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特開2023-166077データ処理装置、データ処理システム、測定システムおよびデータ処理用プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166077
(43)【公開日】2023-11-21
(54)【発明の名称】データ処理装置、データ処理システム、測定システムおよびデータ処理用プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08C 15/00 20060101AFI20231114BHJP
   H04L 67/561 20220101ALI20231114BHJP
【FI】
G08C15/00 D
G08C15/00 E
H04L67/561
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022076840
(22)【出願日】2022-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】清水 幸奈
【テーマコード(参考)】
2F073
【Fターム(参考)】
2F073AA01
2F073AA02
2F073AA04
2F073AA11
2F073AA21
2F073AB01
2F073BB01
2F073BB07
2F073BC01
2F073BC02
2F073CC03
2F073CC14
2F073CD11
2F073DD07
2F073FF01
2F073FG11
2F073GG01
2F073GG07
2F073GG09
(57)【要約】
【課題】測定器や測定対象の状態が予め規定された条件を満たしている状態において測定された所望の測定値を確実かつ容易に特定可能とする。
【解決手段】測定対象Xについての予め規定された被測定量を測定する測定処理を実行して測定値データD1を生成可能な測定器1によって生成された測定値データD1を取得すると共に携帯端末6等に対して測定値データD1を送信する処理部を備え、処理部は、測定器1による測定処理に関連する撮像対象を測定処理時に撮像した撮像データD3を取得すると共に測定器1によって生成された測定値データD1の値が第1の条件を満たし、かつ取得した撮像データD3における判別対象画素の画素値が第2の条件を満たしたときに、第1の条件および第2の条件の双方が満たされたことを報知する報知データD2を携帯端末6等に送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象についての予め規定された被測定量を測定する測定処理を実行して測定値データを生成可能に構成された測定器によって生成された当該測定値データを取得すると共に第1の外部処理装置に対して当該測定値データを送信する処理部を備えたデータ処理装置であって、
前記処理部は、前記測定器による前記測定処理に関連する予め規定された撮像対象を当該測定処理時に撮像した撮像データを取得すると共に、前記測定器によって生成された前記測定値データの値が予め規定された第1の条件を満たし、かつ、取得した前記撮像データにおける予め規定された判別対象画素の画素値が予め規定された第2の条件を満たしたときに、当該第1の条件および当該第2の条件の双方が満たされたことを報知する報知データを第2の外部処理装置に対して送信するデータ処理装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記撮像データにおける前記判別対象画素の画素値における明度が予め規定された明度範囲に含まれているときに前記第2の条件が満たされたと判別する請求項1記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記処理部は、前記撮像データにおける前記判別対象画素の画素値における色相が予め規定された色相範囲に含まれているときに前記第2の条件が満たされたと判別する請求項1記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記処理部は、前記撮像データにおける前記判別対象画素の画素値における色相が予め規定された色相範囲に含まれているときに前記第2の条件が満たされたと判別する請求項2記載のデータ処理装置。
【請求項5】
測定対象についての予め規定された被測定量を測定する測定処理を実行して測定値データを生成可能に構成された測定器によって生成された当該測定値データを取得すると共に第1の外部処理装置に対して当該測定値データを送信する処理部を備えたデータ処理装置であって、
前記処理部は、前記測定器による前記測定処理に関連する予め規定された集音位置において当該測定処理時に集音した音声データを取得すると共に、前記測定器によって生成された前記測定値データの値が予め規定された条件Aを満たし、かつ、取得した前記音声データが予め規定された条件Bを満たしたときに、当該条件Aおよび当該条件Bの双方が満たされたことを報知する報知データを第2の外部処理装置に対して送信するデータ処理装置。
【請求項6】
前記処理部は、前記音声データの音圧レベルが予め規定された音圧レベル範囲に含まれているときに前記条件Bが満たされたと判別する請求項5記載のデータ処理装置。
【請求項7】
請求項1から4のいずれかに記載のデータ処理装置と、
前記撮像対象を撮像して前記撮像データを生成する撮像装置とを備えているデータ処理システム。
【請求項8】
請求項5または6記載のデータ処理装置と、
前記集音位置において集音した音声の前記音声データを生成する集音装置とを備えているデータ処理システム。
【請求項9】
請求項7記載のデータ処理システムと、前記測定器とを備えている測定システム。
【請求項10】
請求項8記載のデータ処理システムと、前記測定器とを備えている測定システム。
【請求項11】
測定対象についての予め規定された被測定量を測定する測定処理を実行して測定値データを生成可能に構成された測定器によって生成された当該測定値データを取得すると共に第1の外部処理装置に対して当該測定値データを送信する処理部を備えたデータ処理装置における当該処理部に対して、
前記測定値データを送信する処理と、
前記測定器による前記測定処理に関連する予め規定された撮像対象を当該測定処理時に撮像した撮像データを取得すると共に、前記測定器によって生成された前記測定値データの値が予め規定された第1の条件を満たし、かつ、取得した前記撮像データにおける予め規定された判別対象画素の画素値が予め規定された第2の条件を満たしたときに、当該第1の条件および当該第2の条件の双方が満たされたことを報知する報知データを第2の外部処理装置に対して送信する処理とを実行させるデータ処理用プログラム。
【請求項12】
測定対象についての予め規定された被測定量を測定する測定処理を実行して測定値データを生成可能に構成された測定器によって生成された当該測定値データを取得すると共に第1の外部処理装置に対して当該測定値データを送信する処理部を備えたデータ処理装置における当該処理部に対して、
前記測定値データを送信する処理と、
前記測定器による前記測定処理に関連する予め規定された集音位置において当該測定処理時に集音した音声データを取得すると共に、前記測定器によって生成された前記測定値データの値が予め規定された条件Aを満たし、かつ、取得した前記音声データが予め規定された条件Bを満たしたときに、当該条件Aおよび当該条件Bの双方が満たされたことを報知する報知データを第2の外部処理装置に対して送信する処理とを実行させるデータ処理用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定器から取得した測定値データを外部処理装置に送信する処理を実行可能に構成されたデータ処理装置、そのようなデータ処理装置を備えて構成されたデータ処理システム、そのようなデータ処理システムを備えて構成された測定システム、およびデータ処理装置に各種の処理を実行させるデータ処理用プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
出願人は、測定器から測定値データを取得すると共に、移動体通信網やインターネットを介してデータサーバ(データ記録装置)に送信して記録させるゲートウェイ(データ送信装置)、およびそのようなゲートウェイや測定器を備えた測定システムの一例を下記の特許文献に開示している。
