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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166124
(43)【公開日】2023-11-21
(54)【発明の名称】ドア開閉装置及びドア開閉方法
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/73 20150101AFI20231114BHJP
   E05F 15/611 20150101ALI20231114BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20231114BHJP
   B60J 5/10 20060101ALI20231114BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
E05F15/73
E05F15/611
B60J5/04 C
B60J5/10 K
B60R11/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022076927
(22)【出願日】2022-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】梁井 慶一
(72)【発明者】
【氏名】寺西 竜平
【テーマコード(参考)】
2E052
3D020
【Fターム(参考)】
2E052AA09
2E052BA04
2E052EA01
2E052EA09
2E052EB01
2E052GA05
2E052GB01
2E052GC02
2E052GC06
3D020BA20
3D020BC13
3D020BD05
3D020BE03
(57)【要約】
【課題】ユーザのジェスチャに基づいて、バックドアを開閉作動できるドア開閉装置及びドア開閉方法を提供する。
【解決手段】ドア開閉装置は、バックドア43が全閉位置に位置する場合には車両後方のバックエリアAbを撮影可能となる一方でバックドア43が全開位置に位置する場合にはバックエリアAbを撮影不能となるバックカメラ113と、バックドア43の位置に関わらずバックエリアAbとは異なるサイドエリアAsを撮影可能なサイドカメラ112と、カメラ112,113が撮影した画像に基づきユーザがジェスチャを実施したか否かを判定するジェスチャ判定部と、バックエリアAb内でユーザがジェスチャを実施したと判定される場合にバックドア43を開作動させ、サイドエリアAs内でユーザがジェスチャを実施したと判定される場合にバックドア43を閉作動させるドア制御部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
後方に開口する後部開口を有する車体と、前記後部開口を開閉するバックドアと、前記バックドアを駆動するバックドア駆動部と、を備える車両に適用されるドア開閉装置であって、
前記バックドアが全閉位置に位置する場合には車両後方の第1エリアを撮影可能となる一方で前記バックドアが全開位置に位置する場合には前記第1エリアを撮影不能となる第1カメラと、
前記バックドアの位置に関わらず前記第1エリアとは異なる第2エリアを撮影可能な第2カメラと、
前記第1カメラ及び前記第2カメラが撮影した画像に基づきユーザがジェスチャを実施したか否かを判定するジェスチャ判定部と、
前記第1エリア内で前記ユーザが前記ジェスチャを実施したと判定される場合に前記バックドアを開作動させ、前記第2エリア内で前記ユーザが前記ジェスチャを実施したと判定される場合に前記バックドアを閉作動させるドア制御部と、を備える
ドア開閉装置。
【請求項2】
前記第2エリアは、前記車両と車両幅方向に隣り合う第1サイドエリアと、前記第1サイドエリアと車両前後方向に隣り合うエリアであって前記第1サイドエリアよりも車両後方に位置する第2サイドエリアと、を含む
請求項1に記載のドア開閉装置。
【請求項3】
前記ジェスチャ判定部は、前記車両と紐付いた携帯機を所持している前記ユーザをジェスチャ判定の対象ユーザとする
請求項1又は請求項2に記載のドア開閉装置。
【請求項4】
前記ユーザが前記車両に乗車したか否かを判定する乗車判定部を備え、
前記ドア制御部は、前記バックドアが前記全開位置に位置している場合であって、前記第2エリア内で前記ユーザが前記ジェスチャを実施したと判定されることなく、前記ユーザが前記車両に乗車したと判定される場合には、前記バックドアを閉作動させる
請求項1又は請求項2に記載のドア開閉装置。
【請求項5】
前記車体は、側方に側部開口を有し、前記車両は、前記側部開口を開閉するサイドドアと、前記サイドドアを駆動するサイドドア駆動部と、を備えるものであって、
前記ドア制御部は、前記第2エリア内で前記ユーザが前記ジェスチャを実施したと判定される場合に前記サイドドアを開閉作動させ、
前記バックドアを閉作動させるための前記ジェスチャと前記サイドドアを開閉作動させるための前記ジェスチャとは異なる
請求項1又は請求項2に記載のドア開閉装置。
【請求項6】
後方に開口する後部開口を有する車体と、前記後部開口を開閉するバックドアと、前記バックドアを駆動するバックドア駆動部と、前記バックドアが全閉位置に位置する場合には車両後方の第1エリアを撮影可能となる一方で前記バックドアが全開位置に位置する場合には前記第1エリアを撮影不能となる第1カメラと、前記バックドアの位置に関わらず前記第1エリアとは異なる第2エリアを撮影可能な第2カメラと、を備える車両に適用されるドア開閉方法であって、
前記第1カメラ及び前記第2カメラが撮影した画像に基づきユーザがジェスチャを実施したか否かを判定するジェスチャ判定工程と、
前記第1エリア内で前記ユーザが前記ジェスチャを実施したと判定される場合に前記バックドアを開作動させ、前記第2エリア内で前記ユーザが前記ジェスチャを実施したと判定される場合に前記バックドアを閉作動させるドア制御工程と、を備える
