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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166060
(43)【公開日】2023-11-21
(54)【発明の名称】振動防止逆止め締付けボルト構造
(51)【国際特許分類】
   F16B 39/22 20060101AFI20231114BHJP
   F16B 37/14 20060101ALI20231114BHJP
   F16B 35/00 20060101ALI20231114BHJP
   F16B 31/02 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
F16B39/22 Z
F16B37/14 A
F16B35/00 A
F16B31/02 F
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022076814
(22)【出願日】2022-05-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】522181049
【氏名又は名称】輝翔精密有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】施勝雄
(57)【要約】
【課題】緩んで外れることを防ぐ、振動防止逆止め締付けボルト構造を提供する。
【解決手段】振動防止逆止め締付けボルト構造は、螺杆部材1及びナット部材2を備える。螺杆部材1は、頭部11と、頭部11の底面に設けた螺杆部12とを有する。螺杆部12の軸心に沿って穿孔13が形成される。ナット部材2は、上向きに開口したねじ槽部を有する。ねじ槽部と螺杆部12とは対応して螺着される。ねじ槽部の中心部には、ピン22が突設される。穿孔13、ピン22のうちの一つを偏心させて設け、穿孔13とピン22とは互いに偏心関係にある。ナット部材2と螺杆部材1とが互いに螺着された状態下で、ピン22と穿孔13とを互いに対応させて組み合わせて偏心するように嵌合させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
螺杆部材及びナット部材を備えた、振動防止逆止め締付けボルト構造であって、
前記螺杆部材は、頭部と、前記頭部の底面に設けた螺杆部と、を有し、
前記螺杆部の軸心に沿って穿孔が形成され、
前記ナット部材は、上向きに開口したねじ槽部を有し、
前記ねじ槽部と前記螺杆部とは対応して螺着され、
前記ねじ槽部の中心部には、ピンが突設され、
前記穿孔、前記ピンのうちの一つを偏心させて設け、前記穿孔と前記ピンとは互いに偏心関係にあり、
前記ナット部材と前記螺杆部材とが互いに螺着された状態下で、前記ピンと前記穿孔とを互いに対応させて組み合わせて偏心するように嵌合させることを特徴とする、
振動防止逆止め締付けボルト構造。
【請求項2】
前記穿孔は円形孔であり、前記ピンは、前記穿孔の形状に対応した円柱体であることを特徴とする請求項1に記載の振動防止逆止め締付けボルト構造。
【請求項3】
前記穿孔は、前記頭部を貫通して形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の振動防止逆止め締付けボルト構造。
【請求項4】
前記穿孔内には、センサが取り付けられ、前記螺杆部材と前記ナット部材とが互いに螺着されると、前記ピンが前記センサに圧接されることを特徴とする請求項3に記載の振動防止逆止め締付けボルト構造。
【請求項5】
前記穿孔内には、センサが取り付けられ、前記螺杆部材と前記ナット部材とが互いに螺着されると、前記ピンが前記センサに圧接されることを特徴とする請求項1又は2に記載の振動防止逆止め締付けボルト構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動防止逆止め締付けボルト構造に関し、特に、緊締固定し、緩むことを防ぐ、振動防止逆止め締付けボルト構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ボルト、ナットなどの螺着部材は、2ピース(又は3ピース以上の)ワーク同士を螺着するために用いるが、それらの螺着部材は小さな部材であり、その緊締作用が十分に発揮されない場合、2つのワークを確実に結合させることができず、装置、機構を精確に作動させることができない上、ねじ山が崩れて損壊してしまうことがあった。
【0003】
特許文献1の「ロック用ワッシャ構造」のワッシャの正面には、外側から内側にかけて低くなるように傾斜した複数の逆止め傘歯車が設けられる。逆止め傘歯車の外端には、尖り角度が形成されているため、螺合部材が容易に嵌入できて逆止め効果が好ましい上、ワッシャの背面には、配列方向が逆止め傘歯車と反対である複数の位置決め傘歯車が設けられている。各位置決め傘歯車は、弧辺を有するため、大面積で強固に嵌着させてワーク中に位置決めさせることができるため、逆止め螺着効果が好ましい。
