(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166123
(43)【公開日】2023-11-21
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/336 20060101AFI20231114BHJP
H01L 21/8238 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
H01L29/78 301G
H01L29/78 301S
H01L27/092 D
H01L27/092 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022076924
(22)【出願日】2022-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】浜田 良寛
(72)【発明者】
【氏名】安藤 公夫
(72)【発明者】
【氏名】高畑 浩史
(72)【発明者】
【氏名】竹中 省治
【テーマコード(参考)】
5F048
5F140
【Fターム(参考)】
5F048AC03
5F048BA01
5F048BA02
5F048BB05
5F048BG13
5F140AA08
5F140AA12
5F140AB03
5F140BA01
5F140BA02
5F140BA16
5F140BD05
5F140BD07
5F140BF04
5F140BF51
5F140BF53
5F140BF54
5F140CB04
(57)【要約】
【課題】ソース領域およびドレイン領域における寄生容量を低減すること。
【解決手段】半導体装置は、第1面22uを有する半導体層22と、第1面22uに形成されたウエル領域23と、ウエル領域23を囲む枠状に形成され、ウエル領域23に接し、ウエル領域23の表面部に活性領域25を区画する素子分離領域24と、活性領域25上において第1面22uと平行なY方向に延び、Y方向における端部271,272が素子分離領域24の上に配置されたメインゲート電極27と、第1面22uに垂直なZ方向から視てY方向と直交するX方向においてメインゲート電極27とウエル領域23の端部231,232との間に配置され、Y方向に延びたダミーゲート電極32,34と、活性領域25の表面部に形成され、Z方向から視てメインゲート電極27とダミーゲート電極32,34との間に配置されたソース領域41およびドレイン領域42と、を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面を有する半導体層と、
前記半導体層の前記主面に形成された第1導電型のウエル領域と、
前記ウエル領域を囲む枠状に形成され、前記ウエル領域に接し、前記ウエル領域の表面部に活性領域を区画する素子分離領域と、
前記活性領域上において前記主面と平行な第1方向に延び、前記第1方向における両端部が前記素子分離領域の上に配置されたメインゲート電極と、
前記主面に垂直な第3方向から視て前記第1方向と直交する第2方向において前記メインゲート電極と前記ウエル領域の端部との間に配置され、前記第1方向に延びたダミーゲート電極と、
前記活性領域の表面部に形成され、前記第3方向から視て前記メインゲート電極と前記ダミーゲート電極との間に配置された第2導電型のソース領域およびドレイン領域と、
を含む、半導体装置。
【請求項2】
前記第3方向から視て、前記第2方向において、前記ダミーゲート電極と、前記ダミーゲート電極に対して前記メインゲート電極とは反対側に位置する前記素子分離領域との間の前記活性領域の前記表面部に形成された第1導電型のバックゲート領域を含む、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第3方向から視て、前記第2方向において、前記ダミーゲート電極と、前記ダミーゲート電極に対して前記メインゲート電極とは反対側に位置する前記素子分離領域との間の前記活性領域の前記表面部に形成された第2導電型の拡散領域と、
前記第3方向から視て、前記第1方向において前記ウエル領域の端部と前記メインゲート電極との間に設けられ、前記第2方向に延びる第1導電型のバックゲート領域と、
を含む、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記ダミーゲート電極は、前記第2方向における端部が前記素子分離領域上に配置されている、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第3方向から視て、前記第1方向において前記ソース領域および前記ドレイン領域は、前記素子分離領域から離隔して形成され、
前記第3方向から視て、前記第1方向において前記ソース領域および前記ドレイン領域の端部と前記素子分離領域との間の前記活性領域、および前記素子分離領域の一部を覆うように形成され、前記第2方向に延び、前記メインゲート電極と前記ダミーゲート電極とを接続する接続部を含む、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記半導体層に形成された第1MOSFETと第2MOSFETとを備え、
前記第1MOSFETは、前記第1導電型がp型であり、かつ前記第2導電型がn型である、前記ウエル領域、前記ソース領域および前記ドレイン領域と、前記素子分離領域、前記メインゲート電極、前記ダミーゲート電極、を含み、
前記第2MOSFETは、前記第1導電型がn型であり、かつ前記第2導電型がp型である、前記ウエル領域、前記ソース領域および前記ドレイン領域と、前記素子分離領域、前記メインゲート電極、前記ダミーゲート電極、を含む、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体装置は、回路素子の一つとして、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:電界効果型MOSトランジスタ)を含む(たとえば、特許文献1参照)。MOSFETは、ウエル領域の上に配置されたゲート電極と、素子分離領域内のウエル領域に形成されたソース領域およびドレイン領域とを含む。ソース領域は、コンタクトによりソース電極に接続され、ドレイン領域はコンタクトによりドレイン電極に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、MOSFETは、そのレイアウト、たとえばドレイン領域およびソース領域の形状(大きさ)やコンタクトの配置位置等によって、電気的特性が変動する場合がある。このため、レイアウトの影響を低減するようにドレイン領域およびソース領域を大きくすることが考えられる。すると、ドレイン領域およびソース領域とウエル領域との間の寄生容量が増加する。このような寄生容量の増加は、MOSFETの電気的特性の低下を招く一因となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様である半導体装置は、主面を有する半導体層と、前記半導体層の前記主面の表面部に形成された第1導電型のウエル領域と、前記ウエル領域を囲む枠状に形成され、前記ウエル領域に接し、前記ウエル領域の表面部に活性領域を区画する素子分離領域と、前記活性領域上において、前記主面と平行な第1方向に延び、前記第1方向における両端部が前記素子分離領域の上に配置されたメインゲート電極と、前記主面に垂直な第3方向から視て前記第1方向と直交する第2方向において前記メインゲート電極と前記活性領域の端部との間に配置され、前記第1方向に延びたダミーゲート電極と、前記活性領域の表面部に形成され、前記第3方向から視て前記メインゲート電極と前記ダミーゲート電極との間に配置された第2導電型のソース領域およびドレイン領域と、を含む。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一態様である半導体装置によれば、ソース領域およびドレイン領域における寄生容量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、半導体装置の一例を示す概略平面図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態の第1MOSFETを示す平面図である。
【
図5】
図5は、比較例1のMOSFETを示す断面図である。
【
図6】
図6は、比較例2のMOSFETを示す断面図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態の第1MOSFETを示す平面図である。
【
図10】
図10は、第3実施形態の第1MOSFETを示す平面図である。
【
図13】
図13は、第4実施形態の第1MOSFETを示す平面図である。
【
図17】
