(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166236
(43)【公開日】2023-11-21
(54)【発明の名称】位置推定装置
(51)【国際特許分類】
G01S 5/02 20100101AFI20231114BHJP
【FI】
G01S5/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022077150
(22)【出願日】2022-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】柴田 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】角谷 祐次
(72)【発明者】
【氏名】中倉 洋平
【テーマコード(参考)】
5J062
【Fターム(参考)】
5J062AA09
5J062BB01
5J062BB05
5J062CC18
(57)【要約】
【課題】検知範囲内の人間の位置の推定精度に優れる位置推定装置を提供する。
【解決手段】乗車位置推定装置40に従えば、電波を送受信して乗車位置を推定するので、各座席にセンサを設置するよりも部品点数の増加を抑制することができる。また制御部である乗車位置推定装置40は、時間変動量を用いて乗車位置を推定する。時間変動量は、荷物と乗員とでは異なる変動量となる。このような時間変動量を用いることで、荷物が座席にある場合には、荷物を乗員と誤検出する可能性が低くするこができる。これによって乗車の位置の推定精度に優れる位置推定装置を実現することができる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の検知範囲内にいる人間の位置を推定する位置推定装置であって、
前記検知範囲において、電波を送受信する少なくとも2つのアンテナ(106)と、
前記アンテナから電波を送信させ、前記アンテナが受信する電波を処理する制御部(40)と、を含み、
前記制御部は、
複数回にわたって位置推定用の電波を送信するように前記アンテナを制御し、
前記アンテナが送信した電波に対応する電波を、送信した前記アンテナが受信したときの受信信号強度を取得し、
取得した前記受信信号強度の受信時間における変動量である時間変動量を求め、時間変動量がある受信時間を用いて人間の位置を推定する位置推定装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記時間変動量と、予め設定されている人間の呼吸に起因する変動量である呼吸変動量との一致度合いを用いて人間の位置を推定する請求項1に記載の位置推定装置。
【請求項3】
車両(105)に乗車している人間の乗車位置を推定する位置推定装置であって、
前記制御部は、
前記車両の車速を取得し、
前記車速が所定の設定車速以上の場合には、予め設定されている人間の振動に起因する変動量である位置変動量と前記時間変動量との一致度合いを用いて前記乗車位置を推定する請求項1または2に記載の位置推定装置。
【請求項4】
車両(105)に乗車している人間の乗車位置を推定する位置推定装置であって、
全ての前記アンテナは、前記車両の全ての座席位置を囲む仮想囲み線の外側であって、前記車両の前後左右の4方向のうちのいずれか1つの方向側に配置されている請求項1または2に記載の位置推定装置。
【請求項5】
車両(105)に乗車している人間の乗車位置を推定する位置推定装置であって、
前記制御部は、前記車両から取得した情報を用いて人間の降車または乗車が完了したと判断した場合に、前記乗車位置を推定する処理を開始する請求項1または2に記載の位置推定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書における開示は、人間の位置を推定する位置推定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
日本では運転席および助手席に加えて後席のシートベルト着用が義務化されたことに伴い、シートベルトを未着用時に、乗員に警告するシステムの搭載が車両メーカに義務化されている。シートベルトの未着用を警告するためには、乗員が着座しているか否かを検出する必要がある。このような着座を検出する検出装置として、たとえば座席の着座部に圧力を感知する圧力センサを埋め込むことによって実現している。しかし、着座検知ために専用の圧力センサを全ての座席に設置すると、部品点数の増加になり、コストアップとなる。
【0003】
そこで、特許文献1に記載の検知システムでは、無線信号を送受信して、乗員の乗車および降車を検知している。具体的には、無線信号の受信電力値および無線信号の遅延スプレッド値に基づいて、車両に対する乗員の乗降状態を判定して、乗車位置を推定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の特許文献1に記載の技術では、車室内の検知範囲に人間でなく大きな荷物がある場合にも、荷物を人間と誤検出するおそれがある。
【0006】
そこで、開示される目的は前述の問題点を鑑みてなされたものであり、検知範囲内の人間の位置の推定精度に優れる位置推定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は前述の目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。
