(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166095
(43)【公開日】2023-11-21
(54)【発明の名称】ブリッスル束
(51)【国際特許分類】
A46B 9/02 20060101AFI20231114BHJP
【FI】
A46B9/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022076876
(22)【出願日】2022-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000219288
【氏名又は名称】東レ・モノフィラメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100186484
【弁理士】
【氏名又は名称】福岡 満
(72)【発明者】
【氏名】飛田 哲成
【テーマコード(参考)】
3B202
【Fターム(参考)】
3B202AA06
3B202AB19
3B202EA01
3B202EB14
3B202HA03
(57)【要約】
【課題】一端にテーパー部を有し従来よりも毛丈の短いブリッスル束においても、ブリッスルの束が崩れにくく、結束部材を掛ける際の加工性に優れ、かつ植毛機への投入時に結束部材を除去することが容易であるブリッスル束の提供。
【解決手段】少なくとも一端にテーパー部を有する合成樹脂モノフィラメントを束ねたブリッスル束であって、シュリンクフィルムで束ねられており、合成樹脂モノフィラメントの基部直径に対して70~100%の直径を有する合成樹脂モノフィラメントの領域が含まれるブリッスル束の長手方向の範囲内のみに、前記シュリンクフィルムが存在することを特徴とするブリッスル束。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一端にテーパー部を有する複数本の合成樹脂モノフィラメントを束ねたブリッスル束であって、シュリンクフィルムで束ねられており、前記合成樹脂モノフィラメントの基部直径に対して70~100%の直径を有する前記合成樹脂モノフィラメントの領域が含まれる前記ブリッスル束の長手方向の範囲内のみに、前記シュリンクフィルムが存在する、ブリッスル束。
【請求項2】
前記合成樹脂モノフィラメントの基部直径に対して98~100%の直径を有する前記合成樹脂モノフィラメントの領域が含まれる前記ブリッスル束の長手方向の範囲が全て前記シュリンクフィルムで覆われている請求項1に記載のブリッスル束。
【請求項3】
前記ブリッスル束の毛丈が10~50mm、直径が30~55mmである請求項1または2に記載のブリッスル束。
【請求項4】
前記ブリッスル束の巻き硬度が50~80°であることを特徴とする請求項1~3に記載のブリッスル束。
【請求項5】
前記合成樹脂モノフィラメントがブラシ用毛材である請求項1~4に記載のブリッスル束。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は結束されたブリッスル束に関し、特に一端にテーパー部を有し従来よりも毛丈の短いブリッスル束においても、ブリッスル束が崩れて毛材がバラバラに乱れることが起こりにくく、結束部材を掛ける加工性に優れるブリッスル束に関するものである。
【背景技術】
【0002】
毛先にテーパー部を有するブリッスルは多くの文献に紹介されており、触感性に優れ毛先が狭い隙間に入り易いなどの特徴を持つことから、歯ブラシ、ボディーブラシ、化粧ブラシ、筆具など、様々な用途に使用されている。
【0003】
特に近年、歯ブラシには様々な機能が要求されつつあり、使用するブリッスルは勿論のこと、歯ブラシの植毛形態に特徴を持たせ、新しい機能を発揮させようとする技術が進んでいる。
【0004】
その技術の中でも平線を使用しない無平線歯ブラシが注目されている。この無平線歯ブラシはブリッスルを二つに折り曲げてその間に平線を挟み込んで植毛する従来の歯ブラシとは異なり、ブリッスルの一端を歯ブラシ本体のヘッド部に設けられた植毛孔に挿通させた後、ヘッド部の反対側に突出したブリッスルの一端を熱融着してブリッスルとヘッド部とを一体成型することを特徴としている。
【0005】
この技術は植毛方法を変えることによって従来のテーパー部を有するブリッスルの特徴を一層引き出す技術ではあるが、その実現には様々な問題を抱えている。
【0006】
