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特開2023-166238計画作成装置、計画作成プログラムおよび計画作成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166238
(43)【公開日】2023-11-21
(54)【発明の名称】計画作成装置、計画作成プログラムおよび計画作成方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20231114BHJP
   G06Q 20/20 20120101ALI20231114BHJP
   G06Q 10/0631 20230101ALI20231114BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20231114BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q20/20
G06Q10/06 302
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022077152
(22)【出願日】2022-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】小林 敬和
(72)【発明者】
【氏名】平野 弘二
(72)【発明者】
【氏名】吉本 雅矢
【テーマコード(参考)】
3C100
5L049
5L055
【Fターム(参考)】
3C100AA01
3C100AA34
3C100AA38
3C100BB12
3C100BB39
3C100EE10
5L049AA09
5L049CC04
5L055AA42
(57)【要約】
【課題】複数の工場を経由して処理される対象物を含む複数の対象物個々の処理計画を立案できるようにする。
【解決手段】計画作成装置(100)は、一又は複数の処理工程を経て製造される複数の対象物についての、対象物と品種と注文量との関係を示す注文情報、品種と品種の製造に必要な処理工程および処理設備との関係を示す品種工程情報、処理設備の品種毎の処理能力を示す能力情報、代替可能な処理工程又は処理設備を示す設備変更情報を取得する取得部(11)と、注文情報、品種工程情報および能力情報、および前記設備変更情報、代替可能な処理工程又は処理設備を示す設備変更情報に基づいて、処理計画の複数の候補を生成する生成部(12)と、複数の候補のうちから処理計画を決定する決定部(14)と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一又は複数の処理工程を経て製造される複数の対象物を処理する際の処理計画を作成する計画作成装置であって、
前記複数の対象物の各々についての、前記対象物と品種と注文量との関係を示す注文情報、前記品種と前記品種の製造に必要な処理工程または処理設備との関係を示す品種工程情報、前記処理設備の品種毎の処理能力を示す能力情報、代替可能な処理工程又は処理設備を示す設備変更情報を取得する取得部と、
前記注文情報、前記品種工程情報、前記能力情報、および前記設備変更情報に基づいて、前記処理計画の複数の候補を生成する生成部と、
前記複数の候補のうちから前記処理計画を決定する決定部と、を備える計画作成装置。
【請求項2】
前記設備変更情報は、さらに、前記代替可能な処理工程又は処理設備を採用した場合の変更コストの情報を含む、請求項1に記載の計画作成装置。
【請求項3】
前記複数の対象物は、複数の工場の中の、一の工場が有する複数の処理設備の少なくともいずれかにおいて一の処理が施された後、前記一の工場とは異なる他の工場が有する複数の処理設備の少なくともいずれかにおいて他の処理が施される対象物を少なくとも1つ含み、
前記設備変更情報は、さらに、前記代替可能な処理工程または処理設備が設置されている工場の情報を含む、
請求項2に記載の計画作成装置。
【請求項4】
前記生成部が生成した前記候補を評価する評価値を、前記候補ごとにそれぞれ算出する算出部を、さらに備え、
前記決定部は、前記候補の評価値に基づいて、前記処理計画を決定する
請求項1に記載の計画作成装置。
【請求項5】
前記生成部は、並列に動作可能な処理回路を用いて、複数の前記候補の生成を並行して行う、請求項1~4のいずれか1項に記載の計画作成装置。
【請求項6】
前記決定部は、
複数の処理回路を備え、
前記複数の処理回路にそれぞれ異なる初期値が与えられると、前記生成部による前記候補の生成を、各処理回路で並列に行う、請求項5に記載の計画作成装置。
【請求項7】
前記取得部は、処理設備の休止予定期間を示す情報である設備休止情報を更に取得し、
前記生成部は、前記注文情報、前記品種工程情報、前記能力情報、前記設備変更情報および前記設備休止情報に基づいて、前記処理計画の複数の候補を生成する、
請求項1~4のいずれか一項に記載の計画作成装置。
【請求項8】
前記取得部は、対象物が処理される処理工程または処理設備と、その処理工程また処理設備での処理時間を決めるための情報である設備稼働実績を更に取得し、
前記生成部は、前記注文情報、前記品種工程情報、前記能力情報、前記設備変更情報および前記設備稼働実績に基づいて、前記処理計画の複数の候補を生成する、
請求項1~4のいずれか一項に記載の計画作成装置。
【請求項9】
前記注文情報、前記品種工程情報および前記能力情報を集計して、集計情報を生成する集計部を更に備え、
前記生成部は、前記集計部が生成した前記集計情報に基づいて前記複数の候補を生成する、
請求項1~4のいずれか一項に記載の計画作成装置。
【請求項10】
前記評価値は、ロット数および納期遅れの発生件数の少なくともいずれかを含む、請求項4に記載の計画作成装置。
【請求項11】
