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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166091
(43)【公開日】2023-11-21
(54)【発明の名称】冷却服
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/005 20060101AFI20231114BHJP
   A41D 13/002 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
A41D13/005 103
A41D13/002 105
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022076865
(22)【出願日】2022-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】396018335
【氏名又は名称】中西 雄三
(74)【代理人】
【識別番号】100154014
【弁理士】
【氏名又は名称】正木 裕士
(74)【代理人】
【識別番号】100154520
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 祐子
(72)【発明者】
【氏名】中西 雄三
【テーマコード(参考)】
3B011
3B211
【Fターム(参考)】
3B011AA01
3B011AB01
3B011AC02
3B211AA01
3B211AB01
3B211AC02
(57)【要約】
【課題】コンパクトで軽量であり、しかも、安価で、素早く使える冷却服を提供する。
【解決手段】着用者Mが着用する着衣2と、
液体が循環する流路を収容する第1収容部3と、
液体を循環させる電動ポンプユニット(電動ポンプ11,ポータブル電源12)を収容する第2収容部4と、
流路と連通し、液体を収容する液体収容容器13を収容する第3収容部とを有し、
着衣2には、第1収容部3と、第2収容部4と、第3収容部5が一体的に設けられている。そして、連通孔23内を通して第3収容部内に液体収容容器13を挿入し、且つ、第3収容部内から連通孔23を通して液体収容容器13を抜出できるようになっている。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者が着用する着衣と、
液体が循環する流路を収容する第1収容部と、
前記液体を循環させる電動ポンプユニットを収容する第2収容部と、
前記流路と連通し、前記液体を収容する液体収容容器を収容する第3収容部とを有し、
前記着衣には、前記第1収容部と、前記第2収容部と、前記第3収容部が一体的に設けられている冷却服。
【請求項2】
前記第3収容部は、前記着衣の背面側に一体的に設けられ、
前記着衣の側部には、前記第3収容部内と連通する連通孔が設けられ、
前記連通孔内を通して前記第3収容部内に前記液体収容容器を挿入し、且つ、前記第3収容部内から前記連通孔を通して前記液体収容容器を抜出できるようになっている請求項1に記載の冷却服。
【請求項3】
前記液体収容容器は、鉛直上下方向と直交する側周面が弧状に湾曲してなる請求項2に記載の冷却服。
【請求項4】
前記液体収容容器は、鉛直上下方向がS字状に湾曲してなる請求項2に記載の冷却服。
【請求項5】
前記液体収容容器の口部には、先端側外周面にネジ部が設けられ、基端側外周面に該ネジ部が設けられず平坦面になっている請求項1に記載の冷却服。
【請求項6】
前記液体収容容器には、取っ手部が設けられてなる請求項1に記載の冷却服。
【請求項7】
前記液体収容容器には、氷が挿入可能な挿入口が設けられてなる請求項1に記載の冷却服。
【請求項8】
前記第3収容部には、前記連通孔と異なる位置に前記第3収容部内を閉止又は開放可能な開閉部が設けられてなる請求項2に記載の冷却服。
【請求項9】
前記液体収容容器と前記流路とを連通する際に使用されるチューブをさらに有し、
前記チューブには、前記液体を止水する止水部材が設けられてなる請求項1に記載の冷却服。
【請求項10】
前記着衣の下部には、ベルトが設けられてなる請求項1に記載の冷却服。
【請求項11】
前記着衣は、前身頃と後身頃とで形成され、
前記前身頃と前記後身頃とは、それぞれ、内部に空洞ができるように形成され、
前記空洞には、水冷板と断熱材が設けられ、
前記水冷板は、前記着衣の裏面にくるように配置され、
前記断熱材は、前記着衣の表面にくるように配置されてなる請求項1に記載の冷却服。
【請求項12】
前記着衣の内部には、少なくとも各種書類や携帯電話を収容できる第4収容部が一体的に設けられてなる請求項1に記載の冷却服。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却服に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、冷却服に冷却通路を形成し、その冷却通路に水などの液体を流すことによって冷却服を着た人の暑さを軽減する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載の発明は、循環水を流す流路を形成した液体路と、液体路を身体に巻き付けた状態と巻き付けを解いた状態を選択する着脱部材とを有し、液体路、小さい凹凸が形成された凹凸シートを少なくとも1枚含んで複数枚のシートを重ね合わせ、その一部を平面的に融着させて形成した融着部と、融着部の間において融着されずに形成された流路部とを有し、液体路を融着部と流路部とを平面的に広がりを持って配置するようにしているものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-90947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の技術は、安価で実用的な冷却服を提供することができるものの、液体を収容する液体収容容器(例えば、ペットボトル)と、液体を循環させる電動ポンプや電源などの電動ポンプユニットを腰カバンのような形態で腰に巻いたり、リュックサックのような形態で背負ったりしなければならないという問題があった。すなわち、冷却服とは、別に、液体収容容器と、電動ポンプユニットとを入れる入れ物が必要であるという問題があった。そのため、建築現場などで働いている作業員が使用した際、その入れ物が邪魔になって、作業性が悪くなる可能性があるという問題があった。それゆえ、市場の多方面からの要望により、コンパクトで軽量であり、しかも、安価で、素早く使える冷却服が求められていた。
