(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166294
(43)【公開日】2023-11-21
(54)【発明の名称】燃料電池システム、並びに、燃料電池システムの起動方法、停止方法及び極低負荷運転方法
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20231114BHJP
H01M 8/04014 20160101ALI20231114BHJP
H01M 8/0432 20160101ALI20231114BHJP
H01M 8/04701 20160101ALI20231114BHJP
H01M 8/04225 20160101ALI20231114BHJP
H01M 8/04302 20160101ALI20231114BHJP
H01M 8/04228 20160101ALI20231114BHJP
H01M 8/04303 20160101ALI20231114BHJP
H01M 8/04537 20160101ALI20231114BHJP
H01M 8/04746 20160101ALI20231114BHJP
H01M 8/12 20160101ALN20231114BHJP
【FI】
H01M8/04 J
H01M8/04014
H01M8/0432
H01M8/04701
H01M8/04225
H01M8/04302
H01M8/04228
H01M8/04303
H01M8/04537
H01M8/04746
H01M8/12 101
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022077264
(22)【出願日】2022-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】久留 長生
(72)【発明者】
【氏名】井戸 真介
(72)【発明者】
【氏名】加藤 芳樹
(72)【発明者】
【氏名】冨田 和男
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126BB06
5H127AA04
5H127AA07
5H127BA05
5H127BA28
5H127BA37
5H127BA57
5H127BA59
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB27
5H127BB37
5H127DA01
5H127DA11
5H127DB47
5H127DB69
5H127DB84
5H127DC02
5H127DC09
5H127DC50
5H127DC74
(57)【要約】
【課題】起動時に結露発生を抑制する。
【解決手段】燃料電池システムは、燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電可能な発電室を有する燃料電池と、燃料電池からの排ガスが流れる排ガスラインと、排ガスラインに設けられた燃焼器と、排ガスラインに設けられた第1加熱器と、第1加熱器を通過した排ガスと酸化剤ガス供給ラインを流れる前記酸化剤ガスとを熱交換可能な熱交換器とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電可能な発電室を有する燃料電池と、
前記燃料電池からの排ガスが流れる排ガスラインと、
前記排ガスラインに設けられ、燃焼器動作温度以上において前記排ガスに含まれる未燃分を燃焼可能な燃焼器と、
前記排ガスラインのうち前記燃焼器の上流側又は下流側に設けられた第1加熱器と、
前記第1加熱器を通過した前記排ガスと、前記燃料電池に接続された酸化剤ガス供給ラインを流れる前記酸化剤ガスとを熱交換可能な熱交換器と、
を備える、燃料電池システム。
【請求項2】
前記第1加熱器は、前記排ガスラインのうち前記燃焼器より上流側に設けられる、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記燃焼器の入口温度を検出するための燃焼器入口温度検出部と、
前記燃焼器入口温度検出部によって検出された前記入口温度が前記燃焼器動作温度以上になるように、前記第1加熱器を制御する加熱器制御部と、
を備える、請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記酸化剤ガス供給ラインのうち前記熱交換器より下流側に設けられた第2加熱器を備える、請求項1又は2に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記発電室の温度を検出するための発電室温度検出部と、
前記発電室温度検出部によって検出された前記発電室の温度が、基準温度以上になるように、前記第2加熱器を制御する加熱器制御部と、
を備える、請求項4に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
前記酸化剤ガス供給ラインのうち前記熱交換器より下流側に設けられた第2加熱器と、
前記発電室の温度を検出するための発電室温度検出部と、
前記発電室温度検出部によって検出された前記発電室の温度に基づいて、前記第1加熱器及び前記第2加熱器を制御する加熱器制御部と、
を備え、
前記加熱器制御部は、
前記発電室の温度が第1温度になるまで前記第1加熱器を用いて前記燃料電池を昇温させ、
前記発電室の温度が前記第1温度以上になった場合、前記第2加熱器を用いて前記燃料電池を更に昇温させる、請求項1又は2に記載の燃料電池システム。
【請求項7】
前記燃料電池から排出されるオフガスが流れるオフガスラインが、前記酸化剤ガス供給ラインのうち前記熱交換器の下流側に接続されるオフガス供給ラインを更に備える、請求項1又は2に記載の燃料電池システム。
【請求項8】
前記オフガスラインは、前記排ガスライン又は前記酸化剤ガス供給ラインのうち前記熱交換器の下流側に選択的に接続可能であり、前記発電室の温度が前記基準温度以上になった場合に、前記オフガスラインの接続先が、前記排ガスラインから前記酸化剤ガス供給ラインのうち前記熱交換器の下流側に切り替えられる、請求項7に記載の燃料電池システム。
【請求項9】
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電可能な発電室を有する燃料電池と、
前記燃料電池からの排ガスが流れる排ガスラインと、
前記排ガスラインに設けられ、燃焼器動作温度以上において前記排ガスに含まれる未燃分を燃焼可能な燃焼器と、
前記排ガスラインのうち前記燃焼器の上流側又は下流側に設けられた第1加熱器と、
前記第1加熱器を通過した前記排ガスと、前記燃料電池に接続された酸化剤ガス供給ラインを流れる前記酸化剤ガスとを熱交換可能な熱交換器と、
前記酸化剤ガス供給ラインのうち前記熱交換器より下流側に設けられた第2加熱器と、
前記発電室の温度を検出するための発電室温度検出部と、
を備える、燃料電池システムの起動方法であって、
前記発電室の温度が第1温度になるまで前記第1加熱器を用いて前記燃料電池を昇温するステップと、
前記発電室の温度が前記第1温度以上になった場合、前記第2加熱器を用いて前記燃料電池を更に昇温するステップと、
を備える、燃料電池システムの起動方法。
【請求項10】
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電可能な発電室を有する燃料電池と、
前記燃料電池からの排ガスが流れる排ガスラインと、
前記排ガスラインに設けられ、燃焼器動作温度以上において前記排ガスに含まれる未燃分を燃焼可能な燃焼器と、
前記排ガスラインのうち前記燃焼器の上流側又は下流側に設けられた第1加熱器と、
前記発電室の温度を検出するための発電室温度検出部と、
を備える、燃料電池システムの停止方法であって、
前記燃料電池を停止状態にするために前記発電室の温度を低下させる際に、前記燃料電池に対する前記燃料ガスの供給を停止するステップと、
前記発電室の温度が発電室燃焼が可能な第2温度以下に低下しても、前記燃焼器が前記燃焼器動作温度以上になるように、前記第1加熱器を用いて前記排ガスラインを流れる前記排ガスを加熱するステップと、
を備える、燃料電池システムの停止方法。
【請求項11】
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電可能な発電室を有する燃料電池と、
前記燃料電池からの排ガスが流れる排ガスラインと、
前記排ガスラインに設けられ、燃焼器動作温度以上において前記排ガスに含まれる未燃分を燃焼可能な燃焼器と、
前記排ガスラインのうち前記燃焼器の上流側又は下流側に設けられた第1加熱器と、
前記第1加熱器を通過した前記排ガスと、前記燃料電池に接続された酸化剤ガス供給ラインを流れる前記酸化剤ガスとを熱交換可能な前記熱交換器と、
前記酸化剤ガス供給ラインのうち前記熱交換器より下流側に設けられた前記第2加熱器と、
前記発電室の温度を検出するための発電室温度検出部(104)と、
を備える、燃料電池システムの極低負荷運転方法であって、
前記燃料電池の要求負荷が通常運転の最低負荷より低いと判定された場合に、通常運転状態に比べて前記燃料電池に対する前記燃料ガスの供給量を減少させることにより前記燃料電池を極低負荷運転状態にするステップと、
前記極低負荷運転状態において前記発電室温度が発電可能な温度以上になるように前記第2加熱器を用いて温度維持するステップと、
前記燃焼器の温度が前記燃焼器動作温度以上になるように、前記第1加熱器を用いて前記排ガスラインを流れる前記排ガスを加熱するステップと、
