1または第2の複合体中に存在する。一部の実施形態では、ドナー核酸は、1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドのうちの1つを含む追加の複合体中に存在する。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、コード配列が修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、非コード配列が修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、標的遺伝子の発現を減少させること、または不活性な産物を発現する修飾標的遺伝子をもたらすことなどにより、標的遺伝子を不活性化するように修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、標的遺伝子の発現を増加させること、または活性標的遺伝子産物を発現する修飾標的遺伝子をもたらすことなどにより、標的遺伝子を活性化するように修飾される。一部の実施形態では、1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドは、これらに限定されないが、PTDに基づくペプチド、両親媒性ペプチド、ポリアルギニンに基づくペプチド、MPGペプチド、CADYペプチド、VEPEPペプチド(例えば、VEPEP-3、VEPEP-6またはVEPEP-9ペプチド)、ADGN-100ペプチド、Pep-1ペプチドおよびPep-2ペプチドを含む。
【0164】
一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドを修飾するためのナノ粒子であって、1つまたは複数の細胞膜透過ペプチド(例えば、VEPEP-3、VEPEP-6、VEPEP-9またはADGN-100ペプチド)と、RGENおよびgRNAを含む既成複合体(RGEN/gRNA複合体)とを含むコアを含み、1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドのうちの少なくとも1つが、既成RGEN/gRNA複合体と会合しており、gRNAが、標的ポリヌクレオチド内の標的配列に相補的なガイド配列を含む、ナノ粒子が提供される。一部の実施形態では、ナノ粒子中の1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドの少なくとも一部は、ターゲティング部分に連結している。一部の実施形態では、連結は、共有結合である。一部の実施形態では、gRNAは、補助的なトランス活性化crRNA(tracrRNA)に融合している特異性決定CRISPR RNA(crRNA)を含む単一ガイドRNA(sgRNA)である。一部の実施形態では、gRNAは、ガイド配列と、tracrメイト配列と、tracr配列と、テール配列とを含む、sgRNAである。一部の実施形態では、RGENは、Cas9またはCpf1である。一部の実施形態では、ナノ粒子中のRGENとgRNAのモル比は、約10:1~約1:10の間(例えば、約10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、および1:10(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、ナノ粒子中のRGENとgRNAのモル比は、約1:1である。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドの、該細胞膜透過ペプチドと会合している既成RGEN/gRNA複合体中とRGENのモル比は、約1:1~約80:1の間(例えば、約1:1、5:1、10:1、20:1、30:1、40:1、50:1、60:1、70:1、80:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドの、該細胞膜透過ペプチドと会合している既成RGEN/gRNA複合体中とRGENのモル比は、約5:1~約20:1の間(例えば、約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、および20:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、ナノ粒子コアは、異なるガイド配列を含む1つまたは複数の追加のgRNAをさらに含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加のgRNAのうちの少なくとも1つは、既成RGEN/gRNA複合体中に存在する。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加のgRNAのうちの少なくとも1つは、第2の複合体中に存在する。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加のgRNAのうちの少なくとも1つは、1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドのうちの1つを含む追加の複合体中に存在する。一部の実施形態では、ナノ粒子コアは、標的ポリヌクレオチドに特異的修飾を導入するためのドナー核酸をさらに含む。一部の実施形態では、ドナー核酸は、既成RGEN/gRNA複合体中に存在する。一部の実施形態では、ドナー核酸は、第1または第2の複合体中に存在する。一部の実施形態では、ドナー核酸は、1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドのうちの1つを含む追加の複合体中に存在する。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、コード配列が修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、非コード配列が修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、標的遺伝子の発現を減少させること、または不活性な産物を発現する修飾標的遺伝子をもたらすことなどにより、標的遺伝子を不活性化するように修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、標的遺伝子の発現を増加させること、または活性標的遺伝子産物を発現する修飾標的遺伝子をもたらすことなどにより、標的遺伝子を活性化するように修飾される。一部の実施形態では、1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドは、これらに限定されないが、PTDに基づくペプチド、両親媒性ペプチド、ポリアルギニンに基づくペプチド、MPGペプチド、CADYペプチド、VEPEPペプチド(例えば、VEPEP-3、VEPEP-6またはVEPEP-9ペプチド)、ADGN-100ペプチド、Pep-1ペプチドおよびPep-2ペプチドを含む。
【0165】
一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドを修飾するためのナノ粒子であって、1つまたは複数の細胞膜透過ペプチド(例えば、VEPEP-3、VEPEP-6、VEPEP-9またはADGN-100ペプチド)、RGEN(またはRGENをコードする核酸)と会合している1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドのうちの1つを含む第1の複合体、およびgRNA(またはgRNAをコードする核酸)と会合している1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドのうちの1つを含む第2の複合体を含む、コアを含み、gRNAが、標的ポリヌクレオチド内の標的配列に相補的なガイド配列を含む、ナノ粒子が提供される。一部の実施形態では、ナノ粒子中の1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドの少なくとも一部は、ターゲティング部分に連結している。一部の実施形態では、連結は、共有結合である。一部の実施形態では、gRNAは、補助的なトランス活性化crRNA(tracrRNA)に融合している特異性決定CRISPR RNA(crRNA)を含む単一ガイドRNA(sgRNA)である。一部の実施形態では、gRNAは、ガイド配列と、tracrメイト配列と、tracr配列と、テール配列とを含む、sgRNAである。一部の実施形態では、RGENは、Cas9またはCpf1である。一部の実施形態では、ナノ粒子中のRGENとgRNAのモル比は、約10:1~約1:10の間(例えば、約10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、および1:10(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、ナノ粒子中のRGENとgRNAのモル比は、約1:1である。一部の実施形態では、a)第1の複合体中の細胞膜透過ペプチドと、該細胞膜透過ペプチドと会合しているRGENのモル比、および/またはb)第2の複合体中の細胞膜透過ペプチドと、該細胞膜透過ペプチドと会合しているgRNAのモル比は、約1:1~約80:1の間(例えば、約1:1、5:1、10:1、20:1、30:1、40:1、50:1、60:1、70:1、80:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、a)第1の複合体中の細胞膜透過ペプチドと、該細胞膜透過ペプチドと会合しているRGENのモル比、および/またはb)第2の複合体中の細胞膜透過ペプチドと、該細胞膜透過ペプチドと会合しているgRNAのモル比は、約5:1~約20:1の間(例えば、約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、および20:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、ナノ粒子コアは、異なるガイド配列を含む1つまたは複数の追加のgRNAをさらに含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加のgRNAのうちの少なくとも1つは、既成RGEN/gRNA複合体中に存在する。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加のgRNAのうちの少なくとも1つは、第2の複合体中に存在する。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加のgRNAのうちの少なくとも1つは、1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドのうちの1つを含む追加の複合体中に存在する。一部の実施形態では、ナノ粒子コアは、標的ポリヌクレオチドに特異的修飾を導入するためのドナー核酸をさらに含む。一部の実施形態では、ドナー核酸は、既成RGEN/gRNA複合体中に存在する。一部の実施形態では、ドナー核酸は、第1または第2の複合体中に存在する。一部の実施形態では、ドナー核酸は、1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドのうちの1つを含む追加の複合体中に存在する。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、コード配列が修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、非コード配列が修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、標的遺伝子の発現を減少させること、または不活性な産物を発現する修飾標的遺伝子をもたらすことなどにより、標的遺伝子を不活性化するように修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、標的遺伝子の発現を増加させること、または活性標的遺伝子産物を発現する修飾標的遺伝子をもたらすことなどにより、標的遺伝子を活性化するように修飾される。一部の実施形態では、1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドは、これらに限定されないが、PTDに基づくペプチド、両親媒性ペプチド、ポリアルギニンに基づくペプチド、MPGペプチド、CADYペプチド、VEPEPペプチド(例えば、VEPEP-3、VEPEP-6またはVEPEP-9ペプチド)、ADGN-100ペプチド、Pep-1ペプチドおよびPep-2ペプチドを含む。
【0166】
一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドを修飾するためのナノ粒子であって、1つまたは複数の細胞膜透過ペプチド(例えば、VEPEP-3、VEPEP-6、VEPEP-9またはADGN-100ペプチド)と、RGEN(またはRGENをコードする核酸)と、gRNA(またはgRNAをコードする核酸)と、標的ポリヌクレオチドに特異的修飾を導入するためのドナー核酸とを含むコアを含み、gRNAが、標的ポリヌクレオチド内の標的配列に相補的なガイド配列を含み、ドナー核酸が、標的ポリヌクレオチドの修飾を含むように修飾される部分に対応する配列を含む、ナノ粒子が提供される。一部の実施形態では、ナノ粒子コアは、RGENおよびgRNAを含む既成複合体(RGEN/gRNA複合体)と会合している、1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドのうちの1つを含む。一部の実施形態では、ドナー核酸は、1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドのうちの1つと、既成RGEN/gRNA複合体と、ドナー核酸とを含む、三元複合体中に存在する。一部の実施形態では、ナノ粒子コアは、RGENと会合している1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドのうちの1つを含む第1の複合体、およびgRNAと会合している1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドのうちの1つを含む第2の複合体を含む。一部の実施形態では、ドナー核酸は、第1の複合体中に存在する。一部の実施形態では、ドナー核酸は、第2の複合体中に存在する。一部の実施形態では、修飾は、標的ポリヌクレオチドにおける1つまたは複数のヌクレオチドの付加、欠失または置換であり、ドナー核酸は、一本鎖DNAオリゴヌクレオチドである。一部の実施形態では、修飾は、標的ポリヌクレオチド内への異種核酸の挿入であり、ドナー核酸は、二本鎖DNA分子、例えばプラスミドである。ドナー核酸は、標的ポリヌクレオチドの修飾の5’側に隣接する部分を含む5’標的ホモロジー領域と相同である、5’ホモロジーアームと、標的ポリヌクレオチドの修飾の3’側に隣接する部分を含む3’標的ホモロジー領域と相同である、3’ホモロジーアームとを含む。一部の実施形態では、5’標的ホモロジー領域および/または3’標的ホモロジー領域は、標的配列中の少なくとも約1個(例えば、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20個、またはそれより多数のうちのいずれか)のヌクレオチドと重複する。一部の実施形態では、5’標的ホモロジー領域および/または3’標的ホモロジー領域は、標的配列から約1000ヌクレオチド以内(例えば、約1000、500、400、300、200、100、75、50、25、20、15、10、5または1ヌクレオチドのいずれか以内)にある。一部の実施形態では、ナノ粒子中の1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドの少なくとも一部は、ターゲティング部分に連結している。一部の実施形態では、連結は、共有結合である。一部の実施形態では、gRNAは、補助的なトランス活性化crRNA(tracrRNA)に融合している特異性決定CRISPR RNA(crRNA)を含む単一ガイドRNA(sgRNA)である。一部の実施形態では、gRNAは、ガイド配列と、tracrメイト配列と、tracr配列と、テール配列とを含む、sgRNAである。一部の実施形態では、RGENは、Cas9またはCpf1である。一部の実施形態では、ナノ粒子中のRGENとgRNAのモル比は、約10:1~約1:10の間(例えば、約10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、および1:10(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、ナノ粒子中のRGENとgRNAのモル比は、約1:1である。一部の実施形態では、a)ナノ粒子中に存在する複合体中の細胞膜透過ペプチドと、該細胞膜透過ペプチドと会合しているRGENのモル比、b)ナノ粒子中に存在する複合体中の細胞膜透過ペプチドと、該細胞膜透過ペプチドと会合しているgRNAのモル比、および/またはc)ナノ粒子中に存在する複合体中の細胞膜透過ペプチドと、該細胞膜透過ペプチドと会合しているドナー核酸のモル比は、約1:1~約80:1の間(例えば、約1:1、5:1、10:1、20:1、30:1、40:1、50:1、60:1、70:1、80:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、a)ナノ粒子中に存在する複合体中の細胞膜透過ペプチドと、該細胞膜透過ペプチドと会合しているRGENのモル比、b)ナノ粒子中に存在する複合体中の細胞膜透過ペプチドと、該細胞膜透過ペプチドと会合しているgRNAのモル比、および/またはc)ナノ粒子中に存在する複合体中の細胞膜透過ペプチドと、該細胞膜透過ペプチドと会合しているドナー核酸のモル比は、約5:1~約20:1の間(例えば、約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、および20:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、ナノ粒子コアは、異なるガイド配列を含む1つまたは複数の追加のgRNAをさらに含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加のgRNAのうちの少なくとも1つは、既成RGEN/gRNA複合体中に存在する。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加のgRNAのうちの少なくとも1つは、第2の複合体中に存在する。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加のgRNAのうちの少なくとも1つは、1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドのうちの1つを含む追加の複合体中に存在する。一部の実施形態では、ナノ粒子コアは、標的ポリヌクレオチドに特異的修飾を導入するためのドナー核酸をさらに含む。一部の実施形態では、ドナー核酸は、既成RGEN/gRNA複合体中に存在する。一部の実施形態では、ドナー核酸は、第1または第2の複合体中に存在する。一部の実施形態では、ドナー核酸は、1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドのうちの1つを含む追加の複合体中に存在する。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、コード配列が修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、非コード配列が修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、標的遺伝子の発現を減少させること、または不活性な産物を発現する修飾標的遺伝子をもたらすことなどにより、標的遺伝子を不活性化するように修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、標的遺伝子の発現を増加させること、または活性標的遺伝子産物を発現する修飾標的遺伝子をもたらすことなどにより、標的遺伝子を活性化するように修飾される。一部の実施形態では、1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドは、これらに限定されないが、PTDに基づくペプチド、両親媒性ペプチド、ポリアルギニンに基づくペプチド、MPGペプチド、CADYペプチド、VEPEPペプチド(例えば、VEPEP-3、VEPEP-6またはVEPEP-9ペプチド)、ADGN-100ペプチド、Pep-1ペプチドおよびPep-2ペプチドを含む。
【0167】
一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドを修飾するためのナノ粒子であって、1つまたは複数の細胞膜透過ペプチド(例えば、VEPEP-3、VEPEP-6、VEPEP-9またはADGN-100ペプチド)と、RGEN(またはRGENをコードする核酸)と、gRNA(またはgRNAをコードする核酸)と、標的ポリヌクレオチドに特異的修飾を導入するためのドナー核酸とを含むコアを含み、gRNAが、標的ポリヌクレオチド内の標的配列に相補的なガイド配列を含み、ドナー核酸が、標的ポリヌクレオチドの修飾を含むように修飾される部分に対応する配列を含み、修飾が、標的核酸における1つまたは複数のヌクレオチドの付加、欠失または置換である、ナノ粒子が提供される。一部の実施形態では、ナノ粒子コアは、RGENおよびgRNAを含む既成複合体(RGEN/gRNA複合体)と会合している、1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドのうちの1つを含む。一部の実施形態では、ドナー核酸は、1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドのうちの1つと、既成RGEN/gRNA複合体と、ドナー核酸とを含む、三元複合体中に存在する。一部の実施形態では、ナノ粒子コアは、RGENと会合している1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドのうちの1つを含む第1の複合体、およびgRNAと会合している1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドのうちの1つを含む第2の複合体を含む。一部の実施形態では、ドナー核酸は、第1の複合体中に存在する。一部の実施形態では、ドナー核酸は、第2の複合体中に存在する。一部の実施形態では、修飾は、標的ポリヌクレオチドにおける約1~約50個の間(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45および50個(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれか)のヌクレオチドの付加、欠失または置換である。一部の実施形態では、ドナー核酸は、一本鎖DNAオリゴヌクレオチドである。ドナー核酸は、標的ポリヌクレオチドの修飾の5’側に隣接する部分を含む5’標的ホモロジー領域と相同である、5’ホモロジーアームと、標的ポリヌクレオチドの修飾の3’側に隣接する部分を含む3’標的ホモロジー領域と相同である、3’ホモロジーアームとを含む。一部の実施形態では、5’標的ホモロジー領域および/または3’標的ホモロジー領域は、標的配列中の少なくとも約1個(例えば、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20個、またはそれより多数のうちのいずれか)のヌクレオチドと重複する。一部の実施形態では、5’標的ホモロジー領域および/または3’標的ホモロジー領域は、標的配列から約1000ヌクレオチド以内(例えば、約1000、500、400、300、200、100、75、50、25、20、15、10、5または1ヌクレオチドのいずれか以内)にある。一部の実施形態では、5’ホモロジーアームおよび3’ホモロジーアームは、各々個々に、長さが約20~約150ヌクレオチドの間(例えば、約20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140および150ヌクレオチド(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、ナノ粒子中の1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドの少なくとも一部は、ターゲティング部分に連結している。一部の実施形態では、連結は、共有結合である。一部の実施形態では、gRNAは、補助的なトランス活性化crRNA(tracrRNA)に融合している特異性決定CRISPR RNA(crRNA)を含む単一ガイドRNA(sgRNA)である。一部の実施形態では、gRNAは、ガイド配列と、tracrメイト配列と、tracr配列と、テール配列とを含む、sgRNAである。一部の実施形態では、RGENは、Cas9またはCpf1である。一部の実施形態では、ナノ粒子中のRGENとgRNAのモル比は、約10:1~約1:10の間(例えば、約10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、および1:10(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、ナノ粒子中のRGENとgRNAのモル比は、約1:1である。一部の実施形態では、a)ナノ粒子中に存在する複合体中の細胞膜透過ペプチドと、該細胞膜透過ペプチドと会合しているRGENのモル比、b)ナノ粒子中に存在する複合体中の細胞膜透過ペプチドと、該細胞膜透過ペプチドと会合しているgRNAのモル比、および/またはc)ナノ粒子中に存在する複合体中の細胞膜透過ペプチドと、該細胞膜透過ペプチドと会合しているドナー核酸のモル比は、約1:1~約80:1の間(例えば、約1:1、5:1、10:1、20:1、30:1、40:1、50:1、60:1、70:1、80:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、a)ナノ粒子中に存在する複合体中の細胞膜透過ペプチドと、該細胞膜透過ペプチドと会合しているRGENのモル比、b)ナノ粒子中に存在する複合体中の細胞膜透過ペプチドと、該細胞膜透過ペプチドと会合しているgRNAのモル比、および/またはc)ナノ粒子中に存在する複合体中の細胞膜透過ペプチドと、該細胞膜透過ペプチドと会合しているドナー核酸のモル比は、約5:1~約20:1の間(例えば、約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、および20:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、ナノ粒子コアは、異なるガイド配列を含む1つまたは複数の追加のgRNAをさらに含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加のgRNAのうちの少なくとも1つは、既成RGEN/gRNA複合体中に存在する。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加のgRNAのうちの少なくとも1つは、第2の複合体中に存在する。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加のgRNAのうちの少なくとも1つは、1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドのうちの1つを含む追加の複合体中に存在する。一部の実施形態では、ナノ粒子コアは、標的ポリヌクレオチドに特異的修飾を導入するためのドナー核酸をさらに含む。一部の実施形態では、ドナー核酸は、既成RGEN/gRNA複合体中に存在する。一部の実施形態では、ドナー核酸は、第1または第2の複合体中に存在する。一部の実施形態では、ドナー核酸は、1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドのうちの1つを含む追加の複合体中に存在する。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、コード配列が修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、非コード配列が修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、標的遺伝子の発現を減少させること、または不活性な産物を発現する修飾標的遺伝子をもたらすことなどにより、標的遺伝子を不活性化するように修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、標的遺伝子の発現を増加させること、または活性標的遺伝子産物を発現する修飾標的遺伝子をもたらすことなどにより、標的遺伝子を活性化するように修飾される。一部の実施形態では、1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドは、これらに限定されないが、PTDに基づくペプチド、両親媒性ペプチド、ポリアルギニンに基づくペプチド、MPGペプチド、CADYペプチド、VEPEPペプチド(例えば、VEPEP-3、VEPEP-6またはVEPEP-9ペプチド)、ADGN-100ペプチド、Pep-1ペプチドおよびPep-2ペプチドを含む。
【0168】
一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドを修飾するためのナノ粒子であって、1つまたは複数の細胞膜透過ペプチド(例えば、VEPEP-3、VEPEP-6、VEPEP-9またはADGN-100ペプチド)と、RGEN(またはRGENをコードする核酸)と、gRNA(またはgRNAをコードする核酸)と、標的ポリヌクレオチドに特異的修飾を導入するためのドナー核酸とを含むコアを含み、gRNAが、標的ポリヌクレオチド内の標的配列に相補的なガイド配列を含み、ドナー核酸が、標的ポリヌクレオチドの修飾を含むように修飾される部分に対応する配列を含み、修飾が、標的核酸内への異種核酸の挿入である、ナノ粒子が提供される。一部の実施形態では、ナノ粒子コアは、RGENおよびgRNAを含む既成複合体(RGEN/gRNA複合体)と会合している、1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドのうちの1つを含む。一部の実施形態では、ドナー核酸は、1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドのうちの1つと、既成RGEN/gRNA複合体と、ドナー核酸とを含む、三元複合体中に存在する。一部の実施形態では、ナノ粒子コアは、RGENと会合している1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドのうちの1つを含む第1の複合体、およびgRNAと会合している1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドのうちの1つを含む第2の複合体を含む。一部の実施形態では、ドナー核酸は、第1の複合体中に存在する。一部の実施形態では、ドナー核酸は、第2の複合体中に存在する。一部の実施形態では、修飾は、長さが約50ヌクレオチドより長い(例えば、約50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000、3000、4000、5000ヌクレオチドまたはそれより多いヌクレオチド数(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれかより長い)異種核酸の挿入である。一部の実施形態では、ドナー核酸は、二本鎖DNA分子である。ドナー核酸は、標的ポリヌクレオチドの修飾の5’側に隣接する部分を含む5’標的ホモロジー領域と相同である、5’ホモロジーアームと、標的ポリヌクレオチドの修飾の3’側に隣接する部分を含む3’標的ホモロジー領域と相同である、3’ホモロジーアームとを含む。一部の実施形態では、5’標的ホモロジー領域および/または3’標的ホモロジー領域は、標的配列中の少なくとも約1個(例えば、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20個、またはそれより多数のうちのいずれか)のヌクレオチドと重複する。一部の実施形態では、5’標的ホモロジー領域および/または3’標的ホモロジー領域は、標的配列から約1000ヌクレオチド以内(例えば、約1000、500、400、300、200、100、75、50、25、20、15、10、5または1ヌクレオチドのいずれか以内)にある。一部の実施形態では、5’ホモロジーアームおよび3’ホモロジーアームは、各々個々に、長さが約300ヌクレオチドより長い(例えば、約300、400、500、600、700、800、900、1000ヌクレオチドまたはそれより多いヌクレオチド数(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれかより長い)。一部の実施形態では、ナノ粒子中の1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドの少なくとも一部は、ターゲティング部分に連結している。一部の実施形態では、連結は、共有結合である。一部の実施形態では、gRNAは、補助的なトランス活性化crRNA(tracrRNA)に融合している特異性決定CRISPR RNA(crRNA)を含む単一ガイドRNA(sgRNA)である。一部の実施形態では、gRNAは、ガイド配列と、tracrメイト配列と、tracr配列と、テール配列とを含む、sgRNAである。一部の実施形態では、RGENは、Cas9またはCpf1である。一部の実施形態では、ナノ粒子中のRGENとgRNAのモル比は、約10:1~約1:10の間(例えば、約10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、および1:10(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、ナノ粒子中のRGENとgRNAのモル比は、約1:1である。一部の実施形態では、a)ナノ粒子中に存在する複合体中の細胞膜透過ペプチドと、該細胞膜透過ペプチドと会合しているRGENのモル比、b)ナノ粒子中に存在する複合体中の細胞膜透過ペプチドと、該細胞膜透過ペプチドと会合しているgRNAのモル比、および/またはc)ナノ粒子中に存在する複合体中の細胞膜透過ペプチドと、該細胞膜透過ペプチドと会合しているドナー核酸のモル比は、約1:1~約80:1の間(例えば、約1:1、5:1、10:1、20:1、30:1、40:1、50:1、60:1、70:1、80:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、a)ナノ粒子中に存在する複合体中の細胞膜透過ペプチドと、該細胞膜透過ペプチドと会合しているRGENのモル比、b)ナノ粒子中に存在する複合体中の細胞膜透過ペプチドと、該細胞膜透過ペプチドと会合しているgRNAのモル比、および/またはc)ナノ粒子中に存在する複合体中の細胞膜透過ペプチドと、該細胞膜透過ペプチドと会合しているドナー核酸のモル比は、約5:1~約20:1の間(例えば、約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、および20:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、ナノ粒子コアは、異なるガイド配列を含む1つまたは複数の追加のgRNAをさらに含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加のgRNAのうちの少なくとも1つは、既成RGEN/gRNA複合体中に存在する。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加のgRNAのうちの少なくとも1つは、第2の複合体中に存在する。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加のgRNAのうちの少なくとも1つは、1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドのうちの1つを含む追加の複合体中に存在する。一部の実施形態では、ナノ粒子コアは、標的ポリヌクレオチドに特異的修飾を導入するためのドナー核酸をさらに含む。一部の実施形態では、ドナー核酸は、既成RGEN/gRNA複合体中に存在する。一部の実施形態では、ドナー核酸は、第1または第2の複合体中に存在する。一部の実施形態では、ドナー核酸は、1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドのうちの1つを含む追加の複合体中に存在する。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、コード配列が修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、非コード配列が修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、標的遺伝子の発現を減少させること、または不活性な産物を発現する修飾標的遺伝子をもたらすことなどにより、標的遺伝子を不活性化するように修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、標的遺伝子の発現を増加させること、または活性標的遺伝子産物を発現する修飾標的遺伝子をもたらすことなどにより、標的遺伝子を活性化するように修飾される。一部の実施形態では、1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドは、これらに限定されないが、PTDに基づくペプチド、両親媒性ペプチド、ポリアルギニンに基づくペプチド、MPGペプチド、CADYペプチド、VEPEPペプチド(例えば、VEPEP-3、VEPEP-6またはVEPEP-9ペプチド)、ADGN-100ペプチド、Pep-1ペプチドおよびPep-2ペプチドを含む。
【0169】
一部の実施形態では、1つまたは複数の標的ポリヌクレオチドを修飾するためのナノ粒子であって、1つまたは複数の細胞膜透過ペプチド(例えば、VEPEP-3、VEPEP-6、VEPEP-9またはADGN-100ペプチド)と、RGEN(またはRGENをコードする核酸)と、複数のgRNA(または複数のgRNAをコードする1つもしくは複数の核酸)とを含むコアを含み、複数のgRNAの各々が、個々に、1つまたは複数の標的ポリヌクレオチドのうちの1つにおける標的配列に相補的な異なるガイド配列を含む、ナノ粒子が提供される。一部の実施形態では、ナノ粒子コアは、RGENと複数のgRNAのうちの少なくとも1つとを含む既成複合体(RGEN/gRNA複合体)と会合している、1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドのうちの1つを含む。一部の実施形態では、既成RGEN/gRNA複合体は、複数のgRNAの各々を含む。一部の実施形態では、ナノ粒子コアは、RGENと会合している1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドのうちの1つを含む第1の複合体、および複数のgRNAのうちの少なくとも1つと各々が会合している1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドのうちの1つを含む1つまたは複数の複合体を含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の複合体は、複数のgRNAの各々を含む第2の複合体である。一部の実施形態では、ナノ粒子中の1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドの少なくとも一部は、ターゲティング部分に連結している。一部の実施形態では、連結は、共有結合である。一部の実施形態では、複数のgRNAの各々は、補助的なトランス活性化crRNA(tracrRNA)に融合している特異性決定CRISPR RNA(crRNA)を含む単一ガイドRNA(sgRNA)である。一部の実施形態では、複数のgRNAの各々は、gRNAのガイド配列と、tracrメイト配列と、tracr配列と、テール配列とを含む、sgRNAである。一部の実施形態では、RGENは、Cas9またはCpf1である。一部の実施形態では、ナノ粒子中のRGENとgRNAのモル比は、約10:1~約1:10の間(例えば、約10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、および1:10(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、ナノ粒子中のRGENとgRNAのモル比は、約1:1である。一部の実施形態では、a)ナノ粒子中に存在する複合体中の細胞膜透過ペプチドと、該細胞膜透過ペプチドと会合しているRGENのモル比、および/またはb)ナノ粒子中に存在する複合体中の細胞膜透過ペプチドと、該細胞膜透過ペプチドと会合しているgRNAのモル比は、約1:1~約80:1の間(例えば、約1:1、5:1、10:1、20:1、30:1、40:1、50:1、60:1、70:1、80:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、a)ナノ粒子中に存在する複合体中の細胞膜透過ペプチドと、該細胞膜透過ペプチドと会合しているRGENのモル比、および/またはb)ナノ粒子中に存在する複合体中の細胞膜透過ペプチドと、該細胞膜透過ペプチドと会合しているgRNAのモル比は、約5:1~約20:1の間(例えば、約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、および20:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、ナノ粒子コアは、標的ポリヌクレオチドに特異的修飾を導入するためのドナー核酸をさらに含む。一部の実施形態では、ドナー核酸は、既成RGEN/gRNA複合体中に存在する。一部の実施形態では、ドナー核酸は、第1の複合体または1つもしくは複数の複合体中に存在する。一部の実施形態では、ドナー核酸は、1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドのうちの1つを含む追加の複合体中に存在する。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、コード配列が修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、非コード配列が修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、標的遺伝子の発現を減少させること、または不活性な産物を発現する修飾標的遺伝子をもたらすことなどにより、標的遺伝子を不活性化するように修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、標的遺伝子の発現を増加させること、または活性標的遺伝子産物を発現する修飾標的遺伝子をもたらすことなどにより、標的遺伝子を活性化するように修飾される。一部の実施形態では、1つまたは複数の細胞膜透過ペプチドは、これらに限定されないが、PTDに基づくペプチド、両親媒性ペプチド、ポリアルギニンに基づくペプチド、MPGペプチド、CADYペプチド、VEPEPペプチド(例えば、VEPEP-3、VEPEP-6またはVEPEP-9ペプチド)、ADGN-100ペプチド、Pep-1ペプチドおよびPep-2ペプチドを含む。
【0170】
一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドを修飾するためのナノ粒子であって、細胞膜透過ペプチドとゲノム編集酵素(またはゲノム編集酵素をコードする核酸)とを含むコアを含み、細胞膜透過ペプチドが、ゲノム編集酵素と会合しており、細胞膜透過ペプチドが、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドまたはADGN-100ペプチドのアミノ酸配列を含む、ナノ粒子が提供される。一部の実施形態では、VEPEP-3ペプチドは、配列番号1~14、75および76のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-6ペプチドは、配列番号15~40および77のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-9ペプチドは、配列番号41~52および78のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ADGN-100ペプチドは、配列番号53~70、79および80のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ゲノム編集酵素は、ZFN、TALEN、ホーミングエンドヌクレアーゼ、RGENまたはDGENから選択されるヌクレアーゼである。一部の実施形態では、ゲノム編集酵素は、Cas9である。一部の実施形態では、ナノ粒子コアは、gRNAまたはgDNA(またはgRNAもしくはgDNAをコードする核酸)をさらに含む。一部の実施形態では、ゲノム編集酵素は、TALENである。一部の実施形態では、ゲノム編集酵素は、インテグラーゼである。一部の実施形態では、ナノ粒子コアは、標的ポリヌクレオチドに特異的修飾を導入するためのドナー核酸をさらに含む。
【0171】
一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドを修飾するためのナノ粒子であって、細胞膜透過ペプチドと、RGEN(またはRGENをコードする核酸)と、gRNA(またはgRNAをコードする核酸)とを含むコアを含み、gRNAが、標的ポリヌクレオチド内の標的配列に相補的なガイド配列を含み、細胞膜透過ペプチドが、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドまたはADGN-100ペプチドのアミノ酸配列を含む、ナノ粒子が提供される。一部の実施形態では、VEPEP-3ペプチドは、配列番号1~14、75および76のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-6ペプチドは、配列番号15~40および77のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-9ペプチドは、配列番号41~52および78のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ADGN-100ペプチドは、配列番号53~70、79および80のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ナノ粒子コアは、RGENおよびgRNAを含む既成複合体(RGEN/gRNA複合体)と会合している、細胞膜透過ペプチドを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子コアは、RGENと会合している細胞膜透過ペプチドを含む第1の複合体、およびgRNAと会合している細胞膜透過ペプチドを含む第2の複合体を含む。一部の実施形態では、RGENは、Cas9である。
【0172】
一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドを修飾するためのナノ粒子であって、細胞膜透過ペプチドと、RGENおよびgRNAを含む既成複合体(RGEN/gRNA複合体)とを含むコアを含み、細胞膜透過ペプチドが、既成RGEN/gRNA複合体と会合しており、gRNAが、標的ポリヌクレオチド内の標的配列に相補的なガイド配列を含み、細胞膜透過ペプチドが、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドまたはADGN-100ペプチドのアミノ酸配列を含む、ナノ粒子が提供される。一部の実施形態では、VEPEP-3ペプチドは、配列番号1~14、75および76のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-6ペプチドは、配列番号15~40および77のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-9ペプチドは、配列番号41~52および78のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ADGN-100ペプチドは、配列番号53~70、79および80のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、RGENは、Cas9である。
【0173】
一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドを修飾するためのナノ粒子であって、細胞膜透過ペプチドと、RGEN(またはRGENをコードする核酸)と会合している細胞膜透過ペプチドを含む第1の複合体と、gRNA(またはgRNAをコードする核酸)と会合している細胞膜透過ペプチドを含む第2の複合体とを含むコアを含み、gRNAが、標的ポリヌクレオチド内の標的配列に相補的なガイド配列を含み、細胞膜透過ペプチドが、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドまたはADGN-100ペプチドのアミノ酸配列を含む、ナノ粒子が提供される。一部の実施形態では、VEPEP-3ペプチドは、配列番号1~14、75および76のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-6ペプチドは、配列番号15~40および77のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-9ペプチドは、配列番号41~52および78のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ADGN-100ペプチドは、配列番号53~70、79および80のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、RGENは、Cas9である。
【0174】
一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドを修飾するためのナノ粒子であって、細胞膜透過ペプチドと、RGEN(またはRGENをコードする核酸)と、gRNA(またはgRNAをコードする核酸)と、標的ポリヌクレオチドに特異的修飾を導入するためのドナー核酸とを含むコアを含み、gRNAが、標的ポリヌクレオチド内の標的配列に相補的なガイド配列を含み、ドナー核酸が、標的ポリヌクレオチドの修飾を含むように修飾される部分に対応する配列を含み、細胞膜透過ペプチドが、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドまたはADGN-100ペプチドのアミノ酸配列を含む、ナノ粒子が提供される。一部の実施形態では、VEPEP-3ペプチドは、配列番号1~14、75および76のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-6ペプチドは、配列番号15~40および77のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-9ペプチドは、配列番号41~52および78のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ADGN-100ペプチドは、配列番号53~70、79および80のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ナノ粒子コアは、RGENおよびgRNAを含む既成複合体(RGEN/gRNA複合体)と会合している細胞膜透過ペプチドと、ドナー核酸と会合している細胞膜透過ペプチドを含む別の複合体とを含む。一部の実施形態では、ドナー核酸は、細胞膜透過ペプチドと、既成RGEN/gRNA複合体と、ドナー核酸とを含む、三元複合体中に存在する。一部の実施形態では、ナノ粒子コアは、RGENと会合している細胞膜透過ペプチドを含む第1の複合体、およびgRNAと会合している細胞膜透過ペプチドを含む第2の複合体を含む。一部の実施形態では、ドナー核酸は、第1の複合体中に存在する。一部の実施形態では、ドナー核酸は、第2の複合体中に存在する。一部の実施形態では、修飾は、標的ポリヌクレオチドにおける1つまたは複数のヌクレオチドの付加、欠失または置換であり、ドナー核酸は、一本鎖DNAオリゴヌクレオチドである。一部の実施形態では、修飾は、標的ポリヌクレオチドへの異種核酸の挿入であり、ドナー核酸は、二本鎖DNA分子、例えばプラスミドである。ドナー核酸は、標的ポリヌクレオチドの修飾の5’側に隣接する部分を含む5’標的ホモロジー領域と相同である、5’ホモロジーアームと、標的ポリヌクレオチドの修飾の3’側に隣接する部分を含む3’標的ホモロジー領域と相同である、3’ホモロジーアームとを含む。一部の実施形態では、5’標的ホモロジー領域および/または3’標的ホモロジー領域は、標的配列中の少なくとも約1個(例えば、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20個、またはそれより多数のうちのいずれか)のヌクレオチドと重複する。一部の実施形態では、5’標的ホモロジー領域および/または3’標的ホモロジー領域は、標的配列から約1000ヌクレオチド以内(例えば、約1000、500、400、300、200、100、75、50、25、20、15、10、5または1ヌクレオチドのいずれか以内)にある。一部の実施形態では、RGENは、Cas9である。
【0175】
一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドを修飾するためのナノ粒子であって、細胞膜透過ペプチドと、RGEN(またはRGENをコードする核酸)と、gRNA(またはgRNAをコードする核酸)と、標的ポリヌクレオチドに特異的修飾を導入するためのドナー核酸とを含むコアを含み、gRNAが、標的ポリヌクレオチド内の標的配列に相補的なガイド配列を含み、ドナー核酸が、標的ポリヌクレオチドの修飾を含むように修飾される部分に対応する配列を含み、修飾が、標的核酸における1つまたは複数のヌクレオチドの付加、欠失または置換であり、細胞膜透過ペプチドが、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドまたはADGN-100ペプチドのアミノ酸配列を含む、ナノ粒子が提供される。一部の実施形態では、VEPEP-3ペプチドは、配列番号1~14、75および76のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-6ペプチドは、配列番号15~40および77のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-9ペプチドは、配列番号41~52および78のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ADGN-100ペプチドは、配列番号53~70、79および80のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ナノ粒子コアは、RGENおよびgRNAを含む既成複合体(RGEN/gRNA複合体)と会合している細胞膜透過ペプチドと、ドナー核酸と会合している細胞膜透過ペプチドを含む別の複合体とを含む。一部の実施形態では、ドナー核酸は、細胞膜透過ペプチドと、既成RGEN/gRNA複合体と、ドナー核酸とを含む、三元複合体中に存在する。一部の実施形態では、ナノ粒子コアは、RGENと会合している細胞膜透過ペプチドを含む第1の複合体、およびgRNAと会合している細胞膜透過ペプチドを含む第2の複合体を含む。一部の実施形態では、ドナー核酸は、第1の複合体中に存在する。一部の実施形態では、ドナー核酸は、第2の複合体中に存在する。一部の実施形態では、修飾は、標的ポリヌクレオチドにおける約1~約50個の間(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45および50個(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれか)のヌクレオチドの付加、欠失または置換である。一部の実施形態では、ドナー核酸は、一本鎖DNAオリゴヌクレオチドである。ドナー核酸は、標的ポリヌクレオチドの修飾の5’側に隣接する部分を含む5’標的ホモロジー領域と相同である、5’ホモロジーアームと、標的ポリヌクレオチドの修飾の3’側に隣接する部分を含む3’標的ホモロジー領域と相同である、3’ホモロジーアームとを含む。一部の実施形態では、5’標的ホモロジー領域および/または3’標的ホモロジー領域は、標的配列中の少なくとも約1個(例えば、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20個、またはそれより多数のうちのいずれか)のヌクレオチドと重複する。一部の実施形態では、5’標的ホモロジー領域および/または3’標的ホモロジー領域は、標的配列から約1000ヌクレオチド以内(例えば、約1000、500、400、300、200、100、75、50、25、20、15、10、5または1ヌクレオチドのいずれか以内)にある。一部の実施形態では、5’ホモロジーアームおよび3’ホモロジーアームは、各々個々に、長さが約20~約150ヌクレオチドの間(例えば、約20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140および150ヌクレオチド(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、RGENは、Cas9である。
【0176】
一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドを修飾するためのナノ粒子であって、細胞膜透過ペプチドと、RGEN(またはRGENをコードする核酸)と、gRNA(またはgRNAをコードする核酸)と、標的ポリヌクレオチドに特異的修飾を導入するためのドナー核酸とを含むコアを含み、gRNAが、標的ポリヌクレオチド内の標的配列に相補的なガイド配列を含み、ドナー核酸が、標的ポリヌクレオチドの修飾を含むように修飾される部分に対応する配列を含み、修飾が、標的核酸内への異種核酸の挿入であり、細胞膜透過ペプチドが、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドまたはADGN-100ペプチドのアミノ酸配列を含む、ナノ粒子が提供される。一部の実施形態では、VEPEP-3ペプチドは、配列番号1~14、75および76のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-6ペプチドは、配列番号15~40および77のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-9ペプチドは、配列番号41~52および78のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ADGN-100ペプチドは、配列番号53~70、79および80のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ナノ粒子コアは、RGENおよびgRNAを含む既成複合体(RGEN/gRNA複合体)と会合している細胞膜透過ペプチドと、ドナー核酸と会合している細胞膜透過ペプチドを含む別の複合体とを含む。一部の実施形態では、ドナー核酸は、細胞膜透過ペプチドと、既成RGEN/gRNA複合体と、ドナー核酸とを含む、三元複合体中に存在する。一部の実施形態では、ナノ粒子コアは、RGENと会合している細胞膜透過ペプチドを含む第1の複合体、およびgRNAと会合している細胞膜透過ペプチドを含む第2の複合体を含む。一部の実施形態では、ドナー核酸は、第1の複合体中に存在する。一部の実施形態では、ドナー核酸は、第2の複合体中に存在する。一部の実施形態では、修飾は、長さが約50ヌクレオチドより長い(例えば、約50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000、3000、4000、5000ヌクレオチドまたはそれより多いヌクレオチド数(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれかより長い)異種核酸の挿入である。一部の実施形態では、ドナー核酸は、二本鎖DNA分子である。ドナー核酸は、標的ポリヌクレオチドの修飾の5’側に隣接する部分を含む5’標的ホモロジー領域と相同である、5’ホモロジーアームと、標的ポリヌクレオチドの修飾の3’側に隣接する部分を含む3’標的ホモロジー領域と相同である、3’ホモロジーアームとを含む。一部の実施形態では、5’標的ホモロジー領域および/または3’標的ホモロジー領域は、標的配列中の少なくとも約1個(例えば、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20個、またはそれより多数のうちのいずれか)のヌクレオチドと重複する。一部の実施形態では、5’標的ホモロジー領域および/または3’標的ホモロジー領域は、標的配列から約1000ヌクレオチド以内(例えば、約1000、500、400、300、200、100、75、50、25、20、15、10、5または1ヌクレオチドのいずれか以内)にある。一部の実施形態では、5’ホモロジーアームおよび3’ホモロジーアームは、各々個々に、長さが約300ヌクレオチドより長い(例えば、約300、400、500、600、700、800、900、1000ヌクレオチドまたはそれより多いヌクレオチド数(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれかより長い)。一部の実施形態では、RGENは、Cas9である。
【0177】
一部の実施形態では、1つまたは複数の標的ポリヌクレオチドを修飾するためのナノ粒子であって、細胞膜透過ペプチドと、RGEN(またはRGENをコードする核酸)と、複数のgRNA(または複数のgRNAをコードする1つもしくは複数の核酸)とを含むコアを含み、複数のgRNAの各々が、個々に、1つまたは複数の標的ポリヌクレオチドのうちの1つにおける標的配列に相補的な異なるガイド配列を含み、細胞膜透過ペプチドが、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドまたはADGN-100ペプチドのアミノ酸配列を含む、ナノ粒子が提供される。一部の実施形態では、VEPEP-3ペプチドは、配列番号1~14、75および76のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-6ペプチドは、配列番号15~40および77のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-9ペプチドは、配列番号41~52および78のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ADGN-100ペプチドは、配列番号53~70、79および80のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ナノ粒子コアは、RGENと複数のgRNAのうちの少なくとも1つとを含む既成複合体(RGEN/gRNA複合体)と会合している、細胞膜透過ペプチドを含む。一部の実施形態では、既成RGEN/gRNA複合体は、複数のgRNAの各々を含む。一部の実施形態では、ナノ粒子コアは、RGENと会合している細胞膜透過ペプチドを含む第1の複合体、および複数のgRNAのうちの少なくとも1つと会合している細胞膜透過ペプチドを各々が含む1つまたは複数の複合体を含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の複合体は、複数のgRNAの各々を含む第2の複合体である。一部の実施形態では、RGENは、Cas9である。
【0178】
一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドを修飾するためのナノ粒子であって、細胞膜透過ペプチドと、Cas9(またはCas9をコードする核酸)と、gRNA(またはgRNAをコードする核酸)とを含むコアを含み、gRNAが、標的ポリヌクレオチド内の標的配列に相補的なガイド配列を含み、細胞膜透過ペプチドが、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドまたはADGN-100ペプチドのアミノ酸配列を含む、ナノ粒子が提供される。一部の実施形態では、VEPEP-3ペプチドは、配列番号1~14、75および76のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-6ペプチドは、配列番号15~40および77のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-9ペプチドは、配列番号41~52および78のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ADGN-100ペプチドは、配列番号53~70、79および80のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ナノ粒子コアは、Cas9およびgRNAを含む既成複合体(Cas9/gRNA複合体)と会合している、細胞膜透過ペプチドを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子コアは、RGENと会合している細胞膜透過ペプチドを含む第1の複合体、およびgRNAと会合している細胞膜透過ペプチドを含む第2の複合体を含む。
【0179】
一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドを修飾するためのナノ粒子であって、細胞膜透過ペプチドと、Cas9およびgRNAを含む既成複合体(Cas9/gRNA複合体)とを含むコアを含み、細胞膜透過ペプチドが、既成Cas9/gRNA複合体と会合しており、gRNAが、標的ポリヌクレオチド内の標的配列に相補的なガイド配列を含み、細胞膜透過ペプチドが、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドまたはADGN-100ペプチドのアミノ酸配列を含む、ナノ粒子が提供される。一部の実施形態では、VEPEP-3ペプチドは、配列番号1~14、75および76のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-6ペプチドは、配列番号15~40および77のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-9ペプチドは、配列番号41~52および78のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ADGN-100ペプチドは、配列番号53~70、79および80のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0180】
一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドを修飾するためのナノ粒子であって、細胞膜透過ペプチドと、Cas9(またはCas9をコードする核酸)と会合している細胞膜透過ペプチドを含む第1の複合体と、gRNA(またはgRNAをコードする核酸)と会合している細胞膜透過ペプチドを含む第2の複合体とを含むコアを含み、gRNAが、標的ポリヌクレオチド内の標的配列に相補的なガイド配列を含み、細胞膜透過ペプチドが、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドまたはADGN-100ペプチドのアミノ酸配列を含む、ナノ粒子が提供される。一部の実施形態では、VEPEP-3ペプチドは、配列番号1~14、75および76のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-6ペプチドは、配列番号15~40および77のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-9ペプチドは、配列番号41~52および78のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ADGN-100ペプチドは、配列番号53~70、79および80のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0181】
一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドを修飾するためのナノ粒子であって、細胞膜透過ペプチドと、Cas9(またはCas9をコードする核酸)と、gRNA(またはgRNAをコードする核酸)と、標的ポリヌクレオチドに特異的修飾を導入するためのドナー核酸とを含むコアを含み、gRNAが、標的ポリヌクレオチド内の標的配列に相補的なガイド配列を含み、ドナー核酸が、標的ポリヌクレオチドの修飾を含むように修飾される部分に対応する配列を含み、細胞膜透過ペプチドが、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドまたはADGN-100ペプチドのアミノ酸配列を含む、ナノ粒子が提供される。一部の実施形態では、VEPEP-3ペプチドは、配列番号1~14、75および76のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-6ペプチドは、配列番号15~40および77のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-9ペプチドは、配列番号41~52および78のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ADGN-100ペプチドは、配列番号53~70、79および80のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ナノ粒子コアは、Cas9およびgRNAを含む既成複合体(Cas9/gRNA複合体)と会合している細胞膜透過ペプチドと、ドナー核酸と会合している細胞膜透過ペプチドを含む別の複合体とを含む。一部の実施形態では、ドナー核酸は、細胞膜透過ペプチドと、既成Cas9/gRNA複合体と、ドナー核酸とを含む、三元複合体中に存在する。一部の実施形態では、ナノ粒子コアは、Cas9と会合している細胞膜透過ペプチドを含む第1の複合体、およびgRNAと会合している細胞膜透過ペプチドを含む第2の複合体を含む。一部の実施形態では、ドナー核酸は、第1の複合体中に存在する。一部の実施形態では、ドナー核酸は、第2の複合体中に存在する。一部の実施形態では、修飾は、標的ポリヌクレオチドにおける1つまたは複数のヌクレオチドの付加、欠失または置換であり、ドナー核酸は、一本鎖DNAオリゴヌクレオチドである。一部の実施形態では、修飾は、標的ポリヌクレオチドへの異種核酸の挿入であり、ドナー核酸は、二本鎖DNA分子、例えばプラスミドである。ドナー核酸は、標的ポリヌクレオチドの修飾の5’側に隣接する部分を含む5’標的ホモロジー領域と相同である、5’ホモロジーアームと、標的ポリヌクレオチドの修飾の3’側に隣接する部分を含む3’標的ホモロジー領域と相同である、3’ホモロジーアームとを含む。一部の実施形態では、5’標的ホモロジー領域および/または3’標的ホモロジー領域は、標的配列中の少なくとも約1個(例えば、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20個、またはそれより多数のうちのいずれか)のヌクレオチドと重複する。一部の実施形態では、5’標的ホモロジー領域および/または3’標的ホモロジー領域は、標的配列から約1000ヌクレオチド以内(例えば、約1000、500、400、300、200、100、75、50、25、20、15、10、5または1ヌクレオチドのいずれか以内)にある。
【0182】
一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドを修飾するためのナノ粒子であって、細胞膜透過ペプチドと、Cas9(またはCas9をコードする核酸)と、gRNA(またはgRNAをコードする核酸)と、標的ポリヌクレオチドに特異的修飾を導入するためのドナー核酸とを含むコアを含み、gRNAが、標的ポリヌクレオチド内の標的配列に相補的なガイド配列を含み、ドナー核酸が、標的ポリヌクレオチドの修飾を含むように修飾される部分に対応する配列を含み、修飾が、標的核酸における1つまたは複数のヌクレオチドの付加、欠失または置換であり、細胞膜透過ペプチドが、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドまたはADGN-100ペプチドのアミノ酸配列を含む、ナノ粒子が提供される。一部の実施形態では、VEPEP-3ペプチドは、配列番号1~14、75および76のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-6ペプチドは、配列番号15~40および77のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-9ペプチドは、配列番号41~52および78のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ADGN-100ペプチドは、配列番号53~70、79および80のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ナノ粒子コアは、Cas9およびgRNAを含む既成複合体(Cas9/gRNA複合体)と会合している細胞膜透過ペプチドと、ドナー核酸と会合している細胞膜透過ペプチドを含む別の複合体とを含む。一部の実施形態では、ドナー核酸は、細胞膜透過ペプチドと、既成Cas9/gRNA複合体と、ドナー核酸とを含む、三元複合体中に存在する。一部の実施形態では、ナノ粒子コアは、Cas9と会合している細胞膜透過ペプチドを含む第1の複合体、およびgRNAと会合している細胞膜透過ペプチドを含む第2の複合体を含む。一部の実施形態では、ドナー核酸は、第1の複合体中に存在する。一部の実施形態では、ドナー核酸は、第2の複合体中に存在する。一部の実施形態では、修飾は、標的ポリヌクレオチドにおける約1~約50個の間(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45および50個(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれか)のヌクレオチドの付加、欠失または置換である。一部の実施形態では、ドナー核酸は、一本鎖DNAオリゴヌクレオチドである。ドナー核酸は、標的ポリヌクレオチドの修飾の5’側に隣接する部分を含む5’標的ホモロジー領域と相同である、5’ホモロジーアームと、標的ポリヌクレオチドの修飾の3’側に隣接する部分を含む3’標的ホモロジー領域と相同である、3’ホモロジーアームとを含む。一部の実施形態では、5’標的ホモロジー領域および/または3’標的ホモロジー領域は、標的配列中の少なくとも約1個(例えば、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20個、またはそれより多数のうちのいずれか)のヌクレオチドと重複する。一部の実施形態では、5’標的ホモロジー領域および/または3’標的ホモロジー領域は、標的配列から約1000ヌクレオチド以内(例えば、約1000、500、400、300、200、100、75、50、25、20、15、10、5または1ヌクレオチドのいずれか以内)にある。一部の実施形態では、5’ホモロジーアームおよび3’ホモロジーアームは、各々個々に、長さが約20~約150ヌクレオチドの間(例えば、約20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140および150ヌクレオチド(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。
