特開 2023-166153 陳列装置および紙箱

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2023166153

(43)【公開日】2023-11-21

(54)【発明の名称】陳列装置および紙箱

(51)【国際特許分類】

   A47F 7/00 20060101AFI20231114BHJP

   A47F 5/11 20060101ALI20231114BHJP

【ＦＩ】

A47F7/00 F

A47F5/11

【審査請求】未請求

【請求項の数】14

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2022076982

(22)【出願日】2022-05-09

(71)【出願人】

【識別番号】599151259

【氏名又は名称】株式会社東具

(74)【代理人】

【識別番号】100114030

【弁理士】

【氏名又は名称】鹿島 義雄

(72)【発明者】

【氏名】斎藤 克哉

(72)【発明者】

【氏名】原 彬弘

【テーマコード（参考）】

3B118

【Ｆターム（参考）】

3B118GA02

3B118GA04

3B118GA33

(57)【要約】

【課題】
実質的に一枚のシートだけで、接着剤や粘着テープを用いることなく、吊下具を別途用意することもなく、立体形状に組み立てて商品を安定して上下方向に吊り下げることができる陳列装置を提供する。
【解決手段】
陳列品を吊り下げる吊下部１５を備えた吊下ユニット１０が上下方向に連続して並ぶようにして折り曲げ可能なシート上に複数形成された陳列装置であって、前記各吊下ユニット１０には左右方向の凸形稜線１１とその下側で左右方向の凹形稜線１２とが含まれ、凸形稜線を挟んで上側に上向き斜面１３、下側に下向き斜面１４が形成され、各吊下ユニット１０の吊下部１５は下向き斜面の一部を加工して形成される。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

陳列品を吊り下げる吊下部を備えた吊下ユニットが上下方向に連続して並ぶようにして折り曲げ可能なシート上に複数形成された陳列装置であって、
前記各吊下ユニットには左右方向の山折り線に沿って折り曲げられた凸形稜線とその下側で左右方向の谷折り線に沿って折り曲げられた凹形稜線とが含まれ、前記凸形稜線を挟んで上側に上向き斜面、下側に下向き斜面が形成され、
前記各吊下ユニットの吊下部は前記下向き斜面の一部を加工して形成された陳列装置。

【請求項2】

前記陳列品が一の吊下ユニットの吊下部に吊り下げられた状態で当該一の吊下部より下に位置するいずれかの吊下ユニットの上向き斜面に接して、または、他の陳列品に接して斜めに陳列される請求項１に記載の陳列装置。

【請求項3】

前記陳列品がフランジ部を備えたスパウトパウチであり、
前記各吊下ユニットの上向き斜面には前記フランジ部が挿通可能な差込穴が形成され、前記各吊下ユニットの下向き斜面には前記差込穴と連なり前記フランジ部を吊り下げ可能な左右方向の幅を有するスリットが形成され、
前記各吊下ユニットの吊下部が前記スリットからなる吊穴である請求項１に記載の陳列装置。

【請求項4】

前記差込穴が前記凸形稜線から離れた前記上向き斜面上に形成され、前記下向き斜面に形成されるスリットが前記凸形稜線で屈曲して前記差込穴まで続くように形成される請求項３に記載の陳列装置。

【請求項5】

前記凹形稜線が前記下向き斜面の下端に形成され、
前記スリットは前記凸形稜線から前記凹形稜線まで前記下向き斜面を上下方向に横断するように形成され、
前記下向き斜面の上下方向の長さＬは前記フランジ部が前記下向き斜面のスリットに吊り下げられた状態での当該フランジ部の上下方向の長さＤＬと一致するように形成されている請求項４に記載の陳列装置。

【請求項6】

前記各吊下ユニットの吊下部は、前記下向き斜面に形成される鉤状の切線に沿って切り出され、当該下向き斜面の上下方向に延びる谷折り線に沿って折り曲げて突出させた鉤状フックである請求項１に記載の陳列装置。

【請求項7】

前記各吊下ユニットは前記凹形稜線が前記下向き斜面の下端に形成され、
前記鉤状フックは、前記下向き斜面に形成される鉤状の切線を当該下向き斜面下端の凹型稜線を超えて下側に隣接する吊下げユニットの上向き斜面に形成される爪片の切線を含む爪片付き鉤状の切線に拡張して切り出され、
当該爪片付き鉤状の切線が形成された上向き斜面には前記爪片付き鉤状の切線に沿って切り出された鉤状フックの爪片部分が係止される係止穴が形成された請求項６に記載の陳列装置。

【請求項8】

前記各吊下ユニットは、前記鉤状フックが前記下向き斜面の上下方向に延びる谷折り線の左側に形成される吊下ユニットと右側に形成される吊下ユニットとが交互に形成される請求項７に記載の陳列装置。

【請求項9】

前記各吊下ユニットは上下方向に延びる縦切り線が形成され、
前記縦切り線の左右いずれか一方側は前記縦切り線の上端に第一凸形稜線、上端と下端との間に第一凹形稜線が形成されるように折り曲げられて前記第一凸形稜線と前記第一凹形稜線との間に第一下向き斜面が形成され、
前記縦切り線の他方側は前記縦切り線の上端と下端との間に第二凸形稜線、下端に第二凹形稜線が形成されるように折り曲げられて前記第二凸形稜線と前記第二凹形稜線との間に第二下向き斜面が形成され、
前記第一下向き斜面と前記第二下向き斜面との間に前記縦切り線に沿って開いた第一開口が形成され、
さらに前記縦切り線から離隔した位置の前記第二下向き斜面上で、かつ、前記第二凹形稜線と接する領域に第二開口が形成され、
前記吊下部が第一開口と第二開口との間で前記第二下向き斜面上に形成された帯片からなる請求項１に記載の陳列装置。

