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特開2023-166223搬送用トレー、そのブランク、及びトレー組立部材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166223
(43)【公開日】2023-11-21
(54)【発明の名称】搬送用トレー、そのブランク、及びトレー組立部材
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/02 20060101AFI20231114BHJP
   B65D 5/18 20060101ALI20231114BHJP
   B65D 5/4805 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
B65D81/02 200
B65D5/18 Z
B65D5/4805
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022077130
(22)【出願日】2022-05-09
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】506100990
【氏名又は名称】日本トーカンパッケージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100168985
【弁理士】
【氏名又は名称】蜂谷 浩久
(74)【代理人】
【識別番号】100149401
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 浩史
(72)【発明者】
【氏名】岩佐 亜希子
【テーマコード(参考)】
3E060
3E066
【Fターム(参考)】
3E060AA01
3E060AB23
3E060CC02
3E060CC19
3E060DA30
3E066JA03
3E066KA01
3E066KA05
3E066NA01
3E066NA41
3E066NA43
3E066NA60
(57)【要約】      (修正有)
【課題】多品種による形状違いの商品等の物品を一品一葉で収納するのではなく、全て共通の箱体、及び梱包材等の資材で収納することのでき、その収納状態のまま搬送することができる搬送用トレー、この搬送トレーを作製することができるブランク、及び搬送トレーを極めて容易に作製することができるトレー組立部材を提供する。
【解決手段】搬送用トレー10は、収納部26を形成する第1シート部12と、第2シート部14と、第1シート部の対向する両端部、及び第2シート部の対向する両端部をそれぞれ所定間隔で支持する2つの側面シート部16と、凹部の外側に配置され、第1シート部、及び第2シート部によって形成される緩衝部20と、第1シート部、及び第2シート部の少なくとも一方によって形成される凹部の側壁を成す部分の少なくとも一部に配置され、かつ少なくとも可動させるための3本の罫線31aが入っている可変部22と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平箱状の物品を収納する凹部からなる収納部を形成する第1シート部と、
前記物品を支持する、前記収納部の前記凹部の底面部を構成する第2シート部と、
前記第1シート部の対向する両端部、及び前記第2シート部の対向する両端部をそれぞれ所定間隔で支持する2つの側面シート部と、
前記凹部の外側に配置され、前記第1シート部、及び前記第2シート部によって形成される緩衝部と、
前記第1シート部、及び前記第2シート部の少なくとも一方によって形成される前記凹部の側壁を成す部分の少なくとも一部に配置され、かつ少なくとも可動させるための3本の罫線が入っている可変部と、を有することを特徴とする搬送用トレー。
【請求項2】
前記物品、及び前記凹部は、直方体形状である請求項1に記載の搬送用トレー。
【請求項3】
前記凹部の長手方向に対向する両側の上下の前記側壁のそれぞれの少なくとも一部にそれぞれ上下の前記可変部を備え、
前記上下の可変部は、前記凹部の前記側壁を成す前記凹部の上下の内壁面の少なくとも一部を構成する請求項2に記載の搬送用トレー。
【請求項4】
前記凹部の短手方向に対向する両側の左右の前記側壁のそれぞれの少なくとも一部にそれぞれ左右の前記可変部を備え、
前記左右の可変部は、前記凹部の左右の内壁面の一部を構成する請求項3に記載の搬送用トレー。
【請求項5】
前記上下の可変部は、前記第2シート部の上下の端末部の内側に形成され、前記第1シート部の前記凹部の外側の上下の端部と前記第2シート部の上下の端末部とが重ね合わされることで、前記第1シート部によって押圧される請求項3に記載の搬送用トレー。
【請求項6】
前記第2シート部の前記上下の端末部は、前記凹部の左右の外側にも延在しており、
前記上下の端末部、及び前記上下の可変部を含む前記第2シート部の上下の部分は、前記上下の可変部の上下の最も外側の1本の前記罫線に沿った他の罫線、及びその内側の1本の前記罫線に沿った他の罫線を備えており、
前記上下の可変部の2本の前記罫線、及びこれらの2本の前記罫線に沿った2本の前記他の罫線によって折り曲げられて、前記上下の端末部は、前記第1シート部の前記上下の端部と重ね合わされおり、
前記第2シート部の上下の部分は、前記凹部の左右の外側の延在部分において、上下の前記最も外側の1本の前記罫線に沿った前記罫線から立設する突起部を備えており、
前記第2シート部の前記上下の端末部の左右の前記突起部は、前記第1シート部の前記凹部の左右の外側に設けられた左右の穴部とそれぞれ嵌合する請求項5に記載の搬送用トレー。
【請求項7】
前記収納部の前記凹部の短手方向に対向する両側の左右の前記側壁のそれぞれの少なくとも一部にそれぞれ左右の前記可変部を備え、
前記左右の可変部は、前記収納部の前記側壁を成す前記凹部の左右の内壁面の一部を構成する請求項2に記載の搬送用トレー。
【請求項8】
前記左右の可変部の一方は、前記収納部の開口を形成する前記罫線と、前記底面部側の前記罫線との間の内壁部と、前記底面部側の前記罫線から前記左右の一方に延在する先端部を有し、
前記先端部は、前記第2シート部に接して前記凹部の前記底面部を構成するが、前記第2シート部に接着されておらず、左右方向に移動可能である請求項7に記載の搬送用トレー。
【請求項9】
少なくとも前記第1シート部は、一方向に折り目を有する紙材製であり、
前記先端部は、前記底面部側の前記罫線が前記紙材の目に垂直となるように配置される請求項8に記載の搬送用トレー。
【請求項10】
前記可変部の3本の前記罫線の内の隣接する第1の罫線と第2の罫線との間の間隔と、隣接する前記第2の罫線と第3の罫線との間の間隔とは、等しい請求項2に記載の搬送用トレー。
【請求項11】
矩形状の第1シート部と、前記第1シート部の長手方向の左右両側の辺にそれぞれ折り線を介して連設される2つの側面シート部と、一方の側面シート部に折り線を介して連設される矩形状の第2シート部と、他方の側面シート部に折り線を介して連設される前記第2シート部との接着片と、を有し、搬送用トレーを製造するためのブランクであって、
前記第1シート部は、中央に矩形状の開口を形成するための上下の切り抜き部分と、中央で切断されて左右に分離された折り曲げ片と、前記開口の短手方向の上下両側の辺に沿った前記開口の両外側位置に穴部と、を有し、
左右の前記折り曲げ片は、前記開口の左右の辺を形成するための第1の罫線と、各第1の罫線から中央側に前記側面シート部の左右の幅と同じ幅の内壁部を形成するために同じ間隔だけ離れた第2の罫線と、各第2の罫線から中央側に延在する先端部と、を有し、
前記第2シート部は、その上下方向の長さが、その両側において、前記第1シート部の上下方向の長さに比べて、前記側面シート部の左右の幅の分だけ長くなっており、
前記第2シート部は、その上下両外側において、それぞれ、前記開口の上下の辺の沿った位置に設けられる第4の罫線と、各第4の罫線から外側に前記側面シート部の左右の幅と同じ幅の壁部を形成するために同じ間隔だけ離れた第5の罫線と、各第5の罫線から外側に延在する端末部と、前記第4の罫線の左右両外側の位置において上下外側に突出する突起部と、を有し、
前記穴部と前記突起部とは、前記搬送用トレーが製造された際に、両者が嵌合する位置に設けられるものであり、
前記ブランクは、更に、前記第1シート部の左右の前記折り曲げ片の少なくとも一方に少なくとも1つ設けられる可変部、及び前記第2シート部の上下両外側の少なくとも一方に少なくとも1つ設けられる可変部の少なくとも1つの可変部を有し、
前記折り曲げ片に設けられる前記可変部は、前記第2の罫線より中央側に所定間隔離れた位置に設けられる前記第2の罫線より短い第3の罫線と、前記第3の罫線の両側の端部から前記第1の罫線まで前記開口の上下の辺に平行に切断された切断部と、を有し、可動させるための前記第1、第2、及び第3の3本の罫線が入っており、
前記少なくとも1つの可変部が、前記折り曲げ片に設けられる前記可変部である場合には、前記第2シート部は、前記搬送用トレーが製造された際に、前記可変部に相当する位置に、前記可変部を稼働させるための差入穴を有しており、
