(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166389
(43)【公開日】2023-11-21
(54)【発明の名称】埋め込み式ファイバーブラッググレーティングを使用したリアルタイム呼吸ゲート信号の生成および身体変形の検出のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20231114BHJP
A61N 5/10 20060101ALI20231114BHJP
A61B 34/20 20160101ALI20231114BHJP
A61B 5/113 20060101ALI20231114BHJP
A61B 6/08 20060101ALI20231114BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20231114BHJP
A41D 13/00 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
A61B6/03 350L
A61N5/10 H
A61N5/10 Z
A61B34/20
A61N5/10 M
A61B6/03 370B
A61B5/113
A61B6/08 305
G06T1/00 290B
A41D13/00 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023130280
(22)【出願日】2023-08-09
(62)【分割の表示】P 2022538314の分割
【原出願日】2020-12-17
(31)【優先権主張番号】16/723,352
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】522244540
【氏名又は名称】エンプニア・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】EMPNIA INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100220489
【弁理士】
【氏名又は名称】笹沼 崇
(74)【代理人】
【識別番号】100225026
【弁理士】
【氏名又は名称】古後 亜紀
(72)【発明者】
【氏名】バタチャルヤ・マノジート
(57)【要約】 (修正有)
【課題】画像取得中の身体変形を補正する方法の提供
【解決手段】画像スキャン中の身体変形のリアルタイム検出のための衣服は、圧縮材料から作製され、かつ複数のファイバーブラッググレーティング(FBG)を有する前部を含む。衣服は複数の光エミッタを含み、各光エミッタは、対応するFBGおよび複数の光センサーを通して光波をパルスするように構成され、各光センサーは対応するFBGに取り付けられ、パルス光波を受信するように構成されている。プロセッサは、デカルト座標系に沿って整列したFBGのブラッグ波長の有効シフトに基づいて、FBGによって反射されたピーク波長を光センサーから受信するように構成されたデータ取得モジュールを通してデータを取得し、プロセッサは、画像スキャン中の身体変形を補正するために、取得された画像データを修正するか、または外部ビーム治療を再配向することができる。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像取得中の身体変形を補正する方法であって、
身体の画像データを取得するステップと、
前記身体上に配置された複数のファイバーブラッググレーティング(FBG)からピ
ーク波長データを取得するステップであって、前記FBGがデカルト座標系に沿って整列
しているステップと、
画像取得中の身体変形によって引き起こされる前記FBGの前記ブラッグ波長の有効
シフトを検出するステップと、
前記デカルト座標系に沿って整列した前記FBGの前記ブラッグ波長の前記有効シフ
トに基づいて、画像スキャン中の身体変形を補正するために、画像再構成中に前記取得さ
れた画像データを修正するステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記画像データが、コンピュータ断層撮影(CT)スキャン、磁気共鳴画像(MRI)
スキャン、陽電子放射断層撮影(PET)スキャン、または単一光子放出型コンピュータ
断層撮影(SPECT)スキャンから取得される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
画像スキャン中の身体変形のリアルタイム検出のための衣服であって、
圧縮材料で作製され、かつ複数のファイバーブラッググレーティング(FBG)を有
する前部であって、前記前部が身体上に配置され、前記FBGが所定の座標系に沿って整
列している前部と、
各光エミッタが対応するFBGを通して光波のパルスを発するように構成されている
、複数の光エミッタと、
各光センサーが対応するFBGに取り付けられ、パルス光波を受信するように構成さ
れた複数の光センサーと、
プロセッサであって、
前記FBGによって反射されたピーク波長を前記光センサーから受信するように構
成されたデータ取得モジュールと、
前記FBG上の軸ひずみによりブラッグ波長の前記有効シフトを決定するように構
成されたコンパレータと、
前記FBGの前記ブラッグ波長の前記有効シフトに基づいて、スキャン装置の空洞
を通過する前記身体の動きを制御し、身体変形中の前記画像データの取得を制御するよう
に構成されたコントローラと、を含むプロセッサと、を備える衣服。
【請求項4】
前記所定の座標系がデカルト座標系である、請求項3に記載の衣服。
【請求項5】
