(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166067
(43)【公開日】2023-11-21
(54)【発明の名称】刺激付与具
(51)【国際特許分類】
A61H 39/04 20060101AFI20231114BHJP
【FI】
A61H39/04 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022076824
(22)【出願日】2022-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】522153792
【氏名又は名称】株式会社TNG
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(74)【代理人】
【識別番号】100146891
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 ひろ美
(72)【発明者】
【氏名】蔦本 欽也
(72)【発明者】
【氏名】服部 博昭
【テーマコード(参考)】
4C101
【Fターム(参考)】
4C101BA01
4C101BB06
4C101BB07
4C101BC27
4C101BD04
4C101BD12
4C101BE04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】皮膚やツボなどに効果的に作用する刺激を付与することができる刺激付与具を提供する。
【解決手段】受け部8を有する把持本体4を備え、この把持本体4内に刺激付与部材12、調整部材14及び反発部材16が先端側から順に配設され、反発部材と把持本体との間に第1弾性偏倚部材50が配設され、把持本体4の受け部18と調整部材14との間に第2弾性偏倚部材52が配設されている。把持本体4の受け部18には、調整部材14の軸部32が挿通される挿通開口42が設けられ、反発部材16の一端面には没入凹部46が設けられ、調整部材14の軸部32の先端側は、受け部18の挿通開口42を通して反発部材16の没入凹部46に没入されるように構成され、第1弾性偏倚部材50による弾性偏倚力は、第2弾性偏倚部材52による弾性偏倚力よりも大きい構成とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周側に受け部を有する把持本体と、前記把持本体内における前記受け部の先端側に移動自在に配設された刺激付与部材と、前記受け部と前記刺激付与部材との間に配設された調整部材と、前記把持本体内における前記受け部の後端側に配設された反発部材と、前記反発部材と前記把持本体の後端部との間に配設された第1弾性偏倚部材と、前記受け部と前記調整部材との間に配設された第2弾性偏倚部材とを備えており、
前記把持本体の前記受け部には、前記調整部材の軸部が挿通される挿通開口が設けられ、前記反発部材の一端面には、前記受け部の前記挿通開口に対応して前記没入凹部が設けられ、前記調整部材の前記軸部は、前記受け部の前記挿通開口を通して前記反発部材の前記没入凹部に没入可能に構成されており、
また、前記第1弾性偏倚部材は、前記反発部材を前記受け凹部に向けて弾性的に偏倚し、前記第2弾性偏倚部材は、前記調整部材を前記刺激付与部材に向けて弾性的に偏倚し、前記第1弾性偏倚部材による弾性偏倚力は、前記第2弾性偏倚部材による弾性偏倚力よりも大きいことを特徴とする刺激付与具。
【請求項2】
前記刺激付与部材の基部側には当接端部が設けられ、前記当接端部の端面は前記刺激付与部材の軸方向に対して垂直な面を基準に3~10°傾斜して拡がっており、また前記調整部材の先端側には頭部が設けられ、前記頭部の先端部が部分的な球面状に形成され、前記調整部材の前記頭部が、前記第2弾性偏倚部材によって前記刺激付与部材の前記当接端部の前記端面に弾性的に当接されることを特徴とする請求項1に記載の刺激付与具。
【請求項3】