前記燃料電池の要求負荷が有ると判定された場合に、前記燃料電池を前記通常運転状態にするステップと、
を備える、燃料電池システムの極低負荷運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃料電池システム、並びに、燃料電池システムの起動方法、停止方法及び極低負荷運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料ガスと酸化剤ガスとを化学反応させることにより発電する燃料電池は、優れた発電効率及び環境対応等の特性を有している。このうち、固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:SOFC)は、電解質としてジルコニアセラミックスなどのセラミックスが用いられ、水素、都市ガス、天然ガス、石油、メタノール、及び炭素含有原料をガス化設備により製造したガス化ガス等のガスなどを燃料ガスとして供給して、およそ700℃~1000℃の高温雰囲気で反応させて発電を行っている。
【0003】
この種の燃料電池を備える燃料電池システムでは、起動時に、常温にある燃料電池を発電可能な高温状態に昇温するための起動用設備を備えるものがある。例えば特許文献1では、起動用設備として、燃料電池に酸化剤ガス(空気)を供給するためのライン上に設けられた加熱器(燃焼器等)を備える燃料電池システムが開示されている。この文献では、起動時に加熱器によって燃料電池に供給される酸化剤ガスを加熱することで、燃料電池が発電可能な高温状態になるように昇温を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1のように、燃料電池に酸化剤ガスを供給するためのラインに設けられた加熱器で酸化剤ガスを直接加熱すると、燃焼によって水蒸気が発生する。このような水蒸気が燃料電池に供給されると、燃料電池内で常温からの起動初期に結露を生じ、燃料電池の金属部分の腐食や集電部材の絶縁低下を招く要因となる。
【0006】
本開示の少なくとも一実施形態は上述の事情に鑑みなされたものであり、起動時に結露発生を抑制可能な燃料電池システム、並びに、燃料電池システムの起動方法、停止方法及び極低負荷運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の少なくとも一実施形態に係る燃料電池システムは、上記課題を解決するために、
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電可能な発電室を有する燃料電池と、
前記燃料電池からの排ガスが流れる排ガスラインと、
前記排ガスラインに設けられ、燃焼器動作温度以上において前記排ガスに含まれる未燃分を燃焼可能な燃焼器と、
前記排ガスラインのうち前記燃焼器の上流側又は下流側に設けられた第1加熱器と、
前記第1加熱器を通過した前記排ガスと、前記燃料電池に接続された酸化剤ガス供給ラインを流れる前記酸化剤ガスとを熱交換可能な熱交換器と、
を備える。
【0008】
本開示の少なくとも一実施形態に係る燃料電池システムの起動方法は、上記課題を解決するために、
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電可能な発電室を有する燃料電池と、
前記燃料電池からの排ガスが流れる排ガスラインと、
前記排ガスラインに設けられ、燃焼器動作温度以上において前記排ガスに含まれる未燃分を燃焼可能な燃焼器と、
前記排ガスラインのうち前記燃焼器の上流側又は下流側に設けられた第1加熱器と、
前記第1加熱器を通過した前記排ガスと、前記燃料電池に接続された酸化剤ガス供給ラインを流れる前記酸化剤ガスとを熱交換可能な熱交換器と、
前記酸化剤ガス供給ラインのうち前記熱交換器より下流側に設けられた第2加熱器と、
前記発電室の温度を検出するための発電室温度検出部と、
を備える、燃料電池システムの起動方法であって、
前記発電室の温度が第1温度になるまで前記第1加熱器を用いて前記燃料電池を昇温するステップと、
前記発電室の温度が前記第1温度以上になった場合、前記第2加熱器を用いて前記燃料電池を更に昇温するステップと、
を備える。
【0009】
本開示の少なくとも一実施形態に係る燃料電池システムの停止方法は、上記課題を解決するために、
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電可能な発電室を有する燃料電池と、
前記燃料電池からの排ガスが流れる排ガスラインと、
前記排ガスラインに設けられ、燃焼器動作温度以上において前記排ガスに含まれる未燃分を燃焼可能な燃焼器と、
前記排ガスラインのうち前記燃焼器の上流側又は下流側に設けられた第1加熱器と、
前記発電室の温度を検出するための発電室温度検出部と、
を備える、燃料電池システムの停止方法であって、
前記燃料電池を停止状態にするために前記発電室の温度を低下させる際に、前記燃料電池に対する前記燃料ガスの供給を停止するステップと、
前記発電室の温度が発電室燃焼が可能な第2温度以下に低下しても、前記燃焼器が前記燃焼器動作温度以上になるように、前記第1加熱器を用いて前記排ガスラインを流れる前記排ガスを加熱するステップと、
を備える。
【0010】
本開示の少なくとも一実施形態に係る燃料電池システムの極低負荷運転方法は、上記課題を解決するために、
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電可能な発電室を有する燃料電池と、
前記燃料電池からの排ガスが流れる排ガスラインと、
前記排ガスラインに設けられ、燃焼器動作温度以上において前記排ガスに含まれる未燃分を燃焼可能な燃焼器と、
前記排ガスラインのうち前記燃焼器の上流側又は下流側に設けられた第1加熱器と、
前記第1加熱器を通過した前記排ガスと、前記燃料電池に接続された酸化剤ガス供給ラインを流れる前記酸化剤ガスとを熱交換可能な熱交換器と、
前記酸化剤ガス供給ラインのうち前記熱交換器より下流側に設けられた第2加熱器と、
前記発電室の温度を検出するための発電室温度検出部と、
を備える、燃料電池システムの極低負荷運転方法であって、
前記燃料電池の要求負荷が通常運転の最低負荷より低いと判定された場合に、通常運転状態に比べて前記燃料電池に対する前記燃料ガスの供給量を減少させることにより前記燃料電池を極低負荷運転状態にするステップと、
前記極低負荷運転状態において前記発電室温度が発電可能な温度以上になるように前記第2加熱器を用いて温度維持するステップと、
前記燃焼器の温度が前記燃焼器動作温度以上になるように、前記第1加熱器を用いて前記排ガスラインを流れる前記排ガスを加熱するステップと、
前記燃料電池の要求負荷が通常運転の最低負荷以上であると判定された場合に、前記燃料電池を前記通常運転状態にするステップと、
を備える。
【発明の効果】
【0011】
本開示の少なくとも一実施形態によれば、起動時に結露発生を抑制可能な燃料電池システム、並びに、燃料電池システムの起動方法、停止方法及び極低負荷運転方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】一実施形態に係る燃料電池システムの全体構成図である。
【
図3】一実施形態に係る燃料電池システムの起動方法を示すフローチャートである。
【
図4】一実施形態に係る燃料電池システムの起動時における燃料電池の発電室温度の推移を示すタイミングチャートである。
【
図5A】
図3に対応する燃料電池システムの状態を示す図である。
【
図5B】
図3に対応する燃料電池システムの状態を示す図である。
【
図5C】
図3に対応する燃料電池システムの状態を示す図である。
【
図5D】
図3に対応する燃料電池システムの状態を示す図である。
【
図5E】
図3に対応する燃料電池システムの状態を示す図である。
【
図6】一実施形態に係る燃料電池システムの停止方法を示すフローチャートである。
【
図7】一実施形態に係る燃料電池システムの停止時における燃料電池の発電室温度の推移を示すタイミングチャートである。
【
図8A】
図6に対応する燃料電池システムの状態を示す図である。
【
図8B】
図6に対応する燃料電池システムの状態を示す図である。
【
図8C】
図6に対応する燃料電池システムの状態を示す図である。
【
図9】一実施形態に係る燃料電池システムの極低負荷運転方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0014】
図1は一実施形態に係る燃料電池システム1の全体構成図である。燃料電池システム1は、燃料電池2を備える。燃料電池2は、固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)であり、燃料ガスGf及び酸化剤ガスGoを用いて発電可能な発電室4を有する。
【0015】
尚、以下の実施形態では、燃料電池システム1が備える燃料電池2として固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell, SOFC)を採用した場合について説明するが、他の実施形態では、燃料電池2として、SOFC以外のタイプの燃料電池(例えば溶融炭酸塩型燃料電池(Molten-carbonate fuel cells, MCFC)等)を採用してもよい。
【0016】
尚、燃料電池2に供給される酸化剤ガスGoは例えば空気であり、加圧されていてもよいし、常圧であってもよい。
【0017】