その中で一番の問題は、従来のブリッスルと同じようにブリッスル束を輪ゴムなどの弾性部材により結束を行うとブリッスル束の安定性に欠け、輸送時の振動や植毛機に投入するために取り扱った際にブリッスル束が崩れて毛材がバラバラに乱れることが起こりやすいという点にある。
【0007】
従来の歯ブラシに使用するブリッスルは二つに折り曲げて植毛するために、その毛丈は通常25~35mmと長い。そのため従来のブリッスルは輪ゴムなどの弾性部材による結束で十分にブリッスル束を安定に保つことができる。(特許文献1)
しかし、無平線歯ブラシ用のブリッスルは二つに折り曲げて植毛しないために、毛丈は短く、従来通りの輪ゴムによる結束ではブリッスル束が変形して毛材がバラバラになってしまい安定に保つことができない。
【0008】
そのため梱包や搬送中に振動や外力を受けてブリッスル束が崩れ、無平線歯ブラシの植毛機へ供給できない場合が多い。
【0009】
かかる状況のもと、ブリッスル束安定性向上を目的として、少なくとも一端にテーパー部を有する複数本のブラシ用毛材を束ねた束状集合体の周側面をテープ状の結束部材で捲着し、前記束状集合体を締め付けて固定したブラシ用毛材束(特許文献2)や、束状集合体の周側面に環状の結束部材を嵌着し、前記束状集合体を締め付けて固定したブラシ用毛材束(特許文献3)が提案されている。
【特許文献1】特開2004-182322号公報
【特許文献2】特開2009-247760号公報
【特許文献3】特開2009-247761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
これらの技術では無平線歯ブラシ用に代表される毛丈の短いブリッスル束を安定して束ねることができるものの、結束部材を接着剤で固定したり、結束部材の上から弾性部材で締め付けて固定したりするなどブリッスル束の作製が煩雑になりやすいという問題を包含している。
【0011】
本発明は、上記の従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものである。すなわち本発明の目的は、少なくとも一端にテーパー部を有し、従来のブラシ用毛材よりも毛丈の短いブリッスルにおいても、ブリッスル束が崩れることなく、かつ結束部材の取り付けが簡便であるブリッスル束を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、少なくとも一端にテーパー部を有する複数本の合成樹脂モノフィラメントを束ねたブリッスル束であって、シュリンクフィルムで束ねられており、合成樹脂モノフィラメントの基部直径に対して70~100%の直径を有する合成樹脂モノフィラメントの領域が含まれるブリッスル束の長手方向の範囲内のみに、前記シュリンクフィルムが存在する、ブリッスル束が提供される。
【0013】
また、本発明のブラシ用毛材においては、
合成樹脂モノフィラメントの基部直径に対して98~100%の直径を有する合成樹脂モノフィラメントの領域が含まれるブリッスル束の長手方向の範囲が全てシュリンクフィルムで覆われていること、
ブリッスル束の毛丈が10~50mm、直径が30~55mmであること、
ブリッスル束の巻き硬度が50~80°であること
合成樹脂モノフィラメントがブラシ用毛材であること
がいずれも好ましい条件として挙げられ、これらの要件を満たした場合には、さらに優れた性能を発揮する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、以下に説明するとおり、安定な状態で束ねられ、結束部材の取り付けが容易なブリッスル束を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明のブリッスル束の一例を示す斜視図である。
【
図2】本発明の要件を満たさないブリッスル束の例を示す斜視図である。
【
図3】本発明の要件を満たさないブリッスル束(輪ゴムで束ねた例)を示す斜視図である。
【
図4】本発明の要件を満たさないブリッスル束(熱収縮性の無いポリスチレンフィルムと弾性素材で束ねた例)を示す斜視図である。
【
図5】本発明の要件を満たさないブリッスル束(熱収縮性の無いポリスチレンフィルムを接着剤で固定して束ねた例)を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明のブリッスル束の一例を示した斜視図であり、1はブリッスル束、2は複数本の合成樹脂モノフィラメント、3はシュリンクフィルムを示している。
【0018】
