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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165994
(43)【公開日】2023-11-17
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20231110BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
H01L27/146 A
H01L27/06 102A
H01L27/088 E
H01L27/088 B
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023170234
(22)【出願日】2023-09-29
(62)【分割の表示】P 2022018749の分割
【原出願日】2015-08-27
(31)【優先権主張番号】P 2014178212
(32)【優先日】2014-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】井上 広樹
(72)【発明者】
【氏名】黒川 義元
(72)【発明者】
【氏名】池田 隆之
(72)【発明者】
【氏名】岡本 佑樹
(57)【要約】
【課題】高品質な撮像データを得ることのできる撮像装置を提供する。
【解決手段】第1の回路と、第2の回路と、を有し、第1の回路は、光電変換素子と、第
1のトランジスタと、第2のトランジスタと、第3のトランジスタと、第4のトランジス
タと、第5のトランジスタと、第6のトランジスタと、第1の容量素子と、第2の容量素
子と、第3の容量素子と、を有し、第2の回路は、第7のトランジスタを有する撮像装置
であり、第1の回路が有する増幅トランジスタの電気特性のばらつきの補正を行うことが
できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の回路と、第2の回路と、を有する撮像装置であって、
前記第1の回路は、光電変換素子と、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、第3のトランジスタと、第4のトランジスタと、第5のトランジスタと、第6のトランジスタと、第1の容量素子と、第2の容量素子と、第3の容量素子と、を有し、
前記第2の回路は、第7のトランジスタを有し、
前記光電変換素子の一方の端子は、前記第1のトランジスタのソースまたはドレインの一方と電気的に接続され、
前記第1のトランジスタのソースまたはドレインの他方は、前記第2のトランジスタのソースまたはドレインの一方と電気的に接続され、
前記第1のトランジスタのソースまたはドレインの他方は、前記第1の容量素子の一方の端子と電気的に接続され、
前記第3のトランジスタのソースまたはドレインの一方は、前記第1の容量素子の他方の端子と電気的に接続され、
前記第1の容量素子の他方の端子は、前記第2の容量素子の一方の端子と電気的に接続され、
前記第4のトランジスタのソースまたはドレインの一方は、前記第2の容量素子の他方の端子と電気的に接続され、
前記第4のトランジスタのソースまたはドレインの他方は、前記第5のトランジスタのソースまたはドレインの一方と電気的に接続され、
前記第3の容量素子の一方の端子は、前記第2の容量素子の他方の端子と電気的に接続され、
前記第3の容量素子の他方の端子は、前記第5のトランジスタのソースまたはドレインの他方と電気的に接続され、
前記第5のトランジスタのゲートは前記第3の容量素子の一方の端子と電気的に接続され、
前記第6のトランジスタのソースまたはドレインの一方は、前記第5のトランジスタのソースまたはドレインの他方と電気的に接続され、
前記第6のトランジスタのソースまたはドレインの他方は、前記第7のトランジスタのソースまたはドレインの一方と電気的に接続されている撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、撮像装置に関する。
【0002】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明の
一態様の技術分野は、物、方法、または、製造方法に関するものである。または、本発明
の一態様は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・
オブ・マター)に関するものである。そのため、より具体的に本明細書で開示する本発明
の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、液晶表示装置、発光装置、照明装
置、蓄電装置、記憶装置、撮像装置、それらの駆動方法、または、それらの製造方法、を
一例として挙げることができる。
【0003】
なお、本明細書等において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置
全般を指す。トランジスタ、半導体回路は半導体装置の一態様である。また、記憶装置、
表示装置、撮像装置、電子機器は、半導体装置を有する場合がある。
【背景技術】
【0004】
フォトセンサを有する画素がマトリクス状に配置された半導体装置として、CMOS(C
omplementary Metal Oxide Semiconductor)イ
メージセンサが知られている。CMOSイメージセンサは、撮像素子としてデジタルカメ
ラや携帯電話などの携帯機器に多く搭載されている。
【0005】
一般的にCMOSイメージセンサ等を構成するトランジスタに適用可能な半導体材料とし
ては、シリコンが広く知られているが、その他の材料として酸化物半導体が注目されてい
る。
【0006】
例えば、特許文献1では、酸化物半導体を有し、かつオフ電流が極めて低いトランジスタ
を画素回路の一部に用い、CMOS回路が作製可能なシリコン半導体を有するトランジス
タを周辺回路に用いることで、高速かつ低消費電力の撮像装置が作製できることが開示さ
れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011-119711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
CMOSイメージセンサは、画素毎にデータを出力する増幅トランジスタを有する。高品
質な撮像データを得るには全ての画素における当該トランジスタの電気特性が一様である
ことが好ましいが、微細化が進むほどトランジスタの作製工程の難度が上がり、電気特性
のばらつきを抑えることが難しくなる。
【0009】
また、電気特性のばらつきを補正するデータを容量素子などに保持させることにより出力
データを補正することもできるが、容量素子へのデータの書き込みを撮像毎に行うと全体
の撮像時間が長くなってしまう。また、消費電力の増加も問題になる。
【0010】
したがって、本発明の一態様では、高品質な撮像データを得ることのできる撮像装置を提
供することを目的の一つとする。または、画素回路が有する増幅トランジスタの電気特性
のばらつきを補正することができる撮像装置を提供することを目的の一つとする。または
、低消費電力の撮像装置を提供することを目的の一つとする。または、高速動作に適した
撮像装置を提供することを目的の一つとする。または、高感度の撮像装置を提供すること
を目的の一つとする。または、ダイナミックレンジの広い撮像装置を提供することを目的
の一つとする。または、解像度の高い撮像装置を提供することを目的の一つとする。また
は、低コストの撮像装置を提供することを目的の一つとする。または、信頼性の高い撮像
装置を提供することを目的の一つとする。または、新規な撮像装置などを提供することを
目的の一つとする。または、新規な半導体装置などを提供することを目的の一つとする。
【0011】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一
態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題
は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図
面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様は、画素回路が有する増幅トランジスタの電気特性のばらつきを補正する
ことができる撮像装置に関する。
【0013】
本発明の一態様は、第1の回路と、第2の回路と、を有する撮像装置であって、第1の回
路は、光電変換素子と、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、第3のトランジ
スタと、第4のトランジスタと、第5のトランジスタと、第6のトランジスタと、第1の
容量素子と、第2の容量素子と、第3の容量素子と、を有し、第2の回路は、第7のトラ
ンジスタを有し、光電変換素子の一方の端子は、第1のトランジスタのソースまたはドレ
インの一方と電気的に接続され、第1のトランジスタのソースまたはドレインの他方は、
第2のトランジスタのソースまたはドレインの一方と電気的に接続され、第1のトランジ
スタのソースまたはドレインの他方は、第1の容量素子の一方の端子と電気的に接続され
、第3のトランジスタのソースまたはドレインの一方は、第1の容量素子の他方の端子と
電気的に接続され、第1の容量素子の他方の端子は、第2の容量素子の一方の端子と電気
的に接続され、第4のトランジスタのソースまたはドレインの一方は、第2の容量素子の
他方の端子と電気的に接続され、第4のトランジスタのソースまたはドレインの他方は、
第5のトランジスタのソースまたはドレインの一方と電気的に接続され、第3の容量素子
の一方の端子は、第2の容量素子の他方の端子と電気的に接続され、第3の容量素子の他
方の端子は、第5のトランジスタのソースまたはドレインの他方と電気的に接続され、第
5のトランジスタのゲートは第3の容量素子の一方の端子と電気的に接続され、第6のト
ランジスタのソースまたはドレインの一方は、第5のトランジスタのソースまたはドレイ
ンの他方と電気的に接続され、第6のトランジスタのソースまたはドレインの他方は、第
7のトランジスタのソースまたはドレインの一方と電気的に接続されていることを特徴と
する撮像装置である。
【0014】
上記撮像装置は第3の回路を有し、第3の回路は、第8のトランジスタと、抵抗素子と、
を有し、第8のトランジスタのソースまたはドレインの一方は、第6のトランジスタのソ
ースまたはドレインの他方と電気的に接続され、第8のトランジスタのソースまたはドレ
インの他方は、抵抗素子の一方の端子と電気的に接続されていてもよい。
【0015】
また、第2の回路は、第9のトランジスタを有し、第9のトランジスタのソースまたはド
レインの一方は、第7のトランジスタのソースまたはドレインの他方と電気的に接続され
、第9のトランジスタのゲートは、第7のトランジスタのゲートと電気的に接続され、第
9のトランジスタのゲートは、第9のトランジスタのソースまたはドレインの他方と電気
的に接続されていてもよい。
【0016】
第3のトランジスタのソースまたはドレインの他方は、光電変換素子の他方の端子と電気
的に接続されていてもよい。
【0017】
また、第1の回路は第4の容量素子を有し、第4の容量素子の一方の端子は、第3のトラ
ンジスタのソースまたはドレインの一方と電気的に接続されていてもよい。また、第4の
容量素子の他方の端子は、第4のトランジスタのソースまたはドレインの他方と電気的に
接続されていてもよい。
【0018】
第1乃至第9のトランジスタは、活性層に酸化物半導体を有し、当該酸化物半導体は、I
nと、Znと、M(MはAl、Ti、Ga、Sn、Y、Zr、La、Ce、NdまたはH
f)と、を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一態様により、高品質な撮像データを得ることのできる撮像装置を提供すること
ができる。または、画素回路が有する増幅トランジスタの電気特性のばらつきを補正する
ことができる撮像装置を提供することができる。または、低消費電力の撮像装置を提供す
ることができる。または、高速動作に適した撮像装置を提供することができる。または、
高感度の撮像装置を提供することができる。または、ダイナミックレンジの広い撮像装置
を提供することができる。または、解像度の高い撮像装置を提供することができる。また
は、低コストの撮像装置を提供することができる。または、信頼性の高い撮像装置を提供
することができる。または、新規な撮像装置などを提供することができる。または、新規
な半導体装置などを提供することができる。
【0020】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一
態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は
、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面
、請求項などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】撮像装置が有する回路を説明する図。
図2】撮像装置が有する回路を説明する図。
図3】補正動作を説明するタイミングチャート。
図4】補正動作を説明する図。
図5】補正動作を説明する図。
図6】補正動作を説明する図。
図7】補正動作を説明する図。
図8】補正動作を説明する図。
図9】撮像装置が有する回路を説明する図。
図10】回路部を含む撮像装置の断面図。
図11】湾曲した撮像装置を説明する図。
図12】撮像装置の構成を説明する図。
図13】グローバルシャッタ方式の動作およびローリングシャッタ方式の動作を説明するタイミングチャート。
図14】トランジスタを説明する上面図および断面図。
図15】トランジスタを説明する上面図および断面図。
図16】トランジスタを説明する上面図および断面図。
図17】トランジスタを説明する上面図および断面図。
図18】トランジスタを説明する上面図および断面図。
図19】トランジスタを説明する上面図および断面図。
図20】トランジスタのチャネル幅方向の断面を説明する図。
図21】トランジスタのチャネル長方向の断面を説明する図。
図22】半導体層を説明する上面図および断面図。
図23】半導体層を説明する上面図および断面図。
図24】トランジスタを説明する上面図および断面図。
図25】トランジスタを説明する上面図および断面図。
図26】トランジスタを説明する上面図および断面図。
図27】トランジスタを説明する上面図および断面図。
図28】トランジスタを説明する上面図および断面図。
図29】トランジスタを説明する上面図および断面図。
図30】トランジスタのチャネル幅方向の断面を説明する図。
図31】トランジスタのチャネル長方向の断面を説明する図。
図32】トランジスタを説明する上面図。
図33】トランジスタの作製方法を説明する図。
図34】トランジスタの作製方法を説明する図。
図35】トランジスタの作製方法を説明する図。
図36】トランジスタの作製方法を説明する図。
図37】トランジスタの作製方法を説明する図。
図38】トランジスタの作製方法を説明する図。
図39】電子機器を説明する図。
図40】撮像装置の動作を説明するタイミングチャート。
図41】撮像装置の動作を説明するタイミングチャート。
図42】撮像装置が有する回路を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定さ
れず、本発明の趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態および詳細を様々に変
更し得ることは当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は以下に示す実施
の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成
において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通
して用い、その繰り返しの説明は省略することがある。なお、図を構成する同じ要素のハ
ッチングを異なる図面間で適宜省略または変更する場合もある。
【0023】
例えば、本明細書等において、XとYとが接続されている、と明示的に記載されている場
合は、XとYとが電気的に接続されている場合と、XとYとが機能的に接続されている場
合と、XとYとが直接接続されている場合とが、本明細書等に開示されているものとする
。したがって、所定の接続関係、例えば、図または文章に示された接続関係に限定されず
、図または文章に示された接続関係以外のものも、図または文章に記載されているものと
する。
【0024】
ここで、X、Yは、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、層
、など)であるとする。
【0025】
XとYとが直接的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能
とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイ
オード、表示素子、発光素子、負荷など)が、XとYとの間に接続されていない場合であ
り、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量
素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示素子、発光素子、負荷など)を介さずに
、XとYとが、接続されている場合である。
【0026】
XとYとが電気的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能
とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイ
オード、表示素子、発光素子、負荷など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが
可能である。なお、スイッチは、オンオフが制御される機能を有している。つまり、スイ
ッチは、導通状態(オン状態)、または、非導通状態(オフ状態)になり、電流を流すか
流さないかを制御する機能を有している。または、スイッチは、電流を流す経路を選択し
て切り替える機能を有している。なお、XとYとが電気的に接続されている場合は、Xと
Yとが直接的に接続されている場合を含むものとする。
【0027】
XとYとが機能的に接続されている場合の一例としては、XとYとの機能的な接続を可能
とする回路(例えば、論理回路(インバータ、NAND回路、NOR回路など)、信号変
換回路(DA変換回路、AD変換回路、ガンマ補正回路など)、電位レベル変換回路(電
源回路(昇圧回路、降圧回路など)、信号の電位レベルを変えるレベルシフタ回路など)
、電圧源、電流源、切り替え回路、増幅回路(信号振幅または電流量などを大きく出来る
回路、オペアンプ、差動増幅回路、ソースフォロワ回路、バッファ回路など)、信号生成
回路、記憶回路、制御回路など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能であ
る。なお、一例として、XとYとの間に別の回路を挟んでいても、Xから出力された信号
がYへ伝達される場合は、XとYとは機能的に接続されているものとする。なお、XとY
とが機能的に接続されている場合は、XとYとが直接的に接続されている場合と、XとY
とが電気的に接続されている場合とを含むものとする。
【0028】
なお、XとYとが電気的に接続されている、と明示的に記載されている場合は、XとYと
が電気的に接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の素子又は別の回路を挟んで
接続されている場合)と、XとYとが機能的に接続されている場合(つまり、XとYとの
間に別の回路を挟んで機能的に接続されている場合)と、XとYとが直接接続されている
場合(つまり、XとYとの間に別の素子又は別の回路を挟まずに接続されている場合)と
が、本明細書等に開示されているものとする。つまり、電気的に接続されている、と明示
的に記載されている場合は、単に、接続されている、とのみ明示的に記載されている場合
と同様な内容が、本明細書等に開示されているものとする。
【0029】
なお、例えば、トランジスタのソース(又は第1の端子など)が、Z1を介して(又は介
さず)、Xと電気的に接続され、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)が、Z
2を介して(又は介さず)、Yと電気的に接続されている場合や、トランジスタのソース
(又は第1の端子など)が、Z1の一部と直接的に接続され、Z1の別の一部がXと直接