ドア開閉方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドア開閉装置及びドア開閉方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、開口部が設けられる車体と、開口部を開閉する車両用ゲートと、車両用ゲートを駆動するゲートアクチュエータと、車両用ゲートに設置されるカメラと、ゲートアクチュエータを制御するドア開閉装置と、を備える車両が記載されている。ドア開閉装置は、カメラが撮影した車両後方の画像に基づいて、ユーザが予め定められたジェスチャを実施したと判断したときに、ゲートアクチュエータにより車両用ゲートを開作動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-196798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなドア開閉装置は、車両用ゲートが全閉位置に位置する場合には、ユーザがジェスチャを実施する車両後方のエリアをカメラで撮影できるが、車両用ゲートが全開位置に位置する場合には、当該エリアをカメラで撮影できなくなる。つまり、ドア開閉装置は、ユーザのジェスチャに基づき、車両用ゲートを開作動することはできても閉作動することはできない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決するドア開閉装置は、後方に開口する後部開口を有する車体と、前記後部開口を開閉するバックドアと、前記バックドアを駆動するバックドア駆動部と、を備える車両に適用されるドア開閉装置であって、前記バックドアが全閉位置に位置する場合には車両後方の第1エリアを撮影可能となる一方で前記バックドアが全開位置に位置する場合には前記第1エリアを撮影不能となる第1カメラと、前記バックドアの位置に関わらず前記第1エリアとは異なる第2エリアを撮影可能な第2カメラと、前記第1カメラ及び前記第2カメラが撮影した画像に基づきユーザがジェスチャを実施したか否かを判定するジェスチャ判定部と、前記第1エリア内で前記ユーザが前記ジェスチャを実施したと判定される場合に前記バックドアを開作動させ、前記第2エリア内で前記ユーザが前記ジェスチャを実施したと判定される場合に前記バックドアを閉作動させるドア制御部と、を備える。
【0006】
ドア開閉装置は、第1カメラの撮影エリアである第1エリア内でユーザがジェスチャを実施したか否かに基づきバックドアを開作動させるか否かを判定する。また、ドア開閉装置は、第2カメラの撮影エリアである第2エリア内でユーザがジェスチャを実施したか否かに基づきバックドアを閉作動させるか否かを判定する。このため、ドア開閉装置は、バックドアが全開位置に位置する場合、言い換えれば、第1カメラが第1エリアを撮影できない場合であっても、ユーザのジェスチャに基づき、バックドアを閉作動させることができる。
【0007】
車両ドア開閉装置において、前記第2エリアは、前記車両と車両幅方向に隣り合う第1サイドエリアと、前記第1サイドエリアと車両前後方向に隣り合うエリアであって前記第1サイドエリアよりも車両後方に位置する第2サイドエリアと、を含むことが好ましい。
【0008】
バックドアを閉作動させるためのジェスチャを実施するためには、ユーザは第1エリアから第2エリアに移動する必要がある。この点、上記構成において、第2エリアは、第2サイドエリアを含む点で、第1エリアの近くのエリアといえる。このため、ドア開閉装置は、第1エリアから第2エリアへのユーザの移動量を少なくできる。
【0009】
車両ドア開閉装置において、前記ジェスチャ判定部は、前記車両と紐付いた携帯機を所持している前記ユーザをジェスチャ判定の対象ユーザとすることが好ましい。
ドア開閉装置は、車両と無関係のユーザが実施するジェスチャに基づき、バックドアを開閉作動させることを抑制できる。
【0010】
車両ドア開閉装置は、前記ユーザが前記車両に乗車したか否かを判定する乗車判定部を備え、前記ドア制御部は、前記バックドアが前記全開位置に位置している場合であって、前記第2エリア内で前記ユーザが前記ジェスチャを実施したと判定されることなく、前記ユーザが前記車両に乗車したと判定される場合には、前記バックドアを閉作動させることが好ましい。
【0011】
ドア開閉装置は、ユーザがバックドアを閉作動させるためのジェスチャを実施しなくても、ユーザが車両に乗車した場合には、バックドアを閉作動させることができる。よって、ドア開閉装置は、ユーザの利便性を高めることができる。
【0012】
前記車体は、側方に側部開口を有し、前記車両は、前記側部開口を開閉するサイドドアと、前記サイドドアを駆動するサイドドア駆動部と、を備えるものであって、前記ドア制御部は、前記第2エリア内で前記ユーザが前記ジェスチャを実施したと判定される場合に前記サイドドアを開閉作動させ、前記バックドアを閉作動させるための前記ジェスチャと前記サイドドアを開閉作動させるための前記ジェスチャとは異なることが好ましい。
【0013】
ドア開閉装置において、バックドアを閉作動させるためのジェスチャとサイドドアを開閉作動させるためのジェスチャとは異なるジェスチャである。このため、ドア開閉装置は、ユーザがバックドアを閉作動させるためにジェスチャを実施した場合に、サイドドアを開閉作動させることを抑制できる。同様に、ドア開閉装置は、ユーザがサイドドアを開閉作動させるためにジェスチャを実施した場合に、バックドアを閉作動させることを抑制できる。
【0014】
上記課題を解決するドア開閉方法は、後方に開口する後部開口を有する車体と、前記後部開口を開閉するバックドアと、前記バックドアを駆動するバックドア駆動部と、前記バックドアが全閉位置に位置する場合には車両後方の第1エリアを撮影可能となる一方で前記バックドアが全開位置に位置する場合には前記第1エリアを撮影不能となる第1カメラと、前記バックドアの位置に関わらず前記第1エリアとは異なる第2エリアを撮影可能な第2カメラと、を備える車両に適用されるドア開閉方法であって、前記第1カメラ及び前記第2カメラが撮影した画像に基づきユーザがジェスチャを実施したか否かを判定するジェスチャ判定工程と、前記第1エリア内で前記ユーザが前記ジェスチャを実施したと判定される場合に前記バックドアを開作動させ、前記第2エリア内で前記ユーザが前記ジェスチャを実施したと判定される場合に前記バックドアを閉作動させるドア制御工程と、を備える。
【0015】
ドア開閉方法は、上述したドア開閉装置と同等の作用効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0016】
ドア開閉装置及びドア開閉方法は、ユーザのジェスチャに基づいて、バックドアを開閉作動できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、車両の概略構成を示す側面図である。
図2図2は、車両の概略構成を示す平面図である。
図3図3は、車両の制御構成を示すブロック図である。
図4図4は、スライドドア及びバックドアを開閉作動させるために、ドア制御装置が実施する処理の流れを説明するフローチャートである。
図5図5は、スライドドアの開作動を判定するための処理の流れを説明するフローチャートである。
図6図6は、スライドドアの閉作動を判定するための処理の流れを説明するフローチャートである。
図7図7は、バックドアの開作動を判定するための処理の流れを説明するフローチャートである。