前記FBGが前記デカルト座標系に沿って整列し、二軸に沿ってひずみを測定する、請
求項4に記載の衣服。
【請求項6】
前記プロセッサが、前記所定の座標系に沿って整列した前記FBGの前記ブラッグ波長
の前記有効シフトに基づいて、画像スキャン中の身体変形を補正するために、取得された
画像データを修正するように構成された修正モジュールをさらに含む、請求項3に記載の
衣服。
【請求項7】
前記プロセッサが、コンピュータ断層撮影(CT)スキャン、磁気共鳴画像(MRI)
スキャン、陽電子放射断層撮影(PET)スキャン、または単一光子放出型コンピュータ
断層撮影(SPECT)スキャンから画像データを取得するように構成された画像取得モ
ジュールをさらに含む、請求項3に記載の衣服。
【請求項8】
前記衣服がベルトである、請求項3に記載の衣服。
【請求項9】
前記衣服がシャツである、請求項3に記載の衣服。
【請求項10】
画像取得中の身体変形を補正する方法であって、
スキャン装置の空洞を通過して身体を移動させるステップと、
身体の画像データを取得するステップと、
前記身体上に配置された複数のファイバーブラッググレーティング(FBG)からピ
ーク波長データを取得するステップと、
画像取得中の身体変形によって引き起こされる前記FBGの前記ブラッグ波長の有効
シフトを検出するステップと、
経時的に測定された前記ブラッグ波長の有効シフトに基づいて、呼吸ゲート信号を生
成するステップと、
前記FBGの前記ブラッグ波長の前記有効シフトに基づいて、前記身体が動かないよ
うに、かつ身体変形中に画像データが取得されないように、前記呼吸ゲート信号に基づい
て、前記スキャン装置の前記空洞を通過して前記身体の動きを制御するステップと、を含
む方法。
【請求項11】
外部ビーム治療中の身体変形を補正する方法であって、
外部ビーム治療のための身体の標的領域を識別するステップと、
身体上に配置された複数のファイバーブラッググレーティング(FBG)からピーク
波長データを取得するステップであって、前記FBGがデカルト座標系に沿って整列して
いるステップと、
外部ビーム治療を前記標的領域に配向するステップと、
治療中の身体変形によって引き起こされる前記FBGのブラッグ波長の有効シフトを
検出するステップと、
前記標的領域に焦点を維持するために、前記デカルト座標系に沿って整列した前記F
BGの前記ブラッグ波長の前記有効シフトに基づいて、画像スキャン中の身体変形を補正
するために、前記外部ビーム治療を再配向するステップと、を含む方法。
【請求項12】
前記外部ビーム治療が、外部ビーム放射線療法または陽子線治療である、請求項11に
記載の方法。
【請求項13】
外部ビーム治療中の身体変形のリアルタイム検出のための衣服であって、
圧縮材料で作製され、かつ複数のファイバーブラッググレーティング(FBG)を有
する前部であって、前記前部が身体の上に配置され、前記FBGが所定の座標系に沿って
整列している前部と、
各光エミッタが対応するFBGを通して光波のパルスを発するように構成されている
、複数の光エミッタと、
各光センサーが対応するFBGに取り付けられ、パルス光波を受信するように構成さ
れた複数の光センサーと、
プロセッサであって、
前記FBGによって反射されたピーク波長を前記光センサーから受信するように構
成されたデータ取得モジュールと、
前記FBG上の軸ひずみによりブラッグ波長の前記有効シフトを決定するように構
成されたコンパレータと、
前記FBGの前記ブラッグ波長の前記有効シフトに基づいて、スキャン装置の空洞
を通過して前記身体の動きを制御し、前記身体変形中の外部ビーム治療を制御するように
構成されたコントローラと、を含むプロセッサと、を備える衣服。
【請求項14】
前記所定の座標系がデカルト座標系である、請求項13に記載の衣服。
【請求項15】
前記FBGが、前記デカルト座標系に沿って整列して、二重軸に沿ってひずみを測定し
、前記FBGが、前記デカルト座標系に沿って整列して、二重軸に沿ってひずみを測定す
る、請求項14に記載の衣服。
【請求項16】
前記外部ビーム治療が、外部光子ビーム放射線療法または陽子線治療である、請求項1
3に記載の衣服。
【請求項17】
前記プロセッサが、コンピュータ断層撮影(CT)スキャン、磁気共鳴画像(MRI)
スキャン、陽電子放射断層撮影(PET)スキャン、または単一光子放出型コンピュータ
断層撮影(SPECT)スキャンから画像データを取得するように構成された画像取得モ
ジュールをさらに含む、請求項13に記載の衣服。
【請求項18】
前記衣服がベルトである、請求項13に記載の衣服。
【請求項19】
前記衣服がシャツである、請求項13に記載の衣服。
【請求項20】
前記プロセッサが、前記標的領域に焦点を維持するために、前記所定の座標系に沿って
整列した前記FBGの前記ブラッグ波長の前記有効シフトに基づいて、治療処置中の身体
変形を補正するために、外部ビーム治療を再配向するように構成された修正モジュールを
さらに含む、請求項13に記載の衣服。
【請求項21】
画像スキャン中の身体変形のリアルタイム検出のための衣服であって、
圧縮材料で作製され、かつ複数のファイバーブラッググレーティング(FBG)を有
する前部であって、前記前部が身体上に配置され、前記FBGが所定の座標系に沿って整
列している前部と、
一連のFBGの第一の端を通して光波をパルスするように構成された光エミッタと、
FBGに取り付けられ、前記一連のFBGを通してパルス光波を受信するように構成
された光センサーと、
プロセッサであって、
前記FBGによって反射されたピーク波長を前記光センサーから受信するように構
成された、データ取得モジュールと、
