(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166139
(43)【公開日】2023-11-21
(54)【発明の名称】塗布装置及び基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
B05C 11/10 20060101AFI20231114BHJP
B05C 9/12 20060101ALI20231114BHJP
B05C 11/00 20060101ALI20231114BHJP
B05D 3/00 20060101ALI20231114BHJP
G01B 11/00 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
B05C11/10
B05C9/12
B05C11/00
B05D3/00 D
B05D3/00 C
G01B11/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022076958
(22)【出願日】2022-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】増田 幸則
【テーマコード(参考)】
2F065
4D075
4F042
【Fターム(参考)】
2F065AA01
2F065AA06
2F065AA22
2F065BB15
2F065BB17
2F065CC31
2F065DD06
2F065HH03
2F065HH13
2F065JJ05
2F065JJ09
2F065MM07
2F065PP12
4D075AC06
4D075AC09
4D075AC71
4D075AC88
4D075AC91
4D075AC93
4D075AC94
4D075BB26Z
4D075BB41X
4D075BB41Z
4D075BB42Z
4D075BB46Z
4D075BB48X
4D075BB48Z
4D075BB91X
4D075BB91Z
4D075BB92Z
4D075CA47
4D075CA48
4D075DA06
4D075DB13
4D075DC19
4D075DC21
4D075DC24
4D075EA19
4D075EA21
4F042AA02
4F042AA06
4F042AB00
4F042BA03
4F042BA04
4F042BA08
4F042BA12
4F042BA25
4F042DB41
4F042DF01
4F042DH09
4F042ED03
(57)【要約】
【課題】歩留まりを向上させ、タクトタイムの短縮化させる。
【解決手段】塗布装置30は、基板11,12または基板11,12に形成された薄膜21の表面に塗布剤30Cを塗布する塗布部31と、塗布部31を基板11,12または薄膜21の表面に沿う向きに移動させる移動部32と、塗布部31と共に移動部32により移動させられ、塗布部31に対して塗布部31の移動方向の前方に位置して配され、少なくとも基板11,12または薄膜21の表面との間の距離を計測する第1計測部33と、塗布部31及び第1計測部33と共に移動部32により移動させられ、塗布部31に対して移動方向の後方に位置して配され、少なくとも基板11,12または薄膜21の表面に塗布された塗布剤30Cとの間の距離を計測する第2計測部34と、第1計測部33及び第2計測部34による計測結果に基づいて移動部32及び塗布部31の駆動を制御する制御部40と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板または基板に形成された薄膜の表面と対向して配され、前記基板または前記薄膜の表面に塗布剤を塗布する塗布部と、
前記塗布部を前記基板または前記薄膜の表面に沿う向きに移動させる移動部と、
前記塗布部と共に前記移動部により移動させられ、前記基板または前記薄膜の表面と対向していて前記塗布部に対して前記塗布部の移動方向の前方に位置して配され、少なくとも前記基板または前記薄膜の表面との間の距離を計測する第1計測部と、
前記塗布部及び前記第1計測部と共に前記移動部により移動させられ、前記基板または前記薄膜の表面に塗布された前記塗布剤と対向していて前記塗布部に対して前記移動方向の後方に位置して配され、少なくとも前記基板または前記薄膜の表面に塗布された前記塗布剤との間の距離を計測する第2計測部と、
前記第1計測部及び前記第2計測部による計測結果に基づいて前記移動部及び前記塗布部の駆動を制御する制御部と、を備える塗布装置。
【請求項2】
前記第1計測部は、前記基板または前記薄膜の表面に向けて第1線状光を投射する第1投光部と、前記基板または前記薄膜の表面にて前記第1線状光が反射されて生じた反射光を受光する第1受光部と、を有し、
前記第2計測部は、前記基板または前記薄膜の表面に塗布された前記塗布剤に向けて第2線状光を投射する第2投光部と、前記基板または前記薄膜の表面に塗布された前記塗布剤にて前記第2線状光が反射されて生じた反射光を受光する第2受光部と、を有する請求項1記載の塗布装置。
【請求項3】
前記塗布部は、前記塗布剤として光硬化性材料を前記基板または前記薄膜の表面に塗布し、前記塗布部、前記第1計測部及び前記第2計測部と共に前記移動部により移動させられ、
前記塗布部に対して前記移動方向の後方に位置して配され、前記光硬化性材料を硬化させる光を照射する光照射部を備える請求項1または請求項2記載の塗布装置。
【請求項4】
基板または基板に形成された薄膜の表面と対向する第1計測部により少なくとも前記第1計測部と前記基板または前記薄膜の表面との間の距離を計測し、
前記第1計測部による計測結果に基づいて、制御部により移動部を制御し、塗布部を前記基板または前記薄膜の表面に沿う向きに移動させ、前記制御部により前記塗布部を制御し、前記基板または前記薄膜の表面に塗布剤を塗布させ、
前記基板または前記薄膜の表面に塗布された前記塗布剤と対向する第2計測部により少なくとも前記第2計測部と前記基板または前記薄膜の表面に塗布された前記塗布剤との間の距離を計測し、
