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特開2023-166187医用画像処理装置、医用画像処理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166187
(43)【公開日】2023-11-21
(54)【発明の名称】医用画像処理装置、医用画像処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20231114BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
A61B6/03 360Q
A61B6/03 360D
G06T1/00 290B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022077065
(22)【出願日】2022-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】服部 千尋
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 恭子
【テーマコード(参考)】
4C093
5B057
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093AA26
4C093CA22
4C093FF22
4C093FF28
4C093FF35
5B057AA07
5B057AA09
5B057BA03
5B057CA08
5B057CA12
5B057CB08
5B057CB12
5B057CE08
5B057DB02
5B057DB09
(57)【要約】
【課題】医用画像やヒートマップの見やすさを向上させることである。
【解決手段】実施形態の医用画像処理装置は、取得部と、決定部と、生成部とを持つ。前記取得部は、医用画像とヒートマップとを取得する。前記決定部は、前記医用画像の画素値に基づいて、前記ヒートマップの透過度を決定する。前記生成部は、前記決定された透過度の前記ヒートマップを前記医用画像に重畳させた画像である重畳画像を生成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像とヒートマップとを取得する取得部と、
前記医用画像の画素値に基づいて、前記ヒートマップの透過度を決定する決定部と、
前記決定された透過度の前記ヒートマップを前記医用画像に重畳させた画像である重畳画像を生成する生成部と、
を備える医用画像処理装置。
【請求項2】
前記決定部は、前記医用画像の画素値と、前記ヒートマップから得られる情報とに基づいて、前記透過度を決定する、
請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項3】
前記ヒートマップから得られる情報には、前記ヒートマップ上における注目点からの距離が含まれ、
前記決定部は、前記医用画像の画素値と前記距離とに基づいて、前記透過度を決定する、
請求項2に記載の医用画像処理装置。
【請求項4】
前記決定部は、前記注目点から遠いほど、前記透過度を大きくする、
請求項3に記載の医用画像処理装置。
【請求項5】
前記決定部は、前記医用画像が生成される際に撮像対象であった患者の属性に基づいて、前記透過度を決定する、
請求項1又は2に記載の医用画像処理装置。
【請求項6】
前記患者の属性には、前記患者の年齢が含まれ、
前記決定部は、前記年齢が高いほど、前記透過度を大きくする、
請求項5に記載の医用画像処理装置。
【請求項7】
前記決定部は、前記医用画像に含まれる構造物の輪郭からの距離に基づいて、前記透過度を決定する、
請求項1又は2に記載の医用画像処理装置。
【請求項8】
前記決定部は、前記輪郭に近いほど、前記透過度を大きくする、
請求項7に記載の医用画像処理装置。
【請求項9】
前記重畳画像を表示部に表示させる表示制御部を更に備える、
請求項1又は2に記載の医用画像処理装置。
【請求項10】
コンピュータを用いて実行する医用画像処理方法であって、
医用画像とヒートマップとを取得すること、
前記医用画像の画素値に基づいて、前記ヒートマップの透過度を決定すること、
前記決定された透過度の前記ヒートマップを前記医用画像に重畳させた画像である重畳画像を生成すること、
を含む医用画像処理方法。
【請求項11】
コンピュータに実行させるためのプログラムであって、
医用画像とヒートマップとを取得すること、
前記医用画像の画素値に基づいて、前記ヒートマップの透過度を決定すること、
前記決定された透過度の前記ヒートマップを前記医用画像に重畳させた画像である重畳画像を生成すること、
を含むプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、医用画像処理装置、医用画像処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
CT(Computed Tomography)画像などのグレースケールの画像にヒートマップを重畳して表示するソフトウェアは一般的によく知られている。これらのヒートマップは透過度(透明度)を変えることができ、透過度を上げるとベースのCT画像も見えるようにしながらヒートマップも見ることができる。