前記FBG上の軸ひずみによりブラッグ波長の前記有効シフトを決定するように構
成されたコンパレータと、
前記FBGの前記ブラッグ波長の前記有効シフトに基づいて、スキャン装置の空洞
を通過する前記身体の動きを制御し、身体変形中の前記画像データの取得を制御するよう
に構成されたコントローラと、を含むプロセッサと、を備える衣服。
【請求項22】
前記プロセッサが、前記所定の座標系に沿って整列した前記FBGの前記ブラッグ波長
の前記有効シフトに基づいて、画像スキャン中の身体変形を補正するために、取得された
画像データを修正するように構成された修正モジュールをさらに含む、請求項21に記載
の衣服。
【請求項23】
外部ビーム治療中の身体変形のリアルタイム検出のための衣服であって、
圧縮材料で作製され、かつ単一モード光ファイバー中に配置された複数のファイバー
ブラッググレーティング(FBG)を有する前部であって、前記前部が身体の上に配置さ
れ、前記FBGが所定の座標系に沿って整列している前部と、
前記単一モード光ファイバーの第一の端を通して光波をパルスするように構成された
光エミッタと、
FBGに取り付けられ、前記単一モード光ファイバー中の前記一連のFBGを通して
パルス光波を受信するように構成された光センサーと、
プロセッサであって、
前記FBGによって反射されたピーク波長を前記光センサーから受信するように構
成されたデータ取得モジュールと、
前記FBG上の軸ひずみによりブラッグ波長の前記有効シフトを決定するように構
成されたコンパレータと、
前記FBGの前記ブラッグ波長の前記有効シフトに基づいて、スキャン装置の空洞
を通過して前記身体の動きを制御し、前記身体変形中の外部ビーム治療を制御するように
構成されたコントローラと、を含むプロセッサと、を備える衣服。
【請求項24】
前記プロセッサが、前記標的領域に焦点を維持するために、前記所定の座標系に沿って
整列した前記FBGの前記ブラッグ波長の前記有効シフトに基づいて、画像スキャン中の
身体変形を補正するために、外部ビーム治療を再配向するように構成された修正モジュー
ルをさらに含む、請求項23に記載の衣服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2019年12月20日に出願された米国出願第16/723,352号の
継続出願である。上記出願の教示全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ断層撮影法(CT)、磁気共鳴画像法(MRI)、陽電子放出断層撮像法
および単一光子放射断層撮影法(PETおよびSPECT)などの解剖学的および機能的
な画像診断法は、患者の呼吸運動による画像劣化を受ける。また、一部のCTスキャンの
例では、患者は画像取得中に息を止めるよう求められるが、年齢および/または身体状態
のためにすべての患者が息を止められるわけではないので、これは必ずしも現実的ではな
い。加えて、息止めCTスキャンは、スキャンを迅速に完了する必要があり、これはテー
ブルを迅速に移動させることによってのみ達成できるため、典型的には放射線量がより高
いスキャンである。外部ビーム(光子および粒子)放射線療法では、周囲の健康な組織に
送達される線量を最小限にしながら、腫瘍に最大線量を送達するために、強度および/ま
たは範囲が調節され、ビームは腫瘍にわたってラスタースキャン(raster scanned)される
。内臓、ならびに腫瘍は、呼吸運動のせいで人体と共に動くので、強度または範囲が調節
された外部ビーム療法の有効性は、呼吸運動の補正に極めて依存する。
【0003】
現在、主に二種類の呼吸運動管理装置が使用されている。その一つである「Anzai
」法は、患者の横隔膜の近くに貼り付けられた電気ひずみセンサーを有するウェアラブル
ベルトを使用する。この方法の欠点には、動きが一つの平面のみで測定されており、画像
および治療分野をその高い減衰特性のために歪めるため、撮像スキャンまたは治療処置の
間に装置が視野に入ることができないということが含まれる。その第二クラスの方法は、
光信号が反射され、動き信号が誘導されるか、または構造化された光が患者にマッピング
される、患者上の物理的マーカーまたはリフレクタのいずれかを使用する、光学技術(V
arian RPM、C-RadおよびGateCTなど)を使用する。この方法の欠点
には、光反射が、患者の衣服またはカバーを含む経路中の物体によって著しく変更されう
ること、およびこれらの方法は、治療よりも撮像で実施することよりが困難であるという
事実が含まれる。
【発明の概要】
【0004】
本発明の原理と一致する実施形態は、画像取得中の身体変形(body deformation)を補
正する(compensate)方法およびシステムを含む。一実施形態では、身体の画像データが
取得されると、システムは、身体上に配置された複数のファイバーブラッググレーティン
グ(fiber Bragg grating)(FBG)からピーク波長データを取得し、FBGは身体上の
デカルト座標系に沿って整列している。FBGを介して、システムは、画像取得中の身体
変形によって引き起こされるFBGのブラッグ波長の有効シフトを検出する。システムは
、デカルト座標系に沿って整列したFBGのブラッグ波長の有効シフトに基づいて、画像
スキャン中の身体変形を補正するために、画像再構成中に取得された画像データ(image d
ata)を修正する。
【0005】
一部の実施形態では、システムは、コンピュータ断層撮影(CT)スキャン、磁気共鳴
画像(MRI)スキャン、陽電子放射断層撮影(PET)スキャン、または単一光子放出
型コンピュータ断層撮影(SPECT)スキャンを通して取得されたデータに関連して使