【請求項10】

前記各吊下げユニットには前記吊下部が左右方向に複数並べて形成される請求項１に記載の陳列装置。

【請求項11】

陳列品を吊り下げる吊下部を備えた吊下ユニットが上下方向に連続して並ぶようにして折り曲げ可能な第一シート上に複数形成された陳列装置であって、
前記各吊下ユニットには左右方向の山折り線に沿って折り曲げられた凸形稜線とその下側で左右方向の谷折り線に沿って折り曲げられた凹形稜線とが含まれ、前記凸形稜線を挟んで上側に上向き斜面、下側に下向き斜面が形成され、
前記各吊下ユニットの吊下部は前記下向き斜面の一部を加工して形成され、
さらに、前記第一シートの背面側に平坦な第二シートが配置され、前記第一シートと前記第二シートとは前記各吊下ユニットに含まれる凹型稜線と接する位置で係止手段により連結される陳列装置。

【請求項12】

前記陳列品が一の吊下ユニットの吊下部に吊り下げられた状態で当該一の吊下部より下に位置するいずれかの吊下ユニットの上向き斜面に接して、または、他の陳列品に接して斜めに陳列される請求項１１に記載の陳列装置。

【請求項13】

前記係止手段は、前記第一シートの前記凹型稜線に沿って背面側に突出するように形成される係止爪と、第二シート上に形成され前記係止爪が係止される係止穴である請求項１１に記載の陳列装置。

【請求項14】

前記陳列品を収納する紙箱の壁面に請求項１～請求項１３のいずれかに記載の陳列装置が切り抜き可能に形成された紙箱。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、商品等の陳列品を吊り下げて陳列する陳列装置に関する。

【背景技術】

【0002】

店舗等では、持ち運び可能な平板状の背板（台紙）に、プラスチック製の変形しない吊下具（プラパーツ）を固定し、これに商品を吊り下げて陳列販売する陳列装置が利用されている。

【0003】

例えば、液体飲料等をスパウトパウチに入れて販売する商品は２００ｇ程度の重さの商品である。スパウトパウチ用の吊下具としては、左右一対のアーム（ロッド）を平行に突出させたプラパーツを背板に固定し、スパウト部（フランジ部分）をアーム間に挟んで吊り下げるようにして陳列するようにしている（特許文献１参照）。

【0004】

また、ハンカチ、靴下、歯ブラシ等のような軽い商品では、貫通穴またはフック（鉤）を設けた包装袋や包装箱に商品を入れておき、吊下具としてロッド状のプラパーツを背板に固定し、この吊下具のロッド部分を貫通孔に挿通したり、ロッド部分にフックを引っ掛けたりして吊り下げて陳列するようにしている。

【0005】

近年、環境への負担軽減を目的としてプラスチックの使用を抑制することが推奨されており、吊下具についてもプラスチック製品の使用の抑制が求められている。そのため、厚紙を２つ折りにして強度を高めた紙製でロッド状の吊下具を採用することで陳列装置全体を厚紙製にした陳列装置も利用されている（特許文献２参照）。

【0006】

商品重量が比較的大きいスパウトパウチ入り商品についての厚紙、段ボールを用いた陳列装置としては、一段（上段、中断、下段）ごとに分かれて形成される複数の保持部を背板に並べて固定した陳列装置が開示されている（特許文献３参照）。この陳列装置の各保持部は断面が三角形である中空三角柱状に形成され、その稜線を水平方向に向けて一側面が背板前面に接するようにして固定され、残り二つの側面は背板から突出している稜線（突出稜線という）を挟んで上下に配置される突出側面となるようにしてある。そして下段を除いて、上段、中段の各保持部には、突出稜線の下側の突出側面に、突出稜線から背板に向けてスリットが設けられ、突出稜線より上側の突出側面には、前記スリットと同じ位置で突出稜線から背板に向けて設けられた前記スリットよりも大きい幅を有する差込口が設けられている。

【0007】

この陳列装置によれば、上段保持部の上側突出側面に設けられた差込口からパウチ商品のスパウト部を挿入して、上段保持部の下側突出側面に設けたスリットに沿って移動すると、スパウト部がスリットの左右側辺に係止された状態で吊り下げられる。このとき上段保持部の直下には中段保持部が固定されており、この中段保持部の上側突出側面に直接的または間接的にパウチが載置されるようになる。その結果、上段保持部の下側突出側面がパウチ商品を吊り下げて支持するだけでなく、中段保持部の上側突出側面によってもパウチ商品の重量の一部が支持されることになり、上段保持部の下側側面に加わる商品重量が軽減されるために上段保持部の下側側面の変形が抑制されるようになる。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0008】

【特許文献1】特開２０１９-２０２０６５号公報

【特許文献2】実用新案登録第３１６１３８６号公報

【特許文献3】特開２０２１－１４１９９１号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0009】

従来の陳列装置のうち、特許文献１や特許文献２に記載されるような背板にロッド状の吊下具を取り付ける陳列装置では、持ち運び可能な頑丈な平板状の背板に形成してある取付孔に吊下具を一つ一つ挿し込むようにして組み立てる必要があり、背板と必要数の吊下具とを別々に用意する必要があり、組み立てる手間も要していた。また一度組み立てて商品を陳列した後、陳列を終えてコンパクトに収納しようとして二次元の平板の状態に戻そうとするときは、再び吊下具を一つ一つ抜きとる必要があった。
また、背板に固定されたロッド状の吊下具には吊下げられる商品の全重量が加わることになるので、商品重量でによって折れない強度にする必要があり、紙製の吊下具を採用する際には特許文献２に見られるように板紙を２つ折りにして十分な強度を持たせるようにしていた。