【0008】
ここに開示された位置推定装置は、特定の検知範囲内にいる人間の位置を推定する位置推定装置であって、検知範囲において、電波を送受信する少なくとも2つのアンテナ(106)と、アンテナから電波を送信させ、アンテナが受信する電波を処理する制御部(40)と、を含み、制御部は、複数回にわたって位置推定用の電波を送信するようにアンテナを制御し、アンテナが送信した電波に対応する電波を、送信したアンテナが受信したときの受信信号強度を取得し、取得した受信信号強度の受信時間における変動量である時間変動量を求め、時間変動量がある受信時間を用いて人間の位置を推定する位置推定装置である。
【0009】
このような位置推定装置に従えば、電波を送受信して人間の位置を推定するので、検知範囲内に複数のセンサを設置するよりも部品点数の増加を抑制することができる。また制御部は、時間変動量がある受信時間を用いて人間の位置を推定する。時間変動量は、荷物と人間とでは異なる変動量となることが本件発明者の実験などで明らかになった。このような時間変動量がある受信時間を用いることで、荷物を人間と誤検出する可能性が低くするこができる。これによって人間の位置の推定精度に優れる位置推定装置を実現することができる。
【0010】
なお、前述の各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図4】照合ECUの機能を説明するためのブロック図
【
図10】第2実施形態の運転席の反射波の一例を示す波形。
【
図13】第3実施形態のある時間の受信強度の変化を示す波形。
【
図15】別のある時間の受信強度の変化を示す波形。
【
図17】第4実施形態の位置推定処理を示すフローチャート。
【
図18】第5実施形態のアンテナの配置を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本開示を実施するための形態を、複数の形態を用いて説明する。各実施形態で先行する実施形態で説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付すか、または先行の参照符号に一文字追加し、重複する説明を略する場合がある。また各実施形態にて構成の一部を説明している場合、構成の他の部分は、先行して説明している実施形態と同様とする。各実施形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施形態同士を部分的に組合せることも可能である。
【0013】
(第1実施形態)
本開示の第1実施形態に関して、
図1~
図11を用いて説明する。本実施形態では、人間の位置を推定する位置推定装置は、車両105に乗車する人間、すなわち乗員の位置を推定する乗車位置推定装置40である。位置推定装置は、特定の検知範囲内にいる人間の位置を推定し、本実施形態の乗車位置推定装置40では特定の検知範囲は車室内である。
【0014】
まず、乗車位置推定装置40を含む全体の車両用通信システム200の構成に関して説明する。
図1に示す車両用通信システム200は、携帯端末102および車両側ユニット103を含む。車両用通信システム200は、クラウドシステムを利用して携帯端末102と車両側ユニット103との間での情報の交換を行うと共に、直接携帯端末102と車両側ユニット103で通信を行う。
【0015】
携帯端末102は、スピーカ22、マイク23および通信機能を有する。携帯端末102の詳細については後述する。携帯端末102は、車両105の電子キーとしても機能する。したがって携帯端末102は、車両105を操作するための認証機能を有する認証端末としても機能する。
【0016】
車両側ユニット103は、車両105に搭載され、車両105で用いられる車載装置である。車両側ユニット103は、携帯端末102との間で通信を行うことが可能となっており、この通信を介した照合によって車両105の利用に関する認証を行う。車両側ユニット103の詳細については後述する。
【0017】
クラウドシステムは、クラウド上に配置されたサーバによって、携帯端末102と車両側ユニット103との間での情報の交換を行う。つまり、携帯端末102と車両側ユニット103とは、クラウドシステムを経由して通信を行う。クラウドシステムは、例えばネットワークと言い換えることもできる。
【0018】
次に、
図2を用いて、携帯端末102の概略的な構成について説明する。
図2に示すように、携帯端末102は、端末制御部20、端末通信モジュール21、スピーカ22、マイク23、操作部24および表示部25を備えている。端末通信モジュール21は、クラウドシステムを経由して通信を行うための通信モジュールである。端末通信モジュール21は、車両側ユニット103と通信する端末通信部として機能する。
【0019】
端末通信モジュール21は、メモリを含んでおり、例えば個々の携帯端末102に固有の識別情報(以下、端末側ID)をこのメモリに予め記憶している。端末通信モジュール21は、通信接続する場合に、例えばメモリに記憶している端末側IDを通信接続先に送信する。
【0020】
