(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166031
(43)【公開日】2023-11-17
(54)【発明の名称】皮膚外用剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/37 20060101AFI20231110BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20231110BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20231110BHJP
A61Q 17/00 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
A61K8/37
A61K8/34
A61Q19/00
A61Q17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023171633
(22)【出願日】2023-10-02
(62)【分割の表示】P 2022088503の分割
【原出願日】2022-05-31
(31)【優先権主張番号】P 2021091624
(32)【優先日】2021-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022005970
(32)【優先日】2022-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗原 純
(72)【発明者】
【氏名】高澤 伸雄
(72)【発明者】
【氏名】廣野 信悟
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 徳祐
(72)【発明者】
【氏名】平田 知大
(57)【要約】
【課題】塗布初期のさっぱり感等の使用感に優れ且つ油溶性紫外線吸収剤等の不揮発性油剤の良好な塗膜を形成できる皮膚外用剤を提供すること。
【解決手段】不揮発性油剤を含む粒状ゲルカプセルと、次の成分(b1):
(b1)揮発性媒体
を含む液体とを含有し、前記粒状ゲルカプセルが前記液体に分散しており、
前記粒状ゲルカプセル中の不揮発性油剤の含有量が、皮膚外用剤全質量に対して1.5質量%以上であり、
前記液体中の不揮発性油剤の含有量が、皮膚外用剤全質量に対して0質量%以上14質量%以下であり、
前記液体中の水性増粘剤の含有量が、皮膚外用剤全質量に対して0質量%以上0.25質量%以下である、皮膚外用剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不揮発性油剤を含む粒状ゲルカプセルと、次の成分(b1):
(b1)揮発性媒体
を含む液体とを含有し、前記粒状ゲルカプセルが前記液体に分散しており、
前記粒状ゲルカプセル中の不揮発性油剤の含有量が、皮膚外用剤全質量に対して1.5質量%以上であり、
前記液体中の不揮発性油剤の含有量が、皮膚外用剤全質量に対して0質量%以上14質量%以下であり、
前記液体中の水性増粘剤の含有量が、皮膚外用剤全質量に対して0質量%以上0.25質量%以下である、皮膚外用剤。
【請求項2】
前記粒状ゲルカプセルが、前記不揮発性油剤として、(a1)油溶性紫外線吸収剤、(a4)両親媒性固体脂、(a5-1)油性増粘剤及び(a8)不揮発性油剤(但し、油溶性紫外線吸収剤、両親媒性固体脂及び油性増粘剤を除く)から選ばれる1種以上を含む、請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
前記粒状ゲルカプセルが、前記不揮発性油剤として、(a1)油溶性紫外線吸収剤を少なくとも含む、請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項4】
皮膚外用剤中の全紫外線吸収剤の合計に対する成分(a1)の含有質量比〔(a1)/(全紫外線吸収剤)〕が、0.85以上1以下である、請求項3に記載の皮膚外用剤。
【請求項5】
前記粒状ゲルカプセルが、(a2)カプセル化剤を更に含む、請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項6】
前記粒状ゲルカプセルが、前記不揮発性油剤として、(a4)両親媒性固体脂を少なくとも含み、成分(a4)の含有割合が、粒状ゲルカプセル全質量に対して0.1質量%以上である、請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項7】
前記粒状ゲルカプセルが、前記不揮発性油剤として、(a5-1)油性増粘剤を少なくとも含み、成分(a5-1)の含有割合が、粒状ゲルカプセル全質量に対して0.1質量%以上である、請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項8】
前記粒状ゲルカプセル中の(a7)粉体の含有割合が、粒状ゲルカプセル全質量に対して0質量%以上30質量%以下である、請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項9】
前記粒状ゲルカプセルの平均粒子径が、60μm以上350μm以下である、請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項10】
前記粒状ゲルカプセルの含有量が、皮膚外用剤全質量に対して27.5質量%以上である、請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項11】
前記液体中の水性増粘剤の含有量が、皮膚外用剤全質量に対して0質量%以上0.005質量%以下であり、且つ前記液体中の油性増粘剤の含有量が、皮膚外用剤全質量に対して0質量%以上0.005質量%以下である、請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項12】
前記粒状ゲルカプセルが、前記不揮発性油剤として、(a1)油溶性紫外線吸収剤を少なくとも含み、
前記液体中の水性増粘剤の含有量が、皮膚外用剤全質量に対して0質量%以上0.005質量%以下であり、且つ前記液体中の油性増粘剤の含有量が、皮膚外用剤全質量に対して0質量%以上0.005質量%以下である、請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項13】
成分(a1)の含有量が、皮膚外用剤全質量に対して12質量%以上40質量%以下であり、前記粒状ゲルカプセルが、(a2)カプセル化剤を更に含み、成分(a2)の含有割合が、粒状ゲルカプセル全質量に対して0.05質量%以上2.5質量%以下である、請求項12に記載の皮膚外用剤。
【請求項14】
前記液体中の乳化剤の含有量が、皮膚外用剤全質量に対して0質量%以上0.4質量%以下である、請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項15】
前記粒状ゲルカプセル外に粉体を更に含有する、請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項16】
前記粒状ゲルカプセル外の粉体が、シリカである、請求項15に記載の皮膚外用剤。
【請求項17】
25℃における粘度が、10000mPa・s以下である、請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項18】
前記粒状ゲルカプセルが、(a2)カプセル化剤及び(a3)水を更に含む、請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項19】
請求項18に記載の皮膚外用剤を製造する方法であって、
カプセル化剤及び水を混合し、前記カプセル化剤の溶解温度以上に加熱して水相成分を調製する水相成分調製工程、
当該水相成分調製工程で得られた水相成分と、不揮発性油剤を含有する油相成分とを混合して混合液を調製後、滴下法、噴霧法又は攪拌法により粒状ゲルカプセルを得る粒状ゲルカプセル化工程、並びに
当該粒状ゲルカプセル化工程で得られた粒状ゲルカプセルを揮発性媒体と混合することによって皮膚外用剤を製造する皮膚外用剤製造工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紫外線防御効果を有する皮膚外用剤として、紫外線吸収剤を内部に分散させた粒状ゲルカプセルを液体に分散させた皮膚外用剤が知られている。このような皮膚外用剤として、例えば、紫外線吸収剤を含むPVAマイクロカプセルや水とともに、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油:1.00質量%、(アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10-30))コポリマー:0.20質量%、キサンタンガム:0.10質量%を配合した化粧水が報告されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-37713号公報
【特許文献2】特開平3-193716号公報
【特許文献3】特開2012-171891号公報
【特許文献4】特開2012-171892号公報
【特許文献5】特開2014-91737号公報
【特許文献6】特開2016-104712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の化粧水は、塗布初期の感触が重く、さっぱり感が感じられにくいものであった。
また、紫外線吸収剤等をゼラチン水溶液に分散させて得た、マイクロカプセル層と水層からなる二層型サンタン化粧料(特許文献2)や、紫外線吸収剤を内部に分散させた粒状ゲルカプセルを、油溶性紫外線吸収剤等を高配合した水中油型乳化組成物に分散させた皮膚外用剤が知られている(特許文献3~6)。
しかしながら、特許文献2に記載の二層型サンタン化粧料は、紫外線防御効果が不充分であった。また、特許文献3~6に記載の皮膚外用剤は、塗布時に紫外線吸収剤の分布が不均一となりやすく、その結果として紫外線防御効果が不充分となる場合があった。
本発明は、塗布初期のさっぱり感等の使用感に優れ且つ油溶性紫外線吸収剤等の不揮発性油剤の良好な塗膜を形成できる皮膚外用剤を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、不揮発性油剤を含む粒状ゲルカプセルと、揮発性媒体を含む液体とを含有し、前記粒状ゲルカプセルが前記液体に分散しており、前記粒状ゲルカプセル中の不揮発性油剤の含有量が、皮膚外用剤全質量に対して1.5質量%以上であり、前記液体中の不揮発性油剤の含有量が、皮膚外用剤全質量に対して0質量%以上14質量%以下であり、前記液体中の水性増粘剤の含有量が、皮膚外用剤全質量に対して0質量%以上0.25質量%以下である、皮膚外用剤が、塗布初期のさっぱり感等の使用感に優れ且つ油溶性紫外線吸収剤等の不揮発性油剤の良好な塗膜を形成できることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、不揮発性油剤を含む粒状ゲルカプセルと、次の成分(b1):
(b1)揮発性媒体
を含む液体とを含有し、前記粒状ゲルカプセルが前記液体に分散しており、
前記粒状ゲルカプセル中の不揮発性油剤の含有量が、皮膚外用剤全質量に対して1.5質量%以上であり、
前記液体中の不揮発性油剤の含有量が、皮膚外用剤全質量に対して0質量%以上14質量%以下であり、
前記液体中の水性増粘剤の含有量が、皮膚外用剤全質量に対して0質量%以上0.25質量%以下である、皮膚外用剤を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の皮膚外用剤は、塗布初期のさっぱり感等の使用感に優れ且つ油溶性紫外線吸収剤等の不揮発性油剤の良好な塗膜を形成できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】皮膚外用剤未塗布のモデルプレートの顕微鏡写真。
【
図2】剤αを塗布したモデルプレートの蛍光顕微鏡写真。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の皮膚外用剤は、不揮発性油剤を含む粒状ゲルカプセル(以下、成分(A)ともいう)と、次の成分(b1):
(b1)揮発性媒体
を含む液体(以下、成分(B)ともいう)とを含有し、前記粒状ゲルカプセルが前記液体に分散しており、前記粒状ゲルカプセル中の不揮発性油剤の含有量が、皮膚外用剤全質量に対して1.5質量%以上であり、前記液体中の不揮発性油剤の含有量が、皮膚外用剤全質量に対して0質量%以上14質量%以下であり、前記液体中の水性増粘剤の含有量が、皮膚外用剤全質量に対して0質量%以上0.25質量%以下であることを特徴とするものである。
【0010】
ここで、本明細書において、油性成分を「油剤」といい、油剤は、固形状、半固形状、液状のいずれでもよい。例えば、油溶性紫外線吸収剤、両親媒性固体脂及び油性増粘剤は油剤である。上記「不揮発性油剤」は、1気圧下25℃で不揮発性の油性成分をいう。例えば、不揮発性の油溶性紫外線吸収剤、不揮発性の両親媒性固体脂及び不揮発性の油性増粘剤は不揮発性油剤である。
また、本明細書において、1気圧下25℃で不揮発性のものを「不揮発性」といい、1気圧下25℃で揮発性のものを「揮発性」という。具体的には、「不揮発性」とは、以下の方法により測定される、25℃、6時間での蒸発量が20%未満であることを意味する。
測定方法:直径120mmのガラス製シャーレの中に、直径90mmの濾紙を入れ、濾紙にサンプルを1gのせて、65%RHの室内(25℃)に6時間保存する。保存前後のサンプルの質量を測定し、下記式により蒸発量を算出する。
蒸発量(%)=(保存前サンプル質量 - 保存後サンプル質量)/保存前サンプル質量 × 100
「揮発性」とは、前述の方法により測定される、25℃、6時間での蒸発量が20%超であることを意味する。
【0011】
粒状ゲルカプセル中の不揮発性油剤の含有量は、本発明の皮膚外用剤全質量に対して1.5質量%以上である。このようにして不揮発性油剤の含有量を1.5質量%以上とすることによって、塗膜の均一性が改善される。
粒状ゲルカプセル中の不揮発性油剤の含有量は、塗膜の均一性等の観点から、本発明の皮膚外用剤全質量に対して、好ましくは3質量%以上、より好ましくは6質量%以上、更に好ましくは9質量%以上、特に好ましくは12質量%以上であり、また、使用感等の観点から、本発明の皮膚外用剤全質量に対して、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは30質量%以下、特に好ましくは25質量%以下である。具体的な範囲としては、本発明の皮膚外用剤全質量に対して、3質量%以上40質量%以下が好ましく、6質量%以上35質量%以下がより好ましく、9質量%以上30質量%以下が更に好ましく、12質量%以上25質量%以下が特に好ましい。
【0012】
<(A)粒状ゲルカプセル>
粒状ゲルカプセルとしては、粒状ハイドロゲルカプセルが好ましい。本明細書において、「粒状ハイドロゲルカプセル」とはハイドロゲル中に油相が分散している粒状ゲルカプセルをいう。また、「ハイドロゲル」とは、水を溶媒としてカプセル化剤から得られたゲルをいう。なお、「粒状ハイドロゲルカプセル」の概念には、外層である外皮と内層である芯成分とからなる、内層と外層とが同心状のカプセルは含まれない。
また、粒状ハイドロゲルカプセルとしては、不揮発性油剤を含む油相がハイドロゲル中に分散しているものが好ましく、油溶性紫外線吸収剤を含む油相がハイドロゲル中に分散しているものがより好ましく、非架橋型ハイドロゲルの連続相と当該連続相に分散した油相とを備え、油相が油溶性紫外線吸収剤を含むものが特に好ましい。また、油相としては、油溶性紫外線吸収剤とともに両親媒性固体脂及び油性増粘剤を含有するものが好ましい。
ここで、本明細書において、「非架橋型ハイドロゲル」とは、ゾル-ゲルの熱可逆性によってゲル化が生じるものをいう。非架橋型ハイドロゲルは、水への溶解温度が75℃以上のものが好ましく、75℃以上90℃以下のものがより好ましい。また、水に溶解させた後に冷却したときのゲル化温度が30℃以上45℃以下のものが好ましい。
【0013】
粒状ゲルカプセルとしては、保存安定性(粒状ゲルカプセルの安定化)、塗布初期のさっぱり感、塗布後期の良好な密着感等の観点から、(a1)紫外線吸収剤(好ましくは油溶性紫外線吸収剤)、(a2)カプセル化剤、(a3)水、(a4)両親媒性固体脂、(a5)増粘剤((a5)増粘剤としては(a5-1)油性増粘剤及び(a5-2)水性増粘剤が挙げられる)、(a6)多価アルコール、(a7)粉体及び(a8)不揮発性油剤(但し、油溶性紫外線吸収剤、両親媒性固体脂及び油性増粘剤を除く)から選ばれる1種又は2種以上を含有するものが好ましく、(a1)紫外線吸収剤(好ましくは油溶性紫外線吸収剤)を含有し、(a1)紫外線吸収剤(好ましくは油溶性紫外線吸収剤)に加えて、更に(a2)カプセル化剤、(a3)水、(a4)両親媒性固体脂、(a5)増粘剤、(a6)多価アルコール、(a7)粉体及び(a8)不揮発性油剤(但し、油溶性紫外線吸収剤、両親媒性固体脂及び油性増粘剤を除く)から選ばれる1種又は2種以上を含有するものがより好ましく、成分(a1)~(a2)を含有するものが更に好ましく、成分(a1)~(a3)を含有するものが更に好ましく、成分(a1)~(a4)を含有するものが更に好ましく、成分(a1)~(a5)を含有するものが更に好ましく、成分(a1)~(a5)並びに成分(a6)及び(a7)から選ばれる1種以上を含有するものが更に好ましく、成分(a1)~(a6)を含有するものが更に好ましく、成分(a1)~(a7)を含有するものが特に好ましい。
