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特開2023-166347シール材塗布ステーションと部品接続用組立システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166347
(43)【公開日】2023-11-21
(54)【発明の名称】シール材塗布ステーションと部品接続用組立システム
(51)【国際特許分類】
   B23P 19/04 20060101AFI20231114BHJP
【FI】
B23P19/04 Z
B23P19/04 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023077367
(22)【出願日】2023-05-09
(31)【優先権主張番号】10 2022 111 518.6
(32)【優先日】2022-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】514284062
【氏名又は名称】プレミアム アエロテック ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ニーダーメイヤー
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス キーファー
(72)【発明者】
【氏名】トビアス キューゲルマン
(72)【発明者】
【氏名】マルクス ウィッケンブルク
【テーマコード(参考)】
3C030
【Fターム(参考)】
3C030BA00
3C030BB02
3C030BC04
3C030BC27
(57)【要約】      (修正有)
【課題】組立システムを用いて2つの部品を接続するための工程の自動実行を改善する。
【解決手段】シール材塗布ステーション200と組立ツールとを備える組立システムであって、2以上の部品を接続するために使用され、シール材塗布ステーション200は、コネクタ215にシール材220を塗布し、コネクタ供給システム内に配置される。シール材220が塗布されたコネクタ215は、組立ツールに搬送される。組立ツールは、コネクタとドリルが互いに軸方向に整列することができるドリルスピンドルを備え、ドリルスピンドルは、接続される部品に孔をあけ、加工軸に沿った直線移動によって穿孔された孔にコネクタを配置することができる組立システム。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物(400)を接合するためのコネクタ(215)にシール材を塗布するためのシール材塗布ステーション(200)であって、
前記コネクタ(215)を前記シール材塗布ステーション(200)に供給するように構成された供給部(101)と、
前記シール材塗布ステーション(200)から前記コネクタ(215)を排出するように構成された排出部(201)と、
前記供給部(101)により供給された後の前記コネクタを保持するように配置された保持ユニット(210)と、
該保持ユニット(210)によって保持された前記コネクタ(215)を把持するように構成されたグリッパ(205)と、
回転軸(217)回りに前記グリッパ(205)を回転(207)させるように構成された駆動ユニット(204)と、
該駆動ユニット(204)が前記回転軸(217)回りに前記グリッパ(205)を回転させる間に、前記コネクタ(215)にシール材を塗布するように構成されたシール材塗布ユニット(208)とを備え、
前記保持ユニット(210)は、前記シール材塗布ユニット(208)が前記コネクタ(215)にシール材を塗布した後に、排出口(214)を開放するように移動可能であるシール材塗布ステーション(200)。
【請求項2】
前記供給部(101)の出口端に配置され、前記グリッパに機械的に結合された移送ステーション(202)をさらに備え、
前記駆動ユニット(204)は、該駆動ユニット(204)の動作が前記移送ステーション(202)に伝達され、それによって前記グリッパが前記回転軸回りに回転するように、前記移送ステーション(202)に結合されている請求項1に記載のシール材塗布ステーション(200)。
【請求項3】
前記シール材塗布ユニット(208)が、前記コネクタ(215)に対して予め設定可能な距離を想定して、前記コネクタ(215)の半径方向(209)に移動可能である請求項1または請求項2に記載のシール材塗布ステーション(200)。
【請求項4】
前記シール材塗布ユニット(208)と前記コネクタ(215)との間の距離を検出するように構成されたセンサユニット(250)をさらに備える請求項3に記載のシール材塗布ステーション(200)。
【請求項5】
前記グリッパ(205)が、異なる寸法を有する前記コネクタ(215)を把持できるように前記コネクタ(215)のサイズに調整可能な少なくとも2つの把持フィンガ(206)を有する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のシール材塗布ステーション(200)。
【請求項6】
前記グリッパ(205)は、前記コネクタ(215)の中心軸が前記グリッパ(205)の前記回転軸(217)と一致するように、前記コネクタ(215)を保持する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のシール材塗布ステーション(200)。
【請求項7】
前記保持ユニット(210)が、前記排出口を露出させるために、前記コネクタ(215)の搬送方向に対して横方向に移動可能である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のシール材塗布ステーション(200)。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のシール材塗布ステーション(200)と、
作業工程において前記コネクタを加工するための組立ツール(300)とを備える組立システム(1)。
【請求項9】
前記組立ツール(300)が、2つの部品(400A,400B)を接続するように構成され、かつ、エンドエフェクタ(310)を備え、
該エンドエフェクタ(310)が、
ドリルビット(315)を有するドリルスピンドル(311)であって、加工軸(319)回りに前記ドリルビット(315)を回転させるように構成されたドリルスピンドル(311)と、
前記供給部(201)から前記コネクタ(215)を受け取り、それを加工位置に配置するように構成された設定フィンガ(317)とを備え、
前記ドリルスピンドル(311)が、前記加工軸(319)に沿って長手方向に移動されるように構成され、
前記設定フィンガ(317)は、関節(318)回りに移動され、かつ、前記コネクタ(215)が前記ドリルビット(315)と軸方向に整列されるように前記コネクタ(215)を位置決めするように構成され、
前記ドリルスピンドル(311)が、前記加工軸(319)に沿った移動によって前記コネクタ(215)を前記部品(400A,400B)に挿入し、それによって前記部品を一緒に接続するように構成されている請求項8に記載の組立システム(1)。
【請求項10】