【0010】

スパウトパウチが吊り下げられる特許文献３の陳列装置についても、上段、中段、下段ごとに形成された中空三角柱状の保持部を一つ一つ背板に固定する必要があり組立に手間を要し、陳列を終えて平板にしてコンパクトに収納するときは一段ごと取り外す必要があった。

【0011】

また、従来の陳列装置は、陳列開始時の商品を満載した状態から商品が売り切れて陳列装置に吊り下げた商品がすべてなくなる状態になるまで、陳列された商品数（すなわち吊下げられた商品の総重量）の変化によって陳列装置が変形しないように陳列するのが一般的であったため、吊下具を陳列装置の背板でしっかりと支持しておく必要があり、頑丈な背板を使用していた。

【0012】

しかしながら、陳列装置が変形することよりも、むしろ陳列装置の製造コスト、組立コスト、配送コスト等に要するトータルコストをできるだけ抑えて格安な陳列装置で商品を陳列することが望まれる場合も多い。

【0013】

そこで、本発明は背板が必ずしも必要ではなく、（吊紐を除いた）陳列装置本体を実質的に一枚のシートだけで、接着剤や粘着テープを用いることなく、吊下具を別途用意することもなく、立体形状に組み立てて商品を安定して吊り下げることが簡単にでき、陳列を終えた後は、簡単に二次元の平板状態に戻すことができる陳列装置を提供することを目的とする。

【0014】

また、背板を使用する場合であっても、ある程度の変形を許容する代わりに、頑丈な背板と頑丈な吊下具とを用いることなく、従来の陳列装置に比べてトータルコストを格段に抑えることができる陳列装置を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0015】

上記課題を解決するためになされた本発明の陳列装置は、陳列品を吊り下げる吊下部を備えた吊下ユニットが上下方向に連続して並ぶようにして折り曲げ可能なシート上に複数形成された陳列装置であって、前記各吊下ユニットには左右方向の山折り線に沿って折り曲げられた凸形稜線とその下側で左右方向の谷折り線に沿って折り曲げられた凹形稜線とが含まれ、前記凸形稜線を挟んで上側に上向き斜面、下側に下向き斜面が形成され、前記各吊下ユニットの吊下部は前記下向き斜面の一部を加工して形成されるようにしている。

【0016】

ここで「折り曲げ可能なシート」とは、山折り線や谷折り線に沿って鋭角や鈍角に折り曲げたときに、多少角度が変化したとしても、山折り線、谷折り線に沿ってある程度の角度で屈曲したままの状態を維持できる適度な腰の強さを有するシートをいう。シートであっても布のように折り曲げることができるが折り線に沿って折れ曲がった状態を維持できずに折り重なってしまうような布シート等は含まれない。

【0017】

「折り曲げ可能なシート」は、具体的にはボール紙、段ボール等の板紙で、包装用の紙箱に使用されるような紙材料が好ましい。また、ＰＥＴ（ポリエチレンテレフタレート）、ＰＰ（ポリプロピレン）等の樹脂シートも使用できる。シートの素材の種類とともにシートの板厚も腰の強さに影響するので、例えばボール紙であれば板厚が０．４ｍｍ～１ｍｍ程度がより好ましい。なお、樹脂材料に比べて紙製材料であれば環境にも優しい点で優れている。

【0018】

本発明によれば、シート上に連続して並べて形成されている１つ１つの吊下ユニットには、それぞれに山折りで折り曲げられた凸型稜線と谷折り線で折り曲げられた凹型稜線が含まれていることにより、ジグザグ状（九十九折り）で上側の吊下げユニットと下側の吊下げユニットとが周期的に連続するようになる。そして各吊下ユニットには凸形稜線とその下側にある凹形稜線との間の下向き斜面に吊下部が形成されており、この吊下部に陳列品を吊り下げて支える。陳列品の自重は、前方上側の凸形稜線と後方下側の凹形稜線の間にある下向き斜面に対して下向きに加わることになり、この力の加わる方向はジグザグ状態を自立的に維持させる方向になるので安定的にジグザグ状態を維持して陳列品を吊下具に吊り下げることができる。
また、吊下部から１つの陳列品が取り外されると、その吊下部が含まれる吊下ユニットについてはジグザグ状態を自立的に維持させる力が消失するので下方に伸びる変形が生じるが、それによって他の吊下げユニットの陳列品の吊下げ状態に大きく影響することはない。また、最下段の陳列品から順に取り外すようにすれば、それより上段に吊り下げた陳列品には変形の影響が及ばなくなる。

【発明の効果】

【0019】

本発明によれば、実質的に一枚のシートで、接着剤や粘着テープを用いることなく、陳列装置を立体形状に組み立てることができる。また、下向き斜面の一部を加工して吊下具を形成するので別途に吊下具を用意する必要もなく、一枚のシートだけで商品を安定して吊り下げることができる。そして陳列を終えた後は、簡単に二次元の平板状態に戻すことができる。
したがって、陳列装置の製造コスト、組立コスト、配送コスト等に要するトータルコストを抑えることができ、格安な陳列装置で商品を陳列することができる。

