(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166090
(43)【公開日】2023-11-21
(54)【発明の名称】車両用投射装置
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/50 20060101AFI20231114BHJP
E05F 15/76 20150101ALI20231114BHJP
E05F 11/54 20060101ALI20231114BHJP
B60J 5/04 20060101ALI20231114BHJP
B60J 5/10 20060101ALI20231114BHJP
F21V 14/04 20060101ALI20231114BHJP
F21V 14/02 20060101ALI20231114BHJP
B60Q 1/52 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
B60Q1/50 C
E05F15/76
E05F11/54 A
B60J5/04 C
B60J5/10 K
F21V14/04
F21V14/02
B60Q1/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022076864
(22)【出願日】2022-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 学
(72)【発明者】
【氏名】大島 千広
【テーマコード(参考)】
2E052
3K339
【Fターム(参考)】
2E052AA09
2E052BA04
2E052DA02
2E052DB02
2E052EA01
2E052EC01
2E052GA05
2E052GB01
3K339AA21
3K339AA43
3K339BA01
3K339BA09
3K339BA22
3K339BA25
3K339BA28
3K339CA30
3K339DA01
3K339DA05
3K339EA01
3K339EA10
3K339FA01
3K339GA13
3K339GC05
3K339HA01
3K339JA21
3K339JA22
3K339MA10
3K339MC66
3K339MC67
3K339MC77
(57)【要約】
【課題】 開閉するドアへの接触を防止する機能を備えた車両用投射装置を提供する。
【解決手段】 本発明の車両用投射装置は、足等の挿入を検知するセンサ110と、車両のドアを開閉するドア開閉機構120と、制御部130と、画像を投射する投射部140と、駆動信号DV2により投射部140のアクチュエータを駆動する駆動部150とを含む。制御部130は、センサ110によって足等の検知が行われるとき、駆動部150を介して投射部140に検知位置Hを照射させ、センサ110により足等の挿入が検知されたとき、駆動部150を介して投射部140にドアの接触境界線地面位置Qを照射させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両周辺の物体を検知する検知手段と、
車両のドアを開閉する開閉手段と、
画像を投射する投射手段と、
制御手段とを含み、
前記制御手段は、前記検知手段により物体が検知されたとき前記開閉手段を介して車両のドアを開かせ、
前記制御手段は、前記検知手段による検知が行われるとき前記投射手段に前記検知手段の検知位置を照射させ、
前記制御手段は、前記検知手段により物体が検知されたとき前記投射手段に車両のドアの接触境界線位置を照射させる、車両用投射装置。
【請求項2】
前記投射手段は、光源と、当該光源からの光を集光するレンズとを備えた移動可能な照射ユニットを含み、
前記制御手段は、前記照射ユニットを第1の位置または第2の位置に移動させることで前記検知位置または前記接触境界線位置を選択的に照射させる、請求項1に記載の車両用投射装置。
【請求項3】
前記照射ユニットは、リング状のガイドレールに移動可能に取り付けられ、前記制御手段は、前記ガイドレースに沿って前記照射ユニットを第1の位置または第2の位置に移動させる、請求項2に記載の車両用投射装置。
【請求項4】