請求項1~4のいずれか1項に記載の計画作成装置としてコンピュータを機能させるための計画作成プログラムであって、
前記取得部、前記生成部および前記決定部としてコンピュータを機能させるための、計画作成プログラム。
【請求項12】
一又は複数の処理工程を経て製造される複数の対象物を処理する際の処理計画を作成する計画作成方法であって、
前記複数の対象物の各々についての、前記対象物と品種と注文量との関係を示す注文情報、前記品種と前記品種の製造に必要な処理工程または処理設備との関係を示す品種工程情報、前記処理設備の品種毎の処理能力を示す能力情報、代替可能な処理工程又は処理設備を示す設備変更情報を取得するステップと、
前記注文情報、前記品種工程情報、前記能力情報、および前記設備変更情報に基づいて、前記処理計画の複数の候補を生成するステップと、
前記複数の候補のうちから前記処理計画を決定するステップと、を備える計画作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計画作成装置、計画作成プログラムおよび計画作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、各製造ロットの製造可能な工場の情報及びオーダー情報に基づいて、各製造ロットが各工場で平準化され、かつ要望納期を満足するように工場ごとの製造スケジュールを作成する工程と、を有する生産計画作成方法について記載されている。また、特許文献2には、生産在庫を最適化する品目別スケジュールを取得するステップと、品目(品種)別スケジュールに対する当該各品目間の機械干渉の程度の大小を判定するステップと、機械干渉の程度が大きい場合にその程度を小さくするように、取得するステップを再実行させるステップと、機械干渉の程度が小さい場合に品目別スケジュールに基づいて品目別にロットサイズとロット順序を生成するステップと、を具備する多品目ロットサイズスケジューリング方法について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-176098号公報
【特許文献2】特開2002-236721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
鉄鋼業を始めとした多くの製造業では、生産目標を達成するためには、拠点を異にする複数工場において、製品・半製品(以下、対象物)の製造を円滑に進めることは必須であり、また対象物の製造コストの削減も求められる。これら複数工場全体として要求を実現するためには、設備の空きや対象物の存在をその都度見ながら、製造決定を行い、製造を実施するだけでは十分に対応することができず、複数工場全体にわたり、どのタイミングでどの対象物をどの設備を用いて処理・搬送するかを対象物一品単位で予め決定しておくスケジューリングが必要不可欠である。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、複数の工場を考慮したものではあるが、各工場への製造ロット単位での振り分けによる工場間での負荷の平準化に留まるものであり、処理可能な設備や、その設備に代替可能となる設備まで考慮するには至っていない。つまり、対象物の製造に必要な処理設備の制約となる、例えば、ある対象物に対しある処理を施すのに要する処理時間や、当該対象物を処理できるのはどの処理設備であるか、代替可能な処理設備を使った際の移動負荷等を、対象物毎に考慮するようにはなっておらず、製造現場で実際に製造する対象物一品単位で製造指示するスケジュールを作成するものではない。また、特許文献2に記載の技術は、スケジューリングを時刻レベルで行うものであるが、代替可能な処理設備や、複数の工場を経由して生産することまで考慮したものではない。つまり、複数の工場にそれぞれ処理設備が存在する場合など、代替可能な複数の処理設備がある場合を考慮して、生産計画を立案するようにはなっていない。
【0006】
本発明の一態様は、製造対象物単位で代替可能な処理設備が考慮された処理計画を作成可能な計画作成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る計画作成装置は、一又は複数の処理工程を経て製造される複数の対象物を処理する際の処理計画を作成する計画作成装置であって、前記複数の対象物の各々についての、前記対象物と品種と注文量との関係を示す注文情報、前記品種と前記品種の製造に必要な処理工程または処理設備との関係を示す品種工程情報、前記処理設備の品種毎の処理能力を示す能力情報、代替可能な処理工程又は処理設備を示す設備変更情報を取得する取得部と、前記注文情報、前記品種工程情報、前記能力情報、および前記設備変更情報に基づいて、前記処理計画の複数の候補を生成する生成部と、前記複数の候補のうちから前記処理計画を決定する決定部と、を備える。
【0008】
本発明の各態様に係る計画作成装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記計画作成装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記計画作成装置をコンピュータにて実現させる計画作成装置の計画作成プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【0009】
