(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023000166
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】オキシトシン受容体産生促進剤
(51)【国際特許分類】
A61K 36/738 20060101AFI20221222BHJP
A61K 31/4415 20060101ALI20221222BHJP
A61K 31/164 20060101ALI20221222BHJP
A61K 31/047 20060101ALI20221222BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20221222BHJP
A61K 8/9789 20170101ALI20221222BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20221222BHJP
A61K 8/42 20060101ALI20221222BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20221222BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20221222BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20221222BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
A61K36/738
A61K31/4415
A61K31/164
A61K31/047
A61P43/00 111
A61K8/9789
A61K8/49
A61K8/42
A61K8/34
A61Q19/08
A61P17/00
A61K31/519
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021100826
(22)【出願日】2021-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000135324
【氏名又は名称】株式会社ノエビア
(72)【発明者】
【氏名】笹岡 美和
【テーマコード(参考)】
4C083
4C086
4C088
4C206
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AC111
4C083AC641
4C083AC851
4C083AD631
4C083BB51
4C083CC03
4C083EE12
4C083EE13
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC18
4C086CB09
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA63
4C086NA14
4C086ZA89
4C086ZC41
4C088AB51
4C088BA09
4C088MA63
4C088NA14
4C088ZA89
4C088ZC41
4C206AA01
4C206AA02
4C206CA05
4C206GA05
4C206GA25
4C206MA01
4C206MA04
4C206MA83
4C206NA14
4C206ZA89
4C206ZC41
(57)【要約】
【課題】
本発明はオキシトシン受容体の産生促進効果を発揮するオキシトシン受容体産生促進剤および/または抗老化剤を提供することを課題とする。
【解決手段】
ローズ水、塩酸ピリドキシン、パンテノール、葉酸、イノシトールから選択される1種または2種以上を有効成分とするオキシトシン受容体産生促進剤。並びにかかるオキシトシン受容体産生促進剤を有効成分とする抗老化剤。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローズ水、塩酸ピリドキシン、パンテノール、葉酸、イノシトールから選択される1種または2種以上を有効成分とするオキシトシン受容体産生促進剤。
【請求項2】
請求項1に記載のオキシトシン受容体産生促進剤を有効成分とする抗老化剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の成分を有効成分とするオキシトシン受容体産生促進剤に関する。
【背景技術】
【0002】
シワ、タルミ、皮膚の弾性低下、皮膚表面形態の乱れなどの皮膚症状の悪化の要因としては、例えばシワやタルミは、乾燥、加齢等による真皮線維芽細胞の機能低下や、それに伴うコラーゲンやエラスチン等の真皮マトリックスの減少や変性、さらには紫外線等の外来ストレスによる酸化障害などが重要な要因となっている。これら皮膚老化症状を防止・改善するために、様々な開発が行われている。
【0003】
オキシトシン受容体は加齢とともに減少することが知られており(非特許文献1)、ケイヒエキスを含有するオキシトシン受容体の増殖促進剤(特許文献1)などが知られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】SY Cho. et al. British Journal of Dermatology. 2019 Feb doi 10.1111/bjd.17824
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はオキシトシン受容体の産生促進効果を発揮するオキシトシン受容体産生促進剤および/または抗老化剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の課題を解決する手段は、下記のオキシトシン受容体産生促進剤および/または抗老化剤を提供することである。
(1)
ローズ水、塩酸ピリドキシン、パンテノール、葉酸、イノシトールから選択される1種または2種以上を有効成分とするオキシトシン受容体産生促進剤。
(2)
(1)に記載のオキシトシン受容体産生促進剤を有効成分とする抗老化剤。
【発明の効果】
【0008】
本発明のオキシトシン受容体産生促進剤は特定の成分を有効成分としてオキシトシン受容体の産生促進効果を発揮する。
