(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166168
(43)【公開日】2023-11-21
(54)【発明の名称】加湿ユニットを有する空気調和装置
(51)【国際特許分類】
F24F 11/41 20180101AFI20231114BHJP
F24F 6/00 20060101ALI20231114BHJP
F24F 6/10 20060101ALI20231114BHJP
F24F 1/0035 20190101ALI20231114BHJP
F24F 11/70 20180101ALI20231114BHJP
【FI】
F24F11/41 230
F24F6/00 331
F24F6/10
F24F1/0035
F24F11/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022077026
(22)【出願日】2022-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】赤木 貴亮
【テーマコード(参考)】
3L055
3L260
【Fターム(参考)】
3L055AA01
3L055CA04
3L260AB02
3L260BA36
3L260DA01
3L260DA09
(57)【要約】
【課題】除霜運転の効率向上。
【解決手段】空気調和装置(100)は、室内ユニット(20)と、室外ユニット(10)と、ヒータ(82)と、給気ファン(83)と、制御部(99)と、を備える。室内ユニット(20)は、室内熱交換器(25)を有する。室外ユニット(10)は、室外熱交換器(13)を有する。室内熱交換器(25)と室外熱交換器(13)は暖房運転時に、それぞれ、吸熱器と放熱器として機能する。ヒータ(82)は、外気を加熱くすることによって加熱空気を生成する。給気ファン(83)は、加熱空気を室内ユニット(20)へ送る。制御部(99)は、室外熱交換器の除霜運転において加熱空気を室内ユニット(20)へ送るように給気ファン(83)を動作させる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
暖房運転時に放熱器として機能する室内熱交換器(25)を有する室内ユニット(20)と、
暖房運転時に吸熱器として機能する室外熱交換器(13)を有する室外ユニット(10)と、
外気(AO)を加熱することによって加熱空気(AR)を生成するヒータ(82)と、
前記加熱空気を前記室内ユニットへ送るための給気ファン(83)と、
前記室外熱交換器の除霜運転において前記加熱空気を前記室内ユニットへ送るように前記給気ファンを動作させる制御部(99)と、
を備える、空気調和装置(100)。
【請求項2】
前記除霜運転から前記暖房運転に切り替わる場合、前記制御部は、前記加熱空気を前記室内ユニットへ送るように、前記ヒータ及び前記給気ファンの動作を継続させる、
請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項3】
前記加熱空気に水分を供給する加湿部材(81)と、
前記加湿部材に水分を吸着させるための吸着ファン(84)と、
をさらに備え、
前記制御部は、加湿運転において、加湿空気を前記室内ユニットへ供給するために前記吸着ファン、前記ヒータ、及び前記給気ファンを動作させ、
前記制御部は、前記除霜運転において前記吸着ファンを停止させる、
請求項1又は請求項2に記載の空気調和装置。
【請求項4】
前記除霜運転による前記室外熱交換器の除霜が完了した後に前記暖房運転に切り替わる場合であって、前記除霜運転に切り替わる前の運転が前記加湿運転を伴う前記暖房運転であった場合、前記制御部は、前記ヒータ及び前記給気ファンの動作を継続するとともに、停止している前記吸着ファンを動作させる、
請求項3に記載の空気調和装置。
【請求項5】
前記除霜運転による前記室外熱交換器の除霜が完了した後に前記暖房運転に切り替わる場合であって、前記除霜運転に切り替わる前の運転が前記加湿運転を伴わない前記暖房運転であった場合、前記制御部は、前記ヒータ及び前記給気ファンの動作を継続するとともに、停止している前記吸着ファンを停止させたままにする、
請求項3に記載の空気調和装置。
【請求項6】
前記室内熱交換器は、前側室内熱交換器(72)と後側室内熱交換器(71)を有し、
前記加熱空気は、前記給気ファンによって前記室内ユニットへ送られた後、前記前側室内熱交換器へ吹き付けられる、
請求項1又は請求項2に記載の空気調和装置。
【請求項7】
前記ヒータの出力は、500W以上である、
請求項1又は請求項2に記載の空気調和装置。
【請求項8】
前記加熱空気を前記ヒータから前記室内ユニットへ案内するホース(33)、
をさらに備える、
請求項1又は請求項2に記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヒータが搭載された加湿ユニットを有する空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2018-091579号公報)に開示される空気調和装置は、加湿ユニットを搭載した室外ユニットを有する。加湿ユニットは加湿ロータ、ヒータ、給気ファンを有する。加湿ロータは空気中の水分を補足する。ヒータは、加湿ロータを加熱し、水分を放出させることによって加湿空気を生成する。給気ファンは、加湿空気を室内ユニットへ供給する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
空気調和機の中には、室外ユニットの室外熱交換器に付着した霜を除去する除霜運転を行うものがある。室外熱交換器の除霜運転において、圧縮機の回転数を上げることによって除霜時間を短縮させたいが、従来の方法では、除霜運転中に吸熱器として機能する室内熱交換器の能力が足りないことによって、圧縮機の回転数を上げることができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1観点の空気調和装置は、室内ユニットと、室外ユニットと、ヒータと、給気ファンと、制御部と、を備える。室内ユニットは、室内熱交換器を有する。室外ユニットは、室外熱交換器を有する。室内熱交換器と室外熱交換器は暖房運転時に、それぞれ、吸熱器と放熱器として機能する。ヒータは、外気を加熱くすることによって加熱空気を生成する。給気ファンは、加熱空気を室内ユニットへ送る。制御部は、室外熱交換器の除霜運転において加熱空気を室内ユニットへ送るように給気ファンを動作させる。
