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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166158
(43)【公開日】2023-11-21
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 6/18 20060101AFI20231114BHJP
【FI】
B65D6/18 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022076990
(22)【出願日】2022-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】籔田 貴志
(72)【発明者】
【氏名】和田 吉弘
【テーマコード(参考)】
3E061
【Fターム(参考)】
3E061AA05
3E061AB09
3E061CA06
3E061DB11
3E061DB17
(57)【要約】
【課題】組立状態と折畳状態とに状態変化させる際の作業性の向上を図ることのできる容器を提供する。
【解決手段】容器1は、平面視略矩形状の底壁構成部4の各側辺部から上方に延びる側壁部5、6と、側壁部5、6の上辺部に沿って設けられる四角枠状の上枠7とを備え、側壁部6は、上辺部が上枠7に対して回動可能に連結され、上下方向に延在する起立姿勢と、底壁構成部4の上方に畳まれる折畳姿勢との間を回動変位可能である。容器1は、起立姿勢とされた側壁部6の変位を規制するロック状態と、折畳姿勢とされる側への変位を許容するロック解除状態とに状態変化可能なロック部材21を備え、ロック部材21は、ロック部材21をロック状態とされる側に付勢する板バネ部23を備える。容器1は、折畳姿勢の側壁部6を起立姿勢とする場合に、ロック部材21をロック解除状態とされる側へと変位可能なガイド部56、57を備える。
【選択図】 図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視略矩形状の底壁構成部と、前記底壁構成部の各側辺部からそれぞれ上方に延びる側壁部と、前記側壁部の上辺部に沿って設けられる四角枠状の上枠とを備え、
前記側壁部は、下辺部が前記底壁構成部の側辺部に対して回動可能に連結される下壁部と、上辺部が前記上枠に対して回動可能に連結されるとともに、下辺部が前記下壁部の上辺部に対して回動可能に連結される上壁部とを具備する相対する一対の第1側壁部と、上辺部が前記上枠に対して回動可能に連結される相対する一対の第2側壁部とを備え、
箱型に組立てられた組立状態から、前記第2側壁部を内側に回動変位させるとともに、前記下壁部の外面と前記上壁部の外面とを合わせるようにして前記第1側壁部を内側に折畳むことで、前記第1側壁部及び前記第2側壁部が前記底壁構成部の上方に折畳まれた折畳状態とすることのできる容器において、
前記第2側壁部は、上下方向に延在する起立姿勢と、前記底壁構成部の上方に畳まれる折畳姿勢との間を回動変位可能に構成され、
前記起立姿勢とされた前記第2側壁部の変位を規制するロック状態と、前記起立姿勢とされた前記第2側壁部の前記折畳姿勢とされる側への変位を許容するロック解除状態とに状態変化可能なロック部材と、
前記ロック部材を前記ロック状態及び前記ロック解除状態のどちらの状態でも保持可能な保持部とを備え、
前記ロック部材は、当該ロック部材が少なくとも前記ロック解除状態にある場合に当該ロック部材を前記ロック状態とされる側に付勢する付勢手段と、前記容器が前記組立状態にある場合に前記容器の内方側から操作可能な解除操作部とを備え、
前記折畳姿勢にある前記第2側壁部が前記起立姿勢とされる場合に、前記ロック部材に当接する当接部を備え、
前記ロック部材のうち前記当接部に当接可能な部位、及び、前記当接部のうち少なくとも一方には、前記折畳姿勢にある前記第2側壁部が前記起立姿勢とされる場合に、前記付勢手段の付勢力に抗して前記ロック部材を前記ロック解除状態とされる側へと変位可能なガイド部が設けられ、
前記第2側壁部が前記起立姿勢とされることで、前記ガイド部により前記ロック部材が前記ロック解除状態とされる側に変位させられる状態が解除され、前記付勢手段の付勢力により前記ロック部材が前記ロック状態へと変位するように構成されていることを特徴とする容器。
【請求項2】
前記保持部は、前記第2側壁部に設けられ、
前記解除操作部は、前記第2側壁部の厚み方向に対して略直交する方向を含む方向に突出する指掛け部を備えるとともに、前記容器が前記組立状態にある場合に前記容器の内方側から前記指掛け部の裏面側に指先を掛けることを許容する指掛け空間部を有していることを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記第2側壁部には、前記保持部の周辺部のうち前記ロック部材が前記ロック解除状態とされる場合に近付く部位に隣接又は近接して、前記容器が前記組立状態にある場合に前記容器の内方側から接触可能な補助指掛け凹部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の容器。
【請求項4】
前記ロック部材は、前記容器の前記組立状態において前記容器の内方側から前記付勢手段の少なくとも一部を覆うカバー部を備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の容器。
【請求項5】
前記保持部は、収容凹部を備え、