前記投射手段は、前記照射ユニットが第1の位置から第2の位置に移動されたときに前記照射ユニットを結合可能な補助ユニットを含み、前記補助ユニットは、前記照射ユニットから照射される光の光学特性を補正するためのレンズを含む、請求項2に記載の車両用投射装置。
【請求項5】
前記投射手段は、第1の位置に移動された前記照射ユニットからの光を反射する第1のミラーと、第2の位置に移動された前記照射ユニットからの光を反射する第2のミラーとを含む、請求項2に記載の車両用投射装置。
【請求項6】
前記投射手段は、光源と、当該光源からの光を集光するレンズとを備えた照射ユニットと、
前記照射ユニットからの光を反射する反射部材とを含み、
前記制御手段は、前記反射部材を第1の角度または第2の角度に変化させることで前記検知位置または前記接触境界線位置を選択的に照射させる、請求項1に記載の車両用投射装置。
【請求項7】
前記投射手段は、光源と、当該光源からの光を集光するレンズとを備えた照射ユニットと、
第1および第2の反射部材とを含み、
前記制御手段は、前記第1の反射部材を第1の位置に移動させることで前記照射ユニットからの光を前記第1の反射部材で反射させて前記検知位置を照射させ、前記第1の反射部材を第2の位置に移動させることで前記照射ユニットからの光を前記第2の反射部材で反射させて前記接触境界線位置を照射させる、請求項1に記載の車両用投射装置。
【請求項8】
前記照射ユニットは、前記光源と前記レンズとの間に画像を生成するためのマスクを含む、請求項2、6または7に記載の車両用投射装置。
【請求項9】
前記ドアは、車両のテールゲートである、請求項1に記載の車両用投射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載された投射装置に関し、特にドアが開くときの接触境界線位置とセンサによる検知位置とを照射する機能を備えた車両用投射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、自動車の下部に足等を挿入することによりリアゲートやスライドドアを開閉させるドア開閉装置において、足の検知位置を分かり易くするためLEDで検知位置を照明する技術を開示している。また、特許文献2の車両用表示装置は、ドアを開放する直前にLEDによってドアの外側の足元を照明し、ドアが開放されたときドアの内側の足元を照明する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3188820号公報
【特許文献2】特開2010-58543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動車のドア開閉は手動のみならず、リモコンやフットセンサなどを用いて自動で開閉する機構を搭載する車種がある。また、運転席のボタンを操作し、運転席にいながらテールゲート(自動車の後部のドア)を開けるような機能を搭載した車種も登場している。
【0005】
図1は、フットセンサを利用したテールゲートの自動開閉システムを説明する図である。車両Mの後部には、ユーザーの足等の挿入を検知するためのセンサ10と、センサ10の検知位置Hを分かり易く照明するためのLED20とが設けられている。LED20により照射された検知位置Hに足等が挿入されると、センサ10が足等の挿入を検知し、テールゲートTGが自動的に開くようになっている。
【0006】
テールゲートTGが開くとき、テールゲートTGが障害物に接触するか否か分からないため、テールゲートTGが障害物に接触しないように慎重に手などを添えながら開ける必要があり、こうした作業は煩雑である。特に、センサを利用した自動開閉の場合に注意が必要である。
【0007】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、開閉するドアへの接触を防止する機能を備えた車両用投射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る車両用投射装置は、車両周辺の物体を検知する検知手段と、車両のドアを開閉する開閉手段と、画像を投射する投射手段と、制御手段とを含み、前記制御手段は、前記検知手段により物体が検知されたとき前記開閉手段を介して車両のドアを開かせ、前記制御手段は、前記検知手段による検知が行われるとき前記投射手段に前記検知手段の検知位置を照射させ、前記制御手段は、前記検知手段により物体が検知されたとき前記投射手段に車両のドアの接触境界線位置を照射させる。