前記第2シート部に設けることができる前記可変部は、前記第5の罫線より中央側に所定間隔離れた位置に設けられる前記第5の罫線より短い第6の罫線と、前記第6の罫線の両側の端部から前記第4の罫線まで前記開口の左右の辺に平行に切断された切断部と、を有し、可動させるための前記第4、第5、及び第6の3本の罫線が入っていることを特徴とするブランク。
【請求項12】
請求項11に記載のブランクを前記接着片に隣接する前記側面シート部と前記第1シート部との間の前記折り線で、前記接着片、及び前記側面シート部を一体的に、前記第1シート部が正面側になるように折り曲げて前記第1シート部に重ね合わせてなり、かつ
前記第1シート部に隣接する前記側面シート部と前記第2シート部との間の前記折り線で、前記第2シート部を前記第1シート部が正面側になるように折り曲げて前記第1シート部に重ね合わせてなり、
前記第2シート部の前記側面シートと連接されていない側の開放端と、前記接着片とは、接着されて重ね合わされており、
前記少なくとも1つの可変部が、前記折り曲げ片に設けられる前記可変部である場合には、前記折り曲げ片の前記先端部は、前記第2シート部に接着されていることを特徴とするトレー組立部材。
【請求項13】
2つの前記側面シート部を、その左右両側の折り線を折ることで前記第2シート部に対して立設させ、
前記第1シート部の左右の前記折り曲げ片において、前記第1の罫線に沿って折ることで前記内壁部を立設させ、前記第2の罫線を折ることで前記先端部を前記第1シートと接触させ、
前記第2シート部の上下両外側において、前記第4の罫線に沿って折ることで前記壁部を立設させ、前記第5の罫線を折ることで前記端末部を前記第1シートと接触させ、
前記第2シート部の全ての前記突起部を前記第1シート部の全ての前記穴部に嵌合させて、前記搬送用トレーを組み立てる請求項12に記載のトレー組立部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送用トレー、そのブランク、及びトレー組立部材に係り、サイズの異なる平箱状の物品、例えば種々の携帯電話等の搬送物品を収納して搬送するための搬送用トレー、この搬送用トレーを構成材料、例えば1枚の紙材、又は樹脂材等から形成するためのブランク、簡単に搬送トレーを組み立てて製造することができ、かつ保存が容易な形態まで組み立てられたトレー組立部材に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ユーザは、使用中の携帯電話等の携帯端末が壊れた際に、店舗に修理を依頼するが、その際、店舗は、メーカから予め多数配送されていた代替え用携帯端末を、配送用保護トレーに入れてユーザに送付している。
このような搬送用保護トレーとしては、現在、例えば、図12に示すように、矩形状の載置面102に対し四方に折り曲げ可能なフラップ104a、104b、106a、及び106bを有する段ボール台紙108の1つのフラップ104aから載置面102を通り対向するフラップ104bまでフィルム110が張られ、フィルム110の両端はそれぞれ対向するフラップ104a、及び104bに固定されたダンボール用フィルムパッド100と呼ばれるものが用いられている(非特許文献1参照)。
この他、同様の構成を有するフィルム付ダンボールパットと呼ばれるものも用いられている。
【0003】
非特許文献1に開示のダンボール用フィルムパッド100を使用する際には、図13に示すように、例えば、フィルム110が固定されていないフラップ106aの側から載置面102とフィルム110との間に搬送する携帯端末112を入れて、フラップ104a、及び104bを折り曲げて載置面102の裏側にたたみ込み、フラップ106a、及び106bをそれぞれ表面側に立てた状態とする。
このように、携帯端末112が固定された状態のダンボール用フィルムパッド100を専用のダンボール箱本体にそのまま収納して、搬送することができる。
【0004】
このようなダンボール用フィルムパッド100は、携帯端末112のほか、化粧品や瓶詰などのわれもの、機械部品、クッキーなどの割れやすい食品などの梱包物の大きさや形状に関わらず、梱包することができる。
また、段ボール台紙108とフィルム110の間に携帯端末112等の梱包物を入れて段ボール台紙108のフラップ104a、104b、106a、及び106bを所定の方向に折るだけで梱包することができ、梱包作業を容易にすることができる。
また、フィルム110を使用しているので、外から内容物を把握することができ、視認性を向上させることができる。
即ち、ダンボール用フィルムパッド100は、以上のようなメリットを有している。
【0005】
また、代替え用携帯端末をユーザに送付する際に、代替え用携帯端末を形状に合わせて一品一葉の紙製の個装箱に入れ、隙間に緩衝材を詰めて梱包することも行われている。
この個装箱は、梱包される携帯端末などの収納物に専用、即ち一品一葉の紙箱であるが、単なる紙箱であるために、収納物を収納するのが容易である。
また、この個装箱は、単なる紙箱であるために、携帯端末などの収納物を受け取った後、廃棄しやすい。
即ち、個装箱は、以上のようなメリットを有している。
【0006】
この他、特許文献1に、複数の物品を収容して安定した状態で輸送、及び/又は保管をすることのできる仕切り一体型トレーが開示されている。
この特許文献1に開示のトレーは、矩形状の底板と、この底板から立設され、対向する一組の第1の側面と、これに隣接し、対向する一組の第2の側面と、を有し、物品を収容するトレーであり、底板から起立し、収容物品と接触する仕切り片と、底板に立設され、かつ第1の側面に連結されてトレーの内側に向かって突出し、収容物品と接触する第1の支持片と、隣り合う第1の側面と第2の側面とが交差する稜を覆うように、トレーの内側に設けられて収容された物品と接触する第2の支持片とを含むものである。
ここで、第1の支持片は、互いに対向する底面に接続する辺と第1の側面に接続する辺との1組の辺と、この2辺の両端をそれぞれ結ぶ、対向する他の1組の辺に切込みを入れ、先の1組の辺と、この1組の辺の間に設けられる折り曲げ線とを折り曲げて、折り曲げ線の部分をトレーの内部に突出させることにより形成することができる。
【0007】
特許文献1に開示の仕切り一体型トレーは、箱型トレーの角部である、隣り合う第1の側面と第2の側面とが交差する稜近くの部分に収容される収容物品を、物品の第1の側面と反対側の面を支持する仕切片と、物品の第2の側面と反対側の面であって第1の側面に近い面を支持する第1の支持片と、物品の第1の側面と第2の側面とが交差する側の面を支持する第2の支持片によって、3方から支持することで、箱型トレーの角部での収容物品の移動を抑制し、物品を安定した状態で輸送、及び/又は保管をすることのできるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2020―203696号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】https://shimojima.jp/shop/g/g4901755208177/「ダンボール用フィルムパッド」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、非特許文献1に開示のダンボール用フィルムパッドの技術では、図12に示すように、梱包部材が複合部材(台紙108とフィルム110)で形成されているため、廃棄する際に分別する必要があり、また、コストが高いという問題がある。
また、ダンボール用フィルムパッドは、折り畳む構造であるため、外形が大きくなってしまい、梱包部材の収納スペースが大きくなってしまうという問題がある。
更に、この技術では、衝撃を避け、梱包物を保護するために、複合部材と段ボール箱の間に緩衝材を入れるが、携帯端末等の梱包物の大きさが変わっても複合部材とそれを収納する段ボール箱との間の空間は大きく変化しないために、緩衝材は略同じであり、管理も比較的容易なものの、上述したように、収納スペースが大きくなってしまうため、多量の緩衝材を入れる必要があるという問題がある。
また、収容物を一品一葉の紙製の個装箱に入れて搬送する技術では、収納物の大きさにより、個装箱の大きさも変わるため、複数種類の個装箱が必要であるし、収納物の大きさにより、梱包材の量も変わるため、梱包材の管理が必要であるという問題がある。
また、配送時の衝撃から個装箱内の収納物を破損する可能性がある。このため、個装箱の内部の収容物との間の隙間に緩衝材を入れる必要があるが、入れたとしても、入れ方によっては、十分ではないという問題がある。
【0011】
また、特許文献1に開示の技術では、確かに、箱型トレー内の複数の収容物品の内、角部に配置される物品を、仕切片、第1の支持片、及び第2の支持片によって3方から支持することにより、物品の移動を抑制することができるが、収容物品のサイズが変われば、サイズに応じて、仕切片、第1の支持片、及び第2の支持片の位置を変更する必要があるという問題があった。また、この第2の支持片は、底板と側面とに設けられる辺と、その間の折り曲げ辺の3つの辺を折り曲げて折り曲げ辺をトレー内に突出させて物品を支持することしか開示しておらず、折り曲げ片を基に戻して物品を支持することを開示も示唆もしていないし、仮に、元に戻して物品を支持しようとしても、第1の側面に物品を接触させることはできるが、適切な3方からの支持とはならず、物品の移動を抑制することができなくなるという問題がある。
