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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166093
(43)【公開日】2023-11-21
(54)【発明の名称】手すり
(51)【国際特許分類】
   E04F 11/18 20060101AFI20231114BHJP
【FI】
E04F11/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022076868
(22)【出願日】2022-05-09
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 建築・建材展2022、令和4年3月1日
(71)【出願人】
【識別番号】000005005
【氏名又は名称】不二サッシ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000112185
【氏名又は名称】ビニフレーム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002712
【氏名又は名称】弁理士法人みなみ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福井 隆浩
(72)【発明者】
【氏名】清水 國孝
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 直行
(72)【発明者】
【氏名】加登 篤
(72)【発明者】
【氏名】辻井 千穂
(72)【発明者】
【氏名】吉野 貴之
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 葉一
【テーマコード(参考)】
2E301
【Fターム(参考)】
2E301GG01
2E301HH01
2E301HH03
2E301HH08
2E301KK02
2E301KK04
2E301KK05
2E301KK07
(57)【要約】
【課題】給電ケーブルを覆い隠すブラケットを備える手すりであって、このブラケットが、製造容易であり、かつ内部に十分な大きさの空間を有するものである手すりを提供する。
【解決手段】壁面に取り付けられる手すりであって、内部空間を有する笠木と、該笠木に取り付けられる照明具と、前記壁面から延び前記笠木の前記内部空間を通って前記照明具に接続される給電ケーブルと、該給電ケーブルの前記壁面と前記笠木の間の部分を覆うブラケットを備え、該ブラケットは、前記壁面に固定されたものであって押出形材からなる本体部材と、該本体部材の押出方向の端部に取り付けられた被覆材を有するものであって、前記本体部材と前記被覆材とに囲まれた収納空間が形成されており、前記給電ケーブルが前記収納空間を通るものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に取り付けられる手すりであって、
内部空間を有する笠木と、該笠木に取り付けられる照明具と、前記壁面から延び前記笠木の前記内部空間を通って前記照明具に接続される給電ケーブルと、該給電ケーブルの前記壁面と前記笠木の間の部分を覆うブラケットを備え、
該ブラケットは、前記壁面に固定されたものであって押出形材からなる本体部材と、該本体部材の押出方向の端部に取り付けられた被覆材を有するものであって、前記本体部材と前記被覆材とに囲まれた収納空間が形成されており、
前記給電ケーブルが前記収納空間を通るものであることを特徴とする手すり。
【請求項2】
前記本体部材は、前記壁面に固定された固定部を含む壁側部材と、前記固定部に対して前記壁面の反対側に対向する対向部を含む表側部材からなることを特徴とする請求項1記載の手すり。
【請求項3】
前記被覆材は、前記本体部材の押出方向の端部の一部を覆うものであり、
前記本体部材の押出方向の端部の前記被覆材に覆われていない部分が、前記収納空間と連通する開口部となっており、
該開口部が、前記笠木の前記内部空間と連通しているものであることを特徴とする請求項1または2記載の手すり。
【請求項4】
前記笠木は、その長手方向に延びるカバー材と目板材とを組み合わせて構成されたものであって、前記カバー材は、前記笠木の全長にわたって延びるものであり、前記目板材は、その長手方向に分割されており、
前記ブラケットが、分割された前記目板材の間に位置しており、前記開口部が、前記目板材の端部に対向しており前記目板材に覆われていることを特徴とする請求項3記載の手すり。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明を内蔵した手すりに関する。
