(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166261
(43)【公開日】2023-11-21
(54)【発明の名称】どんぶり鉢の把持構造
(51)【国際特許分類】
A47G 19/00 20060101AFI20231114BHJP
【FI】
A47G19/00 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022077186
(22)【出願日】2022-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000187460
【氏名又は名称】松浦産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】松浦 英樹
【テーマコード(参考)】
3B001
【Fターム(参考)】
3B001AA04
3B001BB02
3B001BB04
3B001CC15
3B001CC21
(57)【要約】
【課題】従来、鉢の周縁部に指掛けの円突縁を形成することにより確実な手指把持が行えるようにしたどんぶり鉢構造がある。しかし、やはり把持する指を突縁部に形成するためにあふれる料理汁と指の接触を避けることができないものであった。
【解決手段】この発明は、鉢本体の外周縁部に下方或いは斜め下方に向かう扁平細幅状のグリップ体を突設したどんぶり鉢の把持構造に関する。また、鉢本体の周縁部でグリップ体の対向位置から左右方向に一定距離ずれた位置に鉢本体中の料理汁を口付け状態で吸うための凹部を形成したことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉢本体の外周縁部に下方或いは斜め下方に向かう扁平細幅状のグリップ体を突設したどんぶり鉢の把持構造。
【請求項2】
鉢本体の外周縁部でグリップ体の対向位置から左右方向に一定距離ずれた位置に鉢本体中の料理汁を口付け状態で吸うための凹部を形成したことを特徴とする請求項1に記載のどんぶり鉢の把持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、うどん等の料理を入れるどんぶり鉢の把持構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、うどん等の料理を入れるどんぶり鉢は椀状に形成されている(例えば、特許文献1。)。従って、どんぶり鉢を把持する時は鉢縁に親指を掛けて他の指で鉢底を支持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような形態でどんぶり鉢を使用すると熱ものの料理の場合、鉢の周縁部を指で把持しにくいと共に鉢を持って移動するときに料理汁などが溢れて把持する指や手を濡らし、或いは鉢中の汁に指が漬かり非衛生的になる等の支障があった。
【0005】
かかる問題点を解決するために鉢の周縁部に指掛の円突縁を形成することにより確実な手指把持が行えるようにしたどんぶり構造がある。しかし、やはり把持する指を突縁部に係止するためにあふれる料理汁と指の接触を避けることができない。
【0006】
かかる問題点を解消するようにどんぶり鉢の周縁部に指を掛けることなく鉢縁に突設したグリップ体を把持してどんぶり鉢の移動や料理摂取が行えるどんぶり鉢の把持構造を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、鉢本体の外周縁部に下方或いは斜め下方に向かう扁平細幅状のグリップ体を突設したどんぶり鉢の把持構造に関する。
【0008】
また、鉢本体の外周縁部でグリップ体の対向位置から左右方向に一定距離ずれた位置に鉢本体中の料理汁を口付け状態で吸うための凹部を形成したことにも特徴を有する。
【発明の効果】
【0009】
この発明は、鉢本体の外周縁部に下方或いは斜め下方に向かう扁平細幅状のグリップ体を突設したことにより、鉢本体が料理で熱を有していてもグリップ体を介して鉢本体を把持することができる。更には、グリップ体は下方或いは斜め下方に突設されているので片方の手で把持しても鉢本体を安定した姿勢で保持することができ、特に片方の手指で把持していても把持指以外の掌の一部や小指が鉢本体の底部やその近傍を押圧して安定した鉢本体の姿勢を維持することができる効果がある。
【0010】
また、鉢本体の外周縁部でグリップ体の対向位置から左右方向に一定距離ずれた位置に鉢本体中の料理汁を口付け状態で吸うための凹部を形成したことにより、グリップ体を把持して鉢本体から料理汁を吸うことができる。更には、必要に応じてグリップを把持する手が右利きでも左利きでも凹部の位置をグリップ体の左回りか右回りで形成することにより同じように円滑な汁の飲食を行うことができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係るどんぶり鉢の把持構造を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るどんぶり鉢の把持構造を示す平面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るどんぶり鉢の把持構造を示す側面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るどんぶり鉢の把持構造を示す断面図(
図2におけるA-A線断面図)である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るグリップ体を示す断面図(
図2におけるB-B線断面図)である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る口移し凹部の構成を示す一部拡大断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る鉢本体を複数個積み重ねた状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この発明の要旨は、鉢本体の外周縁部に下方或いは斜め下方に向かう扁平細幅状のグリップ体を突設したどんぶり鉢の把持構造に関する。