本発明の抗老化剤は、上記オキシトシン受容体産生促進剤を有効成分としてオキシトシン受容体の産生を促進することにより、抗老化効果を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下本発明を実施するための形態を説明する。
【0010】
OXTRは、Oxytocin recepterの略であり、ホルモンおよび神経伝達物質オキシトシンの受容体である。
【0011】
本発明のオキシトシン受容体産生促進剤は、ローズ水、塩酸ピリドキシン、パンテノール、葉酸、イノシトールから選択される1種または2種以上を有効成分とする。
【0012】
上述のオキシトシン受容体産生促進剤を有効成分として抗老化剤に配合することもできる。
【0013】
[ローズ水]
本発明で用いるローズ水はバラ科バラ属に属するローザダマセナ(Rosa da
mascena Mill.)又は、ローザセンティフォリア(Rosa Centif
olia L.)の花を水蒸気蒸留して得られる水層成分である。通常、医薬品、医薬部外品、化粧品、飲食品等に用いられるものであれば特に限定されないが、ブルガリア産を用いることが好ましい。
【0014】
本発明のオキシトシン受容体産生促進剤へ配合する場合の配合量は、オキシトシン受容体産生促進剤全量に対し、0.00001~5質量%が好ましく、0.00001~3質量%がさらに好ましい。
【0015】
[塩酸ピリドキシン]
本発明で用いる塩酸ピリドキシンは、ピリドキシン(ビタミンB6)の塩酸塩であり、通常、医薬品、医薬部外品、化粧品、飲食品等に用いられるものであれば、その原料、製造方法、精製方法等は特に限定されない。
【0016】
本発明のオキシトシン受容体産生促進剤へ配合する場合の配合量は、オキシトシン受容体産生促進剤全量に対して、0.00001~5質量%が好ましく、0.0001~3質量%がさらに好ましく、0.001~1質量%が最も好ましい。
【0017】
[パンテノール]
本発明で用いるパンテノールは、D-パントテン酸(ビタミンB5)の前駆体であり、通常、医薬品、医薬部外品、化粧品、飲食品等に用いられるものであれば、その原料、製造方法、精製方法等は特に限定されない。
【0018】
本発明のオキシトシン受容体産生促進剤へ配合する場合の配合量は、オキシトシン受容体産生促進剤全量に対して、0.01~5質量%が好ましく、0.05~5質量%がさらに好ましく、0.3~1質量%が最も好ましい。
【0019】
[葉酸]
本発明で用いる葉酸は、ビタミンB群の一種であり、ビタミンB9、ビタミンM、プテロイルグルタミン酸とも呼ばれる水溶性ビタミンである。通常、医薬品、医薬部外品、化粧品、飲食品等に用いられるものであれば、その原料、製造方法、精製方法等は特に限定されない。
【0020】
本発明のオキシトシン受容体産生促進剤へ配合する場合の配合量は、オキシトシン受容体産生促進剤全量に対して、0.00001~5質量%が好ましく、0.0001~3質量%がさらに好ましく、0.001~1質量%が最も好ましい。
【0021】
[イノシトール]
本発明で用いるイノシトールは、ビタミンB様物質であり、イノシットとも呼ばれる水溶性ビタミン様作用物質である。通常、医薬品、医薬部外品、化粧品、飲食品等に用いられるものであれば、その原料、製造方法、精製方法等は特に限定されない。
【0022】
本発明のオキシトシン受容体産生促進剤へ配合する場合の配合量は、オキシトシン受容体産生促進剤全量に対して、0.00001~5質量%が好ましく、0.0001~5質量%がさらに好ましく、0.001~5質量%が最も好ましい。
【実施例0023】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これにより本発明の範囲が限定されるものではない。
【0024】
[ヒト新生児由来表皮角化細胞を用いた試験]
ヒト新生児由来表皮角化細胞を3×105個/ウェルとなるように6ウェルプレートに播種し、Humedia-KG2培地にて一晩培養した。各植物抽出物を所定量添加したHumedia-KG2培地に交換し、37°C、5%CO2インキュベーター内で24時間培養した。採取した細胞から、市販のRNA抽出キット(QuickGeneRNACulturedCellKitS)を使用してRNAを抽出し、cDNA合成後に下記のプライマーを使用してサイバーグリーン法によるリアルタイムPCRにより遺伝子発現を確認した。なお、内部標準としてGAPDHを使用した。mRNA発現量は、各成分無添加の場合の発現量を1とした相対値で示した。各作用は表2に示した。
【0025】
[ヒト新生児由来皮膚線維芽細胞を用いた試験]
ヒト新生児由来皮膚線維芽細胞を6×105個/ウェルとなるように6ウェルプレートに播種し、0.5%のFBSを含有するDMEM培地にて一晩培養した。各成分を任意の濃度で溶解した0.5%のFBSを含有するDMEM培地に交換し、37°C、5%CO2インキュベーター内で24時間培養した。採取した細胞から、市販のRNA抽出キット(QuickGeneRNACulturedCellHCKitS)を使用してRNAを抽出し、cDNA合成後に下記のプライマーを使用してサイバーグリーン法によるリアルタイムPCRにより遺伝子発現を確認した。内部標準としてGAPDHを使用した。mRNA発現量は、各成分無添加の場合の発現量を1とした相対値で示した。各作用は表3に示した。
【0026】
使用したプライマー配列を表1に示す。
【0027】
【0028】
各成分の濃度が表2および表3に示す量になるように培地に溶解した。ローズ水はv/v%、塩酸ピリドキシン、パンテノール、葉酸およびイノシトールはw/v%である。
【0029】
【0030】
【0031】
表2および表3に示した通り、ヒト新生児由来表皮角化細胞および/またはヒト新生児由来皮膚線維芽細胞においてローズ水、塩酸ピリドキシン、パンテノール、葉酸およびイノシトールはオキシトシン受容体の産生を促進させた。したがって、本発明のオキシトシン受容体産生促進剤は、オキシトシン受容体の産生を促進する効果を発揮する。さらに、本発明のオキシトシン受容体産生促進剤を有効成分とする抗老化剤は、オキシトシン受容体の産生を促進させることにより、抗老化効果を発揮する。