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特開2023-166191標示体情報出力装置及び標示体情報提示システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166191
(43)【公開日】2023-11-21
(54)【発明の名称】標示体情報出力装置及び標示体情報提示システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20231114BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20231114BHJP
   G08G 1/13 20060101ALI20231114BHJP
   E01F 9/50 20160101ALN20231114BHJP
【FI】
G08G1/00 J
G08G1/09 F
G08G1/13
E01F9/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022077069
(22)【出願日】2022-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】新間 貴英
【テーマコード(参考)】
2D064
5H181
【Fターム(参考)】
2D064AA05
2D064BA06
2D064BA11
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181CC04
5H181CC24
5H181FF04
5H181FF05
5H181FF22
5H181MC16
5H181MC27
(57)【要約】
【課題】路面補修が必要となった箇所を提示可能な標示体情報出力装置及び標示体情報提示システムを提供する。
【解決手段】標示体情報出力装置(サーバ60)は、道路標示体を検出できなかった未検出地点の位置情報を車載器(10)から取得する取得部と、少なくとも前記未検出地点を含む地図データを蓄積する蓄積部と、前記地図データ上に、前記未検出地点の位置情報を重畳した結果情報を出力する出力部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路標示体を検出できなかった未検出地点の位置情報を車載器から取得する取得部と、
少なくとも前記未検出地点を含む地図データを蓄積する蓄積部と、
前記地図データ上に、前記未検出地点の位置情報を重畳した結果情報を出力する出力部と、を備える、
標示体情報出力装置。
【請求項2】
前記地図データを参照して、前記未検出地点が車道であるか否かを判定する判定部を備え、
前記出力部は、前記未検出地点が車道である場合、前記未検出地点の位置情報を、補修必要箇所として、前記地図データ上に重畳した前記結果情報を出力する、
請求項1に記載の標示体情報出力装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の標示体情報出力装置と、前記車載器と、を備えた標示体情報提示システムであって、
前記車載器は、
前記車載器を搭載した車両の位置情報を取得する位置取得部と、
前記車両の前方を撮影するカメラから、画像データを取得する画像取得部と、
前記画像データに基づいて、前記道路標示体を検出可能か否かを判定する標示体検出部と、
判定に用いた前記画像データを取得した地点の位置情報と、前記判定の結果が検出不可であることを示す検出不可情報と、を対応付けた標示体未検出情報を前記標示体情報出力装置に送信する送信部と、を備え、
前記標示体情報出力装置において、
前記取得部は、前記標示体未検出情報を受信し、前記未検出地点の位置情報として、前記標示体未検出情報に含まれる位置情報を取得し、
前記出力部は、前記地図データ上に、前記標示体未検出情報に含まれる位置情報を重畳した前記結果情報を出力する、
標示体情報提示システム。
【請求項4】
前記標示体情報出力装置において、前記出力部は、前記結果情報をウェブサイト上に出力する、
請求項3に記載の標示体情報提示システム。
【請求項5】
前記車載器と通信可能な通信装置を備え、
前記標示体情報出力装置において、前記出力部は、前記結果情報を前記通信装置に送信し、
前記通信装置は、前記標示体情報出力装置から受信した前記結果情報を表示する、