【0005】
そこで、本発明は、上述の問題に鑑み、コンパクトで軽量であり、しかも、安価で、素早く使える冷却服を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記本発明の目的は、以下の手段によって達成される。なお、括弧内は、あくまで、後述する実施形態の参照符号を付したものであり、本発明はこれに限定されるものではない。
【0007】
請求項1の発明によれば、着用者(M)が着用する着衣(2)と、
液体が循環する流路(循環型液体路10)を収容する第1収容部(3)と、
前記液体を循環させる電動ポンプユニット(電動ポンプ11,ポータブル電源12)を収容する第2収容部(4)と、
前記流路(循環型液体路10)と連通し、前記液体を収容する液体収容容器(13)を収容する第3収容部(5)とを有し、
前記着衣(2)には、前記第1収容部(3)と、前記第2収容部(4)と、前記第3収容部(5)が一体的に設けられていることを特徴としている。
【0008】
請求項2の発明によれば、上記請求項1に記載の冷却服において、前記第3収容部(5)は、前記着衣(2)の背面側に一体的に設けられ、
前記着衣(2)の側部(左側部21b)には、前記第3収容部(5)内と連通する連通孔(23)が設けられ、
前記連通孔(23)内を通して前記第3収容部(5)内に前記液体収容容器(13)を挿入し、且つ、前記第3収容部(5)内から前記連通孔(23)を通して前記液体収容容器(13)を抜出できるようになっていることを特徴としている。
【0009】
請求項3の発明によれば、上記請求項2に記載の冷却服において、前記液体収容容器(13)は、鉛直上下方向と直交する側周面(前面13c,背面13d)が弧状に湾曲してなることを特徴としている。
【0010】
請求項4の発明によれば、上記請求項2に記載の冷却服において、前記液体収容容器(13)は、鉛直上下方向がS字状に湾曲してなることを特徴としている。
【0011】
請求項5の発明によれば、上記請求項1に記載の冷却服において、前記液体収容容器(13)の口部(13j)には、先端(13ja)側外周面にネジ部(13ja1)が設けられ、基端(13jb)側外周面に該ネジ部(13ja1)が設けられず平坦面(13jb1)になっていることを特徴としている。
【0012】
請求項6の発明によれば、上記請求項1に記載の冷却服において、前記液体収容容器(13)には、取っ手部(第1取っ手部13g,第2取っ手部13h)が設けられてなることを特徴としている。
【0013】
請求項7の発明によれば、上記請求項1に記載の冷却服において、前記液体収容容器(13)には、氷が挿入可能な挿入口(図示せず)が設けられてなることを特徴としている。
【0014】
請求項8の発明によれば、上記請求項2に記載の冷却服において、前記第3収容部(5)には、前記連通孔(23)と異なる位置に前記第3収容部(5)内を閉止又は開放可能な開閉部(ファスナー50)が設けられてなることを特徴としている。
【0015】
請求項9の発明によれば、上記請求項1に記載の冷却服において、前記液体収容容器(13)と前記流路(循環型液体路10)とを連通する際に使用されるチューブ(排出チューブTb,供給チューブTe)をさらに有し、
前記チューブ(排出チューブTb,供給チューブTe)には、前記液体を止水する止水部材(チューブクリップ16)が設けられてなることを特徴としている。
【0016】
請求項10の発明によれば、上記請求項1に記載の冷却服において、前記着衣(2)の下部には、ベルト(15)が設けられてなることを特徴としている。
【0017】
請求項11の発明によれば、上記請求項1に記載の冷却服において、
前記着衣(2)は、前身頃(20)と後身頃(21)とで形成され、
前記前身頃(20)と前記後身頃(21)とは、それぞれ、内部に空洞(図示せず)ができるように形成され、
前記空洞(図示せず)には、水冷板(図示せず)と断熱材(図示せず)が設けられ、
前記水冷板(図示せず)は、前記着衣(2)の裏面にくるように配置され、
前記断熱材(図示せず)は、前記着衣(2)の表面にくるように配置されてなることを特徴としている。
【0018】
請求項12の発明によれば、上記請求項1に記載の冷却服において、前記着衣(2)の内部には、少なくとも各種書類や携帯電話を収容できる第4収容部(6)が一体的に設けられてなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
次に、本発明の効果について、図面の参照符号を付して説明する。なお、括弧内は、あくまで、後述する実施形態の参照符号を付したものであり、本発明はこれに限定されるものではない。
【0020】
請求項1に係る発明によれば、液体が循環する流路(循環型液体路10)を収容する第1収容部(3)と、液体を循環させる電動ポンプユニット(電動ポンプ11,ポータブル電源12)を収容する第2収容部(4)と、流路(循環型液体路10)と連通し、液体を収容する液体収容容器(13)を収容する第3収容部(5)とが、着衣(2)に一体的に設けられている。それゆえ、一体化、すなわち、オールインワンにすることができ、上記説明した従来の冷却服とは、別に、液体収容容器と、電動ポンプユニットを収容した腰カバンのような形態で腰に巻いたものや、リュックサックのような形態で背負ったりするものが不要となる。したがって、本発明によれば、コンパクトで軽量であり、しかも、安価で、素早く使える冷却服を提供することができる。さらに、本発明の冷却服(1)は、電動ポンプユニット(電動ポンプ11,ポータブル電源12)を素早く取り出することができるため、冷却服(1)を洗濯することができる。また、電動ポンプユニット(電動ポンプ11,ポータブル電源12)を冷却服(1)から素早く取り出すことができるため、メンテンナンス作業も容易となる。