【0020】

上記発明において、前記陳列品が一の吊下ユニットの吊下部に吊り下げられた状態で当該一の吊下部より下に位置するいずれかの吊下ユニットの上向き斜面に接して、または、他の陳列品に接して斜めに陳列されるようにしてもよい。
本発明によれば、一の陳列品の下側にある吊下ユニットの上向き斜面または他の陳列品に接するようにしてあるので、自重の一部を下側にある吊下げユニットの上向き斜面で分担して、あるいは、他の陳列品を介して下側にある吊下げユニットの上向き斜面で分担して支えることができる。したがって吊下部だけで陳列品の全自重を支える場合よりも、より大きい自重の陳列品を陳列することができる。なお、上向き斜面は水平に近づけるほど上向き斜面で支える分担が増える傾向があるので、陳列品の重量に応じて上向き斜面の角度を調整することで、吊下部をシート一枚で作っても十分に持ちこたえることができるようにすることができる。

【0021】

上記発明において、前記陳列品がフランジ部を備えたスパウトパウチであり、前記各吊下ユニットの上向き斜面には前記フランジ部が挿通可能な差込穴が形成され、前記各吊下ユニットの下向き斜面には前記差込穴と連なり前記フランジ部を吊り下げ可能な左右方向の幅を有するスリットが形成され、前記各吊下ユニットの吊下部が前記スリットからなる吊穴としてもよい。本発明によれば、比較的重量の大きいスパウトパウチでも吊下げることができる。

【0022】

また、前記差込穴が前記凸形稜線から離れた前記上向き斜面上に形成され、前記下向き斜面のスリットが前記凸形稜線で屈曲して前記差込穴まで続くように形成されてもよい。これにより、何等かの理由でスパウトパウチがスリット内を差込穴側に向けて大きく位置ずれしようとした場合でも上向き斜面側に延長されたスリット部分がストッパとして働くことでスパウトパウチの落下を防止することができる。

【0023】

また、前記凹形稜線が前記下向き斜面の下端に形成され、前記スリットは前記凸形稜線から前記凹形稜線まで前記下向き斜面を上下方向に横断するように形成され、前記下向き斜面の上下方向の長さＬＢは前記フランジ部が前記下向き斜面のスリットに吊り下げられた状態での当該フランジ部の上下方向の長さＦＬと一致するように形成されていてもよい。これにより、スパウトパウチのフランジ部は下向き斜面に吊り下げた状態で上下方向（スリットの軸方向）の移動が両側で制限されるのでさらに安定して支えることができる。

【0024】

上記発明において、前記各吊下ユニットの吊下部は、前記下向き斜面に形成される鉤状の切線に沿って切り出され、当該下向き斜面の上下方向に延びる谷折り線に沿って折り曲げて突出させた鉤状のフックとしてもよい。これにより、陳列品あるいは陳列品の包装容器に設けた貫通穴やフックを、この鉤状フックに引っ掛けて吊り下げることができる。

【0025】

ここで、前記各吊下ユニットは前記凹形稜線が前記下向き斜面の下端に形成され、前記鉤状のフックは、前記下向き斜面に形成される鉤状の切線を当該下向き斜面下端の凹型稜線を超えて下側に隣接する吊下げユニットの上向き斜面に形成される爪片状の切線を含む爪片付き鉤状の切線に拡張して切り出され、当該爪片付き鉤状の切線が形成された上向き斜面には前記爪片付き鉤状の切線に沿って切り出された鉤状フックの爪片部分が係止される係止穴が形成されるようにしてもよい。これにより鉤状フックは下向き斜面で支えられるとともに、下側に隣接する吊下げユニットの上向き斜面の係止穴に係止されて支えられるようになり２つの面で固定されることで鉤状フックをさらに安定化させることができる。

【0026】

また、前記各吊下ユニットは、前記鉤状のフックが前記下向き斜面の上下方向に延びる谷折り線の左側に形成される吊下ユニットと右側に形成される吊下ユニットとが交互に形成されるようにしてもよい。これにより、切線部分が左右対称となったバランスのよい陳列装置にすることができる。

【0027】

上記発明において、前記各吊下ユニットは上下方向に延びる縦切り線が形成され、前記縦切り線の左右いずれか一方側は前記縦切り線の上端に第一凸形稜線、上端と下端との間に第一凹形稜線が形成されるように折り曲げられて前記第一凸形稜線と前記第一凹形稜線との間に第一下向き斜面が形成され、前記縦切り線の他方側は前記縦切り線の上端と下端との間に第二凸形稜線、下端に第二凹形稜線が形成されるように折り曲げられて前記第二凸形稜線と前記第二凹形稜線との間に第二下向き斜面が形成され、前記前記第一下向き斜面と前記第二下向き斜面との間に縦切り線に沿って開いた第一開口が形成され、さらに前記縦切り線から離隔した位置の前記第二下向き斜面上で、かつ、前記第二凹形稜線に接する領域に第二開口が形成され、前記吊下部が第一開口と第二開口との間で前記第二下向き斜面上に形成される帯片からなるようにしてもよい。これにより、陳列品の包装容器等に設けたフックを帯片に吊り下げることができる。

【0028】

また、前記各吊下げユニットには前記吊下部が左右方向に複数並べて形成されるようにしてもよい。これにより、吊下部は上下方向に並べられるだけでなく、左右方向にも並べられるので、多数の陳列品を効率よく陳列することができる。

【0029】

また、別の観点からなされた本発明の他の実施例である陳列装置は、陳列品を吊り下げる吊下部を備えた吊下ユニットが上下方向に連続して並ぶようにして折り曲げ可能な第一シート上に複数形成された陳列装置であって、前記各吊下ユニットには左右方向の山折り線に沿って折り曲げられた凸形稜線とその下側で左右方向の谷折り線に沿って折り曲げられた凹形稜線とが含まれ、前記凸形稜線を挟んで上側に上向き斜面、下側に下向き斜面が形成され、前記各吊下ユニットの吊下部は前記下向き斜面の一部を加工して形成され、さらに、前記第一シートの背面側に平坦な第二シートが配置され、前記第一シートと前記第二シートとは前記各吊下ユニットに含まれる凹型稜線と接する位置で係止手段により連結されるようにしてもよい。これにより、陳列装置は陳列品を取り外すことで生じる上下方向の変形を小さく抑えることができる。

