(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166073
(43)【公開日】2023-11-21
(54)【発明の名称】通信システム、通信システムの送受信方法、第1装置、及び第2装置
(51)【国際特許分類】
H04W 52/02 20090101AFI20231114BHJP
G08C 15/00 20060101ALI20231114BHJP
G08B 17/00 20060101ALI20231114BHJP
H04W 76/10 20180101ALI20231114BHJP
H04W 76/30 20180101ALI20231114BHJP
H04W 4/38 20180101ALI20231114BHJP
【FI】
H04W52/02 111
G08C15/00 D
G08B17/00 C
H04W76/10
H04W76/30
H04W4/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022076832
(22)【出願日】2022-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】永田 晃太
(72)【発明者】
【氏名】北澤 拓也
【テーマコード(参考)】
2F073
5G405
5K067
【Fターム(参考)】
2F073AA11
2F073AA25
2F073AA26
2F073AB01
2F073AB04
2F073BB01
2F073BB04
2F073BB07
2F073BC01
2F073BC02
2F073CC01
2F073CC07
2F073CC08
2F073CC12
2F073CC14
2F073CD11
2F073DD02
2F073DE02
2F073DE06
2F073DE13
2F073EE01
2F073EE13
2F073FF01
2F073FF12
2F073FG01
2F073FG02
2F073GG01
2F073GG06
2F073GG07
2F073GG08
5G405AA01
5G405AD05
5G405BA08
5G405CA17
5K067AA43
5K067BB27
5K067DD11
5K067EE02
5K067EE10
(57)【要約】
【課題】通信時においてより電力消費を抑えることができる通信システム、通信システムの送受信方法、第1装置、及び第2装置を提供する。
【解決手段】通信システム1は、保安装置10と検知装置20との間で通信を行うと共に、保安装置10の通信部11及び検知装置20の通信部21に対して間欠的に電力を供給するものであって、保安装置10は、検知装置20に対して所定の動作を実行させる通信を行う場合に、実行させる動作、セッション開始要求、及び、セッション終了要求を含む電文を生成する装置制御部13を備え、装置制御部13により生成された電文を通信部11により検知装置20へ送信し、検知装置20は、通信部21により電文を受信してセッションを開始し、保安装置10への情報送信を介在させることなく、セッションを終了する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスメータ又は遮断弁である保安装置と、ガス警報器又は火災報知器である検知装置との一方である第1装置と他方である第2装置との間で通信を行うと共に、前記第1装置の第1通信部及び前記第2装置の第2通信部に対して間欠的に電力を供給する通信システムにおいて、
前記第1装置は、
前記第2装置に対して所定の動作を実行させる通信を行う場合に、実行させる動作、前記第2装置に対してセッションの開始を要求するセッション開始要求、及び前記第2装置に対してセッションの終了を要求するセッション終了要求を含む電文を生成する電文生成部を備え、
前記電文生成部により生成された前記電文を前記第1通信部により前記第2装置へ送信し、
前記第2装置は、
前記第2通信部により前記電文を受信してセッションを開始し、前記第1装置への情報送信を介在させることなく、セッションを終了する
ことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記第1装置は、前記電文生成部により生成された前記電文を前記第1通信部により前記第2装置へ送信した後に、前記第2装置からの返信待たずにセッション終了させる
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記第2装置は、前記第1装置より送信された電文に基づく動作を、セッション終了後に行う
