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特開2023-166207真空脱ガス設備の制御装置、真空脱ガス設備の制御方法、操業方法及び溶鋼の製造方法
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  • 特開-真空脱ガス設備の制御装置、真空脱ガス設備の制御方法、操業方法及び溶鋼の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166207
(43)【公開日】2023-11-21
(54)【発明の名称】真空脱ガス設備の制御装置、真空脱ガス設備の制御方法、操業方法及び溶鋼の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C21C 7/10 20060101AFI20231114BHJP
   C21C 7/00 20060101ALI20231114BHJP
   C21C 7/068 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
C21C7/10 P
C21C7/00 R
C21C7/068
C21C7/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022077104
(22)【出願日】2022-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100165696
【弁理士】
【氏名又は名称】川原 敬祐
(74)【代理人】
【識別番号】100180655
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】大東 祐汰
(72)【発明者】
【氏名】富山 伸司
(72)【発明者】
【氏名】島本 拓幸
【テーマコード(参考)】
4K013
【Fターム(参考)】
4K013BA02
4K013CE01
4K013CE04
4K013CE05
4K013CE08
4K013CE09
4K013CF13
4K013EA00
4K013FA01
4K013FA02
4K013FA03
4K013FA04
4K013FA11
4K013FA12
(57)【要約】
【課題】溶鋼中炭素濃度を高精度に推定し、脱炭処理を適切なタイミングに終了させる真空脱ガス設備の制御装置、真空脱ガス設備の制御方法、操業方法及び溶鋼の製造方法が提供される。
【解決手段】真空脱ガス設備の制御装置(10)は、脱炭処理の前における溶鋼の重量及び成分濃度に関する情報、脱炭処理の実行中における操業実績値、副原料に関する情報、が入力される操業情報入力部(11)と、溶鋼の溶鋼中炭素濃度を推定する成分計算部(12)と、真空脱ガス設備から排出された炭素量の推定値及び推定された溶鋼の溶鋼中炭素濃度を補正する補正パラメータを算出する補正計算部(13)と、補正パラメータにより補正された溶鋼の溶鋼中炭素濃度が目標値に達した場合に脱炭処理を終了させる脱炭処理制御部(14)と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶鋼を減圧環境下に置くことで脱炭処理を行う真空脱ガス設備の動作を制御する、真空脱ガス設備の制御装置であって、
前記脱炭処理の前における前記溶鋼の重量及び成分濃度に関する情報、前記脱炭処理の実行中における前記真空脱ガス設備から排出される排ガスの流量及び成分濃度の計測結果を含む操業実績値、前記脱炭処理の実行中に投入される副原料に関する情報、が入力される操業情報入力部と、
前記脱炭処理の前における前記溶鋼の重量及び成分濃度に関する情報、前記操業実績値に基づいて、前記溶鋼の溶鋼中炭素濃度を推定する成分計算部と、
推定された前記溶鋼の溶鋼中炭素濃度、前記排ガスの流量及び成分濃度の計測結果及び炭素の収支計算結果に基づいて、前記真空脱ガス設備から排出された炭素量の推定値及び推定された前記溶鋼の溶鋼中炭素濃度を補正する補正パラメータを算出する補正計算部と、
前記補正パラメータにより補正された前記溶鋼の溶鋼中炭素濃度が目標値に達した場合に前記脱炭処理を終了させる脱炭処理制御部と、を備える、真空脱ガス設備の制御装置。
【請求項2】
前記補正計算部は、溶鋼中炭素量の減少量と、排ガス中炭素量との差に基づく評価関数に基づいて前記補正パラメータを算出する、請求項1に記載の真空脱ガス設備の制御装置。
【請求項3】