【0012】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決し、多品種による形状違いの商品等の物品を一品一葉で収納するのではなく、全て共通の箱体、及び梱包材等の資材で収納することのでき、その収納状態のまま搬送することができる搬送用トレー、この搬送トレーを作製することができ、構成材料、例えば1枚の紙材、又は樹脂材等から切断し、折り目、又は切り目を入れることで形成することができるブランク、及びブランクを折り、つなげることで容易に形成することができ、搬送トレーを極めて容易に作製することができ、多数であっても容易に搬送し、保存することができるトレー組立部材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を達成するために、本発明の第1の態様の搬送用トレーは、平箱状の物品を収納する凹部からなる収納部を形成する第1シート部と、物品を支持する、収納部の凹部の底面部を構成する第2シート部と、第1シート部の対向する両端部、及び第2シート部の対向する両端部をそれぞれ所定間隔で支持する2つの側面シート部と、凹部の外側に配置され、第1シート部、及び第2シート部によって形成される緩衝部と、第1シート部、及び第2シート部の少なくとも一方によって形成される凹部の側壁を成す部分の少なくとも一部に配置され、かつ少なくとも可動させるための3本の罫線が入っている可変部と、を有することを特徴とする。
【0014】
ここで、物品、及び凹部は、直方体形状であることが好ましい。
また、凹部の長手方向に対向する両側の上下の側壁のそれぞれの少なくとも一部にそれぞれ上下の可変部を備え、上下の可変部は、凹部の側壁を成す凹部の上下の内壁面の少なくとも一部を構成することが好ましい。
また、凹部の短手方向に対向する両側の左右の側壁のそれぞれの少なくとも一部にそれぞれ左右の可変部を備え、左右の可変部は、凹部の側壁を成す凹部の左右の内壁面の一部を構成することが好ましい。
【0015】
また、上下の可変部は、第2シート部の上下の端末部の内側に形成され、第1シート部の凹部の外側の上下の端部と第2シート部の上下の端末部とが重ね合わされることで、第1シート部によって押圧されることが好ましい。
また、第2シート部の上下の端末部は、凹部の左右の外側にも延在しており、上下の端末部、及び上下の可変部を含む第2シート部の上下の部分は、上下の可変部の上下の最も外側の1本の罫線に沿った他の罫線、及びその内側の1本の罫線に沿った他の罫線を備えており、上下の可変部の2本の罫線、及びこれらの2本の罫線に沿った2本の他の罫線によって折り曲げられて、上下の端末部は、第1シート部の上下の端部と重ね合わされおり、第2シート部の上下の部分は、凹部の左右の外側の延在部分において、上下の最も外側の1本の罫線に沿った罫線から立設する突起部を備えており、第2シート部の上下の端末部の左右の突起部は、第1シート部の凹部の左右の外側に設けられた左右の穴部とそれぞれ嵌合することが好ましい。
【0016】
また、収納部の凹部の短手方向に対向する両側の左右の側壁のそれぞれの少なくとも一部にそれぞれ左右の可変部を備え、左右の可変部は、収納部の側壁を成す凹部の左右の内壁面の一部を構成することが好ましい。
また、左右の可変部の一方は、収納部の開口を形成する罫線と、底面部側の罫線との間の内壁部と、底面部側の罫線から左右の一方に延在する先端部を有し、先端部は、第2シート部に接して凹部の底面部を構成するが、第2シート部に接着されておらず、左右方向に移動可能であることが好ましい。
また、少なくとも第1シート部は、一方向に折り目を有する紙材製であり、先端部は、底面部側の罫線が紙材の目に垂直となるように配置されることが好ましい。
また、可変部の3本の罫線の内の隣接する第1の罫線と第2の罫線との間の間隔と、隣接する第2の罫線と第3の罫線との間の間隔とは、等しいことが好ましい。
【0017】
また、上記課題を達成するために、本発明の第2の態様のブランクは、矩形状の第1シート部と、第1シート部の長手方向の左右両側の辺にそれぞれ折り線を介して連設される2つの側面シート部と、一方の側面シート部に折り線を介して連設される矩形状の第2シート部と、他方の側面シート部に折り線を介して連設される第2シート部との接着片と、を有し、搬送用トレーを製造するためのブランクであって、第1シート部は、中央に矩形状の開口を形成するための上下の切り抜き部分と、中央で切断されて左右に分離された折り曲げ片と、開口の短手方向の上下両側の辺に沿った開口の両外側位置に穴部と、を有し、左右の折り曲げ片は、開口の左右の辺を形成するための第1の罫線と、各第1の罫線から中央側に側面シート部の左右の幅と同じ幅の内壁部を形成するために同じ間隔だけ離れた第2の罫線と、各第2の罫線から中央側に延在する先端部と、を有し、第2シート部は、その上下方向の長さが、その両側において、第1シート部の上下方向の長さに比べて、側面シート部の左右の幅の分だけ長くなっており、第2シート部は、その上下両外側において、それぞれ、開口の上下の辺の沿った位置に設けられる第4の罫線と、各第4の罫線から外側に側面シート部の左右の幅と同じ幅の壁部を形成するために同じ間隔だけ離れた第5の罫線と、各第5の罫線から外側に延在する端末部と、第4の罫線の左右両外側の位置において上下外側に突出する突起部と、を有し、穴部と突起部とは、搬送用トレーが製造された際に、両者が嵌合する位置に設けられるものであり、ブランクは、更に、第1シート部も左右の折り曲げ片の少なくとも一方に少なくとも1つ設けられる可変部、及び第2シート部の上下両外側の少なくとも一方に少なくとも1つ設けられる可変部の少なくとも1つの可変部を有し、折り曲げ片に設けられる可変部は、第2の罫線より中央側に所定間隔離れた位置に設けられる第2の罫線より短い第3の罫線と、第3の罫線の両側の端部から第1の罫線まで開口の上下の辺に平行に切断された切断部と、を有し、可動させるための第1、第2、及び第3の3本の罫線が入っており、少なくとも1つの可変部が、折り曲げ片に設けられる可変部である場合には、第2シート部は、搬送用トレーが製造された際に、可変部に相当する位置に、可変部を稼働させるための差入穴を有しており、第2シート部に設けることができる可変部は、第5の罫線より中央側に所定間隔離れた位置に設けられる第5の罫線より短い第6の罫線と、第6の罫線の両側の端部から第4の罫線まで開口の左右の辺に平行に切断された切断部と、を有し、可動させるための第4、第5、及び第6の3本の罫線が入っていることを特徴とする。
【0018】
また、上記課題を達成するために、本発明の第3の態様のトレー組立部材は、本発明の第2の態様のブランクを接着片に隣接する側面シート部と第1シート部との間の折り線で、接着片、及び側面シート部を一体的に、第1シート部が正面側になるように折り曲げて第1シート部に重ね合わせてなり、かつ第1シート部に隣接する側面シート部と第2シート部との間の折り線で、第2シート部を第1シート部が正面側になるように折り曲げて第1シート部に重ね合わせてなり、第2シート部の側面シートと連接されていない側の開放端と、接着片とは、接着されて重ね合わされており、少なくとも1つの可変部が、折り曲げ片に設けられる可変部である場合には、折り曲げ片の先端部は、第2シート部に接着されていることを特徴とする。
【0019】
ここで、2つの側面シート部を、その左右両側の折り線を折ることで第2シート部に対して立設させ、第1シート部の左右の折り曲げ片において、第1の罫線に沿って折ることで内壁部を立設させ、第2の罫線を折ることで先端部を第1シートと接触させ、第2シート部の上下両外側において、第4の罫線に沿って折ることで壁部を立設させ、第5の罫線を折ることで端末部を第1シートと接触させ、第2シート部の全ての突起部を第1シート部の全ての穴部に嵌合させて、搬送用トレーを組み立てることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の第1の態様によれば、極多品種による形状違いの商品等の物品を一品一葉で収納するのではなく、全て共通の箱体、及び梱包材等の資材で収納することのでき、その収納状態のまま搬送することができる搬送用トレーを提供することができる。
また、本発明の第2の態様によれば、この搬送トレーを作製することができ、構成材料、例えば1枚の紙材、又は樹脂材等から切断し、折り目、又は切り目を入れることで形成することができるブランクを提供することができる。
また、本発明の第3の態様によれば、このブランクを折り、つなげることで容易に形成することができ、搬送トレーを極めて容易に作製することができ、多数であっても容易に搬送し、保存することができるトレー組立部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係る搬送用トレーの一実施例を示す正面側の斜視図である。
図2図1に示す搬送用トレーを反対側の方向から見た正面側の斜視図である。
図3図1に示す搬送用トレーの裏面側の斜視図である。
図4図1に示す搬送用トレーの正面側の端部の平面図である。
図5図3に示す搬送用トレーの裏面側の端部の組み立て前の斜視図である。
