(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165999
(43)【公開日】2023-11-17
(54)【発明の名称】緩下用錠剤
(51)【国際特許分類】
A61K 33/08 20060101AFI20231110BHJP
A61P 1/10 20060101ALI20231110BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20231110BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20231110BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
A61K33/08
A61P1/10
A61K9/20
A61K47/38
A61K47/32
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023170375
(22)【出願日】2023-09-29
(62)【分割の表示】P 2022087199の分割
【原出願日】2019-11-15
(31)【優先権主張番号】P 2018215180
(32)【優先日】2018-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】722010585
【氏名又は名称】セトラスホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100139022
【弁理士】
【氏名又は名称】小野田 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100192463
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 剛規
(74)【代理人】
【識別番号】100169328
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(72)【発明者】
【氏名】服部 篤之
(57)【要約】
【課題】錠剤を水に懸濁させた際に生じる粒子の粒子径が微細となり、かつ短時間で崩壊する緩下用錠剤を提供する。
【解決手段】酸化マグネシウムを主成分とする緩下用錠剤であって、(1)該錠剤を水に懸濁した際に生じる粒子が、レーザー回折法により体積基準50%粒子径(D50)70μm以下であり、(2)該錠剤を水に懸濁した際に生じる粒子が、レーザー回折法により体積基準90%粒子径(D90)130μm以下であり、かつ (3)該錠剤は、日本薬局方一般試験法崩壊試験法における水懸濁時の崩壊時間が10秒以下である、錠剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化マグネシウムを主成分とする緩下用錠剤であって、
(1)該錠剤を水に懸濁した際に生じる粒子が、レーザー回折法により体積基準50%粒子径(D50)70μm以下であり、
(2)該錠剤を水に懸濁した際に生じる粒子が、レーザー回折法により体積基準90%粒子径(D90)130μm以下であり、かつ
(3)該錠剤は、日本薬局方一般試験法崩壊試験法における水懸濁時の崩壊時間が10秒以下である、錠剤。
【請求項2】
(1)レーザー回折法により測定した体積基準50%粒子径(D50)が0.5~10μmの酸化マグネシウム、結合剤としての結晶セルロース、崩壊剤1としてのクロスカロメロースナトリウム、及び崩壊剤2としての不溶性ポリビニルピロリドンを混合後、乾式造粒して酸化マグネシウム顆粒を作製する工程、
(2)次いで得られた酸化マグネシウム顆粒に、結合剤としての結晶セルロース及び滑沢剤を配合する工程、及び
(3)得られた顆粒を打錠する工程
を含む酸化マグネシウムを主成分とする緩下用錠剤の製造方法。
【請求項3】
(1)レーザー回折法により測定した体積基準50%粒子径(D50)が0.5~10μmの酸化マグネシウム、結合剤としての結晶セルロース、及び崩壊剤2としての不溶性ポリビニルピロリドンを混合後、乾式造粒して酸化マグネシウム顆粒を作製する工程、
(2)次いで得られた酸化マグネシウム顆粒に、崩壊剤1としてのクロスカロメロースナトリウム、結合剤としての結晶セルロース及び滑沢剤を配合する工程、及び
(3)得られた顆粒を打錠する工程
を含む酸化マグネシウムを主成分とする緩下用錠剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化マグネシウムを主成分とする緩下用錠剤に関する。さらに詳しくは、錠剤を水に懸濁させた際の粒子径が微細であり、かつ短時間で崩壊する緩下用錠剤及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、酸化マグネシウムを主成分とする錠剤は、制酸乃至緩下用の錠剤として知られ、現在幅広く用いられている。この酸化マグネシウムを含有する錠剤は、酸化マグネシウムに結合剤や崩壊剤等の添加剤を配合し、打錠して製造される。