用されうる。
【0006】
他の実施形態では、システムは、スキャン装置の空洞を通して身体を移動させ、身体の
体積画像データをスライスごとに取得することを含みうる。システムは、身体上に配置さ
れた複数のファイバーブラッググレーティング(FBG)からピーク波長データを取得す
る。システムは、画像取得中の身体変形によって引き起こされるFBGのブラッグ波長の
有効シフトを検出し、FBGのブラッグ波長の有効シフトに基づいて、身体が動かないよ
うに、かつ身体変形中に画像データが取得されないように、スキャン装置の空洞を通した
身体の移動を制御する。
【0007】
本発明の原理と一致する別の実施形態は、腫瘍の治療に関連して使用される光子ビーム
放射線療法または陽子線治療など、外部ビーム治療中の身体変形を補正するためのシステ
ムを含む。一実施形態では、外部ビーム治療のための身体の標的領域が識別される。シス
テムは、身体上に配置された複数のファイバーブラッググレーティング(FBG)からピ
ーク波長データを取得し、FBGはデカルト座標系に沿って整列している。システムは、
外部ビーム治療を標的領域に配向する。治療中の身体変形によって引き起こされるFBG
のブラッグ波長の有効シフトが検出されると、外部ビーム治療は、標的領域への焦点を維
持するために、デカルト座標系に沿って整列したFBGのブラッグ波長の有効シフトに基
づいて、画像スキャン中の身体変形を補正するようにリダイレクトされてもよい。
【0008】
画像スキャン中の身体変形のリアルタイム検出のための衣服は、圧縮材料(compressio
n material)から作製され、複数のファイバーブラッググレーティング(FBG)を有す
る前部を含み、前部は人体の上に配置され、FBGはデカルト座標系に沿って整列してい
る。衣服は複数の光エミッタを含み、各光エミッタは、対応するFBGおよび複数の光セ
ンサーを通して光波をパルスするように構成されていて、各光センサーは対応するFBG
に取り付けられ、パルス光波を受信するように構成されている。プロセッサは、FBGに
よって反射されたピーク波長を光センサーから受信するように構成されたデータ取得モジ
ュールを通してデータを取得する。プロセッサは、衣服に埋め込まれるか、または遠隔装
置または端末に位置してもよいが、FBG上の軸ひずみ(axial strain)によるブラッグ
波長の有効シフトを決定するように構成されたコンパレータも含む。
【0009】
プロセッサは、デカルト座標系に沿って整列されたFBGのブラッグ波長の有効シフト
に基づいて、画像スキャン中の身体変形を補正するために、取得された画像データを修正
するように構成された、または標的領域への焦点を維持するために、デカルト座標系に沿
って整列したFBGのブラッグ波長の有効シフトに基づいて、画像スキャン中の身体変形
を補正するために外部ビーム治療をリダイレクトするように構成された、修正モジュール
をさらに含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
前述のことは、異なる図を通して同様の参照文字が同じ部分を参照する、添付図面に図
示されるように、例示的実施形態の以下のより具体的な説明から明らかであろう。図面は
必ずしも正確な縮尺ではなく、代わりに、実施形態を図示することに重点を置いている。
【0011】
【
図1】ファイバーコア中の代表的なFBGを示す図である。
【
図2A】本発明の原理による、身体変形のリアルタイム検出のために画像スキャン中に使用されうる衣服の一実施形態を示す図である。
【
図2B】本発明の原理による、身体変形のリアルタイム検出のために画像スキャン中に使用されうる衣服の他の実施形態を示す図である。
【
図3】本発明の原理による、身体変形のリアルタイム検出のために画像スキャン中に使用されうる衣服のさらに他の実施形態を示す図である。
【
図4】本発明と一致する実施形態を使用しうる、例示的な医療撮像システムを示す図である。
【
図5A】医療撮像システムによって取得されうる断面画像である。
【
図5B】医療撮像システムによって取得されうる断面画像である。
【
図6】画像取得中の身体変形を補正する方法を示すフローチャートである。
【
図7】本発明と一致する実施形態を使用しうる、外部ビーム治療のための例示的な医療機器を示す図である。
【
図8】
図7の医療機器による外部ビーム治療を示す身体の断面図である。
【
図9】外部ビーム治療中の身体変形を補正する方法を示すフローチャートである。
【
図10】本発明の原理と一致する実施形態を含む、例示的な患者取り扱いシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
例示的実施形態の説明は、以下の通りである。
【0013】
図1に図示するように、ファイバーブラッググレーティング(FBG)100は、屈折
率の周期的な変動を発生する複数の反射点130a~nを備える、小さな長さの光ファイ
バー120である。FBGは、帯域幅ΔλBを中心に、固有の波長(λB)を反射する。
グレーティングの周期性Aは、ブラッグ波長λBに関連する。
【数1】
【0014】
【0015】
人体の解剖学的に関連のある部分の部分を包みうるウェアラブル材料に一つ以上のFB
Gを有する一つ以上の光ファイバーを埋め込むことによって、呼吸などの生理学的プロセ
スから生じるその部分の変形を感知するために使用することができる。本発明の原理と一
致する特定の実施形態では、変形データは、画像取得中の変形によって引き起こされる特
定のひずみを修正するために使用されうる。他の実施形態では、変形データは、呼吸によ
って誘発される動きを補正するように送達を変更することによって、特定の医学的治療の