前記ロック部材は、前記収容凹部から前記容器の内方側に突出することなく前記収容凹部の内側に収まる構成であり、
前記収容凹部は、少なくとも前記ロック部材が前記ロック解除状態とされる場合に弾性変形する前記付勢手段と当接可能な付勢支持部を備えるとともに、前記付勢支持部の前記容器の内方側において、前記ロック部材が前記ロック解除状態とされる場合に前記カバー部が受容される受容部を備えていることを特徴とする請求項4に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の運搬等に使用される容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、平面視略矩形状の底壁構成部と、底壁構成部の各側辺部からそれぞれ上方に延びる側壁部と、側壁部の上辺部に沿って設けられる四角枠状の上枠とを備え、上方に開口する箱型に組立てられた組立状態と、各側壁部が底壁構成部の上方に折畳まれた折畳状態とに状態変化可能な容器が知られている。当該容器の側壁部は、下辺部が底壁構成部の側辺部に対して回動可能に連結される下壁部と、上辺部が上枠に対して回動可能に連結されるとともに、下辺部が下壁部の上辺部に対して回動可能に連結される上壁部とを具備する相対する一対の第1側壁部と、上辺部が上枠に対して回動可能に連結される相対する一対の第2側壁部とを備えている。そして、組立状態にある容器は、先ず、第2側壁部を容器の内側に押上げてから、下壁部の外面と上壁部の外面とを合わせるようにして第1側壁部を容器の内側に折畳むことで、折畳状態とされるようになっている。
【0003】
また、容器が組立状態にある場合に、上枠や底壁構成部等に対する第2側壁部の相対変位を規制するロック状態と、前記相対変位を許容するロック解除状態とに状態変化可能なロック部材を設けるといった技術がある(例えば、特許文献1等参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-103694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1に記載の容器は、ロック状態にあるロック部材をロック解除状態とする場合、及び、ロック解除状態にあるロック部材をロック状態とする場合のどちらの場合においても作業者がロック部材を操作する必要があり、容器を組立状態と折畳状態とに状態変化させる(第2側壁部を回動変位させる)際の作業性の低下を招くことが懸念される。
【0006】
本発明は上記例示した問題点等を解決するためになされたものであって、その目的は、組立状態と折畳状態とに状態変化させる際の作業性の向上を図ることのできる容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0008】
手段1.平面視略矩形状の底壁構成部と、前記底壁構成部の各側辺部からそれぞれ上方に延びる側壁部と、前記側壁部の上辺部に沿って設けられる四角枠状の上枠とを備え、
前記側壁部は、下辺部が前記底壁構成部の側辺部に対して回動可能に連結される下壁部と、上辺部が前記上枠に対して回動可能に連結されるとともに、下辺部が前記下壁部の上辺部に対して回動可能に連結される上壁部とを具備する相対する一対の第1側壁部と、上辺部が前記上枠に対して回動可能に連結される相対する一対の第2側壁部とを備え、
箱型に組立てられた組立状態から、前記第2側壁部を内側に回動変位させるとともに、前記下壁部の外面と前記上壁部の外面とを合わせるようにして前記第1側壁部を内側に折畳むことで、前記第1側壁部及び前記第2側壁部が前記底壁構成部の上方に折畳まれた折畳状態とすることのできる容器において、
前記第2側壁部は、上下方向に延在する起立姿勢と、前記底壁構成部の上方に畳まれる折畳姿勢との間を回動変位可能に構成され、
前記起立姿勢とされた前記第2側壁部の変位を規制するロック状態と、前記起立姿勢とされた前記第2側壁部の前記折畳姿勢とされる側への変位を許容するロック解除状態とに状態変化可能なロック部材と、
前記ロック部材を前記ロック状態及び前記ロック解除状態のどちらの状態でも保持可能な保持部とを備え、
前記ロック部材は、当該ロック部材が少なくとも前記ロック解除状態にある場合に当該ロック部材を前記ロック状態とされる側に付勢する付勢手段と、前記容器が前記組立状態にある場合に前記容器の内方側から操作可能な解除操作部とを備え、
前記折畳姿勢にある前記第2側壁部が前記起立姿勢とされる場合に、前記ロック部材に当接する当接部を備え、
前記ロック部材のうち前記当接部に当接可能な部位、及び、前記当接部のうち少なくとも一方には、前記折畳姿勢にある前記第2側壁部が前記起立姿勢とされる場合に、前記付勢手段の付勢力に抗して前記ロック部材を前記ロック解除状態とされる側へと変位可能なガイド部が設けられ、
前記第2側壁部が前記起立姿勢とされることで、前記ガイド部により前記ロック部材が前記ロック解除状態とされる側に変位させられる状態が解除され、前記付勢手段の付勢力により前記ロック部材が前記ロック状態へと変位するように構成されていることを特徴とする容器。
【0009】