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項4】
ガスメータ又は遮断弁である保安装置と、ガス警報器又は火災報知器である検知装置との一方である第1装置と他方である第2装置との間で通信を行うと共に、前記第1装置の第1通信部及び前記第2装置の第2通信部に対して間欠的に電力を供給する通信システムの送受信方法において、
前記第1装置は、
前記第2装置に対して所定の動作を実行させる通信を行う場合に、実行させる動作、前記第2装置に対してセッションの開始を要求するセッション開始要求、及び前記第2装置に対してセッションの終了を要求するセッション終了要求を含む電文を生成する電文生成工程と、
前記電文生成工程において生成された前記電文を前記第1通信部により前記第2装置へ送信する送信工程と、を有し、
前記第2装置は、
前記送信工程において送信された前記電文を受信してセッションを開始するセッション開始工程と、
前記セッション開始工程の後に前記第1装置への情報送信を介在させることなく、セッションを終了するセッション終了工程と、を有する
ことを特徴とする通信システムの送受信方法。
【請求項5】
ガスメータ又は遮断弁である保安装置と、ガス警報器又は火災報知器である検知装置との一方である第1装置と他方である第2装置との間で通信を行うと共に、前記第1装置の第1通信部及び前記第2装置の第2通信部に対して間欠的に電力を供給する通信システムの第1装置において、
前記第2装置に対して所定の動作を実行させる通信を行う場合に、実行させる動作、前記第2装置に対してセッションの開始を要求するセッション開始要求、及び前記第2装置に対してセッションの終了を要求するセッション終了要求を含む電文を生成する電文生成部を備え、
前記電文生成部により生成された前記電文を前記第1通信部により前記第2装置へ送信する
ことを特徴とする第1装置。
【請求項6】
ガスメータ又は遮断弁である保安装置と、ガス警報器又は火災報知器である検知装置との一方である第1装置と他方である第2装置との間で通信を行うと共に、前記第1装置の第1通信部及び前記第2装置の第2通信部に対して間欠的に電力を供給する通信システムの第2装置において、
実行させる動作、前記第2装置に対してセッションの開始を要求するセッション開始要求、及び前記第2装置に対してセッションの終了を要求するセッション終了要求を含む電文を受信してセッションを開始し、前記第1装置への情報送信を介在させることなく、セッションを終了する
ことを特徴とする第2装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム、通信システムの送受信方法、第1装置、及び第2装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガス警報器や火災報知器である検知装置とガスメータや遮断弁である保安装置とを無線接続して情報の送受信を行う通信システムが提案されている(例えば特許文献1参照)。この通信システムは、検知装置と保安装置とのそれぞれの無線受信回路に間欠的に電力を供給して消費電力を抑えつつも、必要時には電力供給状態を延長等して適切に通信を行うことができるよう対応している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載のような通信システムは電力消費量の削減が不充分であった。
【0005】
例えば、現行の通信方式において、保安装置が検知装置に対して所定の動作を実行させる旨の電文を送信する場合、電文を受信した検知装置はセッションを開始すると共に電文に示される所定の動作を実行する。実行後、検知装置は、正常に所定の動作を実行した旨等の電文を保安装置に返信する。ここで、保安装置は、所定の動作を実行させる旨の電文を送信する際にセッションを開始しており、セッションの開始から検知装置の返信を待つ待機状態となっている。この待機状態は一定時間継続することとなり、保安装置は一定時間経過後にセッションを終了することとなる。
【0006】
以上のように、保安装置から検知装置に対して所定の動作を実行させる旨の電文を送信する場合、保安装置は検知装置からの電文返信に備えて待機状態を維持する必要がある。この待機状態において通信部には電力が供給され続けることから、決して電力消費量の削減が充分とはいえなかった。なお、この問題は、保安装置から検知装置に対して所定の動作を実行させる旨の電文を送信する場合に限らず、検知装置から保安装置に対して所定の動作を実行させる旨の電文を送信する場合にも共通するものである。この場合、検知装置は保安装置からの電文返信に備えて待機状態を維持する必要があり、決して電力消費量の削減が充分とはいえない。