【0003】
従来の技術として、ヒートマップの値によって透過度を変える方法が知られている。これは特にユーザインタフェース上でユーザが透過度を調整する方法である。その他ヒートマップの見やすさを向上させることを目的として、色を自動で決める方法もある。ただし、自動でヒートマップの透過度を決定する際は、画像全体に対して一律の透過度が適用されることが多い。ヒートマップの透過度はマップの値や分布によらず画像全体に対して同一の透過度が用いられるため、場合によってはベースのCT画像が見えにくい、またはヒートマップが見えにくいといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-115680号公報
【特許文献2】特開2020-124435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題は、医用画像やヒートマップの見やすさを向上させることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の医用画像処理装置は、取得部と、決定部と、生成部とを持つ。前記取得部は、医用画像とヒートマップとを取得する。前記決定部は、前記医用画像の画素値に基づいて、前記ヒートマップの透過度を決定する。前記生成部は、前記決定された透過度の前記ヒートマップを前記医用画像に重畳させた画像である重畳画像を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態における医用画像処理装置100の構成例を表す図。
図2】実施形態に係る処理回路120の一連の処理の流れを表すフローチャート。
図3】CT画像とヒートマップとを並べた図
図4】CT値に応じた透過度の重み係数w1の変化の様子を表す図。
図5】注目点からのユークリッド距離に応じた透過度の重み係数w2の変化の様子を表す図。
図6】患者の年齢に応じた透過度の重み係数w2の変化の様子を表す図。
図7】特定の構造物の輪郭からの距離に応じた透過度の重み係数w2の変化の様子を表す図。
図8】複数の構造物が存在するCT画像とヒートマップとを並べた図。
図9】複数の構造物が存在する場合の重み係数w2の決定方法を説明するための図。
図10】ヒートマップの透過度の他の決定方法を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、実施形態の医用画像処理装置、医用画像処理方法、及びプログラムについて説明する。
【0009】
[医用画像処理装置の構成]
図1は、実施形態における医用画像処理装置100の構成例を表す図である。医用画像処理装置100は、例えば、通信インタフェース111と、入力インタフェース112と、出力インタフェース113と、メモリ114と、処理回路120とを備える。
【0010】
医用画像処理装置100は、単一の装置であってもよいし、通信ネットワークNWを介して接続された複数の装置が互いに協働して動作するシステムであってもよい。すなわち、医用画像処理装置100は、分散コンピューティングシステムやクラウドコンピューティングシステムに含まれる複数のコンピュータ(プロセッサ)によって実現されてもよい。
【0011】
通信インタフェース111は、通信ネットワークNWを介して医用画像診断装置などと通信する。通信インタフェース111は、例えば、NIC(Network Interface Card)や無線通信用のアンテナ等を含む。
【0012】
通信ネットワークNWは、電気通信技術を利用した情報通信網全般を意味してよい。例えば、通信ネットワークNWは、病院基幹LAN(Local Area Network)等の無線/有線LANやインターネット網のほか、電話通信回線網、光ファイバ通信ネットワーク、ケーブル通信ネットワークおよび衛星通信ネットワーク等を含む。
【0013】
医用画像診断装置は、例えば、X線CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、音波画像診断装置といったモダリティである。
【0014】
入力インタフェース112は、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路120に出力する。例えば、入力インタフェース112は、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパネル等を含む。入力インタフェース112は、例えば、マイクロフォン等の音声入力を受け付けるユーザインタフェースであってもよい。入力インタフェース112がタッチパネルである場合、入力インタフェース112は、後述する出力インタフェース113に含まれるディスプレイ113aの表示機能を兼ね備えるものであってもよい。
【0015】
なお、本明細書において入力インタフェース112はマウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース112の例に含まれる。
【0016】
出力インタフェース113は、例えば、ディスプレイ113aやスピーカ113bなどを備える。
【0017】