前記第2計測部による計測結果に基づいて、前記制御部により前記移動部を制御し、少なくとも前記塗布部の移動速度及び移動経路を補正させ、前記制御部により前記塗布部を制御し、少なくとも前記塗布剤の塗布量を補正させる基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、塗布装置及び基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板の表面に塗布剤を塗布する塗布装置の一例として下記特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1には、塗布装置として電子部品の自動装着装置が開示されている。特許文献1に記載された電子部品の自動装着装置は、X-Y方向に移動制御されるX-Yテーブル上に設置された基板支持テーブルと、この基板支持テーブル上に互いに対向させて設置された左右一対の基板搬送シュートと、この左右一対の基板搬送シュート間に搬送支持されたプリント基板上に対向位置するヘッド部と、このヘッド部を昇降可能に駆動制御しかつその下降移動でX-Yテーブルの移動制御による位置決め後のプリント基板上の所定の位置に所望の装着操作(接着剤塗布)を行なわせるヘッド駆動部と、を具備し、ヘッド部に光学検出手段を設置し、この光学検出手段で所定のヘッド待機位置からプリント基板上の所定の装着操作点の基準面に対する変位量を測定するとともに、この変位量をヘッド移動量にフィードバックさせて、ヘッド駆動部により下降するヘッド部の移動量を駆動制御可能にした。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の電子部品の自動装着装置では、ヘッド部に備わる塗布ノズルにより塗布された接着剤の塗布状態に問題があった場合でも、その問題を検出することができない。このため、接着剤の塗布状態に問題があるプリント基板は、廃棄するか塗布作業のやり直しをするかしなければならない。プリント基板を廃棄すれば、歩留まりが悪化する問題が生じる。塗布作業をやり直す場合は、製造に係るタクトタイムが長くなる問題が生じる。
【0005】
本明細書に記載の技術は、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、歩留まりを向上させ、タクトタイムの短縮化させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本明細書に記載の技術に関わる塗布装置は、基板または基板に形成された薄膜の表面と対向して配され、前記基板または前記薄膜の表面に塗布剤を塗布する塗布部と、前記塗布部を前記基板または前記薄膜の表面に沿う向きに移動させる移動部と、前記塗布部と共に前記移動部により移動させられ、前記基板または前記薄膜の表面と対向していて前記塗布部に対して前記塗布部の移動方向の前方に位置して配され、少なくとも前記基板または前記薄膜の表面との間の距離を計測する第1計測部と、前記塗布部及び前記第1計測部と共に前記移動部により移動させられ、前記基板または前記薄膜の表面に塗布された前記塗布剤と対向していて前記塗布部に対して前記移動方向の後方に位置して配され、少なくとも前記基板または前記薄膜の表面に塗布された前記塗布剤との間の距離を計測する第2計測部と、前記第1計測部及び前記第2計測部による計測結果に基づいて前記移動部及び前記塗布部の駆動を制御する制御部と、を備える。
【0007】
(2)また、上記塗布装置は、上記(1)に加え、前記第1計測部は、前記基板または前記薄膜の表面に向けて第1線状光を投射する第1投光部と、前記基板または前記薄膜の表面にて前記第1線状光が反射されて生じた反射光を受光する第1受光部と、を有し、前記第2計測部は、前記基板または前記薄膜の表面に塗布された前記塗布剤に向けて第2線状光を投射する第2投光部と、前記基板または前記薄膜の表面に塗布された前記塗布剤にて前記第2線状光が反射されて生じた反射光を受光する第2受光部と、を有してもよい。
【0008】
(3)また、上記塗布装置は、上記(1)または上記(2)に加え、前記塗布部は、前記塗布剤として光硬化性材料を前記基板または前記薄膜の表面に塗布し、前記塗布部、前記第1計測部及び前記第2計測部と共に前記移動部により移動させられ、前記塗布部に対して前記移動方向の後方に位置して配され、前記光硬化性材料を硬化させる光を照射する光照射部を備えてもよい。
【0009】
(4)本明細書に記載の技術に関わる基板の製造方法は、基板または基板に形成された薄膜の表面と対向する第1計測部により少なくとも前記第1計測部と前記基板または前記薄膜の表面との間の距離を計測し、前記第1計測部による計測結果に基づいて、制御部により移動部を制御し、塗布部を前記基板または前記薄膜の表面に沿う向きに移動させ、前記制御部により前記塗布部を制御し、前記基板または前記薄膜の表面に塗布剤を塗布させ、前記基板または前記薄膜の表面に塗布された前記塗布剤と対向する第2計測部により少なくとも前記第2計測部と前記基板または前記薄膜の表面に塗布された前記塗布剤との間の距離を計測し、前記第2計測部による計測結果に基づいて、前記制御部により前記移動部を制御し、少なくとも前記塗布部の移動速度及び移動経路を補正させ、前記制御部により前記塗布部を制御し、少なくとも前記塗布剤の塗布量を補正させる。
【発明の効果】
【0010】
本明細書に記載の技術によれば、歩留まりを向上させ、タクトタイムの短縮化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】液晶パネルを構成する基板の製造に用いられる塗布装置を示す平面図
【
図5】塗布装置を構成する塗布部、第1計測部、第2計測部、光照射部及びホルダと、基板及び薄膜と、を示す断面図
【
図7】塗布剤を塗布する前の基板及び薄膜を示す平面図
【
図8】塗布剤を塗布する前の第1計測部、基板及び薄膜を示す断面図
【
図9】塗布剤が塗布された状態の基板及び薄膜を示す平面図
【
図10】塗布剤が塗布された状態の基板及び薄膜を示す断面図
【
図11】薄膜上に塗布された塗布剤の幅が目標値よりも小さい場合の基板及び薄膜を示す平面図
【
図12】薄膜上に塗布された塗布剤の幅が目標値よりも小さい場合の第2計測部、基板及び薄膜を示す断面図
【
図13】第2計測部の計測結果に基づいて塗布剤の幅が目標値と一致または近似する値とされた状態を示す平面図
【
図14】実施形態2に係る塗布装置を構成する塗布部、第1計測部、第2計測部、光照射部及びホルダと、基板と、を示す断面図
【
図15】基板の変形に応じて塗布部を移動させた状態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態1>
実施形態1を
図1から
図13によって説明する。本実施形態では、液晶パネル10を構成する基板11,12に塗布剤を塗布する塗布装置について例示する。なお、各図面の一部にはX軸、Y軸及びZ軸を示しており、各軸方向が各図面で示した方向となるように描かれている。
【0013】
先に、液晶パネル10の概略的な構成について
図1を用いて説明する。液晶パネル10は、バックライト装置(照明装置)から照射される照明光を利用して画像を表示する。液晶パネル10は、
図1に示すように、ほぼ透明で優れた透光性を有するガラス製の一対の基板11,12を有する。一対の基板11,12の間には、電界印加に伴って光学特性が変化する物質である液晶分子を含む液晶層(媒質層)13が介在して配される。一対の基板11,12の外周端部間には、液晶層13をシールするシール部14が介在して設けられている。シール部14は、液晶層13を取り囲むよう無端環状に形成されている。一対の基板11,12の主面は、各図面のX軸方向及びY軸方向に並行する。一対の基板11,12の主面の法線方向は、各図面のZ軸方向と一致する。なお、一対の基板11,12の外面には、一対の偏光板が貼り付けられている。