的に接続され、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)が、Z2の一部と直接的
に接続され、Z2の別の一部がYと直接的に接続されている場合では、以下のように表現
することが出来る。
【0030】
例えば、「XとYとトランジスタのソース(又は第1の端子など)とドレイン(又は第2
の端子など)とは、互いに電気的に接続されており、X、トランジスタのソース(又は第
1の端子など)、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)、Yの順序で電気的に
接続されている。」と表現することができる。または、「トランジスタのソース(又は第
1の端子など)は、Xと電気的に接続され、トランジスタのドレイン(又は第2の端子な
ど)はYと電気的に接続され、X、トランジスタのソース(又は第1の端子など)、トラ
ンジスタのドレイン(又は第2の端子など)、Yは、この順序で電気的に接続されている
」と表現することができる。または、「Xは、トランジスタのソース(又は第1の端子な
ど)とドレイン(又は第2の端子など)とを介して、Yと電気的に接続され、X、トラン
ジスタのソース(又は第1の端子など)、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など
)、Yは、この接続順序で設けられている」と表現することができる。これらの例と同様
な表現方法を用いて、回路構成における接続の順序について規定することにより、トラン
ジスタのソース(又は第1の端子など)と、ドレイン(又は第2の端子など)とを、区別
して、技術的範囲を決定することができる。
【0031】
または、別の表現方法として、例えば、「トランジスタのソース(又は第1の端子など)
は、少なくとも第1の接続経路を介して、Xと電気的に接続され、前記第1の接続経路は
、第2の接続経路を有しておらず、前記第2の接続経路は、トランジスタを介した、トラ
ンジスタのソース(又は第1の端子など)とトランジスタのドレイン(又は第2の端子な
ど)との間の経路であり、前記第1の接続経路は、Z1を介した経路であり、トランジス
タのドレイン(又は第2の端子など)は、少なくとも第3の接続経路を介して、Yと電気
的に接続され、前記第3の接続経路は、前記第2の接続経路を有しておらず、前記第3の
接続経路は、Z2を介した経路である。」と表現することができる。または、「トランジ
スタのソース(又は第1の端子など)は、少なくとも第1の接続経路によって、Z1を介
して、Xと電気的に接続され、前記第1の接続経路は、第2の接続経路を有しておらず、
前記第2の接続経路は、トランジスタを介した接続経路を有し、トランジスタのドレイン
(又は第2の端子など)は、少なくとも第3の接続経路によって、Z2を介して、Yと電
気的に接続され、前記第3の接続経路は、前記第2の接続経路を有していない。」と表現
することができる。または、「トランジスタのソース(又は第1の端子など)は、少なく
とも第1の電気的パスによって、Z1を介して、Xと電気的に接続され、前記第1の電気
的パスは、第2の電気的パスを有しておらず、前記第2の電気的パスは、トランジスタの
ソース(又は第1の端子など)からトランジスタのドレイン(又は第2の端子など)への
電気的パスであり、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)は、少なくとも第3
の電気的パスによって、Z2を介して、Yと電気的に接続され、前記第3の電気的パスは
、第4の電気的パスを有しておらず、前記第4の電気的パスは、トランジスタのドレイン
(又は第2の端子など)からトランジスタのソース(又は第1の端子など)への電気的パ
スである。」と表現することができる。これらの例と同様な表現方法を用いて、回路構成
における接続経路について規定することにより、トランジスタのソース(又は第1の端子
など)と、ドレイン(又は第2の端子など)とを、区別して、技術的範囲を決定すること
ができる。
【0032】
なお、これらの表現方法は、一例であり、これらの表現方法に限定されない。ここで、X
、Y、Z1、Z2は、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、
層、など)であるとする。
【0033】
なお、回路図上は独立している構成要素同士が電気的に接続しているように図示されてい
る場合であっても、1つの構成要素が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合もあ
る。例えば配線の一部が電極としても機能する場合は、一の導電膜が、配線の機能、及び
電極の機能の両方の構成要素の機能を併せ持っている。したがって、本明細書における電
気的に接続とは、このような、一の導電膜が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場
合も、その範疇に含める。
【0034】
なお、「膜」という言葉と、「層」という言葉とは、場合によっては、または、状況に応
じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜
」という用語に変更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という用
語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。
【0035】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様である撮像装置について、図面を参照して説明する。
【0036】
本発明の一態様の撮像装置は、ソースフォロワにより信号電荷(データ)を出力する撮像
装置の画素において、そのソースフォロワ増幅トランジスタの電気特性のばらつきを補正
することができる画素回路を有する。当該画素回路は、トランジスタのしきい値電圧や移
動度のばらつきだけでなく、トランジスタのチャネル形成領域のサイズ(L、W)やゲー
ト絶縁膜の膜厚(容量値)のばらつきなどに起因する電流値のばらつきも補正することが
できる。
【0037】
図1は、本発明の一態様の撮像装置が有する、画素回路として機能させることができる回
路11、基準電流源回路として機能させることのできる回路12、および出力回路として
動作させることのできる回路13の回路図である。なお、図1などにおいて、トランジス
タがn-ch型である場合の例を示すが、本発明の一態様は、これに限定されない。電位
の大小関係を逆にすることなどにより、図42に示すようにトランジスタをp-ch型に
してもよい。または、一部のトランジスタをp-ch型トランジスタに置き換えてもよい
【0038】
回路11は、光電変換部と信号生成部に大別される。光電変換部は、フォトダイオード6
0と、トランジスタ51と、トランジスタ52を有する。また、信号生成部は、トランジ
スタ53、トランジスタ54、トランジスタ55、トランジスタ56、容量素子C1、容
量素子C2、容量素子C3および容量素子C4を有する。なお、容量素子C4を省くこと
もできる。
【0039】
回路12は、トランジスタ57およびトランジスタ59を有する。
【0040】
回路13は、トランジスタ58、抵抗素子Rおよび出力端子(OUT)を有する。
【0041】
配線30に接続される回路12および回路13は、図2(A)、(B)、(C)に示す形
態とすることもできる。図2(A)は、回路12からトランジスタ59を省いた構成であ
る。図2(B)は、回路13を省き、配線30に出力端子(OUT)を設けた構成である
図2(C)は、回路12のトランジスタ59および回路13を省き、配線30に出力端
子(OUT)を設けた構成である。
【0042】
図1の回路11において、フォトダイオード60の一方の端子は、トランジスタ51のソ
ースまたはドレインの一方と電気的に接続される。また、トランジスタ51のソースまた
はドレインの他方は、トランジスタ52のソースまたはドレインの一方と電気的に接続さ
れる。また、トランジスタ51のソースまたはドレインの他方は、容量素子C1の一方の
端子と電気的に接続される。また、トランジスタ53のソースまたはドレインの一方は、
容量素子C1の他方の端子と電気的に接続される。また、容量素子C1の他方の端子は、
容量素子C2の一方の端子と電気的に接続される。また、トランジスタ54のソースまた
はドレインの一方は、容量素子C2の他方の端子と電気的に接続される。また、トランジ
スタ54のソースまたはドレインの他方は、トランジスタ55のソースまたはドレインの
一方と電気的に接続される。また、容量素子C3の一方の端子は、容量素子C2の他方の
端子と電気的に接続される。また、容量素子C3の他方の端子は、トランジスタ55のソ
ースまたはドレインの他方と電気的に接続される。また、トランジスタ55のゲートは、
容量素子C3の一方の端子と電気的に接続される。また、容量素子C4の一方の端子は、
容量素子C2の一方の端子と電気的に接続される。また、容量素子C4の他方の端子は、
トランジスタ55のソースまたはドレインの一方と電気的に接続される。また、トランジ
スタ55のソースまたはドレインの他方は、トランジスタ56のソースまたはドレインの
一方と電気的に接続される。
【0043】
フォトダイオード60の他方の端子は、配線21(VPD)に電気的に接続される。また
、トランジスタ52のソースまたはドレインの他方は、配線22(VPR)に電気的に接
続される。また、トランジスタ55のソースまたはドレインの一方は、配線23(VPI
)に電気的に接続される。また、トランジスタ51のゲートは、配線25(TX)に電気
的に接続される。また、トランジスタ52のゲートは、配線26(PR)に電気的に接続
される。また、トランジスタ53のゲートは、配線27(W)に電気的に接続される。ま
た、トランジスタ54のゲートは、配線28(AZ)に電気的に接続される。また、トラ
ンジスタ56のゲートは配線29(SE)に電気的に接続される。また、トランジスタ5
6のソースまたはドレインの他方は、配線30に電気的に接続される。
【0044】
回路12において、トランジスタ57のソースまたはドレインの一方は、配線30と電気
的に接続され、ソースまたはドレインの他方は、配線24(VPO)と電気的に接続され
る。また、トランジスタ59のソースまたはドレインの一方は、配線31(BR)と電気
的に接続される。また、トランジスタ59のソースまたはドレインの一方は、トランジス
タ59のゲートおよびトランジスタ57のゲートと電気的に接続される。また、トランジ
スタ59のソースまたはドレインの他方は、配線24(VPO)に電気的に接続される。
【0045】
回路13において、トランジスタ58のソースまたはドレインの一方は、配線30と電気
的に接続される。また、トランジスタ58のソースまたはドレインの一方には、出力端子
(OUT)が設けられる。また、トランジスタ58のソースまたはドレインの他方は、抵
抗素子Rの一方の端子と電気的に接続される。また、トランジスタ58のゲートは、配線
32(OE)に電気的に接続される。また、抵抗素子Rの他方の端子は、配線24(VP
O)に電気的に接続される。
【0046】
ここで、配線21(VPD)、配線22(VPR)、配線23(VPI)および配線24
(VPO)は、電源線として機能させることができる。また、配線25(TX)、配線2
6(PR)、配線27(W)、配線28(AZ)、配線29(SE)、配線30、配線3
1(BR)および配線32(OE)は、信号線として機能させることができる。
【0047】
図1において、トランジスタ53のソースまたはドレインの他方は、配線21(VPD)
に接続する構成を図示しているが、他の固定電位を供給することのできる配線に接続され
ていてもよい。
【0048】
また、図1において、容量素子C4の他方の端子は、配線23(VPI)に接続する構成
を図示しているが、他の固定電位を供給することのできる配線に接続されていてもよい。
【0049】
上記構成において、トランジスタ51のソースまたはドレインの他方、トランジスタ52
のソースまたはドレインの一方および容量素子C1の一方の端子が接続されるノードをF
D1とする。
【0050】
また、トランジスタ53のソースまたはドレインの一方、容量素子C1の他方の端子、容
量素子C2の一方の端子および容量素子C4の一方の端子が接続されるノードをFD2と
する。
【0051】
また、トランジスタ54のソースまたはドレインの一方、容量素子C2の他方の端子、容
量素子C3の一方の端子およびトランジスタ55のゲートが接続されるノードをAGとす
る。
【0052】
また、トランジスタ55のソースまたはドレインの他方、容量素子C3の他方の端子およ
びトランジスタ56のソースまたはドレインの一方が接続されるノードをASとする。
【0053】
フォトダイオード60には、シリコン基板においてpn型やpin型の接合が形成された
ダイオード素子を用いることができる。または非晶質シリコン膜や微結晶シリコン膜など
を用いたpin型ダイオード素子などを用いてもよい。なお、回路11においては、フォ
トダイオードを有する構成を例示したが、他の光電変換素子であってもよい。例えば、ダ
イオード接続のトランジスタを用いてもよい。また、光電効果を利用した可変抵抗などを
シリコン、ゲルマニウム、セレンなど用いて形成してもよい。
【0054】
また、アバランシェ増倍という現象を利用したセレンを用いた光電変換素子を用いてもよ
い。当該光電変換素子では、入射される光量に対する電子の増幅が大きい高感度のセンサ
とすることができる。
【0055】
セレン系材料としては、非晶質セレンまたは結晶セレンを用いることができる。結晶セレ
ンは、一例として、非晶質セレンを成膜後、熱処理することで得ることができる。結晶セ
レンの結晶粒径を画素ピッチより小さくすることで、画素ごとの特性ばらつきを低減させ
ることができる。
【0056】
回路11において、フォトダイオード60は受光素子であり、回路11に入射した光に応
じた電流を生成する機能を有することができる。トランジスタ51は、フォトダイオード
60によるノードFD1への電荷蓄積を制御する機能を有することができる。トランジス
タ52は、ノードFD1の電位をリセットする動作を行う機能を有することができる。ト
ランジスタ53は、ノードFD2を電位のリセットする動作を行う機能を有することがで
きる。トランジスタ54は、トランジスタ55に電流を流す機能を有することができる。
トランジスタ55は、ノードAGの電位に応じた信号を出力する動作を行う機能を有する
ことができる。トランジスタ56は、読み出し時に回路11(画素回路)の選択を制御す
る動作を行う機能を有することができる。
【0057】
回路12において、トランジスタ57およびトランジスタ59は、カレントミラー回路を
構成しており、トランジスタ59に流れる電流と同等の電流をトランジスタ57に流す機
能を有する。
【0058】
回路13において、トランジスタ58および抵抗素子Rに流れる電流に応じた電圧信号を
出力端子(OUT)から出力する機能を有することができる。
【0059】
上記の構成における本発明の一態様の撮像装置においては、回路11が有するトランジス
タ55の飽和領域(Vds>Vgs-Vth、Vds:ドレイン-ソース間電圧、Vgs
:ゲート-ソース間電圧、Vth:しきい値電圧)における基準出力を定めるVgsを回
路11内に記憶させることにより出力信号の補正を行うことができる。
【0060】
当該補正動作および補正後の出力動作について、図3に示すタイミングチャートを用いて
詳細な説明を行う。図3に示すタイミングチャートは、配線25(TX)、配線26(P
R)、配線27(W)、配線28(AZ)、配線29(SE)、配線31(BR)、配線
32(OE)、ノードFD1、ノードFD2、ノードAG、ノードASおよび出力端子(
OUT)の電位を示す。なお、各トランジスタは、ゲートに接続される配線に供給される
電位に従ってオンまたはオフの動作が行われるものとする。
【0061】
また、当該説明に用いる回路図面では、導通状態を明瞭化するためにトランジスタ55以
外のトランジスタをスイッチ記号として記す。また、一部の符号は省略している。また、
トランジスタ59およびトランジスタ57は連動してスイッチングするものとする。ここ
では、配線21(VPD)は低電位(”GND”)、配線22(VPR)は高電位(”V
PR”)、配線23(VPI)は高電位(”VPI”)、配線24(VPO)は低電位(
”GND”)とする。
【0062】
時刻T1において、トランジスタ52、53、54、56、57、59をオン、トランジ
スタ51、58をオフとする。また、配線31(BR)に基準信号電流が供給されるとト
ランジスタ59に基準電流(Iref)が流れ、配線23(VPI)と配線24(VPO
)との間には、トランジスタ57を通してバイアス電流(Ibias)が流れる(図4
照、電流経路を破線で表示)。なお、配線31(BR)には基準信号電圧が供給されても
よい。
【0063】
このとき、ノードFD1は、配線22(VPR)の電位(”VPR”)に設定される。ま
た、ノードFD2は、配線21(VPD)の電位(”GND”、例えば0V)に設定され
る。また、ノードAGは、配線23(VPI)の電位(”VPI”)に設定される。また
、ここで、トランジスタ55のゲートとソースの電位差を”Vgs”とすると、ゲートの
電位(ノードAGの電位)が”VPI”であることから、ノードASの電位は、”VPI
-Vgs”に設定される。そして、ノードAGの電位が”VPI”、ノードASの電位が
”VPI-Vgs”であることから、容量素子C3の両端には、”Vgs”がかかること
になる。なお、Vgs=Vth(トランジスタ55のしきい値電圧)+Vov(オーバー
ドライブ電圧)である。以上により、バイアス電流(Ibias)を流すための”Vgs
”が設定される。
【0064】
次に、時刻T2において、トランジスタ54をオフとすると、ノードAGはフローティン
グとなり、容量素子C3には”Vgs”が保持される(図5参照)。
【0065】
次に、時刻T3において、全てのトランジスタをオフとすると、バイアス電流(Ibia
s)は遮断され、ノードASの電位は”VPI-Vgs”から”VPI”に上昇する。ま
た、ノードAGの電位は”VPI”から”VPI+Vgs”に上昇する。また、”GND
”が0Vであれば、ノードFD2の電位は”GND”から”Vgs”に上昇する(図6
照)。以上により、バイアス電流(Ibias)を流すための”Vgs”の保持が完了す
る。すなわち、トランジスタ55の基準出力を定める”Vgs”の回路11内への記憶を
完了させる。
【0066】
次に、補正後の出力動作について説明する。時刻T4において、トランジスタ56、58
をオン、トランジスタ51、52、53、54、57、59をオフとする。このとき、容
量素子C3にはバイアス電流(Ibias)を流すための”Vgs”が保持されているた
め、配線23(VPI)と配線24(VPO)との間には、回路13(トランジスタ58
および抵抗素子R)を介してバイアス電流(Ibias)が流れる。したがって、回路1
3の出力端子(OUT)には、基準出力電圧である”R・Ibias”が出力される(図
7参照)。このとき、容量素子C3の他方の端子の電位が”R・Ibias”となること
から、ノードAGの電位は”R・Ibias+Vgs”となる。
【0067】
次に、実際の撮像動作を想定して、ノードFD2の電位が-Vαだけ変化したときの動作
について説明する。まず、ノードFD2の電位が-Vαだけ変化する状態となるには、ト
ランジスタ52をオフとし、ノードFD1に配線22(VPR)の電位”VPR”を保持
させた状態でトランジスタ51をオンし、-Vαに相当する電荷を光が照射された状態の
フォトダイオード60を通じて配線21(VPD)に放出させる。そして、トランジスタ
51をオフとしてノードFD1の電位を保持する。上記動作により、ノードFD1の電位
を”VPR”から”VPR-Vα”に変化させることができる。
【0068】
ノードFD1が”VPR”から”VPR-Vα”に変化すると、ノードFD2は”Vgs
”から”Vgs-Vα”に変化する。また、ノードAGは”R・Ibias+Vgs”か
ら”R・Ibias+Vgs-Vα”に変化する。したがって、配線23(VPI)と配
線24(VPO)との間には、ノードAGの電位”R・Ibias+Vgs-Vα”に従
ったバイアス電流(Ibias´)が流れる。このとき、回路13の出力端子(OUT)
には、”R・Ibias-Vα”、すなわち”R・Ibias´”(Ibias´<Ib
ias)が出力される(図8参照)。
【0069】
以上により、基準出力電圧よりも-Vαに相当する電圧分だけ低い出力信号を得ることが
できる。すなわち、図1の回路構成においては、フォトダイオード60に照射される光の