【背景技術】
【0002】
壁面に取り付けられる手すりにおいて、笠木に照明具を設けたものがある。照明具には電力を供給するための給電ケーブルを接続する必要があり、一般に給電ケーブルは壁面から延びるものであるが、壁面と笠木の間において給電ケーブルが露出していると、手すりの使用者の手指が引っ掛かってしまうおそれがあり、また意匠性も良くない。
【0003】
そこで、特許文献1の手すりでは、壁面から笠木まで延びるブラケットの内部に空間が形成されており、給電ケーブルがこの空間内を通されていて露出しないものとなっている。このブラケットは、壁面および笠木と固定されるブラケット本体と、ブラケット本体に被せられる蓋体からなり、ブラケット本体として金属製の一体のものが例示され、蓋体として樹脂製のものが例示されている。このうち、ブラケット本体については、図面より、一の方向に同一の断面形状を有するものではないから、金属製であれば鋳造により作られると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-183394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一般に、鋳造によって上記のブラケット本体のような内部に空間を有する形状の部品を製造するのは手間がかかるものであった。また、鋳造によって薄肉形状の部品を製造することは難しく、内部の空間を大きくしようとすれば、その分だけ部品全体が大型化してしまう点も問題であった。
【0006】
本発明は、このような事情を鑑みたものであり、給電ケーブルを覆い隠すブラケットを備える手すりであって、このブラケットが、製造容易であり、かつ内部に十分な大きさの空間を有するものである手すりを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、壁面に取り付けられる手すりであって、内部空間を有する笠木と、該笠木に取り付けられる照明具と、前記壁面から延び前記笠木の前記内部空間を通って前記照明具に接続される給電ケーブルと、該給電ケーブルの前記壁面と前記笠木の間の部分を覆うブラケットを備え、該ブラケットは、前記壁面に固定されたものであって押出形材からなる本体部材と、該本体部材の押出方向の端部に取り付けられた被覆材を有するものであって、前記本体部材と前記被覆材とに囲まれた収納空間が形成されており、前記給電ケーブルが前記収納空間を通るものであることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、前記本体部材が、前記壁面に固定された固定部を含む壁側部材と、前記固定部に対して前記壁面の反対側に対向する対向部を含む表側部材からなるものであってもよい。
【0009】
また、本発明は、前記被覆材が、前記本体部材の押出方向の端部の一部を覆うものであり、前記本体部材の押出方向の端部の前記被覆材に覆われていない部分が、前記収納空間と連通する開口部となっており、該開口部が、前記笠木の前記内部空間と連通しているものであってもよい。
【0010】
また、本発明は、前記笠木が、その長手方向に延びるカバー材と目板材とを組み合わせて構成されたものであって、前記カバー材は、前記笠木の全長にわたって延びるものであり、前記目板材は、その長手方向に分割されており、前記ブラケットが、分割された前記目板材の間に位置しており、前記開口部が、前記目板材の端部に対向しており前記目板材に覆われているものであってもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ブラケットにより給電ケーブルの壁面と笠木の間の部分が覆い隠されるので、手すりの使用者の手指が給電ケーブルに引っ掛かることがなく、意匠性も良好である。そして、ブラケットを構成する本体部材が押出形材からなるものなので、容易に収納空間を有する形状のものを製造することが可能であり、また薄肉形状にすることも容易であるから、ブラケット自体を大型化することなく収納空間を十分な大きさにすることができる。
【0012】
また、本体部材が壁側部材と表側部材からなるものであれば、本体部材が2つの部材に分割できるので、壁側部材を壁面に取り付けやすく、また収納空間が大きく開放されることになるのでメンテナンス作業もやりやすいものとなる。さらに、分割された状態であれば、保管時や輸送時に場所を取らない。
【0013】
