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特開2023-166096バックライトおよびこれを用いた表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166096
(43)【公開日】2023-11-21
(54)【発明の名称】バックライトおよびこれを用いた表示装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20231114BHJP
   H05B 47/155 20200101ALI20231114BHJP
   H05B 45/10 20200101ALI20231114BHJP
   H05B 47/105 20200101ALI20231114BHJP
【FI】
F21S2/00 444
F21S2/00 435
H05B47/155
H05B45/10
H05B47/105
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022076879
(22)【出願日】2022-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】大谷 久
【テーマコード(参考)】
3K244
3K273
【Fターム(参考)】
3K244AA01
3K244AA09
3K244BA08
3K244CA03
3K244DA01
3K244EA02
3K244EA13
3K244EA22
3K273PA07
3K273PA09
3K273QA05
3K273TA03
3K273TA15
3K273TA22
3K273TA31
3K273TA40
3K273UA20
3K273UA22
3K273VA08
(57)【要約】
【課題】 輝度の不連続性を改善しつつ低コスト化を図ることができるバックライトを提供する。
【解決手段】 本発明のバックライトは、第1の導光板130と、第1の導光板130の端面から光を照射する第1のLED光源132と、第1の導光板130と積層関係にある第2の導光板140と、第2の導光板140の端面から光を照射する第2のLED光源142とを含む。第1の導光板130の中央には、主面に向けて光を発光する発光領域134が形成され、第2の導光板140の周辺には、主面に向けて発光する発光領域144が形成され、発光領域134と発光領域144との境界領域には、輝度が変化するグラデーションが形成される。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の導光板と、
前記第1の導光板と積層関係にある第2の導光板と、
前記第1の導光板の端面に光を照射する第1の光源と、
前記第2の導光板の端面に光を照射する第2の光源とを含み、
前記第1の導光板は、入射した光を主面に向けて反射させる第1の発光領域を中央に含み、前記第2の導光板は、入射した光を主面に向けて反射させる第2の発光領域を周辺に含む、バックライト装置。
【請求項2】
前記第1の光源および前記第2の光源によって前記第1の導光板および前記第2の導光板に光が照射されたとき、前記第1の発光領域と前記第2の発光領域とによって主面全体の発光領域が形成される、請求項1に記載のバックライト装置。
【請求項3】
前記第1の発光領域は、輝度が一定の領域から輝度が低下する第1のグラデーション部を含み、前記第2の発光領域は、輝度が一定の領域から輝度が低下する第2のグラデーション部を含む、請求項1に記載のバックライト装置。
【請求項4】
前記第1のグラデーション部と前記第2のグラデーション部とは、平面的に見たときに重複する位置関係にある、請求項3に記載のバックライト装置。
【請求項5】
前記第1および第2のグラデーション部は、輝度が線形に変化する、請求項3に記載のバックライト装置。
【請求項6】
前記第1および第2のグラデーション部は、輝度が曲線状に変化する、請求項3に記載のバックライト装置。
【請求項7】
前記第1の発光領域は、前記第1の導光板の底部または底面に入射した光を反射する凹凸状の第1のドットパターンを含み、前記第2の発光領域は、前記第2の導光板の底部または底面に入射した光を反射する凹凸状の第2のドットパターンを含み、前記第1および第2のドットパターンの密度またはサイズにより輝度の変化が調整される、請求項1に記載のバックライト装置。
【請求項8】
請求項1に記載のバックライト装置と、
前記バックライト装置からの光によって画像を表示する表示手段と、
前記第1の光源を駆動する第1の駆動手段と、
前記第2の光源を駆動する第2の駆動手段と、
前記第1および第2の駆動手段を制御する制御手段と、
を含む表示装置。
【請求項9】
