(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166230
(43)【公開日】2023-11-21
(54)【発明の名称】通信装置、情報処理装置、通信方法、及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
H04W 48/16 20090101AFI20231114BHJP
H04W 88/06 20090101ALI20231114BHJP
G06N 20/00 20190101ALI20231114BHJP
G06N 3/02 20060101ALI20231114BHJP
H04M 1/72 20210101ALI20231114BHJP
H04W 48/18 20090101ALI20231114BHJP
【FI】
H04W48/16 130
H04W88/06
G06N20/00
G06N3/02
H04M1/72
H04W48/18 113
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022077142
(22)【出願日】2022-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上浦 大智
(72)【発明者】
【氏名】堀田 幸暉
(72)【発明者】
【氏名】カレット トマ
(72)【発明者】
【氏名】神保 元脩
(72)【発明者】
【氏名】楊 斌
【テーマコード(参考)】
5K067
5K127
【Fターム(参考)】
5K067AA34
5K067EE04
5K067EE16
5K127AA02
5K127AA18
5K127BA03
5K127GA22
5K127GA25
5K127HA11
5K127HA25
5K127JA04
5K127JA09
5K127JA12
5K127JA14
5K127JA24
5K127JA25
(57)【要約】
【課題】利便性の高い通信路の切り替えを実現可能な通信装置、情報処理装置、通信方法、及び情報処理方法を提案する。
【解決手段】通信装置は、第1の無線通信方式を使った無線通信の品質が所定の条件を満たした場合に、ユーザの前記無線通信に関する行動の予測モデルを使って、前記ユーザが前記第1の無線通信方式を使った前記無線通信を続けたいか否かを予測する予測部、を備え、前記予測モデルは、前記ユーザの前記無線通信に関する行動パラメータ、及び該行動パラメータに係る前記無線通信に関する環境パラメータ、の少なくとも一方のパラメータに基づいて生成される学習モデルであり、前記予測部は、前記ユーザが前記第1の無線通信方式を使った前記無線通信を使い続けたいか否かの予測を、前記第1の無線通信方式を使った前記無線通信の品質が前記所定の条件を満たしてから、所定の時間間隔毎に行う。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の無線通信方式を使った無線通信の品質が所定の条件を満たした場合に、ユーザの前記無線通信に関する行動の予測モデルを使って、前記ユーザが前記第1の無線通信方式を使った前記無線通信を続けたいか否かを予測する予測部、を備え、
前記予測モデルは、前記ユーザの前記無線通信に関する行動パラメータ、及び該行動パラメータに係る前記無線通信に関する環境パラメータ、の少なくとも一方のパラメータに基づいて生成される学習モデルであり、
前記予測部は、前記ユーザが前記第1の無線通信方式を使った前記無線通信を使い続けたいか否かの予測を、前記第1の無線通信方式を使った前記無線通信の品質が前記所定の条件を満たしてから、所定の時間間隔毎に行う、
通信装置。
【請求項2】
前記予測の結果に基づいて前記無線通信を他の無線通信方式の無線通信に切り替える通信制御部、をさらに備える、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記予測モデルは、前記ユーザの前記無線通信に関する行動パラメータ、及び該行動パラメータに係る前記無線通信に関する環境パラメータ、の双方のパラメータに基づいて生成される学習モデルである、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記予測モデルは、前記ユーザの前記無線通信に関する行動パラメータ、及び該行動パラメータに係る前記無線通信に関する環境パラメータ、の少なくとも一方のパラメータに基づいて生成される複数のモデルを連合学習により集約することにより生成される学習モデルである、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
前記環境パラメータには、RSSI(Received Signal Strength Indicator)、通信装置内で滞留しているパケットの個数を示すパラメータ、通信速度の理論値、使用している周波数帯を示すパラメータ、の少なくとも1つが含まれる、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項6】
前記環境パラメータには、前記通信装置の電池消費量に関するパラメータが含まれる、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項7】
前記環境パラメータには、現在のトラフィックの重要度が含まれる、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項8】
前記環境パラメータには、前記通信装置の現在位置に関する情報が含まれる、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項9】
前記行動パラメータには、前記ユーザの歩行状態を示すパラメータ、前記通信装置に加わっている加速度、直近所定時間内の再接続実施有無を示すパラメータ、の少なくとも1つが含まれる、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項10】
前記行動パラメータには、前記ユーザの月次累積データ使用量を示すパラメータが含まれる、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項11】
前記行動パラメータには、前記ユーザが使用しているアプリケーションに関するパラメータが含まれる、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項12】
ユーザの第1の無線通信方式を使った無線通信に関する行動パラメータ、及び該行動パラメータに係る前記無線通信に関する環境パラメータ、の少なくとも一方のパラメータを取得する取得部と、
前記第1の無線通信方式を使った前記無線通信の品質が所定の条件を満たした場合に、ユーザが前記第1の無線通信方式を使った前記無線通信を続けたいか否かを予測する予測モデルの学習を行う学習部と、を備え、
前記学習部は、前記ユーザの前記無線通信に関する行動パラメータ、及び該行動パラメータに係る前記無線通信に関する環境パラメータ、の少なくとも一方のパラメータに基づいて前記予測モデルの学習を行う、
情報処理装置。
【請求項13】
前記学習部は、前記ユーザの前記無線通信に関する行動パラメータ、及び該行動パラメータに係る前記無線通信に関する環境パラメータ、の双方のパラメータに基づいて前記予測モデルの学習を行う、
請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記パラメータが、前記ユーザが前記第1の無線通信方式を使った通信を続けたかったときのパラメータか、前記ユーザが前記第1の無線通信方式を使った通信を続けたくなかったときのパラメータか、を判別する判別部、を備え、
前記学習部は、前記判別部の判別結果と前記パラメータとに基づいて前記予測モデルの学習を行う、
請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記判別部は、前記第1の無線通信方式を使った通信の切断後、前記ユーザが前記第1の無線通信方式を使った通信の再接続を行い、且つ、再接続後、所定時間以上継続して該通信を使用し続けているときのパラメータを、前記ユーザが前記第1の無線通信方式を使った通信を続けたかったときのパラメータとして判別する、
請求項14に記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記判別部は、前記第1の無線通信方式を使った所定のアクセスポイントへの通信の切断後、前記ユーザが前記所定のアクセスポイントへ再接続を行い、且つ、再接続後、所定時間以上継続して前記所定のアクセスポイントへの接続を続けているときのパラメータを、前記ユーザが前記第1の無線通信方式を使った通信を続けたかったときのパラメータとして判別する、
請求項14に記載の情報処理装置。
【請求項17】
前記判別部は、前記ユーザが前記第1の無線通信方式を使った無線通信をオフにしたときのパラメータを、前記ユーザが前記第1の無線通信方式を使った通信を続けたくなかったときのパラメータとして判別する、
請求項14に記載の情報処理装置。
【請求項18】
前記判別部は、前記ユーザが前記第1の無線通信方式を使った所定のアクセスポイントへの通信を別のアクセスポイントへの通信に切り替えたときのパラメータを、前記ユーザが前記第1の無線通信方式を使った通信を続けたくなかったときのパラメータとして判別する、
請求項14に記載の情報処理装置。
【請求項19】
第1の無線通信方式を使った無線通信の品質が所定の条件を満たした場合に、ユーザの前記無線通信に関する行動の予測モデルを使って、前記ユーザが前記第1の無線通信方式を使った前記無線通信を続けたいか否かを予測する予測ステップ、を備え、
前記予測モデルは、前記ユーザの前記無線通信に関する行動パラメータ、及び該行動パラメータに係る前記無線通信に関する環境パラメータ、の少なくとも一方のパラメータに基づいて生成される学習モデルであり、
前記予測ステップでは、前記ユーザが前記第1の無線通信方式を使った前記無線通信を使い続けたいか否かの予測を、前記第1の無線通信方式を使った前記無線通信の品質が前記所定の条件を満たしてから、所定の時間間隔毎に行う、
通信方法。
【請求項20】
ユーザの第1の無線通信方式を使った無線通信に関する行動パラメータと、該行動パラメータに係る前記無線通信に関する環境パラメータと、を取得する取得ステップと、
前記第1の無線通信方式を使った前記無線通信の品質が所定の条件を満たした場合に、ユーザが前記第1の無線通信方式を使った前記無線通信を続けたいか否かを予測する予測モデルの学習を行う学習ステップと、を備え、
