(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166034
(43)【公開日】2023-11-17
(54)【発明の名称】食品包装袋
(51)【国際特許分類】
B65D 81/38 20060101AFI20231110BHJP
【FI】
B65D81/38 A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023171691
(22)【出願日】2023-10-02
(62)【分割の表示】P 2019171362の分割
【原出願日】2019-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】509009038
【氏名又は名称】アイワ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119367
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 理
(74)【代理人】
【識別番号】100142217
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 宜紀
(72)【発明者】
【氏名】中村 雄一郎
(57)【要約】
【課題】内部の食品が高温であっても手に厚さが伝わりにくく、手で扱いやすい食品包装袋を提供する。
【解決手段】
食品包装袋1は、矩形の第1側壁シート部2と、矩形の第2側壁シート部3と、両シート部2,3の両側辺に沿って両シート部2,3が接続された側部接続部4と、両シート部2,3の上辺に沿って両シート部2,3が接続されていない開口部5と、両シート部2,3の底辺において両シート部2,3の間に折り込まれたマチ部6とを有する自立可能な袋体であり、両シート部2,3の下部およびマチ部6において袋体の外側面に断熱シートが設けられた断熱シート部7が形成されて、マチ部が形成されている部位において、両側部では第1側壁シート部2および第2側壁シート部3とマチ部6で折り込まれた2枚のシート部が全て一体に接続されて、マチ部6を開いたときに下部は箱状の立体形状になる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続した1枚の矩形のシートの折り曲げで形成される矩形の第1側壁シート部と、矩形の第2側壁シート部と、第1側壁シート部と第2側壁シート部の間のマチ部を有し、
第1側壁シート部と第2側壁シート部の両側辺に沿って第1側壁シート部と第2側壁シート部が接続された側部接続部と、第1側壁シート部と第2側壁シート部の上辺に沿って第1側壁シート部と第2側壁シート部が接続されていない開口部と、第1側壁シート部と第2側壁シート部の底辺において第1側壁シート部と第2側壁シート部の間に折り込まれたマチ部とを有する自立可能な袋体であり、
第1側壁シート部と第2側壁シート部の下部およびマチ部において袋体の外側面に断熱シートが設けられた断熱シート部が形成されていて、第1側壁シート部および第2側壁シート部の両側辺と断熱シートとの間には断熱シートが設けられていない非断熱シート部が形成されていて、
マチ部が形成されている部位において、両側部では第1側壁シート部および第2側壁シート部とマチ部で折り込まれた2枚のシート部が全て一体に接続されて、マチ部を開いたときに下部は箱状の立体形状になる食品包装袋。
【請求項2】
第1側壁シート部と第2側壁シート部の外側面で断熱シート部よりも上側に帯状の亀裂方向性テープが上辺に平行に設けられており、
亀裂方向性シートの端部において、亀裂方向性シートと第1側壁シート部と第2側壁シート部に亀裂開始用切り込みが第1側壁シート部と第2側壁シート部が接続された側部接続部の範囲内で設けられている請求項1に記載の食品包装袋。
【請求項3】
断熱シートが不織布である請求項1または請求項2に記載の食品包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、底部において内側に折り込まれたマチ部を有する自立可能な食品包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1や特許文献2などには、下辺部において内側において内側に織り込まれたガゼット形状を有する包装用袋が記載されている。このように、ガゼット形状を有することにより、折り畳んだ状態において平坦となり、収納物を収納する状態において立体形状となり、自立可能に形成される包装用袋となる。また、これらの特許文献には、底部や周壁部の下端部の内側に吸油性や吸水性を有する不織布を配設することが記載されている。さらに、食品として、油分及び水分を有している生鮮食品や揚げ物等の総菜を収納することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3180929号登録実用新案公報