ディスプレイ113aは、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ113aは、処理回路120によって生成された画像や、操作者からの各種の入力操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を表示する。例えば、ディスプレイ113aは、LCD(Liquid Crystal Display)や、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等である。ディスプレイ113aは「表示部」の一例である。
【0018】
スピーカ113bは、処理回路120から入力された情報を音声として出力する。
【0019】
メモリ114は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスクによって実現される。これらの非一過性の記憶媒体は、NAS(Network Attached Storage)や外部ストレージサーバ装置といった通信ネットワークNWを介して接続される他の記憶装置によって実現されてもよい。また、メモリ114には、ROM(Read Only Memory)やレジスタ等の非一過性の記憶媒体が含まれてもよい。
【0020】
処理回路120は、例えば、取得機能121と、決定機能122と、生成機能123と、出力制御機能124とを備える。取得機能121は「取得部」の一例であり、決定機能122は「決定部」の一例であり、生成機能123は「生成部」の一例である。出力制御機能124は「表示制御部」の一例である。
【0021】
処理回路120は、例えば、ハードウェアプロセッサ(コンピュータ)がメモリ114(記憶回路)に記憶されたプログラムを実行することにより、これらの機能を実現するものである。
【0022】
処理回路120におけるハードウェアプロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit; ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device; SPLD)または複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device; CPLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array; FPGA))等の回路(circuitry)を意味する。メモリ114にプログラムを記憶させる代わりに、ハードウェアプロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合、ハードウェアプロセッサは、回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。上記のプログラムは、予めメモリ114に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROM等の非一時的記憶媒体に格納されており、非一時的記憶媒体が医用画像処理装置100のドライブ装置(不図示)に装着されることで非一時的記憶媒体からメモリ114にインストールされてもよい。ハードウェアプロセッサは、単一の回路として構成されるものに限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのハードウェアプロセッサとして構成され、各機能を実現するようにしてもよい。また、複数の構成要素を1つのハードウェアプロセッサに統合して各機能を実現するようにしてもよい。
【0023】
[医用画像処理装置の処理フロー]
以下、フローチャートに即しながら、医用画像処理装置100の処理回路120による一連の処理について説明する。図2は、実施形態に係る処理回路120の一連の処理の流れを表すフローチャートである。本フローチャートでは、一例として医用画像がCT画像であるものとして説明する。
【0024】
まず、取得機能121は、通信インタフェース111を介して医用画像診断装置からCT画像とヒートマップとを取得する(ステップS100)。CT画像は、例えば、二次元のMPR画像でもよいし、三次元画像でもよい。また、CT画像は、CPR(Curved Planar Reconstruction)やSPR(Straight Plannar Reconstruction)であってもよい。
【0025】
次に、決定機能122は、CT画像の画素値に基づいて、ヒートマップの透過度pを決定する(ステップS102)。透過度は、透過率や透明度と読み替えられてもよい。
【0026】
次に、生成機能123は、決定機能122によって決定された透過度pのヒートマップをCT画像に重畳させた画像である重畳画像を生成する(ステップS104)。
【0027】
次に、出力制御機能124は、生成機能123によって生成された重畳画像を出力する(ステップS108)。例えば、出力制御機能124は、出力インタフェース113のディスプレイ113aに重畳画像を表示させてもよいし、通信インタフェース111を介して外部の表示装置に重畳画像を送信してもよい。これによって本フローチャートの処理が終了する。
【0028】
[第1の決定方法]