また、本発明の他の態様に係る計画作成方法は、一又は複数の処理工程を経て製造される複数の対象物を処理する際の処理計画を作成する計画作成方法であって、前記複数の対象物の各々についての、前記対象物と品種と注文量との関係を示す注文情報、前記品種と前記品種の製造に必要な処理工程または処理設備との関係を示す品種工程情報、前記処理設備の品種毎の処理能力を示す能力情報、代替可能な処理工程又は処理設備を示す設備変更情報を取得するステップと、前記注文情報、前記品種工程情報、前記能力情報、および前記設備変更情報に基づいて、前記処理計画の複数の候補を生成するステップと、前記複数の候補のうちから前記処理計画を決定するステップと、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、製造対象物単位で代替可能な処理設備が考慮された処理計画を作成可能な計画作成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一態様の実施形態に係る計画作成装置が処理計画を作成する対象となる製造ラインにおいて対象物の処理が進んでいく状況を示す図である。
図2】同実施形態に係る計画作成装置の機能的構成を示すブロック図である。
図3】同実施形態に係る計画作成装置が備える処理回路を示すブロック図である。
図4】同処理回路が実行する処理の内容を示す概念図である。
図5】同実施形態に係る計画作成装置が生成する評価情報を示すグラフである。
図6】同実施形態に係る計画作成装置が生成する評価情報を示すグラフである。
図7】本発明の他の態様の実施形態に係る計画作成方法の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
まず、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
【0013】
<製造ライン>
まず、処理計画を作成する対象となる製造ラインについて説明する。製造ラインは、製品あるいは半製品である対象物の製造に必要な1以上(通常は複数)の工程で構成されており、原材料が製造ライン上の工程順に処理を受けることで対象物が製造される。この製造ラインは、1つの工場内で完結して設けられる場合もあれば、複数の工場に跨って設けられる場合もある。特に鉄鋼の製造ラインは、複数の工場に設けられた複数の工程で構成される場合が多く、対象物は、複数の工場を順番に経由して製造される場合が多い(図1参照)。この時、2以上の工場が、同一の工程を実施可能な場合もある。この場合には、製造ラインは、そのうちの一部の工場を経由することになるため、製造ラインを実現するための複数の工場の組合せは、複数通り存在し得る。以下、鉄鋼の製造ラインを例に本発明を説明する。なお、上記の半製品は、製品になる前の製造物であり、製品が鉄鋼製品の場合には、連続鋳造工程を経て製造されるスラブ等や、圧延工程を経て製造されるコイルなどとなる。図1は製造ラインにおいて対象物の処理が進んでいく状況を示す図である。
【0014】
製造ラインは、図1に示したように、複数の工場によって構成されている。各工場は、それぞれ1以上(図1では、工程1-1、工程1-2など複数)の工程を担う。また、各工場は、各工程を担うための処理設備を工程毎に1以上(図1では、設備1-1-1、設備1-1-2など複数)備える。処理設備は、例えば加工設備、搬送設備等である。工程毎に複数の処理設備が設けられることで、工程毎に複数の対象物の並列処理を可能としている。図1の横軸は時間軸である。図1には、各対象物が、時間軸に沿って、どの工場のどの工程の処理設備を用いて処理されるかが示されている。同じ番号が付された対象物は同じものであり、同一の対象物の時間推移を追うことで、その対象物が処理される工程順が分かる。例えば、対象物1は、工場1の工程1-1で用いられる処理設備1-1-1による処理が完了し、次は工場2の工程2-3で用いられる処理設備2-3-2による処理を受けることを図1は示している。また、図1に示す現在時刻においては、対象物2、対象物3、対象物12、および対象物14が、それぞれ図示された工程処理を受けている途中である。例えば対象物2は、現在時刻において、工場1の工程1-1で用いられる処理設備1-1-2で処理を受けている途中であることを図1は示している。
【0015】
なお、図1に示す複数の工場はそれぞれ複数の工程を担うが、この複数の工場のうち少なくともいずれかの工場は、一つの工程を担うものであってもよい。また、図1に示す工程は、いずれも複数の処理設備を有するが、一つの処理設備のみを有する工程を含んでいてもよい。また、同一の工程に属する複数の処理設備は、それぞれ処理内容が同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、同一の工程に属する複数の処理設備は、同一内容の処理を、異なる程度で行うようになっていてもよい。
【0016】
<計画作成装置>
次に、本発明の一態様(計画作成装置100)の実施形態について説明する。図2は計画作成装置100の機能的構成を示すブロック図である。図3は計画作成装置100が備える処理回路を示すブロック図である。図4は処理回路が実行する処理の内容を示す概念図である。図5、6は計画作成装置100が生成する評価情報を示すグラフである。
【0017】
計画作成装置100は、一又は複数の処理工程を経て製造される複数の対象物を処理する際の処理計画を作成するためのものである。以下の説明では、複数の工場の中の、一の工場が備える複数の処理設備の少なくともいずれかにおいて一の処理が施された後、一の工場とは異なる他の工場が備える複数の処理設備の少なくともいずれかにおいて他の処理が施される対象物を含む複数の対象物を処理する際の処理計画を作成するものとして説明する。処理計画は、各処理設備が処理を担当する対象物の期間ごとの振り分けを示すものである。この処理計画を作成するために計画作成装置100は、図2に示したように、制御部1と、入力部2と、出力部3と、を備える。
【0018】
[入力部]
入力部2は、他の装置200からデータや信号を受信する通信モジュール、他の装置と接続される端子、記録媒体から情報を読み込むドライブ、ユーザが操作可能なキーボード、マウス、タッチパネル等で構成されている。なお、計画作成装置100は、他の装置200と一体(例えば同一OSで動作するもの)になっていてもよい。その場合、計画作成装置100は、入力部2を備えていなくてもよい。