粒状ゲルカプセルがカプセル化剤を含む場合、粒状ゲルカプセルとしては、ゲル状のカプセル化剤に成分(a1)が分散しているものが好ましく、ゲル状のカプセル化剤に成分(a1)及び(a3)が分散しているものがより好ましく、ゲル状のカプセル化剤に成分(a1)、(a3)及び(a4)が分散しているものが更に好ましく、ゲル状のカプセル化剤に成分(a1)及び成分(a3)~(a5)が分散しているものが更に好ましく、ゲル状のカプセル化剤に成分(a1)と成分(a3)~(a5)と成分(a6)及び(a7)から選ばれる1種以上とが分散しているものが更に好ましく、ゲル状のカプセル化剤に成分(a1)及び成分(a3)~(a6)が分散しているものが更に好ましく、ゲル状のカプセル化剤に成分(a1)及び成分(a3)~(a7)が分散しているものが特に好ましい。
【0014】
また、粒状ゲルカプセルとしては、使用感及び紫外線防御効果の観点から、不揮発性油剤として(a1)油溶性紫外線吸収剤、(a4)両親媒性固体脂、(a5-1)油性増粘剤及び(a8)不揮発性油剤(但し、油溶性紫外線吸収剤、両親媒性固体脂及び油性増粘剤を除く)から選ばれる1種以上を含むものが好ましく、不揮発性油剤として(a1)油溶性紫外線吸収剤を少なくとも含むものがより好ましく、不揮発性油剤として(a1)油溶性紫外線吸収剤と(a4)両親媒性固体脂及び(a5-1)油性増粘剤から選ばれる1種以上とを含むものが更に好ましく、不揮発性油剤として(a1)油溶性紫外線吸収剤、(a4)両親媒性固体脂及び(a5-1)油性増粘剤を含むものが特に好ましい。
【0015】
((a1)紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤としては、油溶性紫外線吸収剤が好ましい。粒状ゲルカプセルに紫外線吸収剤を含有せしめることによって、紫外線吸収剤に由来する塗布初期のべたつきを抑えることができ、且つ粒状ゲルカプセルが崩れる過程で均一な塗膜が形成されることで紫外線防御効果が改善される。
紫外線吸収剤としては、耐水性、耐摩擦性等の観点から、有機紫外線吸収剤が好ましい。
有機紫外線吸収剤としては、例えば、安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、シリコーン系紫外線吸収剤等が挙げられる。これらの中では、紫外線防御効果、光安定性等の観点から、安息香酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤及びトリアジン系紫外線吸収剤から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
【0016】
安息香酸系紫外線吸収剤としては、パラアミノ安息香酸(para-aminobenzoic acid:PABA)、グリセリルPABA、エチルジヒドロキシプロピルPABA、N-エトキシレートPABAエチルエステル、N-ジメチルPABAエチルエステル、N-ジメチルPABAブチルエステル、N-ジメチルPABAアミルエステル、オクチルジメチルPABA、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル等が挙げられる。
アントラニル酸系紫外線吸収剤としては、ホモメンチル-N-アセチルアントラニレート等が挙げられる。
サリチル酸系紫外線吸収剤としては、アミルサリチレート、メンチルサリチレート、ホモメンチルサリチレート、オクチルサリチレート、フェニルサリチレート、ベンジルサリチレート、p-イソプロパノールフェニルサリチレート等が挙げられる。
【0017】
桂皮酸系紫外線吸収剤としては、オクチルシンナメート、エチル-4-イソプロピルシンナメート、エチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、メチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、プロピル-p-メトキシシンナメート、イソプロピル-p-メトキシシンナメート、イソアミル-p-メトキシシンナメート、2-エチルヘキシル-p-メトキシシンナメート、2-エトキシエチル-p-メトキシシンナメート、シクロヘキシル-p-メトキシシンナメート、エチル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、2-エチルヘキシル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、グリセリルモノ-2-エチルヘキサノイルジパラメトキシシンナメート等が挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4,4'-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4'-メチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、2-エチルヘキシル-4'-フェニルベンゾフェノン-2-カルボキシレート、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、4-ヒドロキシ-3-カルボキシベンゾフェノン等が挙げられる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、2,4,6-トリス[4-(2-エチルへキシルオキシカルボニル)アニリノ]-1,3,5-トリアジン、ジオクチルブタミドトリアゾン、2,4-ビス-[{4-(2-エチルへキシルオキシ)-2-ヒドロキシ}-フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン等が挙げられる。
シリコーン系紫外線吸収剤としては、ジメチコジエチルベンザルマロネート等が挙げられる。
その他の有機紫外線吸収剤としては、3-(4'-メチルベンジリデン)-dl-カンファー、3-ベンジリデン-dl-カンファー、ウロカニン酸エチルエステル、2-フェニル-5-メチルベンゾキサゾール、2,2'-ヒドロキシ-5-メチルフェニルベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-5-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4-メトキシ-4'-t-ブチルジベンゾイルメタン、5-(3,3-ジメチル-2-ノルボニリデン)-3-ペンタン-2-オン、特開平2-212579号公報記載のベンゼン・ビス-1,3-ジケトン誘導体、特開平3-220153号公報記載のベンゾイルピナコロン誘導体等が挙げられる。
【0018】
また、有機紫外線吸収剤は、1気圧下25℃で固体の有機紫外線吸収剤と、1気圧下25℃で液体の有機紫外線吸収剤に大別することもできる。例えば、上記で挙げたジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、2,4-ビス-[{4-(2-エチルへキシルオキシ)-2-ヒドロキシ}-フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス[4-(2-エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]-1,3,5-トリアジン等は、1気圧下25℃で固体の有機紫外線吸収剤である。また、上記で挙げたイソプロピル-p-メトキシシンナメート、2-エチルヘキシル-p-メトキシシンナメート、2-エトキシエチル-p-メトキシシンナメート等は、1気圧下25℃で液体の有機紫外線吸収剤である。
【0019】
なお、紫外線吸収剤は、1種のみを単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0020】
粒状ゲルカプセル中の紫外線吸収剤(好ましくは油溶性紫外線吸収剤)の含有量は、紫外線防御効果等の観点から、本発明の皮膚外用剤全質量に対して、好ましくは1.5質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは6質量%以上、更に好ましくは9質量%以上、特に好ましくは12質量%以上であり、また、使用感等の観点から、本発明の皮膚外用剤全質量に対して、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは30質量%以下、特に好ましくは25質量%以下である。具体的な範囲としては、本発明の皮膚外用剤全質量に対して、1.5質量%以上40質量%以下が好ましく、3質量%以上40質量%以下がより好ましく、6質量%以上35質量%以下が更に好ましく、9質量%以上30質量%以下が更に好ましく、12質量%以上25質量%以下が特に好ましい。
粒状ゲルカプセル中の紫外線吸収剤の上記含有量を12質量%以上とした場合に、紫外線防御効果が特に改善される。
【0021】
また、粒状ゲルカプセル中の紫外線吸収剤(好ましくは油溶性紫外線吸収剤)の含有割合は、紫外線防御効果等の観点から、粒状ゲルカプセル全質量に対して、好ましくは15質量%以上、より好ましくは17質量%以上、更に好ましくは19質量%以上、特に好ましくは22質量%以上であり、また、使用感や乳化安定性等の観点から、粒状ゲルカプセル全質量に対して、好ましくは54質量%以下、より好ましくは48質量%以下、更に好ましくは42質量%以下、特に好ましくは40質量%以下である。具体的な範囲としては、粒状ゲルカプセル全質量に対して、15質量%以上54質量%以下が好ましく、17質量%以上48質量%以下がより好ましく、19質量%以上42質量%以下が更に好ましく、22質量%以上40質量%以下が特に好ましい。このようにして粒状ゲルカプセル中の紫外線吸収剤の含有割合を大きくすることにより、塗布初期のさっぱり感や塗布初期のみずみずしさと紫外線防御効果との両方を更に改善できる。また、べたつき感やきしみ感を抑えることもできる。
【0022】
また、本発明の皮膚外用剤中の全紫外線吸収剤の合計に対する成分(a1)粒状ゲルカプセル中の紫外線吸収剤(好ましくは油溶性紫外線吸収剤)の含有質量比〔(a1)/(全紫外線吸収剤)〕としては、塗布初期のさっぱり感や塗布初期のみずみずしさ、紫外線防御効果等の観点から、0.6以上1以下が好ましく、0.85以上1以下がより好ましく、0.9以上1以下が更に好ましく、0.95以上1以下が更に好ましく、0.99以上1以下が更に好ましく、1が特に好ましい。このようにして含有質量比〔(a1)/(全紫外線吸収剤)〕を大きくすることにより、塗布初期のさっぱり感や塗布初期のみずみずしさと紫外線防御効果との両方を更に改善できる。また、べたつき感やきしみ感を抑えることもできる。
なお、「皮膚外用剤中の全紫外線吸収剤の合計」とは、粒状ゲルカプセル中の紫外線吸収剤と粒状ゲルカプセル外の紫外線吸収剤との合計を意味する。
【0023】
((a2)カプセル化剤)
カプセル化剤としては、水溶性非架橋型高分子を含むことが好ましい。かかる水溶性非架橋型高分子としては、例えば、寒天、カラギーナン、ゼラチン、ジェランガム、キサンタンガム、ハイメトキシルペクチン等が挙げられる。これらの中でも、カプセル化剤としては、みずみずしくひんやりとした良好な使用感、保存安定性(粒状ゲルカプセルの安定化)等の観点から、寒天、カラギーナン及びゼラチンから選ばれる1種又は2種以上が好ましく、寒天が特に好ましい。なお、本出願における「寒天」とは、ガラクトースの1,3結合及び1,4結合からなるガラクタンを含むヘミセルロースをいう。
【0024】
寒天のゼリー強度(日寒水式法)は、使用感等の観点から、147kPa(1500g/cm2)以下が好ましく、19.6kPa(200g/cm2)以上127kPa(1300g/cm2)以下がより好ましい。
ゼリー強度は、寒天の1.5質量%水溶液を調製し、その水溶液を20℃で15時間放置して凝固させたゲルを、縦×横×高さが25mm×25mm×3mmの大きさに切り取り、この切り取られたゲルを、日寒水式ゼリー強度測定器(木屋製作所社製)により荷重をかけ、20℃においてゲルが20秒間その荷重に耐えるときの表面積1cm2当たりの最大質量(g)として求めることができる。
【0025】
寒天の市販品としては、例えば、伊那寒天PS-84、Z-10、AX-30、AX-100、AX-200、T-1、S-5、M-7、UP-16、CS-16A、CS-420、CS-670、XY-908(以上、伊那食品工業社製)等が挙げられる。
【0026】
カラギーナンは、α(1→3)結合及びβ(1→4)結合を交互に繰り返してなる直鎖状のガラクタンである。β(1→4)結合しているガラクトースユニットは、一部又は全部が3,6-アンヒドロ-D-ガラクトース及びその硫酸エステルとして存在している。組成構造により、κ-カラギーナン、ι-カラギーナン、λ-カラギーナンがあり、いずれでも用いることができる。
ゼラチンは、動物の結合組織等の主成分であるコラーゲンを酸又はアルカリで可溶性とし、次いで加熱変性させた変性タンパクである。
【0027】
なお、カプセル化剤は、1種のみを単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0028】
粒状ゲルカプセル中のカプセル化剤の含有量は、保存安定性、塗布初期のみずみずしさ等の観点から、本発明の皮膚外用剤全質量に対して、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.15質量%以上、特に好ましくは0.2質量%以上であり、また、塗膜均一性、紫外線防御効果、塗布時の外観、崩れやすさ等の観点から、本発明の皮膚外用剤全質量に対して、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1.75質量%以下、更に好ましくは1.5質量%以下、特に好ましくは1質量%以下である。具体的な範囲としては、本発明の皮膚外用剤全質量に対して、0.05質量%以上2質量%以下が好ましく、0.1質量%以上1.75質量%以下がより好ましく、0.15質量%以上1.5質量%以下が更に好ましく、0.2質量%以上1質量%以下が特に好ましい。
粒状ゲルカプセル中のカプセル化剤の上記含有量を1質量%以下とした場合に、塗膜均一性及び紫外線防御効果が特に改善される。
【0029】
粒状ゲルカプセル中のカプセル化剤の含有割合は、保存安定性等の観点から、粒状ゲルカプセル全質量に対して、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上、特に好ましくは0.4質量%以上であり、また、塗膜均一性、紫外線防御効果、再分散性(ケーキングしにくさ)等の観点から、粒状ゲルカプセル全質量に対して、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7.5質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下、特に好ましくは2.5質量%以下である。具体的な範囲としては、粒状ゲルカプセル全質量に対して、0.05質量%以上10質量%以下が好ましく、0.1質量%以上7.5質量%以下がより好ましく、0.2質量%以上5質量%以下が更に好ましく、0.4質量%以上3質量%以下が更に好ましく、0.4質量%以上2.5質量%以下が特に好ましい。
粒状ゲルカプセル中のカプセル化剤の含有割合を2.5質量%以下とした場合に、再分散性(ケーキングしにくさ)が特に改善され、皮膚外用剤の25℃における粘度が低いときであっても再分散性(ケーキングしにくさ)が良好になる。また、塗膜均一性及び紫外線防御効果も改善される。
【0030】
また、成分(a1)粒状ゲルカプセル中の紫外線吸収剤(好ましくは油溶性紫外線吸収剤)に対する成分(a2)粒状ゲルカプセル中のカプセル化剤の含有質量比〔(a2)/(a1)〕は、保存安定性等の観点から、好ましくは0.001以上、より好ましくは0.003以上、更に好ましくは0.005以上、特に好ましくは0.01以上であり、また、塗膜均一性、紫外線防御効果、使用感(ボロボロとした感触にはなりにくく柔らかく崩れやすくなる)等の観点から、好ましくは0.2以下、より好ましくは0.1以下、更に好ましくは0.08以下、特に好ましくは0.06以下である。具体的な範囲としては、0.001以上0.2以下が好ましく、0.003以上0.1以下がより好ましく、0.005以上0.08以下が更に好ましく、0.01以上0.06以下が特に好ましい。
【0031】
また、成分(a2)粒状ゲルカプセル中のカプセル化剤に対する粒状ゲルカプセル中の全不揮発性油剤の合計の含有質量比〔(粒状ゲルカプセル中全不揮発性油剤)/(a2)〕は、塗布時のなめらかさ等の観点から、好ましくは5以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは15以上、特に好ましくは20以上であり、また、保存安定性等の観点から、好ましくは105以下、より好ましくは95以下、更に好ましくは85以下、特に好ましくは75以下である。具体的な範囲としては、5以上105以下が好ましく、10以上95以下がより好ましく、15以上85以下が更に好ましく、20以上75以下が特に好ましい。
【0032】
((a3)水)