【0183】
一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドを修飾するためのナノ粒子であって、細胞膜透過ペプチドと、Cas9(またはCas9をコードする核酸)と、gRNA(またはgRNAをコードする核酸)と、標的ポリヌクレオチドに特異的修飾を導入するためのドナー核酸とを含むコアを含み、gRNAが、標的ポリヌクレオチド内の標的配列に相補的なガイド配列を含み、ドナー核酸が、標的ポリヌクレオチドの修飾を含むように修飾される部分に対応する配列を含み、修飾が、標的核酸内への異種核酸の挿入であり、細胞膜透過ペプチドが、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドまたはADGN-100ペプチドのアミノ酸配列を含む、ナノ粒子が提供される。一部の実施形態では、VEPEP-3ペプチドは、配列番号1~14、75および76のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-6ペプチドは、配列番号15~40および77のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-9ペプチドは、配列番号41~52および78のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ADGN-100ペプチドは、配列番号53~70、79および80のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ナノ粒子コアは、Cas9およびgRNAを含む既成複合体(Cas9/gRNA複合体)と会合している細胞膜透過ペプチドと、ドナー核酸と会合している細胞膜透過ペプチドを含む別の複合体とを含む。一部の実施形態では、ドナー核酸は、細胞膜透過ペプチドと、既成Cas9/gRNA複合体と、ドナー核酸とを含む、三元複合体中に存在する。一部の実施形態では、ナノ粒子コアは、Cas9と会合している細胞膜透過ペプチドを含む第1の複合体、およびgRNAと会合している細胞膜透過ペプチドを含む第2の複合体を含む。一部の実施形態では、ドナー核酸は、第1の複合体中に存在する。一部の実施形態では、ドナー核酸は、第2の複合体中に存在する。一部の実施形態では、修飾は、長さが約50ヌクレオチドより長い(例えば、約50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000、3000、4000、5000ヌクレオチドまたはそれより多いヌクレオチド数(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれかより長い)異種核酸の挿入である。一部の実施形態では、ドナー核酸は、二本鎖DNA分子である。ドナー核酸は、標的ポリヌクレオチドの修飾の5’側に隣接する部分を含む5’標的ホモロジー領域と相同である、5’ホモロジーアームと、標的ポリヌクレオチドの修飾の3’側に隣接する部分を含む3’標的ホモロジー領域と相同である、3’ホモロジーアームとを含む。一部の実施形態では、5’標的ホモロジー領域および/または3’標的ホモロジー領域は、標的配列中の少なくとも約1個(例えば、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20個、またはそれより多数のうちのいずれか)のヌクレオチドと重複する。一部の実施形態では、5’標的ホモロジー領域および/または3’標的ホモロジー領域は、標的配列から約1000ヌクレオチド以内(例えば、約1000、500、400、300、200、100、75、50、25、20、15、10、5または1ヌクレオチドのいずれか以内)にある。一部の実施形態では、5’ホモロジーアームおよび3’ホモロジーアームは、各々個々に、長さが約300ヌクレオチドより長い(例えば、約300、400、500、600、700、800、900、1000ヌクレオチドまたはそれより多いヌクレオチド数(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれかより長い)。
【0184】
一部の実施形態では、1つまたは複数の標的ポリヌクレオチドを修飾するためのナノ粒子であって、細胞膜透過ペプチドと、Cas9(またはCas9をコードする核酸)と、複数のgRNA(または複数のgRNAをコードする1つもしくは複数の核酸)とを含むコアを含み、複数のgRNAの各々が、個々に、1つまたは複数の標的ポリヌクレオチドのうちの1つにおける標的配列に相補的な異なるガイド配列を含み、細胞膜透過ペプチドが、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドまたはADGN-100ペプチドのアミノ酸配列を含む、ナノ粒子が提供される。一部の実施形態では、VEPEP-3ペプチドは、配列番号1~14、75および76のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-6ペプチドは、配列番号15~40および77のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-9ペプチドは、配列番号41~52および78のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ADGN-100ペプチドは、配列番号53~70、79および80のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ナノ粒子コアは、Cas9と複数のgRNAのうちの少なくとも1つとを含む既成複合体(Cas9/gRNA複合体)と会合している、細胞膜透過ペプチドを含む。一部の実施形態では、既成Cas9/gRNA複合体は、複数のgRNAの各々を含む。一部の実施形態では、ナノ粒子コアは、Cas9と会合している細胞膜透過ペプチドを含む第1の複合体、および複数のgRNAのうちの少なくとも1つと会合している細胞膜透過ペプチドを各々が含む1つまたは複数の複合体を含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の複合体は、複数のgRNAの各々を含む第2の複合体である。
【0185】
一部の実施形態では、ナノ粒子は、コアを包囲する末梢CPPを含む表面層をさらに含む。一部の実施形態では、末梢CPPは、コア中のCPPと同じである。一部の実施形態では、末梢CPPは、コア中のいずれのCPPとも異なる。一部の実施形態では、末梢CPPは、これらに限定されないが、PTDに基づくペプチド、両親媒性ペプチド、ポリアルギニンに基づくペプチド、MPGペプチド、CADYペプチド、VEPEPペプチド(例えば、VEPEP-3、VEPEP-6またはVEPEP-9ペプチド)、ADGN-100ペプチド、Pep-1ペプチドおよびPep-2ペプチドを含む。一部の実施形態では、末梢CPPは、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチド、またはADGN-100ペプチドである。一部の実施形態では、表面層中の末梢細胞膜透過ペプチドの少なくとも一部は、ターゲティング部分に連結している。一部の実施形態では、連結は、共有結合である。一部の実施形態では、ナノ粒子は、該ナノ粒子のコアと表面層との間に中間層をさらに含む。一部の実施形態では、中間層は、中間CPPを含む。一部の実施形態では、中間CPPは、コア中のCPPと同じである。一部の実施形態では、中間CPPは、コア中のいずれのCPPとも異なる。一部の実施形態では、中間CPPは、これらに限定されないが、PTDに基づくペプチド、両親媒性ペプチド、ポリアルギニンに基づくペプチド、MPGペプチド、CADYペプチド、VEPEPペプチド(例えば、VEPEP-3、VEPEP-6またはVEPEP-9ペプチド)、ADGN-100ペプチド、Pep-1ペプチドおよびPep-2ペプチドを含む。一部の実施形態では、中間CPPは、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチド、またはADGN-100ペプチドである。
【0186】
一部の実施形態では、本明細書に記載の実施形態のいずれかによるナノ粒子に含有されているgRNAまたはgDNAのガイド配列は、免疫チェックポイント制御因子、および抗原提示に関与するタンパク質を含む、免疫応答の制御に関与するタンパク質をコードする遺伝子内の標的配列に相補的である。一部の実施形態では、本明細書に記載の実施形態のいずれかによるナノ粒子に含有されているgRNAまたはgDNAのガイド配列は、コレステロール輸送および/または代謝の制御に関与するタンパク質をコードする遺伝子内の標的配列に相補的である。一部の実施形態では、ガイド配列は、限定ではないが、PD-1、PD-L1、PD-L2、TIM-1、TIM-3、TIM-4、BTLA、VISTA、LAG-3、CTLA-4、TIGIT、4-1BB、OX40、CD27、CD28、HVEM、GITR、ICOS、CD40、CD80、CD86、B7-H2、B7-H3、B7-H4、B7-H6、2B4、CD160、gp49B、PIR-B、KIRファミリー受容体、SIRPアルファ(CD47)、CD48、2B4(CD244)、B7.1、B7.2、ILT-2、ILT-4、A2aR、Toll様受容体TLR-2、3、4、6、7、8および9、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、TNF、CD40L、FLT-3リガンド、サイトカイン、例えばIL-1、IL-2、IL-4、IL-7、IL-10、IL-12、IL-15、IL-21およびIL-35、FasL、TGF-β、インドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)、主要組織適合複合体(MHC)タンパク質(ベータ2-ミクログロブリン(β2M)を含む)、LDLR、ApoB、LDLRAP1、PCSK9を含む、タンパク質をコードする遺伝子内の標的配列に相補的である。
【0187】
一部の実施形態では、本明細書に記載のナノ粒子のいずれかによれば、ナノ粒子は、ゲノム編集システム分子以外のタンパク質、または該タンパク質をコードする核酸分子(例えば、DNAプラスミドもしくはmRNA)をさらに含む。
【0188】
一部の実施形態では、本明細書に記載のナノ粒子のいずれかによれば、ナノ粒子の平均サイズ(直径)は、約10nm~約400nmであり、これは、例えば、約50nm~約200nm、約60nm~約180nm、約80nm~約140nm、および約90nm~約120nmを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子の平均サイズ(直径)は、約1000ナノメートル(nm)以下、例えば、約900、800、700、600、500、400、300、200または100nmのいずれか以下である。一部の実施形態では、ナノ粒子の直径平均値または平均直径は、約200nm以下である。一部の実施形態では、ナノ粒子の直径平均値または平均直径は、約150nm以下である。一部の実施形態では、ナノ粒子の直径平均値または平均直径は、約100nm以下である。一部の実施形態では、ナノ粒子の直径平均値または平均直径は、約10nm~約400nmである。一部の実施形態では、ナノ粒子の直径平均値または平均直径は、約20nm~約400nmである。一部の実施形態では、ナノ粒子の直径平均値または平均直径は、約30nm~約200nmである。一部の実施形態では、ナノ粒子の直径平均値または平均直径は、約40nm~約200nmである。一部の実施形態では、ナノ粒子の直径平均値または平均直径は、約40nm~約150nmである。一部の実施形態では、ナノ粒子の直径平均値または平均直径は、約40nm~約100nmである。一部の実施形態では、ナノ粒子は、滅菌濾過可能である。
【0189】
一部の実施形態では、ナノ粒子のゼータ電位は、約-30mV~約60mV(例えば、約-30、-25、-20、-10、-5、0、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55および60mV(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、ナノ粒子のゼータ電位は、約-30mV~約30mVであり、これは、例えば、約-25mV~約25mV、約-20mV~約20mV、約-15mV~約15mV、約-10mV~約10mV、および約-5mV~約10mVを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子の多分散指数(PI)は、約0.05~約0.6(例えば、約0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55および0.6(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、ナノ粒子は、実質的に非毒性である。
カーゴ
【0190】
一部の実施形態では、本明細書に記載のゲノム編集複合体またはナノ粒子のゲノム編集システム分子(例えば、RGEN)は、タンパク質またはポリペプチドである。例えば、一部の実施形態では、本明細書に記載のゲノム編集複合体またはナノ粒子は、RGEN(例えば、Cas9)を含む。一部の実施形態では、タンパク質またはポリペプチドは、約10kDa~約200kDaの間(例えば、約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190および200kDa(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体またはナノ粒子は、複数のタンパク質またはポリペプチドを含み、複数のタンパク質またはポリペプチドの各々は、約10kDa~約200kDaの間(例えば、約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190および200kDa(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。
【0191】
一部の実施形態では、本明細書に記載のゲノム編集複合体またはナノ粒子のゲノム編集システム分子(例えば、gRNA)は、核酸である。一部の実施形態では、核酸は、約20nt~約20kbの間(例えば、約0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19および20kb(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。例えば、一部の実施形態では、本明細書に記載のゲノム編集複合体またはナノ粒子は、gRNA(例えば、Cas9 gRNA)を含む。一部の実施形態では、gRNAは、約20nt~約200ntの間(例えば、約20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190および200nt(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、核酸は、DNA、例えば、ゲノム編集システム分子をコードするDNAプラスミドである。一部の実施形態では、DNAプラスミドは、ゲノム編集システム分子を発現するための発現カセットを含む。一部の実施形態では、DNAプラスミドは、約1kb~約20kbの間(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19および20kb(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、核酸は、RNA、例えば、ゲノム編集システム分子をコードするmRNAである。一部の実施形態では、mRNAは、約100nt~約10kbの間(例えば、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5および10kb(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体またはナノ粒子は、複数の核酸、例えば、本明細書に記載の核酸のいずれかを含む。例えば、一部の実施形態では、ゲノム編集複合体またはナノ粒子は、gRNAと、ゲノム編集システム分子をコードする核酸(例えば、ゲノム編集システム分子をコードするDNAプラスミドもしくはmRNA)とを含む。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体またはナノ粒子は、複数のゲノム編集システム分子をコードする核酸(例えば、複数のゲノム編集システム分子をコードする1つもしくは複数のDNAプラスミド、または複数のゲノム編集システム分子をコードする複数のmRNA)を含む。
【0192】
一部の実施形態では、本明細書に記載のゲノム編集複合体またはナノ粒子のゲノム編集システム分子(例えば、RGENまたはgRNA)は、該ゲノム編集システム分子をコードする核酸に置き換えられる。例えば、一部の実施形態では、本明細書に記載のゲノム編集複合体またはナノ粒子は、RGENをコードする核酸、および/またはgRNAをコードする核酸を含む。一部の実施形態では、核酸は、DNA、例えば、ゲノム編集システム分子をコードするDNAプラスミドである。一部の実施形態では、DNAプラスミドは、ゲノム編集システム分子を発現するための発現カセットを含む。一部の実施形態では、DNAプラスミドは、約1kb~約20kbの間(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19および20kb(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、核酸は、RNA、例えば、ゲノム編集システム分子をコードするmRNAである。一部の実施形態では、mRNAは、約100nt~約10kbの間(例えば、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5および10kb(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。
【0193】
本明細書で同義で使用される「ポリヌクレオチド」または「核酸」は、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを指し、DNAおよびRNAを含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾ヌクレオチドもしくは塩基、および/またはそれらの類似体、あるいはDNAまたはRNAポリメラーゼによってポリマーに組み込むことができる任意の基質であり得る。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチドなどの修飾ヌクレオチド、およびそれらの類似体を含むこともある。本明細書で使用される用語「核酸」は、一本鎖形態または二本鎖形態どちらかの少なくとも2つのデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドを含有するポリマーを指し、DNAおよびRNAを含む。DNAは、例えば、アンチセンス分子、プラスミドDNA、予備縮合DNA、PCR産物、ベクター(PAC、BAC、YAC、人工染色体)、発現カセット、キメラ配列、染色体DNA、またはこれらの群の誘導体および組合せの形態であってもよい。RNAは、siRNA、非対称干渉RNA(aiRNA)、マイクロRNA(miRNA)、mRNA、tRNA、rRNA、RNA、ウイルスRNA(vRNA)、およびこれらの組合せの形態であってもよい。核酸には、例えば、ロックド核酸(LNA)、アンロックド核酸(UNA)およびジップ核酸(ZNA)を含む、公知のヌクレオチド類似体または修飾された主鎖残基もしくは連結を含有する核酸であって、合成であることもあり、天然に存在することもあり、天然に存在しないこともあり、基準核酸と同様の結合特異性を有する核酸が含まれる。そのような類似体の例としては、限定ではないが、ホスホロチオエート、ホスホルアミデート、メチルホスホネート、キラル-メチルホスホネート、2’-O-メチルリボヌクレオチド、およびペプチド核酸(PNA)が挙げられる。特段の限定がない限り、この用語は、基準核酸と同様の結合特性を有する天然ヌクレオチドの公知類似体を含有する核酸を包含する。別段の指示がない限り、特定の核酸配列は、明示されている配列ばかりでなく、その保存的に修飾されたバリアント(例えば、縮重コドン置換)、アレル、オルソログ、SNPおよび相補配列も明確に包含する。具体的には、縮重コドン置換は、1つまたは複数の選択された(またはすべての)コドンの3番目の位置が混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換されている配列を生成することにより果すことができる(Batzerら、Nucleic Acid Res.、19巻:5081頁(1991年);Ohtsukaら、j . Biol. Chern.、260巻:2605~2608頁(1985年);Rossoliniら、Mol. Cell. Probes、8巻:91~98頁(1994年))。「ヌクレオチド」は
、糖デオキシリボース(DNA)またはリボース(RNA)、塩基、およびリン酸基を含有する。ヌクレオチドは、リン酸基によって互いに連結している。「塩基」は、プリンおよびピリミジンを含み、これらは、天然化合物アデニン、チミジン、グアニン、シトシン、ウラシル、イノシン、ならびにプリンおよびピリミジンの天然類似体および合成誘導体をさらに含み、合成誘導体は、これらに限定されないがアミン、アルコール、チオール、カルボキシレートおよびハロゲン化アルキルなどの、新たな反応性基を配置する修飾を、そのような修飾に限定されないが、含む。本明細書で使用される「オリゴヌクレオチド」は、一般には長さが約200ヌクレオチド未満であるが必ずしもそうでなくてもよい、短鎖の一般には合成のポリヌクレオチドを一般に指す。用語「オリゴヌクレオチド」および「ポリヌクレオチド」は、相互排他的でない。ポリヌクレオチドについての上の説明は、オリゴヌクレオチドに同等におよび完全に当てはまる。
【0194】
一部の実施形態では、核酸は、一本鎖オリゴヌクレオチドである。一部の実施形態では、核酸は、二本鎖オリゴヌクレオチドである。本明細書に記載の核酸は、アンチセンスオリゴヌクレオチド、RNAi、siRNA、shRNA、iRNA、アンタゴmirの場合には200ヌクレオチド以下、またはプラスミドDNAの場合には1000キロ塩基以下のいずれの長さ範囲であってもよいが、必ずしもそうでなくてもよい。
【0195】
一部の実施形態では、核酸は、プラスミドDNAまたはDNA断片(例えば、約1000bp以下の長さのDNA断片)である。加えて、プラスミドDNAまたはDNA断片は、高メチル化されていてもよく、または低メチル化されていてもよい。一部の実施形態では、プラスミドDNAまたはDNA断片は、1つまたは複数の遺伝子をコードし、前記1つまたは複数の遺伝子の発現に必要な制御要素を含有することができる。一部の実施形態では、プラスミドDNAまたはDNA断片は、適切な宿主細胞におけるプラスミドDNAまたはDNA断片の維持を可能にする選択可能なマーカーをコードする1つまたは複数の遺伝子を含むことができる。
修飾
【0196】
一部の実施形態では、本明細書に記載のゲノム編集複合体またはナノ粒子は、ターゲティング部分を含み、該ターゲティング部分は、細胞特異的ターゲティングおよび/または核ターゲティングが可能なリガンドである。細胞膜表面受容体および/または細胞表面マーカーは、前記リガンドに高い親和性でおよび好ましくは高い特異性で結合することができる、分子または構造である。前記細胞膜表面受容体および/または細胞表面マーカーは、好ましくは、特定の細胞に特異的であり、すなわち、別の細胞型でではなく、ある細胞型で主として見いだされる(例えば、肝細胞の表面のアシアロ糖タンパク質受容体を標的とするガラクトシル残基)。細胞膜表面受容体は、リガンド(例えば、ターゲティング部分)および結合分子(例えば、本発明の複合体またはナノ粒子)の細胞ターゲティングおよび標的細胞への内在化を助長する。本発明に関して使用することができる多数のリガンド部分/リガンド結合パートナーは、文献に広く記載されている。そのようなリガンド部分は、所与の結合パートナー分子とまたは少なくとも1つの標的細胞の表面に局在する結合パートナー分子のクラスと結合する能力を、本発明の複合体またはナノ粒子に付与することができる。好適な結合パートナー分子としては、限定ではないが、細胞特異的マーカー、組織特異的マーカー、細胞受容体、ウイルス抗原、抗原性エピトープおよび腫瘍関連マーカーからなる群から選択されるポリペプチドが挙げられる。結合パートナー分子は、さらに、例えば1つまたは複数の糖、脂質、糖脂質、抗体分子もしくは抗体分子の断片、またはアプタマーからなることもあり、あるいはこれらを含むこともある。本発明によれば、リガンド部分は、例えば、脂質、糖脂質、ホルモン、糖、ポリマー(例えば、PEG、ポリリシン、PET)、オリゴヌクレオチド、ビタミン、抗原、レクチンのすべてもしくは一部、例えばJTS1(WO94/40958)などのポリペプチドのすべてもしくは一部、抗体もしくはその断片、またはそれらの組合せであってもよい。一部の実施形態では、本発明で使用されるリガンド部分は、7アミノ酸の最小長を有するペプチドまたはポリペプチドである。リガンド部分は、天然ポリペプチドであるか、または天然ポリペプチドに由来するポリペプチドである。「由来する」は、(a)天然配列に対する1つもしくは複数の修飾(例えば、1つもしくは複数の残基の付加、欠失および/もしくは置換)、(b)天然に存在しないアミノ酸を含む、アミノ酸類似体、(c)置換されている連結、または(d)当技術分野において公知の他の修飾を含有することを意味する。リガンド部分として役立つポリペプチドは、例えば、マウス抗体の可変領域およびヒト免疫グロブリンの定常領域を併せ持つヒト化抗体などの、様々な起源の配列を融合させることにより得られるバリアントおよびキメラポリペプチドを包含する。加えて、そのようなポリペプチドは、直鎖状または環化構造を(例えば、システイン残基をポリペプチドリガンドの両端に隣接させることにより)有し得る。加えて、リガンド部分として使用されているポリペプチドは、化学的部分の置換または付加によるその原構造の修飾(例えば、グリコシル化、アルキル化、アセチル化、アミド化、リン酸化、スルフヒドリル基の付加など)を含み得る。本発明は、リガンド部分を検出できるようにする修飾をさらに企図している。このために、検出可能な部分(すなわち、シンチグラフィック、放射性もしくは蛍光部分、または色素標識など)での修飾を、予想することができる。そのような検出可能な標識を、いずれの従来の技法によりリガンド部分に結合させてもよく、診断目的(例えば、腫瘍細胞のイメージング)に使用してもよい。一部の実施形態では、結合パートナー分子は、抗原(例えば、標的細胞特異的抗原、疾患特異的抗原、改変標的細胞の表面で特異的に発現される抗原)であり、リガンド部分は、抗体、その断片または最小認識単位(例えば、抗原特異性をなお提示する断片)、例えば、免疫学マニュアル(例えば、Immunology、第3版、1993年、Roitt、BrostoffおよびMale、編集Gambli、Mosbyを参照されたい)に詳細に記載されているものである。リガンド部分は、モノクローナル抗体であってもよい。これらの抗原の多くに結合する多くのモノクローナル抗体が既知であり、モノクローナル抗体技術に関して当技術分野において公知の技法を使用して、ほとんどの抗原に対する抗体を調製することができる。リガンド部分は、抗体の一部(例えば、Fab断片)であってもよく、または合成抗体断片(例えば、ScFv)であってもよい。一部の実施形態では、リガンド部分は、全抗体ではなく、抗体断片の中から選択される。補体結合などの全抗体の有効な機能は除去される。ScFvおよびdAb抗体断片は、1つまたは複数の他のポリペプチドとの融合体として発現されることもある。最小認識単位は、Fv断片の相補性決定領域(CDR)の1つまたは複数についての配列に由来することもある。全抗体、およびF(ab’)2断片は、「二価」である。「二価」とは、前記抗体およびF(ab’)2断片が2つの抗原結合部位を有することを意味する。対照的に、Fab、Fv、ScFv、dAb断片および最小認識単位は一価であり、抗原結合部位を1つしか有さない。一部の実施形態では、リガンド部分は、腫瘍細胞へのターゲティングを可能にし、および腫瘍の状態に関連づけられる分子、例えば、腫瘍特異的抗原、腫瘍細胞において差次的にもしくは過剰発現される細胞タンパク質、またはがん関連ウイルス(cancer-associated vims)の遺伝子産物を認識することができ、それらと結合することができる。腫
瘍特異的抗原の例としては、乳がんに関連づけられるMUC-1(Hareuven iら、99
0、Eur. J. Biochem 189巻、475~486頁)、乳がんおよび卵巣がんに関連
づけられる変異BRCA1およびBRCA2遺伝子によりコードされている産物(Mikiら、1994年、Science 226巻、66~71頁;Fuirealら、1994年、Science
226巻、120~122頁;Woosterら、1995年、Nature 378巻、789~7
92頁)、結腸がんに関連づけられるAPC(Poiakis、1995年、Curr. Opin. Genet. Dev. 5巻、66~71頁)、前立腺がんに関連づけられる前立腺特異的抗原(P
SA)(Stameyら、1987年、New England J. Med. 317巻、909頁)、結腸がんに関連づけられる癌胎児抗原(CEA)(Schreweら、1990年、Mol. Cell. Biol. 10巻、2738~2748頁)、メラノーマに関連づけられるチロシナーゼ(Vileら、1993年、Cancer Res. 53巻、3860~3864頁)、メラノーマ細胞に
おいて高度に発現されるメラニン細胞刺激ホルモン(MSH)の受容体、乳がんおよび膵臓がんに関連づけられるErbB-2(Harrisら、1994年、Gene Therapy 1巻、
170~175頁)、ならびに肝がんに関連づけられるアルファ-フェトプロテイン(Kanaiら、1997年、Cancer Res. 57巻、461~465頁)が挙げられるが、これ
らに限定されない。一部の実施形態では、リガンド部分は、MUC-1抗原を認識すること、およびMUC-1抗原と結合することができ、したがってMUC-1陽性腫瘍細胞を標的とすることができる、抗体の断片である。一部の実施形態では、リガンド部分は、MUC-1抗原のタンデムリピート領域を認識するSM3モノクローナル抗体のscFv断片である(Burshellら、1987年、Cancer Res.47巻、5476~5482頁;Girlingら、1989年、Int. J. Cancer 43巻、1072~1076頁;Dokurnoら、1998年、J. Mol. Biol. 284巻、713~728頁)。腫瘍細胞において差次的
にまたは過剰発現される細胞タンパク質の例としては、一部のリンパ系腫瘍において過剰発現されるインターロイキン2(IL-2)の受容体、肺癌細胞、膵臓、前立腺および胃腫瘍において過剰発現されるGRP(ガストリン放出ペプチド)(Michaelら、1995
年、Gene Therapy 2巻、660~668頁)、TNF(腫瘍壊死因子)受容体、上皮
増殖因子受容体、Fas受容体、CD40受容体、CD30受容体、CD27受容体、OX-40、α-vインテグリン(Brooksら、994、Science 264巻、569頁)、
およびある特定の血管新生増殖因子の受容体(Hanahan、1997年、Science 277巻、48頁)が挙げられるが、これらに限定されない。これらの指標に基づいて、そのようなタンパク質を認識することおよびそのようなタンパク質と結合することができる適切なリガンド部分を定義することは、当業者の範囲内である。例を挙げて説明すると、IL-2は、TL-2受容体と結合するための好適なリガンド部分である。線維症および炎症に特異的である受容体の場合、これらは、TGFベータ受容体またはアデノシン受容体を含み、該受容体は、上文で確認され、本発明の組成物の好適な標的である。多発性骨髄腫の細胞表面マーカーは、これらに限定されないがCD56、CD40、FGFR3、CS1、CD138、IGF1R、VEGFRおよびCD38を含み、本発明の組成物の好適な標的である。これらの細胞表面マーカーと結合する好適なリガンド部分としては、抗CD56、抗CD40、PRO-001、Chir-258、HuLuc63、抗CD138-DM1、抗IGF1Rおよびベバシズマブが挙げられるが、これらに限定されない。
標的
【0197】
一部の実施形態では、本明細書に記載のゲノム編集複合体またはナノ粒子は、以下のものを含むがそれらに限定されない、1つまたは複数の遺伝子を標的とするゲノム編集システムの1つまたは複数の分子(例えば、全ゲノム編集システム)を含む:アデノシン受容体A2A、アデノシン受容体A2B、アデニリルシクラーゼ、Akt、ALK、ALK/Met、アンジオポエチン受容体、アンジオテンシンII、APC、AR、ARK5、アレスチン、ATF1、ATF-2、B7-1、B7-h1(pdl-1)、β-カテニン、Bcl-2、BCL2L12、Bcl6、Bcr-Abl、BRAF、BRCA1、BRCA2、BTK、カスパーゼ-2、カスパーゼ-9、CCL2、CCN1、Ccnd2、CDK活性化キナーゼ、CEBPA、Chop、c-Jun、c-Myc、CREB、CREB1、CS1、CTGF、CTNNB1、CXCR4、サイクリンd1~2、サイクリン依存性キナーゼ(Cdk1~13)、DEPTOR、DNMT3B、DPC4、EBOVポリメラーゼL、EGF、EGFR、eIF5A、Elk-1、ER、Erbb4、ERK、ESR1、Ets1、EWSR1、FAK、FGF、FGFR、FOXO1、Frizzledファミリー受容体(FZD-1~10)、Fyn、GATA1、GATA3、GLI1、GM-CSF、GP/sGP、GSK、HBV保存配列、HDAC、HDGF、HDGFR、Her2、Her3、ヘキソキナーゼII、HGF、HGFR、HIF-1、HIF-1α、ヒストンメチルトランスフェラーゼEZH2、HIV TAR
RNA、HIV Tat、HLA-B7/ベータ2-ミクログロブリン、HMGA2、HNF1A、HNF1B、Hsp27、HSP47、ヒトCCR5、Idh1、Idh2、IGF、IGFR、IKK、IKZF1、IL-12、IL-2、INK4、インターフェロンガンマ、IRF1、IRF4、JAK、JNK、ケラチン16、ケラチン17、ケラチンK6A、ケラチンK6B、KGFR、KLF6、KRAS、LMO、LMO1、LMP2、LMP7、LOXL2、LPL、LYL1、MADR2、MAPK、Max、Mcl-1、MDA-7、MDM2、MDR-1、MDS1-EVI1、MECL-1、MEF2C、MEK、MEKK、MKK、MLH1、MLST8、MMP-2、MMP-9、MSFR、MSH2、MSH6、MSIN1、mTOR、MUC-1、変異型DDX3X、MYC、NCAP-D2、NCAP-D3、NCAP-G、NCAP-G2、NCAP-H、NCAP-H2、NF1、NF2、NFAT4、NF-κB、Notch1、NPC1、NR4A3、NRAS、Olig2、オステオポンチン、p53、PAI-1、PARP-1、Patched、PAX3、PAX5、PAX7、PBX1、PDCD4、PDGF、PDGFR、PDK1、PHOX2B、PI3K、PKA、PKC、PKN3、PLK-1、PML、PR、PRAS40、PRDM16、Prdx1およびPrdx2(バーキットリンパ腫)、Pre-gen/Pre-C、Pre-S1、Pre-S2/S、PTC、PTEN、Pyk2、Rad51、RAF、RAPTOR、Rb、RET、RICTOR、RPN13、RRM2、RSVヌクレオカプシド、RUNX1、S6キナーゼ、Sap1a、SETBP1、Shc、SLAMF7、Smad、Smad 3、Smad 4、Smad 7、SMC-2、SMC-4、スムーズンド、SOX9、SPARC、Spry2、Src、β-2アドレナリン受容体(ADRB2)、β-グロビン、STAT5B、STAT、サバイビン、Syk、Tal、TAL1、TGFR、TGF-α、TGF-β、TGFβ受容体1、TGFβ受容体2、TGFβ受容体3、TGFβ1、トロンボスポンジン、チミジンキナーゼ、TIM-1、TIMP、TNF-α、TP53、トランスサイレチン、TRPV1、ユビキチンリガーゼ、uPAR、VEGF、VEGFR、VEGFR1、VEGFR2、VEGFR3、VHL、VP24、VP30、VP35、VP40、wnt、WT1、WT2、XBP1(スプライシングされたものおよびスプライシングされていないもの)、XIAP、およびZBTB16(これらの変異型(例えば、変異型PTEN、変異型KRAS、変異型p53など)を含む)。例えば、一部の実施形態では、ゲノム編集複合体またはナノ粒子は、RGENに基づくゲノム編集システム(例えば、CRISPR/Cas9ゲノム編集システム)の1つまたは複数の分子を含み、RGENに基づくゲノム編集システムは、本明細書に記載の遺伝子のうちの1つを標的とするgRNAを含む。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体またはナノ粒子は、DGENに基づくゲノム編集システムの1つまたは複数の分子を含み、DGENに基づくゲノム編集システムは、本明細書に記載の遺伝子のうちの1つを標的とするgDNAを含む。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体またはナノ粒子は、ZFNに基づくゲノム編集システムの1つまたは複数の分子を含み、ZFNは、本明細書に記載の遺伝子のうちの1つを標的とする。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体またはナノ粒子は、TALENに基づくゲノム編集システムの1つまたは複数の分子を含み、TALENは、本明細書に記載の遺伝子のうちの1つを標的とする。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体またはナノ粒子は、ホーミングエンドヌクレアーゼに基づくゲノム編集システムの1つまたは複数の分子を含み、ホーミングエンドヌクレアーゼは、本明細書に記載の遺伝子のうちの1つを標的とする。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体またはナノ粒子は、インテグラーゼに基づくゲノム編集システムの1つまたは複数の分子を含み、インテグラーゼは、本明細書に記載の遺伝子のうちの1つを標的とする。
核酸誘導型エンドヌクレアーゼ
【0198】
一部の実施形態では、核酸誘導型エンドヌクレアーゼは、CRISPR関連ヌクレアーゼである。一般に、CRISPR(クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート)は、SPIDR(スペーサー散在型ダイレクトリピート(SPacer Interspersed Direct Repeat))としても公知であり、特定の細菌種に通常は特異的であるDNA座位のファミリーを構成する。CRISPR座位は、E.coliで認められた散在型の短い配列リピート(SSR)の別のクラス(Ishinoら、J. Bacteriol.、169巻:5429~5433頁[1987年];およびNakataら、J. Bacteriol.、171巻:3553~3556頁[1989年)]、および関連遺伝子を含む。類似の散在型SSRが、Haloferax mediterranei、Streptococcus pyogenes、Anabaena、およびMycobacterium tuberculosisにおいて同定されている(Groenenら、Mol. Microbiol.、10巻:1057~1065
頁[1993年];Hoeら、Emerg. Infect. Dis.、5巻:254~263頁[1999年];Masepohlら、Biochim. Biophys. Acta 1307巻:26~30頁[1996年];およびMojicaら、Mol. Microbiol.、17巻:85~93頁[1995年]を参照されたい)。CRISPR座位は、典型的に、リピートの構造が他のSSRとは異なり、その構造は、短い規則的な間隔のリピート(SRSR)と呼ばれている(Janssenら、OMICS
J. Integ. Biol.、6巻:23~33頁[2002年];およびMojicaら、Mol. Microbiol.、36巻:244~246頁[2000年])。一般に、リピートは、実質的に
一定の長さを有する特有の介在配列により規則的に間隔が空いているクラスター内に存在する短いエレメントである(Mojicaら、[2000年]、上掲)。リピート配列は、系統間で高度に保存されるが、介在リピートの数およびスペーサー領域の配列は、通常は株によって異なる(van Embdenら、J. Bacteriol.、182巻:2393~2401頁[2
000年])。CRISPR座位は、これらに限定されないが、Aeropyrum、Pyrobaculum、Sulfolobus、Archaeoglobus、Halocarcula、Methanobacterium、Methanococcus、Methanosarcina、Methanopyrus、Pyrococcus、Picrophilus、Thermoplasma、Corynebacterium、Mycobacterium、Streptomyces、Aquifex、Porphyromonas、Chlorobium、Thermus、Bacillus、Listeria、Staphylococcus、Clostridium、Thermoanaerobacter、Mycoplasma、Fusobacterium、Azarcus、Chromobacterium、Neisseria、Nitrosomonas、Desulfovibrio、Geobacter、Myxococcus、Campylobacter、Wolinella、Acinetobacter、Erwinia、Escherichia、Legionella、Methylococcus、Pasteurella、Photobacterium、Salmonella、Xanthomonas、Yersinia、Treponema、およびThermotogaを含む、40を超える原核生物において同定されている(例えば、Jansenら、Mol.
Microbiol.、43巻:1565~1575頁[2002年];およびMojicaら、[2005年]を参照されたい)。
【0199】
一般に、「CRISPRシステム」は、CRISPR関連(「Cas」)ヌクレアーゼ(例えば、RNA誘導型エンドヌクレアーゼ、または「RGEN」)の活性に関与するタンパク質、転写物および他の分子をまとめて指し、そのようなタンパク質、転写物および他の分子には、Cas遺伝子産物、Cas遺伝子配列、tracr(トランス活性化CRISPR)配列(例えば、tracrRNAもしくは活性な部分的tracrRNA)、tracrメイト配列(内因性CRISPRシステムに関しては、「ダイレクトリピート」、およびプロセシングされたtracrRNAの部分的ダイレクトリピートを含む)、ガイド配列(内因性CRISPRシステムに関しては「スペーサー」とも称される)、またはCRISPR座位に由来する他の配列、転写物および産物が含まれる。一部の実施形態では、CRISPRシステムの1つまたは複数の分子は、I型、II型またはIII型CRISPRシステムに由来する。一部の実施形態では、CRISPRシステムの1つまたは複数の分子は、Streptococcus pyogenesなどの、内因性CRISPRシステムを有する特定の生物に由来する。一般に、CRISPRシステムは、標的配列の部位でのCRISPR複合体の形成を促進する分子(内因性CRISPRシステムに関してはプロトスペーサーとも称される)を特徴とする。CRISPR複合体の形成に関して、「標的配列」は、ガイド配列が相補性を有するように設計される配列であって、標的配列とガイド配列との間のハイブリダイゼーションがCRISPR複合体の形成を促進する、配列を指す。ハイブリダイゼーションを引き起こし、CRISPRの形成を促進するのに十分な相補性があるのであれば、必ずしも完全相補性は必要でない。標的配列は、DNAまたはRNAポリヌクレオチドなどの、任意のポリヌクレオチドを含み得る。一部の実施形態では、標的配列は、細胞の核または細胞質中に存在する。一部の実施形態では、標的配列は、真核細胞の小器官、例えば、ミトコンドリアまたは葉緑体内に存在することもある。標的配列を含む標的座位への組換えに使用することができる配列または鋳型は、「編集鋳型」、「編集ポリヌクレオチド」、「編集配列」、「ドナー配列」または「ドナー核酸」と称される。本発明の態様では、外来性鋳型ポリヌクレオチドは、編集鋳型と称されることもある。本発明の態様では、組換えは、相同組換えである。
【0200】
典型的に、内因性CRISPRシステムに関して、CRISPR複合体(標的配列にハイブリダイズされ、1つまたは複数のCasタンパク質と複合体を形成しているガイド配列を含む、CRISPR複合体)の形成は、結果として、標的配列内または付近(例えば、標的配列から1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、50、またはそれより多い塩基対以内)において一方または両方の鎖が開裂されることになる。野生型tracr配列のすべてもしくは一部分(例えば、野生型tracr配列の、約20、26、32、45、48、54、63、67、85、もしくはそれより多いヌクレオチド、またはこれらのおよその数より多いヌクレオチド)を含むことまたはそれらからなることがあるtracr配列は、ガイド配列に作動可能に連結しているtracrメイト配列のすべてまたは一部分への、tracr配列の少なくとも一部分に沿ってのハイブリダイゼーションなどにより、CRISPR複合体の一部を形成することもある。一部の実施形態では、tracr配列は、tracrメイト配列との相補性であって、ハイブリダイズするのにおよびCRISPR複合体の形成に関与するのに十分な相補性を有する。標的配列と同様に、十分機能するのであれば、完全相補性は必要ないと考えられる。一部の実施形態では、tracr配列は、最適にアラインされたとき、tracrメイト配列の長さに沿って少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%または99%の配列相補性を有する。一部の実施形態では、CRISPRシステムの1つまたは複数の分子は、1つまたは複数の標的部位でCRISPR複合体の形成が起こり得るように、宿主細胞に導入される。例えば、Casヌクレアーゼ、tracrメイト配列に連結しているガイド配列、およびtracr配列を、各々、宿主細胞に導入して、ガイド配列に相補的な宿主細胞内の標的配列におけるCRISPR複合体の形成を可能にすることができるだろう。
【0201】
Casタンパク質の非限定的な例としては、Cas1、Cas1B、Cas2、Cas3、Cas4、Cas5、Cas6、Cas7、Cas8、Cas9(Csn1およびCsx12としても公知)、Cas10、Cpf1、Csy1、Csy2、Csy3、Cse1、Cse2、Csc1、Csc2、Csa5、Csn2、Csm2、Csm3、Csm4、Csm5、Csm6、Cmr1、Cmr3、Cmr4、Cmr5、Cmr6、Csb1、Csb2、Csb3、Csx17、Csx14、Csx10、Csx16、CsaX、Csx3、Csx1、Csx15、Csf1、Csf2、Csf3、Csf4、これらのホモログ、またはこれらの修飾バージョン、例えば、誘導性、不活性化またはスプリットCasタンパク質が挙げられる(例えば、Dominguezら(2015年). Nature Reviews Molecular Cell Biology;Polstein, L. R.、およびGersbach, C. A.(2
015年). Nature chemical biology、11巻(3号):198~200頁;Dowら
(2015年). Nature biotechnology、33巻(4号)390~394頁;Zetsche
ら(2015年). Nature biotechnology、33巻(2号):139~142頁;Kleinstiverら(2015年). Nature. 523巻:481~485頁;Bikardら(201
3年). Nucleic acids research、41巻(15号)7429~7437頁;Qiら(
2013年). Cell、152巻(5号):1173~1183頁を参照されたい)。こ
れらの酵素は、当業者に公知である。例えば、S.pyrogenes Cas9タンパク質のアミノ酸配列は、SwissProtデータベースにおいて受託番号Q99ZW2で見つけることができ、Acidaminococcus sp.Cpf1タンパク質のアミノ酸配列は、SwissProtデータベースにおいて受託番号U2UMQ6で見つけることができる。一部の実施形態では、非修飾CRISPR酵素、例えばCas9は、DNA開裂活性を有する。一部の実施形態では、CRISPR酵素は、Cas9であり、S.pyogenesまたはS.pneumoniaeからのCas9であり得る。一部の実施形態では、CRISPR酵素は、Cpf1であり、AcidaminococcusまたはLachnospiraceaeからのCpf1であり得る。一部の実施形態では、CRISPR酵素は、一方または両方の鎖の、標的配列の位置での、例えば、標的配列内および/または標的配列の相補配列内での、開裂を指示する。一部の実施形態では、CRISPR酵素は、一方または両方の鎖の、標的配列の第1のまたは最後のヌクレオチドから約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、50、100、200、500またはそれより多い塩基対以内での、開裂を指示する。一部の実施形態では、CRISPR酵素は、対応する野生型酵素に対して、変異したCRISPR酵素が、標的配列を含有する標的ポリヌクレオチドの一方または両方の鎖を開裂させる能力を欠くように、変異される。例えば、S.pyrogenesからのCas9のRuvC I触媒ドメインにおけるアスパラギン酸のアラニンへの置換(D10A)は、両方の鎖を開裂させるヌクレアーゼからのCas9を(単一の鎖を開裂させる)ニッカーゼに転換する。Cas9をニッカーゼにする変異の他の例としては、限定ではないが、H840A、N854A、およびN863Aが挙げられる。一部の実施形態では、Cas9ニッカーゼを、ガイド配列、例えば、DNA標的のセンスおよびアンチセンス鎖をそれぞれ標的とする2つのガイド配列と組み合わせて使用することができる。この組合せにより両方の鎖に切れ目を入れることができ、この組合せは、NHEJを導入するために使用される。
【0202】
さらなる例としては、Cas9の2つまたはそれより多い触媒ドメイン(RuvC I、RuvC II、およびRuvC III)を変異させて、すべてのDNA開裂活性を実質的に欠いている変異したCas9を産生することができる。一部の実施形態では、すべてのDNA開裂活性を実質的に欠いているCas9酵素を産生するためにD10A変異がH840A、N854A、またはN863Aと併用される。一部の実施形態では、CRISPR酵素は、変異した酵素のDNA開裂活性がその変異していない形態に対して約25%未満、10%、5%、1%、0.1%、0.01%、またはそれ未満である場合、すべてのDNA開裂活性を実質的に欠いていると見なされる。他の変異が有用であることもあり、Cas9または他のCRISPR酵素がS.pyogenes以外の種からのものである場合、対応するアミノ酸の変異を行って同様の効果を達成することができる。
【0203】
一部の実施形態では、Casタンパク質(例えば、Cas9)は、N末端Casタンパク質断片であるCas(N)と、C末端Casタンパク質断片であるCas(C)とを含む、スプリットCasタンパク質であって、Cas(N)が、第1の二量体化ドメインに融合しており、Cas(C)が第2の二量体化ドメインに融合しており、第1および第2の二量体化ドメインが、機能性Casヌクレアーゼ活性を有する複合体を形成するためのCas(N)とCas(C)の二量体化を助長する、スプリットCasタンパク質である。一部の実施形態では、第1および第2の二量体化ドメインの二量体化は、二量体化剤に対して感受性がある。例えば、一部の実施形態では、第1および第2の二量体化ドメインは、FK506結合タンパク質12(FKBP)と、哺乳動物ラパマイシン標的タンパク質(mTOR)のFKBPラパマイシン結合(FRB)ドメインとを含み、二量体化剤は、ラパマイシンである。
【0204】
一部の実施形態では、CRISPR酵素をコードする酵素コード配列は、真核細胞などの特定の細胞における発現のためにコドン最適化される。真核細胞は、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、イヌまたは非ヒト霊長類を含むがこれらに限定されない哺乳動物などの、特定の生物のものであってもよく、またはそれに由来するものであってもよい。一般に、コドン最適化は、目的の宿主細胞における発現増強のために核酸配列を修飾するプロセスであって、天然配列の少なくとも1つのコドン(例えば、約1、2、3、4、5、10、15、20、25、50、もしくはそれより多いコドン、またはこれらのおよその数より多いコドン)を、天然アミノ酸配列を維持しているときのその宿主細胞の遺伝子の中でより使用頻度が高いまたは最も使用頻度が高いコドンに置き換えることによるプロセスを指す。様々な種は、特定のアミノ酸のある特定のコドンについて特定のバイアスを示す。コドンバイアス(生物間のコドン使用頻度の差)は、メッセンジャーRNA(mRNA)の翻訳効率と相関することが多く、そしてまたその翻訳効率は、数ある中でも特に、翻訳されることになるコドンの特性、および特定の転移RNA(tRNA)分子の利用可能性に依存すると考えられる。細胞内の選択されたtRNAの優位性は、一般に、ペプチド合成で最も多く使用されるコドンの影響である。したがって、遺伝子をコドン最適化に基づいて所与の生物における最適な遺伝子発現に合わせることができる。コドン使用頻度表は、例えば「Codon Usage Database」で容易に入手することができ、これらの表をいくつかの方法で適応させることができる。Nakamura, Y.ら、「Codon usage tabulated from the international DNA sequence databases: status for the year 2000」Nucl. Acids Res. 28巻:292頁(2000年)を参照された
い。特定の宿主細胞における発現のために特定の配列をコドン最適化するコンピュータアルゴリズムも利用することができ、例えば、Gene Forge(Aptagen;Jacobus、Pa.)も利用することができる。一部の実施形態では、CRISPR酵素をコードする配列内の1つまたは複数のコドン(例えば、1、2、3、4、5、10、15、20、25、50もしくはそれより多い、またはすべてのコドン)は、特定のアミノ酸について最も使用頻度が高いコドンに相当する。
【0205】
一部の実施形態では、CRISPR酵素は、1つまたは複数の核内移行配列(NLS)、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、もしくはそれより多いNLS、またはこれらのおよその数より多いNLSを含む。一部の実施形態では、CRISPR酵素は、アミノ末端またはその付近に約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、もしくはそれよりも多いNLS、またはこれらのおよその数より多いNLSを含むか、カルボキシ末端にまたはその付近に約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、もしくはそれより多いNLS、またはこれらのおよその数より多いNLSを含むか、あるいはこれらの組合せ(例えば、アミノ末端に1つまたは複数のNLS、およびカルボキシ末端に1つまたは複数のNLS)を含む。1つより多いNLSが存在する場合、各々を互いに独立して選択することができ、したがって、単一のNLSが、1つより多いコピーに存在することもあり、および/または1つもしくは複数のコピーに存在する1つもしくは複数の他のNLSとの組合せで存在することもある。一部の実施形態では、CRISPR酵素は、最大で6つのNLSを含む。一部の実施形態では、NLSは、NLSの最近接アミノ酸が、ポリペプチド鎖に沿ってNまたはC末端から約1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、40、50またはそれより多いアミノ酸以内にある場合、NまたはC末端付近にあると見なされる。典型的に、NLSは、タンパク質表面に露出している正荷電リシンまたはアルギニンの1つまたは複数の短い配列からなるが、他のタイプのNLSも公知である。NLSの非限定的な例としては、次のものに由来するNLS配列が挙げられる:アミノ酸配列PKKKRKV(配列番号83)を有する、SV40ウイルスラージT抗原のNLS;ヌクレオプラスミンからのNLS(例えば、配列KRPAATKKAGQAKKKK(配列番号84)を有するヌクレオプラスミン二分NLS);アミノ酸配列PAAKRVKLD(配列番号85)もしくはRQRRNELKRSP(配列番号86)を有するc-myc NLS;配列NQSSNFGPMKGGNFGGRSSGPYGGGGQYFAKPRNQGGY(配列番号87)を有するhRNPA1 M9 NLS;インポーチン-アルファからのIBBドメインの配列RMRIZFKNKGKDTAELRRRRVEVSVELRKAKKDEQILKRRNV(配列番号88);筋腫Tタンパク質の配列VSRKRPRP(配列番号89)およびPPKKARED(配列番号90);ヒトp53の配列PQPKKKPL(配列番号91);マウスc-ab1 IVの配列SALIKKKKKMAP(配列番号92);インフルエンザウイルスNS1の配列DRLRR(配列番号93)およびPKQKKRK(配列番号94);肝炎ウイルスデルタ抗原の配列RKLKKKIKKL(配列番号95);マウスMx1タンパク質の配列REKKKFLKRR(配列番号96);ヒトポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼの配列KRKGDEVDGVDEVAKKKSKK(配列番号97);およびステロイドホルモン受容体(ヒト)グルココルチコイドの配列RKCLQAGMNLEARKTKK(配列番号98)。
【0206】
一般に、ガイド配列は、標的ポリヌクレオチド配列との、該標的配列とハイブリダイズするのに十分な、およびCRISPR複合体の配列特異的結合を標的配列に指向させるのに十分な、相補性を有する、任意のポリヌクレオチド配列である。一部の実施形態では、ガイド配列とその対応する標的配列との相補性度は、好適なアラインメントアルゴリズムを使用して最適にアラインされたとき、約50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、97.5%、99%、もしくはそれより高い、またはこれらのおよその値より高い。最適なアラインメントは、配列をアラインするための任意の好適なアルゴリズムの使用で決定することができ、そのようなアルゴリズムの非限定的な例としては、Smith-Watermanアルゴリズム、Needleman-Wunschアルゴリズム、Burrows-Wheeler Transformに基づくアルゴリズム(例えば、Burrows Wheeler Aligner)、ClustalW、Clustal X、BLAT、Novoalign(Novocraft Technologies、ELAND(Illumina、San Diego、Calif.)、SOAP(soap.genomics.org.cnで入手可能)、およびMaq(maq.sourceforge.netで入手可能)が挙げられる。一部の実施形態では、ガイド配列は、長さが約5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、75、もしくはそれより多いヌクレオチド、またはこれらのおよその数より多いヌクレオチドである。一部の実施形態では、ガイド配列は、長さが約75、50、45、40、35、30、25、20、15、12、もしくはそれより少ないヌクレオチド未満である。CRISPR複合体の配列特異的結合を標的配列に指向させるガイド配列の能力を、任意の好適なアッセイにより評定することができる。例えば、試験されることになるガイド配列を含むCRISPR複合体を形成するのに十分なCRISPRシステムの成分を、対応する標的配列を有する宿主細胞に供給し、その後、本明細書に記載のサーベイヤーアッセイなどにより標的配列内での優先的開裂を評定することができる。同様に、標的ポリヌクレオチド配列の開裂は、標的配列と、試験されることになるガイド配列を含むCRISPR複合体の成分と、被験ガイド配列とは異なる対照ガイド配列とを供給し、標的配列への結合および標的配列における開裂率を被験ガイド配列反応と対照ガイド配列反応間で比較することにより、試験管の中で評価することができる。他のアッセイも可能であり、当業者には思い当たるであろう。
【0207】
任意の標的配列を標的にするためのガイド配列を選択することができる。一部の実施形態では、標的配列は、細胞のゲノム内の配列である。例示的な標的配列としては、標的ゲノムに特有であるものが挙げられる。一部の実施形態では、ガイド配列は、該ガイド配列内の二次構造度を低下させるように選択される。二次構造は、任意の好適なポリヌクレオチドフォールディングアルゴリズムにより決定することができる。一部のプログラムは、最小ギブズ自由エネルギーの算出に基づく。1つのそのようなアルゴリズムの例は、ZukerおよびStiegler(Nucleic Acids Res. 9巻(1981年)、133~148頁)により説明されたような、mFoldである。フォールディングアルゴリズムの別の例は、重心構造予測アルゴリズムを使用する、ウィーン大学の理論化学研究所(Institute for Theoretical Chemistry at the University of Vienna)で開発さ
れた、オンラインウェブサーバーRNAfoldである(例えば、A. R. Gruberら、2008年、Cell 106巻(1号):23~24頁;ならびにP A CarrおよびG M Church、2009年、Nature Biotechnology 27巻(12号):1151~62頁を参
照されたい)。さらなるアルゴリズムは、参照により本明細書に組み入れられている米国特許出願第61/836,080号において見つけることができる。
【0208】
一般に、tracrメイト配列は、tracr配列との相補性であって、(1)対応するtracr配列を含有する細胞内のtracrメイト配列と隣接したガイド配列の切除、および(2)標的配列での、tracr配列にハイブリダイズされたtracrメイト配列を含むCRISPR複合体の形成、のうちの1つまたは複数を促進するのに十分な相補性を有する、任意の配列を含む。一般に、相補性度は、tracrメイト配列とtracr配列との、これら2配列の短い方の長さに沿っての、最適なアラインメントに関するものである。最適なアラインメントは、任意の好適なアラインメントアルゴリズムにより決定することができ、tracr配列内またはtracrメイト配列内のどちらかでの自己相補性などの、二次構造をさらに説明することができる。一部の実施形態では、tracr配列とtracrメイト配列との、これら2配列の短い方の長さに沿っての、相補性度は、最適にアラインされたとき、約25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、97.5%、99%、もしくはそれより高い、またはこれらのおよその値より高い。一部の実施形態では、tracr配列は、長さが約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、40、50、もしくはそれより多いヌクレオチド、またはこれらのおよその数より多いヌクレオチドである。一部の実施形態では、ガイド配列、tracr配列およびtracrメイト配列は、単一のRNA内に含有され(本明細書では「単一ガイドRNA」または「sgRNA」と称される)、その結果、tracr配列とtracrメイト配列間のハイブリダイゼーションにより、ヘアピンなどの二次構造が生成される。ヘアピン構造での使用に好ましいループ形成配列は、長さが4ヌクレオチドであり、最も好ましくは配列GAAAを有する。しかし、より長いまたはより短いループ配列を使用することができ、代替配列を使用することもできる。配列は、好ましくは、ヌクレオチドトリプレット(例えば、AAA)、および追加のヌクレオチド(例えば、CまたはG)を含む。ループ形成配列の例としては、CAAAおよびAAAGが挙げられる。本発明の実施形態では、sgRNAは、少なくとも2つまたはそれより多いヘアピンを有する。好ましい実施形態では、sgRNAは、2つ、3つ、4つまたは5つのヘアピンを有する。本発明のさらなる実施形態では、sgRNAは、最大で5つのヘアピンを有する。一部の実施形態では、sgRNAは、転写終結配列をさらに含み、好ましくは、これは、ポリT配列、例えば6Tヌクレオチドである。
【0209】
一部の実施形態では、ドナー核酸も提供される。一部の実施形態では、ドナー核酸は、CRISPR複合体の一部としてのCRISPR酵素により切り目を入れられたまたは開裂された標的内またはその付近などでの、相同組換えにおいて鋳型として役立つように設計される。ドナー核酸は、任意の好適な長さであってよく、例えば、長さが、約10、15、20、25、50、75、100、150、200、500、1000、もしくはそれより多いヌクレオチド、またはこれらのおよその数より多いヌクレオチドである。一部の実施形態では、ドナー核酸は、ポリヌクレオチドの標的配列を含む部分に相補的である配列を含む。一部の実施形態では、ドナー核酸と標的配列を含むポリヌクレオチドとが最適にアラインされたとき、ドナー核酸は、標的配列の1つまたは複数のヌクレオチド(例えば、約1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、もしくはそれより多いヌクレオチド、またはこれらのおよその数より多いヌクレオチド)と重複する。一部の実施形態では、ドナー核酸と標的配列を含むポリヌクレオチドとが最適にアラインされたとき、相補性領域内のドナー核酸の最近接ヌクレオチドは、標的配列から約1、5、10、15、20、25、50、75、100、200、300、400、500、1000、5000、10000、またはそれより多いヌクレオチド以内)にある。
【0210】
一部の実施形態では、CRISPR酵素は、1つまたは複数の異種タンパク質ドメイン(例えば、CRISPR酵素に加えて約1つもしくはそれより多い、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれより多いドメイン)を含む融合タンパク質の一部である。CRISPR酵素融合タンパク質は、任意の追加のタンパク質配列と、任意選択で、任意の2ドメイン間のリンカー配列とを含むことができる。CRISPR酵素に融合させることができるタンパク質ドメインの例としては、限定ではないが、エピトープタグ、レポーター遺伝子配列、および次の活性のうちの1つまたは複数を有するタンパク質ドメインが挙げられる:メチラーゼ活性、デメチラーゼ活性、転写活性化活性、転写抑制活性、転写放出因子活性、ヒストン修飾活性、RNA開裂活性および核酸結合活性。エピトープタグの非限定的な例としては、ヒスチジン(His)タグ、V5タグ、FLAGタグ、インフルエンザ赤血球凝集素(HA)タグ、Mycタグ、VSV-Gタグ、およびチオレドキシン(Trx)タグが挙げられる。レポーター遺伝子の例としては、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、ベータガラクトシダーゼ、ベータグルクロニダーゼ、ルシフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)、HcRed、DsRed、シアン蛍光タンパク質(CFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、および自己蛍光タンパク質(青色蛍光タンパク質(BFP)を含む)が挙げられるが、これらに限定されない。CRISPR酵素は、マルトース結合タンパク質(MBP)、Sタグ、Lex A DNA結合ドメイン(DBD)融合体、GAL4 DNA結合ドメイン融合体および単純ヘルペスウイルス(HSV)BP16タンパク質融合体を含むがこれらに限定されない、DNA分子に結合するまたは他の細胞分子に結合するタンパク質またはタンパク質の断片をコードする遺伝子配列に融合させることができる。CRISPR酵素を含む融合タンパク質の一部を形成することができる追加のドメインは、参照により本明細書に組み入れられている米国特許出願公開第20110059502号に記載されている。一部の実施形態では、タグ付きCRISPR酵素が、標的配列の位置を同定するために使用される。
ZFPおよびZFN;TAL、TALEおよびTALEN
【0211】
一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、エンドヌクレアーゼなどのエフェクタータンパク質に融合している、1つもしくは複数のジンクフィンガータンパク質(ZFP)または転写活性化因子様タンパク質(TAL)などの、DNA結合タンパク質(またはDNA結合タンパク質/エフェクタータンパク質融合体をコードする核酸)を含む。例としては、ZFN、TALEおよびTALENが挙げられる。Lloydら、Fronteirs in Immunology、4巻(221号)、1~7頁(2013年)を参照されたい。
ZFPおよびZFN
【0212】
一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、配列特異的様式でDNAと結合する1つまたは複数のジンクフィンガータンパク質(ZFP)またはそのもしくはそれらのドメインを含む。ZFPまたはそのドメインは、構造が亜鉛イオンの配位により安定化している結合ドメイン内のアミノ酸配列の領域である1つまたは複数のジンクフィンガーによって、配列特異的様式でDNAに結合するタンパク質、またはより大きいタンパク質の中のドメインである。用語ジンクフィンガーDNA結合タンパク質は、ジンクフィンガータンパク質またはZFPと略記されることが多い。
【0213】
特異的DNA配列を標的とする人工ZFPドメインもZFPのうちの1つであり、このドメインは、典型的に9~18ヌクレオチド長であり、個々のフィンガーの集合により生成される。
【0214】
ZFPには、単一のフィンガードメインが、おおよそ30アミノ酸の長さであるものであって、単一ベータターンの2つのシステインが亜鉛を介して配位している2つの不変ヒスチジン残基を含有するアルファヘリックスを含有するものであり、2、3、4、5または6つのフィンガーを有するものが含まれる。一般に、ZFPの配列特異性は、ジンクフィンガー認識ヘリックス上の4つのヘリックス位置(-1、2、3および6)でアミノ酸置換を行うことにより変えることができる。したがって、一部の実施形態では、ZFPまたはZFP含有分子は、天然に存在せず、例えば、選ばれた標的部位と結合するように改変されている。例えば、Beerliら(2002年)Nature Biotechnol. 20巻:135
~141頁;Paboら.(2001年)Ann. Rev. Biochem. 70巻:313~340頁
;Isalanら(2001年)Nature Biotechnol. 19巻:656~660頁;Segalら(2001年)Curr. Opin. Biotechnol. 12巻:632~637頁;Chooら(200
0年)Curr. Opin. Struct. Biol. 10巻:411~416頁;米国特許第6,453,242号、同第6,534,261号、同第6,599,692号、同第6,503,717号、同第6,689,558号、同第7,030,215号、同第6,794,136号、同第7,067,317号、同第7,262,054号、同第7,070,934号、同第7,361,635号、同第7,253,273号、および米国特許出願公開第2005/0064474号、同第2007/0218528号、同第2005/0267061号を参照されたく、これらのすべては、それら全体が参照により本明細書に組み入れられている。
【0215】
一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)を形成するようにDNA開裂ドメインに融合しているジンクフィンガーDNA結合ドメインを含む。一部の実施形態では、融合タンパク質は、少なくとも1つのIIS型制限酵素からの開裂ドメイン(または開裂ハーフドメイン)と、1つまたは複数のジンクフィンガー結合ドメインとを含み、これらは、改変されていてもよく、または改変されていなくてもよい。一部の実施形態では、開裂ドメインは、IIS型制限エンドヌクレアーゼFok Iからのものである。Fok Iは、一般に、DNAの、一方の鎖上のその認識部位から9ヌクレオチドおよび他方の鎖上のその認識部位から13ヌクレオチドの位置での、二本鎖開裂を触媒する。例えば、米国特許第5,356,802号、同第5,436,150号および同第5,487,994号、ならびにLiら(1992年)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89巻:4275~4279頁;Liら(1993年)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90巻:2764~2768頁;Kimら. (1994年a) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91巻:883~887頁;Kimら (1994年b) J. Biol.