標的化された解放を支援するために使用されうる。
【0016】
埋め込みFBGをひずみゲージとして使用する前に、FBGの応答関数と線形性を負荷
の関数として特徴付けられる必要がある。FBGの応答関数および線形性を特徴付けるた
めに、電気ひずみゲージを使用して、適用された引張荷重が三次元物体に対するデカルト
座標系内の身体の変位の読取り値に近似するように、FBGを較正することができる。F
BGが信頼できるひずみゲージとして機能するには、FBGが引張荷重下で延伸される際
の反射波長の変化は、電気ひずみゲージデータを線形的に追跡するものでなければならな
い。較正されると、FBGの応答は、物体の表面変形を検出するための埋め込みひずみゲ
ージとして信頼して使用されうる。これはまた、ゲージの弾性の合理的な限度内で、物体
表面が変位した程度を検出するために使用されうる。圧力をひずみまたは波長と比較する
較正曲線に基づいて、センサーからのひずみデータとともに、変位の程度を検出すること
ができる。
【0017】
図2Aおよび
図2Bは、本発明の原理による、身体変形のリアルタイム検出のために画
像スキャン中に使用されうる衣服200および250の実施形態である。衣服200では
、複数のFBGファイバー210a~nは、衣服に沿って横方向に埋め込まれており、ス
キャン平面Aに平行な方向に延びる。衣服250では、複数のFBGファイバー210a
~nは、衣服に沿って縦方向に埋め込まれており、スキャン平面Aに垂直な方向に延びる
。両方の実施形態では、衣服200および250は、FBGファイバー210a~nを通
って伝達されるレーザーまたは光源の入力220を有してもよい。各FBG 210a~
nは、光源からパルス光波を受信する光センサー(図示せず)に接続されている。加えて
、衣服200および250はまた、出力230を含んでもよく、光センサーは、光伝達に
関するデータをFBG 210a~nのそれぞれを通して、FBG 210a~nの屈折
率のシフトを識別し、衣服内の物体の表面の変形を示唆することができる外部プロセッサ
に提供してもよい。他の実施形態では、プロセッサは、衣服の内部にあり、WiFiまた
はBluetoothなどの無線送信を介してデータを送信してもよい。複数のFBG
210a~nは、それぞれがデカルト座標系に沿って異なる長軸方向マーカーを提供する
ので、断面走査平面のどこに特定の動きがあるかを識別するのに役立ちうる。この衣服の
減衰特性が低いことを考慮すると、撮像中および治療中の両方で使用されうる。
【0018】
加えて、こうした衣服を着用している自由呼吸患者について経時的に測定された波長の
変化は、患者固有の呼吸信号を表す。呼吸信号は、今日、AnzaiベルトおよびRPM
装置などの呼吸ゲート
装置で使用されるのと類似の様式で、撮像および療法のためのゲート信号として使用され
うる。この場合の付加的利益は、ゲート装置が、撮像アーチファクトまたは療法干渉を誘
導することなく、撮像または療法の視野内にありうることである。
【0019】
図3は、本発明の原理による、身体変形のリアルタイム検出のために画像スキャン中に
使用されうる衣服300の別の実施形態である。この衣服では、複数のFBGファイバー
310a~nは、衣服に沿って長軸方向に埋め込まれており、別の複数のFBGファイバ
ー350a~nは、衣服に沿って水平方向に埋め込まれている。加えて、衣服300はま
た、出力330を含んでもよく、光センサーは、光伝達に関するデータをFBG 310
a~nおよびFBG 350a~nのそれぞれを通して、FBG 310a~nおよびF
BG 350a~nの屈折率のシフトを識別し、衣服内の物体の表面の変形を示唆するこ
とができる外部プロセッサに提供してもよい。他の実施形態では、プロセッサは、衣服の
内部にあり、WiFiまたはBluetoothなどの無線送信を介してデータを送信し
てもよい。衣服200および250の複数のFBG 210a~nと類似して、複数のF
BG 310a~nは、それぞれがデカルト座標系に沿って異なる長軸方向マーカーを提
供するので、断面走査平面のどこに特定の動きがあるかを識別するのに役立ちうる。FB
G 350a~nの追加は、異なる平面における衣服内の物体の動きに敏感な追加のデー
タを提供し、動きの場所および強さ(intensity)に関するより正確な情報を与える。
【0020】
呼吸下の患者身体の変形のリアルタイム測定のための埋め込みFBGを有する衣服の実
施形態では、デカルト座標系または極座標系などの所定の座標系を使用して、いくつかの
FBGを埋め込むことができる。加えて、所定の座標系は、最小の埋め込みFBG数も使
用しながら、測定された変形マップの忠実性を最大化しながら、埋め込みFBGの最小数
を使用するという競合する利益のバランスを取るように決定されうる。これは、埋め込み
FBGが、患者の身体に対して座標系に沿って整列しているか、または他の場合、患者の
身体の疑似ランダムサンプリングのために位置しうることを意味する。一部の実施形態で
は、これは、埋め込みFBGの集結が一つの領域においてより高密度の分布で整列し、他
の領域においてはばらばらに分布されるように、FBGが分布されうることを意味する。
衣服の性質に応じて、ベルトまたはシャツはブランケットとは異なる身体の周りのフィッ
トを有する場合があるため、衣服内のFBGの分布は変化しうる。加えて、複数のFBG
は、単一モード光ファイバー内部に刻むことができ、それらが互いに所定の最適な距離だ
け離れており、これらのFBGのそれぞれが一意かつ別個のブラッグ波長を有する限り、
単一のこうした光ファイバーを使用して、単一の広帯域光源および単一の波長多重検出シ
