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▶ プロメテウス バイオサイエンシーズ,インク.の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166402
(43)【公開日】2023-11-21
(54)【発明の名称】最適化された抗TL1A抗体
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/18 20060101AFI20231114BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20231114BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20231114BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20231114BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231114BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20231114BHJP
【FI】
C07K16/18 ZNA
A61K39/395 N
A61P1/04
A61P1/00
A61P43/00 105
C12N15/13
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023131429
(22)【出願日】2023-08-10
(62)【分割の表示】P 2020560230の分割
【原出願日】2019-04-24
(31)【優先権主張番号】62/662,605
(32)【優先日】2018-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/756,494
(32)【優先日】2018-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】523181802
【氏名又は名称】プロメテウス バイオサイエンシーズ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワトキンス,ジェフリー ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ディッカーソン,シンディ ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ワトキンス,ジェイ.モンティ
(72)【発明者】
【氏名】マクニ―リー,パトリシア
(57)【要約】      (修正有)
【課題】クローン病(CD)および潰瘍性大腸炎(UC)などの炎症性腸疾患(IBD)の病因に関与する酵素を特異的に標的とする、IBDを処置するための新しい治療法を提供する。
【解決手段】他の腫瘍壊死因子リガンド1A(TL1A)結合抗体と比較して、優れた治療面を有する抗体であって、該抗体は、高い結合親和性を依然として示しながらヒト生殖系列ネットワークへの高い配列相同性を有し、細菌と哺乳動物の培養物において高レベルで発現し、分解の増加と治療効果の減少につながる、脱アミド部位(deamidation sites)などのより小さい配列のライアビリィティ(sequence liabilities)を有する、ヒト化抗TL1A抗体および医薬組成物を提供する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
TL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメントであって:
(a)SEQ ID NO:553によって記載されるアミノ酸配列を含むHCDR1;
(b)SEQ ID NO:554~564あるいは574~577のいずれか1つによって記載されるアミノ酸配列を含むHCDR2;および、
(c)SEQ ID NO:565~568あるいは578~581のいずれか1つによって記載されるアミノ酸配列を含むHCDR3;
を含む重鎖可変領域と、
(d)SEQ ID NO:569あるいは570のいずれか1つによって記載されるアミノ酸配列を含むLCDR1;
(e)SEQ ID NO:488によって記載されるアミノ酸配列を含むLCDR2;および、
(f)SEQ ID NO:571~573あるいは582~585のいずれか1つによって記載されるアミノ酸配列を含むLCDR3
を含む軽鎖可変領域と、
を含む、
TL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項2】
(a)HCDR1は、SEQ ID NO:553によって記載されるアミノ酸配列を含み;
(b)HCDR2は、SEQ ID NO:559によって記載されるアミノ酸配列を含み;
(c)HCDR3は、SEQ ID NO:567によって記載されるアミノ酸配列を含み;
(d)LCDR1は、SEQ ID NO:569によって記載されるアミノ酸配列を含み;
(e)LCDR2は、SEQ ID NO:488によって記載されるアミノ酸配列を含み;および、
(f)LCDR3は、SEQ ID NO:573によって記載されるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のTL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項3】
(a)HCDR1は、SEQ ID NO:553によって記載されるアミノ酸配列を含み;
(b)HCDR2は、SEQ ID NO:563によって記載されるアミノ酸配列を含み;
(c)HCDR3は、SEQ ID NO:568によって記載されるアミノ酸配列を含み;
(d)LCDR1は、SEQ ID NO:569によって記載されるアミノ酸配列を含み;
(e)LCDR2は、SEQ ID NO:488によって記載されるアミノ酸配列を含み;および、
(f)LCDR3は、SEQ ID NO:572によって記載されるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のTL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項4】
(a)HCDR1は、SEQ ID NO:553によって記載されるアミノ酸配列を含み;
(b)HCDR2は、SEQ ID NO:555によって記載されるアミノ酸配列を含み;
(c)HCDR3は、SEQ ID NO:566によって記載されるアミノ酸配列を含み;
(d)LCDR1は、SEQ ID NO:569によって記載されるアミノ酸配列を含み;
(e)LCDR2は、SEQ ID NO:488によって記載されるアミノ酸配列を含み;および、
(f)LCDR3は、SEQ ID NO:572によって記載されるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のTL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項5】
(a)HCDR1は、SEQ ID NO:553によって記載されるアミノ酸配列を含み;
(b)HCDR2は、SEQ ID NO:558によって記載されるアミノ酸配列を含み;
(c)HCDR3は、SEQ ID NO:566によって記載されるアミノ酸配列を含み;
(d)LCDR1は、SEQ ID NO:569によって記載されるアミノ酸配列を含み;
(e)LCDR2は、SEQ ID NO:488によって記載されるアミノ酸配列を含み;および、
(f)LCDR3は、SEQ ID NO:572によって記載されるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のTL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項6】