粒状ゲルカプセル中の水の含有量は、塗布初期のさっぱり感、塗布初期のみずみずしさ、安定性(ゲルの安定性)等の観点から、本発明の皮膚外用剤全質量に対して、好ましくは5質量%以上、より好ましくは7.5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、特に好ましくは15質量%以上であり、また、本発明の皮膚外用剤全質量に対して、好ましくは65質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは55質量%以下、特に好ましくは50質量%以下である。具体的な範囲としては、本発明の皮膚外用剤全質量に対して、5質量%以上65質量%以下が好ましく、7.5質量%以上60質量%以下がより好ましく、10質量%以上55質量%以下が更に好ましく、15質量%以上50質量%以下が特に好ましい。
【0033】
粒状ゲルカプセル中の水の含有割合は、塗布初期のさっぱり感、塗布初期のみずみずしさ、安定性(ゲルの安定性)等の観点から、粒状ゲルカプセル全質量に対して、好ましくは25質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは35質量%以上、特に好ましくは40質量%以上であり、また、粒状ゲルカプセル全質量に対して、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、更に好ましくは80質量%以下、特に好ましくは75質量%以下である。具体的な範囲としては、粒状ゲルカプセル全質量に対して、25質量%以上90質量%以下が好ましく、30質量%以上85質量%以下がより好ましく、35質量%以上80質量%以下が更に好ましく、40質量%以上75質量%以下が特に好ましい。
【0034】
また、成分(a1)粒状ゲルカプセル中の紫外線吸収剤(好ましくは油溶性紫外線吸収剤)に対する成分(a3)粒状ゲルカプセル中の水の含有質量比〔(a3)/(a1)〕は、安定性(ゲルの安定性)等の観点から、好ましくは0.25以上、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは0.75以上、特に好ましくは1以上であり、また、塗膜均一性、紫外線防御効果、乳化安定性等の観点から、好ましくは5以下、より好ましくは4.5以下、更に好ましくは4以下、特に好ましくは3.5以下である。具体的な範囲としては、0.25以上5以下が好ましく、0.5以上4.5以下がより好ましく、0.75以上4以下が更に好ましく、1以上3.5以下が特に好ましい。
【0035】
((a4)両親媒性固体脂)
両親媒性固体脂としては、例えば、セラミド類、炭素数12~22のアルコール、多価アルコールモノC12~22脂肪酸エステル、多価アルコールモノC12~22アルキルエーテル等が挙げられる。
粒状ゲルカプセルがカプセル化剤及び両親媒性固体脂を含有する場合、粒状ゲルカプセルが塗布中に崩壊したときに、カプセル化剤を足場として両親媒性固体脂が均一な塗膜を形成する。更に粒状ゲルカプセルが紫外線吸収剤を含有する場合、紫外線防御効果が特に良好になる。
【0036】
セラミド類としては、天然型セラミド及び擬似型セラミドから選ばれる1種以上が挙げられる。セラミド類としては、保存安定性(粒状ゲルカプセルの安定化)やきしみ感のなさの観点から、特開2013-53146号公報に記載のセラミド類が好ましい。
【0037】
天然型セラミドの具体例としては、スフィンゴシン、ジヒドロスフィンゴシン、フィトスフィンゴシン又はスフィンガジエニンがアミド化されたセラミドType1~7(例えば、J. Lipid Res., 24:759(1983)の
図2、及びJ. Lipid. Res.,35:2069(1994)の
図4記載のブタ及びヒトのセラミド)が挙げられる。
更にこれらのN-アルキル体(例えばN-メチル体)も、天然型セラミドに含まれる。
これらのセラミドは天然型(D(-)体)の光学活性体を用いても、非天然型(L(+)体)の光学活性体を用いても、更に天然型と非天然型の混合物を用いてもよい。上記化合物の相対立体配置は、天然型の立体配置のものでも、それ以外の非天然型の立体配置のものでもよく、また、これらの混合物によるものでもよい。
天然型セラミドの中では、CERAMIDE1、CERAMIDE2、CERAMIDE3、CERAMIDE5、CERAMIDE6IIの化合物(以上、INCI、8th Edition)及び次式で表わされるものが好ましい。
【0038】
【0039】
これらは天然からの抽出物及び合成物のいずれでもよく、市販のものを用いることができる。
このような天然型セラミドの市販のものとしては、例えば、Ceramide I、Ceramide III、Ceramide IIIA、Ceramide IIIB、Ceramide IIIC、Ceramide VI(以上、コスモファーム社製)、Ceramide TIC-001(高砂香料社製)、CERAMIDE II(Quest International社製)、DS-Ceramide VI、DS-CLA-Phytoceramide、C6-Phytoceramide、DS-ceramide Y3S(DOOSAN社製)、CERAMIDE2(セダーマ社製)が挙げられる。
【0040】
【0041】
擬似型セラミドとしては、保存安定性(粒状ゲルカプセルの安定化)やきしみ感のなさの観点から、下記一般式(1)で表わされる擬似型セラミドが好ましい。
【0042】
【0043】
〔式(1)中、
R1は、ヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数10~22の直鎖、分岐鎖若しくは環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基又は水素原子を示し;
X1は水素原子、アセチル基又はグリセリル基を示し;
R2はヒドロキシル基又はアミノ基が置換していてもよい炭素数5~22の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基(炭化水素基は、好ましくはアルキル基)であるか、又は該炭化水素基(炭化水素基は、好ましくはアルキル基)のω末端に、ヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数8~22の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の脂肪酸がエステル結合したものを示し;
R3は水素原子を示すか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基又はアセトキシ基が置換していてもよい総炭素数1~30の炭化水素基(炭化水素基は、好ましくはアルキル基)を示す。〕
【0044】
擬似型セラミドの中では、一般式(1)中のR1がヘキサデシル基、X1が水素原子、R2がペンタデシル基、R3がヒドロキシエチル基のもの;一般式(1)中のR1がヘキサデシル基、X1が水素原子、R2がノニル基、R3がヒドロキシエチル基のもの;一般式(1)中のR1がヘキサデシル基、X1がグリセリル基、R2がトリデシル基、R3が3-メトキシプロピル基のもの;一般式(1)中のR1が水素原子、X1が水素原子、R2がペンタデシル基、R3がドデシル基のもの;一般式(1)中のR1が水素原子、X1が水素原子、R2が1-ヒドロキシへプチル基、R3がドデシル基のものが好ましく、
一般式(1)中のR1がヘキサデシル基、X1が水素原子、R2がペンタデシル基、R3がヒドロキシエチル基のもの;一般式(1)中のR1がヘキサデシル基、X1が水素原子、R2がノニル基、R3がヒドロキシエチル基のもの;;一般式(1)中のR1がヘキサデシル基、X1がグリセリル基、R2がトリデシル基、R3が3-メトキシプロピル基のものがより好ましく、
一般式(1)中のR1がヘキサデシル基、X1が水素原子、R2がペンタデシル基、R3がヒドロキシエチル基のもの(N-(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)-N-ヒドロキシエチルヘキサデカナミド)が特に好ましい。
【0045】
【0046】
【0047】
また、炭素数12~22のアルコールとしては、炭素数12~22の1価アルコールが好ましく、炭素数14~22の1価アルコールがより好ましく、炭素数16~22の1価アルコールが更に好ましく、炭素数16~18の1価アルコールが特に好ましい。また、炭素数12~22のアルコールは、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、また、飽和アルコールでも不飽和アルコールでもよいが、直鎖状の飽和又は不飽和アルコールが好ましい。
炭素数12~22のアルコールとしては、例えば、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール等が挙げられる。この中では、セチルアルコール、ステアリルアルコールが好ましい。
【0048】
多価アルコールモノC12~22脂肪酸エステルとしては、グリセリンモノC12~22脂肪酸エステル、ソルビタンモノC12~22脂肪酸エステル等が挙げられる。
多価アルコールモノC12~22脂肪酸エステルの脂肪酸残基としては、炭素数14~22の脂肪酸残基が好ましく、炭素数16~22の脂肪酸残基がより好ましい。また、脂肪酸残基は、飽和脂肪酸残基でも不飽和脂肪酸残基でもよく、また、直鎖脂肪酸残基でも分岐脂肪酸残基でもよい。
グリセリンモノC12~22脂肪酸エステルとしては、例えば、グリセリンモノラウリン酸エステル、グリセリンモノミリスチン酸エステル、グリセリンモノパルミチン酸エステル、グリセリンモノステアリン酸エステル、グリセリンモノベヘン酸エステル、グリセリンモノオレイン酸エステル、グリセリンモノイソステアリン酸エステル等が挙げられる。これらの中でも、グリセリンモノパルミチン酸エステル、グリセリンモノステアリン酸エステル及びグリセリンモノベヘン酸エステルから選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
ソルビタンモノC12~22脂肪酸エステルとしては、例えば、モノラウリン酸ソルビタン、モノミリスチン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノベヘン酸ソルビタン等が挙げられる。
【0049】
多価アルコールモノC12~22アルキルエーテルとしては、モノC12~22アルキルグリセリルエーテルが好ましく、モノC14~22アルキルグリセリルエーテルがより好ましく、モノC16~22アルキルグリセリルエーテルが特に好ましい。
モノC12~22アルキルグリセリルエーテルとしては、例えば、モノラウリルグリセリルエーテル、モノミリスチルグリセリルエーテル、モノセチルグリセリルエーテル、モノステアリルグリセリルエーテル、モノベヘニルグリセリルエーテル等が挙げられる。
【0050】
これら成分(a4)の中でも、保存安定性(粒状ゲルカプセルの安定化)やきしみ感のなさの観点から、炭素数14~22の1価アルコール、グリセリンモノC14~22脂肪酸エステル、ソルビタンモノC14~22脂肪酸エステル、及びモノC14~22アルキルグリセリルエーテルから選ばれる1種又は2種以上が好ましく、炭素数16~22の1価アルコール、グリセリンモノC16~22脂肪酸エステル、ソルビタンモノC16~22脂肪酸エステル、及びモノC16~22アルキルグリセリルエーテルから選ばれる1種又は2種以上がより好ましく、炭素数16~22の1価アルコール及びグリセリンモノC16~22脂肪酸エステルから選ばれる1種又は2種以上が更に好ましく、セチルアルコール、ステアリルアルコール及び親油性グリセリンモノステアリン酸エステルから選ばれる1種又は2種以上が特に好ましい。
これらを成分(a4)として用いた場合、粒状ゲルカプセルがαゲル構造をとることができ、保存安定性が改善され、更にきしみ感も低減する。
【0051】
なお、両親媒性固体脂は、1種のみを単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0052】
粒状ゲルカプセル中の両親媒性固体脂の含有量は、塗膜均一性、紫外線防御効果、保存安定性(油相の漏出しにくさ)の観点から、本発明の皮膚外用剤全質量に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、特に好ましくは1.25質量%以上であり、また、保存安定性、乳化安定性の観点から、本発明の皮膚外用剤全質量に対して、好ましくは12質量%以下、より好ましくは9質量%以下、更に好ましくは6質量%以下、特に好ましくは3質量%以下である。具体的な範囲としては、本発明の皮膚外用剤全質量に対して、0.1質量%以上12質量%以下が好ましく、0.3質量%以上9質量%以下がより好ましく、1質量%以上6質量%以下が更に好ましく、1.25質量%以上3質量%以下が特に好ましい。
【0053】
粒状ゲルカプセル中の両親媒性固体脂の含有割合は、塗膜均一性、紫外線防御効果、保存安定性等の観点から、粒状ゲルカプセル全質量に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、特に好ましくは2質量%以上であり、また、保存安定性、乳化安定性等の観点から、粒状ゲルカプセル全質量に対して、好ましくは12.5質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは7.5質量%以下、特に好ましくは5質量%以下である。具体的な範囲としては、粒状ゲルカプセル全質量に対して、0.1質量%以上12.5質量%以下が好ましく、0.5質量%以上10質量%以下がより好ましく、1質量%以上7.5質量%以下が更に好ましく、2質量%以上5質量%以下が特に好ましい。
粒状ゲルカプセル中の両親媒性固体脂の含有割合を0.1質量%以上とした場合に、塗膜均一性が更に改善される。紫外線吸収剤を組み合わせた場合には紫外線吸収剤の分布が均一化しやすくなり、紫外線防御効果が特に改善される。
【0054】
また、成分(a1)粒状ゲルカプセル中の紫外線吸収剤(好ましくは油溶性紫外線吸収剤)に対する成分(a4)粒状ゲルカプセル中の両親媒性固体脂の含有質量比〔(a4)/(a1)〕は、塗膜均一性、紫外線防御効果等の観点から、好ましくは0.001以上、より好ましくは0.005以上、更に好ましくは0.01以上、特に好ましくは0.05以上であり、また、乳化安定性、塗布時のべたつきのなさ等の観点から、好ましくは1.2以下、より好ましくは0.9以下、更に好ましくは0.3以下、特に好ましくは0.15以下である。具体的な範囲としては、0.001以上1.2以下が好ましく、0.005以上0.9以下がより好ましく、0.01以上0.3以下が更に好ましく、0.05以上0.15以下が特に好ましい。
【0055】
((a5)増粘剤)
増粘剤は、(a5-1)油性増粘剤、(a5-2)水性増粘剤に大別される。
油性増粘剤としては、例えば、イヌリン脂肪酸エステル、デキストリン脂肪酸エステル等の糖脂肪酸エステル系油性増粘剤の他、イソステアリン酸ポリグリセリル、(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリル、有機変性粘土鉱物等が挙げられる。なお、これらのうち1種のみを単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの中でも、塗膜均一性、紫外線防御効果等の観点から、糖脂肪酸エステル系油性増粘剤が好ましい。糖脂肪酸エステル系油性増粘剤における脂肪酸の残基としては、直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪酸残基が好ましい。また、脂肪酸残基の炭素数は、好ましくは8~24、より好ましくは12~22、特に好ましくは14~20である。
糖脂肪酸エステル系油性増粘剤としては、デキストリン脂肪酸エステルが好ましい。具体的には、ミリスチン酸デキストリン、パルミチン酸デキストリン、ステアリン酸デキストリン、(パルミチン酸/2-エチルヘキサン酸)デキストリン、(パルミチン酸/ヘキシルデカン酸)デキストリン等が挙げられる。
【0056】
水性増粘剤としては、例えば、デキストリン、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸/アクリル酸アルキルコポリマー、キサンタンガム、カルボキシメチルキチン、キトサン等が挙げられる。
これらの中でも、製造時の乳化安定性等の観点から、ポリビニルアルコール及び(メタ)アクリル酸系ポリマーから選ばれる1種以上が好ましく、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー及びアクリル酸/アクリル酸アルキルコポリマーから選ばれる1種以上がより好ましく、ポリビニルアルコール及び(アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10-30))コポリマーから選ばれる1種以上が特に好ましい。
ここで、(アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10-30))コポリマーとは、アクリル酸アルキル(C10-30)とアクリル酸、メタクリル酸又はこれらの低級アルキルエステルとの共重合体を、ショ糖のアリルエーテル又はペンタエリスリトールのアリルエーテルで架橋したものであり、ペムレンTR-1、ペムレンTR-2(以上、Lubrizol製)等の市販品を用いることができる。
【0057】
また、ポリアクリル酸、カルボキシビニルポリマー、(アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10-30))コポリマーなどの酸型の水性増粘剤は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物を中和剤として用い、水溶性ないし水分散性の塩として用いてもよい。
