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▶ マイクロメトリックステクノロジーズプライベイトリミティッドの特許一覧

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  • 特開-指紋認証装置 図1
  • 特開-指紋認証装置 図2
  • 特開-指紋認証装置 図3
  • 特開-指紋認証装置 図4
  • 特開-指紋認証装置 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166080
(43)【公開日】2023-11-21
(54)【発明の名称】指紋認証装置
(51)【国際特許分類】
   G06V 40/13 20220101AFI20231114BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20231114BHJP
【FI】
G06V40/13
G06T7/00 530
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022076844
(22)【出願日】2022-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】518228792
【氏名又は名称】マイクロメトリックステクノロジーズプライベイトリミティッド
(74)【代理人】
【識別番号】100096792
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 八郎
(72)【発明者】
【氏名】石部 博史
【テーマコード(参考)】
5B043
【Fターム(参考)】
5B043BA02
5B043DA05
(57)【要約】
【課題】確実に個人認証が可能な指紋認証装置を提供する。
【解決手段】指紋認証装置10は、指を載置する導光板で構成されたガラス11と、ガラス11の下面に設けられた接写撮像レンズ18となる、カメラレンズ20と中間リング21との組と、接写撮像レンズ18の下面に設けられたイメージセンサ25と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
指を載置する導光板で構成されたガラスと、
前記ガラスの下面に設けられた接写撮像レンズと、
前記接写撮像レンズの下面に設けられたイメージセンサと、
を含む、指紋認証装置
【請求項2】
前記接写撮像レンズは接写リングを含む、請求項1に記載の指紋認証装置。
【請求項3】
前記接写撮像レンズはクローズアップレンズを含む、請求項1に記載の指紋認証装置。
【請求項4】
前記接写撮像レンズはマクロレンズを含む、請求項1に記載の指紋認証装置。
【請求項5】
前記ガラスはPETを含む、請求項1~4のいずれかに記載の指紋認証装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は指紋認証装置に関し、特に、解像度が高く、汗孔認証を有する指紋認証装置に関する。
【背景技術】
【0002】
PCや携帯電話のログインには、指紋認証装置が使われており、指紋認証装置は、開発されてから十数年が経過している。PCや携帯電話のログインには指紋認証以外にも最近は、顔認証などが出現している。
【0003】
一方で、指紋認証の可能な、導光板を用いた指紋認証の機能を有する表示装置が、例えば特開2022-19564号公報(特許文献1)に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-19564号公報(要約等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のPCや携帯電話のログインに使用される指紋認証装置や、表示装置は上記のように構成されていた。しかしながら、現実には、既存の指紋認証装置によるログインは容易ではなく、金融決済などの高いセキュリティーが必要な用途には認証率や偽造指対策の点から不十分であり、確実な個人認証の達成に至っていないという問題があった。
この発明は上記した問題点に鑑みてなされたもので、確実に個人認証が可能な指紋認証装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る指紋認証装置は、指を載置する導光板で構成されたガラスと、ガラスの下面に設けられ、ガラス上の指の指紋を接写して撮像する接写撮像レンズと、接写撮像レンズの下面に設けられ、接写撮像レンズで撮像された指紋の画像を検出するイメージセンサと、を含む。
【0007】
好ましくは、接写撮像レンズは接写リングを含む。
【0008】
接写撮像レンズは、クローズアップレンズであってもよい。
【0009】
接写撮像レンズは、マクロレンズであってもよい。
【0010】