【0003】
本出願人は、酸化マグネシウムの含有量が高く、崩壊時間が短く、かつ打錠障害、黒ずみ、打錠斑が実質的に存在しない制酸・緩下用錠剤を提案した(特許文献1)。特許文献1記載の錠剤は、特定の粒子径を有する酸化マグネシウムの含有割合が88~97重量%であり、結合剤として結晶セルロースやデンプンを1~10重量%、崩壊剤としてクロスカロメロースナトリウムやカルボキシスターチナトリウムを1~3.5重量%含有することを特徴としている。
【0004】
また本出願人は、酸化マグネシウムの含有率が高く、崩壊時間が短く、その短い崩壊時間の特性が長時間持続し、かつ摩損や端欠けの少ない制酸・緩下用錠剤を提案した(特許文献2)。特許文献2記載の錠剤は、崩壊剤として2種類の化合物を特定割合で含有し、特定形状であることを特徴としている。
【0005】
嚥下障害患者に薬剤を投与する場合、経管投与が選択されることがある。経管投与時に使用される薬剤が錠剤であれば、それを粉砕する必要があるが、この粉砕調剤は、粉砕後に製剤の物理化学的安定性、薬効等への影響が指摘されており、その他にも調剤業務の煩雑化など、課題が多かった。そこで、錠剤を粉砕することなく、水に崩壊・懸濁させ、その分散液を経管栄養チューブにより投与する方法が提案された。
【0006】
本出願人は、経管栄養チューブによる投与に適した、酸化マグネシウムを含有する水分散液及びそのための錠剤を提案した(特許文献3)。特許文献3記載の錠剤は、特定の粒子径を有する酸化マグネシウム、特定の結合剤及び崩壊剤を一定の割合で含有することを特徴としている。該錠剤は水中で速やかに崩壊し、得られた水分散液は経管栄養チューブ内で閉塞を起こすことなく、スムースに投与できるとされている。また、経管栄養チューブの太さは一般的に1.0~6.0mmであるが、成人では2.7~4.0mm程度のものがよく使用されると記載されている。
【0007】
経管投与を行う場合、通常成人向けでは8Fr(外径2.7mm)の経管栄養チューブが使用されるが、小児向けにおいては、体重に応じてさらに細い3Fr(外径1.0mm)や4Fr(外径1.3mm)の経管栄養チューブが使用されている(非特許文献1及び非特許文献2)。そこで、3Frの経管栄養チューブ内で粒子が閉塞を起こすことなくスムースに投与できる、酸化マグネシウムを含有する水分散液及びそのための錠剤が求められてきた。しかし、従来処方で製造した酸化マグネシウム錠剤の水懸濁液では、3Frの経管栄養チューブをスムースに通過させることは困難であった。
【0008】
さらに、酸化マグネシウム錠剤を経口投与する場合についても、患者の服薬に対する負担を減らすため、錠剤が口腔内で素早く崩壊することが求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003-146889号
【特許文献2】WO2011-030659号
【特許文献3】特開2006-022060号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】神戸大学医学部小児科編、「新版 未熟児新生児の管理」、日本小児医事出版社、2000年9月、p133
【非特許文献2】末丸克矢、外6名、「小児用経鼻チューブの薬剤通過性」、医療薬学、日本医療薬学会、2003年6月、第29巻、第3号、p337-340
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の1つ目の課題は、錠剤を水に懸濁させた際に生じる粒子の粒子径が微細となり、かつ短時間で崩壊する緩下用錠剤を提供することである。2つ目の課題は、錠剤を水に懸濁させた際に生じる粒子が3Frの経管栄養チューブをスムースに通過し、小児の経管投与に用いることができる緩下用錠剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、鋭意研究の結果、特定の崩壊剤の種類、配合割合及び製造方法を用いることにより、錠剤を水に懸濁させた際に生じる粒子の粒子径が微細となり、かつ短時間で崩壊する緩下用錠剤を作製できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち本発明では、以下の実施態様を提供する:
(1) 酸化マグネシウムを主成分とする緩下用錠剤であって、
(i)該錠剤を水に懸濁した際に生じる粒子が、レーザー回折法により体積基準50%粒子径(D50)70μm以下であり、
(ii)該錠剤を水に懸濁した際に生じる粒子が、レーザー回折法により体積基準90%粒子径(D90)130μm以下であり、かつ