【0007】
本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、通信時においてより電力消費を抑えることができる通信システム、通信システムの送受信方法、第1装置、及び第2装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の通信システムは、ガスメータ又は遮断弁である保安装置と、ガス警報器又は火災報知器である検知装置との一方である第1装置と他方である第2装置との間で通信を行うと共に、前記第1装置の第1通信部及び前記第2装置の第2通信部に対して間欠的に電力を供給する通信システムにおいて、前記第1装置は、前記第2装置に対して所定の動作を実行させる通信を行う場合に、実行させる動作、前記第2装置に対してセッションの開始を要求するセッション開始要求、及び前記第2装置に対してセッションの終了を要求するセッション終了要求を含む電文を生成する電文生成部を備え、前記電文生成部により生成された前記電文を前記第1通信部により前記第2装置へ送信し、前記第2装置は、前記第2通信部により前記電文を受信してセッションを開始し、前記第1装置への情報送信を介在させることなく、セッションを終了する。
【0009】
本発明の通信システムの送受信方法は、ガスメータ又は遮断弁である保安装置と、ガス警報器又は火災報知器である検知装置との一方である第1装置と他方である第2装置との間で通信を行うと共に、前記第1装置の第1通信部及び前記第2装置の第2通信部に対して間欠的に電力を供給する通信システムの送受信方法において、前記第1装置は、前記第2装置に対して所定の動作を実行させる通信を行う場合に、実行させる動作、前記第2装置に対してセッションの開始を要求するセッション開始要求、及び前記第2装置に対してセッションの終了を要求するセッション終了要求を含む電文を生成する電文生成工程と、前記電文生成工程において生成された前記電文を前記第1通信部により前記第2装置へ送信する送信工程と、を有し、前記第2装置は、前記送信工程において送信された前記電文を受信してセッションを開始するセッション開始工程と、前記セッション開始工程の後に前記第1装置への情報送信を介在させることなく、セッションを終了するセッション終了工程と、を有する。
【0010】
本発明の通信システムの第1装置は、ガスメータ又は遮断弁である保安装置と、ガス警報器又は火災報知器である検知装置との一方である第1装置と他方である第2装置との間で通信を行うと共に、前記第1装置の第1通信部及び前記第2装置の第2通信部に対して間欠的に電力を供給する通信システムの第1装置において、前記第2装置に対して所定の動作を実行させる通信を行う場合に、実行させる動作、前記第2装置に対してセッションの開始を要求するセッション開始要求、及び前記第2装置に対してセッションの終了を要求するセッション終了要求を含む電文を生成する電文生成部を備え、前記電文生成部により生成された前記電文を前記第1通信部により前記第2装置へ送信する。
【0011】
本発明の通信システムの第2装置は、ガスメータ又は遮断弁である保安装置と、ガス警報器又は火災報知器である検知装置との一方である第1装置と他方である第2装置との間で通信を行うと共に、前記第1装置の第1通信部及び前記第2装置の第2通信部に対して間欠的に電力を供給する通信システムの第2装置において、実行させる動作、前記第2装置に対してセッションの開始を要求するセッション開始要求、及び前記第2装置に対してセッションの終了を要求するセッション終了要求を含む電文を受信してセッションを開始し、前記第1装置への情報送信を介在させることなく、セッションを終了する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、通信時においてより電力消費を抑えることができる通信システム、通信システムの送受信方法、第1装置、及び第2装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係る通信システムの構成図である。
【
図3】比較例に係る通信の様子を示す概略図である。
【
図4】本実施形態に係る通信の様子を示す概略図である。
【