前記調整部材の前記軸部の中間部には、外径が漸減する縮径部が設けられ、前記縮径部から端部までは外径が小さい小径部となっており、また前記把持本体の前記受け部には凹状面が設けられており、前記第2弾性偏倚部材によって前記調整部材が前記刺激付与部材の前記当接端部に押されて当接された通常状態においては、前記調整部材の前記小径部が前記把持本体の前記受け部に当接支持され、この通常状態から前記刺激付与部材を内側に押し下げると、前記調整部材の前記小径部が前記受け部の前記凹状面に沿って径方向内側に移動した後に、前記受け部の前記挿通開口を通して前記反発部材の前記端面に当接し、前記刺激付与部材を更に押し下げると、前記調整部材を介して前記反発部材が押し下げられ、前記調整部材の前記縮径部が前記受け部の前記挿通開口まで移動すると、前記縮径部が前記受け部の前記挿通開口によってセンタリングされ、前記調整部材の前記小径部が前記反発部材の前記没入凹部に没入されることを特徴とする請求項2に記載の刺激付与具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人や動物の皮膚、ツボなどに刺激を与える刺激付与具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、人体のツボなどに刺激を与えるものとして、例えば指圧具が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この指圧具は、弾性部材から形成された前半部と、この前半部が装着される後半部とから構成され、この前半部の先端部は先細に形成された押圧部が設けられている。この前半部の後端部には軸挿入孔が設けられ、後半部の前端部には指圧軸が設けられ、この指圧軸を前半部の軸挿入孔に挿入することにより、後半部に前半部が取り付けられる。
【0003】
この指圧具においては、前半部と後半部とが相互に装着されて一体的になるので、その外周面を把持して容易に取り扱うことができ、またその前半部の先端部をツボなどに押し当てて長時間押し続けることができ、ツボなどの押圧具として用いることができる。
【0004】
また、人体の頭皮などに刺激を与えるとともに、肩叩きとしても用いるこができる頭皮マッサージ兼用肩叩き具が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この頭皮マッサージ兼用肩叩き具は、開口部を有する容器の底部外周部に複数の突起が設けられ、この容器の底面側の複数の突起が肩叩き部として機能する。また、この容器の開口部に杭状突起を有する基盤が取り付けられ、この容器の表面側の複数の杭状突起が頭皮マッサージ部として機能する。この容器からは板バネ作用部が延び、この板バネ作用部の先端部にグリップ部が設けられている。
【0005】
この頭皮マッサージ兼用肩叩き具においては、グリップ部を把持して複数の杭状突起(容器の表面側の杭状突起)でもって頭皮を叩くことによって、頭皮に適度の刺激を与えてそのマッサージ効果を得ることができ、また複数の突起(容器の底面側の突起)でもって肩部を叩くことによって、肩に適度の刺激を与えて肩叩き効果を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-178975号公報
【特許文献2】実用新案登録第3047693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような指圧具では、前半部の先端部をツボなどに押し付けるものであるため、このツボ部に適度の押圧力(刺激力)を付与することができるが、この指圧具により付与できる力は、継続的な押圧力であって瞬間的な衝撃力ではなく、適度の叩くような刺激を付与することができない。
【0008】
また、頭皮マッサージ兼用肩叩き具においては、グリップ部を把持して頭皮マッサージ部(複数の杭状突起)でもって頭皮を叩くことによって、この頭皮に適度の衝撃力(刺激力)を付与することができ、また肩叩き部(複数の突起)でもって肩を叩くことによって、肩に適度の衝撃力(刺激力)を付与することができるが、頭皮マッサージ部及び肩叩き部によって付与される衝撃力は人の力によって決まるために一定の衝撃力を付与することが難い。また、この衝撃力は、単に叩くに過ぎない単純なものであるために、首や肩のツボなどに効果的な刺激を与えることが難しい。
【0009】
本発明の目的は、皮膚やツボなどに効果的に作用する刺激を付与することができる刺激付与具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1に記載の刺激付与具は、内周側に受け部を有する把持本体と、前記把持本体内における前記受け部の先端側に移動自在に配設された刺激付与部材と、前記受け部と前記刺激付与部材との間に配設された調整部材と、前記把持本体内における前記受け部の後端側に配設された反発部材と、前記反発部材と前記把持本体の後端部との間に配設された第1弾性偏倚部材と、前記受け部と前記調整部材との間に配設された第2弾性偏倚部材とを備えており、