本発明のブリッスル束1は、
図1(b)、および
図1(d)に示すように、少なくとも一端にテーパー部を有する複数本の合成樹脂モノフィラメント2を束ねたブリッスル束であって、シュリンクフィルム3で束ねられているものである。かかるブリッスル束1は、少なくとも一端にテーパー部を有する合成樹脂モノフィラメント2から構成され、ブリッスル束1の側面にシュリンクフィルム3を嵌めた状態(
図1(a)、
図1(c))とし、その後シュリンクフィルム3を収縮させることで、得ることができる。
【0019】
複数本の合成樹脂モノフィラメント2を構成する合成樹脂モノフィラメント2のそれぞれは、その少なくとも一端にテーパー部を有する。一端のみにテーパー部を有する場合、複数本の合成樹脂モノフィラメント2において同一の端部にテーパー部を有するものである。また、基部とは、合成樹脂モノフィラメント2の最大径を有する部分を言う。
【0020】
本発明においては複数本の合成樹脂モノフィラメント2を構成する合成樹脂モノフィラメント2の基部直径に対して70~100%の直径を有する合成樹脂モノフィラメント2の領域が含まれる、ブリッスル束1の長手方向の範囲内のみに、前記のシュリンクフィルム3が存在することが必要である。
【0021】
本発明において、ブリッスル束1を構成するモノフィラメントの直径は、複数本の合成樹脂モノフィラメント2を束ねたブリッスル束1からを無作為に10本サンプリングして測定した径から、求めるものとする。すなわち、合成樹脂モノフィラメント2の基部直径とは10本の合成樹脂モノフィラメント2におけるそれぞれの最大径の平均値であり、基部直径に対して70~100%の直径を有する合成樹脂モノフィラメント2の領域とは、10本それぞれの合成樹脂モノフィラメント2の基部直径に対して70%の直径を有する位置を特定し、その平均位置をそのブリッスル束1の基部直径に対して70%の直径を有する位置とし、基部直径に対して70~100%の直径を有する合成樹脂モノフィラメント2の領域を設定するものとする。なお、後述する合成樹脂モノフィラメント2の基部直径に対して98~100%の直径を有する合成樹脂モノフィラメント2の領域についても同様に設定されるものである。
【0022】
シュリンクフィルム3が合成樹脂モノフィラメント2の基部直径に対して70%に満たない部分にも存在する場合、
図2(b)、および
図2(d)に示すように、ブリッスル束1のテーパー部分が過剰に収縮してしまい、ブリッスル束1の形状が崩れてしまうため、シュリンクフィルム3は基部直径に対して70~100%となる毛丈範囲のみ存在することが必要である。
【0023】
その理由は、以下の通りである。少なくとも一端にテーパー部を有する複数本の合成樹脂モノフィラメント2を束ねたブリッスル束1において、テーパー部分は直径が細くなっているためブリッスル束内の空間が大きい。そのためテーパー部にもシュリンクフィルム3が存在するとテーパー部の空間が縮められブリッスル束1の径方向に過剰に収縮してしまう。片テーパーのブリッスル束においては束形状が台形となり
図2(b)、ブリッスル束の下方から毛材が抜けてバラバラに乱れやすく、両テーパーのブリッスル束においてはブリッスル束の形状が太鼓状となり
図2(d)、外周部の毛材においてテーパー部が湾曲して品質に劣る毛材になりやすくなってしまう。
【0024】
また、本発明のブリッスル束1は合成樹脂モノフィラメント2の基部直径に対して98~100%の直径を有する合成樹脂モノフィラメント2の領域が含まれるブリッスル束1の長手方向の範囲が全てシュリンクフィルム3で覆われていることが好ましい。
【0025】
これは上記の範囲をシュリンクフィルム3で覆うことにより、シュリンクフィルム3の幅を広くすることができブリッスル束1の安定性を高め、ブリッスル束が崩れて毛材がバラバラに乱れることを起こりにくくすることができるためである。
【0026】
ブリッスル束1の毛丈については、使用目的に応じて適宜選定することができ、特に限定されないが、毛丈は10~50mmであることが好ましく、さらには12mm~25mmであることがより好ましい。
【0027】
これは、ブリッスル束1の毛丈を上記の範囲とすることでブリッスル束1の安定性をより高め、ブリッスル束が崩れて毛材がバラバラに乱れることを起こりにくくする効果がより高まるためである。
【0028】