前記制御手段は、昼間または明るい環境であるとき、前記第1および第2の駆動手段を介して前記第1および第2の光源を点灯させる、請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記制御手段は、夜間または暗い環境であるとき、前記第1の駆動手段を介して前記第1の光源を点灯させる、請求項8に記載の表示装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記表示手段に表示する表示コンテンツに基づき前記第1および第2の駆動手段を介して前記第1および第2の光源の点灯を制御する、請求項8に記載の表示装置。
【請求項12】
前記表示手段は、前記液晶パネルである、請求項8に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックライトに関し、特に液晶パネル等に用いられるバックライトの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
運転席の前面のインスツルメンツパネルをディジタル表示するための液晶表示ユニットが普及傾向にある。例えば、図1(A)に示すように液晶表示ユニット1は、運転席の前方に配置され、図1(B)に示すように、速度、距離、燃料などのメーター類や、シートベルト着用、ガソリン残量、半ドアなどの警告2が表示される(例えば、特許文献1)。
【0003】
液晶表示ユニットでは、低コスト化や薄型化を図るため、導光板の端面からLED光を照射するサイドエッジ方式のバックライトを採用している(例えば、特許文献1)。一方で、複数のLEDを2次元的に配置し、LED光をダイレクトに液晶パネルの背面を照射するローカルディミング方式のバックライトの実用化も進められている(例えば、特許文献2、3)。ローカルディミング方式は、画像を表示する領域を照射したり、黒部分の領域の照射を消すまたは絞ることで視覚的コントラスト比を向上させる利点を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-234704号公報
【特許文献2】特開2010-21073号公報
【特許文献3】特開2010-55889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車載液晶表示ユニットの大型化が進むと、画面が大きいだけに夜間の黒浮きが目立ち、あるいは黒ムラが悪化するという問題が生じる。こうした問題は、サイドエッジ方式のバックライトで解決することは難しく、ローカルディミング方式のバックライトによる解決が求められる。
【0006】
図2は、従来のローカルディミング方式のバックライトの概略構成を示す模式図である。バックライト10は、2次元的に配列された複数のLED20と、ローカルディミングコントローラ30と、各LED20を駆動するためのLEDドライバー40とを含む。ローカルディミングコントローラ30は、部分的に明るさを調整することを可能にするため、各LED20の点灯を制御し、例えば、液晶パネルに表示する領域に応じてLED20を点灯させ、コントラスト比を向上させる。
【0007】
しかしながら、ローカルディミング方式では、LED20の数が増加すれば、それを駆動するためのLEDドライバー40の数も増加し、コストが高くなるという欠点がある。こうした欠点を回避するため、液晶パネルの周辺部分のみをローカルディミング方式で照光し、中央部分をサイドエッジ方式のバックライトで一括照光するハイブリッド方式が検討されている。
【0008】
図3は、ハイブリッド方式のバックライトの構成を示す模式図である。同図に示すように、バックライト12は、液晶パネルの周辺部分に対応する領域に複数のLED20を配置し、中央部分にサイドエッジ方式の導光板による面光源22を配置する。液晶パネルの中央部分には、通常画像が表示される領域であるため、ローカルディミングコントローラ32は、面光源LEDドライバー42を介して面光源22を一括照射し、他方、周辺部分の夜間の黒浮きを抑制したり、液晶パネル外のブラックプリント部分との境界が目立たないようにするためLEDドライバー40を介してLED20の個別的な点灯制御が行われる。
【0009】
ハイブリッド方式は、液晶パネルの全面にLEDを配置させるローカルディミング方式よりもLEDの数およびLEDドライバーの数を減らすことができるので、大幅なコストの低減を実現することが可能であるが、更なる低コスト化が要求されている。
【0010】
また、ハイブリッド方式のバックライトの光学的な問題点も明らかとなった。それは、図4(A)に示すように、液晶ディスプレイ50に黒画面を表示したとき、画面中央のサイドエッジ方式による表示領域52と、画面周辺のローカルディミング方式によるに表示領域54との境界Bにおいて輝度傾斜の連続性が不十分となり、境界が視認され易くなってしまう。
【0011】
図4(B)は、表示領域52と表示領域54との境界Bを跨ぐA-A’線の輝度の変化を示している。ローカルディミング方式により実線Qで示すような輝度変化に傾斜を持たせることは可能であるが、丸い領域Dにおいて一定の輝度が実線Qと交差する部分での輝度の連続性が不十分になり、その部分の不連続が視認され易くなる。この問題は、ローカルディミング方式による表示領域54の幅を大きくし、その領域のLEDの数を増やすことで輝度の変化をさらに緩やかにすれば解消可能である。しかし、そうすると、LEDの数およびLEDドライバーの数が増加してしまい、ハイブリッド方式による低コスト化のメリットが損なわれてしまう。
