(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166056
(43)【公開日】2023-11-21
(54)【発明の名称】衣類ロッカー
(51)【国際特許分類】
A47B 61/00 20060101AFI20231114BHJP
A61L 9/20 20060101ALN20231114BHJP
F24F 8/22 20210101ALN20231114BHJP
【FI】
A47B61/00 503Z
A47B61/00 503J
A47B61/00 501G
A61L9/20
F24F8/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022076806
(22)【出願日】2022-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】511116432
【氏名又は名称】株式会社バンブーケミカル研究所
(71)【出願人】
【識別番号】595170317
【氏名又は名称】西岡 守
(71)【出願人】
【識別番号】512189451
【氏名又は名称】株式会社岡部機械工業
(74)【代理人】
【識別番号】100199451
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 隆滋
(72)【発明者】
【氏名】鶴羽 正幸
【テーマコード(参考)】
4C180
【Fターム(参考)】
4C180AA07
4C180DD03
4C180HH05
4C180HH19
4C180KK05
4C180LL20
4C180MM06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】人が更衣して収納された衣服等に着いたゴミやウイルスを除去する機能を有する衣類ロッカーを提供する。
【解決手段】本体台部1と、単一の処理空間2内の中の空気を内部に取り付けられた深紫外LED3aで殺菌又は不活性化し、この処理空間2内の空気を、フィルター4を通過して、送風ファン5によって単一の処理空間2の空気が圧送され、隣接した複数の収納空間6内に収納された衣服の上から空気が吹き付けられる。この処理空間2内で殺菌された空気が収納空間6内の衣類に当たって、衣服などに着いたゴミやウイルスを吹き落とし、下部の送風ファン5から出て、再度処理空間2に戻される。また収納空間6の壁面にも深紫外LED3bが取り付けられて、全ての扉7が閉まって、扉開閉センサー8が「閉」状態を検出し、全体の制御機器9で衣類ロッカー内の空気循環を繰り返しながらウイルスの殺菌、又は不活性化が行われる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体台部と、衣類をハンガー等で吊るして収納する収納空間と、開閉扉とから構成される衣類用ロッカーにおいて、横方向に隣接して設けられた複数の収納空間と、前記複数の収納空間の奥側に隣接して取り付けられた単一の処理空間と、前記複数の収納空間と前記処理空間との間の開口部に配置された複数の送風ファンと、前記処理空間内の内壁に取り付けられ内部に貯めている空気を殺菌又は不活性化するLEDと、前記処理空間と収納空間の間の別の開口部に取り付けられた複数のフィルターと、扉の開閉を検出する複数のセンサーと、配線を含む電気制御部とから構成されることを特徴とする衣類ロッカー。
【請求項2】
前記LEDに加えて、前記複数の収納空間内にも空気を殺菌、又は不活性化するLEDを配置し、扉が閉じている時に処理空間との循環系路内で送風ファンによって空気を循環して、前記複数の収納空間内の空気を殺菌又は不活性化することを特徴とする請求項1に記載の衣類ロッカー。
【請求項3】
前記処理空間、及び前記複数の収納空間内の空気に照射するLEDは波長の短い深紫外線を発するLEDであることを特徴とする請求項2に記載の衣類ロッカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院、及び食品や精密機器工場の入口付近に設置されて、人が衣類を着替える際などに衣類を収納する機能を有する衣類ロッカーに関するもので、従来のただ単に衣類を収納して保管するだけの機能に加えて、コロナウイルス等の感染力の強い菌に対して、収納している衣類の殺菌又は、不活性化の効果を有し、また衣類に付着しているゴミ類も除去する機能をもつ衣類ロッカーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、衣類ロッカーは衣類を収納する機能を持つものあり、これは新型コロナウイルス等の感染防止には、何も効果を発揮せず、衣服等に付いたウイルスをそのまま付着させているだけであり、ウイルスを殺菌、又は不活性化させる機能は全く有していない。
また、除菌、消毒機能をもつ衣類ロッカーは使われる場合もあるが、対象の菌は一般的な菌であり、新型コロナウイルスなどの強い感染力のある対象の菌に対しては、十分に殺菌、又は不活性化の効果を発揮しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-275582号公報