手段1によれば、付勢手段が設けられることによって、ロック解除状態にあるロック部材をロック状態とするために作業者がロック部材をロック状態とされる側に変位させる等の操作が不要となる。さらに、第2側壁部が折畳姿勢にある場合にも付勢手段によりロック部材はロック状態に相当する位置で維持されることとなるが、折畳姿勢にある第2側壁部を起立姿勢とする際には、ロック部材が当接部に当接しても、ガイド部によりロック部材がロック解除状態とされる側に案内されて変位することから、ロック部材により第2側壁部を起立姿勢とすることが阻害されてしまうといった事態が回避される。そして、第2側壁部が起立姿勢とされたところで、ガイド部によるロック部材への干渉状態(ロック部材をロック解除状態側へ変位させる状態)が解消されることから、付勢手段の付勢力によりロック部材がロック状態とされる。従って、折畳姿勢にある第2側壁部を起立姿勢としてロック部材をロック状態とする際のロック部材への操作が不要となり、折畳状態にある容器を組立状態とする際の作業性の向上等を図ることができる。
【0010】
手段2.前記保持部は、前記第2側壁部に設けられ、
前記解除操作部は、前記第2側壁部の厚み方向に対して略直交する方向を含む方向に突出する指掛け部を備えるとともに、前記容器が前記組立状態にある場合に前記容器の内方側から前記指掛け部の裏面側(前記容器の外方側の面)に指先を掛けることを許容する指掛け空間部を有していることを特徴とする手段1に記載の容器。
【0011】
手段2によれば、組立状態にある容器を折畳状態とする場合に、指掛け部に指先を掛けてロック部材をロック解除状態側に変位させることが可能なだけでなく、そのまま指掛け部を容器の内側に引っ張るような格好で起立姿勢にある第2側壁部を折畳姿勢側に回動変位させることが可能となる。従って、ロック部材をロック解除状態とする操作、及び、第2側壁部を折畳姿勢側に回動変位させる操作を一連の動作でスムースに行うことができ、組立状態にある容器を折畳状態とする際の作業性の向上等を図ることができる。
【0012】
手段3.前記第2側壁部には、前記保持部の周辺部のうち前記ロック部材が前記ロック解除状態とされる場合に近付く部位に隣接又は近接して、前記容器が前記組立状態にある場合に前記容器の内方側から接触可能な補助指掛け凹部が設けられていることを特徴とする手段2に記載の容器。
【0013】
手段3によれば、ロック状態にあるロック部材をロック解除状態とする際に、ロック部材の指掛け部に指先(例えば、人差し指、中指等)を掛けるとともに、補助指掛け凹部にも別の指先(例えば、親指)を掛けた状態とすることで、作業者は手を握るようにしてロック部材を補助指掛け凹部に近付くように変位させてロック解除状態とすることができる。従って、ロック部材に対してロック解除状態とされる側に力を掛け易くすることができる。さらに、起立姿勢にある第2側壁部を折畳姿勢側へと回動変位させる場合に、上記のようにロック部材をロック解除状態とするとともに、指掛け部、及び、補助指掛け凹部に指先を掛けたまま第2側壁部を容器の内側に引っ張ることにより、第2側壁部を摘まむように把持して折畳姿勢側に回動変位させることができる。従って、第2側壁部の回動変位の途中で第2側壁部が作業者の指先から脱落する等の事態を抑止しつつ比較的スムースに第2側壁部を折畳姿勢側に変位させることができ、容器を折畳状態とする際の作業性の向上等を図ることができる。特に、指掛け空間部を介して、指掛け部の裏面側に指先を掛け易く構成されているため、かかる作用効果がより一層奏される。また、起立姿勢にある第2側壁部を折畳姿勢とする際に、ロック部材に対して指を掛けるだけでなく、第2側壁部の本体側に対しても指を掛けて力を加えることができ、ロック部材を保持部において保持するための構成の保護、及び、ロック部材の保持部からの脱落の防止等を図ることができる。
【0014】
手段4.前記ロック部材は、前記容器の前記組立状態において前記容器の内方側から前記付勢手段の少なくとも一部を覆うカバー部を備えていることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の容器。
【0015】
手段4によれば、付勢手段に対して接触を図り難くすることができ、付勢手段や、付勢手段に接触した容器の収容物等の損傷を抑止することができる。また、付勢手段の周辺部に異物が進入して付勢手段が好適に機能しなくなってしまうといった事態を抑止することができる。
【0016】
手段5.前記保持部は、収容凹部を備え、
前記ロック部材は、前記収容凹部から前記容器の内方側に突出することなく前記収容凹部の内側に収まる構成であり、
前記収容凹部は、少なくとも前記ロック部材が前記ロック解除状態とされる場合に弾性変形する前記付勢手段と当接可能な付勢支持部を備えるとともに、前記付勢支持部の前記容器の内方側において、前記ロック部材が前記ロック解除状態とされる場合に前記カバー部が受容される受容部を備えていることを特徴とする手段4に記載の容器。
【0017】
手段5によれば、ロック部材が収容凹部から容器の内方側に突出しないことから、容器への収容物がロック部材に対して引っ掛かるような格好で接触し難くすることができる。また、ロック部材がロック解除状態とされた場合にカバー部が付勢支持部の容器の内方側に設けられた受容部に受容されることから、付勢手段の付け根部と付勢支持部とを近接させることで付勢手段が弾性変形し、ロック部材をロック状態とされる側に付勢する構成とされる。このため、付勢手段等の簡素化等を図ることができる。
【0018】
さらに、例えば、受容部が省略された構成では、ロック部材をロック解除状態とする場合に、カバー部が付勢支持部に干渉することが懸念され、かかる干渉を回避するためには、カバー部に比べ付勢手段をより大きく突出させる必要が生じ、カバー部により付勢手段を覆う作用効果が小さくなることが懸念される。この点、受容部を設けることで、カバー部に対する付勢手段の大きさを比較的小さくすることができ、付勢手段が容器の内方側に露出する範囲を極力少なくする、又は、カバー部によって付勢手段を完全に覆うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】容器本体が組立状態にあり、蓋体を閉位置とした容器の斜視図である。
