(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166301
(43)【公開日】2023-11-21
(54)【発明の名称】トラックバース及び作業方法
(51)【国際特許分類】
B65G 69/22 20060101AFI20231114BHJP
E01F 1/00 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
B65G69/22
E01F1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022077274
(22)【出願日】2022-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】516387370
【氏名又は名称】株式会社オフィスバスターズ
(74)【代理人】
【識別番号】100112003
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100177312
【弁理士】
【氏名又は名称】辰己 雄一
(72)【発明者】
【氏名】安楽城 潤
【テーマコード(参考)】
2D101
3F078
【Fターム(参考)】
2D101CA16
2D101EA02
2D101FA25
3F078AA01
3F078DB01
3F078EA18
(57)【要約】
【課題】 荷物の積み降ろし作業の際に、トラックのテールゲートリフターやプラットフォームからの転落を効果的に防止して、より安全な作業を低コストで実現すること。
【解決手段】 トラックの荷台から荷物の積み降ろし作業を行うプラットフォームを有するトラックバースにおいて、トラックのテールゲートリフターの左右両端を夫々着座させるための突起部の外側両端からプラットフォームの側面に沿って、プラットフォームの上面から夫々鉛直方向に延出して一対の支柱を設け、
トラックの着車時には、両端に夫々第1掛止部と第2掛止部を有する連結手段の前記第1掛止部を前記一対の支柱の掛止穴に取り付ける支柱側連結手段取付段階と、前記連結手段の前記第2掛止部を前記トラックの荷台内部の両側面上に水平方向に延設されたレールの掛止穴に取り付けるトラック側連結手段取付段階とを実施する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラックの荷台から荷物の積み降ろしを行うプラットフォームを有するトラックバースであって、
着車部床面側から前記プラットフォームの側面に沿って鉛直方向に取り付けられた一対の支柱を備え、
当該一対の支柱の夫々は、前記トラックの荷台内部の両側面上に水平方向に延設されたトラックレールの被掛止部と夫々連結手段によって連結させるための被掛止部を有し、前記トラックの着車位置に該トラックの荷台の幅と略同一の間隔で前記プラットフォームの上面の高さよりも上方に延出していることを特徴とするトラックバース。
【請求項2】
前記プラットフォームの側面には、上面が前記プラットフォームの上面と略面一になるように、前記トラックのテールゲートリフターの左右両端を夫々着座させるための突起部を備え、
前記一対の支柱は、夫々前記突起部の外側両側面と前記プラットフォームの側面とで形成される角部に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のトラックバース。
【請求項3】
前記プラットフォームは、前記トラックのテールゲートリフターを収納可能な突き出し部を有するものであって、
前記突き出し部の天井面と、前記着車部床面との間で鉛直方向に固定される第一の支持手段と、
前記第一の指示手段と、前記支柱との間で水平方向に固定される一又は二以上の第二の指示手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のトラックバース。
【請求項4】
前記プラットフォームは、前記一対の支柱を一組として、複数組の支柱を備えており、
前記支柱は、略同一の高さ位置に2つの被掛止部を有し、一方の被掛止部は、前記連結手段を掛止させるためのものであり、他方の被掛止部は、隣接する他の組の支柱の被掛止部との間で第2の連結手段を掛止させるためのものであることを特徴とする請求項1に記載のトラックバース。
【請求項5】