【0005】
この構成によれば、除霜運転中に、加熱空気が室内ユニットへ送られ、室内熱交換器の温度が上昇する。したがって、室外熱交換器の除霜運転に要する時間を短縮することができる。
【0006】
第2観点の空気調和装置は、第1観点の空気調和装置において、除霜運転から暖房運転に切り替わる場合、制御部が、加熱空気を室内ユニットへ送るように、ヒータ及び給気ファンの動作を継続させる。
【0007】
この構成によれば、除霜運転において加熱空気を作るために動作していたヒータは、暖房運転に切り替わった場合においても動作し続ける。したがって、加熱空気が暖房運転においても室内ユニットへ送られるので、暖房運転に要する時間を短縮することができる。
【0008】
第3観点の空気調和装置は、第1観点又は第2観点の空気調和装置において、加湿部材と、吸着ファンと、をさらに備える。加湿部材は、加熱空気に水分を供給する。吸着ファンは、加湿部材に水分を吸着させる。制御部は、加湿運転において、加湿空気を室内ユニットへ供給するために吸着ファン、ヒータ、及び給気ファンを動作させる。制御部は、除霜運転において吸着ファンを停止させる。
【0009】
この構成によれば、除霜運転において、吸着ファンが停止する。したがって、除霜運転において室内ユニットへ送られる加熱空気は水分をあまり多く含まないので、室内熱交換器の結露が抑制され、ひいては、室内熱交換器から熱が奪われることが抑制される。
【0010】
第4観点の空気調和装置は、第3観点の空気調和装置において、
除霜運転による室外熱交換器の除霜が完了した後に暖房運転に切り替わる場合であって、除霜運転に切り替わる前の運転が加湿運転を伴う暖房運転であった場合、制御部が、ヒータ及び給気ファンの動作を継続するとともに、停止している吸着ファンを動作させる。
【0011】
第5観点の空気調和装置は、第3観点又は第4観点の空気調和装置において、除霜運転による室外熱交換器の除霜が完了した後に暖房運転に切り替わる場合であって、除霜運転に切り替わる前の運転が加湿運転を伴わない暖房運転であった場合、制御部が、ヒータ及び給気ファンの動作を継続するとともに、停止している吸着ファンを停止させたままにする。
【0012】
第6観点の空気調和装置は、第1観点から第5観点のいずれか1つの空気調和装置において、室内熱交換器が、前側室内熱交換器と後側室内熱交換器を有する。加熱空気は、給気ファンによって室内ユニットへ送られた後、前側室内熱交換器へ吹き付けられる。
【0013】
この構成によれば、加熱空気は前側室内熱交換器へ吹き付けられる。したがって、温度が低下しがちである前側室内熱交換器の温度を高く保つことにより、除霜能力を維持する。
【0014】
第7観点の空気調和装置は、第1観点から第6観点のいずれか1つの空気調和装置において、ヒータの出力が、500W以上である。
【0015】
この構成によれば、ヒータの出力は500W以上である。したがって、このようなヒータで生成された加熱空気を室内ユニットへ送ることにより、室外熱交換器の除霜効率を例えば約3%向上することができる。
【0016】
第8観点の空気調和装置は、第1観点から第7観点のいずれか1つの空気調和装置において、ホース、をさらに備える。ホースは、加熱空気をヒータから室内ユニットへ案内する。
【0017】
この構成によれば、加熱空気はホースによって、室外ユニットその他の箇所に設置されているヒータから室内ユニットに設置されている室内熱交換器へ送られる。したがって、ヒータが発生させる熱を効率よく室内熱交換器へ伝達することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、空気調和装置100の外観を示す模式図である。
【
図2】
図2は、空気調和装置100の内部構成を示す模式図である。
【
図3】
図3は、加湿装置17の構成を示す模式図である。
【
図4】
図4は、加湿装置17の構成を示す分解斜視図である。
【
図5】
図5は、加湿ロータ81の構成を示す模式図である。
【
図6】
図6は、室内ユニット20の側面視における断面図である。
【
図7】
図7は、ヒータ82へ投入される電力の大きさと、蒸発温度Teの上昇の大きさの関係を示すグラフである。
【
図8】
図8は、加湿を伴わない暖房運転と除霜運転の間の移行時における制御信号のタイミングチャートである。
【
図9】
図9は、加湿を伴う暖房運転と除霜運転の間の移行時における制御信号のタイミングチャートである。
【
図10】
図10は、除霜運転の最中における暖房運転への移行の制御を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、除霜運転の完了後における暖房運転への移行の制御を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、加湿運転を伴う暖房運転から除霜運転への移行の制御を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、加湿運転を伴わない暖房運転から除霜運転への移行の制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<基本実施形態>
(1)全体構成
図1に示す空気調和装置100は、室外ユニット10、室内ユニット20、接続管30を有する。接続管30は、室外ユニット10と室内ユニット20を接続する。
【0020】
図2は、空気調和装置100のより詳細な構成を示している。空気調和装置100が設置される空間は、建物の壁Wによって隔てられる室外空間SO及び室内空間SIの両方にわたっている。室外ユニット10は室外空間SOに設置される。室内ユニット20は室内空間SIに設置される。壁Wは、室内ユニット20が設置される部屋Rの一部を構成する。接続管30は壁Wを貫通しており、室外空間SO及び室内空間SIの両方に位置している。
【0021】
