IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイハツ工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-車両用制御装置 図1
  • 特開-車両用制御装置 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166102
(43)【公開日】2023-11-21
(54)【発明の名称】車両用制御装置
(51)【国際特許分類】
   F02D 29/02 20060101AFI20231114BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
F02D29/02 K
B60K35/00 Z
F02D29/02 321B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022076890
(22)【出願日】2022-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105980
【弁理士】
【氏名又は名称】梁瀬 右司
(74)【代理人】
【識別番号】100121027
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100178995
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 陽介
(72)【発明者】
【氏名】吉田 亘
【テーマコード(参考)】
3D344
3G093
【Fターム(参考)】
3D344AA20
3D344AA27
3D344AD02
3G093AA06
3G093BA04
3G093CA01
3G093DA01
3G093DA06
3G093DB05
3G093DB11
3G093FB05
(57)【要約】
【課題】車両情報を表示する表示装置を備える車両用制御装置において、車両情報が表示される前に車両が走行するのを防止する。
【解決手段】車両用制御装置では、デジタル表示器であるメータ表示器10を備え、該表示器10に車速メータやタコメータなどの車両情報が表示される。ここで、CVT-ECU40は、イグニッションキースイッチ2がON操作されてからメータ表示器10に車両情報が表示されるまでの間は、シフトスイッチ3の変更を無効化する。これにより、車両情報がメータ表示器10に表示される前は、車両1が走行できない状態に制御されるため、走行の安全性が向上する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両情報を表示可能な表示装置を備える車両用制御装置において、
運転者の操作に基づいて車両の走行を制御する走行制御手段と、
前記表示装置の表示を制御する表示装置制御手段と、
を備え、
前記表示装置制御手段は、前記車両の動力源の始動操作に基づいて、前記表示装置に対する前記車両情報の表示処理を開始し、
前記走行制御手段は、前記動力源の始動操作があってから、前記表示装置に前記車両情報が表示されるまでの間は、当該車両を走行できない状態に制御する
ことを特徴とする車両用制御装置。
【請求項2】
前記走行制御手段は、前記表示装置に対する前記車両情報の表示処理が完了した旨の情報を取得すると、当該車両の走行不可状態の制御を解除して走行可能状態に制御することを特徴とする請求項1に記載の車両用制御装置。
【請求項3】
前記車両情報は、当該車両の走行状態を示すメータ情報を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車速メータやタコメータなどの車両情報がデジタル表示器に表示される車両を制御する車両用制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の走行状態をデジタル表示する表示装置を備える車両がある。例えば、特許文献1に記載の車両では、車両のインストルメントパネルのメータユニットにデジタル表示器が設けられ、車輪速センサの検出値に基づいて算出された車速が当該デジタル表示器に表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-113810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車速のデジタル表示のみならず、インストルメントパネルの全面を液晶パネルで構成して、従来あった各種のメータの全てを液晶モニタに表示する車両も提案されている。この場合、車両に電源が供給されてから車速やエンジンの回転数などの情報(車両情報)が画面に表示されるまでには一定時間を要するため、エンジンがオンされて車両が走行可能な状況になったタイミングで、液晶パネルに車両情報が表示されていない場合がある。車速やエンジンの回転数などの車両の走行状況を示す情報は運転の安全性を高める上で有用な情報であり、走行を開始する前にも表示してドライバが確認できるようにしたいとの要望がある。