(iii)該錠剤は、日本薬局方一般試験法崩壊試験法における水懸濁時の崩壊時間が10秒以下である、錠剤。
【0014】
さらに本発明の緩下用錠剤は、下記様態であることが好ましい。
(2) 崩壊剤1及び崩壊剤2を含む錠剤であって、崩壊剤1として、クロスカルメロースナトリウム0.5~3.5重量%、及び崩壊剤2として、不溶性ポリビニルピロリドン0.5~3.5重量%を含み、クロスカルメロースナトリウムと不溶性ポリビニルピロリドンの重量比が0.1~5:1である緩下用錠剤。
(3) 崩壊剤2としての不溶性ポリビニルピロリドンは、レーザー回折法により測定した体積基準50%粒子径(D50)が15μm以下である緩下用錠剤。
(4) 錠剤が、酸化マグネシウムを80~96重量%含有する緩下用錠剤。
(5) 酸化マグネシウムを一錠あたり50~250mg含む緩下用錠剤。
(6) 小児用である緩下用錠剤。
(7) 小児の経管投与に用いる緩下用錠剤。
(8) (A1)レーザー回折法により測定した体積基準50%粒子径(D50)が0.5~10μmの酸化マグネシウム、結合剤としての結晶セルロース、崩壊剤1としてのクロスカロメロースナトリウム、及び崩壊剤2としての不溶性ポリビニルピロリドンを混合後、乾式造粒して酸化マグネシウム顆粒を作製する工程、
(A2)次いで得られた酸化マグネシウム顆粒に、結合剤としての結晶セルロース及び滑沢剤、及び所望により甘味剤を配合する工程、及び
(A3)得られた顆粒を打錠する工程、により得られる
酸化マグネシウムを主成分とする緩下用錠剤。
(9) (B1)レーザー回折法により測定した体積基準50%粒子径(D50)が0.5~10μmの酸化マグネシウム、結合剤としての結晶セルロース、及び崩壊剤2としての不溶性ポリビニルピロリドンを混合後、乾式造粒して酸化マグネシウム顆粒を作製する工程、
(B2)次いで得られた酸化マグネシウム顆粒に、崩壊剤1としてのクロスカロメロースナトリウム、結合剤としての結晶セルロース及び滑沢剤、及び所望により甘味剤を配合する工程、及び
(B3)得られた顆粒を打錠する工程、により得られる
酸化マグネシウムを主成分とする緩下用錠剤。
【0015】
また、本発明によれば、本発明の緩下用錠剤は、以下の(A)及び(B)の製造方法により調製できる。
製造方法(A)
(A1)レーザー回折法により測定した体積基準50%粒子径(D50)が0.5~10μmの酸化マグネシウム、結合剤としての結晶セルロース、崩壊剤1としてのクロスカロメロースナトリウム、及び崩壊剤2としての不溶性ポリビニルピロリドンを混合後、乾式造粒して酸化マグネシウム顆粒を作製する工程、
(A2)次いで得られた酸化マグネシウム顆粒に、結合剤としての結晶セルロース及び滑沢剤、及び所望により甘味剤を配合する工程、及び
(A3)得られた顆粒を打錠する工程
を含む酸化マグネシウムを主成分とする緩下用錠剤の製造方法。
【0016】
製造方法(B)
(B1)レーザー回折法により測定した体積基準50%粒子径(D50)が0.5~10μmの酸化マグネシウム、結合剤としての結晶セルロース、及び崩壊剤2としての不溶性ポリビニルピロリドンを混合後、乾式造粒して酸化マグネシウム顆粒を作製する工程、
(B2)次いで得られた酸化マグネシウム顆粒に、崩壊剤1としてのクロスカロメロースナトリウム、結合剤としての結晶セルロース及び滑沢剤、及び所望により甘味剤を配合する工程、及び
(B3)得られた顆粒を打錠する工程
を含む酸化マグネシウムを主成分とする緩下用錠剤の製造方法。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、錠剤を水に懸濁させた際に生じる粒子の粒子径が微細となり、かつ短時間で崩壊する緩下用錠剤が提供される。患者、特に小児に対し経管投与を行う際、該錠剤を水に崩壊・懸濁させ、従来よりも細い経管栄養チューブを閉塞させることなく、スムースに投与を行うことが可能となる。また、該錠剤は口腔内での崩壊時間が短く、患者の服用に対する負担を減らすことができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明について具体的に説明する。
【0019】
<緩下用錠剤>
(酸化マグネシウム)
本発明の緩下用錠剤中に含まれる酸化マグネシウムは、レーザー回折法により測定した体積基準50%粒子径(D50)が0.5~10μm、好ましくは1~7μmである。該錠剤中の酸化マグネシウムの含有量は80~96重量%、好ましくは82~94重量%である(よって、酸化マグネシウムが主成分となる)。該錠剤一錠あたりに含まれる酸化マグネシウムは50~250mgであり、好ましくは70~230mg、より好ましくは90~210mgである。このような酸化マグネシウムとしては、例えば酸化マグネシウムT(協和化学工業製)が使用可能である。