【0021】
請求項2に係る発明によれば、第3収容部(5)は、着衣(2)の背面側に一体的に設けられているから、液体収容容器(13)は、着用者(M)の体の重心に近い位置にあるため、従来の液体収容容器と同じ重さであっても、軽く感じ、従来よりも着用者(M)に軽快感を付与することができる。また、この液体収容容器(13)を、連通孔(23)内を通して第3収容部(5)内に挿入し、且つ、第3収容部(5)内から連通孔(23)を通して抜出できるようになっているから、液体収容容器(13)を第3収容部(5)内に挿入する作業及び液体収容容器(13)を第3収容部(5)内から抜出する作業を、着用者(M)は着衣(2)をわざわざ脱がなくとも着たまま一人で全ての作業を完結させることできる。
【0022】
請求項3に係る発明によれば、液体収容容器(13)は、鉛直上下方向と直交する側周面(前面13c,背面13d)が弧状に湾曲している、すなわち、液体収容容器(13)を三日月型に形成している。これにより、簡単に、液体収容容器(13)を着用者(M)の身体に沿って進入、進出することができるため、引っ掛からずに交換作業を行うことができる。すなわち、液体収容容器(13)を、連通孔(23)内を通して第3収容部(5)内に挿入し、且つ、第3収容部(5)内から連通孔(23)を通して抜出する際、引っ掛からずに着用者(M)の身体に沿って行うことができる。そのため、短時間で、液体収容容器(13)の交換作業が可能となる。
【0023】
請求項4に係る発明によれば、液体収容容器(13)は、鉛直上下方向がS字状に湾曲しているから、S字状に曲がっている背骨にS字状の湾曲部分がフィットし、身体の一部として同化される。これにより、着用者(M)にフィットすることとなる。さらに、外部から見た時の着用者(M)のシルエットに違和感がないため、意匠性に優れる。すなわち、冷却服(1)は、通常は下着として着用するため、作業着などを上着として着用した場合の違和感を無くすることができる。
【0024】
請求項5に係る発明によれば、液体収容容器(13)の口部(13j)には、先端(13ja)側外周面にネジ部(13ja1)が設けられ、基端(13jb)側外周面に該ネジ部(13ja1)が設けられず平坦面(13jb1)になっているから、ハイブリット化することができる。すなわち、螺合キャップ(14A)やおしゃぶり栓と呼ばれているOリングキャップ(14B)やコルクやOリングに限らない他の栓など、着用者(M)は複数の選択肢から、着用者自身の用途に応じた使用が可能となる。なお、螺合キャップ(14A)は、開閉に時間がかかるものの、Oリングキャップ(14B)は、素早く液体収容容器(13)の交換を行うことができる。
【0025】
請求項6に係る発明によれば、液体収容容器(13)には、取っ手部(第1取っ手部13g,第2取っ手部13h)が設けられているから、着用者(M)は、液体収容容器(13)を掴みやすく滑らずに使用することができる。これにより、着用者(M)は、簡単容易に、第3収容部(5)内に液体収容容器(13)を、挿入及び抜出することができる。
【0026】
請求項7に係る発明によれば、液体収容容器(13)には、氷が挿入可能な挿入口(図示せず)が設けられている。これにより、長距離のツーリングなどで使用した際、宿泊先で液体収容容器(13)を凍らすことができない場合などの緊急時に、コンビニエンスストアやスーパーマーケット等で市販されているかち割り氷を入れてすぐ使用(チャージ)したいという着用者(M)の要望に応えることができる。
【0027】
請求項8に係る発明によれば、第3収容部(5)には、連通孔(23)と異なる位置に第3収容部(5)内を閉止又は開放可能な開閉部(ファスナー50)が設けられているから、着用者(M)が手を離せない等の事情があったとしても、第三者である補助者(MA)の手を借りて、液体収容容器(13)の交換作業が可能となる。また、着用者(M)が着衣(2)を着用前に第3収容部(5)内に液体収容容器(13)を挿入しておきたい場合にも利用することができる。また、第3収容部(5)に開閉部(ファスナー50)を設けておけば、洗濯時に乾燥させる際、開放して乾燥を促進させることができる。
【0028】
請求項9に係る発明によれば、リターン水が外部に漏れだす事態を低減させることができる。すなわち、液体収容容器(13)を交換する際、液体収容容器(13)の口部(13j)からキャップ(14C)を取り外すが、この際、冷却服(1)の運転停止直後には、着衣(2)の内圧がかかっており、瞬時に水流を止めるのは難しい。そのため、チューブ(排出チューブTb,供給チューブTe)に止水部材(チューブクリップ16)を設けるようにしている。これにより、リターン水が外部に漏れだす事態を低減させることができる。
【0029】
請求項10に係る発明によれば、着衣(2)の下部には、ベルト(15)が設けられている。これにより、液体収容容器(13)が着用者(M)側により密着することができる。したがって、着用者(M)側に液体収容容器13を密着させることで、重量を体圧分散することができるから、重量がある液体収容容器(13)を安定的に装備することができる。
【0030】
請求項11に係る発明によれば、着衣(2)の裏面(着用者Mの体に近い方)には、水冷板(図示せず)が設けられ、着衣(2)の表面(着用者Mの体に遠い方)には、断熱材(図示せず)が設けられているから、無駄な熱逃げを防止することができる。これにより、冷却時間を延ばすことができる。特に、自動二輪車を使用する際に効果的で、走行風により冷気の逃げを改善することができる。
【0031】
請求項12に係る発明によれば、本冷却服(1)のみで現場に出る場合など、スマートフォンなどの携帯電話や図面などの各種書類、タオル、飲み物などを、第4収容部(6)に収容することができる。これにより、酷暑時に薄着になれることから、利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の一実施形態に係る冷却服を着用者が着用した一例を示す斜視図である。