前記シール材塗布ステーション(200)が、単一の供給チューブ(201)を用いて前記コネクタ(215)を供給するために前記組立ツール(300)に接続され、
前記単一の供給チューブ(201)が、異なる寸法の前記コネクタ(215)を前記組立ツールに供給するように構成されている請求項9に記載の組立システム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、製造技術、特に、製造工程において使用可能な自動機に関するものである。特に、本開示は、シール材塗布ステーションおよび組立ツール、並びに、このようなシール材塗布ステーションおよび/または組立ツールを備える組立システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現代の組立工程は、手作業による組立工程が自動化された解決策に取って代わられることが多いという特徴がある。自動化された解決策は、通常、事前に定義された順序で実行されるステップを実行する適切な機械を使用することを含んでいる。
【0003】
組立工程における自動化された解決策の評価基準は、自動化工程の安定性、個々の作業工程と作業結果の再現性、および自動化工程において達成された、例えば、統合品質管理手段による品質の検証可能性が含まれる。
【0004】
手作業により行われる組立工程と比較して、自動化された解決策は、品質の向上、リードタイムの短縮、再現性の向上をもたらすことができる。さらに、自動化された組立工程は、個々の作業工程を最適化したり、使用するツールを適合させたりすることにより、改善できる可能性もある。
【発明の概要】
【0005】
したがって、組立システムを用いて2つの部品を接続するための工程の自動実行を改善することが課題であると考えることができる。
この課題は、独立請求項の主題によって解決される。さらなる実施形態は、従属請求項、および以下の説明から生じる。
【0006】
この説明に関連して、シール材塗布ステーションと組立ツールとについて説明する。シール材塗布ステーションおよび組立ツールは、組立システムにおいて一緒に使用することができる。しかし、シール材塗布ステーションと組立ツールは、別々に使用することもできる。例えば、シール材塗布ステーションは、別の組立ツールと一緒に使用することもできる。逆に、組立ツールは、シール材塗布ステーションと共に、またはシール材塗布ステーションなしで使用することもできる。
【0007】
本開示において、シール材塗布ステーションおよび組立ツールの両方が記載されているのは、これら2つのユニットが相互に作用することができ、1つのユニットの機能の一部が他のユニットの機能に関連して説明されるためである。この点において、シール材塗布ステーションおよび組立ツールの両方は、全体の文脈を理解するのに役立つので、本開示の残りの部分において説明される。
【0008】
第1の態様によれば、作業対象物を接合するためのコネクタにシール材を塗布するためのシール材塗布ステーションが開示される。シール材塗布ステーションは、供給部と、排出部と、保持ユニットと、グリッパと、駆動ユニットと、シール材塗布ユニットとを備える。供給部は、コネクタをシール材塗布ステーションに供給するように構成されている。排出部は、シール材塗布ステーションからコネクタを排出するように構成されている。保持ユニットは、供給部による供給後に、コネクタを保持するように配置されている。グリッパは、保持ユニットによって保持されたコネクタを把持するように構成されている。駆動ユニットは、回転軸回りにグリッパを回転させるように構成されている。シール材塗布ユニットは、駆動ユニットがグリッパを回転軸回りに回転させている間に、コネクタにシール材を塗布するように構成されている。保持ユニットは、シール材塗布ユニットがコネクタにシール材を塗布した後に、排出口を開放するように移動可能である。
【0009】
シール材塗布ステーションは、例えば、作業対象物の製造において、特に、コネクタの前処理を含む製造ステップに使用することができる。この場合には、後続の処理工程において2つの部品を接合または結合して部品を形成するために使用されるコネクタに、シール材を塗布することを目的としている。コネクタは、例えば、インパクトリベットあるいはスクリュリベットであってよく、部品を接合するために部品の孔に挿入される前にシール材が塗布され、接合部を封止する。
【0010】
部品は、例えば、接合部において気密性を確保するように接合する必要がある航空機の胴体部品であってもよい。また、コネクタが配置されている場所についても同様である。そのため、部品の対応する孔に挿入される前に、コネクタにシール材が塗布される。
【0011】
例えば、2液型バインダをシール材として使用することができ、このバインダは、高硬度にもかかわらず高い弾性を有し、例えば-60℃から+100℃の比較的広い温度範囲において強度特性を維持する。
【0012】
供給部および排出部は、真空または圧縮空気によってコネクタを搬送することができる一体型のチューブシステムとして設計することができる。チューブシステムによるコネクタの搬送は、原理的には公知である。その詳細については、ここではこれ以上説明しない。コネクタは、チューブシステムによって搬送され、その過程で一定の向きになる。リベットの形をしたコネクタは、好ましくは、リベットの頭部が(移動方向)前方にある状態で搬送される。これは、コネクタの頭部が保持ユニットに当たり、この向きでグリッパに把持されることを意味する。排出口を経由したさらなる搬送のために、コネクタはこの基本的な向きを保持する。
【0013】
排出口は、好ましくは、コネクタの送り方向に沿って配置され、それによって、コネクタは、供給部によって挿入され、グリッパによって保持され回転させられた後に、保持ユニットが排出口を開放するとすぐに、排出口を通過する。これにより、コネクタは供給部から取り出され、シール材を塗布され、さらなる処理にむかって進行させられるという利点がある。複雑な搬送機構は必要ではない。むしろ、コネクタは供給部から排出され、その移動はまず保持ユニットによって止められ、次にグリッパによって把持され、シール材塗布ユニットの前で回転運動するようにセットされる。好ましくは、コネクタを360°回転させ、それによって、その全周にシール材を吹き付ける。この工程では、グリッパを回転させる駆動ユニットのみが必要である。グリッパは必ずしも並進運動を行う必要はない。
【0014】
保持ユニットは、2つの状態のいずれかを取ることができる。第1の状態においては、保持ユニットは排出口を塞ぎ、供給部から排出されようとするコネクタを保持する。このコネクタの位置において、コネクタはグリッパによって把持され、回転させられる。第2の状態においては、保持ユニットは、例えば保持ユニットが回転運動または直線運動を行うことによって排出口を開放し、その後、コネクタは排出口に配置され、次の処理工程に搬送される。
【0015】
シール材塗布ユニットは、例えば、シール材塗布ユニットの開口からシール材を押し出すかスプレーすることによって、シール材をコネクタに塗布する。この目的のために、シール材塗布ユニットは、コネクタの表面から予め決められた距離に移動させられる。シール材は、好ましくは、液体状態で、例えば、シール材塗布ユニットに配置された開口またはノズルによって、コネクタの表面領域に塗布される。グリッパを用いてコネクタを回転させることにより、シール材は、好ましくは、周方向全周および長手方向の一定の領域にわたって、コネクタに塗布される。