Chem. 269巻:31,978~31,982頁を参照されたい。
【0216】
一部の実施形態では、ZFNは、標的細胞中に存在する遺伝子を標的とする。一部の態様では、ZFNは、二本鎖切断(DBS)を、例えば、遺伝子のコード領域内の所定の位置で、効率的に生じさせる。標的とされる典型的な領域としては、エクソン、N末端領域をコードする領域、第1エクソン、第2エクソン、およびプロモーターまたはエンハンサー領域が挙げられる。一部の実施形態では、ZFNの一過性発現は、標的細胞中の標的遺伝子の高効率の永久的な破壊を促進する。特に、一部の実施形態では、ZFNの送達は、50%を超える効率で遺伝子の永久的破壊をもたらす。
【0217】
遺伝子特異的に改変された多くのジンクフィンガーが市販されている。例えば、Sangamo Biosciences(Richmond、CA、USA)は、研究者がジンクフィンガーの構築および検証を完全に回避できるようにするジンクフィンガー構築用のプラットフォーム(CompoZr)を、Sigma-Aldrich(St.Louis、MO、USA)と協力して開発し、何千ものタンパク質を特異的に標的とするジンクフィンガーを提供している。Gajら、Trends in Biotechnology、2013年、31号(7巻)、397~405頁。一部の実施形態では、市販のジンクフィンガーが使用されるか、または注文設計される。(例えば、Sigma-Aldrichカタログ番号CSTZFND、CSTZFN、CTI1-1KT、およびPZD0020を参照されたい)。
TALEおよびTALEN
【0218】
一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、天然に存在するまたは改変された(天然に存在しない)転写活性化因子様タンパク質(TAL)DNA結合ドメイン、例えば、転写活性化因子様タンパク質エフェクター(TALE)タンパク質中のそのようなDNA結合ドメインを含む。例えば、その全体が参照により本明細書に組み入れられている米国特許出願公開第20110301073号を参照されたい。
【0219】
TALE DNA結合ドメインまたはTALEは、1つまたは複数のTALE反復ドメイン/単位を含むポリペプチドである。反復ドメインは、TALEのその同族標的DNA配列への結合に関与する。単一の「反復単位」(「リピート」とも称される)は、典型的に長さが33~35アミノ酸であり、天然に存在するTALEタンパク質内の他のTALE反復配列との少なくとも多少の配列相同性を示す。各TALE反復単位は、反復可変二残基(RVD)を構成する1または2つのDNA結合残基を、通常はリピートの12および/または13位に含む。これらのTALEのDNA認識のための天然(標準)コードは、12および13位のHD配列がシトシン(C)への結合につながり、NGがTと結合し、NIがAと結合し、NNがGまたはAと結合し、NGがTと結合するように決められており、非標準(非定型)RVDも公知である。米国特許出願公開第20110301073を参照されたい。一部の実施形態では、標的DNA配列への特異性を有するTALアレイの設計により、TALEを任意の遺伝子にターゲティングすることができる。標的配列は、一般に、チミジンで始まる。
【0220】
一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、DNA結合エンドヌクレアーゼ、例えば、TALE-ヌクレアーゼ(TALEN)を含む。一部の態様では、TALENは、TALEに由来するDNA結合ドメインと、核酸標的配列を開裂させるためのヌクレアーゼ触媒ドメインとを含む、融合タンパク質である。一部の実施形態では、TALE DNA結合ドメインは、標的遺伝子内の標的配列に結合するように改変されている。
【0221】
一部の実施形態では、TALENは、遺伝子内の標的配列を認識し、開裂させる。一部の態様では、DNAの開裂は、二本鎖切断をもたらす。一部の態様では、これらの切断は、相同組換え率または非相同末端結合(NHEJ)率を刺激する。一般に、NHEJは、開裂部位におけるDNA配列を変化させる結果となることが多い不完全な修復プロセスである。一部の態様では、修復機序は、2つのDNA末端の維持するものについての、直接再連結(CritchlowおよびJackson、Trends Biochem Sci. 1998年10月;23巻
(10号):394~8頁)による、またはいわゆるマイクロホモロジー媒介末端結合経由での、再結合を含む。一部の実施形態では、NHEJ経由での修復は、少ない挿入または欠失をもたらすので、遺伝子を分断するためにおよびそれによって遺伝子を抑止するために使用され得る。一部の実施形態では、修飾は、少なくとも1つのヌクレオチドの置換、欠失または付加であり得る。一部の態様では、開裂誘発変異導入事象、すなわち、NHEJ事象に続いて起こる変異導入事象、が起こった細胞を、当技術分野において周知の方法により同定および/または選択することができる。
【0222】
一部の実施形態では、TALEリピートは、遺伝子を特異的に標的とするように組み立てられる。(Gajら、Trends in Biotechnology、2013年、31号(7巻)、397~405頁)。18,740個のヒトタンパク質コード遺伝子を標的とするTALENのライブラリーが構築された(Kimら、Nature Biotechnology. 31巻、251~258
頁(2013年))。注文設計TALEアレイは、Cellectis Bioresearch(Paris、France)、Transposagen Biopharmaceuticals(Lexington、KY、USA)、およびLife Technologies(Grand Island、NY、USA)を介して市販されている。
【0223】
一部の実施形態では、TALENは、1つまたは複数のプラスミドベクターによりコードされている導入遺伝子として導入される。一部の態様では、プラスミドベクターは、該ベクターを受け取った細胞の同定および/または選択に備える選択マーカーを含有することができる。
ホーミングエンドヌクレアーゼ
【0224】
一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、ホーミングヌクレアーゼ(またはホーミングヌクレアーゼをコードする核酸、例えば、mRNAもしくはDNAプラスミド)を含む。ホーミングエンドヌクレアーゼは、イントロン内の独立遺伝子として、宿主タンパク質との融合体として、または自己スプライシング型インテインとしてコードされているエンドヌクレアーゼのコレクションである。ホーミングエンドヌクレアーゼは、それらを合成する細胞内のゲノムDNAの加水分解を触媒するが、非常に少ない位置またはさらには単一の位置でそれを行う。ホーミングエンドヌクレアーゼは、12~40bpにわたる非常に長い、および多くの場合、非対称の、認識配列に結合する。ホーミングエンドヌクレアーゼ認識配列は、専ら非常に低い確率(おおよそ7×109bpに1回)でランダムに出現するのに足る長さであり、通常は、1ゲノムにつき1例見られるか、またはほとんど見られない。加水分解されたDNAの宿主細胞による修復は、結果として、開裂部位にコピーされたホーミングエンドヌクレアーゼをコードする遺伝子をもたらすことが多く、それ故、用語「ホーミング」は、これらの遺伝子の移動を指す。
【0225】
ホーミングエンドヌクレアーゼは、単量体またはホモ二量体として動作するが、それらの活性を制御するために会合タンパク質を必要とすることが多く、またはリボ核タンパク質複合体を形成し、この場合はRNAがその触媒装置の不可欠な成分である。現在、6つの公知構造ファミリーがある。それらの保存構造モチーフは、LAGLIDADG、GIY-YIG、His-Cysボックス、H-N-H、PD-(D/E)xK、およびVsr様である。
【0226】
一部の実施形態では、ホーミングエンドヌクレアーゼは、特異的DNA配列を標的とするように修飾された合成酵素(例えば、完全合成酵素)である。例えば、一部の実施形態では、ホーミングエンドヌクレアーゼは、ARCヌクレアーゼ(商標)(Precision BioSciences)である。
インテグラーゼ
【0227】
一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、インテグラーゼ(またはインテグラーゼをコードする核酸)を含む。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、インテグラーゼにより認識される第1の組換え部位を含むドナー核酸をさらに含む。一部の実施形態では、ゲノム編集システムによる修飾の標的となるポリヌクレオチドは、インテグラーゼにより認識される第2の組換え部位を含み、したがって、インテグラーゼは、第1の組換え部位と第2の組換え部位間の組換えを媒介することができる。
【0228】
多くのバクテリオファージおよび組込みプラスミドは、それらのゲノムのそれらの宿主のゲノムへの安定した組込みを可能にする部位特異的組換えシステムをコードする。これらのシステムでの組換え反応の最小必要要件は、リコンビナーゼ酵素、または組換え事象を触媒するインテグラーゼ、および2つの組換え部位である(Sadowski (1986年)
J. Bacteriol. 165巻:341~347頁;Sadowski (1993年) FASEB J. 7巻:760~767頁)。ファージ組込みシステムについては、これらは、結合(
att)部位と称され、ファージDNAからのattPエレメント、および細菌ゲノムによりコードされているattBエレメントがある。これら2つの結合部位は、少数の塩基対ほどの低い配列同一性しか共有することができない。リコンビナーゼタンパク質は、両方のatt部位と結合し、DNA鎖の保存的な相互交換を触媒し、その結果、環状ファージまたはプラスミドDNAが宿主DNAに組み込まれることになる。追加のファージまたは宿主因子、例えば、DNA結合タンパク質IHF(組込み宿主因子)が、効率的反応には必要とされ得る(Friedman (1988年) Cell 55巻:545~554頁;FinkelおよびJohnson (1992年) Mol. Microbiol. 6巻:3257~3265頁)
。逆切除反応は、ファージλのxis遺伝子産物などの、追加のファージ因子を必要とする(WeisbergおよびLandy (1983年)「Site-specific recombination in phage
lambda.」In Lambda II、Hendrixら編(Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、NY)211~250頁;Landy (1989年) Ann. Rev. Biochem. 58巻:913~949頁)。
【0229】
リコンビナーゼは、λインテグラーゼ(Argosら(1986年)EMBOJ. 5巻:433
~44頁;Voziyanovら(1999年)Nucl. Acids Res. 27巻:930~941頁
)およびリゾルバーゼ/インベルターゼ(HatfullおよびGrindley (1988年)「Resolvases and DNA- invertases: a family of enzymes active in site-specific recombination」In Genetic Recombination、Kucherhpati, R.およびSmith, G.
R.編(Am. Soc. Microbiol.、Washington DC)、357~396頁)ファミリーと
いう2つの群に大別されている。これらは、インテグラーゼ酵素の構造、およびそれらの触媒方法の分子的詳細が異なる(Starkら (1992年) Trends Genetics 8巻:
432~439頁)。鋳型StreptomycesファージΦC31は、後述のクラスの68kDリコンビナーゼをコードする。ΦC31組込み反応は、宿主因子を必要しない点および不可逆的であるようである点で単純であり、これは、切除に追加のファージタンパク質を必要としないためである可能性が最も高い。ファージおよび細菌att部位は、乗換え点で相同性の塩基対を3つしか共有しない。この相同性は、恐らくインテグラーゼタンパク質の結合部位である、逆方向リピートと隣接している。attBとattPの両方についての公知最小機能サイズは、約50bpである。バクテリオファージPIのCre-loxシステム、およびSaccharomyces cerevisiaeのFLP-FRTシステムは、動物および植物における導入遺伝子および染色体改変に広く使用されている(Sauer(1994年)Curr. Opin. Biotechnol. 5巻:521~527頁;Ow (1996年)Curr. Opin. Biotechnol. 7巻:181~186頁により総説
されている)。動物または植物細胞において機能する他のシステムとしては、次のものが挙げられる:1)Zygosaccharomyces rouxiiからのR-RSシステム(Onouchiら(1995年)Mol Gen. Genet. 247巻:653~660頁)、2)バクテリオファージMuからのGin-gixシステム(MaeserおよびKahmann(1
991年)Mol. Gen. Genet. 230巻:170~176頁)、および3)細菌プラスミドpSM19035からのβリコンビナーゼシステム(Diazら(1999年)J. Biol. Chem. 21巻A:6634~6640頁)。部位特異的リコンビナーゼを使用することにより、より高い組込み頻度を得ることができる。
【0230】
一部の実施形態では、インテグラーゼは、原核生物リコンビナーゼ、例えば、バクテリオファージインテグラーゼである。一部の実施形態では、インテグラーゼは、2つの相補的組換え部位間の組換えを触媒することができるが、この組換えにより形成されるハイブリッド部位間の組換えを触媒することができない点で、一方向性である。一部の実施形態ではインテグラーゼは、ΦC31インテグラーゼである。ΦC31インテグラーゼ自体は、attB×attP反応のみを触媒するが、attBとattP間の組換えによって形成されるattLおよびattR部位間の組換えを媒介することができない。ΦC31インテグラーゼなどのリコンビナーゼは、単独では逆反応を触媒することができないため、そのようなリコンビナーゼにより形成されるattB×attP組換えは、安定している。
【0231】
方法は、真核細胞中に存在する組換え部位(例えば、attBおよびattP)のペアを対応するリコンビナーゼと接触させるステップを含む。すると、リコンビナーゼは、組換え部位間での組換えを媒介する。2つの組換え部位の相対位置に依存して、いくつかの事象のうちのいずれか1つが、組換えの結果として起こり得る。例えば、2つの組換え部位が異なる核酸分子上に存在する場合、組換えは、1つの核酸分子の第2の分子への組込みをもたらすことができる。したがって、1つの組換え部位を含有するプラスミドの、対応する組換え部位を含む真核細胞染色体への組込みを達成することができる。本発明の方法に使用されるリコンビナーゼは、逆反応を触媒することができないため、組込みは安定している。このような方法は、例えば、プラスミド上に存在する導入遺伝子の真核生物染色体への安定した組込みを達成するのに有用である。2つの組換え部位が同じ核酸分子上に存在することもある。そのような場合、結果として得られる産物は、通常は、それらの部位の相対的配向に依存する。例えば、順配向である部位間の組換えは、一般に、2つの組換え部位間にあるいずれかのDNAの切除をもたらすことになる。対照的に、逆配向である部位間の組換えは、介在するDNAの反転をもたらすことができる。この場合もやはり、結果として得られる再配列された核酸は、リコンビナーゼが由来するバクテリオファージであって真核細胞では通常は見いだされない特定のバクテリオファージにより一般にコードされている追加の因子の非存在下では組換えが不可逆的であることから、安定している。この方法が有用である応用の一例は、2つの組換え部位間へのプロモーターの配置を含む。プロモーターが、最初に、該プロモーターにより発現されることになるコード配列に対して反対の配向であり、該プロモーターに隣接する組換え部位が、逆方向の配向である場合、これらの組換え部位を接触させることにより、結果として、プロモーターが反転されることになり、かくしてプロモーターが、コード配列の発現を駆動するのに妥当な配向に配置されることになる。同様に、プロモーターが、最初に、発現に妥当な配向であり、組換え部位が同じ配向である場合、組換え部位をプロモーターに接触させることにより、結果として、プロモーター断片を切除することができ、かくしてコード配列の発現を停止させることができる。
核酸
【0232】
一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、核酸を含む。一部の実施形態では、核酸は、ヌクレアーゼまたはインテグラーゼなどの、ゲノム編集酵素をコードする。一部の実施形態では、核酸は、ガイドRNAまたはガイドDNA(またはガイドRNAもしくはガイドDNAをコードする核酸、例えば、mRNAもしくはDNAプラスミド)である。一部の実施形態では、核酸は、ドナー核酸、例えば、相同組換えによる標的ポリヌクレオチドへの修飾の導入のための、または部位特異的組換えによる標的ポリヌクレオチドへの外来性核酸の挿入のための、ドナー核酸である。一部の実施形態では、核酸は、RNA、例えば、mRNAである。一部の実施形態では、核酸は、DNA、例えば、DNAプラスミドである。一部の実施形態では、ゲノム編集システムの核酸は、少なくとも1つの修飾、例えば、安定性、細胞内ターゲティング、タンパク質結合親和性、相補標的配列結合親和性、細胞分解に対する耐性、および/または細胞透過性に影響を及ぼす修飾を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの修飾は、標識である。そのような修飾、および核酸へのそれらの導入方法は、当技術分野において周知であり、本明細書に記載の核酸のいずれかとともに使用することが企図される。例えば、WO2011015347、WO2015026885、WO2015026887、WO2015026883、およびWO2015026886を参照されたい。
【0233】
一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、5’キャップ、3’ポリアデニル化テール、リボスイッチ配列、安定性制御配列、dsRNA二重鎖を形成する配列、ガイドポリヌクレオチドを細胞内位置にターゲティングする修飾または配列、トラッキングに備える修飾または配列、タンパク質の結合部位を提供する修飾または配列、ロックド核酸(LNA)、5-メチルdCヌクレオチド、2,6-ジアミノプリンヌクレオチド、2’-フルオロAヌクレオチド、2’-フルオロUヌクレオチド、2’-O-メチルRNAヌクレオチド、ホスホロチオエート結合、コレステロール分子との連結、ポリエチレングリコール分子との連結、スペーサー18分子との連結、5’と3’の共有結合による連結、およびこれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つの修飾を含む核酸を含む。
組成物
【0234】
一部の実施形態では、本明細書に記載のゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む組成物が提供される。一部の実施形態では、組成物は、本明細書に記載のゲノム編集複合体またはナノ粒子と、薬学的に許容される希釈剤、賦形剤および/または担体とを含む、医薬組成物である。一部の実施形態では、組成物中の複合体またはナノ粒子の濃度は、約1nM~約100mMであり、これは、例えば、約10nM~約50mM、約25nM~約25mM、約50nM~約10mM、約100nM~約1mM、約500nM~約750μM、約750nM~約500μM、約1μM~約250μM、約10μM~約200μM、および約50μM~約150μMを含む。
【0235】
本明細書で使用される用語「薬学的に許容される希釈剤、賦形剤および/または担体」は、ヒトまたは他の脊椎動物宿主への投与に適合する任意のおよびすべての溶媒、分散媒、被覆剤、抗菌および抗真菌剤、等張および吸収遅延剤などを含むことを意図したものである。典型的に、薬学的に許容される希釈剤、賦形剤および/または担体は、ヒトはもちろん非ヒト哺乳動物を含む動物における使用について、連邦政府の監督機関、州政府もしくは他の監督機関によって承認された、または米国薬局方もしくは他の一般に認知されている薬局方に収載されている、希釈剤、賦形剤および/または担体である。用語希釈剤、賦形剤および/または「担体」は、医薬組成物を投与するのに用いる希釈剤、アジュバント、賦形剤またはビヒクルを指す。そのような薬学的希釈剤、賦形剤および/または担体は、滅菌液、例えば、水および油(石油、動物、植物または合成由来のものを含む)であり得る。水、食塩溶液ならびにデキストロースおよびグリセロール水溶液を液体希釈剤、賦形剤および/または担体として、特に注射用溶液に利用することができる。好適な薬学的希釈剤および/または賦形剤には、凍結乾燥助剤を含む、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、白亜、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノールなどが含まれる。組成物は、必要に応じて、少量の湿潤、増量、乳化剤、またはpH緩衝剤も含有することができる。これらの組成物は、溶液、懸濁液、エマルジョン、徐放製剤などの形態をとることができる。好適な薬学的希釈剤、賦形剤および/または担体の例は、E.W.Martinによる「Remington's Pharmaceutical Sciences」に記載されている。製剤は、投与方法に適合しなければならな
い。適切な希釈剤、賦形剤および/または担体は、当業者には明らかであるであろうし、大部分が投与経路に依存するであろう。
【0236】
一部の実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、静脈内、腫瘍内、動脈内、局所、眼内、眼科的、門脈内、頭蓋内、脳内、側脳室内、髄腔内、膀胱内、皮内、皮下、筋肉内、鼻腔内、気管内、肺、空洞内または経口投与用に製剤化される。
【0237】
一部の実施形態では、ヒトまたは哺乳動物対象の処置に好適であることが判明した本発明の医薬組成物の投薬量は、ゲノム編集複合体またはナノ粒子約0.001mg/kg~約100mg/kgの範囲(例えば、約0.001、0.01、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95および100mg/kg(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、投薬量範囲は、約0.1mg/kg~約20mg/kg(例えば、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19および20mg/kg(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、投薬量範囲は、約0.5mg/kg~約10mg/kgである。
【0238】
例示的な投薬頻度としては、中断なしで週1回;4週間のうちの3週間、週1回;3週間に1回;2週間に1回;3週間のうち2週間、週1回が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、医薬組成物は、約2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、6週間に1回、または8週間に1回、投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は、週に少なくとも約1×、2×、3×、4×、5×、6×、または7×(すなわち毎日)のいずれか、投与される。一部の実施形態では、各投与間の間隔は、約6カ月、3カ月、1カ月、20日、15日、12日、10日、9日、8日、7日、6日、5日、4日、3日、2日または1日のいずれかより短い。一部の実施形態では、各投与間の間隔は、約1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、8カ月または12カ月のいずれかより長い。一部の実施形態では、投薬スケジュールに中断がない。一部の実施形態では、各投与間の間隔は、約1週間以下である。一部の実施形態では、個体への医薬組成物の投与スケジュールは、全処置に相当する単回投与から、連日投与に及ぶ。医薬組成物の投与を、約1カ月から約7年までなどの、長期間にわたって延長することができる。一部の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、18、24、30、36、48、60、72または84ヶ月のいずれかの期間にわたって投与される。
【0239】
一部の実施形態では、本明細書に記載のゲノム編集複合体またはナノ粒子と医薬的に許容される担体とを含む医薬組成物であって、薬学的に許容される担体が糖またはタンパク質である、医薬組成物が提供される。一部の実施形態では、糖は、スクロース、グルコース、マンニトールおよびこれらの組合せからなる群から選択され、約5%~約20%の濃度で医薬組成物中に存在する。一部の実施形態では、糖は、スクロースである。一部の実施形態では、糖は、グルコースである。一部の実施形態では、糖は、マンニトールである。一部の実施形態では、タンパク質は、アルブミンである。一部の実施形態では、アルブミンは、ヒト血清アルブミンである。一部の実施形態では、医薬組成物は、凍結乾燥される。
【0240】
一部の実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、細胞膜透過ペプチド(例えば、本明細書に記載の細胞膜透過ペプチドのいずれか)と、外来性構築物をコードする核酸分子とを含む、発現複合体をさらに含む。一部の実施形態では、外来性構築物は、外来性タンパク質または核酸である。一部の実施形態では、発現複合体中の細胞膜透過ペプチドと核酸分子のモル比は、約1:1~約80:1の間(例えば、約1:1、5:1、10:1、20:1、30:1、40:1、50:1、60:1、70:1、80:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、発現複合体中の細胞膜透過ペプチドと核酸分子のモル比は、約5:1~約20:1の間(例えば、約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、および20:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドは、これらに限定されないが、CADY、PEP-1、MPG、VEPEP-3、VEPEP-4、VEPEP-5、VEPEP-6、VEPEP-9およびADGN-100を含む。一部の実施形態では、発現複合体中の細胞膜透過ペプチドは、配列番号1~70および75~80からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドは、医薬組成物中のゲノム編集複合体中の細胞膜透過ペプチドと同じである。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドは、医薬組成物中のゲノム編集複合体中の細胞膜透過ペプチドと同じでない。一部の実施形態では、外来性タンパク質は、治療用タンパク質である。一部の実施形態では、外来性タンパク質は、抗体もしくはその抗原結合断片であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、外来性タンパク質は、組換え受容体、例えば、細胞の表面で発現され得る組換え受容体である。一部の実施形態では、組換え受容体は、リガンド結合ドメインを含み、リガンドが結合すると、受容体は、シグナル伝達ドメインを介してシグナルを伝達することができる。一部の実施形態では、組換え受容体は、シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、組換え受容体は、シグナル伝達ドメインを含む内因性タンパク質と会合することができる。一部の実施形態では、リガンド結合ドメインは、抗体もしくはその抗原結合断片であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、組換え受容体は、抗原受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)である。
【0241】
したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載のゲノム編集複合体またはナノ粒子と本明細書に記載の発現複合体とを含む組成物、例えば医薬組成物が提供される。一部の実施形態では、そのような組成物、例えば医薬組成物を使用して、細胞において遺伝子編集と遺伝子発現を同時に果すことができる。
【0242】
CARをはじめとする例示的な抗原受容体、およびそのような受容体を改変する方法としては、例えば、国際特許出願公開番号WO200014257、WO2013126726、WO2012/129514、WO2014031687、WO2013/166321、WO2013/071154、WO2013/123061、米国特許出願公開第2002131960号、同第2013287748号、同第20130149337号、米国特許第6,451,995号、同第7,446,190号、同第8,252,592号、同第8,339,645号、同第8,398,282号、同第7,446,179号、同第6,410,319号、同第7,070,995号、同第7,265,209号、同第7,354,762号、同第7,446,191号、同第8,324,353号、および同第8,479,118号、ならびに欧州特許出願番号EP2537416に記載されているもの、ならびに/またはSadelainら、Cancer Discov. 2013年4月、
3巻(4号)388~398頁;Davilaら(2013年)PLoS ONE 8巻(4号):e
61338頁;Turtleら、Curr. Opin. Immunol.、2012年10月、24巻(5号):633~39頁;Wuら、Cancer、2012年3月、18巻(2号):160~75頁により説明されているものが挙げられる。一部の態様では、抗原受容体は、米国特許第7,446,190号に記載されているようなCAR、および国際特許出願公開番号WO/2014055668A1に記載されているものを含む。CARの例としては、WO2014031687、米国特許第8,339,645号、米国特許第7,446,179号、米国特許出願公開第2013/0149337号、米国特許第7,446,190号、米国特許第8,389,282号;Kochenderferら、2013年、Nature Reviews Clinical Oncology、10巻、267~276頁(2013年);Wangら(2012年)J. Immunother. 35巻(9号):689~701頁;およびBrentjensら、Sci Transl Med. 2013年5巻(177号)などの、上述の刊行物のいずれかにおいて開示されているようなCARが挙げられる。WO2014031687、米国特許第8,339,645号、米国特許第7,446,179号、米国特許出願公開第2013/0149337号、米国特許第7,446,190号および米国特許第8,389,282号も参照されたい。
【0243】
本明細書に記載のリガンド結合ドメインを含む組換え受容体の一部の実施形態では、リガンド結合ドメインは、疾患または状態に関連するリガンドと特異的に結合する。一部の実施形態では、リガンド結合ドメインは、がん関連抗原または病原体特異的抗原と特異的に結合する。一部の実施形態では、リガンド結合ドメインは、ウイルス抗原(例えば、HIV、HCV、HBVなど)、細菌抗原、および/または寄生虫抗原に特異的である。一部の実施形態では、リガンド結合ドメインは、限定ではないが次のものを含むリガンドと、特異的に結合する:オーファンチロシンキナーゼ受容体RORl、tEGFR、Her2、Ll-CAM、CD19、CD20、CD22、メソセリン、CEA、およびB型肝炎表面抗原、抗葉酸受容体、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、EGFR、EGP-2、EGP-4、0EPHa2、ErbB2、3または4、FBP、胎児アセチルコリンe受容体、GD2、GD3、HMW-MAA、IL-22R-アルファ、IL-13R-アルファ2、kdr、カッパ軽鎖、Lewis Y、L1-細胞接着分子、MAGE-A1、メソセリン、MUC1、MUC16、PSCA、NKG2Dリガンド、NY-ESO-1、MART-1、gp100、腫瘍胎児抗原、ROR1、TAG72、VEGF-R2、癌胎児抗原(CEA)、前立腺特異的抗原、PSMA、Her2/neu、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、エフリンB2、CD123、CS-1、c-Met、GD-2、およびMAGE A3、CE7、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、サイクリン、例えばサイクリンA1(CCNA1)、ならびに/またはビオチン化分子、ならびに/またはHIV、HCV、HBVもしくは他の病原体により発現される分子。
調製方法
【0244】
一部の実施形態では、本明細書に記載のゲノム編集複合体またはナノ粒子を調製する方法であって、CPPをゲノム編集システムの1つまたは複数の分子と組み合わせるステップを含み、それによってゲノム編集複合体またはナノ粒子を形成する方法が提供される。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、ゲノム編集ヌクレアーゼ(またはゲノム編集ヌクレアーゼをコードする核酸)を含む。一部の実施形態では、ゲノム編集ヌクレアーゼは、ZFN、TALEN、ホーミングエンドヌクレアーゼ、RGENまたはDGENである。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、gRNAまたはgDNA(またはgRNAもしくはgDNAをコードする核酸)をさらに含む。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、標的ポリヌクレオチドに特異的修飾を導入するためのドナー核酸をさらに含む。一部の実施形態では、ゲノム編集ヌクレアーゼは、TALENである。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、CRISPRシステム(例えば、CRISPR/Cas9)である。一部の実施形態では、1つまたは複数のゲノム編集システム分子の一部は、CPPと組み合わせる前に既に複合体を形成している。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、インテグラーゼ(またはインテグラーゼをコードする核酸)を含む。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、インテグラーゼにより認識される組換え部位を含むドナー核酸をさらに含む。
【0245】
したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載のゲノム編集複合体またはナノ粒子を調製する方法であって、a)CPPをRGEN(またはRGENをコードする核酸)およびgRNA(またはgRNAをコードする核酸)と組み合わせるステップ;またはb)CPPを既成RGEN/gRNA複合体と組み合わせるステップを含み、それによってゲノム編集複合体またはナノ粒子を形成する方法が提供される。
【0246】
例えば、一部の実施形態では、本明細書に記載のゲノム編集複合体またはナノ粒子を調製する方法であって、a)水性媒体中で、ゲノム編集システムの1つまたは複数の分子(例えば、ゲノム編集酵素、またはゲノム編集酵素をコードする核酸)を含む第1の組成物と、細胞膜透過ペプチドを含む第2の組成物とを組み合わせて、混合物を形成するステップ;およびb)混合物をインキュベートして、1つまたは複数のゲノム編集システム分子と会合している細胞膜透過ペプチドを含む複合体を形成するステップを含み、それによってゲノム編集複合体またはナノ粒子を形成する方法が提供される。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、ゲノム編集ヌクレアーゼ(またはゲノム編集ヌクレアーゼをコードする核酸)を含む。一部の実施形態では、ゲノム編集ヌクレアーゼは、ZFN、TALEN、ホーミングエンドヌクレアーゼ、RGENまたはDGENである。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、gRNAまたはgDNA(またはgRNAもしくはgDNAをコードする核酸)をさらに含む。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、標的ポリヌクレオチドに特異的修飾を導入するためのドナー核酸をさらに含む。一部の実施形態では、ゲノム編集ヌクレアーゼは、TALENである。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、CRISPRシステム(例えば、CRISPR/Cas9)である。一部の実施形態では、1つまたは複数のゲノム編集システム分子の一部は、CPPと組み合わせる前に既に複合体を形成している。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、インテグラーゼ(またはインテグラーゼをコードする核酸)を含む。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、インテグラーゼにより認識される組換え部位を含むドナー核酸をさらに含む。一部の実施形態では、水性媒体は、例えば、PBS、Tris、または核タンパク質複合体を安定化するための当技術分野において公知の任意の緩衝液を含む、緩衝液である。一部の実施形態では、1つまたは複数のゲノム編集システム分子を含む第1の組成物は、1つまたは複数のゲノム編集システム分子(例えば、ゲノム編集ヌクレアーゼ、gRNAもしくはgDNA、および/またはドナー核酸)のうちの少なくとも1つを約1nM~約200μM(例えば、約2nM、5nM、10nM、25nM、50nM、100nM、200nM、300nM、400nM、500nM、600nM、700nM、800nM、900nM、1μM、2μM、5μM、10μM、25μM、50μM、100μM、150μMまたは200μM(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれか)の濃度で含む溶液である。一部の実施形態では、1つまたは複数のゲノム編集システム分子を含む第1の組成物は、凍結乾燥形態の1つまたは複数のゲノム編集システム分子と好適な担体とを含む固体である。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドを含む第2の組成物は、細胞膜透過ペプチドを約1nM~約200μM(例えば、約2nM、5nM、10nM、25nM、50nM、100nM、200nM、300nM、400nM、500nM、600nM、700nM、800nM、900nM、1μM、2μM、5μM、10μM、25μM、50μM、100μM、150μMまたは200μM(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれか)の濃度で含む溶液である。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドを含む第2の組成物は、凍結乾燥形態の細胞膜透過ペプチドと好適な担体とを含む固体である。一部の実施形態では、溶液は、水で製剤化される。一部の実施形態では、水は、蒸留水である。一部の実施形態では、溶液は、緩衝液で製剤化される。一部の実施形態では、緩衝液は、核酸またはポリペプチドを保管するために使用される当技術分野において公知の任意の緩衝液である。一部の実施形態では、第1の組成物中のゲノム編集ヌクレアーゼとgRNAまたはgDNAのモル比は、約10:1~約1:10の間(例えば、約10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、および1:10(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、第1の組成物中のゲノム編集ヌクレアーゼとgRNAまたはgDNAのモル比は、約1:1である。一部の実施形態では、混合物中の細胞膜透過ペプチドと、ゲノム編集ヌクレアーゼの、またはゲノム編集ヌクレアーゼを含む複合体のモル比は、約1:1~約80:1の間(例えば、約1:1、5:1、10:1、20:1、30:1、40:1、50:1、60:1、70:1、80:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、混合物中の細胞膜透過ペプチドと、ゲノム編集ヌクレアーゼの、またはゲノム編集ヌクレアーゼを含む複合体のモル比は、約5:1~約20:1の間(例えば、約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、および20:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、混合物は、1つまたは複数のゲノム編集システム分子と会合している細胞膜透過ペプチドを含む複合体またはナノ粒子を形成するために、例えば、約20分、30分、40分および50分間のいずれかを含む、約10分~60分間、例えば、約2℃~約5℃、約5℃~約10℃、約10℃~約15℃、約15℃~約20℃、約20℃~約25℃、約25℃~約30℃、約30℃~約35℃、約35℃~約40℃、約40℃~約45℃、および約45℃~約50℃を含む、約2℃~約50℃の温度でインキュベートされ、それによって、結果として、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む溶液が得られる。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む溶液は、例えば、少なくとも約6週間、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月および6ヶ月間のいずれかを含む、少なくとも約3週間、4℃で、安定した状態を保つ。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む溶液は、担体の存在下で凍結乾燥される。一部の実施形態では、担体は、例えば、スクロース、グルコース、マンニトールおよびこれらの組合せを含む、糖であり、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む溶液中に、例えば、約7.5%~約17.5%、約10%~約15%、および約12.5%を含む、約5%~約20%、単位体積当たりの重量、で存在する。一部の実施形態では、担体は、例えば、ヒト血清アルブミンなどのアルブミンを含む、タンパク質である。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドは、本明細書に記載のVEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドまたはADGN-100ペプチドである。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドは、配列番号75~80のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0247】
一部の実施形態では、本明細書に記載のゲノム編集複合体またはナノ粒子を調製する方法であって、a)水性媒体中で、RGENを含む組成物を、gRNAを含む組成物と組み合わせて、第一の混合物を形成するステップ、b)第1の混合物をインキュベートして、RGENとgRNAとを含むRGEN/gRNA複合体を形成するステップ、c)水性媒体中で、b)の混合物などのRGEN/gRNA複合体を含む組成物を、細胞膜透過ペプチドを含む組成物と組み合わせて、第2の混合物を形成するステップ、d)第2の混合物をインキュベートして、RGEN/gRNA複合体と会合している細胞膜透過ペプチドを含む複合体を形成するステップを含み、それによってゲノム編集複合体またはナノ粒子を生成する方法が提供される。一部の実施形態では、方法のステップc)は、水性媒体中で、RGEN/gRNA複合体を含む組成物を、細胞膜透過ペプチドを含む組成物、およびドナー核酸を含む組成物と組み合わせて、第2の混合物を形成するステップを含む。一部の実施形態では、RGEN/gRNA複合体を含む組成物、およびドナー核酸を含む組成物は、単一の組成物である。一部の実施形態では、水性媒体は、例えば、PBS、Tris、または核タンパク質複合体を安定化するための当技術分野において公知の任意の緩衝液を含む、緩衝液である。一部の実施形態では、RGENを含む組成物は、RGENを約1nM~約200μM(例えば、約2nM、5nM、10nM、25nM、50nM、100nM、200nM、300nM、400nM、500nM、600nM、700nM、800nM、900nM、1μM、2μM、5μM、10μM、25μM、50μM、100μM、150μMまたは200μM(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれか)の濃度で含む溶液である。一部の実施形態では、RGENを含む組成物は、凍結乾燥形態のRGENと好適な担体とを含む固体である。一部の実施形態では、gRNAを含む組成物は、gRNAを約1nM~約200μM(例えば、約2nM、5nM、10nM、25nM、50nM、100nM、200nM、300nM、400nM、500nM、600nM、700nM、800nM、900nM、1μM、2μM、5μM、10μM、25μM、50μM、100μM、150μMまたは200μM(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれか)の濃度で含む溶液である。一部の実施形態では、gRNAを含む組成物は、凍結乾燥形態のgRNAと好適な担体とを含む固体である。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドを含む組成物は、細胞膜透過ペプチドを約1nM~約200μM(例えば、約2nM、5nM、10nM、25nM、50nM、100nM、200nM、300nM、400nM、500nM、600nM、700nM、800nM、900nM、1μM、2μM、5μM、10μM、25μM、50μM、100μM、150μMまたは200μM(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれか)の濃度で含む溶液である。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドを含む組成物は、凍結乾燥形態の細胞膜透過ペプチドと好適な担体とを含む固体である。一部の実施形態では、ドナー核酸を含む組成物は、ドナー核酸を約1nM~約200μM(例えば、約2nM、5nM、10nM、25nM、50nM、100nM、200nM、300nM、400nM、500nM、600nM、700nM、800nM、900nM、1μM、2μM、5μM、10μM、25μM、50μM、100μM、150μMまたは200μM(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれか)の濃度で含む溶液である。一部の実施形態では、ドナー核酸を含む組成物は、凍結乾燥形態のドナー核酸と好適な担体とを含む固体である。一部の実施形態では、溶液は、水で製剤化される。一部の実施形態では、水は、蒸留水である。一部の実施形態では、溶液は、緩衝液で製剤化される。一部の実施形態では、緩衝液は、核酸またはポリペプチドを保管するために使用される当技術分野において公知の任意の緩衝液である。一部の実施形態では、第1の混合物中のRGENとgRNAのモル比は、約10:1~約1:10の間(例えば、約10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、および1:10(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、第1の混合物中のRGENとgRNAのモル比は、約1:1である。一部の実施形態では、第2の混合物中の細胞膜透過ペプチドとRGEN/gRNA複合体のモル比は、約1:1~約80:1の間(例えば、約1:1、5:1、10:1、20:1、30:1、40:1、50:1、60:1、70:1、80:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、第2の混合物中の細胞膜透過ペプチドとRGEN/gRNA複合体のモル比は、約5:1~約20:1の間(例えば、約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、および20:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、第1の混合物は、RGEN/gRNA複合体を形成するために、例えば、約20分、30分、40分および50分間のいずれかを含む、約10分~60分間、例えば、約2℃~約5℃、約5℃~約10℃、約10℃~約15℃、約15℃~約20℃、約20℃~約25℃、約25℃~約30℃、約30℃~約35℃、約35℃~約40℃、約40℃~約45℃、および約45℃~約50℃を含む、約2℃~約50℃の温度でインキュベートされ、それによって、結果として、RGEN/gRNA複合体を含む溶液が得られる。一部の実施形態では、第2の混合物は、RGEN/gRNA複合体と会合している細胞膜透過ペプチドを含む複合体を形成するために、例えば、約20分、30分、40分および50分間のいずれかを含む、約10分~60分間、例えば、約2℃~約5℃、約5℃~約10℃、約10℃~約15℃、約15℃~約20℃、約20℃~約25℃、約25℃~約30℃、約30℃~約35℃、約35℃~約40℃、約40℃~約45℃、および約45℃~約50℃を含む、約2℃~約50℃の温度でインキュベートされ、それによって、結果として、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む溶液が得られる。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む溶液は、例えば、少なくとも約6週間、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月および6ヶ月間のいずれかを含む、少なくとも約3週間、4℃で、安定した状態を保つ。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む溶液は、担体の存在下で凍結乾燥される。一部の実施形態では、担体は、例えば、スクロース、グルコース、マンニトールおよびこれらの組合せを含む、糖であり、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む溶液中に、例えば、約7.5%~約17.5%、約10%~約15%、および約12.5%を含む、約5%~約20%、単位体積当たりの重量、で存在する。一部の実施形態では、担体は、例えば、ヒト血清アルブミンなどのアルブミンを含む、タンパク質である。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドは、本明細書に記載のVEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドまたはADGN-100ペプチドである。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドは、配列番号75~80のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0248】
一部の実施形態では、本明細書に記載のゲノム編集複合体またはナノ粒子を調製する方法であって、a)水性媒体中で、細胞膜透過ペプチドを含む組成物と、RGEN(またはRGENをコードする核酸)を含む組成物と、gRNA(またはgRNAをコードする核酸)を含む組成物とを組み合わせて、混合物を形成するステップ、b)混合物をインキュベートして、RGENおよびgRNAと会合している細胞膜透過ペプチドを含む複合体を形成するステップを含み、それによってゲノム編集複合体またはナノ粒子を生成する方法が提供される。一部の実施形態では、方法のステップa)は、水性媒体中で、細胞膜透過ペプチドを含む組成物と、RGENを含む組成物と、gRNAを含む組成物と、ドナー核酸を含む組成物とを組み合わせて、混合物を形成するステップを含む。一部の実施形態では、RGENを含む組成物、gRNAを含む組成物、およびドナー核酸を含む組成物のうちの少なくとも2つは、単一の組成物(例えば、gRNAとドナー核酸とを含む単一の組成物)である。一部の実施形態では、水性媒体は、例えば、PBS、Tris、または核タンパク質複合体を安定化するための当技術分野において公知の任意の緩衝液を含む、緩衝液である。一部の実施形態では、RGENを含む組成物は、RGENを約1nM~約200μM(例えば、約2nM、5nM、10nM、25nM、50nM、100nM、200nM、300nM、400nM、500nM、600nM、700nM、800nM、900nM、1μM、2μM、5μM、10μM、25μM、50μM、100μM、150μMまたは200μM(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれか)の濃度で含む溶液である。一部の実施形態では、RGENを含む組成物は、凍結乾燥形態のRGENと好適な担体とを含む固体である。一部の実施形態では、gRNAを含む組成物は、gRNAを約1nM~約200μM(例えば、約2nM、5nM、10nM、25nM、50nM、100nM、200nM、300nM、400nM、500nM、600nM、700nM、800nM、900nM、1μM、2μM、5μM、10μM、25μM、50μM、100μM、150μMまたは200μM(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれか)の濃度で含む溶液である。一部の実施形態では、gRNAを含む組成物は、凍結乾燥形態のgRNAと好適な担体とを含む固体である。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドを含む組成物は、細胞膜透過ペプチドを約1nM~約200μM(例えば、約2nM、5nM、10nM、25nM、50nM、100nM、200nM、300nM、400nM、500nM、600nM、700nM、800nM、900nM、1μM、2μM、5μM、10μM、25μM、50μM、100μM、150μMまたは200μM(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれか)の濃度で含む溶液である。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドを含む組成物は、凍結乾燥形態の細胞膜透過ペプチドと好適な担体とを含む固体である。一部の実施形態では、ドナー核酸を含む組成物は、ドナー核酸を約1nM~約200μM(例えば、約2nM、5nM、10nM、25nM、50nM、100nM、200nM、300nM、400nM、500nM、600nM、700nM、800nM、900nM、1μM、2μM、5μM、10μM、25μM、50μM、100μM、150μMまたは200μM(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれか)の濃度で含む溶液である。一部の実施形態では、ドナー核酸を含む組成物は、凍結乾燥形態のドナー核酸と好適な担体とを含む固体である。一部の実施形態では、溶液は、水で製剤化される。一部の実施形態では、水は、蒸留水である。一部の実施形態では、溶液は、緩衝液で製剤化される。一部の実施形態では、緩衝液は、核酸またはポリペプチドを保管するために使用される当技術分野において公知の任意の緩衝液である。一部の実施形態では、混合物中のRGENとgRNAのモル比は、約10:1~約1:10の間(例えば、約10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、および1:10(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、混合物中のRGENとgRNAのモル比は、約1:1である。一部の実施形態では、混合物中の細胞膜透過ペプチドとRGENのモル比は、約1:1~約80:1の間(例えば、約1:1、5:1、10:1、20:1、30:1、40:1、50:1、60:1、70:1、80:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、混合物中の細胞膜透過ペプチドとRGENのモル比は、約5:1~約20:1の間(例えば、約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、および20:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、混合物は、RGENおよびgRNAと会合している細胞膜透過ペプチドを含む複合体を形成するために、例えば、約20分、30分、40分および50分間のいずれかを含む、約10分~60分間、例えば、約2℃~約5℃、約5℃~約10℃、約10℃~約15℃、約15℃~約20℃、約20℃~約25℃、約25℃~約30℃、約30℃~約35℃、約35℃~約40℃、約40℃~約45℃、および約45℃~約50℃を含む、約2℃~約50℃の温度でインキュベートされ、それによって、結果として、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む溶液が得られる。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む溶液は、例えば、少なくとも約6週間、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月および6ヶ月間のいずれかを含む、少なくとも約3週間、4℃で、安定した状態を保つ。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む溶液は、担体の存在下で凍結乾燥される。一部の実施形態では、担体は、例えば、スクロース、グルコース、マンニトールおよびこれらの組合せを含む、糖であり、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む溶液中に、例えば、約7.5%~約17.5%、約10%~約15%、および約12.5%を含む、約5%~約20%、単位体積当たりの重量、で存在する。一部の実施形態では、担体は、例えば、ヒト血清アルブミンなどのアルブミンを含む、タンパク質である。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドは、本明細書に記載のVEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドまたはADGN-100ペプチドである。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドは、配列番号75~80のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0249】