請求項1に記載のトラックバースにおいて、両端に夫々第1掛止部と第2掛止部を有する複数の前記連結手段を用いて行うトラックの荷物積み降ろし前の作業方法であって、
前記複数の連結手段の前記第1掛止部を前記一対の支柱の被掛止部に夫々掛止させる支柱側連結手段取付段階と、
駐車されたトラックのテールゲートリフターを前記プラットフォームの上面と略同一の高さにセットする段階と、
その後、前記複数の連結手段の前記第2掛止部を、前記トラックの荷台内部両側面の前記トラックレールの被掛止部に夫々掛止させるトラック側連結手段取付段階と、
を含むことを特徴とする作業方法。
【請求項6】
請求項4に記載のトラックバースにおいて、両端に夫々第1掛止部と第2掛止部を有する複数の前記連結手段を用いて行うトラックの荷物積み降ろし前の作業方法であって、
前記複数の連結手段の前記第1掛止部を前記一対の支柱の被掛止部に夫々掛止させる支柱側連結手段取付段階と、
トラックの荷台をプラットフォームに近接させて着車させる段階と、
その後、前記複数の連結手段の前記第2掛止部を、前記トラックの荷台内部両側面の前記トラックレールの被掛止部に夫々掛止させるトラック側連結手段取付段階と、
作業を行わないエリアの互いに隣接する前記支柱間を第2の連結手段で繋ぐ段階と、
を含むことを特徴とする作業方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラックの駐車スペースと荷物の積み降ろしエリアであるプラットフォームとを有するトラックバースの構造及びトラックバースにおける作業方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、トラックバースにおいて荷物の積み降ろしをする際、
図22に示すように、トラック20の荷台開口部をプラットフォーム10側に向けて停車し、トラックのテールゲートリフター21を経由して荷物の積み降ろしを行う。
【0003】
このとき、荷物の積み降ろし作業の際にテールゲートリフターから作業者や荷物が転落する事故が数多く発生している。この問題に対して、たとえば、厚生労働省ではテールゲートリフターに転落防止用の安全柵を設けること(以下、「安全柵方式」ともいう。)を推奨している。(非特許文献1参照。)
【0004】
また、特許文献1では、プラットフォーム側にテールゲートリフターを収容する空間を設けたT字型構造体が提案されている。
【0005】
しかしながら、非特許文献1の技術では、テールゲートリフターとプラットフォームとの間に安全柵の無い隙間が生じるため、テールゲートリフターからプラットフォームへ移る際に、その隙間から足を踏み外したり転落したりする危険性がある。また、テールゲートリフターに安全柵を装備していないトラックについては従来と同様の危険性が存在する。一方、特許文献1の技術は、プラットフォーム下部にテールゲートリフターを収納して、トラック荷台開口部をプラットフォームに近接させて荷物の積み降ろしをするため非特許文献1に記載のテールゲートリフターに安全柵を設ける方法に比べて、より安全な作業が期待できるものの、T字型構造体を構築する必要があるためコストがかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】厚生労働省、"テールゲートリフターを安全に使用するために"P.4、[online]、[令和4年5月9日検索]、インターネット<URL:https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11300000-Roudoukijunkyokuanzeneiseibu/0000212477.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、倉庫での荷物の積み降ろし作業の際に、トラックのテールゲートリフターやプラットフォームからの転落を効果的に防止して、より安全な作業を低コストで実現することのできるトラックバース及び作業方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係るトラックバースは、トラックの荷台から荷物の積み降ろしを行うプラットフォームを有するトラックバースであって、
前記プラットフォームの側面に沿って取り付けられた一対の支柱を備え、