また、本体部材の押出方向の端部の被覆材に覆われていない部分が収納空間と連通する開口部となっていて笠木の内部空間と連通しているものであれば、ブラケットと笠木との接続部分において別途接続用の部品を必要とせず、簡易な構造となるので費用を抑えられるとともに、手すりの組み立てや分解が容易であり、施工やメンテナンスの作業を効率的に行うことができる。
【0014】
また、笠木がその長手方向に延びるカバー材と目板材とを組み合わせて構成されたものであって、カバー材は笠木の全長にわたって延びるものであり、目板材はその長手方向に分割されており、ブラケットが分割された目板材の間に位置しており、開口部が目板材の端部に対向しており目板材に覆われているものであれば、ブラケットと笠木との接続部分が特に簡易な構造となるので、より費用が抑えられ、組み立てや分解がより容易である。そして、ブラケットが笠木と一体になるかたちとなるので、意匠性が良好である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】ブラケットの内部の説明図であり、(a)は全体図(図2のA-A線断面図において一部の部材を透過したもの)、(b)は上端部分の拡大図である。
図2】手すりの正面図である。
図3】ブラケットの側面図(図2のA-A線断面図)である。
図4】笠木の壁面への取付構造の説明図(図2のB-B線断面図)である。
図5】笠木の照明具の取付部分の説明図(図2のC-C線断面図)である。
図6】笠木のカバー材と目板材の固定部分の説明図(図2のD-D線断面図)である。
図7】笠木の連結部分の説明図であり、(a)は断面図((b)のE-E線断面図)、(b)は正面図である。
図8】手すりの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の手すりの具体的な内容について説明する。なお、以下において、前後方向とは手すりの見込方向であり、左右方向とは手すりの笠木が延びる方向(笠木の長手方向)である。
【0017】
まず、手すりの全体構成について説明する。この実施例の手すりは、壁面に沿った通路において、歩行者の補助のために設置されるものであって、壁面に直接取り付けられるものであり、壁面側が後側となり、壁面の前側に手すりが取り付けられる。図2図4図6および図8に示すように、この手すりは、内部空間110を有する筒状の笠木100と、笠木100の内部空間110に納まる照明具200と、笠木100を壁面Wに固定するための壁付固定具6を備える。笠木100は、左右に直線状に延びており、その内部空間110に、複数の照明具200が左右に間隔を空けて設けられている。そして、壁面Wには複数の壁付固定具6が左右に間隔を空けて取り付けられており、これらの壁付固定具6により笠木100が支持されている。以下、この手すりの各構成部材について、より詳しく説明する。
【0018】
笠木100は、図2図4図6および図8に示すように、断面略円形で内部空間110を有する中空構造であって、その長手方向に延びるカバー材1と目板材3とを組み合わせて構成されたものである。より詳しくは、上側に位置するカバー材1と、下側に位置する目板材3が係合して、固定ネジSで固定されたものである。
【0019】
カバー材1は、アルミ製の押出形材からなるものであって、図2および図8に示すように、笠木100の全長にわたって延びるものである(ただし、後記のように、連結材7およびジョイント材71により連結される箇所がある)。そして、カバー材1は、図5および図6に示すように、笠木100の外形を構成するカバー外殻部11と、カバー外殻部11の内側に設けられた板状の第1板部16aおよび第2板部17aを有しており、カバー外殻部11と第1板部16aおよび第2板部17aは一体に形成されている。そして、第1板部16aおよび第2板部17aの表面の一部が支持部12となっているので、カバー外殻部11と支持部12も一体に形成されているといえる。より詳しくは、カバー外殻部11は、前後対称で上側に向けて凸である円弧状であって中心角は180度よりやや大きい形状である。そして、カバー外殻部11の前後の下端に、内側に向けて突出する係合部18が形成されている。カバー外殻部11の内側には、互いに傾斜する2つの平板状部分である第1板部16aと第2板部17aが形成されており、第1板部16aの下面が第1面部16であり、第2板部17aの下面が第2面部17である。そして、支持部12は、第1面部16と第2面部17からなる断面略くの字形のものであり、カバー材1の上下方向中央部に位置している。第1板部16a(第1面部16)は、カバー外殻部11の前側部分の内周面から、後下側の水平面に対して17.5度傾斜する方向に向けて、カバー材1の前後方向中心よりやや後側まで延びている。第2板部17a(第2面部17)は、第1板部16a(第1面部16)の後端部から、後側(水平方向)に向けて、カバー外殻部11の後側部分の内周面まで延びている。そして、カバー材1は、カバー外殻部11の上側部分と、支持部12(第1板部16aと第2板部17a)とに囲まれた中空部15を有する。