【0019】
[出力部]
出力部3は、他の装置(表示装置、プリンタ等)へデータや信号を送信する通信モジュール、他の装置と接続される端子、記録媒体へ情報を書き込むドライブ、画像を表示するディスプレイなどの表示装置、プリンタ等で構成されている。なお、計画作成装置100は、作成した処理計画(詳細後述)をインプットとする更なる処理を行うよう構成されていてもよい。その場合、計画作成装置100は、出力部3を備えていなくてもよい。
【0020】
[制御部]
制御部1は、取得部11と、生成部12と、算出部13と、決定部14と、評価部15と、集計部16と、出力制御部17と、を備える。また、本実施形態に係る制御部1は、図3に示したように、1または複数の処理回路1a,1b・・を備える。複数の処理回路1a,1b・・は、例えば、制御部1をGPU(Graphics Processing Unit)等で構成することにより、実現することができる。各処理回路1a,1b・・は、レジスタと、共有メモリと、複数のコアと、をそれぞれ備えている。なお、これらコアについては、複数個毎にまとめて、それらをまとまり毎に階層的に管理しても構わない。
【0021】
〔取得部〕
取得部11は、注文情報と、品種工程情報と、能力情報と、設備変更情報と、設備稼働実績と、設備休止情報と、を取得する。
【0022】
注文情報(表1参照)は、複数の工場における複数の処理工程を経て製造される対象物を含む複数の対象物についての、対象物と品種と注文量との関係を示す情報である。注文情報は、受けた全ての注文情報であってもよいし、その中からある条件(納期、量等)に基づいて抽出された一部であってもよい。表1に示すように、注文情報は、対象物(主に、製品)と品種との関係を含む。本実施形態に係る取得部11が取得する注文情報は、例えば下記表1に示したように、品種、納期、および注文量を、対象物毎に示した情報となっている。対象物が鋼材である場合、例えば熱間圧延鋼板、冷間圧延鋼板、形鋼等の多くの種類の鋼材が存在するが、例えば形鋼においてもH形鋼、山形鋼などの種類があり、これらの夫々の種類において更に強度や厚みといった製造条件が同じであるため、同一の工程、処理設備で処理をするものを品種として、区別する。
【0023】
【表1】
【0024】
品種工程情報(表2参照)は、品種と品種の製造に必要な処理工程および処理設備との関係を示す情報である。本実施形態に係る取得部11が取得する品種工程情報は、例えば下記表2に示したように、処理可能な工場、通過する工程、各工程で使用する処理設備、および各工程で処理される対象物のロット属性を、品種毎に示した情報となっている。対象物が鋼材である場合、例えばサイズ、成分等から各処理設備での製造条件が同一であり、まとめて処理することで、処理の段取り等を減らすことができるものの集まりを、ロット属性として区別する。このロット属性は、品種と処理設備に紐づいており、別品種であっても、特定の処理設備において同一ロット属性となるものが存在する。一の品種に対して処理可能な工場、通過する工程、使用する処理設備等が複数存在する場合には、一の品種に対応する品種工程情報が複数存在することになる。
【0025】
表2の例では、各品種工程情報は、品種毎に、製造に必要な処理設備(使用処理設備)を示すと共に、各処理設備を有する工場(処理可能工場)および工程(通過工程)が紐づけられた情報となっている。例えば、品種1に属する対象物は、工場1において、工程1-1の処理設備1-1-1および1-1-2、並びに工程1-2の処理設備2-1-1および2-1-2の処理を受けて製造される。また、品種1に属する対象物は、工場2において、工程2-1の処理設備2-1-1および2-1-2、並びに工程2-2の処理設備2-2-1および2-2-2の処理を受けて製造されることもある。つまり品種1に属する対象物は、上記何れか一方の工場で製造されることとなる。このように、表2の例において複数行ある品種は、その行の数だけ代替的に処理可能な工場が存在することを意味する。表2では、後述する表4を見ることで、例えば品種1に属する対象物の製造では、少なくとも一つの処理設備が代替的に利用可能(例えば処理設備1-1-1での処理を処理設備2-1-1での処理に置き換えることが可能。この代替設備を利用した場合、対象物は工場2で処理を受けた後に、工場1での処理を受けて製造されることとなる。)であり、それぞれ関連付けて記載された通過工程および使用処理設備を使用した製造がなされる。
【0026】
【表2】
【0027】
能力情報(表3参照)は、各処理設備の品種別の処理能力を示す情報である。本実施形態に係る取得部11が取得する能力情報は、例えば下記表3に示したように、使用する処理設備、および処理設備の処理能力を、品種毎に示した情報となっている。ある設備の単位時間当たりの処理量は処理する対象物に応じて変わり得るので、表3に示すように、能力情報を品種毎に設定している。例えば品種1の対象物は、処理設備1-1-1を用いて処理すれば、一時間に30t処理できるが、処理設備1-1-2を用いた場合には、32t処理できることを示している。一の品種に対して使用する処理設備等が複数存在する場合(例えば表3の品種1,5)には、一の品種に対応する能力情報が複数存在することになる。
【0028】
【表3】
【0029】