【0005】
本発明は、上記した課題を鑑みてなされたものであり、車両情報を表示する表示装置を備える車両用制御装置において、車両の走行前には必ず車両情報が表示されるようにして、運転の安全性のさらなる向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するため、本発明にかかる車両用制御装置は、車両情報を表示可能な表示装置を備える車両用制御装置において、運転者の操作に基づいて車両の走行を制御する走行制御手段と、前記表示装置の表示を制御する表示装置制御手段とを備え、前記表示装置制御手段は、前記車両の動力源の始動操作に基づいて、前記表示装置に対する前記車両情報の表示処理を開始し、前記走行制御手段は、前記動力源の始動操作があってから、前記表示装置に前記車両情報が表示されるまでの間は、当該車両を走行できない状態に制御することを特徴としている(請求項1)。
【0007】
また、前記走行制御手段は、前記表示装置に対する前記車両情報の表示処理が完了した旨の情報を取得すると、当該車両の走行不可状態の制御を解除して走行可能状態に制御してもよい(請求項2)。
【0008】
また、前記車両情報は、当該車両の走行状態を示すメータ情報を含んでいてもよい(請求項3)。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、走行制御手段は、動力源の始動操作があってから、表示装置に車両情報が表示されるまでの間は、当該車両が走行できない状態に制御するため、車両が走行する前には車両情報が表示されることになり、運転の安全性が向上する。
【0010】
請求項2の発明によれば、走行制御手段は、表示装置に対する車両情報の表示処理が完了した旨の情報を取得したときに、走行可能状態に制御する。この場合、走行可能状態になる前に確実に車両情報を表示させることができ、運転の安全性が向上する。
【0011】
請求項3の発明によれば、車両情報が車両の走行状態を示すメータ情報を含んでいるため、車両の走行前に運転者に表示する車両情報として好適である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る車両用制御装置の概略構成図である。
図2図1の車両情報の表示処理の流れと車両の走行制御との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態にかかる車両用制御装置について、図1図2を参照して説明する。なお、図1は本発明の一実施形態に係る車両用制御装置の概略構成図、図2は車両情報の表示処理の流れと車両の走行制御との関係を示す図である。
【0014】
(車両の電気的構成)
本発明の一実施形態にかかる車両用制御装置は、車速メータ、エンジンの回転数メータ(タコメータ)、テルテールなどが表示画面に表示される車両1の走行を制御するものであり、各種メータを表示するメータ表示器10と、メータ表示器10の表示を制御するメータ統合ECU20と、エンジンの始動や停止、およびエンジンの出力を制御するエンジンECU30と、トランスミッションの制御を行うCVT-ECU40と、車両1の横滑りの防止制御を行うVSC-ECU60とを備える。
【0015】
車両1には、通信バス50が敷設されており、メータ統合ECU20、エンジンECU30、CVT-ECU40、VSC-ECU60それぞれは通信バス50に接続されて互いにCAN(Controller Area Network)通信を行う。
【0016】
メータ表示器10は、液晶表示器であり、インストルメントパネルに配置される。すなわち、この実施形態では、インストルメントパネルの全面が液晶パネルで構成されており、表示画面には、車速メータ、エンジンの回転数メータ(タコメータ)、テルテールが表示される。なお、この実施形態ではメータ表示器10を液晶で構成したが、例えば、有機ELディスプレイなどメータ表示を行うことが可能な種々の表示器を使用できる。
【0017】
メータ統合ECU20は、メータ表示器10の表示を制御するものであり、メータ制御部21と、メータ描画処理部22とを備える。メータ制御部21は、各種制御及び各種演算などを行うCPU21aと、各種制御プログラム等を記憶するメモリ21bとを備える。メータ制御部21は、イグニッションキースイッチ2がON操作され、電源が供給された場合は、メータ表示器10の表示内容を決定するとともに、VSC-ECU60に入力される車速センサ4からの車速情報、タコメータからのエンジン回転数情報など、メータ表示器10に表示する内容に応じた情報を取得する。
【0018】
また、メータ制御部21のCPU21aは、決定した表示内容に関する情報、車速情報、エンジン回転数情報などをメータ描画処理部22のCPU22aに送信する。また、メータ制御部21のCPU21aは、イグニッションキースイッチ2がON操作されてから、メータ表示器10に車速やエンジンの回転数の表示等が表示されるまでの間にシフトポジションの変更操作があったか否かを判定し、変更操作があった場合は、その旨を示す情報をメータ描画処理部22のCPU22aに送信する。なお、メータ制御部21のCPU21aは、シフトポジションの変更操作があったか否かの判定を、CVT-ECU40のCPUに入力されるシフトスイッチ3からの信号を取得して行う。