ステムを使用して、その長さに沿ったひずみを測定することができる。こうしたシステム
は、電気ひずみゲージベースのシステムに比べて明らかな利点を有するが、それは後者は
、各ひずみゲージがそれ自体の電気接続を必要とするからである。
【0021】
図4は、本発明と一致する実施形態を使用しうる、例示的な医療撮像システム400で
ある。システム400は、X線制御装置411と、X線制御装置411から供給されるシ
ョット信号に従って高電圧を発生させるための高電圧発生装置413と、その上に被験者
Eを配置した状態で、矢印Lによって示される方向に変位可能なテーブル412と、高電
圧生成装置13から供給される高電圧に従って、X線(光子)を被験者Eに適用するため
のX線源414と、被験者Eを通過した光子を検出するためのX線検出器416と、X線
検出器416によって検出された光子に基づいて被験者透過データを収集するためのデー
タ収集装置418と、データ収集装置418によって収集された被験者透過データから被
験者Eの断層画像を再構成するための画像再構成装置420と、を含む、コンピュータ断
層撮影スキャナとしうる。X線源414およびX線検出器416は、矢印Aによって示さ
れる方向に回転可能である。上述の構成要素は、CT(コンピュータ断層撮影)装置を構
成する。X線源414およびX線検出器416が被験者Eの周りを回転するにつれて、画
像データは断面画像スキャンまたは「スライス」を提供する。被験者がL方向に沿ってシ
ステムを通過する際に、複数の画像「スライス」が撮影され、被験者の容積走査が提供さ
れる。システムは、再構成された断層画像をCRT(陰極線管)または類似するものに表
示するための画像表示装置422をさらに含んでもよい。
【0022】
典型的なシステムでは、CTスキャナ400の回転は、ゆっくりすぎてはならず、テー
ブル412の移動も、ゆっくりすぎてはならず、さもないと、スキャン中の呼吸運動が、
身体(例えば、腹部または胸腔)スキャンに現れ、再構成されたCT容積に画像アーチフ
ァクト(image artifacts)をもたらす。スキャナ400の回転速度およびテーブル41
2の並進速度の増加に伴い、十分な画像解像度のための適切なデータを取得するために、
X線源414の強度はより高くなければならない。しかし、光子と生体組織の原子および
分子との衝突は、組織に深刻な損傷を引き起こす可能性がある。束として測定される、X
線源414から毎秒到着する光子が多いほど、組織損傷の可能性が大きくなる。
【0023】
本発明の原理と一致する一部の実施形態は、呼吸運動のリアルタイム検出のための埋め
込みFBGを有するウェアラブル衣服のような装置を含む。本発明の原理と一致する一部
の実施形態において、その装置は、呼吸サイクルの様々な段階で取得されたデータ、およ
びその段階での身体体型の状態を分離することによって、CTスキャナの動きおよびX線
の線量を同時に制御する呼吸ゲート装置として使用されてもよく、それによって息止めの
必要性または呼吸サイクルにわたる平均化の必要性が軽減される。装置が呼吸運動を検出
すると、CTスキャナは動作を一時停止し、身体が初期呼吸状態に戻ったときに再開しう
る。従って、患者を呼吸ゲート装置と一緒にスキャンできる場合、患者へのX線線量は低
下しうる。
【0024】
他の実施形態では、変形データが変形修正のための画像再構成に使用され、画像データ
が、中断または一時停止することなく取得されうるように、ウェアラブル衣服装置は、呼
吸運動および呼吸変位から生じる変形の程度を連続的に検出するように作動させてもよい
。
【0025】
さらに他の実施形態では、
図10に示すように、患者取り扱いシステム1000は、図
2A、2Bおよび3に示す衣服のように、埋め込まれたFBGを含む繊維を有するパッド
1080を含んでもよい。
図10に示すように、複数のFBGファイバー1010a~n
は、パッド1080に沿って長軸方向に埋め込まれており、別の複数のFBGファイバー
1050a~nは、パッドに沿って水平方向に埋め込まれている。本明細書の教示と一致
する代替的実施形態では、パッド上の身体の動きまたは変位に関連するデータを提供する
ために、パッド1080は、他の構成で埋め込まれたFBGを有してもよい。こうした繊
維はまた、医療撮像装置および放射線療法装置の患者取り扱いシステム(患者ベッド)に
直接埋め込まれうる。
図2A、2Bおよび3に示す衣服と同様に、パッドは出力(図示せ
ず)を含んでもよく、光センサーがデータを外部プロセッサに提供してもよい。FBGは
、患者特有の負荷下のベッドのたわみ、ならびにベッドと接触する患者からの呼吸信号の
両方を得るために使用されうる。これらのパラメータの両方は、患者の画像取得を最適化
するため、および患者への治療送達のために使用されうる。
【0026】
図5Aは、医療撮像システムによって取得されうる被験者Eの断面画像500Aである
。
図5Bは、呼吸運動(例えば、吸入中の体腔の拡張)によって影響を受ける被験者Eの
断面画像500Bを示す。
図4のCTスキャナ400などのスキャナは、複数の画像スラ
イスを撮影するため、変形が体積走査での変形を引き起こしうる。
図5Aの画像500A
において、被験者Eの身体の断面の高さはX
1である。
図5Bの画像500Bでは、吸気
のため、被験者Eの身体の断面の高さはわずかに高いX
2である。CTスキャナ400は
、被験者Eに沿い、方向Lに沿って複数のスライスを撮影するため、スライス間(例えば
、500Aおよび500B)の突然の動きは著しい変動を生じ、これはデカルト平面内の
ゆがんだ体積画像をもたらす。断面画像500Aおよび500Bの両方において、質量M