前記評価関数は、前記溶鋼中炭素量と、前記副原料に含まれる炭素量から前記排ガス中炭素量を差し引くことで計算される2乗値の項及び単位時間当たりの排ガス中炭素量と脱炭速度との差の2乗値の項を含む、請求項2に記載の真空脱ガス設備の制御装置。
【請求項4】
前記評価関数は、補正前の値に乗じる補正係数として設定される排ガス計測値の前記補正パラメータを有する、請求項2又は3に記載の真空脱ガス設備の制御装置。
【請求項5】
溶鋼を減圧環境下に置くことで脱炭処理を行う真空脱ガス設備の動作を制御する真空脱ガス設備の制御装置が実行する、真空脱ガス設備の制御方法であって、
前記脱炭処理の前における前記溶鋼の重量及び成分濃度に関する情報、前記脱炭処理の実行中における前記真空脱ガス設備から排出される排ガスの流量及び成分濃度の計測結果を含む操業実績値、前記脱炭処理の実行中に投入される副原料に関する情報、が入力される入力ステップと、
前記脱炭処理の前における前記溶鋼の重量及び成分濃度に関する情報、前記操業実績値に基づいて、前記溶鋼の溶鋼中炭素濃度を推定する成分計算ステップと、
推定された前記溶鋼の溶鋼中炭素濃度、前記排ガスの流量及び成分濃度の計測結果及び炭素の収支計算結果に基づいて、前記真空脱ガス設備から排出された炭素量の推定値及び推定された前記溶鋼の溶鋼中炭素濃度を補正する補正パラメータを算出する補正計算ステップと、
前記補正パラメータにより補正された前記溶鋼の溶鋼中炭素濃度が目標値に達した場合に前記脱炭処理を終了させる脱炭処理終了ステップと、を含む、真空脱ガス設備の制御方法。
【請求項6】
前記補正計算ステップは、溶鋼中炭素量の減少量と、排ガス中炭素量との差に基づく評価関数に基づいて前記補正パラメータを算出する、請求項5に記載の真空脱ガス設備の制御方法。
【請求項7】
前記評価関数は、前記溶鋼中炭素量と、前記副原料に含まれる炭素量から前記排ガス中炭素量を差し引くことで計算される2乗値の項及び単位時間当たりの排ガス中炭素量と脱炭速度との差の2乗値の項を含む、請求項6に記載の真空脱ガス設備の制御方法。
【請求項8】
前記評価関数は、補正前の値に乗じる補正係数として設定される排ガス計測値の前記補正パラメータを有する、請求項6又は7に記載の真空脱ガス設備の制御方法。
【請求項9】
請求項5から7のいずれか一項に記載の真空脱ガス設備の制御方法を実行して、前記真空脱ガス設備を操業する、操業方法。
【請求項10】
請求項9に記載の操業方法によって操業される真空脱ガス設備において前記溶鋼を精錬して、精錬された前記溶鋼を製造する、溶鋼の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は真空脱ガス設備の制御装置、真空脱ガス設備の制御方法、操業方法及び溶鋼の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製鋼プロセスでは、炭素をはじめとする溶銑中の不純物を取り除き、有用な合金成分を添加することで溶鋼成分の調整を行う。特に炭素については、真空脱ガス設備を用いて溶鋼を真空環境下におくことで脱炭を促進し、溶鋼中炭素濃度が10ppmを下回るような極低炭素鋼を生産することが可能である。
【0003】
ここで、真空脱ガス処理において、溶鋼中炭素濃度は、直接的に測定されるのでなく、排ガス中の一酸化炭素と二酸化炭素の濃度から間接的に推定されるのみである。極低炭素鋼の生産において、操業者は炭素濃度の規格外れを懸念して、過剰に長く脱炭処理を行う傾向がある。
【0004】
過剰な脱炭処理による処理時間の長期化を解決するためには、処理中の溶鋼中炭素濃度を高精度に推定することが効果的であり、これまでにも様々な方法が提案されている。溶鋼中炭素濃度の推定方法は2つに大別することが可能である。1つは真空脱ガス設備における脱炭反応の詳細を物理的に考察し、脱炭反応モデルを構築する方法である(例えば非特許文献1)。もう1つは、処理中に真空脱ガス設備から排出される排ガスの流量及び計測値(例えば成分濃度の計測値)から脱炭量を計算し、溶鋼中炭素濃度を推定する方法である。また、両者の組み合わせとして、脱炭反応モデルのパラメータを排ガス計測値から決定して、決定されたパラメータを有する脱炭反応モデルを用いて溶鋼中炭素濃度を推定する方法が提案されている(例えば特許文献1及び特許文献2)。
【0005】
また、例えば特許文献3は、オブザーバ理論に基づき脱炭反応モデルから計算される脱炭速度と排ガス計測値から計算される脱炭速度の差を用いて溶鋼中炭素濃度の推定値を補正する方法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005-330512号公報