図8図8は、バックドアの閉作動を判定するための処理の流れを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、ドア開閉装置100及びドア開閉方法に係る車両の一実施形態について説明する。以降の説明では、車両前後方向、車両幅方向及び車両上下方向を単に前後方向、幅方向及び上下方向という。
【0019】
<本実施形態の構成>
図1及び図2に示すように、車両10は、車体20と、座席30と、フロントドア41と、スライドドア42と、バックドア43と、スライドドア駆動部51と、バックドア駆動部52と、を備える。図3に示すように、車両10は、無線通信装置60と、ドア開閉装置100と、を備える。車両10の構成要素のうち、フロントドア41及びスライドドア42とスライドドア駆動部51とは、車両10の右側及び左側に1つずつ設けられている。重複する説明を省略するために、以降の説明では、片側の構成要素について説明する。
【0020】
<車体20>
図1に示すように、車体20は、側方に開口する第1側部開口21及び第2側部開口22と、後方に開口する後部開口23と、を有する。第1側部開口21は、第2側部開口22よりも前方に位置している。第1側部開口21及び第2側部開口22は、車両10の右側及び左側に1つずつ設けられている。重複する説明を省略するために、以降の説明では、片側の構成要素について説明する。
【0021】
<座席30>
図2に示すように、複数の座席30は、運転席及び助手席を含む前席31と、前席31よりも後方に位置する後席32と、を有する。前席31は、第1側部開口21と幅方向に隣り合い、後席32は、第2側部開口22と幅方向に隣り合っている。つまり、ユーザが前席31に対して乗降する場合、ユーザは第1側部開口21を通過し、ユーザが後席32に対して乗降する場合、ユーザが第2側部開口22を通過する。前席31及び後席32には、着座センサ33が設けられている。着座センサ33は、座席30の座面に作用する荷重の大きさに応じた検出信号を出力する。
【0022】
<フロントドア41>
図1及び図2に示すように、フロントドア41は、第1側部開口21に応じた大きさとなっている。フロントドア41の前端部は、ドアヒンジなどを介して、第1側部開口21の前端部に支持されている。こうして、フロントドア41は、フロントドア41の前端部を上下方向に通る軸線回りに回転可能となっている。つまり、フロントドア41は、第1側部開口21を全閉する全閉位置及び第1側部開口21を全開する全開位置の間を回転しつつ変位する。フロントドア41は、スライドドア42及びバックドア43と異なり、ユーザによって手動で操作されるドアである。
【0023】
<スライドドア42>
スライドドア42は、第2側部開口22に応じた大きさとなっている。スライドドア42は、前後方向に延びるレールなどを介して、車体20に支持されている。こうして、スライドドア42は、前後方向に移動可能となっている。つまり、スライドドア42は、第2側部開口22を全閉する全閉位置及び第2側部開口22を全開する全開位置の間をスライドしつつ変位する。
【0024】
スライドドア駆動部51は、例えば、電気モータと、電気モータの動力をスライドドア42に伝達する伝達機構と、を含んで構成することが好ましい。スライドドア駆動部51において、伝達機構は、プーリとベルトとを含んで構成してもよいし、ドラムとケーブルとを含んで構成してもよい。そして、スライドドア42は、スライドドア駆動部51によって、全閉位置及び全開位置の間を開閉作動する。こうした点で、スライドドア42は「サイドドア」に相当し、スライドドア駆動部51は「サイドドア駆動部」に相当している。
【0025】
<バックドア43>
バックドア43は、後部開口23に応じた大きさとなっている。バックドア43の基端部は、ドアヒンジなどを介して、後部開口23の上端部に支持されている。こうして、バックドア43は、バックドア43の基端部を幅方向に通る軸線回りに回転可能となっている。つまり、バックドア43は、後部開口23を全閉する全閉位置及び後部開口23を全開する全開位置の間を回転しつつ変位する。バックドア43が全開位置に位置する場合には、バックドア43が全閉位置に位置する場合よりも、バックドア43の先端部が上方に変位する。なお、後部開口23は、荷室に荷物を積んだり荷室から荷物を下ろしたりする際に荷物が通過する部位である。
【0026】
バックドア駆動部52は、例えば、電気モータと、電気モータの動力をバックドア43に伝達する伝達機構と、を含んで構成することが好ましい。バックドア駆動部52において、伝達機構は、直動シリンダであればよい。そして、バックドア43は、バックドア駆動部52によって、全閉位置及び全開位置の間を開閉作動する。
【0027】
<無線通信装置60>
図3に示すように、無線通信装置60は、車両10の周辺に位置する携帯機70と相互に無線通信を行うことにより、当該携帯機70が車両10と紐付いた携帯機70であるか否かを判定する。携帯機70は、いわゆる電子キーでもよいし、スマートフォンでもよいし、他の通信端末でもよい。この点で、無線通信装置60は、車両10の周辺に設定される検知エリアAd内に携帯機70を所持したユーザが存在しているか否かを判定できる。
【0028】
携帯機70は、スライドドア42を開閉作動させたり停止させたりする際に操作されるスイッチを有する。携帯機70において、スライドドア42及びバックドア43を作動させるためのスイッチが操作された場合、無線通信装置60は、操作されたスイッチに応じて、開作動指令信号、閉作動指令信号及び停止指令信号を出力する。開作動指令信号は、スライドドア42又はバックドア43を開作動させるための指令信号であり、閉作動指令信号は、スライドドア42又はバックドア43を閉作動させるための指令信号である。停止指令信号は、開閉作動中のスライドドア42又はバックドア43を停止させるための指令信号である。また、無線通信装置60は、検知エリアAd内に携帯機70が存在している場合、その旨を示す信号を出力する。このとき、無線通信装置60は、携帯機70の位置を取得するために、携帯機70との間でUWB(Ultra Wide Band)による通信を行ってもよい。
【0029】
<ドア開閉装置100>
図1図3に示すように、ドア開閉装置100は、フロントカメラ111と、2つのサイドカメラ112と、バックカメラ113と、ドア制御装置120と、を備える。
【0030】
<カメラ>
図2に示すように、フロントカメラ111は、例えば、フロントグリル又はエンブレムなどに設置されている。フロントカメラ111は、車両10の前方のフロントエリアAfを撮影する。サイドカメラ112は、例えば、フロントドア41のサイドミラーに設置されている。サイドカメラ112は、車両10の側方のサイドエリアAsを撮影する。バックカメラ113は、例えば、バックドア43の外面に設置されている。バックカメラ113は、車両10の後方のバックエリアAbを撮影する。