請求項3に記載の標示体情報提示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、標示体情報出力装置及び標示体情報提示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、路面に標示された白線等の車線や、「止まれ」等の路面標示といった道路標示体の補修頻度に基準は定められておらず、各都道府県警の担当者が、車線等を目視で確認し、擦れや欠けを把握した場合に補修が必要と判断し、補修業者に委託して補修が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-150573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
道路標示体の補修要否の判断は担当者に委ねられているため、担当者によって補修要否の判断基準が異なり、補修状態に差が発生する。また、担当者が視認する工程には時間も手間もかかる。尚、特許文献1には、前方映像から車線を認識し、車両のふらつき走行を検出して警告を発生するドライブレコーダーが開示されるが、車線認識できない場合について言及はない。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、路面補修が必要となった箇所を提示可能な標示体情報出力装置及び標示体情報提示システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係る標示体情報出力装置は、下記を特徴としている。
道路標示体を検出できなかった未検出地点の位置情報を車載器から取得する取得部と、
少なくとも前記未検出地点を含む地図データを蓄積する蓄積部と、
前記地図データ上に、前記未検出地点の位置情報を重畳した結果情報を出力する出力部と、を備える、
標示体情報出力装置。
【0007】
また、前述した目的を達成するために、本発明に係る標示体情報提示システムは、下記を特徴としている。
上記標示体情報出力装置と、前記車載器と、を備えた標示体情報提示システムであって、
前記車載器は、
前記車載器を搭載した車両の位置情報を取得する位置取得部と、
前記車両の前方を撮影するカメラから、画像データを取得する画像取得部と、
前記画像データに基づいて、前記道路標示体を検出可能か否かを判定する標示体検出部と、
判定に用いた前記画像データを取得した地点の位置情報と、前記判定の結果が検出不可であることを示す検出不可情報と、を対応付けた標示体未検出情報を前記標示体情報出力装置に送信する送信部と、を備え、
前記標示体情報出力装置において、
前記取得部は、前記標示体未検出情報を受信し、前記未検出地点の位置情報として、前記標示体未検出情報に含まれる位置情報を取得し、
前記出力部は、前記地図データ上に、前記標示体未検出情報に含まれる位置情報を重畳した前記結果情報を出力する、
標示体情報提示システム。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、路面補修が必要となった箇所を提示可能となる。
【0009】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の実施形態の標示体情報提示システムの構成例を示す図である。
図2図2は、図1に示すサーバが出力した検出結果地図の一例を示すイメージ図である。
図3図3は、図1に示す車載装置の構成例を示すブロック図である。
図4図4は、図1に示すサーバの構成例を示すブロック図である。
図5図5は、車載器による道路標示体検出データの記録に関する処理の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、車載器による道路標示体検出判定処理の一例を示すフローチャートである。
図7図7は、道路標示体検出判定処理を説明するための図である。
図8図8は、図7に示す画像における車線検知枠内の拡大図である。
図9図9は、白線未検出の一例を示す図である。
図10図10は、白線未検出の一例を示す図である。
図11図11は、サーバによる検出結果出力処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0012】
図1は、発明の実施形態の標示体情報提示システム1の構成例を示す図である。図2は、図1に示すサーバ60が出力した検出結果地図70の一例を示すイメージ図である。図3は、図1に示す車載装置の構成例を示すブロック図であり、図4は、図1に示すサーバ60の構成例を示すブロック図である。
【0013】
(標示体情報提示システム1の概要)
標示体情報提示システム1は、例えば、車線の一例である白線や、「止まれ」等の路面標示、及び制限速度標示等といった道路標示体の補修管理を担当する、各都道府県警の担当者や、補修を請け負う補修業者等(以下、担当者等ともいう。)に利用される。
【0014】