図2】同実施形態に係る着衣の裏面を示す正面図を示し、(a)は左第1収容部と、右第1収容部とを巻き付ける前の状態を示し、(a)は左第1収容部と、右第1収容部とを巻き付けた後の状態を示す図である。
図3】同実施に係る電動ポンプの斜視図である。
図4】同実施形態に係る液体収容容器を示し、(a)は斜視図、(b)は平面図である。
図5】同実施形態に係る液体収容容器を示し、(a)は正面図、(b)は(a)に示すA-A線断面である。
図6】(a)は同実施形態に係る液体収容容器の口部にペットボトルのキャップを取り付けようとしている状態を示し、(b)は同実施形態に係る液体収容容器の口部におしゃぶり栓と呼ばれているキャップを取り付けようとしている状態を示し、(c)は同実施形態に係る液体収容容器の口部に、冷却服を使用する際のキャップを取り付けようとしている状態を示す図である。
図7】同実施形態に係る液体収容容器を着用者が第3収容部の空洞内に収容しようとしている状態を示す斜視図である。
図8】同実施形態に係る冷却服を着用者が着用した状態を示す正面側斜視図である。
図9】同実施形態に係る冷却服を着用者が着用した状態を示す背面側斜視図である。
図10】同実施形態に係る冷却服を着用した着用者が前かがみになっている状態を示す照面側斜視図である。
図11】同実施形態に係る液体収容容器を背面から第3収容部の空洞内に挿入又は抜出する状態を説明する斜視図である。
図12】(a)は同実施形態に係るチューブクリップを用いてチューブを止水する前の状態を示す斜視図、(b)は同実施形態に係るチューブクリップを用いてチューブを止水している状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に、本発明に係る冷却服の一実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。なお、以下の説明において、上下左右の方向を示す場合は、図示正面から見た場合の上下左右をいうものとする。
【0034】
本実施形態に係る冷却服は、冷却服を着た人の暑さを軽減することができるものであって、ポリウレタンとナイロンを掛け合わせた素材などで形成され、伸縮性が良く通気性が良い素材で形成されている。具体的には、図1に示すように、冷却服1は、着衣2と、第1収容部3と、第2収容部4と、第3収容部5(図9参照)とで、主に構成され、第1収容部3と、第2収容部4と、第3収容部5(図9参照)とは、着衣2に縫着されることによって、着衣2に一体的に形成されている。以下、各構成について具体的に説明することとする。
【0035】
<着衣の説明>
着衣2は、本実施形態においては、ベスト型のタイプを例示しており、図1に示す前身頃20と、図9に示す後身頃21とで、構成され、この前身頃20及び後身頃21はそれぞれ内部に空洞ができるように形成されている。そして、前身頃20と、後身頃21とは、図1に示すように、縫着2aされることによって一体的に形成されている。一方、前身頃20は、図1に示すように、右前身頃20Aと、左前身頃20Bと、で構成されており、図2(b)に示すように、右前身頃20Aの裏面(着用者M側)には、中央部よりやや上側面20Aa側から、下側面20Ab側に向かって、縦長矩形状の第4収容部6が縫着されて設けられている。この第4収容部6は、ポケット状に形成され、建築現場などで働いている作業員が図面を持参して作業できるように、A4の図面を折り曲げずに収容できるぐらいの大きさになっている。それゆえ、着用者は、図面などの各種書類やスマートフォンなどの携帯電話、タオル、飲み物などを第4収容部6に収容することができる。これにより、酷暑時に薄着になれることから、利便性が向上することとなる。
【0036】
かくして、このように構成される着衣2は、図1に示すように、着用者Mが袖を通して着用できるようになっている。なお、図示はしていないが、着衣2の内部には、水冷板と共に断熱材が設けられており、水冷板が着用者Mの体に近い方(着衣2の裏面)に、断熱材が着用者Mの体に遠い方(着衣2の表面)にくるように設けられている。これにより、無駄な熱逃げを防止することができ、冷却時間を延ばすことができる。特に、自動二輪車を使用する際に効果的で、走行風により冷気の逃げを改善することができる。
【0037】
<第1収容部の説明>
第1収容部3は、図2(a)に示すように、左第1収容部30と、右第1収容部31と、で構成されている。左第1収容部30は、正面視略L字状に形成されると共に内部に空洞ができるように形成されており、右側部30aが、後身頃21の裏面(着用者M側)中央部分に縫着され、左側部30b側の上側面30c及び下側面30d側の他方の面(図2(a)では裏面)に一対の面ファスナー32が設けられている。また、右第1収容部31は、正面視略L字状に形成されると共に内部に空洞ができるように形成されており、左側部31aが、左第1収容部30と線対称となるように後身頃21の裏面(着用者M側)中央部分に縫着され、右側部31b側の上側面30c及び下側面30d側の一方の面(図2(a)では表面)に一対の面ファスナー32が設けられている。なお、左第1収容部30及び右第1収容部31の空洞内には、それぞれ、上記特許文献1に記載した循環型液体路10が収容されている。この循環型液体路10については、上記特許文献1に記載した内容であるため詳しくは説明しないが、水などの液体を循環できるようになっている。また、循環型液体路10には、図1及び図2に示す液体を供給する供給チューブTaと、液体を排出する排出チューブTbとが接続されている。そして、この供給チューブTa及び排出チューブTbは、後身頃21の空洞内を通って、図2に示すように、後身頃21の下側面21aから外部に露出されている。なお、供給チューブTaと排出チューブTbとを、後身頃21の下側面21aから外部に露出させているのは、上記説明した従来の液体収容容器と電動ポンプユニットを使用したいという着用者が仮にいたとしても、その要望に応えられるように、後身頃21の下側面21aから供給チューブTa及び排出チューブTbを外部に露出させているものである。
【0038】