【0012】
本発明は、このような従来の課題を解決し、輝度の不連続性を改善しつつ低コスト化を図ることができるバックライトおよびこれを用いた表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係るバックライト装置は、第1の導光板と、前記第1の導光板と積層関係にある第2の導光板と、前記第1の導光板の端面に光を照射する第1の光源と、前記第2の導光板の端面に光を照射する第2の光源とを含み、前記第1の導光板は、入射した光を主面に向けて反射させる第1の発光領域を中央に含み、前記第2の導光板は、入射した光を主面に向けて反射させる第2の発光領域を周辺に含む。
【0014】
ある態様では、前記第1の光源および前記第2の光源によって前記第1の導光板および前記第2の導光板に光が照射されたとき、前記第1の発光領域と前記第2の発光領域とによって主面全体の発光領域が形成される。ある態様では、前記第1の発光領域は、輝度が一定の領域から輝度が低下する第1のグラデーション部を含み、前記第2の発光領域は、輝度が一定の領域から輝度が低下する第2のグラデーション部を含む。ある態様では、前記第1のグラデーション部と前記第2のグラデーション部とは、平面的に見たときに重複する位置関係にある。ある態様では、前記第1および第2のグラデーション部は、輝度が線形に変化する。ある態様では、前記第1および第2のグラデーション部は、輝度が曲線状に変化する。ある態様では、前記第1の発光領域は、前記第1の導光板の底部または底面に入射した光を反射する凹凸状の第1のドットパターンを含み、前記第2の発光領域は、前記第2の導光板の底部または底面に入射した光を反射する凹凸状の第2のドットパターンを含み、前記第1および第2のドットパターンの密度またはサイズにより輝度の変化が調整される。
【0015】
本発明に係る表示装置は、上記記載のバックライト装置と、前記バックライト装置からの光によって画像を表示する表示手段と、前記第1の光源を駆動する第1の駆動手段と、
前記第2の光源を駆動する第2の駆動手段と、前記第1および第2の駆動手段を制御する制御手段とを含む。
【0016】
ある態様では、前記制御手段は、昼間または明るい環境であるとき、前記第1および第2の駆動手段を介して前記第1および第2の光源を点灯させる。ある態様では、前記制御手段は、夜間または暗い環境であるとき、前記第1の駆動手段を介して前記第1の光源を点灯させる。ある態様では、前記制御手段は、前記表示手段に表示する表示コンテンツに基づき前記第1および第2の駆動手段を介して前記第1および第2の光源の点灯を制御する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、中央に第1の発光領域を有する第1の導光板と周辺に第2の発光領域を有する第2の導光板との積層することで、低コストでありながら輝度の不連続を改善したバックライトを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】メーター類をディジタル表示するための液晶表示ユニットの一例を示す図である。
図2】従来のローカルディミング方式のバックライトの構成を示す図である。
図3】従来のハイブリッド方式のバックライトの構成を示す図である。
図4】従来のハイブリッド方式のバックライトを用いた液晶表示装置の課題を説明する図である。
図5】本発明の実施例に係る表示装置の構成を示す分解斜視図である。
図6】本発明の実施例に係る表示装置の電気的な構成を示すブロック図である。
図7図7(A)は、第1および第2の導光板による発光輝度を示す図、図7(B)は、表示装置の断面構造を示す図、図7(C)、(D)は、第1および第2の導光板の点灯パターンを示す図である。
図8図8(A)は、輝度グラデーションを説明するため導光板の概略断面図、図8(B)、(C)、(D)は、ドットパターンの密度と発光量との関係を説明する図である。
図9】本発明の実施例による表示装置の導光板の点灯パターンの切替え例を示すテーブルである。
図10】本発明の実施例によるバックライトの輝度グラデーションの検証方法を説明する図である。
図11】本発明の実施例によるバックライトの輝度グラデーションの他の検証例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係るバックライト装置は、特に限定されないが、例えば、液晶パネル等の表示媒体を背面から照射する機能を備える。また、本発明に係る表示装置は、特に限定されないが、例えば、車両のインスツルメンツパネルの速度、距離、燃料などのメーター類を表示する液晶表示ユニットを構成する。
【実施例0020】
