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  • 特開-面状発熱体 図1
  • 特開-面状発熱体 図2
  • 特開-面状発熱体 図3
  • 特開-面状発熱体 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166138
(43)【公開日】2023-11-21
(54)【発明の名称】面状発熱体
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/20 20060101AFI20231114BHJP
【FI】
H05B3/20 315
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022076955
(22)【出願日】2022-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000220033
【氏名又は名称】東京コスモス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 洋徳
(72)【発明者】
【氏名】梶 真志
(72)【発明者】
【氏名】宮内 遼太
【テーマコード(参考)】
3K034
【Fターム(参考)】
3K034AA05
3K034AA06
3K034AA07
3K034AA20
3K034BA08
3K034BA13
3K034BB08
3K034BB14
3K034HA08
3K034JA09
(57)【要約】
【課題】高温環境下においてヒータ機能の低下を抑制できる面状発熱体を提供すること。
【解決手段】面状発熱体は、電極が設けられた基板と、前記電極に接して設けられたPTC(Positive Temperature Coefficient)素子と、前記電極および前記PTC素子を被覆して設けられた熱硬化性樹脂と、前記熱硬化性樹脂上に設けられた絶縁体と、を積層して備えている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極が設けられた基板と、
前記電極に接して設けられたPTC(Positive Temperature Coefficient)素子と、
前記電極および前記PTC素子を被覆して設けられた熱硬化性樹脂と、
前記熱硬化性樹脂上に設けられた絶縁体と、を積層して備えた、
面状発熱体。
【請求項2】
前記基板は、第1リング部分と、第1延伸部分と、を有し、
前記電極は、前記第1リング部分上に設けられるC形部分と、前記第1延伸部分上に設けられる第2延伸部分と、を有し、
前記PTC素子は、その全体がC形であり、前記C形部分上に設けられ、
前記熱硬化性樹脂は、前記PTC素子上に設けられる第2リング部分と、前記第2延伸部分上に設けられる第3延伸部分と、を有し、
前記絶縁体は、前記第2リング部分上に設けられる第3リング部分と、前記第3延伸部分上に設けられる第4延伸部分と、を有する、
請求項1に記載の面状発熱体。
【請求項3】
前記電極は、
所定の間隔を開けて互いに接触しないように設けられた2つの電極を含む、
請求項1または2に記載の面状発熱体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、面状発熱体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板に設けられた電極上にPTC(Positive Temperature Coefficient)素子が設けられた面状発熱体が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-125383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の面状発熱体では、高温環境下で放置もしくは使用された場合、PTC素子における抵抗値が上昇し、ヒータ機能が低下する、という課題があった。
【0005】
本開示の一態様の目的は、高温環境下で放置もしくは使用された際に生じるヒータ機能の低下を抑制できる面状発熱体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る面状発熱体は、電極が設けられた基板と、前記電極に接して設けられたPTC(Positive Temperature Coefficient)素子と、前記電極および前記PTC素子を被覆して設けられた熱硬化性樹脂と、前記熱硬化性樹脂上に設けられた絶縁体と、を積層して備えている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、高温環境下においてヒータ機能の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施の形態に係る面状発熱体の正面図
図2】本開示の実施の形態に係る面状発熱体の分解斜視図
図3】本開示の実施の形態に係る面状発熱体の構成要素の正面図
図4図1のa-a断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態に係る面状発熱体100について、図1図4を参照しながら説明する。なお、各図において共通する構成要素については同一の符号を付し、それらの説明は適宜省略する。
【0010】
図1は、面状発熱体100の正面図である。図2は、面状発熱体100の分解斜視図である。図3は、面状発熱体100の構成要素の正面図である。図4は、図1のa-a断面図である。
【0011】
図1図4に示すように、面状発熱体100は、基板10、電極20、PCT(Positive Temperature Coefficient)素子30、熱硬化性樹脂40、絶縁体50が積層されて構成される。
