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2023-166082中古車両情報処理装置、中古車両情報処理方法およびプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166082
(43)【公開日】2023-11-21
(54)【発明の名称】中古車両情報処理装置、中古車両情報処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0601 20230101AFI20231114BHJP
【FI】
G06Q30/06 312
G06Q30/06 322
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022076847
(22)【出願日】2022-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 政智
(72)【発明者】
【氏名】藤▲崎▼ 朋子
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB53
5L049BB55
(57)【要約】
【課題】中古車両の劣化状態を適切に把握することができる中古車両情報処理装置、中古車両情報処理方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】中古車両情報処理装置は、中古車両の仕様に関する情報である仕様情報と、中古車両の使用に関する情報である使用情報とを含む中古車両情報を取得する取得部と、中古車両情報を説明変数として当該中古車両の劣化度を推定する劣化度推定部と、推定された劣化度を中古車両の買い手側へ提示する提示部と、を備える。
【選択図】図23
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中古車両の仕様に関する情報である仕様情報と、前記中古車両の使用に関する情報である使用情報とを含む中古車両情報を取得する取得部と、
前記中古車両情報を説明変数として当該中古車両の劣化度を推定する劣化度推定部と、
推定された前記劣化度を前記中古車両の買い手側へ提示する提示部と、
を備える中古車両情報処理装置。
【請求項2】
前記劣化度に基づき、当該中古車両に適したメンテナンスの候補とそのメンテナンスに要するコストとを推定するメンテナンス推定部をさらに備え、
前記提示部は、推定された前記劣化度と前記候補と前記コストとを前記買い手側へ提示する
請求項1に記載の中古車両情報処理装置。
【請求項3】
前記提示部は、推定された前記劣化度を前記中古車両の売り手側へも提示する
請求項2に記載の中古車両情報処理装置。
【請求項4】
前記使用情報の内容に欠落がある場合、前記使用情報の欠落していない他の内容を説明変数として当該欠落した内容を推定する中古車両情報推定部を、
さらに備える請求項1~3のいずれか1項に記載の中古車両情報処理装置。
【請求項5】
前記中古車両は原動機と走行装置と作業装置とを備えていて、
前記劣化度推定部は、前記原動機の所定の構成要素毎、前記走行装置の所定の構成要素毎、および、前記作業装置の所定の構成要素毎に、前記劣化度を推定する
請求項4に記載の中古車両情報処理装置。
【請求項6】
前記劣化度推定部は、前記原動機と前記走行装置と前記作業装置に対して異なる重み付けを設定して、前記劣化度を推定する
請求項5に記載の中古車両情報処理装置。
【請求項7】
中古車両の仕様に関する情報である仕様情報と、前記中古車両の使用に関する情報である使用情報とを含む中古車両情報を取得するステップと、
前記中古車両情報を説明変数として当該中古車両の劣化度を推定するステップと、
推定された前記劣化度を前記中古車両の買い手側へ提示するステップと、
を含む中古車両情報処理方法。
【請求項8】
中古車両の仕様に関する情報である仕様情報と、前記中古車両の使用に関する情報である使用情報とを含む中古車両情報を取得するステップと、
前記中古車両情報を説明変数として当該中古車両の劣化度を推定するステップと、
推定された前記劣化度を前記中古車両の買い手側へ提示するステップと、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、中古車両情報処理装置、中古車両情報処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には次のような車両自動査定システムが記載されている。特許文献1に記載されている車両自動査定システムでは、まず、査定対象車両の車両情報のうち車種等の車両基本情報が一致するオークション成約結果情報が複数、選択される。次にオークション成約結果情報に含まれる成約価格からその平均値が算出される。次に、各成約価格と平均値とが比較され、平均値から一番外れた成約価格が許容値の範囲外である場合にその成約価格が外される。次に、新たなオークション成約結果情報が補充され、平均値が再演算され、各成約価格と平均値との差が許容値の範囲内になった場合に、その平均値が査定対象車両の査定値とされる。
【0003】
なお、特許文献1では、車両情報として、車種名、グレード、エンジン形式名、年式、シフト(形式)、ドア(形式)、走行距離、カラー、車検(日)、評価(点)、エアコン、サンルーフ、レザー、マルチ等のオプション等が挙げられている。ここで、評価点は、その車両の外観および内装の汚れの程度などを総合的な評価として示す数値である。特許文献1において、評価点は、例えば1~10までの値で0.5刻みで付けられる。また、特許文献1において、評価点は、通常は車両の外観や内装の状態の程度に応じて相対的に評価されるものであるが、1~10の段階評価で0.5刻みにして、通常の評価点は4.5が最も多いとされている。そのため、デフォルトでは4.5に設定されており、素人ユーザによる判断が困難である場合は、デフォルトのままにされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3738160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、自家用乗用車の中古車は、車種、形式、製造年、累積走行距離を確認できればメンテナンスすべき部位がおおよそ予想可能である場合が多い。一方、例えば業務用の車両は使われ方が千差万別で、それぞれの劣化状態が異なるため、例えばメンテナンスすべき部位を特定することが難しい。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の車両自動査定システムでは、使われ方を表す情報が専ら走行距離であるため、例えば買い手側で車両の劣化状態を適切に把握することが難しい場合があるという課題があった。
【0007】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、中古車両の劣化状態を適切に把握することができる中古車両情報処理装置、中古車両情報処理方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本開示に係る中古車両情報処理装置は、中古車両の仕様に関する情報である仕様情報と、前記中古車両の使用に関する情報である使用情報とを含む中古車両情報を取得する取得部と、前記中古車両情報を説明変数として当該中古車両の劣化度を推定する劣化度推定部と、推定された前記劣化度を前記中古車両の買い手側へ提示する提示部と、を備える。
【0009】
本開示に係る中古車両情報処理方法は、中古車両の仕様に関する情報である仕様情報と、前記中古車両の使用に関する情報である使用情報とを含む中古車両情報を取得するステップと、前記中古車両情報を説明変数として当該中古車両の劣化度を推定するステップと、推定された前記劣化度を前記中古車両の買い手側へ提示するステップと、を含む。
【0010】