当該一対の支柱の夫々は、前記トラックの荷台内部の両側面上に水平方向に延設されたレールの掛止穴と夫々連結手段によって連結させるための掛止穴を有し、前記トラックの着車位置に該トラックの荷台の幅と略同一の間隔で前記プラットフォームの上面から夫々鉛直方向に延出していることを特徴とする。
【0010】
本発明では、トラックの荷台両側面のレールとプラットフォーム側とを直接連結手段(例えばベルト)で繋ぐための支柱をプラットフォーム側に設ける。これにより、テールゲートリフターに安全柵を備えないトラックに対しても安全に荷物の積み降ろし作業ができるトラックバースを提供することができる。特にテールゲートリフターの安全柵では、プラットフォームに荷物を移動させる際に、テールゲートリフターからプラットフォームへ移るタイミングで安全柵によるガードが無くなるので、所謂回り込みによる転落事故が発生する可能性がある。これを回避するためには、テールゲートリフターがプラットフォームに十分に近接するようにトラックを駐車させる必要がある。また、如何に近接させても、回り込みの転落事故を防止することが困難であるが、本発明では、プラットフォーム側支柱とトラック荷台との間で連結手段(ベルト)を張るので、安全柵方式に比べてトラック駐車時の駐車位置の精度は要求されず、また回り込みによる転落事故の発生を低減させることができる。
【0011】
また本発明では、前記プラットフォームの側面には、上面が前記プラットフォームの上面と略面一になるように、前記トラックのテールゲートリフターの左右両端を夫々着座させるための突起部を備え、
前記一対の支柱は、夫々前記突起部の外側両側面と前記プラットフォームの側面とで形成される角部に取り付けられていることを特徴とする。
【0012】
この突起部により、荷物の積み降ろし作業時にトラックのテールゲートリフターを安定してセットすることができ、またテールゲートリフターとプラットフォームとの段差を常に小さくすることができる。さらに一対の支柱をプラットフォーム側面のみでなく突起部の外側両側面にも接するように夫々取り付けることにより、支柱を安定的に固定させることができる。
【0013】
なお、突起部は、トラック荷台の右側用、左側用それぞれに分けて設けるようにしてもよい。また、この左右一対の突起部の間にドックレベラーを設けることにより、テールゲートリフターとプラットフォームの間の隙間や段差を解消して、より安全な作業環境を実現することができる。
【0014】
より好ましくは、作業を行わないエリア(非着車エリア)の互いに隣接する支柱間は第2の連結手段(例えば鋼製チェーン)を取り付けるようにするとよい。これにより、常にプラットフォームからの転落を効果的に防止することができ、さらに安全な積み降ろし作業が可能になる。
【0015】
また、本発明に係る作業方法は、上記のトラックバースにおけるトラックの荷物積み降ろし前の作業方法であって、
トラックの着車時には、両端に夫々第1掛止部と第2掛止部を有する前記連結手段の前記第1掛止部を前記一対の支柱の掛止穴に夫々取り付ける支柱側連結手段取付段階と、その後前記連結手段の前記第2掛止部を前記トラックの荷台内部の両側面上に水平方向に延設されたレールの掛止穴に夫々取り付けるトラック側連結手段取付段階とを実施することを特徴とする。
【0016】
好ましくは、プラットフォームに取り付けた支柱と支柱との間を第2の連結手段で繋ぐようにすると良い。特に、複数の着車エリアを有するプラットフォームにおいて、作業を行う着車エリアのみ第2の連結手段をはずし、着車エリアではない領域および作業を行わない着車エリアについては隣接する支柱同士を第2の連結手段で繋ぐことにより一連の荷物の積み降ろし作業においてプラットフォームからの転落を防止して、安全性の高い作業を可能にする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、トラックの荷室とプラットフォームに取り付けた支柱とを連結手段で繋ぐことにより、その間にあるテールゲートリフターからの転落を防止することができる。また、プラットフォームに取り付けた支柱と支柱との間をチェーンで繋ぐことにより、プラットフォームからの転落を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1の実施の形態によるトラックバースの構成図である。
【
図2】本発明の実施の形態によるベルト(第1の連結手段)の構成図である。図中の一点鎖線は省略線である。