空気調和装置100は、冷房運転、暖房運転、加湿運転、除霜運転を実行できる。
【0022】
空気調和装置100は冷媒回路90を有する。冷媒回路90は、冷房運転のときに冷媒を図中の矢印Cの方向に循環させる。冷媒回路90は、暖房運転のときに冷媒を図中の矢印Hの方向に循環させる。
【0023】
(2)詳細構成
(2-1)室外ユニット10
室外ユニット10は、熱源として機能する。室外ユニット10は、冷媒回路90を構成する部品として、圧縮機11、四路切換弁12、室外熱交換器13、室外ファン14、室外膨張弁15、液閉鎖弁16a、及び、ガス閉鎖弁16bを有する。さらに、室外ユニット10は、室外ケーシング10a、加湿装置17、室外制御部19を有する。
【0024】
(2-1-1)室外ケーシング10a
室外ケーシング10aは、室外ユニット10の構成部品を収容する。室外ケーシング10aは、室外吸込口51、及び室外吹出口52を有する。
図2は、室外ユニット10の構成を模式的に示すものに過ぎず、どの構成部品が室外吸込口51の近くに配置されるとともに、別のどの構成部品が室外吹出口52の近くに配置されるかを示すものではない。
【0025】
(2-1-2)圧縮機11
圧縮機11は、低圧ガス冷媒を圧縮することによって、高圧ガス冷媒を作り出す。
【0026】
(2-1-3)四路切換弁12
四路切換弁12は、冷房運転のときに
図2の実線で示す接続を実現させる。四路切換弁12は、暖房運転のときに
図2の破線で示す接続を実現させる。
【0027】
(2-1-4)室外熱交換器13
室外熱交換器13は、冷媒と室外空気AOの間で熱交換を行う。室外熱交換器13は、冷房運転のときに凝縮器又は放熱器として機能する。室外熱交換器13は、暖房運転のときに蒸発器又は吸熱器として機能する。
【0028】
(2-1-5)室外ファン14
室外ファン14は、室外熱交換器13の熱交換を促進する。室外ファン14は、室外空気AOを室外吸込口51から取り込み、室外熱交換器13へ供給する。室外ファン14は、室外熱交換器13が熱交換を終えた空気を室外吹出口52から排出する。
【0029】
(2-1-6)室外膨張弁15
室外膨張弁15は、冷媒を減圧させる。室外膨張弁15は、冷媒の循環量を調節する。
【0030】
(2-1-7)液閉鎖弁16a、ガス閉鎖弁16b
液閉鎖弁16a及びガス閉鎖弁16bは、冷媒回路90のうち室外ユニット10の外部にある部分と、室外ユニット10の内部にある部分とを、互いに接続又は切断するためのものである。液閉鎖弁16a及びガス閉鎖弁16bは、冷媒回路90を閉鎖することができる。
【0031】
(2-1-8)加湿装置17
加湿装置17は、室外空気AOに水分を与えることによって、加湿空気AHを発生させる。加湿装置17の構成については後述する。
【0032】
(2-1-9)室外制御部19
室外制御部19は、センサの情報の取得、アクチュエータの制御、及び様々な演算を行うコンピュータである。
【0033】
(2-2)室内ユニット20
室内ユニット20は、室内空間SIに滞在するユーザに調和済みの室内空気AIを提供する。室内ユニット20は、冷媒回路90を構成する部品として、室内熱交換器25、及び、室内ファン26を有する。さらに、室内ユニット20は、室内ケーシング20a、加湿空気案内路27、室内制御部29を有する。
【0034】
(2-2-1)室内ケーシング20a
室内ケーシング20aは、室内ユニット20の構成部品を収容する。室内ケーシング20aは、室内吸込口61、及び室内吹出口62を有する。室内ケーシング20aは、内部空間XIを包囲する。
図2は室内ユニット20の構成を模式的に示すものに過ぎず、どの構成部品が室内吸込口61の近くに配置されるとともに、別のどの構成部品が室内吹出口62の近くに配置されるかを示すものではない。
【0035】
図6に示すように、室内ケーシング20aは、背面20b、前面20c、下面20d、上面20eを有している。背面20bは、壁Wに近接して配置される。前面20cは、室内空間SIに面して配置される。
【0036】
(2-2-2)室内熱交換器25
図2に戻り、室内熱交換器25は、冷媒と室内空気AIの間で熱交換を行う。室内熱交換器25は、冷房運転のときに蒸発器又は吸熱器として機能する。室内熱交換器25は、暖房運転のときに凝縮器又は放熱器として機能する。
【0037】
(2-2-3)室内ファン26
室内ファン26は、室内熱交換器25の熱交換を促進する。室内ファン26は、室内空気AIを室内吸込口61から取り込み、室内熱交換器25へ供給する。室内ファン26は、室内熱交換器25が熱交換を終えた空気を室内吹出口62から排出する。
【0038】
(2-2-4)加湿空気案内路27、及び、加湿空気ファン28
加湿空気案内路27は、室外ユニット10から受け取った加湿空気AHを内部空間XIへ案内する。加湿空気案内路27は、室内ケーシング20aと一体であっても別体であってもよい。本実施形態においては、加湿空気案内路27は、室内ケーシング20aの構成要素であるとして扱う。加湿空気案内路27において加湿空気AHを内部空間XIへ排出するポートは、室内ケーシング20aの空気導入口63として機能する。空気導入口63は、室内ケーシング20aの内部空間XIへ加湿空気AHを供給できるように構成されている。
【0039】
加湿空気案内路27には、加湿空気AHを内部空間XIへ送り出す加湿空気ファン28が設けられていてもよいが、必須ではない。
【0040】
(2-2-5)室内制御部29
室内制御部29は、センサの情報の取得、アクチュエータの制御、及び様々な演算を行うコンピュータである。さらに、室内制御部29は、図示しない通信線を用いて室外制御部19と通信を行い、室外制御部19と情報を授受する。これによって、室内制御部29は、室外制御部19と協働して、空調機制御部99を構成する。
【0041】
空調機制御部99は、センサの情報の取得、アクチュエータの制御、及び様々な演算を行うことによって、空気調和装置100の冷房運転、暖房運転、加湿運転、除霜運転を実行する。
【0042】
(2-3)接続管30