この発明の一実施の形態によれば、ガラスはPETを含む。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、指を載置するガラスを導光板とすることで、指紋の隆線が導光板の反射ドットとして作用して隆線の部分の光を検出できるとともに、ガラス上の指の指紋を接写して撮像する接写撮像レンズを用いて指紋を接写して撮像するため、指紋の隆線だけで無く、隆線の上に位置する汗孔も検出可能になる。すなわち、隆線と汗孔の両方を検出して個人の認証が可能になる。
その結果、確実な個人認証が可能な指紋認証装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】この発明の一実施の形態に係る指紋認証装置の模式的な断面図である。
図2】指紋認証装置で撮像された画像を示す図である。
図3】この発明の他の実施の形態に係る指紋認証装置の模式的な断面図である。
図4】この発明のさらに他の実施の形態に係る指紋認証装置の模式的な断面図である。
図5図1の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、この発明の一実施の形態に係る指紋認証装置の概略断面図である。図1を参照して、指紋認証装置10は、指を載置するガラス11と、ガラス11の下部に設けられた筐体15とを含み、ガラス11は、導光板で構成され、その一方側端部にはLED12が設けられており、LED12はLEDカバー13でカバーされている。
【0014】
この実施の形態においては、指を載置するガラス11を導光板で構成したため、導光板に設けられた光を取り出す部分として指紋の隆線が作用して、指紋の隆線をはっきり検出できる。
【0015】
筐体15には、ガラス11上に載置された指の指紋を撮像するための、接写撮像レンズ18と、接写撮像レンズ18の下面に設けられ、接写撮像レンズ18で撮像され、接写された指紋の画像を受光するイメージセンサ25と、が設けられる。この実施の形態においては、接写撮像レンズ18は、カメラレンズ20と、カメラレンズ20の下面に設けられた中間リング(接写レンズ)21と、を含む。ここでは、カメラレンズ20と中間リング21とイメージセンサ25とがカメラレンズ20の光軸に沿って設けられている。
【0016】
なお、イメージセンサ25は、カメラコントロールIC26を経由してUSBインターフェイス27に接続されている。ここで、カメラコントロールIC26は、指の映像信号を作るためのものであり、USBインターフェイス27は、PCとUSBインターフェイスで接続するためのものである。
【0017】
この実施の形態においては、接写撮像レンズ18を構成する中間リング21は接写リングであるので、指紋の隆線を接写してその画像をイメージセンサ25に高解像度で投影することができる。その結果、指紋の隆線だけでなく、隆線の上にある汗孔(汗孔とは指紋の隆線の上にある汗が出る孔)も撮像できる。
【0018】
その結果、従来行なわれてきた隆線による認証だけでなく、汗孔を用いた汗孔認証も可能になり、小さな汗孔まで作れない偽造指対策も可能になる。すなわち、汗孔認証では、人により、汗孔が隆線の上の並び方、大きさ、さらに数に特徴があるため、汗孔のみを取り出すことにより、汗孔により個人を認証することも可能になる。
【0019】
図2は、図1に示した指紋認証装置10の拡大撮像映像である、カメラレンズ20と中間リング21とによって撮像され、イメージセンサ25上に投影された指紋を示す図である。図2を参照して、そこには、指紋の隆線30と、隆線30の上に位置する汗孔31とがはっきりと表示されている。
【0020】
ここで、写される指の面積は概ね13mm×10mmでその指の映像がイメージセンサ25上の3.7mm×2.8mmの大きさに写る。したがって、映像は約1/3.5に縮小したものである。ただ、イメージセンサ25の1画素の大きさが1.2μmと小さいため、指上の1画素が4.2μmとなり、非常に高精細な指の映像が撮れ、図示の無い、イメージセンサ25の表示装置上では拡大したように見える。
【0021】
次に、この実施の形態におけるカメラレンズ等の解像度について説明する。一般に、隆線30と汗孔31の寸法は、隆線の幅を概ね150μmから200μmとすると、汗孔31の大きさは数十ミクロンから100μくらいである。したがって、汗孔を31認証するためには、数十ミクロンを識別できる解像度が必要である。
【0022】
これに対して、従来から使われている静電容量型指紋センサは1画素が約50μm以上あり、隆線のみなら可能であるが、汗孔を認識することは難しい。
また、隆線30による認証と、汗孔31による認証を別々に行わなくとも、隆線30の上に汗孔31が存在するそのものの映像を個人の特徴とみなしてパターン認識する事により、隆線30と汗孔31で個人を特定する情報量が増え、より認証率の高い指紋認証が可能となる。
【0023】