前記学習ステップでは、前記ユーザの前記無線通信に関する行動パラメータ、及び該行動パラメータに係る前記無線通信に関する環境パラメータ、の少なくとも一方のパラメータに基づいて前記予測モデルの学習を行う、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信装置、情報処理装置、通信方法、及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン等の通信装置は、多くの場合、複数の通信路(例えば、Wi-Fiやセルラーネットワーク)に接続可能である。通信装置は、通信路の状態に合わせて、適宜、現在接続中の通信路(例えば、Wi-Fi等の無線LAN(Local Area Network)ネットワーク)を他の通信路(例えば、セルラーネットワーク)に切り替える。例えば、従来の通信装置は、無線環境の変化や通信状況から通信路の品質を推定し、その結果に基づいて通信路を切り替える。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】“Intelligent Wi-Fi”, [online], Samsung, [2022年5月1日検索], インターネット <URL:https://docs.samsungknox.com/admin/knox-platform-for-enterprise/kbas/kba-360034073174.htm>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、通信装置が通信路の切り替えが必要であると判断したとしても、ユーザによっては、現在接続中の通信路をそのまま使用し続けたいと考えることがある。例えば、無線LANの通信品質が低下し、通信装置が、セルラーネットワークに切り替える必要があると判断したとしても、ユーザによっては、料金等の問題から、無線LANを使用し続けたいと考えることがある。この場合、ユーザは通信装置による通信路の自動的な切り替えに不便を感じることになる。
【0005】
そこで、本開示では、利便性の高い通信路の切り替えを実現可能な通信装置、情報処理装置、通信方法、及び情報処理方法を提案する。
【0006】
なお、上記課題又は目的は、本明細書に開示される複数の実施形態が解決し得、又は達成し得る複数の課題又は目的の1つに過ぎない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本開示に係る一形態の通信装置は、通信装置は、第1の無線通信方式を使った無線通信の品質が所定の条件を満たした場合に、ユーザの前記無線通信に関する行動の予測モデルを使って、前記ユーザが前記第1の無線通信方式を使った前記無線通信を続けたいか否かを予測する予測部、を備え、前記予測モデルは、前記ユーザの前記無線通信に関する行動パラメータ、及び該行動パラメータに係る前記無線通信に関する環境パラメータ、の少なくとも一方のパラメータに基づいて生成される学習モデルであり、前記予測部は、前記ユーザが前記第1の無線通信方式を使った前記無線通信を使い続けたいか否かの予測を、前記第1の無線通信方式を使った前記無線通信の品質が前記所定の条件を満たしてから、所定の時間間隔毎に行う。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】本開示の実施形態に係る通信システムの構成例を示す図である。
【
図4】本開示の実施形態に係るサーバの構成例を示す図である。
【
図5】本開示の実施形態に係る端末装置の構成例を示す図である。
【
図7】本実施形態の予測への連合学習の適用例を示す図である。
【
図10】ベアラ切替処理を示すフローチャートである。
【
図11】予測モデルの適用の一例を説明するための図である。
【
図12】予測モデルの適用の他の例を説明するための図である。
【
図13】予測モデルの適用の他の例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示の実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の各実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0010】
また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なる数字を付して区別する場合もある。例えば、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成を、必要に応じて端末装置201、及び202のように区別する。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。例えば、端末装置201、及び202を特に区別する必要が無い場合には、単に端末装置20と称する。
【0011】
以下に説明される1又は複数の実施形態(実施例、変形例を含む)は、各々が独立に実施されることが可能である。一方で、以下に説明される複数の実施形態は少なくとも一部が他の実施形態の少なくとも一部と適宜組み合わせて実施されてもよい。これら複数の実施形態は、互いに異なる新規な特徴を含み得る。したがって、これら複数の実施形態は、互いに異なる目的又は課題を解決することに寄与し得、互いに異なる効果を奏し得る。
【0012】
<<1.概要>>
スマートフォン等の端末装置は、多くの場合、複数の通信路に接続可能である。従来の端末装置は、通信路の状態に合わせ、適宜、通信路を切り替える。例えば、従来の端末装置は、無線環境の変化や通信状況から通信路の品質を推定し、その結果に基づいて通信路を切り替える。
【0013】
しかし、端末装置が通信路の切り替えが必要であると判断したとしても、ユーザによっては、現在接続中の通信路をそのまま使用し続けたいと考えることがある。例えば、無線LAN(以下、Wi-Fiともいう。)の通信品質が低下し、端末装置が、セルラーネットワークに切り替える必要があると判断したとしても、ユーザによっては、例えば料金の問題から、Wi-Fiを使用し続けたいと考えることがある。この場合、ユーザは端末装置による通信路の自動的な切り替えに不便を感じることになる。また、なぜ通信路が切り替わったかユーザに分かりづらいという課題もある。
【0014】
そこで、本実施形態では、以下の通り上記課題を解決する。
【0015】
図1は、本実施形態の概要を示す図である。スマートフォン等の端末装置は、多くの場合、複数の通信路(以下、ベアラともいう。)に接続可能である。
図1の例では、端末装置は、Wi-Fi(登録商標)等の無線LANネットワークとセルラーネットワークの2つのベアラに接続可能である。
【0016】
本実施形態では、端末装置は、まず、現在使用しているベアラの通信品質を予測する。例えば、現在使用しているベアラがWi-Fiであるとすると、端末装置は、Wi-Fiの無線品質を予測する。そして、端末装置は、現在使用しているベアラの通信品質が低下した場合に(例えば、Wi-Fiの無線品質が所定の基準を満たした場合に)、端末装置は、ユーザの接続意図(ユーザが現在使用しているベアラを使用し続けたいか否か)を予測する。
【0017】
通信品質、及び、接続意図の予測方法としては、機械学習を用いた方法が考えられる。本実施形態では、端末装置は、これらの予測をサーバから配信された予測モデルを使用して行う。
図2は、予測モデルを説明するための図である。本実施形態では、予測モデルとして、通信品質を予測するための品質予測モデルと、ユーザの接続意図を予測するための意図予測モデルとを用いる。
【0018】
品質予測モデルは、ユーザの無線通信に関する行動パラメータ、及び当該行動パラメータに係る無線通信に関する環境パラメータ、の少なくとも一方のパラメータを入力データ、通信品質に関する情報を正解ラベル(教師データ)として学習した学習モデルである。端末装置が品質予測モデルにパラメータを入力すると、品質予測モデルは該当のベアラの未来の通信品質(例えば、0(良)~1(悪))を出力する。
【0019】
意図予測モデルは、ユーザの無線通信に関する行動パラメータ、及び当該行動パラメータに係る無線通信に関する環境パラメータ、の少なくとも一方のパラメータを入力データ、ユーザが現在のベアラを使用し続けたいかどうかを示す値を正解ラベル(教師データ)として学習した学習モデルである。なお、端末装置は、正解ラベルとする値を、ダイアログ経由でユーザに直接尋ねることにより取得してもよいし、ユーザのベアラに対する挙動(例えば、手動でWi-FiをOffにするなどの挙動)に基づき取得してもよい。端末装置が意図予測モデルにパラメータを入力すると、意図予測モデルはユーザの該当のベアラの使用希望度(例えば、0(使用したい)~1(使用したくない))を出力する。
【0020】
端末装置は、ユーザの接続意図の予測を、現在使用しているベアラ(例えば、Wi-Fi)の品質が所定の条件を満たしてから、一定時間間隔毎に行う。そして、端末装置は、ユーザが現在のベアラを使用し続けたくないと考えていると判断される場合に、現在使用しているベアラ(例えば、Wi-Fi)を他のベアラ(例えば、セルラーネットワーク)に切り替える。
【0021】
このように、本実施形態では、端末装置は、現在のベアラの通信品質が低下した場合に、単純に現在のベアラを他のベアラに切り替えるのではなく、切り替え前に、ユーザの接続意図(例えば、現在のベアラに対する使用希望度)を予測する。そして、端末装置は、ユーザが現在のベアラを使用し続けたくない(すなわち、他のベアラに切り替えてもよい)と考えていると予測される場合に、現在のベアラを他のベアラに切り替える。これにより、端末装置は、ユーザが意図しない切り替えを減らすことができるので、UX(User Experience)を改善することができる。
【0022】
以上、本実施形態の概要を述べたが、以下、本実施形態に係る通信システム1を詳細に説明する。
【0023】
<<2.通信システムの構成>>
まず、通信システム1の構成を説明する。
【0024】
図3は、本開示の実施形態に係る通信システム1の構成例を示す図である。通信システム1は、サーバ10と、複数の通信路(以下、ベアラともいう。)に接続可能に構成された端末装置20と、を備える。通信システム1は、サーバ10、及び端末装置20をそれぞれ複数備えていてもよい。
図3の例では、通信システム1は、サーバ10としてサーバ10
1、10
2等を備えており、端末装置20として端末装置20
1、20
2、20
3等を備えている。端末装置20は、上流ネットワークを介してサーバ10を接続する。
【0025】