【0016】
一実施形態によれば、シール材塗布ステーションは、供給部の出口端に配置され、グリッパに機械的に結合された移送ステーションをさらに備える。駆動ユニットは移送ステーションに結合され、それによって、駆動ユニットの動作が移送ステーションに伝達され、グリッパが回転軸回りに回転させられる。
【0017】
例えば、駆動ユニットは、駆動ベルトによって移送ステーションに結合される。駆動ユニットは、例えば、電気モータまたは他の適切な駆動装置でよい。移送ステーションは、供給部の一端に回転可能に配置される。
【0018】
例えば、グリッパは、1つの処理工程(すなわち、1つのコネクタにシール材を塗布する工程)において360°時計回りに回転し、その後の処理工程(すなわち、次のコネクタにシール材を塗布する工程)において360°反時計回りに回転するように回転されてもよい。したがって、同一方向への無制限の回転を可能にする誤差を生じやすい構成要素を省くことができるため、移送ステーションおよびグリッパの回転機構の複雑さを低減することができる。
【0019】
さらなる実施形態によれば、シール材塗布ステーションは、コネクタに対して予め定められた距離を想定するために、コネクタの半径方向に移動可能である。
【0020】
したがって、コネクタの表面にシール材が塗布される前に、シール材塗布ユニットをコネクタの表面から適切な距離に持っていくことができる。例えば、この距離は、使用されるシール材に応じて、またシール材を塗布される表面積の大きさに応じて、調整または変化させることができる。
【0021】
さらなる実施形態によれば、シール材塗布ステーションは、シール材塗布ユニットとコネクタまたはその表面との間の距離を検出するように設計されたセンサユニットを有する。
【0022】
検出された距離は、シール材塗布ステーションのコントローラに送信することができ、それにより、コントローラは、シール材塗布ユニットの駆動を適宜制御することによって、シール材塗布ユニットとコネクタの表面との間の距離を所望の値に調整することができる。
【0023】
さらなる実施形態によれば、グリッパは、異なる寸法のコネクタを把持できるように、コネクタのサイズに調整可能な少なくとも2つの把持フィンガを有する。
【0024】
少なくとも2つの把持フィンガは、把持動作を行うように構成されている。把持動作を行うために、アクチュエータ(例えば、電気機械式/油圧式/空気圧式)がグリッパおよび把持フィンガに結合されている。把持動作の間、把持フィンガは互いに向かう方向に移動する。アクチュエータは、コネクタに加えられる所定の把持力に達したときに把持動作を停止するように制御することができる。把持フィンガは、実行される処理工程の間、コネクタが把持フィンガの間にしっかりと保持されるように、コネクタを把持するために把持表面がコーティングされるか、または、準備されていてもよい。また、把持フィンガは、機械的なバネやクランプ要素によって、解放位置から把持位置まで移動させることもできる。したがって、アクチュエータは把持フィンガを開くためにのみ必要であり、一方、把持フィンガは、アクチュエータが把持フィンガを開いた状態に保持しなくなったときに、ばねまたは引張り要素によって把持動作を行う。
【0025】
別の実施形態によれば、グリッパは、コネクタの中心軸がグリッパの回転軸と一致するように、コネクタを保持する。
【0026】
したがって、グリッパが回転軸回りに回転しても、コネクタは並進移動しない。むしろ、コネクタは同じ場所に留まり、グリッパの回転軸と一致するその中心軸回りにのみ回転される。シール材塗布ユニットがコネクタの表面から所定の距離に配置されると、この距離は、グリッパがコネクタと一緒に回転しても維持され、これは特に回転対称のコネクタに当てはまる。このため、シール材は、コネクタの全周にわたって同じ距離から塗布され、全周にわたって均一な量で塗布される。
【0027】
さらなる実施形態によれば、保持ユニットは、排出口を開放するために、コネクタがグリッパによって保持される位置にあるときに、コネクタの搬送方向またはコネクタの長手軸に対して横方向に移動可能である。
【0028】
例えば、保持ユニットは、排出口を塞ぐ第1の状態から、排出口を開放する第2の状態まで移動させることができる。シール材が塗布されたコネクタが運び出された後に、保持ユニットは、通常、第2の状態から第1の状態に戻される。この目的のために、電気機械式駆動ユニット、空気圧ユニット、油圧ユニット、磁気ユニットまたは他のタイプの駆動ユニットが使用されてもよい。保持ユニットは、第1の状態から第2の状態へ移動する際に、直線動作または回転動作を行ってもよい。
【0029】
一例では、保持ユニットは、シール材塗布ステーションの排出口と重なるように配置することができる開口を有する。この場合には、保持ユニットの開口はコネクタの下方にあり、コネクタはもはや所定位置に保持されず、保持ユニットの開口を通って排出口へ落下する。特に、保持ユニットの開口は、排出口と同じ横断面を有していてもよい。
【0030】
よりよく理解するために、組立システムにおいてシール材塗布ステーションとともに使用できる組立ツールについて以下に説明する。
【0031】
さらなる態様によれば、2つの部品を接続するための組立ツールが開示される。組立ツールは、エンドエフェクタを備える。エンドエフェクタは、ドリルビットとセットフィンガとを有するドリルスピンドルを備えている。ドリルスピンドルは、加工軸回りにドリルビットを回転させるように構成されている。セットフィンガは、供給部からコネクタを受け取って加工位置に持っていくように設計されている。ドリルスピンドルは、加工軸に沿って長手方向に移動されるように設計されている。セットフィンガは、関節回りに移動し、コネクタがドリルビットと軸方向に整列するようにコネクタを位置決めするように構成されている。ドリルスピンドルは、加工軸に沿って移動することによってコネクタを部品に挿入し、それによって部品を一緒に接続するように構成されている。
【0032】
本明細書に記載される組立ツールは、その単純さに特徴がある。例えば、ドリルスピンドルは、機械加工軸に沿って直線的に移動される。ドリルスピンドルは、例えば、電気モータなどの電気機械式駆動装置または本明細書に記載の他のタイプ(空気圧式、油圧式、磁気式など)の駆動装置により、加工軸に沿う両方向に移動することができる。
【0033】
したがって、ドリルスピンドルは、加工軸に沿って、接続される2つの部品に向かって移動したり、部品から離れたりすることができる。したがって、ドリルスピンドルは、ドリルビットが部品に孔を開けるように移動させることができる。ドリル加工の後、ドリルビットは戻され、すなわちドリルスピンドルはドリル加工された部品から遠ざけられる。ドリル加工中、ドリルビットは通常通り長手軸回りに回転する。ドリルビットの長手軸は、ドリルスピンドルの加工軸と一致し、それによってドリルビットは、ドリル加工中に加工軸回りに回転する。
【0034】