【0019】
メータ描画処理部22は、各種制御及び各種演算などを行うCPU22aと、主としてメータ表示器10の表示画面に画像を描写するときに必要な演算処理(GUI(Graphical User Interface)描画処理)を行うGPU22bと、各種制御プログラム、OSプログラム、表示画像データ等を記憶するメモリ22cとを含む。なお、この実施形態では、メータ描画処理部22は、CPU22a、GPU22b、メモリ22cが1つのチップに形成されたSoC(System on a chip)で構成されている。
【0020】
メータ描画処理部22は、メータ表示器10の表示画面に車速メータ、エンジンの回転数メータ(タコメータ)、テルテール等を表示させるためのOSの起動、メータ制御部21から送信された表示項目に関する情報、車速情報、エンジンの回転数情報などを取得する処理(OS内部処理)、メータ制御部21のCPU21aから送信された表示項目をメータ表示器10に表示するために必要な各種演算処理、表示に必要な画像データをメモリ22cから取得する処理(GUI描画処理)などを行い、メータ表示器10の表示画面に車速メータ、タコメータ、テルテールなどを表示させる。
【0021】
ここで、イグニッションキースイッチ2がON操作されてから、メータ表示器10の各種情報が表示されるまでの具体的な流れを図2を参照して説明する。まず、イグニッションキースイッチ2がON操作されることにより車両1に電源が投入されると、メータ描画処理部22のCPU22aは、メモリ22cからOSプログラムを読み出してOSを起動させる。
【0022】
一方、メータ制御部21のCPU21aでは、イグニッションキースイッチ2がON操作されることにより車両1に電源が投入されると、メータ表示器10に表示する表示内容(車速メータ、タコメータ、テルテールなど)を決定するとともに、決定した表示内容に必要な情報を、CAN通信などを介して取得する(メータ内部処理)。必要な情報とは、例えば、車速メータであれば車速センサ4の検出信号(車速情報)であり、タコメータであればエンジンの回転数情報である。また、メータ制御部21のCPU21aは、決定した表示内容に関する情報、車速情報、エンジンの回転数情報などの各種情報をメータ描画処理部22のCPU22aに送信する。
【0023】
OSの起動が完了すると、メータ描画処理部22のCPU22aは、メータ制御部21のCPU21aにより決定された表示項目に関する情報、メータ制御部21のCPU21aから送信された表示内容に関する情報、車速情報、エンジンの回転数情報などの各種情報を取得してメモリに一時的に記憶するなどの処理を行う(OS内部処理)。
【0024】
OS内部処理が終了した後は、例えばメータ描画処理部22のGPU22bが、各表示項目の表示位置の指定や表示に必要な各種演算処理、表示させる各種情報に対応する画像データの取得処理などの処理(GUI描画処理)を行って、メータ表示器10の表示画面に車速情報、エンジン回転数情報、テルテールなどを表示させる。
【0025】
メータ表示器10に各種情報の表示が完了した場合、メータ統合ECU20は、その旨を示す情報をCVT-ECU40に送信する。当該情報の送信は、メータ制御部21のCPU21aが行ってもよいし、メータ描画処理部22のCPU22aが行ってもよい。
【0026】
また、イグニッションキースイッチ2がON操作されてから、メータ表示器10に車速メータ、タコメータ、テルテールが表示されるまでの間に、シフトスイッチ3が「Pレンジ」から他のレンジへの変更操作があった場合は、CVT-ECU40からその旨の情報が、メータ統合ECU20に送信される。当該情報を受信した場合、メータ統合ECU20は、例えば、表示画面に「走行準備中」などの警告表示が行われるようにメータ表示器10を制御する。
【0027】
なお、警告表示は、メータ表示器10への表示に限らず、例えば、メータ表示器10への表示に併せて、または、メータ表示器10への表示に代えて音声警告を行ってもよい。
【0028】
CVT-ECU40は、トランスミッションを制御するものであり、各種制御及び各種演算などを行うCPU(図示省略)と、制御プログラム等を記憶するメモリ(図示省略)とを有する。CVT-ECU40のCPUへは、シフトスイッチ3からの信号が入力される。この実施形態では、シフトスイッチ3がボタン型のセレクターで構成されており、P(パーキング)レンジスイッチ、R(リバース)レンジスイッチ、N(ニュートラル)レンジスイッチ、D(ドライブ)レンジスイッチを有する。各レンジスイッチのいずれかが押下されると、CVT-ECU40に信号が出力される。
【0029】