【
図3】本発明の実施の形態に鋼製チェーン(第2の連結手段)の構成図である。図中の一点鎖線は省略線である。
【
図4】本発明の実施の形態によるトラックバースでの作業方法において、トラック着車時の状態を示す説明図である。
【
図5】
図1の支柱にベルトや鋼製チェーンを取り付けた状態を示す図である。
【
図6】
図5のベルト30と鋼製チェーン40aとを繋げた状態を示す図である。
【
図7】ベルト(第1の連結手段)と鋼製チェーン(第2の連結手段)を取り付けたときの状態を示す説明図である。
【
図8】本発明の他の実施例によるトラックバースの構成図である。
【
図9】
図8に連結手段を取り付けた様子を示す説明図である。
【
図11】
図1の他の実施例によるトラックバースの構成図である。
【
図12】
図1のトラックバースの平面図、正面図、左右側面図である。
【
図13】
図1の他の実施例によるトラックバースの当たり止めゴム(突起部)の説明図である。
【
図14】
図13の当たり止めゴムを有するプラットフォームに対する支柱の取り付け方の説明図である。
【
図15】
図14の取り付け方法で用いるアンカーボルトの外形図である。
【
図16】
図14の支柱にベルトや鋼製チェーンの取り付けた状態を示す図である。
【
図17】本発明の実施の形態によるプラットフォームの構造の違いによる支柱の取り付け方の違いの説明図である。
【
図18】本発明の第2の実施の形態による支柱の立設方法の説明図である。
【
図19】
図18の支柱にベルトや鋼製チェーンの取り付けた状態を示す図である。
【
図22】従来のトラックバースでの積み降ろし作業の様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の第1の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1において、本実施の形態によるトラックバースには、2つの当たり止めゴム(以下、「突起部」という。)11a,11bをその外側両端の距離がトラックの車幅と同程度か若干長くなる位置でプラットフォーム10の側面10bに取り付ける。突起部11a,11bの上面はプラットフォーム上面10aと略面一となっている。
【0020】
この1対の突起部11a,11bの外側両端とプラットフォーム側面10bとで形成される角辺に沿って、夫々支柱12a,12bがプラットフォーム10aから鉛直上方向に延出して取り付けられている。
【0021】
支柱12a,12bには
図2に示す構造のベルト(第1の連結手段)30と、
図3に示す構造の鋼製チェーン(第2の連結手段)40,40aが掛止可能になっている。ちなみに鋼製チェーン40と鋼製チェーン40aは長さが異なるのみで同じ構造を有している。ベルト30は、支柱12(12a,12b)に掛止するための金具(第1掛止部)32と、トラック荷台の両サイドに夫々設けられたレール(トラックレール)に掛止するための金具(第2掛止部)33を夫々の端に備えている。鋼製チェーン40,40aは、支柱12(12a,12b)に掛止するための金具(第1掛止部)32を両端に備えている。
【0022】
支柱12(12a,12b)には、
図10に示すように夫々第1掛止部32を引っ掛けるための穴(第1被掛止部)12-1(12-1a,12-1b)が複数設けられている。
【0023】
また、トラックレール22には、
図4に示すように夫々第2掛止部33を引っ掛けるための穴(第2被掛止部)22-1が複数設けられている。なお
図4では、ベルト30や鋼製チェーン40,40aの図示を省略している。
【0024】
<突起部の構成>
図12に示すように、突起部11a,11bは、夫々プラットフォーム側面10bにアンカーボルト等で取り付けられる金属ベース(11-1a,11-1b)と、当該金属ベースに取り付けらる当たり止めゴム(11-2a,11-2b)から構成される。金属ベースはプラットフォーム上面10aと略面一になるように取り付けられ、あたり止めゴムは、それよりもトラックテールゲートリフターの厚さ分だけ低い位置に取り付けられる。テールゲートリフターは突起部11a,11bの当たり止めゴム上に着座する。テールゲートリフターが当たり止めゴムに着座したときに、テールゲートリフターの上面は、プラットフォーム上面10aと略面一になる。