ドリルスピンドルは、好ましくは、接合される両部品をドリルビットが完全に貫通するように移動する。その後、ドリルビットは、加工軸に沿った反対方向への移動によって、穿孔された孔から外れる方向に導かれ、穿孔された部品に対して所定の距離を取る。
【0035】
次いで、セットフィンガが、受け取ったコネクタと共に加工位置に旋回する。コネクタの加工位置は、加工位置においてコネクタがドリルビットと軸方向に整列していることを特徴とする。つまり、コネクタの中心軸はドリルビットの中心軸と一致している。ドリルビットおよびコネクタは、加工軸に沿う方向に離れているか、加工軸に沿って一方が他方の後ろに配置されているが、これらは両方とも加工軸上に位置している。その結果、この位置にあるコネクタは、ドリルビットによって開けられた孔とも位置が一致する。
【0036】
例えば、コネクタは少なくとも(長手方向に)横断面円形または回転対称であり、円形または回転対称の長手方向に沿う横断面はドリルビットと同じか、またはわずかに大きな直径を有する。加工位置において、コネクタは、このように、部品にドリルビットによって開けられた孔とも整列している。ここで、ドリルスピンドルを加工軸に沿って接続される部品の方向に再び移動させると、ドリルビットによって開けられた孔にコネクタを挿入することができる。
【0037】
この方法は、接続する部品に孔を開けることと、ドリルビットで開けた孔にコネクタを挿入することの両方を、1つのドリルスピンドルを用いて、かつ、加工軸に沿って両方向に直線動作させるドリルビットによって行うことを可能にする。これにより、組立ての機械的な複雑さおよび加工時間を大幅に削減することができる。セットフィンガがコネクタを加工位置に旋回させるとき、ドリルスピンドルは接続される部品に対して適切な距離を取るので、コネクタを保持するセットフィンガは、ドリルビットと接続される部品との間において旋回され得る。
【0038】
ここで説明した組立ツールは、シール材塗布ステーションと一緒にシステムにおいて使用することができる。シール材塗布ステーションは、シール材を装填したコネクタを、例えば、真空または圧縮空気輸送チューブとして構成された供給部によって組立ツールに供給する。その後、コネクタは、一緒に接合される部品を接続するために、説明したように組立ツールにおいて使用される。しかしながら、組立ツールは、別の方法でコネクタを供給することもでき、その場合、上述のシール材塗布ステーションは必ずしも必要ではない。
【0039】
さらなる実施形態によれば、セットフィンガは、関節を介してドリルスピンドルに接続され、関節は、セットフィンガをドリルビットの前方の加工位置に旋回でき、かつ、加工位置外に旋回できるように構成されている。
【0040】
セットフィンガをドリルスピンドルに接続する関節は、例えば、旋回または回転関節である。関節は、例えば、ドリルスピンドルのハウジング上に配置される。接続される部品にドリルビットが孔を開けると、セットフィンガは、加工位置から横方向に出るように旋回される。この状態において、セットフィンガは、引張ガイドからコネクタを受け取ることができる。孔を開けた後、ドリルスピンドルは接続される部品から離れ、セットフィンガが受け取ったコネクタと共にドリルビットの前方に移動する。
【0041】
セットフィンガは、アクチュエータによって関節回りに旋回させることができる。アクチュエータは、加工軸に沿ったドリルスピンドルの直線運動に関して上述したような駆動装置でよい。
【0042】
さらなる実施形態によれば、関節は、単一軸回りの回転動作を可能にする。
【0043】
したがって、セットフィンガは、加工位置への旋回動作および加工位置外への旋回動作の間に複雑な動作を行う必要がなく、簡単な構造設計を有する。しかしながら、この加工位置への移動中または加工位置からの移動中に、セットフィンガが、個別の要求に適合した別の動作パターンを実行することはもちろん可能である。
【0044】
さらなる実施形態によれば、コネクタとドリルビットは、加工位置において共通の軸線上にあり、この共通の軸線上において一方が他方の後ろに配置される。
【0045】
コネクタとドリルビットとのこの相対的な配置により、加工された作業対象物に向かう(およびそこから離れる)エンドエフェクタの同じ直線動作によって、穿孔操作とセット操作の両方を実行することができる。例えば、ドリルビットおよびコネクタは、作業対象物表面へのドリルビットおよびコネクタの(加工軸319に沿った)垂直投影が重なるように、または同じ位置にあるように、互いに相対的に配置される。
【0046】
別の実施形態によれば、コネクタおよびドリルビットの共通軸は、加工軸に平行であるか、加工軸に一致する。
【0047】
さらなる実施形態によれば、組立ツールは、旋回アームの形態の移動機構をさらに備え、ドリルスピンドルは、移動機構上に配置される。
【0048】
移動機構は、例えば、いわゆる6軸の旋回アームとして設計することができる。移動機構の助けを借りて、孔が開けられ、開けられた孔にコネクタをセットした後にコネクタがセットされる新しい作業位置にドリルスピンドルを持っていくために、接続される部品の表面に沿ってドリルスピンドルを移動させることができる。
【0049】
ドリルスピンドルが新しい作業位置に持ってこられるように移動機構上に配置されていても、ドリルスピンドルはそれぞれの作業位置において加工軸に沿った移動しか行わない。孔を開けるために、ドリルスピンドルは、加工軸に沿って部品に向かって移動させられ、次に部品から遠ざけられ、次にコネクタを保持したセットフィンガが加工位置に旋回され、ドリルスピンドルが再び加工軸に沿って部品に向かって移動させられてコネクタを孔の中に挿入する。その後、ドリルスピンドルは、例えば、最初にドリルスピンドルを加工軸に沿って部品から遠ざけ、次に、移動機構を使ってドリルスピンドルを次の作業位置に移動させることによって、挿入されたコネクタから遠ざけられる。
【0050】
さらなる実施形態によれば、組立ツールは、コントローラとセンサユニットとを有する。センサユニットは、接続される2つの部品に対するドリルスピンドルの相対位置を検出し、それをコントローラに伝送するように設計されている。コントローラは、接続される部品に対するドリルスピンドルの検出された相対位置に基づいて、ドリルスピンドルを動作させるように構成されている。
【0051】
センサユニットは、例えば、ドリルスピンドル上に配置された1つまたは複数の光学センサを備えている。あるいは、センサは、組立ツールの他の要素に配置されていてもよい。しかし、センサがドリルスピンドル上に配置されている場合には、センサのドリルスピンドルに対する相対位置が固定されているため、接続される部品に対するドリルスピンドルの相対位置を検出することが容易である。光センサは周囲を検知するように設計されている。接続される部品に対するドリルスピンドルの相対的な位置は、接続される部品上の特定のマーカによって検出することができる。
【0052】
この相対位置は、コントローラに伝えられる。コントローラは、ドリルスピンドルと作業対象物(接続される部品)との相対位置に基づいて、ドリルスピンドルを位置決めするための駆動装置を制御するように設計されている。また、コントローラは、例えば、ドリルスピンドルと作業対象物との間の距離に基づいて、ドリルビットの回転のための駆動を制御するように構成されていてもよい。コントローラは、加工軸に沿って作業対象物に向かってまたは作業対象物から離れるように移動するためのドリルスピンドルの直線動作および、ドリルスピンドルを次の作業位置に移動するための移動機構の両方を制御するように構成されていてもよい。
