(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166243
(43)【公開日】2023-11-21
(54)【発明の名称】アンテナ付集合玄関機
(51)【国際特許分類】
H01Q 13/10 20060101AFI20231114BHJP
H04M 9/00 20060101ALI20231114BHJP
H01P 5/103 20060101ALI20231114BHJP
H01Q 1/22 20060101ALI20231114BHJP
H01Q 21/24 20060101ALI20231114BHJP
H01Q 21/08 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
H01Q13/10
H04M9/00 H
H01P5/103 B
H01Q1/22 Z
H01Q21/24
H01Q21/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022077162
(22)【出願日】2022-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】三好 秀明
【テーマコード(参考)】
5J021
5J045
5J047
5K038
【Fターム(参考)】
5J021AA05
5J021AA07
5J021AB05
5J021CA02
5J021JA06
5J045AA12
5J045AB05
5J045CA04
5J045DA04
5J045HA01
5J047AA07
5J047AA19
5J047AB01
5J047AB08
5J047EF01
5K038AA06
5K038CC12
5K038DD21
(57)【要約】
【課題】 無線基地局のアンテナをエントランス内に目立たないよう設置できるアンテナ付集合玄関機を提供する。
【解決手段】 集合住宅のエントランスEに設置されて、居住者を選択して呼び出す機能を備えた集合玄関機2の前面パネル11を構成する金属製のパネルの一部に、携帯端末Tとマイクロ波或いはミリ波による通信を実施して、外部の通信ネットワークNに携帯端末Tを接続させる無線基地局12のアンテナ13を構成するスロット13aを配置し、スロット13aを備えた前面パネル11の背部に閉塞部材13bを配置し、アンテナ13を導波管構造とした。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集合住宅のエントランスに設置されて、住戸を選択して呼び出す機能を備えた集合玄関機の前面パネルを構成する金属製のパネルの一部に、マイクロ波或いはミリ波による通信を実施する携帯端末と、外部の公衆通信網とを接続させる無線基地局のアンテナを構成するスロットが形成されて成ることを特徴とするアンテナ付集合玄関機。
【請求項2】
前記スロットは、長さが送受信する電波の波長の0.5倍、幅が0.05倍で形成されると共に、前記スロットは個々に所定の角度を有して一直線に複数列設される一方、
前記スロットが形成された前記前面パネルの背面には、前記スロットを囲んで閉空間を形成する箱状の閉塞部材が配置され、前記前面パネルと前記閉塞部材とで前記アンテナを構成する導波管が形成されて成ることを特徴とする請求項1記載のアンテナ付集合玄関機。
【請求項3】
一直線に列設された前記スロットは、2つの前記スロットを1組として複数組が配置され、
前記スロットは、配列方向に対して45度の傾斜を有し、且つ組を成す2つの前記スロット同士は互いに直交してT字状に配置されて成り、
隣接する前記スロットの組の間は、送受する電波の1波長の間隔を設けて配置されていることを特徴とする請求項2記載のアンテナ付集合玄関機。
【請求項4】
前記閉塞部材の前記スロットの列設方向の両端を閉塞する面は、導波管の短絡板を構成する一方、
前記閉塞部材の前記前面パネルと対向する面に給電点を有し、
前記給電点は、一方の前記短絡板から送受信する電波の管内波長の0.25倍の位置で且つ2つの前記短絡板を結ぶ中心線上に配置され、前記管内波長の0.25倍の長さの針状導体が前記閉塞部材の内部に突出していることを特徴とする請求項3記載のアンテナ付集合玄関機。
【請求項5】
前記閉塞部材の前記給電点の配置面と同一面で、前記給電点から前記管内波長の0.9375倍の位置と、当該位置を中心とした前記管内波長の0.25倍の距離の前記中心線上のそれぞれの位置とに、インピーダンス調整手段としてのボルトを螺入する計3つのネジ孔を有し、外部から3つのボルトが螺入されて成ることを特徴とする請求項4記載のアンテナ付集合玄関機。