図17は、第5実施形態の第1MOSFETを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して本開示の半導体装置のいくつかの実施形態を説明する。なお、説明を簡単かつ明確にするために、図面に示される構成要素は必ずしも一定の縮尺で描かれていない。また、理解を容易にするために、断面図では、ハッチング線が省略されている場合がある。添付の図面は、本開示の実施形態を例示するに過ぎず、本開示を制限するものとみなされるべきではない。本開示における「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、単に対象物を区別するために用いられており、対象物を順位づけするものではない。
【0009】
以下の詳細な記載は、本開示の例示的な実施形態を具体化する装置、システム、および方法を含む。この詳細な記載は本来説明のためのものに過ぎず、本開示の実施形態またはこのような実施形態の適用および使用を限定することを意図しない。
【0010】
(半導体装置の概要)
図1は、半導体装置10の一例を示す概略平面図である。
半導体装置10は、第1面22uを有する半導体層22と、半導体層22に形成された第1MOSFET11および第2MOSFET12とを含む。第1MOSFET11と第2MOSFET12は、素子分離領域24によって半導体装置10の他の領域から分離されている。第1MOSFET11と第2MOSFET12は、互いに導電型が反転された構成を有している。第1MOSFET11は、第1導電型がp型であり、かつ第2導電型がn型である領域を含む回路素子であり、第2導電型(n型)のチャネルを形成するNチャネルMOSFETである。第2MOSFET12は、第1導電型がn型であり、かつ第2導電型がp型である領域を含む回路素子であり、第2導電型(p型)のチャネルを形成するPチャネルMOSFETである。つまり、この半導体装置10は、素子分離領域24によって他の領域から分離され、CMOSFET(Complementary Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)が形成CMOS領域を含むといえる。
【0011】
第1MOSFET11と第2MOSFET12は、互いにそれぞれの導電型を反転させたものである。以下、第1MOSFET11のいくつかの実施形態について詳細に説明する。第2MOSFET12は、第1MOSFET11の導電型を反転させたものである。このため、第2MOSFET12についての詳細な図面および説明を省略する。
【0012】
(第1MOSFET)
(第1実施形態)
図2~
図4を参照して、第1実施形態の第1MOSFET11Aを説明する。
【0013】
図2は、第1実施形態の第1MOSFET11Aの平面図、
図3は、
図2のF3-F3線断面図、
図4は、
図2のF4-F4線断面図である。なお、
図2、
図1に示す平面図において、メインゲート電極27およびダミーゲート電極32,34についてドット模様のハッチングを付している。
【0014】
半導体装置10は、半導体基板21、半導体層22を含む。半導体基板21は、たとえばシリコン(Si)基板であってよい。半導体基板21は、第1面21uを有している。ここで、半導体基板21の第1面21uが向く方向を半導体基板21の厚さ方向とし、Z方向とする。第1面21uと平行であり、互いに直交する方向をX方向およびY方向とする。X方向は「第2方向」に対応し、Y方向は「第1方向」に対応し、Z方向は「第3方向」に対応する。半導体基板21は、p型不純物を含むp型基板(p-substrate)であってよい。半導体基板21は、たとえば炭化シリコン(SiC)等により形成された基板を用いることができる。
【0015】
半導体層22は、半導体基板21の第1面21u上に設けられている。半導体層22は、第1面22uと、第1面22uとは反対側に位置する第2面22rとを有している。第1面22uは、「主面」に対応する。
図3、
図4の例では、半導体層22の第2面22rは、半導体基板21の第1面21uに接している。半導体層22は、半導体基板21の第1面21uの全面を覆うように形成されている。
【0016】
半導体層22は、たとえばエピタキシャル層により形成され得る。半導体層22は、Siを含む材料により形成されている。
半導体層22の第1面22uには、p型のウエル領域23が形成されている。
図2に示すように、ウエル領域23は、X方向に対してY方向に長い長方形状に形成されている。
【0017】
半導体層22の第1面22uには、素子分離領域24が形成されている。素子分離領域24は、ウエル領域23を囲む枠状に形成されている。素子分離領域24は、ウエル領域23に接している。素子分離領域24は、ウエル領域23の第1面23uを含む表面部(表層部)に、活性領域25を区画する。素子分離領域24は、ウエル領域23のX方向およびY方向の端部231~234と重なるように形成されている。
図3、
図4に示すように、ウエル領域23は、半導体層22の第1面22uから、素子分離領域24の底部よりも深く形成されている。ウエル領域23は、枠状の素子分離領域24の底部の内側部分を半導体基板21の側から覆うように形成されている。
【0018】
図2に示す破線は、ウエル領域23の外周を規定する境界であり、素子分離領域24の底部の下側に位置部分を示す。このウエル領域23は、X方向における第1端部231および第2端部232と、Y方向における第3端部233および第4端部234を有する。
【0019】
素子分離領域24によって区画された活性領域25は、素子分離領域24の内側端部と接している。活性領域25は、X方向において、素子分離領域24と接する第1端部251および第2端部252と、Y方向において素子分離領域24と接する第3端部253および第4端部254とを有している。
【0020】
半導体層22の第1面22u上には、メインゲート絶縁膜26を介してメインゲート電極27が配置されている。メインゲート絶縁膜26は、たとえば、酸化シリコン(SiO2)や窒化シリコン(SiN)等の絶縁材料により構成されている。メインゲート電極27は、たとえば、導電性を有するポリシリコン等を含む材料により構成されている。
【0021】
メインゲート電極27は、活性領域25上において、半導体層22の第1面22uと平行なY方向に延びている。メインゲート電極27は、X方向において、活性領域25の中央に配置されている。メインゲート電極27は、Y方向における第1端部271と、第1端部271と反対側の第2端部272とを有している。
図3に示すように、第1端部271と第2端部272はそれぞれ、素子分離領域24の上に配置されている。
【0022】
半導体層22の第1面22u上には、ダミーゲート絶縁膜31,33を介してダミーゲート電極32,34が配置されている。ダミーゲート絶縁膜31,33は、たとえば、酸化シリコン(SiO2)や窒化シリコン(SiN)等の絶縁材料により構成されている。ダミーゲート電極32,34は、たとえば、導電性を有するポリシリコン等を含む材料により構成されている。
【0023】
ダミーゲート電極32,34は、活性領域25上において半導体層22の第1面22uと平行なY方向に延びている。ダミーゲート電極32は、X方向において、メインゲート電極27とウエル領域23の第1端部231との間に配置されている。第1実施形態において、ダミーゲート電極32は、メインゲート電極27と活性領域25の第1端部251との間に配置されている。ダミーゲート電極34は、X方向において、メインゲート電極27とウエル領域23の第2端部232との間に配置されている。第1実施形態において、ダミーゲート電極34は、メインゲート電極27と活性領域25の第2端部252との間に配置されている。ダミーゲート電極32,34は、Y方向における第1端部321,341と、第1端部321,341と反対側の第2端部322,342とを有している。第1端部321,341と第2端部322,342はそれぞれ、素子分離領域24の上に配置されている。
【0024】
活性領域25の表面部には、n型のソース領域41およびドレイン領域42が形成されている。ソース領域41とドレイン領域42は、Z方向から視て、メインゲート電極27を挟むように形成されている。ウエル領域23(活性領域25)は、ソース領域41とドレイン領域42との間のチャネル領域23cを有している。
【0025】
ソース領域41は、メインゲート電極27とダミーゲート電極32との間に配置されている。ドレイン領域42は、メインゲート電極27とダミーゲート電極32との間に配置されている。
図2、
図3に示すように、ソース領域41およびドレイン領域42は、Y方向において、活性領域25の第3端部253から第4端部254まで延びている。ソース領域41とドレイン領域42は、Z方向において、メインゲート電極27の一部と重なるように形成されていてもよい。また、ソース領域41およびドレイン領域42は、Z方向において、ダミーゲート電極32,34の一部と重なるように形成されていてもよい。
【0026】
活性領域25の表面部には、p型のバックゲート領域43,44が形成されている。バックゲート領域43は、Y方向において、ダミーゲート電極32と、ダミーゲート電極32に対してメインゲート電極27とは反対側に位置する素子分離領域24との間の活性領域25に形成されている。バックゲート領域44は、Y方向において、ダミーゲート電極34と、ダミーゲート電極34に対してメインゲート電極27とは反対側に位置する素子分離領域24との間の活性領域25に形成されている。バックゲート領域43,44は、ウエル領域23の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有している。