【0003】
この場合、出願人が開示している測定システムでは、測定処理を実行している測定器および測定対象の少なくとも一方の状態を特定可能な撮像データ(状態特定データ)を生成可能なカメラがゲートウェイに接続されている。また、ゲートウェイの処理部は、上記のように測定値データをデータサーバに送信する際に、カメラによって生成された撮像データを測定値データに関連付けてデータサーバに送信する処理を実行可能に構成されている。これにより、出願人が開示しているゲートウェイおよび測定システムでは、データサーバに記録された測定値データおよび撮像データを取得することにより、測定値データの解析だけでは特定が困難であった測定現場の状態を撮像データに基づいて特定することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-185479号公報(第6-15頁、第1-3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、出願人が開示しているゲートウェイおよび測定システムには、以下のような改善すべき課題が存在する。具体的には、前述したように、出願人が開示している測定システムでは、測定器および測定対象の少なくとも一方の状態を特定可能な撮像データが測定値データと共にゲートウェイによって送信されて記録される構成が採用されている。これにより、データサーバに記録された測定値データの値の解析と併せて撮像データの画像を確認することで、測定器および/または測定対象がどのような状態においてどのような値が測定されたかを特定することができるため、この種の装置やシステムの使用に不慣れな者であっても、取得した測定値データが正常に実行された測定処理の結果であるか否かなどを確実かつ容易に特定することが可能となっている。
【0006】
この場合、この種の装置やシステムには、測定器および/または測定対象が予め規定された状態であるとの条件を満たす環境下において測定され、かつ予め規定されたしきい値を超える、または予め規定されたしきい値を下回るとの2つの条件を満たす測定値を対象として解析を行うといった用途が存在する。具体的には、一例として、測定対象としての電子機器の正常負荷状態における消費電力量が許容範囲内の電力量であるか否かを検査する際に、電子機器が過負荷状態に近い負荷状態で動作しているとの条件を満たす環境下において測定され、かつ予め規定されたしきい値を超えている消費電力量を対象として解析を行う際に使用されることがある。
【0007】
このような用途において上記のゲートウェイおよび測定システムを使用するときには、一例として、測定器として電力量計を使用して測定対象の電子機器の消費電力量を特定可能な測定値データを生成させると共に、測定対象の電子機器における「負荷動作状態を示すインジケータ」を撮像した撮像データを測定値データと共にゲートウェイからデータサーバに送信して記録させる。これにより、データサーバに記録された測定値データおよび撮像データを取得することで、撮像データの画像を確認して過負荷状態に近い負荷状態において測定された測定値(消費電力量)を抽出し、さらに、抽出した測定値の中からしきい値を超える測定値を特定して、予め規定された許容範囲内の消費電力量であるか否かを検査することが可能となる。
【0008】
しかしながら、出願人が開示しているゲートウェイおよび測定システムの構成においてデータサーバに記録される測定値データおよび撮像データを使用した上記のような検査では、データサーバに記録された撮像データの画像のすべてを確認して過負荷状態に近い負荷状態において測定された測定値を特定し、さらに、特定した測定値のすべてを対象としてしきい値を超えているか否かを判別して、しきい値を超える測定値が存在するときに、その測定値が許容範囲内であるか否かを判別する必要がある。このため、例えば、測定処理の実行中に電子機器が過負荷状態に近い負荷状態となる頻度が少ないときには、撮像データを確認して所望の測定値を抽出する作業が煩雑となっており、一連の検査に要する作業時間の短縮が困難となっている。
【0009】
また、作業手順を変えて、すべての測定値の中からしきい値を超えている測定値を特定し、特定した測定値の測定時における電子機器の負荷状態を、撮像データの画像に基づいて確認することで、過負荷状態に近い負荷状態において測定された「しきい値を超える測定値」が許容範囲内の消費電力量であるか否かを判別することもできる。しかしながら、このような作業手順を採用した場合においても、しきい値を超える消費電力量が測定される頻度が高いときには、撮像データの確認によって過負荷状態に近い負荷状態において測定された測定値ではないと判別される測定値、すなわち、許容範囲内の消費電力量であるか否かを判別する対象ではない測定値の数が多数となるため、一連の検査に要する作業時間の短縮が困難となっている。
【0010】
このように、出願人が開示しているゲートウェイおよび測定システムでは、測定器および/または測定対象が予め規定された状態であるとの条件を満たす環境下において測定され、かつ予め規定されたしきい値を超える、または予め規定されたしきい値を下回るとの2つの条件を満たす測定値を対象として解析を行う際などに、撮像データの画像の確認や、測定値データの値の確認の作業が煩雑となっている現状がある。したがって、この点を改善するのが好ましい。
【0011】
本発明は、かかる改善すべき問題に鑑みてなされたものであり、測定器や測定対象の状態が予め規定された条件を満たしている状態において測定された所望の測定値を確実かつ容易に特定し得るデータ処理装置、データ処理システム、測定システムおよびデータ処理用プログラムを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るデータ処理装置は、測定対象についての予め規定された被測定量を測定する測定処理を実行して測定値データを生成可能に構成された測定器によって生成された当該測定値データを取得すると共に第1の外部処理装置に対して当該測定値データを送信する処理部を備えたデータ処理装置であって、前記処理部は、前記測定器による前記測定処理に関連する予め規定された撮像対象を当該測定処理時に撮像した撮像データを取得すると共に、前記測定器によって生成された前記測定値データの値が予め規定された第1の条件を満たし、かつ、取得した前記撮像データにおける予め規定された判別対象画素の画素値が予め規定された第2の条件を満たしたときに、当該第1の条件および当該第2の条件の双方が満たされたことを報知する報知データを第2の外部処理装置に対して送信する。
【0013】
また、本発明に係るデータ処理システムは、上記のデータ処理装置と、前記撮像対象を撮像して前記撮像データを生成する撮像装置とを備えている。また、本発明に係る測定システムは、上記のデータ処理システムと、前記測定器とを備えている。
【0014】
また、本発明に係るデータ処理用プログラムは、測定対象についての予め規定された被測定量を測定する測定処理を実行して測定値データを生成可能に構成された測定器によって生成された当該測定値データを取得すると共に第1の外部処理装置に対して当該測定値データを送信する処理部を備えたデータ処理装置における当該処理部に対して、前記測定値データを送信する処理と、前記測定器による前記測定処理に関連する予め規定された撮像対象を当該測定処理時に撮像した撮像データを取得すると共に、前記測定器によって生成された前記測定値データの値が予め規定された第1の条件を満たし、かつ、取得した前記撮像データにおける予め規定された判別対象画素の画素値が予め規定された第2の条件を満たしたときに、当該第1の条件および当該第2の条件の双方が満たされたことを報知する報知データを第2の外部処理装置に対して送信する処理とを実行させる。
【0015】