本開示に係るプログラムは、中古車両の仕様に関する情報である仕様情報と、前記中古車両の使用に関する情報である使用情報とを含む中古車両情報を取得するステップと、前記中古車両情報を説明変数として当該中古車両の劣化度を推定するステップと、推定された前記劣化度を前記中古車両の買い手側へ提示するステップと、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本開示の中古車両情報処理装置、中古車両情報処理方法およびプログラムによれば、中古車両の劣化状態を適切に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の第1実施形態に係る中古車両情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
図2】本開示の実施形態に係る中古車両ラベル情報の例を示す模式図である。
図3】本開示の実施形態に係る中古車両情報DBの構成例を示す模式図である。
図4】本開示の実施形態に係る購入・販売実績DBの構成例を示す模式図である。
図5】本開示の実施形態に係るメンテナンス実績DBの構成例を示す模式図である。
図6】本開示の実施形態に係るメンテナンスコスト実績DBの構成例を示す模式図である。
図7】本開示の実施形態に係る中古度の例を示す模式図である。
図8】本開示の実施形態に係る中古度の例を示す模式図である。
図9】本開示の実施形態に係るメンテナンスメニューの表示例を示す模式図である。
図10】本開示の実施形態に係るメンテナンスメニューの表示例を示す模式図である。
図11】本開示の第1実施形態に係る中古車両情報処理装置の動作例を示すフローチャートである。
図12】本開示の第1実施形態に係る中古車両情報処理装置の動作例を示す図である。
図13】本開示の第1実施形態に係る中古車両情報処理装置の動作例を示す図である。
図14】本開示の第1実施形態に係る中古車両情報処理装置の動作例を示す図である。
図15】本開示の第1実施形態に係る中古車両情報処理装置の動作例を示す図である。
図16】本開示の第1実施形態に係る中古車両情報処理装置の動作例を示す図である。
図17】本開示の第1実施形態に係る中古車両情報処理装置の動作例を示す図である。
図18】本開示の第1実施形態に係る中古車両情報処理装置の動作例を示す図である。
図19】本開示の第1実施形態に係る中古車両情報処理装置の他の動作例を示すフローチャートである。
図20】本開示の第2実施形態に係る中古車両情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
図21】本開示の第2実施形態に係る中古車両情報処理装置の動作例を示すフローチャートである。
図22】本開示の第2実施形態に係る中古車両情報処理装置の動作例を説明するための模式図である。
図23】本開示の実施形態に係る中古車両情報処理装置の基本的構成例を示すブロック図である。
図24】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施形態に係る中古車両情報処理装置、中古車両情報処理方法およびプログラムについて図面を参照して説明する。なお、各図において同一または対応する構成には同一の符号を用いて説明を適宜省略する。
【0014】
<第1実施形態>
以下、本開示の第1実施形態に係る中古車両情報処理装置、中古車両情報処理方法およびプログラムついて、図1図19を参照して説明する。図1は、本開示の第1実施形態に係る中古車両情報処理装置の構成例を示すブロック図である。図2は、本開示の実施形態に係る中古車両ラベル情報の例を示す模式図である。図3は、本開示の実施形態に係る中古車両情報DB(データベース)の構成例を示す模式図である。図4は、本開示の実施形態に係る購入・販売実績DBの構成例を示す模式図である。図5は、本開示の実施形態に係るメンテナンス実績DBの構成例を示す模式図である。図6は、本開示の実施形態に係るメンテナンスコスト実績DBの構成例を示す模式図である。図7および図8は、本開示の実施形態に係る中古度の例を示す模式図である。図9および図10は、本開示の実施形態に係るメンテナンスメニューの表示例を示す模式図である。図11は、本開示の第1実施形態に係る中古車両情報処理装置の動作例を示すフローチャートである。図12図18は、本開示の第1実施形態に係る中古車両情報処理装置の動作例を示す図である。図19は、本開示の第1実施形態に係る中古車両情報処理装置の他の動作例を示すフローチャートである。
【0015】
なお、第1実施形態および後述する第2実施形態の説明では、例えば運営者等の仲介者が、売り手から買い取った中古車両を買い手に対して売却するという形態で、中古車両の売買を仲介するシステムに実施形態に係る中古車両情報処理装置を適用する例を挙げている。また、中古車両の例としてフォークリフトを挙げている。ただし、この例に限らず、本開示の実施形態に係る中古車両情報処理装置は、例えば、トラックやトレーラー等の貨物運搬用車両、ミキサー車、タンクローリー、ダンプカー、ブルドーザー、パワーショベル等の建機等の中古車両や新古車両を適用対象とすることができる。あるいは、本開示の実施形態に係る中古車両情報処理装置は、例えば、杭打ち車等の工事用車両、トラクター等の農業用車両、バス等の乗客移動用車両等、あらゆる種類の業務用あるいは自家用の中古車両、新古車両を適用対象とすることができる。また、売買の形態も上記の例に限定されない。例えば、売り手から買い手への売買を仲介することで仲介手数料等を一方または双方から受ける形態の売買に適用してもよい。
【0016】
(中古車両情報処理装置の構成)
図1に示す中古車両情報処理装置1は、例えば、サーバ、パーソナルコンピュータ等の1または複数のコンピュータを用いて構成することができる。また、1または複数のコンピュータの一部または全部は例えばクラウド上に構成されていてもよい。中古車両情報処理装置1は、1または複数のコンピュータ等のハードウェアと、1または複数のコンピュータが実行するプログラム等のソフトウェアとの組み合わせ等から構成される機能的構成として、次の各部を備える。すなわち、図1に示す中古車両情報処理装置1は、中古車両情報処理部10、中古車両購入システム11、中古車両販売システム12、中古車両情報DB13、購入・販売実績DB14、メンテナンス作業実績DB15、およびメンテナンスコスト実績DB16を備える。また、中古車両情報処理部10は、価格推定モジュール101、中古度推定モジュール102およびメンテナンスモジュール103を備える。
【0017】
中古車両購入システム11は、例えばWeb(ウェブ)サーバであり、中古車両の売り手が操作するユーザ端末2との間で通信回線を介して所定の情報を送受信する。ユーザ端末2は、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末等のコンピュータであり、売り手が操作する端末である。中古車両購入システム11は、例えば、ユーザ端末2で入力された売り手からの買い取り対象の中古車両の仕様に関する情報である仕様情報と、中古車両の使用に関する情報である使用情報とを含む中古車両ラベル情報を取得する。なお、以下では「売り手」を「売手」、「買い手」を「買手」とも表記する。
【0018】
図2は、中古車両ラベル情報201の例を示す。図2に示す中古車両ラベル情報201は、仕様情報202と使用情報203を含む。仕様情報202は中古車両の仕様に関する情報である。使用情報203は中古車両の使用に関する情報である。また、図2に示す仕様情報202は、メーカ、燃料、エンジン形式、排気量、トランスミッション、最大荷重、製造年、保証、アタッチメント、および特別仕様を表す情報を含む。なお、メーカはメーカ名、燃料は燃料の種類、トランスミッションはトランスミッションの形式、保証は残存の保証期間と保証内容、アタッチメントはアタッチメントの種類(フォークの種類等)、特別仕様は特別仕様の有無と内容等を表す情報である。また、図2に示す使用情報203は、アワーメータ(使用時間)、使用業種、主な荷物、故障・修理履歴、整備履歴、汚れおよびきず、ならびに使用国を表す情報を含む。なお、中古車両ラベル情報201の構成は、図2に示す構成例に限定されない。
【0019】