【0009】
ある態様では、前記投射手段は、光源と、当該光源からの光を集光するレンズとを備えた移動可能な照射ユニットを含み、前記制御手段は、前記照射ユニットを第1の位置または第2の位置に移動させることで前記検知位置または前記接触境界線位置を選択的に照射させる。ある態様では、前記照射ユニットは、リング状のガイドレールに移動可能に取り付けられ、前記制御手段は、前記ガイドレースに沿って前記照射ユニットを第1の位置または第2の位置に移動させる。ある態様では、前記投射手段は、前記照射ユニットが第1の位置から第2の位置に移動されたときに前記照射ユニットを結合可能な補助ユニットを含み、前記補助ユニットは、前記照射ユニットから照射される光の光学特性を補正するためのレンズを含む。ある態様では、前記投射手段は、第1の位置に移動された前記照射ユニットからの光を反射する第1のミラーと、第2の位置に移動された前記照射ユニットからの光を反射する第2のミラーとを含む。ある態様では、前記投射手段は、光源と、当該光源からの光を集光するレンズとを備えた照射ユニットと、前記照射ユニットからの光を反射する反射部材とを含み、前記制御手段は、前記反射部材を第1の角度または第2の角度に変化させることで前記検知位置または前記接触境界線位置を選択的に照射させる。ある態様では、前記投射手段は、光源と、当該光源からの光を集光するレンズとを備えた照射ユニットと、第1および第2の反射部材とを含み、前記制御手段は、前記第1の反射部材を第1の位置に移動させることで前記照射ユニットからの光を前記第1の反射部材で反射させて前記検知位置を照射させ、前記第1の反射部材を第2の位置に移動させることで前記照射ユニットからの光を前記第2の反射部材で反射させて前記接触境界線位置を照射させる。ある態様では、前記照射ユニットは、前記光源と前記レンズとの間に画像を生成するためのマスクを含む。ある態様では、前記ドアは、車両のテールゲートである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、投射手段に検知手段の検知位置と車両の接触境界線位置とを選択的に照射させるようにしたので、2つの光源および大口径のレンズを必要としない低コストの車両用投射装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】従来のドアの自動開閉システムの一例を説明する図である。
【
図2】本発明の実施例に係る車両用投射装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3(A)は、テールゲートの接触範囲を説明する側面図、
図3(B)は、テールゲートの接触範囲を説明する平面図である。
【
図4】検知位置とドア開閉境界とを表示する車両用投射装置の一例を示す図である。
【
図5A】本発明の第1の実施例に係る車両用投射装置の構成を示す図である。
【
図5B】本発明の第1の実施例に係る車両用投射装置の構成を示す図である。
【
図5C】本発明の第1の実施例に係る車両用投射装置の構成を示す図である。
【
図6】本発明の第2の実施例に係る車両用投射装置の構成を示す図である。
【
図7】本発明の第3の実施例に係る車両用投射装置の構成を示す図である。
【
図8】本発明の第4の実施例に係る車両用投射装置の構成を示す図である。
【
図9A】本発明の第4の実施例に係る車両用投射装置の構成を示す図である。
【
図9B】本発明の第4の実施例に係る車両用投射装置の構成を示す図である。
【
図9C】本発明の第4の実施例に係る車両用投射装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の実施の形態について説明する。本発明に係る車両用投射装置は、車両のドアを開閉させるとき、開閉するドアの接触範囲を視認することができるように、地面または路面上に特定の画像(例えば、マークや絵柄など)を投射ないし表示する機能を備えている。ある態様では、車両のテールゲート(車両のリアに設けられた開閉ドア)の接触範囲を示すための画像を投射するが、これ以外にも車両の前方座席に搭乗するためのドアや後方座席に搭乗するためのドアの接触範囲を示すための画像を投射することも可能である。