したがって、本発明に係るデータ処理装置、データ処理システム、測定システムおよびデータ処理用プログラムによれば、測定値データについての第1の条件と共に、測定器や測定対象の状態が予め規定された条件を満たしている状態であると特定可能な第2の条件を予め規定しておくことで、両条件が満たされたときにデータ処理装置から報知データが送信されるため、測定値データの値の確認作業や、撮像データの画像の確認作業を行わなくても、測定値データの各測定値の中から、測定器や測定対象の状態が予め規定された条件を満たしている状態において測定された所望の測定値を確実かつ容易に特定することができる。これにより、このデータ処理装置、データ処理システム、測定システムおよびデータ処理用プログラムによれば、特定した測定値についての解析や検証などを確実かつ容易に実施することができる。
【0016】
また、本発明に係るデータ処理装置は、前記処理部は、前記撮像データにおける前記判別対象画素の画素値における明度が予め規定された明度範囲に含まれているときに前記第2の条件が満たされたと判別する。
【0017】
したがって、本発明に係るデータ処理装置、データ処理システム、測定システムおよびデータ処理用プログラムによれば、任意の撮像対象が明るいとき、または暗いときに、第2の条件が満たされたと判別させることができるため、明/暗に応じて所望の条件が満たされた/満たされていないと判別させるような用途において、報知データを確実かつ容易に送信させることができる。
【0018】
また、本発明に係るデータ処理装置は、前記処理部は、前記撮像データにおける前記判別対象画素の画素値における色相が予め規定された色相範囲に含まれているときに前記第2の条件が満たされたと判別する。
【0019】
したがって、本発明に係るデータ処理装置、データ処理システム、測定システムおよびデータ処理用プログラムによれば、任意の撮像対象の色が所望の色相範囲内のとき、または所望の色相範囲外のときに、第2の条件が満たされたと判別させることができるため、色の相違に応じて所望の条件が満たされた/満たされていないと判別させるような用途において、報知データを確実かつ容易に送信させることができる。
【0020】
また、本発明に係るデータ処理装置は、測定対象についての予め規定された被測定量を測定する測定処理を実行して測定値データを生成可能に構成された測定器によって生成された当該測定値データを取得すると共に第1の外部処理装置に対して当該測定値データを送信する処理部を備えたデータ処理装置であって、前記処理部は、前記測定器による前記測定処理に関連する予め規定された集音位置において当該測定処理時に集音した音声データを取得すると共に、前記測定器によって生成された前記測定値データの値が予め規定された条件Aを満たし、かつ、取得した前記音声データが予め規定された条件Bを満たしたときに、当該条件Aおよび当該条件Bの双方が満たされたことを報知する報知データを第2の外部処理装置に対して送信する。
【0021】
また、本発明に係るデータ処理システムは、上記のデータ処理装置と、前記集音位置において集音した音声の前記音声データを生成する集音装置とを備えている。また、本発明に係る測定システムは、上記のデータ処理システムと、前記測定器とを備えている。
【0022】
また、本発明に係るデータ処理用プログラムは、測定対象についての予め規定された被測定量を測定する測定処理を実行して測定値データを生成可能に構成された測定器によって生成された当該測定値データを取得すると共に第1の外部処理装置に対して当該測定値データを送信する処理部を備えたデータ処理装置における当該処理部に対して、前記測定値データを送信する処理と、前記測定器による前記測定処理に関連する予め規定された集音位置において当該測定処理時に集音した音声データを取得すると共に、前記測定器によって生成された前記測定値データの値が予め規定された条件Aを満たし、かつ、取得した前記音声データが予め規定された条件Bを満たしたときに、当該条件Aおよび当該条件Bの双方が満たされたことを報知する報知データを第2の外部処理装置に対して送信する処理とを実行させる。
【0023】
したがって、本発明に係るデータ処理装置、データ処理システム、測定システムおよびデータ処理用プログラムによれば、測定値データについての条件Aと共に、測定器や測定対象の状態が予め規定された条件を満たしている状態であると特定可能な条件Bを予め規定しておくことで、両条件が満たされたときにデータ処理装置から報知データが送信されるため、測定値データの値の確認作業や、音声データの音声の確認作業を行わなくても、測定値データの各測定値の中から、測定器や測定対象の状態が予め規定された条件を満たしている状態において測定された所望の測定値を確実かつ容易に特定することができる。これにより、このデータ処理装置、データ処理システム、測定システムおよびデータ処理用プログラムによれば、特定した測定値についての解析や検証などを確実かつ容易に実施することができる。
【0024】
また、本発明に係るデータ処理装置は、前記処理部は、前記音声データの音圧レベルが予め規定された音圧レベル範囲に含まれているときに前記条件Bが満たされたと判別する。
【0025】
したがって、本発明に係るデータ処理装置、データ処理システム、測定システムおよびデータ処理用プログラムによれば、集音位置で集音される音声の音圧レベルが低いとき、または高いときに、条件Bが満たされたと判別させることができるため、音圧レベルに応じて所望の条件が満たされた/満たされていないと判別させるような用途において、報知データを確実かつ容易に送信させることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係るデータ処理装置、データ処理システム、測定システムおよびデータ処理用プログラムによれば、測定値データについての第1の条件、または条件Aと共に、測定器や測定対象の状態が予め規定された条件を満たしている状態であると特定可能な第2の条件、または条件Bを予め規定しておくことで、第1の条件および第2の条件の双方、または、条件Aおよび条件Bの双方が満たされたときにデータ処理装置から報知データが送信されるため、測定値データの値の確認作業や、撮像データの画像の確認作業や、音声データの音声の確認作業を行わなくても、測定値データの各測定値の中から、測定器や測定対象の状態が予め規定された条件を満たしている状態において測定された所望の測定値を確実かつ容易に特定することができる。これにより、特定した測定値についての解析や検証などを確実かつ容易に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】測定システム100の構成を示す構成図である。
図2】データサーバ2の構成を示す構成図である。
図3】停止状態の測定対象Xを撮像した撮像データD3の画像の一例について説明するための説明図である。
図4】動作状態(正常負荷状態)の測定対象Xを撮像した撮像データD3の画像の一例について説明するための説明図である。
図5】動作状態(過負荷状態に近い負荷状態)の測定対象Xを撮像した撮像データD3の画像の一例について説明するための説明図である。
図6】測定対象Xの近傍において集音された音声データD4の波形Wの一例について説明するための説明図である。
図7】測定対象Xの近傍において集音された音声データD4の波形Wの他の一例について説明するための説明図である。
図8】測定対象Xが設置されている部屋の扉が閉まっている状態を撮像した撮像データD3の画像の一例について説明するための説明図である。
図9】測定対象Xが設置されている部屋の扉が開いている状態を撮像した撮像データD3の画像の一例について説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、データ処理装置、データ処理システム、測定システムおよびデータ処理用プログラムについて、添付図面を参照して説明する。
【0029】
図1に示す測定システム100は、「測定システム」の一例であって、測定器1とデータ処理システム50とを備えて構成されている。また、データ処理システム50は、「データ処理システム」の一例であって、データサーバ2、カメラ3、集音器4およびゲートウェイ5を備えて構成されている。
【0030】
この場合、本例の測定システム100では、一例として、後述するように、ゲートウェイ5が、LAN11を介して測定器1から送信される測定値データD1を、移動体通信網12およびインターネット13を介してデータサーバ2に送信することができるように構成されている。なお、図1に示す運用形態においては、ゲートウェイ5によって確立されるLAN11と、移動体通信網12およびインターネット13とが相俟って測定器1とデータサーバ2との間の通信が可能な「通信ネットワーク」が構成されると共に、インターネット13単体、または、インターネット13および移動体通信網12によってデータサーバ2と携帯端末6との間の通信が可能な「通信ネットワーク」が構成されている。