各情報の確認方法は、いずれも売り手の申告に基づく。ただし、番号1~6の各情報は、型式情報であり、型式番号等を入力することで確認することができる。これらの情報は比較的確実な情報である。また、番号7の情報は車体プレート等にて確認することができる。この情報も比較的確実な情報である。一方、番号8~18の情報については、比較的誤差を含みやすい情報である。ただし、番号8~18の情報については、追加の情報等の入力(送信)を求めることで情報の信頼性の向上を図ることができる。例えば、番号8の情報は、保証書を確認することで信頼性の向上を図ることができる。番号9および10の情報は、中古車両の販売元から販売記録を入手したり、写真による確認で信頼性の向上を図ることができる。番号11の情報は、写真確認や車両によってはテレマティクス情報を入手することで信頼性の向上を図ることができる。番号12の情報は、販売店等の営業情報を確認したり、テレマティクス情報を入手したりすることで信頼性の向上を図ることができる。番号13の情報は、販売店等の営業情報を確認することで信頼性の向上を図ることができる。番号14の情報は、販売店等の営業情報を確認したり、テレマティクス情報を入手したりすることで信頼性の向上を図ることができる。番号15および16の情報は、点検、修理、整備等の記録を入手できる場合にはそれらの記録を入手したり、購入後に点検した情報に基づいて追加、修正等したりすることで信頼性の向上を図ることができる。番号17の情報は、写真確認や、購入後に点検した情報に基づいて追加、修正等したりすることで信頼性の向上を図ることができる。番号18の情報は、販売店等の営業情報を確認することで信頼性の向上を図ることができる。
【0020】
なお、例えば、番号12および14の情報は、原動機、荷役系および駆動係の劣化に影響を与える情報である。また、例えば、番号13および18の情報は、原動機、荷役系および駆動係の劣化や錆に影響を与える情報である。
【0021】
中古車両購入システム11は、ユーザ端末2から中古車両ラベル情報201を取得したり、後述する中古度をユーザ端末2へ提示したり、中古車両の買い取り価格(以下、買取価格とも表記する)をユーザ端末2へ提示したり、買い取りに関する応否のやりとりを行ったりする。
【0022】
ここで、図3図6を参照して、中古車両情報DB13、購入・販売実績DB14、メンテナンス作業実績DB15、およびメンテナンスコスト実績DB16が管理する情報の例について説明する。なお、本実施形態においてデータベース(DB)は、データを含むファイルまたはその集合とそれらを処理するソフトウェアを含むシステムであるとする。図3図6は、各DBが管理するテーブルを構成する各レコードの構成例を示す。
【0023】
中古車両情報DB13の各レコードには、例えば図3に示すように、車両識別情報に紐付けて、売手識別情報、買手識別情報、中古車両ラベル情報(仕様情報)、中古車両ラベル情報(使用情報)、中古度情報、売買成立日時(買取)、および売買成立日時(売却)の各情報が格納される。なお、同一の車両が複数回、売買された場合には、例えば、車両識別情報以外の各項目が同一のレコードに追加される。
【0024】
購入・販売実績DB14の各レコードには、例えば図4に示すように、車両識別情報に紐付けて、売手識別情報、買手識別情報、中古車両ラベル情報(仕様情報)、中古車両ラベル情報(使用情報)、中古度情報、売買成立日時(買取)、買取価格、売買成立日時(売却)、および売却価格の各情報が格納される。なお、同一の車両が複数回、売買された場合には、例えば、車両識別情報以外の各項目が同一のレコードに追加される。
【0025】
メンテナンス作業実績DB15の各レコードには、例えば図5に示すように、車両識別情報に紐付けて、故障・修理履歴情報、整備履歴情報、およびメンテナンスメニュー選択情報の各情報が格納される。故障・修理履歴情報は、0回以上の故障や修理の内容や日付を表す情報である。整備履歴情報は、0回以上の整備の内容や日付を表す情報である。メンテナンスメニュー選択情報は、後述するようにして買い手が選択したメンテナンスの内容と推定コストを表す情報である。メンテナンス作業実績DB15が管理する情報は、例えば、売り手の申告に基づいて登録されたり、例えば他のシステム等から取得した故障、修理、整備の記録を表す情報に基づいて登録されたりする。
【0026】
メンテナンスコスト実績DB16の各レコードには、例えば図6に示すように、車両識別情報に紐付けて、0個以上の修理コスト情報と、0個以上の整備コスト情報と、メンテナンスメニュー選択情報の各情報が格納される。修理コスト情報は、修理のコストを表す情報である。整備コスト情報は、整備のコストを表す情報である。メンテナンスメニュー選択情報は、メンテナンス作業実績DB15と同一である。メンテナンスコスト実績DB1が管理する情報は、例えば、売り手の申告に基づいて登録されたり、例えば他のシステム等から取得した故障、修理、整備の記録を表す情報に基づいて登録されたりする。
【0027】
次に図1に示す価格推定モジュール101は、対象車両について、売り手からの適正な買い取り価格を推定するとともに、買い手に対する適正な売却価格を推定する。ここで、適正な買取価格または適正な売却価格とは、例えば、中古車両ラベル情報201が対象中古車両に類似する他の中古車両の買取価格または売却価格の実績値に近い(所定の範囲内である)という意味である。価格推定モジュール101は、例えば、過去に実施した中古車両の購入・販売実績と、その際の中古車両ラベル情報201を含むデータセットを教師データとして機械学習された学習済み機械学習モデルを用いて適正な買い取り価格や売却価格を推定する。この場合、学習済み機械学習モデルへは、説明変数として推定対象の中古車両の中古車両ラベル情報201の各項目を数値化した各値を入力する。そして、学習済み機械学習モデルから、適正な買取価格や売却価格を出力する。
【0028】
あるいは、価格推定モジュール101は、例えば、過去に実施した中古車両の販売実績(売却価格と中古車両ラベル情報201を含むものとする)と、後述する中古度のデータセットを教師データとして機械学習された機械学習モデルを用いて適正な売却価格を推定する。この場合、学習済み機械学習モデルへは説明変数として推定対象の中古車両の中古車両ラベル情報201(の各項目を数値化した各値)と中古度を入力する。そして、学習済み機械学習モデルから、適正な売却価格を出力する。また、価格推定モジュール101は、推定した売却価格に基づき経験則等に基づいて買取価格を算出する。
【0029】
中古度推定モジュール102は、対象車両について、中古車ラベル情報201を説明変数として劣化度を表す値である中古度を推定する。本実施形態では、中古車両全体の中古度の評価点を0~100として、100が最も劣化が小さい状態、0が最も劣化が大きい状態を表す。図7図8は、中古度の推定例を示す。図7は、車両の構成要素(あるいは構成部位)等についての大分類と小分類と主な確認項目とを対応付けて示す。図8は、図7に示すものと同一の大分類と小分類とに対応付けて、重み付け点と項目評価点の範囲と項目評価点の推定例と大分類評価点の推定例と総合評価点の例を示す。本実施形態において、中古度(劣化度)は、項目評価点と大分類評価点と総合評価点とを含む。
【0030】
図7および図8に示す例では、中古度が大分類毎と小分類毎に分類して評価される。大分類は、原動機、走行装置、荷役装置および運転席他である。原動機についての小分類は、全般(番号:1)、エンジン本体(番号:2)、潤滑系(番号:3)およびファンベルト(番号:4)である。走行装置についての小分類は、全般(番号:5)、ホイール(番号:6)、サスペンション(番号:7)、ステアリング系(番号:8)、クラッチ(番号:9)、パワステ(番号:10)、タイヤ(番号:11)およびブレーキ(番号:12)である。荷役装置についての小分類は、全般(番号:13)、フォーク(番号:14)、マスト(番号:15)、リフトシリンダ(番号:16)、リフトチェーン(番号:17)、リフトブラケット(番号:18)、バックレスト(番号:19)およびチルトシリンダ(番号:20)である。運転席他についての小分類は、全般(番号:21)、運転装置(番号:22)、ヘッドガード(番号:23)、座席(番号:24)、照明(番号:25)、ミラー(番号:26)、および警報装置(番号:27)である。
【0031】
本実施形態において、中古度推定モジュール102は、例えば、作業者(点検者)が実際に中古車両を確認して中古度を評価した結果と、当該中古車両の売り手によって入力された中古車ラベル情報201とを含むデータセットを教師データとして、機械学習された学習済み機械学習モデルを用いて、中古度を推定する。この場合、中古度推定モジュール102は、学習済み機械学習モデルに説明変数として対象車両の中古車ラベル情報201を入力し、機械学習モデルの出力として小分類毎の各項目評価点を算出する。そして、中古度推定モジュール102は、大分類毎の重み付け点を用いて大分類毎の評価点を算出するとともに、総合評価点を算出する。