【0031】
図2において、フロントエリアAf、サイドエリアAs及びバックエリアAbは、矩形のエリアとなっているが、扇形のエリアであってもよいし、円形のエリアであってもよい。フロントエリアAf、サイドエリアAs及びバックエリアAbは、検知エリアAdの内側のエリアであって、検知エリアAdよりも狭いエリアである。
【0032】
フロントエリアAfは、車両10と前後方向に隣り合う第1フロントエリアAf1と、第1フロントエリアAf1と幅方向に隣り合う2つの第2フロントエリアAf2と、を有する。一方の第2フロントエリアAf2は、第1フロントエリアAf1の右方に位置し、他方の第2フロントエリアAf2は第1フロントエリアAf1の左方に位置している。
【0033】
サイドエリアAsは、車両10と幅方向に隣り合う第1サイドエリアAs1と、第1エリアと前後方向に隣り合う第2サイドエリアAs2及び第3サイドエリアAs3と、を有する。第2サイドエリアAs2は、第1サイドエリアAs1の後方に位置し、第3サイドエリアAs3は、第1サイドエリアAs1の前方に位置している。
【0034】
バックエリアAbは、車両10と前後方向に隣り合う第1バックエリアAb1と、第1バックエリアAb1と幅方向に隣り合う2つの第2バックエリアAb2と、を有する。一方の第2バックエリアAb2は第1バックエリアAb1の右方に位置し、他方の第2バックエリアAb2は第1バックエリアAb1の左方に位置している。
【0035】
2つの第2フロントエリアAf2と2つの第3サイドエリアAs3とはそれぞれ重複している。図2では、第2フロントエリアAf2の形状及び第3サイドエリアAs3の形状が等しくなっているが、第2フロントエリアAf2の形状及び第3サイドエリアAs3の形状は異なっていればよい。同様に、2つの第2バックエリアAb2と2つの第2サイドエリアAs2とはそれぞれ重複している。図2では、第2サイドエリアAs2の形状及び第2バックエリアAb2の形状は等しくなっているが、第2サイドエリアAs2の形状及び第2バックエリアAb2の形状は異なっていればよい。
【0036】
図1に示すように、バックカメラ113はバックドア43に設置されているため、バックドア43が全閉位置に位置する場合には、バックカメラ113は、車両10の後方かつ下方を向く。ところが、バックドア43が全開位置に位置する場合には、バックカメラ113は、車両10の後方かつ上方を向く。つまり、バックカメラ113は、バックドア43が全閉位置に位置している場合にはバックエリアAbを撮影可能であり、バックドア43が全開位置に位置している場合にはバックエリアAbを撮影不能となる。こうした点で、バックカメラ113は「第1カメラ」に相当し、バックエリアAbは「第1エリア」に相当している。その一方で、フロントカメラ111は、バックドア43の位置に関わらずフロントエリアAfを撮影できる。同様に、サイドカメラ112は、スライドドア42及びバックドア43の位置に関わらずサイドエリアAsを撮影できる。この点で、サイドカメラ112は「第2カメラ」に相当し、サイドエリアAsは「第2エリア」に相当している。
【0037】
なお、フロントカメラ111、サイドカメラ112及びバックカメラ113が撮影した画像を組み合わせることにより、車両10の周辺を上方から視た画像を合成できる。こうした画像は、車両10を後方に動かしたり駐車したりする際に車両10に設けられたディスプレイに表示するとよい。言い換えれば、本実施形態は、上記画像を合成するために設置される複数のカメラを流用することで実現できる。
【0038】
<ドア制御装置120>
図3に示すように、ドア制御装置120は、ユーザ認識部121と、ジェスチャ判定部122と、カメラ制御部123と、乗車判定部124と、ドア制御部125と、を有する。ドア制御装置120には、フロントカメラ111、サイドカメラ112及びバックカメラ113が撮影した画像に関する信号、着座センサ33の検出信号及び無線通信装置60から携帯機70の位置に関する情報が入力される。ドア制御装置120は、フロントカメラ111、サイドカメラ112及びバックカメラ113並びにスライドドア駆動部51及びバックドア駆動部52を制御する。
【0039】
ユーザ認識部121は、携帯機70を所持するユーザが検知エリアAd内に存在している場合に、フロントカメラ111、サイドカメラ112及びバックカメラ113が撮影した画像内にユーザが存在しているか否かを判定する。ユーザ認識部121は、例えば、機械学習により得られた学習済みモデルに基づき、撮影した画像内にユーザが存在しているか否かを判定する。学習済みモデルは、事前に撮影された画像とユーザの身体部位の位置とを対応付けた教師データを用いて機械学習を進めることにより得ることができる。つまり、学習済みモデルは、カメラが撮影した画像を入力データとし、当該画像内におけるユーザの身体部位の位置を出力データとするモデルである。学習済みモデルは、例えば、車両10の設計時に作成され、ドア開閉装置100の製造時にドア制御装置120のメモリに書き込まれる。本実施形態において、ユーザの身体部位は、ユーザの足であるとする。つまり、本実施形態で対象とするユーザのジェスチャは、ユーザの足を用いたジェスチャである。
【0040】
ジェスチャ判定部122は、時間をあけて撮影された複数の画像に基づいて、ユーザの足先の変位ベクトルを算出する。詳しくは、ジェスチャ判定部122は、N番目の画像内の足位置からN+1番目の画像内の足位置に向かう変位ベクトルを算出する。ここで、N番目の画像とは、カメラがN番目に撮影した画像であり、N+1番目の画像とは、カメラがN+1番目に撮影した画像であって、N番目の画像の後のフレームの画像である。このとき、ジェスチャ判定部122は、N+1番目の画像に対して、N番目の画像中の足位置を含むエリアの特徴量のマッチングを行うことで、N番目の画像中の足位置に対応するN+1番目の画像中の足位置を特定する。そして、ジェスチャ判定部122は、両画像における足位置に基づいて、足位置の変位ベクトルを算出する。続いて、ジェスチャ判定部122は、N+1番目の画像内の足位置からN+2番目の画像内の足位置に向かう変位ベクトルを算出する。さらに、ジェスチャ判定部122は、N+2番目の画像内の足位置からN+3番目の画像内の足位置に向かう変位ベクトルを算出する。
【0041】
こうして、ジェスチャ判定部122は、新たな画像が撮影される度に、足位置の変位ベクトルを算出する。ジェスチャ判定部122は、カメラが1つの画像を撮影する度に足位置の変位ベクトルを算出してもよいし、カメラが複数の画像を撮影する度に足位置の変位ベクトルを算出してもよい。言い換えれば、ジェスチャ判定部122は、1フレーム毎に足位置の変位ベクトルを算出してもよいし、複数フレーム毎に足位置の変位ベクトルを算出してもよい。なお、足位置の変位ベクトルの向きはユーザの足先の移動方向を示し、足位置の変位ベクトルの大きさはユーザの足先の単位時間あたりの移動量を示している。