【特許文献2】特開2007-308199号公開特許公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1や特許文献2に記載の包装用袋は、収納物を収納する状態において立体形状となり、自立可能であり、食品として、油分及び水分を有している生鮮食品や揚げ物等の総菜を収納する。また、特許文献2に記載の包装用袋は、切り離し部により切除可能とすることにより、包装された食品を取り出しやすくし、食器に移さずに食することができる。袋体の底部がトレーとして機能することが記載されている。
【0005】
しかし、たとえば調理された米飯や各種総菜などにおいては、熱い状態で食べたいものがある。そこで、食品が包装された状態で電子レンジなどの加熱装置で加熱できることが好ましい。特許文献1や特許文献2に記載の包装用袋では、加熱すると包装体全体が熱くなり、手で持ちにくい。食品がある袋体の下部や底部は特に熱くなり、この部分を触れることができなくなる。したがって、加熱する場合は食品を食器に移し替えてから加熱するか、加熱後に食器に移し替える必要がある。
【0006】
特許文献1や特許文献2には、底部や周壁部の下端部の内側に吸油性や吸水性を有する不織布を配設することが記載されているが、袋体の内側に設ける以上、食品に含まれる水分や油分を吸収して袋体に密着しており、断熱性はほとんどない。むしろ、水分や油分を多く含む不織布は電子レンジによって強く加熱され、包装体の下部・底部をより熱くする。
【0007】
この発明は、内部の食品が高温であっても手に厚さが伝わりにくく、手で扱いやすい食品包装袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、この発明の食品包装袋は、矩形の第1側壁シート部と、矩形の第2側壁シート部と、第1側壁シート部と第2側壁シート部の両側辺に沿って第1側壁シート部と第2側壁シート部が接続された側部接続部と、第1側壁シート部と第2側壁シート部の上辺に沿って第1側壁シート部と第2側壁シート部が接続されていない開口部と、第1側壁シート部と第2側壁シート部の底辺において第1側壁シート部と第2側壁シート部の間に折り込まれたマチ部とを有する自立可能な袋体であり、
第1側壁シート部と第2側壁シート部の下部およびマチ部において袋体の外側面に断熱シートが設けられた断熱シート部が形成されている。
第1側壁シート部および第2側壁シート部の両側辺と断熱シートとの間には断熱シートが設けられていない非断熱シート部が形成されていることが好ましい。
断熱シートは不織布であることが好ましい。また、第1側壁シート部と第2側壁シート部の外側面で断熱シート部よりも上側に帯状の亀裂方向性テープが上辺に平行に設けられており、
亀裂方向性シートの少なくともいずれかの端部において、亀裂方向性シートと第1側壁シート部と第2側壁シート部に亀裂開始用切り込みが設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
この発明の包装材は、袋体の外側に断熱シートを備えているので、食品の温度が手に伝わりにくく、手で扱いやすい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
図1は食品包装袋を示す正面図、
図2は同A-A断面図、
図3は同B-B断面図、
図4は同展開図である。この食品包装袋を構成する各シートは薄いシートであるが、断面図においては、構成をわかりやすくするために、厚さを強調して表現している。
【0012】
図1は食品包装袋1を平たく折り畳んだ状態をしてしており、矩形状の袋体である。矩形の第1側壁シート部2と、第1側壁シート部2と同形の矩形の第2側壁シート部3が重なり合っており、第1側壁シート部2と第2側壁シート部3の両側辺に沿って第1側壁シート部と第2側壁シート部が接続された側部接続部4が形成されている。第1側壁シート部2と第2側壁シート部3の上辺に沿った側は、第1側壁シート部2と第2側壁シート部3が接続されていない開口部5となっている。
【0013】
第1側壁シート部2と第2側壁シート部3の底辺(下辺)において第1側壁シート部2と第2側壁シート部3の間に折り込まれたマチ部6を有する。第1側壁シート部2および第2側壁シート部3の底辺に続くシートが内側に折り込まれた状態になっている。このマチ部6が形成されている部位において、両側部では第1側壁シート部2および第2側壁シート部3とマチ部6で折り込まれた2枚のシート部が全て一体に接続されている。これによって、このマチ部6を開いたときに食品包装袋の下部は箱状の立体形状になり、自立可能な袋体となる。
【0014】
第1側壁シート部2と第2側壁シート部3の下方部分およびマチ部6には、袋体の外側面に断熱シートが設けられた断熱シート部7が形成されている。断熱シート部7は、熱を伝達しにくく、第1側壁シート部2と第2側壁シート部3やマチ部6のシートに取付けやすい素材である。特に不織布は軽くて断熱性に優れ、手触りもよいことから好ましく、本例でも不織布を断熱シートとして使用している。