【0032】
なお、各小分類について作業者による主な確認項目は、例えば図7に示すように以下のようにすることができる。番号1の小分類については、アワーメータである。番号2の小分類については、異音および排気色である。番号3の小分類については、オイル量である。
番号4の小分類については、ベルトの張りである。番号5の小分類については、アワーメータである。番号6の小分類については、ベアリングのガタである。番号7の小分類については、き裂の有無である。番号8の小分類については、チェーンの張りである。番号9の小分類については、切替時のガタである。番号10の小分類については、油漏れである。番号11の小分類については、シューの摩耗およびオイル量である。番号12の小分類については、減耗および割れである。番号13の小分類については、アワーメータである。番号14の小分類については、曲がり、き裂および摩耗である。番号15の小分類については、傾きおよびき裂である。番号16の小分類については、油漏れである。番号17の小分類については、チェーンの張りである。番号18の小分類については、曲がりおよびき裂である。番号19の小分類については、曲がりおよびき裂である。番号20の小分類については、油漏れである。番号21の小分類については、アワーメータである。番号22の小分類については、操作不良である。番号23の小分類については、曲がりおよびき裂である。番号24の小分類については、傷および破れである。番号25の小分類については、点灯である。番号26の小分類については、割れである。番号27の小分類については、音である。
【0033】
また、図8に示す重み付け点は、合計100点とした場合の大分類毎の配点を示す。図8に示す例では、重み付け点として、原動機に対して20点、走行装置に対して25点、荷役装置に対して35点、および運転席他に対して20点が設定されている。この場合、原動機についての大分類評価点は最大20となる。また、走行装置についての大分類評価点は最大25となる。また、荷役装置についての大分類評価点は最大35となる。また、運転席他についての大分類評価点は最大20となる。重み付け点は、例えば各大分類に対するメンテナンスの優先度や、車両全体からみた大分類毎の性能の重要度等に基づいて設定することができる。
【0034】
項目評価点は、小分類毎の評価点である。項目評価点は、評価点範囲内の値となる。例えば、番号2の小分類のエンジン本体については、0~5の範囲の項目評価点で劣化度が評価される。作業者が点検する場合には、例えば、項目評価点0は、確認された結果が、明瞭な異音、排気色が灰色から黒の場合である。項目評価点1は、確認された結果が、異音あり、排気色がやや白色の場合である。項目評価点2は、確認された結果が、異音あり、排気色透明の場合である。項目評価点3は、確認された結果が、軽微な異音、排気色がやや白色の場合である。項目評価点4は、確認された結果が、軽微な異音、排気色透明の場合である。項目評価点5は、確認された結果が、異音なし、排気色透明の場合である。例えば、項目評価点0は使用前にメンテナンスを行うことが推奨される状態に対応する。例えば、項目評価点5は使用前にメンテナンスを行わなくてもよい状態に対応する。
【0035】
大分類評価点は、大分類毎の重み付け点を各項目評価点についての各評価点範囲の最大値の合計値で除した値を係数として、大分類毎の各項目評価点を合計値にその係数を乗じた値である。例えば、原動機については各評価点範囲の最大値の合計値は20であり、重み付け点が20なので、係数は1となり、各項目評価点の合計値がそのまま大分類評価点となる。また、走行装置については各評価点範囲の最大値の合計値は36であり、重み付け点が25なので、係数は25/36(=約0.69)となり、各項目評価点の合計値20に係数25/36を乗じた約13.9が大分類評価点となる。
【0036】
また、総合評価点は、各大分類評価点の合計値である。図8に示す例では100点満点中の34.2点である。
【0037】
図1に示すメンテナンスモジュール103は、中古度に基づき、当該中古車両に適したメンテナンスの候補とそのメンテナンスに要するコストとを推定する。本実施形態では、メンテナンスモジュール103が推定した複数のメンテナンスの候補の一覧を、メンテナンスメニューという。図9は、メンテナンスメニューのユーザ端末3における表示例を示す。ユーザ端末3は、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末等のコンピュータであり、買い手が操作する端末である。図9に示す例では、メンテナンスの候補である3つのメンテナンスのコース(Aコース、BコースおよびCコース)が表示されている。この例では、Aコースは、図8に示す各項目評価点を、各最大値の7割~8割程度に上昇させるメンテナンスの候補である。図9に示す例では、Aコースの場合に中古度の総合評価点が34.2から79.2に上昇するという推定結果と、予想されるコストが表示されている。Bコースは、図8に示す大分類が荷役装置の各項目評価点を、各最大値の7割~8割程度に上昇させるとともに、荷役装置以外で項目評価点が0である各項目評価点を1まで上昇させるメンテナンスの候補である。図9に示す例では、Bコースの場合に中古度の総合評価点が34.2から56.7に上昇するという推定結果と、予想されるコストが表示されている。図10は、図9に示す表示画面で、Bコースを選択した場合の表示例を示す。図10に示す表示例では、Bコースの場合の、メンテナンス前の各評価点とメンテナンス後の各評価点の推定結果が比較して示されている。また、Cコースは、0である各項目評価点を1まで上昇させるメンテナンスの候補である。図9に示す例では、Cコースの場合に中古度の総合評価点が34.2から41.7に上昇するという推定結果と、予想されるコストが表示されている。
【0038】
メンテナンスモジュール103は、例えば、メンテナンスの項目と内容の組み合わせを表す情報(数値)と、メンテナンス前の中古度の各項目評価点を説明変数として入力し、メンテナンス後の各項目評価点を出力する学習済み機械学習モデルを用いてメンテナンスの項目と内容の組み合わせを決定する。メンテナンスモジュール103は、その学習済み機械学習モデルを用いて、メンテナンス前の中古度の各項目評価点を入力するとともに、メンテナンスの項目と内容の組み合わせの入力を複数組試行し、メンテナンスの候補毎に設定したメンテナンス後の各項目評価点の目標値にできるだけ近い(所定の閾値内の)出力を得られるメンテナンスの項目と内容の組み合わせを決定する。この場合、機械学習モデルは、過去に実績があるメンテナンスの項目と内容の組み合わせと、メンテナンス前後の中古度の各項目評価点とを含むデータセットを教師データとして機械学習する。
【0039】
メンテナンスモジュール103は、決定したメンテナンスの項目と内容の組み合わせを行った場合に予測されるコストを推定する。メンテナンスモジュール103は、例えばメンテナンス作業実績DB15とメンテナンスコスト実績DB16を参照して、メンテナンスの項目と内容の組み合わせに類似するコストを抽出し、抽出したコストに基づいて、決定したメンテナンスの項目と内容の組み合わせに応じたコストを推定する。
【0040】
また、中古車両販売システム12は、例えばWebサーバであり、中古車両の買い手が操作するユーザ端末3との間で通信回線を介して所定の情報を送受信する。例えば、中古車両販売システム12は、ユーザ端末3に対して、売り手側が特定した中古車両について、価格推定モジュール101が推定した売却価格を提示する。また、中古車両販売システム12は、ユーザ端末3に対して、中古度推定モジュール102が推定した売却価格を提示する。また、中古車両販売システム12は、ユーザ端末3に対して、中古度推定モジュール102が推定した中古度を提示する。また、中古車両販売システム12は、ユーザ端末3に対して、メンテナンスモジュール103が推定したメンテナンスメニューと推定コストを提示する。また、中古車両販売システム12は、ユーザ端末3との間で、売却に関する応否のやりとりを行う。