【0053】
組立ツールおよびシール材塗布ステーションが組立システムにおいて一緒に使用されるときには、シール材塗布ステーションを制御する機能および組立ツールを制御する機能が、単一のコントローラによって実行されてもよい。
【0054】
別の態様によれば、組立システムが開示される。組立システムは、本明細書に記載されるようなシール材塗布ステーションと組立ツールとを備える。組立ツールは、本明細書に記載の組立ツールであってもよい。
【0055】
本明細書に記載のシール材塗布ステーションおよび本明細書に記載の組立ツールは、組立システムにおいて、部品を互いに接続するために一緒に使用されてもよい。シール材塗布ステーションでは、シール材がコネクタに塗布され、シール材が塗布されたコネクタは、一緒に接合される部品の接合工程において使用するために組立ツールに移送される。
【0056】
組立システムは、例えば、航空機部品の組立に使用することができる。例えば、航空機の外皮の複数の個々の部分は、本明細書に記載のシール材塗布ステーションからのシール材が塗布されたコネクタを使用して、組立ツールによって一緒に接合されてもよい。このように、接合される部品が機械的に接続されるだけでなく、接合部は、シール材によって気密かつ水密に封止される。
【0057】
シール材塗布ステーションは、コネクタにシール材を塗布するための組立システムにおいて、組立ツールとは無関係に使用することもできることに留意されたい。同様に、組立ツールは、組立システムにおいて、シール材塗布ステーションとは独立して、2つ以上の部品を一緒に結合するために使用することもできる。この接続工程においては、シール材を塗布したコネクタは、シール材を塗布していないコネクタと同じように使用することができる。原理的には、コネクタはどのような方法によっても組立ツールに移送することができる。
【0058】
一実施形態によれば、シール材塗布ステーションは、単一の供給チューブによってコネクタを供給するために組立ツールに接続されており、単一の供給チューブは、異なる寸法のコネクタを組立ツールに供給するように構成されている。
【0059】
異なる寸法のコネクタを単一の供給チューブによって組立ツールに供給することができるので、シール材塗布ステーションを組立ツールに接続するために単一の供給チューブを使用すれば十分である。例えば、異なる直径および/または異なる長さおよび/または異なる形状(この場合、形状は軸部および頭部の形状を意味する)のコネクタを単一の供給チューブを通じて供給することができる。これにより、コネクタの各変形に対して別個の供給チューブが提供されないので、組立システムの複雑さをさらに低減することができる。
【0060】
以下においては、添付の図面を参照しながら、実施形態の例をより詳細に説明する。図は、概略的なものであり、縮尺通りではない。同一の参照符号は、同一または類似の要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図1】シール材塗布ステーションを示す概略図である。
図2】組立ツールを示す概略図である。
図3】押圧脚部を有するエンドエフェクタを示す概略図である。
図4】組立システムの構造を模式的に示した図である。
図5】組立システムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
図1は、シール材塗布ステーション200を示している。シール材塗布ステーション200には、チューブシステム101によってコネクタ215が供給される。コネクタ215は、シール材塗布ステーション200において以下に説明するステップにかけられ、さらなる処理のためにチューブシステム201に移送される。
【0063】
シール材塗布ステーション200は、まず、移送ステーション202を有する。コネクタ215は、チューブシステム101および移送ステーション202によってシール材塗布ステーション200に供給される。移送ステーション202は、コネクタ215をシール材塗布ステーション200に導入する。シール材塗布ステーション200は、グリッパ205に結合された回転ユニット240を備える。回転ユニット240は、駆動ベルト203を介して駆動ユニット204によって回転させられてもよく、これによってグリッパ205も回転軸217回りに回転し、この回転は回転軸217を中心とするいずれの方向207であってもよい。グリッパ205は、コネクタ215を把持する複数の把持フィンガ206を備える。
【0064】
コネクタ215は、チューブシステム101および移送ステーション202を通して供給され、保持ユニット210に突き当たる。保持ユニット210は、例えば、止め板として構成されてもよい。この位置において、コネクタ215は、回転軸217と軸方向に整列し、すなわち、コネクタ215の中心軸または長手軸が回転軸217と一致し、コネクタは、グリッパ205の把持フィンガ206により把持される。駆動ユニット204は、駆動ベルト203によって回転ユニット240およびグリッパ205を回転させ、これによりコネクタ215も回転軸217回りに回転させる。
【0065】
シール材塗布ステーション200の機能、例えば、駆動ユニット204およびグリッパ205は、コントローラ230によって制御される。しかし、コントローラ230は、シール材塗布ユニット208と同様に、保持ユニット210の動作も制御するように構成されている。
【0066】
コネクタ215は、回転軸217回りに回転させられる。コネクタ215が回転軸217回りに回転している間、シール材塗布ユニット208によって、コネクタ215の表面領域にシール材が塗布される。この目的のために、シール材塗布ユニット208は、コネクタ215の径方向に移動され、コネクタ215から所定の距離に配置されてもよい。シール材は、オリフィスまたはノズル218によってコネクタ215に塗布される。この処理において、シール材は、変位制御された押出力209によって押し出される。
【0067】
シール材がコネクタ215に塗布されている間、コネクタ215は好ましくは360°回転させられ、それによってシール材がコネクタ215の全周にわたって塗布される。
【0068】
センサユニット250は、シール材塗布ユニット208とコネクタ215との間の距離を感知するように配置される。また、センサユニット250は、グリッパ205によるコネクタ215の把持を可能にするために、コネクタ215の位置および向きを感知するように構成されてもよい。
【0069】
コネクタ215にシール材が塗布されると、このステップは完了し、コネクタ215をさらに搬送することができる。このため、保持ユニット210を移動させて、取付ブロック213に設けられた排出口214を開放する。図1の例では、保持ユニット210を右側に移動させて、保持ユニットの開口219を移動させ、それによって、開口219が排出口214の上に配置され、コネクタ215がチューブシステム201に供給される移送ユニット211側に入るようにすることができる。しかしながら、保持ユニット210は、排出口214を開放するために左側に移動させることもできる。