端末通信モジュール21は、端末制御部20の指示に従って、通信接続先に情報を送信する。端末通信モジュール21から送信される情報は、クラウドシステムを経由して、自端末としての携帯端末102に予め紐付けられた車両側ユニット103に送信される。また、端末通信モジュール21は、クラウドシステムを経由して、携帯端末102に予め紐付けられた車両側ユニット103から送信されてくる情報を受信する。
【0021】
一例として、携帯端末102と車両側ユニット103との紐付けは、端末側IDと車両側ユニット103を用いる車両105を識別するための識別情報(以下、車両側ID)とを対応付けることで行われる。車両側IDとしては、たとえば車両ID、および車両側ユニット103に含まれる後述の車両通信モジュール31の機器ID等を用いる。この車両側IDは、車両側ユニット103に含まれる後述の照合ECU30の識別情報である。例えば、クラウドシステム上のサーバには、車両側IDと、この車両側IDに対応する車両105の利用を許可するユーザの携帯端末102の端末側IDとの対応関係が予め記憶されている。そして、クラウドシステムは、この車両側IDと端末側IDとの対応関係を参照することで、車両側ユニット103と、この車両側ユニット103が用いられる車両105の利用を許可するユーザの携帯端末102との間での情報の送受信を行う。
【0022】
スピーカ22は、音声を出力する音声出力装置である。スピーカ22は、端末制御部20の指示に従って音声を出力する。スピーカ22は、たとえば他の携帯端末102と通話しているときには、他の携帯端末102からの音を出力する。またスピーカ22は、携帯端末102が音楽プレーヤーとして機能しているときは、再生している音楽を出力する。マイク23は、集音を行う音声入力装置である。マイク23は、集音した音声を電気的な音声信号に変換して端末制御部20へ出力する。
【0023】
操作部24は、ユーザによる操作を受け付け、受け付けた操作情報を端末制御部20に与える。操作部24は、たとえば機械的なボタンまたは表示部25と一体に構成されるタッチパネルによって実現される。タッチパネルは、表示部25の表示画面に、無色透明のタッチセンサを積層させて構成される。タッチパネルは、ユーザの手指等が表示画面に触れたことによる静電容量の変化又は圧力の変化を検知する。表示部25は、端末制御部20から与えられる情報を画面表示する。表示部25は、たとえば液晶ディスプレイおよびELディスプレイが採用されている。
【0024】
端末制御部20は、例えばプロセッサ、メモリ、I/O、これらを接続するバスを備え、メモリに記憶された制御プログラムを実行することで携帯端末102の有する機能に関する各種処理を実行する。メモリは、コンピュータによって読み取り可能なプログラム及びデータを非一時的に格納する非遷移的実体的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)である。また、非遷移的実体的記憶媒体は、半導体メモリ等によって実現される。
【0025】
次に、
図3を用いて、車両側ユニット103の概略的な構成について説明を行う。
図3に示すように、車両側ユニット103は、乗車位置推定装置40、照合ECU30、車両通信モジュール31、車両状態センサ32、始動スイッチ33、施解錠スイッチ34、ボデーECU35、およびパワーユニットECU36を含んでいる。
【0026】
車両通信モジュール31は、車載の通信モジュールである。車両通信モジュール31は、携帯端末102と通信する装置通信部として機能する。車両通信モジュール31は、ネットワークに接続することで、クラウドシステムを経由した通信を行う。車両通信モジュール31は、メモリを含んでおり、例えば前述の車両側IDをこのメモリに予め記憶している。そして、車両通信モジュール31は、通信接続する場合に、例えばメモリに記憶している車両側IDを通信接続先に送信する。
【0027】
車両通信モジュール31は、複数、少なくとも2つのアンテナ106に接続されている。本実施形態では、車両通信モジュール31は、3つのアンテナ106に接続されている。3つのアンテナ106は、
図5に示すように車両105の異なる位置、たとえば左側部、前方部、右側部にそれぞれ搭載されている。
【0028】
携帯端末102と車両通信モジュール31は超広帯域(UWB:Ultra Wide Band)通信で使用されるインパルス信号を用いて無線通信を実施する。UWB通信で用いられるインパルス信号とは、パルス幅が極短時間、たとえば2nsであって、かつ、500MHz以上の帯域幅である超広帯域幅を有する信号である。アンテナ106は、例えば送受信アンテナとするが、送信アンテナと受信アンテナとを別に有する構成であってもよい。
【0029】
車両状態センサ32は、自車の走行状態、操作状態等の車両105の挙動に関する情報を検出するためのセンサ群である。車両状態センサ32としては、例えば、車速を検出する車速センサ、シフトポジションを検出するシフトポジションセンサ等がある。
【0030】
始動スイッチ33は、自車の走行駆動源の始動を要求するためのスイッチである。始動スイッチ33は、例えば運転席前方に設けられる。始動スイッチ33としては、例えばメカニカルなボタンスイッチを用いることができる。
【0031】