【0042】
ジェスチャ判定部122は、足位置の変位ベクトルの向きが、事前に定められたジェスチャに応じたジェスチャパターン通りに変化した場合に、ジェスチャが実施されたと判定する。ジェスチャ判定部122は、足位置の変位ベクトルの算出とジェスチャパターンの照合とを交互に実施してもよいし、まとめて実施してもよい。前者の場合、ジェスチャ判定部122は、1つの足位置の変位ベクトルが算出される毎に、当該変位ベクトルの向きがジェスチャパターンに対応する方向であるか否かを判定する。後者の場合、ジェスチャ判定部122は、まとまった数の足位置の変位ベクトルが算出された後に、複数の変位ベクトルの向きがジェスチャパターンに対応する方向に変化するか否かを判定する。なお、ユーザがジェスチャを実施する場合には、ユーザの向きに応じて、足位置の変位ベクトルの向きが変化し得る。このため、ジェスチャパターンは、ユーザの向きに応じて設定されることが好ましい。
【0043】
ジェスチャ判定部122は、ユーザがサイドエリアAs内に存在している場合には、スライドドア42を開閉作動させるための第1ジェスチャ又は第2ジェスチャが実施されたか否かを判定する。また、ジェスチャ判定部122は、ユーザがバックエリアAb内に存在している場合には、バックドア43を開作動させるための第3ジェスチャ又は第4ジェスチャが実施されたか否かを判定する。さらに、ジェスチャ判定部122は、ユーザがサイドエリアAs内に存在している場合には、バックドア43を閉作動させるための第5ジェスチャが実施されたか否かを判定する。
【0044】
本実施形態において、第1ジェスチャ、第2ジェスチャ、第3ジェスチャ、第4ジェスチャ及び第5ジェスチャは、何れもユーザが足を動かすことで実施するフットジェスチャである。第1ジェスチャ、第2ジェスチャ及び第5ジェスチャは異なるジェスチャであることが好ましい。また、第3ジェスチャ及び第4ジェスチャは異なるジェスチャであることが好ましい。
【0045】
カメラ制御部123は、フロントカメラ111、サイドカメラ112及びバックカメラ113を制御する。カメラ制御部123は、ユーザが検知エリアAd内に移動する場合、言い換えれば、車両10と紐付いた携帯機70が検知エリアAd内に移動する場合、フロントカメラ111、サイドカメラ112及びバックカメラ113を起動する。一方、カメラ制御部123は、ユーザが検知エリアAd外に移動する場合、言い換えれば、車両10と紐付いた携帯機70が検知エリアAd外に移動する場合、フロントカメラ111、サイドカメラ112及びバックカメラ113を停止する。
【0046】
乗車判定部124は、ユーザが車両10に乗車したか否かを判定する。本実施形態では、以下に説明する複数の方法により、ユーザが車両10に乗車したか否かを判定する。
乗車判定部124は、サイドカメラ112が撮影した画像に基づいて、ユーザが車両10に乗車したか否かを判定する。詳しくは、乗車判定部124は、ユーザの足位置がサイドエリアAs内に存在する状況下において、フロントドア41又はスライドドア42の開閉を経て、ユーザの足位置がサイドエリアAs内に存在しなくなる場合、ユーザが車両10に乗車したと判定する。フロントドア41の開閉は、例えば、フロントドア41のドアロック装置のラッチの位置を検出するラッチスイッチの検出結果に基づいて判定すればよい。スライドドア42の開閉動作についても同様である。さらに、乗車判定部124は、判定精度を高める目的で、フロントドア41又はスライドドア42の開閉の前に、ユーザの足位置がフロントドア41又はスライドドア42の側方の位置まで移動したか否かを判定してもよい。
【0047】
乗車判定部124は、座席30に設置される着座センサ33の出力信号に基づいて、ユーザが車両10に乗車したか否かを判定する。つまり、着座センサ33の出力信号に応じた荷重が所定の閾値未満の場合、乗車判定部124は、ユーザが座席30に着座していないと判定する。一方、着座センサ33の出力信号に応じた荷重が所定の閾値以上の場合、乗車判定部124は、ユーザが座席30に着座していると判定する。
【0048】
なお、乗車判定部124は、他の方法によりユーザが車両10に乗車したか否かを判定してもよい。例えば、乗車判定部124は、車両10のACC電源又はIG電源がオンになったこと、運転席のシートベルトが装着されたこと及びパーキングブレーキが解除されたことなどをもって、ユーザが車両10に乗車したと判定してもよい。
【0049】
ドア制御部125は、スライドドア42を開閉作動させるための条件が成立した場合、スライドドア駆動部51により、スライドドア42を開閉作動させる。ドア制御部125は、ユーザがサイドエリアAs内で第1ジェスチャを実施したと判定される場合、スライドドア42を開作動させる。一方、ドア制御部125は、ユーザがサイドエリアAs内で第2ジェスチャを実施したと判定される場合、スライドドア42を閉作動させる。また、ドア制御部125は、スライドドア42のドアハンドルが操作された場合又は携帯機70のスイッチが操作された場合にも、スライドドア42を開閉作動させることが好ましい。
【0050】
ドア制御部125は、バックドア43を開閉作動させるための条件が成立した場合、バックドア43を開閉作動させる。ドア制御部125は、ユーザがバックエリアAb内で第3ジェスチャ又は第4ジェスチャを実施したと判定される場合、バックドア43を開作動させる。つまり、ドア制御部125は、ユーザが第3ジェスチャを実施する場合でも第4ジェスチャを実施する場合でもバックドア43を開作動させる。
【0051】
バックドア43が全開位置に位置すると、バックカメラ113がバックエリアAbを撮影できなくなる。つまり、ユーザがバックエリアAb内でジェスチャを実施したとしても、ジェスチャ判定部122はユーザがジェスチャを実施したと判定できなくなる。その結果、ドア制御部125は、ユーザのバックエリアAbにおけるジェスチャに基づき、バックドア43を閉作動させることができなくなる。
【0052】
そこで、ドア制御部125は、ユーザの第3ジェスチャに基づきバックドア43を開作動させた場合において、ユーザがサイドエリアAs内で第5ジェスチャを実施したと判定される場合、バックドア43を閉作動させる。つまり、ドア制御部125は、バックエリアAbとは異なるサイドエリアAs内で実施されるユーザのジェスチャに基づき、バックドア43を閉作動させる。また、ドア制御部125は、ユーザの第4ジェスチャに基づきバックドア43を開作動させた場合において、ユーザが車両10に乗車したと判定される場合、バックドア43を閉作動させる。つまり、ドア制御部125は、ユーザのジェスチャをトリガとするのではなく、ユーザの乗車をトリガとして、バックドア43を閉作動させる。なお、ドア制御部125は、バックドア43に設けられたスイッチが操作された場合又は携帯機70のスイッチが操作された場合にも、バックドア43を開閉作動させることが好ましい。