図2】容器本体が組立状態にあり、蓋体を開位置とした容器の斜視図である。
図3】容器本体が折畳状態にある容器の斜視図である。
図4】容器本体を折畳状態から組立状態とする(短辺側側壁部を起立姿勢とする)際の過程を示す斜視図である。
図5】ロック部材の内面側を示す斜視図である。
図6】ロック部材の外面側を示す斜視図である。
図7】短辺側側壁部の内面側から見た保持部を示す部分拡大斜視図である。
図8】短辺側側壁部の外面側下方位置から見た係合凹部及び保持部を示す部分拡大斜視図である。
図9】底壁突部を示す部分拡大斜視図である。
図10】保持部周辺部を示す模式(底壁構成部が省略された)部分拡大正面図であって、(A)は、ロック部材がロック状態にあり、(B)は、ロック部材がロック解除状態にある。
図11】ロック部材がロック状態とされた保持部周辺部を示す部分拡大断面図である。
図12】ロック部材がロック解除状態とされた保持部周辺部を示す部分拡大断面図である。
図13】短辺側側壁部を起立姿勢とする際に、ロック部材と、底壁突部とが当接した状態を示す部分拡大断面図である。
図14】容器本体を折畳状態から組立状態とする(短辺側側壁部を起立姿勢とする)際の過程を示す一部断面を含む部分拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。図1図2等に示すように、容器1は、上方に開口する略四角箱状の容器本体2と、容器本体2の開口部を閉塞可能な蓋体3とを備えている。容器本体2は、平面視略矩形状の底壁構成部4と、底壁構成部4の相対する一対の長辺部からそれぞれ上方に延在する第1側壁部としての長辺側側壁部5と、底壁構成部4の相対する一対の短辺部からそれぞれ上方に延在する第2側壁部としての短辺側側壁部6と、長辺側側壁部5及び短辺側側壁部6の上辺部に沿って設けられる略四角枠状の上枠7とを備えている。本実施形態の容器本体2、及び、蓋体3は、ポリプロピレンにより構成されている。
【0021】
また、長辺側側壁部5は、底壁構成部4の長辺部に対して回動変位可能に連結される下壁部8と、上枠7の長辺部に対して回動変位可能に連結される上壁部9とを備え、下壁部8の上辺部と上壁部9の下辺部とが回動変位可能に連結されている。本実施形態では、上壁部9と下壁部8との連結部を容器本体2の内側に押圧することで、上壁部9の外面と下壁部8の外面とを合わせるようにして長辺側側壁部5を折畳可能になっている。以下、上壁部9及び下壁部8が上下方向に延在する長辺側側壁部5の姿勢を長辺側側壁部5の起立姿勢と称し、上壁部9及び下壁部8が折畳まれた長辺側側壁部5の姿勢を長辺側側壁部5の折畳姿勢と称する。
【0022】
短辺側側壁部6は、上枠7の短辺部に対して回動変位可能に連結されている。本実施形態では、短辺側側壁部6を容器本体2の内側に押圧することで、短辺側側壁部6を略水平に延在するまで回動変位可能に構成されている(図4参照)。以下、上下方向に延在する短辺側側壁部6の姿勢を短辺側側壁部6の起立姿勢と称し、略水平方向に延在する短辺側側壁部6の姿勢を短辺側側壁部6の折畳姿勢と称する。また、短辺側側壁部6の横幅は、起立姿勢にある一対の長辺側側壁部5の間の距離とほぼ同じであり、全ての長辺側側壁部5、及び、短辺側側壁部6が起立姿勢とされた状態である容器本体2の組立状態では、短辺側側壁部6が一対の長辺側側壁部5の間に位置するように構成されている。さらに、短辺側側壁部6の上枠7に対する連結部は、長辺側側壁部5(上壁部9)の上枠7に対する連結部よりも上方に位置している。
【0023】
組立状態にある容器本体2を全ての長辺側側壁部5、及び、短辺側側壁部6が折畳姿勢とされた状態である折畳状態とする場合には、先ず、図4に示すように、一対の短辺側側壁部6を容器本体2の内側に押圧して略水平方向に延在するまで回動変位させてから、一対の長辺側側壁部5を容器本体2の内側に(折畳姿勢とされた短辺側側壁部6の下方に)折畳む。これにより、容器本体2は、底壁構成部4の上方に折畳姿勢の長辺側側壁部5が重なり(畳まれ)、当該長辺側側壁部5の上方に折畳姿勢の短辺側側壁部6が重なる(畳まれる)折畳状態(図3参照)とされる。
【0024】
また、図1図4等に示すように、各長辺側側壁部5の下壁部8、及び、上壁部9の左右両端部には、内面から突出する断面略L字状の側壁係合部11が設けられている。これに対し、短辺側側壁部6の外面側には、容器本体2を組立状態とした場合に、各側壁係合部11とそれぞれ係合される被側壁係合部(図示略)が設けられている。
【0025】
図2等に示すように、上枠7は、一対の長辺側側壁部5(上壁部9)にそれぞれ連結される一対の長辺部(以下、「長辺側枠構成部7a」と称する)と、一対の短辺側側壁部6にそれぞれ連結される一対の短辺部(以下、「短辺側枠構成部7b」と称する)とを備え、上枠7の外寸は、底壁構成部4の外寸とほぼ等しくなっている。また、容器本体2の折畳状態では、折畳姿勢とされた長辺側側壁部5及び短辺側側壁部6が上枠7の内周側に収容されるとともに、図3に示すように、底壁構成部4と上枠7とが上下に当接するように構成されている。
【0026】