ところで、面ファスナー32と面ファスナー33とは、係止できるようになっている。そのため、面ファスナー32と面ファスナー33とを係止させるべく、図2(a)に示す矢印Y1方向に左第1収容部30を移動させ、図2(a)に示す矢印Y2方向に右第1収容部31を移動させるようにすれば、面ファスナー32と面ファスナー33とが係止され、これによって、図2(b)に示すように、右第1収容部31上に左第1収容部30が重ね合わさることとなる。これにより、図1に示すように、着用者Mの胴部分に左第1収容部30及び右第1収容部31が巻き付けられることとなり、これによって、左第1収容部30及び右第1収容部31の空洞内にそれぞれ収容されている循環型液体路10も、着用者Mの胴部分に巻き付けられることとなる。
【0039】
<第2収容部の説明>
第2収容部4は、図2(b)に示すように、左第1収容部30の他方の面(図2(b)では表面)に縫着されて設けられている。より詳しく説明すると、図2(b)に示すように、左第1収容部30の左側部30b側に、複数(図示では、5個を例示)のポケット状の小型収容部40が左第1収容部30の他方の面(図2(b)では表面)に縫着されて設けられている。そして、この小型収容部40のうちの一つに、図1に示すように、電動ポンプ11が収容され、また、この小型収容部40のうちの一つに、図1に示すように、スマートフォンなどの携帯電話などを充電できる市販のポータブル電源12が収容されている。したがって、このようにすれば、上記説明した従来のように、冷却服とは、別に、電動ポンプユニットを収容した腰カバンのような形態で腰に巻いたものや、リュックサックのような形態で背負ったりするものが不要となる。
【0040】
<電動ポンプの説明>
ところで、電動ポンプ11は、循環型液体路10より排出された液体を再び循環型液体路10内に供給できるように、液体を循環させる役割を担うものである。具体的には、図3に示すように、例えば、円柱状のダイヤフラムポンプにて形成され、この電動ポンプ11の下部は、端子カバー11a内に嵌め込まれている。この端子カバー11aは、電動ポンプ11の電線に半田した端子をカバーするものであって、小型収容部40に電動ポンプ11を収容しやくする役割を担うものである。また、電動ポンプ11には、図3に示すように、USBケーブル11bが取り付けられており、このUSBケーブル11bの中間部分には、スイッチ11cが設けられている。そして、このUSBケーブル11bは、図1に示すポータブル電源12に差し込むことができるようになっている。これにより、電動ポンプ11を駆動するための電源を、ポータブル電源12からUSBケーブル11bを介して供給できることとなる。したがって、従来であれば、電動ポンプ11を駆動するための電源を供給するために専用バッテリや充電器セットを必要としたが、本実施形態によれば、USBケーブル11bを用いることにより、市販のポータブル電源12を使用することが可能となり、これによって、低価格を実現することができる。また、このような市販のポータブル電源12を用いることにより、電動ポンプ11を駆動させながら、第4収容部6に収容している携帯電話を充電することも可能となる。
【0041】
<第3収容部の説明>
第3収容部5は、図9に示すように、矩形状に形成され、後身頃21の表面(着用者Mより外側)に、図2(b)及び図9に示す後身頃21の左側部21bから右側部21cに亘って、図9に示すように着用者Mの背中中央部分から腰辺りにかけて、縫着されて設けられている。この第3収容部5は、内部が空洞となっており、図4(a)に示すような液体収容容器13を収容できるようになっている。そして、この第3収容部5は、ダブルラッセルネットと、外装ナイロン生地と、保冷生地とからなる3層構造となっている。なお、ダブルラッセルネットは、着用者Mとのクッション性と通気性の役割を担い、外装ナイロン生地は、液体収容容器13を保持する役割を担っている。
【0042】
また、第3収容部5は、図9に示す左側部5aが閉止され、右側部5b(図11も参照)が開放されている。そして、図1に示すように、後身頃21の左側部21bに、左第1収容部30の幅(図示上下方向)よりも高さの長い連通孔23が設けられており、この連通孔23と、開放されている第3収容部5の右側部5bが連通されるようになっている。これにより、図1に示すように、連通孔23内を通して、液体収容容器13を第3収容部5の空洞内に挿入することができ、これによって、液体収容容器13を第3収容部5内に収容できることとなる。なお、この点の利点などの詳細は後述することとする。
【0043】
また一方、第3収容部5は、図9に示すように、上部5c側に長手方向(左右方向)に沿って、ファスナー50(図10図11も参照)が設けられている。このファスナー50を開閉することにより、第3収容部5の空洞を外部に露出したり隠蔽したりすることができる。それゆえ、図11に示すように、ファスナー50を開放すると、このファスナー50部分から、液体収容容器13を第3収容部5の空洞内に挿入することができ、これによって、液体収容容器13を第3収容部5内に収容できることとなる。したがって、液体収容容器13を第3収容部5の空洞内に挿入する方法は、2つの方法が存在することとなる。なお、この点の利点などの詳細は後述することとする。
【0044】
<液体収容容器の説明>
ところで、液体収容容器13は、水などの液体を収容することができるように内部が空洞になっており、さらに、ポリエチレン等で形成され、図4(a)に示すように三日月型に形成されている。このような液体収容容器13は、例えば、容量2リットルの液体を収容できるようになっており、そのうち、氷の容量は約1.7リットル使用できるようなっている。具体的には、図5(a)に示すように、正面視略矩形状となっており、図4(b)に示すように、右側部13aから左側部13bに向かって、前面13c及び背面13dが共に弧状に湾曲して形成されている。さらに、液体収容容器13の前面13cは、図5(b)に示すように、液体収容容器13の上側部13eから下側部13fに向かって、S字状に湾曲して形成されている。
【0045】