【0027】
図2に示すように、メインゲート電極27の第1端部271には、コンタクト51が接続されている。また、ダミーゲート電極32,34の第1端部321,341には、コンタクト52,53が接続されている。
【0028】
ソース領域41には、複数のソースコンタクト54が接続されている。複数のソースコンタクト54は、Y方向に沿って一列に配列されている。ドレイン領域42には、複数のドレインコンタクト55が接続されている。複数のドレインコンタクト55は、Y方向に沿って一列に配列されている。
【0029】
バックゲート領域43,44には、複数のバックゲートコンタクト56,57が接続されている。複数のバックゲートコンタクト56,57は、Y方向に沿って一列に配列されている。
【0030】
(MOSFETの大きさ)
次に、第1MOSFET11Aの大きさの一例を説明する。
図2に示すように、X方向におけるメインゲート電極27の長さL11は、たとえば1μmとすることができる。X方向におけるダミーゲート電極32,34の長さL12は、メインゲート電極27の長さL11よりも小さい。ダミーゲート電極32,34の長さL12は、メインゲート電極27の長さL11の1/3程度とすることができる。Y方向における活性領域25の長さL21は、たとえば5μmとすることができる。X方向におけるソース領域41およびドレイン領域42の長さL13は、メインゲート電極27の長さL11よりも小さい。ソース領域41およびドレイン領域42の長さL13は、たとえば0.8μm程度とすることができる。
【0031】
Y方向において、活性領域25の第3端部253からウエル領域23の第3端部233までの長さL22は、メインゲート電極27の長さL11の1.5倍以上である。Y方向において、活性領域25の第4端部254からウエル領域23の第4端部234までの長さL23は、メインゲート電極27の長さL11の1.5倍以上である。
【0032】
X方向において、メインゲート電極27からウエル領域23の第1端部231までの長さL14は、メインゲート電極27の長さL11の2倍以上である。X方向において、メインゲート電極27からウエル領域23の第2端部232までの長さは、メインゲート電極27からウエル領域23の第1端部231までの長さL14と等しい。
【0033】
X方向において、メインゲート電極27から活性領域25の第1端部251までの長さL15は、メインゲート電極27の長さL11の1.5倍以上である。X方向において、メインゲート電極27から活性領域25の第2端部252までの長さは、メインゲート電極27から活性領域25の第1端部251までの長さL15と等しい。
【0034】
メインゲート電極27からソースコンタクト54までの長さL16は、メインゲート電極27の長さL11の1/2以上である。メインゲート電極27からドレインコンタクト55までの長さは、メインゲート電極27からソースコンタクト54までの長さL16と等しい。
【0035】
以上、第1MOSFET11Aの各部の大きさ、比率の一例について、ゲート電極27の長さL11を1μmとした場合について説明した。ただし、これに限られず、第1MOSFET11Aの各部の大きさや比率は、たとえば、トランジスタサイズ(ゲート幅、ゲート長)、製造上の条件(最小線幅)、等によって変更することもできる。
【0036】
(作用)
次に、第1実施形態のMOSFET11Aの作用を説明する。
先ず、第1実施形態の第1MOSFET11Aに対する比較例1,2を説明する。なお、比較例1,2の説明において、第1実施形態の第1MOSFET11Aと同じ部材については同じ符号を付す。
【0037】
(比較例1のMOSFET)
図5は、比較例1のMOSFET151の断面図である。
比較例1のMOSFET151は、メインゲート電極27をゲート電極として含む。そして、
図2等に示すダミーゲート電極32,34を備えていない。
【0038】
この比較例のMOSFET11Aにおいて、ソース領域41およびドレイン領域42は、ゲート電極27から活性領域25の端部251,252までの範囲に形成されている。つまり、ソース領域41およびドレイン領域42は、素子分離領域24に接している。
【0039】
この比較例1のMOSFET151は、複数の寄生容量61,62,63を有する。第1寄生容量61は、ウエル領域23とソース領域41との間、ウエル領域23とおよびドレイン領域42との間に生じる。第2寄生容量62は、ソース領域41とゲート電極27との間、ドレイン領域42とゲート電極27との間に生じる。第3寄生容量63は、ウエル領域23(チャネル領域23c)とゲート電極27との間に生じる。
【0040】
この比較例1のMOSFET151は、MOSFET11Aの配置によって、電気的特性が変動する場合がある。たとえば、ソース領域41とドレイン領域42との間のチャネル領域23cには、素子分離領域24による応力が加わることがある。素子分離領域24による応力は、半導体装置10の形成工程において、素子分離領域24を形成する工程における処理や、素子分離領域24を形成した後の工程における処理、等によって生じることがある。また、チャネル領域23cに加わる応力は、チャネル領域23cと素子分離領域24との間の長さによって変動することがある。このようbに発生する応力は、MOSFET11Aの飽和電流量に影響することがある。
【0041】
(比較例2のMOSFET)
図6は、比較例2のMOSFET152の断面図である。この比較例2のMOSFET152は、
図5に示す比較例1のMOSFET151と比べ、X方向の長さが大きく形成されている。X方向における活性領域25の大きさは、第1実施形態の第1MOSFET11Aと同じ大きさである。この比較例2のMOSFET152は、電気的特性の変動の一つの要因となる素子分離領域24による応力の影響を低減することができる。
【0042】
この比較例2のMOSFET152は、複数の寄生容量61,62,63を有する。第1寄生容量61は、ウエル領域23とソース領域41との間、ウエル領域23とおよびドレイン領域42との間に生じる。第2寄生容量62は、ソース領域41とゲート電極27との間、ドレイン領域42とゲート電極27との間に生じる。第3寄生容量63は、ウエル領域23(チャネル領域23c)とゲート電極27との間に生じる。
【0043】
しかしながら、この比較例2のMOSFET152は、
図5に示す比較例1のMOSFET151と比べ、ソース領域41およびドレイン領域42の面積が大きい。このため、第1寄生容量61が、比較例1のMOSFET151の第1寄生容量61よりも大きくなる。
【0044】
(第1実施形態の第1MOSFET)
第1実施形態の第1MOSFET11Aのメインゲート電極27は、X方向において、活性領域25の中央に配置されている。X方向における活性領域25の大きさは、
図6に示す比較例2のMOSFET152の活性領域25と同じ大きさである。したがって、第1実施形態の第1MOSFET11Aは、電気的特性の変動の一つの要因となる素子分離領域24による応力の影響を低減することができる。
【0045】
また、第1実施形態の第1MOSFET11Aは、メインゲート電極27と活性領域25の第1端部251との間に配置されたダミーゲート電極32を含む。ソース領域41は、メインゲート電極27とダミーゲート電極32との間に配置される。また、第1MOSFET11Aは、メインゲート電極27と活性領域25の第2端部232との間に配置されたダミーゲート電極34を含む。ドレイン領域42は、メインゲート電極27とダミーゲート電極34との間に配置される。
【0046】
第1MOSFET11Aは、複数の寄生容量61,62,63を有する。第1寄生容量61は、ウエル領域23とソース領域41との間、ウエル領域23とおよびドレイン領域42との間に生じる。第2寄生容量62は、ソース領域41とメインゲート電極27との間、ドレイン領域42とメインゲート電極27との間に生じる。第3寄生容量63は、ウエル領域23(チャネル領域23c)とメインゲート電極27との間に生じる。
【0047】
第1MOSFET11Aにおいて、ソース領域41の面積は、
図6に示す比較例2のMOSFET152のソース領域41よりも小さい。また、ドレイン領域42の面積は、
図6に示す比較例2MOSFET11Aのドレイン領域42よりも小さい。したがって、第1寄生容量61は、
図6に示す比較例1のMOSFET151の第1寄生容量61よりも容量値が小さい。このため、第1MOSFET11Aは、ソース領域41およびドレイン領域42とウエル領域23との間の寄生容量61の増加を抑制することができる。
【0048】