【0025】
<支柱の取り付け方法>
支柱12a,12bは、突起部11a,11bの外側両端に沿って、プラットフォーム側面10bにアンカーボルト等で取り付けられる。なお、支柱の取り付け方は、これに限らず例えば、突起部11a,11bの金属ベース側面に取り付けるようにしてもよい。支柱12(12a,12b)は、
図10に示すように、断面コの字型で少なくとも対向する両側面には、複数の掛止穴12-1(12-1a,12-1b)を備える。支柱12(12a,12b)の中央面にはプラットフォーム側面10bに取り付けるための穴(図示せず)が設けられており、この穴を通してプラットフォーム側面10bあるいは突起部11a,11bの側面にボルトナット等の締結手段によって取り付けられる。支柱12(12a,12b)としてスチール製中量棚(耐荷重300kg)を用いることができる。なお、支柱12の対向する両側面の掛止穴は同じ位置(高さ)に設けられている。支柱12は、プラットフォーム上面10aから鉛直方向に突出しているが、その突出部分のプラットフォーム上面からの高さは1200mm程度あるいはそれ以上であるのが好ましい。また、プラットフォーム上面10aから少なくとも1100mm±50mm程度の位置、および550mm±50mm程度の位置に掛止穴12-1が設けられているのが安全な作業を実現する上で好ましい。
【0026】
<ベルト30の構成>
図2に示すように、ベルト30は、ベルト本体31と、第1掛止部32と、第2掛止部33を備える。第2掛止部33は、リング34を介して、ベルト本体31に取り付けられている。ベルト本体31は玉掛作業用のスリングベルト(繊維スリングを含む。)など、耐荷重性能の高いベルトを用いることができる。
【0027】
ベルト30を支柱12a,12bに取り付ける部分には、支柱12a,12bの掛止穴、およびリング34に掛止可能な部品を第1掛止部32として用いる。一方、ベルト30をトラックレール22に取り付ける部分には、トラックレールへの掛止用の専用部品を第2掛止部33として用いる。このように特にトラックレール側の掛止部を取り替え可能にすることにより、着車するトラックのトラックレールのタイプに合わせた適切な掛止部33をベルト本体31に取り付けて使用することができる。
【0028】
<鋼製チェーン40,40aの構成>
図3に示すように、構成チェーン40,40aは、チェーン本体41と両端に第1掛止部32を備えて構成される。鋼製チェーン40は、非着車エリアにおいて隣合う支柱12間を繋ぐために用いられ、鋼製チェーン40aは、着車エリアにおいて一方の支柱12に繋がれたベルト30の解放端と、他方の支柱12とを繋ぐために用いられる。
【0029】
図5は、着車エリアを挟む支柱12a,12bへのベルト30,鋼製チェーン40,40aの取り付け状態を示す図である。この図に示すように、支柱12a,12bの着車エリア側には複数のベルト30が繋がれる。さらに一方の支柱(
図5では支柱12a)には、ベルト30の掛止位置と同じ位置あるいは近傍の位置に鋼製チェーン40aが繋がれる。支柱12a,12bの非着車エリア側には、鋼製チェーン40が隣接する支柱との間で繋がれる。
【0030】
<作業方法の説明>
非着車エリアの隣合う支柱間は常時鋼製チェーン40で接続しておく。着車エリアについては、荷物の積み降ろし作業のないときは、
図6に示すように、鋼製チェーン40aの第1掛止部32を他方の支柱に繋がるベルト30のリング34に掛けることにより、ベルト30と鋼製チェーン40aを一体として支柱12a,12b間に張る。これにより、非作業時におけるプラットフォームからの不慮の転落事故を防止することができる。
【0031】
次にトラック着車時の作業手順について説明する。
(1)作業開始前は
図6の接続状態にあるので、まず着車エリアの支柱12a,12b間の鋼製チェーン40aとこれに繋がるベルト30とを切り離して
図5の状態にする。
(2)トラックは荷台の開閉扉をプラットフォーム側に向けて着車し、テールゲートリフターを突起部11a,11b上に着座させる。
(3)その後、ベルト30の他端(第2掛止部33)をトラック荷室内のトラックレール22の掛止穴に取り付ける。
上記(1)~(3)の手順のうち、(1)と(2)の順番を変えてもよい。
【0032】
以上の手順により、荷物の積み降ろし作業時は、