図6】(a)、及び(b)は、それぞれ図1に示す搬送用トレーの可変部の異なる状態を示す模式図である。
図7図1に示す搬送用トレーの他の状態を示す正面側の斜視図である。
図8図7に示す搬送用トレーの裏面側の斜視図である。
図9図1に示す搬送用トレーのブランクの平面図である。
図10図9に示すブランクから形成されたトレー組立部材の正面側の平面図である。
図11図10に示すトレー組立部材の裏面側の平面図である。図である。
図12】従来技術のダンボール用フィルムパッドの正面図である。
図13図12に示すダンボール用フィルムパッドの使用状態の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明に係る搬送用トレー、そのブランク、及びトレー組立部材を詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、「垂直」および「平行」とは、本発明が属する技術分野において許容される誤差の範囲を含むものとする。例えば、「直交」および「平行」とは、厳密な直交あるいは平行に対して±20°未満の範囲内であることなどを意味し、厳密な直交あるいは平行に対しての誤差は、10°以下であることが好ましく、5°以下であることがさらに好ましく、3°以下であることがより好ましい。
本明細書において、「同一」、「同じ」は、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含むものとする。また、本明細書において、「全て」、「全幅」、「全体」、または「いずれも」などというとき、100%である場合のほか、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含み、例えば99%以上、95%以上、または90%以上である場合を含むものとする。
【0023】
本発明の第1の実施形態の搬送用トレーは、平箱状の物品を収納する凹部からなる収納部を形成する第1シート部と、物品を支持する、収納部の凹部の底面部を構成する第2シート部と、第1シート部の対向する両端部、及び第2シート部の対向する両端部をそれぞれ所定間隔で支持する2つの側面シート部と、凹部の外側に配置され、第1シート部、及び第2シート部によって形成される緩衝部と、第1シート部、及び第2シート部の少なくとも一方によって形成される凹部の側壁を成す部分の少なくとも一部に配置され、かつ少なくとも可動させるための3本の罫線が入っている可変部と、を有するものである。
【0024】
また、本発明の第2の実施形態のブランクは、矩形状の第1シート部と、第1シート部の長手方向の左右両側の辺にそれぞれ折り線を介して連設される2つの側面シート部と、一方の側面シート部に折り線を介して連設される矩形状の第2シート部と、他方の側面シート部に折り線を介して連設される第2シート部との接着片と、を有し、搬送用トレーを製造するためのブランクであって、第1シート部は、中央に矩形状の開口を形成するための上下の切り抜き部分と、中央で切断されて左右に分離された折り曲げ片と、開口の短手方向の上下両側の辺に沿った開口の両外側位置に穴部と、を有し、左右の折り曲げ片は、開口の左右の辺を形成するための第1の罫線と、各第1の罫線から中央側に側面シート部の左右の幅と同じ幅の内壁部を形成するために同じ間隔だけ離れた第2の罫線と、各第2の罫線から中央側に延在する先端部と、を有し、第2シート部は、その上下方向の長さが、その両側において、第1シート部の上下方向の長さに比べて、側面シート部の左右の幅の分だけ長くなっており、第2シート部は、その上下両外側において、それぞれ、開口の上下の辺の沿った位置に設けられる第4の罫線と、各第4の罫線から外側に側面シート部の左右の幅と同じ幅の壁部を形成するために同じ間隔だけ離れた第5の罫線と、各第5の罫線から外側に延在する端末部と、第4の罫線の左右両外側の位置において上下外側に突出する突起部と、を有し、穴部と突起部とは、搬送用トレーが製造された際に、両者が嵌合する位置に設けられるものであり、ブランクは、更に、第1シート部も左右の折り曲げ片の少なくとも一方に少なくとも1つ設けられる可変部、及び第2シート部の上下両外側の少なくとも一方に少なくとも1つ設けられる可変部の少なくとも1つの可変部を有し、折り曲げ片に設けられる可変部は、第2の罫線より中央側に所定間隔離れた位置に設けられる第2の罫線より短い第3の罫線と、第3の罫線の両側の端部から第1の罫線まで開口の上下の辺に平行に切断された切断部と、を有し、可動させるための第1、第2、及び第3の3本の罫線が入っており、少なくとも1つの可変部が、折り曲げ片に設けられる可変部である場合には、第2シート部は、搬送用トレーが製造された際に、可変部に相当する位置に、可変部を稼働させるための差入穴を有しており、第2シート部に設けることができる可変部は、第5の罫線より中央側に所定間隔離れた位置に設けられる第5の罫線より短い第6の罫線と、第6の罫線の両側の端部から第4の罫線まで開口の左右の辺に平行に切断された切断部と、を有し、可動させるための第4、第5、及び第6の3本の罫線が入っているものである。
【0025】
また、本発明の第3の実施形態のトレー組立部材は、本発明の第2の実施形態のブランクを接着片に隣接する側面シート部と第1シート部との間の折り線で、接着片、及び側面シート部を一体的に、第1シート部が正面側になるように折り曲げて第1シート部に重ね合わせてなり、かつ第1シート部に隣接する側面シート部と第2シート部との間の折り線で、第2シート部を第1シート部が正面側になるように折り曲げて第1シート部に重ね合わせてなり、第2シート部の側面シートと連接されていない側の開放端と、接着片とは、接着されて重ね合わされており、少なくとも1つの可変部が、折り曲げ片に設けられる可変部である場合には、折り曲げ片の先端部は、第2シート部に接着されているものである。
【0026】
本発明の搬送トレーは、以下のような課題を克服し、以下のような特徴を有するものである。
まず、搬送対象の梱包する物品に対して一品一葉をやめて、外形が同一形状としての箱体の共通化をはかるものであり、その結果、箱体の管理が容易となるものである。
次に、店舗等からユーザ等に向けてトラック等で配送する際に、個装箱で商品を配送する必要があるが、その際、配送時の衝撃から商品を保護する機能が付与されており、梱包物品の保護が図れるものである。
また、一品一葉であると、収納物品により箱体の外形寸法が異なることから、緩衝資材の管理が難しいが、上述のように一品一葉を止めることで、梱包部材も同一なものとすることができ、緩衝資材も含め梱包資材の共通化することができるものである。
また、従来技術のように、紙とプラスチック(フィルム)との複合部材から、本発明のように、紙材単体、又は樹脂材単体等の単一の構成材料にすることで、単一素材となり、リサイクルが可能となることから、環境対応に優れたものとすることができるものである。
【0027】
即ち、本発明の搬送トレーは、多品種による形状違いの商品を一品一葉で収納するのではなく、 全て共通の資材(箱体、及び梱包材)で収納することを目的とする箱体である。
本発明のブランクは、以上のような本発明の搬送トレーを構成材料、例えば1枚の紙材、又は樹脂材等から形成することができ、一部を簡単に組み立てるだけで、本発明のトレー組立部材を形成することができるものである。
また、本発明のトレー組立部材は、本発明のブランクを一部組み立てて平板状にしたもので、多数積み上げることができ、搬送性、及び保存性に優れたものであるばかりか、本発明の搬送トレーを極めて容易に作製することができるものである。
【0028】
本発明の搬送用トレー、ブランク、及びトレー組立部材は、以上のような構成を有するものであれば、その他の具体的な構成はいかなるものであってもよい。
本発明の搬送用トレー、ブランク、及びトレー組立部材を構成する材料は、段ボール、厚紙など各種の紙材から選択可能であるが、紙質はいかなるものであってもよく、種々のコーティングが行われたもの、紙材以外の樹脂材等の構成材料で形成されたものであってもよい。なお、樹脂材を用いる場合には、折り易い、切りやすいことから、厚みの薄い脂材を用いることが好ましい。
【0029】
また、本発明のブランクは、例えば1枚の紙材、又は樹脂材等の構成材料を切断し、切り抜くことによって形成されていることが好ましい。しかしながら、本発明はこれに限定されず、本発明のブランクは、2枚以上の紙材、又は樹脂材等の構成材料、若しくは異なる構成材料を折り、又は曲げ、かつ切断し、又は切り抜き、更に繋げることで形成されていても良いが、単一の構成材料から形成されていることが好ましい。
また、本発明の搬送用トレー、及びトレー組立部材は、このような構成材料、例えば1枚の紙材、又は樹脂材等の構成材料からなる本発明のブランクを折り、繋げることによって形成されていることが好ましい。また、本発明の搬送用トレーは、本発明のトレー組立部材から折り曲げ、折り立て、嵌め込み、組み立てることによって形成されていることが好ましい。
【0030】
しかしながら、本発明はこれに限定されず、本発明の搬送トレーは、上記の構成を有するものであれば、ブランク、及びトレー組立部材を経ることなく、このような構成材料、例えば1枚の紙材、又は樹脂材等の構成材料を折り、切断し、繋げることで形成されていても良いし、様々な構成要素を別々に製作しておき、製作された構成要素を組み合わせて形成されるものであっても良い。