図1図2に示すように、蓋体3は、上枠7の一方の長辺側枠構成部7aに対して回動変位可能に連結される第1蓋体3aと、他方の長辺側枠構成部7aに対して回動変位可能に連結される第2蓋体3bとを備えている。本実施形態では、第1蓋体3a及び第2蓋体3bと、長辺側枠構成部7aとが、それぞれ一対の連結部材12を介して連結されている。各連結部材12は、長辺側枠構成部7aに対し、長辺側枠構成部7aから上方に突出する閉鎖対応位置と、閉鎖対応位置から90度程度回動変位して、長辺側枠構成部7aから容器本体2の外方側に突出する開放対応位置との間を回動変位可能に連結されている。さらに、第1蓋体3a、及び、第2蓋体3bは、連結部材12のうち長辺側枠構成部7aから突出している部位に対して回動変位可能に連結されており、容器本体2の開口部を閉塞する閉位置と、閉位置から270度程度回動変位して、長辺側側壁部5の外面に沿って上下に延在する開位置との間を回動変位可能に構成されている。
【0027】
尚、図1に示すように、上枠7の各短辺側枠構成部7bの外側面には、折畳状態にある容器本体2を組立状態とするべく上枠7を持ち上げる際に操作される組立操作部14が設けられている。さらに、容器本体2の組立状態において、組立操作部14の下方に位置する短辺側側壁部6の外面側の上部には、組立状態にある容器本体2(容器1)を持ち運ぶ際に操作される持ち手部15が設けられている。
【0028】
さて、図2図11図12等に示すように、容器1は、起立姿勢とされた短辺側側壁部6の変位を規制するロック状態と、起立姿勢とされた短辺側側壁部6の折畳姿勢とされる側への変位を許容するロック解除状態とに状態変化可能なロック部材21を備えている。詳しくは後述するが、ロック部材21は、各短辺側側壁部6の内面側に取付けられ、上下方向(短辺側側壁部6の高さ方向)にスライド変位可能に構成されている。
【0029】
図5図6図10(A)、図11に示すように、ロック部材21は、容器本体2の内方側に開口する略桝形の本体部22と、本体部22の上辺部の横幅方向略中央部から上方かつ側方に向けて延びる付勢手段としての左右一対の板バネ部23と、本体部22の下辺部のうち横幅方向中央部を含む部位を上下2層とするようにして設けられた下部補強部24と、下部補強部24の下面のうち容器本体2の外方側の部位から下方に突出するロック部25と、本体部22の左右の側辺部のうち容器本体2の外方側の部位から本体部22の側方に突出し、本体部22の側辺部の上下幅全域に延在する被案内部26とを備えている。さらに、図6に示すように、本体部22のうち容器本体2の外方側の面には、上下方向に延在する左右一対の案内溝27が設けられている。本実施形態のロック部材21は、ポリプロピレンにより一体的に形成されている。
【0030】
図2図14に示すように、短辺側側壁部6は、内面側の横幅方向中央部の下部において、ロック部材21をロック状態及びロック解除状態のどちらの状態でも保持可能な保持部31を備えている。図7図10(A)、図11に示すように、保持部31は、容器本体2の内方側に開口し、ロック部材21の本体部22を収容可能な収容凹部32と、収容凹部32の上縁部を構成し、板バネ部23と当接可能な付勢支持部33と、収容凹部32の両側縁部から収容凹部32の内側に突出し、ロック部材21の被案内部26のうち容器本体2の内方側の面と当接(摺接)可能な第1案内突部34と、収容凹部32の奥面(容器本体2の内方側を向く面)から容器本体2の内方側に突出し、ロック部材21の案内溝27に挿入される第2案内突部35(図7参照)とを備えている。
【0031】
また、図7図8に示すように、短辺側側壁部6は、収容凹部32から所定距離を隔てた下方位置において短辺側側壁部6の下辺部を切欠くようにして形成された係合凹部36を備えている。係合凹部36の両側部には、係合凹部36の上縁部のうち短辺側側壁部6の内面側の部位から下方に延びる縦辺部と、縦辺部の下縁部から短辺側側壁部6の外面側に延びる水平辺部とを具備する断面略L字状の被係合部37が設けられている。
【0032】
さらに、保持部31は、収容凹部32の下縁部の横幅方向中央部を含む部位と、係合凹部36との間を連通させるとともに、ロック部材21のロック部25を挿入可能なロック開口部38を備えている。そして、図10(A)、図11等に示すように、ロック部材21の本体部22を収容凹部32に収容し、ロック部25をロック開口部38に挿入させることで、被案内部26の容器本体2の内方側の面が第1案内突部34に支持され、ロック部材21が保持部31に対し上下方向に相対変位可能に保持される(取付けられる)。尚、ロック部材21の取付状態では、保持部31の第2案内突部35が、ロック部材21の案内溝27に挿入され、ロック部材21の左右一対の被案内部26が収容凹部32の側縁部に略当接するとともに、ロック部25がロック開口部38の内周縁に略当接することとなり、これにより、ロック部材21のスライド変位が案内される。
【0033】
図4図9に示すように、底壁構成部4は、上面のうち各短側辺部の中央部から上方に突出し、起立姿勢とされた短辺側側壁部6の係合凹部36に収容される底壁突部41を備えている。底壁突部41の上面側には、凹状の被ロック部42が設けられている。さらに、底壁突部41の両側面の上辺部から底壁突部41の側方に突出する略板状の係合部43が設けられている。
【0034】
図2図11に示すように、短辺側側壁部6が起立姿勢とされた場合には、短辺側側壁部6の係合凹部36に対し底壁突部41が収容され、短辺側側壁部6の被係合部37が底壁突部41の係合部43と係合状態とされる。これにより、短辺側側壁部6の下部中央部において、上下方向、及び、短辺側側壁部6の横幅方向における短辺側側壁部6と底壁構成部4との相対変位が規制されるようになっている。
【0035】