標示体情報提示システム1は、車両41に搭載された車載装置と、標示体情報出力装置の一例としてのサーバ60と、通信装置80と、を備える。車載装置は、車載器10、カメラ20、及び無線通信モジュール30を含む。車載装置とサーバ60とは、広域通信網の基地局51及びインターネット網52を介して、通信可能に構成される。尚、広域通信網及びインターネット網52は、一例であり、車載装置とサーバ60が通信可能であれば方式は問わない。広域通信網及びインターネット網52は、例えば、LTE(Long Term Evolution)/5G(5th Generation)等のモバイル通信網(携帯回線網)であってもよいし、無線LAN(Local Area Network)であってもよい。また、サーバ60と通信装置80とは、無線又は有線により通信可能に接続され、通信装置80は、各都道府県警の担当者に利用され、例えばインターネット網52を介してサーバ60にアクセス可能である。
【0015】
標示体情報提示システム1は、複数の車両41を管理する運送会社が運行管理のために収集した情報の提供を受けて、路面に標示された白線等の道路標示体が劣化しており路面補修が必要な箇所を特定する。さらに標示体情報提示システム1は、地図データに補修必要箇所の位置情報を重畳した結果情報を提示する。標示体情報提示システム1において、車載器10が、カメラ20から取得した画像データに基づいて道路標示体を検出可能か否かを判定し、道路標示体を検出できなかった未検出地点の位置情報をサーバ60に送信する。車載器10は、車両41の経度緯度を示すGPSデータと、道路標示体未検出データとを、サーバ60に送信する。GPSデータは、位置情報の一例であり、道路標示体未検出データは、判定の結果が検出不可であることを示す検出不可情報の一例である。
【0016】
サーバ60は、複数の車載器10から取得した標示体未検出データを蓄積する。サーバ60は、通信装置80の要求に応じて、標示体未検出データと、予め蓄積していた地図データとを照合して、補修必要箇所を算出し、検出結果地図70を生成する。検出結果地図70は、地図データ上に未検出地点の位置情報を重畳した結果情報の一例である。
【0017】
検出結果地図70は、図2に示すように、地図71上に、車両41の配送範囲72、車両41の配送経路73、複数の補修必要箇所75を重畳したものである。補修必要箇所75は、車載器10において道路標示体が認識されなかった箇所であり、かつ、車道上に位置する箇所である。図2に示す標示体未認識地点74は、車載器10において道路標示体が認識されなかった箇所であるが、駐車場等の、車道でない箇所であるため、補修対象外である。このため、標示体未認識地点74は、検出結果地図70には表示されない方が、補修必要箇所75を把握しやすくなるため好ましい。
【0018】
サーバ60は、通信装置80からの要求に応じて、通信装置80に検出結果地図70を出力する。通信装置80は、例えばインターネット網52を介して検出結果地図70を取得し、画面に表示する。サーバ60は、通信装置80を介して、検出結果地図70上のいずれか一の補修必要箇所75の指定を受け付けることができる。サーバ60は、指定された補修必要箇所75の位置情報に対応付けられた画像データを抽出し、路面の撮影画像を例えば検出結果地図70上に重ねて表示させる。担当者等は、通信装置80の画面に表示された検出結果地図70を見て補修必要箇所75を把握し、特定の補修必要箇所75の部分をクリックすることで、その箇所の撮影画像を表示させて視認することができる。
【0019】
(車載装置の構成)
車載装置を構成するカメラ20は、運転席の上方等に取り付けられ、少なくとも車両41の前方の、路面を含む情景を撮影し、映像信号を出力する。カメラ20が出力した映像信号は、後述する車載器10のセンサ入力部12に入力される。
【0020】
図3に示すように、車載装置を構成する車載器10は、制御部11、センサ入力部12、GPS受信部13、記憶部14、及び入出力I/F15を有する。車載器10は、車両41に搭載され、出入庫時刻、走行距離、走行時間、走行速度、速度オーバー、エンジン回転数オーバー、急発進、急加速、急減速等の運行データを記録するとともに、映像を記録可能なデジタルタコグラフである。
【0021】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)等の、種々の制御や演算を行う処理装置であり、車載器10全体の動作を制御する。制御部11は、記憶部14などに記憶されたプログラムを実行することにより、種々の機能を実現する。また、制御部11は、カメラ20が出力した映像信号から取得した画像データに基づいて、道路標示体を検出可能か否かを判定する。制御部11は、判定に用いた画像データを取得した地点の位置情報と、判定の結果が検出不可であることを示す検出不可情報(道路標示体未検出=0)と、を対応付けた標示体未検出データを生成する。制御部11による標示体検出判定処理の詳細については後述する。