【特許文献2】特開2015-101742号公報
【特許文献3】特開2006-104521号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】北村信也、外3名、「真空脱ガス炉における脱炭反応モデル」、鉄と鋼 Vol.80(1994) No.3、p.213-218
【非特許文献2】樋口善彦、外2名、「RH真空脱炭に及ぼす[C],[O]と真空度の影響」、鉄と鋼 Vol.84(1998) No.10、p.709-714
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
物理的考察から脱炭反応モデルを構築する場合に、脱炭反応の詳細を表現しようとするとモデルパラメータの決定が困難であることが多い。例えば非特許文献1で提案されている脱炭反応モデルは、溶鋼内部でのCO気泡生成を定式化するための付加圧力パラメータが導入されているが、この値を基礎実験の結果から決定している。非特許文献2が指摘するように、実際の真空脱ガス設備で同じ付加圧力パラメータの値を使用して問題ないことについての検証はされていない。また、真空脱ガス設備は、装置形状及び操業条件がそれぞれ異なっており、モデルパラメータも変動すると考えられる。そのため、非特許文献1で提案されている脱炭反応モデルを導入しても、装置形状又は操業条件が異なっていれば、高精度な溶鋼中炭素濃度の推定はできない。
【0009】
特許文献1及び特許文献2の技術は、上記のように、脱炭の実績を反映する排ガス計測値から脱炭反応モデルのパラメータを決定することで、例えば装置形状及び操業条件に合ったモデルパラメータを設定することができる。しかし、排ガス計測値に含まれる誤差がそのままモデルパラメータに反映されるため、溶鋼中炭素濃度の推定値の精度をさらに高める方法が求められている。
【0010】
特許文献3の技術は、上記のように、脱炭反応モデルから計算される脱炭速度と排ガス計測値から計算される脱炭速度の差に基づいて溶鋼中炭素濃度の推定値を補正するが、脱炭反応モデルが正確であることを前提とする。したがって、脱炭反応モデルの誤差が推定結果に反映されるため、溶鋼中炭素濃度の推定値の精度をさらに高める方法が求められている。
【0011】
このように、従来技術では、脱炭反応モデルの誤差及び排ガス計測値に含まれる誤差があり得るところ、少なくとも一方については正確であることを前提として計算を行う。従来技術は、どちらかの誤差を無視して溶鋼中炭素濃度を推定するため、溶鋼中炭素濃度の推定の精度が不十分であるという課題がある。
【0012】
かかる事情に鑑みてなされた本開示の目的は、溶鋼中炭素濃度を高精度に推定し、脱炭処理を適切なタイミングに終了させる真空脱ガス設備の制御装置、真空脱ガス設備の制御方法、操業方法及び溶鋼の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示の一実施形態に係る真空脱ガス設備の制御装置は、
溶鋼を減圧環境下に置くことで脱炭処理を行う真空脱ガス設備の動作を制御する、真空脱ガス設備の制御装置であって、
前記脱炭処理の前における前記溶鋼の重量及び成分濃度に関する情報、前記脱炭処理の実行中における前記真空脱ガス設備から排出される排ガスの流量及び成分濃度の計測結果を含む操業実績値、前記脱炭処理の実行中に投入される副原料に関する情報、が入力される操業情報入力部と、
前記脱炭処理の前における前記溶鋼の重量及び成分濃度に関する情報、前記操業実績値に基づいて、前記溶鋼の溶鋼中炭素濃度を推定する成分計算部と、
推定された前記溶鋼の溶鋼中炭素濃度、前記排ガスの流量及び成分濃度の計測結果及び炭素の収支計算結果に基づいて、前記真空脱ガス設備から排出された炭素量の推定値及び推定された前記溶鋼の溶鋼中炭素濃度を補正する補正パラメータを算出する補正計算部と、
前記補正パラメータにより補正された前記溶鋼の溶鋼中炭素濃度が目標値に達した場合に前記脱炭処理を終了させる脱炭処理制御部と、を備える。
【0014】
本開示の一実施形態に係る真空脱ガス設備の制御方法は、
溶鋼を減圧環境下に置くことで脱炭処理を行う真空脱ガス設備の動作を制御する真空脱ガス設備の制御装置が実行する、真空脱ガス設備の制御方法であって、
前記脱炭処理の前における前記溶鋼の重量及び成分濃度に関する情報、前記脱炭処理の実行中における前記真空脱ガス設備から排出される排ガスの流量及び成分濃度の計測結果を含む操業実績値、前記脱炭処理の実行中に投入される副原料に関する情報、が入力される入力ステップと、