接続管30は、室外ユニット10と室内ユニット20を接続する。接続管30の中には、液冷媒配管31、ガス冷媒配管32、及び、ホース33が設置されている。液冷媒配管31は、液閉鎖弁16aと室内熱交換器25を接続する。ガス冷媒配管32は、ガス閉鎖弁16bと室内熱交換器25を接続する。ホース33は、加湿装置17と加湿空気案内路27とを接続する。ホース33は、室外空間SOと室内空間SIを連通させる。ホース33は、加湿装置17が発生させる加熱空気AR又は加湿空気AHを加熱空気AR又の加湿空気案内路27へ案内することによって、加湿空気AHを内部空間XI経由で室内空間SIへ送る。
【0043】
(3)加湿装置17の詳細構成
図3は、加湿装置17の構成を示す。加湿装置17は、室外空気AOを加熱して加熱空気ARを生成し、加熱空気ARに水分を与えることによって、加湿空気AHを発生させる。
【0044】
加湿装置17は、ケーシング80、加湿ロータ81、ヒータ82、給気ファン83、吸着ファン84、第1経路85、第2経路86を有する。
【0045】
(3-1)ケーシング80
ケーシング80は樹脂製である。ケーシングは第1面S1と第2面S2を有する。ケーシング80は、加湿ロータ81、ヒータ82、給気ファン83、吸着ファン84を収容している。ケーシング80の中には、第1経路85と、第2経路86が形成されている。
【0046】
さらに、ケーシング80には、第1取込口85a、85b、第2取込口86a,86b、第1排出口85c、及び、第2排出口86cという複数の開口が形成されている。
【0047】
第1取込口85a、85bは、室外空気AOを取り込むためのものであり、第1面S1の側に形成されている。
【0048】
第2取込口86a,86bもまた、室外空気AOを取り込むためのものであり、ケーシング80の第1面S1の側に形成されている。
【0049】
第1排出口85cは、加湿空気AHを給気ファン83へ供給するためのものである。
【0050】
第2排出口86cは、水分を除去された室外空気AOを排出するためのものであり、ケーシング80の第1面S1の側に形成されている。 なお、ここで説明した開口のケーシング80における位置は例示にすぎず、開口の位置がこれに限定されるわけではない。
【0051】
(3-2)加湿ロータ81
図3に示す加湿ロータ81は、空気中の水分を吸着する加湿部材を有する。加湿部材は、ハニカム構造を有し、略円盤状の外形を有している。加湿ロータ81は、常温で空気中の水分を吸着し、温度上昇すると水分を放出する材質を用いて製造される。加湿部材の材質は、限定するものではないが、例えばシリカゲルやゼオライト等の吸着剤である。加湿部材が吸着している水分は、加湿部材を加熱することによって加湿ロータ81から放出される。放出された水分は加熱空気ARと混合され、加湿空気AHを生成する。
【0052】
図4に示すように、加湿ロータ81は、加湿装置17の内部において周方向に回転可能に設けられており、加湿ロータモータ81aによって回転させられる。加湿ロータモータ81aは、インバータ制御される回転数可変のモータであり、回転数が制御される。加湿ロータモータ81aの回転は、ギア81bを介して、加湿ロータ81の外周面に形成されている複数の歯に伝わり、加湿ロータ81を回転方向Yに回転させる。
【0053】
図5に示すように、加湿ロータ81はドーナツ状の部材であり、内径D1が30mm以上90mm以下、外径D2が220mm以上320mm以下に形成されている。回転軸方向(すなわち、
図5の紙面に垂直な方向)の加湿ロータ81の寸法であるロータ厚みは、10mm以上50mm以下である。加湿ロータ81の中央の穴は直径D1を有する。この穴は、
図4においてケーシング80の底面から上に突出している円筒部80aに嵌められる。これにより、加湿ロータ81は回転可能に支持される。
【0054】
図5に示すように、加湿ロータ81は環状領域R0に配置される。環状領域R0は、加湿ロータ81の配置空間であり、内径D1および外径D2を有する環状の空間である。環状領域R0の左半分は第1領域R1であり、環状領域R0の右半分は第2領域R2である。第2領域R2は、さらに、順方向領域R21と逆方向領域R22とに分かれている。
【0055】
第1領域R1は、第2経路86の一部である。第1領域R1は、室外空気AOが加湿ロータ81を第1面S1の側から第2面S2の側に通り抜ける領域である。加湿ロータ81は、第1領域R1において外気に含まれる水分を吸着する。
【0056】
第2領域R2は、第1経路85の一部である。第2領域R2は、加湿ロータ81が保持する水分を加熱空気ARに放出して、加湿空気AHを生成する領域である。順方向領域R21では、外気が加湿ロータ81を第1面S1の側(すなわち第1取込口85aが存在する側)から第2面S2の側(すなわちヒータ82が存在する側)に通り抜ける。逆方向領域R22では、外気が加湿ロータ81を第2面S2の側(すなわちヒータ82が存在する側)から第1面S1の側(すなわち加湿ファン83が存在する側)に通り抜ける。
【0057】
(3-3)ヒータ82
図3に示すヒータ82は、室外空気AOの温度を上昇させ、加熱空気ARを生成する。また、ヒータ82は、加湿ロータ81の加湿部材を加熱することによって、加湿ロータ81から水分を放出させる。加湿ロータ81から放出された水分は、加熱空気ARと混合されることで、加湿空気AHを作る。ヒータ82の出力は、500W以上である。
【0058】
ヒータ82は、第1経路85に設けられる。ヒータ82は、第1取込口85aからケーシング80の内部に入った後に順方向領域R21にある加湿ロータ81を通り抜けた室外空気AOを加熱する。室外空気AOは、ヒータ82によって加熱された後、逆方向領域R22にある加湿ロータ81を通り、加湿ファン83に吸い込まれる。ヒータ82は、出力可変であり、加熱量が制御される。
【0059】
(3-4)給気ファン83
図3に示す給気ファン83は、室外空気AOをケーシング80の中の第1経路85へ引き込むとともに、加湿空気AHを加湿装置17から室内ユニット20へ送り出す。
【0060】
給気ファン83は、第2領域R2の順方向領域R21および逆方向領域R22において室外空気AOが加湿ロータ81を通り抜けるような気流を生成し、加湿ロータ81から放出された水分によって加熱空気ARを加湿させる。その結果生じた加湿空気AHは、給気ファン83の吹出口83bからホース33に流れる。
【0061】