燃料電池システム1は、燃料電池2に燃料ガスGfを供給するための燃料ガス供給ライン10を備える。燃料ガス供給ライン10の一端は、燃料ガス供給源12に接続される。燃料ガス供給源12には、燃料ガスGfとして例えば都市ガス等が貯留される。燃料ガス供給ライン10には燃料ガス供給量調整弁V1が設けられており、その開度を調整することにより、燃料ガス供給源12からの燃料ガスGfの供給量を制御できるようになっている。
【0018】
燃料電池2で発電反応を終えたオフガスGoff(排燃料ガス)は、燃料電池2に接続されたオフガスライン14を介して排出される。オフガスライン14には、再循環ライン16の一端が接続される。再循環ライン16の他端は燃料ガス供給ライン10のうち燃料ガス供給量調整弁V1より下流側に接続されることにより、オフガスライン14を流れるオフガスGoffの一部が燃料電池2に循環するように構成される。この循環経路(本実施形態では、循環経路を構成する再循環ライン16)には、再循環ガスの循環量を調整するための再循環ブロア18が配置されている。
【0019】
また再循環ライン16には、純水Wを供給するための純水供給ライン20が接続される。純水供給ライン20には純水供給量調整弁V2が設けられる。起動時や発電を行わない待機運転時に燃料ガスの供給により燃料電池でのカーボン析出を防止するために、純水供給量調整弁V2の開度を調整することにより、純水供給源22から再循環ライン16に対する純水Wの供給量が制御できるようになっている。
【0020】
オフガスライン14の他端は排ガスライン24に接続される。オフガスライン14にはオフガス排出量調整弁V3が設けられており、その開度を調整することにより、オフガスライン14から排出されるオフガスGoffの排ガスライン24と酸化剤ガス供給ライン26への供給割合を運転状態に応じて制御できるようになっている。
【0021】
燃料電池システム1は、燃料電池2に酸化剤ガスGoを供給するための酸化剤ガス供給ライン26を備える。酸化剤ガス供給ライン26の一端は、周囲(例えば外部雰囲気)から酸化剤ガスを導入するためのブロア28に接続される。ブロア28によって酸化剤ガス供給ライン26に導入された酸化剤ガスGoは、酸化剤ガス供給ライン26に設けられた後述の空気予熱器30及び第2加熱器32を介して、燃料電池2の空気極側に供給される。
【0022】
また、酸化剤ガス供給ライン26には、空気予熱器30をバイパスするバイパスライン34が設けられている。ブロア28から空気予熱器30への酸化剤ガスGoの導入量と空気予熱器30をバイパスする酸化剤ガスGoの流量配分を調整するために空気予熱器の入口には酸化剤ガス供給量調整弁V8、バイパスライン34には酸化剤ガスバイパス量調整弁V4が設けられる。
【0023】
燃料電池2で発電反応を終えた排酸化剤ガスは、前述のオフガスライン14からのオフガスGoffとともに排ガスGexとして、排ガスライン24を介して排出される。排ガスライン24には、第1加熱器36、燃焼器38、及び、空気予熱器30が配置される。
【0024】
第1加熱器36は、排ガスライン24を流れる排ガスGexを加熱可能な装置であり、例えば燃料ガスを燃焼するバーナであるが電気加熱ヒータでもよい。第1加熱器36で燃焼される燃料ガスは、燃料電池2に供給される燃料ガスGfと共通であってもよい。本実施形態では、燃料ガス供給ライン10から分岐する加熱器燃料ガス供給ライン40を介して、第1加熱器36に燃料ガスGfの一部が供給可能になっている。加熱器燃料ガス供給ライン40には、第1加熱器36に対する燃料ガスの供給量をそれぞれ調整するための第1加熱器燃料調整弁V5が設けられている。燃焼用の酸化剤ガスは本実施形態に示すように燃料電池からの排酸化剤ガスを用いてもよいし、別途ブロワ28から供給するライン(不図示)を設けてもよい。
【0025】
燃焼器38は、燃焼器動作温度以上において排ガスGexに含まれる未燃分を燃焼可能な装置であり、例えば、所定の燃焼可能温度下限値を有する触媒燃焼器である。本実施形態では、燃焼器動作温度は約400度である。燃焼器38の入口部には、燃焼器38の温度Tbを検出するための温度センサ39が設けられる。
【0026】
尚、第1加熱器36は、排ガスライン24において燃焼器38より上流側又は下流側に設けられればよいが、本実施形態では特に、第1加熱器36は、排ガスライン24において燃焼器38より上流側に設けられる。これにより、例えば後述するように、第1加熱器36によって排ガスラインを流れる排ガスGexを加熱することで、発電室からの排酸化剤ガス温度に関わらず燃焼器38が燃焼可能な燃焼器動作温度以上に昇温することで、排ガスGexに含まれる未燃分を除害燃焼し、有害な未燃分が含まれる排ガスGexが外部に排出されることを防止できる。
【0027】
空気予熱器30は、排ガスGexと酸化剤ガスGoとを熱交換することにより、排ガスGexが有する排熱によって、酸化剤ガスGoを予熱するための装置である。空気予熱器30によって予熱される酸化剤ガスGoの量は、酸化剤ガスバイパス量調整弁V4と、酸化剤ガス供給ラインのうち空気予熱器30の上流側に設けられた酸化剤ガス供給量調整弁V8との開度比率を調整することによって制御可能である。
【0028】
また燃料電池システム1は、燃料電池2からのオフガスGoffが流れるオフガスライン14と、酸化剤ガス供給ライン26とを接続するオフガス供給ライン42を有する。オフガス供給ライン42には、オフガス供給量調整弁V7が設けられており、オフガス供給量調整弁V7とオフガス排出量調整弁V3の開度に応じて、オフガスGoffの一部又は全部を酸化剤ガス供給ライン26に導入可能になっている。このように酸化剤ガス供給ライン26に導入されたオフガスの一部は、燃料電池2が所定温度(例えば500度)以上になっている場合、燃料電池2内で酸化剤ガスとともに燃焼されることで、燃料電池2の昇温に寄与することができる。
【0029】
燃料電池システム1は、上記各構成要素を制御するための制御装置100を有する。制御装置100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。尚、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0030】
図2は
図1の制御装置100のブロック構成図である。制御装置100は、燃焼器入口温度検出部102と、発電室温度検出部104と、第1加熱器制御部106と、第2加熱器制御部108と、燃焼器制御部110と、オフガス切替制御部112とを備える。
【0031】
燃焼器入口温度検出部102は、燃焼器入口温度Tbを取得するための構成である。前述したように、燃焼器38の入口部には温度センサ39が設けられており、燃焼器入口温度検出部102は、当該温度センサ39の検出値を、燃焼器入口温度Tbとして取得する。
【0032】
発電室温度検出部104は、燃料電池2の発電室4の温度を検出するための構成である。本実施形態では、発電室温度検出部104は、発電室4に設けられた温度センサ41の検出値を、発電室温度Tgとして取得する。
【0033】
第1加熱器制御部106は、第1加熱器36の動作状態を制御するための構成である。具体的には、第1加熱器制御部106は、第1加熱器36のオンオフを切り替えるとともに、第1加熱器燃料調整弁V5の開度を調整することで、加熱器燃料ガス供給ライン40からの第1加熱器36に対する燃料ガスの供給量を調整し、第1加熱器36の加熱量を制御する。
【0034】
第2加熱器制御部108は、第2加熱器32の動作状態を制御するための構成である。具体的には、第2加熱器制御部108は、第2加熱器32のオンオフを切り替えるとともに、第2加熱器燃料調整弁V6の開度を調整することで、加熱器燃料ガス供給ライン40からの第2加熱器32に対する燃料ガスの供給量を調整し、第2加熱器32の加熱量を制御する。
【0035】
燃焼器制御部110は、排ガスライン24に設けられた燃焼器38の動作状態を制御するための構成である。燃焼器38は、前述したように、排ガスGexを燃焼して排ガスGexに含まれる未燃分を除去するためには燃焼器動作温度以上に維持される必要がある。燃焼器38の温度は、温度センサ39によって検出される燃焼器入口温度Tbとして取得されるため、燃焼器制御部110は、当該燃焼器入口温度Tbに基づいて燃焼器38の動作状態を制御する。
【0036】
オフガス切替制御部112は、オフガスGoffの供給経路の切替制御を行うための構成である。具体的には、オフガス切替制御部112は、オフガス排出量調整弁V3及びオフガス供給量調整弁V7の開度比を調整することにより、オフガス供給ライン42を介した、酸化剤ガス供給ライン26に対するオフガスGoffの供給量を制御する。
【0037】
続いて上記構成を有する燃料電池システム1の起動方法について説明する。
図3は一実施形態に係る燃料電池システム1の起動方法を示すフローチャートであり、
図4は一実施形態に係る燃料電池システム1の起動時における燃料電池2の発電室温度Tgの推移を示すタイミングチャートであり、
図5A~
図5Eは
図3に対応する燃料電池システム1の状態を示す図である。
【0038】
尚、本実施形態では、初期状態として、燃料電池システム1において、燃料電池2は常温で停止状態にあり、このとき燃料電池システム1が備える各弁のうち、酸化剤ガスバイパス量調整弁V4、酸化剤ガス供給量調整弁V8は全開状態であり、燃料ガス供給量調整弁V1、純水供給量調整弁V2、オフガス排出量調整弁V3、第1加熱器燃料調整弁V5、第2加熱器燃料調整弁V6、オフガス供給量調整弁V7は全閉状態である。
【0039】
まず制御装置100は、ブロア28を起動することにより、燃料電池2に対して酸化剤ガスGoの供給を開始する(ステップS100)。このとき燃料電池2の発電室温度Tgは常温T0である。ステップS100では具体的には、再循環ブロワ18を起動し、再循環ライン16による燃料系統の再循環運転を開始する。