前記脱炭処理の前における前記溶鋼の重量及び成分濃度に関する情報、前記操業実績値に基づいて、前記溶鋼の溶鋼中炭素濃度を推定する成分計算ステップと、
推定された前記溶鋼の溶鋼中炭素濃度、前記排ガスの流量及び成分濃度の計測結果及び炭素の収支計算結果に基づいて、前記真空脱ガス設備から排出された炭素量の推定値及び推定された前記溶鋼の溶鋼中炭素濃度を補正する補正パラメータを算出する補正計算ステップと、
前記補正パラメータにより補正された前記溶鋼の溶鋼中炭素濃度が目標値に達した場合に前記脱炭処理を終了させる脱炭処理終了ステップと、を含む。
【0015】
本開示の一実施形態に係る操業方法は、
上記の真空脱ガス設備の制御方法を実行して、前記真空脱ガス設備を操業する。
【0016】
本開示の一実施形態に係る溶鋼の製造方法は、
上記の操業方法によって操業される真空脱ガス設備において前記溶鋼を精錬して、精錬された前記溶鋼を製造する。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、脱炭反応モデルと排ガス計測値及びそれから計算される排ガス中炭素量に含まれる誤差を同時に補正することができるので、溶鋼中炭素濃度を高精度に推定することでき、炭素濃度規格に対して適切なタイミングに脱炭処理を終了させ、脱炭処理時間を短縮可能な真空脱ガス設備の制御装置、真空脱ガス設備の制御方法、操業方法及び溶鋼の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本開示の一実施形態である真空脱ガス設備の制御装置の構成を示すブロック図である。
図2図2は、本開示の一実施形態である脱炭制御処理の流れを示すフローチャートである。
図3図3は、本開示の実施例における補正パラメータである排ガス中炭素量補正係数αの時系列計算結果である。
図4図4は、本開示の実施例における補正パラメータである真空槽溶鋼中炭素濃度補正値ΔCの時系列計算結果である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本開示の実施形態に係る真空脱ガス設備の制御装置及び制御方法が説明される。本実施形態において、真空脱ガス設備は、RH真空脱ガス設備であるとして説明するが、RH真空脱ガス設備に限られるものではなく、真空槽と取鍋に浸漬して溶鋼真空槽に吸い上げる浸漬管を1本だけ持つ設備又は真空槽を持たず取鍋内溶鋼表面を真空状態にする設備(装置)についても以下に説明する制御方法を実施可能である。
【0020】
[構成]
図1は、本開示の一実施形態に係る制御装置10の構成を示すブロック図である。制御装置10は、真空脱ガス設備100の制御装置10であって、真空脱ガス設備100の動作を制御する。真空脱ガス設備100では、少なくとも溶鋼を減圧環境下に置くことで脱炭処理を行う。本実施形態において、制御装置10が後述する真空脱ガス設備100の制御方法を実行することによって、真空脱ガス設備100が操業される。つまり、真空脱ガス設備100の操業方法として、真空脱ガス設備100の制御が実行される。また、本実施形態において、真空脱ガス設備100は溶鋼の製造設備の一部を構成する。溶鋼の製造設備において溶鋼の製造方法が実行され、溶鋼の製造方法は、真空脱ガス設備100において溶鋼を精錬して、精錬された溶鋼を製造することを含む。
【0021】
図1に示すように、制御装置10は、操業情報入力部11、成分計算部12、補正計算部13及び脱炭処理制御部14を備える。
【0022】
操業情報入力部11は真空脱ガス設備100を用いる操業についての情報を取得する。本実施形態において、操業情報入力部11には、脱炭処理の前における溶鋼の重量及び成分濃度に関する情報、脱炭処理の実行中における真空脱ガス設備100から排出される排ガスの流量及び成分濃度の計測結果を含む操業実績値、脱炭処理の実行中に投入される副原料に関する情報、が入力される。
【0023】
成分計算部12は、操業情報入力部11が取得した操業情報に基づいて、溶鋼の溶鋼中炭素濃度を推定する。本実施形態において、成分計算部12は、脱炭処理の前における溶鋼の重量及び成分濃度に関する情報、操業実績値に基づいて、溶鋼の溶鋼中炭素濃度を推定する。
【0024】