強度が高いほど出力端子(OUT)から出力される出力信号は小さくなる。
【0070】
上記補正動作は、撮像毎に行う必要はなく、一回の補正動作のみで連続して撮像すること
ができる。もちろん、撮像前、撮像後、電源オン時、電源オフ時、またはタイマーなどを
用いて任意のタイミングで上記補正動作を行ってもよい。
【0071】
また、本発明の一態様の撮像装置は、図9(A)、(B)に示す構成であってもよい。図
9(A)は、回路11における光電変換部のフォトダイオード60の接続の向きが図1
は逆になる構成である。この場合、配線21(VPD)は高電位、配線22(VPR)は
低電位とする。補正動作および出力動作は上記の図1の回路の説明を参照することができ
るが、この場合はフォトダイオード60に照射される光の強度が高いほどノードFD1の
電位が高くなる。したがって、図9(A)の回路構成においては、フォトダイオード60
に照射される光の強度が高いほど出力端子(OUT)から出力される出力信号は大きくな
る。
【0072】
また、図9(B)は、図1に示す回路11からトランジスタ52を省いた構成である。こ
の場合、配線21(VPD)は低電位と高電位に変動できる構成とする。FD1のリセッ
ト動作は、配線21(VPD)を高電位にすることで行うことができる。定められた期間
において、配線21(VPD)を高電位とするとフォトダイオード60には順方向バイア
スがかかる。したがって、ノードFD1を配線21(VPD)の電位に設定することがで
きる。
【0073】
また、光を検出する動作(蓄積動作)を行う場合は、配線21(VPD)を低電位とする
。配線21(VPD)を低電位とすることでフォトダイオード60には逆方向バイアスが
かかるため、光の強度に応じてノードFD1から配線21(VPD)に電荷を放出するこ
とができる。この場合はフォトダイオード60に照射される光の強度が高いほどノードF
D1の電位が低くなる。したがって、図9(B)の回路構成においては、フォトダイオー
ド60に照射される光の強度が高いほど出力端子(OUT)から出力される出力信号は小
さくなる。
【0074】
本発明の一態様の撮像装置には、酸化物半導体を有するトランジスタを用いることが好ま
しい。酸化物半導体を有するトランジスタを回路11に用いると、撮像のダイナミックレ
ンジを拡大することができる。図1に示す回路構成では、フォトダイオード60に入射す
る光の強度が大きいときにノードAGの電位が小さくなる。酸化物半導体を用いたトラン
ジスタは極めてオフ電流が低いため、ノードAGの電位(トランジスタ55のゲート電位
)が極めて小さい場合においても当該ゲート電位に応じた電流を正確に出力することがで
きる。したがって、検出することのできる照度のレンジ、すなわちダイナミックレンジを
広げることができる。
【0075】
また、酸化物半導体を有するトランジスタの低いオフ電流特性によってノードFD1、ノ
ードFD2、ノードAGおよびノードASで電荷を保持できる期間を極めて長くすること
ができる。そのため、回路構成や動作方法を複雑にすることなく全画素で略同時に電荷の
蓄積動作を行うグローバルシャッタ方式を適用することができる。したがって、被写体が
動体であっても歪の小さい画像を容易に得ることができる。また、露光時間(電荷の蓄積
動作を行う期間)を長くすることもできることから、低照度環境における撮像にも適する
【0076】
また、ノードFD1、ノードFD2、ノードAGおよびノードASのいずれかと接続する
トランジスタはノイズが少ないことが求められる。後述する二層または三層の酸化物半導
体層を有するトランジスタはチャネルが埋め込み型であり、極めてノイズに強い特性を有
する。したがって、当該トランジスタを用いることでノイズの少ない画像を得ることがで
きる。
【0077】
以上の本発明の一態様によって、画素回路が有する増幅トランジスタ(トランジスタ55
)のパラメータ(しきい値電圧、移動度、チャネル形成領域のサイズ(L、W)、ゲート
絶縁膜の膜厚(容量値)等)のばらつきに依存しない出力信号を得ることができる。
【0078】
図10(A)は、回路部を含む撮像装置の断面図の一例である。回路部90は、シリコン
基板40に活性領域を有するトランジスタ70と、酸化物半導体を活性層とするトランジ
スタ71との組み合わせであり、例えば、インバータ回路やメモリ回路などを構成するこ
とができる。また、回路部92は、シリコン基板40に形成されるフォトダイオード60
と、酸化物半導体を活性層とするトランジスタ51との組み合わせであり、図1に示す回
路11における光電変換部の一部に相当する。なお、破線で示す配線およびコンタクトプ
ラグは、他の配線およびコンタクトプラグと奥行き方向の位置が異なることを示している
【0079】
図10(A)において、フォトダイオード60と、トランジスタ51とを重なるように形
成することができるため、画素の集積度を高めることができる。すなわち、撮像装置の解
像度を高めることができる。また、回路部92の占有領域においてシリコン基板40には
トランジスタが形成されていないため、フォトダイオードの面積を広くすることができる
。したがって、低照度環境においてもノイズの少ない画像を得ることができる。
【0080】
図10では、フォトダイオード60とトランジスタ70は、同じシリコン基板40に設け
る構成を図示しているが、これに限らない。例えば、トランジスタ70をシリコン基板4
0に設け、別の基板に作製したフォトダイオードを貼り合わせてもよい。また、トランジ
スタ70をシリコン基板40に設けず、トランジスタ71、51と同様に酸化物半導体を
活性層とするトランジスタで設けてもよい。また、図10(B)に示すようにトランジス
タ70、51をシリコン基板40に設けてもよい。また、トランジスタ70以外の素子も
シリコン基板40に設けてもよい。たとえば、シリコン基板40に、容量素子、ダイオー
ド、抵抗素子、などを設けてもよい。
【0081】
図10(A)に示す構成において、トランジスタ70およびフォトダイオード60を有す
る領域と、トランジスタ71およびトランジスタ51を有する領域との間には絶縁層80
が設けられる。
【0082】
トランジスタ70の活性領域近傍に設けられる絶縁層中の水素はシリコンのダングリング
ボンドを終端する。したがって、当該水素はトランジスタ70の信頼性を向上させる効果
がある。一方、トランジスタ71およびトランジスタ51等の活性層である酸化物半導体
層の近傍に設けられる絶縁層中の水素は、酸化物半導体中にキャリアを生成する要因の一
つとなる。そのため、当該水素はトランジスタ71およびトランジスタ51等の信頼性を
低下させる要因となる場合がある。したがって、シリコン系半導体材料を用いたトランジ
スタを有する一方の層と、酸化物半導体を用いたトランジスタを有する他方の層を積層す
る場合、これらの間に水素の拡散を防止する機能を有する絶縁層80を設けることが好ま
しい。絶縁層80により、一方の層に水素を閉じ込めることでトランジスタ51の信頼性
を向上することができる。また、一方の層から他方の層への水素の拡散が抑制されること
でトランジスタ71およびトランジスタ51等の信頼性も同時に向上させることができる
【0083】
絶縁層80としては、例えば酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、
酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒
化ハフニウム、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)等を用いることができる。
【0084】
また、シリコン基板40はバルクのシリコン基板に限らず、SOI基板であってもよい。
また、シリコン基板40に替えて、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン
、ガリウムヒ素、アルミニウムガリウムヒ素、インジウムリン、窒化ガリウム、有機半導
体を材料とする基板または当該材料の薄膜が形成された基板を用いることもできる。
【0085】
トランジスタ70は、プレーナ型のトランジスタだけでなく、様々なタイプのトランジス
タとすることができる。例えば、FIN(フィン)型、TRI-GATE(トライゲート
)型などのトランジスタなどとすることができる。
【0086】
また、トランジスタ51は、状況に応じて酸化物半導体だけでなく、様々な半導体を有す
ることができる。例えば、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコ
ン、ガリウムヒ素、アルミニウムガリウムヒ素、インジウムリン、窒化ガリウム、有機半
導体などを有することもできる。
【0087】
また、撮像装置は、図11(A1)及び図11(B1)に示すように湾曲させてもよい。
図11(A1)は、撮像装置を同図中の二点鎖線X1-X2の方向に湾曲させた状態を示
している。図11(A2)は、図11(A1)中の二点鎖線X1-X2で示した部位の断
面図である。図11(A3)は、図11(A1)中の二点鎖線Y1-Y2で示した部位の
断面図である。
【0088】
図11(B1)は、撮像装置を同図中の二点鎖線X3-X4の方向に湾曲させ、かつ、同
図中の二点鎖線Y3-Y4の方向に湾曲させた状態を示している。図11(B2)は、図
11(B1)中の二点鎖線X3-X4で示した部位の断面図である。図11(B3)は、
図11(B1)中の二点鎖線Y3-Y4で示した部位の断面図である。
【0089】
撮像装置を湾曲させることで、像面湾曲や非点収差を低減することができる。よって、撮
像装置と組み合わせて用いるレンズなどの光学設計を容易とすることができる。例えば、
収差補正のためのレンズ枚数を低減できるため、撮像装置を用いた半導体装置などの小型
化や軽量化を容易とすることができる。また、撮像された画像の品質を向上させる事がで
きる。
【0090】
なお、本実施の形態において、本発明の一態様について述べた。または、他の実施の形態
において、本発明の一態様について述べる。ただし、本発明の一態様は、これらに限定さ
れない。例えば、本発明の一態様として、撮像装置に適用した場合の例を示したが、本発
明の一態様は、これに限定されない。場合によっては、または、状況に応じて、本発明の
一態様は、撮像装置に適用しなくてもよい。例えば、本発明の一態様は、別の機能を有す
る半導体装置に適用してもよい。または、本発明の一態様は、トランジスタの電気特性の
ばらつきや劣化を補正する機能を有していたり、補正する動作を行う場合の例を示したが
、本発明の一態様は、これに限定されない。場合によっては、または、状況に応じて、本
発明の一態様では、トランジスタの電気特性のばらつきや劣化を補正しなくてもよい。
【0091】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能
である。
【0092】
(実施の形態2)
本実施の形態では、画素回路の駆動方法の一例について説明する。
【0093】
実施の形態1で説明した画素回路は、通常の撮像を行う第1の動作と、初期フレームの撮
像データと現フレームの撮像データとの差分データを保持し、当該差分データに応じた信
号を出力することができる第2の動作を行うことができる。第2の動作では、外部回路で
の比較処理などを行うことなく差分データを出力することができるため、低消費電力の防
犯カメラなどへ適用することができる。
【0094】
本発明の一態様の撮像装置は、図12に示すようにマトリクス状に配置された回路11を
有する画素部400と、回路11に接続される行ドライバ410と、回路11に接続され
る回路12および回路13と、回路12に接続されるA/D変換回路420と、A/D変
換回路420に接続される列ドライバ430を有する。
【0095】
行ドライバ410により選択された回路11で取得された撮像データは、回路12を介し
てA/D変換回路420に入力される。A/D変換回路420は、入力された撮像データ
をA/D変換によりデジタルデータに変換する。A/D変換されたデジタルデータは、列
ドライバ430により、順次外部に取り出される。行ドライバ410と列ドライバ430
には、例えば、デコーダやシフトレジスタ等の様々な回路を用いることができる。
【0096】
次に、図1に示す回路における第1の動作について、図40に示すタイミングチャートを
用いて説明する。
【0097】
時刻T1乃至時刻T2において、配線25(TX)をVPR+Vthより高い電位、配線
26(PR)をVPR+Vthより高い電位、配線27(W)をVthより高い電位とす
る。このとき、ノードFD1の電位は配線22(VPR)の電位(すなわち、”VPR”
)、ノードFD2の電位は配線21(VPD)の電位(すなわち、”GND”)に設定さ
れる(リセット動作)。
【0098】
時刻T2乃至時刻T3において、配線25(TX)をVPR+Vthより高い電位、配線
26(PR)を”GND”、配線27(W)を-VPRより低い電位とする。ここで、フ
ォトダイオード60に照射する光に応じて、ノードFD1およびノードFD2の電位は低
下する。時刻T3におけるノードFD1の低下電位量をV1とすると、ノードFD1の電
位はVPR-V1となる。また、ノードFD2の電位は、容量結合によりV2だけ減少し
GND-V2となる(蓄積動作)。なお、図1に示す回路構成では、フォトダイオード6
0に照射する光が強い程、ノードFD1およびノードFD2の電位は低下する。
【0099】
時刻T3乃至時刻T4において、配線25(TX)を”GND”、配線26(PR)を”
GND”、配線27(W)を-VPRより低い電位とすると、ノードFD1およびノード
FD2の電位は保持される。
【0100】
時刻T4乃至時刻T5において、配線30(SE)をVPI+Vthより高い電位とする
と、ノードFD2の電位に応じて、出力端子(OUT)に撮像データに対応する信号が出
力される(選択動作)。以上によって、第1の動作を行うことができる。
【0101】
次に、図1に示す回路における第2の動作について、図41に示すタイミングチャートを
用いて説明する。
【0102】
時刻T1乃至時刻T2において、配線25(TX)をVPR+Vthより高い電位、配線
26(PR)をVPR+Vthより高い電位、配線27(W)をVthより高い電位とす
る。このとき、ノードFD1の電位は配線22(VPR)の電位(すなわち、”VPR”
)、ノードFD2の電位は配線21(VPD)の電位(すなわち、”GND”)に設定さ
れる。
【0103】
時刻T2乃至時刻T3において、配線25(TX)をVPR+Vthより高い電位、配線
26(PR)を”GND”、配線27(W)をVthより高い電位とする。ここで、フォ
トダイオード60に照射する光に応じて、ノードFD1の電位は低下する。時刻T3にお
けるノードFD1の低下電位量をV1とすると、ノードFD1の電位はVPR-V1とな
る。なお、図1の回路構成においては、フォトダイオード60に照射する光が強い程、ノ
ードFD1の電位は低下する。
【0104】
時刻T3乃至時刻T4において、配線25(TX)を”GND”、配線26(PR)を”
GND”、配線27(W)をVthより高い電位とすると、ノードFD1の電位は保持さ
れる。
【0105】
時刻T4乃至時刻T5において、配線25(TX)を”GND”、配線26(PR)を”
GND”、配線27(W)を-VPRより低い電位とすると、ノードFD1の電位および
ノードFD2の電位は保持される。
【0106】
時刻T5乃至時刻T6において、配線25(TX)をVPR+Vthより高い電位、配線
26(PR)をVPR+Vthより高い電位、配線27(W)を-VPRより低い電位と
すると、ノードFD1の電位はV1だけ上昇し、ノードFD2の電位は容量結合によりV
2だけ上昇する。ここで、V1およびV2は、初期フレームの照度を反映する電位である
【0107】
時刻T6乃至時刻T7において、配線25(TX)をVPR+Vthより高い電位、配線
26(PR)を”GND”、配線27(W)を-VPRより低い電位とすると、フォトダ
イオード60に照射する光に応じて、ノードFD1およびノードFD2の電位は低下する
。時刻T6におけるノードFD1の低下電位量をV1’とすると、ノードFD1の電位は
VPR-V1’となる。また、ノードFD2の電位は容量結合によりV2’だけ減少しG
ND+V2-V2’となる。
【0108】
時刻T7乃至時刻T8において、配線25(TX)を”GND”、配線26(PR)を”
GND”、配線27(W)を-VPRより低い電位とすると、ノードFD1およびノード
FD2の電位は保持される。
【0109】
時刻T8乃至時刻T9において、配線30(SE)をVPI+Vthより高い電位とする
と、ノードFD2の電位に応じて、出力端子(OUT)に撮像データに対応する信号が出
力される。上記の形態では、信号出力時のノードFD2の電位はGND+V2-V2’で
あることから、GNDが例えば0Vのとき、当該電位はV2-V2’となる。ここで、V
2は初期フレームの照度を反映する電位であり、V2’は後のフレーム(現フレーム)に
おける照度を反映する電位である。すなわち、初期フレームと現フレームとの差分を出力
する第2の動作を行うことができる。
【0110】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能
である。
【0111】
(実施の形態3)
本実施の形態では、画素回路の駆動方法の一例について説明する。
【0112】
実施の形態2で説明したように、画素回路の動作は、リセット動作、蓄積動作、および選
択動作の繰り返しである。画素マトリクス全体を制御する撮像方法としては、グローバル
シャッタ方式とローリングシャッタ方式が知られている。
【0113】
図13(A)は、グローバルシャッタ方式におけるタイミングチャートである。なお、当
該タイミングチャートは、マトリクス状に複数の画素回路を有し、当該画素回路に図1
回路を有する撮像装置を例として、第1行目から第n行目(nは3以上の自然数)の画素
回路の動作を説明するものである。また、当該動作は、実施の形態2で説明した第1の動
作を例として説明する。
【0114】
図13(A)において、信号501、信号502、信号503は、第1行目、第2行目、
第n行目の各画素回路に接続された配線26(PR)に入力される信号である。また、信
号504、信号506、信号508は、第1行目、第2行目、第n行目の各画素回路に接
続された配線25(TX)に入力される信号である。また、信号505、信号507、信
号509は、第1行目、第2行目、第n行目の各画素回路に接続された配線29(SE)
に入力される信号である。
【0115】
また、期間510は、1回の撮像に要する期間である。また、期間511および期間52
0は、それぞれ、各行の画素回路が同じタイミングでリセット動作および蓄積動作を行う
期間である。選択動作は各行の画素回路で順次行われる。一例として、期間531は、第
1行目の画素回路が選択動作を行っている期間である。このように、グローバルシャッタ
方式では、全画素回路で略同時にリセット動作および蓄積動作が行われ、1行毎に順次読
み出し動作が行われる。
【0116】
つまり、グローバルシャッタ方式では、全ての画素回路において蓄積動作が略同時に行わ
れているため、各行の画素回路における撮像の同時性が確保される。したがって、被写体
が動体であっても歪の小さい画像を取得することができる。
【0117】
一方、図13(B)は、ローリングシャッタ方式を用いた場合のタイミングチャートであ
る。なお、信号501乃至509は図13(A)の説明を参照することができる。期間6
10は1回の撮像に要する期間である。期間611は、第1行目の画素がリセット動作を
行う期間である。期間612は、第2行目の画素がリセット動作を行う期間である。期間
613は、第n行目の画素がリセット動作を行う期間である。期間621は、第1行目の
画素が蓄積動作を行う期間である。期間622は、第2行目の画素が蓄積動作を行う期間
である。期間623は、第n行目の画素が蓄積動作を行う期間である。また、期間631
は、1行目の画素回路が選択動作を行っている期間である。このように、ローリングシャ
ッタ方式では、蓄積動作が全ての画素回路では同時に行われず、行毎に順次行われるため
、各行の画素回路における撮像の同時性が確保されない。したがって、一行目と最終行目
では撮像のタイミングが異なるため、被写体が動体である場合は歪の大きい画像となって
しまう。
【0118】
グローバルシャッタ方式を実現するためには、各画素からの信号の読み出しが順次終了す
るまで、電荷蓄積部(ノードFD2)の電位を長時間保つ必要がある。電荷蓄積部(ノー
ドFD2)の電位の長時間の保持は、トランジスタ55などにチャネル形成領域を酸化物
半導体で形成した極めてオフ電流の低いトランジスタを用いることで実現できる。一方、
トランジスタ55などにチャネル形成領域をシリコンなどで形成したトランジスタを適用