【実施例0013】
次に、本発明の実施例について図面を参照して詳細に説明する。
図2は、本発明の実施例に係る車両用投射装置の構成を示すブロック図である。本実施例の車両用投射装置100は、センサ110、ドア開閉機構120、制御部130、投射部140および駆動部150を含んで構成される。
【0014】
センサ110は、例えば、車両Mの後部においてユーザーの足等の挿入を検知するフットセンサであり、その検知結果を制御部130に提供する。ドア開閉機構120は、制御部130からの駆動信号DV1に応じてテールゲートの開閉を行う。ドア開閉機構120は、制御部130からの駆動信号DV1の他にも、例えば、ユーザーが操作するリモコンからの操作信号に応答してテールゲートを開閉したり、あるいは車内に設けられた開閉ボタンの操作信号に応答してテールゲートを開閉することも可能である。
【0015】
制御部130は、例えば、マイクロコントローラを用いて構成され、ROM/RAMに格納されたプログラムを実行することでドア開閉機構120、投射部140および駆動部150を制御する。制御部130は、例えば、ユーザーが車両周辺に存在するとき、あるいはユーザーが車両のドアを施錠または解錠したとき等に、投射部140にセンサ110の検知位置Hを照射させる。また、制御部130は、センサ110により足等の挿入が検知された場合には、投射部140にテールゲートの開閉時の接触境界線を表す位置を照射させ、さらに駆動信号DV1介してドア開閉機構120にテールゲートを開かせる。
【0016】
投射部140は、例えば車両後部の下方に取り付けられ、制御部130からの指示に応じて地面または路面に画像を投射する。投射部140は、その構成を特に限定するものではないが、発光ダイオードや半導体レーザー(レーザーダイオード)などの発光素子、あるいは画像を投射するプロジェクタなどを用いて構成される。投射する画像は、特に限定されないが、例えば、意匠やマークに限らずテキストのような文字を含むものであってもよい。投射部140はまた、後述するように、光源またはミラーを移動させるためのアクチュエータを含み、光源またはミラーを移動させることで検知位置Hと接触境界線位置の2つの位置を選択的に照射する機能を備える。
【0017】
駆動部150は、制御部130からの指示に応じて駆動信号DV2を投射部140に出力する。駆動信号DV2は、投射部140のアクチュエータを駆動し、光源またはミラーを移動させ、投射部140の照射位置を変化させる。
【0018】
次に、テールゲートの接触範囲について説明する。
図3(A)は、テールゲートTGが開閉するときの接触範囲を説明するための側面図、
図3(B)は、その平面図である。テールゲートTGは、車両Mの後部の上端部Eを中心に回転することで開閉され、このような開閉の動きをするテールゲートTGと接触する可能性のある接触範囲Sを模式的に破線で示している。接触範囲Sの車両Mから最も外側に離れた位置を通る垂線を接触境界線Pとし、この接触境界線Pが地面または路面と交差する点を接触境界線地面位置Qと定義する。
【0019】
図3(B)の平面図から見た場合、接触境界線Pが車両Mの後方において一様であると仮定し、接触範囲Sを矩形状で表している。この場合、接触境界線Pは、接触範囲Sの右側の1辺に対応する。接触境界線Pおよび接触境界線地面位置Qは、車両Mの構造上から既知であり、投射部140は、接触境界線地面位置Qに向けて光または画像が投射されるように取り付け位置や取り付け角度が調整される。
【0020】
制御部130は、テールゲートTGが開放されるとき、接触境界線地面位置Qを含む領域に画像170が照射されるように投射部140を制御する。ここでは一例として、三角形状のマークの画像170が接触境界線地面位置Qに照射される。照射される画像170のサイズは任意であるが、例えば、接触境界地面位置Qに一致するかそれを含むようなサイズで画像170が投射される。また、投射部140による照射時間は特に限定されないが、例えば、テールゲートTGが開いてから一定期間、あるいはテールゲートが開いてから閉じるまでの期間中である。
【0021】