一部の実施形態では、本明細書に記載のコアと少なくとも1つの追加の層とを含むナノ粒子を調製する方法であって、a)水性媒体中で、RGENを含む組成物を、gRNAを含む組成物と組み合わせて、第一の混合物を形成するステップ、b)第1の混合物をインキュベートして、RGENとgRNAとを含むRGEN/gRNA複合体を形成するステップ、c)水性媒体中で、b)の混合物などのRGEN/gRNA複合体を含む組成物を、第1の細胞膜透過ペプチドを含む組成物と組み合わせて、第2の混合物を形成するステップ、d)第2の混合物をインキュベートして、RGEN/gRNA複合体と会合している第1の細胞膜透過ペプチドを含むナノ粒子のコアを形成するステップ、e)水性媒体中で、d)の混合物などのナノ粒子のコアを含む組成物を、第2の細胞膜透過ペプチドを含む組成物と組み合わせて、第3の混合物を形成するステップ、およびf)第3の混合物をインキュベートして、コアと少なくとも1つの追加の層とを含むナノ粒子を形成するステップを含む方法が提供される。一部の実施形態では、方法は、g)水性媒体中で、コアと少なくとも1つの追加の層とを含むナノ粒子を含む組成物を、第3の細胞膜透過ペプチドを含む組成物と組み合わせて、第4の混合物を形成するステップ、およびh)第4の混合物をインキュベートして、コアと少なくとも2つの追加の層とを含むナノ粒子を形成するステップをさらに含む。ますます多くの層を含むナノ粒子の形成に方法を適応させることができることは、理解されるはずである。一部の実施形態では、組み合わせるステップ(例えば、ステップa)、c)、e)またはg))の少なくとも1つは、ドナー核酸を含む組成物と組み合わせることをさらに含む。一部の実施形態では、水性媒体は、例えば、PBS、Tris、または核タンパク質複合体を安定化するための当技術分野において公知の任意の緩衝液を含む、緩衝液である。一部の実施形態では、RGENを含む組成物は、RGENを約1nM~約200μM(例えば、約2nM、5nM、10nM、25nM、50nM、100nM、200nM、300nM、400nM、500nM、600nM、700nM、800nM、900nM、1μM、2μM、5μM、10μM、25μM、50μM、100μM、150μMまたは200μM(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれか)の濃度で含む溶液である。一部の実施形態では、RGENを含む組成物は、凍結乾燥形態のRGENと好適な担体とを含む固体である。一部の実施形態では、gRNAを含む組成物は、gRNAを約1nM~約200μM(例えば、約2nM、5nM、10nM、25nM、50nM、100nM、200nM、300nM、400nM、500nM、600nM、700nM、800nM、900nM、1μM、2μM、5μM、10μM、25μM、50μM、100μM、150μMまたは200μM(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれか)の濃度で含む溶液である。一部の実施形態では、gRNAを含む組成物は、凍結乾燥形態のgRNAと好適な担体とを含む固体である。一部の実施形態では、第1、第2および/または第3の細胞膜透過ペプチドを含む組成物は、各々、細胞膜透過ペプチドを約1nM~約200μM(例えば、約2nM、5nM、10nM、25nM、50nM、100nM、200nM、300nM、400nM、500nM、600nM、700nM、800nM、900nM、1μM、2μM、5μM、10μM、25μM、50μM、100μM、150μMまたは200μM(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれか)の濃度で含む溶液である。一部の実施形態では、第1、第2および/または第3の細胞膜透過ペプチドを含む組成物は、凍結乾燥形態の細胞膜透過ペプチドと好適な担体とを含む固体である。一部の実施形態では、ドナー核酸を含む組成物は、ドナー核酸を約1nM~約200μM(例えば、約2nM、5nM、10nM、25nM、50nM、100nM、200nM、300nM、400nM、500nM、600nM、700nM、800nM、900nM、1μM、2μM、5μM、10μM、25μM、50μM、100μM、150μMまたは200μM(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれか)の濃度で含む溶液である。一部の実施形態では、ドナー核酸を含む組成物は、凍結乾燥形態のドナー核酸と好適な担体とを含む固体である。一部の実施形態では、溶液は、水で製剤化される。一部の実施形態では、水は、蒸留水である。一部の実施形態では、溶液は、緩衝液で製剤化される。一部の実施形態では、緩衝液は、核酸またはポリペプチドを保管するために使用される当技術分野において公知の任意の緩衝液である。一部の実施形態では、第1の混合物中のRGENとgRNAのモル比は、約10:1~約1:10の間(例えば、約10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、および1:10(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、第1の混合物中のRGENとgRNAのモル比は、約1:1である。一部の実施形態では、第2の混合物中の第1の細胞膜透過ペプチドとRGEN/gRNA複合体のモル比は、約1:1~約80:1の間(例えば、約1:1、5:1、10:1、20:1、30:1、40:1、50:1、60:1、70:1、80:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、第2の混合物中の第1の細胞膜透過ペプチドとRGEN/gRNA複合体のモル比は、約5:1~約20:1の間(例えば、約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、および20:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、第1、第2、第3および/または第4の混合物は、各々、例えば、約20分、30分、40分および50分間のいずれかを含む、約10分~60分間、例えば、約2℃~約5℃、約5℃~約10℃、約10℃~約15℃、約15℃~約20℃、約20℃~約25℃、約25℃~約30℃、約30℃~約35℃、約35℃~約40℃、約40℃~約45℃、および約45℃~約50℃を含む、約2℃~約50℃の温度でインキュベートされる。一部の実施形態では、ナノ粒子を含む溶液は、例えば、少なくとも約6週間、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月および6ヶ月間のいずれかを含む、少なくとも約3週間、4℃で、安定した状態を保つ。一部の実施形態では、ナノ粒子を含む溶液は、担体の存在下で凍結乾燥される。一部の実施形態では、担体は、例えば、スクロース、グルコース、マンニトールおよびこれらの組合せを含む、糖であり、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む溶液中に、例えば、約7.5%~約17.5%、約10%~約15%、および約12.5%を含む、約5%~約20%、単位体積当たりの重量、で存在する。一部の実施形態では、担体は、例えば、ヒト血清アルブミンなどのアルブミンを含む、タンパク質である。一部の実施形態では、第1、第2および/または第3の細胞膜透過ペプチドは、各々、本明細書に記載のVEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドまたはADGN-100ペプチドである。一部の実施形態では、第1、第2および/第3の細胞膜透過ペプチドは、各々、配列番号75、76、77、78、79または80のアミノ酸配列を含む。
【0250】
一部の実施形態では、本明細書に記載のコアと少なくとも1つの追加の層とを含むナノ粒子を調製する方法であって、a)水性媒体中で、第1の細胞膜透過ペプチドを含む組成物と、RGEN(またはRGENをコードする核酸)を含む組成物と、gRNAを含む組成物とを組み合わせて、第1の混合物を形成するステップ、b)第1の混合物をインキュベートして、RGENおよびgRNAと会合している第1の細胞膜透過ペプチドを含むナノ粒子のコアを形成するステップ、c)水性媒体中で、b)の混合物などのナノ粒子のコアを含む組成物を、第2の細胞膜透過ペプチドを含む組成物と組み合わせて、第2の混合物を形成するステップ、およびd)第2の混合物をインキュベートして、コアと少なくとも1つの追加の層とを含むナノ粒子を形成するステップを含む方法が提供される。一部の実施形態では、方法は、e)水性媒体中で、コアと少なくとも1つの追加の層とを含むナノ粒子を含む組成物と、第3の細胞膜透過ペプチドを含む組成物とを組み合わせて、第3の混合物を形成するステップ、およびf)第3の混合物をインキュベートして、コアと少なくとも2つの追加の層とを含むナノ粒子を形成するステップをさらに含む。ますます多くの層を含むナノ粒子の形成に方法を適応させることができることは、理解されるはずである。一部の実施形態では、組み合わせるステップ(例えば、ステップa)、c)またはe))の少なくとも1つは、ドナー核酸を含む組成物と組み合わせることをさらに含む。一部の実施形態では、水性媒体は、例えば、PBS、Tris、または核タンパク質複合体を安定化するための当技術分野において公知の任意の緩衝液を含む、緩衝液である。一部の実施形態では、RGENを含む組成物は、RGENを約1nM~約200μM(例えば、約2nM、5nM、10nM、25nM、50nM、100nM、200nM、300nM、400nM、500nM、600nM、700nM、800nM、900nM、1μM、2μM、5μM、10μM、25μM、50μM、100μM、150μMまたは200μM(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれか)の濃度で含む溶液である。一部の実施形態では、RGENを含む組成物は、凍結乾燥形態のRGENと好適な担体とを含む固体である。一部の実施形態では、gRNAを含む組成物は、gRNAを約1nM~約200μM(例えば、約2nM、5nM、10nM、25nM、50nM、100nM、200nM、300nM、400nM、500nM、600nM、700nM、800nM、900nM、1μM、2μM、5μM、10μM、25μM、50μM、100μM、150μMまたは200μM(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれか)の濃度で含む溶液である。一部の実施形態では、gRNAを含む組成物は、凍結乾燥形態のgRNAと好適な担体とを含む固体である。一部の実施形態では、第1、第2および/または第3の細胞膜透過ペプチドを含む組成物は、各々、細胞膜透過ペプチドを約1nM~約200μM(例えば、約2nM、5nM、10nM、25nM、50nM、100nM、200nM、300nM、400nM、500nM、600nM、700nM、800nM、900nM、1μM、2μM、5μM、10μM、25μM、50μM、100μM、150μMまたは200μM(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれか)の濃度で含む溶液である。一部の実施形態では、第1、第2および/または第3の細胞膜透過ペプチドを含む組成物は、凍結乾燥形態の細胞膜透過ペプチドと好適な担体とを含む固体である。一部の実施形態では、ドナー核酸を含む組成物は、ドナー核酸を約1nM~約200μM(例えば、約2nM、5nM、10nM、25nM、50nM、100nM、200nM、300nM、400nM、500nM、600nM、700nM、800nM、900nM、1μM、2μM、5μM、10μM、25μM、50μM、100μM、150μMまたは200μM(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれか)の濃度で含む溶液である。一部の実施形態では、ドナー核酸を含む組成物は、凍結乾燥形態のドナー核酸と好適な担体とを含む固体である。一部の実施形態では、溶液は、水で製剤化される。一部の実施形態では、水は、蒸留水である。一部の実施形態では、溶液は、緩衝液で製剤化される。一部の実施形態では、緩衝液は、核酸またはポリペプチドを保管するために使用される当技術分野において公知の任意の緩衝液である。一部の実施形態では、第1の混合物中のRGENとgRNAのモル比は、約10:1~約1:10の間(例えば、約10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、および1:10(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、第1の混合物中のRGENとgRNAのモル比は、約1:1である。一部の実施形態では、第1の混合物中の第1の細胞膜透過ペプチドとRGENのモル比は、約1:1~約80:1の間(例えば、約1:1、5:1、10:1、20:1、30:1、40:1、50:1、60:1、70:1、80:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、第1の混合物中の第1の細胞膜透過ペプチドとRGENのモル比は、約5:1~約20:1の間(例えば、約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、および20:1(これらの比の間の任意の範囲を含む)のいずれか)である。一部の実施形態では、第1、第2および/または第3の混合物は、各々、例えば、約20分、30分、40分および50分間のいずれかを含む、約10分~60分間、例えば、約2℃~約5℃、約5℃~約10℃、約10℃~約15℃、約15℃~約20℃、約20℃~約25℃、約25℃~約30℃、約30℃~約35℃、約35℃~約40℃、約40℃~約45℃、および約45℃~約50℃を含む、約2℃~約50℃の温度でインキュベートされる。一部の実施形態では、ナノ粒子を含む溶液は、例えば、少なくとも約6週間、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月および6ヶ月間のいずれかを含む、少なくとも約3週間、4℃で、安定した状態を保つ。一部の実施形態では、ナノ粒子を含む溶液は、担体の存在下で凍結乾燥される。一部の実施形態では、担体は、例えば、スクロース、グルコース、マンニトールおよびこれらの組合せを含む、糖であり、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む溶液中に、例えば、約7.5%~約17.5%、約10%~約15%、および約12.5%を含む、約5%~約20%、単位体積当たりの重量、で存在する。一部の実施形態では、担体は、例えば、ヒト血清アルブミンなどのアルブミンを含む、タンパク質である。一部の実施形態では、第1、第2および/または第3の細胞膜透過ペプチドは、各々、本明細書に記載のVEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドまたはADGN-100ペプチドである。一部の実施形態では、第1、第2および/または第3の細胞膜透過ペプチドは、各々、配列番号75、76、77、78、79または80のアミノ酸配列を含む。
【0251】
本発明のゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む安定した組成物についての、一部の実施形態では、複合体またはナノ粒子の平均直径は、約10%より大きく変化せず、多分散指数は、約10%より大きく変化しない。
使用方法
疾患処置方法
【0252】
一部の実施形態では、個体の疾患または状態を処置する方法であって、個体に、標的ポリヌクレオチドを修飾するための本明細書に記載のゲノム編集複合体またはナノ粒子と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物の有効量を投与するステップを含み、ゲノム編集複合体またはナノ粒子が、疾患または状態の処置に有用なゲノム編集システムの1つまたは複数の分子を含む、方法が提供される。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体またはナノ粒子は、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドまたはADGN-100ペプチドのアミノ酸配列を含むCPPを含む。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、ゲノム編集ヌクレアーゼ(またはゲノム編集ヌクレアーゼをコードする核酸)を含む。一部の実施形態では、ゲノム編集ヌクレアーゼは、ZFN、TALEN、ホーミングエンドヌクレアーゼ、RGENまたはDGENである。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、gRNAまたはgDNA(またはgRNAもしくはgDNAをコードする核酸)をさらに含む。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、標的ポリヌクレオチドに特異的修飾を導入するためのドナー核酸をさらに含む。一部の実施形態では、ゲノム編集ヌクレアーゼは、TALENである。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、CRISPRシステム(例えば、CRISPR/Cas9)である。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、インテグラーゼ(またはインテグラーゼをコードする核酸)を含む。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、インテグラーゼにより認識される組換え部位を含むドナー核酸をさらに含む。一部の実施形態では、処置されることになる疾患または状態は、がん、糖尿病、炎症性疾患、線維症、ウイルス感染性疾患、遺伝性疾患、眼疾患、加齢および変性疾患、ならびにコレステロールレベル異常を特徴とする疾患を含むが、これらに限定されない。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、1つまたは複数の遺伝子の配列を修飾することができる。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、1つまたは複数の遺伝子の発現を調節することができる。一部の実施形態では、1つまたは複数の遺伝子は、増殖因子およびサイトカイン、細胞表面受容体、シグナル伝達分子およびキナーゼ、転写因子および他の転写調節因子、タンパク質発現および修飾の制御因子、腫瘍抑制因子、ならびにアポトーシスおよび転移の制御因子を、これらに限定されないが、含むタンパク質をコードする。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体またはナノ粒子は、医薬組成物の個体への投与が、該個体の細胞における標的ポリヌクレオチドを修飾するのに十分なものであるような、全ゲノム編集システムを含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載の1つまたは複数の追加のゲノム編集複合体またはナノ粒子をさらに含み、医薬組成物中の複数のゲノム編集複合体またはナノ粒子は、医薬組成物の個体への投与が、該個体の細胞における標的ポリヌクレオチドを修飾するのに十分なものであるような、全ゲノム編集システムを含む。一部の実施形態では、方法は、個体に、本明細書に記載の1つまたは複数の追加のゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む1つまたは複数の追加の医薬組成物の有効量を投与するステップをさらに含み、複数の医薬組成物中の複数のゲノム編集複合体またはナノ粒子は、複数の医薬組成物の個体への投与が、個体の細胞における標的ポリヌクレオチドを修飾するのに十分なものであるような、全ゲノム編集システムを含む。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、標的遺伝子の発現を減少させること、または不活性な産物を発現する修飾標的遺伝子をもたらすことなどにより、標的遺伝子を不活性化するように修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、標的遺伝子の発現を増加させること、または活性標的遺伝子産物を発現する修飾標的遺伝子をもたらすことなどにより、標的遺伝子を活性化するように修飾される。一部の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる発現複合体をさらに含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、細胞膜透過ペプチド(例えば、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドおよびADGN-100ペプチドを含む、本明細書に記載の細胞膜透過ペプチドのいずれか)と、キメラ抗原受容体などの組換え受容体をコードする核酸分子とを含む、発現複合体をさらに含む。一部の実施形態では、組換え受容体は、疾患または状態に関連する抗原と特異的に結合するキメラ抗原受容体である。
【0253】
本明細書で使用される活性または発現の「調節」は、遺伝子もしくはmRNAの状態もしくはコピー数を制御もしくは変更すること、または産生されるタンパク質などの遺伝子産物の量を変化させることを意味する。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、標的遺伝子の発現を阻害する。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、遺伝子または遺伝子産物の発現を、少なくとも約0%、20%、30%、40%、60%、70%、80%、90%または100%のいずれか、阻害する。
【0254】
一部の実施形態では、個体の疾患または状態を処置する方法であって、個体に、標的ポリヌクレオチドを修飾するための本明細書に記載のゲノム編集複合体またはナノ粒子と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物の有効量を投与するステップを含み、ゲノム編集複合体またはナノ粒子が、疾患または状態の処置に有用なゲノム編集システムの1つまたは複数の分子と、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドまたはADGN-100ペプチドのアミノ酸配列を含む細胞膜透過ペプチドとを含む、方法が提供される。一部の実施形態では、VEPEP-3ペプチドは、配列番号1~14、75および76のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-6ペプチドは、配列番号15~40および77のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-9ペプチドは、配列番号41~52および78のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ADGN-100ペプチドは、配列番号53~70、79および80のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、ゲノム編集ヌクレアーゼ(またはゲノム編集ヌクレアーゼをコードする核酸)を含む。一部の実施形態では、ゲノム編集ヌクレアーゼは、ZFN、TALEN、ホーミングエンドヌクレアーゼ、RGENまたはDGENである。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、gRNAまたはgDNA(またはgRNAもしくはgDNAをコードする核酸)をさらに含む。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、標的ポリヌクレオチドに特異的修飾を導入するためのドナー核酸をさらに含む。一部の実施形態では、ゲノム編集ヌクレアーゼは、TALENである。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、CRISPRシステム(例えば、CRISPR/Cas9)である。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、インテグラーゼ(またはインテグラーゼをコードする核酸)を含む。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、インテグラーゼにより認識される組換え部位を含むドナー核酸をさらに含む。一部の実施形態では、処置されることになる疾患または状態は、がん、糖尿病、炎症性疾患、線維症、ウイルス感染性疾患、遺伝性疾患、眼疾患、加齢および変性疾患、ならびにコレステロールレベル異常を含むが、これらに限定されない。一部の実施形態では、医薬組成物中のゲノム編集複合体またはナノ粒子は、個体の1つまたは複数の遺伝子の配列を修飾するための、ゲノム編集システムの1つまたは複数の分子を含む。一部の実施形態では、医薬組成物中のゲノム編集複合体またはナノ粒子は、個体の1つまたは複数の遺伝子の発現を調節するための、ゲノム編集システムの1つまたは複数の分子を含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の遺伝子は、増殖因子およびサイトカイン、細胞表面受容体、シグナル伝達分子およびキナーゼ、転写因子および他の転写調節因子、タンパク質発現および修飾の制御因子、腫瘍抑制因子、ならびにアポトーシスおよび転移の制御因子を、これらに限定されないが、含むタンパク質をコードする。一部の実施形態では、ゲノム編集複合体またはナノ粒子は、医薬組成物の個体への投与が、該個体の細胞における標的ポリヌクレオチドを修飾するのに十分なものであるような、全ゲノム編集システムを含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載の1つまたは複数の追加のゲノム編集複合体またはナノ粒子をさらに含み、医薬組成物中の複数のゲノム編集複合体またはナノ粒子は、医薬組成物の個体への投与が、該個体の細胞における標的ポリヌクレオチドを修飾するのに十分なものであるような、全ゲノム編集システムを含む。一部の実施形態では、方法は、個体に、本明細書に記載の1つまたは複数の追加のゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む1つまたは複数の追加の医薬組成物の有効量を投与するステップをさらに含み、複数の医薬組成物中の複数のゲノム編集複合体またはナノ粒子は、複数の医薬組成物の個体への投与が、個体の細胞における標的ポリヌクレオチドを修飾するのに十分なものであるような、全ゲノム編集システムを含む。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、標的遺伝子の発現を減少させること、または不活性な産物を発現する修飾標的遺伝子をもたらすことなどにより、標的遺伝子を不活性化するように修飾される。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、標的遺伝子の発現を増加させること、または活性標的遺伝子産物を発現する修飾標的遺伝子をもたらすことなどにより、標的遺伝子を活性化するように修飾される。一部の実施形態では、医薬組成物は、細胞膜透過ペプチド(例えば、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドおよびADGN-100ペプチドを含む、本明細書に記載の細胞膜透過ペプチドのいずれか)と、キメラ抗原受容体をコードする核酸分子とを含む、発現複合体をさらに含む。一部の実施形態では、キメラ抗原受容体は、疾患または状態に関連する抗原と特異的に結合する。
【0255】
本明細書に記載の方法の一部の実施形態では、ゲノム編集複合体またはナノ粒子は、これらに限定されないが以下のものを含む、1つまたは複数の遺伝子を標的とするゲノム編集システムの1つまたは複数の分子(例えば、全ゲノム編集システム)を含む:アデノシン受容体A2A、アデノシン受容体A2B、アデニリルシクラーゼ、Akt、ALK、ALK/Met、アンジオポエチン受容体、アンジオテンシンII、APC、AR、ARK5、アレスチン、ATF1、ATF-2、B7-1、B7-h1(pdl-1)、β-カテニン、Bcl-2、BCL2L12、Bcl6、Bcr-Abl、BRAF、BRCA1、BRCA2、BTK、カスパーゼ-2、カスパーゼ-9、CCL2、CCN1、Ccnd2、CDK活性化キナーゼ、CEBPA、Chop、c-Jun、c-Myc、CREB、CREB1、CS1、CTGF、CTNNB1、CXCR4、サイクリンd1~2、サイクリン依存性キナーゼ(Cdk1~13)、DEPTOR、DNMT3B、DPC4、EBOVポリメラーゼL、EGF、EGFR、eIF5A、Elk-1、ER、Erbb4、ERK、ESR1、Ets1、EWSR1、FAK、FGF、FGFR、FOXO1、Frizzledファミリー受容体(FZD-1~10)、Fyn、GATA1、GATA3、GLI1、GM-CSF、GP/sGP、GSK、HBV保存配列、HDAC、HDGF、HDGFR、Her2、Her3、ヘキソキナーゼII、HGF、HGFR、HIF-1、HIF-1α、ヒストンメチルトランスフェラーゼEZH2、HIV TAR RNA、HIV Tat、HLA-B7/ベータ2-ミクログロブリン、HMGA2、HNF1A、HNF1B、Hsp27、HSP47、ヒトCCR5、Idh1、Idh2、IGF、IGFR、IKK、IKZF1、IL-12、IL-2、INK4、インターフェロンガンマ、IRF1、IRF4、JAK、JNK、ケラチン16、ケラチン17、ケラチンK6A、ケラチンK6B、KGFR、KLF6、KRAS、LMO、LMO1、LMP2、LMP7、LOXL2、LPL、LYL1、MADR2、MAPK、Max、Mcl-1、MDA-7、MDM2、MDR-1、MDS1-EVI1、MECL-1、MEF2C、MEK、MEKK、MKK、MLH1、MLST8、MMP-2、MMP-9、MSFR、MSH2、MSH6、MSIN1、mTOR、MUC-1、変異型DDX3X、MYC、NCAP-D2、NCAP-D3、NCAP-G、NCAP-G2、NCAP-H、NCAP-H2、NF1、NF2、NFAT4、NF-κB、Notch1、NPC1、NR4A3、NRAS、Olig2、オステオポンチン、p53、PAI-1、PARP-1、Patched、PAX3、PAX5、PAX7、PBX1、PDCD4、PDGF、PDGFR、PDK1、PHOX2B、PI3K、PKA、PKC、PKN3、PLK-1、PML、PR、PRAS40、PRDM16、Prdx1およびPrdx2(バーキットリンパ腫)、Pre-gen/Pre-C、Pre-S1、Pre-S2/S、PTC、PTEN、Pyk2、Rad51、RAF、RAPTOR、Rb、RET、RICTOR、RPN13、RRM2、RSVヌクレオカプシド、RUNX1、S6キナーゼ、Sap1a、SETBP1、Shc、SLAMF7、Smad、Smad 3、Smad 4、Smad 7、SMC-2、SMC-4、スムーズンド、SOX9、SPARC、Spry2、Src、β2アドレナリン受容体(ADRB2)、β-グロビン、STAT5B、STAT、サバイビン、Syk、Tal、TAL1、TGFR、TGF-α、TGF-β、TGFβ受容体1、TGFβ受容体2、TGFβ受容体3、TGFβ1、トロンボスポンジン、チミジンキナーゼ、TIM-1、TIMP、TNF-α、TP53、トランスサイレチン、TRPV1、ユビキチンリガーゼ、uPAR、VEGF、VEGFR、VEGFR1、VEGFR2、VEGFR3、VHL、VP24、VP30、VP35、VP40、wnt、WT1、WT2、XBP1(スプライシングされたものおよびスプライシングされていないもの)、XIAP、およびZBTB16(これらの変異型(例えば、変異型PTEN、変異型KRAS、変異型p53など)を含む)。疾患および状態
【0256】
本明細書に記載の方法の一部の実施形態では、処置されることになる疾患は、がんである。一部の実施形態では、がんは、固形腫瘍であり、医薬組成物は、増殖因子およびサイトカイン、細胞表面受容体、シグナル伝達分子およびキナーゼ、転写因子および他の転写調節因子、タンパク質発現および修飾の制御因子、腫瘍抑制因子、ならびにアポトーシスおよび転移の制御因子を含むがこれらに限定されないタンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子の発現を調節するゲノム編集システムの1つまたは複数の分子を含む、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む。一部の実施形態では、増殖因子またはサイトカインには、これらに限定されないが、EGF、VEGF、FGF、HGF、HDGF、IGF、PDGF、TGF-α、TGF-β、TNF-αおよびwntが、これらの変異型を含めて、含まれる。一部の実施形態では、細胞表面受容体には、これらに限定されないが、ER、PR、Her2、Her3、アンジオポエチン受容体、EGFR、FGFR、HGFR、HDGFR、IGFR、KGFR、MSFR、PDGFR、TGFR、VEGFR1、VEGFR2、VEGFR3、Frizzledファミリー受容体(FZD-1~10)、スムーズンド、PatchedおよびCXCR4が、これらの変異型を含めて、含まれる。一部の実施形態では、シグナル伝達分子またはキナーゼには、これらに限定されないが、KRAS、NRAS、RAF、MEK、MEKK、MAPK、MKK、ERK、JNK、JAK、PKA、PKC、PI3K、Akt、mTOR、Raptor、RICTOR、MLST8、PRAS40、DEPTOR、MSIN1、S6キナーゼ、PDK1、BRAF、FAK、Src、Fyn、Shc、GSK、IKK、PLK-1、サイクリン依存性キナーゼ(Cdk1~13)、CDK活性化キナーゼ、ALK/Met、Syk、BTK、Bcr-Abl、RET、β-カテニン、Mcl-1およびPKN3が、これらの変異型を含めて、含まれる。一部の実施形態では、転写因子、または他の転写調節因子には、これらに限定されないが、AR、ATF1、CEBPA、CREB1、ESR1、EWSR1、FOXO1、GATA1、GATA3、HNF1A、HNF1B、IKZF1、IRF1、IRF4、KLF6、LMO1、LYL1、MYC、NR4A3、PAX3、PAX5、PAX7、PBX1、PHOX2B、PML、RUNX1、SMAD4、SMAD7、STAT5B、TAL1、TP53、WT1、ZBTB16、ATF-2、Chop、c-Jun、c-Myc、DPC4、Elk-1、Ets1、Max、MEF2C、NFAT4、Sap1a、STAT、Tal、p53、CREB、NF-κB、HDAC、HIF-1αおよびRRM2が、これらの変異型を含めて、含まれる。一部の実施形態では、タンパク質発現または修飾の制御因子には、これらに限定されないが、ユビキチンリガーゼ、LMP2、LMP7およびMECL-1が、これらの変異型を含めて、含まれる。一部の実施形態では、腫瘍抑制因子には、これらに限定されないが、APC、BRCA1、BRCA2、DPC4、INK4、MADR2、MLH1、MSH2、MSH6、NF1、NF2、p53、PTC、PTEN、Rb、VHL、WT1およびWT2が、これらの変異型を含めて、含まれる。一部の実施形態では、アポトーシスまたは転移の制御因子には、これらに限定されないが、XIAP、Bcl-2、オステオポンチン、SPARC、MMP-2、MMP-9、uPARが、これらの変異型を含めて、含まれる。
【0257】
本明細書に記載の方法の一部の実施形態では、処置されることになる疾患は、固形腫瘍である、がんであり、医薬組成物は、腫瘍の発生および/または進行に関与するタンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子を標的とするゲノム編集システムの1つまたは複数の分子(例えば、全ゲノム編集システム)を含む、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む。一部の実施形態では、腫瘍の発生および/または進行に関与するタンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子には、これらに限定されないが、IL-2、IL-12、インターフェロン-ガンマ、GM-CSF、B7-1、カスパーゼ-9、p53、MUC-1、MDR-1、HLA-B7/ベータ2-ミクログロブリン、Her2、Hsp27、チミジンキナーゼおよびMDA-7が、これらの変異型を含めて、含まれる。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、ゲノム編集ヌクレアーゼ(またはゲノム編集ヌクレアーゼをコードする核酸)を含む。一部の実施形態では、ゲノム編集ヌクレアーゼは、ZFN、TALEN、ホーミングエンドヌクレアーゼ、RGENまたはDGENである。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、gRNAまたはgDNA(またはgRNAもしくはgDNAをコードする核酸)をさらに含む。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、標的ポリヌクレオチドに特異的修飾を導入するためのドナー核酸をさらに含む。一部の実施形態では、ゲノム編集ヌクレアーゼは、TALENである。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、CRISPRシステム(例えば、CRISPR/Cas9)である。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、インテグラーゼ(またはインテグラーゼをコードする核酸)を含む。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、インテグラーゼにより認識される組換え部位を含むドナー核酸をさらに含む。
【0258】
本明細書に記載の方法の一部の実施形態では、処置されることになる疾患は、肝がんである、がんであり、医薬組成物は、肝がんの発生および/または進行に関与するタンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子を標的とするゲノム編集システムの1つまたは複数の分子(例えば、全ゲノム編集システム)を含む、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む。一部の実施形態では、肝がんは、肝細胞癌、胆管細胞癌、肝臓の血管肉腫(angiosarcoma)、または肝臓の血管肉腫(hemangiosarcoma)である。一部の実施形態では、肝
がんの発生および/または進行に関与するタンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子には、これらに限定されないが、CCND2、RAD23B、GRP78、CEP164、MDM2およびALDH2が、これらの変異型を含めて、含まれる。
【0259】
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法のいずれかによれば、がんは、肝細胞癌(HCC)である。一部の実施形態では、HCCは、早期HCC、非転移性HCC、原発性HCC、進行HCC、局所進行HCC、転移性HCC、寛解期のHCC、または再発HCCである。一部の実施形態では、HCCは、限局性切除可能(すなわち、完全な外科的除去が可能である肝臓の一部分に限定される腫瘍)であるか、限局性切除不能(すなわち、極めて重要な血管構造に浸潤しているため、もしくは肝臓が障害されるため、切除不能であり得る限局性腫瘍)であるか、または切除不能である(すなわち、腫瘍が、すべての肝臓葉に浸潤している、および/または拡大して他の器官(例えば、肺、リンパ節、骨)に浸潤してしまっている。一部の実施形態では、HCCは、TNM分類に従って、ステージI腫瘍(血管浸潤のない単一の腫瘍)、ステージII腫瘍(血管浸潤を伴う単一の腫瘍、または5cmより大きいものがない複数の腫瘍)、ステージIII腫瘍(いずれも5cmより大きい複数の腫瘍、または門脈もしくは肝静脈の主枝に浸潤している腫瘍)、ステージIV腫瘍(胆嚢以外の隣接器官への直接浸潤、または臓側腹膜穿孔を伴う、腫瘍)、N1腫瘍(局所リンパ節転移)またはM1腫瘍(遠隔転移)である。一部の実施形態では、HCCは、AJCC(米国がん合同委員会(American Joint Commission on Cancer
))ステージ分類基準に従って、ステージT1、T2、T3またはT4 HCCである。一部の実施形態では、HCCは、肝臓細胞癌、HCCの線維層板型バリアントおよび混合型肝細胞・胆管細胞癌のいずれか1つである。一部の実施形態では、個体は、肝細胞癌に関連する遺伝子、遺伝子変異または多型(例えば、CCND2、RAD23B、GRP78、CEP164、MDM2および/またはALDH2の変異または多型)を有するヒトであってもよく、または肝細胞癌に関連する遺伝子の1つもしくは複数の余分なコピーを有するヒトであってもよい。
【0260】
本明細書に記載の方法の一部の実施形態では、処置されることになる疾患は、肺がんである、がんであり、医薬組成物は、肺がんの発生および/または進行に関与するタンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子を標的とするゲノム編集システムの1つまたは複数の分子(例えば、全ゲノム編集システム)を含む、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む。一部の実施形態では、肺がんの発生および/または進行に関与するタンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子には、これらに限定されないが、SASH1、LATS1、IGF2R、PARK2、KRAS、PTEN、Kras2、Krag、Pas1、ERCC1、XPD、IL8RA、EGFR、Ot1-AD、EPHX、MMP1、MMP2、MMP3、MMP12、IL1β、RASおよびAKTが、これらの変異型を含めて、含まれる。
【0261】
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法のいずれかによれば、がんは、肺がんである。一部の実施形態では、肺がんは、非小細胞肺がん(NSCLC)である。NSCLCの例としては、大細胞癌(例えば、大細胞神経内分泌癌、混合型大細胞神経内分泌癌、類基底細胞癌、リンパ上皮腫様癌、明細胞癌、およびラブドイド表現型を有する大細胞癌)、腺癌(例えば、腺房状、乳頭状(例えば、気管支肺胞癌、非粘液性、粘液性、粘液性と非粘液性の混合型、および不確定細胞型)、ムチンを伴う固形腺癌、混合亜型を伴う腺癌、高分化型胎児型腺癌、粘液性(膠様)腺癌、粘液性嚢胞腺癌、印環細胞癌、および明細胞腺癌)、神経内分泌肺腫瘍、および扁平上皮癌(例えば、乳頭状、明細胞、小細胞、類基底のもの)が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、NSCLCは、TNM分類に従って、ステージT腫瘍(原発性腫瘍)、ステージN腫瘍(局所リンパ節)、またはステージM腫瘍(遠隔転移)である。一部の実施形態では、肺がんは、カルチノイド(定型または非定型)、腺扁平上皮癌、円柱腫、または唾液腺癌(例えば、腺様嚢胞癌または粘表皮癌)である。一部の実施形態では、肺がんは、多形性、肉腫様または肉腫性事象を伴う癌(例えば、紡錘および/もしくは巨細胞を伴う癌、紡錘細胞癌、巨細胞癌、癌肉腫、または肺芽腫を伴う癌)である。一部の実施形態では、がんは、小細胞肺がん(SCLC;燕麦細胞癌とも呼ばれる)である。小細胞肺がんは、限局型小細胞肺がんであってもよく、進展型小細胞肺がんであってもよく、または再発小細胞肺がんであってもよい。一部の実施形態では、個体は、肺がんに関連することが疑われるもしくは明らかにされた遺伝子、遺伝子変異もしくは多型(例えば、SASH1、LATS1、IGF2R、PARK2、KRAS、PTEN、Kras2、Krag、Pas1、ERCC1、XPD、IL8RA、EGFR、Ot1-AD、EPHX、MMP1、MMP2、MMP3、MMP12、IL1 β、RASおよび/もしくはAKTの変異もしくは多型)を有するヒトであってもよく、または肺がんに関連する遺伝子の1つもしくは複数の余分なコピーを有するヒトであってもよい。
【0262】
本明細書に記載の方法の一部の実施形態では、処置されることになる疾患は、腎細胞癌(RCC)である、がんであり、医薬組成物は、RCCの発生および/または進行に関与するタンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子を標的とするゲノム編集システムの1つまたは複数の分子(例えば、全ゲノム編集システム)を含む、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む。一部の実施形態では、RCCの発生および/または進行に関与するタンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子には、これらに限定されないが、VHL、TSC1、TSC2、CUL2、MSH2、MLH1、INK4a/ARF、MET、TGF-α、TGF-β1、IGF-I、IGF-IR、AKTおよびPTENが、これらの変異型を含めて、含まれる。
【0263】
一部の実施形態では、上記に記載の方法のいずれかによれば、がんは、腎細胞癌である。一部の実施形態では、腎細胞癌は、腺癌で癌ある。一部の実施形態では、腎細胞癌は、明細胞腎細胞癌、乳頭状腎細胞癌(好色素性腎細胞癌とも呼ばれる)、嫌色素性腎細胞癌、集合管腎細胞癌、顆粒細胞型腎細胞癌(granular renal cell carcinoma)、混合顆粒細胞型腎細胞癌(mixed granular renal cell carcinoma)、腎血管筋脂肪腫、ま
たは紡錘細胞型腎細胞癌(spindle renal cell carcinoma)である。一部の実施形態
では、個体は、腎細胞癌に関連する遺伝子、遺伝子変異または多型(例えば、VHL、TSC1、TSC2、CUL2、MSH2、MLH1、INK4a/ARF、MET、TGF-α、TGF-β1、IGF-I、IGF-IR、AKTおよび/またはPTENの変異または多型)を有するヒトであってもよく、または腎細胞癌に関連する遺伝子の1つもしくは複数の余分なコピーを有するヒトであってもよい。一部の実施形態では、腎細胞癌は、(1)フォンヒッペル・リンダウ(VHL)症候群、(2)遺伝性乳頭状腎癌(HPRC)、(3)バート・ホッグ・デュベ症候群(BHDS)に関連する家族性腎オンコサイトーマ(FRO)、または(4)遺伝性腎癌(HRC)に、関連している。一部の実施形態では、腎細胞癌は、米国がん合同委員会(American Joint Committee on Cancer)(AJCC)ステージ分類基準に従って、ステージI、II、IIIまたはIVのいずれかである。一部の実施形態では、腎細胞癌は、ステージIV腎細胞癌である。
【0264】
本明細書に記載の方法の一部の実施形態では、処置されることになる疾患は、中枢神経系(CNS)腫瘍である、がんであり、医薬組成物は、CNS腫瘍の発生および/または進行に関与するタンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子を標的とするゲノム編集システムの1つまたは複数の分子(例えば、全ゲノム編集システム)を含む、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、CNS腫瘍に対する外科手術手技中または後(例えば、直後)に投与される。一部の実施形態では、外科手術手技は、CNS腫瘍の切除である。一部の実施形態では、医薬組成物は、外科手術手技の結果として生じる術後空洞に投与される。一部の実施形態では、CNS腫瘍の発生および/または進行に関与するタンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子には、これらに限定されないが、NF1、NF2、SMARCB1、pVHL、TSC1、TSC2、p53、CHK2、MLH1、PMS2、PTCH、SUFUおよびXRCC7が、これらの変異型を含めて、含まれる。
【0265】
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法のいずれかによれば、がんは、CNS腫瘍である。一部の実施形態では、CNS腫瘍は、神経膠腫(例えば、脳幹神経膠腫および混合型神経膠腫)、神経膠芽腫(多形神経膠芽腫としても公知)、星細胞腫(例えば、高悪性度星細胞腫)、小児神経膠腫もしくは神経膠芽腫(例えば、小児高悪性度神経膠腫(HGG)およびびまん性内在性橋神経膠腫(DIPG))、CNSリンパ腫、胚細胞腫、髄芽腫、シュワン腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫瘍、乏突起神経膠腫、髄膜腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、または脳転移である。一部の実施形態では、個体は、CNS腫瘍に関連することが疑われるもしくは明らかにされた遺伝子、遺伝子変異または多型(例えば、NF1、NF2、SMARCB1、pVHL、TSC1、TSC2、p53、CHK2、MLH1、PMS2、PTCH、SUFUおよびXRCC7の変異もしくは多型)を有するヒトであってもよく、またはCNS腫瘍に関連する遺伝子の1つもしくは複数の余分なコピーを有するヒトであってもよい。
【0266】
本明細書に記載の方法の一部の実施形態では、処置されることになる疾患は、血液疾患であり、医薬組成物は、血液疾患の発生および/または進行に関与するタンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子の配列および/または発現を修飾するゲノム編集システムの1つまたは複数の分子(例えば、全ゲノム編集システム)を含む、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む。一部の実施形態では、血液疾患は、ヘモグロビン異常症、例えば、鎌状赤血球症、サラセミアもしくはメトヘモグロビン血症、貧血、例えば、巨赤芽球性貧血、溶血性貧血(例えば、遺伝性球状赤血球症、遺伝性楕円赤血球症、先天性赤血球形成異常性貧血、グルコース-6-リン酸脱水素酵素欠損症、ピルビン酸キナーゼ欠損症、免疫介在性溶血性貧血、自己免疫性溶血性貧血、温式抗体自己免疫性溶血性貧血、全身性エリテマトーデス、エバンス症候群、寒冷自己免疫性溶血性貧血、寒冷凝集素症、発作性寒冷ヘモグロビン尿症、伝染性単核症、同種免疫性溶血性貧血、新生児溶血性疾患、もしくは発作性夜間ヘモグロビン尿症)、再生不良性貧血(例えば、ファンコニ貧血、ダイアモンド・ブラックファン貧血、もしくは後天性赤芽球癆)、骨髄異形成症候群、骨髄線維症、好中球減少症、顆粒球減少症、グランツマン血小板無力症、血小板減少症、骨髄増殖性障害、例えば、真正赤血球増加症、赤血球増加症、白血球増加症もしくは血小板増加症、または凝血異常、例えば、再発性血栓症、播種性血管内凝固、血友病(例えば、血友病A、血友病B、もしくは血友病C)、フォン・ヴィルブランド病、プロテインS欠乏症、抗リン脂質抗体症候群、またはウィスコット・オルドリッチ症候群である。一部の実施形態では、血液疾患の発生および/または進行に関与するタンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子には、これらに限定されないが、HBA1、HBA2、HBB、PROC、ALAS2、ABCB7、SLC25A38、MTTP、FANCA、FANCB、FANCC、FANCD1(BRCA2)、FANCD2、FANCE、FANCF、FANCG、FANCI、FANCJ(BRIP1)、FANCL、FANCM、FANCN(PALB2)、FANCP(SLX4)、FANCS(BRCA1)、RAD51C、XPF、ANK1、SPTB、SPTA、SLC4A1、EPB42、およびTPI1が、これらの変異型を含めて、含まれる。
【0267】
本明細書に記載の方法の一部の実施形態では、処置されることになる疾患は、器官に基づいた疾患であり、医薬組成物は、器官に基づいた疾患の発生および/または進行に関与するタンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子の配列および/または発現を修飾するゲノム編集システムの1つまたは複数の分子(例えば、全ゲノム編集システム)を含む、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む。一部の実施形態では、器官に基づいた疾患は、眼、肝臓、肺、腎臓、心臓、神経系、筋肉または皮膚の疾患である。一部の実施形態では、疾患は、心血管疾患、例えば、冠動脈心疾患、高血圧症、心房細動、末梢動脈疾患、マルファン症候群、QT延長症候群、または先天性心臓欠陥である。一部の実施形態では、疾患は、消化器系疾患、例えば、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、クローン病、セリアック病、消化性潰瘍疾患、胃食道逆流症、または慢性膵炎である。一部の実施形態では、疾患は、泌尿器疾患、例えば、慢性前立腺炎、良性前立腺肥大症、または間質性膀胱炎である。一部の実施形態では、疾患は、筋骨格系疾患、例えば、変形性関節症、骨粗鬆症、骨形成不全症、または骨パジェット病である。一部の実施形態では、疾患は、皮膚疾患、例えば、湿疹、乾癬、ざ瘡、酒さ、または皮膚炎である。一部の実施形態では、疾患は、歯牙または頭蓋顔面障害、例えば、歯周病または顎関節および筋肉の障害(TMJD)である。
【0268】
本明細書に記載の方法の一部の実施形態では、処置されることになる疾患は、眼疾患であり、医薬組成物は、眼疾患の発生および/または進行に関与するタンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子の配列および/または発現を修飾するゲノム編集システムの1つまたは複数の分子(例えば、全ゲノム編集システム)を含む、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む。一部の実施形態では、眼疾患は、加齢黄斑変性またはこれに類するもの、未熟児網膜症、ポリープ状脈絡膜血管症、糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫、虚血性増殖性網膜症、網膜色素変性、錐体ジストロフィー、増殖性硝子体網膜症、網膜動脈閉塞症、網膜静脈閉塞症、角膜炎、結膜炎、ぶどう膜炎、レーベル病、網膜剥離、網膜色素上皮剥離、血管新生緑内障、角膜血管新生、網膜脈絡膜血管新生である。一部の実施形態では、血液疾患の発生および/または進行に関与するタンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子には、これらに限定されないが、Rho、PDE6β、ABCA4、RPE65、LRAT、RDS/ペリフェリン、MERTK、CNGA1、RPGR、IMPDH1、ChR2、GUCY2D、RDS/ペリフェリン、AIPL1、ABCA4、RPGRIP1、IMPDH1、AIPL1、GUCY2D、LRAT、MERTK、RPGRIP1、RPE65、CEP290、ABCA4、DFNB31、MYO7A、USH1C、CDH23、PCDH15、USH1G、CLRN1、GNAT2、CNGA3、CNGB3、Rs1、OA1、MT-ND4、(OCA1)、チロシナーゼ、p21 WAF-1/OCipl、REP-1、PDGF、エンドスタチン、アンジオスタチン、VEGF阻害剤、オプシン、OPN1LW、アリールスルファターゼBおよびβ-グルクロニダーゼが、これらの変異型を含めて、含まれる。
【0269】
本明細書に記載の方法の一部の実施形態では、処置されることになる疾患は、肝臓疾患であり、医薬組成物は、肝臓疾患の発生および/または進行に関与するタンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子の配列および/または発現を修飾するゲノム編集システムの1つまたは複数の分子(例えば、全ゲノム編集システム)を含む、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む。一部の実施形態では、肝臓疾患は、肝炎、脂肪肝疾患(アルコール性および非アルコール性)、ヘモクロマトーシス、ウィルソン病、進行性家族性肝内胆汁うっ滞症3型、遺伝性果糖不耐症、糖原病IV型、高チロシン血症I型、アルギニノコハク酸リアーゼ欠損症、シトリン欠損症(CTLN2、NICCD)、コレステロールエステル蓄積症、嚢胞性線維症、アルストレム症候群、先天性肝線維症、アルファ1アンチトリプシン欠損症、糖原病II型、トランスサイレチン関連遺伝性アミロイドーシス、ジルベール症候群、肝硬変、原発性胆汁性肝硬変または原発性硬化性胆管炎である。一部の実施形態では、肝臓疾患の発生および/または進行に関与するタンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子には、これらに限定されないが、ATP7B、ABCB4、ALDOB、GBE1、FAH、ASL、SLC25A13、LIPA、CFTR、ALMS1、HFE、HFE2、HFDE2B、HFE3、SLC11A3/SLC40A1、セルロプラスミン、トランスフェリン、A1AT、BCS1L、B3GAT1、B3GAT2、B3GAT3、UGT1A1、UGT1A3、UGT1A4、UGT1A5、UGT1A6、UGT1A7、UGT1A8、UGT1A9、UGT1A10、UGT2A1、UGT2A2、UGT2A3、UGT2B4、UGT2B7、GT2B10、UGT2B11、UGT2B15、UGT2B17、およびUGT2B28が、これらの変異型を含めて、含まれる。