施解錠スイッチ34は、運転席のドア、助手席のドア、トランクルームドアといった自車の車両ドアの施解錠を要求するためのスイッチである。施解錠スイッチ34は、運転席および助手席のドアについては、例えばアウタードアハンドルに設けられる。施解錠スイッチ34は、トランクルームドアについては、例えばリアバンパに設けられる。施解錠スイッチ34としては、例えばタッチスイッチを用いたり、メカニカルなボタンスイッチを用いたりすることができる。
【0032】
ボデーECU35は、自車の各車両ドアの施解錠を制御するための駆動信号を各車両ドアに設けられたドアロックモータに出力することで、各車両ドアの施解錠を行う。ボデーECU35は、施錠信号をドアロックモータに出力することでドアロックの施錠を行わせる。ボデーECU35は、解錠信号をドアロックモータに出力することでドアロックの解錠を行わせる。ボデーECU35には、各車両ドアについての施解錠スイッチ34が接続されている。ボデーECU35は、施解錠スイッチ34の信号を取得し、施解錠スイッチ34の操作を検出する。
【0033】
パワーユニットECU36は、自車の内燃機関又はモータジェネレータといった走行駆動源を制御する電子制御装置である。パワーユニットECU36は、照合ECU30から走行駆動源の始動許可信号を取得すると、自車の走行駆動源を始動させる。またパワーユニットECU36は、運転席に着座している乗員の運転操作を支援する処理を実行するECUとしても機能する。
【0034】
照合ECU30は、例えばプロセッサ、メモリ、I/O、これらを接続するバスを備え、メモリに記憶された制御プログラムを実行することで自車の利用を許可する認証に関する各種の処理を実行する。
【0035】
次に、
図4を用いて、照合ECU30の概略的な構成の一例について説明を行う。
図4に示すように、照合ECU30は、トリガ検出部301、送信処理部302、記憶部303、受信処理部304、照合部305、許可部306および位置推定部307を機能ブロックとして備えている。
【0036】
受信処理部304は、携帯端末102から送信されてくる応答信号を、車両通信モジュール31を介して受信する。送信処理部302は、車両通信モジュール31を介してリクエスト信号を送信させる。
【0037】
また受信処理部304は、3つのアンテナ106が受信した電波に関する情報を取得する。電波に関する情報は、たとえば受信した電波の強度、電波発生位置からアンテナ106が受信するまでの電波到達時間、電波の周波数、および電波に含まれる信号などである。受信処理部304は、受信した電波に関する情報を位置推定部307に与える。電波の強度は、受信信号強度すなわちRSSI(Received Signal Strength Indication)とも言う。
【0038】
位置推定部307は、3つのアンテナ106が受信したRSSI値から電波発生位置を推定する。RSSI値は、電波発生位置が近いほど大きくなる。また3つのアンテナ106は、搭載位置が異なる。そこで、3つのアンテナ106のそれぞれの搭載位置を円の中心とし、RSSI値から定まる伝播距離を半径とする3つの円を描き、3点測位法により電波発生位置を推定する。
【0039】
記憶部303は、例えば電気的に書き換え可能な不揮発性メモリであって、正規のユーザの携帯端末102を識別する識別コードが登録されている。携帯端末102の識別コードを記憶部303に登録する方法は、周知の電子キーシステムにおいて複数の電子キーを正規のユーザの電子キーとして登録する方法と同様とすればよい。
【0040】
照合部305は、携帯端末102との通信を用いて、携帯端末102が予め設定されている正規の携帯端末102であるか否かを認証する。具体的には、照合部305は、受信処理部304で信号を受信した携帯端末102が正規のユーザの携帯端末102であるか照合する。照合は、携帯端末102から受信する照合要求応答の信号に含まれる識別コードと記憶部303に登録されている識別コードとの間で行う。照合できた場合、正規のユーザの携帯端末102であるとの認証が成立する。
【0041】
トリガ検出部301は、自車の利用に関するトリガを検出する。自車の利用のシチュエーションとしては、ユーザの乗車のための車両ドアの開放、自車の始動、トランクルームドアの開放等が挙げられる。
【0042】
トリガ検出部301は、ユーザの乗車のための車両ドアの開放に関する乗車トリガを検出する。具体的には、トリガ検出部301は、車両状態センサ32での検出結果から自車の駐車を判定し、且つ、運転席若しくは助手席のドアについての施解錠スイッチ34が操作されたことを検出した場合に、乗車トリガを検出する。自車の駐車は、例えばシフトポジションセンサで検出するシフトポジションが駐車位置であることから判定する。また、車速センサで検出する車速が停車を示す値であることから判定してもよい。施解錠スイッチ34が操作されたことは、施解錠スイッチ34の信号から検出する。
【0043】
またトリガ検出部301は、自車の始動に関する始動トリガを検出する。具体的には、トリガ検出部301は、始動スイッチ33が操作されたことを検出した場合に、始動トリガを検出する。始動スイッチ33が操作されたことは、始動スイッチ33の信号から検出する。
【0044】