【0020】
目板材3は、アルミ製の押出形材からなるものであって、図2および図8に示すように、その長手方向に分割されている(加えて、後記のように、連結材7およびジョイント材71により連結される箇所がある)。そして、目板材3は、図5および図6に示すように、笠木100の外形を構成する目板外殻部31と、同じく笠木100の外形を構成する板状の目板固定板部32aを有しており、目板外殻部31と目板固定板部32aは一体に形成されている。そして、目板固定板部32aの表面の一部が目板固定面部32となっているので、目板外殻部31と目板固定面部32も一体に形成されているといえる。より詳しくは、目板材3の前後方向中央部分が目板固定板部32aとなっており、目板固定板部32aの前後両側部分が目板外殻部31となっていて、目板固定板部32aの下面が目板固定面部32である。目板固定板部32aは、前上側から後下側に向けて傾斜した平板状のものであり、水平面に対する傾斜角度は17.5度である。よって、目板固定面部32とカバー材1の支持部12の第1面部16は平行である。目板固定板部32aの前端には、目板固定板部32aと直交する向きで下方に突出する段部33が形成されている。目板外殻部31は、前側部分については段部33の下端から前上側へ延び、後側部分については目板固定板部32aの後端から後上側へ延びるものであって、カバー材1のカバー外殻部11と同心の円弧状である。そして、目板外殻部31の前後の上端に、断面略L字形の被係合部34が形成されている。被係合部34は、目板外殻部31の上端から内側に向けて突出し屈曲して上側に向けて突出した形状となっている。
【0021】
このように構成されたカバー材1と目板材3は、カバー材1の前後の係合部18が目板材3の前後の被係合部34に係合するように組み合わさって、笠木100を構成しており、内側に内部空間110が形成されている。この際、カバー材1の係合部18の内側に目板材3の被係合部34の垂直部分が嵌まり込み、カバー材1のカバー外殻部11と目板材3の目板外殻部31が一連の円弧を形成する。そして、図2に示すように、カバー材1と目板材3は、長手方向の複数箇所において固定ネジSによりネジ止めして固定されている。固定箇所においては、目板材3の目板固定面部32(目板固定板部32a)に、固定ネジSが貫通する通し穴が形成されており、カバー材1の支持部12の第1面部16(第1板部16a)に、固定ネジSが螺合するネジ穴が形成されている。よって、ここでは支持部12の第1面部16が、固定ネジSが螺合するカバー固定面部13となっており、また、カバー固定面部13と目板固定面部32が平行である。そして、固定ネジSが下側(目板材3側)から目板固定面部32の通し穴に挿入され、カバー材1のカバー固定面部13のネジ穴に螺合している。なお、笠木100の端部には、壁面W側に向かって屈曲する形状のエンドエルボ101が取り付けられている。
【0022】
また、図2図5および図8に示すように、笠木100の長手方向の所定箇所の内部空間110に、照明具200が取り付けられている。照明具200の数や笠木100の長手方向における位置は限定されないが、ここでは2つの壁付固定具6の中間位置に設けられている。照明具200は、LEDやその他必要な回路などをケースに納めたものであり、下端部が発光部となっており、上端に平板状で左右に延びる取付板201が取り付けられている。照明具200には給電ケーブルが接続されているが、図1および図3以外の図面においては図示省略してある。そして、図2および図5に示すように、支持部12の第1面部16に下側から取付板201をネジ止めして取り付けられており、照明具200がカバー材1に固定されている。よって、ここでは支持部12の第1面部16が、照明具200が取り付けられる取付面部14となっており、また、取付面部14が水平面に対して傾斜している。
【0023】
目板材3の照明具200に対向する部分には、左右に長い矩形の穴が形成され、この穴に透明な素材からなる透過部材202が嵌め込まれている。透過部材202は、穴に丁度嵌まる大きさの矩形の板状のものであって、上端部が前後に延出しており、この延出部分が穴の縁部に係止している。照明具200から照射される光は、透過部材202を透過して外部を照らす。