給気ファン83は、給気ファンモータ83aによって回転させられる。給気ファンモータ83aは、インバータ制御される回転数可変のモータであり、回転数が制御される。
【0062】
(3-5)吸着ファン84
図3に示す吸着ファン84は、加湿ロータ81による水分の吸着を促進する。
【0063】
具体的には、吸着ファン84は、第2取込口86a,86bから室外空気AOをケーシング80の内部の第2経路86に流入させ、室外空気AOを加湿ロータ81に流すための送風装置(シロッコファン)である。吸着ファン84が回ると、第1領域R1において室外空気AOが加湿ロータ81を第1面S1の側から第2面S2の側に通り抜ける。
【0064】
吸着ファン84は、吸着ファンモータ84aによって回転させられる。吸着ファンモータ84aは、インバータ制御される回転数可変のモータであり、回転数が制御される。吸着ファン84の風量の下限値が0m3/分よりも大きく3m3/分よりも小さい範囲にあり且つ吸着ファン84の風量の上限値が3m3/分以上5m3/分以下の範囲にあるように、第1モータ84aの回転数の可変範囲が決められている。例えば、第1モータ84aの回転数の可変範囲は、吸着ファン84の風量が2m3/分以上4m3/分以下の範囲で調整されるように、決められる。
【0065】
(3-6)第1経路85
図3に示す第1経路85は、加湿ロータ81を通過した外気を、給気ファン83へ供給する通気経路である。具体的には、第1経路85は、
図3に示されるように、第1取込口85aと、順方向領域R21と、ヒータ82と、逆方向領域R22と、第1排出口85cとを、この順で結ぶ経路である。
【0066】
室外空気AOは、第1取込口85aを通って第1経路85に流入する。その後、室外空気AOは、順方向領域R21において加湿ロータ81を通過しながら少し加熱される。その後、室外空気AOは、ヒータ82によって加熱されることによって加熱空気ARとなる。加熱空気ARは、正面側領R22において加湿ロータ81を通過し、加湿ロータ81に吸着されていた水分を放出させることによって加湿空気AHを生成する。第1排出口85cは、給気ファン83に接続されている。加湿空気AHは、第1排出口85cを通って給気ファン83に流入する。
【0067】
(3-7)第2経路86
図3に示す第2経路86は、室外空気AOに含まれる水分を加湿ロータ41に吸着させるための通気経路である。具体的には、第2経路86は、第2取込口86a,86bと、第1領域R1と、吸着ファン84と、第2排出口86cと、をこの順で結ぶ経路である。
【0068】
室外空気AOは、第2取込口86a,86bを通って第2経路86に流入する。第1領域R1において、室外空気AOは加湿ロータ81を通過する。このとき、室外空気AOに含まれる水分は加湿ロータ81に吸着される。加湿ロータ81によって水分を除去された室外空気AOは、吸着ファン84を通り、さらに第2排出口86cを通って第2経路86からケーシング80の外に吹き出される。
【0069】
(4)室内熱交換器25の詳細構成
図6に示すように、室内熱交換器25は、第1部位25a、第2部位25b、第3部位25c、第4部位25dを有する。このうち第2部位25bは、高くなるにつれて背面20bに近づくように傾斜している。
【0070】
第1部位25a、後側室内熱交換器71を構成する。第2部位25b、第3部位25c、及び第4部位25dは、前側室内熱交換器72を構成する。室内ファン26は、前側室内熱交換器72と後側室内熱交換器71の間に位置している。
【0071】
空気導入口63は、第2部位25bの前方に配置されている。空気導入口63は、室内熱交換器25の前側室内熱交換器72の第2部位25bに対向している。加湿空気AHは、矢印Bで示される方向に、空気導入口63から前側室内熱交換器72の第2部位25bに向かって吹きつける。
【0072】
空気導入口63から供給される加熱空気ARを、前側室内熱交換器72の第2部位25bに吹き付けることで、前側室内熱交換器72に着いた霜が下方の第3部位25c、第4部位25dに流れ落ちることを防ぐことで、室内熱交換器25の結露を抑制することができる。
【0073】
(5)各種運転
(5-1)冷房運転
冷房運転の時、空調機制御部99は冷媒回路90の中で冷媒を
図1の矢印Cの方向に循環させる。このとき、室内熱交換器25は蒸発器又は吸熱器として機能することによって、室内空気AIの温度を低下させる。
【0074】
(5-2)暖房運転
暖房運転の時、空調機制御部99は冷媒回路90の中で冷媒を
図1の矢印Hの方向に循環させる。このとき、室内熱交換器25は凝縮器又は放熱器として機能することによって、室内空気AIの温度を上昇させる。
【0075】
(5-3)加湿運転
加湿運転においては、空調機制御部99は加湿装置17を動作させることによって、加湿空気AHを室内ユニット20へ供給する。具体的には、空調機制御部99は加湿運転において、ヒータ82、給気ファン83、及び吸着ファン84を動作させる。これにより、室内空間SIに滞在するユーザに提供される調和済みの室内空気AIは水分を帯びる。
【0076】
加湿運転は、冷房運転又は暖房運転と同時に行われてもよい。
【0077】
(5-4)除霜運転
暖房運転を実行し続けると、室外熱交換器13は蒸発器又は吸熱器として運転するため、室外熱交換器13に霜が付着する場合がある。除霜運転は、このような場合に室外熱交換器13に付着した霜を除去する目的で行われる。除霜運転の時、空調機制御部99は冷媒回路90の中で冷媒を
図1の矢印Cの方向に循環させる。このとき、除室外熱交換器13は凝縮器又は放熱器として運転することによって、熱を外部に放出し、霜を溶かす。
【0078】
除霜運転の実行中には、室内熱交換器25によって冷却された空気が室内空間SIに供給されないようにするため、空調機制御部99は室内ファン26を停止させる。
【0079】
(6)除霜運転におけるヒータ82の利用
上述の通り、室外熱交換器13に霜が付着するのは典型的には冬場であり、空気調和装置100が暖房運転を行う季節である。
【0080】
除霜運転において、冷媒の熱が霜を溶かすために利用される。このとき、冷媒回路90を循環する際に、冷媒は失った熱を室内熱交換器25(又は、場合によっては圧縮機11など)から供給される必要がある。