した場合は、オフ電流が高いために電荷蓄積部(ノードFD2)の電位を長時間保持でき
ず、グローバルシャッタ方式を用いることが困難となる。
【0119】
以上のように、画素回路にチャネル形成領域を酸化物半導体で形成したトランジスタを用
いることでグローバルシャッタ方式を容易に実現することができる。
【0120】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能
である。
【0121】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様に用いることのできる酸化物半導体を有するトランジ
スタについて図面を用いて説明する。なお、本実施の形態における図面では、明瞭化のた
めに一部の要素を拡大、縮小、または省略して図示している。
【0122】
図14(A)、(B)は、本発明の一態様のトランジスタ101の上面図および断面図で
ある。図14(A)に示す一点鎖線B1-B2方向の断面が図14(B)に相当する。ま
た、図14(A)に示す一点鎖線B3-B4方向の断面が図20(A)に相当する。また
、一点鎖線B1-B2方向をチャネル長方向、一点鎖線B3-B4方向をチャネル幅方向
と呼称する場合がある。
【0123】
トランジスタ101は、基板115と接する絶縁層120と、絶縁層120と接する酸化
物半導体層130と、酸化物半導体層130と電気的に接続する導電層140および導電
層150と、酸化物半導体層130、導電層140および導電層150と接する絶縁層1
60と、絶縁層160と接する導電層170と、導電層140、導電層150、絶縁層1
60および導電層170と接する絶縁層175と、絶縁層175と接する絶縁層180と
、を有する。また、必要に応じて絶縁層180に平坦化膜としての機能を付加してもよい
【0124】
ここで、導電層140はソース電極層、導電層150はドレイン電極層、絶縁層160は
ゲート絶縁膜、導電層170はゲート電極層としてそれぞれ機能することができる。
【0125】
また、図14(B)に示す領域231はソース領域、領域232はドレイン領域、領域2
33はチャネル形成領域として機能することができる。領域231および領域232は導
電層140および導電層150とそれぞれ接しており、例えば導電層140および導電層
150として酸素と結合しやすい導電材料を用いれば領域231および領域232を低抵
抗化することができる。
【0126】
具体的には、酸化物半導体層130と導電層140および導電層150とが接することで
酸化物半導体層130内に酸素欠損が生じ、当該酸素欠損と酸化物半導体層130内に残
留または外部から拡散する水素との相互作用により、領域231および領域232は低抵
抗のn型となる。
【0127】
なお、トランジスタの「ソース」や「ドレイン」の機能は、異なる極性のトランジスタを
採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることが
ある。このため、本明細書においては、「ソース」や「ドレイン」という用語は、入れ替
えて用いることができるものとする。また、「電極層」は、「配線」と言い換えることも
できる。
【0128】
また、導電層170は、導電層171および導電層172の二層で形成される例を図示し
ているが、一層または三層以上の積層であってもよい。当該構成は本実施の形態で説明す
る他のトランジスタにも適用できる。
【0129】
また、導電層140および導電層150は単層で形成される例を図示しているが、二層以
上の積層であってもよい。当該構成は本実施の形態で説明する他のトランジスタにも適用
できる。
【0130】
また、本発明の一態様のトランジスタは、図15(A)、(B)に示す構成であってもよ
い。図15(A)はトランジスタ102の上面図であり、図15(A)に示す一点鎖線C
1-C2方向の断面が図15(B)に相当する。また、図15(A)に示す一点鎖線C3
-C4方向の断面は、図20(B)に相当する。また、一点鎖線C1-C2方向をチャネ
ル長方向、一点鎖線C3-C4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
【0131】
トランジスタ102は、ゲート絶縁膜として作用する絶縁層160の端部とゲート電極層
として作用する導電層170の端部とを一致させない点を除き、トランジスタ101と同
様の構成を有する。トランジスタ102の構造は、導電層140および導電層150が絶
縁層160で広く覆われているため、導電層140および導電層150と導電層170と
の間の抵抗が高く、ゲートリーク電流の少ない特徴を有している。
【0132】
トランジスタ101およびトランジスタ102は、導電層170と導電層140および導
電層150が重なる領域を有するトップゲート構造である。当該領域のチャネル長方向の
幅は、寄生容量を小さくするために3nm以上300nm未満とすることが好ましい。当
該構成では、酸化物半導体層130にオフセット領域が形成されないため、オン電流の高
いトランジスタを形成しやすい。
【0133】
また、本発明の一態様のトランジスタは、図16(A)、(B)に示す構成であってもよ
い。図16(A)はトランジスタ103の上面図であり、図16(A)に示す一点鎖線D
1-D2方向の断面が図16(B)に相当する。また、図16(A)に示す一点鎖線D3
-D4方向の断面は、図20(A)に相当する。また、一点鎖線D1-D2方向をチャネ
ル長方向、一点鎖線D3-D4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
【0134】
トランジスタ103は、基板115と接する絶縁層120と、絶縁層120と接する酸化
物半導体層130と、酸化物半導体層130と接する絶縁層160と、絶縁層160と接
する導電層170と、酸化物半導体層130、絶縁層160および導電層170を覆う絶
縁層175と、絶縁層175と接する絶縁層180と、絶縁層175および絶縁層180
に設けられた開口部を通じて酸化物半導体層130と電気的に接続する導電層140およ
び導電層150を有する。また、必要に応じて絶縁層180、導電層140および導電層
150に接する絶縁層(平坦化膜)などを有していてもよい。
【0135】
ここで、導電層140はソース電極層、導電層150はドレイン電極層、絶縁層160は
ゲート絶縁膜、導電層170はゲート電極層としてそれぞれ機能することができる。
【0136】
また、図16(B)に示す領域231はソース領域、領域232はドレイン領域、領域2
33はチャネル形成領域として機能することができる。領域231および領域232は絶
縁層175と接しており、例えば絶縁層175として水素を含む絶縁材料を用いれば領域
231および領域232を低抵抗化することができる。
【0137】
具体的には、絶縁層175を形成するまでの工程により領域231および領域232に生
じる酸素欠損と、絶縁層175から領域231および領域232に拡散する水素との相互
作用により、領域231および領域232は低抵抗のn型となる。水素を含む絶縁材料と
しては、例えば窒化シリコンや窒化アルミニウムなどを用いることができる。
【0138】
また、本発明の一態様のトランジスタは、図17(A)、(B)に示す構成であってもよ
い。図17(A)はトランジスタ104の上面図であり、図17(A)に示す一点鎖線E
1-E2方向の断面が図17(B)に相当する。また、図17(A)に示す一点鎖線E3
-E4方向の断面は、図20(A)に相当する。また、一点鎖線E1-E2方向をチャネ
ル長方向、一点鎖線E3-E4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
【0139】
トランジスタ104は、導電層140および導電層150が酸化物半導体層130の端部
を覆うように接している点を除き、トランジスタ103と同様の構成を有する。
【0140】
また、図17(B)に示す領域331および領域334はソース領域、領域332および
領域335はドレイン領域、領域333はチャネル形成領域として機能することができる
【0141】
領域331および領域332は、トランジスタ101における領域231および領域23
2と同様に低抵抗化することができる。
【0142】
また、領域334および領域335は、トランジスタ103における領域231および領
域232と同様に低抵抗化することができる。なお、チャネル長方向における領域334
および領域335の長さが100nm以下、好ましくは50nm以下の場合には、ゲート
電界の寄与によりオン電流は大きく低下しない。したがって、領域334および領域33
5の低抵抗化を行わない場合もある。
【0143】
トランジスタ103およびトランジスタ104は、導電層170と導電層140および導
電層150が重なる領域を有さないセルフアライン構造である。セルフアライン構造のト
ランジスタはゲート電極層とソース電極層およびドレイン電極層間の寄生容量が極めて小
さいため、高速動作用途に適している。
【0144】
また、本発明の一態様のトランジスタは、図18(A)、(B)に示す構成であってもよ
い。図18(A)はトランジスタ105の上面図であり、図18(A)に示す一点鎖線F
1-F2方向の断面が図18(B)に相当する。また、図18(A)に示す一点鎖線F3
-F4方向の断面は、図20(A)に相当する。また、一点鎖線F1-F2方向をチャネ
ル長方向、一点鎖線F3-F4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
【0145】
トランジスタ105は、基板115と接する絶縁層120と、絶縁層120と接する酸化
物半導体層130と、酸化物半導体層130と電気的に接続する導電層141および導電
層151と、酸化物半導体層130、導電層141、導電層151と接する絶縁層160
と、絶縁層160と接する導電層170と、酸化物半導体層130、導電層141、導電
層151、絶縁層160および導電層170と接する絶縁層175と、絶縁層175と接
する絶縁層180と、絶縁層175および絶縁層180に設けられた開口部を通じて導電
層141および導電層151とそれぞれ電気的に接続する導電層142および導電層15
2を有する。また、必要に応じて絶縁層180、導電層142および導電層152に接す
る絶縁層などを有していてもよい。
【0146】
ここで、導電層141および導電層151は、酸化物半導体層130の上面と接し、側面
には接しない構成となっている。
【0147】
トランジスタ105は、導電層141および導電層151を有する点、絶縁層175およ
び絶縁層180に設けられた開口部を有する点、ならびに当該開口部を通じて導電層14
1および導電層151とそれぞれ電気的に接続する導電層142および導電層152を有
する点を除き、トランジスタ101と同様の構成を有する。導電層140(導電層141
および導電層142)はソース電極層として作用させることができ、導電層150(導電
層151および導電層152)はドレイン電極層として作用させることができる。
【0148】
また、本発明の一態様のトランジスタは、図19(A)、(B)に示す構成であってもよ
い。図19(A)はトランジスタ106の上面図であり、図19(A)に示す一点鎖線G
1-G2方向の断面が図19(B)に相当する。また、図19(A)に示す一点鎖線G3
-G4方向の断面は、図20(A)に相当する。また、一点鎖線G1-G2方向をチャネ
ル長方向、一点鎖線G3-G4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
【0149】
トランジスタ106は、基板115と接する絶縁層120と、絶縁層120と接する酸化
物半導体層130と、酸化物半導体層130と電気的に接続する導電層141および導電
層151と、酸化物半導体層130と接する絶縁層160と、絶縁層160と接する導電
層170と、絶縁層120、酸化物半導体層130、導電層141、導電層151、絶縁
層160、導電層170と接する絶縁層175と、絶縁層175と接する絶縁層180と
、絶縁層175および絶縁層180に設けられた開口部を通じて導電層141および導電
層151とそれぞれ電気的に接続する導電層142および導電層152を有する。また、
必要に応じて絶縁層180、導電層142および導電層152に接する絶縁層(平坦化膜
)などを有していてもよい。
【0150】
ここで、導電層141および導電層151は、酸化物半導体層130の上面と接し、側面
には接しない構成となっている。
【0151】
トランジスタ106は、導電層141および導電層151を有する点を除き、トランジス
タ103と同様の構成を有する。導電層140(導電層141および導電層142)はソ
ース電極層として作用させることができ、導電層150(導電層151および導電層15
2)はドレイン電極層として作用させることができる。
【0152】
トランジスタ105およびトランジスタ106の構成では、導電層140および導電層1
50が絶縁層120と接しない構成であるため、絶縁層120中の酸素が導電層140お
よび導電層150に奪われにくくなり、絶縁層120から酸化物半導体層130中への酸
素の供給を容易とすることができる。
【0153】
トランジスタ103における領域231および領域232、トランジスタ104およびト
ランジスタ106における領域334および領域335には、酸素欠損を形成し導電率を
高めるための不純物を添加してもよい。酸化物半導体層に酸素欠損を形成する不純物とし
ては、例えば、リン、砒素、アンチモン、ホウ素、アルミニウム、シリコン、窒素、ヘリ
ウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、インジウム、フッ素、塩素、チタン、
亜鉛、および炭素のいずれかから選択される一つ以上を用いることができる。当該不純物
の添加方法としては、プラズマ処理法、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイ
マージョンイオンインプランテーション法などを用いることができる。
【0154】
不純物元素として、上記元素が酸化物半導体層に添加されると、酸化物半導体層中の金属
元素および酸素の結合が切断され、酸素欠損が形成される。酸化物半導体層に含まれる酸
素欠損と酸化物半導体層中に残存または後から添加される水素の相互作用により、酸化物
半導体層の導電率を高くすることができる。
【0155】
不純物元素の添加により酸素欠損が形成された酸化物半導体に水素を添加すると、酸素欠
損サイトに水素が入り伝導帯近傍にドナー準位が形成される。その結果、酸化物導電体を
形成することができる。ここでは、導電体化された酸化物半導体を酸化物導電体という。
なお、酸化物導電体は酸化物半導体と同様に透光性を有する。
【0156】
酸化物導電体は、縮退半導体であり、伝導帯端とフェルミ準位とが一致または略一致して
いると推定される。このため、酸化物導電体層とソース電極層およびドレイン電極層とし
て機能する導電層との接触はオーミック接触であり、酸化物導電体層とソース電極層およ
びドレイン電極層として機能する導電層との接触抵抗を低減することができる。
【0157】
また、本発明の一態様のトランジスタは、図21(A)、(B)、(C)、(D)、(E
)、(F)に示すチャネル長方向の断面図、ならびに図20(C)、(D)に示すチャネ
ル幅方向の断面図のように、酸化物半導体層130と基板115との間に導電層173を
備えていてもよい。導電層173を第2のゲート電極層(バックゲート)として用いるこ
とで、オン電流の増加や、しきい値電圧の制御を行うことができる。なお、図21(A)
、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)に示す断面図において、導電層173の幅を
酸化物半導体層130よりも短くしてもよい。さらに、導電層173の幅を導電層170
の幅よりも短くしてもよい。
【0158】
オン電流を増加させるには、例えば、導電層170と導電層173を同電位とし、ダブル
ゲートトランジスタとして駆動させればよい。また、しきい値電圧の制御を行うには、導
電層170とは異なる定電位を導電層173に供給すればよい。導電層170と導電層1
73を同電位とするには、例えば、図20(D)に示すように、導電層170と導電層1
73とをコンタクトホールを介して電気的に接続すればよい。
【0159】
また、図14乃至図19におけるトランジスタ101乃至トランジスタ106では、酸化
物半導体層130が単層である例を図示したが、酸化物半導体層130は積層であっても
よい。トランジスタ101乃至トランジスタ106の酸化物半導体層130は、図22
たは図23に示す酸化物半導体層130と入れ替えることができる。
【0160】
図22(A)、(B)、(C)は、二層構造である酸化物半導体層130の上面図および
断面図である。図22(A)に示す一点鎖線A1-A2方向の断面が図22(B)に相当
する。また、図22(A)に示す一点鎖線A3-A4方向の断面が図22(C)に相当す
る。
【0161】
また、図23(A)、(B)、(C)は、三層構造である酸化物半導体層130の上面図
および断面図である。図23(A)に示す一点鎖線A1-A2方向の断面が図23(B)
に相当する。また、図23(A)に示す一点鎖線A3-A4方向の断面が図23(C)に
相当する。
【0162】
酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130b、酸化物半導体層130cには、それ
ぞれ組成の異なる酸化物半導体層などを用いることができる。
【0163】
また、本発明の一態様のトランジスタは、図24(A)、(B)に示す構成であってもよ
い。図24(A)はトランジスタ107の上面図であり、図24(A)に示す一点鎖線H
1-H2方向の断面が図24(B)に相当する。また、図24(A)に示す一点鎖線H3
-H4方向の断面が図30(A)に相当する。また、一点鎖線H1-H2方向をチャネル
長方向、一点鎖線H3-H4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
【0164】
トランジスタ107は、基板115と接する絶縁層120と、絶縁層120と接する酸化
物半導体層130aおよび酸化物半導体層130bからなる積層と、当該積層と電気的に
接続する導電層140および導電層150と、当該積層、導電層140および導電層15
0と接する酸化物半導体層130cと、酸化物半導体層130cと接する絶縁層160と
、絶縁層160と接する導電層170と、導電層140、導電層150、酸化物半導体層
130c、絶縁層160および導電層170と接する絶縁層175と、絶縁層175と接
する絶縁層180と、を有する。また、必要に応じて絶縁層180に平坦化膜としての機
能を付加してもよい。
【0165】
トランジスタ107は、領域231および領域232において酸化物半導体層130が二
層(酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130b)である点、領域233において
酸化物半導体層130が三層(酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130b、酸化
物半導体層130c)である点、および導電層140および導電層150と絶縁層160
との間に酸化物半導体層の一部(酸化物半導体層130c)が介在している点を除き、ト
ランジスタ101と同様の構成を有する。
【0166】
また、本発明の一態様のトランジスタは、図25(A)、(B)に示す構成であってもよ
い。図25(A)はトランジスタ108の上面図であり、図25(A)に示す一点鎖線I
1-I2方向の断面が図25(B)に相当する。また、図25(A)に示す一点鎖線I3
-I4方向の断面が図30(B)に相当する。また、一点鎖線I1-I2方向をチャネル
長方向、一点鎖線I3-I4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
【0167】
トランジスタ108は、絶縁層160および酸化物半導体層130cの端部が導電層17
0の端部と一致しない点がトランジスタ107と異なる。
【0168】
また、本発明の一態様のトランジスタは、図26(A)、(B)に示す構成であってもよ
い。図26(A)はトランジスタ109の上面図であり、図26(A)に示す一点鎖線J
1-J2方向の断面が図26(B)に相当する。また、図26(A)に示す一点鎖線J3
-J4方向の断面が図30(A)に相当する。また、一点鎖線J1-J2方向をチャネル
長方向、一点鎖線J3-J4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
【0169】
トランジスタ109は、基板115と接する絶縁層120と、絶縁層120と接する酸化