設備変更情報(表4参照)は、代替可能な処理設備(処理工程)が存在する場合に、その代替可能な処理設備(処理工程)と代替時に要する変更コストとの関係を示す情報である。代替前の処理設備を代替後の処理設備に変更すると、対象物を移動させるのに要する時間や費用などが、代替前の処理設備を使用する場合と変わる場合が多い。変更コストは、これを後述する評価値に反映するための情報である。換言すれば、ある処理工程を実施可能な処理設備が、同一の工場内に複数存在する場合や異なる工場内にそれぞれ存在する場合など複数存在する場合には、その処理工程が必要な対象物の製造のためにはそのうちの1つの処理設備を選択するが、変更コストは、表2の各行に規定された通過工程を基準に、それと異なる処理工程(処理設備)を採用(代替)した場合のコストである。本実施形態では、複数の工場を経由する場合を例としており、処理設備は工程に対応付けられている。このため、表4の設備変更情報は、代替可能な工程を有する工場と、変更コストとの関係を示す情報となっている。また、移動に要する時間(以下、移動負荷)を変更コストとしている。これによって、工場を跨ぐような大規模の多工程生産計画であっても、処理設備の代替に要する例えば時間的なコストを考慮した最適化が可能となる。ただし、変更コストには、移動負荷と共に、あるいは移動負荷に代えて、例えば処理設備や工場の優先度等といった、考慮が必要と考えられる他の要素を反映させても良い。なお、本実施形態の変更コストの基準は上述の通りであるが、任意である。
【0030】
具体的には、本実施形態に係る取得部11が取得する工場変更情報は、例えば下記表4に示したように、移動元となる工場、移動元となる工程、移動可能な工場、および移動可能な工程、および移動負荷を、品種毎に示した情報となっている。例えば、品種1は、工場1の工程1-2において処理されるが、同様の処理を工場2の工程2-2で代替できること、および代替させた際に対象物の移動に6.5hを必要とすることを示している。また、品種1は、工場2で工程2-2において処理されるが、同様の処理を工場1の工程1-2で代替できること、および代替させた際に対象物の移動に8.0hを必要とすることを示している。この移動負荷として、移動時間を考慮したが、移動に要するトラックの手配に要する費用であっても構わない。
【0031】
【表4】
【0032】
設備稼働実績(表5参照)は、対象物が処理される工程または設備と、その工程また設備での処理時間を決めるための情報である。本実施形態に係る取得部11が取得する設備稼働実績は、例えば下記表5に示したように、処理した工場、使用した処理設備、処理開始時刻、処理終了時刻、および残量を、対象物毎に示した情報となっている。設備稼働実績において、処理終了時刻が示された対象物(表5の対象物1)は、対応する工程・処理設備での対象物の処理が終了したことを示しており、残量欄も0が示される。また、処理開始時刻が示されているが、処理終了時刻が示されていない対象物(表5の対象物2など)は、対応する工程・処理設備での対象物の処理が途中であることを示している。また、処理開始時刻が示されていない対象物は、対応する工程・処理設備での対象物の処理が開始されていないことを示している。なお、設備稼働実績は周期的などで更新され、残量には更新時点での値が格納される。
【0033】
【表5】
【0034】
設備休止情報(表6参照)は、処理設備の休止予定期間を示す情報である。本実施形態に係る取得部11が取得する設備休止情報は、例えば下記表6に示したように、処理可能な工場、通過する工程、使用する処理設備、および処理設備の休止予定期間を示した情報となっている。
【0035】
【表6】
【0036】
なお、取得部11は、各情報が予め集計されたもの(後述する集計情報)を取得するようになっていてもよい。また、取得部11は、設備変更情報、設備稼働実績、または設備休止情報の少なくとも1つの情報は取得しなくてもよい。
【0037】
〔集計部〕
集計部16は、取得部11が取得した注文情報(表1参照)、品種工程情報(表2参照)、能力情報(表3参照)等を集計して、集計情報(表7参照)を生成する。集計情報は、複数の対象物を処理対象とする処理設備の条件を処理設備毎に示す情報である。本実施形態に係る集計部16が生成する集計情報は、例えば下記表7に示したように、工程、処理設備、ロット属性、処理時間〔日〕、および処理可能な工場を、対象物ごとに示した情報となっている。処理時間は、注文情報および能力情報に基づいて(注文量/処理能力で)算出される。すなわち、集計情報は、例えば、注文された量の対象物1を処理設備1-1-1で処理しようとすると、1.47日要することを示している。このように、選択可能な処理設備を1行ずつ展開することで、行を選択するだけで処理設備を選択したことになり、選択処理を高速に実現することが可能となる。容易かつ迅速に処理計画を決定することができる。なお、集計情報を生成する必要がない場合(例えば、取得部11が他の装置から集計情報を取得済みである場合、対象物の数や処理設備の数が少なく、そのままの形で演算可能である場合等)、計画作成装置100は、集計部16を備えていなくてもよい。
【0038】
【表7】
【0039】
(生成部、算出部、決定部)
本実施形態に係る生成部12、算出部13、及び決定部14は、メタヒューリスティクスを用いて処理計画を決定する。具体的には、決定部14は、シミュレーテッド・アニーリング、タブー・サーチ、遺伝的アルゴリズム等の手法を用いて、納期やロットまとめ数、変更コストの評価値を算出し、算出した評価値が良くなるように、選択可能な範囲内で適切な処理設備および処理開始時刻を決定する。以下、生成部12、算出部13、及び決定部14の個々の動作について説明する。
【0040】
(生成部)