なお、本発明の搬送用トレー、ブランク、及びトレー組立部材は、紙材が構成材料であれば、紙材に折線を入れることで、可動部の厚さを変えることなく、可動を容易させることができることから、紙材を構成材料とすることがより好ましく、特に1枚の紙材を構成材料とすることが最も好ましい。
【0031】
また、本発明の搬送用トレーは、携帯電話端末などの直方体形状の物品を搬送するものであり、その物品を収納するための直方体形状の凹部からなる収納部を有するものであることが好ましいが、本発明はこれに限定されず、平箱状の物品であれば、どのような形状の物品であっても良いし、その平箱状の物品を収納可能な形状の凹部からなる収納部を有するものであっても良い。
以下においては、本発明の第1実施形態の搬送トレーについて、1枚の紙材等の構成材料を折り、切断し、繋げることで形成されており、直方体形状、かつ平箱状の物品を搬送するものであり、その物品を収納するための直方体形状の凹部からなる収納部を有する搬送トレーを代表例に挙げて説明する。また、本発明の第2実施形態のブランク、及び本発明の第3実施形態のトレー組立部材について、本発明の第1実施形態の搬送トレーの代表例を構成するものを例に挙げて説明する。
【0032】
以下に、本発明に係る搬送用トレー、そのブランク、及びトレー組立部材を添付の図面に示す好適実施形態を参照して詳細に説明する。
(搬送用トレー)
図1は、本発明の第1実施形態に係る搬送用トレーの一実施例を示す正面側の斜視図である。図2は、図1に示す搬送用トレーを反対側の方向から見た正面側の斜視図である。図3は、図1に示す搬送用トレーの裏面側の平面図である。
図1図3に示す本発明の搬送用トレー10は、正面側に配置される第1シート部12と、第1シート部12の裏面側に配置され、第1シート部12の短手方向(以下では、左右方向、又は幅方向ともいう)の幅(長さ)が略同一の矩形状の第2シート部14と、第1シート部12の長手方向(以下では、上下方向、又は長さ方向ともいう)の両方の端部12a、及び12bにそれぞれ対応する第2シート部14の上下方向の両方の端部14a、及び14bと、を接続してそれぞれ支持する外壁部を構成する所定幅(間隔)の側面シート部16、及び18とを有し、更に、第1シート部12、及び第2シート部14の周辺部に配置される緩衝部20と、第1シート部12、及び第2シート部14に配置される可変部22(22a~22d)と、を有する。
【0033】
本発明の搬送用トレー10は、後述するブランク60を形成した場合のように、1枚の紙材を折り、切断し、繋げることで形成されており、第1シート部12(正面シート部)、第2シート部14(裏面シート部)、及び2枚からなる側面シート部16、及び18からなる。
本発明の搬送用トレー10を1枚の紙材から製造することにより、廃棄する紙資材を減らすことで、製造コストを低減でき、資源の有効活用をすることができる。また、このようにすることで、製造工程を減らし、製造コストを低減できる。また、本発明の搬送用トレー10の製造資材が、紙材のため、廃棄する際の環境負荷を低減することができる。
しかしながら、本発明は、これに限定されず、1枚の紙材ではなく、複数の紙材、又は樹脂材などから、第1シート部12、第2シート部14、側面シート部16、及び18を含め、後述する種々の構成要素を部品として製造し、製造した部品を接合して搬送トレーを製作しても良い。
【0034】
第1シート部12は、上下方向の端部12a、及び12b、並びに左右方向の端部12c、及び12dからなる矩形状をなし、中央に、その上面13から凹む、平箱状の物品を収納する凹部24からなる収納部26を形成する。
凹部24は、図1、及び図2に示す例では、直方体形状を成し、第1シート部12によって形成される上下方向の開口端28a、及び28b、並びに左右方向の開口端28c、及び28dからなる矩形状の開口28と、第1シート部12によって形成され、対向する左右に対向する上下方向の側壁30、及び32と、第2シート部14によって形成され、上下に対向する左右方向の側壁、及び36と、第1シート部12、及び第2シート部14によって形成される底面部38と、第1シート部12によって形成され、側壁30、及び32からそれぞれ底面部38に接して延在する先端部40、及び42と、を有する。
【0035】
図示例の凹部24は、携帯電話端末などの直方体形状の物品を収納するための矩形状の開口を有するものであるが、本発明はこれに限定されず、平箱状の物品を収納できる凹部であれば、どのような形状であっても良い。例えば、直方体以外の多角形状の平箱状物品を収納するための開口28が多角形である凹部であっても良いし、円形状、又は楕円形状、もしくは、少なくとも一部に、円弧、又は楕円弧等を含む平箱状物品を収納するための開口28が円形状、又は楕円形状等である凹部であっても良いし、もしくは、開口28の少なくとも一部が、円弧状、又は楕円弧状である凹部であっても良い。
また、第1シート部12、及び第2シート部14の形状も、矩形状に限定されず、上記の種々の形状の凹部24を形成できるものであれば、凹部24の開口28と同様にいかなる形状であっても良い。
なお、本明細書の説明において、開口28の形状が、矩形状のように縦横で長さが異なる形状の場合には、長い方を長手方向、上下方向、又は長さ方向といい、短い方を短手方向、左右方向、又は幅方向というが、正方形や、円形のように直交する2方向の長さが等しい場合には、直交する2方向の内の一方を上下方向、又は長さ方向とし、他方を左右方向、又は幅方向とすればよい。
【0036】
開口28の対向する左右の一方の上下方向の開口端28aは、図2に示すように、上側、及び下側の第1シート部12の切断部29a、及び29b、第1シート部12がその上面13から罫線31aに沿って外側に折り曲げられた側壁30の上側端部(罫線31a)によって形成されている。また、左右の一方の上下方向の開口端28bは、上側、及び下側の第1シート部12の切断部29c、及び29d、第1シート部12がその上面13から罫線33a(可変部22a、及び22bの第3罫線54cを含む)に沿って外側に折り曲げられた側壁32の上側端部(罫線33a)によって形成されている。
開口28の対向する上下の左右方向の開口端28c、及び28dは、図1に示すように、第1シート部12の切断によって形成されている。
【0037】
側壁30は、中央に両側が切断された押圧部30bを備えており、その両側は、内壁部となる内壁面30aを構成している。先端部40は、第1シート部12が底面部38側の罫線31bに沿って内側に折り曲げられて側壁30の下側端部(罫線31b)から延在しており、第2シート部14の底面部38に接着固定されていないため、押圧部30bを押圧したり、緩めたりすることにより、第1シート部12から延在している側壁30による内壁面30aを先端部40と共に左右方向に移動して、物品を収納可能な収納部26の凹部24の左右方向の幅を増減させることができる。なお、押圧部30bは、2本の罫線31c、及び31dからなり、罫線31cは、下方に折り曲げられ、罫線31dは、内側に折り曲げられ、2本の罫線31cと31dとの間の壁面30cは、側壁30と同様に移動し、罫線31dで折り曲げられた面は先端部40に連結されている。
【0038】
ここで、少なくとも第1シート部12は、一方向に折り目41を有する紙材製であり、先端部40は、底面部38側の罫線31bが紙の目41に垂直となるように配置されることが好ましい。第1シート部12の上面13側の罫線31aも、紙の目41に垂直となるように配置されることがより好ましい。
搬送用トレー10は、紙製であることから、元々、弾力性がある。このため、罫線31b、好ましくは罫線31aを紙の目41に垂直となるように配置することにより、先端部40には左右方向にバネ性による押圧力を設けることができる。その結果、収納部26より幅寸法(左右方向)が狭い携帯端末などの物品を収納しても収納部26の側壁30により押圧して、収納することができる。
なお、先端部42も、先端部40と同様に、底面部38側の罫線33b、及び第1シート部12の上面13側の罫線33a、並びに可変部22a、及び22bの第1、第2、及び第3罫線54a、54b、及び54cが紙の目41に垂直となるように配置されることが好ましい。これにより、可変部22a、及び22bの可動片56、及び58は、可動した際に、弾力を得ることができ、底面部38に対する形状を明確に保つことができ、収納物を適切に収納することができる。
こうすることにより、携帯端末等の物品の外見のサイズは、多数あるので、それらに対応することが可能となる。即ち、先端部40に接続される側壁30にバネ性があることで多数の外形に対応できる。ばね性による押圧力を増やすことができる。紙材の目41に対し、略垂直に形成することで、組立寸法として形成しやすく、収納物を適切に収納することができる。
【0039】
図示例は、一方の側面、即ち第1シート部12の収納部26の左右(幅)方向の開口端28b側の側面では、可変部22(22a、及び22b)を有しながら、先端部42が底面部38に接着されて固定されており、他方の側面、即ち開口端28a側の側面では、可変部を有さず、先端部40が底面部38に接着されて固定されていない形態である。この形態を可変部(左右)に接続する場合という。