【0004】
特許文献2の「螺着部材及びそのアプセットボルト」の螺着部材は、第1の板部材、第2の板部材及びアプセットボルトを含む。アプセットボルトは、ねじ部及び頭部を含む。ねじ部は軸心を有する。頭部は、ねじ部の一端に設けられるとともに、第1の環状壁面及び第2の環状壁面を有する。第2の環状壁面は、第1の環状壁面とねじ部との間に設けられる。第1の環状壁面と軸心との間には、第1の鋭角が設けられる。第2の環状壁面と軸心との間には、第2の鋭角が設けられる。第1の鋭角は第2の鋭角と異なる。これにより、アプセットボルトが第1の板部材及び第2の板部材内に確実に螺合されるとともに、第1の板部材から突出しないため、従来の螺着部材の螺着力が好ましくないという問題を解決した。
【0005】
特許文献3の「緩み防止ボルト」は、締結具の技術分野に関し、この技術手段の重要な点としては、緩み防止ボルトが、ねじと、ねじ上に嵌設される締め付けスリーブと、を含む点である。ボルトは、順次接続された釘頭と、接続ワークにより組み合わされた光杆部と、表面に設けられた螺旋槽と締め付けスリーブとの組み合わせにより構成された締め付け部と、表面に設けられた環状槽と、外部の螺着工具が固定される挟持部と、を有する。締め付け部と挟持部との接続箇所には、挟持部を引張切断する引張切断槽が形成される。引張切断槽は、挟持部の周りに設けられる。引張切断槽のボルト長手方向の断面は「レ」字状である。
【0006】
特許文献4の「2ピース式緩み防止ボルト部材」は、ボルト及びワッシャを含む。ボルトは、ボルト本体及びボルト頭部を含む。ボルト本体の外表面には、ボルト頭部と間隔を空けて形成されたねじ山を有するねじ部と、ボルト頭部とねじ部との間に接続された接続部と、を有する。ボルト頭部は、ボルト本体に向かって、取り囲むように接続部に接続され、鋸歯状の頭部環状面に成形される。ワッシャは、環状を呈して接続部上に嵌設されるとともに、ボルト頭部とねじ部との間に位置拘束され、鋸歯状でボルト頭部に対向する内環状面と、内環状面に対して反対の外環状面と、を有する。内環状面は、ボルト頭部の頭部環状面に対して回転可能に係合される。頭部環状面、内環状面、外環状面は、鋸歯状に形成されて緩んでしまうことを防いでいた。
【0007】
本発明者は、螺着部材が機構、装置に対して精確に動作することができる重要性に鑑み、振動防止逆止め締付けボルト構造を発明した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】台湾特許出願公開第201812188号公報
【特許文献2】台湾特許第I535941号公報
【特許文献3】中国実用新案公告第208900501号公報
【特許文献4】台湾実用新案登録第M562351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の主な目的は、螺杆部材の軸心穿孔と、ナット部材の中心ピンとを偏心挿設し、螺杆部材とネット部材とを確実に噛合し、緩んで外れることを防ぐ、振動防止逆止め締付けボルト構造を提供することにある。
本発明のもう一つの目的は、穿孔内に取り付けたセンサにより、螺杆部材とナット部材との間の螺着状態を感知し、螺杆部材とネット部材との間が緩んだときに直ちに対応して生命・財産を守る、振動防止逆止め締付けボルト構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態によれば、螺杆部材及びナット部材を備えた、振動防止逆止め締付けボルト構造であって、前記螺杆部材は、頭部と、前記頭部の底面に設けた螺杆部と、を有し、前記螺杆部の軸心に沿って穿孔が形成され、前記ナット部材は、上向きに開口したねじ槽部を有し、前記ねじ槽部と前記螺杆部とは対応して螺着され、前記ねじ槽部の中心部には、ピンが突設され、前記穿孔、前記ピンのうちの一つを偏心させて設け、前記穿孔と前記ピンとは互いに偏心関係にあり、前記ナット部材と前記螺杆部材とが互いに螺着された状態下で、前記ピンと前記穿孔とを互いに対応させて組み合わせて偏心するように嵌合させることを特徴とする、振動防止逆止め締付けボルト構造が提供される。
【0011】
前記穿孔は円形孔であり、前記ピンは、前記穿孔の形状に対応した円柱体であることが好ましい。
【0012】
前記穿孔は、前記頭部を貫通して形成されることが好ましい。
【0013】
前記穿孔内には、センサが取り付けられ、前記螺杆部材と前記ナット部材とが互いに螺着されると、前記ピンが前記センサに圧接されることが好ましい。
【0014】
前記穿孔内には、センサが取り付けられ、前記螺杆部材と前記ナット部材とが互いに螺着されると、前記ピンが前記センサに圧接されることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の振動防止逆止め締付けボルト構造は、以下(1)及び(2)の効果を有する。