【0040】
続いて第1加熱器制御部106は第1加熱器36を動作させる(ステップS101)。ステップS101では、第1加熱器36を動作させることで、排ガスライン24を流れる排ガスGexが加熱される。加熱された排ガスGexは、空気予熱器30を介して、酸化剤ガス供給ライン26を流れる酸化剤ガスGоを加熱する。このように加熱された酸化剤ガスGoは燃料電池2に供給されることで、燃料電池2が昇温される。これにより、
図4の期間1に示すように、発電室温度Tgは常温T0から次第に高くなる。
【0041】
ステップS101における第1加熱器36の動作は、発電室温度Tgが所定のプロファイルで増加するように、第1加熱器制御部106によって制御される。具体的には、第1加熱器制御部106は、
図5Aに示すように、第1加熱器燃料調整弁V5を開き、その開度を制御することで、第1加熱器36に対する燃料ガスの供給量を調整することにより、第1加熱器36の動作制御を行う。
【0042】
またステップS101では、このように排ガスGexにより酸化剤ガスGoが空気予熱器で加熱されながら、酸化剤ガスGoの供給を行うことで、燃料電池2内の断熱材を乾燥させ、残留している余分な水分が除去される。
【0043】
このようにステップS101では、第2加熱器32を停止したまま、第1加熱器36によって空気予熱器30を介して酸化剤ガスGoを加熱して昇温させている。仮に、第2加熱器32によって酸化剤ガスGoを直接燃焼器で加熱すると、第2加熱器32の燃焼で生じた水分を含む酸化剤ガスGoが、低温(常温)の発電室4に供給されることで起動初期の低温時に発電室4内で結露を生じてしまうおそれがある。それに対して本実施形態では、第1加熱器36によって空気予熱器30を介して間接的に酸化剤ガスGoを加熱することで、このような結露発生を効果的に防止できる。
【0044】
続いて制御装置100は、ステップS101の第1加熱器36の動作によって発電室温度Tgが第1基準値Tref1に達したか否かを判定する(ステップS102)。ステップS102で判定される発電室温度Tgは、発電室温度検出部104で検出される。第1基準値Tref1は、常温T0より高く、且つ、起動時における第2加熱器32の動作開始を判定するための閾値として設定される。また、発電室の上昇に伴い燃料電池の燃料極や集電部材の酸化を防止するため燃料ガス供給ライン10より徐々に燃料供給を開始する。
【0045】
発電室温度Tgが第1基準値Tref1に達した場合(ステップS102:YES)、第2加熱器制御部108は第2加熱器32を動作させる(ステップS103)。ステップS103では、第2加熱器32を動作させることで、酸化剤ガス供給ライン26を流れる酸化剤ガスGoと第2加熱器の燃焼ガスが混合されることで加熱される。具体的には第2加熱器制御部108は、
図5Bに示すように、第2加熱器燃料調整弁V6を開き、その開度を制御することで、第2加熱器32に対する燃料ガスGfの供給量を調整することにより、第2加熱器32の動作制御を行う。第2加熱器32によって加熱された酸化剤ガスGoは、燃料電池2に供給されることで、発電室4が昇温される。これにより、
図4の期間2では、第1加熱器36及び第2加熱器32の両方によって発電室4が加熱されることで、発電室温度Tgが更に昇温される。また、第2加熱器は通常の燃焼用バーナでもよいし触媒燃焼器を用いてもよい。
【0046】
また第1加熱器制御部106は、燃焼器入口温度Tbが燃焼器動作温度以上を維持するように第1加熱器36を制御することにより燃焼器38を動作する(ステップS104)。これにより、以降、オフガスGoffはオフガス排出ライン42から排ガスライン24に排出され、排ガスGexに含まれる未燃分を燃焼器38によって確実に燃焼させることが可能となる。
【0047】
尚、ステップS103では、第2加熱器32によって酸化剤ガスGoを直接加熱しているが、燃焼によって生じた水分を含む酸化剤ガスGoが発電室4に供給されたとしても、期間1に比べて発電室温度Tgが酸化剤ガスGoの飽和蒸気温度以上に高くなっているため、結露が生じることはない。
【0048】
続いて制御装置100は、ステップS102の第1加熱器36及び第2加熱器32の動作によって発電室温度Tgが第2基準値Tref2に達したか否かを判定する(ステップS105)。第2基準値Tref2は、第1基準値Tref1より高く設定される。
【0049】
発電室温度Tgが第2基準温度Tref2に達すると発電室のセル空気極での燃焼が可能となるため、オフガス切替制御部112はオフガスGoffの一部を酸化剤ガス供給ライン26に導くように、オフガス排出量調整弁V3及びオフガス供給量調整弁V7の開度を制御する(ステップS106)。このときオフガス切替制御部112は、
図5Cに示すように、オフガス排出量調整弁V3を閉じるとともに、オフガス供給量調整弁V7を開くように制御することで、オフガスGoffを酸化剤ガス供給ライン26に導く。酸化剤ガス供給ライン26に導かれたオフガスGoffは、酸化剤ガスGoと混合して発電室4に供給される。発電室4は、第2基準値Tref2以上の温度に達しているため、オフガスGoffを含む酸化剤ガスGoは発電室4にて燃焼され、発電室温度Tgが上昇する。このとき第2加熱器32は引き続き動作されることで、
図4の期間3に示すように、発電室4は更に昇温される。
【0050】
続いて制御装置100は、発電室温度Tgが第3基準値Tref3に達したか否かを判定する(ステップS107)。第3基準値Tref3は、第2基準値Tref2より更に高い閾値として設定される。
【0051】
発電室温度Tgが第3基準値Tref3に達した場合(ステップS107:YES)、第1加熱器制御部106及び第2加熱器制御部108はそれぞれ第1加熱器36及び第2加熱器32を徐々に停止させるとともに、燃料ガスGfの供給量を増加することで、発電室4の昇温を促進する(ステップS108)。このとき第1加熱器制御部106及び第2加熱器制御部108は、
図5Dに示すように、第1加熱器燃料調整弁V5及び第2加熱器燃料調整弁V6を徐々に閉じるとともに、制御装置100は、燃料ガス供給量調整弁V1の開度を増やすことで、燃料電池2に供給される燃料ガスGfの供給量を増加させ、供給量に応じて発電(通電)を行う。発電室4での燃焼に加え、発電によるセル全体からの発熱を利用することで
図4の期間4に示すように、発電室4が更に昇温される。
また、燃料ガスGfの供給に伴い発電室でのカーボン析出を防止するため、純水供給ライン20より純水Wを供給する。
【0052】
続いて制御装置100は、発電室温度Tgが第4基準値Tref4に達したか否かを判定する(ステップS109)。第4基準値Tref4は、第4基準値Tref4より高く、且つ、燃料電池2の運転温度に対応するように設定される。
【0053】
発電室温度Tgが第4基準値Tref4に達した場合(ステップS109:YES)、制御装置100は、一連の起動制御を完了し、通常運転(発電状態)に移行する。通常運転時には、
図5Eに示すように、純水供給量調整弁V2は閉じられ、要求発電量に応じた燃料ガスGf及び酸化剤ガスGoの流量制御が行われる。酸化剤ガスGoの流量はブロワの回転数を変化させることで調整可能である。このとき酸化剤ガスバイパス量調整弁V4は、発電室温度Tgが上限値を超えないように開閉制御される。また、第1加熱器制御部106は、燃焼器入口温度Tbが燃焼器動作温度以上を維持するように第1加熱器36を制御する。
【0054】
このように燃料電池システム1の起動時には、第1加熱器36及び第2加熱器32を制御することにより、発電室4に結露を生じさせることなく、発電室温度Tgを迅速に上昇させることができる。そのため、燃料電池システム1は起動時に発電室温度Tgを昇温させるための専用デバイスとして、コストや設置スペースの点で不利になる大型設備を備える必要なく、通常運転に使用する使用する機器と比較的コンパクトな設備である第1加熱器36及び第2加熱器32の制御によって起動時間の短縮を図ることができる。
【0055】
次に上記構成を有する燃料電池システム1の停止方法について説明する。
図6は一実施形態に係る燃料電池システム1の停止方法を示すフローチャートであり、
図7は一実施形態に係る燃料電池システム1の停止時における燃料電池2の発電室温度Tgの推移を示すタイミングチャートであり、
図8A~
図8Cは
図6に対応する燃料電池システム1の状態を示す図である。
尚、以下に述べる停止方法では、初期状態として
図5Eに示す通常運転状態を想定する。
【0056】
停止方法では、まず通常運転状態にある燃料電池2の出力電流を最低負荷まで減少させる(ステップS200)。このとき燃料電池2で発電された出力電力は、各種補機の駆動用として供給してもよい。
【0057】
続いて制御装置100は、
図8Aに示すように、酸化剤ガスバイパス量調整弁V4の開度を次第に増加させることで、燃料電池2に供給される酸化剤ガスGoの温度を低下させる(ステップS201)。その結果、
図7の期間6に示すように、発電室温度Tgが次第に低下する。
【0058】
続いて制御装置100は、発電室温度Tgが第3基準値Tref3以下になったか否かを判定する(ステップS202)。発電室温度Tgが第3基準値Tref3以下になった場合(ステップS202:YES)、制御装置100は、燃料電池2の出力電流を遮断するとともに、燃料電池2に対する燃料ガスGfの供給を停止し、オフガス排出量調整弁V3を閉とし再循環ブロワ18を用いて燃料ガスGfを系内で再循環させる(ステップS203)。そして、