この形態の場合、一方の側面では、可変部22(22a、及び22b)を可変させ、他方の側面では、バネ性により先端部40が左右方向(幅方向)に動くことで、左右方向(幅方向)のサイズの異なる収納物を収納することができる。
【0040】
上述したように、図示例においては、第1シート部12の収納部26の左右(幅)方向の開口端28b側の側面においては、側壁32の両外側に可変部22a、及び22bを有しているが、本発明はこれに限定されず、可変部22a、及び22bを有しておらず、側壁32が両方の切断部29c、及び29dまで延在していても良い。したがって、図示例において、第1、第2、及び第3罫線54a、54b、及び54cを有していないことで、可変部22a、及び22bが形成されておらず、底面部38に接着されて固定され先端部42が緩衝部20に直接接続されていても良い。即ち、第1シート部12の収納部26の左右(幅)方向の一方の側面では、可変部を有しておらず、その先端部(例えば、図示例では42)が底面部38に接着されて固定されており、他方の側面では、図示例の開口端28b側の側壁30側と同様に、もとももと可変部を有しておらず、その先端部(図示例では40)が底面部38に接着されて固定されていない形態であっても良い。この形態を可変部(左右)に接続しない場合という。
この形態においても、底面部38に接着されて固定されていない先端部(例えば、図示例では40)を有いているため、収納物を、先端部(例えば、図示例では40)により、押圧力を付与させることで収納部26に収納することができる。
【0041】
側壁32は、中央に円形の窪み32aを備えており、その両側に内壁部となる内壁面32bを、その両外側には、可変部22a、及び22bを有している。先端部42は、第1シート部12が罫線33b(可変部22a、及び22bの第2罫線54bを含む)に沿って内側に折り曲げられて側壁32の下側端部(罫線33b)から延在しており、第2シート部14の底面部38に接着固定されている。このため、可変部22a、及び22bを動かすことにより、可変部22a、及び22bによって形成される内壁部となる内壁面32cを内壁面32bと同じ位置から凹部24の内側に入った位置に移動することができる。可変部22a、及び22bの詳細については、後述する。
【0042】
図2に示すように、側壁34は、第2シート部14によって構成される可変部22cによって形成されており、第2シート部14を罫線35a(可変部22cの第2罫線54bを含む)に沿って内側に折り曲げられ、更に、罫線35b(可変部22cの第3罫線54cを含む)に沿って外側に折り曲げられて、開口端28cの位置において立設する内壁部となる内壁面34aによって構成される。このため、可変部22cを動かすことにより、可変部22cによって形成される内壁面34aを開口端28cと同じ位置から凹部24の内側に入った位置に移動することができる。可変部22cの詳細については、後述する。
図1に示すように、側壁36は、第2シート部14によって構成される可変部22dによって形成されており、第2シート部14を罫線37a(可変部22dの第2罫線54bを含む)に沿って内側に折り曲げられ、更に、罫線37b(可変部22dの第3罫線54cを含む)に沿って外側に折り曲げられて、開口端28dの位置において立設する内壁部となる内壁面36aによって構成される。このため、可変部22dを動かすことにより、可変部22dによって形成される内壁面36aを開口端28dと同じ位置から凹部24の内側に入った位置に移動することができる。可変部22dの詳細については、後述する。
【0043】
第1シート部12は、更に、収納部26を構成する凹部24の上下の外側の上面13において、開口28の開口端28d、及びその延長線より外側の外側上面13aに円弧状の穴部44a、及び44bを有し、開口28の開口端28c、及びその延長線より外側の外側上面13bに円弧状の穴部44c、及び44dを有する。
図1、及び図4に示すように、外側上面13aにおいて、円弧状の穴部44a、及び44bは、それらの各弦が開口28の開口端28dの延長線上にあり、円弧が上下方向の内側を向くように、開口端28dに沿った両外側の位置にそれぞれ設けられる。
円弧状の穴部44c、及び44dも、外側上面13bにおいて、同様に、それらの各弦が開口28の開口端28cの延長線上にあり、円弧が上下方向の内側を向くように、開口端28cに沿った両外側の位置にそれぞれ設けられる。
なお、第1シート部12の上面13において、穴部44aと穴部44dとは、また、穴部44bと穴部44cとは、長手方向において対抗する位置に設けられている。
【0044】
次に、第2シート部14は、図3、及び図5に示すように、中央に、第1シート部12の凹部24の底面部38を構成し、第2シート部14と同じ左右の幅の矩形状の中央下面15と、中央下面15の上下に、端末部46a、及び46bと、可変部22c、及び22dと、可変部22c、及び22dの両側にそれぞれ設けられる外壁部48a、48b、48c、及び48dと、外壁部48a、48b、48c、及び48dにそれぞれ設けられる突起部50a、50b、50c、及び50dと、第1シート部12において正面側に形成される可変部22a、及び22bに対応する位置に設けられ、人の指等が入り、可変部22a、及び22bをそれぞれ稼働させる穴部52a、及び52bと、を有する。
中央下面15と、端末部46a、及び46bとを組み合わせると、第1シート部12の上面13及び収納部26を合わせたものと略一致する。
端末部46a、及び46bは、それぞれ第1シート部12の外側上面13a、及び13bと略同一形状でぴったり重なり合っており、それぞれの両端は、第1シート部12の外側上面13a、及び13bの両方の端部まで延びている側面シート部16、及び18によって内側に収められている。
【0045】
図5は、組み立て前の搬送用トレー10の裏側端部の斜視図であるが、この図5に示すように、可変部22dによって形成される凹部24側の側壁36は、第2シート部14の裏面側では、外壁部36bを構成する。外壁部36bの底面部38側の罫線37a(可変部22dの第2罫線54bを含む)は、外壁部48a、及び48bにおいても延在しており、外壁部48a、36b、及び48bと、中央下面15との間の折り曲げ線となっている。また、外壁部36bの第1シート部12の上面13側の罫線37b(可変部22dの第3罫線54cを含む)も、外壁部48a、及び48bにおいても延在しており、外壁部48a、36b、及び48bと、端末部46aとの間の折り曲げ線となっている。
外壁部48a、及び48bにおいては、罫線37bから突出するように切り目を入れて切り抜かれた突起部50a、及び50bを有する。
図1図2、及び図4に示すように、突起部50a、及び50bは第1シート部12の穴部44a、及び44bに嵌合する。この状態では、外壁部48a、36b、及び48bは、罫線37aに沿って折れ曲がり、第2シート部14の中央下面15に対して立設し、端末部46aは、外壁部48a、36b、及び48bに対して罫線37bに沿って折れ曲がり、第1シート部12の外側上面13aと重なり合う。
【0046】
図3に示すように、同様に、可変部22cによって形成される凹部24側の側壁34は、第2シート部14の裏面側では、外壁部34bを構成する。外壁部34bの底面部38側の罫線35a(可変部22cの第2罫線54bを含む)は、外壁部48c、及び48dにおいても延在しており、外壁部48c、34b、及び48dと、中央下面15との間の折り曲げ線となっている。また、外壁部34bの第1シート部12の上面13側の罫線35b(可変部22cの第3罫線54cを含む)も、外壁部48c、及び48dにおいても延在しており、外壁部48c、34b、及び48dと、端末部46bとの間の折り曲げ線となっている。
外壁部48c、及び48dにおいては、罫線35bから突出するように切り目を入れて切り抜かれた突起部50c、及び50dを有する。
図1、及び図2に示すように、突起部50c、及び50dは第1シート部12の穴部44c、及び44dに嵌合する。この状態では、外壁部48c、34b、及び48dは、罫線35aに沿って折れ曲がり、第2シート部14の中央下面15に対して立設し、端末部46bは、外壁部48c、34b、及び48dに対して罫線35bに沿って折れ曲がり、第1シート部12の外側上面13bと重なり合う。
【0047】
緩衝部20は、第1シート部12の外側上面13a、及び13b、並びに開口端28a、及び28bより外側の外側上面13c、及び13dと、第2シート部の中央下面15と、側面シート部16、及び18とによって構成される。
図1に示すように、凹部24の側壁32の内壁面32bの両側には、可変部22a、及び22bが形成され、2つの可変部22a、及び22bの外側には、緩衝部20が形成されている。このように、緩衝部20は、左右の可変部22a、及び22bに接続していることが好ましい。
緩衝部20は、上記構成を備えることにより形成される空間領域を有することが好ましい。
また、緩衝部20は、空間領域を有することで携帯端末等に対する衝撃をより緩和することができる。
本発明の搬送用トレー10は、梱包材と共に個装箱に収納されるが、搬送用トレー10に、緩衝部20を設けることで、個装箱ごと落下しても、携帯端末等に対する衝撃を緩和することができる。