図7に示すように、トラックの荷台を開いた状態で、荷台、テールゲート、プラットフォームの全域にかけてベルト30、および鋼製チェーン40を間断無く張り、作業中の転落事故を防止することができる。
【0033】
荷物の積み降ろし作業後は、全てのベルト30をトラックレールから切り離し、支柱12aの鋼製チェーン40aと支柱12bのベルト30とを連結することによって、再び
図6の状態に戻す。
【0034】
以上、一つの着車エリアについて説明したが、
図1に示した突起部11a,11bと支柱12a、12bとを一組として、同一プラットフォームの側面10bに複数組の突起部11a,11bと支柱12a、12bを設けることができる。これにより、プラットフォーム上で複数の積み降ろし作業が可能となり、複数の作業を同時に行っても安全性を担保することができる。
【0035】
次に
図7に基づいて、ベルト30や鋼製チェーン40,40aの支柱への取付高さ等について説明する。
図7は、トラックレール22がトラック荷台の左右両側面に夫々上下2段に設けられている例である。この場合、左右夫々上段のトラックレール22からのベルト30は、支柱12のうち、プラットフォームからの高さ1100mm程度の位置にある掛止穴に取り付け、下段のトラックレール22からのベルト30は、支柱12のうち、プラットフォームからの高さ550mm程度の位置にある掛止穴に取り付ける。この位置に取り付けることにより、作業性を阻害することなくプラットフォームからの転落を効果的に防止することができる。このとき、支柱間を繋ぐ鋼製チェーン40は、支柱12においてベルト30が取り付けられた掛止穴と対向する掛止穴に取り付けるのが好ましい。
【0036】
トラックレール22がトラック荷台の左右両側面に夫々一段のみ設けられている場合は、それぞれのトラックレール22から、プラットフォームからの高さ1100mm程度の位置にある掛止穴12-1に取り付けるのが好ましい。支柱12に掛止穴(より具体的には2つの上下隣接する穴で形成される被掛止部)を、例えば100mm程度の間隔で設けておけば、トラックレール22が片側3段以上の場合も含めて、作業状態に合わせて適宜適切な高さにベルト30あるいは鋼製チェーン40を取り付けることができる。
【0037】
ベルト30の長さは、トラックのテールゲートの奥行き+トラックレールの荷台開口部付近の掛止穴までの長さに、着車の際の誤差等を考慮して若干のマージンを加えた値にするのが好ましい。鋼製チェーン40aの長さは、支柱12a,12bの間隔とベルト30の長さから決定することができる。鋼製チェーン40の長さは、非着車エリアの支柱間隔に基づいて決定することができる。
【0038】
(他の実施例1)
図8に示すように、プラットフォーム10の突起部11a,11b間にドックレベラー13を設けるようにしてもよい。これにより、
図9に示すように、トラックのテールゲートリフターとプラットフォーム間の隙間を効果的に塞ぎ、より安全な積み降ろし作業が可能になる。
【0039】
(他の実施例2)
上記の説明において、着車エリアにおいて一対の突起部11(11a,11b)を、プラットフォーム側面に取り付けることとしたが、
図11に示すように、この突起部11(11a,11b)を設けなくても従来に比べて優れた転落防止効果を奏する。この場合は、支柱12(12a,12b)をトラック着車時の荷台の両側面位置に対応するプラットフォーム側面の位置に当該荷台の幅と略同一の間隔をもって鉛直方向に取り付ける。その他の取り付け方は
図1を用いて説明したとおりである。
【0040】
なお、突起部11を設ける場合は、一対の突起部11a,11bを一体として、一つの四角柱形状で構成することもできる。この場合は、
図8に示すような、突起部11a,11b間にドックレベラー13を設けることはできないが、テールゲートリフターを安定して着座させることができるという効果を奏する。
【0041】
(他の実施例3)
プラットフォーム10には、その側面の上部全体に亘って断面が蒲鉾(半円)状の当たり止めゴム113を装着するようにしても良い。本実施例では、この場合の支柱12(12a,12b)の取り付け方について説明する。
【0042】
この場合、
図13に示すように、トラック着車位置の荷台両外側に当たる位置の当たり止めゴム11の一部を、鉛直方向に支柱12の幅で切断する。切断箇所を符号19で示す。すなわち、プラットフォーム側面10bに支柱12を立設する際に支柱12が当たる部分のみを切断して、プラットフォーム側面10bを露出させる。