(1)螺杆部材の螺杆部の軸心に穿孔が形成され、ナット部材のねじ槽部の中心部にピンが突設され、穿孔とピンとが互いに偏心して嵌設された関係にあるため、ナット部材と螺杆部材とが互いに螺着される際、ピンを、穿孔中に対応させて挿入することができる上、ピンと穿孔との間に縦向き及び横向きの作用力が発生してナット部材と螺杆部材との間を密着させ、機構又は装置が動作中に振動が発生しても、螺杆部材とナット部材との間の抑制作用により両者がずれて振動してしまうことを防ぎ、耐振及び緩み防止機能を得る。
(2)螺杆部材の穿孔内にセンサを取付け、螺杆部材とナット部材とを互いに螺着させ、ピンをセンサに圧接させることにより、螺杆部材とナット部材との螺着状態を確認し、ピンがセンサに圧接されていないことを検知した場合、螺杆部材とナット部材との間が緩んでいることを表し、センサがメッセージを発してスタッフに知らせ、生命・財産が危険にさらされることを防ぐ。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る振動防止逆止め締付けボルト構造を示す分解斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る振動防止逆止め締付けボルト構造の螺杆部材とナット部材とを組み合わせたが未だ締付けていない状態を示す断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る振動防止逆止め締付けボルト構造の螺杆部材とナット部材とを組み合わせて既に締付けた状態を示す断面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る振動防止逆止め締付けボルト構造中に取り付けたセンサ及び螺杆部材とナット部材とを組み合わせたが未だ締付けていない状態を示す断面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る振動防止逆止め締付けボルト構造中に取り付けたセンサ及び螺杆部材とナット部材とを組み合わせて既に締付けた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の技術手段及びそれにより達成可能な効果を、より完全かつ明白に開示するために、開示した添付の図面及び符号と併せて本発明を以下に詳説する。
【0018】
まず、図1及び図2を参照する。図1及び図2に示すように、本発明の一実施形態に係る振動防止逆止め締付けボルト構造は、少なくとも螺杆部材1及びナット部材2から構成されてなる。
【0019】
螺杆部材1は、頭部11を有する。頭部11の底面には、下方に向かって延びた棒状で、表面にねじ部を有する螺杆部12が一体成形される。螺杆部12の軸心には、穿孔13が形成される。穿孔13は、頭部11まで貫通されている。
【0020】
ナット部材2は、ナット体を呈して上向きに開口し、ねじ山を有するねじ槽部21が周壁に設けられる。ねじ槽部21と螺杆部12とは対応して螺着される。ねじ槽部21の中心部には、ピン22が突設される。上述したナット部材2と上述した螺杆部材1とが互いに螺着した状態下で、ピン22と穿孔13とが適切に組み合わされ、ピン22又は穿孔13のうちの一つが偏心させて設けられ、ピン22と穿孔13とは互いに偏心関係にある。本実施形態のピン22は、偏心して設けられる。
【0021】
本発明の図面で開示した振動防止逆止め締付けボルト構造の実施形態は、螺杆部材1の螺杆部12に形成された穿孔13が円形孔であり、ナット部材2のねじ槽部21内に設置されるピン22は円柱体に成形される。
【0022】
そのため、本発明の振動防止逆止め締付けボルト構造は、螺杆部材1の螺杆部12の軸心に穿孔13が形成され、ナット部材2のねじ槽部21の中心部にピン22が突設され、ピン22と穿孔13とは互いに偏心関係にあり、ナット部材2と螺杆部材1とが互いに螺着されるときに、ピン22を、穿孔13中に対応させて挿入することができる上、ピン22と穿孔13との間に程度が異なる縦向き及び横向きの作用力が発生し、ナット部材2と螺杆部材1との間に発生する振動を抑制することができる。このため、機構又は装置が動作し、振動が発生したときに、ピン22と穿孔13との間の偏心により、対応させて組み合わせて位置拘束することにより、螺杆部材1とナット部材2との位置がずれて振動することを防ぎ、耐振及び緩み防止機能を得る。
【0023】
本発明は、螺杆部材1の穿孔13内にセンサ3を取付け、螺杆部材1とナット部材2とを互いに螺着させ、ナット部材2のピン22をセンサ3に圧接させる。これにより、螺杆部材1とナット部材2との螺着状態を確認し、ピン22がセンサ3に圧接されていない場合、螺杆部材1とナット部材2との間が緩んでいることを表し、センサ3がメッセージを発し、関係スタッフに現場に行ってメンテナンス・検査をするように知らせる。このようにして、螺杆部材1とナット部材2との間が緩んで生命・財産が危険にさらされることを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0024】
1 螺杆部材
2 ナット部材
3 センサ
11 頭部
12 螺杆部
13 穿孔
21 ねじ槽部
22 ピン
図1
図2
図3
図4
図5