(a)HCDR1は、SEQ ID NO:553によって記載されるアミノ酸配列を含み;
(b)HCDR2は、SEQ ID NO:564によって記載されるアミノ酸配列を含み;
(c)HCDR3は、SEQ ID NO:568によって記載されるアミノ酸配列を含み;
(d)LCDR1は、SEQ ID NO:569によって記載されるアミノ酸配列を含み;
(e)LCDR2は、SEQ ID NO:488によって記載されるアミノ酸配列を含み;および、
(f)LCDR3は、SEQ ID NO:572によって記載されるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のTL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項7】
TL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメントであって、前記抗体または抗原結合フラグメントは:
(a)SEQ ID NO:491、493、495、497、499、501、503、505、507、509、511、513、515、517、519、521、523、525、527、529、531、533、535、537、539、または541のいずれか1つから選択される、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含む重鎖可変領域と;
(b)SEQ ID NO:490、492、494、496、498、500、502、504、506、508、510、512、514、516、518、520、522、524、526、528、530、532、534、536、538、または540のいずれか1つから選択される、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む、軽鎖可変領域と;を含み、
ここで、CDRは、Kabat法、Chothia法、あるいはIMGT法、あるいはそれらの組み合わせによって定義される、
TL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項8】
(a)SEQ ID NO:545に記載されるものと少なくとも95%同一であるヒト重鎖フレームワーク領域1と;
(b)SEQ ID NO:546に記載されるものと少なくとも95%同一であるヒト重鎖フレームワーク領域2と;
(c)SEQ ID NO:547あるいは586~588に記載されるものと少なくとも95%同一であるヒト重鎖フレームワーク領域3と;
(d)SEQ ID NO:548に記載されるものと少なくとも95%同一であるヒト重鎖フレームワーク領域4と;
(e)SEQ ID NO:549に記載されるものと少なくとも95%同一であるヒト軽鎖フレームワーク領域1と;
(f)SEQ ID NO:550に記載されるものと少なくとも95%同一であるヒト軽鎖フレームワーク領域2と;
(g)SEQ ID NO:551に記載されるものと少なくとも95%同一であるヒト軽鎖フレームワーク領域3と;および、
(h)SEQ ID NO:552に記載されるものと少なくとも95%同一であるヒト軽鎖フレームワーク領域4と、
を含む、請求項1-7のいずれか1つに記載のTL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項9】
SEQ ID NO:503、511、493、501、または515のいずれか1つと少なくとも約90%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と;SEQ ID NO:502、510、492、500、または514のいずれか1つに少なくとも約90%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、を含む、請求項1-8のいずれか1つに記載のTL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項10】
SEQ ID NO:503、511、493、501、または515のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と;SEQ ID NO:502、510、492、500、または514のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、を含む、請求項1-8のいずれか1つに記載のTL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項11】
TL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメントであって、前記抗体または抗原結合フラグメントは:
(a)SEQ ID NO:491、493、495、497、499、501、503、505、507、509、511、513、515、517、519、521、523、525、527、529、531、533、535、537、539、または541のいずれか1つと少なくとも約90%同一のアミノ酸配列を含む、重鎖可変領域と;
(b)SEQ ID NO:490、492、494、496、498、500、502、504、506、508、510、512、514、516、518、520、522、524、526、528、530、532、534、536、538、または540のいずれか1つと少なくとも約90%同一のアミノ酸配列を含む、軽鎖可変領域と、
を含む、
TL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項12】
重鎖可変領域は、SEQ ID NO:503と少なくとも約90%同一のアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:502と少なくとも約90%同一のアミノ酸配列を含む、請求項11に記載のTL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項13】
重鎖可変領域は、SEQ ID NO:503のアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:502のアミノ酸配列を含む、請求項12に記載のTL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項14】
重鎖可変領域は、SEQ ID NO:511と少なくとも約90%同一のアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:510と少なくとも約90%同一のアミノ酸配列を含む、請求項11に記載のTL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項15】
重鎖可変領域は、SEQ ID NO:511のアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:510のアミノ酸配列を含む、請求項14に記載のTL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項16】
重鎖可変領域は、SEQ ID NO:493と少なくとも約90%同一のアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:492と少なくとも約90%同一のアミノ酸配列を含む、請求項11に記載のTL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項17】
重鎖可変領域は、SEQ ID NO:493のアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:492のアミノ酸配列を含む、請求項16に記載のTL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項18】