【0022】
センサ入力部12は、カメラ20、車速センサ、Gセンサ、ジャイロセンサ等から出力された各信号を制御部11に入力するための信号処理を実施する。センサ入力部12は、カメラ20が出力した映像信号を取り込んで、画像認識等のコンピュータの処理に適した所定形式の画像データに変換する機能を有する。
【0023】
GPS受信部13は、複数のGPS(Global Positioning System)衛星からの電波を、アンテナを介して受信する。GPS受信部13が受信した複数の受信信号に基づいて、制御部11は、車両41の緯度・経度を示すGPSデータを計算して得ることができる。また、制御部11は、GPS受信部13が受信した信号に基づいて、時刻情報を取得することができる。
【0024】
記憶部14は、不揮発メモリと揮発メモリとを含む。不揮発メモリは、制御部11が実行可能な各種プログラムや、制御上必要になる各種定数データ、テーブルなどを予め保持している。揮発メモリは、制御部11が処理中に生成するデータなどを一時的に保持するために利用される。記憶部14は、GPSデータと、カメラ20から取得した画像データと、道路標示体未検出情報と、を記憶する。
【0025】
入出力I/F15は、制御部11で生成された、道路標示体未検出情報を含むデータ等を、無線通信モジュール30に出力するための処理を行う。
【0026】
無線通信モジュール30は、車載器10と基地局51との間でデータ通信するための無線通信機能を提供する。
【0027】
車載器10は、無線通信モジュール30を介して、道路標示体未検出データをサーバ60に送信する。車載器10は、道路標示体未検出データをリアルタイムでサーバ60に送信してもよいし、例えば車両41が一日の運行を終えて帰庫した時点で、一日分の道路標示体未検出データをサーバ60に送信してもよい。また、車載器10において道路標示体未検出データを含む運行データがメモリカード等の記録媒体に記録される場合には、記録媒体内の情報を事務所PC等の通信端末に読み込ませ、この通信端末からサーバ60に道路標示体未検出データを送信してもよい。
【0028】
(サーバ60の構成)
図4に示すように、サーバ60は、制御部61、通信部62、記憶部63、道路標示体情報蓄積部64、及び地図データ蓄積部65を有する。
【0029】
制御部61は、サーバ60の各部を統括的に制御する。制御部61は、車載装置から取得した、道路標示体未検出情報に含まれる、未検出地点の位置情報と、地図データとから、地図データに未検出地点の位置情報を重畳した結果情報を算出する。
【0030】
通信部62は、広域通信網の基地局51及びインターネット網52を介して、車載装置と通信を行う。また、通信部62は、通信装置80と通信を行うことができる。
【0031】
記憶部63は、各種データを記憶可能なメモリであり、制御部61が算出した結果情報を記憶することができる。道路標示体情報蓄積部64には、複数の車載装置から受信した道路標示体未検出データが蓄積される。地図データ蓄積部65には、道路データを含む地図データが蓄積される。地図データ蓄積部65には、図2に示した配送範囲72及び配送経路73のデータも含まれる。
【0032】
サーバ60は、通信装置80の要求に応じて、地図データに未検出地点の位置情報を重畳した結果情報を算出し、結果情報を通信装置80に送信することにより出力する。
【0033】
(車載器10の動作例)
図5から図10を参照して、車載器10による道路標示体検出判定処理を含む、道路標示体検出データの記録処理について説明する。図5は、車載器10による道路標示体検出データの記録に関する処理の一例を示すフローチャートであり、図6は、車載器10による道路標示体検出判定処理の一例を示すフローチャートである。図7は、道路標示体検出判定処理を説明するための図、図8は、図7に示す101A部分の拡大図、図9及び図10は、白線未検出の具体例を示す図である。
【0034】
図5に示すように、車載器10は、車両41の運行が開始されると、運行データ及び映像の記録を開始する(S1)。車載器10は、GPSデータ及び画像データ(走行画像データ)を、例えば1秒毎に取得し、時刻情報と対応付けて記録する(S2)。車載器10は、画像データに対して、道路標示体検出判定処理を実施する(S3)。
【0035】
ここで、図6を参照して、車載器10による道路標示体検出判定処理の詳細を説明する。車載器10は、例えば1フレーム分の画像データについて、道路標示体認識を開始する(S31)。