第1MOSFET11Aにおいて、メインゲート電極27の長さL11は、比較例2のMOSFET152のゲート電極27の長さと等しい。したがって、第1MOSFET11Aの第2寄生容量62の値は、比較例2のMOSFET152の第2寄生容量62の値と等しい。また、第1MOSFET11Aの第3寄生容量63の値は、比較例2のMOSFET152の第3寄生容量63の値と等しい。したがって、第1MOSFET11Aにおける寄生容量の値は、比較例2のMOSFET152の寄生容量の値よりも小さい。このように、第1MOSFET11Aの全体における寄生容量の増加を抑制することができる。
【0049】
ソース領域41は、メインゲート電極27とダミーゲート電極32との間に配置されている。したがって、ソース領域41は、ウエル領域23の第1端部231から離れて配置されている。また、ドレイン領域42は、メインゲート電極27とダミーゲート電極34との間に配置されている。したがって、ドレイン領域42は、ウエル領域23の第2端部232から離れて配置されている。
【0050】
半導体装置10のウエル領域23は、半導体層22の第1面22u上に配置されたマスクの開口から、半導体層22にp型不純物を注入して形成される。マスクの開口は、ウエル領域23の大きさに応じて、ウエル領域23の各端部231~234に沿った大きさ設定される。p型の不純物は、直接的に半導体層22に注入されるとともに、マスクの開口の内面に反射して半導体層22に注入される。このため、半導体層22において、マスクの開口に近い部分では、不純物濃度が所望の値よりも高くなる、つまり不純物濃度が変動することがある。
【0051】
ウエル領域23のチャネル領域23cにおけるp型の不純物濃度は、第1MOSFET11Aの閾値電圧Vth、つまり第1MOSFET11Aの電気的特性に影響する。
図5に比較例1のMOSFET151のように、チャネル領域23cがウエル領域23の第1端部231および第2端部232に近いと、マスクの開口にて反射した不純物がチャネル領域23cに注入され易い。一方、第1実施形態の第1MOSFET11Aは、チャネル領域23cがウエル領域23の第1端部231および第2端部232から離れている。このため、ウエル領域23の形成工程において、不純物濃度は変動しにくく、所望の値となる。つまり、チャネル領域23cにおける不純物濃度の変動を抑制することができる。そして、第1MOSFET11Aの電気的特性の変動を抑制することができる。
【0052】
図2に示すように、第1MOSFET11Aの活性領域25は、Y方向において、ウエル領域23の第3端部233、第4端部234から離れている。このため、上記の第1端部231および第2端部232に対するチャネル領域23cと同様に、第3端部233、第4端部234に対する活性領域25の不純物濃度の変動を抑制することができる。
【0053】
メインゲート電極27からソースコンタクト54までの長さL16、メインゲート電極27からドレインコンタクト55までの長さL16は、第1MOSFET11Aの飽和電流に影響する。例えば、メインゲート電極27の長さL11の長さを1μmとした場合長さL16を長さL11の1/2以上とすることにより、飽和電流の変動は少なくなる。言い換えると、コンタクト54,55までの長さL16がメインゲート電極27の長さL11の1/2未満であると、飽和電流の変動が大きい。したがって、メインゲート電極27からコンタクト54,55までの長さL16を、メインゲート電極27の長さL11の1/2以上とすることにより、第1MOSFET11Aの電気的特性の変動を抑制することができる。
【0054】
バックゲート領域43,44は、活性領域25の表面部において、ダミーゲート電極32,34と活性領域25の端部251,252の間に配置されている。このように、活性領域25にバックゲート領域43,44を配置することにより、第1MOSFET11Aが占める面積の増加を抑制することができる。また、活性領域25にバックゲート領域43,44が配置されているため、別途バックゲート領域43,44を設ける領域を確保する必要がなく、第1MOSFET11Aの配置を容易に行うことができる。
【0055】
ところで、半導体装置の設計者は、回路設計、レイアウト設計、回路シミュレーション、を行う。レイアウト設計では、半導体装置のチップサイズを小さくするように、最小サイズの回路素子(セルが)が用いられる。この場合、レイアウトに依存する特性変動が生じるおそれがある。特性変動が生じると、レイアウトに依存するパラメータ(サイズ)を抽出し、それを回路設計にフィードバックする。たとえば、動作タイミング等にズレ等が生じた場合、回路設計において、動作速度の速い回路素子への変更、バッファの追加、等を行わなければならない。このため、回路設計、レイアウト設計、等を繰り返し実施することとなる。
【0056】
これに対し、第1実施形態の第1MOSFET11Aは、レイアウトによる特性変動が抑制されている。このため、回路設計へのフィードバックが少なくなる。この結果、回路設計を容易に行うことができる。また、回路設計、レイアウト設計、等を繰り返す回数が低減される。このため、半導体装置の設計にかかる時間を低減することができる。
【0057】
(効果)
以上記述したように、第1実施形態の第1MOSFET11Aによれば、以下の効果を奏する。
【0058】
(1-1)半導体装置10は、第1面22uを有する半導体層22と、第1面22uに形成されたウエル領域23と、ウエル領域23を囲む枠状に形成され、ウエル領域23に接し、ウエル領域23の表面部に活性領域25を区画する素子分離領域24と、を含む。メインゲート電極27は、活性領域25上において第1面22uと平行なY方向に延び、Y方向における端部271,272が素子分離領域24の上に配置されている。ダミーゲート電極32,34は、第1面22uに垂直なZ方向から視てY方向と直交するX方向においてメインゲート電極27とウエル領域23の端部231,232との間に配置され、Y方向に延びている。ソース領域41およびドレイン領域42は、活性領域25の表面部に形成され、Z方向から視てメインゲート電極27とダミーゲート電極32,34との間に配置されている。
【0059】
第1MOSFET11Aにおいて、ソース領域41の面積は、
図6に示す比較例2のMOSFET152のソース領域41よりも小さい。また、ドレイン領域42の面積は、
図6に示す比較例2MOSFET11Aのドレイン領域42よりも小さい。したがって、第1寄生容量61は、
図6に示す比較例1のMOSFET151の第1寄生容量61よりも容量値が小さい。このため、第1MOSFET11Aは、ソース領域41およびドレイン領域42とウエル領域23との間の寄生容量61の増加を抑制することができる。
【0060】
(1-2)第1実施形態の第1MOSFET11Aのメインゲート電極27は、X方向において、活性領域25の中央に配置されている。X方向における活性領域25の大きさは、
図6に示す比較例2のMOSFET152の活性領域25と同じ大きさである。したがって、第1実施形態の第1MOSFET11Aは、電気的特性の変動の一つの要因となる素子分離領域24による応力の影響を低減することができる。
【0061】
(1-3)第1MOSFET11Aにおいて、メインゲート電極27の長さ、は、比較例2のMOSFET152のゲート電極27の長さと等しい。したがって、第1MOSFET11Aの第2寄生容量62の値は、比較例2のMOSFET152の第2寄生容量62の値と等しい。また、第1MOSFET11Aの第3寄生容量63の値は、比較例2のMOSFET152の第3寄生容量63の値と等しい。したがって、第1MOSFET11Aにおける寄生容量の値は、比較例2のMOSFET152の寄生容量の値よりも小さい。このように、第1MOSFET11Aの全体における寄生容量の増加を抑制することができる。
【0062】
(1-4)ウエル領域23のチャネル領域23cにおけるp型の不純物濃度は、第1MOSFET11Aの閾値電圧Vth、つまり第1MOSFET11Aの電気的特性に影響する。
図5に比較例1のMOSFET151のように、チャネル領域23cがウエル領域23の第1端部231および第2端部232に近いと、マスクの開口にて反射した不純物がチャネル領域23cに注入され易い。一方、第1実施形態の第1MOSFET11Aは、チャネル領域23cがウエル領域23の第1端部231および第2端部232から離れている。このため、ウエル領域23の形成工程において、不純物濃度は変動しにくく、所望の値となる。つまり、チャネル領域23cにおける不純物濃度の変動を抑制することができる。そして、第1MOSFET11Aの電気的特性の変動を抑制することができる。
【0063】
(1-5)第1MOSFET11Aの活性領域25は、Y方向において、ウエル領域23の第3端部233、第4端部234から離れている。このため、上記の第1端部231、第2端部232に対するチャネル領域23cと同様に、第3端部233、第4端部234に対する活性領域25の不純物濃度の変動を抑制することができる。
【0064】
(1-6)メインゲート電極27からソースコンタクト54およびドレインコンタクト55までの長さL16は、第1MOSFET11Aの飽和電流に影響する。例えば、メインゲート電極27の長さL11を1μmとした場合、長さL16を長さL11の1/2以上とすることにより、飽和電流の変動は少なくなる。言い換えると、コンタクト54,55までの長さL16がメインゲート電極27の長さL11の1/2未満であると、飽和電流の変動が大きい。したがって、メインゲート電極27からコンタクト54,55までの長さL16を、メインゲート電極27の長さL11の1/2以上とすることにより、第1MOSFET11Aの電気的特性の変動を抑制することができる。