【0270】
本明細書に記載の方法の一部の実施形態では、処置されることになる疾患は、肺疾患であり、医薬組成物は、肺疾患の発生および/または進行に関与するタンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子の配列および/または発現を修飾するゲノム編集システムの1つまたは複数の分子(例えば、全ゲノム編集システム)を含む、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む。一部の実施形態では、肺疾患は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、嚢胞性線維症、原発性線毛機能不全、肺線維症、バート・ホッグ・デュベ症候群、結節性硬化症、カルタゲナー症候群、α1-アンチトリプシン欠損症、肺毛細血管腫症(PCH)、または遺伝性出血性毛細血管拡張症である。一部の実施形態では、肺疾患の発生および/または進行に関与するタンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子には、これらに限定されないが、EIF2AK4、IREB2、HHIP、FAM13A、IL1RL1、TSLP、IL33、IL25、CFTR、DNAI1、DNAH5、TXNDC3、DNAH11、DNAI2、KTU、RSPH4A、RSPH9、LRRC50、TERC、TERT、SFTPC、SFTPA2、FLCN、TSC1、TSC2、A1AT、ENG、ACVRL1、およびMADH4が、これらの変異型を含めて、含まれる。
【0271】
本明細書に記載の方法の一部の実施形態では、処置されることになる疾患は、腎臓疾患であり、医薬組成物は、腎臓疾患の発生および/または進行に関与するタンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子の配列および/または発現を修飾するゲノム編集システムの1つまたは複数の分子(例えば、全ゲノム編集システム)を含む、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む。一部の実施形態では、腎臓疾患は、嚢胞性腎臓疾患(例えば、常染色体優性多発性嚢胞腎、常染色体劣性多発性嚢胞腎、ネフロン癆、もしくは海綿腎)、アルポート症候群、バーター症候群、先天性ネフローゼ症候群、爪膝蓋骨症候群、原発性免疫性糸球体腎炎、逆流性腎症、または溶血性尿毒症症候群である。一部の実施形態では、腎臓疾患の発生および/または進行に関与するタンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子には、これらに限定されないが、PKD1、PKD2、PKD3、フィブロシスチン、NPHP1、NPHP2、NPHP3、NPHP4、NPHP5、NPHP6、NPHP7、NPHP8、NPHP9、NPHP11、NPHP11、NPHPL1、GDNF、COL4A5、COL4A3、COL4A4、SLC12A2(NKCC2)、ROMK/KCNJ1、CLCNKB、BSND、CASR、SLC12A3(NCCT)、およびADAMTS13が、これらの変異型を含めて、含まれる。
【0272】
本明細書に記載の方法の一部の実施形態では、処置されることになる疾患は、筋肉疾患であり、医薬組成物は、筋肉疾患の発生および/または進行に関与するタンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子の配列および/または発現を修飾するゲノム編集システムの1つまたは複数の分子(例えば、全ゲノム編集システム)を含む、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む。一部の実施形態では、筋肉疾患は、ミオパチー(例えば、ミトコンドリアミオパチー)、筋ジストロフィー(例えば、デュセンヌ型、ベッカー型、エミリー・ドレイフス型、顔面肩甲上腕型、筋強直性、先天性、遠位型、肢帯型、および眼咽頭型)、脳性麻痺、進行性骨化性線維異形成症、皮膚筋炎、コンパートメント症候群、重症筋無力症、筋萎縮性側索硬化症、横紋筋融解、多発性筋炎、線維筋痛症、筋強直、筋筋膜性疼痛症候群である。一部の実施形態では、筋肉疾患の発生および/または進行に関与するタンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子には、これらに限定されないが、DMD、LAMA2、コラーゲンVI(COL6A1、COL6A2、またはCOL6A3)、POMT1、POMT2、FKTN、FKRP、LARGE1、POMGNT1、ISPD、SEPN1、LMNA、DYSF、EMD、DUX4、DMPK、ZNF9、PABPN1、CAV3、CAPN3、SGCA、SGCB、SGCG、SGCD、TTN、ANO5、DNAJB6、HNRNPDL、MYOT、TCAP、TNPO3、TRAPPC11、およびTRIM32が、これらの変異型を含めて、含まれる。
【0273】
本明細書に記載の方法の一部の実施形態では、処置されることになる疾患は、神経系疾患(例えば、中枢神経系疾患)であり、医薬組成物は、神経系疾患の発生および/または進行に関与するタンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子の配列および/または発現を修飾するゲノム編集システムの1つまたは複数の分子(例えば、全ゲノム編集システム)を含む、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む。一部の実施形態では、神経系疾患は、副腎白質ジストロフィー、アンジェルマン症候群、毛細血管拡張症性運動失調症、シャルコー・マリー・トゥース症候群、コケイン症候群、本態性振戦、脆弱X症候群、フリードライヒ運動失調症、ゴーシェ病、レッシュ・ナイハン症候群、メープルシロップ尿症、メンケス症候群、ナルコレプシー、神経線維腫症、ニーマン・ピック病、フェニルケトン尿症、プラダー・ウィリー症候群、レフサム病、レット症候群、脊髄性筋萎縮症、脊髄小脳変性症、タンジール病、テイ・サックス病、結節性硬化症、フォンヒッペル・リンダウ症候群、ウィリアムズ症候群、ウィルソン病、ツェルベーガー症候群、注意欠陥/多動性障害(ADHD)、自閉症、双極性障害、うつ病、てんかん、偏頭痛、多発性硬化症、脊髄症、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、またはトゥレット病である。一部の実施形態では、神経系疾患の発生および/または進行に関与するタンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子には、これらに限定されないが、ALD、PS1(AD3)、PS2(AD4)、SOD1、UBE3A、ATM、PMP22、MPZ、LITAF、EGR2、MFN2、KIF1B、RAB7A、LMNA、TRPV4、BSCL2、GARS、NEFL、HSPB1、GDAP1、HSPB8、MTMR2、SBF2、SH3TC2、NDRG1、PRX、FGD4、FIG4、DNM2、YARS、GJB1、PRPS1、CSA、CSB、Cx26、EPM2A、ETM1(FET1)、ETM2、FMR1、フラタキシン、GBA、HTT、HPRT1、BCKDH、ATP7A、ATP7B、HLA-DQB1、HLA-DQA1、HLA-DRB1、NF1、NF2、SMPD1、NPC1、NPC2、LRRK2、PARK7、PINK1、PRKN、SNCA、UCHL1、PAH、PHYH、PEX7、MeCP2、SMN1、ATXN遺伝子(例えば、ATXN1、ATXN2など)、ABC1、HEXA、TSC1、TSC2、VHL、CLIP2、ELN、GTF2I、GTF2IRD1、LIMK1、およびPXR1が、これらの変異型を含めて、含まれる。
【0274】
本明細書に記載の方法の一部の実施形態では、処置されることになる疾患は、血液悪性腫瘍であるがんであり、医薬組成物は、血液悪性腫瘍の発生および/または進行に関与するタンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子の配列および/または発現を修飾するゲノム編集システムの1つまたは複数の分子(例えば、全ゲノム編集システム)を含む、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む。一部の実施形態では、血液悪性腫瘍の発症および/または進行に関与するタンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子には、これらに限定されないが、GLI1、CTNNB1、eIF5A、変異型DDX3X、ヘキソキナーゼII、ヒストンメチルトランスフェラーゼEZH2、ARK5、ALK、MUC1、HMGA2、IRF1、RPN13、HDAC11、Rad51、Spry2、mir-146a、mir-146b、サバイビン、MDM2、MCL1、CMYC、XBP1(スプライシングされたものおよびスプライシングされていないもの)、SLAMF7、CS1、Erbb4、Cxcr4(ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症)、Myc、Bcl2、Prdx1およびPrdx2(バーキットリンパ腫)、Bcl6、Idh1、Idh2、Smad、Ccnd2、サイクリンd1~2、B7-h1(pdl-1)およびPyk2が、これらの変異型を含めて、含まれる。
【0275】
本明細書に記載の方法の一部の実施形態では、処置されることになる疾患は、ウイルス感染性疾患であり、医薬組成物は、ウイルス感染性疾患の発生および/または進行に関与するタンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子の配列および/または発現を修飾するゲノム編集システムの1つまたは複数の分子(例えば、全ゲノム編集システム)を含む、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む。一部の実施形態では、ウイルス感染性疾患は、肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ピコルナウイルス、ポリオウイルス、エンテロウイルス、ヒトコクサッキーウイルス、インフルエンザウイルス、ライノウイルス、エコーウイルス、風疹ウイルス、脳炎ウイルス、狂犬病ウイルス、ヘルペスウイルス、パピローマウイルス、ポリオーマウイルス、RSV、アデノウイルス、黄熱病ウイルス、デングウイルス、パラインフルエンザウイルス、出血性ウイルス、ポックスウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、パラインフルエンザウイルス、レオウイルス、オルビウイルス、ロタウイルス、パルボウイルス、アフリカブタ熱ウイルス、麻疹、ムンプスまたはノーウォークウイルスによる感染を特徴とする。一部の実施形態では、ウイルス感染性疾患は、CMV、EBV、HBV、KSHV、HPV、MCV、HTLV-1、HIV-1およびHCVを含むがこれらに限定されない、発癌ウイルスによる感染を特徴とする。一部の実施形態では、ウイルス感染性疾患の発生および/または進行に関与するタンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子には、これらに限定されないが、RSVヌクレオカプシド、Pre-gen/Pre-C、Pre-S1、Pre-S2/S、X、HBV保存配列、HIV Gagポリタンパク質(p55)、HIV Polポリタンパク質、HIV
Gag-Pol前駆体(p160)、HIVマトリックスタンパク質(MA、p17)、HIVカプシドタンパク質(CA、p24)、HIVスペーサーペプチド1(SP1、p2)、HIVヌクレオカプシドタンパク質(NC、p9)、HIVスペーサーペプチド2(SP2、p1)、HIV P6タンパク質、HIV逆転写酵素(RT、p50)、HIV RNアーゼH(p15)、HIVインテグラーゼ(IN、p31)、HIVプロテアーゼ(PR、p10)、HIV Env(gp160)、gp120、gp41、HIVトランス活性化因子(Tat)、HIVビリオンタンパク質発現制御因子(Rev)、HIVレンチウイルスタンパク質R(Vpr)、HIV Vif、HIV陰性因子(Nef)、HIVウイルスタンパク質U(Vpu)、ヒトCCR5、miR-122、EBOVポリメラーゼL、VP24、VP40、GP/sGP、VP30、VP35、NPC1およびTIM-1をコードする遺伝子が、これらの変異型を含めて、含まれる。
【0276】
本明細書に記載の方法の一部の実施形態では、処置されることになる疾患または状態は、自己免疫または炎症性疾患または状態であり、医薬組成物は、自己免疫または炎症性疾患または状態の発生および/または進行に関与するタンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子の配列および/または発現を修飾するゲノム編集システムの1つまたは複数の分子(例えば、全ゲノム編集システム)を含む、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む。一部の実施形態では、自己免疫または炎症性疾患または状態は、ざ瘡、アレルギー、アナフィラキシー、喘息、セリアック病、憩質炎、糸球体腎炎、炎症性腸疾患、間質性膀胱炎、狼瘡、耳炎、骨盤内炎症性疾患、関節リウマチ、サルコイドーシス、または血管炎である。一部の実施形態では、自己免疫または炎症性疾患または状態の発生および/または進行に関与するタンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子には、これらに限定されないが、補体系の分子をコードする遺伝子(CD46、CD59、CFB、CFD、CFH、CFHR1、CFHR2、CFHR3、CFHR4、CFHR5、CFI、CFP、CR1、CR1L、CR2、C1QA、C1QB、C1QC、C1R、C1S、C2、C3、C3AR1、C4A、C4B、C5、C5AR1、C6、C7、C8A、C8B、C8G、C9、ITGAM、ITGAX、およびITGB2)が、これらの変異型を含めて、含まれる。
【0277】
本明細書に記載の方法の一部の実施形態では、処置されることになる疾患または状態は、リソソーム蓄積症であり、医薬組成物は、リソソーム蓄積症の発生および/または進行に関与するタンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子の配列および/または発現を修飾するゲノム編集システムの1つまたは複数の分子(例えば、全ゲノム編集システム)を含む、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む。一部の実施形態では、リソソーム蓄積症は、スフィンゴリピドーシス(例えば、ファーバー病、クラッベ病(乳児発症型、遅発型)、ガラクトシアリドーシス、ガングリオシドーシス(例えば、ファブリー病、シンドラー病、GM1ガングリオシドーシス(乳児型、若年型、成人型/慢性)、GM2ガングリオシドーシス(例えば、サンドホフ病(乳児、若年、成人発症型)、テイ・サックス))、ゴーシェ病(I型、II型、III型)、リソソーム酸性リパーゼ欠損症(早期発症型、遅発型)、ニーマン・ピック病(A型、B型)、スルファチドーシス(例えば、異染性白質ジストロフィー(MLD)、マルチプルスルファターゼ欠損症))、ムコ多糖症(例えば、MPS I型ハーラー症候群、MPS I S型シャイエ症候群、MPS I H-S型ハーラー・シャイエ症候群、II型(ハンター症候群)、III型(サンフィリポ症候群)、IV型(モルキオ)、VI型(マロトー・ラミー症候群)、VII型(スライ症候群)、IX型(ヒアルロニダーゼ欠損症))、ムコリピドーシス(例えば、I型(シアリドーシス)、II型(I細胞病)、III型(偽性ハーラー・ポリジストロフィー/ホスホトランスフェラーゼ欠損症)、IV型(ムコリピジン(Mucolipidin)1欠損症
))、リピドーシス(例えば、ニーマン・ピック病(C型、D型)、神経セロイドリポフスチン症、ウォルマン病)、アルファマンノシドーシス、ベータマンノシドーシス、アスパルチルグルコサミン尿症、フコシドーシス、リソソーム輸送障害(例えば、シスチン症、濃化異骨症、サラ病/シアル酸蓄積症、乳児遊離シアル酸蓄積症(ISSD))、コレステリルエステル蓄積症である。一部の実施形態では、リソソーム蓄積症の発生および/または進行に関与するタンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子には、これらに限定されないが、セラミダーゼ、アルファガラクトシダーゼ(A、B)、ベータガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼA、スフィンゴミエリナーゼ、リソソーム酸性リパーゼ、サポシンB、スルファターゼ、ヒアルロニダーゼ、ホスホトランスフェラーゼ、ムコリピジン1、アスパルチルグルコサミニダーゼ、アルファ-D-マンノシダーゼ、ベータマンノシダーゼ、アルファ-L-フコシダーゼ、シスチノシン、カテプシンK、シアリン、SLC17A5、酸性アルファグルコシダーゼ、LAMP2をコードする遺伝子が、これらの変異型を含めて、含まれる。
【0278】
本明細書に記載の方法の一部の実施形態では、処置されることになる疾患または状態は、糖原病であり、医薬組成物は、糖原病の発生および/または進行に関与するタンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子の配列および/または発現を修飾するゲノム編集システムの1つまたは複数の分子(例えば、全ゲノム編集システム)を含む、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む。一部の実施形態では、糖原病は、フォン・ギルーケ病、ポンペ病、コリ病もしくはフォーブス病、アンダーソン病、マッカードル病、ハース病、垂井病、ファンコニ・ビッケル症候群、または赤血球アルドラーゼ欠損症である。一部の実施形態では、糖原病の発生および/または進行に関与するタンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子には、これらに限定されないが、グリコーゲンシンターゼ、グルコース-6-ホスファターゼ、酸性アルファグルコシダーゼ、グリコーゲン脱分枝酵素、グリコーゲン分枝酵素、筋グリコーゲンホスホリラーゼ、肝グリコーゲンホスホリラーゼ、筋ホスホフルクトキナーゼ、ホスホリラーゼキナーゼ、グルコース輸送体、GLUT2、アルドラーゼAおよびβ-エノラーゼをコードする遺伝子が、これらの変異型を含めて、含まれる。
【0279】
本明細書に記載の方法の一部の実施形態では、処置されることになる疾患または状態は、免疫不全症であり、医薬組成物は、糖原病の発生および/または進行に関与するタンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子の配列および/または発現を修飾するゲノム編集システムの1つまたは複数の分子(例えば、全ゲノム編集システム)を含む、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む。一部の実施形態では、糖原病は、フォン・ギルーケ病、ポンペ病、コリ病もしくはフォーブス病、アンダーソン病、マッカードル病、ハース病、垂井病、ファンコニ・ビッケル症候群、または赤血球アルドラーゼ欠損症である。一部の実施形態では、糖原病の発生および/または進行に関与するタンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子には、これらに限定されないが、グリコーゲンシンターゼ、グルコース-6-ホスファターゼ、酸性アルファグルコシダーゼ、グリコーゲン脱分枝酵素、グリコーゲン分枝酵素、筋グリコーゲンホスホリラーゼ、肝グリコーゲンホスホリラーゼ、筋ホスホフルクトキナーゼ、ホスホリラーゼキナーゼ、グルコース輸送体、GLUT2、アルドラーゼAおよびβ-エノラーゼをコードする遺伝子が、これらの変異型を含めて、含まれる。
【0280】
本明細書に記載の方法の一部の実施形態では、処置されることになる状態は、異常なコレステロールレベル(例えば、異常に高いLDLレベル、例えば、約100mg/dLより高いLDL、および/または異常に低いHDLレベル、例えば、約40~50mg/dLより低いHDL)を特徴とし、例えば、家族性高コレステロール血症を含み、医薬組成物は、コレステロールの輸送および/または代謝に関与するタンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子の配列および/または発現を修飾するゲノム編集システムの1つまたは複数の分子(例えば、全ゲノム編集システム)を含む、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む。一部の実施形態では、コレステロールの輸送および/または代謝に関与するタンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子には、これらに限定されないが、低密度リポタンパク質(LDL)受容体(LDLR)、アポリポタンパク質B(ApoB)、低密度リポタンパク質受容体アダプタータンパク質1(LDLRAP1)、およびPCSK9が、これらの変異型を含めて、含まれる。
【0281】
一部の実施形態では、本明細書に記載のゲノム編集複合体またはナノ粒子は、LDLR発現を活性化するために使用される。細胞のLDLR発現を活性化するためにそのようなシステムを使用する方法は、十分に当業者のレベルの範囲内である。ガイドRNA/DNA配列の例示的なLDLR特異的標的配列としては、配列番号110~112に記載のいずれかを挙げることができる。市販の試薬、例えば、ヌクレアーゼ不活性型Cas9(nuclease dead Cas9)(dCas9)およびgRNAベクターは、例えば、Santa Cruz Biotechnology(例えば、カタログ番号sc-400645-ACTおよびsc-400645-ACT-2参照)から容易に入手できる。
【0282】
一部の実施形態では、本明細書に記載のゲノム編集複合体またはナノ粒子は、LDLRをコードする遺伝子の変異を修正するために使用される。野生型LDLR配列に対応する鋳型DNAとともにそのようなシステムを使用する方法は、十分に当業者のレベルの範囲内である。CRISPRシステムを、例えば、LDLR遺伝子に二本鎖DNA切断を導入するために使用する方法は、当技術分野において公知であり、そのような方法を、例えば、DNA相同組換え修復(HDR)のためにドナー核酸と併用して、LDLR遺伝子内の変異配列を野生型配列に置き換えることができる。例えば、ガイドRNA配列の例示的な標的配列としては、配列番号104~109に記載のいずれかを挙げることができる。市販のキット、gRNAベクター、ならびにLDLR遺伝子に二本鎖DNA切断を導入するためのおよびHDRにより変異を修正するためのドナーベクターは、例えば、Santa
Cruz Biotechnology(例えば、カタログ番号sc-400645およびsc-400645-HDR参照)またはGeneCopoeia(例えば、カタログ番号HTN210577、HTN261606、HTN261605、HTN261608およびHTN261607参照)から、容易に入手できる。
【0283】
一部の実施形態では、本明細書に記載のゲノム編集複合体またはナノ粒子は、LDLRをコードする遺伝子を導入するために使用される。LDLRをコードする遺伝子を含む鋳型DNAとともにそのようなシステムを使用する方法は、十分に当業者のレベルの範囲内である。CRISPRシステムを、例えば、ゲノムに二本鎖DNA切断を導入するために使用する方法は、当技術分野において公知であり、そのような方法を、例えば、ゲノムへのLDLRをコードする遺伝子のHDR媒介挿入のためにドナー核酸と併用することができる。
【0284】
一部の実施形態では、本明細書に記載のゲノム編集複合体またはナノ粒子は、ApoB発現を活性化するために使用される。細胞のApoB発現を活性化するためにそのようなシステムを使用する方法は、十分に当業者のレベルの範囲内である。ガイドRNA/DNA配列の例示的なApoB特異的標的配列としては、配列番号119~121に記載のいずれかを挙げることができる。市販の試薬、例えば、ヌクレアーゼ不活性型Cas9(dCas9)およびgRNAベクターは、例えば、Santa Cruz Biotechnology(例えば、カタログ番号sc-400705-ACTおよびsc-400705-ACT-2参照)から容易に入手できる。
【0285】
一部の実施形態では、本明細書に記載のゲノム編集複合体またはナノ粒子は、ApoBをコードする遺伝子の変異を修正するために使用される。野生型ApoB配列に対応する鋳型DNAとともにそのようなシステムを使用する方法は、十分に当業者のレベルの範囲内である。CRISPRシステムを、例えば、ApoB遺伝子に二本鎖DNA切断を導入するために使用する方法は、当技術分野において公知であり、そのような方法を、例えば、DNA相同組換え修復(HDR)のためにドナー核酸と併用して、ApoB遺伝子内の変異配列を野生型配列に置き換えることができる。例えば、ガイドRNA配列の例示的な標的配列としては、配列番号113~118に記載のいずれかを挙げることができる。市販のキット、gRNAベクター、ならびにApoB遺伝子に二本鎖DNA切断を導入するためのおよびHDRにより変異を修正するためのドナーベクターは、例えば、Santa
Cruz Biotechnology(例えば、カタログ番号sc-400705-KO-2およびsc-400705-HDR-2参照)またはGeneCopoeia(例えば、カタログ番号HTN209218参照)から、容易に入手できる。
【0286】
一部の実施形態では、本明細書に記載のゲノム編集複合体またはナノ粒子は、ApoBをコードする遺伝子を導入するために使用される。ApoBをコードする遺伝子を含む鋳型DNAとともにそのようなシステムを使用する方法は、十分に当業者のレベルの範囲内である。CRISPRシステムを、例えば、ゲノムに二本鎖DNA切断を導入するために使用する方法は、当技術分野において公知であり、そのような方法を、例えば、ゲノムへのApoBをコードする遺伝子のHDR媒介挿入のためにドナー核酸と併用することができる。
【0287】
一部の実施形態では、本明細書に記載のゲノム編集複合体またはナノ粒子は、LDLRAP1発現を活性化するために使用される。細胞のLDLRAP1発現を活性化するためにそのようなシステムを使用する方法は、十分に当業者のレベルの範囲内である。ガイドRNA/DNA配列の例示的なLDLRAP1特異的標的配列としては、配列番号128~130に記載のいずれかを挙げることができる。市販の試薬、例えば、ヌクレアーゼ不活性型Cas9(dCas9)およびgRNAベクターは、例えば、Santa Cruz Biotechnology(例えば、カタログ番号sc-406114-ACTおよびsc-406114-ACT-2参照)から容易に入手できる。
【0288】
一部の実施形態では、本明細書に記載のゲノム編集複合体またはナノ粒子は、LDLRAP1をコードする遺伝子の変異を修正するために使用される。野生型LDLRAP1配列に対応する鋳型DNAとともにそのようなシステムを使用する方法は、十分に当業者のレベルの範囲内である。CRISPRシステムを、例えば、LDLRAP1遺伝子に二本鎖DNA切断を導入するために使用する方法は、当技術分野において公知であり、そのような方法を、例えば、DNA相同組換え修復(HDR)のためにドナー核酸と併用して、LDLRAP1遺伝子内の変異配列を野生型配列に置き換えることができる。例えば、ガイドRNA配列の例示的な標的配列としては、配列番号122~127に記載のいずれかを挙げることができる。市販のキット、gRNAベクター、ならびにLDLRAP1遺伝子に二本鎖DNA切断を導入するためのおよびHDRにより変異を修正するためのドナーベクターは、例えば、Santa Cruz Biotechnology(例えば、カタログ番号sc-406114、sc-406114-KO-2およびsc-406114-HDR-2参照)またはGeneCopoeia(例えば、カタログ番号HTN207062参照)から、容易に入手できる。
【0289】
一部の実施形態では、本明細書に記載のゲノム編集複合体またはナノ粒子は、LDLRAP1をコードする遺伝子を導入するために使用される。LDLRAP1をコードする遺伝子を含む鋳型DNAとともにそのようなシステムを使用する方法は、十分に当業者のレベルの範囲内である。CRISPRシステムを、例えば、ゲノムに二本鎖DNA切断を導入するために使用する方法は、当技術分野において公知であり、そのような方法を、例えば、LDLRAP1をコードする遺伝子のゲノムへのHDR媒介挿入のためにドナー核酸と併用することができる。
【0290】
一部の実施形態では、本明細書に記載のゲノム編集複合体またはナノ粒子は、PCSK9発現を、例えば遺伝子ノックアウトにより、抑止するために使用される。細胞のPCSK9発現を抑止するためにそのようなシステムを使用する方法は、十分に当業者のレベルの範囲内である。ガイドRNA/DNA配列の例示的なPCSK9特異的標的配列としては、配列番号131~136に記載のいずれかを挙げることができる。市販のキット、gRNAベクター、ならびにPCSK9遺伝子に二本鎖DNA切断を導入するためのドナーベクターは、例えば、Santa Cruz Biotechnology(例えば、カタログ番号sc-402445参照)またはGeneCopoeia(例えば、カタログ番号HTN206606参照)から、容易に入手できる。
【0291】
本明細書に記載の方法の一部の実施形態では、処置されることになる疾患は、遺伝性疾患などの遺伝子疾患であり、医薬組成物は、遺伝子疾患の発生および/または進行に関与するタンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子の配列および/または発現を修飾するゲノム編集システムの1つまたは複数の分子(例えば、全ゲノム編集システム)を含む、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、遺伝子疾患の発生および/または進行に関与するタンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子の変異を修正する。一部の実施形態では、遺伝子疾患は、22q11.2欠失症候群、軟骨無形成症、アルファ-1アンチトリプシン欠損症、アンジェルマン症候群、常染色体優性多発性嚢胞腎、乳がん、カナバン病、シャルコー・マリー・トゥース病、結腸がん、色覚異常、嚢胞性線維症、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、第V因子ライデン血栓性素因、家族性地中海熱、脆弱X症候群、ゴーシェ病、ヘモクロマトーシス、血友病、ハンチントン病、マルファン症候群、筋強直性ジストロフィー、骨形成不全症、パーキンソン病、フェニルケトン尿症、多発性嚢胞腎、ポルフィリン症、プラダー・ウィリー症候群、早老症、SCID、鎌状赤血球症、脊髄性筋萎縮症、テイ・サックス病、サラセミア、トリメチルアミン、およびウィルソン病を含むが、これらに限定されない。一部の実施形態では、遺伝子疾患の発生および/または進行に関与する遺伝子には、これらに限定されないが、AAT、ADA、ALAD、ALAS2、APC、ASPM、ATP7B、BDNF、BRCA1、BRCA2、CFTR、COL1A1、COL1A2、COMT、CNBP、CPOX、CREBBP、CRH、CRTAP、CXCR4、DHFR、DMD、DMPK、F5、FBN1、FECHFGFR3、FGR3、FIX、FVIII、FMO3、FMR1、GARS、GBA、HBB、HEXA、HFE、HMBS、HTT、IL2RG、KRT14、KRT5、LMNA、LRRK2、MEFV、MLH1、MSH2、MSH6、PAH、PARK2、PARK3、PARK7、PGL2、PHF8、PINK1、PKD1、PKD2、PMS1、PMS2、PPOX、RHO、SDHB、SDHC、SDHD、SMNI、SNCA、SRY、TSC1、TSC2、UCHL1、UROD、UROS、MEFV、APP、GAST、INS、LCK、LEP、LIF、MCM6、MYH7、MYOD1、NPPB、OSM、PKC、PIP、SLC18A2、TBX1、トランスサイレチン、MDS1-EVI1、PRDM16、SETBP1、β-グロビンおよびLPLが、これらの変異型を含めて、含まれる。
【0292】
本明細書に記載の方法の一部の実施形態では、処置されることになる疾患は、加齢または変性疾患であり、医薬組成物は、加齢または変性疾患の発生および/または進行に関与するタンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子の配列および/または発現を修飾するゲノム編集システムの1つまたは複数の分子(例えば、全ゲノム編集システム)を含む、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む。一部の実施形態では、加齢または変性疾患の発生および/または進行に関与するタンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子には、これらに限定されないが、ケラチンK6A、ケラチンK6B、ケラチン16、ケラチン17、p53、β-2アドレナリン受容体(ADRB2)、TRPV1、VEGF、VEGFR、HIF-1およびカスパーゼ-2が、これらの変異型を含めて、含まれる。
【0293】
本明細書に記載の方法の一部の実施形態では、処置されることになる疾患は、線維性または炎症性疾患であり、医薬組成物は、線維性または炎症性疾患の発生および/または進行に関与するタンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子の配列および/または発現を修飾するゲノム編集システムの1つまたは複数の分子(例えば、全ゲノム編集システム)を含む、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む。一部の実施形態では、線維性または炎症性疾患の発生および/または進行に関与するタンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子には、SPARC、CTGF、TGFβ1、TGFβ受容体1、TGFβ受容体2、TGFβ受容体3、VEGF、アンジオテンシンII、TIMP、HSP47、トロンボスポンジン、CCN1、LOXL2、MMP2、MMP9、CCL2、アデノシン受容体A2A、アデノシン受容体A2B、アデニリルシクラーゼ、Smad 3、Smad
4、Smad 7、SOX9、アレスチン、PDCD4、PAI-1、NF-κBおよびPARP-1、これらの変異型からなる群から選択される。
【0294】
本明細書に記載の方法の一部の実施形態では、医薬組成物は、疾患または状態に関与する1つまたは複数のmiRNAの発現を調節するゲノム編集システムの1つまたは複数の分子(例えば、全ゲノム編集システム)を含む、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む。一部の実施形態では、疾患または状態は、B型肝炎、C型肝炎、多発性肝嚢胞および多発性嚢胞腎、がん、心血管疾患、心不全、心肥大、神経発達疾患、脆弱X症候群、レッテ症候群、ダウン症候群、アルツハイマー病、ハンチントン病、統合失調症、炎症性疾患、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、乾癬、および骨格筋疾患を含むが、これらに限定されない。一部の実施形態では、1つまたは複数のmiRNAには、これらに限定されないが、has-mir-126*、Has-miR-191、has-mir-205、has-mir-21、hsa-let-7a-2、let-7ファミリー、let-7c、let-7f-1、miR-1、miR-100、miR-103、miR-103-1、miR-106b-25、miR-107、miR-10b、miR-112、miR-122、miR-125b、miR-125b-2、miR125bl、miR-126、miR-128a、mIR-132、miR-133、miR-133b、miR135、miR-140、miR-141、miR-142-3p、miR143、miR-143、miR145、miR-145、miR-146、miR-146b、miR150、miR-155、miR-15a、miR-15b、miR16、miR-16、miR-17-19ファミリー、miR-173p、miR17-5p、miR-17-5p、miR-17-92、miR-181a、miR-181b、miR-184、miR-185、miR-189、miR-18a、miR-191、miR-192、miR-193a、miR-193b、miR-194、miR-195、miR-196a、miR-198、miR-199、miR-199a、miR-19a、miR-19b-1、miR200a、miR-200a、miR-200b、miR200c、miR-200c、miR-203、miR-205、miR-208、miR-20a、miR-21、miR-214、miR-221、miR-222、miR-223、miR-224、miR-23、miR-23a、miR-23b、miR-24、miR-26a、miR-26b、miR-27b、miR-29、miR-298、miR-299-3p、miR-29c、miR-30a-5p、miR-30c、miR-30d、miR-30e-5p、miR31、miR-34、miR342、miR-381、miR-382、miR-383、miR-409-3p、miR-45、miR-61、miR-78、miR-802、miR-9、miR-92a-1、miR-99a、miR-let7、miR-let7aおよびmiR-let7gが含まれる。
【0295】
本明細書に記載の方法の一部の実施形態では、医薬組成物は、個体に、静脈内、腫瘍内、動脈内、局所、眼内、眼科的、門脈内、頭蓋内、脳内、側脳室内、髄腔内、膀胱内、皮内、皮下、筋肉内、鼻腔内、気管内、肺、空洞内または経口投与のいずれかによって投与される。
【0296】
本明細書に記載の方法の一部の実施形態では、個体は、哺乳動物である。一部の実施形態では、個体はヒトである。
細胞送達方法
【0297】
一部の実施形態では、ゲノム編集システムの1つまたは複数の分子を細胞に送達する方法であって、細胞を本明細書に記載のゲノム編集複合体またはナノ粒子と接触させるステップを含み、複合体またはナノ粒子が、1つまたは複数のゲノム編集システム分子を含む、方法が提供される。一部の実施形態では、複合体またはナノ粒子は、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドまたはADGN-100ペプチドのアミノ酸配列を含む、CPPを含む。一部の実施形態では、細胞を複合体またはナノ粒子と接触させるステップは、in vivoで行われる。一部の実施形態では、細胞を複合体またはナノ粒子と接触させるステップは、ex vivoで行われる。一部の実施形態では、細胞を複合体またはナノ粒子と接触させるステップは、in vitroで行われる。一部の実施形態では、細胞は、不死化細胞、例えば、細胞株からの細胞である。一部の実施形態では、細胞は、初代細胞、例えば、個体からの細胞である。一部の実施形態では、細胞は、免疫細胞、例えば、顆粒球、マスト細胞、単球、樹状細胞、B細胞、T細胞、またはナチュラルキラー細胞である。一部の実施形態では、細胞は、末梢血由来T細胞、セントラルメモリーT細胞、臍帯血由来T細胞、または造血幹細胞もしくは他の前駆細胞である。一部の実施形態では、T細胞は、不死化T細胞、例えば、T細胞株からのT細胞である。一部の実施形態では、T細胞は、初代T細胞、例えば、個体のT細胞である。一部の実施形態では、細胞は、T細胞であり、接触させるステップは、T細胞を活性化した後に行われる。一部の実施形態では、細胞は、T細胞であり、接触させるステップは、T細胞を活性化してから少なくとも12時間(例えば、少なくとも約12時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、またはそれより長い時間のうちのいずれか)後に行われる。一部の実施形態では、T細胞は、抗CD3/CD28試薬(例えば、マイクロビーズ)を使用して活性化される。一部の実施形態では、細胞は、線維芽細胞である。一部の実施形態では、線維芽細胞は、初代線維芽細胞、例えば、個体の線維芽細胞である。一部の実施形態では、細胞は、肝細胞である。一部の実施形態では、肝細胞は、初代肝細胞、例えば、個体の肝細胞である。一部の実施形態では、細胞は、ヒト肺前駆細胞(LPC)である。一部の実施形態では、細胞は、神経細胞である。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、ゲノム編集ヌクレアーゼ(またはゲノム編集ヌクレアーゼをコードする核酸)を含む。一部の実施形態では、ゲノム編集ヌクレアーゼは、ZFN、TALEN、ホーミングエンドヌクレアーゼ、RGENまたはDGENである。一部の実施形態では、ゲノム編集ヌクレアーゼは、TALENである。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、CRISPRシステムである。一部の実施形態では、1つまたは複数のCRISPRシステム分子は、CRISPR関連タンパク質(例えば、RGEN、例えばCas9、またはRGENをコードする核酸)および核酸(例えば、gRNAおよびドナー核酸)からなる群から選択される。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、インテグラーゼ(またはインテグラーゼをコードする核酸)を含む。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、インテグラーゼにより認識される組換え部位を含むドナー核酸をさらに含む。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、疾患、例えば、本明細書に記載の処置されることになる疾患のいずれか(例えば、がん、糖尿病、炎症性疾患、線維症、ウイルス感染性疾患、遺伝性疾患、眼性疾患、ならびに加齢および変性疾患)の処置に有用である。一部の実施形態では、複合体またはナノ粒子は、追加のゲノム編集システムの1つまたは複数の分子をさらに含む。一部の実施形態では、追加のゲノム編集システムは、疾患の処置に有用である。一部の実施形態では、方法は、細胞を、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる発現複合体と接触させるステップを、さらに含む。一部の実施形態では、方法は、細胞膜透過ペプチド(例えば、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドおよびADGN-100ペプチドを含む、本明細書に記載の細胞膜透過ペプチドのいずれか)とキメラ抗原受容体などの組換え受容体をコードする核酸分子とを含む発現複合体と、細胞を接触させるステップを、さらに含む。一部の実施形態では、組換え受容体は、疾患に関連する抗原と特異的に結合するキメラ抗原受容体である。
【0298】
したがって、一部の実施形態では、ゲノム編集システムの1つまたは複数の分子を細胞に送達する方法であって、細胞を本明細書に記載のゲノム編集複合体またはナノ粒子と接触させるステップを含み、ゲノム編集複合体またはナノ粒子が、1つまたは複数のゲノム編集システム分子と、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドまたはADGN-100ペプチドのアミノ酸配列を含むCPPとを含む、方法が提供される。一部の実施形態では、VEPEP-3ペプチドは、配列番号1~14、75および76のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-6ペプチドは、配列番号15~40および77のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-9ペプチドは、配列番号41~52および78のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ADGN-100ペプチドは、配列番号53~70、79および80のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、細胞を複合体またはナノ粒子と接触させるステップは、in vivoで行われる。一部の実施形態では、細胞を複合体またはナノ粒子と接触させるステップは、ex vivoで行われる。一部の実施形態では、細胞を複合体またはナノ粒子と接触させるステップは、in vitroで行われる。一部の実施形態では、細胞は、不死化細胞、例えば、細胞株からの細胞である。一部の実施形態では、細胞は、初代細胞、例えば、個体からの細胞である。一部の実施形態では、細胞は、免疫細胞、例えば、顆粒球、マスト細胞、単球、樹状細胞、B細胞、T細胞、またはナチュラルキラー細胞である。一部の実施形態では、T細胞は、不死化T細胞、例えば、T細胞株からのT細胞である。一部の実施形態では、T細胞は、初代T細胞、例えば、個体のT細胞である。一部の実施形態では、細胞は、線維芽細胞である。一部の実施形態では、線維芽細胞は、初代線維芽細胞、例えば、個体の線維芽細胞である。一部の実施形態では、細胞は、肝細胞である。一部の実施形態では、肝細胞は、初代肝細胞、例えば、個体の肝細胞である。一部の実施形態では、細胞は、ヒト肺前駆細胞(LPC)である。一部の実施形態では、細胞は、神経細胞である。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、ゲノム編集ヌクレアーゼ(またはゲノム編集ヌクレアーゼをコードする核酸)を含む。一部の実施形態では、ゲノム編集ヌクレアーゼは、ZFN、TALEN、ホーミングエンドヌクレアーゼ、RGENまたはDGENである。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、gRNAまたはgDNA(またはgRNAもしくはgDNAをコードする核酸)をさらに含む。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、標的ポリヌクレオチドに特異的修飾を導入するためのドナー核酸をさらに含む。一部の実施形態では、ゲノム編集ヌクレアーゼは、TALENである。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、CRISPRシステム(例えば、CRISPR/Cas9)である。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、インテグラーゼ(またはインテグラーゼをコードする核酸)を含む。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、インテグラーゼにより認識される組換え部位を含むドナー核酸をさらに含む。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、疾患、例えば、本明細書に記載の処置されることになる疾患のいずれか(例えば、がん、糖尿病、炎症性疾患、線維症、ウイルス感染性疾患、遺伝性疾患、眼性疾患、ならびに加齢および変性疾患)の処置に有用である。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、疾患、例えば、本明細書に記載の処置されることになる疾患のいずれか(例えば、がん、糖尿病、炎症性疾患、線維症、ウイルス感染性疾患、遺伝性疾患、眼性疾患、ならびに加齢および変性疾患)に関与するタンパク質の調節に有用である。一部の実施形態では、方法は、細胞膜透過ペプチド(例えば、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドおよびADGN-100ペプチドを含む、本明細書に記載の細胞膜透過ペプチドのいずれか)とキメラ抗原受容体などの組換え受容体をコードする核酸分子とを含む発現複合体と、細胞を接触させるステップを、さらに含む。一部の実施形態では、組換え受容体は、疾患に関連する抗原と特異的に結合するキメラ抗原受容体である。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドは、ADGN-100ペプチドまたはVEPEP-3ペプチドである。
【0299】
一部の実施形態では、1つまたは複数のCRISPRシステム(例えば、CRISPR/Cas9)分子を細胞に送達する方法であって、細胞を本明細書に記載のゲノム編集複合体またはナノ粒子と接触させるステップを含み、ゲノム編集複合体またはナノ粒子が、1つまたは複数のCRISPRシステム分子と、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドおよびADGN-100ペプチドからなる群から選択されるCPPとを含む、方法が提供される。一部の実施形態では、細胞を複合体またはナノ粒子と接触させるステップは、in vivoで行われる。一部の実施形態では、細胞を複合体またはナノ粒子と接触させるステップは、ex vivoで行われる。一部の実施形態では、細胞を複合体またはナノ粒子と接触させるステップは、in vitroで行われる。一部の実施形態では、細胞は、不死化細胞、例えば、細胞株からの細胞である。一部の実施形態では、細胞は、初代細胞、例えば、個体からの細胞である。一部の実施形態では、細胞は、免疫細胞、例えば、顆粒球、マスト細胞、単球、樹状細胞、B細胞、T細胞、またはナチュラルキラー細胞である。一部の実施形態では、T細胞は、不死化T細胞、例えば、T細胞株からのT細胞である。一部の実施形態では、T細胞は、初代T細胞、例えば、個体のT細胞である。一部の実施形態では、細胞は、線維芽細胞である。一部の実施形態では、線維芽細胞は、初代線維芽細胞、例えば、個体の線維芽細胞である。一部の実施形態では、細胞は、肝細胞である。一部の実施形態では、肝細胞は、初代肝細胞、例えば、個体の肝細胞である。一部の実施形態では、細胞は、ヒト肺前駆細胞(LPC)である。一部の実施形態では、細胞は、神経細胞である。一部の実施形態では、CRISPRシステムは、疾患、例えば、本明細書に記載の処置されることになる疾患のいずれか(例えば、がん、糖尿病、炎症性疾患、線維症、ウイルス感染性疾患、遺伝性疾患、眼性疾患、ならびに加齢および変性疾患)の処置に有用である。一部の実施形態ではCRISPRシステムは、疾患、例えば、本明細書に記載の処置されることになる疾患のいずれか(例えば、がん、糖尿病、炎症性疾患、線維症、ウイルス感染性疾患、遺伝性疾患、眼性疾患、ならびに加齢および変性疾患)に関与するタンパク質の調節に有用である。一部の実施形態では、方法は、細胞膜透過ペプチド(例えば、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドおよびADGN-100ペプチドを含む、本明細書に記載の細胞膜透過ペプチドのいずれか)とキメラ抗原受容体などの組換え受容体をコードする核酸分子とを含む発現複合体と、細胞を接触させるステップを、さらに含む。一部の実施形態では、組換え受容体は、疾患に関連する抗原と特異的に結合するキメラ抗原受容体である。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドは、ADGN-100ペプチドまたはVEPEP-3ペプチドである。一部の実施形態では、CRISPRシステム分子は、Cas9(またはCas9をコードする核酸)と、gRNA(またはgRNAをコードする核酸)と、任意選択で、修飾を導入するためのドナー核酸とを含む。
【0300】
一部の実施形態では、1つまたは複数のCRISPRシステム分子を細胞に送達する方法であって、細胞を本明細書に記載のゲノム編集複合体またはナノ粒子と接触させるステップを含み、ゲノム編集複合体またはナノ粒子が、1つまたは複数のCRISPRシステム分子と、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドまたはADGN-100ペプチドのアミノ酸配列を含むCPPとを含む、方法が提供される。一部の実施形態では、VEPEP-3ペプチドは、配列番号1~14、75および76のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-6ペプチドは、配列番号15~40および77のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-9ペプチドは、配列番号41~52および78のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ADGN-100ペプチドは、配列番号53~70、79および80のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、細胞を複合体またはナノ粒子と接触させるステップは、in vivoで行われる。一部の実施形態では、細胞を複合体またはナノ粒子と接触させるステップは、ex vivoで行われる。一部の実施形態では、細胞を複合体またはナノ粒子と接触させるステップは、in vitroで行われる。一部の実施形態では、細胞は、不死化細胞、例えば、細胞株からの細胞である。一部の実施形態では、細胞は、初代細胞、例えば、個体からの細胞である。一部の実施形態では、細胞は、免疫細胞、例えば、顆粒球、マスト細胞、単球、樹状細胞、B細胞、T細胞、またはナチュラルキラー細胞である。一部の実施形態では、T細胞は、不死化T細胞、例えば、T細胞株からのT細胞である。一部の実施形態では、T細胞は、初代T細胞、例えば、個体のT細胞である。一部の実施形態では、細胞は、線維芽細胞である。一部の実施形態では、線維芽細胞は、初代線維芽細胞、例えば、個体の線維芽細胞である。一部の実施形態では、細胞は、肝細胞である。一部の実施形態では、肝細胞は、初代肝細胞、例えば、個体の肝細胞である。一部の実施形態では、細胞は、ヒト肺前駆細胞(LPC)である。一部の実施形態では、細胞は、神経細胞である。一部の実施形態では、CRISPRシステムは、疾患、例えば、本明細書に記載の処置されることになる疾患のいずれか(例えば、がん、糖尿病、炎症性疾患、線維症、ウイルス感染性疾患、遺伝性疾患、眼性疾患、ならびに加齢および変性疾患)の処置に有用である。一部の実施形態ではCRISPRシステムは、疾患、例えば、本明細書に記載の処置されることになる疾患のいずれか(例えば、がん、糖尿病、炎症性疾患、線維症、ウイルス感染性疾患、遺伝性疾患、眼性疾患、ならびに加齢および変性疾患)に関与するタンパク質の調節に有用である。一部の実施形態では、方法は、細胞膜透過ペプチド(例えば、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドおよびADGN-100ペプチドを含む、本明細書に記載の細胞膜透過ペプチドのいずれか)とキメラ抗原受容体などの組換え受容体をコードする核酸分子とを含む発現複合体と、細胞を接触させるステップを、さらに含む。一部の実施形態では、組換え受容体は、疾患に関連する抗原と特異的に結合するキメラ抗原受容体である。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドは、ADGN-100ペプチドまたはVEPEP-3ペプチドである。一部の実施形態では、CRISPRシステム分子は、Cas9(またはCas9をコードする核酸)と、gRNA(またはgRNAをコードする核酸)と、任意選択で、修飾を導入するためのドナー核酸とを含む。
【0301】
一部の実施形態では、ゲノム編集システムの1つまたは複数の分子をT細胞に送達する方法であって、細胞を本明細書に記載のゲノム編集複合体またはナノ粒子と接触させるステップを含み、複合体またはナノ粒子が、1つまたは複数のゲノム編集システム分子と、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドおよびADGN-100ペプチドからなる群から選択されるCPPとを含む、方法が提供される。一部の実施形態では、T細胞を複合体またはナノ粒子と接触させるステップは、in vivoで行われる。一部の実施形態では、T細胞を複合体またはナノ粒子と接触させるステップは、ex vivoで行われる。一部の実施形態では、T細胞を複合体またはナノ粒子と接触させるステップは、in vitroで行われる。一部の実施形態では、T細胞は、不死化T細胞、例えば、T細胞株からのT細胞である。一部の実施形態では、T細胞は、初代T細胞、例えば、個体のT細胞である。一部の実施形態では、1つまたは複数のゲノム編集システム分子は、ゲノム編集ヌクレアーゼ(またはゲノム編集ヌクレアーゼをコードする核酸、例えば、mRNAもしくはDNAプラスミド)を含む。一部の実施形態では、ゲノム編集ヌクレアーゼは、ZFN、TALEN、ホーミングエンドヌクレアーゼ、RGENまたはDGENである。一部の実施形態では、ゲノム編集ヌクレアーゼは、核酸誘導型ヌクレアーゼ(例えば、RGENまたはDGEN)であり、細胞膜透過ペプチドは、細胞に送達され得るゲノム編集複合体またはナノ粒子を形成するために、ガイド配列(またはガイド配列をコードする核酸)と組み合わせた(例えば、複合体を形成している)核酸誘導型ヌクレアーゼ(または核酸誘導型ヌクレアーゼをコードする核酸)と複合体を形成している。一部の実施形態では、1つまたは複数のゲノム編集システム分子は、相同組換え修復のための鋳型としてのドナー核酸をさらに含む。一部の実施形態では、1つまたは複数のゲノム編集システム分子は、細胞に送達され得るゲノム編集複合体またはナノ粒子を形成するために、インテグラーゼにより認識される組換え部位を含むドナー核酸と任意選択で組み合わせた(例えば、複合体を形成している)ゲノム編集インテグラーゼ(またはゲノム編集インテグラーゼをコードする核酸)を含む。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、疾患、例えば、本明細書に記載の処置されることになる疾患のいずれか、の処置に有用である。一部の実施形態では、複合体またはナノ粒子は、追加のゲノム編集システムの1つまたは複数の分子をさらに含む。一部の実施形態では、追加のゲノム編集システムは、疾患の処置に有用である。一部の実施形態では、方法は、細胞膜透過ペプチド(例えば、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドおよびADGN-100ペプチドを含む、本明細書に記載の細胞膜透過ペプチドのいずれか)とキメラ抗原受容体などの組換え受容体をコードする核酸分子とを含む発現複合体と、細胞を接触させるステップを、さらに含む。一部の実施形態では、組換え受容体は、疾患に関連する抗原と特異的に結合するキメラ抗原受容体である。