【0015】
断熱シート部7は、マチ部6の外側面全体および第1側壁シート部2と第2側壁シート部3の下方部分でその両側部までの領域に形成してもよい。本例では、断熱シート部7をマチ部6の外側面全体および第1側壁シート部2と第2側壁シート部3の下方部分の中央部に所定の幅で設け、第1側壁シート部および第2側壁シート部の両側辺と断熱シートとの間には断熱シートが設けられていない非断熱シート部8が形成されている。これにより断熱シートの使用量を節約でき、また、側部接続部4の形成が容易になる。
【0016】
第1側壁シート部2と第2側壁シート部3のそれぞれの外側面で断熱シート部7よりも上側には、帯状の亀裂方向性テープ9が上辺に平行に設けられている。第1側壁シート部2の亀裂方向性テープ9aと第2側壁シート部3の亀裂方向性テープ9bは袋体において対向する位置にあり、折り畳まれた状態では正面視で相互に重なり合っている。したがって、その両端部の位置もそろっている。そして、その両端部の少なくとも一方には、両方の亀裂方向性テープ9と第1側壁シート部と第2側壁シート部の全てに亀裂開始用切り込み10が設けられている。この亀裂開始用切り込み10は側部接続部4の範囲内で設けられることによって、密封性を損なわないようにすることができる。また、亀裂の進行方向は、亀裂方向性テープ9の長さ方向、すなわち、上辺に平行な方向に設定される。
【0017】
図4は食品包装袋の展開図の例である。本例では、第1側壁シート部2、第2側壁シート部3およびマチ部5は連続した1枚の矩形のシートの折り曲げで形成されている。このシートは紙シートでもよいが、本例では透明なプラスチックフィルムを使用している。
図4において示される面を袋体の表側に表れる面とする。この表側の面に断熱シート8と亀裂方向性テープ9が貼り付けられている。
【0018】
第1側壁シート部2および第2側壁シート部3の下辺に沿った下辺折り曲げ線11を山折りし、その間にある内部折り曲げ線12を谷折りして重ね合わせ、両側辺に沿って側部接続部を形成することによって
図1に示す食品包装袋になる。熱圧着性のプラスチックフィルムを使用している場合、簡単に側部接続部を形成できる。亀裂方向性テープ9が貼り付けられている部位では、亀裂方向性テープ9a、第1側壁シート部2、第2側壁シート部3、亀裂方向性テープ9bの順番で重なり、亀裂方向性テープ9同士が接する重なりはない。そのため、プラスチックフィルムの圧着性により4枚のシートはすべて接続される。
【0019】
次に、この食品包装袋を用いた食品の包装方法について説明する。折り畳まれた食品包装袋1のマチ部5を広げることによって、このマチ部5を底面とする自立可能な袋体が形成される。食品包装袋1の上部は開口しているので、この開口部5から食品を内部に入れることができる。
【0020】
収納される食品には制限はないが、チャーハンのような調理された米飯、あるいは惣菜類のように、温かい状態で食べる食品が特に適している。また、デザート類などのように低温状態で食べる食品でもよい。食品は亀裂方向性テープ9の高さを越えない範囲で投入することが好ましい。
【0021】
食品を投入したら、開口部5を熱圧着などで封止する。
図5は食品包装袋の使用状態を示す斜視図であり、食品包装体を示している。下部は箱状の自立可能な食品包装体となる。店頭では、立てた状態で陳列してもよい。
【0022】
食品包装体は高温状態で提供してもよい。あるいは、販売時に加熱して渡してもよく、冷たい状態で持ち帰って家で加熱してもよい。自立可能な包装体なので、そのまま電子レンジに入れて加熱することができる。
【0023】
食べるときは、亀裂方向性テープ9の端部の亀裂開始用切り込み10から開封する。亀裂は亀裂方向性テープ9の方向性に沿って進行し、亀裂方向性テープ9および第1紙シート2と第2紙シート3はすべて切断される。こうして、食品包装体は開封され、中の食品を食べることができる。ここで、食品包装体の底部よび側壁部の下方部分には断熱シート8が設けられているので、食品の熱が手に伝わりにくい。したがって、片方の掌で底部を握っても厚さを感じにくく、快適に開封でき、さらに、食品包装袋を手に持ったままで食べることもできる。両側辺の近くに非断熱シート部8が設けられている場合も、その部分は掌や指が当たりにくい。
【0024】
また、冷たい食品を包装しているときも、やはり冷たさが手に伝わりにくい。また、開封されるまでの間も、断熱シートが保温効果を発揮し、中の食品の温かさや冷たさを長時間維持できる。
【符号の説明】
【0025】
1.食品包装袋
2.第1側壁シート部
3.第2側壁シート部
4.側部接続部
5.開口部
6.マチ部
7.断熱シート部
8.非断熱シート部
9.亀裂方向性テープ
10.亀裂開始用切り込み
11.下辺折り曲げ線
12.内部折り曲げ線