【0030】

ここで、前記係止手段は、前記第一シートの前記凹型稜線に沿って背面側に突出するように形成される係止爪と、第二シート上に形成され前記係止爪が係止される係止穴としてもよい。これにより、第一シートの係止爪を第二シートの係止穴に差し込むだけで連結することができる。

【0031】

また別の観点からなされた本発明の紙箱は、前記陳列品を収納する紙箱の壁面に本発明に係る陳列装置を切り抜き可能に形成してもよい。これにより、陳列品とともに陳列装置を配送することができる。

【図面の簡単な説明】

【0032】

【図1】本発明の一実施形態である陳列装置Ａの全体構成を示す斜視図である。

【図2】図１の陳列装置Ａの部分拡大図である。

【図3】図１の陳列装置Ａを立体形状にする前の展開図である。

【図4】陳列品であるスパウトパウチの一例を示す図である。

【図5】スパウトパウチのフランジ部とスリットとの大小関係を示す図である。

【図6】図１の陳列装置Ａにスパウトパウチを吊り下げた状態を示す側面図である。

【図7】図１の陳列装置Ａにスパウトパウチを吊り下げた状態を裏側から見た図である。

【図8】本発明の他の一実施形態である陳列装置Ｂの全体構成を示す側面図である。

【図9】図８の陳列装置Ｂを部分拡大した斜視図である。

【図10】図８の陳列装置Ｂを立体形状にする前の展開図である。

【図11】本発明の他の一実施形態である陳列装置Ｃの全体構成を示す側面図である。

【図12】図１１の陳列装置Ｃの部分拡大した斜視図である。

【図13】図１１の陳列装置Ｃを立体形状にする前の展開図である。

【図14】図１１の陳列装置Ｃに陳列品を吊り下げた状態を示す図である。

【図15】本発明の他の一実施形態である陳列装置Ｄの全体構成を示す斜視図である。

【図16】図１５の陳列装置Ｄを立体形状にする前の展開図である。

【図17】図１５の陳列装置Ｄに陳列品を吊り下げた状態を示す斜視図である。

【図18】本発明の他の一実施形態である陳列装置Ｅを示す斜視図である。

【図19】図１８の陳列装置を背面側から見た図である。

【図20】図１８の陳列装置Ｅを立体形状にする前の展開図である。

【図21】図３（図１）の陳列装置Ａの変形実施例である展開図である。

【図22】本発明の一実施例である紙箱の構成を示す図である。

【発明を実施するための形態】

【0033】

本発明に係る陳列装置は、主として店舗等での商品陳列用に使用される。商品を吊り下げて陳列する際に使用される包装容器等は多種多様である。以下では、異なる種類の包装容器に入れられた商品を吊り下げる実施例について図面に基づいて説明する。

【0034】

（第一実施例）
図１は本発明の一実施形態である陳列装置Ａの全体構成を示す斜視図であり、図２はその部分拡大図である。また、図３は陳列装置Ａを立体形状にする前の展開図である。この陳列装置Ａはスパウトパウチのようなパウチ容器入りの陳列品を吊り穴で陳列するものである。

【0035】

陳列装置Ａは、装置全体が細長いシート状のボール紙を用いて製造され、長手方向となる上下方向に沿って複数の吊下げユニット１０、１０、・・・が連続して形成される。各吊下ユニット１０には、左右方向の山折り線１１aに沿って山折りされた凸形稜線１１が形成され、その下側に左右方向の谷折り線１２ａに沿って谷折りされた凹形稜線１２が形成されている。そして凸形稜線１１の上側には上向き斜面１３が形成され、凸形稜線１１の下側には下向き斜面１４が形成される。凹形稜線１２が下向き斜面１４の下端となるようにしてあり、この凹形稜線１２を境界にして、一つ下の吊下ユニット１０の上向き斜面１３と接続することにより、吊下ユニット１０がジグザグ状となって周期的に連続するようにしてある。

【0036】

下向き斜面１４には陳列品を吊り下げるときの吊下部となるスリット１５が形成され、上向き斜面１３にはスリット１５と連なる差込穴１６が形成してある。本実施例では差込穴１６は凸形稜線１１から少し離れた位置に形成してあり、下向き斜面１４のスリット１５を上向き斜面１３側まで延長した延長スリット１７を設けて差込穴１６に連なるようにしてある。この延長スリット１７は落下防止用のストッパとして機能させるために設けてある。

【0037】

ここで、陳列装置Ａで吊り下げられるパウチ容器について説明する。図４は液体飲料が充填されたスパウトパウチの一例を示す図である。スパウトパウチ２０は上部に管状のスパウト部２１が形成されたパウチ本体２２と、スパウト部２２を密閉するキャップ２３とからなり、スパウト部２２の外周には上下２枚の方形のフランジ部２４が形成してある。このフランジ部２４の寸法を左右幅ＷＬ、上下幅ＤＬとする。