【0302】
一部の実施形態では、1つまたは複数のCRISPRシステム分子をT細胞に送達する方法であって、細胞を本明細書に記載のゲノム編集複合体またはナノ粒子と接触させるステップを含み、複合体またはナノ粒子が、1つまたは複数のCRISPRシステム分子と、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドまたはADGN-100ペプチドのアミノ酸配列を含むCPPとを含む、方法が提供される。一部の実施形態では、VEPEP-3ペプチドは、配列番号1~14、75および76のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-6ペプチドは、配列番号15~40および77のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-9ペプチドは、配列番号41~52および78のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ADGN-100ペプチドは、配列番号53~70、79および80のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、T細胞を複合体またはナノ粒子と接触させるステップは、in vivoで行われる。一部の実施形態では、T細胞を複合体またはナノ粒子と接触させるステップは、ex vivoで行われる。一部の実施形態では、T細胞を複合体またはナノ粒子と接触させるステップは、in vitroで行われる。一部の実施形態では、T細胞は、不死化T細胞、例えば、T細胞株からのT細胞である。一部の実施形態では、T細胞は、初代T細胞、例えば、個体のT細胞である。一部の実施形態では、1つまたは複数のCRISPRシステム分子は、CRISPR関連タンパク質(例えば、Cas9などのRGEN(RGENをコードする核酸を含む))および核酸(例えば、gRNAおよびドナー核酸)からなる群から選択される。一部の実施形態では、CRISPRシステムは、疾患、例えば、本明細書に記載の処置されることになる疾患のいずれか、の処置に有用である。一部の実施形態では、複合体またはナノ粒子は、追加CRISPRシステムの1つまたは複数の分子をさらに含む。一部の実施形態では、追加のCRISPRシステムは、疾患の処置に有用である。一部の実施形態では、方法は、細胞膜透過ペプチド(例えば、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドおよびADGN-100ペプチドを含む、本明細書に記載の細胞膜透過ペプチドのいずれか)とキメラ抗原受容体などの組換え受容体をコードする核酸分子とを含む発現複合体と、細胞を接触させるステップを、さらに含む。一部の実施形態では、組換え受容体は、疾患に関連する抗原と特異的に結合するキメラ抗原受容体である。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドは、ADGN-100ペプチドまたはVEPEP-3ペプチドである。
【0303】
一部の実施形態では、ゲノム編集システムの1つまたは複数の分子を線維芽細胞に送達する方法であって、線維芽細胞を本明細書に記載のゲノム編集複合体またはナノ粒子と接触させるステップを含み、複合体またはナノ粒子が、1つまたは複数のゲノム編集システム分子と、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドおよびADGN-100ペプチドからなる群から選択されるCPPとを含む、方法が提供される。一部の実施形態では、線維芽細胞を複合体またはナノ粒子と接触させるステップは、in vivoで行われる。一部の実施形態では、線維芽細胞を複合体またはナノ粒子と接触させるステップは、ex vivoで行われる。一部の実施形態では、線維芽細胞を複合体またはナノ粒子と接触させるステップは、in vitroで行われる。一部の実施形態では、線維芽細胞は、不死化線維芽細胞、例えば、線維芽細胞株からの線維芽細胞である。一部の実施形態では、線維芽細胞は、初代線維芽細胞、例えば、個体の線維芽細胞である。一部の実施形態では、1つまたは複数のゲノム編集システム分子は、ゲノム編集ヌクレアーゼ(またはゲノム編集ヌクレアーゼをコードする核酸、例えば、mRNAもしくはDNAプラスミド)を含む。一部の実施形態では、ゲノム編集ヌクレアーゼは、ZFN、TALEN、ホーミングエンドヌクレアーゼ、RGENまたはDGENである。一部の実施形態では、ゲノム編集ヌクレアーゼは、核酸誘導型ヌクレアーゼ(例えば、RGENまたはDGEN)であり、細胞膜透過ペプチドは、細胞に送達され得るゲノム編集複合体またはナノ粒子を形成するために、ガイド配列(またはガイド配列をコードする核酸)と組み合わせた(例えば、複合体を形成している)核酸誘導型ヌクレアーゼ(または核酸誘導型ヌクレアーゼをコードする核酸)と複合体を形成している。一部の実施形態では、1つまたは複数のゲノム編集システム分子は、相同組換え修復のための鋳型としてのドナー核酸をさらに含む。一部の実施形態では、1つまたは複数のゲノム編集システム分子は、細胞に送達され得るゲノム編集複合体またはナノ粒子を形成するために、インテグラーゼにより認識される組換え部位を含むドナー核酸と任意選択で組み合わせた(例えば、複合体を形成している)ゲノム編集インテグラーゼ(またはゲノム編集インテグラーゼをコードする核酸)を含む。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、疾患、例えば、本明細書に記載の処置されることになる疾患のいずれか、の処置に有用である。一部の実施形態では、複合体またはナノ粒子は、追加のゲノム編集システムの1つまたは複数の分子をさらに含む。一部の実施形態では、追加のゲノム編集システムは、疾患の処置に有用である。一部の実施形態では、方法は、細胞膜透過ペプチド(例えば、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドおよびADGN-100ペプチドを含む、本明細書に記載の細胞膜透過ペプチドのいずれか)とキメラ抗原受容体などの組換え受容体をコードする核酸分子とを含む発現複合体と、細胞を接触させるステップを、さらに含む。一部の実施形態では、組換え受容体は、疾患に関連する抗原と特異的に結合するキメラ抗原受容体である。
【0304】
一部の実施形態では、ゲノム編集システムの1つまたは複数の分子を肝細胞に送達する方法であって、肝細胞を本明細書に記載のゲノム編集複合体またはナノ粒子と接触させるステップを含み、複合体またはナノ粒子が、1つまたは複数のゲノム編集システム分子と、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドおよびADGN-100ペプチドからなる群から選択されるCPPとを含む、方法が提供される。一部の実施形態では、肝細胞を複合体またはナノ粒子と接触させるステップは、in vivoで行われる。一部の実施形態では、肝細胞を複合体またはナノ粒子と接触させるステップは、ex vivoで行われる。一部の実施形態では、肝細胞を複合体またはナノ粒子と接触させるステップは、in vitroで行われる。一部の実施形態では、肝細胞は、不死化肝細胞、例えば、肝細胞株からの肝細胞である。一部の実施形態では、肝細胞は、初代肝細胞、例えば、個体の肝細胞である。一部の実施形態では、1つまたは複数のゲノム編集システム分子は、ゲノム編集ヌクレアーゼ(またはゲノム編集ヌクレアーゼをコードする核酸、例えば、mRNAもしくはDNAプラスミド)を含む。一部の実施形態では、ゲノム編集ヌクレアーゼは、ZFN、TALEN、ホーミングエンドヌクレアーゼ、RGENまたはDGENである。一部の実施形態では、ゲノム編集ヌクレアーゼは、核酸誘導型ヌクレアーゼ(例えば、RGENまたはDGEN)であり、細胞膜透過ペプチドは、細胞に送達され得るゲノム編集複合体またはナノ粒子を形成するために、ガイド配列(またはガイド配列をコードする核酸)と組み合わせた(例えば、複合体を形成している)核酸誘導型ヌクレアーゼ(または核酸誘導型ヌクレアーゼをコードする核酸)と複合体を形成している。一部の実施形態では、1つまたは複数のゲノム編集システム分子は、相同組換え修復のための鋳型としてのドナー核酸をさらに含む。一部の実施形態では、1つまたは複数のゲノム編集システム分子は、細胞に送達され得るゲノム編集複合体またはナノ粒子を形成するために、インテグラーゼにより認識される組換え部位を含むドナー核酸と任意選択で組み合わせた(例えば、複合体を形成している)ゲノム編集インテグラーゼ(またはゲノム編集インテグラーゼをコードする核酸)を含む。一部の実施形態では、ゲノム編集システムは、疾患、例えば、本明細書に記載の処置されることになる疾患のいずれか、の処置に有用である。一部の実施形態では、複合体またはナノ粒子は、追加のゲノム編集システムの1つまたは複数の分子をさらに含む。一部の実施形態では、追加のゲノム編集システムは、疾患の処置に有用である。一部の実施形態では、方法は、細胞膜透過ペプチド(例えば、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドおよびADGN-100ペプチドを含む、本明細書に記載の細胞膜透過ペプチドのいずれか)とキメラ抗原受容体などの組換え受容体をコードする核酸分子とを含む発現複合体と、細胞を接触させるステップを、さらに含む。一部の実施形態では、組換え受容体は、疾患に関連する抗原と特異的に結合するキメラ抗原受容体である。
【0305】
一部の実施形態では、ゲノム編集システムの1つまたは複数の分子を個体の細胞に送達する方法であって、個体に本明細書に記載のゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む組成物を投与するステップを含み、複合体またはナノ粒子が、1つまたは複数のゲノム編集システム分子と、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドおよびADGN-100ペプチドからなる群から選択されるCPPとを含む、方法が提供される。一部の実施形態では、組成物は、個体に、静脈内、動脈内、腹腔内、膀胱内、皮下、髄腔内、頭蓋内、脳内、側脳室内、肺内、筋肉内、気管内、眼内、眼科的、門脈内、経皮、皮内、経口、舌下、局所または吸入経路によって投与される。一部の実施形態では、組成物は、個体に静脈内経路によって投与される。一部の実施形態では、組成物は、個体に皮下経路によって投与される。一部の実施形態では、細胞は、肺、肝臓、脳、腎臓、心臓、脾臓、血液、膵臓、筋肉、骨髄および腸を含む、器官または組織内に存在する。一部の実施形態では、細胞は、個体の肺、肝臓、腎臓または脾臓内に存在する。一部の実施形態では、1つまたは複数のゲノム編集システム分子は、ゲノム編集ヌクレアーゼ(またはゲノム編集ヌクレアーゼをコードする核酸、例えば、mRNAもしくはDNAプラスミド)を含む。一部の実施形態では、ゲノム編集ヌクレアーゼは、ZFN、TALEN、ホーミングエンドヌクレアーゼ、RGENまたはDGENである。一部の実施形態では、ゲノム編集ヌクレアーゼは、核酸誘導型ヌクレアーゼ(例えば、RGENまたはDGEN)であり、細胞膜透過ペプチドは、細胞に送達され得るゲノム編集複合体またはナノ粒子を形成するために、ガイド配列(またはガイド配列をコードする核酸)と組み合わせた(例えば、複合体を形成している)核酸誘導型ヌクレアーゼ(または核酸誘導型ヌクレアーゼをコードする核酸)と複合体を形成している。一部の実施形態では、1つまたは複数のゲノム編集システム分子は、相同組換え修復のための鋳型としてのドナー核酸をさらに含む。一部の実施形態では、1つまたは複数のゲノム編集システム分子は、細胞に送達され得るゲノム編集複合体またはナノ粒子を形成するために、インテグラーゼにより認識される組換え部位を含むドナー核酸と任意選択で組み合わせた(例えば、複合体を形成している)ゲノム編集インテグラーゼ(またはゲノム編集インテグラーゼをコードする核酸)を含む。一部の実施形態では、細胞は、免疫細胞、例えば、顆粒球、マスト細胞、単球、樹状細胞、B細胞、T細胞、またはナチュラルキラー細胞である。一部の実施形態では、細胞は、線維芽細胞である。一部の実施形態では、細胞は、肝細胞である。一部の実施形態では、細胞は、ヒト肺前駆細胞(LPC)である。一部の実施形態では、細胞は、神経細胞である。一部の実施形態では、個体は、疾患を有し、または疾患を発症するリスクがあり、CRISPRシステムは、疾患の処置に有用である。一部の実施形態では、組成物は、細胞膜透過ペプチド(例えば、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドおよびADGN-100ペプチドを含む、本明細書に記載の細胞膜透過ペプチドのいずれか)と、キメラ抗原受容体をコードする核酸分子とを含む発現複合体を、さらに含む。一部の実施形態では、キメラ抗原受容体は、疾患に関連する抗原と特異的に結合する。一部の実施形態では、組成物は、医薬組成物であり、薬学的に許容される担体をさらに含む。一部の実施形態では、個体は、哺乳動物である。一部の実施形態では、個体は、ヒトである。
【0306】
一部の実施形態では、1つまたは複数のCRISPRシステム分子を個体の細胞に送達する方法であって、個体に、本明細書に記載のゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む組成物を投与するステップを含み、複合体またはナノ粒子が、1つまたは複数のCRISPRシステム分子と、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドまたはADGN-100ペプチドのアミノ酸配列を含むCPPとを含む、方法が提供される。一部の実施形態では、VEPEP-3ペプチドは、配列番号1~14、75および76のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-6ペプチドは、配列番号15~40および77のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VEPEP-9ペプチドは、配列番号41~52および78のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ADGN-100ペプチドは、配列番号53~70、79および80のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、組成物は、個体に、静脈内、動脈内、腹腔内、膀胱内、皮下、髄腔内、頭蓋内、脳内、側脳室内、肺内、筋肉内、気管内、眼内、眼科的、門脈内、経皮、皮内、経口、舌下、局所または吸入経路によって投与される。一部の実施形態では、組成物は、個体に静脈内経路によって投与される。一部の実施形態では、組成物は、個体に皮下経路によって投与される。一部の実施形態では、1つまたは複数のCRISPRシステム分子は、CRISPR関連タンパク質(例えば、Cas9などのRGEN(RGENをコードする核酸を含む))および核酸(例えば、gRNAおよびドナー核酸)からなる群から選択される。一部の実施形態では、細胞は、免疫細胞、例えば、顆粒球、マスト細胞、単球、樹状細胞、B細胞、T細胞、またはナチュラルキラー細胞である。一部の実施形態では、細胞は、線維芽細胞である。一部の実施形態では、細胞は、肝細胞である。一部の実施形態では、細胞は、ヒト肺前駆細胞(LPC)である。一部の実施形態では、細胞は、神経細胞である。一部の実施形態では、個体は、疾患を有し、または疾患を発症するリスクがあり、CRISPRシステムは、疾患の処置に有用である。一部の実施形態では、組成物は、細胞膜透過ペプチド(例えば、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドおよびADGN-100ペプチドを含む、本明細書に記載の細胞膜透過ペプチドのいずれか)と、キメラ抗原受容体をコードする核酸分子とを含む発現複合体を、さらに含む。一部の実施形態では、キメラ抗原受容体は、疾患に関連する抗原と特異的に結合する。一部の実施形態では、細胞膜透過ペプチドは、ADGN-100ペプチドまたはVEPEP-3ペプチドである。一部の実施形態では、組成物は、医薬組成物であり、薬学的に許容される担体をさらに含む。一部の実施形態では、個体は、哺乳動物である。一部の実施形態では、個体は、ヒトである。
細胞改変方法
【0307】
一部の実施形態では、改変されたT細胞などの改変された細胞を産生する方法であって、ゲノム編集システムの1つまたは複数の分子を細胞に送達するための本明細書に記載の方法を含む方法が提供される。一部の実施形態では、方法は、エレクトロポレーションまたはウイルストランスフェクションの使用を含む方法などの、改変された細胞を産生する以前の方法に対する改善である。一部の実施形態では、改善には、限定ではないが、該方法の効率を上昇させること、該方法に付随するコストを削減すること、該方法の細胞毒性を低下させること、および/または該方法の複雑さを(例えば、ヒトにおける使用が意図された細胞にウイルス法を使用する際に必要な事前の対策の必要性をなくすことにより)低減させることが含まれる。
ゲノム編集システム安定化方法
【0308】
本出願の別の態様では、ゲノム編集システムの1つまたは複数の分子(例えば、CRISPRシステム分子)を安定化する方法であって、1つまたは複数のゲノム編集システム分子を本明細書に記載のCPPと組み合わせるステップを含み、それによって1つまたは複数のゲノム編集システム分子を安定化する方法が提供される。一部の実施形態では、1つまたは複数のゲノム編集システム分子とCPPは、本明細書に記載のゲノム編集複合体またはナノ粒子を形成する。一部の実施形態では、1つまたは複数のゲノム編集システム分子は、核酸を含み、CPPは、核酸のスーパーコイル構造を安定化する。一部の実施形態では、1つまたは複数のゲノム編集システム分子は、(例えば、in vitroまたはin vivoで血清成分またはヌクレアーゼによる)分解を受けやすく、CPPは、1つまたは複数のゲノム編集システム分子を分解されないように保護する。
【0309】
本明細書に記載の方法のいずれを併用してもよいことは、理解されるはずである。したがって、例えば、複数のゲノム編集システム分子を細胞に送達するために本明細書に記載の方法のいずれかを併用することにより、ゲノム編集システムの1つまたは複数の分子(例えば、CRISPRシステム分子)の第1のセット、およびゲノム編集システムの1つまたは複数の分子の第2のセットを送達することができる。企図される可能な併用は、本明細書に記載の方法のいずれかについての2つまたはそれより多くの併用を含む。
キット
【0310】
本明細書に記載の方法に有用なキット、試薬および製造品も、本明細書で提供される。そのようなキットは、CPP、集合分子および/または他の細胞膜透過ペプチドが収容されているバイアルを、1つまたは複数のゲノム編集システム分子(例えば、CRISPRシステム分子)が収容されているバイアルとは別に含むことができる。患者処置時に、例えば、患者試料の遺伝子発現分析またはプロテオミクスもしくは組織学的分析に基づいて、処置すべき特定の病態が何であるのかが、先ず決定される。結果を得られたら、それに応じて、CPPならびに任意選択の集合分子および/または細胞膜透過ペプチドは、有効な処置のために患者に投与することができる複合体またはナノ粒子を得るために適切な1つまたは複数のゲノム編集システム分子と組み合わせられる。したがって、一部の実施形態では、1)CPPと、任意選択で2)ゲノム編集システムの1つまたは複数の分子とを含む、キットが提供される。一部の実施形態では、キットは、集合分子および/または他の細胞膜透過ペプチドをさらに含む。一部の実施形態では、キットは、発現複合体での使用について本明細書で説明されるように、外来性分子をコードする核酸、および任意選択で細胞膜透過ペプチドを、さらに含む。一部の実施形態では、キットは、遺伝子発現プロファイルを判定するための薬剤をさらに含む。一部の実施形態では、キットは、薬学的に許容される担体をさらに含む。
【0311】
本明細書に記載のキットは、対象方法を実施するためにキットの成分を使用するための説明書(例えば、本明細書に記載の医薬組成物を作製するためのおよび/または医薬組成物の使用のための説明書)をさらに含むことができる。対象方法を実施するための説明書は、一般に、好適な記録媒体に記録される。例えば、説明書は、紙またはプラスチックなどのような基材に印刷されていてもよい。したがって、説明書は、キット内に添付文書として存在することもあり、キットの容器またはキットの成分のラベルの中にある(すなわち、包装または分包に付随する)ことなどもある。一部の実施形態では、説明書は、好適なコンピュータ可読記憶媒体、例えば、CD-ROM、ディスケットなどに存在する電子保存データファイルとして存在する。さらに他の実施形態では、実際の説明書はキット内に存在せず、リモートソースから、例えばインターネット経由で、説明書を得る手段が提供される。この実施形態の一例は、説明書を見ることができるおよび/または説明書をダウンロードすることができるウェブアドレスを含むキットである。説明書と同様に、説明書を得るためのこの手段は、好適な基材に記録される。
【0312】
キットの様々な成分は、別個の容器内に存在することもあり、それらの容器が単一のハウジング、例えば箱、の中に収容されていることもある。
例示的実施形態
【0313】
実施形態1. 一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドを修飾するためのゲノム編集複合体であって、細胞膜透過ペプチドと、ゲノム編集システムの1つまたは複数の分子とを含み、細胞膜透過ペプチドが、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドおよびADGN-100ペプチドからなる群から選択され、1つまたは複数のゲノム編集システム分子が、
a)RNA誘導型エンドヌクレアーゼ(RGEN)、および標的ポリヌクレオチド内の標的配列に相補的なガイド配列を含むガイドRNA(gRNA)の一方または両方;
b)DNA誘導型エンドヌクレアーゼ(DGEN)、および標的ポリヌクレオチド内の標的配列に相補的なガイド配列を含むガイドDNA(gDNA)の一方または両方;
c)標的ポリヌクレオチド内の標的配列を認識するジンクフィンガータンパク質(ZFP);
d)標的ポリヌクレオチド内の標的配列を認識する転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN);
e)標的ポリヌクレオチド内の標的配列を認識するホーミングエンドヌクレアーゼ;および
f)標的ポリヌクレオチド内の組換え部位を認識するインテグラーゼ
からなる群から選択される、ゲノム編集複合体が提供される。
【0314】
実施形態2. 細胞膜透過ペプチドが、VEPEP-3ペプチドである、実施形態1に記載のゲノム編集複合体。
【0315】
実施形態3. 細胞膜透過ペプチドが、配列番号1~14からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、実施形態2に記載のゲノム編集複合体。
【0316】
実施形態4. 細胞膜透過ペプチドが、配列番号75または76のアミノ酸配列を含む、実施形態2に記載のゲノム編集複合体。
【0317】
実施形態5. 細胞膜透過ペプチドが、VEPEP-6ペプチドである、実施形態1に記載のゲノム編集複合体。
【0318】
実施形態6. 細胞膜透過ペプチドが、配列番号15~40からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、実施形態5に記載のゲノム編集複合体。
【0319】
実施形態7. 細胞膜透過ペプチドが、配列番号77のアミノ酸配列を含む、実施形態5に記載のゲノム編集複合体。
【0320】
実施形態8. 細胞膜透過ペプチドが、VEPEP-9ペプチドである、実施形態1に記載のゲノム編集複合体。
【0321】
実施形態9. 細胞膜透過ペプチドが、配列番号41~52からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、実施形態8に記載のゲノム編集複合体。
【0322】
実施形態10. 細胞膜透過ペプチドが、配列番号78のアミノ酸配列を含む、実施形態8に記載のゲノム編集複合体。
【0323】
実施形態11. 細胞膜透過ペプチドが、ADGN-100ペプチドである、実施形態1に記載のゲノム編集複合体。
【0324】
実施形態12. 細胞膜透過ペプチドが、配列番号53~70からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、実施形態11に記載のゲノム編集複合体。
【0325】
実施形態13. 細胞膜透過ペプチドが、配列番号79または80のアミノ酸配列を含む、実施形態11に記載のゲノム編集複合体。
【0326】
実施形態14. 細胞膜透過ペプチドが、細胞膜透過ペプチドのN末端に共有結合によって連結している1つまたは複数の部分をさらに含み、1つまたは複数の部分が、アセチル、脂肪酸、コレステロール、ポリエチレングリコール、核内移行シグナル、核外移行シグナル、抗体、多糖類およびターゲティング分子からなる群から選択される、実施形態1~13のいずれか一項に記載のゲノム編集複合体。
【0327】
実施形態15. 細胞膜透過ペプチドが、そのN末端に共有結合によって連結しているアセチル基を含む、実施形態14に記載のゲノム編集複合体。
【0328】
実施形態16. 細胞膜透過ペプチドが、細胞膜透過ペプチドのC末端に共有結合によって連結している1つまたは複数の部分をさらに含み、1つまたは複数の部分が、システアミド、システイン、チオール、アミド、任意選択で置換されているニトリロ三酢酸、カルボキシル、任意選択で置換されている直鎖状または分枝状C1~C6アルキル、一級または二級アミン、オシド誘導体、脂質、リン脂質、脂肪酸、コレステロール、ポリエチレングリコール、核内移行シグナル、核外移行シグナル、抗体、多糖類およびターゲティング分子からなる群から選択される、実施形態1~15のいずれか一項に記載のゲノム編集複合体。
【0329】
実施形態17. 細胞膜透過ペプチドが、そのC末端に共有結合によって連結しているシステアミド基を含む、実施形態16に記載のゲノム編集複合体。
【0330】
実施形態18. ゲノム編集複合体中の細胞膜透過ペプチドの少なくとも一部が、連結によりターゲティング部分に連結している、実施形態1~17のいずれか一項に記載のゲノム編集複合体。
【0331】
実施形態19. 連結が、共有結合である、実施形態18に記載のゲノム編集複合体。
【0332】
実施形態20. RGENおよびgRNAの一方または両方を含む、実施形態1~19のいずれか一項に記載のゲノム編集複合体。
【0333】
実施形態21. RGENおよびgRNAを含む、実施形態20に記載のゲノム編集複合体。
【0334】
実施形態22. gRNAが、単一ガイドRNA(sgRNA)である、実施形態20または21に記載のゲノム編集複合体。
【0335】
実施形態23. RGENが、Cas9である、実施形態20~22のいずれか一項に記載のゲノム編集複合体。
【0336】
実施形態24. RGENとgRNAのモル比が、約1:10~約10:1の間である、実施形態20~23のいずれか一項に記載のゲノム編集複合体。
【0337】
実施形態25. 細胞膜透過ペプチドとRGENのモル比が、約1:1~約80:1の間である、実施形態20~24のいずれか一項に記載のゲノム編集複合体。
【0338】
実施形態26. 細胞膜透過ペプチドとRGENのモル比が、約5:1~約20:1の間である、実施形態25に記載のゲノム編集複合体。
【0339】
実施形態27. 異なるガイド配列を含む1つまたは複数の追加のgRNAをさらに含む、実施形態20~26のいずれか一項に記載のゲノム編集複合体。
【0340】
実施形態28. 標的配列が、標的遺伝子内に存在し、1つまたは複数の追加のgRNAが、標的遺伝子内の配列に相補的なガイド配列を個々に含む、実施形態27に記載のゲノム編集複合体。
【0341】
実施形態29. 標的配列が、第1の標的遺伝子内に存在し、1つまたは複数の追加のgRNAが、1つまたは複数の追加の標的遺伝子内に存在する配列に相補的なガイド配列を個々に含む、実施形態27に記載のゲノム編集複合体。
【0342】
実施形態30. DGENおよびgDNAの一方または両方を含む、実施形態1~19のいずれか一項に記載のゲノム編集複合体。
【0343】
実施形態31. DGENおよびgDNAを含む、実施形態20に記載のゲノム編集複合体。
【0344】
実施形態32. ZFPを含む、実施形態1~19のいずれか一項に記載のゲノム編集複合体。
【0345】
実施形態33. TALENを含む、実施形態1~19のいずれか一項に記載のゲノム編集複合体。
【0346】
実施形態34. ホーミングヌクレアーゼを含む、実施形態1~19のいずれか一項に記載のゲノム編集複合体。
【0347】
実施形態35. 標的ポリヌクレオチドに修飾を導入するためのドナー核酸をさらに含み、ドナー核酸が、標的ポリヌクレオチドの修飾を含むように修飾される部分に対応する配列を含む、実施形態20~34のいずれか一項に記載のゲノム編集複合体。
【0348】
実施形態36. 修飾が、標的ポリヌクレオチドにおける1つまたは複数のヌクレオチドの付加、欠失または置換である、実施形態35に記載のゲノム編集複合体。
【0349】
実施形態37. ドナー核酸が、一本鎖DNAオリゴヌクレオチドである、実施形態35または36に記載のゲノム編集複合体。
【0350】
実施形態38. 修飾が、標的ポリヌクレオチド内への異種核酸の挿入である、実施形態35に記載のゲノム編集複合体。
【0351】
実施形態39. ドナー核酸が、5’ホモロジーアームおよび3’ホモロジーアームに隣接した異種核酸を含む二本鎖DNAであり、5’ホモロジーアームおよび3’ホモロジーアームが、修飾される標的ポリヌクレオチドの領域に隣接する配列と相同である、実施形態35または38に記載のゲノム編集複合体。
【0352】
実施形態40. 1つまたは複数の追加の標的ポリヌクレオチドに修飾を導入するための1つまたは複数の追加のドナー核酸をさらに含む、実施形態35~39のいずれか一項に記載のゲノム編集複合体。
【0353】
実施形態41. インテグラーゼを含む、実施形態1~19のいずれか一項に記載のゲノム編集複合体。
【0354】
実施形態42. 標的ポリヌクレオチドへの挿入のためのドナー核酸をさらに含み、インテグラーゼが、ドナー核酸内の組換え部位を認識し、ドナー核酸を標的ポリヌクレオチドに挿入するための標的ポリヌクレオチド内の組換え部位とドナー核酸内の組換え部位との組換えを媒介することができる、実施形態41に記載のゲノム編集複合体。
【0355】
実施形態43. ゲノム編集複合体の平均直径が、約10nm~約300nmの間である、実施形態1~42のいずれか一項に記載のゲノム編集複合体。
【0356】
実施形態44. 一部の実施形態では、実施形態1~43のいずれか一項に記載のゲノム編集複合体を含むコアを含むナノ粒子が提供される。
【0357】
実施形態45. コアが、1つまたは複数の追加の、実施形態1~43のいずれか一項に記載のゲノム編集複合体をさらに含む、実施形態44に記載のナノ粒子。
【0358】
実施形態46. コアが、標的ポリヌクレオチドに修飾を導入するためのドナー核酸であって、標的ポリヌクレオチドの修飾を含むように修飾される部分に対応する配列を含むドナー核酸をさらに含み、ドナー核酸が、第2の細胞膜透過ペプチドと複合体を形成している、実施形態44または45に記載のナノ粒子。
【0359】
実施形態47. 第2の細胞膜透過ペプチドが、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドおよびADGN-100ペプチドからなる群から選択される、実施形態46に記載のナノ粒子。
【0360】
実施形態48. 第2の細胞膜透過ペプチドが、配列番号1~70および75~80からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、実施形態47に記載のナノ粒子。
【0361】
実施形態49. 修飾が、標的ポリヌクレオチドにおける1つまたは複数のヌクレオチドの付加、欠失または置換である、実施形態46~48のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【0362】
実施形態50. ドナー核酸が、一本鎖DNAオリゴヌクレオチドである、実施形態49に記載のナノ粒子。
【0363】
実施形態51. 修飾が、標的ポリヌクレオチド内への異種核酸の挿入である、実施形態46~48のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【0364】
実施形態52. ドナー核酸が、5’ホモロジーアームおよび3’ホモロジーアームに隣接した異種核酸を含む二本鎖DNAであり、5’ホモロジーアームおよび3’ホモロジーアームが、修飾される標的ポリヌクレオチドの領域に隣接する配列と相同である、実施形態51に記載のナノ粒子。
【0365】
実施形態53. コアが、1つまたは複数の追加の標的ポリヌクレオチドに修飾を導入するための1つまたは複数の追加のドナー核酸をさらに含む、実施形態46~52のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【0366】
実施形態54. ナノ粒子中の細胞膜透過ペプチドの少なくとも一部が、連結によりターゲティング部分に連結している、実施形態44~53のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【0367】
実施形態55. コアが、末梢細胞膜透過ペプチドを含むシェルにより被覆されている、実施形態44~53のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【0368】
実施形態56. 末梢細胞膜透過ペプチドが、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドおよびADGN-100ペプチドからなる群から選択される、実施形態55に記載のナノ粒子。
【0369】
実施形態57. 末梢細胞膜透過ペプチドが、配列番号1~70および75~80からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、実施形態56に記載のナノ粒子。
【0370】
実施形態58. シェル内の末梢細胞膜透過ペプチドの少なくとも一部が、連結によりターゲティング部分に連結している、実施形態55~57のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【0371】
実施形態59. 連結が、共有結合である、実施形態54または58に記載のナノ粒子。
【0372】
実施形態60. ナノ粒子の平均直径が、約10nm~約400nmの間である、実施形態44~59のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【0373】
実施形態61. 一部の実施形態では、実施形態1~43のいずれか一項に記載のゲノム編集複合体または実施形態44~60のいずれか一項に記載のナノ粒子と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物が提供される。
【0374】
実施形態62. 第3の細胞膜透過ペプチドと外来性タンパク質をコードする核酸分子とを含む発現複合体をさらに含む、実施形態61に記載の医薬組成物。
【0375】
実施形態63. 外来性タンパク質が、細胞の表面で発現され得る組換え受容体である、実施形態62に記載の医薬組成物。
【0376】
実施形態64. 組換え受容体が、キメラ抗原受容体(CAR)である、実施形態63に記載の医薬組成物。
【0377】
実施形態65. 第3の細胞膜透過ペプチドが、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドおよびADGN-100ペプチドからなる群から選択される、実施形態62~64のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0378】
実施形態66. 第3の細胞膜透過ペプチドが、配列番号1~70および75~80からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、実施形態65に記載の医薬組成物。
【0379】
実施形態67. 一部の実施形態では、実施形態1~19のいずれか一項に記載のゲノム編集複合体を調製する方法であって、細胞膜透過ペプチドを1つまたは複数のゲノム編集システム分子と組み合わせるステップを含み、それによってゲノム編集複合体を形成する方法が提供される。
【0380】
実施形態68. 1つまたは複数のゲノム編集システム分子が、RGENおよびgRNAを含み、細胞膜透過ペプチドとRGENが、それぞれ約1:1~約80:1の比で組み合わせられ、RGENとgRNAが、それぞれ約10:1~約1:10の比で組み合わせられる、実施形態67に記載の方法。
【0381】
実施形態69. 細胞膜透過ペプチドとRGENが、それぞれ約5:1~約20:1の比で組み合わせられる、実施形態68に記載の方法。
【0382】
実施形態70. RGENとgRNAが、約1:1の比で組み合わせられる、実施形態68または69に記載の方法。
【0383】
実施形態71. 一部の実施形態では、ゲノム編集システムの1つまたは複数の分子を細胞に送達する方法であって、細胞を実施形態1~43のいずれか一項に記載のゲノム編集複合体または実施形態44~60のいずれか一項に記載のナノ粒子と接触させるステップを含み、ゲノム編集複合体またはナノ粒子が、1つまたは複数のゲノム編集システム分子を含む方法が提供される。
【0384】
実施形態72. 細胞をゲノム編集複合体またはナノ粒子と接触させるステップが、in
vivoで行われる、実施形態71に記載の方法。
【0385】
実施形態73. 細胞をゲノム編集複合体またはナノ粒子と接触させるステップが、ex
vivoで行われる、実施形態71に記載の方法。
【0386】
実施形態74. 細胞をゲノム編集複合体またはナノ粒子と接触させるステップが、in
vitroで行われる、実施形態71に記載の方法。
【0387】
実施形態75. 細胞が、顆粒球、マスト細胞、単球、樹状細胞、B細胞、T細胞、ナチュラルキラー細胞、線維芽細胞、肝細胞、肺前駆細胞、または神経細胞である、実施形態71~74のいずれか一項に記載の方法。
【0388】
実施形態76. 細胞がT細胞である、実施形態75に記載の方法。
【0389】
実施形態77. ゲノム編集システムが、PD-1、PD-L1、PD-L2、TIM-3、BTLA、VISTA、LAG-3、CTLA-4、TIGIT、4-1BB、OX40、CD27、TIM-1、CD28、HVEM、GITRおよびICOSからなる群から選択される遺伝子内の配列を標的とする、実施形態75または76に記載の方法。
【0390】
実施形態78. 細胞を、第4の細胞膜透過ペプチドと外来性タンパク質をコードする核酸分子とを含む発現複合体と接触させるステップをさらに含む、実施形態71~77のいずれか一項に記載の方法。
【0391】
実施形態79. 外来性タンパク質が、細胞の表面で発現され得る組換え受容体である、実施形態78に記載の方法。
【0392】
実施形態80. 組換え受容体が、キメラ抗原受容体(CAR)である、実施形態79に記載の方法。
【0393】
実施形態81. 第4の細胞膜透過ペプチドが、VEPEP-3ペプチド、VEPEP-6ペプチド、VEPEP-9ペプチドおよびADGN-100ペプチドからなる群から選択される、実施形態78~80のいずれか一項に記載の方法。
【0394】
実施形態82. 第4の細胞膜透過ペプチドが、配列番号1~70および75~80からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、実施形態81に記載の方法。
【0395】
実施形態83. 一部の実施形態では、細胞内の標的ポリヌクレオチドを修飾する方法であって、細胞を実施形態1~43のいずれか一項に記載のゲノム編集複合体または実施形態44~60のいずれか一項に記載のナノ粒子と接触させるステップを含み、ゲノム編集複合体またはナノ粒子が、標的ポリヌクレオチド内の配列を標的とするゲノム編集システムの1つまたは複数の分子を含む方法が提供される。
【0396】
実施形態84. 一部の実施形態では、個体の疾患を処置する方法であって、個体に実施形態61~66のいずれか一項に記載の医薬組成物の有効量を投与するステップを含む方法が提供される。
【0397】
実施形態85. 疾患が、がん、糖尿病、炎症性疾患、線維症、ウイルス感染性疾患、遺伝性疾患、眼疾患、肝臓疾患、肺疾患、腎臓疾患、加齢および変性疾患、ならびにコレステロールレベル異常を特徴とする疾患からなる群から選択される、実施形態84に記載の方法。
【0398】
実施形態86. 疾患が、がんである、実施形態85に記載の方法。
【0399】
実施形態87. がんが、固形腫瘍であり、医薬組成物が、増殖因子およびサイトカイン、細胞表面受容体、シグナル伝達分子およびキナーゼ、転写因子および他の転写調節因子、タンパク質発現および修飾の制御因子、腫瘍抑制因子、ならびにアポトーシスおよび転移の制御因子からなる群から選択される1つまたは複数のタンパク質の発現を調節するゲノム編集システムの1つまたは複数の分子を含む、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む、実施形態86に記載の方法。
【0400】
実施形態88. がんが、肝臓、肺または腎臓のがんである、実施形態87に記載の方法。
【0401】
実施形態89. がんが、血液悪性腫瘍であり、医薬組成物が、増殖因子およびサイトカイン、細胞表面受容体、シグナル伝達分子およびキナーゼ、転写因子および他の転写調節因子、タンパク質発現および修飾の制御因子、腫瘍抑制因子、ならびにアポトーシスおよび転移の制御因子からなる群から選択される1つまたは複数のタンパク質の発現を調節するゲノム編集システムの1つまたは複数の分子を含む、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む、実施形態86に記載の方法。
【0402】
実施形態90. 疾患が、ウイルス感染疾患であり、医薬組成物が、ウイルス感染性疾患の発症および/または進行に関与する1つまたは複数のタンパク質の発現を調節するゲノム編集システムの1つまたは複数の分子を含む、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む、実施形態85に記載の方法。
【0403】
実施形態91. 疾患が、遺伝性疾患であり、医薬組成物が、遺伝性疾患の発症および/または進行に関与する1つまたは複数のタンパク質の発現を調節するゲノム編集システムの1つまたは複数の分子を含む、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む、実施形態85に記載の方法。
【0404】
実施形態92. 疾患が、加齢または変性疾患であり、医薬組成物が、加齢または変性疾患の発症および/または進行に関与する1つまたは複数のタンパク質の発現を調節するゲノム編集システムの1つまたは複数の分子を含む、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む、実施形態85に記載の方法。
【0405】
実施形態93. 疾患が、線維性または炎症性疾患であり、医薬組成物が、線維性または炎症性疾患の発症および/または進行に関与する2つまたはそれより多いタンパク質の発現を調節するゲノム編集システムの1つまたは複数の分子を含む、ゲノム編集複合体またはナノ粒子を含む、実施形態85に記載の方法。
【0406】
実施形態94. 個体がヒトである、実施形態84~93のいずれか一項に記載の方法。
【0407】
実施形態95. 一部の実施形態では、実施形態1~43のいずれか一項に記載のゲノム編集複合体および/または実施形態44~60のいずれか一項に記載のナノ粒子を含む組成物を含むキットが提供される。
【実施例0408】
本発明の範囲および精神内でいくつもの実施形態が可能であることを当業者は認識するであろう。以下の非限定的な実施例を参照することにより本発明をより詳細に説明する。以下の実施例は、本発明を例を挙げてさらに説明するものであるが、当然ながら、いかなる形でもその範囲を限定するものと解してはならない。
材料および方法
【0409】
Lipofectamine 2000、RNAiMAX、TranscriptAid T7 transcription kit、MEGAclear transcription Clean Up kit、GeneArt Genomic Cleavage Detection kit、およびPlatinum Green Hot
Start PCR mixは、Thermo Fisher Life Science(France)から入手した。CRISPR/Cas9抗体は、Diagenode(Diagenode、商品番号C15200223)およびABCAM(クローン7A9- ab191468)から入手した。HiScribe(商標) T7 ARCA
mRNA Kitは、New England Biolabから入手した。全てのオリゴヌクレオチドは、Eurogentec(Belgium)から入手した。
gRNA
【0410】
gRNAはin vitro転写によって得た。sgRNAの生成は、in vitroで転写可能なPCR産物用の鋳型としてのT7プロモーターアダプター配列を含有する汎用sgRNA発現プラスミドを使用して行った。T7プロモーター結合部位とそれに続く20bpのsgRNA標的配列を含有する線状DNA断片をTranscriptAid T7 high Yield transcription Kit(Thermo
Fisher life science、France)を製造者の説明書にしたがって使用してin vitroで転写した。in vitroで転写されたgRNAをエタノールで沈殿させ、MEGAclear transcription clean up Kit(Thermo Fisher life Science)を使用してさらに精製した。sgRNAのストック溶液を水に可溶化し、UV吸光度により定量化し、-80℃で貯蔵した。
【0411】
Fuら(2013年)、Nature biotechnology、31巻(9号):822~826頁に
したがってsgRNA発現プラスミド(Addgene 47511、プラスミドpFYF1320 EGFP)を使用してin vitro転写によってEGFP gRNAを得た。EGFP標的部位:GGGCACGGGCAGCTTGCCGG(配列番号71)。
【0412】
Fuら、2013年(上掲)にしたがってsgRNA発現プラスミド(Addgene #47508、プラスミドpFYF1548 EMX1)を使用してin vitro転写によってEMX1 gRNAを得た。EMX1標的部位:GAGTCCGAGCAGAAGAAGAA(配列番号72)。
【0413】
Liaoら、(2015年)、Nucleic acid research、gkv675にしたがってsg
RNA発現プラスミド(Addgene #69539、プラスミドHPRT2b-pGEM)を使用してin vitro転写によってHPRT gRNAを得た。HPRT標的部位:GACTGTAAGTGAATTACTT(配列番号73)。
【0414】
Maliら、(2013年)、Science、339巻(6121号):823~826頁にし
たがってsgRNA発現プラスミド(Addgene #41818、プラスミドgRNA_AAVS1-T2)を使用してin vitro転写によってAAVS gRNAを得た。AAVS標的部位:GGGGCCACTAGGGACAGGAT(配列番号74)。
【0415】
Hart, T.ら(2015年)、Cell、163巻(6号)、1515~1526頁にした
がってsgRNA発現プラスミド(Addgene #74190、プラスミドpLCKO_Luciferase_sgRNA)を使用してin vitro転写によってルシフェラーゼgRNAを得た。ルシフェラーゼ標的部位:ACAACTTTACCGACCGCGCC(配列番号103)。
【0416】
Eurogentec(Belgium)から入手したsgRNA発現プラスミドgRNAhPD1aおよびgRNAhPD1bを使用してin vitro転写によってhPD1 gRNAを得た。hPD1sgA1:ACCGCGTGACTTCCACATGAGCG(配列番号99)。hPD1sgB1:AAACCGCTCATGTGGAAGTCACG(配列番号100)。hPD1sgC1f:ACCGCAGTTGTGTGACACGGAAG(配列番号101)。hPD1sgD2:AAACCTTCCGTGTCACACAACTG(配列番号102)。
CAS9 mRNA
【0417】
DNA鋳型用に線状化されたpCS2-CAS9ベクター(Addgene #47322)を用いてHiScribe(商標) T7 ARCA mRNA Kit(New
England Biolab)を使用してCAS9 mRNAを調製した。合成したmRNAをLiCl沈殿、フェノール:クロロホルム抽出、およびエタノール沈殿によって精製した。260nmでの紫外線吸光度を測定することによってmRNA濃度を決定し、試料を-20℃で貯蔵した。in vivo研究のために、ポリアデニル化され、キャップされたCAS9 mRNAをThermoFisherから入手した。
CAS9タンパク質の発現および精製
【0418】
Zurisら、2015年、Nature biotechnology、33巻(1号):73~80頁によって以前に記載されたように、S.pyogenes HIS-NLS-CAS9をE.coli中で発現させ、精製した。S.pyogenes HIS-CAS9-NLS pET29発現ベクター(Addgene #62933)でBL21 STAR(DE3)コンピテント細胞を形質転換した。100mg/mlのアンピシリンを含有するluria Bertani(LB)培地中、37℃で約0.5OD595まで細胞を成長させた。次いで、細胞培養物を20℃に冷却し、0.5mMイソプロピル-1-チオ-β-D-ガラクトピラノシド(Isopropl-1-thio-β-D-galactopyranoside)を用いてタンパク質発現を終夜誘導した。細胞を遠心分離により回収し、50mM HEPES(pH8.0)、0.5mM NaCl、50mM KCl、20%グリセロール、および0.5mMトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)を含有する溶解緩衝液中で超音波処理により溶解させた。HIS-NLS-CAS9を含有する可溶性溶解物を20,000×gでの30分間の遠心分離によって得、2mlのNI-NTA(ニトリロ酢酸)Agarose Resin(Thermo Fisher Life Science)と共に4℃で1時間インキュベートした。次いで、樹脂を溶解緩衝液で2回洗浄し、HEPES(pH8.0)、0.1M NaCl、20%グリセロール、10mM TCEP、および300mMイミダゾールでHIS-NLS-CAS9タンパク質を溶出した。タンパク質溶液をHITrap Desaltingカラム(GE Healhcare Life Science)にアプライし、50mM HEPES(pH8.0)、0.1mM NaCl、20%グリセロール、および10mM TCEPを含有する緩衝液で平衡化した陽イオン交換HITrap SP HPカラム(GE Healhcare Life Science)でさらに精製した。5mg/mlまで濃縮した線形NaCl勾配でHIS-CAS9-NLSを溶出し、-80℃で貯蔵した。一部の研究のために、CAS9タンパク質をThermo Fisher Life Science(FRANCE)から入手した。
細胞膜透過ペプチド:
【0419】
酢酸塩形態のペプチドをGENEPEP Montpellier(FRANCE)から入手した。以下のペプチドを使用した:
VEPEP-3a:βAKWFERWFREWPRKRR(配列番号75)
VEPEP-3b:βAKWWERWWREWPRKRR(配列番号76)
VEPEP-6:βALWRALWRLWRSLWRLLWKA(配列番号77)
VEPEP-9:βALRWWLRWASRWFSRWAWWR(配列番号78)
ADGN-100a:βAKWRSAGWRWRLWRVRSWSR(配列番号79)
ADGN-100b:βAKWRSALYRWRLWRVRSWSR(配列番号80)
CADY:GLWRALWRLLRSLWRLLWKV(配列番号81)
【0420】
ペプチドのストック溶液を蒸留水または5%のDMSO中2mg/mLで調製し、水浴超音波処理装置で10分間超音波処理した後、使用直前に希釈した。
細胞株
【0421】
安定なEGFP発現細胞株(GFP-U2OS、EGFP-JURKAT T、EGFP-HEK)ならびにU2OS(ATCC(登録商標)HTB-96(商標))、初代ヒト線維芽細胞、Hep G2(ATCC(登録商標)HB-8065(商標))、ヒト胎児腎臓(HEK293)(ATCC(登録商標)CRL-1573(商標))、ヒト骨髄性白血病K562細胞(ATCC(登録商標)CCL243(商標))、Jurkat T細胞(ATCC(登録商標)TIB-152(商標))、ヒトESC(H9)、およびマウスESC(ESF 158)を含むいくつかの細胞株を使用した。細胞はAmerican Type Culture Collection[ATCC]から入手した。
(実施例1)
遺伝子破壊のためのRGEN/gRNAタンパク質-RNA複合体の細胞膜透過ペプチド媒介性の機能的送達
【0422】
5つの細胞膜透過ペプチド(VEPEP-6、VEPEP-9、VEPEP-3、ADGN-100、およびCADY)を異なる細胞株におけるRGEN/gRNA複合体の機能的細胞送達について評価した。RNA誘導型エンドヌクレアーゼ(RGEN)CAS9およびガイドRNA、ここでgRNAは核酸配列標的に相補的なガイド配列を含む、を含むゲノム編集RGEN/gRNA複合体に細胞膜透過ペプチドを会合させた。3つの安定なEGFP発現細胞株(U2OS、Jurkat T、およびHEK)において外来性EGFP遺伝子の遺伝子破壊を、ならびに/またはヒト(H9)およびマウス(ESF-158)胚性幹(ES)細胞を含むマウスおよびヒト細胞株(U2OS、HEK、およびK562)において内因性EMX1、AAVS、もしくはHPRT内因性遺伝子の遺伝子破壊をモニターすることによって、RGEN/gRNA複合体のCPP媒介性の機能的送達を調べた。
CPPは、RGEN(CAS9)およびRGEN/gRNA(CAS9/sgRNA)複合体と安定な複合体を形成する
【0423】
CY5蛍光標識CAS9タンパク質を使用する蛍光分光法によってCPP/CAS9およびCPP/CAS9/sgRNA複合体の形成をモニターした。マレイミド-CY5を使用してCAS9タンパク質を接近可能なシステイン残基においてCY5色素で標識した。
図1Aおよび1Bに示すように、CPP(VEPEP-3a/b、VEPEP-6、VEPEP-9、ADGN-100a/b、CADY)の濃度を増加させて5nMの固定濃度のCY5-CAS9(
図1A)またはCY5-CAS9:sgRNA(1:1のモル比)(
図1B)をタイトレーションした。曲線フィッティングにより、VEPEP-3a/b、ADGN-100a/b、およびVEPEP-9はCY5-CAS9およびCY5-CAS9/sgRNA複合体の両方と相互作用するが、VEPEP-6およびCADYはCY5-CAS9:sgRNA複合体のみに結合することが実証された。表1に示すように、VEPEP-3a/bおよびADGN-100a/bペプチドが、最も強力なペプチドとなり、低いナノモル濃度範囲においてRGEN/gRNA複合体に対して非常に高い親和性を示し、VEPEP-9およびCADYは中程度のバインダーであり、VEPEP-6はCY5-CAS9およびCY5-CAS9/sgRNA複合体の両方との相互作用が乏しい。
【表1】
【0424】
CPP/CAS9およびCPP/CAS9/sgRNA粒子をさらに特徴付けし、平均サイズ、多分散性、およびゼータ電位をZetasizer 4装置(Malvern Ltd)を用いて測定した。20℃の生理的条件(0.9%NaCl)下、10:1および20:1のCPPとカーゴのモル比でCAS9および予めロードしたCAS9/gRNAをVEPEP-3b、VEPEP-9、ADGN-100a、およびCADYペプチドと混合し、解析前に37℃で30分間インキュベートした。CCP/CAS9およびCCP/CAS9:gRNA複合体の平均サイズおよび多分散性は測定あたり3分間、25℃で決定し、ゼータ電位はZetasizer 4装置(Malvern Ltd)で測定した。3つの別々の実験の平均としてデータを表2に示す。
【0425】
10:1または20:1のモル比において、VEPEP-3bおよびADGN-100aの両方のペプチドはCAS9およびCAS9:gRNA複合体と安定なナノ粒子を形成することができた。約50nmおよび80nmの平均直径ならびに0.25および0.35の多分散性指数(PI)がVEPEP-3bおよびADGN-100aについてそれぞれ得られた。ゼータ電位によって得られるADGN-100a/CAS9およびADGN-100a/CAS9:gRNA粒子の電荷は10:1および20:1のモル比について類似しており、10:1のモル比でそれぞれ6.0±0.8mVおよび5.3±1.0mV、20:1のモル比でそれぞれ7.2±1mVおよび4.8±0.3mVの平均値であった。ゼータ電位によって得られるVEPEP-3b/CAS9およびVEPEP-3b/CAS9:gRNA粒子の電荷は10:1および20:1のモル比について類似しており、10:1において17.0±0.5mV~27.0±4mVの間の範囲の平均値であった。