補正計算部13は、真空脱ガス設備100から排出された炭素量の推定値及び推定された溶鋼の溶鋼中炭素濃度を補正する補正パラメータを算出する。本実施形態において、補正計算部13は、推定された溶鋼の溶鋼中炭素濃度、排ガスの流量及び成分濃度の計測結果及び炭素の収支計算結果に基づいて、真空脱ガス設備100から排出された炭素量の推定値及び推定された溶鋼の溶鋼中炭素濃度を補正する補正パラメータを算出する。
【0025】
脱炭処理制御部14は、補正パラメータにより補正された溶鋼中炭素濃度が目標値に達した場合に脱炭処理を終了させる。
【0026】
制御装置10は、例えばコンピュータ等の情報処理装置によって構成される。制御装置10は、情報処理装置のCPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置がプログラムを実行することにより、操業情報入力部11、成分計算部12、補正計算部13及び脱炭処理制御部14として機能する構成であってよい。
【0027】
真空脱ガス設備100は公知の構成であってよい。上記のように、本実施形態においてRH真空脱ガス設備が用いられる。RH真空脱ガス設備は、例えば真空槽と取鍋を備え、その間が2本の浸漬管でつながっている。真空槽は排気ダクトとつながっており、ここを通して真空槽内部の気体を排気することで真空槽を減圧し、取鍋内の溶鋼を吸い上げる。そして、浸漬管の片方から配管を通して不活性ガスを吹き込むことで、溶鋼は真空槽と取鍋の間を還流する。また、脱炭処理を促進させる目的で、真空槽に設置された吹き込みランスから酸素を吹き込む場合がある。
【0028】
このような構成を有する制御装置10は、以下に示す脱炭制御処理を実行することにより、溶鋼中炭素濃度を高精度で推定する。高精度な推定が行われることで、炭素濃度の規格外れを懸念して過剰に長く脱炭処理を行うことを回避でき、結果として脱炭処理時間を短縮することができる。以下、図2を参照して、本開示の一実施形態である脱炭制御処理の流れが説明される。
【0029】
[脱炭制御処理]
図2は、制御装置10が実行する脱炭制御処理の流れを示すフローチャートである。図2に示すフローチャートは、脱炭処理の実行命令が入力されたタイミングで開始となり、ステップS1の処理が行われる。
【0030】
ステップS1の処理では、操業情報入力部11が、脱炭処理開始前において計測された溶鋼重量及び成分分析によって得られた成分濃度を取得する。濃度を測定する成分としては、C、Si、Mn、P、S、Al、Cu、Nb、Ti等を例示できる。また、成分計算部12における計算で必要であれば、操業情報入力部11は溶鋼温度の計測結果も取得してよい。図2の例では温度も取得される。これにより、ステップS1の処理が完了し、脱炭制御処理はステップS2の処理に進む。
【0031】
ステップS2の処理では、操業情報入力部11が脱炭処理中の操業実績値を取得する。操業実績値は成分計算部12及び補正計算部13における計算に必要な項目が取得される。本実施形態において、操業情報入力部11は、真空脱ガス設備100から排出される排ガスの流量及び成分濃度の計測結果を、操業実績値として取得する。また、本実施形態において、操業情報入力部11は、脱炭処理の実行中に投入される副原料に関する情報を取得する。副原料に関する情報は、具体例として副原料の種類及び投入量である。さらに、脱炭処理中における、真空槽の圧力、還流用の不活性ガスの流量、上吹きランスからの酸素流量などの情報が操業情報入力部11に入力されてよい。後述するステップS6の後でステップS2の処理が実行される場合に、操業情報入力部11は、溶鋼中炭素濃度推定値を始めとする溶鋼成分の推定値も取得してよい。これにより、ステップS2の処理が完了し、脱炭制御処理はステップS3及びステップS4の処理に進む。ここで、ステップS1及びステップS2は入力ステップに対応する。
【0032】
ステップS3の処理では、成分計算部12が、あらかじめ設定された脱炭反応モデルに従って溶鋼中炭素濃度を計算(推定)する。本実施形態において、成分計算部12は、所定周期ごと又は連続的に操業実績値などの入力情報を取得して、溶鋼の溶鋼中炭素濃度を所定周期ごと又は連続的に推定する。成分計算部12が用いる脱炭反応モデルの要件は、所定周期ごと又は連続的に溶鋼中炭素濃度を推定できることと、脱炭速度すなわち溶鋼中炭素濃度の変化速度が、脱炭反応が生じる部分の溶鋼中炭素濃度の関数として表現されることの2点である。脱炭反応が生じる部分は、RH真空脱ガス設備においては真空槽が対応する。この2点は一般的な脱炭反応モデルが当然に満足する条件である。
【0033】
本実施形態において、RH真空脱ガス設備における脱炭処理中に、真空槽及び取鍋内における溶鋼濃度がそれぞれ完全混合状態であるとして、下記式(1)及び式(2)の脱炭反応モデルが用いられる。