また、この液体収容容器13の前面13c及び背面13dには、図4(a)及び図5(a)に示すように、左側部13b側に、凹み縦長楕円状の第1取っ手部13gが設けられている。そしてさらに、液体収容容器13の前面13c及び背面13dには、図4(a)及び図5(a)に示すように、上側部13e側に、凹み横長楕円状の第2取っ手部13hが設けられている。またさらに、液体収容容器13の前面13c及び背面13dには、図4(a)及び図5(a)に示すように、略中央部分に、補強リブの役割を担う複数の凹み楕円状の補強リブ13iが設けられている。なお、第1取っ手部13g及び第2取っ手部13hは、補強リブとしての役割も備えている。
【0046】
また一方、図4(a)及び図5(a)に示すように、液体収容容器13の左側部13bの上側部13e側には、水などの液体を液体収容容器13内に注入することができる口部13jが設けられている。この口部13jは、図6に示すように、先端13ja側外周面にネジ部13ja1が設けられ、基端13jb側外周面にネジ部13ja1が設けられておらず、平坦面13jb1になっている。これにより、口部13jを利用して水などの液体を液体収容容器13内に注入し、口部13jを閉止し、冷凍室内で液体収容容器13を凍らせ、水などの液体を凍らせる際、例えば、図6(a)に示すような、市販のペットボトルキャップである螺合キャップ14Aをネジ部13ja1に螺合させれば、口部13jを閉止することができる。また、図6(b)に示すような、おしゃぶり栓と呼ばれているOリングキャップ14Bを、取っ手部14Baを用いて止水部14Bbを口部13j内に挿入すれば、止水部14Bbが平坦面13jb1の内周面に密着し、これによって、口部13jを閉止することができる。なお、キャップ14Bを、取り外す際は、取っ手部14Baに指を引っ掛けて取っ手部14Baを引っ張れば取り外しできるようになっている。
【0047】
一方、冷凍室内で液体収容容器13を凍らせた後、図6(c)に示すようなキャップ14Cを用いて、供給チューブTc及び排出チューブTdが設けられている止水部14Caを口部13j内に挿入すれば、止水部14Caが平坦面13jb1の内周面に密着し、これによって、口部13jを閉止することができる。
【0048】
ところで、本実施形態においては、おしゃぶり栓と呼ばれているOリングキャップ14Bを例示したが、それに限らず、コルクやOリングに限らない他の栓などを使用することともできる。したがって、このように口部13jを図6に示すような形状にすれば、ハイブリット化することができるため、着用者Mは複数の選択肢から、着用者自身の用途に応じた使用が可能となる。なお、螺合キャップ14Aは、開閉に時間がかかるものの、Oリングキャップ14Bは、素早く液体収容容器13の交換を行うことができる。
【0049】
<液体収容容器を第3収容部内に挿入及び抜出する際の説明>
かくして、このような液体収容容器13を、第3収容部5の空洞内に挿入するにあたっては、まず、図7に示すように、着用者Mが着衣2を着用した状態で、液体収容容器13の前面13c及び背面13dに設けられている第1取っ手部13gを把持し、液体収容容器13の背面13dが着用者Mの外側にくるように、液体収容容器13を、連通孔23内に少し(半分程度又はそれより少ない程度)挿入し、液体収容容器13を第3収容部5の空洞内に挿入する。これにより、着衣2を着用した着用者Mの脇辺りで、液体収容容器13の位置が保持される(ホールドされる)。そして、この状態の液体収容容器13の口部13jを、図6(c)に示すようなキャップ14Cを用いて閉止する。なお、この閉止したキャップ14Cには、図1に示すように、排出チューブTbが接続され、さらに、供給チューブTeが接続されている。この供給チューブTeは、継手Te1を介して電動ポンプ11に接続されている。そして、この電動ポンプ11には、継手Ta1を介して、供給チューブTaが接続されている。これにより、電動ポンプ11を駆動させると、液体収容容器13内に収容されている液体(氷が溶けた液体を含む)が供給チューブTa,Tc,Te及び排出チューブTb,Tdを通って、循環型液体路10及び電動ポンプ11並びに液体収容容器13を循環することとなる。それゆえ、循環型液体路10を冷たい液体が循環することとなるから、図1に示すように、循環型液体路10が着用者Mの胴部分に巻き付けられることにより、広範囲の体面積から熱を奪うことができ着用者Mの暑さを軽減できることとなる。
【0050】
次いで、図6(c)に示すようなキャップ14Cを用いて口部13jを閉止した後、液体収容容器13の前面13c及び背面13dに設けられている第1取っ手部13gを把持し、液体収容容器13を、連通孔23内に全て挿入し、液体収容容器13を第3収容部5の空洞内に完全に挿入する。これにより、液体収容容器13が着用者Mの背面側に位置することとなる。この際、液体収容容器13は、着用者Mの体の重心に近い位置にあることから、従来の液体収容容器と同じ重さであっても、軽く感じ、従来よりも着用者Mに軽快感を付与することができる。また、液体収容容器13は、右側部13aから左側部13bに向かって、前面13c及び背面13dが共に弧状に湾曲して形成されているから、着用者Mの身体に沿って液体収容容器13を第3収容部5の空洞内に挿入することができるため、液体収容容器13を第3収容部5の空洞内に素早く挿入することができる。
【0051】
かくして、このように液体収容容器13を第3収容部5の空洞内に挿入した後、図8に示すように、前身頃20に設けられているファスナー24を閉めれば、電動ポンプ11やポータブル電源12を外部から視認できないように隠蔽することができ、さらに、図9に示すように、着用者Mの背面に位置する液体収容容器13も外部から視認できないように隠蔽することができる。これにより、見た目には、着用者Mが着衣2を着ているだけにしか見えないから、外部から見た時の着用者Mのシルエットに違和感がないため、意匠性に優れる。すなわち、冷却服1は、通常は下着として着用するため、作業着などを上着として着用した場合の違和感を無くすることができる。また、冷却服1は、外観が薄いため、作業着などの上着を着ることも容易となる。さらに、冷却服1は、一体化、すなわち、オールインワンにすることができることから、上記説明した従来の冷却服とは、別に、液体収容容器と、電動ポンプユニットを収容した腰カバンのような形態で腰に巻いたものや、リュックサックのような形態で背負ったりするものが不要となる。したがって、本実施形態によれば、コンパクトで軽量であり、しかも、安価で、素早く使える冷却服を提供することができる。さらに、冷却服1は、電動ポンプ11、ポータブル電源12を素早く取り出することができるため、冷却服1を洗濯することができる。また、電動ポンプ11、ポータブル電源12を冷却服1から素早く取り出すことができるため、メンテンナンス作業も容易となる。