【0012】
基板10は、例えば、フレキシブルプリント基板(FPC:Flexible Printed Circuits)である。
【0013】
図2図3に示すように、基板1は、延伸部分Aおよびリング部分Bを有する。延伸部分Aとは、リング部分Bから突出するように延伸した形状の部分である。リング部分Bとは、中央部分(内側の矩形の領域)が開口した形状の部分である。
【0014】
なお、基板10の延伸部分Aは「第1延伸部分」の一例に相当し、基板10のリング部分Bは「第1リング部分」の一例に相当する。
【0015】
また、本実施の形態では、延伸部分Aおよびリング部分Bの形状が矩形である場合を例に挙げて説明するが、形状は矩形に限定されない。
【0016】
基板10には、電極20が設けられている。電極20の形成方法としては、例えばパターニングが挙げられるが、これに限定されない。
【0017】
図2図3に示すように、電極20は、第1電極21および第2電極22を含む。第1電極21と第2電極22とは、所定の間隔(例えば、0.5mm)を開けて互いに接触しないように設けられている。電流は、第1電極21から第2電極22へ流れてもよいし、その逆に流れてもよい。
【0018】
また、図2図3に示すように、電極20(第1電極21および第2電極22のそれぞれ)は、延伸部分AおよびC形部分Cを有する。C形部分とは、アルファベットのCに似た形状(C形)の部分である。電極20の延伸部分Aは、基板10の延伸部分A上に設けられる。また、電極20のC形部分Cは、基板10のリング部分B上に設けられる。
【0019】
なお、電極20の延伸部分Aは「第2延伸部分」の一例に相当する。
【0020】
PTC素子30は、自己温度制御機能(所定の温度になった場合に、抵抗値が増加することで電流が制限される機能)を備えた発熱体である。PTC素子30は、例えば、カーボンと樹脂から構成される。
【0021】
図2図3に示すように、PTC素子30全体の形状は、C形である。PTC素子30は、電極20のC形部分C上に設けられる。なお、図4に示すように、PTC素子30は、第1電極21と第2電極22との間にも設けられる。
【0022】
熱硬化性樹脂40は、一度加熱により硬化すると軟化(溶融)しなくなる性質を備えた樹脂である。熱硬化性樹脂40としては、例えば、PTC素子30に影響を与えない温度で硬化させることが可能な変性アクリル系を用いることができるが、これに限定されない。
【0023】
図2図3に示すように、熱硬化性樹脂40は、延伸部分Aおよびリング部分Bを有する。熱硬化性樹脂40の延伸部分Aは、電極20の延伸部分A上に設けられる(ただし、図1に示すように、電極20の延伸部分Aの先端部分は除く)。また、熱硬化性樹脂40のリング部分Bは、PTC素子30上に設けられる。
【0024】
また、図4に示すように、熱硬化性樹脂40は、電極20(具体的にはリング部分B)およびPTC素子30それぞれの側方にも設けられる。すなわち、熱硬化性樹脂40は、電極20のリング部分BおよびPTC素子30を被覆するように設けられる。また、図4に示すように、熱硬化性樹脂40は、面状発熱体100の側面において外部に露出してもよい。
【0025】
図示は省略するが、熱硬化性樹脂40は、電極20の延伸部分Aの側方にも設けられ、電極20の延伸部分Aを被覆する。
【0026】
なお、熱硬化性樹脂40の延伸部分Aは「第3延伸部分」の一例に相当し、熱硬化性樹脂40のリング部分Bは「第2リング部分」の一例に相当する。
【0027】
絶縁体50は、例えば、絶縁性を有する樹脂で構成される。
【0028】
図2図3に示すように、絶縁体50は、延伸部分Aおよびリング部分Bを有する。絶縁体50の延伸部分Aは、熱硬化性樹脂40の延伸部分A上に設けられる。また、絶縁体50のリング部分Bは、熱硬化性樹脂40のリング部分B上に設けられる。
【0029】
なお、絶縁体50の延伸部分Aは「第4延伸部分」の一例に相当し、絶縁体50のリング部分Bは「第3リング部分」の一例に相当する。
【0030】
このような構成を備えた面状発熱体100は、例えば、カメラのレンズユニットに取り付けられる。具体的には、面状発熱体100のリング部分Bは、その開口部分を光束が通過するようにレンズに相対して設けられ、面状発熱体100の延伸部分Aは、レンズユニットの外部に配置され、導線等と電気的に接続される。なお、面状発熱体100は、カメラのレンズユニットに限定されず、他のデバイスや装置に用いられてもよい。
【0031】
以上説明したように、本実施の形態の面状発熱体100は、電極20が設けられた基板10と、電極20に接して設けられたPTC素子30と、電極20およびPTC素子30を被覆して設けられた熱硬化性樹脂40と、熱硬化性樹脂40上に設けられた絶縁体50と、を積層して備えたことを特徴とする。
【0032】
すなわち、本実施の形態の面状発熱体100は、PTC素子30を被覆する熱硬化性樹脂40を設けたため、高温環境下において、PTC素子30の抵抗値の上昇を抑制でき、ヒータ機能の低下を抑制できる(例えば、長時間放置しても、発熱量の低下が少ない)。
【0033】
また、本実施の形態の面状発熱体100では、接着剤の代わりに熱硬化性樹脂40を用いるため、べたつきをなくすことができ、塵などの付着を防止することができる。
【0034】
なお、本開示は、実施の形態の説明に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本開示の面状発熱体は、PTC素子を備えた面状発熱体に有用である。
【符号の説明】
【0036】
10 基板
20 電極
21 第1電極
22 第2電極
30 PTC素子
40 熱硬化性樹脂
50 絶縁体
100 面状発熱体
図1
図2
図3
図4