許可部306は、照合部305の認証結果に基づいて、正規の携帯端末102の場合には車両105の利用の許可し、正規の携帯端末102でない場合には車両105の利用を禁止する装置制御部として機能する。さらに許可部306は、位置推定部307が推定した電波発生位置が所定の範囲にあるか否かで、車両105の利用の許可および禁止を決定する。
【0045】
許可部306は、トリガ検出部301で乗車トリガを検出した場合であって、電波発生位置が車両105の所定範囲内にあり、且つ、照合部305で認証が成立した場合に、解錠信号を全車両ドアのドアロックモータに出力し、全車両ドアの解錠を行う。
【0046】
許可部306は、トリガ検出部301で始動トリガを検出した場合であって、電波発生位置が車室内にあり、且つ、照合部305で照合が成立した場合に、走行駆動源の始動許可信号をパワーユニットECU36に出力し、走行駆動源の始動を行う。
【0047】
また許可部306は、照合部305の認証結果に基づいて、正規の携帯端末102からの信号でない場合には、通常は車両105に対する機能の利用を禁止している。車両105の不正使用を防ぐためである。さらに許可部306は、照合部305の認証結果に基づいて、正規の携帯端末102からの信号であっても、電波発生位置が所定の範囲外の場合には、通常は車両105に対する機能の利用を禁止している。安全性を向上するためである。
【0048】
次に、車両105に乗車している乗員の乗車位置を推定する処理に関して説明する。
図6に示す処理は、乗車位置推定装置40によって実行される処理である。
図6に示す処理は、車両105のイグニッションがオンの状態において、短時間に繰り返し実行される。
【0049】
ステップS1では、未測距のアンテナ106を選択して、選択したアンテナ106から位置推定用電波を送信するように制御し、ステップS2に移る。位置推定用電波は、
図7に示すように、所定の送信期間に、送信期間よりも短い送信時間で複数回、送信信号強度が異なる電波を送信する。
図7に示す例では、送信信号強度によって形成される包絡線が山型状である。換言すると、送信期間の最初と最後が最も送信信号強度が小さく、送信期間の中央で最も送信信号強度が高い。山型状の幅は、たとえば1.5nsである。
【0050】
またステップS1では、
図7に示す位置推定用電波を複数回送信する。送信間隔は、人間の呼吸や体動周期に対して十分に小さい間隔に設定され、たとえば100ms毎に送信する。さらにステップS1では、3つのアンテナ106のうち、1つのアンテナ106からのみ、位置推定用電波を送信する。2つ以上のアンテナ106から同時に送信すると、どの電波の反射波なのかの判別が難しいからである。したがって未測距のアンテナ106は、まだ位置推定用電波を送信していないアンテナ106であり、本実施形態ではアンテナ106が3つあるので、3回、送信処理を繰り返すことになる。
【0051】
ステップS2では、ステップS1にて送信した位置推定用電波に対応する電波を受信し、受信した電波の受信信号強度を取得する。
図8に、時間経過とともに受信信号強度の変化の一例を示す。
図8は、位置推定用電波を送信後から20nsが経過するまでに受信した受信信号強度の波形である。
図8に示すように、様々な障害物から反射して返ってくる波形が合成された波形が得られる。近くに障害物があると反射波が到達するまでの時間が短くなる。そして
図8に示す例では、4つの山があるので、4箇所に障害物がある可能性がある。
【0052】
ステップS3では、変動箇所を特定し、ステップS4に移る。変動箇所とは、
図9に示すように、
図8の反射波を複数重ね合わせたときに時間的に変動している箇所である。
図9に示す例では、約8ns付近で、変動していることがわかる。車両105が静止状態であれば、時間変動量を生じさせる要因は人間の可能性が大きい。荷物などは勝手には振動しないが、生体である人間は、完全に停止することは難しく、呼吸などによって揺れたりするからである。
【0053】
ステップS4では、乗員の位置を測距し、ステップS5に移る。乗員の位置は、
図8における変動量が、乗員の呼吸に起因する変動量である呼吸変動量と比較することで推定する。
図8の変動量が呼吸変動量との一致度合いが高い場合には、変動が開始している時間に乗員がいると推定する。呼吸変動量は、予めシミュレーションおよび実験によって決定されている。呼吸は、周期動作であるので、呼吸変動量は用いて、他の時間変動量と切り分けることができる。呼吸変動量は、所定の値の範囲であってもよく、値そのものであってもよい。一致度合いが高いとは、時間変動量が呼吸変動量の値の範囲内にある場合、および呼吸変動量の値の近い場合である。そして時間変動量が最も大きいピーク時間を用いて、アンテナ106を中心とする測距円L2を作成する。測距円L2の一例は、
図5で破線を用いて示している。
【0054】
ステップS5では、全てのアンテナ106で測距が終了したか否かを判断し、終了した場合は、ステップS6に移り、終了していない場合は、ステップS1に戻る。したがって各アンテナ106間で干渉が起きないように、所定の周期のもとに動作させるアンテナ106を切り替え、3つのアンテナ106で測距円L2を作成するまでステップS1~ステップS4までの処理を繰り返す。
【0055】
ステップS6では、3つのアンテナ106において、2個または3個の測距円L2が形成されている場合には、2点もしくは3点測位を用いることで乗員の着座位置を推定する。