【0041】
(中古車両情報処理装置の動作例)
図11を参照して、図1に示す中古車両情報処理装置1の動作例について説明する。図11に示す処理において、ステップS101~S110までの処理が売り手側のユーザ端末2と中古車両情報処理装置1との間の処理であり、ステップS111~S118までの処理が買い手側のユーザ端末3と中古車両情報処理装置1との間の処理である。
【0042】
図11に示す処理では、中古車両購入システム11が、所定の認証処理等を行った後、ユーザ端末3から中古車両ラベル情報201等の車両関連情報を入力する(ステップS101)。車両関連情報は、例えば、中古車両ラベル情報201とその信頼性を向上させるための情報等を含む。
【0043】
次に、中古車両購入システム11が、当該車両に所定の識別番号を割り当てる(ステップS102)。次に、中古度推定モジュール102が、車両の中古度を推定する(ステップS103)。次に、中古車両購入システム11が、ユーザ端末2に対して、推定した車両の中古度を提示する(ステップS104)。次に、価格推定モジュール101が、買い取り価格を推定する(ステップS105)。次に、中古車両購入システム11が、ユーザ端末2に対して、推定した買い取り価格を提示する(ステップS106)。次に、中古車両購入システム11が、ユーザ端末2において提示した買い取り価格での買い取りが合意されたか否かを判定する(ステップS107)。
【0044】
合意されなかった場合(ステップS107:No)、中古車両購入システム11が、不合意の回数が所定回数以上となったか否かを判定する(ステップS108)。不合意の回数が所定回数以上でなかった場合(ステップS108:No)、価格推定モジュール101が、例えば推定の仕方を変更した後、買い取り価格を再度、推定する(ステップS105)。次に、中古車両購入システム11が、ユーザ端末2に対して、推定した買い取り価格を提示する(ステップS106)。不合意の回数が所定回数以上であった場合(ステップS108:Yes)、中古車両購入システム11は、図11に示す処理を終了する。
【0045】
一方、合意された場合(ステップS107:Yes)、中古車両情報DB13および購入・販売実績DB14が、売買契約が成立したことを記録し、買い取り情報を保管する(ステップS109)。買い取り情報は、例えば、図3および図4に示す車両識別情報、買手識別情報、中古車両ラベル情報(仕様情報)、中古車両ラベル情報(使用情報)、中古度情報、売買成立日時(買取)、買取価格の情報を含む。
【0046】
その後、中古車両販売システム12において、買い手側のユーザ端末3から所定の認証処理等を実行した後、当該車両についての問い合わせがあると、メンテナンスモジュール103が、メンテナンスメニューとコストおよびメンテナンス後の中古度を算出する(ステップS111)。次に、中古車両販売システム12が、ユーザ端末3に対して、メンテナンスメニューとコストおよびメンテナンス後の中古度を提示する(ステップS112)。次に、価格推定モジュール101が、売却価格を推定する(ステップS113)。次に、中古車両販売システム12が、ユーザ端末3に対して、車両のメンテナンス前の中古度と売却価格を提示する(ステップS114)。
【0047】
次に、中古車両販売システム12が、ユーザ端末3において提示した売却価格での売却が合意されたか否かを判定する(ステップS115)。
【0048】
合意されなかった場合(ステップS115:No)、中古車両販売システム12が、不合意の回数が所定回数以上となったか否かを判定する(ステップS116)。不合意の回数が所定回数以上でなかった場合(ステップS116:No)、価格推定モジュール101が、例えば推定の仕方を変更した後、売却価格を再度、推定する(ステップS113)。次に、中古車両販売システム12が、ユーザ端末3に対して、推定した売却価格を提示する(ステップS114)。不合意の回数が所定回数以上であった場合(ステップS116:Yes)中古車両販売システム12は、図11に示す処理を終了する。
【0049】
一方、合意された場合(ステップS115:Yes)、中古車両情報DB13および購入・販売実績DB14が、売買契約が成立したことを記録し、売却情報を保管する(ステップS117)。売却情報は、例えば、図3および図4に示す売手識別情報、売買成立日時(売却)、売却価格の情報を含む。ここで、図11に示す処理が終了する。
【0050】
次に、図12図18を参照して、中古車両情報処理装置1とユーザ端末2とユーザ端末3における各情報の流れの例について説明する。図12は、図11に示すステップS101~S105に対応する各情報の流れを示す。図13は、図11に示すステップS106、ステップS107:Yes~ステップS110に対応する各情報の流れを示す。
図14は、図11に示すステップS106、ステップS107:No~ステップS108:Yesに対応する各情報の流れを示す。図15は、図11に示すステップS111~S112に対応する各情報の流れを示す。図16は、図11に示すステップS113~S114に対応する各情報の流れを示す。図17は、図11に示すステップS114、ステップS115:Yes~ステップS118に対応する各情報の流れを示す。図18は、図11に示すステップS114、ステップS115:No~ステップS115:Yesに対応する各情報の流れを示す。
【0051】
図12に示す例では、ユーザ端末2で中古車両ラベル情報201が入力されると(S201)、中古車両ラベル情報201がユーザ端末2から中古車両購入システム11へ送られる(S202)。中古車両購入システム11が附番し(S203)、中古車両ラベル情報201が中古車両情報DB13へ送られて登録される(S204)。中古度推定モジュール102は、例えば中古車両購入システム11による附番(S203)に応じて、中古車両情報DB13から中古車両ラベル情報201を取得する(S205)。また、価格推定モジュール101が、例えば中古車両購入システム11による附番(S203)に応じて、中古車両情報DB13から中古車両ラベル情報201を取得するとともに(S206)、購入・販売実績情報DB14から販売実績情報を取得する(S207)。
【0052】
中古度推定モジュール102が中古度を推定すると(S208)、推定した中古度を示す中古度情報が、中古車両購入システム11へ送られるとともに(S209)、中古車両情報DB13に登録される(S210)。中古車両購入システム11は、中古度情報をユーザ端末2へ送り(S211)、ユーザ端末2で中古度が提示される(S212)。
【0053】
一方、価格推定モジュール101は、買取価格を推定し(S213(図12および図13))、推定した買取価格を示す買取価格情報が中古車両購入システム11に送られる(S214)。中古車両購入システム11は、買取価格情報をユーザ端末2へ送り(S215)、ユーザ端末2で買取価格が提示される(S216)。ここで、ユーザ端末2で合意の旨の入力がなされると(S217)、売り渡し了解情報がユーザ端末2から中古車両購入システム11へ送られる(S218)。
【0054】
売り渡し了解情報は、中古車両購入システム11から中古車両情報DB13へ送られ(S219)、さらに、中古車両情報DB13から購入・販売実績情報DB14へ送られる(S220)。次に、購入・販売実績情報DB14は売買成立情報を中古車両情報DB13へ送り(S221)、中古車両情報DB13が売買成立情報を中古車両購入システム11へ送る(S222)。中古車両購入システム11は、売買成立情報をユーザ端末2へ送り(S223)、ユーザ端末2で売買成立情報が提示される(S224)。
【0055】
一方、図14に示すように、買取価格の提示(S216)に対して、ユーザ端末2で不合意の旨の入力がなされると(S225)、売り渡し拒否情報がユーザ端末2から中古車両購入システム11へ送られる(S226)。
【0056】
売り渡し拒否情報は、中古車両購入システム11から中古車両情報DB13へ送られ(S227)、さらに、中古車両情報DB13から購入・販売実績情報DB14へ送られる(S228)。次に、購入・販売実績情報DB14は、当該附番に係る情報を削除した後、売買不成立情報を中古車両情報DB13へ送り(S229)、中古車両情報DB13が当該附番に係る情報を削除した後、売買不成立情報を中古車両購入システム11へ送る(S230)。中古車両購入システム11は、売買不成立情報をユーザ端末2へ送り(S231)、ユーザ端末2で売買不成立情報が提示される(S232)。