前記把持本体の前記受け部には、前記調整部材の軸部が挿通される挿通開口が設けられ、前記反発部材の一端面には、前記受け部の前記挿通開口に対応して前記没入凹部が設けられ、前記調整部材の前記軸部は、前記受け部の前記挿通開口を通して前記反発部材の前記没入凹部に没入可能に構成されており、
また、前記第1弾性偏倚部材は、前記反発部材を前記受け凹部に向けて弾性的に偏倚し、前記第2弾性偏倚部材は、前記調整部材を前記刺激付与部材に向けて弾性的に偏倚し、前記第1弾性偏倚部材による弾性偏倚力は、前記第2弾性偏倚部材による弾性偏倚力よりも大きいことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項2に記載の刺激付与具では、前記刺激付与部材の基部側には当接端部が設けられ、前記当接端部の端面は前記刺激付与部材の軸方向に対して垂直な面を基準に3~10°傾斜して拡がっており、また前記調整部材の先端側には頭部が設けられ、前記頭部の先端部が部分的な球面状に形成され、前記調整部材の前記頭部が、前記第2弾性偏倚部材によって前記刺激付与部材の前記当接端部の前記端面に弾性的に当接されることを特徴とする。
【0012】
更に、本発明の請求項3に記載の刺激付与具では、前記調整部材の前記軸部の中間部には、外径が漸減する縮径部が設けられ、前記縮径部から端部までは外径が小さい小径部となっており、また前記把持本体の前記受け部には凹状面が設けられており、前記第2弾性偏倚部材によって前記調整部材が前記刺激付与部材の前記当接端部に押されて当接された通常状態においては、前記調整部材の前記小径部が前記把持本体の前記受け部に当接支持され、この通常状態から前記刺激付与部材を内側に押し下げると、前記調整部材の前記小径部が前記受け部の前記凹状面に沿って径方向内側に移動した後に、前記受け部の前記挿通開口を通して前記反発部材の前記端面に当接し、前記刺激付与部材を更に押し下げると、前記調整部材を介して前記反発部材が押し下げられ、前記調整部材の前記縮径部が前記受け部の前記挿通開口まで移動すると、前記縮径部が前記受け部の前記挿通開口によってセンタリングされ、前記調整部材の前記小径部が前記反発部材の前記没入凹部に没入されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1に記載の刺激付与具によれば、把持本体の受け部の先端側に刺激付与部材及び調整部材が配設され、この把持本体の受け部の後端側に反発部材が配設され、この反発部材と把持本体の後端部との間に第1弾性偏倚部材が配設され、把持本体の受け部と調整部材との間に第2弾性偏倚部材が配設され、またこの受け部には挿通開口が設けられ、反発部材の一端面に没入凹部が設けられている。このような構成であるので、通常状態においては、反発部材は、第1弾性偏倚部材の作用によって把持本体の受け部に当接する状態に弾性的に保持され、調整部材は、第2弾性偏倚部材の作用によって刺激付与部材に当接する状態に保持される。そして、このような状態から第1及び第2弾性偏倚部材の作用に抗して刺激付与部材を軸方向内側に押し込み、この調整部材の軸部が受け部の挿通開口を通して反発部材の没入凹部に没入すると、第1弾性偏倚部材による弾性偏倚力が第2弾性偏倚部材よりも大きいために、まず第1弾性偏倚部材の弾性偏倚力が反発部材及び調整部材を介して刺激付与部材に伝達され、これによって、最初は適度の大きな刺激を付与することができる。その後続いて、第2弾性偏倚部材の弾性偏倚力が刺激付与部材に伝達され、これによって、小さな刺激を付与することができる。かくして、最初の比較的大きな刺激とこれに続く比較的小さな刺激を連続的に付与することができ、皮膚、ツボなどに効果的な刺激を与えることができる。
【0014】
また、本発明の請求項2に記載の刺激付与具によれば、刺激付与部材の当接端部の端面は刺激付与部材の軸方向に対して垂直な面を基準に3~10°傾斜して拡がって入るので、通常状態ではこれに当接する調整部材も軸方向に対して3~10°傾斜して把持本体の受け部に当接する状態に保持される。そして、この通常状態から刺激付与部材を内側に押し込むと、この調整部材の軸部が把持本体の受け部に沿って径方向内側に移動し、その挿通開口を通して反発部材側に突出するようになる。
【0015】