【0034】
【数1】
【0035】
ここで、wは溶鋼質量[kg]である。Cは溶鋼中炭素濃度[ppm]である。Qは溶鋼還流速度[kg/s]である。akは脱炭反応容量係数[kg/s]である。Cは真空槽における溶鋼中炭素濃度の平衡値[ppm]である。Calloyは投入副原料中の炭素重量の溶鋼中炭素濃度換算値[ppm]である。式(2)において脱炭反応容量係数は真空槽における溶鋼中の炭素濃度に依存することを明示的に示している。また、添字Lは取鍋における溶鋼の物理量であることを示す。添字Vは真空槽における溶鋼の物理量であることを示す。例えばCは真空槽溶鋼中炭素濃度[ppm]を示す。添字iは具体的な脱炭反応サイトを識別するために用いられる。具体的な脱炭反応サイトとして、例えば溶鋼表面、還流用不活性ガス気泡などが挙げられる。
【0036】
排ガスとして排出される炭素量は式(2)の第2項で計算される。また、式(1)及び式(2)より微小時間あたりの溶鋼中炭素濃度の変化量を計算し、現在の溶鋼中炭素濃度から差し引くことで微小時間後の溶鋼中炭素濃度が計算される。これにより、ステップS3の処理は完了する。ここで、ステップS3は成分計算ステップに対応する。
【0037】
ステップS4の処理では、補正計算部13が排ガスの流量及び成分濃度の計測結果から排ガス中炭素量を計算する。溶鋼から排出される炭素がCO又はCOの形を取ることを踏まえると、単位時間当たりの排ガス中炭素量は下記式(3)となる。また、処理開始(時刻0)から時刻tまでの、排出炭素量の累計は下記式(4)となる。
【0038】
【数2】
【0039】
ここで、qC,OG(t)は時刻tにおける単位時間当たりの排ガス中炭素量[kg/s]である。mは炭素のモル質量[g/mol]である。Voff(t)は時刻tにおける排ガスの体積流量[Nm/s]である。rCO(t)は時刻tにおける排ガス中CO濃度[vol%]である。rCO2(t)は時刻tにおける排ガス中CO濃度[vol%]である。QC,OG(t)は時刻0からtまでの排出炭素量の累計[kg]である。
【0040】
ここで、排ガスの流量及び成分濃度の計測結果に既知の誤差が含まれる場合に、補正計算部13が既知の誤差を除去又は低減してから式(3)の計算を実行することが好ましい。例えばCO濃度計測値及びCO濃度計測値が、計測を行っていない時間にも非零の値を取るような場合に(ゼロ点がずれている場合に)、計測値からゼロ点のずれを差し引いた値が計算に用いられてよい。これにより、ステップS4の処理は完了する。ステップS3及びステップS4が完了すると、脱炭制御処理はステップS5の処理に進む。ここで、ステップS4の処理はステップS3の処理から独立して実行可能であり、本実施形態のようにステップS3とステップS4とが並行して実行されてよい。ただし、並行処理に限定されず、ステップS3とステップS4とが順に実行されてよく、このとき、どちらが先か(実行順)も限定されない。
【0041】
ここで、質量保存則より、溶鋼中炭素量と溶鋼からの排出炭素量の累計の合計は、脱炭処理前の溶鋼中炭素量と処理中に投入された副原料に含まれる炭素量の合計に等しい。しかし、一般に、ステップS3で推定された溶鋼中炭素濃度に基づく溶鋼中炭素量とステップS4で推定された排出炭素量の累計を使用した計算は、質量保存則を満足しない。本実施形態において、補正計算部13は、この質量保存則からの乖離を炭素の収支計算として求めて、この乖離が脱炭反応モデル及び排ガス計測値のどちらにも誤差が含まれることによるとして、それぞれの誤差を補正するパラメータを設定する。
【0042】
ステップS5の処理では、質量保存則が満足されるように、補正計算部13がステップS3及びステップS4の処理における計算結果の補正パラメータを決定する。真空槽溶鋼中炭素濃度補正値ΔC[ppm]は、脱炭反応モデルの補正パラメータである。また、排ガス中炭素量補正係数αは、排ガス計測値の補正パラメータである。これらの補正パラメータにより、ステップS3及びステップS4の処理における計算結果は以下の通り補正される。
【0043】
まず、真空槽溶鋼中炭素濃度は、真空槽溶鋼中炭素濃度補正値ΔCを加えて、C+ΔCに補正される。単位時間当たりの排ガス中炭素量は、排ガス中炭素量補正係数αを乗じて、αqC、OG(t)に補正される。また、排出炭素量の累計は、排ガス中炭素量補正係数αを乗じて、αQC、OG(t)に補正される。補正パラメータである排ガス中炭素量補正係数α及び真空槽溶鋼中炭素濃度補正値ΔCは、下記式(5)に示される最適化問題の解として決定される。