【0031】
また、上記の携帯端末6は、「第1の外部処理装置」および「第2の外部処理装置」の一例であって、移動体通信網12やインターネット13に接続可能な各種の情報処理端末(スマートフォン、タブレット端末およびパーソナルコンピュータなど)で構成されている。なお、本例では、一例として、移動体通信網12やインターネット13に接続可能なタブレット端末で構成された1台の携帯端末6を「第1の外部処理装置」や「第2の外部処理装置」として使用する例について説明するが、「第1の外部処理装置」および「第2の外部処理装置」を別個の端末で構成することもできる。また、「第1の外部処理装置」や「第2の外部処理装置」については、携帯端末6のような「携行可能な端末(携帯端末)」に限定されず、デスクトップ型のパーソナルコンピュータなどの「固定設置型の端末」を使用することもできる。
【0032】
一方、測定器1は、「測定器」の一例であって、測定対象Xについての「予め規定された被測定量」を測定する「測定処理」を実行して「測定値データ」の一例である測定値データD1を生成することができるように構成されている。この場合、測定器1によって測定する「予め規定された被測定量」としては、電流値、電圧値、抵抗値、位相、電力量、温度、湿度、歪み、輝度(光度)、照度、雨量および流量などの各種パラメータが存在し、例えば、「予め規定された被測定量」として電力量を測定するときには、測定器1が電力量計で構成される。また、測定器1は、後述するようにゲートウェイ5によって確立されるLAN11を介して測定値データD1をゲートウェイ5に送信してゲートウェイ5からデータサーバ2に送信させることができるように構成されている。
【0033】
なお、本例の測定システム100では、上記のように測定器1がゲートウェイ5を介してデータサーバ2に接続される構成が採用されているが、このような構成に代えて、インターネット13を介して測定器1をデータサーバ2に直接接続する構成を採用することもできる(図示せず)。また、本例の測定システム100では、1台の測定器1を備えて構成されているが、「測定システム」を構成する「測定器」の台数は複数台であってもよい。
【0034】
データサーバ2は、「データ処理装置」の一例であって、後述するように、測定器1からの測定値データD1を取得して記録(保存)すると共に、記録した測定値データD1を携帯端末6などに送信することができるように構成されている。具体的には、図2に示すように、データサーバ2は、通信部21、操作部22、表示部23、処理部24および記憶部25を備えている。
【0035】
通信部21は、インターネット13を介してゲートウェイ5や携帯端末6などの各種ネットワーク機器との通信が可能な通信アダプタで構成されて、処理部24の制御下で各種のデータを送受信する。操作部22は、データサーバ2の動作条件の設定などを行うための操作スイッチを備え、スイッチ操作に応じた操作信号を処理部24に出力する。表示部23は、データサーバ2の動作状態を示す表示画面などを表示する。
【0036】
処理部24は、データサーバ2を総括的に制御する。具体的には、処理部24は、「処理部」の一例であって、「データ処理用プログラム」の一例であるデータ処理用プログラムDpに従い、上記のように測定器1から測定値データD1を取得する処理や、取得した測定値データD1を携帯端末6などに送信する処理を実行する。また、処理部24は、後述するように測定器1による測定処理と並行してカメラ3によって生成される撮像データD3(「測定器による測定処理に関連する予め規定された撮像対象を測定処理時に撮像した撮像データ」の一例)や、後述するように測定器1による測定処理と並行して集音器4によって生成される音声データD4(「測定器による測定処理に関連する予め規定された集音位置において測定処理時に集音した音声データ」の一例)を取得する。
【0037】
また、処理部24は、測定値データD1の値が「予め規定された第1の条件」を満たし、かつ、取得した撮像データD3における「予め規定された判別対象画素の画素値」が「予め規定された第2の条件」を満たしたときに「第1の条件」および「第2の条件」の双方が満たされたことを報知する報知データD2(「報知データ」の一例)を生成して携帯端末6などに送信する。また、処理部24は、測定値データD1の値が「予め規定された条件A」を満たし、かつ、取得した音声データD4が「予め規定された条件B」を満たしたときに、「条件A」および「条件B」の双方が満たされたことを報知する報知データD2を生成して携帯端末6などに送信する。なお、処理部24がデータ処理用プログラムDpに従って実行する各処理については、後に具体例を挙げて詳細に説明する。
【0038】
記憶部25は、上記のデータ処理用プログラムDpを記憶すると共に、測定値データD1、報知データD2、撮像データD3および音声データD4などを記憶する。
【0039】
カメラ3は、「撮像装置」に相当し、測定器1、集音器4およびゲートウェイ5と共に測定現場に設置されてLAN11に接続されると共に、撮像処理を実行して撮像データD3を生成し、生成した撮像データD3をデータサーバ2に送信する。この場合、カメラ3による撮像処理については、測定システム100の使用目的に応じて、動画像の撮像データD3を生成する処理、および予め設定された時間間隔で静止画像の撮像データD3を順次生成する処理のいずれかを実行させることができる。集音器4は、「集音装置」の一例であって、カメラ3などと共にLAN11に接続されると共に、集音処理を実行して音声データD4を生成し、生成した音声データD4をデータサーバ2に送信する。
【0040】
ゲートウェイ5は、前述のように、測定器1、カメラ3および集音器4を接続可能なLAN11を確立する。また、ゲートウェイ5は、移動体通信網12を介してデータサーバ2などの外部処理装置との間で各種のデータを送受信することができるように構成されている。
【0041】
次に、測定システム100の使用形態の一例について説明する。
【0042】
なお、データサーバ2の設置および稼働準備(データ処理用プログラムDpのインストールやインターネット13への接続の作業など)については既に完了しているものとし、詳細な説明を省略する。また、この測定システム100の使用に際しては、データサーバ2を使用する権限を有する者のユーザ登録(認証用のIDおよびパスワードの発行)や、移動体通信網12への接続を許容するゲートウェイ5(ゲートウェイ5に装着されるsimカード等)の登録が必要であるが、「データ処理装置」、「データ処理システム」、「測定システム」および「データ処理用プログラム」に関する理解を容易とするために、これらの登録作業や、登録結果に基づく認証処理に関する説明を省略する。
【0043】
一方、一例として、電子機器の正常負荷状態における消費電力量が許容範囲内の電力量であるか否かを検査する際に本例の測定器1を使用するときには、電子機器を測定対象Xとし、消費電力量を「被測定量」として測定器1(電力量計)による測定処理を実行させると共に、測定対象Xの制御パネルにおけるインジケータを「撮像対象」としてこれをカメラ3によって撮像させ、かつ測定対象Xの動力源である電動機(負荷状態に応じて作動音が変化する要素の一例)の近傍を「測定処理に関連する予め規定された集音位置」として集音器4によって電動機の作動音を集音させる。
【0044】
具体的には、まず、測定器1、カメラ3、集音器4およびゲートウェイ5と、データサーバ2に接続可能な情報処理端末(一例として、携帯端末6)とを測定現場(測定対象Xの設置場所)に搬送すると共に、測定器1を測定対象Xの電源部や電源ラインに接続する。また、測定対象Xの制御盤における「稼働中/停止中を報知するインジケータ(以下、「稼働中インジケータ」ともいう)」および「過負荷状態を警告するインジケータ(以下、警告インジケータ)ともいう」が撮像画角内に収まるようにカメラ3を配置すると共に、測定対象Xの電動機から発せられる音を集音可能な位置に集音器4を配置する。
【0045】