【0020】
(崩壊剤)
本発明の緩下用錠剤は、崩壊剤1としてクロスカルメロースナトリウム、崩壊剤2として不溶性ポリビニルピロリドンを含有する。該錠剤中のクロスカルメロースナトリウムの含有量は0.5~3.5重量%、好ましくは1~3重量%である。該錠剤中の不溶性ポリビニルピロリドンの含有量は0.5~3.5重量%、好ましくは1~3重量%である。該錠剤中の崩壊剤1と崩壊剤2の重量比は0.1~5:1であり、好ましくは0.3~4:1である。不溶性ポリビニルピロリドンは、レーザー回折法により測定した体積基準50%粒子径(D50)が15μm以下であり、好ましくは10μm以下である。体積基準50%粒子径(D50)が15μm以下の不溶性ポリビニルピロリドンとしては、例えばKollidon CL-M(BASF製)が使用可能である。
【0021】
(結合剤)
本発明の緩下用錠剤は、結合剤を含有する。結合剤としては例えば、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。好ましくは結晶セルロースが用いられる。該錠剤中の結合剤の含有量は3~15重量%、好ましくは5~13重量%である。
【0022】
(滑沢剤)
本発明の緩下用錠剤は、滑沢剤を含有する。滑沢剤としては、例えばステアリン酸及びその塩(Na、Mg、Ca塩)等が挙げられる。好ましくは、ステアリン酸カルシウムが用いられる。該錠剤中の滑沢剤の含有量は0.5~2重量%、好ましくは0.7~1.5重量%である。
【0023】
(甘味剤)
本発明の緩下用錠剤は、甘味剤を含有する。甘味剤としては、例えばアスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース等が挙げられる。好ましくは、アスパルテーム及びアセスルファムカリウムからなる群から選ばれる1種以上が用いられる。該錠剤中の甘味剤の含有量は0.1~1重量%、好ましくは0.2~0.5重量%である。
【0024】
(錠剤の大きさ及び重量)
本発明の緩下用錠剤の直径は5~12mm、好ましくは5~10mm、より好ましくは5~8mmが適当である。また厚みは2~6mm、好ましくは2~5mm、より好ましくは2.5~4.5mmが適当である。さらに一錠当たりの重量は50~300mg、好ましくは70~280mg、より好ましくは90~250mgである。錠剤の大きさ及び重量を上記の範囲にすることで、小児にとって飲みやすい錠剤とすることができる。
【0025】
(錠剤の崩壊性)
本発明の緩下用錠剤は、日本薬局方一般試験法崩壊試験法における水懸濁時の崩壊時間が10秒以下であり、好ましくは9秒以下、より好ましくは8秒以下である。崩壊時間が短くなることで、患者の服用に対する負担を減らすことができる。
【0026】
(錠剤の水懸濁後粒子径)
本発明の緩下用錠剤を水に懸濁させ、生じた懸濁粒子をレーザー回折法により測定した場合、体積基準50%粒子径(D50)は70μm以下であり、好ましくは65μm以下である。また、同測定法で測定した体積基準90%粒子径(D90)は130μm以下であり、好ましくは120μm以下である。
【0027】
(体積基準50%粒子径)
体積基準50%粒子径とは、ある粒子径以下の体積割合を示した累積分布における、50vol%のときの粒子径である。
【0028】
(投与方法及び投与量)
本発明の錠剤は、緩下用のために、経口投与または水に崩壊・懸濁させた状態で経管投与される。その投与量は目的あるいは病状によって左右される。標準的には成人1人当たり1日2gが例示され、小児の場合は年齢や体重に応じて投与される。
【0029】
<緩下用錠剤の製造方法>
本発明の緩下用錠剤は、以下の製造方法(A)または(B)で製造することができる。すなわち、これらの製法を採用することにより、所定の粒子径(D50及びD90)及び所定の崩壊時間を有する錠剤を得ることができる。
【0030】
製造方法(A)
(A1)レーザー回折法により測定した体積基準50%粒子径(D50)が0.5~10μmの酸化マグネシウム、結合剤としての結晶セルロース、崩壊剤1としてのクロスカロメロースナトリウム、及び崩壊剤2としての不溶性ポリビニルピロリドンを混合後、乾式造粒して酸化マグネシウム顆粒を作製する工程、
(A2)次いで得られた酸化マグネシウム顆粒に、結合剤としての結晶セルロース、及び滑沢剤を配合する工程、及び
(A3)得られた顆粒を打錠する工程
を含む酸化マグネシウムを主成分とする緩下用錠剤の製造方法。
【0031】
製造方法(B)
(B1)レーザー回折法により測定した体積基準50%粒子径(D50)が0.5~10μmの酸化マグネシウム、結合剤としての結晶セルロース、及び崩壊剤2としての不溶性ポリビニルピロリドンを混合後、乾式造粒して酸化マグネシウム顆粒を作製する工程、