【0058】
これら成分(a5)の中でも、塗膜均一性、紫外線防御効果、保存安定性等の観点から、油性増粘剤を少なくとも用いるのが好ましく、水性増粘剤と油性増粘剤との組み合わせがより好ましく、水性増粘剤と糖脂肪酸エステル系油性増粘剤との組み合わせが更に好ましく、ポリビニルアルコール及び(メタ)アクリル酸系ポリマーから選ばれる1種以上と、糖脂肪酸エステル系油性増粘剤との組み合わせが特に好ましい。
成分(a5)として油性増粘剤を少なくとも用いた場合に、塗膜均一性が更に改善される。紫外線吸収剤を組み合わせた場合には紫外線吸収剤の分布が均一化しやすくなり、紫外線防御効果が特に改善される。
【0059】
また、水性増粘剤と油性増粘剤とを組み合わせて用いる場合、油性増粘剤に対する水性増粘剤の含有質量比〔(水性増粘剤)/(油性増粘剤)〕は、カプセルの乳化安定性、保存安定性等の観点から、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.05以上、更に好ましくは0.1以上、特に好ましくは0.3以上であり、また、塗布初期のさっぱり感、塗布初期のみずみずしさ、保存安定性等の観点から、好ましくは1.5以下、より好ましくは1以下、更に好ましくは0.75以下、特に好ましくは0.5以下である。具体的な範囲としては、0.01以上1.5以下が好ましく、0.05以上1以下がより好ましく、0.1以上0.75以下が更に好ましく、0.3以上0.5以下が特に好ましい。
【0060】
なお、増粘剤は、1種のみを単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよい。
粒状ゲルカプセルがカプセル化剤及び水性増粘剤を含有する場合、粒状ゲルカプセルが塗布中に崩壊したときに、カプセル化剤を足場として、水性増粘剤が不揮発性油剤とともに均一な塗膜を形成し、塗布後期の密着感が良好になる。紫外線吸収剤を組み合わせた場合には紫外線防御効果が特に良好になる。
【0061】
粒状ゲルカプセル中の油性増粘剤の含有量は、紫外線防御効果、カプセルの乳化安定性等の観点から、本発明の皮膚外用剤全質量に対して、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上、特に好ましくは0.5質量%以上であり、また、塗布初期のさっぱり感、塗布時のべたつきのなさ等の観点から、本発明の皮膚外用剤全質量に対して、好ましくは12質量%以下、より好ましくは9質量%以下、更に好ましくは6質量%以下、特に好ましくは2質量%以下である。具体的な範囲としては、本発明の皮膚外用剤全質量に対して、0.05質量%以上12質量%以下が好ましく、0.1質量%以上9質量%以下がより好ましく、0.3質量%以上6質量%以下が更に好ましく、0.5質量%以上2質量%以下が特に好ましい。
【0062】
粒状ゲルカプセル中の油性増粘剤の含有割合は、紫外線防御効果、カプセルの乳化安定性等の観点から、粒状ゲルカプセル全質量に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、特に好ましくは1.5質量%以上であり、また、塗布初期のさっぱり感、塗布時のべたつきのなさ等の観点から、粒状ゲルカプセル全質量に対して、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7.5質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、特に好ましくは3.5質量%以下である。具体的な範囲としては、粒状ゲルカプセル全質量に対して、0.1質量%以上10質量%以下が好ましく、0.5質量%以上7.5質量%以下がより好ましく、1質量%以上5質量%以下が更に好ましく、1.5質量%以上3.5質量%以下が特に好ましい。
【0063】
また、成分(a1)粒状ゲルカプセル中の紫外線吸収剤(好ましくは油溶性紫外線吸収剤)に対する成分(a5)粒状ゲルカプセル中の増粘剤の含有質量比〔(a5)/(a1)〕は、カプセルの乳化安定性、保存安定性等の観点から、好ましくは0.005以上、より好ましくは0.01以上、更に好ましくは0.03以上、特に好ましくは0.05以上であり、また、塗布初期のさっぱり感、塗布時のべたつきのなさ等の観点から、好ましくは1以下、より好ましくは0.5以下、更に好ましくは0.3以下、特に好ましくは0.1以下である。具体的な範囲としては、0.005以上1以下が好ましく、0.01以上0.5以下がより好ましく、0.03以上0.3以下が更に好ましく、0.05以上0.1以下が特に好ましい。
【0064】
粒状ゲルカプセル中の水性増粘剤(ポリビニルアルコール含む)の含有量は、カプセルの乳化安定性、ゲル強度の観点から、本発明の皮膚外用剤全質量に対して、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上である。また、粒状ゲルカプセル中の水性増粘剤(ポリビニルアルコール含む)の含有量は、塗布初期のさっぱり感、塗布時のべたつきのなさ等の観点から、好ましくは2.0質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下、さらに好ましくは1.0質量%以下である。
【0065】
皮膚外用剤全体中の水性増粘剤(ポリビニルアルコール含む)の含有量は、均一な塗膜の形成、塗布後期の密着感等の観点から、本発明の皮膚外用剤全質量に対して、0.6質量%以下が好ましく、0.55質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下がさらに好ましく、0.3質量%以下がよりさらに好ましい。また、皮膚外用剤全体中の、ポリビニルアルコール以外の水性増粘剤の含有量は、均一な塗膜の形成、塗布後期の密着感等の観点から、本発明の皮膚外用剤全質量に対して、0.3質量%以下が好ましく、0.25質量%以下がより好ましく、0.13質量%以下がさらに好ましく、0.06質量%以下がよりさらに好ましく、0.03質量%以下がよりさらに好ましい。
【0066】
((a6)多価アルコール)
多価アルコールとしては、例えば、グリコール類、グリセリン類等が挙げられる。グリコール類としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール等のアルキレングリコール;ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のジアルキレングリコール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコールが挙げられる。グリセリン類としては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等が挙げられる。
これらの中でも、保存安定性(粒状ゲルカプセルの安定化)、塗布時のなめらかさ等の観点から、グリセリン類が好ましく、グリセリンが特に好ましい。成分(a6)としてグリセリン類を用いた場合に、粒状ゲルカプセル中の不揮発性油剤(好ましくは油溶性紫外線吸収剤)が高含量化されていながらも保存安定性に優れたものとすることができる。
【0067】
なお、多価アルコールは、1種のみを単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0068】
粒状ゲルカプセル中の多価アルコールの含有量は、保存安定性(粒状ゲルカプセルの安定化)等の観点から、本発明の皮膚外用剤全質量に対して、好ましくは0質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上、特に好ましくは3質量%以上であり、また、塗布時のべたつきのなさ等の観点から、本発明の皮膚外用剤全質量に対して、好ましくは16質量%以下、より好ましくは14質量%以下、更に好ましくは12質量%以下、特に好ましくは10質量%以下である。具体的な範囲としては、本発明の皮膚外用剤全質量に対して、0質量%以上16質量%以下が好ましく、1質量%以上14質量%以下がより好ましく、2質量%以上12質量%以下が更に好ましく、3質量%以上10質量%以下が特に好ましい。
【0069】
粒状ゲルカプセル中の多価アルコールの含有割合は、保存安定性(粒状ゲルカプセルの安定化)等の観点から、粒状ゲルカプセル全質量に対して、好ましくは0質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは3質量%以上、特に好ましくは10質量%以上であり、また、塗布時のべたつきのなさ等の観点から、粒状ゲルカプセル全質量に対して、好ましくは30質量%以下、より好ましくは26質量%以下、更に好ましくは22質量%以下、特に好ましくは18質量%以下である。具体的な範囲としては、粒状ゲルカプセル全質量に対して、0質量%以上30質量%以下が好ましく、1質量%以上26質量%以下がより好ましく、3質量%以上22質量%以下が更に好ましく、10質量%以上18質量%以下が特に好ましい。
【0070】
また、成分(a1)粒状ゲルカプセル中の紫外線吸収剤(好ましくは油溶性紫外線吸収剤)に対する成分(a6)粒状ゲルカプセル中の多価アルコールの含有質量比〔(a6)/(a1)〕は、保存安定性(粒状ゲルカプセルの安定化)等の観点から、好ましくは0以上、より好ましくは0.02以上、更に好ましくは0.05以上、特に好ましくは0.2以上であり、また、塗布時のべたつきのなさ等の観点から、好ましくは1.8以下、より好ましくは1.4以下、更に好ましくは1以下、特に好ましくは0.6以下である。具体的な範囲としては、0以上1.8以下が好ましく、0.02以上1.4以下がより好ましく、0.05以上1以下が更に好ましく、0.2以上0.6以下が特に好ましい。
【0071】
((a7)粉体)
粉体としては、紫外線散乱剤、紫外線散乱剤以外の粉体等が挙げられる。なお、これらのうち1種のみを単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの中では、粒状ゲルカプセルに含有せしめる粉体としては、紫外線防御効果等の観点から、紫外線散乱剤が好ましい。
【0072】
紫外線散乱剤としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム等の金属酸化物;シリコン、アルミニウム等の金属が挙げられる。これらの中では、金属酸化物が好ましく、酸化チタンが特に好ましい。
紫外線散乱剤の形状は特に限定されるものではなく、例えば、球状、板状、棒状、紡錘状、針状、不定形状等が挙げられる。
また、紫外線散乱剤の平均一次粒子径としては、0.005~0.5μmが好ましく、0.007~0.2μmがより好ましく、0.01~0.07μmが特に好ましい。ここで、紫外線散乱剤の平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)にて、観察倍率100000倍の条件にて観察し、観察画像中の300個の一次粒子の最大短径を測定し、その数平均値を算出することにより求められる。ここで、最大短径とは、紫外線散乱剤が板状以外の形状を有する場合には、長径と直交する短径のうち、最大長を有する短径を意味する。また、紫外線散乱剤が板状である場合には、上記と同様の条件で観察される観察画像中の300個の一次粒子の厚さを測定し、その数平均値を算出することにより求められる。
【0073】
紫外線散乱剤としては、疎水化処理紫外線散乱剤が好ましい。
疎水化処理としては、例えば、パーフルオロアルキルリン酸エステル処理、パーフルオロアルキルシラン処理、パーフルオロポリエーテル処理、フルオロシリコーン処理、フッ素化シリコーン樹脂処理等のフッ素化合物処理;メチルハイドロジェンポリシロキサン処理、ジメチルポリシロキサン処理、気相法テトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサン処理等のシリコーン処理;トリメチルシロキシケイ酸処理等のシリコーン樹脂処理;ペンダント処理(気相法シリコーン処理後にアルキル鎖等を付加する方法);シランカップリング剤処理;チタンカップリング剤処理;アルキルシラン処理、アルキルアルコキシシラン処理(例えば、トリエトキシカプリリルシラン処理)、フルオロアルキルアルコキシシラン処理、アルキルシラザン処理等のシラン処理;油剤処理;N-アシル化リジン処理;ポリアクリル酸処理;ステアリン酸塩処理、ミリスチン酸塩処理等の金属石鹸処理;アクリル樹脂処理;含水シリカ処理等の金属酸化物処理等が挙げられる。なお、これらの処理のうち複数を組み合わせて用いてもよい。例えば、酸化チタン表面をシランやアルミナ等で被覆した後、アルキルシランや脂肪酸で表面処理する手法が挙げられる。
これら疎水化処理の中では、シリコーン処理、シラン処理、金属石鹸処理、金属酸化物処理等が好ましい。
【0074】
紫外線散乱剤以外の粉体は、有機粉体、無機粉体、有機無機複合粉体のいずれでもよい。例えば、疎水化処理タルク、セルロース、シリカ(具体的には親水・疎水、多孔質・無孔質シリカ)、架橋(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。なお、これらのうち1種のみを単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよい。
紫外線散乱剤以外の粉体の平均粒子径としては、0.1~30μmが好ましく、0.5~25μmがより好ましく、1~20μmが特に好ましい。
紫外線散乱剤以外の粉体の平均粒子径は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA-960(HORIBA社製)を用いて測定される体積基準のメジアン径をいう。
【0075】
なお、粉体は、1種のみを単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0076】
粒状ゲルカプセル中の粉体の含有割合としては、塗布初期のさっぱり感、塗布初期のみずみずしさ、製造効率等の観点から、粒状ゲルカプセル全質量に対して、0質量%以上40質量%以下が好ましく、0質量%以上30質量%以下がより好ましく、0質量%以上20質量%以下が更に好ましく、0質量%以上10質量%以下が特に好ましい。粒状ゲルカプセル中の粉体がこのような低含有割合の場合であっても、本発明によれば、優れた紫外線防御効果が得られる。
【0077】
((a8)不揮発性油剤(但し、油溶性紫外線吸収剤、両親媒性固体脂及び油性増粘剤を除く))
成分(a8)の不揮発性油剤としては、水添ポリイソブテン、流動パラフィン、ワセリン等の不揮発性炭化水素油;不揮発性ジメチルポリシロキサン等の不揮発性シリコーン油;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、イソノナン酸イソノニル、脂肪酸とネオペンチルグリコールとのエステル(例えばジカプリン酸ネオペンチルグリコール)等の不揮発性脂肪酸エステル油;安息香酸アルキル(C12-15)等が挙げられる。なお、不揮発性の動物油や不揮発性の植物油(オリーブ果実油等)も不揮発性油剤に包含される。
成分(a8)の不揮発性油剤は、1種のみを単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよい。
粒状ゲルカプセル中の成分(a8)の不揮発性油剤の含有割合としては、粒状ゲルカプセル全質量に対して、0質量%以上50質量%以下が好ましく、0質量%以上30質量%以下がより好ましく、0質量%以上15質量%以下が更に好ましく、0質量%以上5質量%以下が特に好ましい。
【0078】
また、粒状ゲルカプセルは、上記各成分の他に、油剤(油溶性紫外線吸収剤、両親媒性固体脂、油性増粘剤及び成分(a8)を除く)、キレート剤、分散剤、防腐剤等を含んでいてもよい。なお、これらのうち1種のみを単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0079】
粒状ゲルカプセルの平均粒子径は、保存安定性(粒状ゲルカプセルの安定化)、使用感、製造効率、塗布中における粒状ゲルカプセルの崩壊容易性等の観点から、好ましくは20μm以上、より好ましくは30μm以上、更に好ましくは40μm以上、更に好ましくは60μm以上、特に好ましくは80μm以上であり、また、塗布時の使用感等の観点から、好ましくは350μm以下、より好ましくは300μm以下、更に好ましくは250μm以下、特に好ましくは200μm以下である。平均粒子径の具体的な範囲としては、20μm以上350μm以下の範囲が好ましく、30μm以上300μm以下の範囲がより好ましく、40μm以上300μm以下の範囲が更に好ましく、60μm以上250μm以下の範囲が更に好ましく、80μm以上200μm以下の範囲が特に好ましい。
粒状ゲルカプセルの平均粒子径を60μm以上とした場合に保存安定性(粒状ゲルカプセルの安定性)が特に改善される。
粒状ゲルカプセルの平均粒子径は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA-960(HORIBA社製)を用いて測定される屈折率1.20、体積基準のメジアン径をいう。
【0080】