はスキャン内に位置してもよく、体積走査内のその相対位置が検出されうる。
【0027】
図4を再び参照すると、被験者Eは、本発明の原理と一致する衣服450を着用してい
てもよい。こうした衣服450は、衣服450内に埋め込まれたFBG(
図4には図示せ
ず)を通して光を伝送する光エミッタ460と通信していてもよい。被験者Eがスキャナ
400をL方向に沿って通過するにつれて、データ取得モジュール472を含むプロセッ
サ470は、FBGに取り付けられた光センサー(
図4には図示せず)からデータを受信
する。プロセッサ470のコンパレータ475は、FBG上の軸ひずみにより、FBGの
屈折率の有効シフトを識別し、衣服内の物体の表面の変形を示唆することができる。これ
らの変形が検出されると、プロセッサ470は、変形修正情報を画像再構成モジュール4
20に送信して、任意の動きに対する画像補正を可能にしうる。他の実施形態では、FB
Gデータ取得モジュール472およびコンパレータ475を含むプロセッサ470は、デ
ータ収集装置418および画像再構成装置420と同じ装置に含まれてもよい。
【0028】
図6は、被験者の画像取得中の身体変形を補正する方法を示すフローチャートである。
ステップ610で被験者の画像データが取得されると、被験者の身体上に配置された複数
のファイバーブラッググレーティング(FBG)から、ピーク波長データがステップ62
0で取得される。画像取得中の身体変形によって引き起こされるFBGのブラッグ波長の
有効シフトが、ステップ630で検出される。シフトが検知された場合、デカルト座標系
に沿って整列したFBGのブラッグ波長の有効シフトに基づいて、画像スキャン中の身体
変形を補正するために、画像再構成中に、取得された画像データがステップ640で修正
される。
【0029】
本発明の原理と一致する他の実施形態では、呼吸運動のリアルタイム検出のための埋め
込みFBGを有するウェアラブル衣服のような装置は、外部ビーム放射線療法などの標的
化された送達を支援するために、身体の動き(例えば、呼吸によって誘発される動き、ま
たは筋痙攣)を検出するために使用されてもよい。身体の動きを検出することによって、
療法は、位置決めを調整して、腫瘍に最大線量を送達し、周囲の健全な組織に最小線量を
送達しうる。
【0030】
図7は、本発明と一致する実施形態を使用しうる、外部ビーム治療のための例示的な医
療機器700である。医療用線形加速器(LINAC)は、癌患者に対する外部ビーム放
射線治療のために一般的に使用される装置である。線形加速器は、典型的に、高無線周波
数(RF)電磁波を使用して、加速器導波管(
図7には図示せず)と呼ばれる管のような
構造内部の直線経路で、荷電粒子(すなわち、電子)を高エネルギーに加速するガントリ
710を含む。代替的な実施形態では、医療機器は、複数のエミッタを含みうる。エミッ
タ715は、患者の腫瘍に向けられた高エネルギーX線725を機械から放射する。患者
は、移動可能な治療テーブル712上に横たわる。患者は位置付けられ、こうした位置は
、レーザーまたは機械的手段(
図7には表示せず)を使用して監視されうる。治療テーブ
ルは、方向Lにガントリ(gantry)を出入りする。一部の代替的な医療機器では、テーブル
はまた、患者を左から右(方向Lに対して垂直)および/または上下(エミッタ715か
らより近く、またはさらに離れて)に移動させうる。ガントリは患者の周りで回転しても
よく、放射線治療は、ガントリを回転させて治療用カウチ(treatment couch)を移動させ
ることによって、多くの角度から患者内の腫瘍に送達されうる。
【0031】
図8は、医療機器(
図7)による外部ビーム治療を示す患者Pの断面
図800である。図
は、患者Pの周りを回転する際の様々な位置810a~eのエミッタを示す。第一の位置
810aでは、エミッタ810は、患者を通して質量Mに、こうした放射線療法の、何ら
かの形態のビーム治療を配向する。ガントリが第二の位置810bを通って回転するにつ
れて、ビームは異なる角度から患者を通過し続けるが、質量Mを標的にし続ける。放射線
治療は健全な組織を通過するが、エミッタが回転し続けるため、健全な組織の放射線への
曝露が最小化される。本発明の原理と一致して、患者Pは、衣服内に埋め込まれたFBG
(
図8には示されていない)を含む衣服880を着用してもよい。
図2および
図3に関し
て上述したように、こうした衣服880は、衣服880内に埋め込まれたFBGを通して
光を伝送する光エミッタ(
図8には示されていない)と通信していてもよい。患者Pが医
療機器を通過し、治療を受けると、データ取得モジュールを含む
図4に関連して記載され
たものと類似したプロセッサが、FBGに取り付けられた光センサーからデータを受信す
る。FBG上の軸ひずみによるFBGの屈折率の有効シフトは、衣服内の物体の表面の変
形を示唆しており、質量Mをより良好に標的とし、非標的組織への線量を最小化するため
に、医療機器が患者またはエミッタの位置決めをシフトすることを可能にする。
【0032】
図9は、外部ビーム治療中の身体変形を補正する方法を示すフローチャートである。ス
テップ910で医療機器が外部ビーム治療のための身体の標的領域を識別するとき、被験
者の身体上に配置された複数のファイバーブラッググレーティング(FBG)から、ピー
ク波長データがステップ920で取得される。ステップ930で、外部ビーム治療が標的
領域に向けられる。治療中の身体変形によって引き起こされるFBGのブラッグ波長の有
効シフトが、ステップ940で検出される。ステップ950では、任意のシフトを検出す
ると、標的領域に焦点を維持するために、デカルト座標系に沿って整列したFBGのブラ