(B2)次いで得られた酸化マグネシウム顆粒に、崩壊剤1としてのクロスカロメロースナトリウム、結合剤としての結晶セルロース及び滑沢剤を配合する工程、及び
(B3)得られた顆粒を打錠する工程
を含む酸化マグネシウムを主成分とする緩下用錠剤の製造方法。
【0032】
上記製造方法は、一旦顆粒物を作製し、得られた顆粒物を打錠化すること、および、崩壊剤1及び崩壊剤2を必須成分とすることを特徴としている。製造方法(A)において、崩壊剤1及び崩壊剤2は顆粒物の作製時に配合される。製造方法(B)において、崩壊剤2は顆粒物の作製時に配合され、崩壊剤1は顆粒物とした後に配合される。結晶性セルロースは、顆粒物の作製時と、顆粒物とした後の2度配合される。それぞれのタイミングで同じ結晶セルロースを配合してもよいし、別の結晶セルロースを配合してもよい。
【0033】
上記製造方法(A)及び(B)のいずれを用いても本発明の緩下用錠剤を製造することができるが、得られた錠剤の崩壊時間がより短くなることから、製造方法(A)を用いることがより好ましい。
【0034】
尚、製造方法(A)を用いることにより、以下の構成を有する本発明の錠剤を調製することができる。
下記の(1A)と(2A)とを含む製錠顆粒の打錠製剤である、錠剤;
(1A)レーザー回折法により測定した体積基準50%粒子径(D50)が0.5~10μmの酸化マグネシウム、結合剤としての結晶セルロース、崩壊剤1としてのクロスカロメロースナトリウム、及び崩壊剤2としての不溶性ポリビニルピロリドンよりなる乾式造粒顆粒、
(2A)前記乾式造粒顆粒と混合された状態で存在する、結合剤としての結晶セルロース及び滑沢剤。
【0035】
又、製造方法(B)を用いることにより、以下の構成を有する本発明の錠剤を調製することができる。
下記の(1B)と(2B)とを含む製錠顆粒の打錠製剤である、錠剤;
(1B)レーザー回折法により測定した体積基準50%粒子径(D50)が0.5~10μmの酸化マグネシウム、結合剤としての結晶セルロース、及び崩壊剤2としての不溶性ポリビニルピロリドンよりなる乾式造粒顆粒、
(2B)前記乾式造粒顆粒と混合された状態で存在する、崩壊剤1としてのクロスカロメロースナトリウム、結合剤としての結晶セルロース及び滑沢剤。
【0036】
ここで、製錠顆粒とは、打錠に用いるための打錠前の顆粒を意味する。
【0037】
尚、製造方法(A)で得られる錠剤は、(1A)で調製された顆粒を核(内部添加剤という)として、その周辺に(2A)の結合剤が存在する(外部添加剤という)ような錠剤となり、同様に、製造方法(B)で得られる錠剤は、(1B)で調製された顆粒を核(内部添加剤という)として、その周辺に(2B)の崩壊剤及び結合剤が存在する(外部添加剤という)ような錠剤となる。
【実施例0038】
以下実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。実施例および比較例において、各物性は以下の方法で測定した。
【0039】
(a)崩壊時間
第十七局改正日局試験法、一般試験法・崩壊試験法に準拠し、緩下用錠剤の崩壊時間を測定した。試験液は水を用いた。
【0040】
(b)体積基準50%粒子径(D50)(酸化マグネシウム)
ビーカーに酸化マグネシウム0.7g及び0.2%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液70mLを加え、超音波ホモジナイザー(日本精機製、US-300)を用いて分散処理(3分)を行った。レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(日機装製、マイクロトラック)を用い、酸化マグネシウムの体積基準50%粒子径(D50)を測定した。
【0041】
(c)水懸濁後の体積基準50%粒子径(D50)、体積基準90%粒子径(D90)(緩下用錠剤)
ビーカーに錠剤10錠及びイオン交換水40mLを加え、10秒静置後に、生じた沈殿を、ガラス棒を用いて撹拌して懸濁液とした。レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(セイシン企業製、LMS-2000e)により、緩下用錠剤の水懸濁後の体積基準50%粒子径(D50)、体積基準90%粒子径(D90)を測定した。
【0042】
(d)チューブ通過性試験
カテーテル用シリンジ(ニプロ製、経腸栄養注入セットシリンジDS20mLカテーテルイエロー)の押子を抜き取り、外筒内に錠剤を6錠入れ、押子を戻し、55℃の温湯20mLを吸い取り、筒先に蓋をして5分間自然放置した。5分後にシリンジを手で90度15往復横転し、懸濁液を得た。該カテーテル用シリンジと太さ3Fr、長さ40cmの経管栄養チューブ(アトムメディカル製、アトム栄養カテーテルT)とを連結し、該懸濁液及び洗浄用のイオン交換水20mLを注入し、チューブ通過性を確認した。試験は3回行い、それぞれ、チューブが閉塞しなかった場合は○、閉塞した場合は×で評価した。