【0038】

下向き斜面１４のスリット１５の左右幅ＬＡおよび上下幅ＬＢは、吊下対象のスパウトパウチ２０のフランジ部２４（図４参照）との関係で定められる。
すなわち、図５に示すように、スリット１５（および延長スリット１７）の左右幅ＬＡの寸法は、フランジ部２４の左右幅ＷＬの寸法よりも小さくしてある。また、スリット１５の上下幅ＬＢの寸法（図３）はフランジ部２４の上下幅ＤＬの寸法（図４）と同じか大きくしてある。本実施例では同じ寸法となるようにしてある。
下向き斜面１４の上下方向の長さＬは、スリット１５の上下幅ＬＢと等しいか大きければよいが、本実施例では同じ寸法となるようにしてあり、したがってスリット１５の下端が凹形稜線１２と一致するようにしてある。
上向き斜面１３の差込穴１６はフランジ部２４の左右幅ＷＬ、上下幅ＤＬよりも大径の丸穴にして、フランジ部２４が差込穴１６に挿通できるようにしてある。

【0039】

次にスパウトパウチ２０を陳列装置Ａに吊り下げる動作について説明する。図６は複数のスパウトパウチ２０を吊り下げた状態を示す側面図であり、図７は吊下げた状態の裏側を示した図である。

【0040】

スパウトパウチ２０を吊り下げるときは陳列装置Ａの前面側から差込穴１６に上下２枚の方形のフランジ部２４のうち上側１枚を裏側まで挿通し、上下２枚のフランジ部２４の間にスリット１５の側辺が挟まれるようにしてスリット１５の下端に当接するまで移動させる。本実施例ではスリット１５の上下幅ＬＢとフランジ部２４の上下幅ＤＬとが同寸法となるようにしてあり、スリット１５の上下幅ＬＢが下向き斜面１４の上下の長さＬと同じにしてある。よってフランジ部２４の片側端面が延長スリット１７に当接し、フランジ部２４の他方側端面がスリット１５の端面に当接するのでフランジ部２４がスリット１５内に固定されるととともに、延長スリット１７が落下防止用のストッパとして働くようになる。

【0041】

スリット１５に吊り下げられたスパウトパウチ２０は、パウチ本体２２が凹形稜線１２を超えて直下にある一段下の吊下ユニット１０の上向き斜面１３に接するようになり、自重の一部をこの上向き斜面１３で支持することができるようになる。なお、パウチ本体２２の袋体の大きさ、下向き斜面１４の長さＬ、上向き斜面１３の長さ、スリット１５の上下幅ＬＢ等との相互の関係によって、一つのスパウトパウチ２０が一つ下の上向き斜面１３に直接接するだけでなく、一段下に吊り下げられたスパウトパウチ２０のパウチ本体２２に接することもある。その場合もスパウトパウチ２０の自重の一部を、他のスパウトパウチ２２を介して、間接的に一段下の上向き斜面１３、あるいは二段下の上向き斜面１３で支持することができるようになる。

【0042】

なお、図１に示すように、最上段の吊下げユニット１０aには上向き斜面１３を延長して吊紐用穴１８が設けてあり、最下段の吊下げユニット１０ｂには、スリット１５の下辺を形成するために延長面１９が設けてある。後述する他の実施例についても同様に最上段と最下段の吊下げユニットには必要な場合に端末処理を施してあるが、それらについては説明を省略する。

【0043】

（第二実施例、第三実施例）
図８は本発明の他の一実施例である陳列装置Ｂの全体構成を示す側面図であり、図９は陳列装置Ｂを部分拡大した斜視図である。また、図１０は陳列装置Ｂを立体形状にする前の展開図である。この陳列装置Ｂは鉤状フックで陳列品を吊り下げるものであり、例えば包装容器に形成してある貫通穴を鉤状フックに引っ掛けて陳列する際に適している。

【0044】

陳列装置Ｂは、装置全体が細長いシート状のボール紙を用いて製造され、長手方向となる上下方向に沿って複数の吊下げユニット３０、３０、・・・が連続して形成される。各吊下ユニット３０には、左右方向の山折り線３１aに沿って山折りされた凸形稜線３１が形成され、その下側に左右方向の谷折り線３２ａに沿って谷折りされた凹形稜線３２が形成されている。そして凸形稜線３１の上側には上向き斜面３３が形成され、凸形稜線３１の下側には下向き斜面３４が形成される。凹形稜線３２が下向き斜面３４の下端となるようにしてあり、この凹形稜線３２を境界にして、一つ下の吊下ユニット３０の上向き斜面３３と接続することにより、吊下ユニット３０がジグザグ状となって周期的に連続するようにしてある。

【0045】

図１０に示すように、陳列装置Ｂのシート上の下向き斜面３４となる領域には鉤状の切線３５ａと、この切線３５ａの両端を結んで上下方向に延びる谷折り線３６ａとが形成してあり、切線３５ａに沿って鉤状フック３５を切り出して谷折りで前方に折り曲げて立体形状にすることにより、図９に示すように吊下部となる鉤状フック３５を突出させるようにしてある。

【0046】

また、陳列装置Ｂの各吊下ユニット３０は、鉤状の切線３５ａが谷折り線３６ａの左側に形成される吊下ユニット３０（ａ）と、右側に形成される吊下ユニット３０（ｂ）とが交互に並ぶようにすることで、鉤状フック３５が切り出された後の切り欠き３７(図９）を左右均等に配置して下向き斜面３４の強度バランスをとるようにしてある。

【0047】

また、図１１は鉤状フック３５（図９）を改良した陳列装置Ｃの全体構成を示す図であり、図１２はその部分拡大斜視図、図１３は陳列装置Ｃを立体形状にする前の展開図である。図１１～図１３において図８～図１０と同じ構成部分（山折り線３１a、凸形稜線３１、谷折り線３２ａ、凹形稜線３２、谷折り線３６a）については同符号を付すことにより説明の一部を省略する。