さらに、指紋認証における認証率の向上には認証する指紋面の大きさも関係する。指紋認証センサで取り込む指紋面の大きさが大きいほど、その個人の情報量が増えるために、本発明では撮像する指の大きさを可変することによって認証率は向上する。静電容量式等では指とセンサが密着して認証するため、静電容量式センサの大きさが認証する指紋面の大きさとなり、固定される。
【0024】
この実施の形態においては、指をガラスの上に置いて、レンズが隆線や汗孔をイメージセンサ上に結像するため、認証する指紋面は任意に大きくとれる。
このように、この実施の形態においては、指紋の隆線30だけでなく、汗孔31の位置やその数等も認識できるため、確実に個人の識別が可能になる。
【0025】
ここで、参考までに、カメラレンズ等の仕様は、一例として、次のものが使用できる。
LS1820でM12マウント用である。
【0026】
また、イメージセンサ25は、SONYIMX219 カラー8MPixel
3.674×2.76mm 1/4inch
3280×2464アクティブPixelであり、
Pixelサイズは1.12×1.12μmである。
【0027】
次に、この発明の他の実施の形態について説明する。図3は、この実施の形態における接写撮像レンズ18の構成を示す図である。図3を参照して、この実施の形態においても基本的には、先の実施の形態と同様の構成であるが、接写撮像レンズ18の構成が異なる。すなわち、この実施の形態においては、接写撮像レンズ18は、クローズアップレンズ22とカメラレンズ20とを含む。ここで、クローズアップレンズ22は、近接撮像するためのレンズであり、カメラレンズ20との組合せで先の実施の形態と同様の解像度の高い画像が得られる。
【0028】
なお、ここでは図示を省略しているが、ここでもイメージセンサ25は、カメラコントロールIC26を経由してUSBインターフェイス27に接続されている。
【0029】
次に、この発明のさらに他の実施の形態について説明する。図4は、この実施の形態における接写撮像レンズ18の構成を示す図である。図3を参照して、この実施の形態においても、基本的には、上記の実施の形態と同様であるが、接写撮像レンズ18の構成が異なる。すなわち、この実施の形態においては、接写撮像レンズ18は、カメラレンズとしてマクロレンズ23を含む。ここで、マイクロレンズ23は、普通のカメラレンズでありながら、最短撮影距離が短いレンズである。
【0030】
なお、ここでも図示を省略しているが、ここでもイメージセンサ25は、カメラコントロールIC26を経由してUSBインターフェイス27に接続されている。
【0031】
次に、この発明のさらに他の実施の形態について説明する。この実施の形態においては、これまでの実施の形態のように、接写撮像レンズ18の構成を変えるのではなく、ガラス11の上に、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂のフィルムを設ける点が異なる。図5は、この実施の形態を説明するための図である。図5を参照して、この実施の形態においては、図1に示した実施の形態における構成において、ガラス11の上の指が載置される部分にPET樹脂のフィルム28が設けられる。
【0032】
PET樹脂のフィルム28は、粘着性を有し、指をしっかりとガラス11に密着させることができる。したがって、ガラス11の上にPET樹脂のフィルム28を設けることで、指紋を接写撮像レンズ18の光軸に向けて適切に配置することができるとともに、指紋の隆線がガラスに密着しにくい乾燥指に対しても密着度を上げてきれいな隆線と汗孔を撮影することができる。
なお、ここでは図示を省略しているが、ここでもイメージセンサ25は、カメラコントロールIC26を経由してUSBインターフェイス27に接続されている。
【0033】
以上のように、この実施の形態よれば、指紋認証装置において、汗孔認証と隆線認証とを行ない、組み合わせて認証することにより指紋認証の認証率が向上する。
なお、上記実施の形態においては、汗孔認証と隆線認証とを行ない、組み合わせて認証する場合について説明したが、これに限らず、汗孔のみを用いて認証を行っても良い。
【0034】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示する実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0035】
この発明による指紋認証装置は、確実な個人認証が可能なため、指紋認証装置として有利に利用される。
【符号の説明】
【0036】
10 指紋認証装置、11 ガラス、12 LED、13 LEDカバー、15 筐体、18 接写撮像レンズ、20 カメラレンズ、21 中間リング(接写レンズ)、22 クローズアップレンズ、23 マイクロレンズ、25 イメージセンサ、26 カメラコントロールIC、27 USB、28 PET樹脂のフィルム、30 隆線、31 汗孔。
図1
図2
図3
図4
図5