次に、本発明の実施例について図面を参照して詳細に説明する。図5は、本発明の実施例に係る表示装置の分解斜視図である。本実施例の表示装置100は、画像表示用の液晶パネル110と、液晶パネル110の下方に配置された複数の光学シート120と、光学シート120の下方に配置された第1の導光板(LGP1)130と、第1の導光板130の下方に配置された第2の導光板(LGP2)140と、第1の導光板130の端部に配された第1のLED光源132と、第2の導光板140の端部に配された第2のLED光源142とを積層して構成される。
【0021】
液晶パネル110は、例えば、TFT(Thin Film Transistor)液晶構造から構成される。TFT液晶構造は、複数の薄膜トランジスタがマトリックス状に形成されたTFTアレイ基板上に、液晶セル、RGBカラーフィルターなどが設けられ、TFTアレイ基板の下方に偏光板が設けられる。1画素は、3つのRGBのサブ画素から構成され、1つのサブ画素が1つの薄膜トランジスタに対応する。
【0022】
光学フィルム120は、第1および第2の導光板130、140から照射された光の反射を防止する反射防止フィルムや光を拡散させる拡散フィルムなどを含むことができる。
【0023】
本実施例のバックライトは、液晶パネル110の中央部を照射するための第1の導光板130と周辺部を照射するための第2の導光板140とを含む2層バックライト方式を有する。第1および第2の導光板130、140は、概ね同一の矩形状であるが、光を反射または散乱させるドットパターンの違いによって発光領域を異にすることを特徴とする。
【0024】
図5の例では、第1の導光板130は、ハッチングで示す中央の矩形領域を発光領域134として含み、それ以外は発光領域として機能しない。一方、第2の導光板140は、ハッチングで示す枠状の外周領域を発光領域144として含み、それ以外は発光領域として機能しない。発光領域134、144は、あたかも面光源のように機能する。
【0025】
第1の導光板130の発光領域134の形状および大きさは、第2の導光板140の非発光領域の形状および大きさに概ね一致し、第2の導光板140の発光領域144の形状および大きさは、第1の導光板130の非発光領域の形状および大きさに概ね一致する。第1および第2の導光板130、140によって液晶パネル110を照射するとき、発光領域134で発光された光が液晶パネル110の中央領域を照射し、発光領域144で発光された光が第1の導光板130の非発光領域を介して液晶パネル110の周辺領域を照射する。
【0026】
第1の導光板130および第2の導光板140は、例えば、アクリル等の光透過性材料から構成される。第1の導光板130の中央の底部または底面には、発光領域134を形成するための複数のドットパターンが形成され、第2の導光板140の外周の底部または底面には、発光領域144を形成するための複数のドットパターンが形成される。ドットパターンは、凸部、凹部、段差、突起などの微小な反射部であり、ドットパターンは、レーザー加工、印刷、モールド等によって形成することができる。導光板の端面から入射した光は、ドットパターンによって散乱または反射され、散乱または反射された光は、導光板の主面である上面から取り出される。
【0027】
第1の導光板130と第2の導光板140との積層方法は特に限定されないが、例えば、第1の導光板130の底面と第2の導光板140の上面とが直接接触されるようにしてもよいし、その間に、例えば、反射防止シートや透過性の接着剤などを介在させるようにしてもよい。また、図5の例では、第1の導光板130の下方に第2の導光板140を配置させたが、積層する順序は反対であってもよい。
【0028】
第1のLED光源132は、第1の導光板130の短手側の側部に配置される。第1のLED光源132は、ライン状に配された複数の複数のLEDを含み、各LEDから発せられた光は、第1の導光板130の端面から内部に向けて入射される。第2のLED光源142は、第2の導光板140の短手側の側部に配置される。第2のLED光源142は、ライン状に配された複数の複数のLEDを含み、各LEDから発せられた光は、第2の導光板140の端面から内部に向けて入射される。
【0029】
図5の例では、第1のLED光源132は、第2のLED光源142と反対側の側部に配置されているが、第1のLED光源132と第2のLED光源142とを同じ側の側部に配置させてもよい。第1および第2のLED光源132、142の実質的な厚さが、第1および第2の導光板130、140の厚さよりも大きくなるような場合には、第1のLED光源132と第2のLED光源142とを反対側の側部に配置することでバックライトの厚さを薄くすることができる。他方、バックライトの厚さに制限がないような場合には、第1のLED光源132と第2のLED光源142とを同じ側の側部に配置することで、LED光源を配置しない側の表示装置の額縁(液晶パネルの外縁)を小さくすることができる。
【0030】