生成部12は、注文情報、品種工程情報、能力情報および設備変更情報に基づいて、処理計画の複数の候補を生成する。処理計画は、複数の対象物に処理を施す順番(処理設備の使用順)およびタイミングを処理設備毎に定めたものである。本実施形態に係る生成部12は、集計部16が生成した集計情報に基づいて候補を生成する。生成部12は、まず、注文情報、品種工程情報、能力情報および設備変更情報に基づいて、処理計画の複数の候補をランダムに生成し、これを初期値とする。次に、初期値が与えられると、処理計画の候補を、順番、タイミングおよび対象物の少なくともいずれかを変えて複数生成する。初期値は、例えば下記表8、9に示したようになる。表8、9の各列(1、2・・N-1、N)は、各処理設備が処理を担当する対象物の期間(タイムスロット)であり、上記のタイミングに対応する。期間の長さは、例えば、30分、1時間、1日等、要求される精度に応じて設定される。また、表中の番号は対象物の識別子である。表8、9では、処理計画の初期状態であり、タイムスロットごとの振り分けを暫定的に示すものとなっている。また、下記表8の空欄は、前の期間における処理が終了し、次の期間の処理が開始されるまでの間待機している場合、または前の期間における処理が継続している場合を示している。そして、生成部12は、例えば図4に示したように、一の設備について、対象物を処理する順番を変えて複数パターンの候補を生成する。生成部12は、初期値に基づく最初の候補を、ランダムに生成する。
【0041】
なお、設備変更情報に、一の品種が、一方の工場で行う予定であった一の対象物の処理を他方の工場で代替可能であることが示されている場合、生成部12は、代替した場合の候補も生成する。また、取得部11が設備休止情報を取得している場合、生成部12は、対象物を設備に割り付ける際に、休止情報にある時間を避けて割り付ける。また、取得部11が設備稼働実績を取得している場合、生成部12は、さらに詳細な候補を生成することができる。例えば、設備1-1-1での残量がxであるという設備稼働実績が得られた場合、生成部12は、予め得られている設備1-1-1の処理能力y(能力情報)で除することにより、設備1-1-1での残処理時間x/yを得る。この残処理時間を用いれば、生成部12は、対象物を、残処理時間が経過した後に、次の処理設備へ割り付けることができる。また、生成部12は、後述する決定部14が候補を選択すると、選択された候補を新たな初期値として新たな候補の生成を繰り返す。
【0042】
【表8】
【0043】
なお、生成部12は、1または並列に動作可能な複数の処理回路1a,1b・・を用いて、コア毎に候補を生成させることで、複数の候補の生成を並行して行うようになっていてもよい。具体的には、一の処理回路1aで上記表8に示した初期値1に基づく候補の生成および評価値の算出を行い、他の処理回路1bで下記表9に示した、初期値1とは処理順が異なる初期値2に基づく候補の生成および評価値の算出を行う。以下、処理回路1a,1b以外の処理回路1c・・においても、初期値1,2とは異なる初期値3・・に基づく候補の生成および評価値の算出を行う。このようにすれば、膨大な数の演算を複数の処理回路1a,1b・・で分担して行うことになるため、処理計画をより迅速に決定することができる。
【0044】
(算出部)
算出部13は、生成部12が生成した複数の候補を評価する評価値を、候補ごとにそれぞれ算出する。本実施形態に係る算出部13が算出する評価値は、ロット数および納期遅れの発生件数の少なくともいずれかを含む。なお、算出部13は、納期遅れの発生件数を実処理時間に変換したものを評価値として算出するようになっていてもよい。また、算出部13は、ロット数および納期遅れの発生件数に基づく値を評価値として算出するようになっていてもよい。また、算出部13は、評価値を算出する際に、ロット数及び発生件数の少なくとも一方を重みづけするようになっていてもよい。こうすることで、ロットのばらつきによる処理コストの増加や、納期遅れの少ない処理計画を決定することができる。
【0045】
(決定部)
決定部14は、複数の候補のうちから処理計画(図1)を決定する。具体的には、算出部13が算出した候補の評価値に基づいて、複数の評価値の中から最も良い評価値に対応する候補を選択するなどにより、1つの処理計画を決定しても良い。本実施形態に係る決定部14は、例えば、複数の評価指標の評価値をそれぞれ個別に求め、その重み付き線形和(ロット重み×ロット数+納期重み×納期遅れ+移動負荷重み×移動負荷)が最小(最良)となる候補や、ロット数、納期遅れ、および移動負荷の2つが所定の基準値を満たした中で、残る評価指標が最小化(最良化)された候補を選択する。そして、決定部14は、選択した候補を新たな初期値として生成部12に与える。また、決定部14は、生成部12が複数の候補を生成する度に選択を繰り返す。そして、算出部13が新たに算出した評価値と前回算出した評価値との差が所定以下となった場合に、新たに算出した評価値に対応する候補を処理計画として決定する。ただし、本実施形態に本発明は限定されない。例えば、複数の候補のうちから、予め定められた条件を満たす1以上の候補を決定しても良い。例えば、この条件は、評価値が高い上位から所定数あるいは全てであっても良いし、規定の評価値以上であっても良い。あるいは、この条件は、評価値あるいは評価値に基づくランキング情報を処理計画に含めることで、複数の候補の全てあるいは所定数であっても良い。
【0046】
生成部12、算出部13および決定部14を以上説明してきたような構成とすることで、メタヒューリスティクスの手法により、処理計画をより迅速に決定することができる。
【0047】