ここで、上流ネットワークとは、端末装置20から見て上位のネットワークのことである。
図3の例では、上流ネットワークは、ネットワークN1、N2である。ネットワークN1、N2は、例えば、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、セルラーネットワーク、固定電話網、地域IP(Internet Protocol)網、インターネット等の通信ネットワークである。ネットワークN1、N2には、有線ネットワークが含まれていてもよいし、無線ネットワークが含まれていてもよい。また、ネットワークN1、N2には、コアネットワークが含まれていてもよい。コアネットワークは、例えば、EPC(Evolved Packet Core)や5GC(5G Core network)である。勿論、ネットワークNは、コアネットワークに接続されるデータネットワークであってもよい。データネットワークは、通信事業者のサービスネットワーク、例えば、IMS(IP Multimedia Subsystem)ネットワークであってもよい。また、データネットワークは、企業内ネットワーク等、プライベートなネットワークであってもよい。
【0026】
なお、
図3の例では、上流ネットワークが2つしか示されていないが、上流ネットワークは2つに限られない。例えば、上流ネットワークが無線アクセスネットワークとコアネットワークとで構成されるセルラーネットワークであるとすると、複数のコアネットワークが上流ネットワークとして存在していてもよい。このとき、コアネットワークごとに異なるデータネットワークが存在していてもよい。
【0027】
本実施形態の端末装置20は、複数の通信路を使って上流ネットワークに接続可能である。このとき、複数の通信路の少なくとも1つは、無線通信路であってもよい。例えば、通信路は、端末装置20と基地局との間の無線通信路(無線アクセスネットワーク)であってもよい。また、通信路は、端末装置20とアクセスポイントとの間の無線通信路であってもよい。勿論、複数の通信路には、有線通信路(例えば、有線LAN)が含まれていてもよい。なお、通信路は、上流ネットワークそのものであってもよい。
【0028】
複数の通信路に無線通信路が含まれる場合、端末装置20は、LTE(Long Term Evolution)、NR(New Radio)、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)、等の無線アクセス技術(RAT:Radio Access Technology)を使って上流ネットワークに接続するよう構成されていてもよい。このとき、端末装置20は、異なる無線アクセス技術(無線通信方式)を使用可能に構成されていてもよい。例えば、端末装置20は、NRとWi-Fiを使用可能に構成されていてもよい。また、端末装置20は、異なるセルラー通信技術(例えば、LTEとNR)を使用可能に構成されていてもよい。LTE及びNRは、セルラー通信技術の一種であり、基地局がカバーするエリアをセル状に複数配置することで端末装置の移動通信を可能にする。
【0029】
なお、以下の説明では、「LTE」には、LTE-A(LTE-Advanced)、LTE-A Pro(LTE-Advanced Pro)、及びEUTRA(Evolved Universal Terrestrial Radio Access)が含まれるものとする。また、NRには、NRAT(New Radio Access Technology)、及びFEUTRA(Further EUTRA)が含まれるものとする。なお、単一の基地局は複数のセルを管理してもよい。以下の説明において、LTEに対応するセルはLTEセルと称され、NRに対応するセルはNRセルと称される。
【0030】
NRは、LTE(LTE-Advanced、LTE-Advanced Proを含む第4世代通信)の次の世代(第5世代)の無線アクセス技術である。NRは、eMBB(Enhanced Mobile Broadband)、mMTC(Massive Machine Type Communications)及びURLLC(Ultra-Reliable and Low Latency Communications)を含む様々なユースケースに対応できる無線アクセス技術である。NRは、これらのユースケースにおける利用シナリオ、要求条件、及び配置シナリオなどに対応する技術フレームワークを目指して検討されている。
【0031】
なお、端末装置20は、LTE、NR、Wi-Fi、Bluetooth以外の無線アクセス技術(無線通信方式)を使って上流ネットワークに接続可能であってもよい。例えば、端末装置20は、LPWA(Low Power Wide Area)通信を使って上流ネットワークに接続可能であってもよい。また、端末装置20は、独自規格の無線通信を使って上流ネットワークに接続可能であってもよい。
【0032】
ここで、LPWA通信とは、小電力の広範囲通信を可能とする無線通信のことである。例えば、LPWA無線とは、特定小電力無線(例えば、920MHz帯)やISM(Industry-Science-Medical)バンドを使用したIoT(Internet of Things)無線通信のことである。なお、端末装置20が使用するLPWA通信はLPWA規格に準拠したものであってもよい。LPWA規格としては、例えば、ELTRES、ZETA、SIGFOX、LoRaWAN、NB-Iot等が挙げられる。勿論、LPWA規格はこれらに限定されず、他のLPWA規格であってもよい。
【0033】
なお、複数の通信路には、仮想ネットワークが含まれていてもよい。例えば、端末装置20が接続可能な複数の通信路には、VLAN(Virtual Local Area Network)等の仮想ネットワークとIP通信路等の物理的ネットワークとが含まれていてもよい。この場合、端末装置20は、OSPF(Open Shortest Path First)、BGP(Border Gateway Protocol)等の経路制御プロトコルに基づいて経路制御を行ってもよい。
【0034】
その他、複数の通信路には、1又は複数のオーバーレイネットワークが複数含まれていてもよいし、1又は複数のネットワークスライシングが含まれていてもよい。
【0035】
なお、図中の装置は、論理的な意味での装置と考えてもよい。つまり、同図の装置の一部または全部が、仮想マシン(VM:Virtual Machine)、コンテナ(Container)、ドッカー(Docker)などで実現され、それらが物理的に同一のハードウェア上で実装されてもよい。
【0036】
また、本実施形態において、通信装置は、通信の機能を有する装置のことであり、
図3の例では、少なくとも端末装置20は通信装置である。サーバ10を通信装置とみなしてもよい。
【0037】
以下、通信システム1を構成する各装置の構成を具体的に説明する。なお、以下に示す各装置の構成はあくまで一例である。各装置の構成は、以下に示す構成とは異なっていてもよい。
【0038】
<2-1.サーバの構成>
最初に、サーバ10の構成を説明する。
【0039】
サーバ10は、端末装置20に対して上流ネットワーク(例えば、ネットワークN1、N2)を介して各種サービスを提供する情報処理装置(コンピュータ)である。例えば、サーバ10は、アプリケーションサーバやWebサーバである。サーバ10は、PCサーバであってもよいし、ミッドレンジサーバであってもよいし、メインフレームサーバであってもよい。また、サーバ10は、ユーザや端末の近くでデータ処理(エッジ処理)を行う情報処理装置であってもよい。例えば、サーバ10は、基地局に併設又は内蔵された情報処理装置(コンピュータ)であってもよい。勿論、サーバ10は、クラウドコンピューティングを行う情報処理装置であってもよい。
【0040】
図4は、本開示の実施形態に係るサーバ10の構成例を示す図である。サーバ10は、記憶部11と、通信部12と、制御部13と、を備える。なお、
図4に示した構成は機能的な構成であり、ハードウェア構成はこれとは異なっていてもよい。また、サーバ10の機能は、複数の物理的に分離された構成に分散して実装されてもよい。例えば、サーバ10は、複数の情報処理装置により構成されていてもよい。
【0041】
記憶部11は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスク等のデータ読み書き可能な記憶装置である。記憶部11は、サーバ10の記憶手段として機能する。記憶部11は、例えば、品質予測モデル、意図予測モデル等、端末装置20に配信する予測モデル(学習モデル)を記憶する。これらの情報については後述する。
【0042】
通信部12は、他の装置と通信するための通信インタフェースである。例えば、通信部12は、ネットワークインタフェースである。例えば、通信部12は、NIC(Network Interface Card)等のLAN(Local Area Network)インタフェースである。なお、通信部12は、有線インタフェースであってもよいし、無線インタフェースであってもよい。通信部12は、サーバ10の通信手段として機能する。通信部12は、制御部13の制御に従って端末装置20、30と通信する。
【0043】
制御部13は、サーバ10の各部を制御するコントローラ(controller)である。制御部13は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサにより実現される。例えば、制御部13は、サーバ10内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムを、プロセッサがRAM(Random Access Memory)等を作業領域として実行することにより実現される。なお、制御部13は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。CPU、MPU、ASIC、及びFPGAは何れもコントローラとみなすことができる。
【0044】
制御部13は、取得部131と、生成部132と、を備える。制御部13を構成する各ブロック(取得部131~生成部132)はそれぞれ制御部13の機能を示す機能ブロックである。これら機能ブロックはソフトウェアブロックであってもよいし、ハードウェアブロックであってもよい。例えば、上述の機能ブロックが、それぞれ、ソフトウェア(マイクロプログラムを含む。)で実現される1つのソフトウェアモジュールであってもよいし、半導体チップ(ダイ)上の1つの回路ブロックであってもよい。勿論、各機能ブロックがそれぞれ1つのプロセッサ又は1つの集積回路であってもよい。制御部13は上述の機能ブロックとは異なる機能単位で構成されていてもよい。機能ブロックの構成方法は任意である。