【0070】
好ましくは、シール材塗布ステーション200は、コネクタ215が重力によって移送ステーション202から保持ユニット210上の意図した位置にもたらされ、保持ユニット210によって排出口214が開放されると同時にコネクタ215が移送ユニット211にもたらされるように配置される。
【0071】
要約すると、シール材塗布ステーションの機能は、次のように説明することができる。コネクタ215は、チューブシステム101,201内で取り出され、コネクタ215にシール材220を塗布するシール材塗布ユニット208に搬送され、さらに搬送するためにチューブシステムに戻される。チューブシステム101,201内においては、コネクタ215は、例えば、圧縮空気によってシール材塗布ステーション200に搬送され、水平方向に移動可能なスライダ(すなわち保持ユニット210)によって軸方向に固定される。次いで、コネクタ215は、半径方向に把持するグリッパ205およびその(例えば、平行ジョーグリッパの形態の)把持フィンガ206によって把持される。グリッパ205は、回転ユニット240に取り付けられており、この回転ユニット240は、コネクタ215およびグリッパと共に360°の回転を開始する。シール材塗布ユニット208は、センサ250によって対応するコネクタ215に提供され、コネクタ215から所定の距離に配置されるか、またはコネクタ215の表面上に配置される。シール材塗布ユニット208は、例えば、モータによって押し出されるシール材カートリッジを備える。シール材は、カニューレによってシール材カートリッジからコネクタ215に提供される。好ましくは、シール材は、コネクタの円筒形の軸部と頭部との間の接合部においてコネクタに塗布される。したがって、この位置におけるシール材は、チューブシステム201を通るさらなる搬送の間の摩耗から保護される。シール材の塗布は、回転軸217回りの回転207の開始時に始まり、回転の完了後に終了する。グリッパ205は、コネクタ215が再び水平方向に可動なスライダ210上で自由な状態を保つように、把持フィンガを開くことによって、コネクタ215を解放する。次いで、スライダ210は、水平方向に移動し、コネクタ215は軸方向にチューブシステム201内に落下する。鉛直方向の移動の開始時には、コネクタ215は、装着された把持フィンガ206を有するグリッパ205によって、開口219および排出口214を通って軸方向に案内される。
【0072】
シール材はコネクタに塗布され、加工される作業対象物には塗布されないので、シール材は選択的かつ控えめに塗布することができ、コネクタ215の表面の加工された作業対象物との接触点にもシール材が存在することが保証される。
【0073】
したがって、本明細書に記載のシール材塗布ステーション200は、圧縮空気が供給されるチューブシステム101,201に配置され、コネクタ215は、さらなる処理のための装置へ搬送される際に、シール材が塗布される。
【0074】
図2は、組立ツールのエンドエフェクタ310を示す。エンドエフェクタ310は、加工される作業対象物400に向かって、または作業対象物400から離れるように、加工軸319に沿って移動方向320に移動可能なドリルスピンドル311を備える。ドリルスピンドル311は、機械加工される作業対象物400に孔を開け、開けられた孔にコネクタ215を挿入するために使用される。これらの2つのステップは、加工軸319に沿った両方向320の直線動作のみを含み、特に、ドリルスピンドルは、作業対象物400の表面に沿って横方向に再位置決めされる必要はない。
【0075】
エンドエフェクタ310は、例えば、図2のシール材塗布ステーション200と組み合わせて使用することができる。コネクタ215は、シール材塗布ステーション200からチューブシステム201を経由してエンドエフェクタ310に搬送される。チューブシステム201の端部は、移送ステーション305上に延びている。ここで、コネクタ215は、吸着式のセットフィンガ(設定フィンガ、以下、セットユニットとも言う。)317に受け渡される。セットフィンガ317は、負圧/真空によって、コネクタ215を所定の位置に保持する。セットフィンガ317は、異なるコネクタを受け取ることができ、コネクタを回転軸または関節318によってセットフィンガ317の作業位置に移動させることができる。
【0076】
ドリルスピンドル311は、コントローラ325とセンサユニット350とを備える。ドリルスピンドル311は、スライダ313によってガイド要素またはガイドレール312に結合されている。スピンドル駆動装置として設計される駆動ユニット(図示せず)によって、ドリルスピンドル311は、加工軸319に沿って両方向320に移動させられる。この移動の間、ドリルスピンドルは、作業対象物400に向かって、または作業対象物から離れるように移動する。駆動ユニットは、コントローラ325によって制御される。
【0077】
ドリルスピンドルは、ドリルチャック314とドリルビット315とを有する。ドリルビット315は、その長手軸または中心軸が加工軸319と一致するように配置される。作業対象物400に孔を開けるように構成された任意のドリルビット315を使用することができる。作業対象物400に孔を開けるために、ドリルビットが作業対象物400内の所望の深さに達するまで、ドリルスピンドル311は作業対象物400に向かって移動される。次に、ドリルスピンドル311は、加工軸319に沿って作業対象物400から直線的に離れる方向に移動され、ドリルビットを作業対象物400の表面から適切な距離まで持っていく。次に、セットフィンガ317は、受け取ったコネクタ215と共に機械加工位置に回転移動することができる。加工位置において、コネクタ215は、ドリルビット315と軸方向に整列し、コネクタ215の中心軸はドリルビットの中心軸と一致し、コネクタ215は、ドリルビットと作業対象物との間に加工軸319に沿って配置される。コネクタ215がそのように配置された状態で、ドリルスピンドル311は、コネクタ215をドリルビットによって開けられた孔に挿入するために、再び作業対象物400に向かって移動させることができる。最後に、コネクタは、セットフィンガから解放され、ドリルスピンドルは、新しい作業位置に移動される。
【0078】
ドリルスピンドル311は、移動機構330に接続されている。移動機構330は、上述のステップを実行した後、ドリルスピンドル311を現在の作業位置から新しい作業位置に移動させるように構成される。このプロセスの間、センサユニット350は、作業対象物400に対するドリルスピンドル311の位置を感知し、対応する位置情報をコントローラ325に送信し得る。コントローラ325は、その後、移動機構330を適宜制御して、ドリルスピンドルを所望の作業位置に持っていき、そこで再び孔を開け、コネクタをセットすることができる。
【0079】
移動機構330は、例えば、複数の関節を有する構造体であり、各関節は、少なくとも1つの軸回りに移動可能である。例えば、移動機構330は、3つの関節331,332,333を有し、各関節は、軸回りに揺動可能または回転可能である。移動機構330は、もちろん、ドリルスピンドル311を所望のように配置するために、図示しない他の関節を有していてもよい。