なお、形状安定性に優れた本発明のブリッスル束1であっても、ブリッスル束1の直径が大きすぎるとその形状は崩れやすい傾向にあり、逆にブリッスル束1の直径が小さすぎるとブリッスル束1つあたりの数量が小さくなるため、結束工程での処理個数が増え、作業性が悪くなったり製造コストが高くなったりする傾向にある。
【0029】
そのため、ブリッスル束1の形状安定性、作業性および製造コストなどを考慮して、ブリッスル束1の直径は30~55mmの範囲、特に35~50mmの範囲にある場合、その効果を遺憾なく発揮する。
【0030】
また、本発明のブリッスル束1の巻き硬度が50~80°であることが好ましい。
【0031】
巻き硬度が上記範囲を満足する場合、シュリンクフィルム3により締め付けられている力が十分となり、さらに安定性に優れ、ブリッスル束が崩れて毛材がバラバラに乱れることが起こりにくいブリッスル束1とする効果をさらに高くすることができる。
【0032】
なお巻き硬度はブリッスル束1の直径と収縮前のシュリンクフィルム3の直径が近い程高くなるが、ブリッスル束1にシュリンクフィルム3を掛ける加工がしにくくなる。そのため巻き硬度と加工作業性を勘案して、収縮前のシュリンクフィルム3の直径はブリッスル束1の直径に対して110%程度が好適である。
【0033】
またブリッスル束1にシュリンクフィルム3を掛けるのは、ブリッスル束1のテーパー加工を行った後で、ブリッスル束の洗浄を行う前が好ましい。
【0034】
これはポリエステルの合成樹脂モノフィラメント2からなるブリッスル束1をアルカリ溶液で溶解処理してテーパー加工する場合、テーパー加工後のブリッスル束1はアルカリ溶解残渣により毛材同士が固定されており、結束をしなくてもブリッスル束として自立するため、その状態であればシュリンクフィルム3を掛ける加工がしやすいためである。
【0035】
その後洗浄をしてアルカリ溶解残渣を洗い落とすが、その際洗い落とされた残渣の分だけブリッスル束の径(以降単に、束径と略記する)が小さくなる。この束径の変化に追随させる必要があるため、洗浄の際にはシュリンクフィルム3の収縮温度以上の温水で洗浄することが好ましい。
【0036】
ここで、本発明のブリッスル束1を束ねるシュリンクフィルム3について、その素材は特に限定はされないが、70℃程度の温水でも収縮させることができるポリ塩化ビニルが好適である。
【0037】
また、本発明のブリッスル束1を束ねるシュリンクフィルム3について、その厚みについては特に限定はされないが、植毛機に投入する際にシュリンクフィルム3を切断して除去しやすい厚さ0.05mm程度が好適である。
【実施例0038】
以下、本発明のブリッスル束について、実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0039】
なお、ブリッスル束を構成する合成樹脂モノフィラメントは、基部の直径が0.178mmのポリブチレンテレフタレート製のブラシ用毛材を使用した。
【0040】
実施例および比較例におけるブリッスル束の安定性評価、結束部材の加工性評価については以下の方法で行った。
【0041】
〔ブリッスル束の巻き硬度評価〕
ブリッスル束の側面において、シュリンクフィルムの長手方向の中心に円周方向と平行にゴム硬度計(テフロック製:GS-701N)を押し当て、円周上の位置を変えた3点を測定し、その平均値から巻き硬度を求めた。
【0042】
〔ブリッスル束の安定性評価〕
ブリッスル束を、辺の長さがブリッスル束の直径よりも2mmずつ大きい正方形の底面を持ち、高さがブリッスル束の毛丈以上であるプラスチックケースに入れ、ボルテックミキサー(サイエンティフィックインダストリーズ製:デジタルボルテックスジェニー2)を用いて500rpmで10秒間振動させる試験を10束実施した際に、糸同士がバラバラにならずブリッスル束の形状を保っていた割合にて評価を行った。
【0043】
〔結束部材の加工性評価〕
ブリッスル束にシュリンクフィルム等の結束部材を掛ける作業を行い、加工性について次の3段階で評価した。
【0044】
○・・・従来の結束方法と同等の作業性であった。
【0045】
△・・・従来の結束方法より作業性が劣る結果であった。
【0046】
×・・・従来の結束方法より作業性が大幅に劣る結果であった。
〔毛材の品質〕
ブリッスル束の外周部から毛材を無作為に10本抜き出して目視で毛材の湾曲を確認し、品質を次の2段階で評価した。
【0047】
○・・・湾曲した毛材は含まれていなかった。
【0048】
×・・・湾曲した毛材が含まれていた。
【0049】
〔実施例1〕