【0045】
<2-2.端末装置の構成>
次に、端末装置20の構成を説明する。
【0046】
端末装置20は、基地局、アクセスポイント等の他の通信装置と通信する通信装置である。端末装置20は、複数の通信路(ベアラ)に接続可能に構成されている。例えば、端末装置20は、端末装置は、Wi-Fi(登録商標)とセルラーネットワークの2つのベアラに接続可能である。
【0047】
端末装置20には、あらゆる形態のコンピュータを採用可能である。例えば、端末装置20は、携帯電話、スマートデバイス(スマートフォン、又はタブレット)、PDA(Personal Digital Assistant)、ノートPC等のモバイル端末であってもよい。また、端末装置20は、スマートウォッチ等のウェアラブルデバイスであってもよい。また、端末装置20は、AR(Augmented Reality)デバイス、VR(Virtual Reality)デバイス、MR(Mixed Reality)デバイス等のxRデバイスであってもよい。また、端末装置20は、通信機能が具備された撮像装置(例えば、カムコーダ)であってもよいし、FPU(Field Pickup Unit)等の通信機器が搭載されたバイクや移動中継車等であってもよい。また、端末装置20は、M2M(Machine to Machine)デバイス、又はIoT(Internet of Things)デバイスであってもよい。端末装置20は、複数通信路を持つルータであってもよい。
【0048】
また、端末装置20は、他の通信装置(例えば、基地局、アクセスポイント、及び他の端末装置20)とLPWA通信が可能であってもよい。また、端末装置20が使用する無線通信は、ミリ波を使った無線通信であってもよい。なお、端末装置20が使用する無線通信は、電波を使った無線通信であってもよいし、赤外線や可視光を使った無線通信(光無線)であってもよい。
【0049】
また、端末装置20は、移動体装置であってもよい。移動体装置は、移動可能な無線通信装置である。このとき、端末装置20は、移動体に設置される無線通信装置であってもよいし、移動体そのものであってもよい。例えば、端末装置20は、自動車、バス、トラック、自動二輪車等の道路上を移動する車両(Vehicle)、或いは、当該車両に搭載された無線通信装置であってもよい。なお、移動体は、モバイル端末であってもよいし、陸上、地中、水上、或いは、水中を移動する移動体であってもよい。また、移動体は、ドローン、ヘリコプター等の大気圏内を移動する移動体であってもよいし、人工衛星等の大気圏外を移動する移動体であってもよい。
【0050】
端末装置20は、同時に複数の基地局または複数のセルと接続して通信を実施してもよい。例えば、1つの基地局が複数のセル(例えば、pCell、sCell)を介して通信エリアをサポートしている場合に、キャリアアグリゲーション(CA:Carrier Aggregation)技術やデュアルコネクティビティ(DC:Dual Connectivity)技術、マルチコネクティビティ(MC:Multi-Connectivity)技術によって、それら複数のセルを束ねて基地局と端末装置20とで通信することが可能である。或いは、異なる基地局のセルを介して、協調送受信(CoMP:Coordinated Multi-Point Transmission and Reception)技術によって、端末装置20とそれら複数の基地局が通信することも可能である。
【0051】
図5は、本開示の実施形態に係る端末装置20の構成例を示す図である。端末装置20は、記憶部21と、通信部22と、制御部23と、センサ部24と、複数の通信部25(通信部25
1~25
n:nは任意の整数)と、を備える。なお、
図5に示した構成は機能的な構成であり、ハードウェア構成はこれとは異なっていてもよい。また、端末装置20の機能は、複数の物理的に分離された構成に分散して実装されてもよい。
【0052】
記憶部21は、DRAM、SRAM、フラッシュメモリ、ハードディスク等のデータ読み書き可能な記憶装置である。記憶部21は、端末装置20の記憶手段として機能する。記憶部11は、例えば、品質予測モデル、意図予測モデル等の予測モデル(学習モデル)を記憶する。これらの情報については後述する。
【0053】
通信部22は、ネットワーク上の他の装置(例えば、サーバ10)と通信するための通信インタフェースである。例えば、通信部22は、ネットワークインタフェースである。例えば、通信部22は、NIC等のLANインタフェースである。なお、通信部22は、有線インタフェースであってもよいし、無線インタフェースであってもよい。通信部22は、端末装置20の通信手段として機能する。通信部22は、制御部23の制御に従って他の通信装置と通信する。通信部22は通信部25と共通の構成であってもよい。
【0054】
制御部23は、端末装置20の各部を制御するコントローラである。制御部23は、例えば、CPU、MPU等のプロセッサにより実現される。例えば、制御部23は、端末装置20内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムを、プロセッサがRAM等を作業領域として実行することにより実現される。なお、制御部23は、ASICやFPGA等の集積回路により実現されてもよい。CPU、MPU、ASIC、及びFPGAは何れもコントローラとみなすことができる。また、制御部23は、CPUに加えて、或いは代えて、GPUにより実現されてもよい。
【0055】
制御部23は、取得部231と、学習部232と、予測部233と、通信制御部234と、を備える。制御部23を構成する各ブロック(取得部231~通信制御部234)はそれぞれ制御部23の機能を示す機能ブロックである。これら機能ブロックはソフトウェアブロックであってもよいし、ハードウェアブロックであってもよい。例えば、上述の機能ブロックが、それぞれ、ソフトウェア(マイクロプログラムを含む。)で実現される1つのソフトウェアモジュールであってもよいし、半導体チップ(ダイ)上の1つの回路ブロックであってもよい。勿論、各機能ブロックがそれぞれ1つのプロセッサ又は1つの集積回路であってもよい。制御部23は上述の機能ブロックとは異なる機能単位で構成されていてもよい。機能ブロックの構成方法は任意である。
【0056】
センサ部24は、上流ネットワークに接続するための通信路(通信部25が形成する通信路)の品質を予測するための各種情報を取得するセンサである。例えば、通信路が無線通信路であるとすると、センサ部24は、例えば、基地局又はアクセスポイントから受信する電波の受信S/Nを検出するセンサである。勿論、通信路の品質予測に使用できるのであれば、センサ部24が取得する情報は受信S/Nに限定されない。
【0057】
複数の通信部25は、それぞれ、上流ネットワークに接続するための通信インタフェースである。複数の通信部25は、それぞれ、サーバ10までの異なる通信路を形成する。なお、複数の通信部25は、それぞれ、異なる無線アクセス技術(無線通信方式)に対応していてもよい。例えば、通信部251がLTE又はNRに対応し、通信部252がWi-Fiに対応していてもよい。その他、通信部25は、Bluetooth、LPWA等の無線アクセス技術に対応していてもよい。なお、通信部25は通信部22と共通の構成であってもよい。
【0058】
<2-3.予測モデル(学習モデル)>
次に、本実施形態で使用される予測モデル(学習モデル)について説明する。
【0059】
<2-3-1.学習モデルについて>
上述したように、サーバ10の記憶部11及び端末装置20の記憶部21は、品質予測モデル、意図予測モデル等の予測モデルを記憶する。品質予測モデルは、端末装置20が現在使用しているベアラの未来の品質を予測するための学習モデルである。また、意図予測モデルは、ユーザのベアラに関する接続意図を予測するための学習モデルである。
【0060】
学習モデルは、例えば、ニューラルネットワークモデル等の機械学習モデルである。ニューラルネットワークモデルは、複数のノードを含む入力層、中間層(又は、隠れ層)、出力層と呼ばれる層から構成され、各ノードはエッジを介して接続される。各層は、活性化関数と呼ばれる関数を持ち、各エッジは重み付けされる。学習モデルは、1又は複数の中間層(又は、隠れ層)を有する。学習モデルをニューラルネットワークモデルとする場合、学習モデルの学習とは、例えば、中間層(又は、隠れ層)の層数、各層のノード数、又は各エッジの重み等を設定することを意味する。
【0061】
ここで、ニューラルネットワークモデルは、ディープラーニングによるモデルであってもよい。この場合、ニューラルネットワークモデルは、DNN(Deep Neural Network)と呼ばれる形態のモデルであってもよい。また、ニューラルネットワークモデルは、CNN(Convolution Neural Network)、RNN(Recurrent Neural Network)、又はLSTM(Long Short-Term Memory)と呼ばれる形態のモデルであってもよい。勿論、ニューラルネットワークモデルはこれらの形態のモデルに限定されない。
【0062】
また、学習モデルは、ニューラルネットワークモデルに限定されない。例えば、学習モデルは、強化学習によるモデルであってもよい。強化学習では、試行錯誤を通じて価値が最大化するような行動(設定)が学習される。その他、学習モデルは、ロジスティック回帰モデルであってもよい。
【0063】
なお、学習モデルは、複数のモデルで構成されていてもよい。例えば、学習モデルは、複数のニューラルネットワークモデルから構成されていてもよい。より具体的には、学習モデルは、例えば、CNN、RNN、及び、LSTMの中から選択される複数のニューラルネットワークモデルから構成されていてもよい。学習モデルが複数のニューラルネットワークモデルから構成される場合、これら複数のニューラルネットワークモデルは、従属関係にあってもよいし、並列関係にあってもよい。
【0064】
上述したように、サーバ10の記憶部11、及び端末装置20の記憶部21は、品質予測モデル、意図予測モデル等の学習モデル(予測モデル)を記憶する。学習モデルは、後述のベアラ切替処理で使用される。以下、学習モデルについて詳細に説明する。
【0065】
品質予測モデルは、例えば、ユーザの無線通信に関する行動パラメータ、及び当該行動パラメータに係る無線通信に関する環境パラメータ、の少なくとも一方のパラメータを入力データ、通信品質に関する情報を正解ラベル(教師データ)として学習した学習モデル(学習済みモデル)である。端末装置20が品質予測モデルにパラメータを入力すると、品質予測モデルは、例えば、該当のベアラの未来の通信品質(例えば、0(良)~1(悪))を出力する。