【0014】
一対の基板11,12は、表側に位置する対向基板11と、裏側に位置するアレイ基板12と、を含む。対向基板11及びアレイ基板12は、いずれもガラス基板の内面側に各種の膜が積層形成されてなる。このうちのアレイ基板12は、Y軸方向の寸法が対向基板11の同寸法よりも大きい。アレイ基板12のうち、Y軸方向の一方の端部は、対向基板11とは重ならずに露出しており、当該露出部分に実装部品であるドライバ15及びフレキシブル基板16が実装されている。ドライバ15は、内部に駆動回路を有するLSIチップからなる。ドライバ15は、フレキシブル基板16によって伝送される各種信号を処理する。ドライバ15は、アレイ基板12に対してCOG(Chip On Glass)実装されている。フレキシブル基板16は、絶縁性及び可撓性を有する合成樹脂材料(例えばポリイミド系樹脂等)からなる基材上に、多数本の配線パターンを形成した構成とされる。フレキシブル基板16は、一端側がアレイ基板12に、他端側が外部のコントロール基板(信号供給源)に、それぞれ接続されている。コントロール基板から供給される各種信号は、フレキシブル基板16を介して液晶パネル10に伝送される。
【0015】
図2を用いてアレイ基板12における画素配列について説明する。アレイ基板12における内面側には、
図2に示すように、複数ずつのTFT(薄膜トランジスタ、スイッチング素子)17及び画素電極18が設けられている。複数ずつのTFT17及び画素電極18は、互いに直交するX軸方向及びY軸方向にそれぞれ間隔を空けてマトリクス状(行列状)に並んで配される。TFT17及び画素電極18の周りには、格子状をなすゲート配線(走査配線)19及びソース配線(信号配線)20が取り囲むようにして配される。ゲート配線19は、X軸方向に沿って延在し、Y軸方向に画素電極18を挟むよう間隔を空けて複数が並んで配される。ソース配線20は、Y軸方向に沿って延在し、X軸方向に画素電極18を挟むよう間隔を空けて複数が並んで配される。TFT17に備わる3つの電極には、画素電極18、ゲート配線19及びソース配線20がそれぞれ接続される。TFT17は、ゲート配線19により供給される走査信号に基づいて駆動される。すると、ソース配線20により供給される画像信号(データ信号)に係る電位が、画素電極18に供給される。その結果、画素電極18は、画像信号に係る電位に充電される。
【0016】
このような構成の対向基板11及びアレイ基板12の少なくとも一方に対して塗布剤30Cを塗布する塗布装置30の構成について説明する。この塗布剤30Cには、基板11,12において外部に露出した状態の配線や端子等の導電部位を覆って保護するための保護剤、配線や端子等の導電部位が短絡しないよう絶縁するための絶縁剤、基板11,12に対して部品等を接着するための接着剤(シール剤を含む)等が含まれる。本実施形態では、基板11,12の表面に薄膜21(
図5を参照)が存在することを前提とし、その薄膜21に対して塗布装置30によって塗布剤30Cを塗布する場合について説明する。薄膜21は、基板11,12の表面に形成されている(
図8を参照)。
【0017】
まず、塗布装置30の物理的構成について
図3から
図5を用いて説明する。なお、
図3及び
図5には、「基板」として「対向基板11」を代表して図示し、以下の説明において、対向基板(基板)11に対して塗布剤30Cを塗布する場合を説明しているが、「基板」として「対向基板12」を塗布対象とする場合も、同様の塗布装置30を用いて塗布剤30Cを塗布することができる。塗布装置30は、
図3から
図5に示すように、塗布剤30Cを塗布するための塗布部(塗布ユニット)31と、塗布部31等を移動させる移動部32と、薄膜21の表面との間の距離を計測する第1計測部33(
図8を参照)と、薄膜21の表面に塗布された塗布剤30Cとの間の距離を計測する第2計測部34(
図12を参照)と、塗布剤30Cを硬化させる光を照射する光照射部35と、を備える。塗布装置30は、塗布部31、第1計測部33、第2計測部34及び光照射部35が取り付けられるホルダ36を備える。ホルダ36は、塗布部31、第1計測部33、第2計測部34及び光照射部35がいずれも基板11と対向して配されるよう、移動部32に対して取り付けられている。また、塗布装置30には、基板11を支持するステージ等も備わる。
【0018】
塗布部31は、塗布剤30Cを吐出するノズル31Aと、ノズル31Aに塗布剤30Cを供給する塗布剤供給部(ディスペンサ)31Bと、を有する。ノズル31Aは、塗布剤30Cが吐出される吐出口が、ステージ上に搭載された基板11と対向して配される。塗布剤供給部31Bは、ノズル31Aに対して上側に配されており、ノズル31Aへの塗布剤30Cの供給量を調整することができる。本実施形態では、塗布剤30Cとして、紫外線の照射に伴って硬化が促進される特性を有する紫外線硬化性樹脂材料(光硬化性材料)が用いられている。
【0019】
移動部32は、塗布部31等をX軸方向に沿って移動させるX軸移動部(第1移動部)32Aと、塗布部31等をY軸方向に沿って移動させるY軸移動部(第2移動部)32Bと、塗布部31等をZ軸方向に沿って移動させるZ軸移動部(第3移動部)32Cと、を有する。X軸移動部32Aは、X軸方向に沿って延在するレール状をなしている。Y軸移動部32Bは、Y軸方向に沿って延在するレール状をなしている。Y軸移動部32Bは、X軸方向に間隔を空けて2つが並んで配されている。2つのY軸移動部32Bの間には、ステージ(基板11)が挟まれる配置とされる。X軸移動部32Aは、両端部が2つのY軸移動部32Bと交差するよう組み付けられる。X軸移動部32Aは、両端部が2つのY軸移動部32Bにより支持されることで、Y軸方向に沿ってスライド(移動)することが可能とされる。Z軸移動部32Cは、Z軸方向に沿って延在する円筒状をなしている。Z軸移動部32Cは、X軸移動部32Aのうちの下面(基板11との対向面)に取り付けられ、X軸方向に沿って移動可能とされる。Z軸移動部32Cは、X軸移動部32Aと共にY軸方向に沿って移動することも可能とされる。その上、Z軸移動部32Cは、Z軸方向に沿って伸縮可能とされる。Z軸移動部32Cの下端部には、ホルダ36が取り付けられている。従って、ホルダ36に取り付けられた塗布部31、第1計測部33、第2計測部34及び光照射部35は、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向のそれぞれに沿って移動することが可能とされる。
【0020】