以下、ヒートマップの透過度pの第1の決定方法について説明する。図3は、CT画像とヒートマップとを並べた図である。決定機能122は、ヒートマップ上において最も画素値が大きい画素を注目点に設定する。決定機能122は、ヒートマップをCT画像に重畳させたときに、ヒートマップ上の注目点と重なるCT画像上の画素のCT値を基準にして、CT値に応じた透過度の重み係数w1を決定する。
【0029】
図4は、CT値に応じた透過度の重み係数w1の変化の様子を表す図である。図示の例では、ヒートマップをCT画像に重畳させたときに、ヒートマップ上の注目点と重なるCT画像上の画素のCT値が20[HU]であることを表している。例えば、基準である20[HU]が最も重み係数w1が小さく(最も0に近く)、20[HU]よりも小さくなるほど又は大きくなるほど、最も重み係数w1が大きくなる(1に近づく)。
【0030】
次に、決定機能122は、ヒートマップから得られる情報に基づいて透過度の重み係数w2を決定する。ヒートマップから得られる情報には、例えば、ヒートマップ上の注目点からのユークリッド距離やその他幾何的な情報が含まれる。以下、一例としてヒートマップから得られる情報がヒートマップ上の注目点からのユークリッド距離であるものとして説明する。
【0031】
図5は、注目点からのユークリッド距離に応じた透過度の重み係数w2の変化の様子を表す図である。図示の例のように、決定機能122は、注目点であるときに最も重み係数w2を小さくし(最も0に近づける)、注目点から遠くなるほど重み係数w2を大きくしてよい(1に近づける)。
【0032】
そして、決定機能122は、ヒートマップにおける各画素の透過度p[%]を以下の数式(1)に基づいて決定する。
【0033】
p=w1×w2×100…(1)
【0034】
数式(1)に示すように、決定機能122は、重み係数w1と重み係数w2との積に100を乗算した値を、ヒートマップにおける各画素の透過度pに決定する。
【0035】
第1の決定方法において、CT画像上において基準とするCT値は、ヒートマップ上において画素値が閾値以上となる領域に重畳されるCT画像上の領域の画素値の統計値であってよい。統計値とは、例えば、最大値、最小値、平均値、中央値などである。また、第1の決定方法において、ヒートマップ上の注目点は、ヒートマップ上において画素値が閾値以上となる領域の重心に設定されてもよいし、CT画像上においてCT値が閾値以上となる領域の重心に設定されてもよい。また、ヒートマップ上の注目点は、画像処理によってCT画像から抽出された特定の構造物の重心に設定されてもよい。また、ヒートマップにおける各画素の透過度pは、重み係数w1と重み係数w2との積に限られず、非線形な関数によって算出されてもよい。
【0036】
[第2の決定方法]
以下、ヒートマップの透過度の第2の決定方法について説明する。第2の決定方法では、第1の決定方法同様に、決定機能122は、ヒートマップ上において最も画素値が大きい画素を注目点に設定する。決定機能122は、ヒートマップをCT画像に重畳させたときに、ヒートマップ上の注目点と重なるCT画像上の画素のCT値を基準にして、CT値に応じた透過度の重み係数w1を決定する。
【0037】
次に、決定機能122は、医用画像が生成される際に撮像対象であった患者の属性に基づいて、透過度の重み係数w2を決定する。患者の属性には、例えば、患者の年齢や、性別、体重、身長、居住地、入院日数、病歴などが含まれてよい。以下、一例として患者の属性が患者の年齢であるものとして説明する。
【0038】
図6は、患者の年齢に応じた透過度の重み係数w2の変化の様子を表す図である。図示の例のように、決定機能122は、患者の年齢が低いほど重み係数w2を小さくし(0に近づける)、患者の年齢が高くなるほど重み係数w2を大きくしてよい(1に近づける)。より具体的には、決定機能122は、患者の年齢が0歳から60歳までは、ある一定の重み係数w2とし、60歳から75歳までは年齢が高くなるほど重み係数w2を大きくしていき、75歳以上は重み係数w2を一定としてよい。
【0039】
そして決定機能122は、数式(1)に示すように、重み係数w1と重み係数w2との積に100を乗算した値を、ヒートマップにおける各画素の透過度pに決定する。
【0040】
一般的に、高齢になると、臓器の機能が衰え、造影剤を使用してCT画像を撮像した際に組織が染まりにくい(CT値が高くなりにくい)という傾向がある。そのため、同じ組織でも年齢によってCT値が変動する。第2の決定方法では、CT値が個人差によって変化してしまうヒートマップの透過度を年齢に応じて補正する。
【0041】
第2の決定方法において、年齢に応じた重み係数w2は、ヒートマップにおける全画素の透過度pの算出に用いる必要はない。例えば、決定機能122は、CT画像上においてCT値が閾値以上となる領域と重畳されるヒートマップ上の領域の透過度pを算出するときのみ年齢に応じた重み係数w2を用いてよい。また、決定機能122は、CT画像上の特定の構造物と重畳されるヒートマップ上の領域の透過度pを算出するときのみ年齢に応じた重み係数w2を用いてよい。また、決定機能122は、患者の年齢に限られず、性別や人種といったその他属性に応じて重み係数w2を決定してもよい。
【0042】
[第3の決定方法]