粒状ゲルカプセルの含有量は、紫外線防御効果等の観点から、本発明の皮膚外用剤全質量に対して、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは22.5質量%以上、更に好ましくは27.5質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、更に好ましくは35質量%以上、特に好ましくは40質量%以上であり、また、ハンドリング性や塗布時の伸び等の観点から、本発明の皮膚外用剤全質量に対して、好ましくは80質量%以下、より好ましくは75質量%以下、更に好ましくは72.5質量%以下、特に好ましくは70質量%以下である。具体的な範囲としては、本発明の皮膚外用剤全質量に対して、15質量%以上80質量%以下が好ましく、20質量%以上75質量%以下がより好ましく、22.5質量%以上75質量%以下が更に好ましく、27.5質量%以上72.5質量%以下が更に好ましく、30質量%以上72.5質量%以下が更に好ましく、35質量%以上70質量%以下が更に好ましく、40質量%以上70質量%以下が特に好ましい。
【0081】
<(B)液体>
粒状ゲルカプセルが分散している液体は、(b1)揮発性媒体を含むものである。なお、粒状ゲルカプセルが揮発性媒体を含む場合でも、(b1)揮発性媒体は、粒状ゲルカプセル外の揮発性媒体を意味する。
ここで、本明細書において、「粒状ゲルカプセルが分散している」ものには、撹拌又は振とうで一部又は全部を再分散可能であれば、粒状ゲルカプセルの一部又は全部が沈降しているものも包含される。
((b1)揮発性媒体)
成分(B)の液体に含まれる(b1)揮発性媒体としては、水、低級アルコールが挙げられる。低級アルコールとしては、エタノール、イソプロパノール等が挙げられる。
揮発性媒体は、1種のみを単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0082】
成分(B)の液体中の(b1)揮発性媒体の含有量は、塗布初期のさっぱり感、塗布初期のみずみずしさ等の観点から、本発明の皮膚外用剤全質量に対して、好ましくは20質量%以上、より好ましくは23質量%以上、更に好ましくは26質量%以上、特に好ましくは30質量%以上であり、また、本発明の皮膚外用剤全質量に対して、好ましくは70質量%以下、より好ましくは65質量%以下、更に好ましくは60質量%以下、特に好ましくは55質量%以下である。具体的な範囲としては、本発明の皮膚外用剤全質量に対して、20質量%以上70質量%以下が好ましく、23質量%以上65質量%以下がより好ましく、26質量%以上60質量%以下が更に好ましく、30質量%以上55質量%以下が特に好ましい。
【0083】
成分(B)の液体中の(b1)揮発性媒体の含有割合は、塗布初期のさっぱり感、塗布初期のみずみずしさ等の観点から、成分(B)の液体全質量に対して、好ましくは60質量%以上、より好ましくは75質量%以上、更に好ましくは85質量%以上、特に好ましくは95質量%以上であり、また、成分(B)の液体全質量に対して、好ましくは100質量%以下である。具体的な範囲としては、成分(B)の液体全質量に対して、60質量%以上100質量%以下が好ましく、75質量%以上100質量%以下がより好ましく、85質量%以上100質量%以下が更に好ましく、95質量%以上100質量%以下が特に好ましい。
【0084】
成分(b1)として水を用いる場合において、成分(B)の液体中の水の含有割合は、塗布初期のさっぱり感、塗布初期のみずみずしさ等の観点から、成分(B)の液体全質量に対して、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは55質量%以上、特に好ましくは65質量%以上であり、また、成分(B)の液体全質量に対して、好ましくは98質量%以下、より好ましくは95質量%以下、更に好ましくは92質量%以下、特に好ましくは88質量%以下である。具体的な範囲としては、成分(B)の液体全質量に対して、40質量%以上98質量%以下が好ましく、50質量%以上95質量%以下がより好ましく、55質量%以上92質量%以下が更に好ましく、65質量%以上88質量%以下が特に好ましい。
【0085】
成分(b1)として低級アルコールを用いる場合において、成分(B)の液体中の低級アルコールの含有割合は、塗布初期のさっぱり感、塗布初期のみずみずしさ等の観点から、成分(B)の液体全質量に対して、好ましくは2質量%以上、より好ましくは4質量%以上、更に好ましくは8質量%以上、特に好ましくは10質量%以上であり、また、保存安定性等の観点から、成分(B)の液体全質量に対して、好ましくは46質量%以下、より好ましくは42質量%以下、更に好ましくは38質量%以下、特に好ましくは35質量%以下である。具体的な範囲としては、成分(B)の液体全質量に対して、2質量%以上46質量%以下が好ましく、4質量%以上42質量%以下がより好ましく、8質量%以上38質量%以下が更に好ましく、10質量%以上35質量%以下が特に好ましい。
【0086】
((b2)カチオン性ポリマー)
成分(B)の液体としては、(b1)揮発性媒体に加えて、更に(b2)カチオン性ポリマーを含むものが好ましい。なお、粒状ゲルカプセルがカチオン性ポリマーを含む場合でも、(b2)カチオン性ポリマーは、粒状ゲルカプセル外のカチオン性ポリマーを意味する。
一般的には皮膚外用剤にシリカを含有せしめた場合、使用感がべたつきにくくなるもののケーキングが生じやすくなる傾向があるところ、本発明の皮膚外用剤は、(A)粒状ゲルカプセル及び(B)液体に加えて成分(C)の粉体としてシリカを含有し且つ成分(B)の液体が(b2)カチオン性ポリマーを含む場合に、使用感と再分散性(ケーキングしにくさ)とが両立される。
【0087】
カチオン性ポリマーとしては、シリコーン系カチオン性ポリマーが好ましい。例えば、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性シリコーン(例えばオキサゾリン変性シリコーン)、アミノ変性シリコーン等が挙げられる。なお、これらのうち1種のみを単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの中では、ケーキングを生じにくくする観点から、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性シリコーンが好ましい。
【0088】
ポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性シリコーンとしては、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントのケイ素原子の少なくとも2つに、カチオン性の2価連結基を介して、下記一般式(11)で表される繰り返し単位からなるポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントが結合してなるオルガノポリシロキサン(以下、このオルガノポリシロキサンを、オルガノポリシロキサン(OX)ともいう)が挙げられる。
ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントは、オルガノポリシロキサンセグメントを構成する任意のケイ素原子に、カチオン性の2価連結基を介して少なくとも2つ結合しているが、オルガノポリシロキサンセグメントの両末端を除く1以上のケイ素原子にカチオン性の2価連結基を介して結合しているのが好ましく、両末端を除く2以上のケイ素原子にカチオン性の2価連結基を介して結合しているのがより好ましい。
【0089】
【0090】
〔式(11)中、R11は、水素原子、炭素数1~22のアルキル基、アラルキル基又はアリール基を示し、tは2又は3を示す。〕
【0091】
また、上記カチオン性の2価連結基は、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントの連結基として機能する。
カチオン性の2価連結基としては、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基及び第4級アンモニウム基から選ばれる1種又は2種以上のカチオン性基を1~3個含む炭素数2~20のアルキレン基が挙げられる。具体的には、下記式(A1)~(A9)のいずれかで表される基が挙げられ、式(A1)~(A4)のいずれかで表される基が好ましく、式(A1)又は(A2)で表される基が特に好ましい。
なお、式中、An-は、第4級アンモニウム塩の対イオンを示す。例えば、ハロゲン化物イオン(例えば塩化物イオン、ヨウ化物イオン)、硫酸イオン、リン酸イオン、酢酸イオン、乳酸イオン、p-トルエンスルホン酸イオン、過塩素酸イオン、モノアルキル硝酸イオン(例えばメチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン)等が挙げられる。
【0092】
【0093】
ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントを構成するN-アシルアルキレンイミン単位において、一般式(11)中、R11で示されるアルキル基の炭素数は1~22であるが、好ましくは1~14、より好ましくは1~6、特に好ましくは1~3である。また、上記アルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。
R11で示されるアラルキル基としては、炭素数7~15のアラルキル基が好ましい。例えば、ベンジル基、フェネチル基、トリチル基、ナフチルメチル基、アントラセニルメチル基等が挙げられる。
R11で示されるアリール基としては、炭素数6~14のアリール基が好ましい。例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントラセニル基、フェナントリル基等が挙げられる。
これらの中でも、R11としては、水素原子、炭素数1~3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1~3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基がより好ましい。
式(11)中のtは2又は3を示すが、2が好ましい。
【0094】
オルガノポリシロキサン(OX)において、隣接するポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメント間におけるオルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量(以下、「MWg」ともいう)は、好ましくは1000~40000、より好ましくは1500~30000である。
【0095】
また、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントの分子量は、N-アシルアルキレンイミン単位の分子量と重合度から算出するか、又はゲルパーミエションクロマトグラフィ(GPC)法により測定することができるが、本明細書においては、後記の測定条件で行なったGPCにより測定されるポリスチレン換算の数平均分子量(以下、MNoxともいう)をいうものとする。MNoxは、好ましくは500~4000である。
【0096】
また、MWgは、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントの含有率(質量%)(以下、Csiともいう)を用いて、下記式(I)により求めることができる。
【0097】
MWg = Csi×MNox/(100-Csi) (I)
【0098】
主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量(以下、MWsiともいう)は、好ましくは10000~200000、より好ましくは15000~160000である。
主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントは、原料化合物の変性オルガノポリシロキサンと共通の骨格を有するため、MWsiは、原料化合物の変性オルガノポリシロキサンの重量平均分子量と略同一である。なお、原料化合物の変性オルガノポリシロキサンの重量平均分子量は、下記の測定条件で行なったGPCにより測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
【0099】
(変性オルガノポリシロキサンの重量平均分子量の測定条件)
カラム:Super HZ4000+Super HZ2000(東ソー株式会社製)
溶離液:1mMトリエチルアミン/THF
流量 :0.35mL/min
カラム温度:40℃
検出器:UV
サンプル:50μL
【0100】
オルガノポリシロキサン(OX)の重量平均分子量(以下、MWtともいう)は、好ましくは10000~500000、より好ましくは12000~200000である。MWtは、後記の測定条件で行なったGPCにより測定されるポリスチレン換算の値をいうものとする。
【0101】
(MNox及びMWtの測定条件)
カラム:K‐804L(東ソー社製)2つを直列につないで使用
溶離液:1mMジメチルドデシルアミン/クロロホルム
流量 :1.0mL/min
カラム温度:40℃
検出器:RI
サンプル:50μL
【0102】
主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメント(a)と、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメント(b)との質量比(a/b)としては、40/60~98/2が好ましく、45/55~82/18がより好ましい。
なお、本明細書において、質量比(a/b)は、オルガノポリシロキサン(OX)を重クロロホルム中に5質量%溶解させ、核磁気共鳴(1H-NMR)分析により、オルガノポリシロキサンセグメント中のアルキル基又はフェニル基と、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメント中のメチレン基の積分比より求めた値をいう。
【0103】
なお、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントがポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)セグメントの場合、質量比(a/b)算出のための1H-NMR測定は、例えば、下記の条件で行うことができる。
(1H-NMR測定条件)
ポリマーサンプル0.5gを測定溶剤(重クロロホルム)2gで溶解させたものについて、1H-NMR(400MHz Varian製)により測定する。そして、各積分値よりシリコーンとポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)の比率を算出する。
PULSE SEQUENCE
・Relax.delay: 30秒 ・Pulse: 45degrees ・積算回数: 8回
確認ピーク 0ppm付近:ポリジメチルシロキサンのメチル基、
3.4ppm付近:エチレンイミンのメチレン部分。
【0104】
オルガノポリシロキサン(OX)は、特開2008-143820号公報、特開2009-24114号公報、特開2015-67603号公報、特開2016-204336号公報等に記載の方法に従って合成して得たものを用いてもよい。例えば、上記のカチオン性の2価連結基を誘導する官能基で変性されたオルガノポリシロキサンと、一般式(11)で表される繰り返し単位に対応する環状イミノエーテルを開環重合して得られる末端反応性ポリ(N-アシルアルキレンイミン)とを反応させることにより製造できる。
【0105】
ポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性シリコーンとしては、具体的には、特開2008-143820号公報 合成例1、2の記載に準じて調製したものや、特開2009-24114号公報 実施例8の記載に準じて調製したもの等が挙げられる。
【0106】
なお、カチオン性ポリマーは、1種のみを単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0107】
成分(B)の液体中の(b2)カチオン性ポリマーの含有量は、再分散性(ケーキングしにくさ)、紫外線防御効果の持続性等の観点から、本発明の皮膚外用剤全質量に対して、好ましくは0質量%以上、より好ましくは0.005質量%以上、更に好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.02質量%以上、特に好ましくは0.05質量%以上であり、また、塗布時のべたつきのなさ等の観点から、本発明の皮膚外用剤全質量に対して、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.6質量%以下、更に好ましくは0.3質量%以下、特に好ましくは0.1質量%以下である。具体的な範囲としては、本発明の皮膚外用剤全質量に対して、0質量%以上1質量%以下が好ましく、0.005質量%以上0.6質量%以下がより好ましく、0.01質量%以上0.3質量%以下が更に好ましく、0.02質量%以上0.1質量%以下が特に好ましい。
【0108】
成分(B)の液体中の(b2)カチオン性ポリマーの含有割合は、再分散性(ケーキングしにくさ)、紫外線防御効果の持続性等の観点から、成分(B)の液体全質量に対して、好ましくは0質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.05質量%以上、特に好ましくは0.1質量%以上であり、また、塗布時のべたつきのなさ等の観点から、成分(B)の液体全質量に対して、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.75質量%以下、特に好ましくは0.5質量%以下である。具体的な範囲としては、成分(B)の液体全質量に対して、0質量%以上3質量%以下が好ましく、0.01質量%以上1質量%以下がより好ましく、0.05質量%以上0.75質量%以下が更に好ましく、0.1質量%以上0.5質量%以下が特に好ましい。