【0036】
図7は、カメラ20が取得した画像101の一例において、区画線検知枠101A、102と、路面標示検知枠103とが重畳表示された様子を示す。図7に示すように、画像101には、黒い路面Rに標示された、道路標示体の一例である白線L1、L2および路面標示111が含まれる。カメラ20を車両41に搭載する際、車載器10において、「白線L1、L2が画角の両側に写り、画角の中央付近には路面標示111が映る」と、画像処理時に推測可能に設定する。区画線検知枠101Aは、白線L1が映ると推測される、画像101における左側に配置され、区画検知枠102は、白線L2が映ると推測される、画像101における右側に配置される。路面標示検知枠103は、路面標示111を含む種々の路面標示が映ると推測される、画像101の左右方向における中央部分に配置される。本実施形態においては、白線L1、L2の幅は10cmから15cmであり、コントラスト比の閾値(第1閾値)が50である場合の例を示す。
【0037】
画像101における区画線検知枠101A内の拡大図を図8に示す。道路標示体認識において、車載器10は、画像101上において、矢印Xで示す一方向に沿って隣り合う画素のコントラストを順次確認し、第1閾値以上のコントラスト比があった場合(図6に示すS32でYES)、第1エッジE1を検出する(S33)。図8に示す例においては、第1エッジE1は、路面Rから白線L1への境界である。車載器10は、次に第1閾値以上のコントラスト比があった場合(S34でYES)、第2エッジE2を検出する(S35)。一方、車載器10は、第1閾値以上のコントラスト比がない場合(ステップS32でNO、S34でNO)、特段の処理を行わず、S32の処理に戻る。
【0038】
車載器10は、検出した第1、第2エッジE1、E2が、画角の中央部分にあるか、両端部分にあるか、を判断する(S36)。車載器10は、検出した第1、第2エッジE1、E2が、画角の中央部分にある場合、第1エッジE1と第2エッジE2との間隔であるエッジペア幅Dが、第2閾値以内、すなわち10cmから15cm以内か否かを判断する(S37)。エッジペア幅Dが第2閾値以内である場合(S37でYES)、車載器10は、白線を検出する、すなわち、白線検出可能と判定する(S38)。
【0039】
S36において、検出した第1、第2エッジが画角の中央部分にある場合、車載器10は、S39の処理に移行し、記憶部14に予め保存されている、各路面標示パターンとのパターンマッチング率をそれぞれ算出する。いずれのパターンマッチング率も所定値を満足しない場合(S39でNO)、車載器10は、路面標示なしと判定する(S40)。一方、いずれかの路面標示パターンとのパターンマッチング率が所定値を満足した場合(S39でYES)、車載器10は、その路面標示を検出する、すなわち、路面標示検出可能と判定する(S41)。
【0040】
S37において、エッジペア幅Dが第2閾値以内でない場合(S37でNO)、車載器10は、白線検出不可と判定する(S42)。白線検出不可の例を図9及び図10に示す。図9の画像101Cは、白線L1の片側が擦れているため、第1エッジE1と第2エッジE2との間隔であるエッジペア幅D1が第2閾値よりも小さくなり(S36でNO)、白線検出不可と判定される。図10の画像101Dは、隣接する2本の白線L1、L2の境界線が擦れている。このため、白線L1の第1エッジE1に続いて検出されるべきエッジが検出されず、第1エッジE1と第2エッジE2との間隔であるエッジペア幅D2が第2閾値よりも大きくなり(S36でNO)、白線検出不可と判定される。
【0041】
図5に戻り、車載器10は、道路標示体検出判定処理(S3)を実施した結果である道路標示体検出データを記録し、サーバ60に送信する(S4)。道路標示体検出データは、道路標示体が検出された場合(図6に示すS38、S41)は道路標示体検出=1、検出不可と判定された場合(S40、S42)は道路標示体未検出=0(検出不可情報)として記録される。各道路標示体検出データは、判定に用いた画像データを取得した地点の位置情報と対応付けられて、記録され、サーバ60に送信される。サーバ60は、車載器10から受信した、道路標示体を検出できなかった未検出地点の位置情報である標示体未検出情報を、道路標示体情報蓄積部64に蓄積する。
【0042】
(サーバ60の動作例)