【0024】
なお、支持部12の第1面部16は、カバー固定面部13でありかつ取付面部14でもある。図2に示すように、カバー固定面部13として固定ネジSが螺合する位置と、取付面部14として照明具200が取り付けられる位置が、長手方向にずれた位置となる。
【0025】
壁付固定具6は、図4に示すように、壁面Wに固定する基部61と、基部61の前面上端から前側上方に向けて延び途中で屈曲して垂直上方に向けて延びる腕部62と、腕部62の上端に設けた受部63からなる。受部63は、左右方向から見て下側に凸となる向きの三日月形で、前後方向中心は腕部62の上端より前側にずれており、上面が目板材3の目板外殻部31の外周面と一致する円弧状となっている。基部61は、壁面Wに埋め込んだナットアンカー64に対して前側からボルト止めして固定されている。基部61にはカバー65を被せてボルトを隠してある。そして、受部63に笠木100が載置されており、受部63の下側から目板材3の目板固定面部32に対してネジ止めして固定されている。
【0026】
なお、図2に示すように、目板材3は、壁付固定具6に対応する部位(壁付固定具6の左右幅よりもやや広い範囲)と、それ以外の部位とで、長手方向に分割された別部材となっており、それぞれがカバー材1と固定ネジSで固定されている。これにより、笠木100自体を壁付固定具6から取り外すことなく、2つの壁付固定具6の間部分の目板材3だけを取り外すことができるので、照明具200のメンテナンスが容易である。
【0027】
また、照明具200に電力を供給するための給電ケーブルCは、壁面Wの中を通して電源に接続されており、この給電ケーブルCが壁面Wから延びて笠木100の内部空間110を通っている。図1図2および図8に示すように、壁面Wには略直方体形のボックス320が埋め込まれており、ボックス320の前側面に円板状の蓋部材321がネジ止めして取り付けられていて、蓋部材321が壁面Wの表面と面一になっている。さらに、蓋部材321の前面には、蓋部材321より一回り大きな円板状の化粧板322がネジ止めして取り付けられている。蓋部材321と化粧板322の中心には、円形の孔が形成されている。このボックス320に給電ケーブルCが通されており、蓋部材321および化粧板322の孔を通して壁面Wから給電ケーブルCが飛び出すかたちになっている。
【0028】
そして、給電ケーブルCの壁面W(化粧板322)と笠木100の間の部分にブラケット300が設けられていて、給電ケーブルCが覆い隠されている。図1(目板材3および被覆材303は透過して表示してある)、図2および図3に示すように、ブラケット300は、壁付固定具6と略同じ左右幅で、壁面Wから前側に延び、屈曲して前上側に延び、さらに屈曲して上側に延びる中空構造のものである。より詳しくは、ブラケット300は、壁面Wに固定された本体部材30と、本体部材30の左右に取り付けられた2枚の被覆材303を有するものであって、本体部材30と被覆材303とに囲まれた収納空間Pが形成されており、給電ケーブルCが収納空間Pを通っている。本体部材30は、壁面Wに固定された固定部311を含む壁側部材301と、固定部311に対して壁面Wの反対側に対向する対向部317を含む表側部材302からなる。
【0029】
壁側部材301は、アルミ製の押出形材からなるものであって、押出方向が左右方向であり、垂直向きの固定部311と、固定部311の上端から前側に延びる天面部312aと、天面部312aの前端から屈曲して前上側に延びる上斜面部312bと、上斜面部312bの前端から屈曲して上側に延びる後壁面部312cと、後壁面部312cの上端に形成された後接続部313と、固定部311の下端よりわずかに上側から前側に向けて延びる延出部314を有する。固定部311の中央部には、給電ケーブルCを通すための円形の通し孔311aが形成されている。後接続部313は、後壁面部312cの上端から後上側に円弧状をなして延びる後周面部313aと、後周面部313aの上端から前側に延び屈曲して上側に延びる略L字形の後段部313bと、後段部313bの上端から前上側に延びる接続面部313cと、接続面部313cの前端から前下側に円弧状をなして延び屈曲して下側に延びる前面部313dと、前面部313dの下端から後側に延び屈曲して後下側に延びる略への字形の前側端部313eからなる。後周面部313aは、後側に向けて凸である円弧状であって、その表面の曲率はカバー外殻部11の表面の曲率と同じである。接続面部313cは、水平面に対する傾斜角度が17.5度である。前面部313dの円弧状部分は、前側に向けて凸であって、その表面の曲率はカバー外殻部11の内周面の曲率と同じである。延出部314は、矩形平板状であって天面部312aよりも前後に短く、後端部が上側に台形状に盛り上がるように形成されており、盛り上がった部分の下面に、左右に延びる断面台形状の溝部314aが形成されている。また、天面部312aの前部の下面と、後壁面部312cの上下方向中央部の前面に、タッピングホール318が形成されている。