本実施形態では、ロック部材21は、図10(A)に示すように、ロック部25の先端部(下端部)が係合凹部36に突出した位置と、図10(B)に示すように、ロック部25が係合凹部36から(上方に)離脱した位置との間を相対変位可能に構成されている。図11に示すように、短辺側側壁部6が起立姿勢にある場合には、保持部31のロック開口部38の位置と、底壁突部41の被ロック部42の位置とが合致し、ロック部25を係合凹部36側に突出させることで、ロック部25が被ロック部42に挿入され、係止状態とされる。当該ロック部25が被ロック部42と係止された状態がロック部材21のロック状態に相当する。尚、図10(A)に示すように、ロック部材21の下部補強部24の横幅はロック部25の横幅よりも広く構成されており、ロック部材21がロック状態にある場合には、下部補強部24が、収容凹部32の下縁部(ロック開口部38の両側部)に当接し、ロック部材21のそれ以上の下方への変位が規制される。
【0036】
その一方で、図12に示すように、ロック部材21を上方にスライド変位させることで、ロック部25が被ロック部42から抜け出してロック部25と被ロック部42との係止状態が解除された状態とされる。当該ロック部25と被ロック部42との係止状態が解除された状態がロック部材21のロック解除状態に相当する。
【0037】
図5図11等に示すように、ロック部材21は、容器本体2が組立状態にある場合に容器本体2の内方側から操作可能な解除操作部51を備えている。本実施形態の解除操作部51は、本体部22の上縁部のうち容器本体2の内方側の縁部から下方に突出する指掛け部52を備えるとともに、容器本体2が組立状態にある場合に容器本体2の内方側から指掛け部52の裏面側(容器本体2の外方側の面)に指先を掛けることを許容する指掛け空間部53(本体部22の内周側の空間)を有している。
【0038】
加えて、図7図10(A)、図11等に示すように、短辺側側壁部6には、保持部31の周辺部のうちロック部材21がロック解除状態とされる場合に近付く側の部位である上方部位に隣接(又は近接)して、容器本体2が組立状態にある場合に容器本体2の内方側から接触可能な補助指掛け凹部54が設けられている。起立姿勢にある短辺側側壁部6を折畳姿勢側に回動変位させる場合には、先ず、ロック部材21の指掛け空間部53を介して指掛け部52に指先(例えば、人差し指や中指等)を掛けてロック部材21を板バネ部23の付勢力に抗して上方に変位させ、ロック部材21をロック解除状態(図10(B)、図12参照)とする。このとき、補助指掛け凹部54にも別の指先(例えば、親指)を掛けることで、作業者は手を握るような動作でロック部材21を補助指掛け凹部54に近付くように変位させてロック解除状態とすることが可能となる。さらに、指掛け部52、及び、補助指掛け凹部54に指先を掛けたまま、短辺側側壁部6を容器本体2の内側に引っ張ることにより、短辺側側壁部6(解除操作部51と補助指掛け凹部54との間の部位)を摘まむ(握る)ように把持して、短辺側側壁部6を容器本体2の内側(折畳姿勢側)に回動変位させることとなる(図14参照)。尚、短辺側側壁部6を折畳姿勢側に回動変位させる過程では、ロック部材21が板バネ部23の付勢力に基づいてロック状態に相当する位置に保持される力加減で、解除操作部51と補助指掛け凹部54との間を摘まむように把持してもよい。
【0039】
また、ロック部材21は、一対の板バネ部23により常にロック状態とされる側(短辺側側壁部6が起立姿勢にある場合には下方)に付勢されている。このため、起立姿勢にある短辺側側壁部6が不用意に折畳姿勢とされる側に変位するといった事態が防止される。さらに、ロック部材21は、短辺側側壁部6が折畳姿勢にある場合にも、板バネ部23の付勢力によりロック状態に相当する位置(ロック部25が係合凹部36に突出する位置)とされており、図13図14に示すように、折畳姿勢にある短辺側側壁部6が起立姿勢とされる場合には、ロック部25が、当接部としての底壁突部41に当接することとなる。
【0040】
この点、底壁突部41は、底壁構成部4の中央部側において、折畳姿勢にある短辺側側壁部6が起立姿勢とされる場合にロック部材21のロック部25に当接し、上方に向けて底壁構成部4の外周側に傾斜する底壁側ガイド部56を備えている。さらに、ロック部25は、短辺側側壁部6の外面側である外面の先端部側の部位において、ロック部25の先端部側に向けて短辺側側壁部6の内面側に傾斜するロック側ガイド部57を備えている。
【0041】
そして、折畳姿勢にある短辺側側壁部6が起立姿勢とされる場合に、ロック部25のロック側ガイド部57と、底壁突部41の底壁側ガイド部56とが当接する。当該当接状態から短辺側側壁部6を起立姿勢側に押圧することで、底壁側ガイド部56、及び、ロック側ガイド部57の傾斜により案内される格好で、ロック部材21が板バネ部23の付勢力に抗してロック解除状態とされる側である上方に変位させられ、ロック解除状態とされる。その後、短辺側側壁部6が起立姿勢とされることで、底壁側ガイド部56、及び、ロック側ガイド部57によりロック部材21がロック解除状態とされる側に変位させられる状態が解除され、図11に示すように、板バネ部23の付勢力によりロック部材21がロック状態へと変位するように構成されている。
【0042】
また、図5図6図10(A)、図11に示すように、ロック部材21は、板バネ部23よりも容器本体2の内方側において、本体部22の上辺部から上方に突出する略四角板状のカバー部58を備えている。当該カバー部58により、容器本体2の組立状態において容器本体2の内方側から板バネ部23の一部が覆われることとなる。
【0043】