図5】本実施形態に係る通信システムの検知装置による動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用されていることはいうまでもない。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る通信システムの構成図である。
図1に示す通信システム1は、保安装置(第1装置)10と、複数の検知装置(第2装置)20との間で無線通信を行うものである。
【0016】
保安装置10は、ガスメータや遮断弁である。ガスメータは、需要者側で使用されるガスを計量するものであって内部に遮断弁を備えガス漏洩の際には遮断弁を弁閉してガスの流通を遮断することにより保安を図るものである。遮断弁は、需要者側に至るガス流路上に直接設けられ、ガス漏洩の際には弁閉してガスの流通を遮断することにより保安を図るものである。
【0017】
検知装置20は、例えばガス警報器や火災報知器である。ガス警報器は、都市ガス、LPガス及び一酸化炭素等の検知対象ガスの高濃度異常を検知して、その旨を報知するものである。火災報知器は、熱や煙及び一酸化炭素等が火災時のものに相当するかを検知して、火災時に相当する場合にはその旨を報知するものである。
【0018】
保安装置10は、通信部(第1通信部)11と、電力制御部12と、装置制御部(電文生成部)13と、記憶部14とを備えている。
【0019】
通信部11は、検知装置20との通信を行うものである。電力制御部12は、通信部11への電力供給を制御するものである。この電力制御部12は、基本的に通信部11に対して間欠的に電力供給することで消費電力を抑え、必要時には電力供給状態を延長等するように構成されている。
【0020】
装置制御部13は、保安装置10の全体を制御するものである。この装置制御部13は、検知装置20に送信する電文を生成する機能についても有している。
図2は、電文の詳細を示す概念図である。
図2に示すように、電文Dは、マーク信号D1と、制御部D2と、データ部D3と、チェックサムD4とを備えて構成されている。マーク信号D1は、電文の先頭を示す信号である。制御部D2及びデータ部D3は、電文Dの実体部分を構成するものである。チェックサムD4は、データ破損を検出するための誤り検出符号である。
【0021】
上記制御部D2は制御コードD21、送信元アドレスD22及び宛先アドレスD23を備えている。制御コードD21は、宛先や送信元の機器の種類やパケット番号及び通信の種類等を示す部分である。通信の種類には、原則として相手側に電文形式での返信を求めない発呼通信や、原則として相手側に電文形式での返信を求めるポーリング通信等がある。さらに、制御コードD21は、セッションの開始を要求するセッション開始要求、及び、セッションの終了を要求するセッション終了要求も含まれる。送信元アドレスD22は、送信元である自己のアドレス値を示す部分であり、宛先アドレスD23は、電文Dを届けたい相手側となる機器のアドレス値を示す部分である。また、宛先アドレスD23は、周辺の特定の機器に一括して電文Dを届ける同報通信となるようにアドレス値を指定することも可能となっている。
【0022】
データ部D3は、データプロパティD31、オペコードD32、オペランドD33及びデータD34を備えている。データプロパティD31はいわゆる事業体コードで構成される。オペコードD32は、要求の電文Dか応答の電文Dか等を示す部分である。オペランドD33は、電文番号を示す部分である。データD34は、例えばガス漏れ警報であるのかCO警報であるのか等の実質的な内容を示す部分である。また、電文Dが通信の相手側に何らかの動作を求めるものである場合、データD34には動作の内容が示されることとなる。
【0023】
図1に示す装置制御部13は、上記に示したような電文Dを生成する。装置制御部13により生成された電文Dは、通信部11により検知装置20に送信される。
【0024】
記憶部14は、保安装置10が動作するためのプログラム等を記憶する他、通信に必要となる各種情報が記憶されたものである。
【0025】
複数の検知装置20のそれぞれは、通信部(第2通信部)21と、電力制御部22と、装置制御部23と、記憶部24とを備えている。
【0026】
通信部21は、保安装置10との通信を行うものである。電力制御部22は、通信部21への電力供給を制御するものである。この電力制御部22は、基本的に通信部21に対して間欠的に電力供給することで消費電力を抑え、必要時には電力供給状態を延長等するように構成されている。
【0027】
装置制御部23は、検知装置20の全体を制御するものである。この装置制御部23は、保安装置10に送信する電文Dを生成する機能についても有している。電文Dの詳細は