この場合、本例において説明をする測定対象Xでは、一例として、停止した状態において稼働中インジケータが消灯状態となり、稼働状態において稼働中インジケータが緑色の点灯状態となる。また、この測定対象Xでは、正常負荷状態において警告インジケータが消灯状態となり、過負荷状態に近付いたときに警告インジケータが橙色の点灯状態となり、過負荷状態となったときに警告インジケータが赤色の点灯状態になる。
【0046】
次いで、測定器1、カメラ3および集音器4をゲートウェイ5(または、ゲートウェイ5に接続された図示しないスイッチングハブ等)に接続することにより、ゲートウェイ5によって確立されるLAN11にこれらを接続する。続いて、カメラ3による撮像処理、および集音器4による集音処理を開始させる。この際に、カメラ3は、測定対象Xの制御盤を撮像対象とする撮像処理を実行して撮像データD3を生成し、生成した撮像データD3をゲートウェイ5から移動体通信網12およびインターネット13を介してデータサーバ2に送信する。また、集音器4は、設置場所(測定対象Xにおける電動機の近傍)において集音処理を実行して音声データD4を生成し、生成した音声データD4をゲートウェイ5から移動体通信網12およびインターネット13を介してデータサーバ2に送信する。
【0047】
次いで、使用者が希望する情報処理端末(一例として、携帯端末6)にデータサーバ2から報知データD2を送信させる条件を設定する。具体的には、一例として、移動体通信網12およびインターネット13を介して携帯端末6をデータサーバ2に接続し、動作条件の設定画面を携帯端末6の表示部に表示させる。この設定画面には、測定システム100(データ処理システム50)を動作させるのに必要な各種の動作条件についての設定項目が表示される(図示せず)。したがって、各設定項目の中から、報知データD2を送信させる条件のうちの「画像解析に基づく報知」の設定項目(「第1の条件」および「第2の条件」のうちの「第2の条件」についての設定項目)に関する設定画面を表示させる。この際には、カメラ3によって撮像されてデータサーバ2に送信されている撮像データD3の画像が携帯端末6の表示部に表示される。
【0048】
この場合、測定現場における準備作業を開始した直後のこの時点においては、一例として、測定対象Xが停止した状態であり、稼働中インジケータおよび警告インジケータの双方が消灯状態となっている。したがって、図3に示すように、携帯端末6の表示部には、稼働中インジケータの像G1、および警告インジケータの像G2の双方が消灯状態の画像が表示される。なお、図3~5では、消灯状態のインジケータの像G1,G2を白色で表し、点灯状態の像G1,G2を斜線で表している。
【0049】
次いで、携帯端末6の操作部を操作して「第2の条件」を設定する。この場合、本例のデータサーバ2(データ処理用プログラムDp)では、撮像データD3における「判別対象画素」の画素値における明度が予め規定された「明度範囲」(「予め規定された明度範囲」の一例)に含まれているときに「第2の条件」が満たされたと判別する動作モードと、撮像データD3における「判別対象画素」の画素値における色相が予め規定された「色相範囲」(「予め規定された色相範囲」の一例)に含まれているときに「第2の条件」が満たされたと判別する動作モードとを任意に組み合わせて動作させることが可能となっている。
【0050】
一例として、測定対象Xが稼働中で、かつ負荷状態が過負荷状態に近付いたときに「第2の条件」が満たされたと判別させるときには、撮像データD3の画像における稼働中インジケータの像G1を含む判別対象領域A1、および警告インジケータの像G2を含む判別対象領域A2を設定する。なお、この例においては、撮像データD3の画像における判別対象領域A1内の画素、および判別対象領域A2内の画素が、それぞれ「判別対象画素」に相当する。
【0051】
次いで、稼働中インジケータが点灯状態であるか否かを判別可能な「画素値の明度範囲」を設定する。この場合、稼働中インジケータが消灯状態のときには、像G1を含む判別対象領域A1内の各画素の画素値における明度の平均値が小さな値(暗色に対応する値)となる。また、稼働中インジケータが点灯状態のときには、像G1を含む判別対象領域A1内の各画素の画素値における明度の平均値が大きな値(明色に対応する値)となる。したがって、測定対象Xが稼働中で稼働中インジケータが点灯状態であることを「第2の条件」の一部とする本例では、点灯状態の稼働中インジケータの像G1を含む判別対象領域A1内の各画素の画素値における明度の平均値が含まれ、かつ消灯状態の稼働中インジケータの像G1を含む判別対象領域A1内の各画素の画素値における明度の平均値が含まれない「明度範囲」を判別対象領域A1に関連付けて設定する。
【0052】
同様にして、警告インジケータが橙色の点灯状態であるか否かを判別可能な「画素値の色相範囲」を設定する。この場合、警告インジケータが消灯状態のときには、像G2を含む判別対象領域A2内の各画素の画素値における色相の平均値が灰色(消灯状態における警告インジケータの色)に対応する色相となる。また、警告インジケータが橙色の点灯状態のときには、像G2を含む判別対象領域A2内の各画素の画素値における色相の平均値が橙色に対応する色相となり、警告インジケータが赤色の点灯状態のときには、像G2を含む判別対象領域A2内の各画素の画素値における色相の平均値が赤色に対応する色相となる。したがって、測定対象Xの負荷状態が過負荷状態に近付き、警告インジケータが橙色の点灯状態であることを「第2の条件」の一部とする本例では、橙色の点灯状態の警告インジケータの像G2を含む判別対象領域A2内の各画素の画素値における色相の平均値が含まれ、かつ灰色の点灯状態、または赤色の点灯状態の警告インジケータの像G2を含む判別対象領域A2内の各画素の画素値における色相の平均値が含まれない「色相範囲」を判別対象領域A2に関連付けて設定する。
【0053】
次いで、携帯端末6の操作部を操作して、前述の各種の動作条件についての設定項目を表示させ、各設定項目の中から、報知データD2を送信させる条件のうちの「音声解析に基づく報知」の設定項目(「条件A」および「条件B」のうちの「条件B」についての設定項目)に関する設定画面を表示させる。この際には、集音器4によって集音されてデータサーバ2に送信されている音声データD4の音圧レベルの波形が携帯端末6の表示部に表示される。この場合、測定現場における準備作業を開始した直後のこの時点においては、一例として、測定対象Xが停止した状態であり、電動機等から作動音が発せられない状態、すなわち、集音器4によって集音される音声の音圧レベルが低い状態となっている。したがって、図6に示すように、表示部23には、低い音圧レベルの波形Wが表示される。なお、図6,7では、音圧レベルの高低を上下方向に対応させ、集音器4による集音処理の開始時点からの経過時間を左右方向に対応させて波形Wを表している。
【0054】
次いで、携帯端末6の操作部を操作して「条件B」を設定する。この場合、本例のデータサーバ2(データ処理用プログラムDp)では、音声データD4の音圧レベルが予め規定された音圧レベル範囲に含まれているときに「条件B」が満たされたと判別させることが可能に構成されている。したがって、測定対象Xが稼働中であって、かつその負荷状態が過負荷状態に近いときに電動機から発せられる音圧レベルが含まれ、測定対象Xが停止状態、または、過負荷状態で稼働中に電動機から発せられる音圧レベルが含まれないように音圧レベル範囲を設定する。具体的には、測定対象Xが過負荷状態に近い負荷状態で稼働中のときに集音器4によって集音される音声データD4の音圧レベルが含まれる音圧レベル範囲Lrの下限値の音圧レベルLa、および上限値の音圧レベルLbをそれぞれ設定する。
【0055】
次いで、前述の各種の動作条件についての設定項目を表示させ、各設定項目の中から、報知データD2を送信させる条件のうちの「測定値解析に基づく報知」の設定項目(「第1の条件」および「条件A」についての設定項目)に関する設定画面を表示させ、測定対象Xが過負荷状態に近い負荷状態で稼働中であると判別する消費電力量の電力量範囲を設定する。この際には、一例として、測定対象Xの設計情報に基づき、過負荷状態に近い負荷状態で稼働しているときの消費電力量が含まれる電力量範囲を設定し、この電力量範囲に含まれる電力量が測定されたときに「第1の条件」および「条件A」が満たされたと判別するように設定する。以上により、測定システム100(データ処理システム50)を使用する準備作業が完了する。