【0065】
(1-7)バックゲート領域43,44は、活性領域25の表面部において、ダミーゲート電極32,34と活性領域25の端部251,253の間に配置されている。このように、活性領域25にバックゲート領域43,44を配置することにより、第1MOSFET11Aが占める面積の増加を抑制することができる。また、活性領域25にバックゲート領域43,44が配置されているため、別途バックゲート領域43,44を設ける領域を確保する必要がなく、第1MOSFET11Aの配置を容易に行うことができる。
【0066】
(第2実施形態)
図7~
図9を参照して、第2実施形態の第1MOSFET11Bを説明する。
なお、第2実施形態において、第1実施形態と同じ部材については同じ符号を用いる。そして、その部材についての説明の一部または全てを省略することがある。
【0067】
図7は、第2実施形態の第1MOSFETを示す平面図、
図8は、
図7のF8-F8線断面図、
図9は、
図7のF9-F9線断面図である。
第2実施形態の第1MOSFET11Bは、第1実施形態の第1MOSFET11Aと比べ、バックゲート領域47の位置と、n型の拡散領域45,46を含む点が異なる。
【0068】
バックゲート領域47は、Y方向において、メインゲート電極27の第1端部271とウエル領域23の第3端部233との間に配置されている。バックゲート領域47は、X方向に延びるように形成されている。バックゲート領域47は、X方向に長い長方形状に形成されている。バックゲート領域47は、p型の不純物を注入されている。バックゲート領域47は、ウエル領域23の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有している。バックゲート領域47には、複数のバックゲートコンタクト56が接続されている。複数のバックゲートコンタクト56は、X方向に沿って一列に配列されている。
【0069】
n型の拡散領域45,46は、活性領域25の表面部に形成されている。拡散領域45は、Y方向において、ダミーゲート電極32と、ダミーゲート電極32に対してメインゲート電極27とは反対側に位置する素子分離領域24との間の活性領域25に形成されている。一例として、拡散領域45,46は、ソース領域41およびドレイン領域42の不純物濃度と等しい不純物濃度を有している。拡散領域45,46には、複数のコンタクト58,59が接続されている。複数のコンタクト58,59は、Y方向に沿って一列に配列されている。
【0070】
図9に示すように、ダミーゲート電極32は、配線81により、拡散領域45と電気的に接続されるとともに、
図7、
図8に示すバックゲート領域47に接続される。同様に、ダミーゲート電極34は、配線82により、拡散領域46と電気的に接続されるとともに、
図7、
図8に示すバックゲート領域47に接続される。
【0071】
ソース領域41と拡散領域45は、X方向において、ダミーゲート電極32を挟んで配置される。ソース領域41および拡散領域45は、同じ導電型(n型)である。したがって、ソース領域41、ダミーゲート電極32、および拡散領域45は、寄生MOSFETを構成する。配線81によりダミーゲート電極32と拡散領域45とをバックゲート領域47に電気的に接続することにより、この寄生MOSFETが機能しないようにしている。
【0072】
同様に、ドレイン領域42と拡散領域46は、X方向において、ダミーゲート電極34を挟んで配置される。ドレイン領域42および拡散領域46は、同じ導電型(n型)である。したがって、ドレイン領域42、ダミーゲート電極34、および拡散領域46は、寄生MOSFETを構成する。配線82によりダミーゲート電極34と拡散領域46とをバックゲート領域47に電気的に接続することにより、この寄生MOSFETが機能しないようにしている。
【0073】
(作用)
次に、第2実施形態の第1MOSFET11Bの作用を説明する。
図7~
図9に示す第2実施形態の第1MOSFET11Bは、
図2~
図4に示す第1実施形態の第1MOSFET11Aと同じ大きさである。
【0074】
図7,
図9に示すように、第2実施形態の第1MOSFET11Bのメインゲート電極27は、第1実施形態と同様に、X方向において、活性領域25の中央に配置されている。したがって、第2実施形態の第1MOSFET11Bは、電気的特性の変動の一つの要因となる素子分離領域24による応力の影響を低減することができる。
【0075】
図9に示すように、第1MOSFET11Bは、複数の寄生容量61,62,63,64を有する。第1寄生容量61は、ウエル領域23とソース領域41との間、ウエル領域23とおよびドレイン領域42との間に生じる。第2寄生容量62は、ソース領域41とメインゲート電極27との間、ドレイン領域42とメインゲート電極27との間に生じる。第3寄生容量63は、ウエル領域23(チャネル領域23c)とメインゲート電極27との間に生じる。第4寄生容量64は、ソース領域41とダミーゲート電極32との間、ドレイン領域42とダミーゲート電極34との間に生じる。
【0076】
第1~第3寄生容量61~63の大きさ(容量値)は、第1実施形態の第1MOSFET11Aにおける第1~第3寄生容量61~63の大きさと等しい。このため、第1MOSFET11Bは、ソース領域41およびドレイン領域42とウエル領域23との間の寄生容量61の増加を抑制することができる。
【0077】
第2実施形態の第1MOSFET11Bは、第1実施形態と比べ、第4寄生容量64の分、容量値が大きくなる。しかしながら、第4寄生容量64の容量値は、第2寄生容量62の容量値と同じ大きさである。そして、第1~第4寄生容量61~64を合計した値は、
図6に示す比較例2のMOSFET152の第1~第3寄生容量61~63を合計した値よりも小さい。したがって、第1MOSFET11Bの全体における寄生容量の増加を抑制することができる。
【0078】
(効果)
以上記述したように、第2実施形態の第1MOSFET11Bによれば、以下の効果を奏する。
【0079】
(2-1)第1実施形態の(1-1)~(1-7)と同様の効果を奏する。
(2-2)第2実施形態の第1MOSFET11Bは、第1実施形態と比べ、第4寄生容量64の分、容量値が大きくなる。しかしながら、第4寄生容量64の容量値は、第2寄生容量62の容量値と同じ大きさである。そして、第1~第4寄生容量61~64を合計した値は、
図6に示す比較例2のMOSFET152の第1~第3寄生容量61~63を合計した値よりも小さい。したがって、第1MOSFET11Bの全体における寄生容量の増加を抑制することができる。
【0080】
(第3実施形態)
図10~
図12を参照して、第3実施形態の第1MOSFET11Cを説明する。
なお、第3実施形態において、第1,第2実施形態と同じ部材については同じ符号を用いる。そして、その部材についての説明の一部または全てを省略することがある。
【0081】
図10は、第3実施形態の第1MOSFETを示す平面図、
図11は、
図10のF11-F11線断面図、
図12は、
図10のF12-F12線断面図である。
第3実施形態の第1MOSFET11Cは、第2実施形態の第1MOSFET11Bと比べ、ダミーゲート電極32,34の大きさが異なる。なお、第3実施形態の第1MOSFET11Cは、第2実施形態の第1MOSFET11Bの拡散領域45,46を含んでいない。
【0082】
ダミーゲート電極32は、X方向において、メインゲート電極27とウエル領域23の第1端部231との間に配置されている。ダミーゲート電極32は、X方向において、メインゲート電極27とは反対側、つまりウエル領域23の第1端部231に向けて延びている。そして、ダミーゲート電極32は、X方向における端部323が素子分離領域24上に配置されている。つまり、ダミーゲート電極32は、ソース領域41から素子分離領域24までの間の活性領域25を覆うように形成されている。ダミーゲート電極32は、ソース領域41から活性領域25の第1端部251までを覆うように形成されているといえる。たとえば、ダミーゲート電極32は、X方向において、メインゲート電極27の長さL11と等しい長さを有している。
【0083】
ダミーゲート電極34は、X方向において、メインゲート電極27とウエル領域23の第2端部232との間に配置されている。ダミーゲート電極34は、X方向において、メインゲート電極27とは反対側、つまりウエル領域23の第2端部232に向けて延びている。そして、ダミーゲート電極34は、X方向における端部343が素子分離領域24上に配置されている。つまり、ダミーゲート電極34は、ドレイン領域42から素子分離領域24までの間の活性領域25を覆うように形成されている。ダミーゲート電極34は、ドレイン領域42から活性領域25の第2端部252を覆うように形成されているといえる。たとえば、ダミーゲート電極34は、X方向において、メインゲート電極27の長さL11と等しい長さを有している。