【0066】
意図予測モデルは、例えば、ユーザの無線通信に関する行動パラメータ、及び当該行動パラメータに係る無線通信に関する環境パラメータ、の少なくとも一方のパラメータを入力データ、ユーザが現在のベアラを使用し続けたいかどうかを示す値を正解ラベル(教師データ)として学習した学習モデル(学習済みモデル)である。端末装置20が意図予測モデルにパラメータを入力すると、意図予測モデルは、例えば、ユーザの該当のベアラの使用希望度(例えば、0(使用したい)~1(使用したくない))を出力する。(以下の説明では、ユーザが現在のベアラを使用し続けたいかどうかを示す情報のことを接続意図情報ということがある。
【0067】
なお、
図4及び
図5では、記憶部11及び記憶部21に記憶される情報として、「品質予測モデル」、「意図予測モデル」といった文字情報を記載したが、実際には、記憶部11、及び記憶部21には、モデルの構造や接続係数を示す文字列や数値等が記憶される。
【0068】
品質予測モデルは、パラメータ(行動パラメータ、及び/又は行動パラメータ)と、通信品質の情報と、の組のデータを学習データとして、パラメータを入力した時に、該当のベアラの未来の通信品質の情報を出力するよう学習したモデルであってもよい。この場合、第1の学習モデルは、パラメータを入力する入力層と、通信品質の情報を出力する出力層と、入力層から出力層までのいずれかの層であって出力層以外の層に属する第1要素と、第1要素と第1要素の重みとに基づいて値が算出される第2要素と、を含み、入力層に入力された情報に対し、出力層以外の各層に属する各要素を第1要素として、第1要素と第1要素の重み(すなわち、接続係数)とに基づく演算を行うことにより、入力層に入力されたパラメータに応じて、通信品質の情報を出力層から出力するよう、コンピュータを機能させるためのモデルであってもよい。
【0069】
また、意図予測モデルは、パラメータ(行動パラメータ、及び/又は行動パラメータ)と、接続意図情報と、の組のデータを学習データとして、パラメータを入力した時に、該当の接続意図情報を出力するよう学習したモデルであってもよい。この場合、第1の学習モデルは、パラメータを入力する入力層と、接続意図情報を出力する出力層と、入力層から出力層までのいずれかの層であって出力層以外の層に属する第1要素と、第1要素と第1要素の重みとに基づいて値が算出される第2要素と、を含み、入力層に入力された情報に対し、出力層以外の各層に属する各要素を第1要素として、第1要素と第1要素の重み(すなわち、接続係数)とに基づく演算を行うことにより、入力層に入力されたパラメータに応じて、接続意図情報を出力層から出力するよう、コンピュータを機能させるためのモデルであってもよい。
【0070】
ここで、学習モデルが、DNN等、1つまたは複数の中間層を有するニューラルネットワークで実現されるとする。この場合、学習モデルが含む第1要素は、入力層または中間層が有するいずれかのノードに対応する。また、第2要素は、第1要素と対応するノードから値が伝達されるノードである次段のノードに対応する。また、第1要素の重みは、第1要素と対応するノードから第2要素と対応するノードに伝達される値に対して考慮される重みである接続係数に対応する。
【0071】
また、学習モデルが「y=a1*x1+a2*x2+・・・+ai*xi」で示す回帰モデルで実現されるとする。この場合、学習モデルが含む第1要素は、x1やx2等といった入力データ(xi)に対応する。また、第1要素の重みは、xiに対応する係数aiに対応する。ここで、回帰モデルは、入力層と出力層とを有する単純パーセプトロンと見做すことができる。各モデルを単純パーセプトロンと見做した場合、第1要素は、入力層が有するいずれかのノードに対応し、第2要素は、出力層が有するノードと見做すことができる。
【0072】
端末装置20は、ニューラルネットワークや回帰モデル等、任意の構造を有するモデルを用いて、出力する情報の算出を行う。具体的には、第1の学習モデルは、行動パラメータ及び環境パラメータの少なくとも一方のパラメータが入力された場合に、通信品質情報又は接続意図情報を出力するように係数が設定される。例えば、サーバ10は、通信品質の実測データと、行動パラメータ及び環境パラメータの少なくとも一方のパラメータを学習モデルに入力して得られる値と、の類似度に基づいて係数を設定する。サーバ10は、このような学習モデルを用いて、行動パラメータ及び環境パラメータの少なくとも一方のパラメータから通信品質情報又は接続意図情報を生成する。
【0073】
なお、上述の例では、学習モデルの一例として、パラメータが入力された場合に、通信品質情報又は接続意図情報を出力するモデルを示した。しかし、実施形態に係る学習モデルは、学習モデルにデータの入出力を繰り返すことで得られる結果に基づいて生成されるモデルであってもよい。
【0074】
また、サーバ10がGAN(Generative Adversarial Networks)を用いた学習或いは出力情報の生成を行う場合、学習モデルは、GANの一部を構成するモデルであってもよい。
【0075】
なお、学習モデル(例えば、学習モデル)の学習を行う学習装置は、サーバ10であってもよいし、端末装置20であってもよいし、他の情報処理装置であってもよい。例えば、サーバ10が学習モデルの学習を行うとする。この場合、サーバ10は、学習モデルの学習を行い、学習した学習モデルを記憶部11に格納する。より具体的には、サーバ10は、行動パラメータ及び環境パラメータの少なくとも一方のパラメータを学習モデルに入力した際に、学習モデルが通信品質情報又は接続意図情報を出力するように、学習モデルの接続係数の設定を行う。
【0076】
例えば、サーバ10又は端末装置20は、学習モデルが有する入力層のノードにパラメータを入力し、各中間層を辿って学習モデルの出力層までデータを伝播させることで、通信品質情報又は接続意図情報を出力させる。そして、サーバ10又は端末装置20は、学習モデルが実際に出力した通信品質情報又は接続意図情報と、正解ラベル(教師データ)とした通信品質情報又は接続意図情報との差に基づいて、学習モデルの接続係数を修正する。このとき、サーバ10又は端末装置20は、バックプロパゲーション等の手法を用いて、接続係数の修正を行ってもよい。このとき、サーバ10又は端末装置20は、第1の実測データを示すベクトルと、学習モデルが実際に出力した値を示すベクトルとのコサイン類似度に基づいて、接続係数の修正を行ってもよい。
【0077】
なお、学習には、いかなる学習アルゴリズムが用いられてもよい。例えば、サーバ10又は端末装置20は、ニューラルネットワーク、サポートベクターマシン(support vector machine)、クラスタリング、強化学習、ランダムフォレスト、決定木等の学習アルゴリズムを用いて、学習モデルの学習を行ってもよい。
【0078】
また、本実施形態で使用する学習アルゴリズムは、サーバ10及び端末装置20がそれぞれ単独で学習するものであってもよいし、サーバ10及び端末装置20が連携して学習するものであってもよい。ここで、サーバ10及び端末装置20が連携して学習する学習アルゴリズムの例として、連合学習(Federated Learning)が挙げられる。以下、連合学習について説明する。
【0079】
<2-3-2.連合学習について>
連合学習(Federated Learning)は、機械学習モデルを最適化するアルゴリズムの一種である。連合学習では、個々のデバイスが持つプライベートデータを外部に公開することなく、学習モデルをトレーニングすることを可能にする。
【0080】
図6は、連合学習を説明するための図である。連合学習では、データを持つデバイス群とそれらを統括するサーバが協調して学習を進める。まず、各デバイスはクラウド上のサーバからモデルをダウンロードし、自身のデータでそのモデル学習して更新する。その後、それらのデバイスは更新済みモデルをサーバへアップロードする。サーバは大量の更新済みモデルを集約することにより、1つの新しいモデルを生成する。その後、サーバは、新しいモデルをデバイスへ配信する。各デバイスは、新しいモデルを使って学習する。各デバイス及びサーバは、これらの処理を繰り返す。連合学習では、各デバイス内でモデルを更新し、更新したモデルをクラウドサーバへアップロードするので、各デバイス内のプライベートデータを公開せずに学習を行うことが可能になる。
【0081】
本実施形態では、現在接続中のベアラの未来の通信品質の予測、及び、ユーザの接続意図の予測に連合学習を利用する。これらの予測には、ユーザの行動ログやBSSIDのようなアクセスポイントを特定する情報の利用が有効である。しかし、これらの情報からは、ユーザのプライバシー情報が読み取れてしまう。例えば、ユーザの行動ログからはユーザの趣味嗜好が読み取れてしまう。また、BSSIDからはユーザの現在の位置情報が読み取れてしまう。そこで、本実施形態では、連合学習をこれらの予測に適用することにより、ユーザのプライバシーを守りつつ、精度の高い予測を可能にする。
【0082】
図7は、本実施形態の予測(通信品質の予測、及び接続意図の予測)への連合学習の適用例を示す図である。
【0083】
まず、品質予測モデルの生成から説明する。複数の端末装置20は、それぞれ、ユーザの無線通信に関する行動パラメータ、及び当該行動パラメータに係る無線通信に関する環境パラメータ、の少なくとも一方のパラメータを特徴量、通信品質に関する情報を正解ラベル(教師データ)として記憶部21に保存する(ステップS1)。その後、複数の端末装置20は、それぞれ、端末内のデータを用いてモデルの学習を実行し、更新されたモデルをサーバ10へアップロードする(ステップS2)。サーバ10はアップロードされてきたモデルを集約して新しいモデルを生成する。そして、サーバ10は新しいモデルを各端末装置20に配布する(ステップS3)。
【0084】
次に、意図予測モデルの生成を説明する。複数の端末装置20は、それぞれ、ユーザの無線通信に関する行動パラメータ、及び当該行動パラメータに係る無線通信に関する環境パラメータ、の少なくとも一方のパラメータを特徴量、ユーザが現在のベアラを使用し続けたいかどうかを示す値を正解ラベル(教師データ)として記憶部21に保存する(ステップS1)。その後、複数の端末装置20は、それぞれ、端末内のデータを用いてモデルの学習を実行し、更新されたモデルをサーバ10へアップロードする(ステップS2)。サーバ10はアップロードされてきたモデルを集約して新しいモデルを生成する。そして、サーバ10は新しいモデルを各端末装置20に配布する(ステップS3)。