第1計測部33及び第2計測部34は、いずれも三次元レーザ変位計(レーザ変位計)である。第1計測部33は、対向する基板11に向けてレーザ光を投射し、薄膜21の表面にて反射された反射光を受光することで、薄膜21の表面との間の距離を計測することが可能とされる。第2計測部34は、対向する基板11に向けてレーザ光を投射し、基板11の薄膜21に塗布された塗布剤30Cの表面にて反射された反射光を受光することで、塗布剤30Cの表面との間の距離を計測することが可能とされる。第1計測部33及び第2計測部34は、ホルダ36において、Y軸方向に塗布部31を間に挟む位置に配されている。第1計測部33は、塗布部31に対し、塗布剤30Cを塗布する際のホルダ36(塗布部31等)の移動方向(進行方向)の前方に位置する。第2計測部34は、塗布部31に対し、塗布剤30Cを塗布する際のホルダ36(塗布部31等)の移動方向の後方に位置する。なお、
図3から
図5には、塗布剤30Cを塗布する際のホルダ36の移動方向を矢線にて図示している。光照射部35は、塗布剤30Cを硬化させる紫外線を基板11の薄膜21に塗布された塗布剤30Cに向けて照射することが可能とされる。光照射部35は、第2計測部34に対し、塗布剤30Cを塗布する際のホルダ36(塗布部31等)の移動方向の後方に位置する。このように、ホルダ36には、上記した移動方向の前側から、第1計測部33、塗布部31、第2計測部34、光照射部35の順に並んで配されている。
【0021】
次に、塗布装置30の電気的構成について
図6を用いて説明する。塗布装置30は、
図6に示すように、塗布部31、移動部32、第1計測部33、第2計測部34及び光照射部35を制御する制御部40と、制御部40による制御に要する情報等が記憶されるメモリ(記憶部)41と、を備える。制御部40は、CPU(Central Processing Unit)を含む。制御部40は、塗布部31、移動部32、第1計測部33、第2計測部34及び光照射部35の制御に加えて、第1計測部33及び第2計測部34による計測結果等を利用した演算を行う。メモリ41は、RAM(Random Access Memory)を含む。メモリ41には、予め事前登録情報が記憶されている。この事前登録情報には、基板11に備わる薄膜21の大きさ(高さ、幅等)や位置に係る設計値、薄膜21上に塗布される塗布剤30Cの大きさ(高さ、幅等)や位置に係る目標値、塗布剤30Cを塗布する際の塗布部31の移動経路に関する情報等が含まれている。メモリ41には、第1計測部33及び第2計測部34による計測結果が随時に記憶され、さらには制御部40による演算結果が随時に記憶されるようになっている。なお、塗布装置30には、ステージをX軸方向及びY軸方向に移動させるとともに、ステージをその中心を通る中心軸回りに回転させるステージ駆動部等も備わる。
【0022】
塗布部31に備わる塗布剤供給部31Bは、制御部40によって制御されることで、ノズル31Aへの塗布剤30Cの単位時間当たりの供給量、つまりノズル31Aによる塗布剤30Cの単位時間当たりの塗布量を調整することができる。移動部32は、ホルダ36(塗布部31等)をX軸方向に移動させる動力を発するX軸モータ部32Dと、ホルダ36をY軸方向に移動させる動力を発するY軸モータ部32Eと、ホルダ36をZ軸方向に移動させる動力を発するZ軸モータ部32Fと、を有する。これらX軸モータ部32D、Y軸モータ部32E及びZ軸モータ部32Fは、いずれもサーボモータからなり、それぞれの駆動が制御部40によって制御される。X軸モータ部32D、Y軸モータ部32E及びZ軸モータ部32Fの駆動が制御部40によって制御されることで、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向についてのホルダ36の移動量及び移動速度が調整される。
【0023】
第1計測部33は、第1投光部33A及び第1受光部33Bを有する。第1投光部33Aは、基板11の主面に沿うホルダ36の移動方向(X軸方向またはY軸方向)と直交(交差)する方向に沿う線状(帯状)のレーザ光を投射する。以下では、第1投光部33Aから投射されるレーザ光を第1線状光と言う。第1投光部33Aから投射された第1線状光は、薄膜21の表面にて反射され、反射光となって第1計測部33側に戻ってくる。第1受光部33Bは、薄膜21の表面にて第1線状光が反射されて生じた反射光を受光する。第1受光部33Bは、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の撮像素子からなる。制御部40により第1投光部33A及び第1受光部33Bの駆動が制御されることで、薄膜21の表面と第1計測部33との間の距離を計測することができる。制御部40は、第1計測部33による計測結果を利用することで、薄膜21の断面プロファイルを作成することができるとともに、基板11に存在する薄膜21の大きさ(高さ、幅等)や位置を検出することができる。
【0024】
第2計測部34は、第2投光部34A及び第2受光部34Bを有する。第2投光部34Aは、ホルダ36の移動方向と直交(交差)する方向に沿う線状(帯状)のレーザ光を投射する。以下では、第2投光部34Aから投射されるレーザ光を第2線状光と言う。第2投光部34Aから投射された第2線状光は、基板11の薄膜21に塗布された塗布剤30Cの表面にて反射され、反射光となって第2計測部34側に戻ってくる。第2受光部34Bは、塗布剤30Cの表面にて第2線状光が反射されて生じた反射光を受光する。第2受光部34Bは、CMOSイメージセンサ等の撮像素子からなる。制御部40により第2投光部34A及び第2受光部34Bの駆動が制御されることで、塗布剤30Cの表面と第2計測部34との間の距離を計測することができる。制御部40は、第2計測部34による計測結果を利用することで、塗布剤30Cの断面プロファイルを作成することができるとともに、塗布剤30Cの大きさ(高さ、幅等)や位置を検出することができる。また、光照射部35は、制御部40によって制御されることで、塗布剤30Cに対して照射する紫外線の単位時間当たりの照射光量を調整することができる。
【0025】
本実施形態に係る第1計測部33は、
図3から
図5に示すように、塗布部31に対してホルダ36の移動方向の前方に配されている。従って、制御部40は、第1計測部33による計測結果を利用することで、塗布剤30Cが塗布される前の状態(未塗布状態)での基板11に存在する薄膜21の大きさ(高さ、幅等)や位置を検出することができる。制御部40は、検出された薄膜21の大きさや位置に係る情報を、メモリ41に記憶された事前登録情報に含まれる薄膜21の大きさや位置に係る設計値と比較する。検出された薄膜21の大きさや位置に係る情報が設計値と一致しない場合は、基板11上に薄膜21が設計通りに設けられておらず、その大きさや位置が設計値からずれているので、制御部40は、そのずれに基づく補正値を演算する。制御部40は、演算した補正値に基づいて移動部32及び塗布部31を制御する。制御部40により制御される移動部32は、基板11に対する塗布部31の位置(移動経路)や移動速度等を調整する。制御部40により制御される塗布部31は、塗布剤30Cの塗布量等を調整する。これにより、基板11上に存在する薄膜21の仕上がり状態に応じて塗布剤30Cを適切に塗布することができる。なお、検出された薄膜21の大きさや位置に係る情報が設計値と一致する場合は、基板11において薄膜21が設計通りの大きさで設計通りの位置に存在しているので、制御部40は補正値を演算しない。