【0052】
また、着用者Mの背面に液体収容容器13が位置している際、着用者Mに液体収容容器13がフィットする。すなわち、液体収容容器13の前面13cは、図5(b)に示すように、液体収容容器13の上側部13eから下側部13fに向かって、S字状に湾曲して形成されている。この際、人間の背骨はS字状に曲がっているため、この背骨にS字状の湾曲部分がフィットし、身体の一部として同化される。これにより、着用者Mにフィットすることとなる。そのため、本実施形態に係る液体収容容器13が従来の液体収容容器と同じ重さであっても、軽く感じ、さらに、草刈りや収穫、農業などの作業を、図10に示すように着用者Mが前かがみに屈んで作業したとしても、フィットした状態を維持することができる。そしてさらには、本実施形態の冷却服1によれば、液体収容容器と、電動ポンプユニットを収容した腰カバンのような形態で腰に巻いたものや、リュックサックのような形態で背負ったりするものが不要となるから、本実施形態の冷却服1は、従来のような出っ張り部分がなくスリム化することができるため、足場の狭い場所等で、人とすれ違ったとしても、液体収容容器と、電動ポンプユニットを収容した入れ物が引っ掛かったりすることが無くなる。したがって、着用者Mは冷却服1を着用しても軽快に活動することができる。
【0053】
ところで、この際、S字状に湾曲して形成されている部分が、S字状に曲がっている人間の背骨にフィットすると、着用者Mの腰部分に液体収容容器13の半分ぐらいの重量が負荷される可能性がある。そこで、本実施形態においては、この負荷を軽減させるため、図2(b)に示すように、後身頃21の下側面21a側左側部21bと、下側面21a側右側部21cとにベルト15を設けている。このベルト15は、従来周知の構造からなり、ワンタッチで取り外し(図2(a)参照)、取り付け(図2(b)参照)が可能なもので、図1及び図7に示すように、着用者Mの腰部分に固定できるようになっている。これにより、液体収容容器13が着用者M側により密着することができる。したがって、着用者M側に液体収容容器13を密着させることで、重量を体圧分散することができるから、重量がある液体収容容器13を安定的に装備することができる。
【0054】
他方で、液体収容容器13を第3収容部5の空洞内から抜出し、液体収容容器13を交換するにあたっては、着用者Mは、図8に示すファスナー24を開き、着衣2を着用した状態で、図9に示す第3収容部5の左側部5aを図示右方向に押し、第3収容部5の空洞内に収容されている液体収容容器13を図示右方向に移動させる。これにより、連通孔23内より液体収容容器13が少し外部に露出することとなるから、着用者Mは、その液体収容容器13の第1取っ手部13gを把持し、連通孔23を通して、液体収容容器13が完全に外部に露出するように引っ張り出せば、第3収容部5の空洞内から液体収容容器13を完全に抜出することができる。この際、液体収容容器13は、右側部13aから左側部13bに向かって、前面13c及び背面13dが共に弧状に湾曲して形成されているから、着用者Mの身体に沿って液体収容容器13を第3収容部5の空洞内から抜出することができるため、液体収容容器13を第3収容部5の空洞内から素早く抜出することができる。
【0055】
それゆえ、本実施形態によれば、液体収容容器13を第3収容部5の空洞内に挿入する作業及び液体収容容器13を第3収容部5の空洞内から抜出する作業を、着用者Mは着衣2をわざわざ脱がなくとも着たまま一人で全ての作業を完結させることできる。さらには、液体収容容器13は、右側部13aから左側部13bに向かって、前面13c及び背面13dが共に弧状に湾曲して形成されている、すなわち、三日月型に形成されているから、着用者Mの身体に沿って液体収容容器13を第3収容部5の空洞内に、引っ掛からずに素早く挿入し(すんなり入れることができ)、さらに、着用者Mの身体に沿って液体収容容器13を第3収容部5の空洞内から引っ掛からずに素早く抜出することができる。これにより、短時間(慣れれば、10秒程度)で、液体収容容器13の交換作業が可能となる。また、液体収容容器13に第1取っ手部13gを設けておくことにより、掴みやすく滑らずに、着用者Mは、第3収容部5の空洞内に液体収容容器13を、簡単に、挿入及び抜出することができる。
【0056】
一方、着用者Mとは別に第三者である補助者MA(図11参照)がいる場合、図11に示す補助者MAがファスナー50を開放することで、図11に示すように、第3収容部5内の空洞を外部に露出するようにすれば、補助者MAは、液体収容容器13の第2取っ手部13hを把持することで、掴みやすく滑らずに、簡単に、第3収容部5の空洞内に液体収容容器13を、挿入及び抜出することが可能となる。これにより、着用者Mが手を離せない等の事情があったとしても、液体収容容器13の交換作業が可能となる。また、補助者MAでなくとも、着用者Mが着衣2を着用前に第3収容部5の空洞内に液体収容容器13を挿入しておきたい場合にも利用することができる。また、第3収容部5にこのようなファスナー50を設けておけば、洗濯時に乾燥させる際、開放して乾燥を促進させることができる。また、液体収容容器13にこのような第2取っ手部13hを設けておけば、補助者MA又は着用者Mは、簡単容易に、第3収容部5の空洞内に液体収容容器13を、挿入及び抜出することができる。なお、液体収容容器13を持ち運ぶ際、第2取っ手部13hを使用すると、持ち運び易くなる。
【0057】
<チューブクリップの説明>