更に、本発明の請求項3に記載の刺激付与具によれば、把持本体の受け部に凹状面が設けられ、調整部材の軸部の中間部に縮径部が設けられているので、第2弾性偏倚部材の作用によって刺激付与部材が把持本体の先端側に押された状態においては、調整部材の小径部が把持本体の受け部に当接支持されるが、この刺激付与部材を内側に押し下げると、調整部材の小径部が受け部の凹状面に沿って径方向内側にスムースに移動した後に受け部の挿通開口を通して反発部材の端面に当接する。そして、この刺激付与部材を更に押し下げると、調整部材を介して反発部材が押し下げられ、この調整部材の縮径部が受け部の挿通開口まで押し下げられると、この縮径部が受け部の挿通開口の開口部によりセンタリングされて調整部材の小径部が反発部材の没入凹部に没入され、かくして、この刺激付与部材の押下げにより調整部材をセンタリングさせて反発部材の没入凹部に所要の通りに没入させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に従う刺激付与具の一実施形態を示す側面図。
【
図3】
図1の刺激付与具における調整部材及びこれに関連する構成を拡大して示す部分拡大断面図。
【
図4】
図1の刺激付与具において、刺激付与部材を内側に少し押し下げた状態を示す断面図。
【
図5】
図1の刺激付与具において、刺激付与部材を
図4に示す状態から更に内側に少し押し下げた状態を示す断面図。
【
図6】
図1の刺激付与具において、刺激付与部材を
図5に示す状態から更に内側に大きく押し下げた状態を示す断面図。
【
図7】
図1の刺激付与具において、調整部材の縮径部が把持本体の挿通開口まで押し下げられた状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明に従う刺激付与具の一実施形態について説明する。
図1~
図3において、図示の刺激付与具2は、細長い把持本体4を備え、この実施形態では、この把持本体4は、長手方向(「軸方向」とも称する)先端側に位置する前部6と、その後端側に位置する後部8と、前部6と後部8との間に配設された中間部10とから構成されている。この前部6と中間部10とは、例えば前部6側の雌ねじ部と中間部10側の雄ねじ部により螺着され、また中間部10と後部8とは、例えば中間部10側の雄ねじ部と後部8側の雌ね部により螺着されている。尚、この形態では、把持本体4を三つの部材(前部6、後部8及び中間部10)から構成しているが、四つ以上の部材から構成するようにしてもよい。
【0018】
この把持本体4内には、刺激を付与する刺激付与部材12、調整部材14及び反発部材16が先端側からこの順に配設されている。また、この把持本体4(具体的には中間部10)の内周面には環状の受け部18が一体的に設けられ、この受け部18を境にして把持本体4の先端側に刺激付与部材12及び調整部材14が配設され、その後端側に反発部材16が配設されている。
【0019】
この実施形態では、刺激付与部材12は、細長い軸部20を有し、この軸部20は前部6の先端開口21を通して外側に突出し、この先端開口21を通して突出する軸部20の先端部にヘッド部22が取り付けられ、その基部側に当接端部24が設けられている。ヘッド部22は、例えば弾性部材(例えば、合成ゴムなど)から形成され、人体の首や肩などのツボ、顔などの皮膚などに作用して刺激を付与する。
【0020】
このヘッド部22は、軸部20に取替え可能に構成する(例えば、螺着可能に構成する)のが好ましく、先端部を先細にした刺激型のものや、先端部を丸くしたマッサージ型のものなどを使用目的に応じて交換して使用することができ、またその硬度を変えて刺激の程度を調整することもできる。
【0021】
また、刺激付与部材12の当接端部24は、この軸部20から径方向外方に環状に突出しており、その端面26は、
図3に示すように、軸部20の軸方向28に対して垂直な面30を基準に3~10°(傾斜角度α:3~10°)傾斜して拡がっており、この傾斜角度αは、5~8°であるのが好ましく、この端面26をこのように傾斜させることにより、調整部材14は、後述するように、把持本体4の軸方向に対して傾斜して位置するようになる。また、この当接端部24の外径は、
図2に示すように、前部6の先端開口21の内径よりも大きくなっており、それ故に、この刺激付与部材12が把持本体4から抜け出ることはない。
【0022】