【0013】
また、鉢本体の外周縁部でグリップ体の対向位置から左右方向に一定距離ずれた位置に鉢本体中の料理汁を口付け状態で吸うための凹部を形成したことにも特徴を有する。
【0014】
この発明の実施例を図面に基づき詳細に説明する。
図1は本願発明を示す斜視図であり、
図2は本願発明を示す平面図であり、
図3は本願発明を示す側面図であり、
図4および
図5は本願発明を示す断面図である。
【0015】
この発明の実施例は、
図1~5に示すように、鉢本体11の外周縁部12に下方或いは斜め下方に向かう扁平細幅状のグリップ体13を突設したどんぶり鉢の把持構造10に関する。
【0016】
どんぶり鉢の鉢本体11は、通常の料理用のどんぶり鉢形状であり、陶器、磁器、プラスチック等その素材の種類は問わない。
【0017】
形状的には外底面には糸切突縁部19が形成されており、外底面(糸切突縁部19)から口縁部(外周縁部12)に向かって上方湾曲の拡開空間を有する鉢本体11を形成している。
【0018】
鉢本体11の外周縁部12の任意の周縁部には、
図1および
図3に示すように、グリップ体13が下向きに、或いは、斜め傾斜方向に突設されている。
【0019】
グリップ体13は基本的に扁平細幅状であり、要するに掌でグリップできるような形状であればよく、必要に応じてグリップ体13の周面には掌で包み込むような周面形状、例えば、中央部をやや膨出形状として膨出部分に掌を当てて反対周面部分には人差し指や中指や薬指等の各指が包み込むような各指適合の凹凸部20が形成されている。
【0020】
なお、グリップ体13はやや内方に湾曲させその高さは下端部を鉢本体11の略底部の位置(糸切突縁部19の下端部)にまで伸延させて鉢本体11の外周面14との間にグリップ体13を把持した際の握り手指が位置するように湾曲状に形成すると共に、グリップ体13上端は水平に形成して鉢本体11の外周縁部12と同一レベルで連設している。
【0021】
グリップ体13の上端の水平部13aは鉢本体11の外周面14との間にグリップ体13を把持した状態における屈曲した人差し指又は親指が位置する指載置部21を形成している。
【0022】
複数個の鉢本体11、11、11は、
図7に示すように、収納搬送の便宜のために積み重ねておくことができるような形状構造としている。すなわち、鉢本体11は当然内部に他の鉢本体11を収納して重ねるが、その時にグリップ体13、13、13を互いに重ねて積み重ねる形態とする場合(図示しない)と、上段のグリップ体13は複数の汁口移し凹部15、15、15、15間の鉢本体11の外周縁部12に変位させておく場合とがあり、このような形態で積み重ねることにより収納場所を無駄にとることなく効率よく収納することができる。
【0023】
かかる積み重ねの収納形態を実現するためにはグリップ体13の位置と形状、汁口移し凹部15の位置と形状、鉢本体11の全体形状などは、積み重ねの収納形態が可能となるように上下重ねた際に互いに当接嵌合する断面凹凸形としており、このような本実施例の積み重ね形状構造とすることにより積み重ねの収納形態が実現できる。
【0024】
また、グリップ体13の対向位置から左右方向に一定距離ずれた外周縁部12位置に鉢本体11中の料理汁を口付けして吸うことができるような形状の汁口移し凹部15を形成している。
【0025】
汁口移し凹部15は、
図1および
図6に示すように、鉢本体11の外周縁部12の4か所に等間隔で、かつ、グリップ体13を間に挟んで形成している。なお、汁口移し凹部15の個数は適宜鉢本体11の大きさや収納料理の種類に応じて変更することができ、かつ、個々の飲食者の好みや食しやすさ、使い勝手等を考えると
図1に図示したように対向位置に4ヶ所形成することが望ましい。
【0026】
また、
図6に示すように、汁口移し凹部15の形状構造は使用者の口の横幅員より小さくかつ凹部基端部に向かってやや末広がりのテーパー形状とし、かつ、側面視で傾斜状としており、特に汁口移し凹部15の内側の左右両端部17、18は外方に傾斜させている。すなわち、鉢本体11の縁部内側の周面に汁口移し凹部15を傾斜状に外方に向かって形成すると共に、汁口移し凹部15の左右両端部17、18をやや外方に膨出させて汁が汁口移し凹部15から口内に流入する際に一時の汁貯め部16を形成して円滑に汁が口内に流入しやすく形成している。
【0027】
以上のように形成した本発明のどんぶり鉢の把持構造とすることによって、実際に使用する際には次のような特有の機能、作用効果を生起することができる。
【0028】
うどん店舗で調理人がどんぶり鉢にうどんを汁と共に収納調理した際に飲食者は、通常該どんぶり鉢の外周面を片手又は両手の掌でかかえ込んで汁をすすり、或いは、うどんを食する。通常かかる飯形態では、飲食者は、直に掌でどんぶり鉢に触ることになるが、かかる食事形態では、調理人の調理遂行時に調理人の手指掌がどんぶり鉢外表面に接触し、汁濡れ、水濡れの汚損状態を生起している。そのため、飲食者は、このどんぶり鉢外表面に再接触しながら食しなければならない。しかし、本発明のどんぶり鉢では、グリップ体13を把持してどんぶり鉢に触わることなく汁とともに飲食することができる。すなわち、他人料理人の接触したどんぶり鉢に再接触することなくうどん飲食を清潔に行える。更には、セルフサービスのうどん店舗では飲食者は、自分の机席に自分で調理どんぶり鉢を運ばなくてはならないが、かかる調理どんぶり鉢の持ち運び時にも、グリップ体13を把持して持ち運べば、持ち運び時にオーバーフローしたうどん汁で手指を汚損することなく、清潔にうどん等の飲食が可能となる。しかも、グリップ体13でどんぶり鉢をかかえても自分の好みや状況に応じて適宜の位置の汁口移し凹部15を選択することにより、何の支障もなくうどん等の内収納料理を食することができる。
【符号の説明】
【0029】
10 把持構造
11 鉢本体
12 外周縁部
13 グリップ体
14 外周面
15 汁口移し凹部
16 汁貯め部
17 左端部
18 右端部
19 糸切突縁部
20 凹凸部
21 指載置部