【0084】
なお、半導体装置10の製造工程において、ソース領域41およびドレイン領域42は、メインゲート電極27およびダミーゲート電極32,34を形成した後の工程において形成される。この工程において、メインゲート電極27およびダミーゲート電極32,34をマスクとして、n型不純物をウエル領域23に注入、活性化することにより、ソース領域41およびドレイン領域42が形成される。
【0085】
(作用)
次に、第3実施形態の第1MOSFET11Cの作用を説明する。
図10~
図12に示す第3実施形態の第1MOSFET11Cは、
図7~
図9に示す第2実施形態の第1MOSFET11Bと同じ大きさである。
【0086】
図10,
図12に示すように、第3実施形態の第1MOSFET11Cのメインゲート電極27は、第1実施形態と同様に、X方向において、活性領域25の中央に配置されている。したがって、第2実施形態の第1MOSFET11Bは、電気的特性の変動の一つの要因となる素子分離領域24による応力の影響を低減することができる。
【0087】
図12に示すように、第1MOSFET11Cは、複数の寄生容量61,62,63を有する。第1寄生容量61は、ウエル領域23とソース領域41との間、ウエル領域23とおよびドレイン領域42との間に生じる。第2寄生容量62は、ソース領域41とメインゲート電極27との間、ドレイン領域42とメインゲート電極27との間に生じる。第3寄生容量63は、ウエル領域23(チャネル領域23c)とメインゲート電極27との間に生じる。
【0088】
第1~第3寄生容量61~63の大きさ(容量値)は、第1実施形態の第1MOSFET11Aにおける第1~第3寄生容量61~63の大きさと等しい。このため、第1MOSFET11Cは、ソース領域41およびドレイン領域42とウエル領域23との間の寄生容量61の増加を抑制することができる。
【0089】
ダミーゲート電極32は、ソース領域41から素子分離領域24までの間の活性領域25を覆うように形成されている。ダミーゲート電極34は、ドレイン領域42から素子分離領域24までの間の活性領域25を覆うように形成されている。したがって、第2実施形態の拡散領域45,46は形成されない。このため、第3実施形態の第1MOSFET11Cは、ウエル領域23に対する寄生容量の増加を抑制することができる。
【0090】
(効果)
以上記述したように、第3実施形態の第1MOSFET11Cによれば、以下の効果を奏する。
【0091】
(3-1)第1実施形態の(1-1)~(1-7)と同様の効果を奏する。
(3-2)ダミーゲート電極32は、ソース領域41から素子分離領域24までの間の活性領域25を覆うように形成されている。ダミーゲート電極34は、ドレイン領域42から素子分離領域24までの間の活性領域25を覆うように形成されている。したがって、第2実施形態の拡散領域45,46は形成されない。このため、第3実施形態の第1MOSFET11Cは、ウエル領域23に対する寄生容量の増加を抑制することができる。
【0092】
(第4実施形態)
図13~
図16を参照して、第4実施形態の第1MOSFET11Dを説明する。
なお、第4実施形態において、第1~第3実施形態と同じ部材については同じ符号を用いる。そして、その部材についての説明の一部または全てを省略することがある。
【0093】
【0094】
第4実施形態の第1MOSFET11Dは、第1実施形態の第1MOSFET11Aと比べ、ソース領域41およびドレイン領域42に対して、活性領域25およびウエル領域23の大きさが異なる点が異なる。また、第4実施形態の第1MOSFET11Dは、メインゲート電極27とダミーゲート電極32,34とが接続されている点が異なる。また、第4実施形態の第1MOSFET11Dは、活性領域25の、バックゲート領域47の位置と、n型の拡散領域45,46を含む点が異なる。
【0095】
図13に示すように、第4実施形態の第1MOSFET11Dは、ゲート電極70を含む。ゲート電極70は、ゲート絶縁膜78を介して、半導体層22の第1面22u上に配置されている。
【0096】
ゲート電極70は、メインゲート電極27、ダミーゲート電極32,34、接続部71,72,73,74を含む。
メインゲート電極27は、活性領域25上において、半導体層22の第1面22uと平行なY方向に延びている。メインゲート電極27は、X方向において、活性領域25の中央に配置されている。メインゲート電極27は、Y方向における第1端部271と、第1端部271と反対側の第2端部272とを有している。第1端部271と第2端部272はそれぞれ、素子分離領域24の上に配置されている。
【0097】
ダミーゲート電極32,34は、活性領域25上において半導体層22の第1面22uと平行なY方向に延びている。ダミーゲート電極32は、X方向において、メインゲート電極27と活性領域25の第1端部251との間に配置されている。ダミーゲート電極34は、X方向において、メインゲート電極27と活性領域25の第2端部252との間に配置されている。ダミーゲート電極32,34は、Y方向における第1端部321,341と、第1端部321,341と反対側の第2端部322,342とを有している。第1端部321,341と第2端部322,342はそれぞれ、素子分離領域24の上に配置されている。
【0098】
各接続部71~74は、X方向に延びるように形成されている。
第1接続部71は、メインゲート電極27の第1端部271とダミーゲート電極32の第1端部321とを電気的に接続する。第2接続部72は、メインゲート電極27の第1端部271とダミーゲート電極34の第1端部341とを電気的に接続する。第3接続部73は、メインゲート電極27の第2端部272とダミーゲート電極32の第2端部322とを電気的に接続する。第4接続部74は、メインゲート電極27の第2端部272とダミーゲート電極34の第2端部342とを電気的に接続する。第1接続部71および第2接続部72は、活性領域25の第3端部253を覆うように形成される。第3接続部73および第4接続部74は、活性領域25の第4端部254を覆うように形成される。
【0099】
第1接続部71と第3接続部73との間の距離は、Y方向におけるソース領域41の長さL31を規定する。第2接続部72と第4接続部74との間の距離は、Y方向におけるドレイン領域42の長さL32を規定する。したがって、Y方向における活性領域25の長さL33は、第1~第3実施形態の活性領域25の長さL21よりも長い。そして、Z方向から視て、Y方向においてソース領域41およびドレイン領域42は、素子分離領域24から離隔して形成されているといえる。
【0100】
ソース領域41およびドレイン領域42から活性領域25の第3端部253までの長さL34は、ソース領域41とドレイン領域42との間に流れるドレイン電流が活性領域25の第3端部253による影響を受け難いように設定されている。同様に、ソース領域41およびドレイン領域42から活性領域25の第4端部254までの長さL35は、ソース領域41とドレイン領域42との間に流れるドレイン電流が活性領域25の第4端部254による影響を受け難いように設定されている。
【0101】
活性領域25の表面部には、p型のバックゲート領域43,44が形成されている。バックゲート領域43は、Y方向において、ダミーゲート電極32と、ダミーゲート電極32に対してメインゲート電極27とは反対側に位置する素子分離領域24との間の活性領域25に形成されている。バックゲート領域44は、Y方向において、ダミーゲート電極34と、ダミーゲート電極34に対してメインゲート電極27とは反対側に位置する素子分離領域24との間の活性領域25に形成されている。バックゲート領域43,44は、ウエル領域23の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有している。
【0102】
(作用)
次に、第4実施形態の第1MOSFET11Dの作用を説明する。
図13,
図16に示すように、第4実施形態の第1MOSFET11Dのメインゲート電極27は、第1実施形態と同様に、X方向において、活性領域25の中央に配置されている。したがって、第4実施形態の第1MOSFET11Dは、電気的特性の変動の一つの要因となる素子分離領域24による応力の影響を低減することができる。
【0103】
図16に示すように、第1MOSFET11Dは、複数の寄生容量61,62,63,64,65を有する。第1寄生容量61は、ウエル領域23とソース領域41との間、ウエル領域23とおよびドレイン領域42との間に生じる。第2寄生容量62は、ソース領域41とゲート電極70との間、ドレイン領域42とゲート電極70との間に生じる。第3寄生容量63は、ウエル領域23(チャネル領域23c)とゲート電極70との間に生じる。第4寄生容量64は、ソース領域41とダミーゲート電極32との間、ドレイン領域42とダミーゲート電極34との間に生じる。第5寄生容量65は、ソース領域41とダミーゲート電極32との間、ドレイン領域42とダミーゲート電極34との間に生じる。第5寄生容量65は、ダミーゲート電極32,34がメインゲート電極27と電気的に接続されていることによって生じる。