【0026】
一方、第2計測部34は、塗布部31に対してホルダ36の移動方向の後方に配されている。従って、制御部40は、第2計測部34による計測結果を利用することで、塗布剤30Cが塗布された後の状態(塗布状態)での基板11上の薄膜21の表面に塗布された塗布剤30Cの大きさ(高さ、幅等)や位置を検出することができる。制御部40は、検出された塗布剤30Cの大きさや位置に係る情報を、メモリ41に記憶された事前登録情報に含まれる塗布剤30Cの大きさや位置に係る目標値と比較する。検出された塗布剤30Cの大きさや位置に係る情報が目標値と一致しない場合は、基板11の薄膜21上に塗布剤30Cが設計通りに塗布されておらず、その大きさや位置が目標値からずれているので、制御部40は、そのずれに基づく補正値を演算する。制御部40は、演算した補正値に基づいて移動部32及び塗布部31を制御する。制御部40により制御される移動部32は、基板11の薄膜21に対する塗布部31の位置(移動経路)や移動速度等を調整する。制御部40により制御される塗布部31は、塗布剤30Cの塗布量等を調整する。これにより、基板11の薄膜21上に塗布された塗布剤30Cの状態に応じて塗布剤30Cを適切に塗布することができる。なお、検出された塗布剤30Cの大きさや位置に係る情報が目標値と一致する場合は、基板11の薄膜21上において塗布剤30Cが設計通りの大きさで設計通りの位置に塗布されているので、制御部40は補正値を演算しない。
【0027】
本実施形態に係る塗布装置30は以上のような構造であり、続いて塗布装置30によって基板11に塗布剤30Cを塗布し、基板11を製造する方法を、
図7から
図13を用いて説明する。なお、
図7から
図13には、「基板」として「対向基板11」を代表して図示し、以下の説明において、対向基板(基板)11に対して塗布剤30Cを塗布する場合を説明しているが、「基板」として「対向基板12」を塗布対象とする場合も、同様の塗布装置30を用いて塗布剤30Cを塗布することができる。まず、基板11をステージ上に載置する。基板11には、アライメントマークが設けられており、そのアライメントマークを読み取り装置によって読み取ることで、ステージ上の基板11の位置が検出される。検出された基板11の位置情報に基づいて、制御部40は、ステージ駆動部の駆動を制御する。すると、ステージは、X軸方向及びY軸方向に移動されるとともに、ステージの中心を通る中心軸回りに回転される。これにより、ステージ上に載置された基板11が、塗布装置30に対して位置合わせされる。
【0028】
上記のようにして基板11が位置合わせされたら、続いて基板11の薄膜21の表面に塗布剤30Cを塗布する工程が行われる。制御部40は、メモリ41に記憶された事前登録情報に含まれる移動経路に係る情報に基づいて、塗布部31を塗布開始位置まで移動させる。塗布剤30Cの塗布に先立って、制御部40は、
図7及び
図8に示すように、塗布部31に対して移動方向の前方に位置する第1計測部33による計測を実行する。なお、
図7及び
図8には、設計通りに設けられていない薄膜21が実線にて図示されており、設計通りに設けられる薄膜21が細い二点鎖線にて図示されている。また、
図7には、設計通りに設けられる薄膜21のX軸方向の中心位置C1が細い一点鎖線によって図示され、設計通りに設けられていない薄膜21のX軸方向の中心位置C2が太い一点鎖線によって図示されている。第1投光部33Aから投射された第1線状光は、薄膜21の表面にて反射され、反射光となって第1受光部33Bにより受光される(
図6を参照)。なお、
図8には、第1計測部33による第1線状光の照射範囲が一点鎖線にて図示されている。制御部40は、第1受光部33Bによる受光に基づいて、第1計測部33と薄膜21の表面との間の距離を計測し、得られた計測結果に基づいていわゆる光切断法により薄膜21の断面プロファイルを得る。これにより、基板11上の薄膜21の大きさ(幅、高さ等)や位置が良好に検出される。
【0029】
制御部40は、検出された薄膜21の大きさや位置に係る情報を、メモリ41に記憶された事前登録情報に含まれる薄膜21の大きさや位置に係る設計値と比較する。この設計値は、所定の数値範囲であってもよい。薄膜21が
図7及び
図8の実線通りに存在する場合は、検出された薄膜21の大きさや位置に係る情報が設計値と一致しない。この場合は、制御部40は、検出された薄膜21の大きさや位置と設計値との間に生じたずれを補正するための補正値を演算する。具体的には、
図7及び
図8の実線にて示される薄膜21の位置は、設計値に対して同図の右寄りに偏在している。制御部40は、演算した補正値に基づいて移動部32を制御し、塗布部31の位置を補正する。具体的には、塗布部31は、塗布開始位置から
図7及び
図8の右寄りに移動される。これにより、塗布部31のノズル31Aの吐出口が、薄膜21のX軸方向の中心位置C2と重なる配置となる。制御部40は、塗布部31の駆動を制御してノズル31Aから塗布剤30Cを吐出させるとともに、移動部32の駆動を制御してホルダ36を、事前登録情報に含まれる移動経路に沿って移動させる。すると、
図9及び
図10に示すように、ノズル31Aから吐出された塗布剤30Cが薄膜21の表面において適切な位置に塗布される。また、第1計測部33により検出された薄膜21の高さが設計値よりも低い場合は、移動部32の駆動を制御し、ホルダ36を低い位置(基板11に近い位置)に移動させればよい。逆に、第1計測部33により検出された薄膜21の高さが設計値よりも高い場合は、移動部32の駆動を制御し、ホルダ36を高い位置(基板11から遠い位置)に移動させればよい。
【0030】
塗布部31による塗布剤30Cの塗布が開始されると、制御部40は、
図11及び
図12に示すように、塗布部31に対して移動方向の後方に位置する第2計測部34による計測と、第2計測部34に対して移動方向の後方に位置する光照射部35による紫外線の照射と、を開始させる。なお、
図11及び
図12には、目標値通りに塗布されない塗布剤が実線にて図示されており、
図11及び
図12には、目標値通りに塗布される塗布剤30Cが二点鎖線にて図示されている。第2投光部34Aから投射された第2線状光は、塗布剤30Cの表面にて反射され、反射光となって第2受光部34Bにより受光される(
図6を参照)。なお、