図5では、丸を用いて乗員の位置を示している。またステップS6では、1つしか測距円L2がない場合、また測距円L2が1つもないも場合もある。たとえば変動箇所を測定できない場合、または反射波からピークを特定できない場合には、乗員位置を特定できない。この場合は、乗員が検出されないとする結果を出力する。そしてステップS6では、乗員位置を測位した結果を出力して、本フローを終了する。
【0056】
このように、乗車位置推定装置40は、所定の送信期間に、送信期間よりも短い送信時間で複数回、送信信号強度が異なる電波を送信するように車両通信モジュール31およびアンテナ106を制御する。そして乗車位置推定装置40は、アンテナ106が送信した電波に対応する電波を、送信したアンテナ106が受信したときの受信信号強度を取得する。そして、乗車位置推定装置40は、取得した受信信号強度の受信時間における変動量である時間変動量を用いて乗車位置を推定する。これによってヒトである乗員由来の呼吸成分で乗員位置を推定することができ、荷物等と区別可能となる。
【0057】
以上説明したように本実施形態の乗車位置推定装置40に従えば、電波を送受信して乗車位置を推定するので、各座席にセンサを設置するよりも部品点数の増加を抑制することができる。また制御部である乗車位置推定装置40は、時間変動量を用いて乗車位置を推定する。時間変動量は、荷物と乗員とでは異なる変動量となる。このような時間変動量を用いることで、荷物が座席にある場合には、荷物を乗員と誤検出する可能性が低くするこができる。これによって乗車の位置の推定精度に優れる位置推定装置を実現することができる。
【0058】
このように本実施形態では、新たにセンサを取り付けることなく着座有無および位置を判別するために、携帯端末102との通信に用いられるUWBを利用している。UWBは広帯域に利用可能な周波数帯であり、見通しの良い環境では数cmオーダーの高精度な測距が可能となる。本実施形態では、普段は携帯端末102と通信を行うアンテナ106を、いわばレーダとして動作させて、乗員の位置を推定する。換言すると、本実施形態は、既存の通信システムのソフトウェアを改良することで、乗車位置を推定している。これによって物理的なセンサを追加することなく、乗車位置を推定することができる。
【0059】
また本実施形態では、時間変動量と、予め設定されている乗員の呼吸に起因する呼吸変動量とを比較して、その一致度合いを用いて人間であるか否かを判定する。ヒト由来の信号成分である呼吸および体動を検出するので、一致度合いを用いることで、荷物など他の障害物と区別することができる。これによって乗車位置の検出精度を向上することができる。
【0060】
乗車位置推定装置40は、換言すると、次のような構成を有する。乗車位置推定装置40は、ある周波数、帯域幅をもとに生成された電波を送受信する2つ以上のアンテナ106を有し、アンテナ106の受信値を元に生体の位置を特定する。アンテナ106は、ある間隔で複数回送受信し、乗車位置推定装置40は、各アンテナ106の複数回の受信値の時間変動量をもとに生体の距離を特定する。そして、乗員位置検出装置は、呼吸に起因する時間変動量をもとに生体の距離および位置を特定する。
【0061】
(第2実施形態)
次に、本開示の第2実施形態に関して、
図10~
図12を用いて説明する。本実施形態では、呼吸位置の特定の精度を向上するために、時間変動量の特定方法に特徴を有する。
【0062】
図10は、車両前方に配置されたアンテナ106で運転席を測距したときの波形を示す。
図11は、車両前方に配置されたアンテナ106で車両後方の座席を測距したときの波形を示す。
図10と
図11とを比較すると、時間変動箇所の立ち上がり部分が、
図11では間延びしていることが分かる。これは車両105のボデー等からの反射波と合成されたためであり、この立ち上がり部分の間延びがヒトとアンテナ106との距離算出の誤差となる。
【0063】
アンテナ106が運転席よりも前方にある場合には、検知対象が遠い場合、たとえば後席では、間延びしやすい。検知対象が遠くなるほど、様々な障害物の反射波を含み、複数の反射波が重なることで、人間の位置に対応するピーク値が後ろにずれる可能性が高いことが、実験でわかっている。
図10に示す間延びしていない場合は、ピーク値は、立上りから1.5nsであるが、
図11に示す間延びしている場合は、ピーク値は、立上りから2.5nsと後ろにずれていることがわかる。そこで、間延びする場合も考慮して、人間の位置に対応するように補正する方法が必要である。
【0064】
換言すると、
図10のように間延びしていない場合は、時間変動箇所のピーク値を乗員がいる測距箇所と推定する。しかし、
図11のように間延びしている場合は、時間変動箇所のピーク値を測距箇所と推定すると、実際の乗車位置とずれるおそれがある。従って、精度向上に対して、立ち上がり後のピーク以外のパラメータを使う必要がある。その1つの方法が
図12に記載の呼吸変動開始タイミングである。呼吸変動開始タイミングとは、時間変動量の立上りタイミングとも言える。
【0065】
図7に示したUWBのパルス波形を有する位置推定用電波を送信し人間から返ってくる波形は、
図7の概形全体が呼吸により変動する。したがって
図12の下側の位置推定用電波の波形で示すように、時間変動の開始点T1と、位置推定用電波の立上り点が等しいと推定する。