物半導体層130aおよび酸化物半導体層130bからなる積層と、当該積層と接する酸
化物半導体層130cと、酸化物半導体層130cと接する絶縁層160と、絶縁層16
0と接する導電層170と、当該積層、酸化物半導体層130c、絶縁層160および導
電層170を覆う絶縁層175と、絶縁層175と接する絶縁層180と、絶縁層175
および絶縁層180に設けられた開口部を通じて当該積層と電気的に接続する導電層14
0および導電層150を有する。また、必要に応じて絶縁層180、導電層140および
導電層150に接する絶縁層(平坦化膜)などを有していてもよい。
【0170】
トランジスタ109は、領域231および領域232において酸化物半導体層130が二
層(酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130b)である点、領域233において
酸化物半導体層130が三層(酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130b、酸化
物半導体層130c)である点を除き、トランジスタ103と同様の構成を有する。
【0171】
また、本発明の一態様のトランジスタは、図27(A)、(B)に示す構成であってもよ
い。図27(A)はトランジスタ110の上面図であり、図27(A)に示す一点鎖線K
1-K2方向の断面が図27(B)に相当する。また、図27(A)に示す一点鎖線K3
-K4方向の断面が図30(A)に相当する。また、一点鎖線K1-K2方向をチャネル
長方向、一点鎖線K3-K4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
【0172】
トランジスタ110は、領域231および領域232において酸化物半導体層130が二
層(酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130b)である点、領域233において
酸化物半導体層130が三層(酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130b、酸化
物半導体層130c)である点を除き、トランジスタ104と同様の構成を有する。
【0173】
また、本発明の一態様のトランジスタは、図28(A)、(B)に示す構成であってもよ
い。図28(A)はトランジスタ111の上面図であり、図28(A)に示す一点鎖線L
1-L2方向の断面が図28(B)に相当する。また、図28(A)に示す一点鎖線L3
-L4方向の断面が図30(A)に相当する。また、一点鎖線L1-L2方向をチャネル
長方向、一点鎖線L3-L4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
【0174】
トランジスタ111は、基板115と接する絶縁層120と、絶縁層120と接する酸化
物半導体層130aおよび酸化物半導体層130bからなる積層と、当該積層と電気的に
接続する導電層141および導電層151と、当該積層、導電層141および導電層15
1と接する酸化物半導体層130cと、酸化物半導体層130cと接する絶縁層160と
、絶縁層160と接する導電層170と、当該積層、導電層141、導電層151、酸化
物半導体層130c、絶縁層160および導電層170と接する絶縁層175と、絶縁層
175と接する絶縁層180と、絶縁層175および絶縁層180に設けられた開口部を
通じて導電層141および導電層151とそれぞれ電気的に接続する導電層142および
導電層152を有する。また、必要に応じて絶縁層180、導電層142および導電層1
52に接する絶縁層(平坦化膜)などを有していてもよい。
【0175】
トランジスタ111は、領域231および領域232において酸化物半導体層130が二
層(酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130b)である点、領域233において
酸化物半導体層130が三層(酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130b、酸化
物半導体層130c)である点、および導電層141および導電層151と絶縁層160
との間に酸化物半導体層の一部(酸化物半導体層130c)が介在している点を除き、ト
ランジスタ105と同様の構成を有する。
【0176】
また、本発明の一態様のトランジスタは、図29(A)、(B)に示す構成であってもよ
い。図29(A)はトランジスタ112の上面図であり、図29(A)に示す一点鎖線M
1-M2方向の断面が図29(B)に相当する。また、図29(A)に示す一点鎖線M3
-M4方向の断面が図30(A)に相当する。また、一点鎖線M1-M2方向をチャネル
長方向、一点鎖線M3-M4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
【0177】
トランジスタ112は、領域331、領域332、領域334および領域335において
酸化物半導体層130が二層(酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130b)であ
る点、領域333において酸化物半導体層130が三層(酸化物半導体層130a、酸化
物半導体層130b、酸化物半導体層130c)である点を除き、トランジスタ106と
同様の構成を有する。
【0178】
また、本発明の一態様のトランジスタは、図31(A)、(B)、(C)、(D)、(E
)、(F)に示すチャネル長方向の断面図、ならびに図30(C)、(D)に示すチャネ
ル幅方向の断面図のように、酸化物半導体層130と基板115との間に導電層173を
備えていてもよい。当該導電層を第2のゲート電極層(バックゲート)として用いること
で、オン電流の増加や、しきい値電圧の制御を行うことができる。なお、図31(A)、
(B)、(C)、(D)、(E)、(F)に示す断面図において、導電層173の幅を酸
化物半導体層130よりも短くしてもよい。さらに、導電層173の幅を導電層170の
幅よりも短くしてもよい。
【0179】
また、本発明の一態様のトランジスタにおける導電層140(ソース電極層)および導電
層150(ドレイン電極層)は、図32(A)に示すように、導電層140および導電層
150の幅(WSD)は、酸化物半導体層130の幅(WOS)よりも長く形成されてい
てもよい。また、図32(B)に示すように、WSDはWOSよりも短く形成されていて
もよい。WOS≧WSD(WSDはWOS以下)とすることで、ゲート電界が酸化物半導
体層130全体にかかりやすくなり、トランジスタの電気特性を向上させることができる
【0180】
本発明の一態様のトランジスタ(トランジスタ101乃至トランジスタ112)では、い
ずれの構成においても、ゲート電極層である導電層170は、ゲート絶縁膜である絶縁層
160を介して酸化物半導体層130のチャネル幅方向を電気的に取り囲み、オン電流が
高められる。このようなトランジスタの構造を、surrounded channel
(s-channel)構造とよぶ。
【0181】
また、酸化物半導体層130aおよび酸化物半導体層130bを有するトランジスタ、な
らびに酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130bおよび酸化物半導体層130c
を有するトランジスタにおいては、酸化物半導体層130を構成する二層または三層の材
料を適切に選択することで酸化物半導体層130bに電流を流すことができる。酸化物半
導体層130bに電流が流れることで、界面散乱の影響を受けにくく、高いオン電流を得
ることができる。なお、酸化物半導体層130bを厚くすると、オン電流を向上させるこ
とができる。例えば、酸化物半導体層130bの膜厚を100nm乃至200nmとして
もよい。
【0182】
以上の構成のトランジスタを用いることにより、半導体装置に良好な電気特性を付与する
ことができる。
【0183】
なお、本明細書において、チャネル長とは、例えば、トランジスタの上面図において、半
導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート
電極とが重なる領域、またはチャネルが形成される領域における、ソース(ソース領域ま
たはソース電極)とドレイン(ドレイン領域またはドレイン電極)との間の距離をいう。
なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル長が全ての領域で同じ値をとるとは限らな
い。即ち、一つのトランジスタのチャネル長は、一つの値に定まらない場合がある。その
ため、本明細書では、チャネル長は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の
値、最大値、最小値または平均値とする。
【0184】
また、チャネル幅とは、例えば、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体
の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが重なる領域、またはチャネルが形成される領
域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さをいう。なお、一つのト
ランジスタにおいて、チャネル幅がすべての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一
つのトランジスタのチャネル幅は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細
書では、チャネル幅は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、
最小値または平均値とする。
【0185】
なお、トランジスタの構造によっては、実際にチャネルの形成される領域におけるチャネ
ル幅(以下、実効的なチャネル幅と呼ぶ。)と、トランジスタの上面図において示される
チャネル幅(以下、見かけ上のチャネル幅と呼ぶ。)と、が異なる場合がある。例えば、
ゲート電極が半導体の側面を覆う場合、実効的なチャネル幅が、見かけ上のチャネル幅よ
りも大きくなり、その影響が無視できなくなる場合がある。例えば、微細かつゲート電極
が半導体の側面を覆うトランジスタでは、半導体の側面に形成されるチャネル領域の割合
が大きくなる場合がある。その場合は、見かけ上のチャネル幅よりも、実効的なチャネル
幅の方が大きくなる。
【0186】
このような場合、実効的なチャネル幅の、実測による見積もりが困難となる場合がある。
例えば、設計値から実効的なチャネル幅を見積もるためには、半導体の形状が既知という
仮定が必要である。したがって、半導体の形状が正確にわからない場合には、実効的なチ
ャネル幅を正確に測定することは困難である。
【0187】
そこで、本明細書では、見かけ上のチャネル幅を「囲い込みチャネル幅(SCW:Sur
rounded Channel Width)」と呼ぶ場合がある。また、本明細書で
は、単にチャネル幅と記載した場合には、囲い込みチャネル幅または見かけ上のチャネル
幅を指す場合がある。または、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、実効
的なチャネル幅を指す場合がある。なお、チャネル長、チャネル幅、実効的なチャネル幅
、見かけ上のチャネル幅、囲い込みチャネル幅などは、断面TEM像を解析することなど
によって、値を決定することができる。
【0188】
なお、トランジスタの電界効果移動度や、チャネル幅当たりの電流値などを計算して求め
る場合、囲い込みチャネル幅を用いて計算する場合がある。その場合には、実効的なチャ
ネル幅を用いて計算する場合とは異なる値をとる場合がある。
【0189】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることが
できる。
【0190】
(実施の形態5)
本実施の形態では、実施の形態4に示したトランジスタの構成要素について詳細を説明す
る。
【0191】
基板115は、トランジスタおよび/またはフォトダイオードが形成されたシリコン基板
、および当該シリコン基板上に絶縁層、配線、コンタクトプラグとして機能を有する導電
体等が形成されたものである。なお、シリコン基板にp-ch型のトランジスタを形成す
る場合、n型の導電型を有するシリコン基板を用いることが好ましい。または、n
またはi型のシリコン層を有するSOI基板であってもよい。また、当該シリコン基板に
おけるトランジスタを形成する面の面方位は、(110)面であることが好ましい。(1
10)面にp-ch型トランジスタを形成することで、移動度を高くすることができる。
【0192】
絶縁層120は、基板115に含まれる要素からの不純物の拡散を防止する役割を有する
ほか、酸化物半導体層130に酸素を供給する役割を担うことができる。したがって、絶
縁層120は酸素を含む絶縁膜であることが好ましく、化学量論組成よりも多い酸素を含
む絶縁膜であることがより好ましい。絶縁層120は、TDS法で測定した酸素原子に換
算しての酸素の放出量が1.0×1019atoms/cm以上であることが好ましい
。なお、上記TDS分析時における膜の表面温度は100℃以上700℃以下、または1
00℃以上500℃以下の範囲とする。絶縁層120は層間絶縁膜としての機能も有し、
表面が平坦になるようにCMP(Chemical Mechanical Polis
hing)法等で平坦化処理を行ってもよい。
【0193】
例えば、絶縁層120には、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化
窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム
、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルなどの酸化物絶縁膜
、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウムなどの窒
化物絶縁膜、またはこれらの混合材料を用いることができる。また、上記材料の積層であ
ってもよい。
【0194】
本実施の形態では、トランジスタが有する酸化物半導体層130が酸化物半導体層130
a、酸化物半導体層130bおよび酸化物半導体層130cを絶縁層120側から順に積
んだ三層構造である場合を主として詳細を説明する。
【0195】
なお、酸化物半導体層130が単層の場合は、本実施の形態に示す、酸化物半導体層13
0bに相当する層を用いればよい。
【0196】
また、酸化物半導体層130が二層の場合は、本実施の形態に示す、酸化物半導体層13
0aに相当する層および酸化物半導体層130bに相当する層を絶縁層120側から順に
積んだ積層を用いればよい。この構成の場合、酸化物半導体層130aと酸化物半導体層
130bとを入れ替えることもできる。
【0197】
また、酸化物半導体層130が四層以上である場合は、例えば、本実施の形態で説明する
三層構造の酸化物半導体層130に対して他の酸化物半導体層を付加する構成とすること
ができる。
【0198】
一例としては、酸化物半導体層130bには、酸化物半導体層130aおよび酸化物半導
体層130cよりも電子親和力(真空準位から伝導帯下端までのエネルギー)が大きい酸
化物半導体を用いる。電子親和力は、真空準位と価電子帯上端とのエネルギー差(イオン
化ポテンシャル)から、伝導帯下端と価電子帯上端とのエネルギー差(エネルギーギャッ
プ)を差し引いた値として求めることができる。
【0199】
酸化物半導体層130aおよび酸化物半導体層130cは、酸化物半導体層130bを構
成する金属元素を一種以上含み、例えば、伝導帯下端のエネルギーが酸化物半導体層13
0bよりも、0.05eV、0.07eV、0.1eV、0.15eVのいずれか以上で
あって、2eV、1eV、0.5eV、0.4eVのいずれか以下の範囲で真空準位に近
い酸化物半導体で形成することが好ましい。
【0200】
このような構造において、導電層170に電界を印加すると、酸化物半導体層130のう
ち、伝導帯下端のエネルギーが最も小さい酸化物半導体層130bにチャネルが形成され
る。
【0201】
また、酸化物半導体層130aは、酸化物半導体層130bを構成する金属元素を一種以
上含んで構成されるため、酸化物半導体層130bと絶縁層120が接した場合の界面と
比較して、酸化物半導体層130bと酸化物半導体層130aとの界面には界面準位が形
成されにくくなる。該界面準位はチャネルを形成することがあるため、トランジスタのし
きい値電圧が変動することがある。したがって、酸化物半導体層130aを設けることに
より、トランジスタのしきい値電圧などの電気特性のばらつきを低減することができる。
また、当該トランジスタの信頼性を向上させることができる。
【0202】
また、酸化物半導体層130cは、酸化物半導体層130bを構成する金属元素を一種以
上含んで構成されるため、酸化物半導体層130bとゲート絶縁膜(絶縁層160)が接
した場合の界面と比較して、酸化物半導体層130bと酸化物半導体層130cとの界面
ではキャリアの散乱が起こりにくくなる。したがって、酸化物半導体層130cを設ける
ことにより、トランジスタの電界効果移動度を高くすることができる。
【0203】
酸化物半導体層130aおよび酸化物半導体層130cには、例えば、Al、Ti、Ga
、Ge、Y、Zr、Sn、La、CeまたはHfを酸化物半導体層130bよりも高い原
子数比で含む材料を用いることができる。具体的には、当該原子数比を1.5倍以上、好
ましくは2倍以上、さらに好ましくは3倍以上とする。前述の元素は酸素と強く結合する
ため、酸素欠損が酸化物半導体層に生じることを抑制する機能を有する。すなわち、酸化
物半導体層130aおよび酸化物半導体層130cは、酸化物半導体層130bよりも酸
素欠損が生じにくいということができる。
【0204】
また、酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130b、および酸化物半導体層130
cとして用いることのできる酸化物半導体は、少なくともInもしくはZnを含むことが
好ましい。または、InとZnの双方を含むことが好ましい。また、該酸化物半導体を用
いたトランジスタの電気特性のばらつきを減らすため、それらと共に、スタビライザーを
含むことが好ましい。
【0205】
スタビライザーとしては、Ga、Sn、Hf、Al、またはZr等がある。また、他のス
タビライザーとしては、ランタノイドであるLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd
、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等がある。
【0206】
例えば、酸化物半導体として、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ガリウム、酸化亜鉛、I
n-Zn酸化物、Sn-Zn酸化物、Al-Zn酸化物、Zn-Mg酸化物、Sn-Mg
酸化物、In-Mg酸化物、In-Ga酸化物、In-Ga-Zn酸化物、In-Al-
Zn酸化物、In-Sn-Zn酸化物、Sn-Ga-Zn酸化物、Al-Ga-Zn酸化
物、Sn-Al-Zn酸化物、In-Hf-Zn酸化物、In-La-Zn酸化物、In
-Ce-Zn酸化物、In-Pr-Zn酸化物、In-Nd-Zn酸化物、In-Sm-
Zn酸化物、In-Eu-Zn酸化物、In-Gd-Zn酸化物、In-Tb-Zn酸化
物、In-Dy-Zn酸化物、In-Ho-Zn酸化物、In-Er-Zn酸化物、In
-Tm-Zn酸化物、In-Yb-Zn酸化物、In-Lu-Zn酸化物、In-Sn-
Ga-Zn酸化物、In-Hf-Ga-Zn酸化物、In-Al-Ga-Zn酸化物、I
n-Sn-Al-Zn酸化物、In-Sn-Hf-Zn酸化物、In-Hf-Al-Zn
酸化物を用いることができる。
【0207】
ここで、例えば、In-Ga-Zn酸化物とは、InとGaとZnを主成分として有する
酸化物という意味である。また、InとGaとZn以外の金属元素が入っていてもよい。
また、本明細書においては、In-Ga-Zn酸化物で構成した膜をIGZO膜とも呼ぶ
【0208】
また、InMO(ZnO)(m>0、且つ、mは整数でない)で表記される材料を用
いてもよい。なお、Mは、Ga、Y、Zr、La、Ce、またはNdから選ばれた一つの
金属元素または複数の金属元素を示す。また、InSnO(ZnO)(n>0、且
つ、nは整数)で表記される材料を用いてもよい。
【0209】
酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130b、酸化物半導体層130cが、少なく