【請求項6】
他方の前記短絡板は、前記給電点から最も遠い前記スロットの組の中心から前記管内波長の1倍の位置に配置されて成ることを特徴とする請求項5記載のアンテナ付集合玄関機。
【請求項7】
前記スロットに隣接する前記前面パネルの背部に、前記無線基地局が配置されて成ることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のアンテナ付集合玄関機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は集合住宅インターホンシステムの一部を成して来訪者が居住者を呼び出すための集合玄関機に関し、詳しくは携帯端末と通信する無線基地局のアンテナを備えた集合玄関機に関する。
【背景技術】
【0002】
ミリ波或いはマイクロ波を使用して通信する例えば5Gの機能を備えた携帯端末は、閉空間では電波の減衰が大きいため外部の公衆通信網との通信が遮断されやすい。そのため、外部の公衆通信網との通信を継続させるためには、閉空間に別途無線基地局が必要となる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
集合住宅やビルの共用部は、公衆通信網からみて閉空間になるため、このような空間でも携帯端末を公衆通信網と通信を継続させるには無線基地局の設置が必要となる。そのため、集合玄関であるエントランスにおいても、ミリ波或いはマイクロ波を使用して通信する携帯端末を引き続き使用可能とするには、無線基地局を設置する必要がある。
特に、帰宅者がミリ波或いはマイクロ波を使用する携帯端末を操作して、エントランスドアを解錠させたりエレベータを操作する場合は、エントランスに無線基地局が不可欠となる。
【0005】
しかしながら、ミリ波通信或いはマイクロ波通信のアンテナは、大型で美観を損ねる形状であるため、そのようなアンテナを集合住宅のエントランスの人目に付く場所には設置したくないとの要望がある。一方で、このような周波数の電波を送受するアンテナは、周囲金属の影響を受け易いため、金属筐体内へ収容して存在を隠すよう設置することが難しい。
【0006】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、無線基地局のアンテナをエントランス内に目立たないよう設置できるアンテナ付集合玄関機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、集合住宅のエントランスに設置されて、住戸を選択して呼び出す機能を備えた集合玄関機の前面パネルを構成する金属製のパネルの一部に、マイクロ波或いはミリ波による通信を実施する携帯端末と、外部の公衆通信網とを接続させる無線基地局のアンテナを構成するスロットが形成されて成ることを特徴とする。
この構成によれば、集合玄関機の前面パネルに無線基地局のアンテナが形成されるため、エントランスに別途無線基地局のアンテナを設置することなく、携帯端末と外部の公衆通信網との接続を維持させることができる。そして、前面パネルにはスロットが形成されるだけであるため、突起部等の無い形状にでき美観的にも好ましい。加えて、集合玄関機とアンテナとを共通のパネルを使用することで、部材を削減でき施工もし易い。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、スロットは、長さが送受信する電波の波長の0.5倍、幅が0.05倍で形成されると共に、スロットは個々に所定の角度を有して一直線に複数列設される一方、スロットが形成された前面パネルの背面には、スロットを囲んで閉空間を形成する箱状の閉塞部材が配置され、前面パネルと閉塞部材とでアンテナを構成する導波管が形成されて成ることを特徴とする。
この構成によれば、前面パネルの前面側にはスロットが形成されるだけであるが、スロットは導波管の1側面に形成されるため、良好な特性のアンテナを形成できる。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2に記載の構成において、一直線に列設されたスロットは、2つのスロットを1組として複数組が配置され、スロットは、配列方向に対して45度の傾斜を有し、且つ組を成す2つのスロット同士は互いに直交してT字状に配置されて成り、隣接するスロットの組の間は、送受する電波の1波長の間隔を設けて配置されていることを特徴とする。