【0104】
第1~第3寄生容量61~63の大きさ(容量値)は、第1実施形態の第1MOSFET11Aにおける第1~第3寄生容量61~63の大きさと等しい。このため、第1MOSFET11Dは、ソース領域41およびドレイン領域42とウエル領域23との間の寄生容量61の増加を抑制することができる。
【0105】
ここで、素子分離領域24とゲート電極70との関係について説明する。
たとえば、
図5に示す比較例1のMOSFET151は、Z方向から視て素子分離領域24とゲート電極27とが交差する箇所で、ゲート絶縁膜26の膜厚がチャネル領域23c上の膜厚よりも薄くなることがある。これにより、設計値よりも低い閾値を有する寄生素子が形成される。これにより、MOSFET151は、等価的に、並列に接続され、閾値電圧が異なる2つのトランジスタとして動作する。そして、MOSFET151のVgs-Id特性は、2つのトランジスタそれぞれの特性を合成した波形を有することになる。このような波形の特性は、ハンプ特性と呼ばれる。
【0106】
ハンプ特性は、設計上のMOSFET151の特性とずれた特性を示す。このため、設計上のMOSFET151の特性に基づいて設計された回路の動作マージンを低下させる。また、仮にハンプ特性を加味して設計したとしても、ハンプ波形は製造工程あるいは製造ロット間で容易にばらつく。このため、回路の動作マージンは低下する。特に非飽和領域での特性が重要となる高速スイッチング回路やRF回路においては、設計した特性とのずれにより、回路の誤動作を招く要因となる。
【0107】
第4実施形態の第1MOSFET11Dにおいて、素子分離領域24と接する活性領域25の第3端部253と第4端部254は、メインゲート電極27と接続部71~74とによって覆われている。X方向において、メインゲート電極27を挟むように配置されるソース領域41およびドレイン領域42の長さL31,L32は、各接続部71~74によって規定される。そして、Y方向におけるソース領域41の端部411,412は、活性領域25の第3端部253および第4端部254、つまり素子分離領域24よりも活性領域25の中央よりに位置している。同様に、Y方向におけるドレイン領域42の端部421,422は、活性領域25の第3端部253および第4端部254、つまり素子分離領域24よりも活性領域25の中央よりに位置している。
【0108】
そして、ソース領域41およびドレイン領域42から活性領域25の第3端部253までの長さL34は、ソース領域41とドレイン領域42との間に流れるドレイン電流が、ゲート電極70と素子分離領域24とが交差する部分を通過しないように設定される。同様に、ソース領域41およびドレイン領域42から活性領域25の第4端部254までの長さL35は、ソース領域41とドレイン領域42との間に流れるドレイン電流が、ゲート電極70と素子分離領域24とが交差する部分を通過しないように設定される。
【0109】
したがって、ゲート電極70と素子分離領域24とが交差する部分において、ゲート絶縁膜78の膜厚がチャネル領域23c上のゲート絶縁膜78の膜厚よりも薄くなってとしても、その付近にはソース領域41およびドレイン領域42が存在しない。したがって、寄生素子は形成されない。このため、第4実施形態の第1MOSFET11Dにおけるハンプ特性が生じることを抑制できる。
【0110】
(効果)
以上記述したように、第4実施形態の第1MOSFET11Dによれば、以下の効果を奏する。
【0111】
(4-1)第1実施形態の(1-1)~(1-7)と同様の効果を奏する。
(4-2)ゲート電極70は、メインゲート電極27、ダミーゲート電極32,34、接続部71~74を含む。メインゲート電極27の第1端部271とダミーゲート電極32の第1端部321とを電気的に接続する。第2接続部72は、メインゲート電極27の第1端部271とダミーゲート電極34の第1端部341とを電気的に接続する。第3接続部73は、メインゲート電極27の第2端部272とダミーゲート電極32の第2端部322とを電気的に接続する。第4接続部74は、メインゲート電極27の第2端部272とダミーゲート電極34の第2端部342とを電気的に接続する。第1接続部71および第2接続部72は、活性領域25の第3端部253を覆うように形成される。第3接続部73および第4接続部74は、活性領域25の第4端部254を覆うように形成される。接続部71~74により、Z方向から視て、Y方向においてソース領域41およびドレイン領域42は、素子分離領域24から離隔して形成されている。これにより、第4実施形態の第1MOSFET11Dにおけるハンプ特性が生じることを抑制できる。
【0112】
(第5実施形態)
図17~
図20を参照して、第5実施形態の第1MOSFET11Eを説明する。
なお、第5実施形態において、第1~第4実施形態と同じ部材については同じ符号を用いる。そして、その部材についての説明の一部または全てを省略することがある。
【0113】
【0114】
第5実施形態の第1MOSFET11Eは、第4実施形態の第1MOSFET11Dと比べ、ダミーゲート電極32,34の大きさが異なる。なお、第5実施形態の第1MOSFET11Eは、第4実施形態の第1MOSFET11Dの拡散領域45,46を含んでいない。
【0115】
ダミーゲート電極32は、X方向において、メインゲート電極27とウエル領域23の第1端部231との間に配置されている。ダミーゲート電極32は、X方向において、メインゲート電極27とは反対側、つまりウエル領域23の第1端部231に向けて延びている。そして、ダミーゲート電極32は、X方向における端部323が素子分離領域24上に配置されている。つまり、ダミーゲート電極32は、ソース領域41から素子分離領域24までの間の活性領域25を覆うように形成されている。ダミーゲート電極32は、ソース領域41から活性領域25の第1端部251までを覆うように形成されているといえる。
【0116】
ダミーゲート電極34は、X方向において、メインゲート電極27とウエル領域23の第2端部232との間に配置されている。ダミーゲート電極34は、X方向において、メインゲート電極27とは反対側、つまりウエル領域23の第2端部232に向けて延びている。そして、ダミーゲート電極34は、X方向における端部343が素子分離領域24上に配置されている。つまり、ダミーゲート電極34は、ドレイン領域42から素子分離領域24までの間の活性領域25を覆うように形成されている。ダミーゲート電極34は、ドレイン領域42から活性領域25の第2端部252を覆うように形成されているといえる。
【0117】
なお、半導体装置10の製造工程において、ソース領域41およびドレイン領域42は、メインゲート電極27およびダミーゲート電極32,34を形成した後の工程において形成される。この工程において、メインゲート電極27およびダミーゲート電極32,34をマスクとして、n型不純物をウエル領域23に注入、活性化することにより、ソース領域41およびドレイン領域42が形成される。
【0118】
バックゲート領域47は、Y方向において、メインゲート電極27の第1端部271とウエル領域23の第3端部233との間に配置されている。バックゲート領域47は、X方向に延びるように形成されている。バックゲート領域47は、X方向に長い長方形状に形成されている。バックゲート領域47は、p型の不純物を注入されている。バックゲート領域47は、ウエル領域23の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有している。バックゲート領域47には、複数のバックゲートコンタクト56が接続されている。複数のバックゲートコンタクト56は、X方向に沿って一列に配列されている。
【0119】
(作用)
次に、第5実施形態の第1MOSFET11Eの作用を説明する。
図17,
図20に示すように、第5実施形態の第1MOSFET11Eのメインゲート電極27は、第1実施形態と同様に、X方向において、活性領域25の中央に配置されている。したがって、第5実施形態の第1MOSFET11Eは、電気的特性の変動の一つの要因となる素子分離領域24による応力の影響を低減することができる。
【0120】
図20に示すように、第1MOSFET11Eは、複数の寄生容量61,62,63,64,65を有する。第1寄生容量61は、ウエル領域23とソース領域41との間、ウエル領域23とおよびドレイン領域42との間に生じる。第2寄生容量62は、ソース領域41とゲート電極70との間、ドレイン領域42とゲート電極70との間に生じる。第3寄生容量63は、ウエル領域23(チャネル領域23c)とゲート電極70との間に生じる。第4寄生容量64は、ソース領域41とダミーゲート電極32との間、ドレイン領域42とダミーゲート電極34との間に生じる。第5寄生容量65は、ソース領域41とダミーゲート電極32との間、ドレイン領域42とダミーゲート電極34との間に生じる。第5寄生容量65は、ダミーゲート電極32,34がメインゲート電極27と電気的に接続されていることによって生じる。