【0056】
なお、測定器1、カメラ3、集音器4およびゲートウェイ5を設置した測定現場において移動体通信網12およびインターネット13を介してデータサーバ2に接続した携帯端末6を操作して各種動作条件を設定する使用形態を例に挙げて説明したが、これらの動作条件の設定については、測定現場以外の任意の場所において実施することができる。また、携帯端末6以外の各種情報処理端末をデータサーバ2に接続して設定作業を行ったり、データサーバ2を直接操作して設定作業を行ったりすることもできる。
【0057】
次いで、測定対象Xを動作させると共に、測定器1による測定処理を開始させる。この際には、測定対象Xの消費電力量が測定器1によって測定され、その測定値を示す測定値データD1がゲートウェイ5から移動体通信網12およびインターネット13を介してデータサーバ2に逐次送信される。したがって、測定器1からの測定値データD1の送信、カメラ3からの撮像データD3の送信、および集音器4からの音声データD4の送信が正常に行われていることを確認した後に、測定現場から離れて任意の場所に移動する。
【0058】
一方、データサーバ2では、処理部24が、データ処理用プログラムDpに従い、測定器1から取得した測定値データD1、カメラ3から取得した撮像データD3、および集音器4から取得した音声データD4を記憶部25に順次記憶させる。また、処理部24は、データ処理用プログラムDpに従い、測定値データD1の値(消費電力量)が予め設定された電力量範囲内の値になったか否かの監視を開始する(「第1の条件」および「条件A」が満たされたか否かの判別)。
【0059】
また、処理部24は、データ処理用プログラムDpに従い、カメラ3から取得した撮像データD3を対象として、判別対象領域A1内の各画素の画素値における明度の平均値が予め設定された明度範囲内の値であるか否か、および判別対象領域A2内の各画素の画素値における色相の平均値が予め設定された色相範囲内の値であるか否かをそれぞれ判別する(「第2の条件」が満たされたか否かの判別)処理を開始する。また、処理部24は、データ処理用プログラムDpに従い、集音器4から取得した音声データD4を対象として、単位時間内(一例として、5秒間)の音圧レベルの平均値が予め設定された音圧レベル範囲Lr内の音圧レベルであるか否かを判別する(「条件B」が満たされたか否かの判別)処理を開始する。
【0060】
この際に、例えば、測定対象Xが極く小さな負荷状態で稼働しているときに、処理部24は、測定器1から取得した測定値データD1の値が予め設定された電力量範囲よりも低い値であり、「第1の条件」および「条件A」が満たされていないと判別する。
【0061】
また、測定対象Xが稼働状態となったときには、前述のように、稼働中インジケータが緑色の点灯状態となっている。また、測定対象Xが極く小さな負荷状態で稼働しているこの時点においては、警告インジケータが消灯状態となっている。このため、図4に示すように、カメラ3による撮像処理によって像G1が緑色で、像G2が灰色の撮像データD3が生成されてデータサーバ2に送信される。したがって、処理部24は、判別対象領域A1内の各画素の画素値における明度の平均値が予め設定された明度範囲内の値であると判別すると共に、判別対象領域A2内の各画素の画素値における色相の平均値が予め設定された色相範囲内の値ではないと判別し、これらの判別結果に基づき、「第2の条件」が満たされていないと判別する。
【0062】
また、測定対象Xが稼働状態となったときには、電動機から作動音が発せられる状態となるものの、測定対象Xが極く小さな負荷状態で稼働しているこの時点においては、その音圧レベルは小さなものとなっている。このため、集音器4による集音処理によって低い音圧レベルの音声データD4が生成されてデータサーバ2に送信される。したがって、処理部24は、単位時間内の音圧レベルの平均値が予め設定された音圧レベル範囲Lr内の音圧レベルではないと判別し、この判別結果に基づき、「条件B」が満たされていないと判別する。
【0063】
一方、稼働中の測定対象Xの負荷状態が上昇して過負荷状態に近付いたときには、その消費電力量が上昇する。この際には、上昇した消費電力量を示す測定値データD1が測定器1によって生成されてデータサーバ2に逐次送信される。また、データサーバ2では、処理部24が、データ処理用プログラムDpに従い、測定器1から取得した測定値データD1の値が予め設定された電力量範囲内の値になったか否かを判別する。この際に、処理部24は、測定器1から取得した測定値データD1の値が予め設定された電力量範囲内の値であり、「第1の条件」および「条件A」が満たされたと判別する。
【0064】
また、測定対象Xの負荷状態が過負荷状態に近付いたときには、稼働中インジケータが緑色の点灯状態のまま、警告インジケータが橙色の点灯状態となる。このため、図5に示すように、カメラ3による撮像処理によって像G1が緑色で、像G2が橙色の撮像データD3が生成されてデータサーバ2に送信される。また、データサーバ2では、処理部24が、データ処理用プログラムDpに従い、カメラ3から取得した撮像データD3を対象とする判別処理において、判別対象領域A1内の各画素の画素値における明度の平均値が予め設定された明度範囲内の値であり、かつ判別対象領域A2内の各画素の画素値における色相の平均値が予め設定された色相範囲内の値であると判別し、これらの判別結果に基づき、「第2の条件」が満たされたと判別する。
【0065】
この際に、処理部24は、「第1の条件」および「第2の条件」の双方が満たされたと判別し、一例として、予め指定された送信アドレス宛にインターネット13を介して報知データD2を送信する。この場合、本例では、一例として、「測定対象がご指定の状態となりました」等のメッセージ(使用者が設定した「第1の条件」および「第2の条件」の双方が満たされたことを報知するメッセージ)を含む電子メールを報知データD2として送信する構成が採用されている。したがって、電子メールを受信可能な携帯端末6等を携行していれば、使用者が測定現場から離れていたり、測定対象Xについての測定とは関係のない行為を行っていたりしても、データサーバ2から送信された報知データD2(電子メール)が携帯端末6に着信して上記のようなメッセージが表示されることで、使用者は、両条件が満たされたことを確実かつ容易に認識することができる。
【0066】
また、上記のように、測定対象Xの負荷状態が過負荷状態に近付いたときには、電動機から発せられる作動音の音圧レベルが大きくなる。このため、図7に示す波形Wのような音圧レベル範囲Lr内の音圧レベルの作動音が集音器4によって集音されて、そのような音声の音声データD4がデータサーバ2に送信される。また、データサーバ2では、処理部24が、データ処理用プログラムDpに従い、集音器4から取得した音声データD4を対象とする判別処理において、単位時間内の音圧レベルの平均値が予め設定された音圧レベル範囲Lr内の音圧レベルであると判別し、この判別結果に基づき、「条件B」が満たされたと判別する。
【0067】
この際に、処理部24は、「条件A」および「条件B」の双方が満たされたと判別し、予め指定された送信アドレス宛にインターネット13を介して報知データD2(本例では、電子メール)を送信する。したがって、データサーバ2から送信された報知データD2(電子メール)が携帯端末6に着信して前述したようなメッセージが表示されることで、使用者は、両条件が満たされたことを確実かつ容易に認識することができる
【0068】
なお、「第1の条件」および「第2の条件」の双方が満たされたときにデータサーバ2から携帯端末6に報知データD2が送信される際の動作と、「条件A」および「条件B」の双方が満たされたときにデータサーバ2から携帯端末6に報知データD2が送信される際の動作とを別個に説明したが、カメラ3による撮像処理が正常に行われ、かつ集音器4による集音処理が正常に行われたときには、「第1の条件」および「第2の条件」と、「条件A」および「条件B」とがほぼ同時に満たされることとなる。したがって、処理部24は、「第1の条件」および「第2の条件」の双方が満たされたと判別した時点、および「条件A」および「条件B」の双方が満たされたと判別した時点のいずれか早い一方の時点において、前述のように報知データD2を送信する。