CVT-ECU40のCPUは、いずれかのレンジスイッチの信号の入力を確認すると、例えば、メモリに設けられたシフトレンジ記憶領域に、当該入力されたレンジの種類を特定可能な情報を一時的に記憶する。そして、アクセル操作等があった場合は、シフトレンジ記憶領域に記憶されているレンジの種類に応じたトランスミッションの制御を行う。また、新たにレンジスイッチの信号の入力を確認すると、シフトレンジ記憶領域の記憶内容を、新たに入力を確認したレンジの種類に書き換える。
【0030】
ただし、CVT-ECU40のCPUは、イグニッションキースイッチ2がON操作されてから、メータ表示器10に各種情報の表示が完了した旨の情報を受信するまでの間に、NレンジスイッチやRレンジなど、Pレンジスイッチとは異なるスイッチからの信号の入力を確認した場合は、シフトレンジ記憶領域の記憶内容の書き換えを行わない。すなわち、CVT-ECU40のCPUは、イグニッションキースイッチ2がON操作されてから、メータ表示器10に各種情報の表示が完了した旨の情報を受信するまでの間は、シフトレンジの変更を無効化する。したがって、例えば、イグニッションキースイッチ2がON操作されてから、メータ表示器10に各種情報が表示されるまでの間に、ドライバがDレンジスイッチを押下しても、CVT-ECU40のCPUが制御するシフトレンジはPレンジのままであり、アクセルを操作しても車両1は走行しない(走行禁止制御)。
【0031】
一方、CVT-ECU40のCPUは、メータ表示器10に各種情報の表示が完了した旨の情報を受信した後は、新たにレンジスイッチの信号の入力を確認すると、シフトレンジ記憶領域の記憶内容を、新たに入力を確認したレンジの種類に書き換える。したがって、例えば、イグニッションキースイッチ2がON操作されて、メータ表示器10に各種情報が表示された後、ドライバがDレンジスイッチを押下すれば、CVT-ECU40のCPUが制御するシフトレンジがDレンジに変更される。これにより、アクセルを操作すれば車両1が走行を開始する(走行許可)。
【0032】
なお、この実施形態では、シフトレンジの変更をボタン式のセレクターで行うように構成したが、レバー式のセレクターで行うようにしてもよい。レバー式の場合は、レバーの移動を規制するロック機構を設け、イグニッションキースイッチ2がON操作されてから、メータ表示器10に車速メータ、タコメータ、テルテールが表示されるまでの間、CVT-ECU40のCPUが、ロック機構の作動制御を行って、シフトレバーを移動できないようにするとよい。一方、メータ表示器10に車速メータ、タコメータ、テルテールの表示が完了した場合、CVT-ECU40のCPUは、シフトレバーのロックを解除するとよい。
【0033】
エンジンECU30は、エンジンの始動、停止および出力を制御するものであり、各種制御及び各種演算などを行うCPU(図示省略)と、各種の制御プログラム等を記憶するメモリ(図示省略)とを有する。エンジンECU30のCPUは、エンジンの回転数(E/G回転数)やアクセルペダルの開度などの情報を取得し、その取得した情報に基づいて、エンジンの始動、停止および出力を制御する。例えば、エンジンECU30のCPUは、イグニッションキースイッチ2からの信号が入力される。
【0034】
VSC-ECU60は、車両1のブレーキ制御、横滑りの防止制御等を行うものであり、各種制御及び各種演算などを行うCPU(図示省略)と、各種の制御プログラム等を記憶するメモリ(図示省略)とを有する。VSC-ECU60のCPUへは、車速センサ4からの信号が入力される。
【0035】
したがって、上記した実施形態によれば、イグニッションキースイッチ2のON操作により車両1に電源が供給されてから、メータ表示器10に車速メータ、タコメータ、テルテールなどの情報(メータ情報等)が表示されるまでの間は、CVT-ECU40のCPUによりシフトポジションの変更が禁止され、Pレンジが維持される。すなわち、メータ表示器10にメータ情報が表示されるまでの間は、CVT-ECU40のCPUが車両1が走行できない状態に制御するため、車両1が走行する前にはメータ情報が表示されることになり、運転の安全性が向上する。
【0036】
また、CVT-ECU40のCPUは、メータ統合ECU20からメータ表示器10のメータ情報の表示が完了した旨の情報を取得した後に、シフトレンジの変更を有効化するため、メータ表示器10に確実にメータ情報が表示された後に車両1が走行開始することになり、運転の安全性が向上する。
【0037】
また、車両情報がメータ表示器10に表示されるまでの間に、車両1を走行できない状態にするのを、CVT-ECU40のCPUによる制御で行うため、別途、特別な装置を設置する必要がなく、車両1の重量や製造コストの増加を防止できる。
【0038】
(走行不可能状態に制御する手法の変形例1)
次に、イグニッションキースイッチ2のON操作があってから、メータ表示器10の表示画面のメータ情報が表示される間に、車両1を走行できない状態に制御する手法の変形例について説明する。
【0039】