図6は、本実施例の表示装置の電気的な構成を示すブロック図である。本実施例の表示装置100は、液晶パネル110を駆動するための液晶ドライバー210と、第1のLED光源132を駆動するための第1のLEDドライバー220と、第2のLED光源142を駆動するための第2のLEDドライバー230と、これらのドライバーを制御するコントローラ240を含んで構成される。表示装置100は、例えば、車両のインスツルメンツパネルに搭載され、液晶パネル110は、メーター類やナビゲーション画面などを表示する。
【0031】
図7(A)は、第1および第2の導光板の発光輝度、図7(B)は、表示装置の断面構造、図7(C)、(D)は、点灯パターンの模式的に示している。LGP1、LGP2は、それぞれ第1の導光板130、第2の導光板140を示す。
【0032】
図7(B)に示すように、表示装置100は、光学シート120、第1の導光板130および第2の導光板140の積層した構造の端部を保持する黒色の筐体150を含み、この上に液晶パネル110を配置させる。
【0033】
コントローラ240が第1のLEDドライバー220を介して第1のLED光源132を点灯するとき、第1の導光板130の中央の発光領域134が面光源のように発光し、第2のLEDドライバー230を介して第2のLED光源142を点灯するとき、第2の導光板140の外周の発光領域144が面光源のように発光する。図7(A)の実線は、第1の導光板130の水平方向の輝度を示している。中央の輝度は概ね一定であり、中央から端部に向かう領域Pにおいて輝度が徐々に低下するグラデーションが形成される。また、破線は、第2の導光板140の水平方向の輝度をしている。周辺の輝度は概ね一定であり、周辺から中央に向かう領域Pにおいて輝度が徐々に低下するグラデーションが形成される。
【0034】
第1の導光板130と第2の導光板140の両方が発光すると、それぞれの発光が合成され、液晶パネル110の全面が概ね同一輝度で照射され、これは、通常のサイドエッジ方式によるバックライトと等価である。このとき、発光領域134と発光領域144との境界と、グラデーションの領域Pとが重なることが望ましい。図7(A)の例では、かなり急峻な傾きで輝度が変化しているが、領域Pの輝度の変化は、ドットパターンの密度またはサイズを調整することで、よりなだらかに輝度を変化させることが可能である(この詳細は後述する)。
【0035】
図7(C)は、第1のLED光源132と第2のLED光源142を同時に点灯させたときの点灯パターンであり、このとき、バックライトの全面が概ね同一輝度で発光する。図7(D)は、第1のLED光源132のみを点灯させたときの点灯パターンであり、このとき、バックライトの中央部分のみ発光し、外周部分が暗くなる。
【0036】
次に、導光板によるグラデーション(輝度傾斜)の形成方法について説明する。図8(A)は、導光板の模式的な断面構造である。導光板300の側部にLED310が配置され、導光板300の上面側にメディアシート330、拡散板340が配置され、底面側に反射シート350が配置され、これらの積層の端部が黒色の筐体360によって支持されている。
【0037】
先ず、導光板の原理について同図を参照して説明する。導光板300は、一般的にアクリルのような透明な板を加工して形成される。アクリル板にエッジからLED310から一定の方射角を持つ光L1が入射されると、入射された光L1は、空気との界面で反射しながらそのほとんどが反対側の端部から外部に放出される。しかし、アクリル板の底面に微小な凹凸状のドットパターン320を形成すると(図の例では、レーザー加工痕)、入射された光L1がドットパターン320で反射され、その角度が変わり、導光板300の上面から外部に光L2として取り出すことが可能となる。
【0038】
例えば、図8(B)に示すように、導光板300の底面に形成するドットパターン320のサイズや密度(一般的には密度)を増やせば、導光板300の上面から取り出すことができる発光量が増え、逆に、図8(C)に示すように、ドットパターン320の密度を小さくすれば発光量は低下する。よって、図8(D)に示すように、1枚の導光板内で光取り出し用のドットパターンの密度を連続的に変化させれば、発光量のグラデーションを作成することが可能となる。この場合、LED光L1の進行方向に向かって、外部に取り出された光の分だけ光量が減ってくるので、実際にはそれらを考慮したドットパターンの設計が必要となる。
【0039】
図7(C)に示したように、第1の導光板130と第2の導光板140とを同時に点灯させることで、液晶パネル110の画面全体の表示に均一に同一輝度の光を照射することが可能になり、第1の導光板130のみ点灯させることで、液晶パネル110の周囲の輝度を下げて、夜間や暗所での黒浮き感を低減した表示が可能となる。
【0040】
図9は、第1および第2の導光板の点灯パターンを説明するテーブルである。昼間や明るい環境では、ローカルディミングの効果が発揮されないことが判っている。これは「黒表示時の漏れ光輝度<液晶パネルの反射輝度」となっている状況であり、バックライト光を部分的に減らしてもほぼ差が判らない。この状況では表示輝度も重要なため、点灯パターンとして「LGP1+LGP2」が使用される。