図11は、図1に示すサーバ60による検出結果出力処理の一例を示すフローチャートである。各都道府県警の担当者等によって、通信装置80から、例えばインターネット網52を介してサーバ60に道路標示体補修箇所の検索開始要求の入力及び、地図上で確認したい箇所の選択入力がなされ、サーバ60がこれらの入力を受け付ける(S11、S12)。サーバ60は、指定された地図データを地図データ蓄積部65から読み出し(S13)、指定された範囲内の位置情報を持つデータを、道路標示体情報蓄積部64に蓄積された標示体未検出情報から抽出する(S14)。
【0043】
続いてサーバ60は、抽出したデータから、道路標示体未検出=0のデータ、すなわち、未検出地点の位置情報を抽出し(S15)、未検出地点が車道であるか否かを判定する(S16)。サーバ60は、未検出地点が車道である場合(S16でYES)、補修必要箇所を地図データに重畳した結果画像(図2に示す検出結果地図70)を生成して(S17)、結果画像をウェブサイト上に出力可能に、通信装置80に送信する。結果画像が通信装置80の画面に表示されると、担当者等は、結果画像を見て路面補修が必要な箇所を認識できる。一方、サーバ60は、未検出地点が駐車場等といった車道以外の場合(S16でNO)、補修の必要がない箇所として記録し(S18)、結果画像に表示させない。尚、サーバ60は、補修の必要がない箇所を、図2の道路標示体未認識地点74のように、補修必要箇所75と区別して地図データに重畳した画像を生成してもよい。
【0044】
以上説明したように、本実施形態によれば、サーバ60が、車載器10の道路標示体認識機能とGPS位置情報とを利用することで、「道路標示体認識が行えなかった地点」を特定し、この地点を地図上に重畳表示することで、道路標示体の劣化箇所を特定できる。よって、サーバ60は、路面の補修管理を行う各都道府県警の担当者や、補修工事を行う補修業者等に路面補修が必要な箇所を提示できる。
【0045】
従来は、道路標示体の補修頻度に基準は定められておらず、各都道府県警の担当者が、視認によって補修の要否を判断し、補修が必要な場合に補修業者に委託し、補修が行われていた。このため、担当者によって補修要否の判断基準が異なり、補修状態に差が発生する。また、担当者が視認する工程には時間も手間もかかる。
【0046】
一方、本実施形態によれば、サーバ60が、道路標示体が検出されなかった地点を地図上に重畳して出力するので、担当者は例えばWeb上で補修必要箇所を確認できる。サーバ60が、道路標示体を検出できるか否かに応じて、補修必要箇所を提示するので、定量的に補修判定が行える。また、道路標示体認識機能の閾値を一定にすることで、補修判定の基準も一定に設定可能となる。よって、担当者による判断のばらつきがなくなる。
【0047】
Web上で確認できることから、従来のように担当者が現地で視認する必要が無くなるため、確認時間を削減できる。また、出力された結果を、画像として記録に残すことができるので、路面の劣化状態を再確認できる。
【0048】
このように、本実施形態によれば、担当者が路面補修の要否を容易に判断できるため、路面の補修頻度が増し、常に、車線、停止標示、及び制限速度表示等の道路標示体を良好な状態に保つことが可能となる。したがって、ドライバーによる道路標示体の見落としを低減し、ドライバーの安全運転支援が可能となる。
【0049】
尚、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、前述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。例えば、上記実施形態では、サーバ60が図11に示す各処理を行ったが、複数のサーバが協同して処理を行ってもよい。例えば、通常の運行管理を担当するデータサーバと、地図データを管理するマップサーバとが必要なデータを送受信して、例えば、S13、S16の処理をマップサーバが行い、S14、S15の処理をデータサーバが行ってもよい。
【0050】
ここで、上述した本発明の実施形態に係る標示体情報出力装置及び標示体情報提示システムの特徴をそれぞれ以下[1]~[7]に簡潔に纏めて列記する。
【0051】
[1] 道路標示体を検出できなかった未検出地点の位置情報を車載器(10)から取得する取得部(通信部62)と、
少なくとも前記未検出地点を含む地図データを蓄積する蓄積部(地図データ蓄積部65)と、
前記地図データ上に、前記未検出地点の位置情報を重畳した結果情報(検出結果地図70)を出力する出力部(制御部61、通信部62)と、を備える、
標示体情報出力装置(サーバ60)。
【0052】
上記[1]の構成の標示体情報出力装置によれば、道路標示体が検出されなかったという情報を活用し、未検出地点の位置情報を地図データに重畳して出力することにより、路面の車線等の標示が劣化し、路面補修が必要となった箇所を提示できる。よって、路面の補修管理を行う各都道府県警の担当者や、補修工事を行う補修業者等は、路面補修が必要な箇所を認識できる。