【0057】
また、図15に示す例では、ユーザ端末3で車両を特定する情報(車両特定情報)が入力されると(S301)、車両特定情報がユーザ端末3から中古車両販売システム12へ送られる(S302)。ここで、中古車両販売システム12は、対象となる車両を特定する(S303)。次に、車両特定(S303)に応じて、メンテナンスモジュール103が中古車両情報DB13から中古度情報を取得するとともに(S304)、価格推定モジュール101が中古車両情報DB13から中古度情報を取得する(S305)。
【0058】
メンテナンスモジュール103は、さらに、メンテナンス作業実績DB16からメンテナンス作業実績情報を取得するとともに(S306)、メンテナンスコスト実績DB15からメンテナンスコスト実績情報を取得する(S307)。次に、メンテナンスモジュール103は、メンテナンスメニューを生成し(S308)、メンテナンスメニューを示すメンテナンスメニュー情報が中古車両販売システム12へ送られる(S309)。中古車両販売システム12は、メンテナンスメニュー情報をユーザ端末3へ送り(S310)、ユーザ端末3でメンテナンスメニューが提示される(S311)。
【0059】
また、図16に示すように、価格推定モジュール101は、購入・販売実績DB14から販売実績情報を取得し(S312)、売却価格を推定する(S313)。推定した売却価格を示す売却価格情報は、中古車両販売システム12へと送られる(S314)。中古車両販売システム12は、売却価格情報をユーザ端末3へ送り(S315)、ユーザ端末3で売却価格が提示される(S316)。
【0060】
また、図17に示すように、ユーザ端末3で、売却価格の提示(S316)に対して合意の旨の入力がなされるとともに(S317)、メンテナンスメニューの提示(S311)に対して候補を選択する入力がなされると(S318)、買取了解情報が中古車両販売システム12へと送られるとともに(S319)、メンテナンスメニュー選択情報が中古車両販売システム12へと送られる(S320)。中古車両販売システム12は、メンテナンスメニュー選択情報を、メンテナンス作業実績DB16へ登録するとともに(S321)、メンテナンスコスト実績DB15へ登録する(S322)。また、中古車両販売システム12は、買取了解情報を購入・販売実績DB14へ送る(S323)。
【0061】
次に購入・販売実績DB14は売買成立情報を中古車両販売システム12へ送り(S324)、中古車両販売システム12が売買成立情報をユーザ端末3へ送り(S325)、ユーザ端末3で売買成立情報が提示される(S326)。購入・販売実績DB14は売買成立情報を中古車両情報DB13へ送る(S327)。
【0062】
また、図18に示すように、ユーザ端末3で、売却価格の提示(S316)に対して不合意の旨の入力がなされると(S328)、買取拒否情報が中古車両販売システム12へと送られる(S329)。中古車両販売システム12は、買取拒否情報を、購入・販売実績DB14へ送る(S330)。購入・販売実績DB14は売買不成立情報を中古車両販売システム12へ送り(S331)、中古車両販売システム12が売買不成立情報をユーザ端末3へ送り(S332)、ユーザ端末3で売買不成立情報が提示される(S333)。
【0063】
次に、図19を参照して、図11を参照して説明した中古車両情報処理装置1の動作例の変形例について説明する。図11に示す処理では、買取契約の成立と売却契約の成立のタイミングが異なっている。これに対し、図19に示す処理では、買取契約の成立と売却契約の成立のタイミングが同時である。図19に示す処理では、図11に示すステップS109の処理が削除されるとともに、ステップS117の処理とステップS118の処理が変更されている(ステップS117aおよびステップS118aとして示す)。他の処理は、図11図19で同一である。ステップS117aでは買取と売却契約の成立にともなう処理が行われ、ステップS118aでは買取と売却情報が保管される。
【0064】
(第1実施形態の作用・効果および変形例)
以上のように、本実施形態によれば、中古車両の劣化状態を買い手側と売り手側の双方で適切に把握することができる。
【0065】
本実施形態によれば、売り手、仲介者、買い手の間で売買契約が成立した場合、当該中古車両の情報と購入・販売情報および車両の中古度情報を紐づけてデータベースに追加したので、次回以降の価格推定や中古度推定のデータとして活用することができる。
【0066】
なお、各データベースに保有のデータに対しては、例えば、任意の時期を設定可能とすることができる。例えば、任意の時期以前のデータについては価格推定用や中古度推定用、メンテナンスメニューの選定とその費用の推定用のデータとして使わないようにしてもよい。
【0067】
また、各データベースに保有のデータのうち、特殊事情で極端に安く売ったケースや極端に高く売れたケース、通常実施しないメンテナンスを行ったケース、特殊事情で極端に安くメンテナンスを行ったケースや極端に高くメンテナンス費用を受け取ったケース等の特異なデータにフラグを立てる機能を追加してもよい。例えば、これらデータを除外して価格推定や中古度推定、メンテナンスメニューの選定とその費用の推定を行うようにすることができる。
【0068】
価格推定や劣化度推定、メンテナンスメニューの選定とその費用の推定アルゴリズムの初期設定に当たっては、該当者両種(例えばフォークリフト)に関する全データの例えば8割を用いて、統計学的手法(重回帰解析等)や各種AI(人工知能)により価格推定アルゴリズムを構築し、残りの2割で試計算を行い正解率が高いアルゴリズムを選択するようにしてもよい。
【0069】
なお、図11に示す処理は、価格推定アルゴリズムにより計算された推定結果に一定の利益を乗せた買取価格および中古度推定アルゴリズムにより計算された中古度を売主に提示し、合意が取れれば買主が未定のまま購入契約に至るケースである。また、買取希望者に対しては、当該車両の現在の中古度に加え、各種メンテナンスメニューとその価格、メンテナンスを実施した場合の中古度の変化を提示することが可能である。
【0070】
また、図19に示す処理は、まず、価格推定アルゴリズムにより計算された推定結果に一定の利益を乗せた買取価格および中古度推定アルゴリズムにより計算された中古度を売主に提示し、合意がとられれば購入を仮押さえする。次に販売価格、中古度、選定されたメンテナンスメニューその推定に一定の利益を乗せたメンテナンス費を買い手に提示し合意が得られた時点で、売り主と購入契約および買い主と売却契約を結ぶケースである。買取希望者に対しては、当該車両の現在の中古度に加え、各種メンテナンスメニューとその価格、メンテナンスを実施した場合の中古度の変化を提示することが可能である。
【0071】
業務用車両は、自家用車両データ数が少なく、かつ価格推定に影響を及ぼす因子が多いため、適切な価格推定が難しい。また、売り手にとっては、売り出す中古車両がどの程度の劣化度合いなのか客観的なデータが無く、売買価格の妥当性が判断しづらい。さらには、買い手はどのようなメンテナンスを行えば車両のパフォーマンスがどの程度向上するか、その際費用はどの程度かかるかという定量的なデータが分からない。本実施形態によれば価格推定の精度が向上するとともに、中古度合い(劣化度合い)、色々なメンテナンスを行った場合の中古度合いの回復度とその費用を提示することができる。その結果、適正な中古車売買取引が可能となりその量も増加することが期待される。
【0072】
また、売り手、仲介者、買い手の間で売買契約が成立した場合、当該中古車両の情報と購入・販売情報、車両の中古度情報および実施されたメンテナンスメニューとそのコストを紐づけてデータベースに追加し、次回の価格推定(価格査定)、中古度推定およびメンテナンスメニューの選定とその費用推定のデータとして活用することが容易であるため、契約が増えるほど価格推定、中古度推定、メンテナンスメニューの選定とその費用の推定精度が向上する。
【0073】
また、古く実情に合わなくなったデータを排除する事で価格推定、中古度推定およびメンテナンスメニューの選定とその費用推定の精度が向上する。