【0043】
(実施例1)
表1の処方に従い、下記の製造法にて緩下用錠剤を製造した。なお、表1~6中、「内部添加剤」は顆粒物の作製時に使用した試剤を意味し、「外部添加剤」は一旦得られた顆粒物に更に配合した試剤を意味する。表1~6において、mgの表示は、酸化マグネシウムを100.0mgとしたときの各成分の相対量を示す。
【0044】
体積基準50%粒子径(D50)が6.5μmの酸化マグネシウム:1500g、結晶セルロース:168g、クロスカルメロースナトリウム:58.5g、レーザー回折法による体積基準50%粒子径(D50)が5.4μmの不溶性ポリビニルピロリドン1:12gを混合後、ロール成形型乾式造粒機にてロール圧力5MPaで造粒した。造粒物をオシレーター式粉砕機にて粉砕し、顆粒物を作製した。得られた顆粒物1540.7gに対してステアリン酸カルシウム:16g、結晶セルロース:34.6g、アスパルテーム:1.3g及びアセスルファムカリウム:2.7gを加え、コンテナ型混合機にて混合し、製錠顆粒とした。得られた製錠顆粒を直径6mm、8R杵を2本装着したロータリー型打錠機にて、打錠圧4.5kNで製錠し、1錠当たり重量120mg、直径6mm、厚み3.4mmの酸化マグネシウム錠剤を得た。得られた酸化マグネシウム錠剤の水懸濁後の体積基準50%粒子径(D50)、体積基準90%粒子径(D90)、崩壊時間、チューブ通過性試験の結果を表7に示す。
【0045】
(実施例2)
表1の処方に従い、緩下用錠剤を製造した。実施例1において、クロスカルメロースナトリウムの添加量を52.5g、不溶性ポリビニルピロリドン1の添加量を18gに変更した以外は同様にして製造し、1錠当たり重量120mg、直径6mm、厚み3.4mmの酸化マグネシウム錠剤を得た。得られた酸化マグネシウム錠剤の水懸濁後の体積基準50%粒子径(D50)、体積基準90%粒子径(D90)、崩壊時間、チューブ通過性試験の結果を表7に示す。
【0046】
(実施例3)
表1の処方に従い、緩下用錠剤を製造した。実施例1において、クロスカルメロースナトリウムの添加量を43.5g、不溶性ポリビニルピロリドン1の添加量を27gに変更した以外は同様にして製造し、1錠当たり重量120mg、直径6mm、厚み3.4mmの酸化マグネシウム錠剤を得た。得られた酸化マグネシウム錠剤の水懸濁後の体積基準50%粒子径(D50)、体積基準90%粒子径(D90)、崩壊時間、チューブ通過性試験の結果を表7に示す。
【0047】
(実施例4)
表2の処方に従い、緩下用錠剤を製造した。実施例1において、クロスカルメロースナトリウムの添加量を35.25g、不溶性ポリビニルピロリドン1の添加量を35.25gに変更した以外は同様にして製造し、1錠当たり重量120mg、直径6mm、厚み3.4mmの酸化マグネシウム錠剤を得た。得られた酸化マグネシウム錠剤の水懸濁後の体積基準50%粒子径(D50)、体積基準90%粒子径(D90)、崩壊時間、チューブ通過性試験の結果を表8に示す。
【0048】
(実施例5)
表2の処方に従い、緩下用錠剤を製造した。実施例1において、クロスカルメロースナトリウムの添加量を27g、不溶性ポリビニルピロリドン1の添加量を43.5gに変更した以外は同様にして製造し、1錠当たり重量120mg、直径6mm、厚み3.4mmの酸化マグネシウム錠剤を得た。得られた酸化マグネシウム錠剤の水懸濁後の体積基準50%粒子径(D50)、体積基準90%粒子径(D90)、崩壊時間、チューブ通過性試験の結果を表8に示す。
【0049】
(実施例6)
表2の処方に従い、緩下用錠剤を製造した。実施例1において、クロスカルメロースナトリウムの添加量を18g、不溶性ポリビニルピロリドン1の添加量を52.5gに変更した以外は同様にして製造し、1錠当たり重量120mg、直径6mm、厚み3.4mmの酸化マグネシウム錠剤を得た。得られた酸化マグネシウム錠剤の水懸濁後の体積基準50%粒子径(D50)、体積基準90%粒子径(D90)、崩壊時間、チューブ通過性試験の結果を表8に示す。
【0050】
(実施例7)
表3の処方に従い、緩下用錠剤を製造した。実施例1において、クロスカルメロースナトリウムの添加量を12g、不溶性ポリビニルピロリドン1の添加量を58.5gに変更した以外は同様にして製造し、1錠当たり重量120mg、直径6mm、厚み3.4mmの酸化マグネシウム錠剤を得た。得られた酸化マグネシウム錠剤の水懸濁後の体積基準50%粒子径(D50)、体積基準90%粒子径(D90)、崩壊時間、チューブ通過性試験の結果を表9に示す。
【0051】
(実施例8)