以下、ヒートマップの透過度の第3の決定方法について説明する。第3の決定方法では、第1や第2の決定方法同様に、決定機能122は、ヒートマップ上において最も画素値が大きい画素を注目点に設定する。決定機能122は、ヒートマップをCT画像に重畳させたときに、ヒートマップ上の注目点と重なるCT画像上の画素のCT値を基準にして、CT値に応じた透過度の重み係数w1を決定する。
【0043】
次に、決定機能122は、CT画像上の特定の構造物の輪郭(例えば臓器の輪郭線)からの距離に基づいて、透過度の重み係数w2を決定する。
【0044】
図7は、特定の構造物の輪郭からの距離に応じた透過度の重み係数w2の変化の様子を表す図である。図示の例のように、決定機能122は、構造物の輪郭近傍では最も重み係数w2を大きくし(1に近づける)、構造物の輪郭から遠くなるほど重み係数w2を小さくしてよい(0に近づける)。
【0045】
そして決定機能122は、数式(1)に示すように、重み係数w1と重み係数w2との積に100を乗算した値を、ヒートマップにおける各画素の透過度pに決定する。
【0046】
第3の決定方法において、構造物表面からの距離に応じた重み係数w2の算出は、構造物の内側と構造物の外側でその重みの関数が異なってもよい。また、構造物の内側と外側のどちらか一方のみで重み係数w2が算出されてもよい。
【0047】
また、複数の構造物が存在する場合、決定機能122は、各構造物の輪郭からの距離に応じて重み係数w2を決定してよい。
【0048】
図8は、複数の構造物が存在するCT画像とヒートマップとを並べた図である。図9は、複数の構造物が存在する場合の重み係数w2の決定方法を説明するための図である。図示のように、例えば、CT画像上に、膵管のような構造物Aと、CT値が閾値未満の構造物Bとが存在していたとする。このような場合、決定機能122は、構造物A内では重み係数w2を0とし、構造物Aから遠くなるほど重み係数w2を大きくする。同様に、決定機能122は、構造物B内では重み係数w2を0とし、構造物Bから遠くなるほど重み係数w2を大きくする。
【0049】
そして、決定機能122は、ヒートマップにおける各画素の透過度p[%]を以下の数式(2)に基づいて決定する。
【0050】
p=w1×w2×w2×100…(2)
【0051】
例えば、決定機能122は、数式(2)に示すように、重み係数w1と、構造物Aの輪郭からの距離に応じた重み係数w2と、構造物Bの輪郭からの距離に応じた重み係数w2との積に100を乗算した値を、ヒートマップにおける各画素の透過度pに決定する。これによって、構造物Aと構造物Bの両方から遠い画素値の透過度pは、両方の構造物に近い又はいずれか一方の構造物に近い画素値の透過度pよりも大きくなる(より透明になる)。
【0052】
以上説明した実施形態にによれば、処理回路120は、医用画像とヒートマップとを取得する。処理回路120は、医用画像の画素値に基づいて、ヒートマップの各画素の透過度pを決定する。そして、処理回路120は、決定した透過度pのヒートマップを医用画像に重畳させた画像である重畳画像を生成し、この重畳画像をディスプレイ113aに表示させる。これによって、医用画像、ヒートマップ、又はこれらの重畳画像の視認性が向上する。
【0053】
(その他の実施形態)
以下、その他の実施形態について説明する。図10は、ヒートマップの透過度の他の決定方法を説明するための図である。図示のように、医用画像の一部を切り出し、その切り出した画像の一部(以下、クロッピング画像という)を、学習済みの畳み込みニューラルネットワークに入力する。畳み込みニューラルネットワークは、膵臓がん患者の膵臓を撮像した医用画像(又はそこから切り出されたクロッピング画像)に対して、がん組織が存在する画素領域の透過度pが低くなるように調整されたヒートマップが対応付けられたトレーニングデータセットを基に学習されたニューラルネットワークである。これによって、学習済みの畳み込みニューラルネットワークにクロッピング画像が入力されると、学習済みの畳み込みニューラルネットワークは、クロッピング画像上においてがん組織が存在する確率が高い領域の透過度pを下げたヒートマップを出力する。つまり、学習済みの畳み込みニューラルネットワークは、がん組織を透過せずピンポイントでハイライトしたヒートマップを出力する。例えば、がんの検査対象者(がんを患っていることが未知数の患者)の膵臓を撮像した医用画像を切り出し、クロッピング画像を生成する。そして、学習済みの畳み込みニューラルネットワークに、検査対象者由来のクロッピング画像を入力する。これを受けて、学習済みの畳み込みニューラルネットワークは、ヒートマップを出力する。例えば、このヒートマップ上の画素値の最大値が閾値以上であれば、検査対象者ががんであると判定したり、ヒートマップ上の画素値の最大値が閾値未満であれば、検査対象者ががんでないと判定したりすることができる。
【0054】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0055】
100…医用画像処理装置、111…通信インタフェース、112…入力インタフェース、113…出力インタフェース、114…メモリ、120…処理回路、121…取得機能、122…決定機能、123…生成機能、124…出力制御機能
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10