図12には、第2計測部34による第2線状光の照射範囲が一点鎖線にて図示されている。制御部40は、第2受光部34Bによる受光に基づいて、第2計測部34と塗布剤30Cの表面との間の距離を計測し、得られた計測結果に基づいていわゆる光切断法により塗布剤30Cの断面プロファイルを得る。これにより、薄膜21の表面に塗布された塗布剤30Cの大きさ(幅、高さ等)や位置が良好に検出される。
【0031】
制御部40は、検出された塗布剤30Cの大きさや位置に係る情報を、メモリ41に記憶された事前登録情報に含まれる塗布剤30Cの大きさや位置に係る目標値と比較する。この目標値は、所定の数値範囲であってもよい。塗布剤30Cが
図11及び
図12の実線通りに存在する場合は、検出された塗布剤30Cの大きさや位置に係る情報が目標値と一致しない。この場合は、制御部40は、検出された塗布剤30Cの大きさや位置と目標値との間に生じたずれを補正するための補正値を演算する。具体的には、
図11及び
図12の実線にて示される塗布剤30Cの幅は、目標値よりも小さい。制御部40は、演算した補正値に基づいて塗布部31及び移動部32を制御し、塗布剤30Cの吐出量を補正するとともに、移動部32によるホルダ36の移動速度を補正する。具体的には、ノズル31Aから吐出される塗布剤30Cの単位時間当たりの吐出量が増加されるとともに、ホルダ36の移動速度が遅くされる。これにより、
図13に示すように、薄膜21上に塗布される塗布剤30Cの幅が大きくなり、目標値と一致または近似する値となる。第2計測部34により検出された塗布剤30Cの幅が目標値よりも大きい場合は、上記とは逆に、塗布剤30Cの単位時間当たりの吐出量を減少させ、ホルダ36の移動速度を速くすればよい。また、塗布剤30Cの高さ(厚み)が目標値よりも小さい場合は、制御部40により塗布部31及び移動部32の駆動を制御し、塗布剤30Cの単位時間当たりの吐出量を増加させたり、ホルダ36の移動速度を遅くしたりすればよい。また、塗布剤30Cの高さが目標値よりも大きい場合は、制御部40により塗布部31及び移動部32の駆動を制御し、塗布剤30Cの単位時間当たりの吐出量を減少させたり、ホルダ36の移動速度を速くしたりすればよい。
【0032】
薄膜21上に塗布された塗布剤30Cには、光照射部35から発せられた紫外線が照射される。これにより、塗布剤30Cは硬化が促進される。このとき、光照射部35から塗布剤30Cに照射される紫外線の照射光量は、塗布剤30Cが完全に硬化するのに要する照射光量よりも少ない。これにより、塗布剤30Cは半硬化状態とされる。このようにすれば、例えば塗布剤30Cに用いられる紫外線硬化性樹脂材料が粘性の低い場合でも、塗布剤30Cの塗布範囲(幅)や高さが経時的に変化する事態を避けることができる。
【0033】
制御部40は、ホルダ36が移動経路に沿って移動して塗布終了位置に達するまで、第1計測部33及び第2計測部34による計測を随時に行い、未塗布状態の薄膜21の断面プロファイルと、塗布剤30Cの断面プロファイルと、を連続的に作成する。制御部40は、第1計測部33及び第2計測部34による計測結果に基づいて塗布部31及び移動部32の駆動を制御し、ホルダ36の移動経路や塗布部31による塗布量等を随時に調整する。以上により、塗布剤30Cの塗布が適正化されるので、製造される基板11に不良品が生じ難くなり、歩留まりが向上する。不良品の数が減少すれば、修理の頻度も減少し、結果として製造に係るタクトタイムの短縮化に資する。
【0034】
以上説明したように本実施形態の塗布装置30は、基板11,12に形成された薄膜21の表面と対向して配され、薄膜21の表面に塗布剤30Cを塗布する塗布部31と、塗布部31を薄膜21の表面に沿う向きに移動させる移動部32と、塗布部31と共に移動部32により移動させられ、薄膜21の表面と対向していて塗布部31に対して塗布部31の移動方向の前方に位置して配され、少なくとも薄膜21の表面との間の距離を計測する第1計測部33と、塗布部31及び第1計測部33と共に移動部32により移動させられ、薄膜21の表面に塗布された塗布剤30Cと対向していて塗布部31に対して移動方向の後方に位置して配され、少なくとも薄膜21の表面に塗布された塗布剤30Cとの間の距離を計測する第2計測部34と、第1計測部33及び第2計測部34による計測結果に基づいて移動部32及び塗布部31の駆動を制御する制御部40と、を備える。
【0035】
塗布部31に対して移動方向の前方に位置する第1計測部33により少なくとも薄膜21の表面との間の距離が計測される。第1計測部33による計測結果を利用することで、薄膜21の大きさ(高さ、幅等)や位置を検出することができる。第1計測部33による計測結果に基づいて制御部40により移動部32及び塗布部31の駆動が制御される。具体的には、移動部32は、制御部40による制御に基づいて薄膜21に対する塗布部31の位置(移動経路)や移動速度等を調整する。また、塗布部31は、制御部40による制御に基づいて塗布剤30Cの塗布量等を調整する。これにより、薄膜21の表面の状態に応じて塗布剤30Cが適切に塗布される。
【0036】
塗布部31に対して移動方向の後方に位置する第2計測部34により少なくとも薄膜21の表面に塗布された塗布剤30Cとの間の距離が計測される。第2計測部34による計測結果を利用することで、薄膜21の表面に塗布された塗布剤30Cの大きさ(高さ、幅等)や位置を検出することができる。第2計測部34による計測結果に基づいて制御部40により移動部32及び塗布部31の駆動が制御されると、塗布部31の移動速度及び移動経路等が補正され、塗布剤30Cの塗布量等が補正される。これにより、先行して薄膜21の表面に塗布された塗布剤30Cの状態に応じて塗布剤30Cが適切に塗布される。以上のように塗布剤30Cの塗布が適正化されるので、基板11,12に不良品が生じ難くなり、歩留まりが向上する。不良品の数が減少すれば、修理の頻度も減少し、結果として製造に係るタクトタイムの短縮化に資する。また、1つの移動部32によって第1計測部33、塗布部31及び第2計測部34が共に移動させられるので、第1計測部33による計測と、塗布部31による塗布剤30Cの塗布と、第2計測部34による計測と、を連続的に行うことができる。これにより、製造に係るタクトタイムの短縮化を図る上でより好適となる。
【0037】
また、第1計測部33は、薄膜21の表面に向けて第1線状光を投射する第1投光部33Aと、薄膜21の表面にて第1線状光が反射されて生じた反射光を受光する第1受光部33Bと、を有し、第2計測部34は、薄膜21の表面に塗布された塗布剤30Cに向けて第2線状光を投射する第2投光部34Aと、薄膜21の表面に塗布された塗布剤30Cにて第2線状光が反射されて生じた反射光を受光する第2受光部34Bと、を有する。
【0038】
第1投光部33Aから投射された第1線状光は、薄膜21の表面にて反射される。薄膜21の表面にて生じた反射光は、第1受光部33Bに受光され、計測結果が得られる。このように、第1計測部33は、第1線状光を利用して薄膜21の表面との間の距離を計測しているので、いわゆる光切断法により薄膜21の断面プロファイルを得ることが可能となる。これにより、薄膜21の大きさや位置を良好に検出することができる。