このように、テールゲートTGの開放時にテールゲートTGの接触境界線地面位置Qに画像170を表示させるようにしたので、ユーザーは、当該画像170を視認することでテールゲートTGの接触位置を認識し、テールゲートTGへの障害物の接触を回避させることができる。特に、夜間などは地面に明るい画像が表示されることでユーザーの意識を画像に向けさせ、テールゲートへの接触を防止することができる。
【0022】
ここでは、車両のドアとしてテールゲートを例示したが、これは一例であり、他のドア(例えば、後部座席側のドア)の接触境界を示す地面位置に画像を投射することも可能である。また、テールゲートは、上下方向に回転するもの以外にも、水平方向に回転するテールゲートや、いわゆる観音開きするようなテールゲートであってもよい。
【0023】
次に、本実施例の車両用投射装置の投射部140について説明する。本実施例の投射部140は、センサ110の検知位置Hと接触境界線地面位置Qとの2つの位置を照射する機能を備える。
図4(A)は、検知位置Hと接触境界線地面位置Qとを照射するための一般的な構成を示している。車両後方の基部200には、リング状のガイドレール210が設けられ、ガイドレール210には、検知位置Hを照射するための第1の鏡筒220と、接触境界線地面位置Qを照射するための第2の鏡筒230とが固定される。第1および第2の鏡筒220、230のそれぞれは、概ね円筒状を有し、その内部空間にLED1、LED2、コリメートレンズA1、A2、マスクM1、M2、投射レンズB1、B2を収容する。マスクM1、M2は、所望の意匠、絵柄または文字などの画像を生成するための光学フィルターである。このような構成は、第1および第2の鏡筒220、230により2つの照射ユニットを備えるため投射部のコストが高くなる。
【0024】
図4(B)は、投射部の他の構成例である。支持部材212に取り付けられた1つの鏡筒240は、検知位置Hと接触境界線地面位置Qの2つの位置を同時に照射するように構成される。このような構成は、鏡筒240が検知位置Hと接触境界線地面位置Qとを照射するための大きな口径のレンズA、Bを必要とするため、コストが高くなる。
【0025】
そこで本実施例では、
図4(A)および
図4(B)に示すような投射部のコストを低減した改良された投射部を提供する。
図5Aないし
図5Cに、本発明の第1の実施例に係る投射部140Aの構成を示す。
【0026】
本実施例の投射部140Aは、リング状のガイドレース210に移動可能に取り付けられた鏡筒300と、ガイドレール210に固定された補助鏡筒310とを含む。鏡筒300は、1つの照射ユニットを構成し、その内部にLED、コリメートレンズA、マスクM、投射レンズBを収容する。補助鏡筒310は、鏡筒300を収容可能な内部空間を含み、された鏡筒300を収容したとき、鏡筒300から発せられる光の光学特性(例えば、焦点距離など)を補正する投射レンズ330を含む。
【0027】
鏡筒300は、例えば、歯車、リンク、モータ等のアクチュエータによってガイドレール210に移動可能に取り付けられる。アクチュエータは、駆動部150からの駆動信号DV2に応じて鏡筒300をガイドレール210上で移動させる。鏡筒300は、
図5Aに示すようにガイドレール210の第1の位置にあるとき検知位置Hを照射し、
図5Cに示すように第2の位置に移動されたとき接触境界線地面位置Qを照射する。第1の位置は、例えば、鏡筒300の光軸が鉛直となるような位置である。第2の位置は、補助鏡筒310の位置によって規定され、補助鏡筒310は、ガイドレール210上の所望の位置に角度調整ネジ320によって固定される。
【0028】
鏡筒300が第1の位置にあるとき、鏡筒300からの光によって検知位置Hが照射される。検知位置Hにユーザーの足等が挿入され、これがセンサ110によって検知されると、制御部130は、駆動部150を介して鏡筒300を第2の位置に移動させる。移動期間中、LEDを消灯させてもよい。鏡筒300が第2の位置に移動すると、鏡筒300が補助鏡筒310内に収容され、鏡筒300の光学機能と補助鏡筒310の光学機能とが結合され、接触境界線地面位置Qが照射される。このとき、投射レンズ330は、マスクMにより生成された画像が適切に表示されるように焦点距離等の光学特性を調整する。また、制御部130は、接触境界線地面位置Qへの照射が行われるや否や、駆動信号DV1を介してドア開閉機構120にテールゲートTGを開かせる。