なお、生成部12、算出部13および決定部14は、複数の処理回路1a,1b・・にそれぞれ異なる初期値が与えられると、生成部12による処理計画の候補の生成、および算出部13による評価値の算出を、各処理回路1a,1b・・で、異なる初期値を用いて並列に行うようになっていてもよい。また、複数コアをまとまりとして階層化して処理する場合に、まとまり毎に異なる初期値を与えて、異なる初期値を元にまとまり毎に候補の生成を並列に行うようになっていても良い。具体的には、一の処理回路1aで上記表8に示した初期値1に基づく候補の生成および評価値の算出を行い、他の処理回路1bで下記表9に示した、初期値1とは処理順が異なる初期値2に基づく候補の生成および評価値の算出を行う。以下、処理回路1a,1b以外の処理回路1c・・においても、初期値1,2とは異なる初期値3・・に基づく候補の生成および評価値の算出を行う。そして、決定部14は、この中から最も評価値の良い候補を処理計画とする。このようにすれば、膨大な数の演算を複数の処理回路1a,1b・・で分担して行うことになるため、処理計画をより迅速に決定することができる。また、生成部は、候補を全くランダムに生成するのではなく、一定のルール(例えば、処理時間の長いものを優先的に入れ替える等)に従って候補を生成するようになっていてもよい。また、生成部12は生成可能な処理計画の候補を全て生成し、算出部13は全ての候補について評価値を算出するようになっていてもよい。その場合、決定部14は、全ての処理計画の中からいずれかの候補を処理計画として決定するようになっていてもよい。
【0048】
【表9】
【0049】
〔評価部〕
評価部15は、決定部14が決定した処理計画を集計し、処理計画の内容を評価するための評価情報を生成する。本実施形態に係る評価部15が生成する評価情報は、対象物の納期に対する製造終了タイミング(早作り、納期遅れ)、処理設備の上限処理能力に対する実処理量(稼働率)等を含む。なお、評価情報を生成する必要がない場合(例えば、生成した処理計画を他の装置へ出力し他の装置で集計する場合、人が集計する場合等)、計画作成装置100は評価部15を備えていなくてもよい。
【0050】
〔出力制御部〕
出力制御部17は、決定部14が処理計画を決定した場合に、出力部3を制御する。これにより、出力部3は、処理計画を出力する。出力部3が出力する処理計画は、例えば下記表10に示したように、処理する工場、通過する工程・処理設備、処理開始時刻、および処理終了時刻を、対象物毎に示した情報となっている。
【0051】
【表10】
【0052】
また、出力制御部17は、評価部15が評価情報を生成した場合にも、出力部3を制御する。これにより、出力部3は、評価情報を出力する。出力部3が出力する評価情報は、例えば図5、6に示したようなグラフ、および下記表11の少なくとも一方の形となる。こうすることで、評価情報に基づいて、処理計画の内容が適切であるか否かを判断することができる。その結果、処理計画の内容が適切でなければ、取得部11が取得する情報の一部や、決定部14が決定する際に用いる数値等を変更することにより、より精度の高い新たな処理計画を決定することができる。
【0053】
【表11】
【0054】
[作用効果]
以上説明してきた本実施形態に係る計画作成装置100によれば、各処理設備の制約(処理時間、処理能力、移動負荷等)を考慮しつつ、対象物単位で代替可能な処理設備が考慮された処理計画を作成することができる。また、設備変更情報が、代替可能な処理工程または処理設備を有する工場を示すようにすることで、複数の工場を経由して処理される対象物(製品・中間製品)を含む複数の対象物の処理計画を、各処理設備の制約を考慮しつつ立案することができる。
【0055】
また、実際の対象物の製造過程においては、新たな注文、生産量の変更、搬送の遅れといった事象が絶えず発生する。こうした事象が発生すると、処理計画の修正という負荷の高い作業を余儀なくされていた。しかし、本実施形態に係る計画作成装置100によれば、こうした事情が発生した時点の各種情報を取得部11が取得することにより、処理計画の修正をリアルタイムで容易に行うことができる。その結果、製造過程に上記のような事象が発生しても対象物の処理を円滑に進めることができる。
【0056】
また、このような構成によれば、シミュレータSの精度が向上することにより、生産ラインにおける各装置の動作効率が向上し、消費エネルギー量を低減することができる。これにより、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献できる。
【0057】
〔ソフトウェアによる実現例〕
上記計画作成装置100の機能は、当該計画作成装置100としてコンピュータを機能させるための計画作成プログラムであって、当該計画作成装置100の各制御ブロック(特に制御部1に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるための計画作成プログラムにより実現することができる。この場合、上記計画作成装置100は、上記計画作成プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えば制御部1)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記計画作成プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。上記計画作成プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記計画作成装置100が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記計画作成プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0058】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0059】
また、上記各実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させてもよい。この場合、AIは上記計画作成装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
【0060】