【0048】
図6に示すように、可変部22(22a、22b、22c、及び22d)は、いずれも、第1罫線54a、第2罫線54b、及び第3罫線54cの3本の罫線を有し、第1罫線54aと第2罫線54bとの間の可動片56、及び第2罫線54bと第3罫線54cとの間の可動片58とを有する。
図6(a)に示す可変部22の状態は、図1図2、及び図3に示す状態であり、第1罫線54aでは、折り曲げられておらず、可動片56は、底面部38の位置にあり(底面部38に接しており、又は底面部38の一部を形成しており)、第2罫線54bでは内側に、かつ第3罫線54cでは外側に折り曲げられており、可動片58は、底面部38に対して立設している。
一方、図6(b)に示す可変部22の状態は、図7、及び図8に示す状態であり、第1罫線54aでは内側に、かつ第2罫線54bでは外側に折り曲げられており、可動片56は、底面部38に対して立設しており、第3罫線54cでは、折り曲げられておらず、可動片58は、上面13の位置にある(上面13(13d)の一部を形成している、又は上面13(13a、13b)に接している)。
【0049】
ここで、図6(a)に示す左側の可変部22の状態において、第2罫線54bを指等で図中右上に押すことにより、第1罫線54aを内側に、かつ第2罫線54bを外側に折り曲げることにより、第2罫線54bを図中右上に移動させて、可動片56を底面部38の位置から底面部38に対して立設させると共に、可動片58を上面13(13d)の位置に置き、図6(b)に示す可変部22の状態に変化させることができる。
こうして、図6(b)に示す右側の可変部22の状態にすることができ、可変部22の高さ方向の壁面の位置を、図6(a)に示す第2罫線54bの位置にある状態の可動片58の位置から、図6(b)に示す第1罫線54aの位置にある可動片56の位置まで図中右側に突出させることができる。
また、上記構成を備えることで、第2罫線54bを指等で図中左下に押すことにより、図6(b)に示す可変部22の状態を図6(a)に示す左側の可変部22の状態に変化させることができる。
したがって、図6(a)に示す可変部22の状態における可動片58、図6(b)に示す可変部22の状態における可動片56は、共に、収納部26の側壁となり、携帯端末などの物品の表面と直接接触する箇所となる。
【0050】
ここで、可動片56、及び58の長さ、即ち、第1罫線54aと第2罫線54bとの間の長さ、及び第2罫線54bと第3罫線54cとの間の長さは等しいことが好ましい。また、可変部22の中央に配置される第2罫線54bは、第1罫線54aと第3罫線54cとの間に配置されるのが好ましい。
その結果、第2罫線54bを押す力が可動片56と可動片58に均等に分散されるので、可動片56、及び58における可動を容易にすることができ、押し戻しを可能にすることができるとともに、可変後、成形状態を保つことができる。また、左右の可変部22は、3本の罫線54a、54b、及び54c以外の余分な罫線がないので強度低下をすることなく、成形状態を保つことができる。
【0051】
例えば、第1シート部12によって形成される左右の一方の可変部22a、及び22bは、図1に示す状態では、図6(a)に示す状態にあり、第1罫線54aは折り曲げられておらず、可動片56は、先端部42と同一平面の底面部38を構成するが、先端部42と異なり、第2シート部14に接着されていない。第2罫線54bは、罫線33bに一致して、折り曲げられており、可動片58は、側壁32を構成しており、その内壁面32bと同列の内壁面32cなっている。第3罫線54cは、上下(長手)方向において罫線33bと一直線を成し、開口端28bとなる。
一方、可変部22a、及び22bは、図7、及び8に示す状態では、図6(b)に示す状態にあり、第1罫線54aは上側に折り曲げられ、第2罫線54bは、指等で押されて反対側に移動し、可動片56は、先端部42と同一平面の底面部38から立設し、凹部24の内部に突出する内壁面32cを構成し、第3罫線54cは曲げられておらず、外側上面13dと同一面を形成する。
こうして、物品を収納する収納部の26の左右の幅を狭くすることができる。
【0052】
図示例では、左右の可変部22として、2つの可変部22a、及び22bが設けられているが、本発明はこれに限定されず、収納部26の左右において、少なくとも1つ設けられていれば良い。
なお、左右の可変部22は、収納部26の上下方向に1つの部材として前面に設けても良い。
また、左右の可変部22は、可変しない固定箇所(非可変部)に隣接していることが好ましい。ここで、可変部の長手方向の寸法は、収納部26の長さの1/4以下が好ましく、上下方向に可変部、及び非可変部配置されていることが好ましい。
【0053】
その理由は、左右の可変部22の上端は、第1シート部12に接合されており、収納部26の長手方向の全てにおいて 左右の可変部22を設けてしまうと、搬送トレーが高さ方向で膨らんでしまうからである。それにより、左右の可変部22の長手方向の寸法を収納部26の4分の1以下とすることで、可変部、及び非可変部を形成することができる。 このように、可変部があることで、収納物へ接触でき、また、非可変部があることで高さ方向への浮きを防止することができる。可変部、及び非可変部を共に配置することで高さ方向の浮きを相殺することができる。それにより、左右の可変部22による押圧力の付与と、搬送用トレー10の高さ方向の膨らみ防止のバランス保つことができる。
【0054】
一方、第2シート部14によって形成される上下の可変部22c、及び22dは、図1に示す状態では、図1、及び図2に示すように、図6の状態(a)にあり、第1罫線54aは折り曲げられておらず、可動片56は、中央下面15の底面部38を構成する。第2罫線54bは、罫線35a、及び37aに一致して、折り曲げられており、可動片58は、側壁34、及び36を構成しており、外壁部34b、及び36bとなっている。第3罫線54cは、罫線35b、及び37bに一致し、端末部46a、及び46bを接続する。
一方、可変部22c、及び22dは、図7、及び図8に示す状態では、図6の状態(b)にあり、第1罫線54aは上側に折り曲げられ、第2罫線54bは、指等で押されて反対側に移動し、可動片56は、底面部38から立設し、凹部24の内部に突出する内壁面34aを構成し、第3罫線54cは曲げられておらず、第1シート部12の外側上面13a、及び13bに重なっている第2シート部14の端末部46a、及び46bと同一面を形成する。
こうして、物品を収納する収納部の26の上下の長さを短くすることができる。
【0055】
上下2つの可変部22c、及び22dは、図示例のように、第2シート部14における端末部46a、及び46bに接続されていることが好ましい。
また、可変部22c、及び22dの上端の端末部46a、及び46bは、第1シート部12の外側上面13a、及び13bに重なっており、第1シート部12の裏面によって押圧されている。
ここで、図示例の搬送用トレー10では、上下2つの可変部22c、及び22dが設けられているが、本発明はこれに限定されず、少なくとも1つ設けられていれば良い。
【0056】
ところで、図示例においては、左右の可変部22a、及び22bは、共に、緩衝部20に接続されており、上下の可変部22c、及び22dは、それぞれ両側で、緩衝部20に接続されている。その結果、配送時の衝撃を緩和する、又は減らすことができる。
図示例では、上下左右合わせて4つの可変部22a、22b、22c、及び22dが設けられているが、本発明はこれに限定されず、収納部26の一方に設けられていれば良い。
一方で、複数の可変部22を設ける場合には、収納部26の4方に設けられていることが好ましい。4方に設けることで、通常の大きさの収納部からより小さな収納部26とすることができ、サイズの異なる物品を収納できるとともに、衝撃を緩和できる。
本発明の搬送用トレーは、以上のように構成される。
【0057】
次に、本発明の搬送トレーを作製するためのブランクについて説明する。
図9に示すブランク60は、図1に示す搬送用トレー10を作製するためのものであり、第1シート部12を形成するための矩形状の第1面板62と、第1面板62の長手方向(上下)に延びる左右方向の一方の端部に連接され、側面シート部16を形成する細長い第2面板64と、第2面板64の他方の端部に連接され、第2シート部14を形成するための矩形状の第3面板66と、第1面板62の左右方向の他方の端部に連接され、側面シート部18を形成する細長い第4面板68と、第4面板68の他方の端部に連接され、第1面板62の裏面に接着されるのりしろとなる接着片70とを有する。
第1面板62と第2面板64との間には、折り線となる折り曲げ用の罫線71aが設けられ、第2面板64と第3面板66との間には、折り曲げ用の罫線71bが設けられ、第1面板62と第4面板68との間には、折り曲げ用の罫線71cが設けられ、第4面板68と接着片70の間には、折り曲げ用の罫線71dが設けられる。
【0058】
第1面板62は、中央上下に、上下端面に平行に切り抜かれた開口端28c、及び28dと、開口端28c、及び28dの両端から、左右端面に平行に短く切り抜かれた切断部29a、及び29b、並びに切断部29c、及び29dからなる切り抜き部分を有し、その内側に先細の先端部40を含む折り曲げ片72aと、先細の先端部42を含む折り曲げ片72bとを有し、折り曲げ片72aの先端部40と折り曲げ片72bの先端部42とは切断線73aによって切断されている。