加えて、図10(A)~図12に示すように、保持部31の収容凹部32は、付勢支持部33の容器本体2の内方側において、ロック部材21がロック解除状態とされる場合にカバー部58が受容される受容部59を備えている。受容部59は、収容凹部32の上縁部を容器本体2の内方側において高い部位が設けられるようにして段差状に形成することで構成されている。
【0044】
図11等に示すように、本実施形態では、カバー部58を含むロック部材21は、受容部59を含む収容凹部32の内側に収まるように構成されており、収容凹部32に収容されたロック部材21は、短辺側側壁部6の内面よりも容器本体2の外方側に位置している。尚、本実施形態の短辺側側壁部6の内面は平坦であり、また、短辺側側壁部6において短辺側側壁部6の内面よりも容器本体2の内方側に突出した部位はなく、収容凹部32は短辺側側壁部6の内面から凹状に形成されている。
【0045】
以上詳述したように、本実施形態によれば、ロック部材21は、当該ロック部材21をロック状態とされる側に付勢する板バネ部23を備えている。これにより、ロック解除状態にあるロック部材21をロック状態とするために作業者がロック部材21をロック状態とされる側に変位させる等の操作が不要となる(自動的にロック部材21がロック状態となりロックのし忘れを防止することもできる)。さらに、短辺側側壁部6が折畳姿勢にある場合にも板バネ部23によりロック部材21はロック状態に相当する位置で維持されることとなるが、折畳姿勢にある短辺側側壁部6を起立姿勢とする際には、ロック部材21のロック部25が底壁突部41に当接しても、底壁側ガイド部56、及び、ロック側ガイド部57によりロック部材21がロック解除状態とされる側に案内されて変位することから、ロック部材21により短辺側側壁部6を起立姿勢とすることが阻害されてしまうといった事態が回避される。そして、短辺側側壁部6が起立姿勢とされたところで、底壁側ガイド部56、及び、ロック側ガイド部57によるロック部材21への干渉状態(ロック部材21をロック解除状態側へ変位させる状態)が解消されることから、板バネ部23の付勢力によりロック部材21がロック状態とされる。従って、折畳姿勢にある短辺側側壁部6を起立姿勢としてロック部材21をロック状態とする際のロック部材21への操作が不要となり、折畳状態にある容器本体2を組立状態とする際の作業性の向上等を図ることができる。
【0046】
また、組立状態にある容器本体2を折畳状態とする場合に、ロック部材21の解除操作部51の指掛け部52に指先を掛けてロック部材21をロック解除状態側に変位させることが可能なだけでなく、そのまま指掛け部52を容器本体2の内側に引っ張るような格好で起立姿勢にある短辺側側壁部6を折畳姿勢側に回動変位させることが可能となる。従って、ロック部材21をロック解除状態とする操作、及び、短辺側側壁部6を折畳姿勢側に回動変位させる操作を一連の動作でスムースに行うことができ、組立状態にある容器本体2を折畳状態とする際の作業性の向上等を図ることができる。
【0047】
さらに、ロック状態にあるロック部材21をロック解除状態とする際に、ロック部材21の指掛け部52に指先(例えば、人差し指、中指等)を掛けるとともに、補助指掛け凹部54にも別の指先(例えば、親指)を掛けた状態とすることで、作業者は手を握るようにしてロック部材21を補助指掛け凹部54に近付くように変位させてロック解除状態とすることができる。従って、ロック部材21に対してロック解除状態とされる側に力を掛け易くすることができる。さらに、起立姿勢にある短辺側側壁部6を折畳姿勢側へと回動変位させる場合に、上記のようにロック部材21をロック解除状態とするとともに、指掛け部52、及び、補助指掛け凹部54に指先を掛けたまま短辺側側壁部6を容器本体2の内側に引っ張ることにより、短辺側側壁部6を摘まむように把持して折畳姿勢側に回動変位させることができる。従って、短辺側側壁部6の回動変位の途中で短辺側側壁部6が作業者の指先から脱落する等の事態を抑止しつつ比較的スムースに短辺側側壁部6を折畳姿勢側に変位させることができ、容器本体2を折畳状態とする際の作業性の向上等を図ることができる。特に、指掛け空間部53を介して、指掛け部52の裏面側に指先を掛け易く構成されているため、かかる作用効果がより一層奏される。また、起立姿勢にある短辺側側壁部6を折畳姿勢とする際に、ロック部材21に対して指を掛けるだけでなく、短辺側側壁部6の本体側に対しても指を掛けて力を加えることができ、ロック部材21を保持部31において保持するための構成の保護、及び、ロック部材21の保持部31からの脱落の防止等を図ることができる。
【0048】
また、ロック部材21は、容器本体2の組立状態において容器本体2の内方側から板バネ部23の一部を覆うカバー部58を備えている。このため、板バネ部23に対して接触を図り難くすることができ、板バネ部23や、板バネ部23に接触した容器本体2の収容物等の損傷を抑止することができる。さらに、板バネ部23の周辺部に異物が進入して板バネ部23が好適に機能しなくなってしまうといった事態を抑止することができる。
【0049】
加えて、ロック部材21は、収容凹部32から容器本体2の内方側に突出しないことから、容器本体2への収容物がロック部材21に対して引っ掛かるような格好で接触し難くすることができる。また、ロック部材21がロック解除状態とされた場合にカバー部58が付勢支持部33の容器1の内方側に設けられた受容部59に受容されることから、付勢手段としての板バネ部23の付け根部と付勢支持部33とを近接させることで板バネ部23が弾性変形し、ロック部材をロック状態側に付勢する構成とされる。このため、ロック部材21をロック状態とされる側に付勢する付勢手段等の簡素化等を図ることができる。