【0048】

陳列装置Ｃは、装置全体が細長いシート状のボール紙を用いて製造され、長手方向となる上下方向に沿って複数の吊下げユニット４０、４０、・・・が連続して形成される。各吊下ユニット４０における、凸形稜線３１の上側には上向き斜面４３、凸形稜線３１の下側には下向き斜面４４が形成される。凹形稜線３２が下向き斜面４４の下端となるようにしてあり、この凹形稜線３２を境界にして、一つ下の吊下ユニット４０の上向き斜面４３と接続することにより、吊下ユニット４０がジグザグ状となって周期的に連続するようにしてある。
陳列装置Ｃでは、（図８における鉤状フック３５に代えて）爪片４５が延設された鉤状フック４６を吊下部としている。すなわち、図１３に示すように、下向き斜面４４となる領域には鉤状の切線３５ａが形成されるとともに、下側に隣接する吊下ユニット４０の上向き斜面４３となる領域には谷折り線３２ａ(凹形稜線３２)を超えて延設された爪片４５の切線４５ａが形成され、これらが一体となった爪片付き鉤状の切線４６aが形成されている。谷折り線３６ａを隣接する吊下ユニット４０の上向き斜面４３に延長した位置には爪片４５を挿入するスリット４７が形成されている。

【0049】

そして切線４６ａに沿って鉤状フック４６を切り出して谷折り線３６ａで前方に折り曲げて立体形状にすることにより、吊下部となる鉤状フック４６を突出させるようにしてある。鉤状フック４６に含まれる爪片４５はスリット４７に差し込まれることで鉤状フック４６は隣接する吊下ユニット４０の上向き斜面４３にも固定されて支持されるようになる。

【0050】

陳列装置Ｃの各吊下ユニット４０は、鉤状の切線３５ａが谷折り線３６ａの左側に形成される吊下ユニット４０（ａ）と、右側に形成される吊下ユニット４０（ｂ）とが交互に並ぶようにすることで、鉤状フック４６が切り出された後の切り欠き４８(図１２）を左右均等に配置して下向き斜面４４および上向き斜面４３の強度バランスをとるようにしてある。

【0051】

図１４は陳列装置Ｃに陳列品を吊り下げた状態を示す図である。陳列品の包装容器４９の上部に貫通穴４９ａが設けてあり、鉤状フック４６に貫通穴４９ａを引っ掛けることにより吊り下げることができる(図８の陳列装置Ｂについても同様である）。

【0052】

（第四実施例）
図１５は本発明の他の一実施例である陳列装置Ｄの全体構成を示す図であり、図１６は陳列装置Ｄを立体形状にする前の展開図である。この陳列装置Ｄは包装容器に鉤状フックが形成されている陳列品を吊り下げて使用するのに適しており、例えば歯ブラシ等の包装容器の陳列販売に使用できる。

【0053】

陳列装置Ｄは、装置全体が細長いシート状のボール紙を用いて製造され、長手方向となる上下方向に沿って複数の吊下げユニット５０、５０、・・・が連続して形成される。
各吊下ユニット５０には上下方向に延びる縦切線６０ａが形成されている。縦切り線６０ａの上端の片側（実施例では右側）には第一山折り線６１ａに沿って山折りで折り曲げられる第一凸形稜線６１、上端と下端との間（実施例では上端と下端の中央位置）には第一谷折り線６２ａに沿って谷折りで折り曲げられる第一凹形稜線６２が形成されている。縦切り線６０ａの他方側（実施例では左側）には、上端と下端との間（実施例では上端と下端の中央位置）に第二山折り線６３ａに沿って山折りで折り曲げられる第二凸形稜線６３、下端に第二谷折り線６４ａによって谷折りで折り曲げられる第二凹形稜線６４が形成されている。そして第一凸形稜線６１、第一凹形稜線６２、第二凸形稜線６３、第二凹形稜線６４で囲まれた位置（後述する第一下向き斜面６６と第二下向き斜面６７との間）には、左右方向に開いた（縦切り線６０ａが開口端となる）第一開口６０が形成されている。

【0054】

第一凸形稜線６１および第二凸形稜線６３の上側には第一上向き斜面６５、第一凸形稜線６１と第一凹形稜線６２との間には第一下向き斜面６６、第二凸形稜線６３と第二凹形稜線６４との間には第二下向き斜面６７、第一凹形稜線６２および第二凹形稜線６４の下側には第二上向き斜面６８が形成されている。本実施例では一の吊下げユニット５０の第二上向き斜面６８と、その下側に隣接する吊下げユニット５０の第一上向き斜面６５とが境界線６９で周期的に連続する。なお、この境界線６９は仮想上の境界線であり、第二上向き斜面６８と隣接する第一上向き斜面６５は実質的に同一の上向き斜面である。

【0055】

また第二下向き斜面６７上には、縦切り線６０ａから離れた位置に切り線７０ａに沿って切り出された第二開口７０が形成され、第一開口６０と第二開口７０とに挟まれた第二下向き斜面上には帯片７１が形成されている。この帯片７１の形状は、吊り下げようとする陳列品の包装容器等に形成されている鉤状フック等に合わせて引っ掛けやすい大きさ、形状にしてある。

【0056】

図１７は陳列装置Ｄに陳列品を吊り下げた状態を示す図である。本実施例では細長い商品（歯ブラシ等）を包装容器７２に入れて陳列品として陳列販売している。包装容器７２の上部には鉤状フック７３が設けてある。これを第一開口６０および第二開口７０を利用して帯片７１に引っ掛けることにより包装容器７２を吊り下げることができる。包装容器７２の自重の一部は鉤状フック７３との接触部分で帯片７１により支持され、包装容器７２の自重の他の一部は包装容器７２が上向き斜面６８または上向き斜面６５と接する部分で支持される。