次に、調整部材14について説明すると、この調整部材14は、細長い軸部32と、この軸部32の一端部に設けられた頭部34とを有している。軸部32の中間部には、外径が漸減する縮径部36が設けられ、この縮径部36から頭部34までの間は外径が大きい大径部38となり、この縮径部36から他端部までの間は外径が小さい小径部40となっている。
【0023】
調整部材14の頭部34は、部分的な球面状に形成され、この頭部34の球状面が刺激付与部材12の当接端部24の端面26に当接するように構成されている。このように構成されているので、刺激付与部材12の当接端部24と調整部材14の頭部34とは点接触状態で接触し、この調整部材14は、
図3に示すように、この接触部から当接端部24の端面26に対して垂直な方向に延びるように位置する(
図3参照)。
【0024】
上述した構成に関連して、把持本体4の受け部18の中心部には円形状の挿通開口42が設けられ、この挿通開口42の内径は、調整部材14の小径部40の外径よりも大きく、その大径部38の外径よりも小さくなっており、このように構成することにより、調整部材14の小径部40はこの挿通開口42を通して反発部材16側に突出するが、その大径部38はこの挿通開口42を通して反発部材16側に突出することはない。
【0025】
この受け部18の受け面44(調整部材14側の表面)は、部分的な球面状の凹状面となっており、この凹状面の底部に挿通開口42が設けられている。従って、後述するように、刺激付与部材12を内側に押し込むように移動させると、調整部材14の小径部40の先端部は、この受け部18の受け面44に沿って径方向内側に挿通開口42に向けてスムースに移動した後に、この挿通開口42を通して反発部材16側に突出する。
【0026】
また、反発部材16は、円筒状部材から構成され、その一端面(受け部18の挿通開口42と対向する端面)には、把持本体4の受け部18の挿通開口42に対応して没入凹部46が設けられている。この没入凹部46は、調整部材14の小径部40の形状に対応して断面円形状であり、その内径は調整部材14の小径部40の外径よりも幾分大きくなっている。
【0027】
この反発部材16の没入凹部46は軸方向に延びており、調整部材14の小径部40の先端側は、後述するように、把持本体4の挿通開口42を通してこの反発部材16の没入凹部46に没入してその底部に当接する。この没入凹部46の内径は把持本体4の受け部18の挿通開口42の内径よりも小さく、この挿通開口42を通して反発部材16の没入凹部46及びその周囲領域が調整部材14側に露呈する。
【0028】
この実施形態では、反発部材16と把持本体4の基端部48(この形態では、後部8の後端壁部)との間に、例えばコイルばねから構成される第1弾性偏倚部材50が配設されている。この第1弾性偏倚部材50は、反発部材16を把持本体4の受け部18に向けて弾性的に偏倚し、通常状態において、反発部材16は、この受け部18に当接する状態に弾性的に保持される。
【0029】
また、把持本体4の受け部18と調整部材14の頭部34との間に、例えばコイルばねから構成される第2弾性偏倚部材52が配設されている。この第2弾性偏倚部材52は、調整部材14の軸部32を被嵌して配設され、この調整部材14を刺激付与部材12に向けて弾性的に偏倚し、通常状態において、調整部材14は、その小径部40が把持本体4の挿通開口42から外れてその頭部34が刺激付与部材12の当接端部24に当接する状態に弾性的に保持される。
【0030】
この実施形態では、第1弾性偏倚部材50による弾性偏倚力が第2弾性偏倚部材52による弾性偏倚力よりも大きくなるように構成されており、このように構成することにより、第1及び第2偏奇部材50,52の押圧状態が後述する如くして解除されると、刺激付与部材12には、まず第1弾性偏倚部材50からの弾性偏倚力が主として伝達され、その後続いて第2弾性変位部材52からの弾性偏倚力が伝達される。これによって、刺激付与部材12は、最初に大きな刺激を付与し、その後続いて小さな刺激を付与するようになり、人体などに効果的に作用する二段階の刺激を付与することができる。
【0031】
次に、主として
図4~
図7を参照して、上述した刺激付与具2による刺激付与動作について説明する。この刺激付与具2を用いて刺激を与えるには、把持本体4を把持して刺激付与部材12のヘッド部22を、刺激を与えたい部位(例えば、首、肩などのツボ)に当て、この当てた状態で把持本体4を押し下げて刺激付与部材12を内側に軽く押し込むようにすればよい。
【0032】