1端のみにテーパー加工を実施した毛丈16mmのブリッスル束を作成し、このブリッスル束の側面に塩化ビニル製の厚さ0.05mm、直径50mm、幅13mmの筒状シュリンクフィルム(サンプラスチック製:HT-C501)をブリッスル束の非テーパー側の先端に合わせた状態で掛け、70℃の温水で洗浄しつつシュリンクフィルムを収縮させたのちブリッスル束を乾燥させ、テーパー側の先端から3~16mmの範囲の側面がシュリンクフィルムで覆われた直径45mmのブリッスル束を得た。
【0050】
〔実施例2〕
シュリンクフィルムの幅を10mmに変更し、テーパー側の先端から6~16mmの範囲の側面がシュリンクフィルムで覆われたたこと以外は、実施例1と同じ方法でブリッスル束を得た。
【0051】
〔実施例3〕
シュリンクフィルムの幅を6mmに変更し、テーパー側の先端から8~14mmの範囲の側面がシュリンクフィルムで覆われ、非テーパー側の先端から2mmまではシュリンクフィルムで覆われていないこと以外は、実施例1と同じ方法でブリッスル束を得た。
【0052】
〔実施例4〕
ブリッスル束の毛丈とシュリンクフィルムの幅を表1の通り変更したこと以外は、実施例1と同じ方法でブリッスル束を得た。
【0053】
〔実施例5〕
シュリンクフィルムの直径を70mmとし、ブリッスル束の巻き硬度を表1の通り変更したこと以外は、実施例1と同じ方法でブリッスル束を得た。
【0054】
〔実施例6〕
ブリッスル束の直径を表1の通り変更したこと以外は、実施例5と同じ方法でブリッスル束を得た。
【0055】
〔実施例7〕
両端にテーパー加工を実施した毛丈20mmのブリッスル束を作成し、このブリッスル束の側面に塩化ビニル製の厚さ0.05mm、直径50mm、幅14mmの筒状シュリンクフィルムをブリッスル束の中心に掛け、70℃の温水で洗浄しつつシュリンクフィルムを収縮させたのちブリッスル束を乾燥させ、テーパーの先端から3mmまでの範囲にはシュリンクフィルムが存在しない、すなわち先端から3~17mmの範囲の側面がシュリンクフィルムで覆われた直径45mmのブリッスル束を得た。
【0056】
〔比較例1〕
シュリンクフィルムの幅を16mmに変更したこと以外は、実施例1と同じ方法でブリッスル束を得た。
【0057】
〔比較例2〕
シュリンクフィルムの幅を20mmに変更したこと以外は、実施例6と同じ方法でブリッスル束を得た。
【0058】
〔比較例3〕
シュリンクフィルムの代わりに幅3mmの輪ゴムを用い、テーパー先端から11~14mmの位置で結束したこと以外は、実施例1と同じ方法でブリッスル束を得た。
【0059】
〔比較例4〕
シュリンクフィルムの代わりに幅16mm、長さ200mm、厚さ0.1mmのポリスチレンフィルムを巻き付け、その上から輪ゴムで締め付けたこと以外は、実施例1と同じ方法でブリッスル束を得た。
【0060】
〔比較例5〕
テーパー加工を実施したブリッスル束に仮の結束部材で固定をし、洗浄および乾燥を実施し、幅16mm、長さ200mm、厚さ0.1mmのポリスチレンフィルムに掛け替えた後、結束部材を接着剤で固定したこと以外は、実施例1と同じ方法でブリッスル束を得た。
【0061】
【0062】
表1から明らかなように、本発明のブリッスル束(実施例1~7)は、ブリッスル束の安定性に優れ、かつ結束部材の取り付けにも優れる結果であった。
【0063】
これに対して合成樹脂モノフィラメントの基部直径に対して70%未満の範囲内にもシュリンクフィルムが存在するブリッスル束(比較例1、2)はブリッスル束が変形して安定性に欠けたり、湾曲した毛材が発生したりしてしまい品質に劣るものであった。
【0064】
また輪ゴムを用いて結束したブリッスル束(比較例3)はブリッスル束の安定性に欠け、ポリスチレンフィルムを巻き付けた上から輪ゴムで締め付けたブリッスル束(比較例4)は、結束部材の取り付けに手間を要するものであり、ポリスチレンフィルムを接着剤で固定したブリッスル束(比較例5)は、ブリッスル束の洗浄前に加工を行うと束径の変化に追随できずにブリッスル束が乱れてしまうため、乾燥後に仮加工した結束部材から巻替える必要があり、大幅に加工に手間を要する結果であった。
本発明のブリッスル束は、従来のブリッスル束よりも毛丈の短いブリッスルの束においても、ブリッスル束が崩れることなく、かつ結束部材の取り付けが簡便であるブリッスル束を提供することができる。そして本発明のブリッスル束は、特に無平線歯ブラシに使用される毛丈の短い歯ブラシ用毛材に用いることでその効果を最大限に発揮する。