図8Bに示すように、制御装置100は、燃料ガス供給量調整弁V1を閉じることにより、燃料電池2への燃料ガスGfの供給を停止する(ステップS204)。但し、内部リークなどによる燃料の消費分については適宜追加供給を行ってもよい。
【0059】
尚、ステップS203においても、酸化剤ガスバイパス量調整弁V4の開度を次第に増加し、酸化剤ガス供給量調整弁V8の開度を次第に閉とするように制御されることで、燃料電池2の冷却が促進される。その結果、
図7の期間7に示すように、発電室温度Tgは更に低下する。
【0060】
続いて制御装置100は、発電室温度Tgが第2基準値Tref2以下になったか否かを判定する(ステップS205)。発電室温度Tgが第2基準値Tref2以下になった場合(ステップS205:YES)、オフガスライン14に残存する燃料ガスGfを燃焼器38によって燃焼して外部に排出する(ステップS206)。ステップS206においても、
図8Cに示すように、燃焼器38が動作可能な温度範囲(燃焼器動作温度以上)を維持するために、第1加熱器制御部106は、必要に応じて第1加熱器燃料調整弁V5の開度を制御する。これにより、発電室温度Tgが低下中においても、燃焼器38が動作可能な温度範囲を維持することで、排ガスGexに残存する未燃分が外部に排出されることを抑制できる。その結果、
図7の期間8に示すように、発電室温度Tgが第2基準値Tref2以下に低下しても安全に排ガスGexを大気へ放出できる。
【0061】
続いて制御装置100は、発電室温度Tgが第1基準値Tref1以下になったか否かを判定する(ステップS207)。発電室温度Tgが第1基準値Tref1以下になった場合(ステップS207:YES)、制御装置100は酸化剤ガスバイパス量調整弁V4、酸化剤ガス供給量調整弁V8を全開とし、燃料ガス供給量調整弁V1、純水供給量調整弁V2、オフガス排出量調整弁V3、第1加熱器燃料調整弁V5、第2加熱器燃料調整弁V6、オフガス供給調整弁V7は全閉として一連の停止制御を完了する。
【0062】
このような停止方法によれば、燃料電池2を停止状態にする際に、燃料ガスGfの供給を停止して発電室温度Tgが低下することで第2基準値Tref2以下になった際においても、燃焼器38の温度が燃焼器動作温度以上になるように、第1加熱器36が制御される。これにより、発電室温度Tgが第2基準値Tref2以下になった場合でも、燃焼器38が燃焼器動作温度以上になることで、燃焼器38による排ガスに含まれる未燃分の燃焼が可能となり、早いタイミングでオフガスの酸化剤ガスへの供給を停止し発電室の降温が促進される。また、空気予熱器をバイパスする酸化剤ガス量を増加させ発電室を冷却する酸化剤ガス量を維持しつつ酸化剤ガスの供給温度を下げることで、より短時間での降温が可能となり、燃料ガスGfの消費を抑えながらも、外部に未燃分を含む排ガスが排出されることを防止できる。
【0063】
続いて上記構成を有する燃料電池システム1の極低負荷(ホットスタンバイ)運転方法について説明する。
図9は一実施形態に係る燃料電池システム1の極低負荷方法を示すフローチャートである。
【0064】
前述の起動方法によって起動された燃料電池システム1では、その運転状態として、例えば電力供給先である電力系統(不図示)からの要求負荷に基づいて通常運転状態と極低負荷運転状態とを切替可能である。まず制御装置100は、燃料電池システム1に対する要求負荷が最低負荷以上であるか否かを判定する(ステップS300)。要求負荷が最低負荷未満である場合(ステップS300:NO)、燃料電池システム1は、燃料電池2の運転状態を極低負荷運転状態にする(ステップS302)。極低負荷運転状態は、全く発電を行わないいわゆるホットスタンバイ運転状態も含み、通常運転状態の発電室温度Tgを維持しつつ、通常運転状態に比べて燃料電池2に対する燃料ガスGfの供給量を減らすことで、余分な燃料ガスGfの消費が抑えられる。
【0065】
極低負荷運転状態では、発電室が発電に必要な温度以上に維持されているかが監視されており、発電室温度Tgが通常発電に必要な温度Tref3以上であるか否かが判定される(ステップS303)。発電室温度TgがTref3未満である場合(ステップS303:NO)、制御装置100は、第2加熱器32に第2加熱器燃料調整弁V6より燃料を供給することで第2加熱器32を動作させることで、供給空気を昇温する(ステップS304)。一方、発電室温度TgがTref3以上である場合(ステップS303:YES)、第2加熱器32は停止したままである(ステップS305)。
【0066】
次に極低負荷運転においても緊急時に未燃ガスを安全に放出できるように、燃焼器入口温度Tbが燃焼器38の燃焼動作温度Tb0を維持しているか否かが判定される(ステップS306)。燃焼器動作温度Tb0は、排ガスライン24を流れる排ガスGexに含まれる未燃分を燃焼器38で燃焼するために必要な温度であり、燃焼器38に固有な温度閾値である。燃焼器温度Tbが燃焼器動作温度Tb0未満である場合(ステップS306:NO)、制御装置100は第1加熱器36を動作することで、排ガスライン24を流れる排ガスGexを加熱し、燃焼器温度Tbが燃焼器動作温度Tb0以上になるように燃焼器38を昇温する(ステップS307)。一方で、極低負荷運転状態において燃焼器温度Tbが燃焼器動作温度Tb0以上である場合(ステップS306:YES)、第1加熱器36が動作されず、停止される(ステップS308)。これにより、第1加熱器36における余分なエネルギ消費が抑えられる。
【0067】
そして電力系統からの燃料電池システム1に対する要求負荷が増加することで最低負荷以上となった場合(ステップS300:YES)、燃料電池システム1は極低負荷運転状態から通常運転状態に切り替えられる(ステップS301)。このとき燃料電池システム1では、極低負荷運転状態では発電室温度Tgが高温に維持されているため、ステップS301では、燃料ガスGfの供給量を増加させることで通常運転状態に迅速に切り替えることができる。
尚、通常運転状態では、要求負荷に応じて燃料ガスGfの供給量が制御されることにより、要求負荷に対応する発電量が出力される。
【0068】
近年、再生可能エネルギを用いた発電の普及が進んでいる。再生可能エネルギを用いた発電量は例えば気象等の環境条件に依存して変動する。そのため、前述の燃料電池システム1が再生可能エネルギによる給電設備と共通の電力系統に接続される場合、燃料電池システム1には、その変動を吸収するための極低負荷運転やホットスタンバイ(待機)運転が求められる。上記極低負荷運転方法では、再生可能エネルギによる発電量が十分にあることで要求負荷が無い場合には、極低負荷(ホットスタンバイ)運転状態に切り替えられることにより、発電可能な状態で待機する。極低負荷運転状態では、燃料ガスGfの供給量が抑えられることで、待機中の燃料ガスGfの消費が抑えられる。そして、再生可能エネルギによる発電量が不足して電力系統の需給バランスから燃料電池システム1に対する要求負荷が増加した場合には、速やかに通常運転状態に切り替えられることで、要求負荷に応じた発電量の出力が可能となる。
【0069】
上記説明したように上記実施形態によれば、設備規模を抑えつつ、迅速な起動停止が可能な燃料電池システム1、及び、燃料電池システム1の運転方法を提供できる。
【0070】
その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【0071】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0072】
(1)一態様に係る燃料電池システム(1)は、
燃料ガス(Gf)及び酸化剤ガス(Go)を用いて発電可能な発電室(4)を有する燃料電池(2)と、
前記燃料電池からの排ガス(Gex)が流れる排ガスライン(24)と、
前記排ガスラインに設けられ、燃焼器動作温度以上において前記排ガスに含まれる未燃分を燃焼可能な燃焼器(38)と、
前記排ガスラインのうち前記燃焼器の上流側又は下流側に設けられた第1加熱器(36)と、
前記第1加熱器を通過した前記排ガスと、前記燃料電池に接続された酸化剤ガス供給ラインを流れる前記酸化剤ガスとを熱交換可能な熱交換器(30)と、
を備える。
【0073】
上記(1)の態様によれば、例えば起動時のように燃料電池が常温状態にある場合に、排ガスラインに設けられた第1加熱器によって排ガスを昇温することにより、熱交換器を介して、酸化剤ガス供給ラインを流れる酸化剤ガスを昇温できる。このような第1加熱器による排ガスの昇温では、排ガスに含まれる未燃分が燃焼されることで水蒸気が発生したとしても、この水蒸気は酸化剤ガス供給ラインに導かれることはない。そのため、燃料電池に供給される酸化剤ガスは、燃焼による水蒸気の増加を伴わずに昇温される。その結果、燃料電池では起動初期に結露が生じることなく、迅速な昇温が可能となる。また排ガスの温度が燃焼器動作温度未満であることにより、燃焼器による排ガスの未燃分の燃焼が不能な場合においても、第1加熱器によって未燃分の燃焼が可能となる。これにより、起動初期における排ガスに含まれる未燃分の外部排出を効果的に抑制できる。
【0074】
(2)他の態様では、上記(1)の態様において、
前記第1加熱器は、前記排ガスラインのうち前記燃焼器より上流側に設けられる。
【0075】
上記(2)の態様によれば、排ガスラインにおいて燃焼器の上流側に第1加熱器が設けられる。これにより、第1加熱器によって排ガスを昇温させることで、第1加熱器より下流側に位置する燃焼器を動作可能な温度(燃焼器動作温度)まで迅速に昇温できる。
【0076】
(3)他の態様では、上記(2)の態様において、
前記燃焼器の入口温度を検出するための燃焼器入口温度検出部(102)と、