【0121】
第1~第3寄生容量61~63の大きさ(容量値)は、第1実施形態の第1MOSFET11Aにおける第1~第3寄生容量61~63の大きさと等しい。このため、第1MOSFET11Eは、ソース領域41およびドレイン領域42の寄生容量61の増加を抑制することができる。
【0122】
第5実施形態の第1MOSFET11Eにおいて、ソース領域41およびドレイン領域42は、ゲート電極70を構成する接続部71~74により、第4実施形態と同様に、素子分離領域24から離隔して形成されている。したがって、ゲート電極70と素子分離領域24とが交差する部分において、ゲート絶縁膜78の膜厚がチャネル領域23c上のゲート絶縁膜78の膜厚よりも薄くなってとしても、その付近にはソース領域41およびドレイン領域42が存在しない。したがって、寄生素子は形成されない。このため、第4実施形態の第1MOSFET11Dにおけるハンプ特性が生じることを抑制できる。
【0123】
(効果)
以上記述したように、第5実施形態の第1MOSFET11Eによれば、以下の効果を奏する。
【0124】
(5-1)第1実施形態の(1-1)~(1-7)と同様の効果を奏する。
(5-2)第4実施形態の(4-2)と同様の効果を奏する。
(変更例)
上記実施形態は例えば以下のように変更できる。上記実施形態と以下の各変更例は、技術的な矛盾が生じない限り、互いに組み合せることができる。なお、以下の変更例において、上記実施形態と共通する部分については、上記実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0125】
・上記の各実施形態の半導体装置10に対して、NチャネルMOSFETである第1MOSFET11と、PチャネルMOSFETである第2MOSFET12のいずれか一方を含む構成としてもよい。
【0126】
・第4実施形態において、ダミーゲート電極32,34と素子分離領域24との間を、第2実施形態の第1MOSFET11Bと同様に、n型の拡散領域45,46としてもよい。
【0127】
(付記)
本開示から把握できる技術的思想を以下に記載する。なお、限定する意図ではなく理解の補助のために、付記に記載される構成要素には、実施形態中の対応する構成要素の参照符号が付されている。参照符号は、理解の補助のために例として示すものであり、各付記に記載された構成要素は、参照符号で示される構成要素に限定されるべきではない。
【0128】
(付記1)
主面(22u)を有する半導体層(22)と、
前記半導体層(22)の前記主面(22u)に形成された第1導電型(p,n)のウエル領域(23)と、
前記ウエル領域(23)を囲む枠状に形成され、前記ウエル領域(23)に接し、前記ウエル領域(23)の表面部に活性領域(25)を区画する素子分離領域(24)と、
前記活性領域(25)上において前記主面(22u)と平行な第1方向(Y)に延び、前記第1方向(Y)における両端部が前記素子分離領域(24)の上に配置されたメインゲート電極(27)と、
前記主面(22u)に垂直な第3方向(Z)から視て前記第1方向(Y)と直交する第2方向(X)において前記メインゲート電極(27)と前記ウエル領域(23)の端部との間に配置され、前記第1方向(Y)に延びたダミーゲート電極(32,34)と、
前記活性領域(25)の表面部に形成され、前記第3方向(Z)から視て前記メインゲート電極(27)と前記ダミーゲート電極(32,34)との間に配置された第2導電型(n,p)のソース領域(41)およびドレイン領域(42)と、
を含む、半導体装置。
【0129】
(付記2)
前記第3方向(Z)から視て、前記第2方向(X)において、前記ダミーゲート電極(32,34)と、前記ダミーゲート電極(32,34)に対して前記メインゲート電極(27)とは反対側に位置する前記素子分離領域(24)との間の前記活性領域(25)の前記表面部に形成された第1導電型(p,n)のバックゲート領域(43,44)を含む、
付記1に記載の半導体装置。
【0130】
(付記3)
前記第3方向(Z)から視て、前記第2方向(X)において、前記ダミーゲート電極(32,34)と、前記ダミーゲート電極(32,34)に対して前記メインゲート電極(27)とは反対側に位置する前記素子分離領域(24)との間の前記活性領域(25)の前記表面部に形成された第2導電型(n,p)の拡散領域(45,46)と、
前記第3方向(Z)から視て、前記第1方向(Y)において前記ウエル領域(23)の端部と前記メインゲート電極(27)との間に設けられ、前記第2方向(X)に延びる第1導電型(p,n)(P)のバックゲート領域(47)と、
を含む、付記1に記載の半導体装置。
【0131】
(付記4)
前記ダミーゲート電極(32,34)は、前記第2方向(X)における端部が前記素子分離領域(24)上に配置されている、
付記1に記載の半導体装置。
【0132】
(付記5)
前記第3方向(Z)から視て、前記第1方向(Y)において前記ソース領域(41)および前記ドレイン領域(42)は、前記素子分離領域(24)から離隔して形成され、
前記第3方向(Z)から視て、前記第1方向(Y)において前記ソース領域(41)および前記ドレイン領域(42)の端部と前記素子分離領域(24)との間の前記活性領域(25)、および前記素子分離領域(24)の一部を覆うように形成され、前記第2方向(X)に延び、前記メインゲート電極(27)と前記ダミーゲート電極(32,34)とを接続する接続部(71~74)を含む、
付記1から付記4のいずれか一つに記載の半導体装置。
【0133】
(付記6)
前記半導体層(22)に形成された第1MOSFETと第2MOSFETとを備え、
前記第1MOSFETは、前記第1導電型がp型であり、かつ前記第2導電型がn型である、前記ウエル領域(23)、前記ソース領域(41)および前記ドレイン領域(42)と、前記素子分離領域(24)、前記メインゲート電極(27)、前記ダミーゲート電極(32,34)、を含み、
前記第2MOSFETは、前記第1導電型がn型であり、かつ前記第2導電型がp型である、前記ウエル領域(23)、前記ソース領域(41)および前記ドレイン領域(42)と、前記素子分離領域(24)、前記メインゲート電極(27)、前記ダミーゲート電極(32,34)、を含む、
付記1から付記5のいずれか一つに記載の半導体装置。
【0134】
本開示で使用される「~上に」という用語は、文脈によって明らかにそうでないことが示されない限り、「~上に」と「~の上方に」との双方の意味を含む。したがって、「第1層が第2層上に形成される」という表現は、或る実施形態では第1層が第2層に接触して第2層上に直接配置される得るが、他の実施形態では第1層が第2層に接触することなく第2層の上方に配置され得ることが意図される。すなわち、「~上に」という用語は、第1層と第2層との間に他の層が形成される構造を排除しない。
【0135】
本開示で使用されるZ軸方向は必ずしも鉛直方向である必要はなく、鉛直方向に完全に一致している必要もない。したがって、本開示による種々の構造(たとえば、
図1に示される構造)は、本明細書で説明されるZ軸方向の「上」および「下」が鉛直方向の「上」および「下」であることに限定されない。たとえば、X軸方向が鉛直方向であってもよく、またはY軸方向が鉛直方向であってもよい。
【0136】
以上の説明は単に例示である。本開示の技術を説明する目的のために列挙された構成要素および方法(製造プロセス)以外に、より多くの考えられる組み合わせおよび置換が可能であることを当業者は認識し得る。本開示は、特許請求の範囲を含む本開示の範囲内に含まれるすべての代替、変形、および変更を包含することが意図される。
【符号の説明】
【0137】
10 半導体装置
11,11A~11E 第1MOSFET
12 第2MOSFET
21 半導体基板
21u 第1面
22 半導体層
22r 第2面
22u 第1面
23 ウエル領域
23c チャネル領域
23u 第1面
231 第1端部
232 第2端部
233 第3端部
234 第4端部
24 素子分離領域
25 活性領域
251 第1端部
252 第2端部
253 第3端部
254 第4端部
26 メインゲート絶縁膜(ゲート絶縁膜)
27 メインゲート電極(ゲート電極)
271 第1端部
272 第2端部
31,33 ダミーゲート絶縁膜
32,34 ダミーゲート電極
321 第1端部
322 第2端部
341 第1端部
342 第2端部
41 ソース領域
411,412 端部
42 ドレイン領域
421,422 端部
43 バックゲート領域
44 バックゲート領域
45 拡散領域
46 拡散領域
47 バックゲート領域
51~53 コンタクト
54 ソースコンタクト
55 ドレインコンタクト
56,57 バックゲートコンタクト
58,59 コンタクト
61 第1寄生容量
62 第2寄生容量
63 第3寄生容量
64 第4寄生容量
65 第5寄生容量
70 ゲート電極
71 第1接続部
72 第2接続部
73 第3接続部
74 第4接続部
78 ゲート絶縁膜
81,82 配線
151 比較例1のMOSFET
152 比較例2のMOSFET