ともインジウム、亜鉛およびM(Al、Ti、Ga、Ge、Y、Zr、Sn、La、Ce
またはHf等の金属)を含むIn-M-Zn酸化物であるとき、酸化物半導体層130a
をIn:M:Zn=x:y:z[原子数比]、酸化物半導体層130bをIn:M
:Zn=x:y:z[原子数比]、酸化物半導体層130cをIn:M:Zn=x
:y:z[原子数比]とすると、y/xおよびy/xがy/xよりも
大きくなることが好ましい。y/xおよびy/xはy/xよりも1.5倍以
上、好ましくは2倍以上、さらに好ましくは3倍以上とする。このとき、酸化物半導体層
130bにおいて、yがx以上であるとトランジスタの電気特性を安定させることが
できる。ただし、yがxの3倍以上になると、トランジスタの電界効果移動度が低下
してしまうため、yはxの3倍未満であることが好ましい。
【0210】
酸化物半導体層130aおよび酸化物半導体層130cにおけるZnおよびOを除いた場
合において、InおよびMの原子数比率は、好ましくはInが50atomic%未満、
Mが50atomic%以上、さらに好ましくはInが25atomic%未満、Mが7
5atomic%以上とする。また、酸化物半導体層130bのZnおよびOを除いての
InおよびMの原子数比率は、好ましくはInが25atomic%以上、Mが75at
omic%未満、さらに好ましくはInが34atomic%以上、Mが66atomi
c%未満とする。
【0211】
また、酸化物半導体層130bは、酸化物半導体層130aおよび酸化物半導体層130
cよりもインジウムの含有量を多くするとよい。酸化物半導体では主として重金属のs軌
道がキャリア伝導に寄与しており、Inの含有率を多くすることにより、より多くのs軌
道が重なるため、InがMよりも多い酸化物はInがMと同等または少ない酸化物と比較
して移動度が高くなる。そのため、酸化物半導体層130bにインジウムの含有量が多い
酸化物を用いることで、高い電界効果移動度のトランジスタを実現することができる。
【0212】
酸化物半導体層130aの厚さは、3nm以上100nm以下、好ましくは5nm以上5
0nm以下、さらに好ましくは5nm以上25nm以下とする。また、酸化物半導体層1
30bの厚さは、3nm以上200nm以下、好ましくは10nm以上150nm以下、
さらに好ましくは15nm以上100nm以下とする。また、酸化物半導体層130cの
厚さは、1nm以上50nm以下、好ましくは2nm以上30nm以下、さらに好ましく
は3nm以上15nm以下とする。また、酸化物半導体層130bは、酸化物半導体層1
30aおよび酸化物半導体層130cより厚い方が好ましい。
【0213】
酸化物半導体層をチャネルとするトランジスタに安定した電気特性を付与するためには、
酸化物半導体層中の不純物濃度を低減し、酸化物半導体層を真性または実質的に真性にす
ることが有効である。ここで、実質的に真性とは、酸化物半導体層のキャリア密度が、1
×1017/cm未満であること、1×1015/cm未満であること、あるいは1
×1013/cm未満であることとする。
【0214】
また、酸化物半導体層において、水素、窒素、炭素、シリコン、および主成分以外の金属
元素は不純物となる。例えば、水素および窒素はドナー準位の形成に寄与し、キャリア密
度を増大させてしまう。また、シリコンは酸化物半導体層中で不純物準位の形成に寄与す
る。当該不純物準位はトラップとなり、トランジスタの電気特性を劣化させることがある
。したがって、酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130bおよび酸化物半導体層
130cの層中や、それぞれの界面において不純物濃度を低減させることが好ましい。
【0215】
酸化物半導体層を真性または実質的に真性とするためには、SIMS(Secondar
y Ion Mass Spectrometry)分析で見積もられるシリコン濃度が
1×1019atoms/cm未満、好ましくは5×1018atoms/cm未満
、さらに好ましくは1×1018atoms/cm未満となる領域を有するように制御
する。また、水素濃度が、2×1020atoms/cm以下、好ましくは5×10
atoms/cm以下、より好ましくは1×1019atoms/cm以下、さら
に好ましくは5×1018atoms/cm以下になる領域を有するように制御する。
また、窒素濃度は、例えば、酸化物半導体層のある深さにおいて、または、酸化物半導体
層のある領域において、5×1019atoms/cm未満、好ましくは5×1018
atoms/cm以下、より好ましくは1×1018atoms/cm以下、さらに
好ましくは5×1017atoms/cm以下とする。
【0216】
シリコンや炭素が高濃度で含まれると、酸化物半導体層の結晶性を低下させることがある
。酸化物半導体層の結晶性を低下させないためには、例えばシリコン濃度を1×1019
atoms/cm未満、好ましくは5×1018atoms/cm未満、さらに好ま
しくは1×1018atoms/cm未満になる領域を有するように制御する。また、
炭素濃度を1×1019atoms/cm未満、好ましくは5×1018atoms/
cm未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm未満になる領域を有する
ように制御する。
【0217】
また、上述のように高純度化された酸化物半導体膜をチャネル形成領域に用いたトランジ
スタのオフ電流は極めて小さい。例えば、ソースとドレインとの間の電圧を0.1V、5
V、または、10V程度とした場合に、トランジスタのチャネル幅当たりのオフ電流を数
yA/μm乃至数zA/μmにまで低減することが可能となる。
【0218】
トランジスタのゲート絶縁膜としては、シリコンを含む絶縁膜が多く用いられるため、上
記理由により酸化物半導体層のチャネルとなる領域は、本発明の一態様のトランジスタの
ようにゲート絶縁膜と接しない構造が好ましいということができる。また、ゲート絶縁膜
と酸化物半導体層との界面にチャネルが形成される場合、該界面でキャリアの散乱が起こ
り、トランジスタの電界効果移動度が低くなる。このような観点からも、酸化物半導体層
のチャネルとなる領域はゲート絶縁膜から離すことが好ましいといえる。
【0219】
したがって、酸化物半導体層130を酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130b
、酸化物半導体層130cの積層構造とすることで、酸化物半導体層130bにチャネル
を形成することができ、高い電界効果移動度および安定した電気特性を有したトランジス
タを形成することができる。
【0220】
酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130b、酸化物半導体層130cのバンド構
造においては、伝導帯下端のエネルギーが連続的に変化する。これは、酸化物半導体層1
30a、酸化物半導体層130b、酸化物半導体層130cの組成が近似することにより
、酸素が相互に拡散しやすい点からも理解される。したがって、酸化物半導体層130a
、酸化物半導体層130b、酸化物半導体層130cは組成が異なる層の積層体ではある
が、物性的に連続であるということもでき、図面において、当該積層体のそれぞれの界面
は点線で表している。
【0221】
主成分を共通として積層された酸化物半導体層130は、各層を単に積層するのではなく
連続接合(ここでは特に伝導帯下端のエネルギーが各層の間で連続的に変化するU字型の
井戸構造(U Shape Well))が形成されるように作製する。すなわち、各層
の界面にトラップ中心や再結合中心のような欠陥準位を形成するような不純物が存在しな
いように積層構造を形成する。仮に、積層された酸化物半導体層の層間に不純物が混在し
ていると、エネルギーバンドの連続性が失われ、界面でキャリアがトラップあるいは再結
合により消滅してしまう。
【0222】
例えば、酸化物半導体層130aおよび酸化物半導体層130cにはIn:Ga:Zn=
1:3:2、1:3:3、1:3:4、1:3:6、1:4:5、1:6:4または1:
9:6(原子数比)などのIn-Ga-Zn酸化物などを用いることができる。また、酸
化物半導体層130bにはIn:Ga:Zn=1:1:1、2:1:3、5:5:6、ま
たは3:1:2(原子数比)などのIn-Ga-Zn酸化物などを用いることができる。
なお、酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130b、および酸化物半導体層130
cの原子数比はそれぞれ、誤差として上記の原子数比のプラスマイナス20%の変動を含
む。
【0223】
酸化物半導体層130における酸化物半導体層130bはウェル(井戸)となり、チャネ
ルは酸化物半導体層130bに形成される。なお、酸化物半導体層130は伝導帯下端の
エネルギーが連続的に変化しているため、U字型井戸とも呼ぶことができる。また、この
ような構成で形成されたチャネルを埋め込みチャネルということもできる。
【0224】
また、酸化物半導体層130aおよび酸化物半導体層130cと、酸化シリコン膜などの
絶縁層との界面近傍には、不純物や欠陥に起因したトラップ準位が形成され得る。酸化物
半導体層130aおよび酸化物半導体層130cがあることにより、酸化物半導体層13
0bと当該トラップ準位とを遠ざけることができる。
【0225】
ただし、酸化物半導体層130aおよび酸化物半導体層130cの伝導帯下端のエネルギ
ーと、酸化物半導体層130bの伝導帯下端のエネルギーとの差が小さい場合、酸化物半
導体層130bの電子が該エネルギー差を越えてトラップ準位に達することがある。電子
がトラップ準位に捕獲されることで、絶縁層界面にマイナスの電荷が生じ、トランジスタ
のしきい値電圧はプラス方向にシフトしてしまう。
【0226】
酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130bおよび酸化物半導体層130cには、
結晶部が含まれることが好ましい。特にc軸に配向した結晶を用いることでトランジスタ
に安定した電気特性を付与することができる。また、c軸に配向した結晶は歪曲に強く、
フレキシブル基板を用いた半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0227】
ソース電極層として作用する導電層140およびドレイン電極層として作用する導電層1
50には、例えば、Al、Cr、Cu、Ta、Ti、Mo、W、Ni、Mn、Nd、Sc
、および当該金属材料の合金から選ばれた材料の単層、または積層を用いることができる
。代表的には、特に酸素と結合しやすいTiや、後のプロセス温度が比較的高くできるこ
となどから、融点の高いWを用いることがより好ましい。また、低抵抗のCuやCu-M
nなどの合金と上記材料との積層を用いてもよい。トランジスタ105、トランジスタ1
06、トランジスタ111、トランジスタ112においては、例えば、導電層141およ
び導電層151にW、導電層142および導電層152にTiとAlとの積層膜などを用
いることができる。
【0228】
上記材料は酸化物半導体層から酸素を引き抜く性質を有する。そのため、上記材料と接し
た酸化物半導体層の一部の領域では酸化物半導体層中の酸素が脱離し、酸素欠損が形成さ
れる。層中に僅かに含まれる水素と当該酸素欠損が結合することにより当該領域はn型化
する。したがって、n型化した当該領域はトランジスタのソースまたはドレインとして作
用させることができる。
【0229】
また、導電層140および導電層150にWを用いる場合には、窒素をドーピングしても
よい。窒素をドーピングすることで酸素を引き抜く性質を適度に弱めることができ、n型
化した領域がチャネル領域まで拡大することを防ぐことができる。また、導電層140お
よび導電層150をn型の半導体層との積層とし、n型の半導体層と酸化物半導体層を接
触させることによってもn型化した領域がチャネル領域まで拡大することを防ぐことがで
きる。n型の半導体層としては、窒素が添加されたIn-Ga-Zn酸化物、酸化亜鉛、
酸化インジウム、酸化スズ、酸化インジウムスズなどを用いることができる。
【0230】
ゲート絶縁膜として作用する絶縁層160には、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、
酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸
化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、
酸化ハフニウムおよび酸化タンタルを一種以上含む絶縁膜を用いることができる。また、
絶縁層160は上記材料の積層であってもよい。なお、絶縁層160に、La、窒素、Z
rなどを、不純物として含んでいてもよい。
【0231】
また、絶縁層160の積層構造の一例について説明する。絶縁層160は、例えば、酸素
、窒素、シリコン、ハフニウムなどを有する。具体的には、酸化ハフニウム、および酸化
シリコンまたは酸化窒化シリコンを含むと好ましい。
【0232】
酸化ハフニウムおよび酸化アルミニウムは、酸化シリコンや酸化窒化シリコンと比べて比
誘電率が高い。したがって、酸化シリコンを用いる場合よりも膜厚を大きくできるため、
トンネル電流によるリーク電流を小さくすることができる。即ち、オフ電流の小さいトラ
ンジスタを実現することができる。さらに、結晶構造を有する酸化ハフニウムは、非晶質
構造を有する酸化ハフニウムと比べて高い比誘電率を備える。したがって、オフ電流の小
さいトランジスタとするためには、結晶構造を有する酸化ハフニウムを用いることが好ま
しい。結晶構造の例としては、単斜晶系や立方晶系などが挙げられる。ただし、本発明の
一態様は、これらに限定されない。
【0233】
また、酸化物半導体層130と接する絶縁層120および絶縁層160は、窒素酸化物の
放出量の少ない膜を用いることが好ましい。絶縁層120および絶縁層160には、例え
ば、窒素酸化物の放出量の少ない酸化窒化シリコン膜または酸化窒化アルミニウム膜等を
用いることができる。
【0234】
窒素酸化物の放出量の少ない酸化窒化シリコン膜は、TDS法において、窒素酸化物の放
出量よりアンモニアの放出量が多い膜であり、代表的にはアンモニアの放出量が1×10
18個/cm以上5×1019個/cm以下である。なお、アンモニアの放出量は、
膜の表面温度が50℃以上650℃以下、好ましくは50℃以上550℃以下の加熱処理
による放出量とする。
【0235】
絶縁層120および絶縁層160として、上記酸化物絶縁層を用いることで、トランジス
タのしきい値電圧のシフトを低減することが可能であり、トランジスタの電気特性の変動
を低減することができる。
【0236】
ゲート電極層として作用する導電層170には、例えば、Al、Ti、Cr、Co、Ni
、Cu、Y、Zr、Mo、Ru、Ag、Mn、Nd、Sc、TaおよびWなどの導電膜を
用いることができる。また、上記材料の合金や上記材料の導電性窒化物を用いてもよい。
また、上記材料、上記材料の合金、および上記材料の導電性窒化物から選ばれた複数の材
料の積層であってもよい。代表的には、タングステン、タングステンと窒化チタンの積層
、タングステンと窒化タンタルの積層などを用いることができる。また、低抵抗のCuま
たはCu-Mnなどの合金や上記材料とCuまたはCu-Mnなどの合金との積層を用い
てもよい。本実施の形態では、導電層171に窒化タンタル、導電層172にタングステ
ンを用いて導電層170を形成する。
【0237】
絶縁層175には、水素を含む窒化シリコン膜または窒化アルミニウム膜などを用いるこ
とができる。実施の形態4に示したトランジスタ103、トランジスタ104、トランジ
スタ106、トランジスタ109、トランジスタ110、およびトランジスタ112では
、絶縁層175として水素を含む絶縁膜を用いることで酸化物半導体層の一部をn型化す
ることができる。また、窒化絶縁膜は水分などのブロッキング膜としての作用も有し、ト
ランジスタの信頼性を向上させることができる。
【0238】
また、絶縁層175としては酸化アルミニウム膜を用いることもできる。特に、実施の形
態4に示したトランジスタ101、トランジスタ102、トランジスタ105、トランジ
スタ107、トランジスタ108、およびトランジスタ111では絶縁層175に酸化ア
ルミニウム膜を用いることが好ましい。酸化アルミニウム膜は、水素、水分などの不純物
、および酸素の両方に対して膜を透過させない遮断効果が高い。したがって、酸化アルミ
ニウム膜は、トランジスタの作製工程中および作製後において、水素、水分などの不純物
の酸化物半導体層130への混入防止、酸素の酸化物半導体層からの放出防止、絶縁層1
20からの酸素の不必要な放出防止の効果を有する保護膜として用いることに適している
。また、酸化アルミニウム膜に含まれる酸素を酸化物半導体層中に拡散させることもでき
る。
【0239】
また、絶縁層175上には絶縁層180が形成されていることが好ましい。当該絶縁層に
は、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリ
コン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ラ
ンタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルを一種以上含む絶縁膜を用い
ることができる。また、当該絶縁層は上記材料の積層であってもよい。
【0240】
ここで、絶縁層180は絶縁層120と同様に化学量論組成よりも多くの酸素を有するこ
とが好ましい。絶縁層180から放出される酸素は絶縁層160を経由して酸化物半導体
層130のチャネル形成領域に拡散させることができることから、チャネル形成領域に形
成された酸素欠損に酸素を補填することができる。したがって、安定したトランジスタの
電気特性を得ることができる。
【0241】
半導体装置を高集積化するにはトランジスタの微細化が必須である。一方、トランジスタ
の微細化によりトランジスタの電気特性が悪化することが知られており、特にチャネル幅
が縮小するとオン電流は低下する。
【0242】
本発明の一態様のトランジスタ107乃至トランジスタ112では、チャネルが形成され
る酸化物半導体層130bを覆うように酸化物半導体層130cが形成されており、チャ
ネル形成層とゲート絶縁膜が接しない構成となっている。そのため、チャネル形成層とゲ
ート絶縁膜との界面で生じるキャリアの散乱を抑えることができ、トランジスタのオン電
流を大きくすることができる。
【0243】
また、本発明の一態様のトランジスタでは、前述したように酸化物半導体層130のチャ
ネル幅方向を電気的に取り囲むようにゲート電極層(導電層170)が形成されているた
め、酸化物半導体層130に対しては上面に垂直な方向からのゲート電界に加えて、側面
に垂直な方向からのゲート電界が印加される。すなわち、チャネル形成層に対して全体的
にゲート電界が印加されることになり実効チャネル幅が拡大するため、さらにオン電流を
高められる。
【0244】
また、本発明の一態様における酸化物半導体層130が二層または三層のトランジスタで
は、チャネルが形成される酸化物半導体層130bを酸化物半導体層130a上に形成す
ることで界面準位を形成しにくくする効果を有する。また、本発明の一態様における酸化
物半導体層130が三層のトランジスタでは、酸化物半導体層130bを三層構造の中間
に位置する層とすることで上下からの不純物混入の影響を排除できる効果などを併せて有
する。そのため、上述したトランジスタのオン電流の向上に加えて、しきい値電圧の安定
化や、S値(サブスレッショルド値)の低減をはかることができる。したがって、ゲート
電圧VGが0V時の電流を下げることができ、消費電力を低減させることができる。また
、トランジスタのしきい値電圧が安定化することから、半導体装置の長期信頼性を向上さ
せることができる。また、本発明の一態様のトランジスタは、微細化にともなう電気特性
の劣化が抑えられることから、集積度の高い半導体装置の形成に適しているといえる。
【0245】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることが
できる。
【0246】
(実施の形態6)
本実施の形態では、実施の形態4で説明したトランジスタ101、トランジスタ107お
よびトランジスタ111の作製方法を説明する。
【0247】
まず、基板115に含まれるシリコントランジスタの作製方法を説明する。ここでは、一
例として、p-ch型トランジスタの作製方法を説明する。シリコン基板としては、n
型の単結晶シリコン基板を用い、表面に絶縁層(フィールド酸化膜とも言う)で分離した