前記燃焼器入口温度検出部によって検出された前記入口温度が前記燃焼器動作温度以上になるように、前記第1加熱器を制御する加熱器制御部(106)と、
を備える。
【0077】
上記(3)の態様によれば、排ガスラインにおいて第1加熱器より下流側に設けられた燃焼器の入口温度が燃焼器動作温度以上になるように、第1加熱器の動作が制御される。これにより、燃焼器の入口温度が燃焼器動作温度以上に確保され、排ガスに含まれる未燃分を燃焼器で好適に燃焼して除去できる。
【0078】
(4)他の態様では、上記(1)から(3)のいずれか一態様において、
前記酸化剤ガス供給ラインのうち前記熱交換器より下流側に設けられた第2加熱器(32)を備える。
【0079】
上記(4)の態様によれば、酸化剤ガス供給ラインに設けられた第2加熱器によって、熱交換器によって排ガスラインを流れる排ガスと熱交換することにより昇温された酸化剤ガスを更に昇温できる。これにより、例えば起動時のように燃料電池の発電室での燃焼が可能な温度域への迅速な昇温が可能となる。
【0080】
(5)他の態様では、上記(4)の態様において、
前記発電室の温度を検出するための発電室温度検出部(104)と、
前記発電室温度検出部によって検出された前記発電室の温度が、基準温度以上になるように、前記第2加熱器を制御する加熱器制御部(108)と、
を備える。
【0081】
上記(5)の態様によれば、酸化剤ガス供給ラインに設けられた第2加熱器は、発電室の温度が基準温度以上になるように制御される。このように第2加熱器を制御することにより、熱交換器によって排ガスラインを流れる排ガスと熱交換することにより昇温された酸化剤ガスを更に昇温して、燃料電池の発電室での燃焼可能温度域までの昇温時間を短縮し、より短時間での起動が可能となる。
【0082】
(6)他の態様では、上記(1)から(5)のいずれか一態様において、
前記酸化剤ガス供給ラインのうち前記熱交換器より下流側に設けられた第2加熱器(32)と、
前記発電室の温度を検出するための発電室温度検出部(104)と、
前記発電室温度検出部によって検出された前記発電室の温度に基づいて、前記第1加熱器及び前記第2加熱器を制御する加熱器制御部(108)と、
を備え、
前記加熱器制御部は、
前記発電室の温度が第1温度になるまで前記第1加熱器を用いて前記燃料電池を昇温させ、
前記発電室の温度が前記第1温度以上になった場合、前記第2加熱器を用いて前記燃料電池を更に昇温させる。
【0083】
上記(6)の態様によれば、発電室の温度が第1温度になるまで第1加熱器によって燃料電池が昇温された後、発電室の温度が第1温度以上になった場合には、第2加熱器により更なる昇温が行われることで、迅速な燃料電池の起動が可能となる。
【0084】
(7)他の態様では、上記(1)から(6)のいずれか一態様において、
前記燃料電池から排出されるオフガス(Goff)が流れるオフガスライン(14)が、前記酸化剤ガス供給ラインのうち前記熱交換器の下流側に接続されるオフガス供給ライン(42)を更に備える。
【0085】
上記(7)の態様によれば、燃料ガスを含むオフガスが、オフガス供給ラインを介して酸化剤ガス供給ラインに供給可能である。例えば燃料電池が基準温度以上に昇温されると、燃料ガスを含むオフガスをオフガス供給ラインを介して酸化剤ガス供給ラインに供給することで、燃料電池でオフガスを燃焼させて発電室の加熱用燃料として使用できる。
【0086】
(8)他の態様では、上記(7)の態様において、
前記オフガスラインは、前記排ガスライン又は前記オフガス供給ラインのうち前記熱交換器の下流側に選択的に接続可能であり、前記発電室の温度が前記基準温度以上になった場合に、前記オフガスラインの接続先が、前記排ガスラインから前記酸化剤ガス供給ラインのうち前記熱交換器の下流側に切り替えられる。
【0087】
上記(8)の態様によれば、燃料電池が基準温度以上に昇温された場合に、オフガスラインの接続先を排ガスラインからオフガス供給ラインに切り替えられる。これにより、オフガスラインを介してオフガス供給ラインに供給されたオフガスを燃料電池で燃焼させることで、燃料電池の加熱用燃料として使用できる。
【0088】
(9)一態様に係る燃料電池システムの起動方法は、
燃料ガス(Gf)及び酸化剤ガス(Go)を用いて発電可能な発電室(4)を有する燃料電池(2)と、
前記燃料電池からの排ガス(Gex)が流れる排ガスライン(24)と、
前記排ガスラインに設けられ、燃焼器動作温度以上において前記排ガスに含まれる未燃分を燃焼可能な燃焼器(38)と、
前記排ガスラインのうち前記燃焼器の上流側又は下流側に設けられた第1加熱器(36)と、
前記第1加熱器を通過した前記排ガスと、前記燃料電池に接続された酸化剤ガス供給ラインを流れる前記酸化剤ガスとを熱交換可能な熱交換器(30)と、
前記酸化剤ガス供給ラインのうち前記熱交換器より下流側に設けられた第2加熱器(32)と、
前記発電室の温度を検出するための発電室温度検出部(104)と、
を備える、燃料電池システムの起動方法であって、
前記発電室の温度が第1温度になるまで前記第1加熱器を用いて前記燃料電池を昇温するステップと、
前記発電室の温度が前記第1温度以上になった場合、前記第2加熱器を用いて前記燃料電池を更に昇温するステップと、
を備える。
【0089】
上記(9)の態様によれば、発電室の温度が第1温度になるまで第1加熱器によって燃料電池が昇温された後、発電室の温度が第1温度以上になった場合には、第2加熱器により更なる昇温が行われることで、迅速な燃料電池の起動が可能となる。
【0090】
(10)一態様に係る燃料電池システムの停止方法は、
燃料ガス(Gf)及び酸化剤ガス(Go)を用いて発電可能な発電室(4)を有する燃料電池(2)と、
前記燃料電池からの排ガス(Gex)が流れる排ガスライン(24)と、
前記排ガスラインに設けられ、燃焼器動作温度(Tb0)以上において前記排ガスに含まれる未燃分を燃焼可能な燃焼器(38)と、
前記排ガスラインのうち前記燃焼器の上流側又は下流側に設けられた第1加熱器(36)と、
前記発電室の温度を検出するための発電室温度検出部(104)と、
を備える、燃料電池システム(1)の停止方法であって、
前記燃料電池を停止状態にするために前記発電室の温度を低下させる際に、前記燃料電池に対する前記燃料ガスの供給を停止するステップと、
前記発電室の温度が発電室燃焼が可能な第2温度以下に低下しても、前記燃焼器が前記燃焼器動作温度以上になるように、前記第1加熱器を用いて前記排ガスラインを流れる前記排ガスを加熱するステップと、
を備える。
【0091】
上記(10)の態様によれば、燃料電池を停止状態にする際に、燃料ガスGfの供給を停止して発電室温度Tgが低下することで第2基準値Tref2以下になった際においても、燃焼器38の温度が燃焼器動作温度以上になるように、第1加熱器36が制御される。これにより、発電室温度Tgが第2基準値Tref2以下になった場合でも、燃焼器38が燃焼器動作温度以上になることで、燃焼器38による排ガスに含まれる未燃分の燃焼が可能となり、早いタイミングでオフガスの酸化剤ガスへの供給を停止し発電室の降温が促進される。また、空気予熱器をバイパスする酸化剤ガス量を増加させ発電室を冷却する酸化剤ガス量を維持しつつ酸化剤ガスの供給温度を下げることで、より短時間での降温が可能となり、燃料ガスGfの消費を抑えながらも、外部に未燃分を含む排ガスが排出されることを防止できる。
【0092】
(11)一態様に係る燃料電池システムの極低負荷運転方法は、
燃料ガス(Gf)及び酸化剤ガス(Go)を用いて発電可能な発電室(4)を有する燃料電池(2)と、
前記燃料電池からの排ガス(Gex)が流れる排ガスライン(24)と、
前記排ガスラインに設けられ、燃焼器動作温度(Tb0)以上において前記排ガスに含まれる未燃分を燃焼可能な燃焼器(38)と、
前記排ガスラインのうち前記燃焼器の上流側又は下流側に設けられた前記第1加熱器(36)と、
前記第1加熱器を通過した前記排ガスと、前記燃料電池に接続された酸化剤ガス供給ラインを流れる前記酸化剤ガスとを熱交換可能な前記熱交換器と、
前記酸化剤ガス供給ラインのうち前記熱交換器(30)より下流側に設けられた前記第2加熱器(32)と、
前記発電室の温度を検出するための発電室温度検出部(104)と、
を備える、燃料電池システム(1)の極低負荷運転御方法であって、
前記燃料電池の要求負荷が通常運転の最低負荷より低いと判定された場合に、通常運転状態に比べて前記燃料電池に対する前記燃料ガスの供給量を減少させることにより前記燃料電池を極低負荷運転状態にするステップと、
前記極低負荷運転状態において前記発電室温度が発電可能な温度以上になるように前記第2加熱器を用いて温度維持するステップと、
前記燃焼器の温度が前記燃焼器動作温度以上になるように、前記第1加熱器を用いて前記排ガスラインを流れる前記排ガスを加熱するステップと、
前記燃料電池の要求負荷が有ると判定された場合に、前記燃料電池を前記通常運転状態にするステップと、
を備える。
【0093】
上記(11)の態様によれば、燃料電池に対する要求負荷が無い場合には、燃料電池の運転状態が通常運転状態から極低負荷運転状態にされる。極低負荷運転状態では、燃料電池に対する燃料ガスの供給量が通常運転状態より減少されることで待機時における燃料ガスの消費を抑えることができる。このとき燃焼器の温度が燃焼器動作温度以上になるように第1加熱器が制御されることにより、極低負荷運転状態においても燃焼器による排ガスに含まれる未燃分の燃焼が可能となり、外部に未燃分を含む排ガスが排出されることを防止できる。
【符号の説明】
【0094】
1 燃料電池システム