【特許文献2】特開2021-186634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の場合、収納空間の上部、中部、下部で除菌ガスの濃度を速やかに均一化して除菌対象物を好適に除菌し得る除菌装置及びそれを用いた除菌室を提供すると記述がある。
この特許は薬剤を収容した容器と、容器の上方に対向配置させる紫外線ランプと、容器の側方に配置させる排気ファンと、ケース本体とを備え、ケース本体は、容器の側方で排気ファンと対称な位置に空気取込口を形成すると共に、気流の両側を開放するよう容器の周囲を外気に露出させる。これにより、容器と紫外線ランプの間に空気を流通させると共に、気流方向と異なる方向から空気を流通させるので、容器と紫外線ランプの間に発生した除菌ガスを滞りなく収納空間に流出させて、収納空間で除菌ガスの濃度を速やかに均一化し、除菌対象物を除菌することができる。この特許の場合は、一般的な菌に対しては殺菌するが、新型コロナウイルスなどの強い感染力のある対象のウイルス菌に対しては、十分に効果を発揮しないという問題がある。また、除菌装置には除菌装置からの排気ファンが設けられているが、除菌装置の除菌ガスの速やかな流れ、及び重力による拡散により除菌ガスを滞りなく収納空間に流出させるので、除菌ガスは収納空間の隅々に到達して除菌対象物の障害に影響を最小限することができるが、収納空間に空気の循環機能がなく、効果は限定的であるという問題もある。更に、除菌のために除菌ガスを発生する薬剤を使うため、収納されている衣類に薬剤が付着する問題もある。
また、特許文献2の場合、空気流通用ダクトの上端に送風用ファンを配置し、除湿器を断熱防音水平壁の間に介在させ、空気流通用ダクトからの空気を乾燥させた温風を医療用衣服やその他の衣類に吹き付け、空気を水分と酸素に分解し乾燥する。その除湿空気をロッカーケース内に循環させる。一方、空気流通用ダクトの上端に加熱器を備え、空気流通用ダクトの空気を加熱する。また、空気冷却用ダクトの上端に、冷却用ブロァを配置し、空気を流送させてLED素子群や冷却用放熱板を冷却する。空気循環口は空気流通用ダクトの下端部位に配置する。以上により、空気流通用ダクトから除菌、乾燥、除塵、清掃された空気を空気流通用ダクトに再循環流送する。この特許の場合は、ロッカー内に収納された衣類に付着している菌に対して、ロッカー内に吊るされた衣類に直接、深紫外LEDを照射しているが、衣類の電動機による回転機能は有るが、衣類の影になって照射光が収納空間の衣類の隅々まで行き渡らず、殺菌効果が十分でない場合がある。また、LED素子群を含む全ての機器類の起動と停止が手動で行われるとの記述があり、誤操作によるLED素子群の照射による人体への影響の懸念の問題もある。更に、ロッカー1台に対して、機器の構成がLED素子や除湿や温風乾燥、冷却等の機能を有していて構成が複雑で、これを例えば病院の全医師や、看護師用に配置すると、製作コストも割高となり、導入費用が大幅に高くなる問題もある。
【0005】
本発明の目的は、このようなことに鑑みてなされたものであり、衣類ロッカー内に収納された衣服などに付着している感染力の強いウイルスに対して、横方向に隣接する複数の収納空間に対して、奥側に配置されて隣接する単一の処理空間で深紫外LEDを空気に照射して完全かつ効果的に菌を死滅、又は不活性化させた空気を、複数の収納空間内の天井の開口部に配置されたフィルターから空気を衣類に吹き付けて、別の開口部に設けられた送風ファンによって空気を循環して、収納されている衣服等に付着しているウイルス等を除去する。上記の様に複数の収納空間と単一の処理空間の間の下部に配置されたファンによって複数の収納空間の空気が処理空間に戻されて、深紫外LEDを照射させることで、ウイルスを死滅又は、不活性化させるための衣類ロッカーを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
また本発明の衣類ロッカーは、例えば新型コロナウイルスの様な感染し易い菌に対して、衣類の複数の収納空間内で衣服に着いているゴミと共に、殺菌力の強い菌を除去するだけでなく、更に衣服から除去されたウイルスを確実に処理空間内に戻して深紫外LEDの照射によって殺菌、又は不活性化させる機能を有する衣類ロッカーを提供する。
実施例として、本体台部1と、単一の処理空間2内の中の空気を内部に取り付けられた深紫外LED3aで殺菌又は不活性化し、この処理空間2内の空気を、フィルター4を通過して、送風ファン5によって処理空間の空気が圧送されて、複数の収納空間6内の複数の開口部に設けられたフィルター4から、収納された衣服に対して下向きに空気が吹き付けられる。この処理空間2内で殺菌された空気が複数の収納空間内の衣類に当たって、衣服などに着いているゴミやウイルスを吹き落とし、下部の送風ファン5から出て、再度処理空間2に戻されて深紫外LEDの照射によって殺菌、又は不活性化させる。また複数の収納空間6の壁面にも深紫外LED3bが取り付けられて、複数有る全ての扉7が閉まって、全部の扉開閉センサー8が「閉」状態を検出した後、全体の制御機器9で自動的に衣類ロッカー内の空気循環を繰り返しながらウイルスの殺菌、又は不活性化が行われる。