【0030】
表側部材302は、アルミ製の押出形材からなるものであって、押出方向が左右方向であり、水平向きの底面部315aと、底面部315aの前端から屈曲して前上側に延びる下斜面部315bと、下斜面部315bの前端から屈曲して上側に延びる前壁面部315cと、前壁面部315cの上端に形成された前接続部316を有する。底面部315aの後端部の上面には、左右に延びる断面台形状の突起部315dが形成されている。前接続部316は、前壁面部315cの上端から前上側に円弧状をなして延びる前周面部316aと、前周面部316aの上端から後側に延び屈曲して後上側に延びる略への字形の前段部316bからなる。前周面部316aは、前側に向けて凸である円弧状であって、その表面の曲率はカバー外殻部11の表面の曲率と同じである。また、底面部315aの前部の上面と、前壁面部315cの上部の後面に、タッピングホール318が形成されている。
【0031】
このように形成された壁側部材301と表側部材302が組み合わさって、本体部材30を構成しており、本体部材30が壁面Wに固定されている。すなわち、壁側部材301の固定部311が化粧板322に当接しており、通し孔311aの上側と下側の位置でネジ止めして、固定部311が化粧板322に固定されている。ここで、固定部311に形成された通し孔311aと、化粧板322に形成された孔が連通している。そして、壁側部材301の延出部314の下面に表側部材302の底面部315aの上面が当接するとともに、延出部314の溝部314aに底面部315aの突起部315dが嵌合しており、溝部314aおよび突起部315dの前側の位置で下側からネジ止めして、底面部315aが延出部314に固定されている。壁側部材301と表側部材302のネジ止め箇所はこの部分のみであり、すなわち、壁側部材301と表側部材302が、下側のみからネジ止めされて固定されている。この際、壁側部材301の固定部311の下端と表側部材302の底面部315aの下面が面一になっている。また、壁側部材301の前側端部313eの屈曲部分に表側部材302の前段部316bの先端が当接しており、本体部材30は左右方向から見て閉じた形状となっている。さらに、壁側部材301の後周面部313aと表側部材302の前周面部316aが前後に対称となる。また、壁側部材301の固定部311の前側に表側部材302の下斜面部315bおよび前壁面部315cが位置するものであり、すなわち、下斜面部315bおよび前壁面部315cが、固定部311に対して前側(壁面Wの反対側)に対向する対向部317となる。
【0032】
被覆材303は、アルミ製の平板からなるものであって、壁側部材301と表側部材302からなる本体部材30の左右方向(押出方向)の端部の一部を覆う形状のものである。より詳しくは、被覆材303の形状は、壁側部材301の固定部311、天面部312a、上斜面部312bおよび後壁面部312cならびに表側部材302の底面部315a、下斜面部315bおよび前壁面部315cの外形と略一致するものであり、上端部のみが本体部材30の外形と異なる形状であって、上側に向けて凹である円弧状となっている。この円弧状部分の曲率は、後周面部313aおよび前周面部316aの表面の曲率と略同じである。また、被覆材303には、壁側部材301および表側部材302のタッピングホール318に対応する位置にネジ孔が形成されている。そして、このように形成された被覆材303が、図2および図3に示すように、壁側部材301および表側部材302からなる本体部材30の左右方向(押出方向)の端部に、それぞれタッピングホール318にネジ止めされて固定されている。これにより、本体部材30の左右方向の端部の大部分が被覆材303に覆われ、本体部材30と被覆材303とに囲まれた収納空間Pが形成される。また、壁側部材301の後接続部313および表側部材302の前接続部316の内側に当たる部分は被覆材303に覆われていない部分となり、この部分が、収納空間Pと連通する開口部319となる。
【0033】