図2を参照して説明した通りである。装置制御部23により生成された電文Dは、通信部21により保安装置10に送信される。
【0028】
記憶部24は、検知装置20が動作するためのプログラム等を記憶する他、通信に必要となる各種情報が記憶されたものである。
【0029】
次に、本実施形態に係る通信システム1の送受信方法の概要を説明するに先立って、比較例に係る通信システムの送受信方法の概要を説明する。
図3は、比較例に係る通信の様子を示す概略図である。なお、以下の比較例では本実施形態と同一の名称のものには同一の符号を付して説明するものとする。
【0030】
まず、
図3に示す比較例では、保安装置10から複数(3つ)の検知装置20に対して同報通信が行われるものとする。この場合において、保安装置10の装置制御部13は、実行させる所定の動作の内容(遮断弁の弁閉時における鳴動や弁開時における鳴動等)と、検知装置20に対してセッションの開始を要求するセッション開始要求とを含む電文Dを生成する。そして、保安装置10の通信部11は、装置制御部13により生成された電文Dを同報送信する(符号t11参照)。なお、保安装置10は、上記の電文Dを送信する場合、電力制御部12が通信部11に電力を供給する。また、ここで、送信される電文Dは、いわゆるポーリング通信であり、各検知装置20に対して電文Dの返信を求めるものである。
【0031】
一方、複数の検知装置20は、それぞれが間欠的に電力供給されるタイミングで通信部11を通じて上記電文Dを受信する。次いで、検知装置20の電力制御部22は通信部21に対する電力供給を延長させる。また、検知装置20の装置制御部23は、受信した電文Dに基づいてセッションを開始する(符号t121~t123参照)。
【0032】
次いで、各検知装置20の装置制御部23は、電文Dにて実行が指示されている所定の動作を実行する。実行後、各検知装置20の装置制御部23は、所定の動作を実行した旨を含む電文Dを生成し、通信部21から保安装置10に対して返信する(符号t131~t133参照)。この電文Dは、それぞれの検知装置20から個々のタイミングで返信される。また、各検知装置20は、電文Dを送信後、セッションを終了する。
【0033】
一方、保安装置10は、電文Dを同報送信した際に開始されたセッションを一定時間終了させることなく、各検知装置20からの電文Dを待つ待機状態となっている。保安装置10は、この待機状態において、各検知装置20から所定の動作を実行した旨の電文Dを受信する(符号t141~t143参照)。この受信によって、保安装置10は、各検知装置20が正常に動作したか否かを把握することができる。なお、保安装置10が複数の検知装置20に対して同報通信を行った場合、保安装置10側では、どれだけの数の検知装置20から電文Dの返信があるのか不明である。このため、保安装置10は、待機状態を一定時間継続することとなる。
【0034】
そして、保安装置10がセッションを開始してから一定時間経過すると、保安装置10は、セッションを終了することとなる。
【0035】
以上のように、比較例においては保安装置10がセッションを開始してから一定時間の待機状態となることから通信部11を電力供給状態で維持する必要があり、決して電力消費量の削減が充分とはいえない。加えて、電文返信を待つ待機状態において保安装置10は、他の電文Dを受信することができない。このため、例えば緊急性を有する電文Dを受信できず、対応に遅れが生じる可能性がある。
【0036】
次に、本実施形態に係る通信システム1の送受信方法の概要を説明する。
図4は、本実施形態に係る通信の様子を示す概略図である。
図4においても、保安装置10から複数(3つ)の検知装置20に対して同報通信(ポーリング通信)により、所定の動作を実行させる場合を例に説明する。
【0037】
まず、保安装置10の装置制御部13は、実行させる所定の動作の内容とセッション開始要求とに加えて、セッションの終了を要求するセッション終了要求を含む電文Dを生成する。そして、保安装置10の通信部11は、装置制御部13により生成された電文Dを同報送信する(符号t21参照)。この際、保安装置10はセッションを開始することとなるが、ポーリング通信を行ったにもかかわらず、その後待機状態となることなくセッションを終了させる。このため、保安装置10の電力制御部12は、比較的短い時間だけ通信部11に電力を供給することとなる。
【0038】