【0041】
夜間や暗い環境では周囲光が減るため、「液晶パネルの反射輝度」がゼロに漸近し、黒表示の漏れ光が顕在化して黒浮きとして認識される。そのため、点灯パターンとして「LGP1のみ」の発光とすることで、この黒浮き感を低減させる。但し、液晶パネル全面に表示があり、周囲を暗くしない方が良い場合(ナビゲーション画像やテレビ映像など)には、点灯パターンとして「LGP1+LGP2」を選択する。
【0042】
「LGP1+LGP2」と「LGP1」との切替えは、コントローラ240によって行われる。コントローラ240は、例えば、図示しない車内バスを介して取得される車両のディマーライト等のオン/オフを示す点灯信号に基づき昼間または夜間を判定し、その判定結果に基づき第1および第2のLEDドライバー220、230を介して第1および第2の導光板130、140に点灯を制御する。また、コントローラ240は、表示装置100に画像データを提供する画像リソース(例えば、ナビゲーション装置、オーディオ・ビデオ装置、TV装置など)から表示コンテンツを識別し、その識別結果に基づき第1および第2のLEDドライバー220、230を介して第1および第2の導光板130、140に点灯を制御する。
【0043】
本実施例による2層バックライト方式は、導光板に形成されるドットパターンの密度またはサイズを調整することで、導光板からの発光光量のグラデーションを容易に変更できることを大きな特徴とする。
【0044】
次に、導光板のグラデーション(輝度傾斜)と実際の見栄えとの関係の検証結果について説明する。検証時の導光板の点灯パターンを図10に示す。即ち、画面中央から端部までの距離を100%としたときの、x%までは輝度傾斜なし、x%以降はリニアに輝度変化させる場合を検証した。グラデーションの方向は、縦方向と横方向のみある。検証の結果、x%が80%~70%程度の場合、中央部の輝度が一定の領域と周辺の輝度が傾斜する領域との境界がまだはっきりと認識されたが、x%が60%程度になると、境界をほぼ判らなくなってきて、40%程度までいくと、ほぼ境界の存在が判別できなくなった。
【0045】
点灯パターンを変更した場合の例を図11に示す。即ち、画面中央から端部までの距離を100%としたときの、x%までリニアに輝度を20%減少させ、x%以降はリニアに輝度変化をさらに大きく変化させた場合を検証した。今回もグラデーションの方向は、縦方向と横方向のみである。検証の結果、図10に示す点灯パターンよりも更に境界が判りにくくなっており、60%~70%程度でも黒浮き低減効果を期待することができた。
【0046】
上記実施例では、輝度をリニアに低減させる例を示したが、輝度を曲線で変化させれば、更に輝度変化が急峻な境界領域を無くすことができ、より望ましい。つまり、輝度が一定の領域から輝度が低下する領域との境界において、輝度ができるだけ滑らかに変化するようにする。また、グラデーションをどの程度許容するかは表示する画像にも依存するので、画像に応じてLED光源の輝度を調整するようにしてもよい。さらに、夜間でもナビゲーション画像のように全画面に表示する場合には(=ローカルディミングの効果があまりない)、LGP2を点灯することが望ましい。
【0047】
上記実施例では、導光板の上下と左右の2方向のみにグラデーションを構成するようにしたが、これに限らず、グラデーションは、同心円状にリニアに変化する構成でもよい。この場合、第1の導光板130の発光領域134は、矩形状ではなく、円形状であってもよい。また、グラデーションは、縦方向のみ、横方向のみ、あるいは特定の方向のみであってもよい。
【0048】
上記実施例では、第1の導光板130の発光領域134を矩形状にしたが、これに限らず、他の任意の形状であることが可能である。例えば、導光板の形状に応じた発光領域の形状にしてもよい。いずれにせよ、導光板の底面または底部に形成されるドットパターンの形状や大きさを適宜選択することで任意の形状や大きさの発光領域を形成することができる。
【0049】
本実施例によれば、LED光をエッジから入射する2層バックライト方式によりバックライトを構成するようにしたので、従来のハイブリッド方式よりもさらにコストを低減することができ、かつ、輝度グラデーションを制御することで輝度の不連続性を改善し、その境界が目立たないようにすることできる。さらに液晶パネルの周囲を黒くすることで、夜間の黒浮きが目立たなくし、かつブラック印刷部との輝度差も小さくなり、全体の見かけ上黒浮きも目立たなくさせることができる。
【0050】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0051】
100:表示装置 110:液晶パネル
120:光学シート 130:第1の導光板
132:第1のLED光源 134:発光領域
140:第2の導光板 142:第2のLED光源
144:発光領域 150:筐体
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