【0081】
しかし、室内熱交換器25が熱源とする冬場の室内空気AIは比較的少ない熱量を有しているので、空気調和装置100が実行する除霜運転において、熱量不足に陥る傾向がある。この場合、室外熱交換器13に付着した霜を除去するのに要する時間が増大する。
【0082】
そこで、本実施形態の空気調和装置100においては、除霜運転が行われる際に、空調機制御部99は加湿装置17を動作させる。具体的には、空調機制御部99は、ヒータ82を作動させることによって室外空気AOを加熱して加熱空気ARを作る。さらに、空調機制御部99は、給気ファン83を作動することによって、加熱空気ARを室内ユニット20へ送る。その後、加熱空気ARは、
図6の矢印Bで示される方向に、空気導入口63から室内熱交換器25の第2部位25bに向かって吹きつけられる。これにより、室内熱交換器25の中の冷媒は加熱空気ARから熱の供給を受け、蒸発器又は吸熱器として機能する室内熱交換器25の温度の低下が抑制される。
【0083】
暖房運転に速やかに復帰させるため、除霜運転中に圧縮機の回転数を上げることで除霜運転に要する時間を短縮させたいが、圧縮機の回転数を上げると、冷媒回路に循環する液冷媒の処理量が多くなるため、吸熱器として機能する室外熱交換器の能力が足りずに液戻りが起こる問題があった。そこで、本実施形態の空気調和装置100においては、室外熱交換器13の除霜運転中において、ヒータ82によって加熱された加熱空気ARを室内ユニット20へ送ることで、室内熱交換器25の温度低下を抑制するとともに、室内熱交換器25における冷媒の蒸発温度を上昇させる。
【0084】
そのため、蒸発温度の上昇分に相当する度合いだけ圧縮機11の回転数を上げることができる。
図7は、ヒータ82に投入される電力(すなわち、図中の「入力」)をパラメータとして、冷媒回路90の蒸発温度(すなわち、図中の「Te」)がどれだけ上昇するかを示したグラフである。「システム能力」とは、冷媒回路90の能力を指す。より多くの電力がヒータ82に投入されるほど、ヒータ82の発熱量がより大きくなり、蒸発温度がより大きく上昇すると考えられる。
【0085】
また、システム能力が小さいほど、ヒータ82による加熱空気ARを導入することによる蒸発温度の上昇分は大きくなり顕著な効果を得ることができるが、いずれのシステム能力の空気調和装置100を採用した場合であっても、蒸発温度の上昇効果を得ることができる。
【0086】
さらに、
図7に示されているように、システム能力が小さい場合、ヒータ82の出力が500W以上にすると、蒸発温度の上昇効果をより顕著に発揮することができる。また、ヒータ82の出力が500W以上である場合、システム能力が大きい場合であっても、蒸発温度の上昇量を1℃程度は稼ぐことができる。すなわち、ヒータ82の出力を500W以上にすると、室外熱交換器13の除霜効率を高めるためにはより効果的である。例えば、ヒータ82の出力を500W以上にすると、室外熱交換器13の除霜効率を約3%向上することができる。
【0087】
蒸発温度の上昇により室内熱交換器25の処理能力が向上するため、蒸発処理すべき液冷媒の量を少なくすることができる。これらの理由により、加熱空気ARの利用によって空気調和装置100の除霜運転の能力を上げることができる。
【0088】
このように、除霜運転においてヒータ82を利用することにより、能力の向上した空気調和装置100において、除霜運転の時間を短縮することができる。
【0089】
(7)運転の移行時における制御
図8及び
図9は制御信号のタイミングチャートの一例である。
図8は、加湿を伴わない暖房運転から室外熱交換器13の除霜運転に移行する場合の例を示す。空気調和装置100は、加湿を伴わない暖房運転から除霜運転へ移行し、その後、加湿を伴わない暖房運転へ再び移行している。空調機制御部99は、時刻t1において除霜運転を開始する要求信号を受信すると、停止しているヒータ82を動作させ、その後、停止している給気ファン83を動作させる。また、空調機制御部99は、給気ファン83を動作させた後、四路切換弁12の切換を行う前に圧縮機11を停止させ、圧縮機11を停止させた状態で四路切換弁12の切換を行う。そして、四路切換弁12による切換を行った後、空調機制御部99は、停止させた圧縮機11を再び動作させる。
【0090】
次に、空気調和装置100は、時刻t2において除霜運転を終了するための要求信号を受信すると、四路切換弁12の切換を行う前に圧縮機11を停止させ、圧縮機11を停止させた状態で四路切換弁12の切換を行う。そして、四路切換弁12による切換を行った後、空調機制御部99は、停止させた圧縮機11を再び動作させる。これにより、空気調和機100は、除霜運転から加湿を伴わない暖房運転に復帰する。また、空気調和機100は、除霜運転から加湿を伴わない暖房運転に移行した後、所定時間の間は、ヒータ82と給気ファン83を動作させたままにする。そして、加湿を伴わない暖房運転に移行して所定時間経過後(
図8における時刻t9)、空調機制御部99は、ヒータ82及び給気ファン83を停止させる。
【0091】
なお、
図8に示す室外機制御部99における要求信号の受信後の圧縮機11、四路切換弁12、ヒータ82および給気ファン83の制御の順序は一例であり、例えば、除霜運転を開始する要求信号を受信後に、圧縮機11および四路切換弁12の制御を行った後に、ヒータ82および給気ファン83の制御を行ってもよい。
【0092】
図9は、加湿を伴う暖房運転から室外熱交換器13の除霜運転に移行する場合の例を示す。空気調和装置100は、加湿を伴う暖房運転から除霜運転へ移行し、その後、加湿を伴う暖房運転へ再び移行している。空調機制御部99は、時刻t3において除霜運転を開始する要求信号を受信すると、停止している吸着ファン84を動作させる。このとき、空調機制御部99は、動作しているヒータ82及び給気ファン83の動作を継続する。また、空調機制御部99は、給気ファン83を動作させた後、四路切換弁12の切換を行う前に圧縮機11を停止させ、圧縮機11を停止させた状態で四路切換弁12の切換を行う。そして、四路切換弁12による切換を行った後、空調機制御部99は、停止させた圧縮機11を再び動作させる。
【0093】