【0069】
また、データサーバ2から送信された報知データD2に基づくメッセージを見た使用者は、一例として、携帯端末6等を使用して、データサーバ2に記録されている上記の各データD1,D3,D4を任意のタイミングでデータサーバ2からダウンロードする(データサーバ2から携帯端末6への測定値データD1等の送信)。これにより、データサーバ2に記録されているすべての測定値データD1を対象として条件を満たす測定値が測定されたか否かを確認する煩雑な作業を行うことなく、ダウンロードした測定値データD1、すなわち、報知データD2が送信される条件が満たされていることが確実な測定値データD1に基づき、測定対象Xの消費電力量の推移を確認し、撮像データD3に基づき、制御盤における各インジケータの点灯状態を確認し、かつ音声データD4に基づき、電動機の作動音の推移を確認することができる。
【0070】
このように、このデータサーバ2では、測定器1によって生成された測定値データD1を取得すると共に、通信ネットワーク(インターネット13単体、または、移動体通信網12、インターネット13で構成されるネットワーク)に接続された携帯端末6等に対して測定値データD1を送信する処理部24を備え、処理部24が、測定器1による測定処理に関連する予め規定された「撮像対象」を測定処理時に撮像した撮像データD3を取得すると共に、測定器1によって生成された測定値データD1の値が予め規定された「第1の条件」を満たし、かつ、取得した撮像データD3における予め規定された「判別対象画素」の画素値が予め規定された「第2の条件」を満たしたときに、「第1の条件」および「第2の条件」の双方が満たされたことを報知する報知データD2(一例として、電子メール)を通信ネットワークに接続された携帯端末6に送信する。また、このデータ処理システム50では、上記のようなデータサーバ2とカメラ3とを備えて構成されている。また、この測定システム100では、上記のようなデータ処理システム50と測定器1とを備えて構成されている。また、このデータ処理用プログラムDpは、上記の各処理をデータサーバ2の処理部24に実行させる。
【0071】
したがって、このデータサーバ2、データ処理システム50、測定システム100およびデータ処理用プログラムDpによれば、測定値データD1についての「第1の条件」と共に、測定器1や測定対象Xの状態が予め規定された条件を満たしている状態であると特定可能な「第2の条件」を予め規定しておくことで、両条件が満たされたときにデータサーバ2から報知データD2が送信されるため、測定値データD1の値の確認作業や、撮像データD3の画像の確認作業を行わなくても、測定値データD1の各測定値の中から、測定器1や測定対象Xの状態が予め規定された条件を満たしている状態において測定された所望の測定値を確実かつ容易に特定することができる。これにより、このデータサーバ2、データ処理システム50、測定システム100およびデータ処理用プログラムDpによれば、特定した測定値についての解析や検証などを確実かつ容易に実施することができる。
【0072】
また、このデータサーバ2では、処理部24が、撮像データD3における「判別対象画素」の画素値における明度が予め規定された「明度範囲」に含まれているときに「第2の条件」が満たされたと判別する。したがって、このデータサーバ2、データ処理システム50、測定システム100およびデータ処理用プログラムDpによれば、任意の撮像対象が明るいとき、または暗いときに、「第2の条件」が満たされたと判別させることができるため、明/暗に応じて所望の条件が満たされた/満たされていないと判別させるような用途において、報知データD2を確実かつ容易に送信させることができる。
【0073】
また、このデータサーバ2では、処理部24が、撮像データD3における「判別対象画素」の画素値における色相が予め規定された「色相範囲」に含まれているときに「第2の条件」が満たされたと判別する。したがって、このデータサーバ2、データ処理システム50、測定システム100およびデータ処理用プログラムDpによれば、任意の撮像対象の色が所望の色相範囲内のとき、または所望の色相範囲外のときに、「第2の条件」が満たされたと判別させることができるため、色の相違に応じて所望の条件が満たされた/満たされていないと判別させるような用途において、報知データD2を確実かつ容易に送信させることができる。
【0074】
また、本発明に係るデータサーバ2では、測定器1によって生成された測定値データD1を取得すると共に、通信ネットワーク(インターネット13単体、または、移動体通信網12、インターネット13で構成されるネットワーク)に接続された携帯端末6等に対して測定値データD1を送信する処理部24を備え、処理部24が、測定器1による測定処理に関連する予め規定された「集音位置」において測定処理時に集音した音声データD4を取得すると共に、測定器1によって生成された測定値データD1の値が予め規定された「条件A」を満たし、かつ、取得した音声データD4が予め規定された「条件B」を満たしたときに、「条件A」および「条件B」の双方が満たされたことを報知する報知データD2(一例として、電子メール)を通信ネットワークに接続された携帯端末6に送信する。また、本発明に係るデータ処理システム50では、上記のようなデータサーバ2と集音器4とを備えて構成されている。また、本発明に係る測定システム100では、上記のようなデータ処理システム50と測定器1とを備えて構成されている。また、本発明に係るデータ処理用プログラムDpは、上記の各処理をデータサーバ2の処理部24に実行させる。
【0075】
したがって、このデータサーバ2、データ処理システム50、測定システム100およびデータ処理用プログラムDpによれば、測定値データD1についての条件Aと共に、測定器1や測定対象Xの状態が予め規定された条件を満たしている状態であると特定可能な「条件B」を予め規定しておくことで、両条件が満たされたときにデータサーバ2から報知データD2が送信されるため、測定値データD1の値の確認作業や、音声データD4の音声の確認作業を行わなくても、測定値データD1の各測定値の中から、測定器1や測定対象Xの状態が予め規定された条件を満たしている状態において測定された所望の測定値を確実かつ容易に特定することができる。これにより、このデータサーバ2、データ処理システム50、測定システム100およびデータ処理用プログラムDpによれば、特定した測定値についての解析や検証などを確実かつ容易に実施することができる。
【0076】
また、本発明に係るデータサーバ2では、処理部24が、音声データD4の音圧レベルが予め規定された音圧レベル範囲Lrに含まれているときに「条件B」が満たされたと判別する。したがって、このデータサーバ2、データ処理システム50、測定システム100およびデータ処理用プログラムDpによれば、集音位置で集音される音声の音圧レベルが低いとき、または高いときに、「条件B」が満たされたと判別させることができるため、音圧レベルに応じて所望の条件が満たされた/満たされていないと判別させるような用途において、報知データD2を確実かつ容易に送信させることができる。
【0077】
また、本発明に係るデータサーバ2では、処理部24が、「第2の条件」が満たされたと判別した撮像データD3を携帯端末6などに送信する。したがって、このデータサーバ2、データ処理システム50、測定システム100およびデータ処理用プログラムDpによれば、データサーバ2に送信された撮像データD3を取得することで、携帯端末6などによって「第2の条件」が満たされたと判別された撮像対象の状態を撮像データD3の画像に基づいて確実かつ容易に確認することができる。
【0078】
また、本発明に係るデータサーバ2では、処理部24が、「第2の条件」が満たされたと判別した音声データD4を携帯端末6などに送信する。したがって、このデータサーバ2、データ処理システム50、測定システム100およびデータ処理用プログラムDpによれば、データサーバ2に送信された音声データD4を取得することで、携帯端末6などによって「条件B」が満たされたと判別された集音位置の音声の音圧レベルを音声データD4に基づいて確実かつ容易に確認することができる。
【0079】