【0044】
【数3】
【0045】
ここで、QC,INは脱炭処理前の溶鋼中炭素量と処理中に投入された副原料に含まれる炭素量の合計[kg]である。QC,STは溶鋼中炭素量[kg]である。QC,INとQC,STとの差分は溶鋼中炭素量の減少量を含む。また、さらにαQC、OG(t)との差分をとることは、その減少量と排ガス中炭素量(排出炭素量の累計)との差を評価することに対応する。deC(ΔC)は成分計算部12によって脱炭反応モデルから計算される脱炭速度[kg/s]である。αaveは、操業実績値に基づくαの標準値である。σ、σ、σ及びσは重みづけ係数であって、例えばユーザによって設定される。QC、ST(ΔC)は式(6)で定義される。また、deC(ΔC)は式(7)で定義される。
【0046】
【数4】
【0047】
式(5)の第1項は、炭素についての質量保存則からの乖離を表す。質量保存則が完全に満たされる場合に、第1項は0になる。式(5)の第2項は、単位時間当たりの排ガス中炭素量と脱炭反応モデルから計算される脱炭速度との乖離を表す。単位時間当たりの排ガス中炭素量と脱炭反応モデルから計算される脱炭速度が一致する場合に、第2項は0になる。式(5)の第3項及び第4項は補正パラメータが極端な値をとることを予防するための項である。まず、排ガス中炭素量補正係数αについて、排ガス計測装置の劣化及び計測環境の悪化は1回の真空脱ガス処理時間よりも十分長い時間スケールで進行していくため、連続する真空脱ガス処理においては標準値(αave)と概ね同じ値を取り続けると期待される。そのため、第3項はαとαaveの差分の2乗値を加算したものとなっている。標準値であるαaveは、例えば直近で処理が行われた所定回のチャージについて排ガス中炭素量補正係数αの平均を計算することで決定することができる。所定回は、複数回であることが好ましく、特定の値に限定されない。また、真空槽溶鋼中炭素濃度補正値ΔCについて、脱炭反応モデルの誤差は小さいと期待される。そのため、第4項はΔCの2乗値を加算したものとなっている。本実施形態において、補正計算部13は評価関数である式(5)を最小化することで補正パラメータを計算するが、最大化するような評価関数が用いられてよい。つまり、補正計算部13は、評価関数を最小化又は最大化するような補正パラメータを求めてよい。
【0048】
ここで、排ガス中炭素量補正係数αは、加算される真空槽溶鋼中炭素濃度補正値ΔCと異なり、補正前の値に乗じる補正係数として設定されることが好ましい。例えば排ガス計測値の補正パラメータとして排ガス中炭素量補正係数αの代わりに単位時間当たりの排ガス中炭素量補正値ΔqC,OG[kg/s]を使って、単位時間当たりの排ガス中炭素量をqC,OG(t)+ΔqC,OGとする処理を行っても、炭素濃度推定の精度を高めることができない。排ガス計測値の誤差は、脱炭処理の時間経過とともに誤差の幅が大きく変動することが知られている。そのため、排ガス中炭素量補正係数αを加算される補正値(ΔqC,OG)とする場合に、適用する脱炭処理の進行のタイミングによっては誤差除去が不十分になり得る。また、脱炭処理の進行のタイミングに合わせて補正値を変化させることは困難である。そのため、本実施形態のように、排ガス中炭素量補正係数αは、補正前の値に乗じる補正係数として設定されることが好ましい。
【0049】
また、評価関数は上記の式(5)に限定されず、例えば真空槽溶鋼中炭素濃度補正値ΔCの代わりに真空槽溶鋼中炭素濃度補正係数aを用いることができる。このとき、真空槽溶鋼中炭素濃度は、真空槽溶鋼中炭素濃度補正係数aを乗じて、a・Cに補正される。そして、補正パラメータである排ガス中炭素量補正係数α及び真空槽溶鋼中炭素濃度補正係数aは、下記式(8)に示される最適化問題の解として決定される。
【0050】
【数5】
【0051】
脱炭反応モデルによる溶鋼中炭素濃度推定値を補正する必要がない場合にaが1になる。式(8)の第4項はaと1の差分の2乗値を加算したものとなっている。QC,ST´(a)は式(9)で定義される。また、deC´(a)は式(10)で定義される。
【0052】
【数6】
【0053】
式(5)及び式(8)の評価関数を用いる最小化問題は、公知の非線形最適化法を用いて解くことができる。以下では、式(5)の評価関数が使用されるとして説明する。補正計算部13は、式(5)の最小化問題を解くことで補正パラメータ(排ガス中炭素量補正係数α及び真空槽溶鋼中炭素濃度補正値ΔC)を決定する。これにより、ステップS5の処理が完了し、脱炭制御処理はステップS6の処理に進む。ここで、ステップS5は補正計算ステップに対応する。