次に、空気調和装置100は、時刻t4において除霜要求信号を受信すると、停止させた吸着ファン84を再び動作させる。また、空調機制御部99は、吸着ファン84を動作させた後、四路切換弁12の切換を行う前に圧縮機11を停止させ、圧縮機11を停止させた状態で四路切換弁12の切換を行う。そして、四路切換弁12による切換を行った後、空調機制御部99は、停止させた圧縮機11を再び動作させる。これにより、空気調和機100は、除霜運転から加湿を伴う暖房運転に復帰する。
【0094】
なお、
図9に示す室外機制御部99における要求信号の受信後の圧縮機11、四路切換弁12、吸着ファン84の制御の順序は一例であり、例えば、圧縮機11および四路切換弁12の制御を行った後に、ヒータ82および給気ファン83の制御を行ってもよい。
【0095】
(7-1)加湿運転を伴わない暖房運転から除霜運転への移行
図10は、
図8のタイミングチャートで示した、加湿運転を伴わない暖房運転から除霜運転への移行の制御を示す。
【0096】
ステップS100において、空気調和装置100は、加湿運転を伴わない暖房運転の実行中である。この場合において、ヒータ82、給気ファン83、及び吸着ファン84はいずれも停止している。
【0097】
ステップS102において、室外機制御部99は、除霜運転を開始する要求信号を受信したか否かを判断する。室外機制御部99は、除霜運転を開始する要求信号を受信した場合(S102:YES)、処理をステップS104へ移行させる。一方で、室外機制御部99は、除霜運転を開始する要求信号を受信していない場合(S102:NO)、ステップS102の処理を繰り返す。
【0098】
ステップS104において、室外機制御部99は、停止していたヒータ82及び給気ファン83を動作させる。この場合、室外機制御部99は、吸着ファン84の停止を継続する。ヒータ82及び給気ファン83を動作させる理由は、加熱空気ARを室内熱交換器25へ供給することによって、室内熱交換器25に熱を与え、除霜運転に要する時間を短縮するためである。吸着ファン84を停止させる理由は、水分を含んだ加湿空気AHが供給されることによって、室内熱交換器25に結露が発生することを抑制するためである。
【0099】
ステップ106において、室外機制御部99は、空気調和装置100の運転状態を、加湿運転を伴わない暖房運転から除霜運転に切り替える。具体的には、室外機制御部99は、圧縮機11及び四路切換弁14の動作を制御することにより、冷媒回路90の中で冷媒を矢印Cの方向に循環させる。これにより、空気調和装置100は、加湿運転を伴わない暖房運転から除霜運転へ移行する。
【0100】
(7-2)除霜運転から加湿運転を伴わない暖房運転への移行
図11は、
図8のタイミングチャートで示した、除霜運転から加湿運転を伴わない暖房運転への移行の制御を示す。加湿運転を伴わない暖房運転へ移行する場合とは、除霜運転への移行前の運転状態が加湿運転を伴わない暖房運転であった場合である。
【0101】
ステップS200において、空気調和装置100は、除霜運転の実行中である。この場合において、ヒータ82及び給気ファン83は動作しており、吸着ファン84は停止している。
【0102】
ステップS202において、室外機制御部99は、除霜運転を終了する要求信号を受信したか否かを判断する。室外機制御部99は、除霜運転を終了する要求信号を受信した場合(S202:YES)、処理をステップS204へ移行させる。一方で、室外機制御部99は、除霜運転を終了する要求信号を受信していない場合(S202:NO)、ステップS204の処理を繰り返す。
【0103】
ステップS204において、室外機制御部99は、空気調和装置100の運転状態を除霜運転から加湿運転を伴わない暖房運転に切り替える。具体的には、室外機制御部99は、圧縮機11及び四路切換弁14の動作を制御することにより、冷媒回路90の中で冷媒を
図1の矢印Hの方向に循環させる。これにより、空気調和装置100は、除霜運転から加湿運転を伴わない暖房運転へ移行する。この場合、空調機制御部99は、ヒータ82及び給気ファン83の動作を継続するとともに、吸着ファン84の停止も継続する。
【0104】
除霜運転において加熱空気ARを作るために動作していたヒータ82は、暖房運転に切り替わった場合においても動作し続け、加熱空気ARが暖房運転においても室内ユニット20へ送られるので、暖房運転の立ち上がりに要する時間を短縮することができる。一方、加湿空気AHを生成する必要がないので吸着ファン84は依然として停止している。
【0105】
図8に示すように、時刻t2の後しばらくの時間が経過している時刻t9において、ヒータ82及び給気ファン83を停止させるとともに、吸着ファン84の停止を継続してもよい。このように、空調機制御部99は、ヒータ82及び給気ファン83を、除霜運転移行前の運転状態(加湿運転を伴っていたか否か)を問わずに、暖房運転復帰時には、所定時間継続して動作させる。一方で、空調機制御部99は、吸着ファン84を、暖房運転復帰時に、除霜運転移行前の運転状態(加湿運転を伴っていたか否か)に応じて動作又は停止させる。
【0106】
(7-3)加湿を伴う暖房運転から除霜運転への移行
図12は、
図9のタイミングチャートで示した、加湿運転を伴う暖房運転から除霜運転への移行の制御を示す。
【0107】
ステップ300において、空気調和装置100は、加湿運転を伴う暖房運転の実行中である。この場合において、ヒータ82、給気ファン83、及び吸着ファン84はいずれも動作している。暖房運転を行っている室内空間SIの湿度が低下するのを抑制するために、加湿空気AHを室内空間SIへ供給するためである。
【0108】
ステップ302において、室外機制御部99は、除霜を開始する要求信号を受信したか否かを判断する。室外機制御部99は、除霜運転を開始する要求信号を受信した場合(S302:YES)、処理をステップS304へ移行させる。一方で、室外機制御部99は、除霜運転を開始する要求信号を受信していない場合(S302:NO)、ステップS302の処理を繰り返す。
【0109】