【0109】
成分(B)の液体は、上記各成分の他に、殺菌剤、保湿剤等を含んでいてもよい。なお、これらのうち1種のみを単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0110】
成分(B)の液体の合計含有量は、ハンドリング性等の観点から、本発明の皮膚外用剤全質量に対して、好ましくは20質量%以上、より好ましくは24質量%以上、更に好ましくは27質量%以上、特に好ましくは30質量%以上であり、また、本発明の皮膚外用剤全質量に対して、好ましくは85質量%以下、より好ましくは75質量%以下、更に好ましくは70質量%以下、特に好ましくは65質量%以下である。具体的な範囲としては、本発明の皮膚外用剤全質量に対して、20質量%以上85質量%以下が好ましく、24質量%以上75質量%以下がより好ましく、27質量%以上70質量%以下が更に好ましく、30質量%以上65質量%以下が特に好ましい。
【0111】
また、成分(B)の液体に対する成分(A)粒状ゲルカプセルの含有質量比〔(A)/(B)〕は、塗膜均一性、紫外線防御効果等の観点から、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.4以上、特に好ましくは0.5以上であり、また、塗布初期のさっぱり感、塗布初期のみずみずしさ等の観点から、好ましくは3.5以下、より好ましくは3以下、更に好ましくは2.5以下、特に好ましくは2以下である。具体的な範囲としては、0.1以上3.5以下が好ましく、0.2以上3以下がより好ましく、0.4以上2.5以下が更に好ましく、0.5以上2以下が特に好ましい。
【0112】
成分(B)の液体中の不揮発性油剤の含有量は、本発明の皮膚外用剤全質量に対して、0質量%以上14質量%以下である。このようにして不揮発性油剤の含有量を0質量%以上14質量%以下とすることによって、塗布初期にさっぱり且つなめらかな使用感を得ることができる。
成分(B)の液体中の不揮発性油剤の含有量としては、塗布初期のさっぱり感、塗布時のなめらかさ等の観点から、本発明の皮膚外用剤全質量に対して、0質量%以上10質量%以下が好ましく、0質量%以上5質量%以下がより好ましく、0質量%以上1質量%以下が更に好ましく、0質量%が特に好ましい。
成分(B)の液体中の不揮発性油剤の含有割合としては、塗布初期のさっぱり感、塗布初期のみずみずしさ等の観点から、成分(B)の液体全質量に対して、0質量%以上25質量%以下が好ましく、0質量%以上15質量%以下がより好ましく、0質量%以上5質量%以下が更に好ましく、0質量%が特に好ましい。
【0113】
また、粒状ゲルカプセル中の全不揮発性油剤の合計に対する成分(B)の液体中の全不揮発性油剤の含有質量比〔(液体中全不揮発性油剤)/(粒状ゲルカプセル中全不揮発性油剤)〕としては、塗布初期のさっぱり感、塗布初期のみずみずしさ等の観点から、0以上0.1以下が好ましく、0以上0.06以下がより好ましく、0以上0.01以下が更に好ましく、0が特に好ましい。
【0114】
ここで、上記「不揮発性油剤」は、1気圧下25℃で不揮発性の油性成分をいう。例えば、不揮発性の油溶性紫外線吸収剤、不揮発性の両親媒性固体脂及び不揮発性の油性増粘剤は不揮発性油剤である。さらに、不揮発性油剤としては、水添ポリイソブテン、流動パラフィン、ワセリン等の不揮発性炭化水素油;不揮発性ジメチルポリシロキサン等の不揮発性シリコーン油;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、イソノナン酸イソノニル、脂肪酸とネオペンチルグリコールとのエステル(例えばジカプリン酸ネオペンチルグリコール)等の不揮発性脂肪酸エステル油;安息香酸アルキル(C12-15)等が挙げられる。なお、不揮発性の動物油や不揮発性の植物油(オリーブ果実油等)も不揮発性油剤に包含される。
【0115】
成分(B)の液体中の水性増粘剤の含有量は、本発明の皮膚外用剤全質量に対して、0質量%以上0.25質量%以下である。このようにして水性増粘剤の含有量を0質量%以上0.25質量%以下とすることによって、塗布初期のさっぱり感、塗布初期のみずみずしさが改善される。
成分(B)の液体中の水性増粘剤の含有量としては、塗布初期のさっぱり感、塗布初期のみずみずしさ等の観点から、本発明の皮膚外用剤全質量に対して、0質量%以上0.03質量%以下が好ましく、0質量%以上0.015質量%以下がより好ましく、0質量%以上0.005質量%以下が更に好ましく、0質量%が特に好ましい。
成分(B)の液体中の水性増粘剤の含有割合としては、塗布初期のさっぱり感、塗布初期のみずみずしさ等の観点から、成分(B)の液体全質量に対して、0質量%以上0.05質量%以下が好ましく、0質量%以上0.03質量%以下がより好ましく、0質量%以上0.01質量%以下が更に好ましく、0質量%が特に好ましい。
上記「水性増粘剤」としては、粒状ゲルカプセルが含んでいてもよい水性増粘剤と同様のものが挙げられる。
【0116】
成分(B)の液体中の油性増粘剤の含有量としては、紫外線防御効果、塗布初期のさっぱり感、塗布初期のみずみずしさ等の観点から、本発明の皮膚外用剤全質量に対して、0質量%以上0.03質量%以下が好ましく、0質量%以上0.015質量%以下がより好ましく、0質量%以上0.005質量%以下が更に好ましく、0質量%が特に好ましい。
上記「油性増粘剤」は、水性増粘剤を除く増粘剤であり、粒状ゲルカプセルが含んでいてもよい油性増粘剤と同様のものが挙げられる。
【0117】
成分(B)の液体中の乳化剤の含有量としては、塗布初期のさっぱり感、塗布初期のみずみずしさ、乳化安定性、耐水性等の観点から、本発明の皮膚外用剤全質量に対して、0質量%以上0.4質量%以下が好ましく、0質量%以上0.2質量%以下がより好ましく、0質量%以上0.1質量%以下が更に好ましく、0質量%が特に好ましい。
成分(B)の液体中の乳化剤の含有割合としては、塗布初期のさっぱり感、塗布初期のみずみずしさ、乳化安定性、耐水性等の観点から、成分(B)の液体全質量に対して、0質量%以上0.8質量%以下が好ましく、0質量%以上0.4質量%以下がより好ましく、0質量%以上0.2質量%以下が更に好ましく、0質量%が特に好ましい。
上記「乳化剤」としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノステアリン酸ソルビタン等の各種界面活性剤(アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤等)等が挙げられる。
【0118】
成分(B)の液体中の不揮発性油剤と水性増粘剤と乳化剤との合計含有量としては、塗布初期のさっぱり感、塗布初期のみずみずしさ、紫外線防御効果、乳化安定性等の観点から、本発明の皮膚外用剤全質量に対して、0質量%以上12質量%以下が好ましく、0質量%以上5質量%以下がより好ましく、0質量%以上0.001質量%以下が更に好ましく、0質量%が特に好ましい。
【0119】
なお、成分(B)の液体中の不揮発性油剤、水性増粘剤、乳化剤は、それぞれ、成分(B)の液体中且つ粒状ゲルカプセル外の不揮発性油剤、水性増粘剤、乳化剤をいう。
【0120】
<(C)粉体>
本発明の皮膚外用剤としては、使用感向上等の観点から、(A)粒状ゲルカプセル及び(B)液体に加えて、粒状ゲルカプセル外に更に(C)粉体を含有するものが好ましく、成分(A)及び(C)が成分(B)の液体に分散しているものがより好ましい。
成分(C)の粉体としては、べたつき感のなさ、なめらかさ等の観点から、粒状ゲルカプセルが含んでいてもよい粉体と同様のものが挙げられるが、紫外線散乱剤以外の粉体が好ましく、セルロース、シリカがより好ましく、シリカが更に好ましく、多孔質シリカが特に好ましい。
紫外線散乱剤以外の粉体の平均粒子径としては、再分散性(ケーキングしにくさ)、紫外線防御効果、べたつき感のなさ等の観点から、0.1~30μmが好ましく、0.5~25μmがより好ましく、1~20μmが特に好ましい。
紫外線散乱剤以外の粉体の平均粒子径は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA-960(HORIBA社製)を用いて測定される体積基準のメジアン径をいう。
【0121】
成分(C)の粉体の含有量は、べたつき感のなさ、なめらかさ等の観点から、本発明の皮膚外用剤全質量に対して、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.6質量%以上、特に好ましくは1質量%以上であり、また、紫外線防御効果、保存安定性等の観点から、本発明の皮膚外用剤全質量に対して、好ましくは15質量%以下、より好ましくは12質量%以下、更に好ましくは9質量%以下、特に好ましくは6質量%以下である。具体的な範囲としては、本発明の皮膚外用剤全質量に対して、0.05質量%以上15質量%以下が好ましく、0.2質量%以上12質量%以下がより好ましく、0.6質量%以上9質量%以下が更に好ましく、1質量%以上6質量%以下が特に好ましい。
【0122】
また、成分(b2)と成分(C)とを組み合わせて用いる場合において、成分(C)の粉体に対する成分(B)の液体中の(b2)カチオン性ポリマーの含有質量比〔(b2)/(C)〕は、再分散性(ケーキングしにくさ)、保存安定性、紫外線防御効果の持続性、カプセルから染み出した油を乳化することで皮膚外用剤の外観の悪化を抑制する等の観点から、好ましくは0.001以上、より好ましくは0.004以上、更に好ましくは0.007以上、特に好ましくは0.01以上であり、また、保存安定性、塗布時のべたつきのなさ等の観点から、好ましくは1以下、より好ましくは0.5以下、更に好ましくは0.3以下、特に好ましくは0.1以下である。具体的な範囲としては、0.001以上1以下が好ましく、0.004以上0.5以下がより好ましく、0.007以上0.3以下が更に好ましく、0.01以上0.1以下が特に好ましい。
【0123】
本発明の皮膚外用剤の25℃における粘度は、液ダレしにくさ等の観点から、好ましくは10mPa・s以上、より好ましくは20mPa・s以上、更に好ましくは25mPa・s以上、特に好ましくは30mPa・s以上であり、また、塗布初期の使用感(さっぱり感及びみずみずしさ)、紫外線防御効果、塗布時の伸び等の観点から、好ましくは10000mPa・s以下、より好ましくは5000mPa・s以下、更に好ましくは1000mPa・s以下、特に好ましくは500mPa・s以下である。具体的な範囲としては、10mPa・s以上10000mPa・s以下が好ましく、20mPa・s以上5000mPa・s以下がより好ましく、25mPa・s以上1000mPa・s以下が更に好ましく、30mPa・s以上500mPa・s以下が特に好ましい。
25℃における粘度を10000mPa・s以下とした場合に塗布初期の使用感(さっぱり感及びみずみずしさ)が特に改善される。
なお、25℃における上記粘度は、ブルックフィールド式粘度計(B型粘度計)により測定できる。
【0124】
本発明の皮膚外用剤の25℃におけるpHは、保存安定性(粒状ゲルカプセルの安定化)等の観点から、好ましくは4以上10以下、より好ましくは4.5以上9以下、特に好ましくは5以上8以下である。
25℃におけるpHを4.5以上とした場合に保存安定性が特に改善される。
【0125】
本発明の皮膚外用剤及び成分(B)の液体の形態としては、乳化組成物(水中油型乳化組成物、油中水型乳化組成物)、水性組成物が挙げられるが、使用感の観点から、水性組成物が好ましい。
【0126】
本発明の皮膚外用剤は、特開2012-171891号公報、特開2012-171892号公報、特開2014-91737号公報、特開2016-104712号公報等に記載の方法を適宜組み合わせて製造できる。
例えば、粒状ゲルカプセルが不揮発性油剤に加えてカプセル化剤及び水を含有する皮膚外用剤を製造する場合には、以下の方法で製造できる。すなわち、カプセル化剤及び水を混合し、カプセル化剤の溶解温度以上に加熱して水相成分を調製し、得られた水相成分と、別途調製した不揮発性油剤を含有する油相成分とを混合して混合液を調製後、滴下法、噴霧法又は攪拌法等により粒状ゲルカプセルを得る。得られた粒状ゲルカプセルを揮発性媒体と混合することによって皮膚外用剤を製造できる。
【0127】
そして、本発明の皮膚外用剤は、塗布初期のさっぱり感等の使用感に優れ且つ油溶性紫外線吸収剤等の不揮発性油剤の良好な塗膜を形成できるものである。
このような効果が奏される理由は、粒状ゲルカプセル中の不揮発性油剤の含有量を皮膚外用剤全質量に対して1.5質量%以上とするとともに、成分(B)の液体中の不揮発性油剤の含有量を皮膚外用剤全質量に対して0質量%以上14質量%以下とし、成分(B)の液体中の水性増粘剤の含有量を皮膚外用剤全質量に対して0質量%以上0.25質量%以下とすることによって、塗布初期に良好なさっぱり感が得られ、しかも、油溶性紫外線吸収剤等の不揮発性油剤の分布が均一化しやすくなり、粒状ゲルカプセル中の不揮発性油剤として油溶性紫外線吸収剤を含む場合には優れた紫外線防御効果が得られるためであると本発明者は推察する。さらに、粒状ゲルカプセルが塗布中に崩壊して塗膜を形成するため塗布後期に良好な密着感も得られやすく、塗布初期のさっぱり感と塗布後期の良好な密着感という特徴的な使用感が得られる。
したがって、本発明の皮膚外用剤は化粧料(例えば、日焼け止め、ファンデーション、化粧下地、化粧水)として有用であり、日焼け止めとして特に有用である。本発明の皮膚外用剤は、皮膚(好ましくは頭皮を除く皮膚、より好ましくは顔、身体、手足等)に、剤型の種類に応じた手法で塗布をして、日焼け止めとして使用することができる。また、その使用方法は特に限定されないが、手又は塗布用器具で塗布するのが好ましい。
なお、上記「さっぱり感」とは、水のようにさっぱりとした塗布感覚をいい、例えば、皮膚外用剤を肌上に出し、手などで伸ばした際に水のようにスーッと伸びてさっぱりとした塗布感覚が得られる場合には、塗布初期のさっぱり感に優れるといえる。更に、皮膚外用剤を肌上に出した際に、皮膚外用剤が皮膚に接触する接触角が大きいため水滴のような外観を呈すれば、上記さっぱり感が助長される。
なお、塗布後期の密着感は、例えば特開2018-109599号公報に記載された慣性センサを使用して、指のねじれ方向の角速度Gxが塗布中に顕著に増加したか否かを検出することで確認できる。
【0128】
上述した実施形態に関し、本発明は更に以下の皮膚外用剤等を開示する。
<1> 不揮発性油剤を含む粒状ゲルカプセルと、次の成分(b1):
(b1)揮発性媒体
を含む液体とを含有し、前記粒状ゲルカプセルが前記液体に分散しており、
前記粒状ゲルカプセル中の不揮発性油剤の含有量が、皮膚外用剤全質量に対して1.5質量%以上であり、
前記液体中の不揮発性油剤の含有量が、皮膚外用剤全質量に対して0質量%以上14質量%以下であり、
前記液体中の水性増粘剤の含有量が、皮膚外用剤全質量に対して0質量%以上0.25質量%以下である、皮膚外用剤。
【0129】
<2> 前記粒状ゲルカプセルが、好ましくは粒状ハイドロゲルカプセルであり、より好ましくは不揮発性油剤を含む油相がハイドロゲル中に分散している粒状ハイドロゲルカプセルであり、更に好ましくは油溶性紫外線吸収剤を含む油相がハイドロゲル中に分散している粒状ハイドロゲルカプセルであり、特に好ましくは非架橋型ハイドロゲルの連続相と当該連続相に分散した油相とを備え、油相が油溶性紫外線吸収剤を含む粒状ハイドロゲルカプセルである、<1>に記載の皮膚外用剤。
【0130】
<3> 前記粒状ゲルカプセルが、好ましくは前記不揮発性油剤として、(a1)紫外線吸収剤(好ましくは油溶性紫外線吸収剤)、(a4)両親媒性固体脂、(a5-1)油性増粘剤及び(a8)不揮発性油剤(但し、油溶性紫外線吸収剤、両親媒性固体脂及び油性増粘剤を除く)から選ばれる1種以上を含み、より好ましくは前記不揮発性油剤として(a1)油溶性紫外線吸収剤を少なくとも含み、更に好ましくは前記不揮発性油剤として(a1)油溶性紫外線吸収剤と(a4)両親媒性固体脂及び(a5-1)油性増粘剤から選ばれる1種以上とを含み、特に好ましくは前記不揮発性油剤として(a1)油溶性紫外線吸収剤、(a4)両親媒性固体脂及び(a5-1)油性増粘剤を含む、<1>又は<2>に記載の皮膚外用剤。
【0131】