【0426】
対照的に、CADYはCAS9といかなる複合体も形成せず、10:1のモル比においてCADYもVEPEP-9も、予めロードしたCAS9:gRNA複合体と安定な粒子を形成しなかった。20:1のモル比において、170±10および350±20nmの粒子平均サイズならびに0.58および0.6の多分散性指数がVEPEP-9およびCADYについてそれぞれ得られた。
【表2】
EGFPレポーター遺伝子を標的とするRGEN/gRNA複合体のCPP媒介性の機能的送達
【0427】
5つのCPP(VEPEP-3b、VEPEP-6、VEPEP-9、CADY、およびADGN-100a)をRGEN/gRNA複合体の細胞送達について評価した。EGFPを発現する3つのヒト細胞株(GFP-U2OS、EGFP-HEK、EGFP-JURKAT)において外来性EGFP遺伝子レポーターの特定部位を標的とすることによって、よく確立されたCAS9誘導性の遺伝子破壊方法(Fuら、2013年、上掲)を使用してCPP媒介性の送達の有効性を定量化した。
【0428】
両親媒性ペプチドのストック溶液を蒸留水中1mg/mLで調製し、10分間超音波処理した。CAS9タンパク質を精製されたEGFP sgRNAと1:1のモル比で予めロードし、ペプチドとの複合体の形成前に10分間インキュベートした。予めロードしたCAS9/gRNA複合体(10nM、25nM、および50nM)を5:1、10:1、および20:1のCPPとカーゴのモル比でCPPと混合し、細胞トランスフェクションの前に37℃で30分間インキュベートした。
【0429】
単一の組み込まれたEGFPレポーター遺伝子を含有する細胞株(GFP-U2OS、EGFP-HEK、およびEGFP-JURKAT)を、2mMグルタミン、1%抗生物質(ストレプトマイシン10,000μg/mL、ペニシリン、10,000IU/mL)、および10%(w/v)ウシ胎児血清(foetal calf serum)(FCS)を補充し
たダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中、5%CO2を含有する加湿雰囲気下37℃で培養した。トランスフェクションの前日に35mmディッシュに播種した計150,000個の細胞を50~60%コンフルエンスまで成長させ、200μlの予め形成させた複合体を重層し、3~5分間インキュベートした後、400μlのDMEMを添加した。37℃での30分間のインキュベーションの後、CPP/CAS9-gRNA複合体の重層を除去せずに、16%のFCSを含有する1mLの新鮮なDMEMを10%の最終FCS濃度に達するまで添加した。細胞を72時間インキュベーターに戻した。
【0430】
EGFPの発現レベルをモニターすることによって、フローサイトメトリーを使用してCAS9誘導性の二本鎖切断形成を解析した。
図2~5に示す遺伝子破壊頻度のデータは、3つの別々の実験からの平均として報告している。lipofectamine 2000およびRNAiMAXの両方の送達方法を陽性対照として使用した。
【0431】
図2A~2Dおよび
図3A~3Dに示すように、全てのCPPは、EGFP-U2OS細胞およびEGFP-HEK細胞の両方においてCAS9/gRNAの機能的送達を促進し、CAS9/gRNA濃度依存的なEGFP発現の減少を誘導した。最適な二本鎖切断形成は、20:1のCPPと予めロードしたCAS9/gRNAのモル比で形成されたCPP/CAS9/gRNA複合体で得られ、1:1または1:2のモル比でそれぞれ形成された予めロードしたCAS9/gRNAを使用した際に差異は観察されなかった。
【0432】
U2OS細胞において、VEPEP-3b、ADGN-100a、VEPEP-9、CADY、およびVEPEP-6と会合させたCAS9:gRNA(50nM)(CPP対カーゴについて20:1のモル比)でそれぞれ92%、87%、55%、33%、および25%のEGFP発現の減少が得られた。比較として、送達ベクターとしてLipofectamine 2000またはRNAiMAXを使用して、EGFP発現の22%または71%の減少がそれぞれ得られた(
図2C)。
【0433】
HEK細胞において、VEPEP-3b、ADGN-100a、VEPEP-9、CADY、およびVEPEP-6と会合させたCAS9:gRNA(50nM)(CPP対カーゴについて20:1のモル比)でそれぞれ93%、86%、58%、42%、および30%のEGFP発現の減少が得られた。比較として、送達ベクターとしてLipofectamine 2000またはRNAiMAXを使用して、EGFP発現の35%または78%の減少がそれぞれ得られた(
図3C)。
【0434】
両方の細胞株について、ADGN-100aおよびVEPEP-3bペプチドを用いて、EGFP陽性細胞について85%より多くの減少に繋がる、より大きな二本鎖切断形成が得られた。用量応答の調査(
図2Dおよび3D)は、CAS9:gRNAは、ADGN-100aまたはVEPEP-3bと会合させた場合に低いナノモル濃度で効率的である得ることを実証した。VEPEP-3bまたはADGN-100aと会合させた1nMのCAS9:gRNAを使用して、EGFP発現U2OS細胞の数はそれぞれ68%または57%減少した。VEPEP-3bまたはADGN-100aと会合させた1nMのCAS9:gRNAを使用して、EGFP発現HEK細胞の数はそれぞれ71%または62%減少した。対照的に、両方の細胞株について、VEPEP-6、CADY、およびlipofectamine 2000を使用した場合に1nMのCAS9:gRNAの使用はEGFP発現の変化を生じさせず、RNAiMIXまたはVEPEP-9を使用して、それぞれわずかに18%または5%のEGFP発現の減少が得られた。したがって、ADGN-100aおよびVEPEP-3bは、CRISPR複合体を送達するために、lipofectamineおよびCADYよりも7~10倍効率的であり、RNAiMAXよりも2~4倍効率的である。
【0435】
図4A~4Dならびに
図5Aおよび5Bに示すように、ADGN-100およびVEPEP-3ペプチドは、EGFP-JURKAT細胞においてCAS9/gRNAの機能的送達を促進し、濃度依存的なEGFP発現の減少を誘導した。両方のペプチドは、80%より高い(ADGN-100aについて81%およびVEPEP-3bについて87%)EGFP陽性細胞の減少をもたらした。VEPEP-9またはCADYではEGFP陽性細胞のそれぞれわずかに22%または18%の減少が得られ、EGFP細胞の数の有意な変化はVEPEP-6またはLipofectamine 2000では観察されなかった。ADGN-100aおよびVEPEP-3bペプチドは、CRISPR複合体を送達するためにlipofectamineおよびCADYよりも12~20倍効率的である。用量応答の解析(
図4D)は、他の細胞株について、JURKATにおいて、CAS9:gRNAはADGN-100aおよびVEPEP-3bと会合させた場合に低いナノモル濃度で効率的であり得ることを実証した。EGFP発現細胞の数は、VEPEP-3bまたはADGN-100aと会合させた1nMのCAS9:gRNAを使用してそれぞれ55%または51%減少した。対照的に、同じCAS9:gRNA濃度において、VEPEP-6、CADY、VEPEP-9、またはlipofectamine 2000を使用してEGFP発現の変化は観察されず、RNAiMAXを使用してわずかに18%のEGFP発現の減少が得られた。
CAS9/sgRNA複合体のCPP媒介性の細胞送達は毒性を誘導しない
【0436】
3つの細胞株で観察されたロバストなEGFP破壊は、細胞毒性の結果ではないことが分かった。CPP/CAS9/gRNA複合体の毒性を3つの細胞株(EGFP-U2OS、EGFP-HEK、EGFP-JURKAT)で調べた。トランスフェクションの前日に24ウェルプレートに播種した計30,000個の細胞を、(CPPと、予めロードしたCAS9/gRNA複合体のモル比10:1または20:1で複合体を形成した)CPP/CAS9/gRNAの濃度を1~200nMの範囲で増加させて、最終FCS濃度が10%に達するまで培地を追加する前に30分間インキュベートした。24時間後に比色MTTアッセイ(Sigma、Germany)によって細胞毒性応答を測定した。MTTアッセイのために、細胞培養培地を除去し、2.5mg/mlのMTTを含有するPBSと4時間置き換えた。結果は3つの別々の実験の平均に対応する。
図6A~6Cに示すように、100nMまでの濃度について、3つの細胞株においてVEPEP-3bまたはADGN-100aペプチドについて毒性は観察されなかった。生存能の減少は、200nMにおいて10%未満であった。対照的に、Lipofectamine 2000またはRNAiMAXについて200mMにおいて、細胞株に応じて60~70%および20~25%の間の細胞死が観察された。さらに、両方の脂質方法はJURKAT細胞に対して毒性が高いらしく、75%(lipofectamine 2000)または45%(RNAiMAX)の細胞死を誘導した。
EMX1内因性遺伝子を標的とするRGEN/gRNA複合体のCPP媒介性の機能的送達
【0437】
3つのヒト細胞株(U2OS、JURKAT、およびK562)において内因性EMX1遺伝子を標的とするRGEN/gRNA複合体の細胞送達についてVEPEP-3b、VEPEP-9、およびADGN-100aペプチドを評価した。
【0438】
予めロードしたCAS9/gRNA(25nM、50nM)複合体を20:1のCPPとカーゴのモル比でVEPEP-3b、VEPEP-9、およびADGN-100aペプチドと混合し、細胞トランスフェクションの前に37℃で30分間インキュベートした。Lipofectamine 2000よりも良好な結果を示したことが以前に報告されたので(Zurisら、2015年、上掲)、RNAiMAX送達を陽性対照として使用した
。細胞株(U2OS、JURKATおよびK562)を、2mMグルタミン、1%抗生物質(ストレプトマイシン10,000μg/mL、ペニシリン、10,000IU/mL)、および10%(w/v)ウシ胎児血清(foetal calf serum)(FCS)を補充し
たダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中、5%CO2を含有する加湿雰囲気下37℃で培養した。トランスフェクションの前日に35mmディッシュに播種した計150,000個の細胞を50~60%コンフルエンスまで成長させ、200μlの予め形成させた複合体を重層し、3~5分間インキュベートした後、400μlのDMEMを添加した。37℃での30分間のインキュベーションの後、CPP/CAS9-gRNA複合体の重層を除去せずに、16%のFCSを含有する1mLの新鮮なDMEMを10%の最終FCS濃度に達するまで添加した。細胞を72時間インキュベーターに戻した。非相同末端結合(NHEJ)による修復が後続するCAS9誘導性の二本鎖切断形成をT7E1アッセイまたはGenome Cleavage Detection kit(GCD Thermo Fisher)のいずれかによって解析し、Fragment Analyzer Systemを使用して定量化した。標的遺伝子における挿入欠失頻度をT7E1アッセイを使用して定量化した。
【0439】
図7A~7Cに示し、表3に要約するように、VEPEP-3b媒介性およびADGN-100a媒介性の両方のRGEN/gRNA送達は、3つ全ての細胞株においてEMX-1遺伝子のロバストな編集を誘導した。3つの細胞株において、RGEN/gRNAは、意図した標的部位においてNHEJ媒介性の挿入欠失突然変異を誘導した。25nMの濃度のCAS9-gRNAを使用して、U2OS、K562、およびJURKAT細胞においてADGN-100aを用いて送達した場合にそれぞれ67%、71%、および65%の平均挿入欠失頻度が得られた。U2OS、K562、およびJURKAT細胞においてVEPEP-3bを使用してそれぞれ75%、79%、および69%の平均挿入欠失頻度が得られた。U2OS、K562、およびJURKAT細胞においてVEPEP-9を使用してそれぞれ27%、29%、および21%の平均挿入欠失頻度が得られた。同じ細胞株において31%、39%、および22%の挿入欠失頻度を示したRNAiMAXと比べて、VEPEP-3bおよびADGN-100aの効率は少なくとも2倍高かった。
【表3】
(実施例2)
複数の遺伝子を編集するためのRGEN/gRNA複合体のCPP媒介性の機能的送達
ヒト細胞株
【0440】
次いで、EGFPを発現する2つのヒト細胞株(GFP-U2OS、EGFP-JURKAT)において内因性EMX1および外来性EGFPレポーター遺伝子を標的とする複数のRGEN/gRNA複合体の細胞送達についてVEPEP-3、VEPEP-9、およびADGN-100ペプチドを評価した。2つの予めロードしたCAS9/gRNA複合体(25nM)を20:1のCPPとカーゴのモル比でVEPEP-3b、VEPEP-9、およびADGN-100aペプチドと混合し、細胞トランスフェクションの前に37℃で30分間インキュベートした。RNAiMAX送達を陽性対照として使用した。以前に記載したように細胞を処理し、トランスフェクションの72時間後にCAS9誘導性のNHEJを解析した。非相同末端結合(NHEJ)による修復が後続するCAS9誘発性の二本鎖切断形成をT7E1アッセイまたはGenome Cleavage Detection kit(GCD Thermo Fisher)のいずれかによって解析し、Fragment Analyzer Systemを使用して定量化した。EMX1遺伝子における欠失(挿入欠失)頻度をT7E1アッセイを使用して定量化し、EGFP発現の減少をフローサイトメトリーによってモニターした。RGEN/gRNAによって誘導されたオンターゲット突然変異のデータを3つの別々の実験の平均として報告する。
【0441】
図8A~8Cに示し、表4に要約するように、VEPEP-3b媒介性およびADGN-100a媒介性の両方のRGEN/gRNA送達は、両方の細胞株においてEMX-1遺伝子およびEGFP遺伝子の両方のロバストな編集を誘導した。2つの細胞株において、RGEN/gRNAは、意図した標的部位においてNHEJ媒介性の挿入欠失突然変異を誘導した。
【0442】
25nMの濃度のCAS9-gRNAを使用して、U2OSおよびJURKAT細胞においてADGN-100aまたはVEPEP-3bのいずれかを用いて両方の遺伝子について70%より高い平均挿入欠失頻度が得られた。U2OSおよびJURKAT細胞においてVEPEP-9についてそれぞれ約30%および15%の平均挿入欠失頻度が得られた。脂質ベースのベクターRNAiMAXを用いて、U2OS細胞において40%およびJURKAT細胞において28%の遺伝子破壊効率が得られた。U2OSおよびJURKAT細胞においてVEPEP-3bおよびADGN-100aペプチドはそれぞれRNAiMAXよりもそれぞれ約2倍および2.8倍効率的であった。
【表4】
【0443】
以上を合わせると、これらの結果は、VEPEP-3およびADGN-100の両方のペプチドは、いかなる毒性応答も誘導することなく、JURKATなどのトランスフェクトが難しい細胞株を含む異なる細胞株において複数のRGEN/gRNA複合体の機能的送達のための強力な方法を構成することを実証する。
胚性幹細胞
【0444】
次いで、U2OSにおいてならびにヒト(H9)およびマウス(ESF-158)胚性幹細胞においてEMX1、AAVS、およびHPRTの3つの内因性遺伝子を標的とする複数のRGEN:gRNA複合体の細胞送達についてVEPEP-3およびADGN-100ペプチドを評価した。3つの予めロードしたCAS9/gRNA複合体(各20nM)を20:1のCPPとカーゴのモル比でVEPEP-3bおよびADGN-100aペプチドと混合し、細胞トランスフェクションの前に37℃で30分間インキュベートした。RNAiMAX送達方法を陽性対照として使用した。
【0445】
U2OS細胞を以前に記載したように処理した。4mM L-グルタミンを含み、1.5g/L重炭酸ナトリウムおよび4.5g/Lグルコースを含有するように調整され、0.1mM 2-メルカプトエタノール(85%)を補充され、かつ15%ES-Cell
Qualifiedウシ胎児血清(fetal bovine serum)を含むダルベッコ改変イーグル培地中でH9胚性幹細胞を培養した。0.1mM 2-メルカプトエタノール、1,000U/mLのマウス白血病抑制因子(LIF)、および15%ES-Cell Qualified FBSを補充したMouse ES Cell Basal Medium中でマウスESF-158胚性幹細胞を培養した。NHEJによる修復が後続するCAS9誘導性の二本鎖切断形成をT7E1アッセイによってトランスフェクションの72時間後に解析し、Fragment Analyzer Systemを使用して定量化した。EMX1、AAVSおよびHPRT遺伝子における欠失(挿入欠失)頻度をT7E1アッセイを使用して定量化した。RGEN:gRNAによって誘導されたオンターゲット突然変異のデータを3つの別々の実験の平均として報告する。
【0446】
表5に示すように、VEPEP-3b媒介性およびADGN-100a媒介性の両方のRGEN/gRNA送達は、試験した2つのES細胞株においてEMX-1、AAVS、およびHPRT遺伝子のロバストな編集を誘導した。3つ全ての細胞株において、RGEN/gRNAは、意図したオンターゲット部位においてNHEJ媒介性の挿入欠失突然変異を誘導した。対照的に、RNAiMAX送達方法を使用して、ES細胞株において遺伝子編集は観察されなかったか、またはごくわずかであった。
【0447】
20nMの濃度の3つのCAS9/gRNA複合体を使用して、U2OSおよびマウスES細胞においてADGN-100aまたはVEPEP-3bのいずれかを用いて3つの遺伝子について70%より高い平均挿入欠失頻度が得られた。H9細胞において60%より高い平均挿入欠失頻度が得られた。これらの結果は、VEPEP-3およびADGN-100ペプチドが複数のRGEN:gRNA複合体の送達のための強力なビヒクルであることをさらに実証した。
【表5】
(実施例3)
RGEN/gRNA複合体のCPP媒介性の機能的送達および相同組換え修復(HDR)による遺伝子編集
【0448】
精密な相同組換え修復(HDR)を使用したゲノム操作のための三成分RGEN/gRNA/ssDNA複合体の送達についてVEPEP-3およびADGN-100ペプチドを評価した。三成分複合体において、EMX1遺伝子を標的とするCAS9/gRNAを、U2OSおよびJUKAT細胞においてHDRによって目的の遺伝子への10~12ヌクレオチドの挿入を可能とするssDNAドナーと会合させた。
【化1】
【0449】
ssDNAは、12ヌクレオチドの挿入配列(配列番号82において太字で示した挿入)を取り囲む30ntの2つのホモロジーアームを含有する。12ヌクレオチドの挿入は、特異的なHindIIIおよびNheI制限部位を含有し、HDR効率を定量化するためにこれらを使用した。
【0450】
EMX1遺伝子座でのゲノム編集実験は以下の通りに行った:20:1のCPPとカーゴのモル比でVEPEP-3bまたはADGN-100aペプチドと会合させた50nMの濃度の予めロードしたRGEN/gRNAを使用して、高レベルの二本鎖切断形成のために実験を最適化した。そのような条件は、
図2Cおよび
図4Cに報告するように、JURKAT TおよびU2OSの両方の細胞株に対して80%より高い二本鎖切断効率に繋がった。表4に示すように、全ての成分を一緒に合わせて三成分複合体(RGEN/gRNA/ssDNA/CPP)を形成させるか、または別々に、1つのステップでCPPをRGEN/gRNA複合体と合わせ、別のステップでCPPをssDNAドナーと合わせて2つの別々の複合体(RGEN/gRNA/CPPおよびssDNA/CPP)を形成させるかのいずれかによって、20:1のCPPとカーゴのモル比で50nMのRGEN/gRNAおよびssDNAドナーの両方をVEPEP-3bまたはADGN-100aペプチドと会合させた。RNAiMAXを対照として使用した。
【0451】
細胞を50~60%コンフルエンスまで成長させ、200μlの予め形成させた複合体を重層し、3~5分間インキュベートした後、400μlのDMEMを添加した。37℃での30分間のインキュベーションの後、複合体の重層を除去せずに、16%のFCSを含有する1mLの新鮮なDMEMを10%の最終FCS濃度に達するまで添加した。細胞を72時間インキュベーターに戻した。HindIIIおよびNheI制限酵素部位のHDR挿入効率を、EMX1 PCRアンプリコンのNheI消化による制限断片長多型(RFLP)アッセイを使用して解析した。
【0452】
図9Aおよび9Bに示し、表6に要約するように、両方の細胞株において、シングルまたはダブルのいずれかの複合体プロトコールを使用して、ADGN-100aを用いて高いHDR効率が得られた。CAS9/gRNA複合体を送達するVEPEP-3bの能力をssDNAを送達するADGN-100aの能力と合わせることによって、最大47%のより高いHDR挿入が得られた。ADGN-100aおよびVEPEP-3bペプチドを用いる一部の構成では、RNAiMAXと比べて効率が3倍またはそれより大きく増加した。
【表6】
(実施例4)
EGFPレポーター遺伝子を標的とするCAS9発現プラスミドおよびgRNAのADGN-100媒介性の送達
【0453】
U2OS細胞(EGFP-U2OS)における外来性EGFP遺伝子レポーターの特定部位を標的とするCAS9をコードするプラスミドおよびgRNAの細胞送達についてADGN-100を評価した。
【0454】
両親媒性ペプチドのストック溶液を蒸留水中1mg/mLで調製し、10分間超音波処理した。CAS9発現プラスミド(Addgene MLM3639-Plasmid #42252)およびgRNA(50nM)を10:1および20:1のADGN-100aと各プラスミドのモル比でADGN-100aと混合し、細胞トランスフェクションの前に37℃で30分間インキュベートした。
【0455】
単一の組み込まれたEGFPレポーター遺伝子を含有するEGFP-U2OS細胞を、2mMグルタミン、1%抗生物質(ストレプトマイシン10,000μg/mL、ペニシリン、10,000IU/mL)、および10%(w/v)ウシ胎児血清(foetal calf
serum)(FCS)を補充したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中、5%CO
2を含有する加湿雰囲気下37℃で培養した。トランスフェクションの前日に35mmディッシュに播種した計150,000個の細胞を50~60%コンフルエンスまで成長させ、200μlの予め形成させた複合体を重層し、3~5分間インキュベートした後、400μlのDMEMを添加した。37℃での30分間のインキュベーションの後、CPP/CAS9-gRNA複合体の重層を除去せずに、16%のFCSを含有する1mLの新鮮なDMEMを10%の最終FCS濃度に達するまで添加した。細胞を72時間インキュベーターに戻した。
【0456】
EGFPの発現レベルをモニターすることによって、フローサイトメトリーを使用してCAS9誘導性の二本鎖切断形成を解析した。
図10に報告する遺伝子破壊頻度のデータは、3つの別々の実験の平均を示す。Lipofectamine 2000送達を陽性対照として使用した。
【0457】
図10に示すように、ADGN-100aは、ヒトEGFP-U2OS細胞においてCAS9発現プラスミドおよびgRNAの両方の送達を促進した。最適な二本鎖切断形成は、20:1のADGN-100aと各核酸のモル比で形成されたADGN-100a/CAS9プラスミド/gRNA複合体で得られた。10:1または20:1のモル比でそれぞれ23%または38%のEGFP発現の減少が得られた。比較として、Lipofectamine 2000を使用して20%のEGFP発現の減少が得られた。
(実施例5)
CPP媒介性のCAR T細胞の操作
【0458】
CAR-T細胞の操作のためのADGNペプチド技術の能力を評価した。2つのヒト細胞株(JURKATおよびK562)および異なるドナー由来の末梢血単核細胞(PBMC)調製物から単離されたT細胞への、PD-1受容体を標的とするRGEN/gRNA複合体の機能的細胞送達、および抗CD19 CARをコードするDNAプラスミドの送達の両方について3つの細胞膜透過ペプチド(ADGN-100a、VEPEP-3a、およびCADY)を評価した。ADGN-100aおよびVEPEP-3aの両方のペプチドがPD-1の破壊によって初代ヒトT細胞をリプログラミングするために効率的に使用できることを本発明者らは実証した。T細胞活性の1つの負の制御因子はリガンドPD-L1であり、これは活性化T細胞上のprogrammed death-1(PD-1)受容体の結合を通じて機能する。さらに、ADGN-100aペプチドは、単独でまたはVEPEP-3aとの組合せで、PBMCから単離されたT細胞へのRGEN/gRNA複合体およびCARをコードするプラスミドの効率的な送達のための強力なトランスフェクションベクターであり、hPD1受容体発現の効率的な下方調節を伴う安定な抗CD19 CAR T細胞を産生することが分かった。
CAS9/gRNA/ペプチド粒子の形成のためのプロトコール
【0459】
ADGN-100aおよびVEPEP-3aペプチドのストック溶液を蒸留水中2mg/mLで調製し、10分間超音波処理した。CAS9タンパク質に精製されたsgRNAを1:1のモル比で予めロードし、ペプチドと複合体を形成させる前に10分間インキュベートした。予めロードしたCAS9/gRNA(2.5μgおよび5μg)を20:1のモル比(ペプチド対CAS9/gRNA)でADGN-100aまたはVEPEP-3aと混合し、細胞トランスフェクションの前に37℃で30分間インキュベートした。
プラスミドDNA/ペプチド粒子の形成のためのプロトコール
【0460】
CMVプロモーターの制御下にあるCD19特異的キメラ抗原受容体(CAR)をコードするプラスミドは、CD28に連結されたCD19特異的scFvおよびCD3ζシグナル伝達部分からなった。ルシフェラーゼ(6.2Kb)をコードするプラスミドはNew England BioLabsから入手し、再クローニングした。50mMトリス、0.5mM EDTAにて100μMの濃度でプラスミドのストック溶液を調製した。1ngまたは5ngのプラスミドDNAを使用して、ADGN-100aまたはCADYペプチド(400μMに希釈)とプラスミド(100μMのストック溶液)とを20:1のペプチドとプラスミドとの最終モル比で37℃で30分間混合することによってナノ粒子を調製した。次いで、複合体溶液を9000rpmで5分間遠心分離してあらゆる沈殿物を除去し、トランスフェクション直前に50%のPBS溶液で希釈した。
細胞株
【0461】
75cm2のフラスコおよび6ウェルディッシュ中、10%の最終濃度でウシ胎児血清(fetal bovine serum)(FBS)を含有するダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中でK562およびJurkat T細胞株を培養した。細胞を4日毎に継代し、トランスフェクションの24時間前に新たに継代した。
T細胞の単離および活性化
【0462】
3:1(ビーズ:細胞)の比で常磁性ビーズに結合した抗CD3/抗CD28抗体(Dynabeads ClinExVivo CD3/CD28、Invitrogen)を使用してT細胞をPBMC(2人の異なるドナー)から単離した。細胞およびビーズを室温で2時間共インキュベートし、Dynal ClinExVIVO MPC magnet(Thermo Fisher)を使用してCD3+細胞の富化を行った。抗CD3/抗CD28常磁性ビーズを取り出し、洗浄し、濃縮した。10%ウシ胎仔血清、300IU/ml IL2、および50ng/ml OKT3(MuromonAB-CD3)を補充したAIM-V培地(Thermo Fishers)を用いて、細胞1×106個/mlの濃度で2日間、CD3+画分の細胞を活性化培地中に再懸濁した。
エレクトロポレーションのプロトコール
【0463】
Amaxa Human T cells Nucleofector Kit、VPA-1002(Lonza、Germany)と共にNucleofector 2b(Lonza、Germany)を使用してCD-19プラスミドまたはgRNA/CAS9(5μg/10μg)をエレクトロポレーションすることにより細胞をトランスフェクトした。800rpmで5分間遠心分離することによって5×106個の細胞をDPBSで2回洗浄し、100μlのトランスフェクションバッファーに再懸濁した後、エレクトロポレーションキュベットに移した。T細胞に対する高トランスフェクションおよび高効率の両方について選択した最適化されたプログラムを使用した。エレクトロポレーション後、10%FBSを含有する500μlの予め温めたAIM-V培地に細胞を再懸濁し、5%CO2中、37℃でインキュベートした。フローサイトメトリーまたはT7E1アッセイによって48時間後にトランスフェクション効率を評価した。
T細胞株におけるgRNA/CAS9複合体のCPP媒介性の送達
【0464】
2つのヒトT細胞株(JURKATおよびK562)において内因性hPD1遺伝子を標的とするRGEN/gRNA複合体の細胞送達についてVEPEP-3a、ADGN-100a、およびCADYペプチドを評価した。
【0465】
細胞株(JURKAT、K562)を、2mMグルタミン、1%抗生物質(ストレプトマイシン10,000μg/mL、ペニシリン、10,000IU/mL)、および10%(w/v)ウシ胎児血清(foetal calf serum)(FCS)を補充したDMEM中、
5%CO2を含有する加湿雰囲気下37℃で培養した。トランスフェクションの前日に35mmディッシュに播種した計150,000個の細胞を50~60%コンフルエンスまで成長させた。hPD1のエクソン2を標的とする2つの異なるgRNAを予めロードしたCAS9(5μg/10μgのCAS9/gRNAおよび2.5μg/5μgのCAS9/gRNA)を20:1のモル比(ペプチド対CAS9/gRNA)でVEPEP-3a、ADGN-100a、またはCADYペプチドと混合し、細胞トランスフェクションの前に37℃で30分間インキュベートした。RNAiMAX送達方法を陽性対照として使用した。細胞を再懸濁したか、または100μlの予め形成された複合体を重層し、3~5分間インキュベートした後、300μlのDMEMを添加した。37℃での30分間のインキュベーションの後、CPP/CAS9-gRNA複合体の重層を除去せずに、16%のFCSを含有する1mLの新鮮なDMEMを10%の最終FCS濃度に達するまで添加し、細胞をインキュベーターに戻した。NHEJによる修復が後続するCAS9誘導性の二本鎖切断形成をT7E1アッセイによってまたはGenome Cleavage
Detection kit(GCD Thermo Fisher)を使用して解析し、Fragment Analyzer Systemを使用して定量化した。hPD1遺伝子における挿入欠失頻度をT7E1アッセイを使用して定量化した。
【0466】
表7に報告するように、VEPEP-3a媒介性およびADGN-100a媒介性の両方のRGEN/gRNA送達は、2つの細胞株においてhPD1遺伝子のロバストな編集を誘導した。両方の細胞株において、RGEN/gRNAは、意図したオンターゲット部位にNHEJ媒介性の挿入欠失突然変異を誘導した。5μg/10μgのCAS9/gRNAを使用して、K562およびJURKAT細胞においてADGN-100aを用いて送達した場合にそれぞれ71%および72%の平均挿入欠失頻度が得られた。K562およびJURKAT細胞においてVEPEP-3aを使用した場合にそれぞれ75%および78%の平均挿入欠失頻度が得られた。K562およびJURKAT細胞においてRNAiMAXを使用してそれぞれ31%および35%の平均挿入欠失頻度が得られた。GFPを標的とする5μg/10μgのCAS9/gRNA陰性対照を使用して、hPD1遺伝子において遺伝子編集は観察されなかった。比較として、5μg/10μgのCAS9/gRNAのエレクトロポレーション媒介性の送達を使用して、K562およびJURKAT細胞においてそれぞれ65%および72%の平均挿入欠失頻度が得られた。培養T細胞において、ADGN-100aおよびVEPEP-3aは、RNAiMAXと比べてPD1ノックダウンについて少なくとも2倍効率的であり、より少ない量のCAS9/sgRNAでエレクトロポレーションよりも最大50%効率的であった。RGEN:gRNAによって誘導されたオンターゲット突然変異について報告するデータは3つの独立した実験の平均である。
【表7】
T細胞株におけるプラスミドDNAのCPP媒介性の送達
【0467】
トランスフェクションの24時間前に細胞株(Jurkat、K562)を新たに継代した。培養培地を除去し、細胞をPBSで2回洗浄した。細胞を再懸濁したか、または100μlのプラスミド/ペプチド溶液と5分間インキュベートした後、0.3mLの無血清培地を添加した。30分後、1.2mLの完全培地を添加し、血清レベルを10%に調整した。培養物を37℃で48時間インキュベートした後、FACS解析によってYFPをモニターし、抗CD19-CAR Tの発現をプロテインLのアッセイを使用してフローサイトメトリーによって評価した。
ヒトT細胞における抗CD19 CARをコードするプラスミドのADGN-100媒介性の送達
【0468】
2人のドナーから単離された活性化T細胞(1×106)に2つの濃度(2μgおよび5μg)で抗CD19 CAR発現プラスミドを含有するADGN-100a粒子またはCADY粒子(20:1のペプチドとプラスミドのモル比)を48時間トランスフェクトした。試験した全ての条件を表8に列挙し、各実験は三連で行った。プラスミド(8.2Kb)は、CMVプロモーターの制御下にあるCD19特異的キメラ抗原受容体(CAR)をコードし、CD28に連結されたCD19特異的scFvおよびCD3ζシグナル伝達部分からなった。対照として、ルシフェラーゼをコードするプラスミド(6.2Kb)を使用して類似の実験を行った。T細胞を100μlのプラスミド/ADGN-100a粒子またはプラスミド/CADY粒子に再懸濁し、5分間インキュベートした後、300μlの無血清RPMI-1640培地を添加した。30分後、1.2mLの完全培地を添加し、血清レベルを10%に調整した。
【0469】
5日目に、形質導入されたおよび形質導入されなかった細胞のレベルを解析し、細胞を新鮮なT細胞増殖培地に移した。T細胞増殖培地は、5%の熱不活化ヒトAB血清、1%のGluta-Max、および300IU/mLのIL-2を補充したAIM V培地を含有した。培養物を12日目まで増殖させ、フローサイトメトリーによって生存能および抗CD19 CAR発現を解析した。T細胞における抗CD19 CARの発現をプロテインLのアッセイを使用してフローサイトメトリーによって評価した。ビオチン化プロテインLはThermoScientificより購入し、50ng/μlのストック濃度で滅菌水中に再構成し、4℃で貯蔵した。7-AAD(Sigma)を使用して生存能を決定した。
【0470】
図11に示すように、ADGN-100aは、2μgおよび5μgのプラスミドを使用して20:1のモル比(ペプチド対プラスミド)でPBMCから単離されたT細胞においてそれぞれ62%および55%の効率で抗CD19 CARプラスミドのトランスフェクションを促進した。2μgおよび5μgのプラスミドを使用して、それぞれ58%および42%の最終形質導入効率で安定な発現が6日にわたって維持された。全ての条件で得られた約80%またはより高い平均生存能が示すように、ADGN-100aまたは形質導入に関連する細胞毒性は観察されなかった(
図12を参照)。結果は、非ウイルスベクターを用いるADGN-100トランスフェクション技術は、養子細胞療法における使用など、腫瘍ターゲティングT細胞を操作するために効果的に使用できることを実証する。
【表8-1】
【表8-2】
ヒトT細胞におけるhPD1を標的とするRGEN/gRNA複合体のADGN-100a/VEPEP-3a媒介性の機能的送達
【0471】
2人の異なるドナーから単離された活性化T細胞(1×106)に、2つの濃度(5μg/10μgのCAS9/gRNAおよび2.5μg/5μgのCAS9/gRNA)でgRNA hPD1/CAS9複合体を使用してADGN-100a、VEPEP-3a、またはCADY粒子を48時間トランスフェクトした。試験した全ての条件を表9に列挙し、各実験は三連で行った。gRNA/CAS9複合体を含有する100μlのADGN-100a、VEPEP-3a、またはCADY粒子にT細胞を再懸濁し、5分間インキュベートした後、1mlの完全培地を添加し、血清レベルを10%に調整した。対照として、GFPを標的とするgRNAをロードしたCAS9を使用した。
【0472】
細胞を72時間インキュベーターに戻した。非相同末端結合(NHEJ)による修復が後続するCAS9誘導性の二本鎖切断をT7E1アッセイによってまたはGenome Cleavage Detection kit(GCD Thermo Fisher)を使用して解析し、Fragment Analyzer Systemを使用して定量化した。標的遺伝子における挿入欠失頻度をT7E1アッセイを使用して定量化した。培養物を増殖させ、生存能およびPD1レベルを10日毎に解析した。T細胞増殖培地は、5%の熱不活化ヒトAB血清、1%のGluta-Max、および300IU/mLのIL-2を補充したAIM V培地を含有した。
【0473】
表10に報告するように、VEPEP-3a媒介性およびADGN-100a媒介性の両方のRGEN/gRNA送達は、2人のドナーからのT細胞におけるhPD1遺伝子のロバストな編集を誘導した。5μg/10μgのCAS9/gRNAを使用して、ADGN-100aおよびVEPEP-3aを用いて送達した場合にそれぞれ58%および66%の平均挿入欠失頻度が得られた。CADYペプチドまたはRNAiMAXのいずれかを使用してT細胞におけるhPD1遺伝子の編集は得られなかった。比較として、5μg/10μgのCAS9/gRNAを用いるエレクトロポレーション媒介性の送達を使用して、25%の平均挿入欠失頻度が得られた。これらの結果は、ADGN-100aおよびVEPEP-3aはT細胞におけるgRNA/CAS9複合体の送達のための非常に強力な戦略を構成することを示唆する。ADGN-100aおよびVEPEP-3aは、エレクトロポレーションと比べてPD1ノックダウンについて少なくとも2倍効率的であった。RGEN:gRNAによって誘導されたオンターゲット突然変異について報告するデータは3つの独立した実験の平均である。
【表9】
【表10】
ヒトT細胞におけるhPD1を標的とするRGEN/gRNA複合体および抗CD19 CAR発現プラスミドのADGN-100/VEPEP-3媒介性の同時送達
【0474】
抗CD19 CAR発現プラスミド(5μg)を含有するADGN-100aまたはVEPEP-3a粒子および2つの濃度(5μg/10μgのCAS9/gRNAおよび2.5μg/5μgのCAS9/gRNA)でgRNA hPD1/CAS9複合体を含有するADGN-100a、VEPEP-3a、またはCADY粒子を2人のドナーからの活性化T細胞(1×106)に48時間同時にトランスフェクトした。試験した全ての条件を表11に列挙し、各実験は三連で行った。gRNA hPD1/CAS9複合体を含有するADGN-100a、VEPEP-3a、またはCADY粒子および抗CD19 CAR発現プラスミドを含有するADGN-100aまたはVEPEP-3a粒子を含有する100μlの無血清培地にT細胞を再懸濁した。細胞を5分間インキュベートした後、300μlの無血清RPMI-1640培地を添加した。30分後、1.2mLの完全培地を添加し、血清レベルを10%に調整した。対照として、GFPを標的とするgRNAをロードしたCAS9を使用した。エレクトロポレーション法との比較のために、Amaxa Human T cells Nucleofector Kit、VPA-1002(Lonza、Germany)と共にNucleofector 2b(Lonza、Germany)を使用して細胞に抗CD-19 CARプラスミド(5μg)およびgRNA/CAS9(5μg/10μg)をトランスフェクトした。
【0475】
5日目に、形質導入されたおよび形質導入されなかった細胞のレベルを解析し、細胞を新鮮なT細胞増殖培地に移した。培養物をフローサイトメトリーによって生存能および抗CD19 CAR発現について解析した。T細胞における抗CD19 CARの発現をプロテインLのアッセイを使用してフローサイトメトリーによって評価した。ビオチン化プロテインLはThermoScientificより購入し、50ng/μlのストック濃度で滅菌水中に再構成し、4℃で貯蔵した。生存能を決定するために7-AAD(Sigma)を使用した。NHEJシステムによる修復が後続するCAS9誘導性の二本鎖切断をT7E1アッセイによってまたはGenome Cleavage Detection kit(GCD Thermo Fisher)を使用して解析し、Fragment Analyzer Systemを使用して定量化した。標的遺伝子における挿入欠失頻度をT7E1アッセイを使用して定量化した。培養物を増殖させ、生存能、抗CD19発現、およびPD1レベルを10日毎に解析した。T細胞増殖培地は、5%熱不活化ヒトAB血清、1%Gluta-Max、および300IU/mL IL-2を補充したAIM V培地を含有した。
【0476】
図13に示すように、ADGN-100aは、5μgのプラスミドを使用して20:1のモル比(ペプチド対プラスミド)でPBMCから単離されたT細胞において40%~45%の間の効率で抗CD19 CARプラスミドのトランスフェクションを促進する。安定な発現は少なくとも6日にわたって維持された。比較として、エレクトロポレーションによってトランスフェクトした場合に、T細胞の20%のみが抗CD19 CARを発現し、ADGN-100aの遺伝子送達効率は初代T細胞においてエレクトロポレーションより少なくとも2倍高いことを示した。
【0477】
表12に報告するように、VEPEP-3a媒介性およびADGN-100a媒介性の両方のRGEN/gRNA送達は、2人のドナーからのT細胞においてhPD1遺伝子のロバストな編集を誘導した。5μg/10μgのCAS9/gRNAを使用して、ADGN-100aおよびVEPEP-3aを用いて送達した場合にそれぞれ約50%および57%の平均挿入欠失頻度が得られた。比較として、5μg/10μgのCAS9/gRNAのエレクトロポレーション媒介性の送達を使用して、15%の平均挿入欠失頻度が得られた。ADGN-100aおよびVEPEP-3aは、エレクトロポレーションと比べてPD1ノックダウンについて少なくとも3倍効率的であった。2.5μg/5μgのCAS9/gRNAを使用して、ADGN-100aおよびVEPEP-3aを用いて送達した場合にそれぞれ約42%および50%の平均挿入欠失頻度が得られた。そのCAS9/gRNA濃度において、有意なPD1ノックダウンはエレクトロポレーションによって得られなかった。
【0478】
VEPEP-3aは、CAS9/gRNA誘導性のPD1ノックダウンについてADGN-100aよりも効率的なようであった。RGEN/gRNAによって誘導されたオンターゲット突然変異について報告するデータは3つの独立した実験の平均である。
【表11】
【表12】
CAS9/sgRNA複合体のCPP媒介性の送達はT細胞において毒性を誘導しない
【0479】
2つの細胞株およびPBMCから単離された初代T細胞において観察されたロバストなhPD1の破壊には、細胞毒性が付随しなかった。CPP/CAS9/gRNA複合体の毒性を2つの細胞株(JURKATおよびK562)およびPBMCから単離されたT細胞において調べた。MTTアッセイまたは7-AADのいずれかを使用して細胞生存能を決定した。
【0480】
トランスフェクションの前日に24ウェルプレートに播種した計30,000個のJURKATまたはK562細胞を、20:1のモル比(CPP対CAS9/gRNA)で複合体を形成したCPP/CAS9/gRNAの濃度を1nM~200nMの範囲で増加させて、FCSの最終濃度が10%に達するまで培地を追加する前に30分間インキュベートした。24時間後に比色MTTアッセイ(Sigma、Germany)によって細胞毒性応答を測定した。MTTアッセイのために、細胞培養培地を除去し、2.5mg/mlのMTTを含有するPBSと4時間置き換えた。結果は3つの別々の実験の平均に対応する。
図14に示すように、100nMまでの濃度について、2つの細胞株においてVEPEP-3aまたはADGN-100aペプチドのいずれについても毒性は観察されず、生存能の減少は、200nMにおいて10%未満であった。対照的に、RNAiMAXでは200mMにおいて、細胞株に応じて40~45%の間の細胞死が観察された。
【0481】
2人の異なるドナーからの初代T細胞に、2つの濃度(5μg/10μgのCAS9/gRNAおよび2.5μg/5μgのCAS9/gRNA)でCAS9/gRNAを含有するADGN-100aまたはVEPEP-3a粒子を48時間トランスフェクトした後、7-AADを使用してフローサイトメトリーによって細胞生存能を12日間にわたって定量化した。トランスフェクトされなかった細胞に対してデータを正規化し、遊離CAS9/gRNAとインキュベートしたT細胞と比較した。
図15に示すように、全ての条件における約80%またはより高い平均生存能が示すように、ADGN-100aまたはVEPEP-3aのいずれを用いても細胞毒性は観察されなかった。
【0482】
T細胞におけるCAS9/gRNAのペプチドベースの送達とのエレクトロポレーションの比較
【0483】
初代T細胞においてベータ2ミクログロブリン(β2M)をコードする遺伝子を標的とするガイド配列を含有するgRNAと共にCAS9を使用するβ2Mのノックダウンを、エレクトロポレーション媒介性の送達を使用して試験し、ペプチドVEPEP3またはADGN100とのCAS9/gRNAの複合体形成によって媒介される送達と比較する。2人のドナーからのT細胞を使用し、例えば、エレクトロポレーションについてはそれぞれ5μg/10μgの比、ペプチドについてはそれぞれ5μg/10μgおよび2.5μg/5μgの比のCAS9/gRNAを用いる。各場合において、例えば5×106個のT細胞を処理する。例えば5%の血清中または無血清培地中で、ペプチドでのトランスフェクションを行う。24時間での細胞生存能、3日でのノックダウン効率、および増殖相の最後での細胞数を評価する。
T細胞におけるプラスミドDNAのペプチドベースの送達とのエレクトロポレーションの比較
【0484】
初代T細胞においてプラスミドpTRPE GFP(10Kb)からのGFPの発現をプラスミドのエレクトロポレーション媒介性の送達を使用して試験し、ペプチドADGN100またはVEPEP9とのプラスミドの複合体形成によって媒介される送達と比較する。2人のドナーからのT細胞を使用し、例えば、エレクトロポレーションについては3μgのプラスミド、ペプチドについては2μgおよび5μgのプラスミドを用いる。各場合において、例えば5×106個のT細胞を処理する。例えば5%の血清中または無血清培地中で、ペプチドでのトランスフェクションを行う。24時間での細胞生存能、3日でのノックダウン効率、および増殖相の最後での細胞数を評価する。
(実施例6)
初代ヒト心臓線維芽細胞および初代ヒト肝細胞におけるRGEN/gRNA複合体のADGN-100媒介性の機能的送達
【0485】
初代ヒト心臓線維芽細胞および初代ヒト肝細胞において内因性EMX1遺伝子およびHPRT遺伝子を標的とする複数のRGEN:gRNA複合体の細胞送達についてもADGN-100ペプチドの評価を行った。CAS9/gRNA複合体は、CAS9タンパク質またはCAS9タンパク質をコードするmRNAのいずれかおよびEMX1またはHPRTのいずれかを標的とするgRNAを含有した。ヒト初代心臓線維芽細胞およびヒト初代肝細胞を新たに得、ゼラチンベースのコーティング溶液を予めコーティングしたフラスコ中で成長させ、増殖および処理の前に3日間Culture Complete Growth Medium中でインキュベートした。次いで、細胞を異なる濃度のADGN-100a:CAS9タンパク質:gRNA複合体またはADGN-100a:CAS9 mRNA:gRNA複合体のいずれかで処理した。T7E1アッセイによってトランスフェクションの72時間後に非相同末端結合(NHEJ)を解析し、RNAiMAX脂質方法を使用する送達と比較した。MTTアッセイを使用して全ての条件について毒性を解析した。
【0486】
CAS9 mRNAはHiScribe(商標)T7 ARCA mRNA Kit(New England Biolab)を使用して得た。線状化されたプラスミドDNAを使用してmRNAを合成し、フェノール:クロロホルム抽出によって精製した。合成したmRNAをLiCl沈殿、フェノール:クロロホルム抽出、それに続くエタノール沈殿によって精製した後、UV Light Absorbanceによって定量化した。260nmでの紫外線吸光度を測定することによってRNA濃度を決定した。1μgのDNA鋳型を使用して18μgのキャップされたmRNAを得、-20℃で貯蔵した。S.pyogenes HIS-NLS-CAS9は、E.coli中で発現させ、HIS-CAS9-NLS pET29発現ベクター(Addgene #62933)を使用してZurisら、2015年によって以前に記載されたように精製するか、またはTherm
o Fisher Life Scienceから入手した。Lipofectamine 2000、RNAiMAX、TranscriptAid T7 transcription kit、MEGAclear transcription Clean Up kit、およびGeneArt Genomic Cleavage Detection kit、ならびにPlatinium Green Hot Start PCR mixはThermo Fisher life Scienceから入手した。全てのオリゴヌクレオチドはEurogentecから入手した。
【0487】
ADGN-100aペプチドのストック溶液を蒸留水中1mg/mLで調製し、10分間超音波処理した。CAS9タンパク質に精製されたgRNA-GFPを1:1のモル比で予めロードし、ADGNペプチドと複合体を形成させる前に10分間インキュベートした。予めロードしたCAS9/gRNA(10nM、20nM、50nM)を20:1のモル比(ペプチド対複合体)でADGN-100aと混合し、細胞トランスフェクションの前に37℃で30分間インキュベートした。
【0488】
両方の細胞種について以下のプロトコールを使用した。トランスフェクションの時点で約70%のコンフルエンスまで細胞を培養した。10%の血清を含む高グルコースDMEM培地中で細胞を維持した。トランスフェクションの前に細胞をDMEMで2回洗浄し、0.2mlの複合体溶液(16μlの複合体+184μlのOPTiMEM)に再懸濁して穏やかに混合し、37℃で10分間インキュベートした。0.8mLの新鮮なOPTiMEM(高グルコース)を添加し、細胞を37℃で20分間インキュベートした。ADGN-100a/CAS9/gRNA複合体の重層を除去せずに、10%の最終FCS濃度に達するように11.4%のFCSを含有する2mLの完全OPTiMEM(高グルコース)を添加した。細胞を37℃のインキュベーターに戻し、トランスフェクションの72時間後にアッセイを行った。
【0489】
陽性対照として、RNAiMAX(Invitrogen Thermo Fisher)を使用して複合体を送達した。非相同末端結合(NHEJ)システムを通じての修復が後続するCAS9誘導性の二本鎖切断形成をT7E1アッセイによって72時間時に解析し、Fragment Analyzer Systemを使用して定量化した。EMX1遺伝子およびHPRT遺伝子について報告する挿入欠失頻度は3つの別々の実験の平均である。MTTアッセイを使用して細胞毒性を解析した。
【0490】
2つの初代細胞種についてADGN-100a/CAS9/gRNA複合体の毒性を調べた。トランスフェクションの前日に35ウェルプレートに播種した計30,000個の細胞を、20:1のモル比(ペプチド対複合体)のADGN-100a/CAS9/gRNA複合体(10nM、20nM、および50nM)の濃度を増加させて、FCSの最終濃度が10%に達するまで培地を追加する前に30分間インキュベートした。24時間後に比色MTTアッセイ(Sigma、Germany)によって細胞毒性応答を測定した。MTTアッセイのために、細胞培養培地を除去し、2.5mg/mlのMTTを含有するPBSと4時間置き換えた。
【0491】
データを初代線維芽細胞について
図16Aに、初代肝細胞について
図16Bに、そして表13に報告する。報告するように、ADGN-100媒介性のRGEN/gRNA送達は、2つの初代細胞種においてEMX-1遺伝子およびHPRT遺伝子の両方のロバストな編集を誘導する。20nMの濃度のCAS9-gRNAを使用して、初代線維芽細胞および初代肝細胞において両方の遺伝子についてそれぞれ60%および55%より高い平均挿入欠失頻度が得られた。50nMのRGEN/gRNAを使用して、RNAiMAXを用いて初代ヒト線維芽細胞において約30%、初代ヒト肝細胞において20%の平均挿入欠失頻度が得られた。これらの結果は、ADGN-100ペプチドはRNAiMAXよりも少なくとも3~4倍強力であることを実証した。
【表13】
【0492】
2つの初代細胞種において観察されたロバストなEMX1遺伝子およびHPRT遺伝子の破壊には、細胞毒性が付随しなかった。
図17Aおよび17Bに示すように、両方の初代細胞種についてADGN-100aペプチドを使用して10%未満の毒性が観察された。対照的に、RNAiMAXを用いて、初代ヒト肝細胞において60~65%の間の細胞死、および初代ヒト線維芽細胞において35~40%の間の細胞死が観察された。これらの結果は、ADGN-100aは、初代ヒト細胞における、CRISPRなどによるゲノム編集に有用な強力な非毒性の送達技術であることを実証する。
(実施例7)
培養U2OS細胞におけるCAS9発現mRNAおよびgRNAのADGN-100媒介性のin vitro送達
【0493】
この実験では、U2OS細胞においてCAS9 mRNAおよびCAS9 mRNA/gRNAの細胞送達についてADGN-100aペプチドを評価した。CAS9 mRNAは、DNA鋳型として線状pCS2-CAS9ベクター(Addgene #47322)を使用し、HiScribe(商標)T7 ARCA mRNA Kit(New England Biolabを使用して得た。
【0494】
CAS9 mRNA(0.2μgおよび0.5μg)を20:1のモル比(ペプチド対mRNA)でADGN-100aと混合し、細胞トランスフェクションの前に37℃で30分間インキュベートした。U2OS細胞を、2mMグルタミン、1%抗生物質(ストレプトマイシン10,000μg/mL、ペニシリン、10,000IU/mL)、および10%(w/v)ウシ胎児血清(foetal calf serum)(FCS)を補充したダルベッ
コ改変イーグル培地(DMEM)中、5%CO2を含有する加湿雰囲気下37℃で培養した。トランスフェクションの前日に35mmディッシュに播種した計150,000個の細胞を50~60%コンフルエンスまで成長させ、200μlの予め形成させたADGN-100a/CAS9 mRNA複合体を重層し、5分間インキュベートした後、400μlのDMEMを添加した。37℃での20分間のインキュベーションの後、複合体の重層を除去せずに、16%のFCSを含有する1mLの新鮮なDMEMを10%の最終FCS濃度に達するまで添加した。細胞を72時間インキュベーターに戻した。CRISPR/Cas9に対する抗体(Diagenode、商品番号C15200223)を使用してタンパク質抽出物に対するウエスタンブロットによってCAS9発現レベルを定量化した。
【0495】
図18に示すように、ウエスタンブロット解析は、トランスフェクトされたU2OS細胞におけるCAS9タンパク質の用量依存的な発現を明らかにした。これらの結果は、ADGN-100aは、CAS9タンパク質発現が後続するCAS9 mRNAの機能的送達を促進することを示唆する。比較として、CAS9発現レベルは、mRNA送達ベクターとしてLipofectamine 2000またはRNAiMAXを使用して約10倍低かった。
(実施例8)
CAS9タンパク質またはCAS9発現mRNAおよびgRNAと複合体を形成したADGN-100を使用するeGFP-U2OS細胞のin vitro遺伝子編集
【0496】
eGFP-U2OS細胞株において外来性eGFP遺伝子レポーターの特定部位を標的とすることによって、CAS9タンパク質またはCAS9 mRNAのいずれかを使用し、ADGN-100aを使用する遺伝子編集を評価した。予め混合したCAS9/gRNA(2.5μM/5μM)またはCAS9 mRNA/gRNA(0.5μg/5μg)を20:1のモル比(ペプチド対複合体)でADGN-100aと混合し、細胞トランスフェクションの前に37℃で30分間インキュベートした。lipofectamine
2000およびRNAiMAXの両方による送達方法を対照として含めた。eGFP-U2OS細胞を、2mMグルタミン、1%抗生物質(ストレプトマイシン10,000μg/mL、ペニシリン、10,000IU/mL)、および10%(w/v)ウシ胎児血清(foetal calf serum)(FCS)を補充したダルベッコ改変イーグル培地(DME
M)中、5%CO2を含有する加湿雰囲気下37℃で培養した。トランスフェクションの前日に35mmディッシュに播種した計150,000個の細胞を50~60%コンフルエンスまで成長させ、200μlの予め形成させた複合体を重層し、5分間インキュベートした後、400μlのDMEMを添加した。37℃での20分間のインキュベーションの後、複合体の重層を除去せずに、16%のFCSを含有する1mLの新鮮なDMEMを10%の最終FCS濃度に達するまで添加した。細胞を72時間インキュベーターに戻した。
【0497】