【0053】
ドア制御部125は、スライドドア42を開閉作動させる場合には、スライドドア駆動部51の駆動源である電気モータの回転量に基づき、スライドドア42の現在位置を逐次演算することが好ましい。同様に、ドア制御部125は、バックドア43を開閉作動させる場合には、バックドア駆動部52の駆動源である電気モータの回転量に基づき、バックドア43の現在位置を逐次演算することが好ましい。こうして、ドア制御部125は、スライドドア42の現在位置及びバックドア43の現在位置を取得できる。
【0054】
以下、スライドドア42及びバックドア43を開閉作動させるために、ドア制御装置120が実施する処理の流れについて説明する。本処理は、車両10が停止中に所定の制御サイクルで繰り返し実施される処理である。
【0055】
図4に示すように、ドア制御装置120は、無線通信装置60と携帯機70との間の通信内容に基づき、検知エリアAd内に携帯機70を所持するユーザが進入したか否かを判定する(S11)。検知エリアAd内にユーザが進入していない場合(S11:NO)、つまり、ジェスチャ判定の対象ユーザが検知エリアAd内に存在していない場合、ドア制御装置120は、本処理を終了する。一方、検知エリアAd内にユーザが進入している場合(S11:YES)、つまり、ジェスチャ判定の対象ユーザが検知エリアAd内に存在している場合、ドア制御装置120は、フロントカメラ111、サイドカメラ112及びバックカメラ113を起動する(S12)。
【0056】
続いて、ドア制御装置120は、スライドドア42の開作動判定処理及び閉作動判定処理を実施する(S13,S14)。スライドドア42を開作動する条件が成立していれば、ステップS13において、スライドドア42が開作動される。一方、スライドドア42を閉作動する条件が成立していれば、ステップS14において、スライドドア42が閉作動される。その後、ドア制御装置120は、バックドア43の開作動判定処理及び閉作動判定処理を実施する(S15,S16)。バックドア43を開作動する条件が成立していれば、ステップS15において、バックドア43が開作動される。一方、バックドア43を閉作動する条件が成立していれば、ステップS16において、バックドア43が閉作動される。その後、ドア制御装置120は、終了条件が成立したか否かを判定する(S17)。
【0057】
終了条件は、例えば、以下の1以上の条件を満たす場合に成立する。終了条件は、フロントドア41、スライドドア42及びバックドア43が全閉位置に位置する状況下において、携帯機70を所持するユーザが検知エリアAdから出た場合に成立する。また、終了条件は、フロントドア41、スライドドア42及びバックドア43が全閉位置に位置する状況下において、車両10のACC電源又はIG電源がオンになった場合に成立する。また、終了条件は、スライドドア42及びバックドア43の閉作動が完了してから所定時間が経過した場合に成立する。
【0058】
ドア制御装置120は、終了条件が成立していない場合(S17:NO)、ステップS13に処理を移行する。一方、ドア制御装置120は、終了条件が成立している場合(S17:YES)、フロントカメラ111、サイドカメラ112及びバックカメラ113を停止する(S18)。その後、ドア制御装置120は、本処理を終了する。
【0059】
なお、図4に示すフローチャートでは、ステップS13~S16が順番に実施されるが、現実には、ステップS13~S16は並列的に実施されることが好ましい。
図5を参照して、スライドドア42の開作動判定処理について説明する。
【0060】
図5に示すように、ドア制御装置120は、スライドドア42の位置が全開位置であるか否かを判定する(S21)。スライドドア42の位置が全開位置である場合(S:21:YES)、ドア制御装置120は、本処理を終了する。一方、スライドドア42の位置が全開位置でない場合(S21:NO)、ドア制御装置120は、ユーザがサイドエリアAs内で第1ジェスチャを実施したか否かを判定する(S22)。ここで、ドア制御装置120は、過去の数秒間程度を遡って撮影された複数の画像に基づき、ユーザがサイドエリアAs内で第1ジェスチャを実施したか否かを判定するとよい。以降のジェスチャの実施判定処理において同様である。ユーザがサイドエリアAs内で第1ジェスチャを実施していない場合(S22:NO)、ドア制御装置120は、本処理を終了する。一方、ユーザがサイドエリアAs内で第1ジェスチャを実施している場合(S22:YES)、ドア制御装置120は、スライドドア42を開作動させる(S23)。その後、ドア制御装置120は、本処理を終了する。
【0061】
図6を参照して、スライドドア42の閉作動判定処理について説明する。
図6に示すように、ドア制御装置120は、スライドドア42の位置が全閉位置であるか否かを判定する(S31)。スライドドア42の位置が全閉位置である場合(S31:YES)、ドア制御装置120は、本処理を終了する。一方、スライドドア42の位置が全閉位置でない場合(S31:NO)、ドア制御装置120は、ユーザがサイドエリアAs内で第2ジェスチャを実施したか否かを判定する(S32)。ユーザがサイドエリアAs内で第2ジェスチャを実施していない場合(S32:NO)、ドア制御装置120は、本処理を終了する。一方、ユーザがサイドエリアAs内で第2ジェスチャを実施している場合(S32:YES)、ドア制御装置120は、スライドドア42を開作動させる(S33)。その後、ドア制御装置120は、本処理を終了する。
【0062】
図7を参照して、バックドア43の開作動判定処理について説明する。
図7に示すように、ドア制御装置120は、バックドア43の位置が全閉位置であるか否かを判定する(S41)。バックドア43の位置が全閉位置でない場合(S41:NO)、ドア制御装置120は、本処理を終了する。一方、バックドア43の位置が全閉位置である場合(S41:YES)、ドア制御装置120は、ユーザがバックエリアAb内で第3ジェスチャを実施したか否かを判定する(S42)。ユーザがバックエリアAb内で第3ジェスチャを実施している場合(S42:YES)、ドア制御装置120は、フラグをオンにする(S43)。ここで、フラグは、ドア制御装置120が第3ジェスチャ及び第4ジェスチャのうち何れのジェスチャに基づいてバックドア43を開作動させたかを示す値である。その後、ドア制御装置120は、バックドア43を開作動させる(S44)。そして、ドア制御装置120は、本処理を終了する。
【0063】