【0039】
また、第2投光部34Aから投射された第2線状光は、塗布剤30Cの表面にて反射される。塗布剤30Cの表面にて生じた反射光は、第2受光部34Bに受光され、計測結果が得られる。このように、第2計測部34は、第2線状光を利用して塗布剤30Cの表面との間の距離を計測しているので、いわゆる光切断法により塗布剤30Cの断面プロファイルを得ることが可能となる。これにより、先行して基板11,12または薄膜21の表面に塗布された塗布剤30Cの状態に応じて、塗布部31によって塗布剤30Cがより適切に塗布される。
【0040】
また、塗布部31は、塗布剤30Cとして光硬化性材料を薄膜21の表面に塗布し、塗布部31、第1計測部33及び第2計測部34と共に移動部32により移動させられ、塗布部31に対して移動方向の後方に位置して配され、光硬化性材料を硬化させる光を照射する光照射部35を備える。塗布部31により薄膜21の表面に塗布された光硬化性材料は、光照射部35から照射される光によって硬化が促進される。硬化前の光硬化材料の粘性が低い場合でも、光照射部35によって光硬化材料をある程度まで硬化させることで、薄膜21の表面に塗布されたときの塗布剤30Cの大きさや位置を良好に維持することができる。
【0041】
本実施形態に係る基板11,12の製造方法は、基板11,12に形成された薄膜21の表面と対向する第1計測部33により少なくとも第1計測部33と薄膜21の表面との間の距離を計測し、第1計測部33による計測結果に基づいて、制御部40により移動部32を制御し、塗布部31を薄膜21の表面に沿う向きに移動させ、制御部40により塗布部31を制御し、薄膜21の表面に塗布剤30Cを塗布させ、薄膜21の表面に塗布された塗布剤30Cと対向する第2計測部34により少なくとも第2計測部34と薄膜21の表面に塗布された塗布剤30Cとの間の距離を計測し、第2計測部34による計測結果に基づいて、制御部40により移動部32を制御し、少なくとも塗布部31の移動速度及び移動経路を補正させ、制御部40により塗布部31を制御し、少なくとも塗布剤30Cの塗布量を補正させる。
【0042】
塗布剤30Cの塗布に先立って、第1計測部33により少なくとも薄膜21の表面との間の距離が計測される。第1計測部33による計測結果を利用することで、薄膜21の大きさ(高さ、幅等)や位置を検出することができる。第1計測部33による計測結果に基づいて制御部40により移動部32及び塗布部31の駆動が制御される。具体的には、移動部32は、制御部40による制御に基づいて薄膜21に対する塗布部31の位置(移動経路)や移動速度等を調整する。また、塗布部31は、制御部40による制御に基づいて塗布剤30Cの塗布量等を調整する。これにより、薄膜21の表面の状態に応じて塗布剤30Cが適切に塗布される。
【0043】
薄膜21の表面に塗布剤30Cが塗布された後、第2計測部34により少なくとも薄膜21の表面に塗布された塗布剤30Cとの間の距離が計測される。第2計測部34による計測結果を利用することで、薄膜21の表面に塗布された塗布剤30Cの大きさ(高さ、幅等)や位置を検出することができる。第2計測部34による計測結果に基づいて制御部40により移動部32及び塗布部31の駆動が制御されると、塗布部31の移動速度及び移動経路等が補正され、塗布剤30Cの塗布量等が補正される。これにより、先行して薄膜21の表面に塗布された塗布剤30Cの状態に応じて塗布剤30Cが適切に塗布される。以上のように塗布剤30Cの塗布が適正化されるので、基板11,12に不良品が生じ難くなり、歩留まりが向上する。不良品の数が減少すれば、修理の頻度も減少し、結果として製造に係るタクトタイムの短縮化に資する。
【0044】
<実施形態2>
実施形態2を
図14または
図15によって説明する。この実施形態2では、基板11,12上に薄膜21が存在しない場合を示す。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0045】
本実施形態では、実施形態1に記載した薄膜21(
図5を参照)が存在しない基板11,12を製造する。本実施形態では、基板11,12の表面に対して塗布装置130によって塗布剤130Cを直接的に塗布する場合について説明する。なお、本実施形態において、基板11,12に何らかの薄膜が存在してもよいが、その薄膜は塗布剤130Cの塗布対象物ではない。本実施形態では、反りや撓み等の変形が生じ易い基板11,12が用いられる。なお、
図14及び
図15では、「基板」として「対向基板11」を代表して図示し、以下の説明において、対向基板(基板)11に対して塗布剤130Cを塗布する場合を説明しているが、「基板」として「対向基板12」を塗布対象とする場合も、同様の塗布装置130を用いて塗布剤130Cを塗布することができる。
【0046】
塗布部131に対して移動方向の前方に位置する第1計測部133により計測が行われると、
図14に示すように、第1計測部133と未塗布状態の基板11の表面との間の距離が得られる。例えば、基板11に変形が生じていて、基板11のうち、塗布部131による被塗布位置に対して移動方向の前方の部分が裏側(下側)に凹んだ形状(谷形状)だった場合には、第1計測部133により計測される第1計測部133と未塗布状態の基板11の表面との間の距離が、設計値よりも大きくなる。この場合、制御部40(
図6を参照)は、移動部32の駆動を制御し、
図15に示すように、ホルダ136をZ軸方向の下向きに移動させる。一方、基板11のうち、塗布部131による被塗布位置に対して移動方向の前方の部分が表側(上側)に突出した形状(山形状)だった場合には、第1計測部133により計測される第1計測部133と未塗布状態の基板11の表面との間の距離が、設計値よりも小さくなる。この場合、制御部40は、移動部32の駆動を制御し、ホルダ136をZ軸方向の上向きに移動させる。以上により、基板11が変形していても、基板11の表面に対するノズル131AのZ軸方向の位置が安定的に保たれ、塗布剤130Cが適切に塗布され易くなる。
【0047】
以上説明したように本実施形態の塗布装置130は、基板11,12の表面と対向して配され、基板11,12の表面に塗布剤130Cを塗布する塗布部131と、塗布部131を基板11,12の表面に沿う向きに移動させる移動部32と、塗布部131と共に移動部32により移動させられ、基板11,12の表面と対向していて塗布部131に対して塗布部131の移動方向の前方に位置して配され、少なくとも基板11,12の表面との間の距離を計測する第1計測部133と、塗布部131及び第1計測部133と共に移動部32により移動させられ、基板11,12の表面に塗布された塗布剤130Cと対向していて塗布部131に対して移動方向の後方に位置して配され、少なくとも基板11,12の表面に塗布された塗布剤130Cとの間の距離を計測する第2計測部134と、第1計測部133及び第2計測部134による計測結果に基づいて移動部32及び塗布部131の駆動を制御する制御部40と、を備える(移動部32及び制御部40は