2 燃料電池
4 発電室
10 燃料ガス供給ライン
12 燃料ガス供給源
14 オフガスライン
16 再循環ライン
18 再循環ブロア
20 純水供給ライン
22 純水供給源
24 排ガスライン
26 酸化剤ガス供給ライン
28 ブロア
30 空気予熱器
32 第2加熱器
34 バイパスライン
36 第1加熱器
38 燃焼器
39 温度センサ
40 加熱器燃料ガス供給ライン
41 温度センサ
42 オフガス供給ライン
100 制御装置
102 燃焼器入口温度検出部
104 発電室温度検出部
106 第1加熱器制御部
108 第2加熱器制御部
110 燃焼器制御部
112 オフガス切替制御部
Gf 燃料ガス
Go 酸化剤ガス
Gex 排ガス
Goff オフガス
V1 燃料ガス供給量調整弁
V2 純水供給量調整弁
V3 オフガス排出量調整弁
V4 酸化剤ガスバイパス量調整弁
V5 第1加熱器燃料調整弁
V6 第2加熱器燃料調整弁
V7 オフガス供給量調整弁
V8 酸化剤ガス供給量調整弁
【手続補正書】
【提出日】2022-10-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電可能な発電室を有する燃料電池と、
前記燃料電池からの排出される前記燃料ガス及び前記酸化剤ガスを含む排ガスを外部に排出するための排ガスラインと、
前記排ガスラインに設けられ、燃焼器動作温度以上において前記排ガスに含まれる未燃分を燃焼可能な燃焼器と、
前記排ガスラインのうち前記燃焼器の上流側又は下流側に設けられた第1加熱器と、
前記第1加熱器を通過した前記排ガスと、前記燃料電池に接続された酸化剤ガス供給ラインを流れる前記酸化剤ガスとを熱交換可能な熱交換器と、
を備える、燃料電池システム。
【請求項2】
前記第1加熱器は、前記排ガスラインのうち前記燃焼器より上流側に設けられる、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記燃焼器の入口温度を検出するための燃焼器入口温度検出部と、
前記燃焼器入口温度検出部によって検出された前記入口温度が前記燃焼器動作温度以上になるように、前記第1加熱器を制御する加熱器制御部と、
を備える、請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記酸化剤ガス供給ラインのうち前記熱交換器より下流側に設けられた第2加熱器を備える、請求項1又は2に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記発電室の温度を検出するための発電室温度検出部と、
前記発電室温度検出部によって検出された前記発電室の温度が、基準温度以上になるように、前記第2加熱器を制御する加熱器制御部と、
を備える、請求項4に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
前記酸化剤ガス供給ラインのうち前記熱交換器より下流側に設けられた第2加熱器と、
前記発電室の温度を検出するための発電室温度検出部と、
前記発電室温度検出部によって検出された前記発電室の温度に基づいて、前記第1加熱器及び前記第2加熱器を制御する加熱器制御部と、
を備え、
前記加熱器制御部は、
前記発電室の温度が第1温度になるまで前記第1加熱器を用いて前記燃料電池を昇温させ、
前記発電室の温度が前記第1温度以上になった場合、前記第2加熱器を用いて前記燃料電池を更に昇温させる、請求項1又は2に記載の燃料電池システム。
【請求項7】
前記燃料電池から排出されるオフガスが流れるオフガスラインが、前記酸化剤ガス供給ラインのうち前記熱交換器の下流側に接続されるオフガス供給ラインを更に備える、請求項1又は2に記載の燃料電池システム。
【請求項8】
前記オフガスラインは、前記排ガスライン又は前記酸化剤ガス供給ラインのうち前記熱交換器の下流側に選択的に接続可能であり、前記発電室の温度が基準温度以上になった場合に、前記オフガスラインの接続先が、前記排ガスラインから前記酸化剤ガス供給ラインのうち前記熱交換器の下流側に切り替えられる、請求項7に記載の燃料電池システム。
【請求項9】
前記燃焼器は触媒燃焼器である、請求項1又は2に記載の燃料電池システム。
【請求項10】
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電可能な発電室を有する燃料電池と、
前記燃料電池からの排ガスが流れる排ガスラインと、
前記排ガスラインに設けられ、燃焼器動作温度以上において前記排ガスに含まれる未燃分を燃焼可能な燃焼器と、
前記排ガスラインのうち前記燃焼器の上流側又は下流側に設けられた第1加熱器と、
前記第1加熱器を通過した前記排ガスと、前記燃料電池に接続された酸化剤ガス供給ラインを流れる前記酸化剤ガスとを熱交換可能な熱交換器と、
前記酸化剤ガス供給ラインのうち前記熱交換器より下流側に設けられた第2加熱器と、
前記発電室の温度を検出するための発電室温度検出部と、
前記発電室温度検出部によって検出された前記発電室の温度に基づいて、前記第1加熱器及び前記第2加熱器を制御する加熱器制御部と、
を備え、
前記加熱器制御部は、
前記発電室の温度が第1温度になるまで前記第1加熱器を用いて前記燃料電池を昇温させ、
前記発電室の温度が前記第1温度以上になった場合、前記第2加熱器を用いて前記燃料電池を更に昇温させる、燃料電池システム。
【請求項11】
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電可能な発電室を有する燃料電池と、
前記燃料電池からの排ガスが流れる排ガスラインと、
前記排ガスラインに設けられ、燃焼器動作温度以上において前記排ガスに含まれる未燃分を燃焼可能な燃焼器と、
前記排ガスラインのうち前記燃焼器の上流側又は下流側に設けられた第1加熱器と、
前記第1加熱器を通過した前記排ガスと、前記燃料電池に接続された酸化剤ガス供給ラインを流れる前記酸化剤ガスとを熱交換可能な熱交換器と、
前記酸化剤ガス供給ラインのうち前記熱交換器より下流側に設けられた第2加熱器と、
前記発電室の温度を検出するための発電室温度検出部と、
を備える、燃料電池システムの起動方法であって、
前記発電室の温度が第1温度になるまで前記第1加熱器を用いて前記燃料電池を昇温するステップと、
前記発電室の温度が前記第1温度以上になった場合、前記第2加熱器を用いて前記燃料電池を更に昇温するステップと、
を備える、燃料電池システムの起動方法。
【請求項12】
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電可能な発電室を有する燃料電池と、
前記燃料電池からの排出される前記燃料ガス及び前記酸化剤ガスを含む排ガスを外部に排出するための排ガスラインと、
前記排ガスラインに設けられ、燃焼器動作温度以上において前記排ガスに含まれる未燃分を燃焼可能な燃焼器と、
前記排ガスラインのうち前記燃焼器の上流側又は下流側に設けられた第1加熱器と、
前記発電室の温度を検出するための発電室温度検出部と、
を備える、燃料電池システムの停止方法であって、
前記燃料電池を停止状態にするために前記発電室の温度を低下させる際に、前記燃料電池に対する前記燃料ガスの供給を停止するステップと、
前記発電室の温度が発電室燃焼が可能な第2温度以下に低下しても、前記燃焼器が前記燃焼器動作温度以上になるように、前記第1加熱器を用いて前記排ガスラインを流れる前記排ガスを加熱するステップと、
を備える、燃料電池システムの停止方法。
【請求項13】
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電可能な発電室を有する燃料電池と、
前記燃料電池からの排ガスが流れる排ガスラインと、
前記排ガスラインに設けられ、燃焼器動作温度以上において前記排ガスに含まれる未燃分を燃焼可能な燃焼器と、
前記排ガスラインのうち前記燃焼器の上流側又は下流側に設けられた第1加熱器と、
前記第1加熱器を通過した前記排ガスと、前記燃料電池に接続された酸化剤ガス供給ラインを流れる前記酸化剤ガスとを熱交換可能な熱交換器と、
前記酸化剤ガス供給ラインのうち前記熱交換器より下流側に設けられた第2加熱器と、
前記発電室の温度を検出するための発電室温度検出部と、
を備える、燃料電池システムの極低負荷運転方法であって、
前記燃料電池の要求負荷が通常運転の最低負荷より低いと判定された場合に、通常運転状態に比べて前記燃料電池に対する前記燃料ガスの供給量を減少させることにより前記燃料電池を極低負荷運転状態にするステップと、
前記極低負荷運転状態において前記発電室温度が発電可能な温度以上になるように前記第2加熱器を用いて温度維持するステップと、
前記燃焼器の温度が前記燃焼器動作温度以上になるように、前記第1加熱器を用いて前記排ガスラインを流れる前記排ガスを加熱するステップと、
前記燃料電池の要求負荷が有ると判定された場合に、前記燃料電池を前記通常運転状態にするステップと、
を備える、燃料電池システムの極低負荷運転方法。
【手続補正書】
【提出日】2023-03-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電可能な発電室を有する燃料電池と、
前記燃料電池からの排出される前記燃料ガス及び前記酸化剤ガスを含む排ガスを外部に排出するための排ガスラインと、
前記排ガスラインに設けられ、燃焼器動作温度以上において前記排ガスに含まれる未燃分を燃焼可能な触媒燃焼器である燃焼器と、
前記排ガスラインのうち前記燃焼器の上流側に設けられた第1加熱器と、
前記第1加熱器を通過した前記排ガスと、前記燃料電池に接続された酸化剤ガス供給ラインを流れる前記酸化剤ガスとを熱交換可能な熱交換器と、