ステップS304において、室外機制御部99は、除霜運転開始前に動作していた吸着ファン84を停止させる。吸着ファン84を停止させる理由は、除霜運転において室内ユニット20へ送られる加熱空気ARが水分をあまり多く含まないようにし、室内熱交換器25に結露が発生することを抑制するためである。また、この場合、室外機制御部99は、ヒータ82及び給気ファン83の動作を継続する。
【0110】
ステップ306において、室外機制御部99は、空気調和装置100の運転状態を、加湿運転を伴う暖房運転から除霜運転に切り替える。具体的には、室外機制御部99は、圧縮機11及び四路切換弁14の動作を制御することにより、冷媒回路90の中で冷媒を矢印Cの方向に循環させる。これにより、空気調和装置100は、加湿運転を伴う暖房運転から除霜運転へ移行する。
【0111】
(7-4)除霜運転から加湿運転を伴う暖房運転への移行
図13は、
図9のタイミングチャートで示した、除霜運転から加湿運転を伴う暖房運転への移行の制御を示す。加湿運転を伴う暖房運転へ移行する場合とは、除霜運転への移行前の運転状態が加湿運転を伴う暖房運転であった場合である。
【0112】
ステップS400において、空気調和装置100は、除霜運転の実行中である。この場合において、ヒータ82及び給気ファン83は動作しており、吸着ファン84は停止している。
【0113】
ステップS402において、室外機制御部99は、除霜運転を終了する要求信号を受信したか否かを判断する。室外機制御部99は、除霜運転を終了する要求信号を受信した場合(S402:YES)、処理をステップS404へ移行させる。一方で、室外機制御部99は、除霜運転を終了する要求信号を受信していない場合(S402:NO)、ステップS404の処理を繰り返す。
【0114】
ステップS404において、空調機制御部99は、停止している吸着ファン84を動作させる。この場合、空調機制御部99は、ヒータ82及び給気ファン83の動作を継続する。
【0115】
ステップS406において、室外機制御部99は、空気調和装置100の運転状態を除霜運転から加湿運転を伴う暖房運転に切り替える。具体的には、室外機制御部99は、圧縮機11及び四路切換弁14の動作を制御することにより、冷媒回路90の中で冷媒を
図1の矢印Hの方向に循環させる。これにより、空気調和装置100は、除霜運転から加湿運転を伴う暖房運転へ移行する。
【0116】
(8)特徴
(8-1)
除霜運転中に、加熱空気ARが室内ユニット20へ送られ、室内熱交換器25の温度の低下が抑制される。したがって、室外熱交換器13の除霜運転に要する時間を短縮することができる。
【0117】
(8-2)
除霜運転において加熱空気ARを作るために動作していたヒータ82は、暖房運転に切り替わった場合においても動作し続ける。したがって、加熱空気ARが暖房運転においても室内ユニット20へ送られるので、暖房運転の立ち上がりに要する時間を短縮することができる。
【0118】
(8-3)
除霜運転において、吸着ファン84が停止する。したがって、除霜運転において室内ユニット20へ送られる加熱空気ARは水分をあまり多く含まないので、室内熱交換器25の結露が抑制され、ひいては、室内熱交換器25から熱が奪われることが抑制される。
【0119】
(8-4)
加湿を伴う暖房運転から除霜運転に切り替わるときに、吸着ファン84を停止させ、ヒータ82の動作を継続する。また、除霜運転から加湿を伴う暖房運転に切り替わる場合、停止させた吸着ファン84を動作させ、ヒータ82の動作を継続する。したがって、除霜運転において室内ユニット20へ送られる加熱空気ARは水分をあまり多く含まない。
【0120】
(8-5)
加湿を伴わない暖房運転から除霜運転に切り替わるときに、ヒータ82を動作させる。また、除霜運転から加湿を伴わない暖房運転に切り替わる場合、ヒータ82の動作を継続する。したがって、加湿を行わない暖房運転に復帰にした後も加熱空気ARを室内ユニット20へ供給することで、暖房運転の立ち上がりに要する時間を短縮することができる。
【0121】
(8-6)
加熱空気ARは前側室内熱交換器72へ吹き付けられる。したがって、温度が低下しがちである前側室内熱交換器72の温度を高く保つことにより、除霜能力を維持する。また、前側室内熱交換器72の第2部位25bに加熱空気ARを吹き付けることで、室内熱交換器72に着いた霜が下方の部位に流れ落ちることを防ぐことで、室内熱交換器72の結露を抑制することができる。
【0122】
(8-7)
ヒータ82の出力は500W以上である。したがって、このようなヒータ82で生成された加熱空気ARを室内ユニット20へ送ることにより、室外熱交換器13の除霜効率を例えば約3%向上することができる。
【0123】
(8-8)
加熱空気ARはホース33によって、室外ユニット10に設置されているヒータ82から室内ユニット20に設置されている室内熱交換器25へ送られる。したがって、ヒータ82が発生させる熱を効率よく室内熱交換器25へ伝達することができる。
【0124】
<基本実施形態の変形例>
(9)変形例
上述の基本実施形態において、加湿装置17は、室外ユニット10の構成部品である。これに代えて、加湿装置17は、室外ユニット10の構成部品ではなく、室外ケーシング10aの外に配置される部品として空気調和装置100に含まれていてもよい。
【0125】
<むすび>
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0126】
10 :室外ユニット
13 :室外熱交換器
17 :加湿装置
19 :室外制御部
20 :室内ユニット
25 :室内熱交換器
25a :第1部位
25b :第2部位
25c :第3部位
25d :第4部位
26 :室内ファン
27 :加湿空気案内路
28 :加湿空気ファン
29 :室内制御部
30 :接続管
31 :液冷媒配管
32 :ガス冷媒配管
33 :ホース
63 :空気導入口
71 :後側室内熱交換器
72 :前側室内熱交換器
81 :加湿ロータ(加湿部材)
82 :ヒータ
83 :給気ファン
84 :吸着ファン
90 :冷媒回路
99 :空調機制御部(制御部)
100 :空気調和装置
AH :加湿空気
AI :室内空気
AO :室外空気(外気)
AR :加熱空気
SI :室内空間
SO :室外空間
XI :内部空間
【先行技術文献】
【特許文献】
【0127】