【0029】
本実施例によれば、鏡筒300を移動可能に構成することで、1つの照明ユニットにより検知位置Hと接触境界線地面位置Qとの2つの位置を選択的に照射させることができ、投射部140Aのコストを低減することができる。
【0030】
次に、本発明の第2の実施例に係る投射部140Bの構成を
図6に示す。第2の実施例の投射部140Bは、光軸が概ね水平となるように支持部材212に固定された鏡筒300と、鏡筒300の前方に配置された平面ミラー400とを含む。平面ミラー400は、角度を可変することができ、平面ミラー400を駆動するためのアクチュエータは、基部200に接続された水平方向に延在する支持部材410と、支持部材410に角度調整ネジ420を介して接続された垂直方向に延在する支持部材430と、支持部材430の端部に取り付けられた歯車440と、歯車440と噛合するミラー角度制御モータ450と、駆動部150からの駆動信号DV2を伝送する信号ケーブル460とを含んで構成される。
【0031】
ミラー角度制御モータ450は、駆動部150からの駆動信号DV2に応じて歯車440を回転させ、これにより平面ミラー400の角度を変化させる。
図6(A)は、平面ミラー400が第1の角度にあり、鏡筒300からの光は、平面ミラー400によって反射され、検知位置Hを照射する。
図6(B)は、平面ミラー400が第2の角度にあり、鏡筒300からの光は、平面ミラー400によって反射され、接触境界線地面位置Qを照射する。
【0032】
本実施によれば、鏡筒300からの光を反射するミラーの角度を可変にすることで検知位置Hと接触境界線地面位置Qを選択的に照射することができ、2つの照射ユニットまたは大口径のレンズを必要としないため、コスト的に有利な構造である。
【0033】
次に、本発明の第3の実施例に係る投射部140Cの構成を
図7に示す。第3の実施例の投射部140Cは、光軸が概ね水平となるように支持部材212に固定された鏡筒300と、鏡筒300の前方に配置された2つの平面ミラー500A、500Bとを含む。基部200にL字型の支持部材510が取り付けられ、支持部材510の端部に角度調整ネジ520を介して平面ミラー500Bが取り付けられる。
【0034】
一方、平面ミラー500Aは、角度を可変することができ、平面ミラー500Aを駆動するためのアクチュエータは、支持部材510と、支持部材510に角度調整ネジ530を介して接続された垂直方向に延在するラックギア540と、ラックギア540の端部と平面ミラー500Aとを接続する角度調整ネジ550と、ラックギア540に噛合するピニオンギアを含むミラー角度制御モータ560と、駆動部150からの駆動信号DV2を伝送する信号ケーブル570とを含んで構成される。
【0035】
ミラー角度制御モータ560は、駆動部150からの駆動信号DV2に応じてピニオンギアを回転させ、これにより平面ミラー500Aを垂直方向に移動させる。
図7(A)は、平面ミラー500Aが第1の位置にあり、鏡筒300からの光は、平面ミラー500Aによって反射され、検知位置Hを照射する。
図7(B)は、平面ミラー500Aが上方の第2の位置に移動され、鏡筒300からの光は、平面ミラー500Aに干渉することなく平面ミラー500Bによって反射され、接触境界線地面位置Qを照射する。
【0036】
本実施例によれば、鏡筒300からの光を反射するミラーの位置を可変にすることで検知位置Hと接触境界線地面位置Qを選択的に照射することができ、2つの光源または大口径のレンズを必要とせず、コスト的に有利な構造である。
【0037】
次に、本発明の第4の実施例に係る投射部140Dについて説明する。
図8(A)は、第4の実施例に係る投射部140Dの概略側面図、
図8(B)は、第1の鏡筒600の内部構成を示す斜視図、
図9A~
図9Cは、投射部140Dを底面側から見た模式図であり、第2の鏡筒610の水平方向の移動により光路の切替えが行われる様子を示している。
【0038】
投射部140Dは、