<4> 成分(a1)が、好ましくは安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、及びシリコーン系紫外線吸収剤から選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくは安息香酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤及びトリアジン系紫外線吸収剤から選ばれる1種又は2種以上であり、更に好ましくはパラアミノ安息香酸(para-aminobenzoic acid:PABA)、グリセリルPABA、エチルジヒドロキシプロピルPABA、N-エトキシレートPABAエチルエステル、N-ジメチルPABAエチルエステル、N-ジメチルPABAブチルエステル、N-ジメチルPABAアミルエステル、オクチルジメチルPABA、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、オクチルシンナメート、エチル-4-イソプロピルシンナメート、エチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、メチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、プロピル-p-メトキシシンナメート、イソプロピル-p-メトキシシンナメート、イソアミル-p-メトキシシンナメート、2-エチルヘキシル-p-メトキシシンナメート、2-エトキシエチル-p-メトキシシンナメート、シクロヘキシル-p-メトキシシンナメート、エチル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、2-エチルヘキシル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、グリセリルモノ-2-エチルヘキサノイルジパラメトキシシンナメート、2,4,6-トリス[4-(2-エチルへキシルオキシカルボニル)アニリノ]-1,3,5-トリアジン、ジオクチルブタミドトリアゾン、及び2,4-ビス-[{4-(2-エチルへキシルオキシ)-2-ヒドロキシ}-フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジンから選ばれる1種又は2種以上である、<3>に記載の皮膚外用剤。
【0132】
<5> 成分(a1)(好ましくは油溶性紫外線吸収剤)の含有量が、皮膚外用剤全質量に対して、好ましくは1.5質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは6質量%以上、更に好ましくは9質量%以上、特に好ましくは12質量%以上であり、また、皮膚外用剤全質量に対して、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは30質量%以下、特に好ましくは25質量%以下である、<3>又は<4>に記載の皮膚外用剤。
<6> 成分(a1)(好ましくは油溶性紫外線吸収剤)の含有量が、皮膚外用剤全質量に対して、好ましくは1.5質量%以上40質量%以下、より好ましくは3質量%以上40質量%以下、更に好ましくは6質量%以上35質量%以下、更に好ましくは9質量%以上30質量%以下、特に好ましくは12質量%以上25質量%以下である、<3>~<5>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【0133】
<7> 成分(a1)(好ましくは油溶性紫外線吸収剤)の含有割合が、粒状ゲルカプセル全質量に対して、好ましくは15質量%以上、より好ましくは17質量%以上、更に好ましくは19質量%以上、特に好ましくは22質量%以上であり、また、粒状ゲルカプセル全質量に対して、好ましくは54質量%以下、より好ましくは48質量%以下、更に好ましくは42質量%以下、特に好ましくは40質量%以下である、<3>~<6>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
<8> 皮膚外用剤中の全紫外線吸収剤の合計に対する成分(a1)粒状ゲルカプセル中の紫外線吸収剤(好ましくは油溶性紫外線吸収剤)の含有質量比〔(a1)/(全紫外線吸収剤)〕が、好ましくは0.6以上1以下、より好ましくは0.85以上1以下、更に好ましくは0.9以上1以下、更に好ましくは0.95以上1以下、更に好ましくは0.99以上1以下、特に好ましくは1である、<3>~<7>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【0134】
<9> 粒状ゲルカプセルが、好ましくは(a1)紫外線吸収剤(好ましくは油溶性紫外線吸収剤)、(a2)カプセル化剤、(a3)水、(a4)両親媒性固体脂、(a5)増粘剤((a5)増粘剤としては(a5-1)油性増粘剤及び(a5-2)水性増粘剤が挙げられる)、(a6)多価アルコール、(a7)粉体及び(a8)不揮発性油剤(但し、油溶性紫外線吸収剤、両親媒性固体脂及び油性増粘剤を除く)から選ばれる1種又は2種以上を含有するものであり、より好ましくは(a1)紫外線吸収剤(好ましくは油溶性紫外線吸収剤)を含有するものであり、更に好ましくは(a1)紫外線吸収剤(好ましくは油溶性紫外線吸収剤)に加えて、更に(a2)カプセル化剤、(a3)水、(a4)両親媒性固体脂、(a5)増粘剤、(a6)多価アルコール、(a7)粉体及び(a8)不揮発性油剤(但し、油溶性紫外線吸収剤、両親媒性固体脂及び油性増粘剤を除く)から選ばれる1種又は2種以上を含有するものであり、更に好ましくは成分(a1)~(a2)を含有するものであり、更に好ましくは成分(a1)~(a3)を含有するものであり、更に好ましくは成分(a1)~(a4)を含有するものであり、更に好ましくは成分(a1)~(a5)を含有するものであり、更に好ましくは成分(a1)~(a5)並びに成分(a6)及び(a7)から選ばれる1種以上を含有するものであり、更に好ましくは成分(a1)~(a6)を含有するものであり、特に好ましくは成分(a1)~(a7)を含有するものである、<1>~<8>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【0135】
<10> 粒状ゲルカプセルが、好ましくはゲル状のカプセル化剤に成分(a1)が分散しているものであり、より好ましくはゲル状のカプセル化剤に成分(a1)及び(a3)が分散しているものであり、更に好ましくはゲル状のカプセル化剤に成分(a1)、(a3)及び(a4)が分散しているものであり、更に好ましくはゲル状のカプセル化剤に成分(a1)及び成分(a3)~(a5)が分散しているものであり、更に好ましくはゲル状のカプセル化剤に成分(a1)と成分(a3)~(a5)と成分(a6)及び(a7)から選ばれる1種以上とが分散しているものであり、更に好ましくはゲル状のカプセル化剤に成分(a1)及び成分(a3)~(a6)が分散しているものであり、特に好ましくはゲル状のカプセル化剤に成分(a1)及び成分(a3)~(a7)が分散しているものである、<9>に記載の皮膚外用剤。
【0136】
<11> 成分(a2)が、好ましくは寒天、カラギーナン及びゼラチンから選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくは寒天である、<9>又は<10>に記載の皮膚外用剤。
<12> 成分(a2)の含有量が、皮膚外用剤全質量に対して、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.15質量%以上、特に好ましくは0.2質量%以上であり、また、皮膚外用剤全質量に対して、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1.75質量%以下、更に好ましくは1.5質量%以下、特に好ましくは1質量%以下である、<9>~<11>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
<13> 成分(a2)の含有割合が、粒状ゲルカプセル全質量に対して、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上、特に好ましくは0.4質量%以上であり、また、粒状ゲルカプセル全質量に対して、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7.5質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下、特に好ましくは2.5質量%以下である、<9>~<12>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【0137】
<14> 成分(a1)粒状ゲルカプセル中の紫外線吸収剤(好ましくは油溶性紫外線吸収剤)に対する成分(a2)粒状ゲルカプセル中のカプセル化剤の含有質量比〔(a2)/(a1)〕が、好ましくは0.001以上、より好ましくは0.003以上、更に好ましくは0.005以上、特に好ましくは0.01以上であり、また、好ましくは0.2以下、より好ましくは0.1以下、更に好ましくは0.08以下、特に好ましくは0.06以下である、<9>~<13>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
<15> 成分(a2)粒状ゲルカプセル中のカプセル化剤に対する粒状ゲルカプセル中の全不揮発性油剤の合計の含有質量比〔(粒状ゲルカプセル中全不揮発性油剤)/(a2)〕が、好ましくは5以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは15以上、特に好ましくは20以上であり、また、好ましくは105以下、より好ましくは95以下、更に好ましくは85以下、特に好ましくは75以下である、<9>~<14>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【0138】
<16> 成分(a4)が、好ましくはセラミド類、炭素数12~22のアルコール、多価アルコールモノC12~22脂肪酸エステル、及び多価アルコールモノC12~22アルキルエーテルから選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくは炭素数12~22のアルコール、多価アルコールモノC12~22脂肪酸エステル、及び多価アルコールモノC12~22アルキルエーテルから選ばれる1種又は2種以上であり、更に好ましくは炭素数14~22の1価アルコール、グリセリンモノC14~22脂肪酸エステル、ソルビタンモノC14~22脂肪酸エステル、及びモノC14~22アルキルグリセリルエーテルから選ばれる1種又は2種以上であり、更に好ましくは炭素数16~22の1価アルコール、グリセリンモノC16~22脂肪酸エステル、ソルビタンモノC16~22脂肪酸エステル、及びモノC16~22アルキルグリセリルエーテルから選ばれる1種又は2種以上であり、更に好ましくは炭素数16~22の1価アルコール及びグリセリンモノC16~22脂肪酸エステルから選ばれる1種又は2種以上であり、特に好ましくはセチルアルコール、ステアリルアルコール及び親油性グリセリンモノステアリン酸エステルから選ばれる1種又は2種以上である、<3>~<15>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【0139】
<17> 成分(a4)の含有量が、皮膚外用剤全質量に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、特に好ましくは1.25質量%以上であり、また、皮膚外用剤全質量に対して、好ましくは12質量%以下、より好ましくは9質量%以下、更に好ましくは6質量%以下、特に好ましくは3質量%以下である、<3>~<16>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
<18> 成分(a4)の含有割合が、粒状ゲルカプセル全質量に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、特に好ましくは2質量%以上であり、また、粒状ゲルカプセル全質量に対して、好ましくは12.5質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは7.5質量%以下、特に好ましくは5質量%以下である、<3>~<17>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【0140】
<19> 成分(a5)が、好ましくは水性増粘剤及び油性増粘剤から選ばれる1種又は2種以上である、<9>~<18>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
<20> 水性増粘剤が、好ましくはデキストリン、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸/アクリル酸アルキルコポリマー、キサンタンガム、カルボキシメチルキチン、及びキトサンから選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはポリビニルアルコール及び(メタ)アクリル酸系ポリマーから選ばれる1種以上であり、更に好ましくはポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー及びアクリル酸/アクリル酸アルキルコポリマーから選ばれる1種以上であり、特に好ましくはポリビニルアルコール及び(アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10-30))コポリマーから選ばれる1種以上である、<19>に記載の皮膚外用剤。
<21> 油性増粘剤が、好ましくは糖脂肪酸エステル系油性増粘剤、イソステアリン酸ポリグリセリル、(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリル、及び有機変性粘土鉱物から選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくは糖脂肪酸エステル系油性増粘剤であり、更に好ましくはデキストリン脂肪酸エステルであり、特に好ましくはミリスチン酸デキストリン、パルミチン酸デキストリン、ステアリン酸デキストリン、(パルミチン酸/2-エチルヘキサン酸)デキストリン、及び(パルミチン酸/ヘキシルデカン酸)デキストリンから選ばれる1種又は2種以上である、<3>~<20>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【0141】
<22> 粒状ゲルカプセル中の油性増粘剤の含有量が、皮膚外用剤全質量に対して、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上、特に好ましくは0.5質量%以上であり、また、皮膚外用剤全質量に対して、好ましくは12質量%以下、より好ましくは9質量%以下、更に好ましくは6質量%以下、特に好ましくは2質量%以下である、<3>~<21>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
<23> 粒状ゲルカプセル中の油性増粘剤の含有割合が、粒状ゲルカプセル全質量に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、特に好ましくは1.5質量%以上であり、また、粒状ゲルカプセル全質量に対して、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7.5質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、特に好ましくは3.5質量%以下である、<3>~<22>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
<24> 皮膚外用剤全体中の水性増粘剤(ポリビニルアルコール含む)の含有割合が、皮膚外用剤全質量に対して、好ましくは0.6質量%以下、より好ましくは0.55質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下、よりさらに好ましくは0.3質量%以下であり、また、皮膚外用剤全体中の、ポリビニルアルコール以外の水性増粘剤の含有量が、皮膚外用剤全質量に対して、好ましくは0.3質量%以下、より好ましくは0.25質量%以下、更に好ましくは0.13質量%以下、よりさらに好ましくは0.06質量%以下、よりさらに好ましくは0.03質量%以下である、<19>~<23>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【0142】
<25> 成分(a6)が、好ましくはグリコール類及びグリセリン類から選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはグリセリン類であり、更に好ましくはグリセリン、ジグリセリン、及びポリグリセリンから選ばれる1種又は2種以上であり、特に好ましくはグリセリンである、<9>~<24>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【0143】
<26> 前記粒状ゲルカプセル中の(a7)粉体の含有割合が、粒状ゲルカプセル全質量に対して、好ましくは0質量%以上40質量%以下であり、より好ましくは0質量%以上30質量%以下であり、更に好ましくは0質量%以上20質量%以下であり、特に好ましくは0質量%以上10質量%以下である、<9>~<25>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【0144】
<27> 前記粒状ゲルカプセルの平均粒子径が、好ましくは20μm以上、より好ましくは30μm以上、更に好ましくは40μm以上、更に好ましくは60μm以上、特に好ましくは80μm以上であり、また、好ましくは350μm以下、より好ましくは300μm以下、更に好ましくは250μm以下、特に好ましくは200μm以下である、<1>~<26>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
<28> 前記粒状ゲルカプセルの含有量が、皮膚外用剤全質量に対して、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは22.5質量%以上、更に好ましくは27.5質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、更に好ましくは35質量%以上、特に好ましくは40質量%以上であり、また、皮膚外用剤全質量に対して、好ましくは80質量%以下、より好ましくは75質量%以下、更に好ましくは72.5質量%以下、特に好ましくは70質量%以下である、<1>~<27>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【0145】