一方、各検知装置20の通信部21は、それぞれが間欠的に電力供給されるタイミングで上記電文Dを受信するとセッションを開始する(符号t221~t223参照)。そして、装置制御部23は、セッション開始後、何ら情報(電文Dに限らず単に受信した旨の返信信号である受信確認信号も含む)の送信(返信)を介在させることなく、セッションを終了する。装置制御部23は、セッション終了後に、電文Dに示される所定の動作を実行することとなる(符号t231~t233参照)。
【0039】
以上のように、本実施形態において保安装置10は、検知装置20に対して所定の動作を実行させるが、所定の動作が正常に実行されたかに関する返信を求めない。また、検知装置20は、電文Dを受信してセッションを開始してから、何ら情報を返信することなくセッションを終了させる。よって、検知装置20側において返信に要する電力消費が抑えられることとなる。
【0040】
特に、保安装置10は、返信を求めないことから、返信待つために一定時間の待機状態となる必要がなく、この間に電力供給状態を維持する必要がない。また待機状態において他の電文Dを受信できなくなる問題も生じない。
【0041】
さらに、検知装置20の装置制御部23は、セッションの終了後に所定の動作を実行するため、所定の動作を先に実行してからセッションを終了する場合と比較してセッション開始から終了までの時間をより短くして通信部21への電力供給時間を減じ、一層消費電力を抑えることができる。
【0042】
次に、本実施形態に係る通信システム1の検知装置20による動作の詳細を説明する。
図5は、本実施形態に係る通信システム1の検知装置20による動作を示すフローチャートである。
【0043】
図5に示すように、まず、検知装置20の装置制御部23はマーク信号D1が受信されたかを判断する(S1)。マーク信号D1が受信されなかった場合(S1:NO)、マーク信号D1が受信されるまで、この処理が繰り返される。
【0044】
一方、マーク信号D1が受信された場合(S1:YES)、装置制御部23は、パケット処理を開始する(S2)。そして、装置制御部23は、電文Dの制御コードD21内の機種コードが自身の値と一致するかを判断する(S3)。機種コードが自身の値と一致しない場合(S3:NO)、装置制御部23は、自身に向けて送信された電文Dでないと判断してパケットを破棄し(S4)、
図5に示す処理は終了する。
【0045】
機種コードが自身の値と一致する場合(S3:YES)、装置制御部23は、宛先アドレスD23が同報通信を示すものであるか、例えば全bit「1」であるか、を判断する(S5)。宛先アドレスD23が同報通信を示すものでない場合(S5:NO)、装置制御部23は、宛先アドレスD23が自身の値と一致するかを判断する(S6)。宛先アドレスD23が自身の値と一致しない場合(S6:NO)、装置制御部23は、自身に向けて送信された電文Dでないと判断してパケットを破棄し(S4)、
図5に示す処理は終了する。
【0046】
宛先アドレスD23が自身の値と一致する場合(S6:YES)、装置制御部23は、通常の通信処理を実行する(S7)。すなわち、装置制御部23は、
図3を参照して説明したように、電文Dを受信しセッションを開始して電文Dに示される動作を実行した後に、動作の実行結果を含む電文Dを返信してセッションを終了することとなる。セッション終了後、
図5に示す処理は終了することとなる。
【0047】
一方、宛先アドレスD23が同報通信を示すものである場合(S5:YES)、装置制御部23は、制御コードD21のセッション開始がONであるか、すなわちセッション開始要求が含まれているかを判断する(S8)。セッション開始要求が含まれていない場合(S8:NO)、装置制御部23は、セッションを開始させる指示が含まれていないことからパケットを破棄し(S4)、
図5に示す処理は終了する。
【0048】
セッション開始要求が含まれている場合(S8:YES)、装置制御部23は、制御コードD21のセッション終了がONであるか、すなわちセッション終了要求が含まれているかを判断する(S9)。セッション終了要求が含まれていない場合(S9:NO)、装置制御部13は、セッションを終了させる指示が含まれていないことから
図3を参照して説明したようにして通信処理を実行する(S7)。その後、
図5に示す処理は終了する。
【0049】
セッション終了要求が含まれている場合(S9:YES)、装置制御部23は、データD34を参照して電文Dが所定の動作を実行させるものかを判断する(S10)。電文Dが所定の動作を実行させるものでない場合(S10:NO)、電文Dは、所定の動作を実行させるものでないにもかかわらずセッション開始要求とセッション終了要求との双方を含んだものとなっている。このため、装置制御部23は、電文Dが破損等していると判断してパケットを破棄し(S4)、