ッグ波長の有効シフトに基づいて、画像スキャン中の身体変形を補正するために、外部ビ
ーム治療がシフトされうる。放射線治療に対する患者の相対位置は、ガントリのエミッタ
または治療テーブルの位置のいずれかを移動することによって調整されうる。
【0033】
埋め込みFBGを有する衣服の低減衰特性により、干渉をほとんどまたは全く伴わずに
、より正確な医療撮像および放射線療法を提供することが可能になる。加えて、患者の快
適さを高め、放射線量を低減することもできる。こうした装置はまた、撮像が身体変形の
関数として行われるため、新しいクラスの低費用スキャナを作製する可能性を開き、こう
した画像診断法を最も費用に敏感な集団群にもより広くアクセスできるようにすることが
できる。
【0034】
例示的な実施形態が特に示され説明されてきたが、添付の特許請求の範囲から逸脱する
ことなく、形態および詳細の様々な変更がその中に行われうることが、当業者には理解さ
れるであろう。
【0035】
上述の例示的な実施形態は、多くの異なる方法で実施されうることが理解されるべきで
ある。一部の実施例では、本明細書に記載の様々な方法および機械は、中央プロセッサ、
メモリ、ディスクまたは他の大容量記憶装置、通信インターフェース(複数可)、入力/
出力(I/O)装置(複数可)、および他の周辺機器を有する、物理的、バーチャル、ま
たはハイブリッド汎用コンピュータによってそれぞれ実装されてもよい。汎用コンピュー
タは、例えば、ソフトウェア命令をデータプロセッサにロードし、次いで命令の実行によ
って本明細書に記載する機能が実行されるようにすることによって、上述の方法を実行す
る機械へと変換される。
【0036】
当技術分野で周知のように、こうしたコンピュータはシステムバスを含んでもよく、こ
こで、バスは、コンピュータまたは処理システムの構成要素間のデータ転送に使用される
、一式のハードウェアラインである。バス(複数可)は、コンピュータシステムの異なる
要素、例えば、プロセッサ、ディスクストレージ、メモリ、入力/出力ポート、ネットワ
ークポートなどを接続する、本質的に共有された導管であり、これが要素間の情報の転送
を可能にする。一つ以上の中央プロセッサユニットがシステムバスに取り付けられ、コン
ピュータ命令の実行を提供する。また、システムバスには、典型的には、様々な入力およ
び出力装置、例えば、キーボード、マウス、ディスプレイ、プリンター、スピーカーなど
をコンピュータに接続するためのI/O装置インターフェースが取り付けられている。ネ
ットワークインターフェース(複数可)は、コンピュータが、ネットワークに接続された
様々な他の装置に接続することを可能にする。メモリは、実施形態の実施のために使用さ
れるコンピュータソフトウェア命令およびデータのための揮発性ストレージを提供する。
ディスクまたは他の大容量ストレージは、例えば、本明細書に記載される様々な手順を実
施するために使用される、コンピュータソフトウェア命令およびデータのための不揮発性
ストレージを提供する。
【0037】
従って、実施形態は、典型的には、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、ま
たはそれらの任意の組み合わせで実施されてもよい。
【0038】
特定の実施形態では、本明細書に記載の手順、装置およびプロセスは非一時的(non-tr
ansistory)コンピュータ可読媒体、例えば、システム用のソフトウェア命令の少なくと
も一部を提供する、一つ以上のDVD-ROM、CD-ROM、ディスケット、テープな
どの取り外し可能記憶媒体を含む、コンピュータプログラム製品を構成する。こうしたコ
ンピュータプログラム製品は、当技術分野で周知の任意の適切なソフトウェアのインスト
ール手順によってインストールすることができる。別の実施形態では、ソフトウェア命令
の少なくとも一部分は、ケーブル、通信および/または無線接続を介してダウンロードさ
れてもよい。
【0039】
さらに、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、または命令は、データプロセッサ
の特定の動作および/または機能を実行するものとして本明細書に記載されてもよい。し
かし、当然のことながら、本明細書へのこうした記述は単に便宜上のものであり、こうし
た動作は、実際には、コンピューティング装置、プロセッサ、コントローラ、またはファ
ームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令などを実行する他の装置からもたらされる。
【0040】
当然のことながら、フロー図、ブロック図、およびネットワーク図は、より多くまたは
より少ない要素を含んでもよく、違う形で配置されてもよく、または違う形で表されても
よい。しかし、特定の実装は、ブロック図およびネットワーク図、ならびにブロック図や
ネットワーク図の数に影響される場合があり、実施形態の実行が特定の方法で実装されう
ることがさらに理解されるべきである。
【0041】
したがって、さらなる実施形態はまた、様々なコンピュータのアーキテクチャ、物理的
コンピュータ、仮想コンピュータ、クラウドコンピュータ、および/またはそれらのいく
つかの組み合わせで実装されてもよく、したがって、本明細書に記載のデータプロセッサ
は例示のみを目的とし、実施形態の制限するものではない。
【0042】
本発明は、その例示的な実施形態を参照して特に示され説明されているが、本発明の添
付の特許請求の範囲から逸脱することなく、形態および詳細の様々な変更がその中に行わ
れうることは、当業者であれば理解されるであろう。