【0043】
図14に示すように、断面コの字型の支柱12の中央面を露出したプラットフォームの側面10bの略全体に亘って鉛直方向に当接させる。そして、支柱12の中央面の少なくともプラットフォーム側面10bの上部、下部の2箇所を
図15に示すアンカーボルト71で固定する。
【0044】
このようにして設置された支柱12には、
図16に示すように、上述した適切な高さ位置にベルト(連結手段)30や鋼製チェーン(第2の連結手段)40が掛けられる。この使用方法は上述したとおりである。
【0045】
<本実施形態の効果>
以上、本実施の形態によれば、荷物の積み降ろし作業の際の人や物の転落を防止して、安全な作業を低コストで実現することができる。
特に、本実施の形態の構成は、主な工事はプラットフォーム側面と両突起部の外側角に金属製の支柱を取り付けるのみなので、現状支柱の無いトラックバースでも簡単な工事で支柱を取り付けることができ、また容易に取り外すことができる。さらに退去の際等の原状復帰工事も容易に行うことができる。
【0046】
本実施の形態は、輸送時の荷崩れ防止のために、荷物を固定して運ぶときに使用するトラックレールを荷物の積み降ろしの際にも有効に利用するものである。このトラックレールは、多数の掛止穴を有し荷台内両側に夫々水平方向に延在する。そして、荷物の積み降ろし作業の際は、プラットフォームの支柱側に先にベルトの一端を掛けた後に、トラックレールの掛止穴にベルトの他端を掛けるので、トラックの大きさやテールゲートリフターの長さ、あるいは停車位置に拘らず、強度の高いベルトを常に適度な緊張状態で張ることができる。このため、ベルトの取り付け後は、プラットフォームとトラック荷台の間にあるテールゲートリフターを挟んでベルトが安全性の高い手すりの役割を担い、作業者や荷物の転落を効果的に防止することができる。
【0047】
本実施の形態では、断面コの字型の支柱12a,12bの中央面をプラットフォーム側面10bに当接して取り付けて、当該支柱の対向面のうち一方の面の掛止穴をベルト30(連結手段)の取り付け用に用い、他方の面の掛止穴を鋼製チェーン40(第2の連結手段)の取り付け用に用いる。これにより、ベルト30と鋼製チェーン40、あるいは鋼製チェーン40同士が互いに干渉せず、夫々適切な高さに取り付けることができる。
【0048】
また、本実施の形態では、非作業時は、着車エリアの支柱間を一本の鋼製チェーンで繋ぐのではなく、ベルト30と鋼製チェーン40aとを連結させて繋ぐ構成としている。荷物の積み降ろし作業時は、鋼製チェーン40aは不使用状態となるが、一本の鋼製チェーン40で繋いだ場合に比べて長さが短いので、作業の邪魔にならず、より安全な作業が可能となる。
【0049】
次に本発明の第2の実施の形態について説明する。
第1の実施の形態では、所謂垂直タイプのプラットフォームについて一対の支柱12(12a,12b)を設ける場合について説明したが、本実施の形態では特許文献1に記載されているような、トラック着車時にテールゲートリフターをプラットフォーム下部の空洞内に収納するタイプ(所謂突き出しタイプ)のプラットフォームに支柱を設ける場合について説明する。
【0050】
垂直タイプのプラットフォームに対して支柱を取り付ける場合、
図17(a)に示すように、プラットフォームの側面に支柱を2箇所以上で止めることができるが、突き出しタイプでは、
図17(b)に示すように支柱の固定箇所が限られているため、支柱が不安定になりやすい。ここで、符号10cは、プラットフォーム10の突き出し部を示す。
【0051】
以下、この問題に対処して、支柱を簡便に安定的に設置する方法について
図18を参照しながら説明する。なお、本実施の形態では、断面コの字型の支柱12に代えて、断面円型の単管パイプの支柱60を用いる。ここで支柱60は、第1の実施の形態と同様に着車エリアの左右両側に夫々設けられるため、必要により、夫々の側を示す添え字a,bを付して符号60a、60bというように表す。他の要素についても同様である。
図20に本実施の形態で用いる部品の一覧を示す。
【0052】
支柱60を立設するために、突き出しタイプのプラットフォームに対して、まず縦固定用の単管パイプ50をプラットフォーム空洞部内に固定する。
【0053】