【0050】
さらに、例えば、受容部59が省略された構成では、ロック部材21をロック解除状態とする場合に、カバー部58が付勢支持部33に干渉することが懸念され、かかる干渉を回避するためには、カバー部58に比べ板バネ部23をより大きく突出させる必要が生じ、カバー部58により板バネ部23を覆う作用効果が小さくなることが懸念される。この点、受容部59を設けることで、カバー部58に対する板バネ部23の大きさを比較的小さくすることができ、板バネ部23が容器本体2の内方側に露出する範囲を極力少なくすることができる。
【0051】
尚、ロック部材21が組立状態にある容器本体2の内方側のみから接触可能に構成されることにより、容器本体2に物品を収容した状態において容器本体2の外部から短辺側側壁部6のロック部材21のロック状態が解除されてしまうといった事態をより確実に防止することができる。例えば、容器1が運搬の途中で不正に開封され、収容物が覗かれたり抜き取られたりする等の事態を抑止することができ、セキュリティ性能の高い容器を提供することができる(容器本体2の組立状態において閉位置にある蓋体3の開位置側への変位を規制可能な蓋体ロック部材が設けられ、専用の解除部材を使用することで蓋体ロック部材のロック状態を解除可能に構成されており、ロック部材21をロック状態とすれば短辺側側壁部6を折畳姿勢側に変位させる等して容器1の内側へ不正な接触を図ることも防止される)。また、上下方向にスライド変位可能に構成されたロック部材21の板バネ部23は本体部22の上方に設けられていることから、ロック部材21自体の荷重が板バネ部23に付加されることを回避し、板バネ部23の経年劣化等の抑制を図ることができる。
【0052】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0053】
(a)上記実施形態では、容器本体2が組立状態にある場合に、起立姿勢にある(容器本体2が組立状態にある)短辺側側壁部6の変位を規制するロック部材21は、底壁構成部4(被ロック部42)に係合状態とされるように構成されているが、例えば、ロック部材21を短辺側側壁部6の側辺部近傍部位に対して短辺側側壁部6の横幅方向にスライド変位可能に設けて長辺側側壁部5と係合状態とされるように構成してもよいし、ロック部材21を短辺側側壁部6の上辺部近傍位置に対して上下方向にスライド変位可能に設けて上枠7(短辺側枠構成部7b)と係合状態とされるように構成してもよい。さらに、上記実施形態では、ロック部材21(保持部31)は、短辺側側壁部6に設けられているが、底壁構成部4、長辺側側壁部5、及び、上枠7のいずれかに設け、起立姿勢にある短辺側側壁部6の変位を規制可能に構成することも可能である。
【0054】
(b)上記実施形態では、カバー部58が容器本体2の内方側から板バネ部23の一部を覆うように構成されているが、板バネ部23の全体を覆うことが可能なように構成してもよい。尚、カバー部58を省略することも可能である。また、上記実施形態では、短辺側側壁部6の内面が平坦に構成されているが、短辺側側壁部6の厚み方向において部分的に凹凸が設けられるような構成としてもよい。さらに、ロック部材21は、収容凹部32から容器本体2の内方側に突出しないように構成されていればよく、例えば、短辺側側壁部6の厚み方向において、ロック部材21の容器本体2の内方側の端部と、収容凹部32のうち容器本体2の内方側の縁部とが同じ位置となるように構成してもよい。加えて、上記実施形態では、板バネ部23は、ロック部材21がロック状態とされている場合にもロック部材21をロック状態とされる側に付勢する付勢力を発生させているが、例えば、ロック部材21がロック解除状態とされている場合には弾性変形させられて付勢力を発生させる一方で、ロック部材21がロック状態とされている場合には弾性変形されていない状態となるように構成してもよい。また、上記実施形態において、底壁側ガイド部56、及び、ロック側ガイド部57のうち一方を省略することも可能である。
【0055】
(c)上記実施形態では、容器1(ロック部材21を含む)は、ポリプロピレンにより構成されているが、ポリエチレン、PET、ポリアミド等その他の樹脂材料により構成されることとしてもよい。また、上枠7に対して回動変位可能に連結される蓋体3に代えて、容器本体2に対して着脱自在な蓋体を被せることが可能な容器に具体化してもよいし、蓋体3が省略された容器に具体化してもよい。さらに、上記実施形態では、長辺側側壁部5が、下壁部8及び上壁部9を具備して第1側壁部を構成しているが、例えば、短辺側側壁部が下壁部及び上壁部を具備する第1側壁部を構成し、長辺側側壁部が第2側壁部を構成する容器に具体化することも可能である。
【符号の説明】
【0056】
1…容器、2…容器本体、4…底壁構成部、5…長辺側側壁部、6…短辺側側壁部、7…上枠、8…下壁部、9…上壁部、21…ロック部材、23…板バネ部、25…ロック部、31…保持部、32…収容凹部、33…付勢支持部、38…ロック開口部、41…底壁突部、42…被ロック部、51…解除操作部、52…指掛け部、53…指掛け空間部、54…補助指掛け凹部、56…底壁側ガイド部、57…ロック側ガイド部、58…カバー部、59…受容部。
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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