なお、「データ処理装置」、「データ処理システム」および「測定システム」の構成や、「データ処理用プログラム」の内容は、上記のデータサーバ2、データ処理システム50および測定システム100の構成や、データ処理用プログラムDpの内容の例に限定されない。
【0080】
例えば、上記のデータサーバ2(データ処理用プログラムDp)の使用例では、測定対象Xの制御盤に配設された稼働中インジケータが点灯状態であることをデータサーバ2から報知データD2を送信させる条件の1つとするために撮像データD3の画像における稼働中インジケータの像G1を含む判別対象領域A1内の各画素の画素値における明度の平均値が予め規定された明度範囲内の値であるか否かを判別させると共に、警告インジケータが橙色の点灯状態であることをデータサーバ2から報知データD2を送信させる条件の他の1つとするために撮像データD3の画像における警告インジケータの像G2を含む判別対象領域A2内の各画素の画素値における色相の平均値が予め規定された色相範囲内の値であるか否かを判別させている。
【0081】
このような使用方法に代えて、例えば、測定対象Xが設置されている部屋の照明が点灯状態であること、または、照明が消灯状態であることをデータサーバ2から報知データD2を送信させる条件の1つとするときには、照明器具自体、または、照明器具の点灯/消灯によって明/暗が大きく変化する部位(壁面や床面など)を撮像対象としてカメラ3に撮像させる。この際には、カメラ3から送信される撮像データD3の画像における予め規定された「判別対象画素」の画素値における明度の平均値が予め規定された明度範囲内の値であるか否かを判別させたり、カメラ3から送信される撮像データD3の画像における予め規定された「判別対象画素」の画素値における色相の平均値が予め規定された色相範囲内の値であるか否かを判別させたりすることで、測定対象Xが設置されている部屋の照明が点灯状態であるとき、または、照明が消灯状態であるときに「第2の条件」が満たされたと判別させることができる。
【0082】
また、例えば、測定対象Xが設置されている部屋に設置されている扉が開いていること、または、閉じていることをデータサーバ2から報知データD2を送信させる条件の1つとするときには、図8,9に示すように、扉が設置されている壁面を撮像対象としてカメラ3に撮像させる。この際には、扉が閉じている状態でカメラ3によって撮像された撮像データD3の画像G3(図8参照)と、扉が開いた状態でカメラ3によって撮像された撮像データD3の画像G3a(図9参照)とで明度や色相が大きく変化する画素の判別対象領域A3、または判別対象領域A4を設定し、判別対象領域A3,A4内の各画素の画素値における明度の平均値が予め規定された「明度範囲」内の明度であるか否かや、判別対象領域A3,A4内の各画素の画素値における色相の平均値が予め規定された「色相範囲」内の色相であるか否かを判別させることで、測定対象Xが設置されている部屋の扉が開いているとき、または閉じているときに「第2の条件」が満たされたと判別させることができる。
【0083】
また、上記のデータサーバ2(データ処理用プログラムDp)の使用例では、測定対象Xの電動機から発せられる作動音の音圧レベルが音圧レベル範囲Lrに含まれるレベルであることをデータサーバ2から報知データD2を送信させる条件の1つとしたが、このような構成・手順に代えて、集音器4によって集音された音声の単位時間内の変化率(単位時間内の音圧レベルの最小値および最大値)が予め規定された変化率のときに「条件B」が満たされたと判別させたり、集音器4によって集音された音声の周波数成分の分布状態が予め規定された分布状態のときに「条件B」が満たされたと判別させたりすることができる。
【0084】
また、「第1の条件」および「第2の条件」の双方が満たされたとき、並びに「条件A」および「条件B」の双方が満たされたときに、データサーバ2から携帯端末6等に報知データD2を送信し、受信した報知データD2を見た使用者が任意のタイミングで測定値データD1等をダウンロードして参照する使用形態について説明したが、報知データD2に加えて、測定値データD1や、撮像データD3および音声データD4についても自動的にデータサーバ2から携帯端末6などに送信する構成を採用することができる。
【0085】
この場合、一例として、携帯端末6等に対する報知データD2の送信に合わせて、「第1の条件」および「第2の条件」の双方が満たされた時点を含む予め指定された時間内の測定値データD1および撮像データD3だけをデータサーバ2などの外部処理装置に送信させたり、「条件A」および「条件B」の双方が満たされた時点を含む予め指定された時間内の測定値データD1および音声データD4だけをデータサーバ2などの外部処理装置に送信させたりすることで、すべての測定値データD1、すべての撮像データD3およびすべての音声データD4をデータサーバ2から携帯端末6等に送信する構成と比較して、データサーバ2から携帯端末6等に送信するデータ量を低減することができる。また、そのような送信方法で送信する構成を採用することで、携帯端末6等に送信された測定値データD1、撮像データD3および音声データD4の中から所望のデータ(設定して条件を満たすデータ)を短時間で容易に特定することができる。
【0086】
また、予め指定された送信アドレス宛の電子メールの形式でデータサーバ2から「第2の外部処理装置」としての携帯端末6などに報知データD2を送信する構成を例に挙げて説明したが、報知データD2のデータ形式はこれに限定されず、予め指定された電話番号宛てのSMS(Short Message Service)や、予め指定されたアカウント宛てのSNS(Social Networking Service)メッセージの形式で「報知データ」を送信する構成を採用することもできる。また、「第1の外部処理装置」および「第2の外部処理装置」として使用するスマートフォン、タブレット端末およびパーソナルコンピュータなどに、「データ処理システム(測定システム)」用のアプリケーションソフトをインストールしておき、このアプリケーションソフトによって「報知データ」を受信して任意のメッセージ(条件が満たされたことを報知する情報)を表示させたり、「測定値データ」の解析などを行ったりする構成を採用することもできる。
【0087】
また、1台の携帯端末6を「第1の外部処理装置」および「第2の外部処理装置」として使用する(測定値データD1や報知データD2を同一の装置に送信する)使用形態を例に挙げて説明したが、「第1の外部処理装置」および「第2の外部処理装置」としてそれぞれ別個の処理装置を使用することもできる。また、「第1の外部処理装置」および「第2の外部処理装置」が1台の装置であるか別個の装置であるかを問わず、「第1の外部処理装置」に「測定値データ」等を送信する「通信ネットワーク(第1の通信ネットワーク)」と、「第2の外部処理装置」に「報知データ」等を送信する「通信ネットワーク(第2の通信ネットワーク)」とを別個に用意してこれを使用することもできる。
【0088】
また、測定器1、カメラ3および集音器4などが設置されている測定現場とは異なる場所(測定現場の遠隔地)に設置したデータサーバ2を「データ処理装置」として機能させるデータ処理システム50および測定システム100の構成を例に挙げて説明したが、「データ処理装置」を測定器1等と共に測定現場に設置して測定値データD1や報知データD2などを送信させる構成を採用することもできる。また、「撮像装置」や「集音装置」については、「データ処理装置」とは別体の機器で構成されたものに限定されず、「データ処理装置」の構成機器として備えることもできる。
【符号の説明】
【0089】
100 測定システム
50 データ処理システム
1 測定器
2 データサーバ
3 カメラ
4 集音器
5 ゲートウェイ
6 携帯端末
11 LAN
12 移動体通信網
13 インターネット
21 通信部
22 操作部
23 表示部
24 処理部
25 記憶部
A1~A4 判別対象領域
D1 測定値データ
D2 報知データ
D3 撮像データ
D4 音声データ
Dp データ処理用プログラム
G1~G3,G3a 像
La,Lb 音圧レベル
Lr 音圧レベル範囲
W 波形
X 測定対象
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9