【0074】
また、特異点データを排除する事で価格推定、中古度推定、メンテナンスメニューの選定とその費用推定の精度が向上する。
【0075】
また、新たなデータが一定量蓄積されたのちに、これらのデータも活用して同様の方法でアルゴリズムを更新する事で、更に推定精度を向上させることができる。
【0076】
また、図11に示す処理によれば、売り手からの買い取りが比較的短時間に可能となり、かつ、売り手は売りに出す車両の客観的な中古度を参照しながら売買の判断を行うため安心感が増し、取引仲介者の中古車両の確保が安定する。一方、買い手がつかない場合在庫品となり利益悪化のリスクとなるが、買い手に対して中古度合いの提示がなされるとともに、メンテナンスメニューとその価格が提示されるため買い手側の安心感や選択の自由度が増し、売れ残りのリスクが低減する。価格推定精度が高まるほど、中古度推定の精度が上がるほど、またメンテナンスメニューの選定とその費用推定の精度リスク面は小さくなるため、各データベースに蓄積される情報量が充実し価格推定や中古度推定精度が高まった場合に使う事が望ましい。
【0077】
また、図19に示す処理によれば、買い手が確保できた後に売り手から買い取るため、在庫となるリスクがない。ただし、買い手が付くまで売り手が仮契約を継続する保証はないため、中古車両を確保しにくくなるリスクがある。仲介者から売り手、買い手の両方に対して車両の中古度を提示し、中古度という共通指標で売り手と買い手が売買価格を判断する事が可能となること、買い手に対して、メンテナンスメニューとその価格が提示されるため買い手側の安心感や選択の自由度が増すことから、契約の成功率が高まる。データベースに蓄積される情報量が少なく価格推定精度や中高度推定が低い場合に使う事が望ましい。
【0078】
<第2実施形態>
次に、本開示の第2実施形態に係る中古車両情報処理装置、中古車両情報処理方法およびプログラムついて、図20図22を参照して説明する。図20は、本開示の第2実施形態に係る中古車両情報処理装置の構成例を示すブロック図である。図21は、本開示の第2実施形態に係る中古車両情報処理装置の動作例を示すフローチャートである。図22は、本開示の第2実施形態に係る中古車両情報処理装置の動作例を説明するための模式図である。
【0079】
図20に示す第2実施形態に係る中古車両情報処理装置1aは、図1に示す第1実施形態に係る中古車両情報処理装置1と比較して、図1に示す中古車両情報処理部10に対応する中古車両情報処理部10aが新たに中古車両情報変換モジュール104を備えている点が異なる。他の構成は、第1実施形態と第2実施形態において同一である。中古車両情報変換モジュール104は、図2を参照して説明した中古車両ラベル情報201が含む使用情報203の一部に欠落があった場合に、欠落した情報を推定する機能的構成である。
【0080】
なお、第2実施形態の中古車両情報処理装置1aでは、例えば図11および図19に示すステップS103の処理において、図21に示すように、使用情報203に欠落がある場合(ステップS401:Yes)、中古車両情報変換モジュール104が欠落した情報を推定することで補充し(ステップS402)、中古度推定モジュール102が中古度を推定する(ステップS403)。
【0081】
例えば、運営者が修理記録や整備記録を取得することができない中古車両の場合、使用情報203は、中古車両の売り手からの情報に依存するため、数値データとして示されるアワーメータ(使用時間)を除く情報は、誤差や欠落を含む可能性がある。また、整備記録等のデータが入手できた場合でも、点検項目が一般的な整備項目と異なっているケースが想定される。そのため、そのまま中古度推定モジュール102にデータ入力しづらい状況が発生するおそれがある。また、データが欠損(欠落)したまま中古度推定を行うと、精度の低下も懸念される。そこで、中古車両情報変換モジュール104は、使用情報203に欠落が生じた場合、他の使用情報203から欠落した情報を学習済み機械学習モデルを用いて推定する。中古車両情報変換モジュール104による動作例について説明する。
【0082】
(1)欠落データ推定ロジックの形成プロセス
(1-1)売買対象中古車両の分類
まず、使用情報203を、原動機の種類および車両のサイズやタイプで分類する。例えばフォークリフトでは、エンジンフォーク(小型、中型、大型)の3種、バッテリーフォーク(カウンタバランス、リーチ、ピッキング、ラックフォーク、ウォーキー、防爆型、冷凍・冷蔵型)の7種の合計10カテゴリーに分類する。類似車両の使用情報203を用いることで推定の精度を高めることを狙う。
【0083】
(1-2)カテゴリー毎の使用情報203の収集
中古車両情報DB13に納められている中古車両ラベル情報(使用情報)を(1-1)のカテゴリー毎に集約して機械学習用データの元データとする。また、個々の車両に紐付く、使用情報203を1組のデータセットとする。なお、アワーメータ情報は必ず存在することを前提とする。
【0084】
(1-3)教師データの作成
(1-2)で集約されたデータセットから任意の組数を選定し教師データ作成候補とする(組数が多いほど、正解率が高まるが、ロジックを作り上げるまでの労力は増える)。また、選定されたカテゴリー毎のデータセットから、意図的に1つの使用情報203(ラベル情報Aとする)を消去したデータセットを作成し、教師データとする。また、ラベル情報Aに加え、ラベル情報A以外の使用情報203(1つ以上)をランダムに消去したデータセットも作成し、教師データとする。正解データとしてはレベル情報Aを消去する前のデータセットを用いる。
【0085】
(1-4)教師データによる機械学習・推定ロジックの構築
上記(1-3)で準備したデータセットを用いて学習を行い、ラベル情報Aが欠落した場合、その値を他のデータから推定するロジックを機械学習モデル内に形成する。
【0086】
(1-5)欠落データ推定ロジックのラインナップ整備
アワーメータ情報以外の、全ての使用情報203について(1-3)および(1-4)を実施し、どのデータが欠損しても推定が可能となるようにラインナップ化する。なお、データセット数が少ない等の理由で、学習済み機械学習モデルによる推定の正解率が所定の値(例えば90%)に満たない使用情報203の項目が出た場合には、データが蓄積されるまでの暫定措置として、以下の簡易推定で評価を行う。各係数情報が不明な場合は1.0として計算する。
【0087】
簡易推定評価点=評価点範囲の最大値×(アワーメータ評価点/10)×業種係数×環境係数×荷物係数×故障履歴係数×使用国係数
【0088】
係数の例を図22に示す。
【0089】
(2)欠損データの推定プロセス
(2-1)対象中古車両の分類
中古車両の売り手が中古車購入システム11を介して中古車両ラベル情報201を入手し、対象車両が(1-1)のどのカテゴリーに入るか確定する。
【0090】
(2-2)該当するカテゴリーの使用情報202の表示
ユーザ端末2では、該当するカテゴリーの使用情報203のシートが表示される。
【0091】
(2-3)使用情報203の取り込み
中古車購入システム11より使用情報203がシートに取り込まれる。なお、該当データが無い部分は空欄となる。
【0092】
(2-4)欠落データの人的作業による補完
欠落データ(空欄部分)に関して、中古車両の売り手へのヒアリングや、中古車両を入手済みの場合は簡易点検等を行い、得られたデータを補完入力する。
【0093】
(2-5)欠落データの学習済み機械学習モデルによる推定
上記(2-4)でデータを補完した使用情報203のシートを中古車情報変換モジュール104の学習済み機械学習モデルにインプットすると、(1-5)で整備した欠落データ推定ロジックにより推定が行われる。推定結果は、使用情報203のシートの空欄部に記入され、アウトプットとして排出される。
【0094】
本実施形態によれば、使用情報203に欠落した項目がある場合でも、欠落した盲目の内容を推定して、補完することができる。
【0095】
<実施形態の基本的構成例>