図5に示す処理は終了する。
【0050】
電文Dが所定の動作を実行させるものである場合(S10:YES)、装置制御部23は、セッションを開始し(S11)、次いでセッションを即時終了する(S12)。セッション終了後、装置制御部13は、電文Dにて指示される動作を実行する(S13)。その後、
図5に示す処理は終了する。
【0051】
このようにして、本実施形態に係る通信システム1及びその送受信方法によれば、複数の検知装置20に対して所定の動作を実行させる通信を行う場合、実行させる動作の他、セッションの開始要求と終了要求との双方を含む電文Dを送信し、各検知装置20は、セッションの開始後に保安装置10への情報送信を介在させることなくセッションを終了する。このため、複数の検知装置20に対して所定の動作を行わせる場合に、各検知装置20は保安装置10に対して動作を行った旨の返信等をすることがない。このため、セッションが終了するまでに、返信処理等に要する時間が含まれることなく、検知装置20は通信部21への電力供給をより早めに終わらせることができる。従って、通信時においてより電力消費を抑えることができる。
【0052】
また、保安装置10は電文Dを複数の検知装置20へ送信した後に、各検知装置20からの返信を待たずにセッション終了させるため、返信を待つための時間中、保安装置10の通信部11への電力供給を維持する必要がない。さらには、返信を待つための時間中において他の情報を受信できなくなる事態も生じないことから、重要な情報の伝達遅れや再送処理等の弊害を抑制することができる。従って、より電力消費を抑えつつ、情報を受信できなくなる期間における情報の伝達遅れ等の弊害を抑制することができる。
【0053】
また、各検知装置20は、保安装置10より送信された電文Dに基づく動作を、セッション終了後に行うため、動作後にセッションを終了させる場合と比較して通信部21への電力供給時間を減じることとなり、一層消費電力を抑えることができる。
【0054】
さらに、本実施形態に係る保安装置10及び検知装置20によれば、通信時においてより電力消費を抑えることができる通信システム1の構築に寄与することができる。
【0055】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜実施形態同士の技術や他の技術を組み合わせてもよい。
【0056】
例えば上記実施形態において保安装置10と検知装置20とは無線により通信を行っているが、特にこれに限らず、有線通信であってもよい。
【0057】
また、上記
図4及び
図5に示す例において保安装置10は複数の検知装置20に対して電文Dを一括して送信する同報通信を行っているが、特にこれに限らず、一対一の通信を行う場合にも適用してもよい。
【0058】
さらに、上記実施形態では、保安装置10から検知装置20に所定の動作を実行させる電文Dを送信する例を説明したが、これに限らず、検知装置20から保安装置10に所定の動作を実行させる電文Dを送信する場合に適用してもよい。この場合において検知装置20の装置制御部23が所定の動作を実行させる旨、セッション開始要求、及びセッション終了要求を含む電文Dを生成することとなる。
【0059】
加えて、上記実施形態において保安装置10及び検知装置20はそれぞれ通信部11,21を内蔵するものであるが、特にこれに限らず、保安装置10及び検知装置20の双方又はいずれか一方について通信部11,21が外付けされるものであってもよい。このため、例えば通信機能を備えないガスメータに中継器(通信部11)が外付けされて保安装置10が構成されてもよい。外付けに関しては、通信機能を備えないガスメータと中継器とが通信線を介して接続されていてもよいし、通信機能を備えないガスメータの端子台等の端子部に中継器の端子が直接接続されて通信線を介在しない接続がされてもよい。検知装置20も同様である。
【符号の説明】
【0060】
1 :通信システム
10 :保安装置(第1装置(第2装置))
11 :通信部(第1通信部(第2通信部))
12 :電力制御部
13 :装置制御部(電文生成部)
14 :記憶部
20 :検知装置(第2装置(第1装置))
21 :通信部(第2通信部(第1通信部))
22 :電力制御部
23 :装置制御部((電文生成部))
24 :記憶部
D :電文