を備える、燃料電池システム。
【請求項2】
前記燃焼器の入口温度を検出するための燃焼器入口温度検出部と、
前記燃焼器入口温度検出部によって検出された前記入口温度が前記燃焼器動作温度以上になるように、前記第1加熱器を制御する加熱器制御部と、
を備える、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記酸化剤ガス供給ラインのうち前記熱交換器より下流側に設けられた第2加熱器を備える、請求項1又は2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記発電室の温度を検出するための発電室温度検出部と、
前記発電室温度検出部によって検出された前記発電室の温度が、基準温度以上になるように、前記第2加熱器を制御する加熱器制御部と、
を備える、請求項3に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記酸化剤ガス供給ラインのうち前記熱交換器より下流側に設けられた第2加熱器と、
前記発電室の温度を検出するための発電室温度検出部と、
前記発電室温度検出部によって検出された前記発電室の温度に基づいて、前記第1加熱器及び前記第2加熱器を制御する加熱器制御部と、
を備え、
前記加熱器制御部は、
前記発電室の温度が第1温度になるまで前記第1加熱器を用いて前記燃料電池を昇温させ、
前記発電室の温度が前記第1温度以上になった場合、前記第2加熱器を用いて前記燃料電池を更に昇温させる、請求項1又は2に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
前記燃料電池から排出されるオフガスが流れるオフガスラインが、前記酸化剤ガス供給ラインのうち前記熱交換器の下流側に接続されるオフガス供給ラインを更に備える、請求項1又は2に記載の燃料電池システム。
【請求項7】
前記オフガスラインは、前記排ガスライン又は前記酸化剤ガス供給ラインのうち前記熱交換器の下流側に選択的に接続可能であり、前記発電室の温度が基準温度以上になった場合に、前記オフガスラインの接続先が、前記排ガスラインから前記酸化剤ガス供給ラインのうち前記熱交換器の下流側に切り替えられる、請求項6に記載の燃料電池システム。
【請求項8】
前記燃焼器は触媒燃焼器である、請求項1又は2に記載の燃料電池システム。
【請求項9】
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電可能な発電室を有する燃料電池と、
前記燃料電池からの排ガスが流れる排ガスラインと、
前記排ガスラインに設けられ、燃焼器動作温度以上において前記排ガスに含まれる未燃分を燃焼可能な燃焼器と、
前記排ガスラインのうち前記燃焼器の上流側又は下流側に設けられた第1加熱器と、
前記第1加熱器を通過した前記排ガスと、前記燃料電池に接続された酸化剤ガス供給ラインを流れる前記酸化剤ガスとを熱交換可能な熱交換器と、
前記酸化剤ガス供給ラインのうち前記熱交換器より下流側に設けられた第2加熱器と、
前記発電室の温度を検出するための発電室温度検出部と、
前記発電室温度検出部によって検出された前記発電室の温度に基づいて、前記第1加熱器及び前記第2加熱器を制御する加熱器制御部と、
を備え、
前記加熱器制御部は、
前記発電室の温度が第1温度になるまで前記第1加熱器を用いて前記燃料電池を昇温させ、
前記発電室の温度が前記第1温度以上になった場合、前記第2加熱器を用いて前記燃料電池を更に昇温させる、燃料電池システム。
【請求項10】
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電可能な発電室を有する燃料電池と、
前記燃料電池からの排ガスが流れる排ガスラインと、
前記排ガスラインに設けられ、燃焼器動作温度以上において前記排ガスに含まれる未燃分を燃焼可能な燃焼器と、
前記排ガスラインのうち前記燃焼器の上流側又は下流側に設けられた第1加熱器と、
前記第1加熱器を通過した前記排ガスと、前記燃料電池に接続された酸化剤ガス供給ラインを流れる前記酸化剤ガスとを熱交換可能な熱交換器と、
前記酸化剤ガス供給ラインのうち前記熱交換器より下流側に設けられた第2加熱器と、
前記発電室の温度を検出するための発電室温度検出部と、
を備える、燃料電池システムの起動方法であって、
前記発電室の温度が第1温度になるまで前記第1加熱器を用いて前記燃料電池を昇温するステップと、
前記発電室の温度が前記第1温度以上になった場合、前記第2加熱器を用いて前記燃料電池を更に昇温するステップと、
を備える、燃料電池システムの起動方法。
【請求項11】
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電可能な発電室を有する燃料電池と、
前記燃料電池からの排出される前記燃料ガス及び前記酸化剤ガスを含む排ガスを外部に排出するための排ガスラインと、
前記排ガスラインに設けられ、燃焼器動作温度以上において前記排ガスに含まれる未燃分を燃焼可能な触媒燃焼器である燃焼器と、
前記排ガスラインのうち前記燃焼器の上流側に設けられた第1加熱器と、
前記発電室の温度を検出するための発電室温度検出部と、
を備える、燃料電池システムの停止方法であって、
前記燃料電池を停止状態にするために前記発電室の温度を低下させる際に、前記燃料電池に対する前記燃料ガスの供給を停止するステップと、
前記発電室の温度が発電室燃焼が可能な第2温度以下に低下しても、前記燃焼器が前記燃焼器動作温度以上になるように、前記第1加熱器を用いて前記排ガスラインを流れる前記排ガスを加熱するステップと、
を備える、燃料電池システムの停止方法。
【請求項12】
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電可能な発電室を有する燃料電池と、
前記燃料電池からの排ガスが流れる排ガスラインと、
前記排ガスラインに設けられ、燃焼器動作温度以上において前記排ガスに含まれる未燃分を燃焼可能な燃焼器と、
前記排ガスラインのうち前記燃焼器の上流側又は下流側に設けられた第1加熱器と、
前記第1加熱器を通過した前記排ガスと、前記燃料電池に接続された酸化剤ガス供給ラインを流れる前記酸化剤ガスとを熱交換可能な熱交換器と、
前記酸化剤ガス供給ラインのうち前記熱交換器より下流側に設けられた第2加熱器と、
前記発電室の温度を検出するための発電室温度検出部と、
を備える、燃料電池システムの極低負荷運転方法であって、
前記燃料電池の要求負荷が通常運転の最低負荷より低いと判定された場合に、通常運転状態に比べて前記燃料電池に対する前記燃料ガスの供給量を減少させることにより前記燃料電池を極低負荷運転状態にするステップと、
前記極低負荷運転状態において前記発電室温度が発電可能な温度以上になるように前記第2加熱器を用いて温度維持するステップと、
前記燃焼器の温度が前記燃焼器動作温度以上になるように、前記第1加熱器を用いて前記排ガスラインを流れる前記排ガスを加熱するステップと、
前記燃料電池の要求負荷が有ると判定された場合に、前記燃料電池を前記通常運転状態にするステップと、
を備える、燃料電池システムの極低負荷運転方法。
【請求項13】
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電可能な発電室を有する燃料電池と、
前記燃料電池からの排出される前記燃料ガス及び前記酸化剤ガスを含む排ガスを外部に排出するための排ガスラインと、
前記排ガスラインに設けられ、燃焼器動作温度以上において前記排ガスに含まれる未燃分を燃焼可能な燃焼器と、
前記排ガスラインのうち前記燃焼器の上流側又は下流側に設けられた第1加熱器と、
前記第1加熱器を通過した前記排ガスと、前記燃料電池に接続された酸化剤ガス供給ラインを流れる前記酸化剤ガスとを熱交換可能な熱交換器と、
前記酸化剤ガス供給ラインのうち前記熱交換器より下流側に設けられた第2加熱器と、
前記発電室の温度を検出するための発電室温度検出部と、
前記発電室温度検出部によって検出された前記発電室の温度に基づいて、前記第1加熱器及び前記第2加熱器を制御する加熱器制御部と、
を備え、
前記加熱器制御部は、
前記発電室の温度が第1温度になるまで前記第1加熱器を用いて前記燃料電池を昇温させ、
前記発電室の温度が前記第1温度以上になった場合、前記第2加熱器を用いて前記燃料電池を更に昇温させる、燃料電池システム。
【請求項14】
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電可能な発電室を有する燃料電池と、
前記燃料電池からの排出される前記燃料ガス及び前記酸化剤ガスを含む排ガスを外部に排出するための排ガスラインと、
前記排ガスラインに設けられ、燃焼器動作温度以上において前記排ガスに含まれる未燃分を燃焼可能な燃焼器と、
前記排ガスラインのうち前記燃焼器の上流側又は下流側に設けられた第1加熱器と、
前記第1加熱器を通過した前記排ガスと、前記燃料電池に接続された酸化剤ガス供給ラインを流れる前記酸化剤ガスとを熱交換可能な熱交換器と、
前記燃料電池から排出されるオフガスが流れるオフガスラインが、前記酸化剤ガス供給ラインのうち前記熱交換器の下流側に接続されるオフガス供給ラインと、
を備え、
前記オフガスラインは、前記排ガスライン又は前記酸化剤ガス供給ラインのうち前記熱交換器の下流側に選択的に接続可能であり、前記発電室の温度が基準温度以上になった場合に、前記オフガスラインの接続先が、前記排ガスラインから前記酸化剤ガス供給ラインのうち前記熱交換器の下流側に切り替えられる、燃料電池システム。