図23は、第1実施形態に係る中古車両情報処理装置1および第2実施形態に係る中古車両情報処理装置1aの基本的構成例を示すブロック図である。図23に示す中古車両情報処理装置300は、第1実施形態に係る中古車両情報処理装置1および第2実施形態に係る中古車両情報処理装置1aに対応する構成である。図23に示す中古車両情報処理装置300は、取得部301と、劣化度推定部302と、提示部303と、メンテナンス推定部304と、中古車両情報推定部305とを備える。
【0096】
取得部301は、中古車両の仕様に関する情報である仕様情報と、中古車両の使用に関する情報である使用情報とを含む中古車両情報を取得する。取得部301は、中古車両購入システム11に対応する。中古車両情報は、中古車両ラベル情報201に対応する。
【0097】
劣化度推定部302は、中古車両情報を説明変数として当該中古車両の劣化度を推定する。劣化度推定部302は、中古度推定モジュール102に対応する。
【0098】
提示部303は、推定された劣化度を中古車両の買い手側へ提示する。提示部303は、中古車両販売システム12に対応する。
【0099】
メンテナンス推定部304は、劣化度に基づき、当該中古車両に適したメンテナンスの候補とそのメンテナンスに要するコストとを推定する。また、提示部303は、推定された劣化度と候補とコストとを買い手側へ提示する。メンテナンス推定部304は、メンテナンスモジュール103に対応する。
【0100】
なお、提示部303は、推定された劣化度を中古車両の売り手側にも提示してもよい。この場合、提示部303は、中古車両購入システム11にも対応する。
【0101】
また、中古車両情報推定部305は、使用情報203の内容に欠落がある場合、使用情報203の欠落していない他の内容を説明変数として当該欠落した内容を推定する。中古車両情報推定部305は、中古車両情報変換モジュール104に対応する。
【0102】
なお、中古車両は原動機と走行装置と作業装置とを備えていて、劣化度推定部302は、原動機の所定の構成要素毎、走行装置の所定の構成要素毎、および、作業装置の所定の構成要素毎に、劣化度を推定するようにしてもよい。ここで、作業装置は、荷役装置に対応する。
【0103】
また、劣化度推定部302は、原動機と走行装置と作業装置に対して異なる重み付けを設定して、劣化度を推定することができる。
【0104】
中古車両情報処理装置300によれば、中古車両の劣化状態を適切に把握することができる。
【0105】
<作用効果>
上記構成の中古車両情報処理装置、中古車両情報処理方法およびプログラムでは、中古車両の仕様に関する情報である仕様情報202と、中古車両の使用に関する情報である使用情報203とを含む中古車両情報(中古車両ラベル情報201)を取得する取得部301と、前記中古車両情報を説明変数として当該中古車両の劣化度を推定する劣化度推定部302とを備える。したがって、実施形態の中古車両情報処理装置、中古車両情報処理方法およびプログラムによれば、中古車両の劣化状態を適切に把握することができる。
【0106】
<その他の実施形態>
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0107】
<コンピュータ構成>
図24は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ90は、プロセッサ91、メインメモリ92、ストレージ93、および、インタフェース94を備える。
上述の中古車両情報処理装置1、1aおよび300は、コンピュータ90に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ93に記憶されている。プロセッサ91は、プログラムをストレージ93から読み出してメインメモリ92に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、プロセッサ91は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ92に確保する。
【0108】
プログラムは、コンピュータ90に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、ストレージに既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。なお、他の実施形態においては、コンピュータは、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等が挙げられる。この場合、プロセッサによって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。
【0109】
ストレージ93の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ93は、コンピュータ90のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース94または通信回線を介してコンピュータ90に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ90に配信される場合、配信を受けたコンピュータ90が当該プログラムをメインメモリ92に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ93は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0110】
<付記>
各実施形態に記載の中古車両情報処理装置は、例えば以下のように把握される。
【0111】
(1)第1の態様に係る中古車両情報処理装置1、1aおよび300は、中古車両の仕様に関する情報である仕様情報と、前記中古車両の使用に関する情報である使用情報とを含む中古車両情報を取得する取得部301と、前記中古車両情報を説明変数として当該中古車両の劣化度を推定する劣化度推定部302と、推定された前記劣化度を前記中古車両の買い手側へ提示する提示部303とを備える。本態様および以下各態様によれば、中古車両の劣化状態を適切に把握することができる。
【0112】
(2)第2の態様に係る中古車両情報処理装置1、1aおよび300は、(1)の中古車両情報処理装置1、1aおよび300であって、前記劣化度に基づき、当該中古車両に適したメンテナンスの候補とそのメンテナンスに要するコストとを推定するメンテナンス推定部304をさらに備え、前記提示部303は、推定された前記劣化度と前記候補と前記コストとを前記買い手側へ提示する。
【0113】
(3)第3の態様に係る中古車両情報処理装置1、1aおよび300は、(1)または(2)の中古車両情報処理装置1、1aおよび300であって、前記提示部303は、推定された前記劣化度を前記中古車両の売り手側へも提示する。
【0114】
(4)第4の態様に係る中古車両情報処理装置1、1aおよび300は、(1)~(3)の中古車両情報処理装置1、1aおよび300であって、前記使用情報の内容に欠落がある場合、前記使用情報の欠落していない他の内容を説明変数として当該欠落した内容を推定する中古車両情報推定部305を、さらに備える。
【0115】
(5)第5の態様に係る中古車両情報処理装置1、1aおよび300は、(1)~(4)の中古車両情報処理装置1、1aおよび300であって、前記中古車両は原動機と走行装置と作業装置とを備えていて、前記劣化度推定部は、前記原動機の所定の構成要素毎、前記走行装置の所定の構成要素毎、および、前記作業装置の所定の構成要素毎に、前記劣化度を推定する。
【0116】
(6)第6の態様に係る中古車両情報処理装置1、1aおよび300は、(1)~(4)の中古車両情報処理装置1、1aおよび300であって、前記劣化度推定部302は、前記原動機と前記走行装置と前記作業装置に対して異なる重み付けを設定して、前記劣化度を推定する。
【符号の説明】
【0117】
1、1a、300…中古車両情報処理装置
10、10a…中古車両情報処理部
11…中古車両購入システム
12…中古車両販売システム
101…価格推定モジュール
102…中古度推定モジュール
103…メンテナンスモジュール
104…中古車両情報変換モジュール
301…取得部
302…劣化度推定部
303…劣化度提示部
304…メンテナンス推定部
305…中古車両情報推定部
図1
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