【0085】
サーバ10及び端末装置20は、これらの処理(ステップS1~ステップS3)を繰り返すことにより、データの収集無しに予測モデルを生成することができる。
【0086】
<2-4.通信システムの機能構成>
次に通信システム1の機能構成について説明する。
【0087】
図8は、通信システム1の機能構成を示す図である。より具体的には、
図8は、サーバ10及び端末装置20が連合学習(Federated Learning)により予測モデルを生成し、生成した予測モデルに基づいてベアラ切替処理を行う際に必要となる機能構成を示す図である。
【0088】
まず、端末装置20の取得部231は、ユーザの無線通信に関する行動パラメータ、及びその行動パラメータに係る無線通信に関する環境パラメータを取得する。行動パラメータは、センサ部24で取得されるセンサ情報であってもよい。センサ情報は、端末装置20の外部から与えられる情報であってもよい。環境パラメータは、通信制御部234で取得される、現在使用中のベアラの情報であってもよい。行動パラメータ及び環境パラメータについては後述する。
【0089】
端末装置20の取得部231は、取得したパラメータを適切な形に整形するとともに、整形したパラメータを学習用データとして記憶部21に保存する。このとき、取得部231は、ユーザの接続意図についての正解ラベルを学習用データに付与する。
【0090】
次に、端末装置20の学習部232は、記憶部21に記憶された学習用データに基づいて、予測モデル(品質予測モデル、及び意図予測モデル)の学習を実施する。このとき、学習部232は、適切なタイミングで学習を実施する。例えば、学習部232は、ユーザが端末装置20を使用していないタイミング、端末装置20が充電中のタイミング、及び/又は、バッテリーが十分にあるタイミングで学習を実施する。
【0091】
次に、端末装置20の通信部22は、学習により生成された予測モデルをサーバ10にアップロードする。このとき、通信部22は、適切なタイミングで予測モデルをサーバ10にアップロードする。例えば、通信部22は、無料のWi-Fiに接続されたタイミング、及び/又は、1日に一度の所定のタイミング、月末などの定期的タイミングで予測モデルをサーバ10にアップロードする。
【0092】
サーバ10は、複数の端末装置20からアップロードされた予測モデルを集約することにより、1つの新しい予測モデルを生成する。その後、サーバ10は、新しい予測モデルを端末装置20へ配信する。端末装置20の通信部22は、新しい予測モデルを記憶部21に保存する。
【0093】
端末装置20の予測部233は、記憶部21から予測モデル(品質予測モデル、及び意図予測モデル)を取得する。そして、予測部233は、取得部231が取得したパラメータを予測モデルに入力することにより予測結果を取得する。より具体的には、予測部233は、品質予測モデルに行動パラメータ及び/又は環境パラメータを入力することにより、ユーザが現在使用しているベアラの未来の通信品質の予測結果を取得する。また、予測部233は、意図予測モデルに行動パラメータ及び/又は環境パラメータを入力することにより、及び現在使用中のベアラに関するユーザの接続意図の予測結果を取得する。なお、予測部233は、ユーザの接続意図の予測を、現在使用中のベアラの通信品質が所定の条件を満たしてから(例えば、通信品質の予測値が所定の閾値を下回ってから)、所定の時間間隔毎に行う。
【0094】
端末装置20の通信制御部234は、予測結果に基づいてベアラ切替処理を実施する。例えば、現在使用中のベアラの通信品質の予測値が所定の閾値を下回り、かつ、接続意図の予測結果が、ユーザがベアラの切り替えを希望する旨の予測となっている場合に、現在使用中のベアラ(例えば、Wi-Fi)を他のベアラ(例えば、セルラーネットワーク)に切り替える。
【0095】
<<3.通信システムの動作>>
以上、通信システム1の構成を説明したが、次に、このような構成を有する通信システム1の動作を説明する。通信システム1の動作は、予測モデルの学習処理と、当該予測モデルを使ったベアラ切替処理に分けられる。
【0096】
上述したように、予測モデル(品質予測モデル、及び意図予測モデル)は、行動パラメータ及び環境パラメータの少なくとも一方のパラメータに基づいて生成される学習モデルである。予測モデル(品質予測モデル、及び意図予測モデル)は、行動パラメータと環境パラメータの双方のパラメータに基づいて生成される学習モデルであってもよい。
【0097】
以下の説明では、予測モデルは意図予測モデルであるものとするが、予測モデルは品質予測モデルであってもよい。この場合、正解ラベル(教師データ)として使用される情報は、適宜、通信品質に関する情報に置き換える。
【0098】
<3-1.学習処理>
まず、予測モデルの学習処理から説明する。
図9は、学習処理を示すフローチャートである。以下の処理は、例えば、端末装置20の制御部23で実行される。以下、
図9のフローチャートを参照しながら、学習処理を説明する。
【0099】
まず、端末装置20は、所定のベアラへの接続を開始する(ステップS101)。そして、端末装置20は、無線通信に係るログの取得を開始する(ステップS102)。例えば、端末装置20は、ユーザの無線通信に関する行動パラメータ、及び当該行動パラメータに係る無線通信に関する環境パラメータの取得を開始する。
【0100】
ここで、行動パラメータの例としては、以下の(A1)~(A3)が想定され得る。
【0101】
(A1)歩行状態
(A2)端末装置20に加わっている加速度
(A3)直近所定時間内の再接続実施有無を示すパラメータ
【0102】
ここで、(A1)は、例えば、ユーザの歩行状態を示すパラメータであり、例えば、ユーザが、現在、歩いている状態であるのか、停止している状態にあるのかを示すパラメータである。また、(A2)は、端末装置20が備える加速度計により検出された加速度の値である。(A3)は、所定のベアラへの接続の切断後、ユーザが、n秒以内に同じベアラに再接続を実施したか否かを示すパラメータである。
【0103】
また、環境パラメータの例としては、以下の(B1)~(B3)が想定され得る。
【0104】
(B1)通信品質の予測値
(B2)電波強度
(B3)滞留パケット数
(B4)通信速度
(B5)パケットカウンター
(B6)接続周波数帯域
(B7)通信状況
【0105】
ここで、(B1)は、現在接続中のベアラの通信品質の悪化予測を示す値である。(B2)は、端末装置20が信号をどれくらいの強度で受信できるかを示すパラメータであり、例えば、RSSI(Received Signal Strength Indicator)である。(B3)は、現在、端末装置20内で滞留しているパケットの個数を示すパラメータである。(B4)は、通信速度の理論値である。(B5)は、受信パケット及び/又は送信パケットをカウントした値である。(B6)は、現在接続中の周波数帯域を示すパラメータであり、現在接続中のベアラがWi-Fiなのであれば、現在接続中の周波数帯域が2.4GHz/5GHzかを示す値である。(B7)は、現在接続中のベアラの通信状況を示すパラメータである。
【0106】
なお、端末装置20が取得するパラメータは上記の例に限定されない。例えば、行動パラメータには、下記(C1)~(C2)に示す、ユーザの月次累積データ使用量を示すパラメータ、及びユーザが現在使用しているアプリケーションに関するパラメータが含まれていてもよい。また、環境パラメータには、下記(C3)~(C5)に示す、端末装置20の電池消費量に関するパラメータ、現在のトラフィックの重要度、及び端末装置20の現在位置に関する情報が含まれていてもよい。端末装置20が取得するパラメータの例としては以下が想定される。
【0107】
(C1)ユーザの月次累積データ使用量を示すパラメータ
(C2)ユーザが現在使用しているアプリケーション、及び当該アプリケーションが使用する通信の平均スループット
(C3)端末装置20の電池消費量に関するパラメータ
(C4)現在のトラフィックの重要度
(C5)端末装置20の現在位置に関する情報
(C6)コンテキスト, Activity Recognitionの結果
(C7)ユーザが使用可能な残データ量、料金プラン
(C8)周囲の切断状況
(C9)ユーザの好み(例えば、ユーザがWi-Fiを使いたがっているかどうか)
(C10)現在使用しているベアラとは別のベアラの通信状況
【0108】
次に、端末装置20は、ステップS101で接続したベアラへの接続が切断されたか判別する(ステップS103)。切断されていない場合(ステップS103:No)、接続が切断されるまでステップS103を繰り返す。一方、切断された場合(ステップS203:Yes)、ユーザの挙動に関する情報に基づいて、ユーザが現在のベアラ(ステップS101で接続したベアラ)を使った通信の継続を希望しているか否かを判別する(ステップS104)。
【0109】
ユーザが現在のベアラを使った通信の継続を希望していない場合の挙動(切り替えてほしかった挙動)としては以下の(D1)~(D8)が想定される。
【0110】
(D1)ユーザが現在のベアラへの接続をオフにする動作
(D2)端末装置20へ表示された通知へのユーザの応答(例えば、ベアラを切替えたいか切替えたくないかを問う通知に対する、ユーザの切り替えたい旨の応答)
(D3)現在の月内でのユーザの通信使用状況(例えば、月末にデータ使用量が足りなくなっているか)
(D4)ユーザが別のアクセスポイントへ接続する動作(例えば、ユーザが別のSSID(Service Set Identifier)につなぐ動作)
(D5)ユーザが端末装置20のスクリーンをオフにする動作
(D6)ユーザが端末装置20を投げる動作
(D7)ユーザが使用中のアプリを終了する動作
(D8))ユーザが端末装置20を再起動させる動作
【0111】
また、ユーザが現在のベアラを使った通信の継続を希望している場合の挙動(切り替えてほしくなかった挙動)としては以下の(E1)~(E4)が想定される。
【0112】
(E1)ユーザが端末装置20を同一アクセスポイントに再接続させる動作(例えば、ユーザが同一のSSIDに再接続する動作)
(E2)ユーザが現在のベアラ(例えば、Wi-Fi)への再接続動作(例えば、Wi-FiをON -> Off -> Onする動作)
(E3)ユーザが端末装置20を機内モードにしてすぐ戻す動作
(E4)ユーザが電波の強い方向を探してさまよう動作
【0113】