【0080】
特に、移動機構330は、ドリルスピンドル311の新しい作業位置に接近するためにのみ使用されることが指摘される。ここで、作業位置は、作業対象物400の表面に沿ったドリルスピンドルの位置であると理解され、この作業位置は、特にドリルスピンドルの横方向の移動によって到達するが、これは、しかし、移動機構330の他の移動パターンを排除しないものである。ドリルスピンドル311は、この新しい作業位置に到達すると、作業対象物400に孔を開けてコネクタ215を孔内に配置するためのドリルスピンドル311の移動は、例えば、作業対象物400の表面に対して直交する加工軸319に沿ってのみ行われる。
【0081】
要約すると、エンドエフェクタ310の動作は以下のように説明できる。
吸着式のセットユニット317がチューブシステム201からコネクタ215を受け取る。このステップにおいては、セットユニット317は、ドリルスピンドル311から横方向に突出する位置、またはいずれにしてもドリルビットと作業対象物との間に位置しない位置に回転させられる。セットユニット317がコネクタ215を受け取るこの位置から、ドリルビットが作業対象物に孔を開けた後、セットユニットをドリルビットと作業対象物との間に回転移動させることができる。チューブシステム201は、シール材が塗布されたコネクタ215を、頭部を前方にして移送ステーション305に案内する。この時点において、セットユニット317がコネクタ215を受け取る。コネクタ、例えば、リベットは、セットユニット317に頭部を前方にして載り、負圧または真空によりセットユニット317に吸着かつ保持される。セットユニット317がコネクタを吸着すると、移送ステーション305はセットユニット317から離れ、ドリルビットと作業対象物との間にコネクタを持ってくるために、セットユニットがコネクタと共に回転動作できるようにする。この位置から、ドリルスピンドル311を加工軸319に沿って作業対象物に向かって移動させることにより、コネクタを作業対象物の孔にまっすぐ挿入することができる。次いで、セットユニット317内の真空が解除され、コネクタ215が解放され、ドリルスピンドル311が作業対象物から離れ、新しい作業位置へ移動する。
【0082】
これらの作業ステップに続いて、接続部の穿孔および接続の品質を評価および表示するために、センサユニット350によって取得された測定値および機械データをコントローラ325に送信することができる。この目的のために、センサユニットは、例えば、加工軸319に沿ったドリルスピンドルの移動の経路を、加工軸319に沿ってドリルスピンドルを動かすために必要な駆動力と共に記録することができる。したがって、どのような力で孔が開けられ、どのような力でコネクタが孔に挿入されたかを表示することができる。このデータから、行われた接続の品質および強度に関する結論を導き出すことができる。
【0083】
また、センサユニット350は、ドリルスピンドルがその作業位置に移動した後に、ドリルスピンドルの作業位置の補正を行うために使用することもできる。移動機構330がドリルスピンドル311を新しい作業位置に移動させるとき、センサユニット350は、ドリルスピンドルと作業対象物の表面との間の相対位置を検出し、必要に応じてこの相対位置を補正できる。これを行うために、センサユニット350は、例えば、作業対象物400の表面上のマーカ/下孔(プレドリル)/ステープルリベットを検出し、それによってドリルスピンドルと作業対象物との間の相対位置を推測することができる。
【0084】
ドリルスピンドルは、圧縮空気用の1つまたは複数の吐出口を有することができ、この吐出口を通して、作業対象物の表面から塵埃を除去するために、ドリルスピンドルが作業対象物の表面に接近すると圧縮空気が放出される。塵埃は、作業対象物の表面から吸引することもできる。特に、この操作は、作業対象物に孔を開けた後、開けられた孔にコネクタを配置する前に実行されることがある。
【0085】
ドリルスピンドルは、孔を開けるときおよびコネクタを作業対象物に配置するときに作業対象物の表面上に接触する脚部を有していてもよい。例えば、脚部は、空気圧シリンダおよび/または移動機構330によって作業対象物の表面に置かれ、作業対象物400に加工力または保持力を加え、孔を開けるステップおよびコネクタ215をセットするステップのために作業対象物400を所定の位置に保持してもよい。
【0086】
ドリルスピンドルを加工軸319に沿って脚部に対して相対的に移動させ、孔を開け、コネクタを着座させてもよい。圧縮空気用の吐出口は、作業対象物の表面に配置する前に脚部の受け面を清掃するために配置されてもよい。
【0087】
孔を開けるために、ドリルスピンドル311が、スピンドル駆動装置によって作業対象物400に向かって移動されると、ドリルビットの駆動が起動される。作業対象物400に孔を開けた後、およびコネクタを孔に配置するときには、ドリルスピンドルは起動されない。
【0088】
図3は、押圧脚部321を有するエンドエフェクタ310の概略図である。図3の視点は、セットフィンガ317が視線の方向において手前側にあるようなものであり、そのためセットフィンガ317が破線で描かれている。ドリルスピンドル311、セットフィンガ317と共に関節318、ドリルチャック314およびドリルビット315、並びにコネクタ215を配置するためのセットフィンガ317の機能に関する説明に関しては、前の説明、特に図2を参照されたい。
【0089】
押圧脚部321は、作業対象物400の方向におけるドリルスピンドル311の軸方向の延長線上に配置されている。押圧脚部321は、シリンダ322を介してピストンロッド323に結合されている。ピストンロッド323によって、エンドエフェクタ310を作業対象物400上に配置し、上述の作業ステップ(穿孔、コネクタのセット)を実行するために、押圧脚部321を加工軸319に沿って、移動方向324に沿って移動することができる。押圧脚部321は、外側下方の表面において作業対象物400上に接触する。ドリルスピンドル311は、矢印324で示すように、加工軸319に沿って両方向にピストンロッド323、シリンダ322および押圧脚部321に対して相対的に移動可能である。押圧脚部321が作業対象物上に配置された後、ドリルスピンドル311は、さらに上述したように、作業対象物に向かって移動し、孔を開け、そこにコネクタを配置する。押圧脚部321は、その下方の表面において、ドリルビットおよびコネクタを有するセットフィンガが作業対象物400の表面にアクセスし、意図した位置に孔を開け、コネクタをセットできるように構成されている。
【0090】
図4は、図1に示すシール材塗布ステーション200と、図2に示す組立ツール300とを備える組立システム1の機能ブロックを模式的に示す図である。
【0091】
組立システム1は、まず、コネクタを供給するための分離システム100を備える。コネクタ215は、チューブシステム101によってシール材塗布ステーション200に供給される。シール材塗布ステーション200において、コネクタ215は、まず、移送ステーション202に到着し、後続の作業に提供される。特に、シール材塗布ステーション200においては、シール材220がコネクタ215に塗布される。