上記した実施形態では、イグニッションキースイッチ2のON操作があってから、メータ表示器10の表示画面にメータ情報が表示されるまでの間は、車両1が走行可能な状態であってもシフトレンジの変更を禁止して走行できない状態に制御したが、メータ表示器10の表示画面にメータ情報が表示される間は、パーキングブレーキを解除できないように構成してもよい。
【0040】
パーキングブレーキがモータを用いて作動/解除を行う電動式である場合では、車両1にパーキングブレーキのON/OFFを指示可能なパーキングブレーキスイッチが設けられる。当該スイッチは、例えば押下するたびにパーキングブレーキの作動状態と解除状態とが切り換えられるものであった場合、パーキングブレーキの押下信号が、例えば、車両1の横滑り防止制御などを司るVSC-ECU60のCPUに入力され、当該CPUがモータの駆動制御によりパーキングブレーキの作動/解除を行う。
【0041】
ただし、VSC-ECU60のCPUは、イグニッションキースイッチ2のON操作があってから、メータ表示器10の表示画面のメータ情報が表示される間にパーキングブレーキスイッチの押下操作があっても、当該操作を無効にする。したがって、当該期間にパーキングブレーキスイッチの押下操作があっても、パーキングブレーキが解除されないため、車両1を走行できない状態に制御することができる。
【0042】
一方、VSC-ECU60のCPUは、メータ表示器10の表示画面にメータ情報が表示された後にパーキングブレーキスイッチの押下操作があった場合は、当該操作を有効にする。したがって、メータ表示器10の表示画面にメータ情報が表示された後に、パーキングブレーキスイッチが押下された場合は、パーキングブレーキが解除され、車両1が走行可能な状態になる。
【0043】
本例においても、上記した実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、本例ではパーキングブレーキを電動式で構成したが、例えば、レバー式のパーキングブレーキ(いわゆるサイドブレーキ)や、フット式のパーキングブレーキで構成してもよい。この場合、ロック機構を設け、イグニッションキースイッチ2がON操作されてから、メータ表示器10に車速メータ、タコメータ、テルテールが表示されるまでの間、VSC-ECU60のCPUは、ロック機構を作動制御して、サイドブレーキ(またはフット式のパーキングブレーキ)を移動できないようにするとよい。一方、メータ表示器10の車速メータ、タコメータ、テルテールの表示が完了した場合、VSC-ECU60のCPUは、サイドブレーキ(またはフット式のパーキングブレーキ)のロックを解除するとよい。
【0044】
(走行不可能状態に制御する手法の変形例2)
また、上記した実施形態では、イグニッションキースイッチ2のON操作があってから、メータ表示器10の表示画面にメータ情報が表示されるまでの間は、車両1が走行可能な状態であってもシフトレンジの変更を禁止して走行できない状態に制御したが、メータ表示器10の表示画面にメータ情報が表示される間は、エンジンが始動しないように制御してもよい。
【0045】
この場合、エンジンECU30のCPUは、メータ表示器10の表示画面にメータ情報が表示されるまでの間は、イグニッションキースイッチ2のON操作があっても、エンジンが始動しないように制御(走行できない状態に制御)する。これに併せて、例えば、メータ表示器10には「エンジン始動準備中」などの文字を表示して、ドライバに走行不可能状態であることを報知する。一方、メータ表示器10の表示画面にメータ情報が表示された後、エンジンECU30のCPUは、エンジンの始動制御(走行可能状態に制御)を行う。このようにしても、上記した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0046】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能であり、例えば、表示されるまで車両1が走行不可能な状態に制御される表示内容については、上記した車速メータ、タコメータ、テルテールに限らず、車両の状態を示す種々の内容を含んでいてもよい。
【0047】
また、上記した実施形態と変形例を組み合わせてもよい。すなわち、車両情報がメータ表示器10に表示されるまでの間は、シフトポジションが変更できないようにするか、パーキングブレーキを解除できないようにするか、エンジンを始動できないようにするかの全てを行ってもよいし、少なくともいずれか1つを行ってもよい。
【0048】
また、上記した実施形態および変形例は、駆動源がエンジンであるガソリン車に限らず、駆動源がモータである電気自動車や、駆動源としてエンジンとモータを併用するハイブリッド車にも適用することができる。
【0049】
また、本発明は、車速メータやタコメータなどの車両情報が表示器に表示される車両を制御する種々の車両用制御装置に採用することができる。
【符号の説明】
【0050】
10:メータ表示器(表示装置)
20:メータ統合ECU(表示装置制御手段)
30:エンジンECU(走行制御手段)
40:CVT-ECU40(走行制御手段)
60:VSC-ECU60(走行制御手段)
図1
図2