ユーザが現在のベアラを使った通信の継続を希望していると判別される場合(ステップS104:Yes)、端末装置20は、取得したログの一部又は全部を、ユーザが接続を継続したかった場合のサンプルとしてラベル付けする(ステップS105)。一方、ユーザが現在のベアラを使った通信の継続を希望していないと判別される場合(ステップS104:No)、端末装置20は、取得したログの一部又は全部を、ユーザが接続を継続したくなかった場合のサンプルとしてラベル付けする(ステップS106)。
【0114】
ここで、ラベル付けについて、具体例を挙げて説明する。例えば、端末装置20が、「Wi-Fi(所定のアクセスポイント)への接続の切断後、ユーザが同一のWi-Fi(同一のアクセスポイント)につないで数十秒以上使用している」ことを以て「ユーザがWi-Fiを使い続けたいと思っている」と判別するものとする。この場合、端末装置20は、ラベル付けを以下のように行う。
【0115】
(前処理)
まず、端末装置20は、取得したログに対して、前処理として次の処理を行う。まず、端末装置20は、端末装置20の中でWi-Fiのセッションごとにパラメータを保存する。そして、端末装置20は、Wi-Fiのパラメータの類似度から同一のアクセスポイントへの接続か否かを判断する。そして、端末装置20は、同一のアクセスポイントへの接続をまとめる。そして、端末装置20は、同一のアクセスポイントへの接続について、1つ前のWi-Fi切断と次のWi-Fi接続の間の時間を計算する。
【0116】
(ラベル付け)
端末装置20は、前処理したログの中から、次に示すルールを満たすサンプルを探す。“ユーザがWi-Fiを切断後、n秒以内に再接続を行い、かつ再接続後m秒以上継続してWi-Fiを使用している”。端末装置20は、このルールを満たすサンプルを、ユーザがWi-Fiへの接続を継続したかった場合のサンプルとしてラベル付けする。
【0117】
(ラベル付けの他の例)
なお、ラベル付けはこの例に限定されない。例えば、端末装置20は、所定のベアラ(例えば、Wi-Fi又はセルラー)を使った通信の切断後、ユーザが、同一のベアラ(アクセスポイントの同一は問わない。)を使った通信の再接続を行い、且つ、再接続後、所定時間以上継続して当該通信を使用し続けているときのサンプルを、ユーザが上記所定のベアラを使った通信を続けたかった場合のサンプルとしてラベル付けしてもよい。
【0118】
図9のフローに戻り、端末装置20は、取得したパラメータ(例えば、行動パラメータ及び環境パラメータの少なくとも1つ)に基づいて、予測モデルの学習を行う(ステップS107)。そして、端末装置20は、学習済みの予測モデルをサーバ10へアップロードする(ステップS108)。アップロードが完了したら、端末装置20は、学習処理を終了する。
【0119】
サーバ10は、複数の端末装置20から予測モデルを取得する。そして、アップロードされてきた予測モデルを集約して新しい予測モデルを生成する。そして、サーバ10は新しい予測モデルを各端末装置20に配布する。端末装置20は、新しい予測モデルを記憶部21に保存する。
【0120】
<3-2.ベアラ切替処理>
次に、ベアラ切替処理について説明する。
図10は、ベアラ切替処理を示すフローチャートである。以下の処理は、例えば、端末装置20の制御部23で実行される。以下、
図10のフローチャートを参照しながら、ベアラ切替処理を説明する。
【0121】
まず、端末装置20は、所定のベアラへの接続を開始する(ステップS201)。そして、端末装置20は、行動パラメータ及び環境パラメータの取得を開始する(ステップS202)。行動パラメータ及び環境パラメータは、上記<3-1.学習処理>で説明した行動パラメータ及び環境パラメータと同様である。
【0122】
次に、端末装置20は、記憶部21から、予測モデル(品質予測モデル、意図予測モデル)の情報を取得する。そして、端末装置20は、ステップS202で取得したパラメータ(行動パラメータ及び/又は環境パラメータ)を予測モデルに入力することにより、現在接続中のベアラの未来の通信品質の予測、及び当該ベアラに関するユーザの接続意図の予測を実行する(ステップS203)。より具体的には、端末装置20は、品質予測モデルに行動パラメータ及び/又は環境パラメータを入力することにより、現在使用中のベアラの未来の通信品質の予測結果を取得する。また、端末装置20は、意図予測モデルに行動パラメータ及び/又は環境パラメータを入力することにより、及び現在使用中のベアラに関するユーザの接続意図の予測結果を取得する。
【0123】
次に、端末装置20は、ステップS203の結果に基づいて、現在使用中のベアラの通信品質が悪化するか否か判別する(ステップS204)。例えば、端末装置20は、品質予測モデルの出力値が所定の閾値を下回っているか否かを判別する。なお、端末装置20は、品質予測モデルの予測結果ではなく、例えば、センサ部24又は通信部25の現在の出力値に基づいて、現在使用中のベアラの通信品質が悪化しているか否か判別してもよい。
【0124】
通信品質が悪化していない場合(ステップS204:No)、端末装置20は、ステップS202に処理を戻す。通信品質が悪化している場合(ステップS204:Yes)、端末装置20は、ユーザが現在使用中のベアラへの接続の継続を望んでいるか否かを判別する(ステップS205)。
【0125】
ユーザが接続の継続を望んでいる場合(ステップS205:Yes)、端末装置20は、ステップS202に処理を戻す。この場合、端末装置20は、現在のベアラへの接続は継続する。なお、端末装置20は、ステップS202の処理に戻るまでに、所定時間のウェイトを入れてもよい。
【0126】
一方、ユーザが接続の継続を望んでいない場合(ステップS205:No)、端末装置20は、現在のベアラを使った通信を他のベアラを使った通信に切り替える(ステップS206)。切り替えが完了したら、端末装置20は、ベアラ切替処理を終了する。
【0127】
<<4.変形例>>
上述の実施形態は一例を示したものであり、種々の変更及び応用が可能である。
【0128】
<4-1.予測モデルの適用に関する変形例>
上述の実施形態では、端末装置20は、サーバ10が連合学習(Federated Learning)により生成した予測モデルを使ってユーザの接続意図等に関する予測を行った。しかし、予測モデルの適用はこの例に限定されない。予測モデルの適用については、以下の例が想起される。
【0129】
(第1の適用例)学習された予測モデルを端末に搭載する形
図11は、予測モデルの適用の一例を説明するための図である。第1の適用例では、予測モデルを端末装置20に搭載する。このとき、端末装置20に搭載する予測モデルは、端末装置20内の学習により生成されたものであってもよい。このとき、端末装置20は、使用ベアラに関するユーザの好みを学習し、予測モデルの出力値(予測値)に基づいてベアラの切り替えを実行する。勿論、端末装置20に搭載する予測モデルは、サーバ10が連合学習により生成したものであってもよい。
【0130】
(第2の適用例)学習されたモデルを別の端末に搭載する形
図12は、予測モデルの適用の他の例を説明するための図である。第2の適用例では、端末装置20が生成した予測モデルを、ユーザが使用する他の通信装置に転用する。他の通信装置は、例えば、移動体やウェアラブルデバイスである。このとき、端末装置20は、使用ベアラに関するユーザの好みを学習する。そして、端末装置20は、学習により生成した予測モデルを他の通信装置に送信する。他の通信装置は、予測モデルの出力値(予測値)に基づいてベアラの切り替えを実行する。これにより、他の端末装置がユーザの意図を把握しにくいような端末であっても、ユーザの意図予測に基づくベアラの切り替えが可能になる。
【0131】
(第3の適用例)端末からパラメータを報告させ、別の場所で推論させる形
図13は、予測モデルの適用の他の例を説明するための図である。第3の適用例では、端末装置20がパラメータをネットワーク上の他の通信装置に報告する。他の通信装置は、端末装置20からのパラメータに基づき予測モデルを生成する。そして、他の通信装置は、予測モデルの出力値(予測値)と周囲の環境に基づいて、端末装置20がベアラの切り替えを行うべきか否かを判別する。他の通信装置は、判別結果に基づいて、端末装置20にベアラの切り替え指示を行う。端末装置20は他の通信装置からの指示に基づいてベラの切り替えを行う。これにより、1台の端末装置20だけでは完結できないような高度なネットワーク制御が可能になる。
【0132】
<4-2.ラベル付けに関する変形例>
上述の実施形態(学習処理のステップS106)では、サンプルへのラベル付けについて、具体例を挙げて説明したが、ラベル付けの例はこの例に限定されない。
【0133】
例えば、端末装置20は、ユーザが現在のベアラを使った無線通信をオフにしたときのサンプルを、ユーザが現在のベアラを使った通信を続けたくなかった場合のサンプルとしてラベル付けしてもよい。
【0134】
また、端末装置20は、ユーザが現在のベアラを使った所定のアクセスポイントへの通信を別のアクセスポイントへの通信に切り替えたときのサンプルを、ユーザが現在のベアラを使った通信を続けたくなかったときのサンプルとしてラベル付けしてもよい。
【0135】
<4-3.他の変形例>
本実施形態のサーバ10、端末装置20を制御する制御装置は、専用のコンピュータシステムにより実現してもよいし、汎用のコンピュータシステムによって実現してもよい。
【0136】
例えば、上述の動作を実行するための通信プログラムを、光ディスク、半導体メモリ、磁気テープ、フレキシブルディスク等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布する。そして、例えば、該プログラムをコンピュータにインストールし、上述の処理を実行することによって制御装置を構成する。このとき、制御装置は、サーバ10、端末装置20の外部の装置(例えば、パーソナルコンピュータ)であってもよい。また、制御装置は、サーバ10、端末装置20の内部の装置(例えば、制御部13、制御部23)であってもよい。
【0137】
また、上記通信プログラムをインターネット等のネットワーク上のサーバが備えるディスク装置に格納しておき、コンピュータにダウンロード等できるようにしてもよい。また、上述の機能を、OS(Operating System)とアプリケーションソフトとの協働により実現してもよい。この場合には、OS以外の部分を媒体に格納して配布してもよいし、OS以外の部分をサーバに格納しておき、コンピュータにダウンロード等できるようにしてもよい。
【0138】