この構成によれば、組を成す2つのスロット同士が互いに直交してT字状に配置され、且つ組同士は1波長分離して配置されるため、スロットから送出される電波を円偏波にでき、無線基地局と携帯端末との間のフェージングを低減できる。
【0010】
請求項4の発明は、請求項3に記載の構成において、閉塞部材のスロットの列設方向の両端を閉塞する面は、導波管の短絡板を構成する一方、閉塞部材の前面パネルと対向する面に給電点を有し、給電点は、一方の短絡板から送受信する電波の管内波長の0.25倍の位置で且つ2つの短絡板を結ぶ中心線上に配置され、管内波長の0.25倍の長さの針状導体が閉塞部材の内部に突出していることを特徴とする。
この構成によれば、短絡板から管内波長の0.25倍の位置に給電点を配置することで、導波管を特性の優れたアンテナにでき、携帯端末と良好な通信を実施できる。
【0011】
請求項5の発明は、請求項4に記載の構成において、閉塞部材の給電点の配置面と同一面で、給電点から管内波長の0.9375倍の位置と、当該位置を中心とした管内波長の0.25倍の距離の中心線上のそれぞれの位置とに、インピーダンス調整手段としてのボルトを螺入する計3つのネジ孔を有し、外部から3つのボルトが螺入されて成ることを特徴とする。
この構成によれば、導波管内に突出させるボルトの高さを変えることで、入力インピーダンスの調整が可能であり、最適な入力インピーダンスの設定が可能となる。
【0012】
請求項6の発明は、請求項5に記載の構成において、他方の短絡板は、給電点から最も遠いスロットの組の中心から管内波長の1倍の位置に配置されて成ることを特徴とする。
この構成によれば、短絡板の位置を最終のスロットの組の中心から管内波長の位置とすることで、終端抵抗素子を用いることなく複数組スロットを進行波励振させることができる。
【0013】
請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の構成において、スロットに隣接する前面パネルの背部に、無線基地局が配置されて成ることを特徴とする。
この構成によれば、エントランスに設置される集合玄関機と無線基地局とが前面パネル内に収容されるため、通信関連機器を集約できメンテナンスや管理がし易い。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、集合玄関機の前面パネルに無線基地局のアンテナが形成されるため、エントランスに別途無線基地局のアンテナを設置することなく、携帯端末と外部の公衆通信網との接続を維持させることができる。そして、前面パネルにはスロットが形成されるだけであるため、突起部等の無い形状にでき美観的にも好ましい。加えて、集合玄関機とアンテナとを共通のパネルを使用することで、部材を削減でき施工もし易い。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係るアンテナ付集合玄関機を備えた集合住宅インターホンシステムの一例を示す概略構成図である。
【
図2】アンテナ付集合玄関機の説明図で、(a)は正面図、(b)は右側面図である。
【
図3】アンテナの概略説明図であり、(a)は前面パネルのアンテナ形成部の正面図、(b)は前面パネルのアンテナ形成部の右側面図である。
【
図5】インピーダンス調整手段と給電点の説明図であり、(a)は閉塞部材の一部の下側面説明図、(b)は前面パネルを透視した閉塞部材の一部の正面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係るアンテナ付集合玄関機を備えた集合住宅インターホンシステムの一例を示す概略構成図である。集合住宅インターホンシステム1は、エントランス(共用玄関)Eに設置されて住戸を選択して居住者を呼び出す機能及び通話する機能を備えた集合玄関機2、各住戸に設置されて、呼び出しに応答する機能を備えた住戸親機3、機器間の通信を制御する制御装置4、各住戸の玄関に設置されて居住者を呼び出して通話する機能を備えた玄関子機5、管理室に設置されて住戸を選択して居住者と通話する機能を備えた管理室親機6等を備えている。集合玄関機2の周囲にはアンテナ13を備えた前面パネル11が配置され、アンテナ付集合玄関機を構成している。
また、エントランスEには電気錠7aを備えたエントランスドア7が設置されている。