このようにして刺激付与部材12を内側に少し下げると、刺激付与部材12の当接端部24と調整部材14の頭部24とが当接した状態において、調整部材14の小径部40の先端部が把持本体4の受け部18の受け面44に沿って径方向内側に移動し、
図2に示す状態から
図4に示す状態となる。
【0033】
図4に示すこの状態から刺激付与部材12を更に内側に少し下げると、
図5に示す状態となり、刺激付与部材12の当接端部24と調整部材14の頭部24とが当接した状態において、調整部材14の小径部40の先端部がこの受け部18の挿通開口42を通して反発部材16側に突出し、この反発部材16の端面(具体的には、没入凹部46の周辺部位)に当接する。
【0034】
図5に示すこの状態から刺激付与部材12を更に内側に下げると、
図6に示す状態となり、刺激付与部材12の当接端部24と調整部材14の頭部24とが当接した状態において、刺激付与部材12が第1弾性偏倚部材52の弾性偏倚力に抗して調整部材14を押し下げるとともに、この調整部材14が第1弾性偏倚部材50の弾性偏倚力に抗して反発部材16を押し下げる。
【0035】
図6に示すこの状態から刺激付与部材12を更に内側に下げると、刺激付与部材12の当接端部24と調整部材14の頭部24とが当接した状態において、調整部材14の縮径部36が把持本体4の受け部18の挿通開口42まで下がり、この縮径部36が受け部18の挿通開口42の開口部に接触することによって調整部材14が把持本体4に対してセンタリングされ、この調整部材14の小径部40の先端側と反発部材16の没入凹部46とが整合されるようになる。
【0036】
このようにして整合されると、
図7に示すように、第1及び第2弾性偏倚部材50,52の圧縮状態が解除されるが、第1弾性偏倚部材50による弾性偏倚力が第2弾性偏倚部材52による弾性偏倚力よりも大きいので、まず第1弾性偏倚部材50の圧縮状態が開放され、この第1弾性偏倚部材50の弾性偏倚力によって、反発部材16が把持本体4の受け部18に当接する状態まで反発移動される。そして、この反発移動の際には、調整部材14の小径部40は、反発部材16の没入凹部46に没入されてその底部に当接し、かく当接した後に、この反発部材16の反発移動とともに調整部材14を介して刺激付与部材14も反発移動される。かくして、第1弾性偏倚部材50からの反発力が反発部材16及び調整部材14を介して刺激付与部材12に伝達され、この刺激付与部材12のヘッド部22から人体(例えば、首、肩などのツボ)に伝達され、この刺激付与部材12によって比較的大きな刺激が付与される。
【0037】
その後続いて、第2弾性偏倚部材52の圧縮状態が開放され、この第2弾性偏倚部材52からの反発力が刺激付与部材12に伝達され、この刺激付与部材12のヘッド部22から人体(例えば、首、肩などのツボ)に伝達され、この刺激付与部材12によって、比較的大きな刺激に続いて比較的小さな刺激が付与される。
【0038】
このように刺激付与部材12のヘッド部22からは、第1弾性偏奇部材50の圧縮状態の開放により伝達される比較的大きな刺激の後に続いて第2弾性偏倚部材52の圧縮状態の開放により伝達される比較的小さい刺激が付与され、このように大小の2段階による刺激が連続的に付与されるので、人体(例えば、首、肩のツボなど、また顔の皮膚など)に効果的な刺激を与えることができる。
【0039】
尚、上述した実施形態から理解される如く、例えば、第1弾性偏倚部材50の弾性偏倚力(そのばね定数)を調整することにより、最初の比較的大きな刺激の大きさを調整することができ、また第2弾性偏倚部材52の弾性偏倚力(そのばね定数)を調整することにより、最初の比較的大きな刺激の後に続く比較的小さな刺激の大きさを調整することができる。
【0040】
以上、本発明に従う刺激付与具の一実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
【0041】
例えば、上述した実施形態では、この刺激付与具を人体に適用してそのツボ、皮膚などに効果的な刺激を与えているが、このような用い方に限定されず、犬、猫などの動物などに刺激を付与するのにも適用することができる。
【符号の説明】
【0042】
2 刺激付与具
4 把持本体
12 刺激付与部材
14 調整部材
16 反発部材
18 受け部
22 ヘッド部
24 当接端部
32 軸部
34 頭部
42 挿通開口
46 没入凹部
50 第1弾性偏倚部材
52 第2弾性偏倚部材