固定の仕方は、単管パイプ50の上側をプラットフォーム突き出し部10cの天井部に固定ベース52で固定する一方、単管パイプ50の下側は、着車部底面(以下、単に「底面」という)2との間にミニジャッキ53を固定して適度な強度で単管パイプ50をプラットフォーム突き出し部10cの天上と底面2との間に固定する。
【0054】
また底面2にパイプスタンド56を固定し、当該パイプスタンド2上に単管パイプ型の支柱60を立設する。そして、この支柱60と、縦固定用の単管パイプ50との間を水平方向に横固定用の単管パイプ51を設置する。この設置のしかたは、
図18に示すように、支柱60側には、T型パイプジョイント(例えば、DCクロームチーズ回転止ネジネジ付)55、縦固定用の単管パイプ50側側にはクランプ54を用いて固定することができる。空洞内の2箇所以上でこの横固定用の単管パイプ51を用いて固定することによって支柱60を安定して立設することができる。第1の実施の形態と同様に、この支柱60は着車エリアの、トラックの荷台幅に合わせて左右一対を一組として立設される。したがって、上記の設置作業は一対の支柱60(60a.60b)の夫々について実施する。
【0055】
図18では、緩衝用にプラットフォームの突き出し部10cに沿って水平に蒲鉾状の当たり止めゴム(突起部)11を取り付けた状態で支柱60を設置している。勿論、当たり止めゴム11を設けずに支柱60を設置したり、当たり止めゴム11に支柱60の幅で切り込みを入れて、プラットフォーム突き出し部10cに近接させて支柱60を設置したりするなど適宜変更して実施してもよい。
【0056】
このようにして設置された単管パイプ型の支柱60(60a,60b)には、ベルト(連結手段)30や鋼製チェーン(第2の連結手段)40を張るため、
図19に示すように、第1の実施の形態で述べた適切な高さ位置に単管金具62(62a,62b)が装着される。また支柱60(60a,60b)の上部には端末キャップ61(61a,61b)が装着される。
【0057】
各単管金具62は、2箇所にベルト30や鋼製チェーン40の掛止部32を掛止するための金具(被掛止部)62-1を備えている。この単管金具62の被掛止部62-1に、着車エリアにはベルト30を掛け、着車エリア以外には、鋼製チェーン40を掛ける。
【0058】
単管金具62の被掛止部62-1は、両方、あるいは一方がネジ式になっており、ネジを締めることにより単管金具62の内側にネジの先が突出して支柱60を締め付けて固定されるようになっている。
【0059】
このように構成されたトラックバースにおける荷物の積み降ろし作業は、第1の実施の形態と同様である。作業時のベルトや鋼製チェーンの掛止状態を
図21に示す。
【0060】
<本実施形態の効果>
以上、本実施の形態によれば、突き出しタイプのプラットフォームに対しても、簡便に支柱の立設、およびベルトを張ることができ、作業エリアでは、トラックと支柱間でベルとを張り、非作業エリアではチェーンを張ることにより、荷物の積み降ろし作業時の転落を防止して安全な作業が可能になる。
【0061】
本発明は上述した実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実現することができる。例えば、トラック荷台内の荷物を固定させるための、両端に第2掛止部33を備える収納ベルトの一端に第1掛止部32を共に取り付けて、プラットフォームへの着車時にこの収納ベルトの第1掛止部を支柱12,60に掛け、他端の掛止部33をトラックレールに掛けるようにしてもよい。
【0062】
また各実施の形態、実施例で述べた構成は単独であるいは組み合わせて実現することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 トラックバース
11(11a,11b) 突起部
12(12a,12b),60(60a,60b) 支柱
13 ドックレベラー
20 トラック(車両)
21 テールゲートリフター
22 トラックレール
30 ベルト(連結手段、第1の連結手段)
31 ベルト本体
32 第1掛止部
33 第2掛止部
40,40a 鋼製チェーン(第2の連結手段)
50 単管パイプ
51 単管パイプ
52 固定ベース
53 ミニジャッキ
54 クランプ
56 パイプスタンド
61 端末キャップ
62 単管金具(被掛止部)
71 アンカーボルト