表3の処方に従い、緩下用錠剤を製造した。体積基準50%粒子径(D50)が6.5μmの酸化マグネシウム:1500g、結晶セルロース:168g及びレーザー回折法による体積基準50%粒子径(D50)が5.4μmの不溶性ポリビニルピロリドン1:27gを混合後、ロール成形型乾式造粒機にてロール圧力5MPaで造粒した。造粒物をオシレーター式粉砕機にて粉砕し、顆粒物を作製した。得られた顆粒物1539.4gに対して、クロスカルメロースナトリウム:39.5g、ステアリン酸カルシウム16.3g、結晶セルロース:35.4g、アスパルテーム:1.4g及びアセスルファムカリウム:2.7gを加え、コンテナ型混合機にて混合し、製錠顆粒とした。得られた製錠顆粒を実施例1と同様の条件で製錠し、1錠当たり重量120mg、直径6mm、厚み3.4mmの酸化マグネシウム錠剤を得た。得られた酸化マグネシウム錠剤の水懸濁後の体積基準50%粒子径(D50)、体積基準90%粒子径(D90)、崩壊時間、チューブ通過性試験の結果を表9に示す。
【0052】
(実施例9)
体積基準50%粒子径(D50)が6.5μmの酸化マグネシウム:3000g、結晶セルロース:336g、クロスカルメロースナトリウム:87g、レーザー回折法による体積基準50%粒子径(D50)が5.4μmの不溶性ポリビニルピロリドン1:54gを混合後、ロール成形型乾式造粒機にてロール圧力5MPaで造粒した。造粒物をオシレーター式粉砕機にて粉砕し、顆粒物を作製した。得られた顆粒物3081.4gに対してステアリン酸カルシウム:31.9g、結晶セルロース:69.1g、アスパルテーム:2.7g及びアセスルファムカリウム:5.3gを加え、コンテナ型混合機にて混合し、製錠顆粒とした。得られた製錠顆粒を直径7.5mm、11R杵を2本装着したロータリー型打錠機にて、打錠圧7kNで製錠し、1錠当たり重量240mg、直径7.5mm、厚み4.2mmの酸化マグネシウム錠剤を得た。得られた酸化マグネシウム錠剤の水懸濁後の体積基準50%粒子径(D50)、体積基準90%粒子径(D90)、崩壊時間、チューブ通過性試験の結果を表9に示す。
【0053】
(比較例1)
表4の処方に従い、緩下用錠剤を製造した。実施例1において、クロスカルメロースナトリウムの添加量を70.5gに変更し、不溶性ポリビニルピロリドン1を添加しなかった以外は同様にして製造し、1錠当たり重量120mg、直径6mm、厚み3.4mmの酸化マグネシウム錠剤を得た。得られた酸化マグネシウム錠剤の水懸濁後の体積基準50%粒子径(D50)、体積基準90%粒子径(D90)、崩壊時間、チューブ通過性試験の結果を表10に示す。
【0054】
(比較例2)
表4の処方に従い、緩下用錠剤を製造した。実施例1において、クロスカルメロースナトリウムの添加量を64.5g、不溶性ポリビニルピロリドン1の添加量を6gに変更した以外は同様にして製造し、1錠当たり重量120mg、直径6mm、厚み3.4mmの酸化マグネシウム錠剤を得た。得られた酸化マグネシウム錠剤の水懸濁後の体積基準50%粒子径(D50)、体積基準90%粒子径(D90)、崩壊時間、チューブ通過性試験の結果を表10に示す。
【0055】
(比較例3)
表4の処方に従い、緩下用錠剤を製造した。実施例1において、クロスカルメロースナトリウムの添加量を6g、不溶性ポリビニルピロリドン1の添加量を64.5gに変更した以外は同様にして製造し、1錠当たり重量120mg、直径6mm、厚み3.4mmの酸化マグネシウム錠剤を得た。得られた酸化マグネシウム錠剤の水懸濁後の体積基準50%粒子径(D50)、体積基準90%粒子径(D90)、崩壊時間、チューブ通過性試験の結果を表10に示す。
【0056】
(比較例4)
表4の処方に従い、緩下用錠剤を製造した。実施例1において、クロスカルメロースナトリウムを添加せず、不溶性ポリビニルピロリドン1の添加量を70.5gに変更した以外は同様にして製造し、1錠当たり重量120mg、直径6mm、厚み3.4mmの酸化マグネシウム錠剤を得た。得られた酸化マグネシウム錠剤の水懸濁後の体積基準50%粒子径(D50)、体積基準90%粒子径(D90)、崩壊時間、チューブ通過性試験の結果を表10に示す。
【0057】
(比較例5)
表5の処方に従い、緩下用錠剤を製造した。実施例1において、不溶性ポリビニルピロリドン1に代えてレーザー回折法による体積基準50%粒子径(D50)が118μmの不溶性ポリビニルピロリドン2を使用した以外は同様にして製造し、1錠当たり重量120mg、直径6mm、厚み3.4mmの酸化マグネシウム錠剤を得た。得られた酸化マグネシウム錠剤の水懸濁後の体積基準50%粒子径(D50)、体積基準90%粒子径(D90)、崩壊時間、チューブ通過性試験の結果を表11に示す。
【0058】
(比較例6)