【0066】
そして呼吸開始タイミングの時刻T1から所定時間、たとえば1.5nsを補正した時刻T2の値を、いわゆるピーク値として測距円L2を作成する。これにより反射波の合成による間延び問題を解決できアンテナ106-ヒト間が長距離になるような
図11の後席のシーンでも精度確保が可能となる。
【0067】
(第3実施形態)
次に、本開示の第3実施形態に関して、
図13~
図16を用いて説明する。本実施形態では、前述の第2実施形態に関連し、呼吸変動開始タイミングの特定方法に特徴を有する。
【0068】
前述の第2実施形態でも説明したように、
図12に示すように、20ns分のレーダ受信波形のある1点を時々刻々プロットしていくと呼吸成分が重畳している場合は
図13のような波形、重畳していない場合は
図15のような波形が得られる。これをそれぞれ周波数解析した波形が
図14と
図16である。
図14は、
図13を周波数解析した波形であり、
図15を周波数解析した波形である。
【0069】
図14に示すように、呼吸が重畳している場合はある周波数成分が突出し、
図16に示すように、重畳していない場合はノイズ成分のみであるため全体的に均一な周波数特性となる。
【0070】
これらを例えばエントロピーの式(1)等のばらつき特性を定量化する値を用いることで呼吸変動開始タイミングが判別可能となる。
【0071】
【数1】
式(1)で、Hは、pのエントロピーであり、平均情報量およびシャノン情報量とも呼ばれる。また式(1)で、pは確率分布であり、xは、受信信号強度であり、iは周波数である。したがって式(1)を用いることで、周波数成分のばらつき特性を定量化して、どの時刻が呼吸変動開始タイミングであるかを判断する。これによって呼吸変動開始タイミングを数学的に特定することができる。
【0072】
(第4実施形態)
次に、本開示の第4実施形態に関して、
図17を用いて説明する。本実施形態では、車速に応じて車両振動を考慮する点に特徴を有する。
【0073】
走行時は車両振動により乗員が揺れるため、呼吸に起因する体表面の揺れを精度よく検出することが難しい場合がある。そこで本実施形態では、車速がある一定値以上になった場合、前述の第3実施形態のような周波数特性による呼吸有無判断ではなく、変動の大きさを指標として人間の体の揺れを検出する。
【0074】
具体的な処理に関して、
図17を用いて説明する。
図17に示す処理は、乗車位置推定装置40によって、短時間に繰り返し実行される。
【0075】
ステップS11では、車速が所定の設定車速Vよりも大きいか否かを判断し、大きい場合には、ステップS15に移り、大きくない場合には、ステップS12に移る。
【0076】
ステップS12では、車速が大きくないので、呼吸による検知測距を行い、ステップS13に移る。ステップS13では、着座位置を推定し、ステップS14に移る。したがってステップS12およびステップS13の処理は、
図6の処理と同じである。
【0077】
ステップS15では、車速が大きいので、体動検知による測距を行い、ステップS16に移る。ステップS15では、予め設定されている乗員の振動に起因する変動量である位置変動量と時間変動量とを比較して、その一致度合いを用いて乗車位置を推定する。車速が大きくなると時間変動量が大きくなるので、呼吸変動量よりも大きい位置変動量を用いて、乗車位置を推定する。ステップS16では、測距円L2を用いて、着座位置を推定し、ステップS14に移る。換言すると、ステップS15およびステップS16の処理は、
図6の呼吸変動量に代えて位置変動量を用いた処理と同じである。
【0078】
ステップS14では、位置を推定する終了条件を充足したか否かを判断し、充足した場合には、本フローを終了し、充足していない場合には、ステップS11に戻る。終了条件は、乗車位置の推定が不要な場合、たとえばイグニッションがオフになった場合、高速道路を走行中など乗員が移動する可能性が低い場合などである。
【0079】
乗車位置の推定が最も必要な場合は、車両105がイグニッションオフからイグニッションオンとなり、走行後にシートベルトリマインダをする場合である。したがって車両走行後に所定時間経過、たとえば10分経過後には、終了条件を充足したと判断してもよい。また定期的に、たとえば数分毎に、乗車位置推定処理を実施してもよい。これによって常にセンシングする構成に比べて、消費電力を低減することができる。
【0080】
また乗員位置推定処理は、たとえば車両105の施錠と解錠、ドア開閉、およびACCのオンオフをもとにセンシング開始してもよい。これらの動作があると、乗員の位置が変化する可能性が高いからである。
【0081】
このように本実施形態では、車速に応じて呼吸検知と体動検知とを切り替える。体動検知では、車速が大きいので、車の振動を考慮する必要がある。車の振動は、乗員を含め、車全体が同様に振動するので、呼吸に起因する振動とは異なる時間変動がおきる。したがって車の振動による時間変動量を予めシミュレーションおよび実験などで決定しておくことで、車の振動を考慮して乗員検知を行うことができる。また車速に応じて、位置変動量が設定しておくことが好ましい。
【0082】