素子形成領域を形成する。素子形成領域の形成は、LOCOS法(Local Oxid
ation of Silicon)、STI法(Shallow Trench Is
olation)等を用いることができる。
【0248】
ここで基板は単結晶シリコン基板に限らず、SOI(Silicon on Insul
ator)基板等を用いることもできる。
【0249】
次に、素子形成領域を覆うようにゲート絶縁膜を形成する。例えば、熱処理を行い素子形
成領域の表面を酸化させることにより酸化シリコン膜を形成する。また、酸化シリコン膜
を形成した後に窒化処理を行うことによって酸化シリコン膜の表面を窒化させてもよい。
【0250】
次に、ゲート絶縁膜を覆うように導電膜を形成する。導電膜としては、Ta、W、Ti、
Mo、Al、Cu、Cr、Nb等から選択された元素またはこれらの元素を主成分とする
合金材料若しくは化合物材料で形成することができる。また、これらの元素を窒化した金
属窒化膜で形成することもできる。他にも、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶
シリコンに代表される半導体材料により形成することもできる。
【0251】
次に、導電膜を選択的にエッチングすることによって、ゲート絶縁膜上にゲート電極層を
形成する。
【0252】
次に、ゲート電極層を覆うように酸化シリコン膜または窒化シリコン膜等の絶縁膜を形成
し、エッチバックを行ってゲート電極層の側面にサイドウォールを形成する。
【0253】
次に、素子形成領域以外を覆うようにレジストマスクを選択的に形成し、当該レジストマ
スクおよびゲート電極層をマスクとして不純物元素を導入することによってp型の不純
物領域を形成する。ここでは、p-ch型のトランジスタを形成するため、不純物元素と
しては、p型を付与する不純物元素であるBやGa等を用いることができる。
【0254】
以上でシリコン基板に活性領域を有するp-ch型のトランジスタが完成する。なお、当
該トランジスタ上には窒化シリコン膜や酸化アルミニウム膜などのパッシベーション膜を
形成することが好ましい。
【0255】
次に、トランジスタを形成したシリコン基板上に層間絶縁膜を形成し、各種コンタクトプ
ラグおよび各種配線を形成する。
【0256】
続いて、図33および図34を用いてトランジスタ101の作製方法を説明する。なお、
図面の左側にはトランジスタのチャネル長方向の断面を示し、右側にはチャネル幅方向の
断面を示す。また、チャネル幅方向の図面は拡大図のため、各要素の見かけ上の膜厚は左
右の図面で異なる。
【0257】
酸化物半導体層130は、酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130bおよび酸化
物半導体層130cの三層構造である場合を例示する。酸化物半導体層130が二層構造
の場合は、酸化物半導体層130aおよび酸化物半導体層130bの二層とすればよい。
また、酸化物半導体層130が単層構造の場合は、酸化物半導体層130bの一層とすれ
ばよい。
【0258】
まず、基板115上に絶縁層120を形成する。基板115の種類および絶縁層120の
材質は実施の形態5の説明を参照することができる。絶縁層120は、スパッタ法、CV
D法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法などを用いて形成す
ることができる。
【0259】
また、絶縁層120にイオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオン
インプランテーション法、プラズマ処理法などを用いて酸素を添加してもよい。酸素を添
加することによって、絶縁層120から酸化物半導体層130への酸素の供給をさらに容
易にすることができる。
【0260】
基板115の表面が絶縁体であり、後に設ける酸化物半導体層130への不純物拡散の影
響が無い場合は、絶縁層120を設けない構成とすることができる。
【0261】
次に、絶縁層120上に酸化物半導体層130aとなる酸化物半導体膜130A、酸化物
半導体層130bとなる酸化物半導体膜130B、および酸化物半導体層130cとなる
酸化物半導体膜130Cをスパッタ法、CVD法、MBE法などを用いて成膜する(図3
3(A)参照)。
【0262】
酸化物半導体層130が積層構造である場合、酸化物半導体膜はロードロック室を備えた
マルチチャンバー方式の成膜装置(例えばスパッタ装置)を用いて各層を大気に触れさせ
ることなく連続して積層することが好ましい。スパッタ装置における各チャンバーは、酸
化物半導体にとって不純物となる水等を可能な限り除去すべく、クライオポンプのような
吸着式の真空排気ポンプを用いて高真空排気(5×10-7Pa乃至1×10-4Pa程
度まで)できること、かつ、基板を100℃以上、好ましくは500℃以上に加熱できる
ことが好ましい。ターボ分子ポンプとコールドトラップを組み合わせて排気系からチャン
バー内に炭素成分や水分等を含む気体が逆流しないようにしておくことが好ましい。ター
ボ分子ポンプとクライオポンプを組み合わせた排気系を用いてもよい。
【0263】
高純度真性酸化物半導体を得るためには、チャンバー内を高真空排気するのみならずスパ
ッタガスを高純度化することが好ましい。スパッタガスとして用いる酸素ガスやアルゴン
ガスは、露点が-40℃以下、好ましくは-80℃以下、より好ましくは-100℃以下
にまで高純度化することで酸化物半導体膜に水分等が取り込まれることを可能な限り防ぐ
ことができる。
【0264】
酸化物半導体膜130A、酸化物半導体膜130B、および酸化物半導体膜130Cには
、実施の形態5で説明した材料を用いることができる。成膜法にスパッタ法を用いる場合
は、実施の形態5で説明した材料をターゲットとして成膜することができる。
【0265】
ただし、実施の形態5に詳細を記したように、酸化物半導体膜130Bには酸化物半導体
膜130Aおよび酸化物半導体膜130Cよりも電子親和力が大きい材料を用いる。
【0266】
酸化物半導体膜の成膜には、スパッタ法を用いることが好ましい。スパッタ法としては、
RFスパッタ法、DCスパッタ法、ACスパッタ法等を用いることができる。
【0267】
酸化物半導体膜130Cの形成後に、第1の加熱処理を行ってもよい。第1の加熱処理は
、250℃以上650℃以下、好ましくは300℃以上500℃以下の温度で、不活性ガ
ス雰囲気、酸化性ガスを10ppm以上含む雰囲気、または減圧状態で行えばよい。また
、第1の加熱処理の雰囲気は、不活性ガス雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補
うために酸化性ガスを10ppm以上含む雰囲気で行ってもよい。第1の加熱処理によっ
て、酸化物半導体膜130A、酸化物半導体膜130B、および酸化物半導体膜130C
の結晶性を高め、さらに絶縁層120、酸化物半導体膜130A、酸化物半導体膜130
B、および酸化物半導体膜130Cから水素や水などの不純物を除去することができる。
なお、第1の加熱処理は、後述する酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130b、
および酸化物半導体層130cを形成するエッチングの後に行ってもよい。
【0268】
次に、酸化物半導体膜130C上に導電層を形成する。導電層は、例えば、次の方法を用
いて形成することができる。
【0269】
まず、酸化物半導体膜130C上に第1の導電膜を形成する。第1の導電膜としては、A
l、Cr、Cu、Ta、Ti、Mo、W、Ni、Mn、Nd、Sc、および当該金属材料
の合金から選ばれた材料の単層、または積層を用いることができる。
【0270】
次に、第1の導電膜上にレジスト膜を形成し、当該レジスト膜に対して電子ビーム露光、
液浸露光、EUV露光などの方法を用いて露光し、現像処理を行うことで第1のレジスト
マスクを形成する。なお、第1の導電膜とレジスト膜の間には密着剤として有機塗布膜を
形成することが好ましい。また、ナノインプリントリソグラフィ法を用いて第1のレジス
トマスクを形成してもよい。
【0271】
次に、第1のレジストマスクを用いて、第1の導電膜を選択的にエッチングし、第1のレ
ジストマスクをアッシングすることにより導電層を形成する。
【0272】
次に、上記導電層をハードマスクとして用い、酸化物半導体膜130A、酸化物半導体膜
130B、および酸化物半導体膜130Cを選択的にエッチングして上記導電層を取り除
き、酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130b、および酸化物半導体層130c
の積層からなる酸化物半導体層130を形成する(図33(B)参照)。なお、上記導電
層を形成せずに、第1のレジストマスクを用いて酸化物半導体層130を形成してもよい
。ここで、酸化物半導体層130に対して酸素イオンを注入してもよい。
【0273】
次に、酸化物半導体層130を覆うように第2の導電膜を形成する。第2の導電膜として
は、実施の形態5で説明した導電層140および導電層150に用いることのできる材料
で形成すればよい。第2の導電膜の形成には、スパッタ法、CVD法、MBE法などを用
いることができる。
【0274】
次に、ソース領域およびドレイン領域となる部分の上に第2のレジストマスクを形成する
。そして、第2の導電膜の一部をエッチングし、導電層140および導電層150を形成
する(図33(C)参照)。
【0275】
次に、酸化物半導体層130、導電層140および導電層150上に絶縁膜160Aを形
成する。絶縁膜160Aは、実施の形態5で説明した絶縁層160に用いることのできる
材料で形成すればよい。絶縁膜160Aの形成には、スパッタ法、CVD法、MBE法な
どを用いることができる。
【0276】
次に、第2の加熱処理を行ってもよい。第2の加熱処理は、第1の加熱処理と同様の条件
で行うことができる。第2の加熱処理により、絶縁層120から酸素を酸化物半導体層1
30の全体に拡散させることができる。なお、第2の加熱処理を行わずに、第3の加熱処
理で上記効果を得てもよい。
【0277】
次に、絶縁膜160A上に導電層170となる第3の導電膜171Aおよび第4の導電膜
172Aを形成する。第3の導電膜171Aおよび第4の導電膜172Aは、実施の形態
5で説明した導電層171および導電層172に用いることのできる材料で形成すればよ
い。第3の導電膜171Aおよび第4の導電膜172Aの形成には、スパッタ法、CVD
法、MBE法などを用いることができる。
【0278】
次に、第4の導電膜172A上に第3のレジストマスク156を形成する(図34(A)
参照)。そして、第3のレジストマスク156を用いて、第3の導電膜171A、第4の
導電膜172Aおよび絶縁膜160Aを選択的にエッチングし、導電層171および導電
層172からなる導電層170、および絶縁層160を形成する(図34(B)参照)。
なお、絶縁膜160Aをエッチングしない構造とすれば、トランジスタ102を作製する
ことができる。
【0279】
次に、酸化物半導体層130、導電層140、導電層150、絶縁層160および導電層
170上に絶縁層175を形成する。絶縁層175の材質は、実施の形態5の説明を参照
することができる。トランジスタ101の場合は、酸化アルミニウム膜を用いることが好
ましい。絶縁層175は、スパッタ法、CVD法、MBE法などで形成することができる
【0280】
次に、絶縁層175上に絶縁層180を形成する(図34(C)参照)。絶縁層180の
材質は、実施の形態5の説明を参照することができる。また、絶縁層180は、スパッタ
法、CVD法、MBE法などで形成することができる。
【0281】
また、絶縁層175および/または絶縁層180にイオン注入法、イオンドーピング法、
プラズマイマージョンイオンインプランテーション法、プラズマ処理法などを用いて酸素
を添加してもよい。酸素を添加することによって、絶縁層175および/または絶縁層1
80から酸化物半導体層130への酸素の供給をさらに容易にすることができる。
【0282】
次に、第3の加熱処理を行ってもよい。第3の加熱処理は、第1の加熱処理と同様の条件
で行うことができる。第3の加熱処理により、絶縁層120、絶縁層175、絶縁層18
0から過剰酸素が放出されやすくなり、酸化物半導体層130の酸素欠損を低減すること
ができる。
【0283】
次に、トランジスタ107の作製方法について説明する。なお、上述したトランジスタ1
02の作製方法と重複する工程の詳細な説明は省略する。
【0284】
基板115上に絶縁層120を形成し、当該絶縁層上に酸化物半導体層130aとなる酸
化物半導体膜130A、および酸化物半導体層130bとなる酸化物半導体膜130Bを
スパッタ法、CVD法、MBE法などを用いて成膜する(図35(A)参照)。
【0285】
次に、第1の導電膜を酸化物半導体膜130B上に形成し、前述した方法と同様に第1の
レジストマスクを用いて導電層を形成する。そして、当該導電層をハードマスクとして酸
化物半導体膜130Aおよび酸化物半導体膜130Bを選択的にエッチングし、上記導電
層を取り除いて酸化物半導体層130aおよび酸化物半導体層130bからなる積層を形
成する(図35(B)参照)。なお、ハードマスクを形成せずに、第1のレジストマスク
を用いて当該積層を形成してもよい。ここで、酸化物半導体層130aおよび酸化物半導
体層130bに対して酸素イオンを注入してもよい。
【0286】
次に、上記積層を覆うように第2の導電膜を形成する。そして、ソース領域およびドレイ
ン領域となる部分の上に第2のレジストマスクを形成し、当該第2のレジストマスクを用
いて第2の導電膜の一部をエッチングし、導電層140および導電層150を形成する(
図35(C)参照)。
【0287】
次に、酸化物半導体層130aおよび酸化物半導体層130bの積層上、ならびに導電層
140および導電層150上に酸化物半導体層130cとなる酸化物半導体膜130Cを
形成する。さらに、酸化物半導体膜130C上に絶縁膜160A、第3の導電膜171A
および第4の導電膜172Aを形成する。
【0288】
次に、第4の導電膜172A上に第3のレジストマスク156を形成する(図36(A)
参照)。そして、当該レジストマスクを用いて、第3の導電膜171A、第4の導電膜1
72A、絶縁膜160A、および酸化物半導体膜130Cを選択的にエッチングし、導電
層171および導電層172からなる導電層170、絶縁層160、および酸化物半導体
層130cを形成する(図36(B)参照)。なお、絶縁膜160Aおよび酸化物半導体
膜130Cを第4のレジストマスクを用いてエッチングすることで、トランジスタ108
を作製することができる。
【0289】
次に、絶縁層120、酸化物半導体層130(酸化物半導体層130a、酸化物半導体層
130b、酸化物半導体層130c)、導電層140、導電層150、絶縁層160およ
び導電層170上に絶縁層175および絶縁層180を形成する(図36(C)参照)。
【0290】
以上の工程において、トランジスタ107を作製することができる。
【0291】
次に、トランジスタ111の作製方法について説明する。なお、上述したトランジスタ1
02の作製方法と重複する工程の詳細な説明は省略する。
【0292】
基板115上に絶縁層120を形成し、絶縁層120上に酸化物半導体層130aとなる
酸化物半導体膜130A、および酸化物半導体層130bとなる酸化物半導体膜130B
をスパッタ法、CVD法、MBE法などを用いて成膜する。そして、第1の導電膜を酸化
物半導体膜130B上に形成し、第1のレジストマスクを用いて導電層141aを形成す
る(図37(A)参照)。
【0293】
そして、導電層141aをハードマスクとして酸化物半導体膜130Aおよび酸化物半導
体膜130Bを選択的にエッチングし、酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130
bおよび導電層141aからなる積層を形成する(図37(B)参照)。ここで、酸化物
半導体層130aおよび酸化物半導体層130bに対して酸素イオンを注入してもよい。
【0294】
次に、ソース領域およびドレイン領域となる部分の上に第2のレジストマスクを形成し、
当該第2のレジストマスクを用いて導電層141aの一部をエッチングし、導電層141
および導電層151を形成する(図37(C)参照)。
【0295】
次に、酸化物半導体層130aおよび酸化物半導体層130bの積層上、ならびに導電層
141および導電層151上に酸化物半導体層130cとなる酸化物半導体膜130Cを
形成する。さらに、酸化物半導体膜130C上に絶縁膜160A、第3の導電膜171A
および第4の導電膜172Aを形成する。
【0296】
次に、第4の導電膜172A上に第3のレジストマスク156を形成する(図38(A)
参照)。そして、第3のレジストマスク156を用いて、第3の導電膜171A、第4の
導電膜172A、絶縁膜160A、および酸化物半導体膜130Cを選択的にエッチング
し、導電層171および導電層172からなる導電層170、絶縁層160、および酸化
物半導体層130cを形成する(図38(B)参照)。
【0297】
次に、絶縁層120、酸化物半導体層130(酸化物半導体層130a、酸化物半導体層
130b、酸化物半導体層130c)、導電層140、導電層150、絶縁層160およ
び導電層170上に絶縁層175および絶縁層180を形成する。
【0298】
次に、絶縁層175および絶縁層180に導電層141および導電層151に達する開口
部を設け、当該開口部を覆うように第5の導電膜を形成する。そして、第5の導電膜上に
第4のレジストマスクを設け、当該レジストマスクを用いて、第5の導電膜を選択的にエ
ッチングし、導電層142および導電層152を形成する(図38(C)参照)。
【0299】
以上の工程において、トランジスタ111を作製することができる。
【0300】
本実施の形態で説明した金属膜、半導体膜、無機絶縁膜など様々な膜は、代表的にはスパ
ッタ法やプラズマCVD法により形成することができるが、他の方法、例えば、熱CVD
法により形成してもよい。熱CVD法の例としては、MOCVD(Metal Orga
nic Chemical Vapor Deposition)法やALD(Atom
ic Layer Deposition)法などがある。
【0301】
熱CVD法は、プラズマを使わない成膜方法のため、プラズマダメージにより欠陥が生成
されることが無いという利点を有する。
【0302】
また、熱CVD法では、原料ガスと酸化剤を同時にチャンバー内に送り、チャンバー内を
大気圧または減圧下とし、基板近傍または基板上で反応させて基板上に堆積させることで
成膜を行ってもよい。
【0303】
ALD法は、チャンバー内を大気圧または減圧下とし、反応のための原料ガスをチャンバ
ーに導入・反応させ、これを繰り返すことで成膜を行う。原料ガスと一緒に不活性ガス(
アルゴン、或いは窒素など)をキャリアガスとして導入しても良い。例えば2種類以上の
原料ガスを順番にチャンバーに供給してもよい。その際、複数種の原料ガスが混ざらない
ように第1の原料ガスの反応後、不活性ガスを導入し、第2の原料ガスを導入する。ある
いは、不活性ガスを導入する代わりに真空排気によって第1の原料ガスを排出した後、第
2の原料ガスを導入してもよい。第1の原料ガスが基板の表面に吸着・反応して第1の層
を成膜し、後から導入される第2の原料ガスが吸着・反応して、第2の層が第1の層上に
積層されて薄膜が形成される。このガス導入順序を制御しつつ所望の厚さになるまで複数
回繰り返すことで、段差被覆性に優れた薄膜を形成することができる。薄膜の厚さは、ガ
ス導入の繰り返す回数によって調節することができるため、精密な膜厚調節が可能であり
、微細なFETを作製する場合に適している。
【0304】
MOCVD法やALD法などの熱CVD法は、これまでに記載した実施形態に開示された
金属膜、半導体膜、無機絶縁膜など様々な膜を形成することができ、例えば、In-Ga
-Zn-O膜を成膜する場合には、トリメチルインジウム(In(CH)、トリメ
チルガリウム(Ga(CH)、およびジメチル亜鉛(Zn(CH)を用いる
ことができる。これらの組み合わせに限定されず、トリメチルガリウムに代えてトリエチ
ルガリウム(Ga(C)を用いることもでき、ジメチル亜鉛に代えてジエチル
亜鉛(Zn(C)を用いることもできる。
【0305】
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化ハフニウム膜を形成する場合には、溶媒と
ハフニウム前駆体を含む液体(ハフニウムアルコキシドや、テトラキスジメチルアミドハ
フニウム(TDMAH、Hf[N(CH)やテトラキス(エチルメチルアミド