表5の処方に従い、緩下用錠剤を製造した。実施例1において、不溶性ポリビニルピロリドン1に代えてレーザー回折法による体積基準50%粒子径(D50)が29μmの不溶性ポリビニルピロリドン3を使用した以外は同様にして製造し、1錠当たり重量120mg、直径6mm、厚み3.4mmの酸化マグネシウム錠剤を得た。得られた酸化マグネシウム錠剤の水懸濁後の体積基準50%粒子径(D50)、体積基準90%粒子径(D90)、崩壊時間、チューブ通過性試験の結果を表11に示す。
【0059】
(比較例7)
表5の処方に従い、緩下用錠剤を製造した。実施例1において、不溶性ポリビニルピロリドン1に代えてレーザー回折法による体積基準50%粒子径(D50)が17μmの不溶性ポリビニルピロリドン4を使用した以外は同様にして製造し、1錠当たり重量120mg、直径6mm、厚み3.4mmの酸化マグネシウム錠剤を得た。得られた酸化マグネシウム錠剤の水懸濁後の体積基準50%粒子径(D50)、体積基準90%粒子径(D90)、崩壊時間、チューブ通過性試験の結果を表11に示す。
【0060】
(比較例8)
表6の処方に従い、緩下用錠剤を製造した。体積基準50%粒子径(D50)が6.5μmの酸化マグネシウム:1500g及び結晶セルロース:168gを混合後、ロール成形型乾式造粒機にてロール圧力5MPaで造粒した。造粒物をオシレーター式粉砕機にて粉砕し、顆粒物を作製した。得られた顆粒物1438.5gに対して、クロスカルメロースナトリウム:37.5g、レーザー回折法による体積基準50%粒子径(D50)が5.4μmの不溶性ポリビニルピロリドン1:23.3g、ステアリン酸カルシウム:15.5g、結晶セルロース:33.6g、アスパルテーム:1.3g及びアセスルファムカリウム:2.6gを加え、コンテナ型混合機にて混合し、製錠顆粒とした。得られた製錠顆粒を実施例1と同様の条件で製錠し、1錠当たり重量120mg、直径6mm、厚み3.4mmの酸化マグネシウム錠剤を得た。得られた酸化マグネシウム錠剤の水懸濁後の体積基準50%粒子径(D50)、体積基準90%粒子径(D90)、崩壊時間、チューブ通過性試験の結果を表12に示す。
【0061】
(比較例9)
表6の処方に従い、緩下用錠剤を製造した。体積基準50%粒子径(D50)が6.5μmの酸化マグネシウム:1500g、結晶セルロース:168g及びクロスカルメロースナトリウム:43.5gを混合後、ロール成形型乾式造粒機にてロール圧力5MPaで造粒した。造粒物をオシレーター式粉砕機にて粉砕し、顆粒物を作製した。得られた顆粒物1573gに対して、レーザー回折法による体積基準50%粒子径(D50)が5.4μmの不溶性ポリビニルピロリドン1:24.8g、ステアリン酸カルシウム16.5g、結晶セルロース:35.8g、アスパルテーム:1.4g及びアセスルファムカリウム:2.8gを加え、コンテナ型混合機にて混合し、製錠顆粒とした。得られた製錠顆粒を実施例1と同様の条件で製錠し、1錠当たり重量120mg、直径6mm、厚み3.4mmの酸化マグネシウム錠剤を得た。得られた酸化マグネシウム錠剤の水懸濁後の体積基準50%粒子径(D50)、体積基準90%粒子径(D90)、崩壊時間、チューブ通過性試験の結果を表12に示す。
【0062】
(比較例10)
表6の処方に従い、緩下用錠剤を製造した。体積基準50%粒子径(D50)が6.5μmの酸化マグネシウム:1500g、結晶セルロース:103.5g、クロスカルメロースナトリウム:49.5g及びトウモロコシデンプン:33gを混合後、ロール成形型乾式造粒機にてロール圧力5MPaで造粒した。造粒物をオシレーター式粉砕機にて粉砕し、顆粒物を作製した。得られた顆粒物1543.2gに対して、ステアリン酸カルシウム:17gを加え、混合し、製錠顆粒とした。得られた製錠顆粒を実施例1と同様の条件で製錠し、1錠当たり重量113.6mg、直径6mm、厚み3.4mmの酸化マグネシウム錠剤を得た。得られた酸化マグネシウム錠剤の水懸濁後の体積基準50%粒子径(D50)、体積基準90%粒子径(D90)、崩壊時間、チューブ通過性試験の結果を表12に示す。なお、比較例10の製剤処方は特許文献3の実施例1、処方例1の各試剤の割合に基づいている。
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
上記表1~12より、本発明の緩下用錠剤は、懸濁粒子径D50が70μm以下であり、懸濁粒子径D90が130μm以下であり、崩壊時間が10秒以内であり、かつ3Frのチューブ通過性試験において閉塞を起こしていないことが分かる。
本発明の緩下用錠剤は、錠剤を水に懸濁させた際に生じる粒子の粒子径が微細であり、かつ短時間で崩壊する。患者、特に小児に対し経管投与を行う際、該錠剤を水に崩壊・懸濁させ、従来よりも細い経管栄養チューブを閉塞させることなく、スムースに投与を行うことが可能となる。また、該錠剤は口腔内での崩壊時間が短く、患者の服用に対する負担を減らすことができる。