【0053】
[2] 前記地図データを参照して、前記未検出地点が車道であるか否かを判定する判定部(制御部61)を備え、
前記出力部は、前記未検出地点が車道である場合、前記未検出地点の位置情報を、補修必要箇所(補修必要箇所75)として、前記地図データ上に重畳した前記結果情報を出力する、
上記[1]に記載の標示体情報出力装置。
【0054】
上記[2]の構成の標示体情報出力装置によれば、未検出地点が車道である場合に補修必要箇所が地図データ上に重畳されるので、補修不要な箇所が表示されない。よって、担当者等は補修必要箇所を容易に把握できる。
【0055】
[3] 上記[1]又は[2]に記載の標示体情報出力装置(サーバ60)と、前記車載器(10)と、を備えた標示体情報提示システム(1)であって、
前記車載器は、
前記車載器を搭載した車両(41)の位置情報を取得する位置取得部(GPS受信部13)と、
前記車両の前方を撮影するカメラ(20)から、画像データを取得する画像取得部(センサ入力部12)と、
前記画像データに基づいて、前記道路標示体を検出可能か否かを判定する標示体検出部(制御部11)と、
判定に用いた前記画像データを取得した地点の位置情報と、前記判定の結果が検出不可であることを示す検出不可情報(道路標示体未検出=0)と、を対応付けた標示体未検出情報を前記標示体情報出力装置に送信する送信部(入出力I/F15)と、を備え、
前記標示体情報出力装置において、
前記取得部は、前記標示体未検出情報を受信し、前記未検出地点の位置情報として、前記標示体未検出情報に含まれる位置情報を取得し、
前記出力部は、前記地図データ上に、前記標示体未検出情報に含まれる位置情報を重畳した前記結果情報(検出結果地図70)を出力する、
標示体情報提示システム。
【0056】
上記[3]の構成の標示体情報提示システムによれば、車載器が収集した、道路標示体が検出されなかったという情報を活用し、未検出地点の位置情報を地図データに重畳して出力することにより、道路標示体が劣化し、路面補修が必要となった箇所を提示できる。よって、路面の補修管理を行う各都道府県警の担当者や、補修工事を行う補修業者等は、路面補修が必要な箇所を認識できる。
【0057】
[4] 前記標示体情報出力装置において、前記出力部は、前記結果情報をウェブサイト上に出力する、
上記[3]に記載の標示体情報提示システム。
【0058】
上記[4]の構成の標示体情報提示システムによれば、担当者等は、ウェブサイトにアクセスすることで、補修が必要な箇所を手軽に確認できる。
【0059】
[5] 前記車載器と通信可能な通信装置(80)を備え、
前記標示体情報出力装置において、前記出力部は、前記結果情報を前記通信装置に送信し、
前記通信装置は、前記標示体情報出力装置から受信した前記結果情報を表示する、
上記[3]に記載の標示体情報提示システム。
【0060】
上記[5]の構成の標示体情報提示システムによれば、担当者等は、通信装置に表示された結果情報をみて、補修が必要な箇所を確認できる。
【0061】
[6] 車両(41)に搭載された車載器(10)であって、
前記車両の位置情報を取得する位置取得部(GPS受信部13)と、
前記車両の前方を撮影するカメラ(20)から、画像データを取得する画像取得部(センサ入力部12)と、
前記画像データに基づいて、前記道路標示体を検出可能か否かを判定する標示体検出部(制御部11)と、
判定に用いた前記画像データを取得した地点の位置情報と、前記判定の結果が検出不可であることを示す検出不可情報(道路標示体未検出=0)と、を対応付けた標示体未検出情報を前記標示体情報出力装置に送信する送信部(入出力I/F15)と、を備える、
車載器(10)。
【0062】
[7] 前記標示体検出部は、前記画像データに基づいて、画像内の一方向に沿って、第1閾値以上のコントラスト比がある第1エッジと第2エッジとを検出し、前記第1エッジと前記第2エッジとの前記一方向における距離が第2閾値以内の場合に、道路標示体検出と判定し、前記標示体検出判定と判定されない場合に道路標示体検出不可と判定する、
上記[6]に記載の車載器。
【符号の説明】
【0063】
1 標示体情報提示システム
10 車載器
11 制御部
12 センサ入力部
13 GPS受信部
14 記憶部
20 カメラ
30 無線通信モジュール
40 車載装置
41 車両
60 サーバ
61 制御部
62 通信部
63 記憶部
64 標示体情報蓄積部
65 地図データ蓄積部
80 通信装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11