折り曲げ片72aにおいては、切断部29aと29bとを繋ぐ折り曲げ用の罫線31a、31d、及び31aと、これらの罫線31a、及び31aの内側に側壁30をそれぞれ形成するため罫線31b、及び31bと、罫線31dの外側には、第2面板64の幅と同じだけ離れた位置に罫線31dと同じ長さの罫線31cと、が形成されている。罫線31c、及び31dの両側には、これらをそれぞれ結び、罫線31b、及び31bに至る切断線73b、及び73cが形成されている。罫線31b、31d、及び31bの内側には、先端部40が形成される。
【0059】
折り曲げ片72bにおいては、切断部29cと29dとの間の中央に窪み32aを形成するための円形の切り抜き74が形成されており、切断部29cと切り抜き74との間、及び切断部29dと切り抜き74との間には、それぞれ、可変部22a、及び22bを形成する罫線54c、及び罫線33aが形成されている。切り抜き74の両側の罫線54c、及び罫線33aの内側には、第2面板64の幅と同じだけ離れた位置に、可変部22a、及び22bを形成する罫線54b、及び側壁32を形成するための罫線33bが形成されている。また、両側の罫線54bの内側には、第2面板64の幅と同じだけ離れた位置に、可変部22a、及び22bを形成する罫線54aが形成されている。なお、可変部22a、及び22bを形成する罫線54a、54b、及び54cを結ぶ外側の端面は、切断面であり、内側の端面は、切断線73dによって切断されている。
また、開口端28c、及び28dのそれぞれの両側の延長上には、穴部44c、44d、及び44a、及び44bが形成されている。
【0060】
第3面板66には、上下に、全幅の端末部46a、及び46bを有している。第3面板66においては、開口端28c、及び28dに沿った上下位置に、罫線37a、可変部22dを形成する罫線54b、及び罫線37a、並びに罫線35a、可変部22cを形成する罫線54b、及び罫線35aがそれぞれ形成されている。
第3面板66において、罫線37a、可変部22dを形成する罫線54b、及び罫線37a、並びに罫線35a、可変部22cを形成する罫線54b、及び罫線35aの外側には、第2面板64の幅と同じだけ離れた位置に、罫線37b、可変部22dを形成する罫線54c、及び罫線37b、並びに罫線35b、可変部22cを形成する罫線54c、及び罫線35bがそれぞれ形成されている。
また、第3面板66において、可変部22dを形成する罫線54b、及び可変部22cを形成する罫線54cの内側には、第2面板64の幅と同じだけ離れた位置に、可変部22dを形成する罫線54a、及び可変部22cを形成する罫線54aがそれぞれ形成されている。
【0061】
第3面板66において、両側の罫線37b、及び両側の罫線35bには、第1面板62の穴部44a、及び44b、並びに穴部44c、及び44dに対応する位置にそれぞれの罫線37b、及び罫線35bから突出するように切り目を入れて切り抜かれた突起部50a、及び50b、並びに突起部50c、及び50dが形成されている。
なお、第3面板66において、可変部22dを形成する罫線54a、54b、及び54cの両側、並びに可変部22cを形成する罫線54a、54b、及び54cの両側は、切断線73e、及び73f、並びに切断線73g、及び73hが形成されている。
また、第3面板66において、第1面板62の可変部22a、及び22bを形成する罫線54a、54b、及び54cに対応する位置に穴部52a、及び52bが形成される。
【0062】
第2面板64の第3面板66側において、第3面板66の罫線37aより上側、及び罫線35aより下側に、それぞれ切り込み75a、及び75bが形成されている。
第4面板68の接着片70側において、第1面板62の開口端28dより上側、及び開口端28cより下側に、それぞれ切り込み75c、及び75dが形成されている。
なお、第1面板62の第2面板64側の下方の穴部44c上側に、紙材の目41を示す。
図9に示すブランク60は、1枚の紙材を切断することにより、作製することができる。したがって、このブランク60を用いることで、廃棄する紙資材を減らすことができ、資源の有効活用を図ることができ、製造コストを低減できる。また、このブランク60は、製造工程を減らすことで製造コストを低減できる。 また、このブランク60は、紙材のみであるため、廃棄する際の環境負荷の低減を図ることができる。
本発明のブランクは、以上のように構成される。
【0063】
次に、本発明の搬送トレーを作製するためのトレー組立部材について説明する。
図10、及び11に示すトレー組立部材80は、図9に示すブランク60を折り曲げ、接着して繋げることで、形成したものである。
図10、及び11に示すように、トレー組立部材80は、図9に示すブランク60の第1面板62が正面に来るように、ブランク60の第3面板66を第2面板64と第3面板66との間の罫線71bで折り曲げると共に、第4面板68、及び接着片70を第1面板62と第4面板68との間の罫線71bで折り曲げる。この後、接着片70が内側となるように、接着片70を第3面板66に接着して、紙材の2枚重ねのトレー組立部材80とする。
この後、第1面板62の折り曲げ片72aの先端部40を第3面板66接着することにより、トレー組立部材80を作製することができる。
【0064】
こうして作製されたトレー組立部材80は、第1面板62と第2面板64との間の罫線71a、及び第3面板66と第4面板68との間となった罫線71dとを同時に折り曲げて立てて全体を箱体とすると、罫線54c、33a、及び33a、54cは、同時に外側に向けて折れ曲がると共に、罫線54b、33b、及び33b、54bcも、同時に内側に向けて折れ曲がり、側壁30、並びに可変部22a、及び22bが自動的に形成される。
この後、第3面板66の上下両側にある罫線37a、54b、及び37a、並びに罫線35a、54b、及び35aを外側に、罫線37b、54c、及び37b、並びに罫線35b、54c、及び35bを内側に折り曲げて、第3面板66の突起部50a、50b、50c、及び50dを第1面板62の穴部44a、44b、44c、及び44dに嵌合させることで、可変部22c、及び22d、並びに外壁部48a、48b、48c、及び48dを形成すると共に、第1面板62の上下両端部を第3面板66の端末部46a、及び46bにぴったり重ね合わせることができる。
【0065】
また、第1面板62の折り曲げ片72aの罫線31a、31d、及び31aを外側に、罫線31b、及び31bを内側に折り曲げて、先端部40を第3面板66の表面に接しながら動かすことができるようにすることができる。なお、この組立動作は、前述の嵌合組立動作よりも前に行っても良い。
こうして、本発明のトレー組立部材80から、極めて容易に短時間で本発明の搬送用トレー10を作製することができる。
このように、トレー組立部材80は、単に織り込む動作、嵌合する動作を行うだけで、極めて簡単に、短時間で、搬送用トレー10を作製することができる。
また、トレー組立部材80は、組み立てが容易であり、箱体の搬送用トレー10の保存を不要とし、紙材の2枚重ねの矩形状の平板であるため、保存が容易であり、容易に搬送することができる。
【0066】
以上、本発明の搬送用トレー、そのブランク、及びトレー組立部材について、実施形態を挙げて詳細に説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良又は変更をしてもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0067】
10 搬送用トレー
12 第1シート部
12a、12b、12c、12d、14a、14b 端部
13 上面
13a、13b、13c、13d 外側上面
14 第2シート部
15 中央下面
16、18 側面シート部
20 緩衝部
22、22a、22b、22c、22d 可変部
24 凹部
26 収納部
28 開口
28a、28b、28c、28d 開口端
29a、29b、29c、29d 切断部
30、32、34、36 側壁
30a、32b、34a、36a 内壁面
30b 押圧部
30c 壁面
31a、31b、31c、31d、33a、33b、35a、35b、37a、37b 罫線
32a 窪み
34b、36b、48a、48b、48c、48d 外壁部
38 底面部
40、42 先端部
41 紙材の目(折り目)
44a、44b、44c、44d、52a、52b 穴部
46a、46b 端末部
50a、50b、50c、50d、突起部
54a 第1罫線
54b 第2罫線
54c 第3罫線
56、58 可動片
60 ブランク
62 第1面板
64 第2面版
66 第3面板
68 第4面版
70 接着片70
71a、71b、71c、71d 罫線
72a、72b 折り曲げ片
73a、73b、73c、73d、73e、73f、73g、73h 切断線
74 切り抜き
75a、75c、75d、75b 切り込み
80 トレー組立部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13