)ハフニウムなどのハフニウムアミド)を気化させた原料ガスと、酸化剤としてオゾン(
)の2種類のガスを用いる。
【0306】
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化アルミニウム膜を形成する場合には、溶媒
とアルミニウム前駆体を含む液体(トリメチルアルミニウム(TMA、Al(CH
)など)を気化させた原料ガスと、酸化剤としてHOの2種類のガスを用いる。他の材
料としては、トリス(ジメチルアミド)アルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ア
ルミニウムトリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナート)など
がある。
【0307】
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化シリコン膜を形成する場合には、ヘキサク
ロロジシランを被成膜面に吸着させ、酸化性ガス(O、一酸化二窒素)のラジカルを供
給して吸着物と反応させる。
【0308】
例えば、ALDを利用する成膜装置によりタングステン膜を成膜する場合には、WF
スとBガスを順次導入して初期タングステン膜を形成し、その後、WFガスとH
ガスを順次導入してタングステン膜を形成する。なお、Bガスに代えてSiH
ガスを用いてもよい。
【0309】
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化物半導体膜、例えばIn-Ga-Zn-O
膜を成膜する場合には、In(CHガスとOガスを順次導入してIn-O層を形
成し、その後、Ga(CHガスとOガスを順次導入してGaO層を形成し、更に
その後Zn(CHガスとOガスを順次導入してZnO層を形成する。なお、これ
らの層の順番はこの例に限らない。これらのガスを用いてIn-Ga-O層やIn-Zn
-O層、Ga-Zn-O層などの混合化合物層を形成しても良い。なお、Oガスに変え
てAr等の不活性ガスでバブリングして得られたHOガスを用いても良いが、Hを含ま
ないOガスを用いる方が好ましい。
【0310】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることが
できる。
【0311】
(実施の形態7)
以下では、本発明の一態様に用いることのできる酸化物半導体膜の構造について説明する
【0312】
なお、本明細書において、「平行」とは、二つの直線が-10°以上10°以下の角度で
配置されている状態をいう。したがって、-5°以上5°以下の場合も含まれる。また、
「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう
。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。
【0313】
また、本明細書において、結晶が三方晶または菱面体晶である場合、六方晶系として表す
【0314】
酸化物半導体膜は、非単結晶酸化物半導体膜と単結晶酸化物半導体膜とに大別される。非
単結晶酸化物半導体膜とは、CAAC-OS(C Axis Aligned Crys
talline Oxide Semiconductor)膜、多結晶酸化物半導体膜
、微結晶酸化物半導体膜、非晶質酸化物半導体膜などをいう。
【0315】
まずは、CAAC-OS膜について説明する。
【0316】
CAAC-OS膜は、c軸配向した複数の結晶部を有する酸化物半導体膜の一つである。
【0317】
透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Micro
scope)によって、CAAC-OS膜の明視野像および回折パターンの複合解析像(
高分解能TEM像ともいう。)を観察することで複数の結晶部を確認することができる。
一方、高分解能TEM像によっても明確な結晶部同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバ
ウンダリーともいう。)を確認することができない。そのため、CAAC-OS膜は、結
晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
【0318】
試料面と概略平行な方向から、CAAC-OS膜の断面の高分解能TEM像を観察すると
、結晶部において、金属原子が層状に配列していることを確認できる。金属原子の各層は
、CAAC-OS膜の膜を形成する面(被形成面ともいう。)または上面の凹凸を反映し
た形状であり、CAAC-OS膜の被形成面または上面と平行に配列する。
【0319】
一方、試料面と概略垂直な方向から、CAAC-OS膜の平面の高分解能TEM像を観察
すると、結晶部において、金属原子が三角形状または六角形状に配列していることを確認
できる。しかしながら、異なる結晶部間で、金属原子の配列に規則性は見られない。
【0320】
CAAC-OS膜に対し、X線回折(XRD:X-Ray Diffraction)装
置を用いて構造解析を行うと、例えばInGaZnOの結晶を有するCAAC-OS膜
のout-of-plane法による解析では、回折角(2θ)が31°近傍にピークが
現れる場合がある。このピークは、InGaZnOの結晶の(009)面に帰属される
ことから、CAAC-OS膜の結晶がc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に概
略垂直な方向を向いていることが確認できる。
【0321】
なお、InGaZnOの結晶を有するCAAC-OS膜のout-of-plane法
による解析では、2θが31°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れ
る場合がある。2θが36°近傍のピークは、CAAC-OS膜中の一部に、c軸配向性
を有さない結晶が含まれることを示している。CAAC-OS膜は、2θが31°近傍に
ピークを示し、2θが36°近傍にピークを示さないことが好ましい。
【0322】
CAAC-OS膜は、不純物濃度の低い酸化物半導体膜である。不純物は、水素、炭素、
シリコン、遷移金属元素などの酸化物半導体膜の主成分以外の元素である。特に、シリコ
ンなどの、酸化物半導体膜を構成する金属元素よりも酸素との結合力の強い元素は、酸化
物半導体膜から酸素を奪うことで酸化物半導体膜の原子配列を乱し、結晶性を低下させる
要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二酸化炭素などは、原子半径
(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体膜内部に含まれると、酸化物半導体膜の
原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。なお、酸化物半導体膜に含まれる不純
物は、キャリアトラップやキャリア発生源となる場合がある。
【0323】
また、CAAC-OS膜は、欠陥準位密度の低い酸化物半導体膜である。例えば、酸化物
半導体膜中の酸素欠損は、キャリアトラップとなることや、水素を捕獲することによって
キャリア発生源となることがある。
【0324】
不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い(酸素欠損の少ない)ことを、高純度真性または
実質的に高純度真性と呼ぶ。高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜
は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる。したがって、
当該酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性(
ノーマリーオンともいう。)になることが少ない。また、高純度真性または実質的に高純
度真性である酸化物半導体膜は、キャリアトラップが少ない。そのため、当該酸化物半導
体膜を用いたトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとな
る。なお、酸化物半導体膜のキャリアトラップに捕獲された電荷は、放出するまでに要す
る時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、不純物濃度が
高く、欠陥準位密度が高い酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、電気特性が不安定と
なる場合がある。
【0325】
また、CAAC-OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性
の変動が小さい。
【0326】
次に、微結晶酸化物半導体膜について説明する。
【0327】
微結晶酸化物半導体膜は、高分解能TEM像において、結晶部を確認することのできる領
域と、明確な結晶部を確認することのできない領域と、を有する。微結晶酸化物半導体膜
に含まれる結晶部は、1nm以上100nm以下、または1nm以上10nm以下の大き
さであることが多い。特に、1nm以上10nm以下、または1nm以上3nm以下の微
結晶であるナノ結晶(nc:nanocrystal)を有する酸化物半導体膜を、nc
-OS(nanocrystalline Oxide Semiconductor)
膜と呼ぶ。また、nc-OS膜は、例えば、高分解能TEM像では、結晶粒界を明確に確
認できない場合がある。
【0328】
nc-OS膜は、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上
3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc-OS膜は、異なる
結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。し
たがって、nc-OS膜は、分析方法によっては、非晶質酸化物半導体膜と区別が付かな
い場合がある。例えば、nc-OS膜に対し、結晶部よりも大きい径のX線を用いるXR
D装置を用いて構造解析を行うと、out-of-plane法による解析では、結晶面
を示すピークが検出されない。また、nc-OS膜に対し、結晶部よりも大きいプローブ
径(例えば50nm以上)の電子線を用いる電子回折(制限視野電子回折ともいう。)を
行うと、ハローパターンのような回折パターンが観測される。一方、nc-OS膜に対し
、結晶部の大きさと近いか結晶部より小さいプローブ径の電子線を用いるナノビーム電子
回折を行うと、スポットが観測される。また、nc-OS膜に対しナノビーム電子回折を
行うと、円周状に分布したスポットが観測される場合がある。また、nc-OS膜に対し
ナノビーム電子回折を行うと、リング状の領域内に複数のスポットが観測される場合があ
る。
【0329】
nc-OS膜は、非晶質酸化物半導体膜よりも規則性の高い酸化物半導体膜である。その
ため、nc-OS膜は、非晶質酸化物半導体膜よりも欠陥準位密度が低くなる。ただし、
nc-OS膜は、異なる結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、nc-O
S膜は、CAAC-OS膜と比べて欠陥準位密度が高くなる。
【0330】
次に、非晶質酸化物半導体膜について説明する。
【0331】
非晶質酸化物半導体膜は、膜中における原子配列が不規則であり、結晶部を有さない酸化
物半導体膜である。石英のような無定形状態を有する酸化物半導体膜が一例である。
【0332】
非晶質酸化物半導体膜は、高分解能TEM像において結晶部を確認することができない。
【0333】
非晶質酸化物半導体膜に対し、XRD装置を用いた構造解析を行うと、out-of-p
lane法による解析では、結晶面を示すピークが検出されない。また、非晶質酸化物半
導体膜に対し、電子回折を行うと、ハローパターンが観測される。また、非晶質酸化物半
導体膜に対し、ナノビーム電子回折を行うと、スポットが観測されず、ハローパターンが
観測される。
【0334】
なお、酸化物半導体膜は、nc-OS膜と非晶質酸化物半導体膜との間の物性を示す構造
を有する場合がある。そのような構造を有する酸化物半導体膜を、特に非晶質ライク酸化
物半導体(a-like OS:amorphous-like Oxide Semi
conductor)膜と呼ぶ。
【0335】
a-like OS膜は、高分解能TEM像において鬆(ボイドともいう。)が観察され
る場合がある。また、高分解能TEM像において、明確に結晶部を確認することのできる
領域と、結晶部を確認することのできない領域と、を有する。a-like OS膜は、
TEMによる観察程度の微量な電子照射によって、結晶化が起こり、結晶部の成長が見ら
れる場合がある。一方、良質なnc-OS膜であれば、TEMによる観察程度の微量な電
子照射による結晶化はほとんど見られない。
【0336】
なお、a-like OS膜およびnc-OS膜の結晶部の大きさの計測は、高分解能T
EM像を用いて行うことができる。例えば、InGaZnOの結晶は層状構造を有し、
In-O層の間に、Ga-Zn-O層を2層有する。InGaZnOの結晶の単位格子
は、In-O層を3層有し、またGa-Zn-O層を6層有する、計9層がc軸方向に層
状に重なった構造を有する。よって、これらの近接する層同士の間隔は、(009)面の
格子面間隔(d値ともいう。)と同程度であり、結晶構造解析からその値は0.29nm
と求められている。そのため、高分解能TEM像における格子縞に着目し、格子縞の間隔
が0.28nm以上0.30nm以下である箇所においては、それぞれの格子縞がInG
aZnOの結晶のa-b面に対応する。
【0337】
なお、酸化物半導体膜は、例えば、非晶質酸化物半導体膜、a-like OS膜、微結
晶酸化物半導体膜、CAAC-OS膜のうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。
【0338】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることが
できる。
【0339】
(実施の形態8)
本発明の一態様に係る撮像装置および当該撮像装置を含む半導体装置は、表示機器、パー
ソナルコンピュータ、記録媒体を備えた画像再生装置(代表的にはDVD:Digita
l Versatile Disc等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディス
プレイを有する装置)に用いることができる。その他に、本発明の一態様に係る撮像装置
および当該撮像装置を含む半導体装置を用いることができる電子機器として、携帯電話、
携帯型を含むゲーム機、携帯データ端末、電子書籍端末、ビデオカメラ、デジタルスチル
カメラ等のカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲー
ションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディオプレイヤー等)、
複写機、ファクシミリ、プリンタ、プリンタ複合機、現金自動預け入れ払い機(ATM)
、自動販売機などが挙げられる。これら電子機器の具体例を図39に示す。
【0340】
図39(A)は携帯型ゲーム機であり、筐体901、筐体902、表示部903、表示部
904、マイク905、スピーカー906、操作キー907、スタイラス908、カメラ
909等を有する。なお、図39(A)に示した携帯型ゲーム機は、2つの表示部903
と表示部904とを有しているが、携帯型ゲーム機が有する表示部の数は、これに限定さ
れない。カメラ909には本発明の一態様の撮像装置を用いることができる。
【0341】
図39(B)は携帯データ端末であり、第1筐体911、表示部912、カメラ919等
を有する。表示部912が有するタッチパネル機能により情報の入出力を行うことができ
る。カメラ919には本発明の一態様の撮像装置を用いることができる。
【0342】
図39(C)はデジタルカメラであり、筐体921、シャッターボタン922、マイク9
23、発光部927、レンズ925等を有する。レンズ925の焦点となる位置には本発
明の一態様の撮像装置を備えることができる。
【0343】
図39(D)は腕時計型の情報端末であり、筐体931、表示部932、リストバンド9
33、カメラ939等を有する。表示部932はタッチパネルとなっていてもよい。カメ
ラ939には本発明の一態様の撮像装置を用いることができる。
【0344】
図39(E)はビデオカメラであり、第1筐体941、第2筐体942、表示部943、
操作キー944、レンズ945、接続部946等を有する。操作キー944およびレンズ
945は第1筐体941に設けられており、表示部943は第2筐体942に設けられて
いる。そして、第1筐体941と第2筐体942とは、接続部946により接続されてお
り、第1筐体941と第2筐体942の間の角度は、接続部946により変更が可能であ
る。表示部943における映像を、接続部946における第1筐体941と第2筐体94
2との間の角度に従って切り替える構成としても良い。レンズ945の焦点となる位置に
は本発明の一態様の撮像装置を備えることができる。
【0345】
図39(F)は携帯電話であり、筐体951に、表示部952、マイク957、スピーカ
ー954、カメラ959、入出力端子956、操作用のボタン955等を有する。カメラ
959には本発明の一態様の撮像装置を用いることができる。
【0346】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる
【符号の説明】
【0347】
11 回路
12 回路
13 回路
21 配線
22 配線
23 配線
24 配線
25 配線
26 配線
27 配線
28 配線
29 配線
30 配線
31 配線
32 配線
40 シリコン基板
51 トランジスタ
52 トランジスタ
53 トランジスタ
54 トランジスタ
55 トランジスタ
56 トランジスタ
57 トランジスタ
58 トランジスタ
59 トランジスタ
60 フォトダイオード
70 トランジスタ
71 トランジスタ
80 絶縁層
90 回路部
92 回路部
101 トランジスタ
102 トランジスタ
103 トランジスタ
104 トランジスタ
105 トランジスタ
106 トランジスタ
107 トランジスタ
108 トランジスタ
109 トランジスタ
110 トランジスタ
111 トランジスタ
112 トランジスタ
115 基板
120 絶縁層
130 酸化物半導体層
130a 酸化物半導体層
130A 酸化物半導体膜
130b 酸化物半導体層
130B 酸化物半導体膜
130c 酸化物半導体層
130C 酸化物半導体膜
140 導電層
141 導電層
141a 導電層
142 導電層
150 導電層
151 導電層
152 導電層
156 レジストマスク
160 絶縁層
160A 絶縁膜
170 導電層
171 導電層
171A 導電膜
172 導電層
172A 導電膜
173 導電層
175 絶縁層
180 絶縁層
231 領域
232 領域
233 領域
331 領域
332 領域
333 領域
334 領域
335 領域
400 画素部
410 行ドライバ
420 A/D変換回路
430 列ドライバ
501 信号
502 信号
503 信号
504 信号
505 信号
506 信号
507 信号
508 信号
509 信号
510 期間
511 期間
520 期間
531 期間
610 期間
611 期間
612 期間
613 期間
621 期間
622 期間
623 期間
631 期間
901 筐体
902 筐体
903 表示部
904 表示部
905 マイク
906 スピーカー
907 操作キー
908 スタイラス
909 カメラ
911 筐体
912 表示部
919 カメラ
921 筐体
922 シャッターボタン
923 マイク
925 レンズ
927 発光部
931 筐体
932 表示部
933 リストバンド
939 カメラ
941 筐体
942 筐体
943 表示部
944 操作キー
945 レンズ
946 接続部
951 筐体
952 表示部
954 スピーカー
955 ボタン
956 入出力端子
957 マイク
959 カメラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11
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図19
図20
図21
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図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42