【0092】
移動機構330は、組立ツール300のドリルスピンドルを作業対象物400に対する所望の作業位置に移動させる。この作業位置において、センサユニット350は、必要に応じて作業対象物400に関する作業位置を調整するために使用される。次に、符号351のブロックにおいて、多機能押圧脚部321(図3参照)が、作業対象物400を穿孔し、コネクタ215をセットするために、作業対象物400に対してドリルスピンドルを準備するように作動させられる。符号352の機能ブロックにおいて、セットフィンガ317は、移送ステーション305からコネクタ215を受け取るために作動させられる。符号353の機能ブロックにおいて、ドリルスピンドル311は、加工軸319に沿って移動させられ、作業対象物400に孔を開け、コネクタを孔の中に挿入する。この時点において、ドリルスピンドル311がドリルビット315によって作業対象物400に孔を開ける前または後に、セットフィンガ317によってコネクタ215が移送ステーション305において受け取られる場合があることに留意されたい。符号354の機能ブロックにおいて、孔を開けるための処理の仕様に従ってドリルスピンドルが制御され、孔を開け、開けられた孔にコネクタが挿入される。最後に、符号355の機能ブロックにおいて、センサユニットによって取得された処理データがコントローラに送信され、評価される。
【0093】
特に、機能ブロック350~355を参照して本明細書において説明した機能は、コントローラ325によって処理として実行される。
【0094】
図4をさらに参照して、組立ツール300、シール材塗布ステーション200、および分離システム100の間の相互作用を説明する。圧縮空気が供給されるチューブシステム101は、コネクタ215を供給するために使用され、コネクタ215を分離システム100からシール材塗布ステーション200に搬送する。分離システム100は、異なる形状および寸法のコネクタ215を提供するように設計することができる。組立ツール300は、分離システム100から特定のコネクタ215を要求する。分離システム100は、要求されたコネクタを、タレットによってチューブシステム101に供給する。要求され提供されたコネクタは、頭部が搬送方向に向けられた状態でチューブシステム101に供給される。チューブシステム101内におけるコネクタ215の搬送は、圧縮空気によって行われる。その後、コネクタ215は、シール材塗布ステーション200を通り、チューブシステム201によって組立ツール300に移動し、それによって、図1および図2を参照して説明したステップがそれぞれの場合に実施される。
【0095】
図5は、図1に示すようなシール材塗布ステーション200と、図2に示すようなエンドエフェクタ310とを備える組立システム1を説明するものである。図5は、組立システム1の構造設計を示し、ここに示された要素のうち、図4に示された機能ブロックに対応するものを示している。
【0096】
分離システム100は、いくつかの異なるコネクタを提供し、コネクタは、チューブシステム101を経由してシール材塗布ステーション200に搬送される。シール材塗布ステーション200では、シール材がコネクタに塗布される。シール材が塗布されたコネクタは、シール材塗布ステーション200から、単一のチューブ201を経由してエンドエフェクタ310に搬送される。チューブ201は、異なる形状および寸法のコネクタを搬送するように構成されており、それによって、異なるコネクタに対して単一のチューブ201のみが使用される。エンドエフェクタ310は、部品400A,400Bに孔を開け、開けられた孔にコネクタを挿入することによって、これらの部品を互いに接続する。
【0097】
部品400A,400Bは、組立システムによって処理される作業対象物を表す。2つの部品は、少なくとも部分的に互いに重なり合う。押圧脚部が、2つの部品の少なくとも1つに加工力を加え、その後、エンドエフェクタは、図2を参照して説明したように加工軸319に沿って直線的に移動させられ、2つの部品に孔を開けることと、開けられた孔の中にコネクタを挿入することの両方を行う。これらのステップの間、部品400A,400Bは、組立テーブル340または対応するカウンタ支持体上に載り、このカウンタ支持体は、順に、第2の移動機構によって案内され、供給される。例えば、カウンタ支持体が、一方では部品400A,400Bを固定するための加工力を加え、他方ではナットを有するコネクタを提供できるように、自動穿孔ユニット(ADU)とも呼ばれる回転装置によって、コネクタ用のナットをねじ込むように構成されてもよい。そして、エンドエフェクタ310は、1つの地点において、2つの部品間に接続が行われると、移動機構330によって新しい作業位置に移動される。図5は、移動機構330が組立テーブル340に取り付けられている場合を示すが、移動機構330は、他の場所に取り付けられていてもよい。
【0098】
さらに、「構成する」または「備える」は、他の要素またはステップを排除せず、「1つ」または「a」は、複数を排除しないことに留意されたい。上記の実施形態のいずれかを参照して説明された特徴またはステップは、上記の他の実施形態の他の特徴またはステップと組み合わせて使用することもできることにさらに留意されたい。特許請求の範囲に記載された参照符号は、限定とみなされない。
【符号の説明】
【0099】
1 組立システム
100 分離システム
101 チューブシステム
200 シール材塗布ステーション
201 チューブシステム、例:空気圧供給ユニットチューブ
202 移送ステーション
203 駆動ベルト
204 駆動ユニット
205 グリッパ(例:平行ジョーグリッパ)
206 把持フィンガ(レーキグリッパなど)、コネクタ径に合わせて調整可
207 回転方向
208 シール材塗布ユニット、カニューレ付きカートリッジ
209 押出力の方向、ラジアル方向
210 保持ユニット
211 移送ユニット
213 取付ブロック
214 排出口
215 コネクタ
216 移動方向
217 回転軸
218 ノズル
219 開口
220 シール材
230 コントローラ
240 回転ユニット
250 センサユニット
300 組立ツール
305 移送ステーション
310 エンドエフェクタ
311 ドリルスピンドル
312 ガイド要素、ガイドレール
313 スライダ
314 ドリルチャック
315 ドリルビット
317 セットフィンガ
318 関節(旋回関節または回転関節)
319 加工軸
320 加工軸に沿った移動方向
321 押圧脚部
322 シリンダ
323 ピストンロッド
324 移動方向
325 コントローラ
330 移動機構
331 軸を有する第1関節
332 軸を有する第2関節
333 軸を有する第3関節
340 組立テーブル
350 位置決め機能付きセンサユニット
351 多機能押圧脚部の制御
352 セットユニット(回転ユニット含む)
353 ドリルスピンドルとセットユニットの送り用スピンドル駆動付き直動機構
354 ドリルスピンドルユニット
355 処理データ評価
400 作業対象物
図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】