図8(A)に示すように、光軸が概ね水平となるように支持部材212に固定された第1の鏡筒600と、第1の鏡筒600内を光軸と直交する水平方向Hに移動可能な第2の鏡筒610と、第1および第2の鏡筒600、610の前方に配置された2つの第1および第2の平面ミラー620A、620Bとを含んで構成される。基部200には、水平方向に延在する支持部材630が取付けられ、支持部材630には、角度調整ネジ642を介して鉛直方向に延在する支持部材640が取り付けられ、支持部材640の端部には、角度調整ネジ644を介して第1の平面ミラー620Aが取り付けられる。また、支持部材630には、角度調整ネジ652を介して鉛直方向に延在する支持部材650が取り付けられ、支持部材650の端部には、角度調整ネジ654を介して第2の平面ミラー620Bが取り付けられる。
【0039】
第1の鏡筒600は、
図8(B)に示すように、概ね矩形状を有し、その内部空間に第2の鏡筒610と、2組のマスクM1、M2、2組の投射レンズB1、B2とを収容する。マスクM1は、検知位置Hを照射するときの絵柄やテキストなどの画像を生成し、マスクM2は、接触境界線地面位置Qを照射するときの絵柄やテキストなどの画像を生成する。
【0040】
第2の鏡筒610は、第1の鏡筒600内で水平方向Hに移動可能な矩形状を有し、その内部空間にLEDとコリメートレンズAとを収容する。第2の鏡筒610を水平方向Hに移動させるためのアクチュエータは、伝送ケーブル670を介して駆動部150に電気的に接続されたモータ660と、モータ660の回転軸に接続されたピニオンギア680と、第2の鏡筒610に取り付けられ、ピニオンギア680と噛合するラックギア690とを含んで構成される。
【0041】
駆動信号DV2に応答してピニオンギア680を回転させることで、第2の鏡筒610は、光軸がマスクM1、投射レンズB1に整合する第1の位置と、光軸がマスクM2、投射レンズB2に整合する第2の位置との間で移動する。
図8(B)は、第2の鏡筒610が第1の位置にある状態を示しており、このとき、第2の鏡筒610のLEDから発せられた光は、コリメートレンズA、マスクM1、投射レンズB1を通り、第1の平面ミラー620Aによって反射され、検知位置Hを照射する。また、第2の鏡筒610が第2の位置に移動されたとき、第2の鏡筒610から発せられた光は、コリメートレンズA、マスクM2、投射レンズB2を通り、第2の平面ミラー620Bによって反射され、接触境界線地面位置Qを照射する。
【0042】
図9Aは、第2の鏡筒610が第1の位置にあり、LEDから発せられた光は、レンズA、マスクM1、投射レンズB1、第1の平面ミラー620Aの光路を進み、検知位置Hを照射する。センサ110によって検知位置Hに進入するユーザーの足等が検知されると、制御部130は、例えばLEDを一旦消灯させ、駆動部150を介して第2の鏡筒610を水平方向Hに移動させる。
図9Bは、この様子を示している。制御部130は、
図9Cに示すように、駆動部150を介して第2の鏡筒610を第2の位置に移動させ、そこでLEDを再点灯させる。これにより、LEDから発せられた光は、レンズA、マスクM2、投射レンズB2、第2の平面ミラー620Bの光路を進み、接触境界線地面位置Qを照射する。
【0043】
本実施例によれば、第2の鏡筒610を水平方向に移動させることで、マスクM1および投影レンズB1を通る経路と、マスクM2および投射レンズB2を通る光路の切替えを行うようにしたので、それぞれの光路においてマスクM1、M2により生成される画像に変化をつけることができ、投射レンズB1、B2による光学特性にも変化をつけることができる。また、第2の鏡筒610の光源を2つの光路に共用するため、2つの光源または大口径のレンズを必要とせず、低コスト化を図ることができる。
【0044】
上記実施例では、鏡筒は、LED、コリメートレンズA、マスクM、投射レンズBを含む例を示したが、これは一例であり、鏡筒の形状、サイズ、内部に収容される光学部品の数や種類は、目的とする光源に応じて適宜変更することが可能である。例えば、鏡筒は、レンズ以外にプリズムなどを含むものであってもよい。また、上記実施例で示したアクチュエータの構成は一例であり、必ずしもそのような構成に限定されるものではない。さらに上記実施例は、光学部材として平面ミラーを用いたが、これに代えて凹面鏡や凸面鏡を用いるようにしてもよい。
【0045】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲において、種々の変形、変更が可能である。