【0057】

（第五実施例）
図１８は本発明の他の一実施形態である陳列装置Ｅを示す斜視図であり、図１９は背面側から見た図である。図２０は図１８の陳列装置Ｅを立体形状にする前の展開図であり、（ａ）は第一シート、（ｂ）は第二シートである。

【0058】

この陳列装置Ｅは第一実施例で説明した陳列装置Ａと同様のパウチ容器入りの陳列品を吊り穴で陳列するものである。陳列装置Ａでは吊下部となるスリット１５から１つの陳列品が取り外されると、その吊下部の吊下ユニット１０が下方に伸びる変形が生じるが、陳列装置Ｅではこのような変形を小さく抑えるようにしてある。なお、吊り下げられるパウチ容器とパウチ容器を吊り下げるスリットとの寸法関係については同様であるので説明を省略する。

【0059】

陳列装置Ｅは、吊下ユニット８０が上下方向に連続して並ぶように形成された第一シート９０と、第一シート９０の背面側に連結される第二シート９１からなる。第一シート９０、第二シート９１は細長いシート状のボール紙を用いて製造されている。

【0060】

第一シート９０の各吊下ユニット８０には、左右方向の山折り線８１aに沿って山折りされた凸形稜線８１が形成され、その下側に左右方向の谷折り線８２ａに沿って谷折りされた凹形稜線８２が形成されている。そして凸形稜線８１の上側には上向き斜面８３が形成され、凸形稜線８１の下側には下向き斜面８４が形成される。凹形稜線８２が下向き斜面８４の下端となるようにしてあり、この凹形稜線８２を境界にして、一つ下の吊下ユニット８０の上向き斜面８３と接続することにより、吊下ユニット８０がジグザグ状となって周期的に連続するようにしてある。

【0061】

下向き斜面８４には陳列品を吊り下げるときの吊下部となるスリット８５が形成され、上向き斜面８３にはスリット８５と連なる差込穴８６が形成してある。差込穴８６は凸形稜線８１から少し離れた位置に形成してあり、下向き斜面８４のスリット８５を上向き斜面８３側まで延長した延長スリット８７を設けて差込穴８６に連なるようにして落下防止用のストッパとして機能させてある。

【0062】

下向き斜面８４のスリット８５の下端と凹形稜線８２との間は離れており、この凹形稜線８２の上側に切り線８８ａによる爪片８８が形成してある。
第二シート９１には各吊下ユニット８０の爪片８８の位置に対応させてスリット８９が形成してある。そして爪片８８をスリット８９に差し込んで係止することにより第一シート９０の背面側に第二シート９１が連結されるようにしてある。

【0063】

本実施例では、第一シート９０の各吊下ユニット８０のスリット８５にパウチ２０が吊り下げられた状態でいずれか１つのパウチ２０を取り外しても、第二シート９１と第一シート９０とが吊下ユニット８０ごとに係止されているため、第一シート９０が変形することが抑制される。
なお、本実施例はパウチ容器用の陳列装置Ａを例に説明したが、他の実施例である陳列装置Ｂ～陳列装置Ｄについても凹形稜線の一部（切り欠きのない部分）に爪片を設けるようにすれば、同様に連結することができる。

【0064】

（変形実施例）
以上、いくつかの実施例について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば上記実施例ではいずれも一つの吊下げユニットに１つの吊下具を設けていたが、図２１に示すように陳列装置Ｆの各吊下ユニット１００に吊下具となるスリット１５を左右方向に複数並べるようにして陳列数を増やしてもよい。

【0065】

また、本発明の陳列装置は基本的にシート１枚だけで形成できるので、例えば図２１に示すように、陳列品等を配送する紙箱１１０を利用してその壁面に陳列装置Ａを加工しておくことで、陳列品と同時に配送することができる。この場合、ミシン目で切り線部分を加工しておき、陳列時に切り取るようにすればよい。

【0066】

また、本発明の陳列装置はいずれも頑丈な背板を備えていないので、吊り下げた陳列品の自重の影響を受けて、陳列装置Ａ～Ｄだけでなく、第二シートを備えた陳列装置Ｅも含めて上下方向に湾曲する傾向がある。そのため、店舗等での陳列する際には、背後にワイヤーネットや什器の壁面等がある場所に本発明の陳列装置を吊り下げるようにして、これらを背板代わりにして、各吊下ユニットの凹形稜線が接するようにすれば、ほぼ鉛直に吊り下げることができる。

【産業上の利用可能性】

【0067】

本発明は商品等を吊り下げる陳列装置として利用できる。

【符号の説明】

【0068】

１０、３０、４０、５０、８０、１００ 吊下ユニット
１１、３１、８１ 凸形稜線（山折り線）
１２、３２、８２ 凹形稜線（谷折り線）
１３、３３、４３、８３ 上向き斜面
１４、３４、４４、８４ 下向き斜面
１５、８５ スリット
１６、８６ 差込穴
１７、８７ 延長スリット
１８ 吊紐用穴
１９ 延長面
２０ スパウトパウチ
２１ スパウト部
２２ パウチ本体
２３ キャップ
２４ フランジ部
３５、４６ 鉤状フック
３７、４８ 切り欠き
４５ 爪片
４９ 包装容器
６０ 第一開口
６１ 第一凸形稜線（山折り線）
６２ 第一凹形稜線（谷折り線）
６３ 第二凸形稜線（山折り線）
６４ 第二凹形稜線（谷折り線）
６５ 第一上向き斜面
６６ 第一下向き斜面
６７ 第二下向き斜面
６８ 第二上向き斜面
７０ 第二開口
８８ 爪片（係止爪）
８９ スリット（係止穴）

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】

【図22】