【0054】
ステップS6の処理では、ステップS3で求めた溶鋼中炭素濃度の推定値に、ステップS5で求めた真空槽溶鋼中炭素濃度補正値ΔCを加えることで溶鋼中炭素濃度を更新する。これにより、ステップS6の処理が完了し、脱炭制御処理はステップS7の処理に進む。
【0055】
ステップS7の処理では、脱炭処理制御部14が、ステップS6で求めた溶鋼中炭素濃度が、あらかじめ定められた目標値に達したか(目標値以下となったか)を判定する。補正された溶鋼中炭素濃度が目標値より高い場合は、ステップS2の処理に戻り、新たに入力される操業実績値を使用してステップS2以降の処理を繰り返す。一方で、補正された溶鋼中炭素濃度が目標値以下となった場合に、脱炭処理は終了する。ここで、ステップS7は脱炭処理終了ステップに対応する。
【0056】
以上のように、本実施形態に係る真空脱ガス設備100の制御装置10、真空脱ガス設備100の制御方法、操業方法及び溶鋼の製造方法は、上記の構成及び工程によって、脱炭反応モデルと排ガス計測値の両方の誤差を想定し、これらの誤差を同時に補正することができる。そのため、溶鋼中炭素濃度を高精度に推定することでき、炭素濃度規格に対して適切なタイミングに脱炭処理を終了させ、脱炭処理時間を短縮可能な真空脱ガス設備100の制御装置10、真空脱ガス設備100の制御方法、操業方法及び溶鋼の製造方法を提供することができる。
【0057】
(実施例)
以下、本開示の効果を実施例に基づいて具体的に説明するが、本開示は実施例の内容に限定されるものではない。
【0058】
本実施例として、RH真空脱ガス設備を使用して脱炭処理が行われて、炭素濃度の規格上限が25ppmである極低炭素溶鋼が製造された。脱炭処理終了時に溶鋼の一部分がサンプルとして採取されて、このサンプルの溶鋼中炭素濃度が実測された。脱炭処理の終了は操業者の判断によるものである。また、発明法及び比較法により溶鋼中炭素濃度が推定された。発明法は、上記の実施形態のように溶鋼中炭素濃度を推定した。表1は脱炭処理終了時の推定値を実測値と比較した結果を示す。ここで、比較法として2種類の方法で溶鋼中炭素濃度が推定された。1つは、排ガス計測値から脱炭量を計算し、炭素濃度を推定する方法である(表1における排ガスモデル)。ただし、検証チャージ及びこれらと同時期に処理されたチャージの操業実績から求められた排ガス中炭素量補正係数αの平均値であるαaveを排ガス計測値から計算される脱炭量に乗じる処理が行われている。もう1つの方法は、脱炭反応モデルのみを使用して溶鋼中炭素濃度を推定する方法である(表1における脱炭反応モデル)。後者の脱炭反応モデルは発明法の溶鋼中炭素濃度推定計算においても使用されている。
【0059】
図3は表1の検証チャージAで計算された補正パラメータである排ガス中炭素量補正係数αの時間変化を示す。また、図4は表1の検証チャージAで計算された補正パラメータである真空槽溶鋼中炭素濃度補正値ΔCの時間変化を示す。
【0060】
【表1】
【0061】
表1に示すように、発明法は比較法に比べて溶鋼中炭素濃度の実測値に近い値を推定している。このことから、脱炭反応モデル及び排ガス計測値の両方の誤差を想定し、これらを補正する発明法が溶鋼中炭素濃度推定の高精度化に効果的であることが確認された。
【0062】
本開示の実施形態について、諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形又は修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部又は各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部又はステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。本開示に係る実施形態は装置が備えるプロセッサにより実行されるプログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものである。本開示の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【符号の説明】
【0063】
10 制御装置
11 操業情報入力部
12 成分計算部
13 補正計算部
14 脱炭処理制御部
100 真空脱ガス設備
図1
図2
図3
図4