<計画作成方法>
次に、本発明の他の態様(計画作成方法)の実施形態について説明する。図7は計画作成方法の流れを示すフローチャートである。
【0061】
計画作成方法は、一又は複数の処理工程を経て製造される複数の対象物を処理する際の処理計画を作成するための方法である。図7に示す計画作成方法は、上述した計画作成装置100に対応する方法であり、複数の工場の中の、一の工場が備える複数の処理設備の少なくともいずれかにおいて一の処理が施された後、一の工場とは異なる他の工場が備える複数の処理設備の少なくともいずれかにおいて他の処理が施される対象物を含む複数の対象物を処理する際の処理計画を作成するためのものである。計画作成方法は、図7に示したように、取得ステップS1と、集計ステップS2と、生成ステップS3と、算出ステップS4と、決定ステップS5と、評価ステップS6と、出力ステップS7と、第一判断ステップS9と、を有する。
【0062】
〔取得ステップ〕
初めの取得ステップS1では、注文情報と、品種工程情報と、能力情報と、設備変更情報と、設備稼働実績と、設備休止情報と、取得する。本実施形態に係る取得ステップS1では、上記計画作成装置100を用いて各種情報を取得する。
【0063】
〔集計ステップ〕
各種情報を取得した後は、集計ステップS2に移る。集計ステップS2では、取得ステップS1で取得した注文情報(表1参照)、品種工程情報(表2参照)、能力情報(表3参照)等を集計して、集計情報(表7参照)を生成する。本実施形態に係る集計ステップS2では、上記計画作成装置100を用いて集計情報を生成する。なお、集計情報を生成する必要がない場合(例えば、集計情報を取得済みである場合、対象物の数や処理設備の数が少なく、そのままの形で演算可能である場合等)、第二集計ステップを飛ばしてもよい。
【0064】
〔生成ステップ〕
集計情報を生成した後は、生成ステップS3に移る。生成ステップS3では、注文情報、品種工程情報、能力情報および設備変更情報に基づいて、処理計画の複数の候補を生成する。本実施形態に係る生成ステップS3では、上記計画作成装置100を用いて候補を生成する。
【0065】
〔算出ステップ〕
候補を生成した後は、算出ステップS4に移る。算出ステップS4では、生成ステップS3で生成した複数の候補を評価する評価値を、候補ごとにそれぞれ算出する。
【0066】
〔決定ステップ〕
評価値を算出した後は、決定ステップS5に移る。決定ステップS5では、複数の候補のうちから処理計画(図1)を決定する。本実施形態に係る決定ステップS5では、上記計画作成装置100を用いて処理計画を決定する。本実施形態に係る決定ステップは、第一判断ステップS51を有する。第一判断ステップでは、候補を選択した後、所定の終了条件を満たしたか否かを判断する。具体的には、選択した候補に対応する評価値が所定値以下であるか否か、直近の決定ステップS5で選択した候補に対応する評価値と、それよりも過去の決定ステップS5で選択した候補に対応する評価値と、の差が所定値以下であるか等を判断する。判断は、人が行ってもよいし、上記計画作成装置100が行ってもよい。この第一判断ステップS51で、終了条件を満たしていないと判断した場合は、生成ステップS3に戻る。
【0067】
〔評価ステップ〕
決定ステップS5において終了条件を満たしたと判断した場合は、評価ステップS6に移る。評価ステップS6では、決定ステップS5で決定した処理計画を集計し、処理計画の内容を評価するための評価情報を生成する。本実施形態に係る評価ステップS6では、上記計画作成装置100を用いて評価情報を生成する。
【0068】
〔出力ステップ〕
決定ステップ処理計画を決定した後、または評価ステップS6で評価情報を生成した後は、出力ステップS7に移る。出力ステップS7では、処理計画、評価情報等を出力する。本実施形態に係る出力ステップS7では、上記計画作成装置100を用いて評価情報を出力する。
【0069】
〔判断ステップ〕
評価情報を出力した後は、判断ステップS8に移る。判断ステップS8では、評価情報に基づいて、決定ステップS5で決定した処理計画の内容が適切であるか否かを判断する。判断は、人が行ってもよいし、上記計画作成装置100が行ってもよい。この判断ステップS8で、処理計画の内容が適切でないと判断した場合には、取得ステップS1で取得する情報の一部を変更した上で、生成ステップS3に戻る。こうすることで、より精度の高い新たな処理計画を決定することができる。
【0070】
[作用効果]
以上説明してきた本実施形態に係る計画作成方法によれば、各処理設備の制約を考慮しつつ、対象物単位で代替可能な処理設備が考慮された処理計画を作成することができる。また、設備変更情報が、代替可能な処理工程または処理設備を有する工場を示すようにすることで、複数の工場を経由して処理される対象物を含む複数の対象物の処理計画を、各処理設備の制約を考慮しつつ立案することができる。
【0071】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、例えば上述した各種表で分配して管理される各種情報の1以上の表を用いた具体的な管理形態など、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0072】
100 計画作成装置
1 制御部
1a,1b・・ 処理回路
11 取得部
12 生成部
13 算出部
14 決定部
15 評価部
16 集計部
17 出力制御部
2 入力部
3 出力部
S1 取得ステップ
S2 集計ステップ
S3 生成ステップ
S4 算出ステップ
S5 決定ステップ
S51第一判断ステップ
S6 評価ステップ
S7 出力ステップ
S8 判断ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7