【0017】
住戸親機3は幹線L1を介して制御装置4に接続され、集合玄関機2、管理室親機6はそれぞれ伝送線L2,L3を介して制御装置4に接続されている。電気錠7aは、電気錠制御盤8を介して集合玄関機2に接続されている。また、制御装置4はインターネット等の外部の通信ネットワークNに接続されている。尚、Tは無線基地局12と通信する携帯端末を示している。
【0018】
図2はアンテナ付集合玄関機2の説明図で、(a)は正面図、(b)は右側面図である。集合玄関機2は、
図2に示すように前面パネル11の上部に配置され、アンテナ13は下部に配置されている。尚、前面パネル11はアルミ製のパネルで形成されている。
そして、集合玄関機2は居住者を呼び出すために住戸を選択する操作部21、呼出操作する呼出ボタン22、操作内容が表示される表示部23、来訪者と居住者との間で通話するための通話部(図示せず)等を備えている。
【0019】
アンテナ13は、前面パネル11にスリット状に穿設されたスロット13aと、前面パネル11の背部に配置された閉塞部材13bとで構成されている。この閉塞部材13bでスロット13aの背部空間を閉塞することで、導波管構造のアンテナ13が形成される。
【0020】
具体的に、スロット13aは、前面パネル11に左右方向に複数形成され一直線上に配置されている。アンテナ13は、このスロット13aが形成された前面パネル11の背部に、1面が開放されたアルミから成る箱状の閉塞部材13bを密着して形成されている。この閉塞部材13bは、横方向に長い四角柱形状を有し、全てのスロット13aを囲むように配置されている。また、スロット13aに隣接する前面パネル11の背部、即ち閉塞部材13bに隣接する部位には、無線基地局12が配置されている。
尚、ここでは無線基地局12は、集合住宅側が管理する自営無線基地局として形成され、アンテナ13は自営無線用アンテナとして取り付けられている。
【0021】
このように、エントランスEに設置される集合玄関機2と無線基地局12とが前面パネル11内に収容されるため、通信関連機器を集約できメンテナンスや管理がし易い。
また、集合玄関機2の前面パネル11に無線基地局12のアンテナ13が形成されるため、エントランスEに別途無線基地局のアンテナを設置することなく、携帯端末Tと外部の通信ネットワークNとの接続を維持させることができる。そして、前面パネル11にはスロット13aが形成されるだけであるため、突起部等の無い形状にでき美観的にも好ましい。加えて、集合玄関機2とアンテナ13とを共通のパネルを使用することで、部材を削減でき施工もし易い。
また、アンテナ13の露出部位はスロット13aのみであっても、スロット13aの背部の閉塞部材13bとで導波管構造のアンテナを構成するため、良好な特性のアンテナ13を形成できる。
【0022】
図3はアンテナ13の説明図であり、(a)は前面パネル11のアンテナ13形成部の正面図、(b)は右側面図である。
図3に示すように、スロット13aは列設方向に対して45度傾斜させて形成され、2つのスロット13aを1組として5組のスロット13aを一直線状に列設して構成されている。
また、組を成すスロット13aは互いに直交するよう配置され、T字を成すよう配置されている。
【0023】
図4はスロット13aの形状(寸法)を示している。個々のスロット13aは、無線基地局12が送受信する信号の波長をλとすると、幅Q1が波長λの0.05倍(0.05λ)、長さQ2が波長λの0.5倍(0.5λ)で形成されている。また、組を構成するスロット13a間の距離P2は、送受信する信号の管内波長をλgとすると、管内波長λgの4分の1(0.25λg)となっている。そして、隣接するスロット13aの組同士の距離P3は、管内波長λgの1倍となっている。
【0024】
尚、アンテナ13が送受信する電波の周波数は4GHz~6GHz帯、或いは28GHz帯である。また、波長λ、或いは管内波長λgを基準とする各寸法は、誤差を許容するもので、例えば10%程度の誤差を含むものである。
ここで、送受信する電波の波長λとその管内波長の関係は、以下の数1の関係にある。但し、数1においてaは導波管の幅Wである。
【0025】
【0026】
上記数1の式を基に1例を示すと、6GHzの電波を送受信する場合、波長λ=50mmであり、導波管の幅Wが48mmのとき管内波長λgは58.6mmとなる。また、閉塞部材13bは、幅Wが8~48mm、奥行きDが幅Wの2分の1で形成され、長さは後述するスロット13aの列全体を覆う長さとなっている。例えば、閉塞部材13bの幅Wを48mmとした場合、奥行きDは24mmとなる。