図6を参照)。
【0048】
塗布部131に対して移動方向の前方に位置する第1計測部133により少なくとも基板11,12の表面との間の距離が計測される。第1計測部133による計測結果を利用することで、基板11,12の表面の変形度合い(反り、撓み等)を検出することができる。第1計測部133による計測結果に基づいて制御部40により移動部32及び塗布部131の駆動が制御される。具体的には、移動部32は、制御部40による制御に基づいて基板11,12に対する塗布部131の位置(移動経路)や移動速度等を調整する。また、塗布部131は、制御部40による制御に基づいて塗布剤130Cの塗布量等を調整する。これにより、基板11,12の表面の状態に応じて塗布剤130Cが適切に塗布される。
【0049】
塗布部131に対して移動方向の後方に位置する第2計測部134により少なくとも基板11,12の表面に塗布された塗布剤130Cとの間の距離が計測される。第2計測部134による計測結果を利用することで、基板11,12の表面に塗布された塗布剤130Cの大きさ(高さ、幅等)や位置を検出することができる。第2計測部134による計測結果に基づいて制御部40により移動部32及び塗布部131の駆動が制御されると、塗布部131の移動速度及び移動経路等が補正され、塗布剤130Cの塗布量等が補正される。これにより、先行して基板11,12の表面に塗布された塗布剤130Cの状態に応じて塗布剤130Cが適切に塗布される。以上のように塗布剤130Cの塗布が適正化されるので、基板11,12に不良品が生じ難くなり、歩留まりが向上する。不良品の数が減少すれば、修理の頻度も減少し、結果として製造に係るタクトタイムの短縮化に資する。また、1つの移動部32によって第1計測部133、塗布部131及び第2計測部134が共に移動させられるので、第1計測部133による計測と、塗布部131による塗布剤130Cの塗布と、第2計測部134による計測と、を連続的に行うことができる。これにより、製造に係るタクトタイムの短縮化を図る上でより好適となる。
【0050】
本実施形態に係る基板11,12の製造方法は、基板11,12の表面と対向する第1計測部133により少なくとも第1計測部133と基板11,12の表面との間の距離を計測し、第1計測部133による計測結果に基づいて、制御部40により移動部32を制御し、塗布部131を基板11,12の表面に沿う向きに移動させ、制御部40により塗布部131を制御し、基板11,12の表面に塗布剤130Cを塗布させ、基板11,12の表面に塗布された塗布剤130Cと対向する第2計測部134により少なくとも第2計測部134と基板11,12の表面に塗布された塗布剤130Cとの間の距離を計測し、第2計測部134による計測結果に基づいて、制御部40により移動部32を制御し、少なくとも塗布部131の移動速度及び移動経路を補正させ、制御部40により塗布部131を制御し、少なくとも塗布剤130Cの塗布量を補正させる。
【0051】
塗布剤130Cの塗布に先立って、第1計測部133により少なくとも基板11,12の表面との間の距離が計測される。第1計測部133による計測結果を利用することで、基板11,12の表面の変形度合い(反り、撓み等)を検出することができる。第1計測部133による計測結果に基づいて制御部40により移動部32及び塗布部131の駆動が制御される。具体的には、移動部32は、制御部40による制御に基づいて基板11,12に対する塗布部131の位置(移動経路)や移動速度等を調整する。また、塗布部131は、制御部40による制御に基づいて塗布剤130Cの塗布量等を調整する。これにより、基板11,12の表面の状態に応じて塗布剤130Cが適切に塗布される。
【0052】
基板11,12の表面に塗布剤130Cが塗布された後、第2計測部134により少なくとも基板11,12の表面に塗布された塗布剤130Cとの間の距離が計測される。第2計測部134による計測結果を利用することで、基板11,12の表面に塗布された塗布剤130Cの大きさ(高さ、幅等)や位置を検出することができる。第2計測部134による計測結果に基づいて制御部40により移動部32及び塗布部131の駆動が制御されると、塗布部131の移動速度及び移動経路等が補正され、塗布剤130Cの塗布量等が補正される。これにより、先行して基板11,12の表面に塗布された塗布剤130Cの状態に応じて塗布剤130Cが適切に塗布される。以上のように塗布剤130Cの塗布が適正化されるので、基板11,12に不良品が生じ難くなり、歩留まりが向上する。不良品の数が減少すれば、修理の頻度も減少し、結果として製造に係るタクトタイムの短縮化に資する。
【0053】
<他の実施形態>
本明細書が開示する技術は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されず、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
【0054】
(1)塗布部31,131の具体的な構成は、図示以外にも適宜に変更可能である。例えば、ノズル31A,131Aの吐出口が線状に延びる形態とされ、帯状の塗布剤30C,130Cを塗布するようにしてもよい。
【0055】
(2)第1計測部33,133及び第2計測部34,134として、上記した三次元レーザ変位計以外にも、一次元レーザ変位計または二次元レーザ変位計を用いることも可能である。
【0056】
(3)第1計測部33,133及び第2計測部34,134として、上記したレーザ変位計以外の種類の変位計を用いることも可能である。
【0057】
(4)移動部32の具体的な構成は、図示以外にも適宜に変更可能である。
【0058】
(5)塗布剤30C,130Cの材料は、熱硬化性樹脂材料等であってもよい。その場合、ホルダ36,136には、上記した光照射部35に代えて、塗布剤30C,130Cを加熱して硬化させるための加熱装置を備えればよい。
【0059】
(6)基板11,12は、上記した液晶パネル10以外の表示パネル(有機EL表示パネル等)を構成する基板であってもよい。
【0060】
(7)基板11,12は、上記した液晶パネル10を構成する基板11,12以外にも、プリント基板等であってもよい。
【符号の説明】
【0061】
11,12…基板、21…薄膜、30,130…塗布装置、30C,130C…塗布剤、31,131…塗布部、32…移動部、33,133…第1計測部、33A…第1投光部、33B…第1受光部、34,134…第2計測部、34A…第2投光部、34B…第2受光部、35…光照射部、40…制御部