また、収納空間6内に取り付けられた深紫外LED 3bは、扉7が開いている時は、人の目や皮膚などに深紫外LEDの照射光が直接当たると安全性が保証できないために照射を停止している。この収納空間内のLED 3bは、人が扉7を閉めてから、全ての扉開閉センサー8が「閉」状態を検出した後、制御機器9の制御によって自動的に照射を開始する。即ち、送風ファンによって内部の空気循環系統で一定時間、又は連続的に稼動させて空気を循環しながら殺菌する際に、処理空間2、及び複数の収納空間6内に取り付けられている全ての深紫外LED3a、3bが照射してウイルス菌を殺菌又は、不活性化させるようになっている。この処理空間内で殺菌された空気はフィルター4を通って複数の収納空間内の衣服に吹き付けられた後、使用済みの空気を再度処理空間2まで循環することにより、処理空間2内の深紫外LED3aと、収納空間6内の深紫外LED3bとで殺菌又は不活性化させて、この循環を毎回繰り返すことで、空気の殺菌、又は不活性化の効果を益々高めることができる。また、前記の機能を有することで、菌の混入の可能性のある空気をロッカーの収納空間から外部に出さないため、安全が確保できる。また、深紫外LED 3a,3b
のONとOFFは、複数ある全ての扉開閉センサー8が「閉」又は「開」状態を検出してからの自動的な制御となるため、人による誤操作を防ぐことが出来て安全である。
この衣類ロッカーを使用する手順は、まず人が、複数有る収納空間の中の特定の扉7を開くと、扉開閉センサー8が「開」状態を検出して、深紫外LED 3a,3bが照射を止めて、送風ファン5も停止状態になる。人が更衣して衣類を収納空間6内のハンガーに掛けて、扉7を閉じると、全ての扉開閉センサー8が「閉」状態を検出してから、制御機器9によって、処理空間2の深紫外LED3aと、複数の収納空間6内の深紫外LED3bの空気への照射が開始され、衣類ロッカー内部の空気の殺菌、不活性化が一定時間、又は連続的に行われる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、例えば感染力の強い新型コロナウイルスに対して99.9%まで菌を死滅、又は不活性化させることが可能な短波長の深紫外LED3aを一定時間、単一の処理空間2の中で空気に照射させることで、空気が殺菌、又は不活性化される。その空気を複数の収納空間6内に収納された衣服等に天井の開口部に設けたフィルター4から空気を吹き付けて、ゴミと菌を同時に衣服から除去することが可能な機能を備えた殺菌、又は不活性化機能付きの衣類ロッカーを提供することができる。
また、複数の収納空間6内の衣服などに当たって回収された空気は再度、単一の処理空間2に戻されて、処理空間の中で、深紫外LED3aによって殺菌、又は不活性化されて、ゴミはフィルターによって捕集されて除去される。この様に機器内の単一の処理空間と複数の収納空間の空気を送風ファンによって閉ループで循環させることで、殺菌又は不活性化の度合いが増す効果があると同時に、菌を含んだ空気を収納空間と処理空間の外に出さず、菌を衣類ロッカーの外に拡散させない効果もある。
また、単一の処理空間に対して、一般的なロッカー同様の横方向に隣接した複数の収納空間で構成することで、付帯機能の簡素化も併せて製作コストの低減が実現できて、導入費用が安価になる効果もある。
本発明のウイルス不活化機能付き衣類ロッカーは、現在、病院や保健機関、及び食品工場や、半導体などの精密機器を製造する工場などの入り口付近の更衣室内に設置して、衣服に付着しているゴミの除去に加えて、感染力の強いウイルスの殺菌、又は不活化が可能となる。また、本発明は、上記の機能のウイルスの殺菌、又は不活性化に加えて、菌の衣類ロッカーの外への拡散防止に対する取り組みとして、その問題の解決につながる発明である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態による殺菌機能付き衣類ロッカーの側面断面図
【
図2】本発明の実施形態による殺菌機能付き衣類ロッカーの正面図
【
図3】本発明の実施形態による殺菌機能付き衣類ロッカーの平面断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下
図1~
図3を用いて、本発明の実施形態による殺菌用LED付き衣類ロッカーを説明する。
尚、以下の全ての図面においては、理解を容易にする為、各構成要素の寸法や比率などは、適宜 異ならせて図示している。
【0010】
図1~
図3に示すように、本実施形態は、本体台部1と、処理空間2、深紫外LED3a、3b,フィルター4、
送風ファン5、収納空間6 ,扉7, 扉開閉センサー8, 制御機器9. で構成される。
【産業上の利用可能性】
【0011】
本発明は産業上では日常生活において、病院や保健機関、及び食品工場や、半導体などの精密機器を製造する工場などの入口付近の更衣室に置かれて、収納された衣服などに付着しているゴミを除去すると同時に、コロナウイルス等の感染力の強い菌に対して、確実に機器の内部で殺菌、又は不活性化できる衣類ロッカーとして利用できる。もちろん、ウイルス殺菌、不活化の機能を停止して、一般の更衣ロッカーとしても幅広く使用ができる。
【符号の説明】
【0012】
本体台部1、処理空間2、深紫外LED3a、3b,フィルター4、送風ファン5、収納空間6 ,扉7, 扉開閉センサー8, 制御機器9