ステップS42において、ユーザがバックエリアAb内で第1ジェスチャを実施していない場合(S42:NO)、ドア制御装置120は、ユーザがバックエリアAb内で第4ジェスチャを実施したか否かを判定する(S45)。ユーザがバックエリアAb内で第4ジェスチャを実施している場合(S45:YES)、ドア制御装置120は、フラグをオフにする(S46)。その後、ドア制御装置120は、ステップS44に処理を移行する。一方、ユーザがバックエリアAb内で第4ジェスチャを実施していない場合(S45:NO)、ドア制御装置120は、本処理を終了する。
【0064】
図8を参照して、バックドア43の閉作動判定処理について説明する。
図8に示すように、ドア制御装置120は、バックドア43の位置が全開位置であるか否かを判定する(S51)。バックドア43の位置が全開位置でない場合(S51:NO)、ドア制御装置120は、本処理を終了する。一方、バックドア43の位置が全開位置である場合(S51:YES)、ドア制御装置120は、フラグがオンか否かを判定する(S52)。フラグがオンの場合(S52:YES)、つまり、ユーザの第3ジェスチャに基づきバックドア43が開かれている場合、ドア制御装置120は、ユーザがサイドエリアAs内で第5ジェスチャを実施したか否かを判定する(S53)。ユーザがサイドエリアAs内で第5ジェスチャを実施していない場合(S53:NO)、ドア制御装置120は、本処理を終了する。一方、ユーザがサイドエリアAs内で第5ジェスチャを実施している場合(S53:YES)、ドア制御装置120は、バックドア43を閉作動させる(S54)。その後、ドア制御装置120は、本処理を終了する。
【0065】
ステップS52において、フラグがオフの場合(S52:NO)、つまり、ユーザの第4ジェスチャに基づきバックドア43が開かれている場合、ドア制御装置120は、ユーザが車両10に乗車したか否かを判定する(S55)。ユーザが車両10に乗車していない場合(S55:NO)、ドア制御装置120は、本処理を終了する。一方、ユーザが車両10に乗車している場合(S55:YES)、ドア制御装置120は、ステップS54に処理を移行する。
【0066】
図5図8に示すフローチャートにおいて、ステップS22,S32,S42,S45,S53が「ジェスチャ判定工程」に相当し、ステップS23,S33,S44,S54が「ドア制御工程」に相当する。
【0067】
<本実施形態の作用>
ユーザが車両10を運転して目的地に到達した場合を想定する。ここで、ユーザが荷室から荷物を取り出したい場合には、ユーザは、運転席から降りた後、バックドア43の後方のバックエリアAbに移動する。そして、バックエリアAbにおいて、ユーザは足を用いた第3ジェスチャを実施する。すると、バックドア43が開作動するため、ユーザは、荷室から荷物を取り出すことができる。その後、ユーザは、荷物を持った状態で、バックエリアAbからサイドエリアAsに移動する。そして、サイドエリアAsにおいて、ユーザは足を用いた第5ジェスチャを実施する。すると、バックドア43が閉作動する。こうして、ユーザは、荷物で手が塞がっている状況下であっても、足を用いたジェスチャにより、バックドア43を開閉作動させることができる。
【0068】
<本実施形態の効果>
(1)ドア開閉装置100は、バックカメラ113の撮影エリアであるバックエリアAb内でユーザが第3ジェスチャを実施したか否かに基づきバックドア43を開作動させるか否かを判定する。また、ドア開閉装置100は、サイドカメラ112の撮影エリアであるサイドエリアAs内でユーザが第5ジェスチャを実施したか否かに基づきバックドア43を閉作動させるか否かを判定する。このため、ドア開閉装置100は、バックドア43が全開位置に位置する場合、言い換えれば、バックカメラ113がバックエリアAbを撮影できない場合であっても、ユーザの第5ジェスチャに基づきバックドア43を閉作動させることができる。
【0069】
(2)バックドア43を閉作動させるためのジェスチャを実施するためには、ユーザはバックエリアAbからサイドエリアAsに移動する必要がある。この点、サイドエリアAsは、車両10の側方のエリアである点で、バックエリアAbの近くのエリアといえる。このため、ドア開閉装置100は、第5ジェスチャを実施する際、バックエリアAbからサイドエリアAsへのユーザの移動量を少なくできる。
【0070】
(3)ドア開閉装置100は、車両10と紐付いた携帯機70を所持しているユーザをジェスチャ判定の対象ユーザとする。このため、ドア開閉装置100は、車両10と無関係のユーザが実施するジェスチャに基づき、バックドア43を開閉作動させることを抑制できる。
【0071】
(4)ドア開閉装置100は、バックドア43が全開位置に位置している場合であって、ユーザが車両10に乗車したと判定される場合には、バックドア43を閉作動させる。ドア開閉装置100は、ユーザがバックドア43を閉作動させるためのジェスチャを実施しなくても、ユーザが車両10に乗車した場合には、バックドア43を閉作動させることができる。よって、ドア開閉装置100は、ユーザの利便性を高めることができる。
【0072】
(5)ドア開閉装置100において、バックドア43を閉作動させるためのジェスチャとスライドドア42を開閉作動させるためのジェスチャとは異なるジェスチャである。このため、ドア開閉装置100は、ユーザがバックドア43を閉作動させるためにジェスチャを実施した場合に、スライドドア42を開閉作動させることを抑制できる。同様に、ドア開閉装置100は、ユーザがスライドドア42を開閉作動させるためにジェスチャを実施した場合に、バックドア43を閉作動させることを抑制できる。
【0073】
(6)ドア開閉装置100は、第3ジェスチャに基づきバックドア43を開作動させた場合には、サイドエリアAs内で第5ジェスチャが実施された場合に、バックドア43を閉作動させる。言い換えれば、ドア開閉装置100は、第3ジェスチャに基づきバックドア43を開作動させた場合には、ユーザが乗車してもバックドア43が閉作動されることはない。このため、ドア開閉装置100は、バックドア43を開作動させるためのジェスチャをユーザに選択させることにより、バックドア43の閉作動のトリガをユーザに選択させることができる。
【0074】
(7)ユーザのジェスチャは、ユーザの足を用いたジェスチャである。このため、ユーザは、荷物で手が塞がっている場合でも、ジェスチャを実施できる。
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0075】
・第3ジェスチャ及び第5ジェスチャは同じジェスチャであってもよい。この場合、ユーザは、バックドア43を開作動させる場合とバックドア43を閉作動させる場合とで、同じジェスチャを実施すればよくなる。このため、ドア制御装置120は、ユーザの利便性を高めることができる。