<29> 成分(b1)が、好ましくは水及び低級アルコールから選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくは水、エタノール、及びイソプロパノールから選ばれる1種又は2種以上である、<1>~<28>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【0146】
<30> 前記液体が、好ましくは(b2)カチオン性ポリマーを更に含む、<1>~<29>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
<31> 成分(b2)が、好ましくはシリコーン系カチオン性ポリマーであり、より好ましくはポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性シリコーン及びアミノ変性シリコーンから選ばれる1種又は2種以上であり、更に好ましくはポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性シリコーンであり、特に好ましくはオキサゾリン変性シリコーンである、<30>に記載の皮膚外用剤。
<32> 成分(b2)の含有量が、皮膚外用剤全質量に対して、好ましくは0質量%以上、より好ましくは0.005質量%以上、更に好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.02質量%以上、特に好ましくは0.05質量%以上であり、また、皮膚外用剤全質量に対して、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.6質量%以下、更に好ましくは0.3質量%以下、特に好ましくは0.1質量%以下である、<30>又は<31>に記載の皮膚外用剤。
【0147】
<33> 成分(B)液体に対する成分(A)粒状ゲルカプセルの含有質量比〔(A)/(B)〕が、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.4以上、特に好ましくは0.5以上であり、また、好ましくは3.5以下、より好ましくは3以下、更に好ましくは2.5以下、特に好ましくは2以下である、<1>~<32>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【0148】
<34> 前記液体中の不揮発性油剤の含有量が、皮膚外用剤全質量に対して、好ましくは0質量%以上10質量%以下、より好ましくは0質量%以上5質量%以下、更に好ましくは0質量%以上1質量%以下、特に好ましくは0質量%である、<1>~<33>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
<35> 前記粒状ゲルカプセル中の全不揮発性油剤の合計に対する前記液体中の全不揮発性油剤の含有質量比〔(液体中全不揮発性油剤)/(粒状ゲルカプセル中全不揮発性油剤)〕が、好ましくは0以上0.1以下、より好ましくは0以上0.06以下、更に好ましくは0以上0.01以下、特に好ましくは0である、<1>~<34>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【0149】
<36> 前記液体中の水性増粘剤の含有量が、皮膚外用剤全質量に対して、好ましくは0質量%以上0.03質量%以下、より好ましくは0質量%以上0.015質量%以下、更に好ましくは0質量%以上0.005質量%以下、特に好ましくは0質量%である、<1>~<35>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
<37> 前記液体中の油性増粘剤の含有量が、皮膚外用剤全質量に対して、好ましくは0質量%以上0.03質量%以下、より好ましくは0質量%以上0.015質量%以下、更に好ましくは0質量%以上0.005質量%以下、特に好ましくは0質量%である、<1>~<36>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【0150】
<38> 前記液体中の乳化剤の含有量が、皮膚外用剤全質量に対して、好ましくは0質量%以上0.4質量%以下、より好ましくは0質量%以上0.2質量%以下、更に好ましくは0質量%以上0.1質量%以下、特に好ましくは0質量%である、<1>~<37>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
<39> 前記液体中の不揮発性油剤と水性増粘剤と乳化剤との合計含有量が、皮膚外用剤全質量に対して、好ましくは0質量%以上12質量%以下、より好ましくは0質量%以上5質量%以下、更に好ましくは0質量%以上0.001質量%以下、特に好ましくは0質量%である、<1>~<38>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【0151】
<40> 前記粒状ゲルカプセル外に、(C)粉体を更に含有する、<1>~<39>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
<41> 成分(C)が、好ましくは紫外線散乱剤以外の粉体であり、より好ましくはセルロース及びシリカから選ばれる1種以上であり、更に好ましくはシリカであり、特に好ましくは多孔質シリカである、<40>に記載の皮膚外用剤。
<42> 成分(C)の含有量が、皮膚外用剤全質量に対して、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.6質量%以上、特に好ましくは1質量%以上であり、また、皮膚外用剤全質量に対して、好ましくは15質量%以下、より好ましくは12質量%以下、更に好ましくは9質量%以下、特に好ましくは6質量%以下である、<40>又は<41>に記載の皮膚外用剤。
【0152】
<43> 25℃における粘度が、好ましくは10mPa・s以上、より好ましくは20mPa・s以上、更に好ましくは25mPa・s以上、特に好ましくは30mPa・s以上であり、また、好ましくは10000mPa・s以下、より好ましくは5000mPa・s以下、更に好ましくは1000mPa・s以下、特に好ましくは500mPa・s以下である、<1>~<42>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
<44> 25℃におけるpHが、好ましくは4以上10以下、より好ましくは4.5以上9以下、特に好ましくは5以上8以下である、<1>~<43>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【0153】
<45> 前記液体が、水性組成物である、<1>~<44>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
<46> 好ましくは化粧料であり、より好ましくは日焼け止めである、<1>~<45>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【実施例0154】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお本実施例において、各種測定及び評価は以下の方法により行った。
【0155】
・測定方法及び評価方法
(1)粒状ゲルカプセルの平均粒子径
レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA-960(HORIBA社製)を用いて、各粒状ゲルカプセルの体積基準のメジアン径を、屈折率1.20の条件で測定した。
【0156】
(2)粘度
各皮膚外用剤を蓋付きガラス瓶に充填し、調製翌日の25℃における粘度を測定した。測定には、東機産業(株)製のB型粘度計(TVB-10M)を使用し、ガラス瓶内を事前に撹拌した後に、ローター:No.2、回転数:30rpm、測定時間:1分間の条件で粘度を測定した。この条件で測定ができなかった場合にはローターをNo.4に変えて測定を行った。
【0157】
(3)塗布初期のさっぱり感
各皮膚外用剤が塗布初期に感触が軽くさっぱりしているか(肌上で伸ばす際に水のようにスーッと伸びるか、水のような塗布感覚であるか)について評価した。すなわち、3名の専門パネラーに前腕内側に皮膚外用剤を塗布してもらい、10を「塗布初期にとてもさっぱり感がある」、1を「塗布初期にさっぱり感が全くない」とする10段階で官能評価してもらい、得られたスコアの平均値を求めた。
【0158】
(4)紫外線防御効果(UVPE)
2mg/cm2になるように各皮膚外用剤を前腕内側3cmx3cmに均一に塗布し、冷暗所で15分間乾燥させた。乾燥終了後、紫外偏光分光反射画像計測システム(MUPRIS)を用いて文献(Nishino et al, Skin Research and Technology, 2019, Volume 25, Issue 5, p.639-652)に記載の方法で、UV protection efficacy(UVPE)を導出し、以下の基準で評価した。
(紫外線防御効果の評価基準)
AA: UVPEが60以上
A: UVPEが50以上60未満
B: UVPEが40以上50未満
C: UVPEが40未満
【0159】
(調製例1 粒状ゲルカプセルC1)
表1に示す組成となるように粒状ゲルカプセルC1を調製し、平均粒子径の測定を行った。結果を表1に示す。
粒状ゲルカプセルの上記調製は次のようにして行った。すなわち、寒天、(アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10-30))コポリマー、ポリビニルアルコール、苛性ソーダ及び精製水を混合し、90℃に加熱して混合液Iを調製した。次に、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、エチルヘキシルトリアゾン、パルミチン酸デキストリン及びステアリン酸グリセリルを、80℃で加熱混合して溶解させて溶解液IIを調製した。次いで、混合液Iと溶解液IIを混合し、ホモミキサーを用いて攪拌することにより、水中油型分散液を調製した。得られた水中油型分散液の温度を80℃に保持し、二流体スプレーノズル(スプレーイングシステム社製SUE45B)から水中油型分散液を25℃の気相中に噴霧し、水中油型分散液の液滴が冷却固化されるまで放置することで、粒状ゲルカプセルを得た。
【0160】
(調製例2~12 粒状ゲルカプセルC2~C12)
表1~2に示す組成の粒状ゲルカプセルC2~C12を調製例1に準じて調製し、平均粒子径の測定を行った。結果を表1~2に示す。
【0161】
【0162】
【0163】
(実施例1~19及び比較例1~3 皮膚外用剤)
実施例1~19及び比較例1~3の皮膚外用剤を、表3~4に示す処方に従って常法により製造し、粘度、塗布初期のさっぱり感及び紫外線防御効果(UVPE)の測定及び評価を行った。結果を表3~4に示す。
【0164】
【0165】
【0166】
表中の記号は、それぞれ以下を示す。
*1:PEMULEN TR-2(Lubrizol Advanced Materials, Inc.社製)
*2:ゴーセノール EG-05(三菱ケミカル社製)
*3:ユビナール MC-80(BASF社製)
*4:ユビナール A PLUS GRANULAR(BASF社製)
*5:TINOSORB S(BASF社製)
*6:ユビナール T150(BASF社製)
*7:レオパール KL2(千葉製粉社製)
*8:モンテックス A(ミヨシ油脂社製)
*9:MT-100Z(テイカ社製)
*10:サラコスHS-6C(日清オイリオグループ株式会社製)
*11:サンスフェア H-121(AGCエスアイテック社製)
*12:特開2008-143820号公報 合成例1の記載に準じて調製したもの
*13:PEMULEN TR-1(Lubrizol Advanced Materials, Inc.社製)
*14:エマルゲン1620G(花王社製)
*15:パールリームEX(日油社製)
【0167】
(5)再分散性
実施例1及び14の皮膚外用剤については、再分散性についても評価を行った。
すなわち、実施例1又は実施例14の皮膚外用剤50mLを50mLガラス瓶に入れ、このガラス瓶に、直径5mmのステンレス撹拌球を加えた。次に、室温で72時間放置した後、ステンレス撹拌球を撹拌させて均一になるまでに要した振とう回数を測定した。結果を表5に示す。振とう回数が少ないほど再分散性が高いといえる。
【0168】
【0169】
(6)保存安定性(低温保存時の粘度)
実施例1及び2の皮膚外用剤については、低温保存時の保存安定性(粘度)についても評価を行った。
すなわち、実施例1又は実施例2の皮膚外用剤を5℃で6ヵ月間保存した後、室温に戻し、均一になるまで振とうした。その後、保存前後の粘度の変化に基づき、保存安定性を評価した。調製翌日の粘度と同様にして保存後粘度を測定し、保存前粘度に対する保存後粘度の増加率(%)を算出した。結果を表6に示す。増加率が小さいほうが、保存安定性が高い。
【0170】
【0171】
(実施例20~22 皮膚外用剤)
水、多孔質シリカ及びポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)変性シリコーンの含有量を表7に示すものとした以外は実施例1と同様にして、実施例20~22の皮膚外用剤を製造し、粘度測定を行った。結果を表7に示す。
【0172】
(7)保存安定性(高温保存時の外観)
実施例1、14及び20~22の皮膚外用剤について、高温保存時の保存安定性を評価した。
すなわち、表7に示す皮膚外用剤を50℃で1ヵ月間保存した。保存後の皮膚外用剤を目視で観察し、以下の基準で評価した。結果を表7に示す。
(高温保存時の安定性(外観)の評価基準)
A: 振とう前の上澄みに油分の分離が見られない
B: 振とう前の上澄みに油分の分離が見られるが、振とうすれば外観は保存前と同等
【0173】
【0174】
(8)塗布後期の密着感
2mg/cm2となるように実施例1、19、比較例2の皮膚外用剤を上腕内側に滴下後、慣性センサ(特開2018-109599号公報に記載)を装着した指を塗布速度一定(27cm/秒)で前後に動かし、サンプリングインターバル1msでセンサ値Gxを得つつ、ストップ感(なじみ)を感じるまで塗布を継続した。得られたGxを絶対値化した後、1s毎の最大値を取り、なじみ始めたと感じる時点からなじみ終わったと感じる時点までの上記最大値の時間変化率を感触の変化量とした(ΔGx)。
結果を表8に示す。ΔGxの値が大きいほど、指のねじれ方向の角速度Gxが塗布中に顕著に増加したと言え、塗布後期の密着感が感じられる。また、感触の変化により塗り終わりが実感される。なお、塗布開始後、なじみ終わったと感じるまでの時間が短いほど、皮膚外用剤が素早く肌になじんだと感じられる。
【0175】
【0176】
(調製例13 粒状ゲルカプセルC13)
表9に示す組成の粒状ゲルカプセルC13を調製例1に準じて調製した。
【0177】
【0178】
表中の記号は、それぞれ以下を示す。
*2:ゴーセノール EG-05(三菱ケミカル社製)
*7:レオパール KL2(千葉製粉社製)
*8:モンテックス A(ミヨシ油脂社製)
*15:パールリームEX(日油社製)
*16:SIMULGEL EG QD(SEPPIC社製)
*17:エキセパール IPP(花王社製)
*18:フィンソルブ TN(Innospec Performance Chemicals社製)
*19:エステモール N-01(日清オイリオグループ社製)
*20:サラコス 99(日清オイリオグループ社製)
*21:クロピュア OL-LQ-(JP)(クローダジャパン社製)
*22:スーパーホワイトプロトペット(Sonneborn,LLC)
【0179】
(実施例23 皮膚外用剤)
実施例23の皮膚外用剤を、表10に示す処方に従って常法により製造し、塗布初期のさっぱり感を評価した。結果を表10に示す。
【0180】
【0181】
(9)塗膜の均一性
粒状ゲルカプセルC13の成分のうち、水0.01質量%に代えて、蛍光色素であるナイルレッド(東京化成工業社製)0.01質量%を含み、不揮発性油剤がナイルレッドで染色された粒状ゲルカプセルC13-1を調製した。実施例23の皮膚外用剤の成分のうち粒状ゲルカプセルC13に代えてC13-1を含む剤αを製造した。モデルプレート(Helioscreen社製HELIOPLATE HD6)に、2mg/cm
2となるように剤αを塗布した。
皮膚外用剤未塗布のモデルプレート、剤αを塗布したモデルプレートについて、蛍光顕微鏡(キーエンス社製BZ-X810)により塗膜を観察した。
皮膚外用剤未塗布のモデルプレートの顕微鏡写真を
図1に、剤αを塗布したモデルプレートの蛍光顕微鏡写真を
図2に、それぞれ示す(
図2中、色の濃度が高いほど強く発色しており塗膜が厚く、色の濃度が低いほど発色が弱く塗膜が薄いことを意味する)。剤αを塗布したモデルプレートの蛍光顕微鏡写真では、モデルプレートの表面の凹凸に関わらず万遍なく発色しており、発色の濃度差が全領域で小さかった。
図1~2に示す結果から、ナイルレッドで染色され蛍光発色する不揮発性油剤が、モデルプレートの表面の凹部と凸部に偏りなく存在していること、すなわち塗膜の均一性が確認された。