ところで、液体収容容器13を交換する際、液体収容容器13の口部13jから図1及び図7に示すキャップ14Cを取り外すが、この際、冷却服1の運転停止直後には、着衣2の内圧がかかっており、瞬時に水流を止めるのは難しい。そのため、リターン水が、図6(c)に示す供給チューブTc及び排出チューブTdより外部に漏れだす可能性がある。そこで、本実施形態においては、止水するため、図12に示すようなチューブクリップ16を設けている。すなわち、チューブクリップ16は、図12(a)に示すように、キャップ14Cに接続されている排出チューブTb及び供給チューブTeを通す2つのリング部を備えた挿通部16aと、この挿通部16aの上部に一体的に設けられている略半割円弧状の止水部16bと、で構成されている。そして、この止水部16b内に、図12(b)に示すように、供給チューブTc及び排出チューブTdを折り返して嵌め込むようにすれば、供給チューブTc及び排出チューブTdを止水することができる。これにより、リターン水が、図6(c)に示す供給チューブTc及び排出チューブTdより外部に漏れだす事態を低減させることができる。
【0058】
したがって、以上説明した本実施形態に係る冷却服1によれば、コンパクトで軽量であり、しかも、安価で、素早く使える冷却服を提供することができる。
【0059】
<変形例の説明>
なお、本実施形態において示した冷却服はあくまで一例であり、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において種々の変形・変更が可能である。例えば、本実施形態においては、着衣2としてベスト型のタイプを例示したが、それに限らず、様々なタイプの着衣に適用することができる。
【0060】
また、第2収容部4,第4収容部6の位置は、本実施形態にて例示したものに限らず、着衣2内であれば、どこに配置しても良い。
【0061】
また、本実施形態においては、左第1収容部30と、右第1収容部31と、を着用者Mに巻き付ける例を示したが、それに限らず、左第1収容部30と、右第1収容部31と、をそれぞれ複数用意し、着用者Mに巻き付けるようにしても良い。
【0062】
また、本実施形態においては、後身頃21の左側部21bに連通孔23を設ける例を示したが、それに限らず、後身頃21の右側部21cに連通孔23を設けるようにしても良い。この際、第3収容部5は、左側部5aが開放され、右側部5bが閉止されることとなる。
【0063】
また、本実施形態においては、液体収容容器13として三日月型のものを例示したがそれに限らず、どのような形状のものを使用しても良い。例えば、直線状に形成しても良い。しかしながら、これでは、液体収容容器13自体の強度が弱くなり、液体収容容器13を凍らせた際、液体収容容器13が膨らんでしまう可能性がある。してみると、着用者Mの背面に液体収容容器13が位置している際、着用者Mはゴツゴツした感触を感じ、作業効率が低下する可能性がある。さらには、着用者Mの身体に沿った形状でないため、液体収容容器13を第3収容部5の空洞内に挿入及び第3収容部5の空洞内から抜出する作業に時間がかかり、作業効率が低下する可能性がある。そのため、本実施形態のような三日月型の液体収容容器13を使用するのが好ましい。
【0064】
また、液体収容容器13を凹み状に形成しても良い。この形状であれば、着用者Mの背面に液体収容容器13が位置している際、着用者Mにぴったりとフィットすることができる。しかしながら、着用者Mにぴったりとフィットしすぎると、液体収容容器13を第3収容部5の空洞内に挿入及び第3収容部5の空洞内から抜出する作業に手間がかかり、作業効率が低下する可能性がある。そのため、本実施形態のような三日月型の液体収容容器13を使用するのが好ましい。
【0065】
また、液体収容容器13として本実施形態において例示したものに代え、従来の液体収容容器を使用しても良い。しかしながら、従来の液体収容容器は、着用者Mの身体に沿った形状でないため、着用者Mの背面に従来の液体収容容器が位置している際、着用者Mはゴツゴツした感触を感じ、作業効率が低下する可能性がある。さらには、着用者Mの身体に沿った形状でないため、従来の液体収容容器を第3収容部5の空洞内に挿入及び第3収容部5の空洞内から抜出する作業に手間がかかり、作業効率が低下する可能性がある。そのため、本実施形態のような三日月型の液体収容容器13を使用するのが好ましい。
【0066】
また、本実施形態においては、液体収容容器13の第1取っ手部13g及び第2取っ手部13hを一体的に設けた例を示したが、別部材で設けるようにしても良い。
【0067】
また、本実施形態においては、液体収容容器13に口部13jしか例示していないが、それに限らず、氷が入るように、液体収容容器13の前面13c又は背面13dに大径の挿入口を設けるようにしても良い。このようにすれば、長距離のツーリングなどで使用した際、宿泊先で液体収容容器1)を凍らすことができない場合などの緊急時に、コンビニエンスストアやスーパーマーケット等で市販されているかち割り氷を入れてすぐ使用(チャージ)したいという着用者Mの要望に応えることができる。
【0068】
また、本実施形態においては、電動ポンプ11にUSBケーブル11bを設ける例を示したが、それに限らず、DC電源ケーブルなどを設けるようにしても良い。
【0069】
また、本実施形態においては、着用者Mとして、人間に使用した場合を例に説明したが、それに限らず、動物に使用しても良い。
【符号の説明】
【0070】
1 冷却服
2 着衣
20 前身頃
21 後身頃
3 第1収容部
4 第2収容部
5 第3収容部
6 第4収容部
10 循環型液体路(流路)
11 電動ポンプ(電動ポンプユニット)
11b USBケーブル
12 ポータブル電源(電動ポンプユニット)
13 液体収容容器
13c 前面(側周面)
13d 背面(側周面)
13j 口部
13ja 先端
13ja1 ネジ部
13jb 基端
13jb1 平坦面
13g 第1取っ手部(取っ手部)
13h 第2取っ手部(取っ手部)
14 螺合キャップ
14B Oリングキャップ
14C キャップ
15 ベルト
16 チューブクリップ(止水部材)
21b 左側部(側部)
23 連通孔
50 ファスナー(開閉部)
Tb 排出チューブ(チューブ)
Te 供給チューブ(チューブ)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12