そして、ブラケット300は、分割された目板材3の間に位置している。言い換えれば、笠木100のブラケット300に対応する位置には、目板材3が存在せず、左右の目板材3同士の間に隙間が形成されており、この隙間にブラケット300が納まっている。隙間の幅は、ブラケット300の本体部材30の左右幅よりわずかに広い。ブラケット300と笠木100との接続部分についてより詳しくは、壁側部材301の後接続部313の接続面部313cがカバー材1のカバー外殻部11の内側に位置し、接続面部313cが第1面部16に下側から当接して、下側からネジ止めされて固定されている。この際、壁側部材301の後段部313bにカバー外殻部11の後側の係合部18が係合しており、表側部材302の前段部316bにカバー外殻部11の前側の係合部18が係合していて、カバー外殻部11、後周面部313aおよび前周面部316aが一連の円弧を形成する。すなわち、ブラケット300の上端部が笠木100と一体になるかたちとなる。そして、ブラケット300の本体部材30の上端部の左右に開口部319が形成されているので、図1(b)に示すように、開口部319が、目板材3(二点鎖線で表示)の端部に対向しており、目板材3に覆われて外部からは視認できなくなっている。この開口部319が笠木100の内部空間110と連通し、壁面W(化粧板322の孔)から飛び出す給電ケーブルCが、ブラケット300の内部の収納空間Pを通り、さらに開口部319から笠木100の内部空間110へと延びている。
【0034】
また、笠木100の長さが所定の長さ以上となる場合、カバー材1および目板材3が連結される。図7に示すように、連結部分においては、笠木100の内部空間110に連結材7が挿入されるとともに、笠木100の外周側にジョイント材71が取り付けられる。連結材7は、アルミ製の中空押出形材からなるものであって、笠木100の内周部に丁度嵌まる形状となっている。すなわち、断面略矩形であって、上面は中間部に前側が高くなる向きの傾斜面部72が形成されており、この傾斜面部72がカバー材1の第1面部16に当接し、上面の傾斜面部72より後側部分が第2面部17に当接している。前面と後面は、何れも目板材3の被係合部34の内側面に当接している。下面は前側部に前側が高くなる向きの傾斜面部73が形成されており、この傾斜面部73が目板材3の目板固定板部32aの上面に当接してネジ止めされている。後下側の角部は外側に凸な曲面部74が形成されており、この曲面部74が目板材3の目板外殻部31の内側面に当接している。また、ジョイント材71は、円筒状の部材であって、その内周部に笠木100が丁度嵌まるものであり、カバー材1および目板材3の連結部を覆い隠す。ジョイント材71は、下側から目板材3にネジ止めされる。
【0035】
このように構成された本発明の手すりによれば、ブラケット300により給電ケーブルCの壁面Wと笠木100の間の部分が覆い隠されるので、手すりの使用者の手指が給電ケーブルCに引っ掛かることがなく、意匠性も良好である。そして、ブラケット300を構成する本体部材30が押出形材からなるものなので、容易に収納空間Pを有する形状のものを製造することが可能であり、また薄肉形状にすることも容易であるから、ブラケット300自体を大型化することなく収納空間Pを十分な大きさにすることができる。また、本体部材30が壁側部材301と表側部材302からなるものであるから、本体部材30が2つの部材に分割できるので、壁側部材301を壁面Wに取り付けやすく、また収納空間Pが大きく開放されることになるのでメンテナンス作業もやりやすいものとなる。さらに、分割された状態であれば、保管時や輸送時に場所を取らない。また、壁側部材301と表側部材302が下側のみからネジ止めされて固定されるものであって、被覆材303が壁側部材301および表側部材302に対してネジ止めされて固定されるものであるから、壁側部材301と表側部材302の固定が容易であって、固定のためのネジが見えにくいので意匠性が良好であり、被覆材303によって壁側部材301と表側部材302とが確実に固定される。また、被覆材303が平板状のものであるから、製造の手間や費用を抑えられ、保管時や輸送時に場所を取らない。また、本体部材30の押出方向の端部の被覆材303に覆われていない部分が収納空間Pと連通する開口部319となっていて笠木100の内部空間110と連通しているものであるから、ブラケット300と笠木100との接続部分において別途接続用の部品を必要とせず、簡易な構造となるので費用を抑えられるとともに、手すりの組み立てや分解が容易であり、施工やメンテナンスの作業を効率的に行うことができる。また、笠木100がその長手方向に延びるカバー材1と目板材3とを組み合わせて構成されたものであって、カバー材1は笠木100の全長にわたって延びるものであり、目板材3はその長手方向に分割されており、ブラケット300が分割された目板材3の間に位置しており、開口部319が目板材3の端部に対向しており目板材3に覆われているものであれば、ブラケット300と笠木100との接続部分が特に簡易な構造となるので、より費用が抑えられ、組み立てや分解がより容易である。そして、ブラケット300が笠木100と一体になるかたちとなるので、意匠性が良好である。