図19に示すように、72時間後のeGFP発現レベルをモニターすることによって、フローサイトメトリーを使用してCAS9誘導性の二本鎖切断形成を解析した。ADGN-100aと会合させたCAS9/gRNAまたはCAS9 mRNA/gRNA(20:1のモル比、ペプチド対複合体)を用いてそれぞれ87%または85%のeGFP発現の減少が得られた。これらの結果は、ADGN-100aは、機能的なCAS9タンパク質およびCAS9 mRNAの両方を送達し、類似の遺伝子編集効率に繋がることを実証する。比較として、CAS9 mRNA/gRNAのための送達ベクターとしてLipofectamine 2000またはRNAiMAXを使用してeGFP発現のそれぞれ22%または31%の減少が得られた。CAS9タンパク質/gRNAのための送達ベクターとしてLipofectamine 2000またはRNAiMAXを使用してeGFP発現のそれぞれ35%または45%の減少が得られた。
(実施例9)
マウスにおけるCAS9発現mRNAのADGN-100媒介性のin vivo送達
【0498】
スイスマウスにおいてCAS9 mRNAのin vivo送達についてADGN-100aペプチドを評価した。CAS9 mRNA(10μg)を20:1のペプチドとmRNAとの比でADGN-100aペプチドと会合させた。遊離ADGN-100aペプチド(2匹の動物/群)、遊離CAS9 mRNA(2匹の動物/群)、またはCAS9
mRNA/ADGN-100a(群あたり3匹の動物)の単回静脈注射をマウスに与えた。注射の72時間後、動物を屠殺し、肺、肝臓、脳、腎臓、心臓、脾臓、血液、および膵臓を含む組織を収集した。組織をホモジナイズし、CRISPR/Cas9に対する抗体(Diagenode、商品番号C15200223)を使用してタンパク質抽出物に対するウエスタンブロットによって、またはCas9モノクローナル抗体(SBIクローン7A9)を使用するELISAによって、CAS9発現を解析した。
図20Aおよび20Bに示すように、CAS9タンパク質の高発現が肝臓において観察され、バックグラウンドの15倍より高いレベルであった。CAS9発現は肺および腎臓においても観察され、バックグラウンドの約2~3倍のレベルであった。調べた他の組織ではCAS9タンパク質発現の有意な増加は検出されなかった。
(実施例10)
肝臓でルシフェラーゼを発現するマウスにおけるルシフェラーゼを標的とするCAS9発現mRNAおよびgRNAのADGN-100媒介性のin vivo送達
【0499】
肝臓でルシフェラーゼを発現するスイスマウスにおけるCAS9 mRNA/gRNAのin vivo送達についてADGN-100aペプチドを評価した。ルシフェラーゼを標的とするCAS9 mRNAおよびgRNA(10μg)を20:1のモル比(ペプチド対核酸)でADGN-100aペプチドと会合させた。遊離ADGNペプチド(3匹の動物/群)、遊離CAS9 mRNA(3匹の動物/群)、またはCAS9 mRNA/gRNA/ADGN-100a(群あたり3匹の動物)の単回静脈注射をマウスに与えた。
図21に示すように、注射の直後および注射の72時間後に動物全体の蛍光イメージングによってルシフェラーゼレベルを定量化した。
【0500】
注射の72時間後に動物を屠殺し、以下の組織を収集した:肝臓、肺、腎臓、脾臓、および血液。肝臓における蛍光によってルシフェラーゼを定量化した。組織をホモジナイズし、Cas9モノクローナル抗体(SBIクローン7A9)を使用するELISAによってCAS9発現を解析した。
【0501】
図21および22に示すように、CAS9 mRNA/gRNAのADGN-100a媒介性の送達は、肝臓においてルシフェラーゼ発現の60%~65%の間のノックダウンを誘導した。対照的に、遊離ADGN-100aまたは遊離CAS9 mRNA/gRNAのいずれかを用いたルシフェラーゼ発現の変化は観察されなかった。CAS9 mRNAの送達についての以前の結果と合致して、
図23に示すように、ADGN-100aは、主に肝臓において(バックグラウンドレベルの約20倍)ならびにより低いレベルで肺および腎臓において(バックグラウンドレベルの約2倍)CAS9 mRNA/gRNAの送達を媒介した。これらの結果は、ADGN-100aペプチドは、CAS9 mRNA/gRNAを含むCRISPR成分のin vivoでの機能的送達のための強力な方法を構成することを実証する。
(実施例11)
ヒト初代T細胞におけるβ2-ミクログロブリンを標的とするCAS9/gRNA複合体のADGN-100a媒介性およびVEPEP-3a媒介性の機能的送達:遺伝子編集効率および毒性の評価
【0502】
β2-ミクログロブリンを標的とするCAS9/gRNA複合体(5μg/10μgのCAS9/gRNA)と会合させたADGN-100aまたはVEPEP-3aを使用して1人のドナーから単離されたT細胞(5×106)へのトランスフェクトを行った。簡潔に述べれば、CPP/CAS9/gRNA粒子を含有する100μlの溶液にT細胞を再懸濁し、5分間インキュベートした後、1mlの完全培地を添加し、血清レベルを10%に調整した。対照として、5×106個の細胞にエレクトロポレーションによってCAS9/gRNA複合体をトランスフェクトし、遊離CAS9/gRNAで処理し、または未処理のままとした。細胞を72時間インキュベーターに戻した。次いで、β2-ミクログロブリンのレベルをFACS解析によって定量化した。
【0503】
図24に示すように、VEPEP-3a媒介性およびADGN-100a媒介性の両方のRGEN/gRNA送達は、T細胞においてβ2-ミクログロブリン遺伝子のロバストな編集を誘導し、それぞれ71%および78%の効率であった。対照的に、5μg/10μgのCAS9/gRNAを用いるエレクトロポレーション媒介性の送達は32%の効率を生じさせた。遊離複合体を使用してT細胞においてβ2-ミクログロブリン遺伝子の編集は観察されなかった。これらの結果は、ADGN-100aおよびVEPEP-3aは、T細胞において非常に強力なCAS9/gRNA複合体の送達を媒介できることを示唆する。ADGN-100aおよびVEPEP-3aは、エレクトロポレーションと比べてβ2-ミクログロブリンのノックダウンについて少なくとも2倍効率的であった。RGEN:gRNAによって誘導されたオンターゲット突然変異について報告するデータは3つの独立した実験の平均である。
【0504】
48時間後にMTTアッセイを使用し、かつ72時間後に活性化損傷誘発細胞死(DICD)をモニターすることによってPBMCから単離されたT細胞においてCPP/CAS9/gRNA複合体の毒性を調べた。
図25Aおよび25Bに示すように、初代T細胞において観察されたロバストなβ2-ミクログロブリンのノックダウンには、細胞毒性は付随しなかった。CPP/CAS9/gRNA複合体または遊離ペプチドに関連する毒性はMTTアッセイによって観察されなかった。さらに、T細胞活性化の遅延または活性化損傷誘発細胞死は、CPP/CAS9/gRNA複合体またはCPPペプチドで観察されなかった。対照的に、エレクトロポレーション後に、T細胞活性化の70%より高い減少およびDICD活性化と共に55%の毒性が観察された。
(実施例12)C2C12細胞におけるβ-カテニン(ベータ-カテニン)またはHPRTを標的とするRGEN/gRNA複合体のADGN-100a媒介性およびVEPEP-3a媒介性の機能的送達
【0505】
未分化のおよび分化したマウスの筋肉筋芽細胞(C2C12)において内因性のHPRT遺伝子およびβ-カテニン遺伝子を標的とするRGEN/gRNA複合体の機能的細胞送達についてVEPEP-3aおよびADGN-100aペプチドを評価した。心筋において、ベータ-カテニンは、隣接する心筋細胞間の電気的および機械的なカップリングにとって決定的に重要である介在板構造における接着結合に局在する。予めロードしたCAS9/gRNA複合体(5μg/10μgのCAS9/gRNA)を20:1のCPPとカーゴのモル比でVEPEP-3aおよびADGN-100aペプチドと混合し、細胞トランスフェクションの前に37℃で30分間インキュベートした。RNAiMAXによる送達を陽性対照として含めた。
【0506】
PCR(
図26)およびT7E1アッセイ(
図27)によってトランスフェクションの72時間後にCAS9誘導性のNHEJを解析した。Fragment Analyzer Systemを使用して、非切断対切断DNAの量を定量化することによってT7E1アッセイを使用してHPRT遺伝子における欠失(挿入欠失)頻度を定量化した。RGEN/gRNAによって誘導されたオンターゲット突然変異のデータは、3つの別々の実験の平均として報告する。
【0507】
C2C12マウス接着筋芽細胞を、熱不活化10%ウシ胎児血清(fetal bovine serum)、2mMグルタミン、1%抗生物質、0.5%抗マイコプラズム(antimycoplasm)
および25mM Hepesを添加したpH7.5のダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中で成長させた。細胞株を37℃、5%CO2に維持し、細胞生存能をTrypan Blue排除試験によって評価した。筋原性分化を誘導するために、約80%の細胞コンフルエンスにおいて10%のウシ胎仔血清を含有する培地を1%のウシ胎仔血清を含有する培地に置換した。未分化段階でまたは分化の7日後に細胞へのトランスフェクトを行った。
【0508】
図26および27に示すように、VEPEP-3a媒介性およびADGN-100a媒介性の両方のRGEN/gRNA送達は、未分化および分化したC2C12細胞株の両方においてβ-カテニンおよびHPRT遺伝子のロバストな編集を誘導した。
【0509】
未分化および分化したC2C12細胞株においてそれぞれ81%および73%の平均挿入欠失頻度がVEPEP-3a媒介性の送達によって得られた。未分化および分化したC2C12細胞株においてそれぞれ79%および47%の平均挿入欠失頻度がADGN-100a媒介性の送達によって得られた。対照的に、RNAiMAX媒介性の送達は、未分化および分化したC2C12細胞株においてそれぞれ46%および18%の挿入欠失頻度を生じさせた。これらの結果は、VEPEP-3およびADGN-100ペプチドは、分化した筋肉筋芽細胞における複数のRGEN/gRNA複合体の送達のための強力なビヒクルであることをさらに実証する。
(実施例13a)
複数の接着および懸濁細胞株におけるCPP媒介性のCAS9 mRNAの送達
【0510】
複数の接着(U2OSおよび初代ヒト線維芽細胞)および懸濁(HEPG2およびK562)細胞株においてCAS9 mRNAの細胞送達について細胞膜透過ペプチド(VEPEP-6、VEPEP-9、VEPEP-3a、およびADGN-100a)を評価した。CAS9 mRNAは、DNA鋳型のための線状化されたpCS2-CAS9ベクター(Addgene #47322)と共にHiScribe(商標)T7 ARCA mRNA Kit(New England Biolab)を使用して調製し、フェノール:クロロホルム抽出によって精製した。CAS9 mRNA(0.5μg)をCPPと20:1のCPP:CAS9 mRNAのモル比で混合し、細胞トランスフェクション前に37℃で30分間インキュベートすることによってCPP/CAS9 mRNA複合体を形成した。接着または懸濁細胞株のいずれかのために最適化されたプロトコールにしたがって細胞へのトランスフェクトを行った。
接着細胞へのトランスフェクション
【0511】
ヒト初代線維芽細胞を新たに得、ゼラチンベースのコーティング溶液を予めコーティングしたフラスコ中で成長させ、増殖および処理の前に3日間Culture Complete Growth Medium中でインキュベートした。U2OS細胞を、2mMグルタミン、1%抗生物質(ストレプトマイシン10,000μg/mL、ペニシリン、10,000IU/mL)、および10%(w/v)ウシ胎児血清(foetal calf serum)(FCS)を補充したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中、5%CO2を含
有する加湿雰囲気下37℃で培養した。トランスフェクションの前日に150,000個の細胞を播種した35mmディッシュを50~60%コンフルエンスまで成長させ、トランスフェクション時に約70%コンフルエンスになるように設定した。トランスフェクションの前に細胞をDMEM(2×)、その後PBS(1×)で洗浄した。次いで、細胞に0.2mlの複合体溶液(16μlの水中のCPP/カーゴ複合体+184μlの抗生物質を含まないOPTiMEM)を重層し、穏やかに混合し、37℃で10分間インキュベートした。次いで、0.8mLの新鮮なOPTiMEMまたはDMEMを添加し、細胞を37℃で20分間インキュベートした。次いで、CPP/カーゴ複合体の重層を除去せずに、11.4%FCSを含有する2mLの完全OPTiMEM(高グルコース)またはDMEMを10%の最終FCS濃度に達するまで添加した。細胞をインキュベーター(37℃、5%CO2)に戻し、トランスフェクションの72時間後にアッセイを行った。
懸濁細胞のトランスフェクション
【0512】
K562およびHEpG2細胞をトランスフェクション時に約70%コンフルエンスになるように設定した。細胞を10%の血清を含む高グルコースDMEM培地中で維持した。トランスフェクションの前に細胞を遠心分離によって回収した後、DMEM(2×)、その後PBS(1×)で洗浄した。次いで、細胞を0.2mlの複合体溶液(16μlの水中のCPP/カーゴ複合体+184μlの抗生物質を含まないOPTiMEM)に再懸濁し、穏やかに混合し、37℃で10分間インキュベートした。次いで、0.8mLの新鮮なOPTiMEMを添加し、細胞を37℃で20分間インキュベートした。次いで、CPP/カーゴ複合体の重層を除去せずに、11.4%のFCSを含有する2mLの完全OPTiMEM(高グルコース)を10%の最終FCS濃度に達するまで添加した。細胞をインキュベーター(37℃、5%CO2)に戻し、トランスフェクションの72時間後にアッセイを行った。
【0513】
RNAiMAX脂質ベースの送達(Invitrogen Thermo Fisher France)を対照として使用し、製造者の説明書にしたがってトランスフェクションを行った。Diagenode(Diagenode、商品番号C15200223)およびABCAM(クローン7A9- ab191468)から入手したCRISPR/Cas9に対する抗体を使用してタンパク質抽出物に対するELISAによる決定で、10日の期間にわたって複数の時点においてCAS9発現レベルを解析した。CAS9タンパク質発現の結果を
図28A~28Dに示し、3つの別々の実験からの平均として報告する。
【0514】
図28A~28Dに示すように、VEPEP-6およびADGN-100a CPPは、試験した細胞種のそれぞれにおけるロバストなCAS9タンパク質発現に繋がるmRNAの効率的な送達を促進した。U2OS、K562、およびHepG2細胞において、ADGN-100aおよびVEPEP-6を使用して、3日目のCAS9タンパク質発現のELISAシグナルはバックグラウンドレベル(0日目のシグナル)のそれぞれ約25および30倍に増加した。初代ヒト線維芽細胞において、ADGN-100aまたはVEPEP-6のいずれかを使用して、3日目のCAS9タンパク質発現のELISAシグナルはバックグラウンドの約20倍に増加した。CAS9タンパク質発現はトランスフェクションの3日後に最適であり、10日目までにこれらのレベルの約50%に減少した。CAS9 mRNAの送達のためにVEPEP-9を使用して、3日目のCAS9タンパク質発現のELISAシグナルについてバックグラウンドの約5~10倍への増加が得られた。対照的に、VEPEP-3aペプチドでは3日目にCAS9タンパク質発現の増加はほとんどまたは全く観察されなかった。比較として、CAS9 mRNAの送達のためにRNAiMAX脂質製剤を使用して、3日目のCAS9タンパク質発現のELISAシグナルはU2OS細胞においてバックグラウンドの約5~10倍に増加し、他の細胞種(K562、HepG2、および初代ヒト線維芽細胞)ではCAS9発現の増加はほとんどまたは全く観察されなかった。これらの結果は、VEPEP-6およびADGN-100aペプチドは、トランスフェクトが困難な細胞種におけるmRNAの送達のための強力なビヒクルであることを実証する。
(実施例13b)
複数の接着および懸濁細胞種におけるCAS9 mRNAおよびEMX1ターゲティングgRNAのCPP媒介性の機能的送達
【0515】
複数の接着(U2OSおよび初代ヒト線維芽細胞)および懸濁(HEPG2、K562)細胞種においてCAS9 mRNAおよび内因性EMX1遺伝子を標的とするgRNAを含有する核タンパク質複合体の機能的な細胞内送達について細胞膜透過ペプチド(VEPEP-6、VEPEP-9、およびADGN-100a)を評価した。
【0516】
EMX1ターゲティングgRNAおよびCAS9 mRNAは上記のように調製した。CAS9 mRNA(0.5μg)およびgRNA(5μg)をCPPと20:1のCPP:カーゴのモル比で混合することによってCPP/CAS9 mRNA/gRNA複合体を形成し、細胞トランスフェクションの前に37℃で30分間インキュベートした。実施例13aに記載のプロトコールにしたがって懸濁および接着細胞へのトランスフェクトを行った。RNAiMAX媒介性の送達(Invitrogen Thermo Fisher France)を対照として使用した。T7E1アッセイによって3日目および6日目にEMX1遺伝子編集を解析し、Fragment Analyzer Systemを使用して定量化した。
【0517】
EMX1遺伝子における挿入欠失頻度の結果を
図29A~29D(3つの別々の実験の平均)に示す。VEPEP-6媒介性およびADGN-100a媒介性のCAS9 mRNA/gRNAの送達は、試験した細胞種のそれぞれにおいてEMX-1遺伝子のロバストな編集を誘導した。両方のペプチドについて、CAS9 mRNAおよびgRNAを含有する複合体の効率的な機能的細胞内送達が72時間後に観察された。U2OSおよびHepG2細胞において約70~80%、ならびに初代ヒト線維芽細胞およびK526細胞において約60%の平均挿入欠失頻度が得られた。
【0518】
送達のためにVEPEP-9を使用して、U2OSおよびHepG2細胞において約40~50%、ならびに初代ヒト線維芽細胞およびK562細胞において約10%の平均挿入欠失頻度が得られた。比較として、送達のためにRNAiMAXを使用して、U2OSおよびHepG2細胞において約40~50%、ならびに初代ヒト線維芽細胞およびK562細胞において約10~15%の平均挿入欠失頻度が得られた。これらの結果は、VEPEP-6およびADGN-100aペプチドは、CAS9 mRNAおよびgRNAの機能的送達について、細胞種に応じてRNAiMAXの約3~5倍強力であることを実証する。
【0519】
4つの細胞種において観察されたロバストなCPP媒介性のEMX1遺伝子破壊には、細胞毒性は付随しなかった。
図30に示すように、ADGN-100aまたはVEPEP-6ペプチドのいずれかを使用して10%未満の毒性が観察された。対照的に、RNAiMAXでは初代ヒト線維芽細胞およびK562細胞において40~50%の間の細胞死、ならびにU2OSおよびHepG2細胞において35~40%の間の細胞死が観察された。これらの結果は、VEPEP-6およびADGN-100aの両方は、複数のヒト細胞種においてmRNA/gRNA送達に有用な強力な非毒性の細胞膜透過ペプチドであることを実証する。
(実施例13c)複数の接着および懸濁細胞種におけるCAS9タンパク質/EMX1ターゲティングgRNA複合体のCPP媒介性の機能的送達
【0520】
次いで、複数の接着(U2OSおよび初代ヒト線維芽細胞)および懸濁(HEPG2およびK562)細胞種において内因性EMX1遺伝子を標的とするCAS9タンパク質/gRNA複合体の細胞送達についてCPP(ADGN-100a、VEPEP-9、VEPEP-6、およびVEPEP-3a)を評価した。
【0521】
HIS-NLS-CAS9タンパク質およびEMX1ターゲティングgRNAは上記のように調製した。予めロードしたCAS9/gRNA複合体(2.5μg/5μgのCAS9/gRNA)をCPPペプチドと20:1のCPPとカーゴのモル比で混合し、細胞トランスフェクションの前に37℃で30分間インキュベートすることによってCPP/CAS9/gRNA複合体を調製した。実施例13aに記載のプロトコールにしたがって細胞へのトランスフェクトを行い、RNAiMAX媒介性の送達(Invitrogen
Thermo Fisher France)を対照として使用した。T7E1アッセイによって3日目および6日目にEMX1遺伝子編集を解析し、Fragment Analyzer Systemを使用して定量化した。
【0522】
RGEN/gRNAによって誘導されたオンターゲット突然変異のデータを
図31A~31D(3つの別々の実験の平均)に示す。VEPEP-3a媒介性およびADGN-100a媒介性の両方のRGEN/gRNA送達は、試験した細胞種のそれぞれにおいてEMX1遺伝子のロバストな編集を誘導した。VEPEP-3aおよびADGN-100aによる送達を用いてそれぞれ約75~70%および約60~65%の平均挿入欠失頻度が得られた。VEPEP-9を使用して35~40%の平均挿入欠失頻度が得られた。対照的に、VEPEP-6ペプチドでは有意なEMX1遺伝子編集は観察されなかった。比較のために、RNAiMAX送達は、U2OSおよびK562細胞において40%、ならびにHEPG2細胞および初代ヒト線維芽細胞において25~30%の挿入欠失頻度を生じさせた。
(実施例13d)
複数の接着および懸濁細胞種におけるCPP媒介性のCAS9発現プラスミドの送達
【0523】
U2OSおよびHEPG2細胞株ならびに初代ヒト線維芽細胞においてCAS9タンパク質をコードするプラスミドの細胞送達についてCPP(ADGN-100a、VEPEP-9、VEPEP-3a、およびVEPEP-6)を評価した。
【0524】
0.5μgのCAS9発現プラスミド(Addgene MLM3639-Plasmid #42252)をCPPと20:1のCPP:カーゴのモル比で混合し、細胞トランスフェクションの前に37℃で30分間インキュベートすることによってCPP/プラスミド複合体を調製した。実施例13aに記載の接着および懸濁細胞のためのプロトコールにしたがって細胞へのトランスフェクトを行った。Lipofectamine 2000を脂質ベースの送達の対照として使用した。Diagenode(Diagenode、商品番号C15200223)およびABCAM(クローン7A9-ab191468)から入手したCRISPR/Cas9に対する抗体を使用してタンパク質抽出物に対するELISAによる決定で、10日の期間にわたって複数の時点においてCAS9タンパク質発現レベルを解析した。
【0525】
CAS9タンパク質発現の結果を
図32A~32C(3つの別々の実験からの平均)に示す。試験した細胞種のそれぞれにおけるロバストなCAS9タンパク質発現が示すように、ADGN-100aおよびVEPEP-9 CPPは、CAS9発現プラスミドの効率的な送達を促進した。両方のペプチドについて、タンパク質発現はトランスフェクションの6日後に最適であり、10日目までに約50%減少した。CAS9タンパク質発現のELISAシグナルは、6日目にU2OSおよびHEPG2細胞ならびに初代ヒト線維芽細胞においてADGN-100aおよびVEPEP-9を使用してバックグラウンドの約9~10倍に、U2OSおよびHEPG2細胞においてVEPEP-6を使用してバックグラウンドの約4倍に、初代ヒト線維芽細胞においてVEPEP-6を使用してバックグラウンドの約2倍に増加した。対照的に、VEPEP-3aペプチドではCAS9発現の増加はほとんどまたは全く観察されなかった。比較として、CAS9発現プラスミド送達のためにlipofectime 2000を使用して、6日目のCAS9タンパク質発現のELISAシグナルは、U2OS細胞においてバックグラウンドの約4倍に増加し、HepG2細胞および初代ヒト線維芽細胞において有意なCAS9タンパク質発現は観察されなかった(バックグラウンドの2倍より低い)。これらの結果は、ADGN-100aおよびVEPEP-9ペプチドは、トランスフェクトが困難な細胞種におけるCAS9発現プラスミドの送達のための強力なビヒクルであることを実証する。
(実施例13e)
複数の接着および懸濁細胞種におけるCAS9発現プラスミド/EMX1ターゲティングgRNAのCPP媒介性の機能的送達
【0526】
複数の接着(U2OSおよび初代ヒト線維芽細胞)および懸濁(HEPG2)細胞種においてCAS9をコードするプラスミドおよび内因性EMX1遺伝子を標的とするgRNAの機能的な細胞内送達について細胞膜透過ペプチド(VEPEP-6、VEPEP-9、およびADGN-100a)を評価した。
【0527】
EMX1ターゲティングgRNAは上記のように調製した。0.5μgのCAS9発現プラスミド(Addgene MLM3639-Plasmid #42252)および5μgのgRNAをCPPと20:1のCPPと核酸(プラスミド+gRNA)のモル比で混合し、細胞トランスフェクションの前に37℃で30分間インキュベートすることによってCPP/プラスミド/gRNA複合体を調製した。実施例13aに記載のプロトコールにしたがって懸濁および接着細胞へのトランスフェクトを行った。Lipofectamine 2000媒介性およびRNAiMAX媒介性の送達方法(Invitrogen Thermo Fisher France)を対照として使用した。T7E1アッセイによって3日目および6日目にEMX1遺伝子編集を解析し、Fragment Analyzer Systemを使用して定量化した。
【0528】
EMX1遺伝子における挿入欠失頻度を
図33A~33C(3つの別々の実験の平均)に示す。ADGN-100aおよびVEPEP-9は、CAS9発現プラスミドおよびgRNAの両方の送達を促進し、3つの細胞種のそれぞれにおいてEMX-1遺伝子のロバストな編集を誘導した。最適な二本鎖切断形成は、ADGN-100aペプチドを使用して得られた。両方のペプチドについて、CAS9発現プラスミドおよびgRNAの効率的な機能的細胞内送達は3日目に観察された。ADGN-100aおよびVEPEP-9を使用して3つの細胞種においてそれぞれ約45~50%および約35~40%の平均挿入欠失頻度が得られた。
【0529】
比較として、送達のためにlipofectamine 2000およびRNAiMAXを使用して、U2OS細胞において約20%、ならびにHepG2細胞および初代ヒト線維芽細胞において10%未満の平均挿入欠失頻度が得られた。これらの結果は、VEPEP-9およびADGN-100aペプチドは、プラスミドおよびgRNAの両方を送達するために、細胞種に応じてRNAiMAXの約2~5倍強力であることを実証する。
(実施例14)
マウスにおけるCAS9発現mRNAのCPP媒介性のin vivo送達
【0530】
スイスマウスにおけるCAS9発現mRNAのin vivo送達についてADGN-100a、VEPEP-6、およびVEPEP-9を含むCPPを評価した。ポリアデニル化(polyadenylatyed)およびキャップされたCAS9 mRNAはThermoFi
sherから入手した。CAS9 mRNA(5μg)をADGN-100a、VEPEP-6、またはVEPEP-9ペプチドと20:1のCPPとmRNAとの比で混合することによってCPP/CAS9 mRNA複合体を調製した。生理緩衝液中のCAS9 mRNA/ADGN-100a(6匹の動物/群)、CAS9 mRNA/VEPEP-6(群あたり6匹の動物)、またはCAS9 mRNA/VEPEP-9(群あたり6匹の動物)複合体の単回静脈注射(100μl)をマウスに与えた。生理緩衝液中の遊離CAS9 mRNAを対照として注射した。
【0531】
CPP/mRNA送達に関連するin vivoサイトカイン誘導を評価するために、複数の時点(12時間、24時間、48時間、および72時間)において伏在静脈の出血によって血液試料を収集し、収集は週あたり100μl以下または全血液量の10%以下であった。InvritrogenのThe Cytokine Mouse Magnetic 20-Plex Panel(LMC 0006M)を使用して血清サイトカインレベルを測定した。血清、血漿、および組織培養上清中のマウスのサイトカイン、ケモカイン、および増殖因子を定量化するためにLuminex(商標)プラットフォーム用のThe Cytokine Mouse Magnetic 20-Plex Panelを特別に設計する。20-plex panelは、血清または組織培養上清中のマウスのGM-CSF、IFN-g、IL1a、Il1b、Il2、IL4、Il5、Il6、Il10、Il12(p40/p70)、IL13、IL17、TNF-a、IP-10、KC、MCP-1、MIG、MIP-1a、塩基性FGF、およびVEGFの同時の定量化を可能とした。リポ多糖(LPS)の投与を対照として含めて、結果を
図34に報告する。LPSの投与とは対照的に、異なる時点において非特異的サイトカイン誘導に対する異なるCPPの影響はほとんどまたは全く観察されなかった。
【0532】
注射の3日、6日、および10日後に動物を屠殺し、肺、肝臓、脳、腎臓、心臓、脾臓、血液、膵臓、筋肉、骨髄、および腸を含む組織を収集した。組織をホモジナイズし、CRISPR/Cas9に対する抗体(SBIクローン7A9)を使用してELISAによってタンパク質抽出物中のCAS9タンパク質レベルを解析した。
図35A(3日目)および35B(6日目)に示すように、3つのCPP(ADGN-100a、VEPEP-6、およびVEPEP-9)を使用して肝臓におけるCAS9タンパク質のロバストな発現が観察され、CAS9タンパク質発現のELISAシグナルはバックグラウンドのそれぞれ20倍、15倍、および8倍より大きかった。
【0533】
送達のためにADGN-100aを使用して、CAS9発現は肺および腎臓においても観察され、バックグラウンドの約2~3倍のレベルであった。調べた他の組織ではCAS9タンパク質発現の増加はほとんどまたは全く検出されなかった。
【0534】
送達のためにVEPEP-6を使用しても、肺(バックグラウンドの約8倍)、ならびに腎臓、心臓、脳、および骨髄(バックグラウンドの約3~4倍)においてロバストなCAS9発現が観察された。調べた他の組織ではCAS9タンパク質発現の増加はほとんどまたは全く検出されなかった。
【0535】
送達のためにVEPEP-9を使用しても、脾臓、脳、およびリンパ節(バックグラウンドの約4~5倍)においてロバストなCAS9発現が観察された。調べた他の組織ではCAS9タンパク質発現の増加はほとんどまたは全く検出されなかった。
【0536】
3つ全てのCPPについて、異なる組織におけるCAS9発現レベルは3日目および6日目において類似しており、CAS9タンパク質発現の長期間の持続を示唆した。
図35Cに示すように、CAS9タンパク質の発現は注射の10日後に維持された。10日目に、3つのCPP(ADGN-100a、VEPEP-6、およびVEPEP-9)で肝臓において、VEPEP-6およびVEPEP-9で脳において、VEPEP-6で肺において、ならびにVEPEP-9でリンパ節においてCAS9発現が観察された。
(実施例15)
マウスにおけるCAS9発現mRNAおよびPCSK9を標的とするgRNAのCPP媒介性のin vivo送達
【0537】
CAS9発現mRNAおよびproprotein convertase subtilisin/kexin type 9(PCSK9)(コレステロールホメオスタシスに関与する治療関連遺伝子)を標的とするgRNAのスイスマウスにおけるin vivo送達についてADGN-100a、VEPEP-6、およびVEPEP-9を含むCPPを評価した。PCSK9の減少は心血管疾患のリスクの減少およびより低いレベルの低密度リポタンパク質(LDL)コレステロールに関連するため、ヒト転換酵素PCSK9の阻害剤が、見込みのある新規クラスの心臓保護薬として現れてきた。
【0538】
ポリアデニル化およびキャップされたCAS9 mRNAはThermoFisherから入手し、PCSK9エクソン1を標的とするgRNA(5μg)はEurogentecから入手した。CAS9 mRNA(5μg)およびgRNA(5μg)をADGN-100a、VEPEP-6、またはVEPEP-9ペプチドと20:1のCPPと核酸(mRNA+gRNA)との比で混合し、投与の前に37℃で30分間インキュベートすることによってCPP/CAS9mRNA/gRNA複合体を調製した。生理緩衝液中のADGN-100a/CAS9 mRNA/gRNA(4匹の動物/群)、VEPEP-6/CAS9 mRNA/gRNA(群あたり4匹の動物)、またはVEPEP-9/CAS9 mRNA/gRNA(群あたり4匹の動物)複合体の単回静脈注射(100μl)をスイスマウスに与えた。遊離CAS9 mRNA/gRNAを対照として注射した。
【0539】
複数の時点(3日目、6日目、10日目、および21日目)において伏在静脈の出血によって血液試料を収集し、収集は週あたり100μl以下または全血液量の10%以下であった。Mouse Proprotein Convertase 9/PCSK9 Quantikine ELISA Kit(MPC-900、R&DSystems)を使用してELISAによってPCSK9の血清レベルを決定した。Infinity Cholesterol Reagent(Thermo Fisher)を使用して血清中の総コレステロールレベルを測定した。
【0540】
図36に示すように、送達のためにADGN-100aを使用してPSCK9の血清レベルは1日目、3日目、6日目、10日目、14日目、および20日目にそれぞれ51%、62%、69%、65%、65%、および60%減少した。送達のためにVEPEP-6を使用してPSCK9の血清レベルは1日目、3日目、6日目、10日目、14日目、および20日目にそれぞれ64%、73%、75%、73%、71%、および70%減少した。最後に、送達のためにVEPEP-9を使用してPSCK9の血清レベルは1日目、3日目、6日目、10日目、14日目、および20日目にそれぞれ13%、29%、31%、27%、25%、および24%のみ減少した。
図37に示すように、全ての条件について、PCSK9レベルの減少には血清コレステロールレベルの減少が付随した。送達のためにADGN-100aおよびVEPEP-6ペプチドを使用して3日目、6日目、10日目、14日目、および20日目にコレステロールレベルは約35%~42%減少した。
【0541】
これらの結果は、ADGN-100aおよびVEPEP-6の両方のペプチドは、CAS9 mRNA/gRNAを含むCRISPR成分のin vivoでの機能的送達のための強力な担体を構成し、治療応用における使用のためのそれらの好適性を示唆することを実証する。
(実施例16)
CAS9タンパク質のVEPEP-3媒介性のin vivo送達はマウスにおいてサイトカイン活性化を誘導しない
【0542】
スイスマウスにおいてCAS9タンパク質のin vivo送達についてVEPEP-3aを評価した。S.pyogenes HIS-NLS-CAS9は上記のように調製した。CAS9タンパク質(5μg)をVEPEP-3aと20:1のCPPとCAS9タンパク質との比で混合することによってCPP/CAS9タンパク質複合体を調製した。生理緩衝液中のCAS9/VEPEP-3a(6匹の動物/群)複合体の単回静脈注射(100μl)をマウスに与えた。生理緩衝液中の遊離Cas9タンパク質を陰性対照として注射し、LPSの投与をサイトカイン活性化のための陽性対照として使用した。VEPEP-3a/CAS9送達に関連するin vivoサイトカイン誘導を評価するために、複数の時点(12時間、24時間、48時間、および72時間)において伏在静脈の出血によって血液試料を収集し、収集は週あたり100μl以下または全血液量の10%以下であった。InvritrogenのThe Cytokine Mouse Magnetic 20-Plex Panel(LMC 0006M)を使用して血清サイトカインレベルを測定した。
図38に示すように、LPSの投与とは対照的に、非特異的サイトカイン誘導に対するVEPEP-3aの影響は異なる時点においてほとんどまたは全く観察されなかった。
(実施例17)
初代ヒトT細胞におけるCAS9発現mRNAおよびプラスミドのCPP媒介性の機能的送達
【0543】
3:1(ビーズ:細胞)の比で常磁性ビーズに結合した抗CD3/抗CD28抗体(Dynabeads ClinExVivo CD3/CD28、Invitrogen)を使用してT細胞をPBMCから単離した。細胞およびビーズを室温で2時間共インキュベートし、Dynal ClinExVIVO MPC magnet(Thermo Fisher)を使用してCD3+細胞の富化を行った。抗CD3/抗CD28常磁性ビーズを取り出し、洗浄し、濃縮した。10%のウシ胎仔血清、300IU/mlのIL2、および50ng/mlのOKT3(MuromonAB-CD3)を補充したAIM-V培地(Thermo Fishers)を用いて、1×106個の細胞/mlの濃度で2日間、CD3+画分の細胞を活性化培地中に再懸濁した。
【0544】
1人のドナーから単離されたT細胞(5×106)においてCAS9 mRNAまたはCAS9発現プラスミドのいずれかの細胞送達について細胞膜透過ペプチド(VEPEP-6、VEPEP-9、VEPEP-3a、およびADGN-100a)を評価した。CAS9 mRNAは上記のように調製した。CAS9 mRNA(0.5μg)をCPPと20:1のCPP:CAS9 mRNAのモル比で混合し、細胞トランスフェクションの前に37℃で30分間インキュベートすることによってCPP/CAS9複合体を形成した。CAS9発現プラスミド(Addgene MLM3639-Plasmid #42252)(0.5μg)をCPPと20:1のCPP:プラスミドのモル比で混合し、細胞トランスフェクションの前に37℃で30分間インキュベートすることによってCPP/CAS9発現プラスミド複合体を形成した。
【0545】
実施例13aに記載の懸濁細胞についてのプロトコールにしたがって細胞へのトランスフェクトを行った。RNAiMAXおよびlipofectamine 2000の脂質ベースの送達方法(Invitrogen Thermo Fisher France)を対照として使用し、トランスフェクションを製造者の説明書にしたがって行った。Diagenode(Diagenode、商品番号C15200223)およびABCAM(クローン7A9-ab191468)から入手したCRISPR/Cas9に対する抗体を使用してタンパク質抽出物に対するELISAによる決定で、10日の期間にわたって複数の時点においてCAS9タンパク質発現レベルを解析した。
【0546】
CAS9タンパク質発現の結果を
図39Aおよび39B(3つの別々の実験からの平均)に示す。初代ヒトT細胞におけるロバストなCAS9タンパク質発現が示すように、VEPEP-6およびADGN-100a CPPは、CAS9 mRNAの効率的な送達を促進した(
図39A)。CAS9タンパク質発現のELISAシグナルは3日目に、CAS9 mRNA送達のためにADGN-100aおよびVEPEP-6を使用してバックグラウンドのそれぞれ約15倍および17倍に、VEPEP-9を使用してバックグラウンドの約4倍に増加した。全ての条件において、高レベルのCAS9タンパク質発現が6日目に維持され、これは10日目に約50%減少した。対照的に、VEPEP-3aペプチドまたはRNAiMAXではCAS9発現はほとんどまたは全く観察されなかった。これらの結果は、VEPEP-6およびADGN-100aペプチドは、トランスフェクトが困難な細胞種におけるmRNAの送達のための強力なビヒクルであることを実証する。
【0547】
図39Bに示すように、ADGN-100aおよびVEPEP-9のCPPは、初代ヒトT細胞におけるロバストなCAS9タンパク質発現が示すように、CAS9発現プラスミドの効率的な送達を媒介した。3日目におけるCAS9タンパク質発現のELISAシグナルは、ADGN-100aおよびVEPEP-9を使用してバックグラウンドの約4倍に増加した。全ての条件において、高レベルのCAS9タンパク質発現が6日目に維持され、これは10日目に約50%減少した。対照的に、VEPEP-3aもしくはVEPEP-6ペプチド、またはlipofectamine 2000ではCAS9発現はほとんどまたは全く観察されなかった。これらの結果は、ADGN-100aおよびVEPEP-9ペプチドは、トランスフェクトが困難な細胞種におけるCAS9発現プラスミドの送達のための強力なビヒクルであることを実証する。
(実施例18)
CAS9 mRNA、CAS9タンパク質、またはCAS9発現プラスミドを使用する初代ヒトT細胞におけるEMX1ターゲティングRGEN/gRNAのCPP媒介性の機能的送達
【0548】
初代ヒトT細胞においてCAS9 mRNA、CAS9タンパク質、またはCAS9発現プラスミドを用いて内因性EMX1遺伝子を標的とするgRNAの機能的な細胞内送達について細胞膜透過ペプチド(VEPEP-6、VEPEP-9、ADGN-100a、およびVEPEP-3a)を評価した。
【0549】
EMX1ターゲティングgRNAおよびCAS9 mRNAは上記のように調製した。CAS9 mRNA(0.5μg)およびgRNA(5μg)をCPPと20:1のCPPと核酸(mRNA+gRNA)のモル比で混合し、細胞トランスフェクションの前に37℃で30分間インキュベートすることによってCPP/CAS9 mRNA/gRNA複合体を形成させた。CAS9発現プラスミド(Addgene MLM3639-Plasmid #42252)(0.5μg)およびgRNA(5μg)をCPPと20:1のCPPと核酸(プラスミド+gRNA)のモル比で混合し、細胞トランスフェクションの前に37℃で30分間インキュベートすることによってCPP/プラスミド/gRNA複合体を形成させた。予めロードしたCAS9/gRNA複合体(2.5μg/5μgのCAS9/gRNA)をCPPと20:1のCPPと複合体のモル比で混合し、細胞トランスフェクションの前に37℃で30分間インキュベートすることによってCPP/CAS9/gRNA複合体を形成させた。
【0550】
実施例13aに記載の懸濁細胞についてのプロトコールにしたがってT細胞へのトランスフェクトを行った。Lipofectamine 2000媒介性およびRNAiMAX媒介性の送達方法(Invitrogen Thermo Fisher France)を対照として含めた。3日目、6日目、および10日目にT7E1アッセイによってEMX1遺伝子編集を解析し、Fragment Analyzer Systemを使用して定量化した。
【0551】
EMX1遺伝子における挿入欠失頻度を
図40A~40Cに示す。VEPEP-6およびADGN-100aはCAS9 mRNA/gRNAの送達を媒介し、初代ヒトT細胞においてEMX-1遺伝子のロバストな編集を誘導した(
図40A)。両方のペプチドについて、CAS9 mRNA/gRNAの効率的な機能的細胞内送達が72時間後に観察された。約60~65%の平均挿入欠失頻度が得られた。比較として、VEPEP-9またはRNAiMAXを使用して約10~15%の平均挿入欠失頻度が得られた。VEPEP-3a媒介性およびADGN-100a媒介性のCAS9タンパク質/gRNAの送達は、初代T細胞においてEMX1遺伝子のロバストな編集を誘導した(
図40B)。両方のペプチドで約60~65%の平均挿入欠失頻度が得られた。VEPEP-9を使用して約20%の平均挿入欠失頻度が得られた。対照的に、VEPEP-6ペプチドまたはRNAiMAXではEMX1遺伝子編集はほとんどまたは全く観察されなかった。ADGN-100aおよびVEPEP-9は、CAS9発現プラスミドおよびgRNAの送達を促進し、初代T細胞においてEMX1遺伝子のロバストな編集を誘導した(
図40C)。両方のペプチドについて、CAS9発現プラスミドおよびgRNAの効率的な機能的細胞内送達が3日目に観察され、約30%の平均挿入欠失頻度であった。比較として、VEPEP-6ペプチドまたはRNAiMAXではEMX1遺伝子編集はほとんどまたは全く観察されなかった。
【0552】
初代ヒトT細胞において観察されたロバストなEMX1遺伝子破壊には、細胞毒性は付随しなかった。
図40Dに示すように、ADGN-100a、VEPEP-6、VEPEP-9、およびVEPEP-3aカーゴ複合体を使用して10%未満の毒性が観察された。対照的に、RNAiMAXおよびLipofectamine 2000では40~50%の間の細胞死が観察された。これらの結果は、CPPは、初代ヒトT細胞においてCAS9 mRNA/gRNA、CAS9タンパク質/gRNA、およびCAS9プラスミド/gRNAを含む様々な種類のカーゴの送達に有用な強力な非毒性の担体であることを実証する。
(実施例19)
異なるカーゴを用いるペプチドベースの粒子の粒径測定およびゼータ電位
【0553】
CPP/CAS9タンパク質、CPP/CAS9タンパク質/sgRNA、CPP/CAS9-mRNA、CPP/CAS-mRNA/sgRNA粒子を特徴付け、平均サイズ、多分散性、およびゼータ電位をZetasizer NANO ZS P装置(Malvern Ltd)を用いて測定した。20℃の生理的条件(0.9% NaCl)下、20:1のCPPとカーゴのモル比でCAS9タンパク質(2.5μg)および予めロードしたCAS9タンパク質(2.5μg)/gRNA(5μg)をVEPEP-3a、VEPEP-9、ADGN-100a、およびVEPEP-6ペプチドと混合し、解析前に37℃で30分間インキュベートした。
【0554】
20℃の生理的条件(0.9% NaCl)下、20:1のCPPとカーゴのモル比でCAS9 mRNA(0.5μg)およびCAS9 mRNA(0.5μg)/gRNA(5μg)をVEPEP-6、VEPEP-9、およびADGN-100aと混合し、解析前に37℃で30分間インキュベートした。
【0555】
CCP/カーゴ複合体の平均サイズおよび多分散性を25℃で測定あたり5分間で決定し、ゼータ電位をZetasizer NANO ZS P装置(Malvern Ltd)を用いて測定した。データを3つの別々の実験の平均について表14に示す。
【0556】
20:1のモル比において、VEPEP-6、VEPEP-9、およびADGN-100aペプチドは、CAS9-mRNAおよびCAS9-mRNA/gRNA複合体と安定なナノ粒子を形成することができた。ADGN-100、VEPEP-6、およびVEPEP-9について約75nm、100nm、および120nmの平均直径、ならびに0.25、0.2、および0.15の多分散性指数(PI)がそれぞれ得られた。
【0557】
ゼータ電位によって得られるADGN-100a/mRNAおよびADGN-100a/CAS9-mRNA/gRNA粒子の電荷は、それぞれ-4.5±0.5mVおよび-5.8±0.6mVであった。
【0558】
ゼータ電位によって得られるVEPEP-6/mRNAおよびVEPEP-6/CAS9-mRNA/gRNA粒子の電荷は、それぞれ-11.0±2mVおよび-12.7±2.0mVであった。
【0559】
ゼータ電位によって得られるVEPEP-9/mRNAおよびVEPEP-9/CAS9-mRNA/gRNA粒子の電荷は、それぞれ15.4±4.0mVおよび11.1±2.0mVであった。
【0560】
20:1のモル比において、VEPEP-3aおよびADGN-100aペプチドは、CAS9タンパク質およびCAS9タンパク質/gRNA複合体と安定なナノ粒子を形成することができた。VEPEP-3aおよびADGN-100aについて約60nmおよび約100nmの平均直径、ならびに約0.25および0.3の多分散性指数(PI)がそれぞれ得られた。
【0561】
ゼータ電位によって得られるADGN-100a/CAS9タンパク質およびADGN-100a/CAS9タンパク質/gRNA粒子の電荷は、それぞれ3.6±0.5mVおよび8.3±1.5mVであった。
【0562】
ゼータ電位によって得られるVEPEP-3a/CAS9タンパク質およびVEPEP-3a/CAS9タンパク質/gRNA粒子の電荷は、それぞれ16.6±5mVおよび18.0±5mVであった。
【0563】
対照的に、VEPEP-9は、予めロードしたCAS9タンパク質/gRNA複合体とより大きい粒子を形成した。20:1のモル比において、210±20の平均粒径および0.51の多分散性指数が得られた。
【表14】
(実施例20)
膠芽腫または膵臓がん細胞株におけるCAS9 mRNAおよびOlig2、HIF1-アルファ、BCL2L2、突然変異体PTEN、または突然変異体KRASを標的とするgRNAのCPP媒介性の機能的送達
【0564】
膠芽腫または膵臓がん細胞株においてCAS9 mRNAおよびOlig2、HIF1-アルファ、BCL2L2、突然変異体PTEN、または突然変異体KRASを標的とするgRNAを含有する核タンパク質複合体の機能的な細胞内送達について細胞膜透過ペプチド(VEPEP-6、VEPEP-9、およびADGN-100a)を評価する。CAS9 mRNA(0.5μg)およびgRNA(5μg)をCPPと20:1のCPP:カーゴのモル比で混合し、細胞トランスフェクションの前に37℃で30分間インキュベートすることによってCPP/CAS9 mRNA/gRNA複合体を形成させる。実施例13aに記載のプロトコールにしたがって細胞へのトランスフェクトを行う。RNAiMAX媒介性の送達(Invitrogen Thermo Fisher France)を対照として使用する。T7E1アッセイによって3日目および6日目に遺伝子編集を解析し、Fragment Analyzer Systemを使用して定量化する。標準技術を使用して細胞増殖および細胞死を測定する。
(実施例21)
膠芽腫または膵臓がん細胞株におけるCAS9 mRNAおよび突然変異体PTENまたは突然変異体KRASを標的とするgRNAのCPP媒介性の機能的送達ならびに相同組換え修復(HDR)による遺伝子編集
【0565】
膠芽腫または膵臓がん細胞株において精密な相同組換え修復(HDR)を使用したゲノム操作のためのRGEN/gRNA/ssDNAの機能的な細胞内送達について細胞膜透過ペプチド(VEPEP-6、VEPEP-9、およびADGN-100a)を評価する。CAS9 mRNA、突然変異体PTENまたは突然変異体KRASを標的とするgRNA、およびssDNAドナー鋳型を含有する1つまたは複数の複合体の送達は、HDRによる突然変異遺伝子の訂正を可能とする。
【0566】
CAS9 mRNA(0.5μg)およびgRNA(5μg)をCPPと20:1のCPP:カーゴのモル比で混合することによって形成されたCPP/CAS9 mRNA/gRNA複合体を使用して、高レベルの二本鎖切断形成のためにゲノム編集実験を最適化する。50nMのREGN/gRNAおよびssDNAドナーの両方を20:1のモル比で同じ粒子(mRNA/gRNA/ssDNA/CPP三成分複合体)中または2つの異なる粒子(mRNA/gRNA/CPPおよびssDNA/CPP)中でVEPEP-6またはADGN-100aペプチドと会合させる。
【0567】
実施例13aに記載のプロトコールにしたがって細胞へのトランスフェクトを行う。RNAiMAX媒介性の送達(Invitrogen Thermo Fisher France)を対照として使用する。T7E1アッセイによって3日目および6日目に遺伝子編集を解析し、Fragment Analyzer Systemを使用して定量化する。標準技術を使用して細胞増殖および細胞死を測定する。標的とする遺伝子のHDRの訂正効率を制限断片長多型(RFLP)アッセイおよびゲノムシークエンシングを使用して解析する。
(実施例22)
膠芽腫モデルにおけるCAS9発現mRNAおよびOlig2、HIF1-アルファ、BCL2L2、または突然変異体PTENを標的とするgRNAのCPP媒介性のin vivo送達
【0568】
ペプチドベースの遺伝子編集複合体の抗腫瘍活性について同所性膠芽腫異種移植腫瘍(例えば、U87)を持つヌードマウスを評価する。CAS9発現mRNAおよびOlig2、HIF1-アルファ、BCL2L2、または突然変異体PTENを標的とするgRNAのin vivo送達について、ADGN-100a、VEPEP-6、およびVEPEP-9を含むCPPを評価する。
【0569】
ポリアデニル化およびキャップされたCAS9 mRNAはThermoFisherから入手し、上記標的を標的とするgRNAは市販されているものを入手する。CAS9
mRNA(5μg)およびgRNA(5μg)をADGN-100a、VEPEP-6、またはVEPEP-9ペプチドと20:1のCPPと核酸(mRNA+gRNA)との比で混合し、投与の前に37℃で30分間インキュベートすることによってCPP/CAS9 mRNA/gRNA複合体を調製する。生理緩衝液中のADGN-100a/CAS9 mRNA/gRNA(4匹の動物/群)、VEPEP-6/CAS9 mRNA/gRNA(群あたり4匹の動物)、またはVEPEP-9/CAS9 mRNA/gRNA(群あたり4匹の動物)複合体の単回の静脈内または頭蓋内/腫瘍内注射(100μl)をヌードマウスに与える。遊離CAS9 mRNA/gRNAを対照として注射する。動物を週毎に1×または2×処理し、腫瘍サイズを6週にわたって測定する。
(実施例23)
膵臓がんモデルにおけるCAS9発現mRNAおよび突然変異体KRASを標的とするgRNAのCPP媒介性のin vivo送達
【0570】
ペプチドベースの遺伝子編集複合体の抗腫瘍活性について膵臓異種移植腫瘍を持つヌードマウスを評価する。CAS9発現mRNAおよびOlig2、HIF1-アルファ、BCL2L2、または突然変異体KRASを標的とするgRNAのin vivo送達について、ADGN-100a、VEPEP-6、およびVEPEP-9を含むCPPを評価する。
【0571】
ポリアデニル化およびキャップされたCAS9 mRNAはThermoFisherから入手し、上記標的を標的とするgRNAは市販されているものを入手する。CAS9
mRNA(5μg)およびgRNA(5μg)をADGN-100a、VEPEP-6、またはVEPEP-9ペプチドと20:1のCPPと核酸(mRNA+gRNA)との比で混合し、投与の前に37℃で30分間インキュベートすることによってCPP/CAS9mRNA/gRNA複合体を調製する。生理緩衝液中のADGN-100a/CAS9 mRNA/gRNA(4匹の動物/群)、VEPEP-6/CAS9 mRNA/gRNA(群あたり4匹の動物)、またはVEPEP-9/CAS9 mRNA/gRNA(群あたり4匹の動物)複合体の単回静脈注射(100μl)をヌードマウスに与える。遊離CAS9 mRNA/gRNAを対照として注射する。動物を週毎に1×または2×処理し、腫瘍サイズを6週にわたって測定する。
(実施例24)
膠芽腫モデルにおけるCAS9発現mRNAおよび突然変異体PTENを標的とするgRNAのCPP媒介性のin vivo送達ならびに相同組換え修復(HDR)による遺伝子編集
【0572】
ペプチドベースの遺伝子編集複合体の抗腫瘍活性について同所性膠芽腫異種移植腫瘍(例えば、U87)を持つヌードマウスを評価する。CAS9発現mRNA、突然変異体PTENを標的とするgRNA、およびHDRによる突然変異体PTEN遺伝子の訂正を可能とするssDNAドナー鋳型のin vivo送達について、ADGN-100a、VEPEP-6、およびVEPEP-9を含むCPPを評価する。
【0573】
ポリアデニル化およびキャップされたCAS9 mRNAはThermoFisherから入手し、上記標的を標的とするgRNAは市販されているものを入手する。CAS9
mRNA(5μg)、gRNA(5μg)、およびssDNA(10μg)をADGN-100a、VEPEP-6、またはVEPEP-9ペプチドと20:1のCPPと核酸(mRNA+gRNA)との比で同じ粒子(mRNA/gRNA/ssDNA/CPP三成分複合体)中または2つの異なる粒子(mRNA/gRNA/CPPおよびssDNA/CPP)中で混合し、投与の前に37℃で30分間インキュベートすることによってCPP/CAS9mRNA/gRNA/ssDNA複合体を調製する。生理緩衝液中のADGN-100a/CAS9 mRNA/gRNA/ssDNA(4匹の動物/群)、VEPEP-6/CAS9 mRNA/gRNA/ssDNA(群あたり4匹の動物)、またはVEPEP-9/CAS9 mRNA/gRNA/ssDNA(群あたり4匹の動物)複合体の単回静脈注射(100μl)をヌードマウスに与える。遊離CAS9 mRNA/gRNA/ssDNAを対照として注射する。動物を週毎に1×または2×処理し、腫瘍サイズを6週にわたって測定する。目的の遺伝子PTENのHDRの訂正効率を6週目にゲノムシークエンシングによって解析する。
(実施例25)
膵臓がんモデルにおけるCAS9発現mRNAおよび突然変異体KRASを標的とするgRNAのCPP媒介性のin vivo送達ならびに相同組換え修復(HDR)による遺伝子編集
【0574】
ペプチドベースの遺伝子編集複合体の抗腫瘍活性について膵臓異種移植腫瘍を持つヌードマウスを評価する。CAS9発現mRNA、突然変異体KRASを標的とするgRNA、およびHDRによる突然変異体KRAS遺伝子の訂正を可能とするssDNAドナー鋳型のin vivo送達について、ADGN-100a、VEPEP-6、およびVEPEP-9を含むCPPを評価する。
【0575】
ポリアデニル化およびキャップされたCAS9 mRNAはThermoFisherから入手し、上記標的を標的とするgRNAは市販されているものを入手する。CAS9
mRNA(5μg)、gRNA(5μg)、およびssDNA(10μg)をADGN-100a、VEPEP-6、またはVEPEP-9ペプチドと20:1のCPPと核酸(mRNA+gRNA)との比で同じ粒子(mRNA/gRNA/ssDNA/CPP三成分複合体)中または2つの異なる粒子(mRNA/gRNA/CPPおよびssDNA/CPP)中で混合し、投与の前に37℃で30分間インキュベートすることによってCPP/CAS9mRNA/gRNA/ssDNA複合体を調製する。生理緩衝液中のADGN-100a/CAS9 mRNA/gRNA/ssDNA(4匹の動物/群)、VEPEP-6/CAS9 mRNA/gRNA/ssDNA(群あたり4匹の動物)、またはVEPEP-9/CAS9 mRNA/gRNA/ssDNA(群あたり4匹の動物)複合体の単回静脈注射(100μl)をヌードマウスに与える。遊離CAS9 mRNA/gRNA/ssDNAを対照として注射する。動物を週毎に1×または2×処理し、腫瘍サイズを6週にわたって測定する。目的の遺伝子のHDRの訂正効率を6週目にゲノムシークエンシングによって解析する。
【表15-1】
【表15-2】
【表15-3】
【表15-4】
【表15-5】
【表15-6】
【表15-7】
【表15-8】
【表15-9】
【表15-10】