これによって、車速が大きい場合でも、精度よく乗車位置を推定することができる。また走行時に座席を大きく移動することはなく、また乗員人数が変わらないことを前提として、停車時の呼吸検出に基づくヒト位置結果をもとにして検出範囲、たとえば前述の
図9の探索時間幅を絞ってもよい。このように時間変化をトラッキングすることで、走行中の移動も追跡することができる。
【0083】
(第5実施形態)
次に、本開示の第5実施形態に関して、
図18~
図20を用いて説明する。本実施形態では、アンテナ106が2個の点に特徴を有する。レーダ2個の場合、アンテナ106の配置によっては2点測位によって交点が2個できるため着座位置を一意に特定することができないおそれがある。
【0084】
そこで、アンテナ106の位置を車両105の前後左右方向の4方向のうち、いずれか1つの方向側にオフセットする。たとえば
図18のように車両の前方にオフセットすると、D席に着座している場合は2点測位による2個の交点がD席内に収まる。また
図19に示すように、後席に着座している場合は交点の一方が車室外に出現するため除外することができ着座位置を特定することが可能となる。
【0085】
同様に、
図20に示すように、2つのアンテナ106を車両105の後方側に配置しても同様の作用効果を奏することができる。
【0086】
このように、2個のアンテナ106は、車両105の全ての座席位置を囲む仮想囲み線L1の外側であって、車両105の前後左右の4方向のうち、いずれか1つの方向側に配置されていることが好ましい。仮想囲み線L1は、
図18~
図20に示すように、全ての座席位置を囲むように設定され、たとえば長方形状である。そしてこの仮想囲み線L1の外側であれば、前述のようにアンテナ106が2個であっても、一方の交点が仮想囲み線L1の中に位置し、他方の交点が仮想囲み線L1の外に位置するので、仮想囲み線L1の中に位置する交点を乗員位置と推定することができる。これによって少ないアンテナ106であっても、精度を落とすことなく、乗車位置を推定することができる。
【0087】
(その他の実施形態)
以上、本開示の好ましい実施形態について説明したが、本開示は前述した実施形態に何ら制限されることなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
【0088】
前述の実施形態の構造は、あくまで例示であって、本開示の範囲はこれらの記載の範囲に限定されるものではない。本開示の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものである。
【0089】
前述の第1実施形態では、位置推定用電波は、
図7に示すパルス形状であったが、このような形状に限るものではない。電波の打ち方は、ある帯域幅より作成したパルス波のようなものでもよいし、CW波を間欠的に打つ方法でもよい。
【0090】
前述の第1実施形態では、携帯端末102を用いているが、携帯端末102が単なる車両105のキー装置であってもよい。すなわちマイク23、スピーカ22などを有しない電子キーとして機能する装置であってもよい。
【0091】
前述の第1実施形態において、携帯端末102の端末制御部20および車両側ユニット103の照合ECU30および乗車位置推定装置40などの制御部によって実現されていた機能は、前述のものとは異なるハードウェアおよびソフトウェア、またはこれらの組み合わせによって実現してもよい。これらの制御部は、たとえば他の制御装置と通信し、他の制御装置が処理の一部または全部を実行してもよい。これらの制御部が電子回路によって実現される場合、それは多数の論理回路を含むデジタル回路、またはアナログ回路によって実現することができる。
【0092】
またこれらの制御部は、或る機能をハードウェアとして実現する態様には、1つ又は複数のICなどを用いて実現する態様が含まれる。プロセッサ(演算コア)としては、CPUや、MPU、GPU、DFP(Data Flow Processor)などを採用可能である。また、プロセッサが備える機能の一部又は全部は、複数種類の演算処理装置を組み合わせて実現されていてもよい。プロセッサが備える機能の一部又は全部は、システムオンチップ(SoC:System-on-Chip)や、FPGA、ASICなどを用いて実現されていても良い。FPGAはField-Programmable Gate Arrayの略である。ASICはApplication Specific Integrated Circuitの略である。
【0093】
前述の第1実施形態では乗車位置推定装置40は車両105で用いられているが、車両105に搭載された状態に限定されるものではなく、少なくとも一部が車両105に搭載されていなくてもよい。
【符号の説明】
【0094】
20…端末制御部 21…端末通信モジュール 22…スピーカ 23…マイク
24…操作部 25…表示部 30…照合ECU 31…車両通信モジュール
32…車両状態センサ 33…始動スイッチ 34…施解錠スイッチ
35…ボデーECU 36…パワーユニットECU
40…乗車位置推定装置(制御部) 102…携帯端末 103…車両側ユニット
105…車両 106…アンテナ 200…車両用通信システム
301…トリガ検出部 302…送信処理部 303…記憶部
304…受信処理部 305…照合部 306…許可部 307…位置推定部
L1…仮想囲み線