【0036】
また、支持部12が第1面部16と第2面部17からなる断面略くの字形の簡易な構成であって、第1面部16と第2面部17のうち、第1面部16が水平面に対して傾斜するので、第1面部16を取付面部14とすることで、この取付面部14に取り付けられた照明具200が傾き、垂直方向に対して傾斜した方向に光を照射できる。照明具200を傾けるための別部材などは必要なく、簡易な構成とすることができる。また、照明具200を傾けるための別部材を用いる場合、その部材の加工精度や取付精度によっては、笠木100の長手方向の各所において照明具200の傾斜角度がずれるおそれがあり、そのずれがわずかであっても、手すりから離れた床面などに照射される光は大きくずれて、見た目が悪くなってしまう。これに対し、上記の実施例では、取付面部14が笠木100を構成するカバー材1自体に設けられているので、笠木100の長手方向にわたって傾斜角度が一致し、照明具200の光の照射角度を揃えることができ、手すりから離れた床面などに照射される光も揃えられる。さらに、カバー固定面部13と目板固定面部32が平行なので、平面状の両者に対して固定ネジSを垂直向きに螺合または貫通させることで、固定ネジSの雄ネジ部がカバー固定面部13の雌ネジ部(すなわちカバー固定面部13が形成された第1板部16aの雌ネジ部)に確実に螺合するとともに、固定ネジSの頭部の全面が目板固定面部32に当接して、カバー材1と目板材3を確実に固定できる。また、カバー材1においてカバー外殻部11と支持部12が一体に形成されているので、より簡易な構成となりかつ剛性が高い。さらに、カバー材1がカバー外殻部11と支持部12に囲まれた中空部15(すなわちカバー外殻部11と第1板部16aおよび第2板部17aに囲まれた中空部15)を有するので、カバー材1自体の剛性がより高くなるとともに、支持部12の剛性(すなわち第1板部16aおよび第2板部17aの剛性)も高くなる。これにより、取付面部14に対して照明具200をより安定して固定できる。また、カバー材1と目板材3は支持部12のカバー固定面部13に固定ネジSを螺合して固定するので、カバー材1に対して目板材3をより安定して固定できる。
【0037】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨の範囲内で適宜変更できる。たとえば、ブラケットの形状は、壁面から給電ケーブルが飛び出す箇所と笠木との位置関係や、意匠性などを考慮して、適宜変更できる。また、ブラケットの本体部材は、壁側部材と表側部材の2部材からなるものに限られず、単一の部材からなるものや3つ以上の部材からなるものであってもよい。また、壁側部材と表側部材が下側のみからネジ止めされて固定されているものに限られず、複数箇所でネジ止めされたものであってもよいし、ネジを用いずに嵌合などにより両者が固定されたものであってもよい。そして、被覆材は壁側部材および表側部材に対してネジ止めされて固定されているものに限られず、何れか一方のみに対してネジ止めされたものであってもよいし、ネジを用いずに嵌合などにより固定されたものであってもよい。また、被覆材の形状は平板状のものに限られず、意匠性などを考慮して適宜設定できる。また、本体部材の押出方向の端部の被覆材に覆われていない部分が収納空間と連通する開口部となっていて笠木の内部空間と連通しているものに限られず、被覆材や本体部材に孔が形成されていてこの孔が笠木の内部空間と連通しているものであってもよい。また、笠木や笠木を支持する壁付固定具の構成は、この手すりの設置箇所の状況や意匠性などを考慮して、適宜変更できる。
【符号の説明】
【0038】
1 カバー材
3 目板材
30 本体部材
100 笠木
110 内部空間
200 照明具
300 ブラケット
301 壁側部材
302 表側部材
303 被覆材
311 固定部
317 対向部
319 開口部
C 給電ケーブル
P 収納空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8