【0076】
・第3ジェスチャ及び第4ジェスチャは同じジェスチャであってもよい。つまり、ドア制御装置120は、バックドア43を開作動させるときのユーザのジェスチャの内容に応じて、バックドア43を閉作動させるときのトリガを変更しなくてもよい。
【0077】
・ジェスチャは、ユーザの手及び頭などユーザの任意の身体部位を用いたジェスチャであればよい。
・スライドドア42を開閉作動させるための第1ジェスチャ及び第2ジェスチャは、ユーザの手を用いたジェスチャとしてもよい。この場合、バックドア43を開閉作動させる第3ジェスチャ、第4ジェスチャ及び第5ジェスチャは、ユーザの足を用いたジェスチャとするとよい。これによれば、ユーザは、スライドドア42を開閉作動させるためのジェスチャとバックドア43を開閉作動させるためのジェスチャとを明確に使い分けることができる。
【0078】
・ドア制御装置120は、ユーザが第2サイドエリアAs2内で第5ジェスチャを実施した場合に限り、バックドア43を閉作動させてもよい。言い換えれば、ドア制御装置120は、ユーザが第1サイドエリアAs1及び第3サイドエリアAs3内で第5ジェスチャを実施した場合には、バックドア43を閉作動させなくてもよい。
【0079】
・ドア制御装置120は、ユーザの第5ジェスチャに基づき、バックドア43を閉作動させなくてもよい。つまり、図8に示すフローチャートにおいて、フラグの内容に関わらず、ユーザが乗車したか否かに基づきバックドア43を閉作動させてもよい(S55,S54)。同様に、ドア制御装置120は、ユーザの乗車に基づき、バックドア43を閉作動させなくてもよい。つまり、図8に示すフローチャートにおいて、フラグの内容に関わらず、ユーザが第5ジェスチャを実施したか否かに基づきバックドア43を閉作動させてもよい(S53,S54)。
【0080】
・ドア制御装置120は、ユーザのジェスチャに基づき、スライドドア42を開閉作動させなくてもよい。
・ドア制御装置120は、ユーザがフロントエリアAf内で第3ジェスチャ又は第4ジェスチャを実施した場合に、バックドア43を開作動させてもよい。この場合、ドア制御装置120は、ユーザがサイドエリアAs内で第5ジェスチャを実施した場合又はユーザが車両10に乗車した場合にバックドア43を閉作動させることが好ましい。
【0081】
・ドア制御装置120は、ユーザがフロントエリアAf内で第5ジェスチャを実施した場合に、バックドア43を閉作動させてもよい。この場合には、フロントエリアAfが「第2エリア」の一例に相当する。
【0082】
・ドア制御装置120は、ユーザが検知エリアAd外に移動した場合、言い換えれば、携帯機70が検知エリアAd外に移動した場合、スライドドア42及びバックドア43を閉作動させてもよい。
【0083】
・ドア制御装置120は、図7に示すフローチャートにおいて、バックドア43が全閉位置の近傍に位置する場合であっても、ステップS42以降の処理を実施してもよい。ここで、バックドア43が全閉位置の近傍に位置する場合とは、バックカメラ113がバックエリアAbを撮影可能である場合と読み替えてもよい。同様に、ドア制御装置120は、図8に示すフローチャートにおいて、バックドア43が全開位置の近傍に位置する場合であっても、ステップS52以降の処理を実施してもよい。ここで、バックドア43が全開位置の近傍に位置する場合とは、バックカメラ113がバックエリアAbを撮影不能である場合と読み替えてもよい。
【0084】
・バックカメラ113は、必ずしもバックドア43に設ける必要はない。例えば、バックカメラ113は、車体20のルーフに設置されるシャークフィンに設けてもよい。この場合であっても、バックドア43が全開位置に位置すると、バックカメラ113がバックドア43を向く点で、バックカメラ113がバックエリアAbを撮影できなくなる。
【0085】
・車両10は、例えば、ルームミラーなどに車両10に乗車するユーザを撮影する室内カメラを備えてもよい。この場合、ドア制御装置120は、バックドア43が全開位置に位置する場合、室内カメラが撮影する画像に基づき、ユーザがジェスチャを実施したか否かを判定してもよい。そして、ドア制御装置120は、ユーザがジェスチャを実施した場合には、バックドア43を閉作動させてもよい。
【0086】
・車両10は、フロントドア41を開閉作動するフロントドア駆動部を備えてもよい。そして、ドア制御装置120は、ユーザのジェスチャに基づき、フロントドア41を開閉作動させてもよい。この場合、フロントドア41は「サイドドア」の一例に相当する。
【0087】
・スライドドア42は、開閉駆動されるスイングドアであってもよい。この場合、スライドドア駆動部51は、スイングドアを駆動するスイングドア駆動部となる。
・フロントカメラ111,サイドカメラ112及びバックカメラ113は、車両走行時の周辺監視用のカメラを流用することも可能である。
【0088】
・ドア制御装置120は、コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサとして構成し得る。また、ドア制御装置120は、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する専用のハードウェア(特定用途向け集積回路:ASIC)等の1つ以上の専用のハードウェア回路として構成し得る。さらに、ドア制御装置120は、これらの組み合わせを含む回路として構成し得る。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含んでいる。メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリ、すなわち記憶媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
【符号の説明】
【0089】
10…車両
20…車体
21…第1側部開口
22…第2側部開口(側部開口)
23…後部開口
30…座席
33…着座センサ
41…フロントドア
42…スライドドア
43…バックドア
51…スライドドア駆動部
52…バックドア駆動部
60…無線通信装置
70…携帯機
100…ドア開閉装置
111…フロントカメラ
112…サイドカメラ(第2カメラ)
113…バックカメラ(第1カメラ)
120…ドア制御装置
121…ユーザ認識部
122…ジェスチャ判定部
124…乗車判定部
123…カメラ制御部
125…ドア制御部
Af…フロントエリア
As…サイドエリア(第2エリア)
As1…第1サイドエリア
As2…第2サイドエリア
Ab…バックエリア(第1エリア)
Ad…検知エリア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8