【0027】
図5は、インピーダンス調整手段と給電点Sの説明図であり、(a)は閉塞部材13bの一部の下側面説明図、(b)は前面パネル11を透視した閉塞部材13bの一部の正面説明図である。
図5に示すように、閉塞部材13bには、インピーダンス調整手段としての3本のボルト15、給電点Sが設けられている。この結果、閉塞部材13bの両端の側面は、導波管の短絡板14としての機能を有する構成となっている。
【0028】
給電点Sは、接続された同軸ケーブル16により形成され、同軸コネクタ17に接続された同軸ケーブル16の芯線16aを針状導体として突出させて形成されている。同軸コネクタ17は一方の短絡板14から管内波長λgの0.25倍の距離の中心線M上に配置され、同軸ケーブル16の芯線16aの閉塞部材13b内部への突出量は、送受信する電波の波長λの0.25倍となっている。
またボルト15は、閉塞部材13bの両短絡板14を結ぶ長手方向の中心線M上に等間隔で3本取り付けられている。それぞれの間隔は管内波長λgの0.25倍で配置されている。そして、中央のボルト15(15a)の位置は、給電点Sから一定の距離Bを設けて配置され、この距離Bは管内波長λgの0.9375倍の距離となっている。このように配置された個々のボルト15の閉塞部材13bの内部への突出量を変えることで、入力インピーダンスの変更を可能としている。
【0029】
尚、左右の短絡板14のうち、給電点Sから遠い短絡板14は、給電点Sから最も遠いスロット13aの組の中心から短絡板14までの距離P1(
図3に示す)が、管内波長λgの1倍となる位置に設けられている。
【0030】
このように、組を成す2つのスロット13a同士が互いに直交してT字状に配置され、且つ組同士は1波長分離して配置されるため、スロット13aから送出される電波を円偏波にでき、無線基地局12と携帯端末Tとの間のフェージングを低減できる。
また、一方の短絡板14から管内波長の0.25倍の位置に給電点Sを配置するため、優れた特性のアンテナ13を構成でき、携帯端末Tと良好な通信を実施できる。
更に、ボルト15の高さを変えることで、最適な入力インピーダンスの設定が可能となる。
加えて、他方の短絡板14の位置を最終のスロット13aの組の中心から管内波長の位置とすることで、終端抵抗素子を用いることなく複数組から成るスロット13aを進行波励振させることができる。
【0031】
ここで、上記の如く構成されたアンテナ付集合玄関機2を備えた集合住宅インターホンシステム1の動作の一例を説明する。尚、基本動作である集合玄関機2からの呼出動作、呼び出しを受けた住戸親機3からの応答動作は説明を省略し、ここではエントランスE内で帰宅した居住者の携帯端末Tが集合玄関機2に一体に設置された無線基地局12と通信することで、実施される動作を説明する。
但し、クラウド上に、携帯端末IDと集合住宅の住戸番号との関連付け情報、エントランスドア7の制御情報、更には集合住宅の図示しないエレベータの制御情報等を記憶するサーバ(図示せず)が配置され、このサーバと制御装置4との間で通信が可能に構成されているとする。
【0032】
このような構成とすることで、帰宅者がエントランスEに入ると、携行する携帯端末Tと無線基地局12との間で通信が開始され、携帯端末TのID情報が無線基地局12からサーバに送信される。この携帯端末Tの情報を入手したサーバは、制御装置4に制御信号を送信することでエントランスドア7の電気錠7aの自動解錠を実施する。また、エレベータをエントランスのフロアに自動で呼び出す制御を実施する。このように、帰宅者はその後スムーズに自宅まで進む事を可能とする制御を実施できる。
【0033】
尚、上記実施形態では、集合玄関機2の下にアンテナ13及び無線基地局12を配置しているが、無線基地局12は他の場所に配置しても良い。また、アンテナ13は集合玄関機2の上方に配置しても良い。
【符号の説明】
【0034】
1・・集合住宅インターホンシステム、2・・集合玄関機、3・・住戸親機、11・・前面パネル、12・・無線基地局、13・・アンテナ、13a・・スロット、13b・・閉塞部材、14・・短絡板、15・・ボルト(インピーダンス調整手段)、16a・・芯線(針状導体)、M・・中心線、S・・給電点、T・・携帯端末。