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0139】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。なお、この分散・統合による構成は動的に行われてもよい。
【0140】
また、上述の実施形態は、処理内容を矛盾させない領域で適宜組み合わせることが可能である。また、上述の実施形態のフローチャートに示された各ステップは、適宜順序を変更することが可能である。
【0141】
また、例えば、本実施形態は、装置またはシステムを構成するあらゆる構成、例えば、システムLSI(Large Scale Integration)等としてのプロセッサ、複数のプロセッサ等を用いるモジュール、複数のモジュール等を用いるユニット、ユニットにさらにその他の機能を付加したセット等(すなわち、装置の一部の構成)として実施することもできる。
【0142】
なお、本実施形態において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、全ての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
【0143】
また、例えば、本実施形態は、1つの機能を、ネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。
【0144】
<<5.むすび>>
以上説明したように、本開示の一実施形態によれば、端末装置20は、所定のベアラ(第1の無線通信方式)を使った無線通信の品質が所定の条件を満たした場合に、ユーザの無線通信に関する行動の予測モデルを使って、ユーザが上記所定のベアラを使った通信を続けたいか否かを予測する。このとき、予測モデルは、ユーザの無線通信に関する行動パラメータ、及び当該行動パラメータに係る無線通信に関する環境パラメータ、の少なくとも一方のパラメータに基づいて生成される学習モデルである。端末装置20は、ユーザが所定のベアラを使った無線通信を使い続けたいか否かの予測を、上記所定のベアラを使った無線通信の品質が所定の条件を満たしてから、所定の時間間隔毎に行う。端末装置20は、予測の結果に基づいて、所定のベアラ(第1の無線通信方式)を使った無線通信を他のベアラ(第2の無線通信方式)を使った無線通信に切り替える。
【0145】
これにより、端末装置20は、ユーザが意図しない切り替えを減らすことができる。結果として、利便性の高い端末装置20を実現できる。
【0146】
以上、本開示の各実施形態について説明したが、本開示の技術的範囲は、上述の各実施形態そのままに限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、異なる実施形態及び変形例にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0147】
また、本明細書に記載された各実施形態における効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、他の効果があってもよい。
【0148】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
第1の無線通信方式を使った無線通信の品質が所定の条件を満たした場合に、ユーザの前記無線通信に関する行動の予測モデルを使って、前記ユーザが前記第1の無線通信方式を使った前記無線通信を続けたいか否かを予測する予測部、を備え、
前記予測モデルは、前記ユーザの前記無線通信に関する行動パラメータ、及び該行動パラメータに係る前記無線通信に関する環境パラメータ、の少なくとも一方のパラメータに基づいて生成される学習モデルであり、
前記予測部は、前記ユーザが前記第1の無線通信方式を使った前記無線通信を使い続けたいか否かの予測を、前記第1の無線通信方式を使った前記無線通信の品質が前記所定の条件を満たしてから、所定の時間間隔毎に行う、
通信装置。
(2)
前記予測の結果に基づいて前記無線通信を他の無線通信方式の無線通信に切り替える通信制御部、をさらに備える、
前記(1)に記載の通信装置。
(3)
前記予測モデルは、前記ユーザの前記無線通信に関する行動パラメータ、及び該行動パラメータに係る前記無線通信に関する環境パラメータ、の双方のパラメータに基づいて生成される学習モデルである、
前記(1)又は(2)に記載の通信装置。
(4)
前記予測モデルは、前記ユーザの前記無線通信に関する行動パラメータ、及び該行動パラメータに係る前記無線通信に関する環境パラメータ、の少なくとも一方のパラメータに基づいて生成される複数のモデルを連合学習により集約することにより生成される学習モデルである、
前記(1)又は(2)に記載の通信装置。
(5)
前記環境パラメータには、RSSI(Received Signal Strength Indicator)、通信装置内で滞留しているパケットの個数を示すパラメータ、通信速度の理論値、使用している周波数帯を示すパラメータ、の少なくとも1つが含まれる、
前記(1)~(4)のいずれかに記載の通信装置。
(6)
前記環境パラメータには、前記通信装置の電池消費量に関するパラメータが含まれる、
前記(1)~(5)のいずれかに記載の通信装置。
(7)
前記環境パラメータには、現在のトラフィックの重要度が含まれる、
前記(1)~(6)のいずれかに記載の通信装置。
(8)
前記環境パラメータには、前記通信装置の現在位置に関する情報が含まれる、
前記(1)~(7)のいずれかに記載の通信装置。
(9)
前記行動パラメータには、前記ユーザの歩行状態を示すパラメータ、前記通信装置に加わっている加速度、直近所定時間内の再接続実施有無を示すパラメータ、の少なくとも1つが含まれる、
前記(1)~(8)のいずれかに記載の通信装置。
(10)
前記行動パラメータには、前記ユーザの月次累積データ使用量を示すパラメータが含まれる、
前記(1)~(9)のいずれかに記載の通信装置。
(11)
前記行動パラメータには、前記ユーザが使用しているアプリケーションに関するパラメータが含まれる、
前記(1)~(10)のいずれかに記載の通信装置。
(12)
ユーザの第1の無線通信方式を使った無線通信に関する行動パラメータ、及び該行動パラメータに係る前記無線通信に関する環境パラメータ、の少なくとも一方のパラメータを取得する取得部と、
前記第1の無線通信方式を使った前記無線通信の品質が所定の条件を満たした場合に、ユーザが前記第1の無線通信方式を使った前記無線通信を続けたいか否かを予測する予測モデルの学習を行う学習部と、を備え、
前記学習部は、前記ユーザの前記無線通信に関する行動パラメータ、及び該行動パラメータに係る前記無線通信に関する環境パラメータ、の少なくとも一方のパラメータに基づいて前記予測モデルの学習を行う、
情報処理装置。
(13)
前記学習部は、前記ユーザの前記無線通信に関する行動パラメータ、及び該行動パラメータに係る前記無線通信に関する環境パラメータ、の双方のパラメータに基づいて前記予測モデルの学習を行う、
前記(12)に記載の情報処理装置。
(14)
前記パラメータが、前記ユーザが前記第1の無線通信方式を使った通信を続けたかったときのパラメータか、前記ユーザが前記第1の無線通信方式を使った通信を続けたくなかったときのパラメータか、を判別する判別部、を備え、
前記学習部は、前記判別部の判別結果と前記パラメータとに基づいて前記予測モデルの学習を行う、
前記(12)又は(13)に記載の情報処理装置。
(15)
前記判別部は、前記第1の無線通信方式を使った通信の切断後、前記ユーザが前記第1の無線通信方式を使った通信の再接続を行い、且つ、再接続後、所定時間以上継続して該通信を使用し続けているときのパラメータを、前記ユーザが前記第1の無線通信方式を使った通信を続けたかったときのパラメータとして判別する、
前記(14)に記載の情報処理装置。
(16)
前記判別部は、前記第1の無線通信方式を使った所定のアクセスポイントへの通信の切断後、前記ユーザが前記所定のアクセスポイントへ再接続を行い、且つ、再接続後、所定時間以上継続して前記所定のアクセスポイントへの接続を続けているときのパラメータを、前記ユーザが前記第1の無線通信方式を使った通信を続けたかったときのパラメータとして判別する、
前記(14)又は(15)に記載の情報処理装置。
(17)
前記判別部は、前記ユーザが前記第1の無線通信方式を使った無線通信をオフにしたときのパラメータを、前記ユーザが前記第1の無線通信方式を使った通信を続けたくなかったときのパラメータとして判別する、
前記(14)~(16)のいずれかに記載の情報処理装置。
(18)
前記判別部は、前記ユーザが前記第1の無線通信方式を使った所定のアクセスポイントへの通信を別のアクセスポイントへの通信に切り替えたときのパラメータを、前記ユーザが前記第1の無線通信方式を使った通信を続けたくなかったときのパラメータとして判別する、
前記(14)~(17)のいずれかに記載の情報処理装置。
(19)
第1の無線通信方式を使った無線通信の品質が所定の条件を満たした場合に、ユーザの前記無線通信に関する行動の予測モデルを使って、前記ユーザが前記第1の無線通信方式を使った前記無線通信を続けたいか否かを予測する予測ステップ、を備え、
前記予測モデルは、前記ユーザの前記無線通信に関する行動パラメータ、及び該行動パラメータに係る前記無線通信に関する環境パラメータ、の少なくとも一方のパラメータに基づいて生成される学習モデルであり、
前記予測ステップでは、前記ユーザが前記第1の無線通信方式を使った前記無線通信を使い続けたいか否かの予測を、前記第1の無線通信方式を使った前記無線通信の品質が前記所定の条件を満たしてから、所定の時間間隔毎に行う、
通信方法。
(20)
ユーザの第1の無線通信方式を使った無線通信に関する行動パラメータと、該行動パラメータに係る前記無線通信に関する環境パラメータと、を取得する取得ステップと、
前記第1の無線通信方式を使った前記無線通信の品質が所定の条件を満たした場合に、ユーザが前記第1の無線通信方式を使った前記無線通信を続けたいか否かを予測する予測モデルの学習を行う学習ステップと、を備え、
前記学習ステップでは、前記ユーザの前記無線通信に関する行動パラメータ、及び該行動パラメータに係る前記無線通信に関する環境パラメータ、の少なくとも一方のパラメータに基づいて前記予測モデルの学習を行う、
情報処理方法。
【符号の説明】
【0149】
1 通信システム
10 サーバ
20 端末装置
11、21 記憶部
12、22、25 通信部
13、23 制御部
24 センサ部
131、231 取得部
132 生成部
232 学習部
233 予測部
234 通信制御部
N1、N2 ネットワーク