重鎖可変領域は、SEQ ID NO:501と少なくとも約90%同一のアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:500と少なくとも約90%同一のアミノ酸配列を含む、請求項11に記載のTL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項19】
重鎖可変領域は、SEQ ID NO:501のアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:500のアミノ酸配列を含む、請求項18に記載のTL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項20】
重鎖可変領域は、SEQ ID NO:515と少なくとも約90%同一のアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:514と少なくとも約90%同一のアミノ酸配列を含む、請求項11に記載のTL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項21】
重鎖可変領域は、SEQ ID NO:515のアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:514のアミノ酸配列を含む、請求項20に記載のTL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項22】
前記抗体は、ELISAによって決定されるように、L8クローンと比較してより強力な親和性でヒトTL1Aに結合し、ここで、前記L8クローンは、SEQ ID NO:491によって記載される重鎖可変領域アミノ酸配列と、SEQ ID NO:490によって記載される軽鎖可変領域アミノ酸配列とを含む、請求項1-21のいずれか1つに記載のTL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項23】
前記抗体は、ELISAによって決定されるように、L8クローンと比較して少なくとも2倍強力な親和性でヒトTL1Aに結合し、ここで、前記L8クローンは、SEQ ID NO:491によって記載される重鎖可変領域アミノ酸配列と、SEQ ID NO:490によって記載される軽鎖可変領域アミノ酸配列と、を含む、請求項22に記載のTL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項24】
前記抗体または抗原結合フラグメントはキメラであるか、あるいはヒト化される、請求項1-23のいずれか1つに記載のTL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項25】
前記抗体または抗原結合フラグメントはIgG抗体である、請求項1-23のいずれか1つに記載のTL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項26】
前記抗体または抗原結合フラグメントは、Fab、F(ab)、単一ドメイン抗体、単鎖可変フラグメント(scFv)、あるいはナノボディを含む、請求項1-25のいずれか1つに記載のTL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項27】
SEQ ID NO:542または543によって記載されるアミノ酸配列を含む重鎖定常領域を含む、請求項1-26のいずれか1つに記載のTL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項28】
SEQ ID NO:542によって記載されるアミノ酸配列を含む重鎖定常領域を含む、請求項1-26のいずれか1つに記載のTL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項29】
前記抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:544によって記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖定常領域を含む、請求項1-26のいずれか1つに記載のTL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項30】
前記抗体または抗原結合フラグメントは、Tリンパ球からのインターフェロンγのTL1A誘導分泌を阻害する、請求項1-29のいずれか1つに記載のTL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項31】
請求項1~30のいずれか1つに記載のTL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメントと、薬学的に許容可能な賦形剤、担体、あるいは希釈剤とを含む、医薬組成物。
【請求項32】
静脈内投与のために製剤化される、請求項31の医薬組成物。
【請求項33】
炎症性腸疾患、クローン病、あるいは大腸炎の処置で使用される、請求項1~30のいずれか1つに記載のTL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメント、あるいは、請求項31または32に記載の医薬組成物。
【請求項34】
個体の炎症性腸疾患、クローン病、あるいは大腸炎を処置する方法であって、前記方法は、
有効な量の請求項1~30のいずれか1つに記載のTL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメント、あるいは請求項31または32に記載の医薬組成物を、前記個体に投与する工程を含み、ここで、前記個体は、炎症性腸疾患、クローン病、あるいは大腸炎であると診断されるか、もしくは炎症性腸疾患、クローン病、あるいは大腸炎に罹患している疑いがある、
方法。
【請求項35】
Tリンパ球によるインターフェロンγ分泌の防止あるいは減少に使用するための、請求項1~30のいずれか1つに記載のTL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメント、あるいは請求項31または32に記載の医薬組成物。
【請求項36】
個体におけるTリンパ球によるインターフェロンγ分泌を防ぐか、あるいは減少させる方法であって、前記方法は、
有効な量の請求項1~30のいずれか1つに記載のTL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメント、あるいは請求項31または32に記載の医薬組成物を、前記個体に投与する工程を含む、
方法。
【請求項37】
請求項1~30のいずれか1つに記載のTL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメントをコードする、核酸。
【請求項38】
請求項37に記載の核酸を含む細胞。
【請求項39】
前記細胞は真核細胞である、請求項38に記載の細胞。
【請求項40】
前記細胞はチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である、請求項38の細胞。
【請求項41】
炎症性腸疾患、クローン病、あるいは大腸炎の処置剤を調製する方法であって、前記方法は、
請求項1~30のいずれか1つに記載のTL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメントを培地へと分泌するのに十分な条件下で、請求項38~40のいずれか1つに記載の細胞を前記培地中でインキュベートする工程を含む、
方法。
【請求項42】
前記培地を少なくとも1つの精製工程に供する工程をさらに含む、請求項41に記載する方法。
【請求項43】
炎症性腸疾患、クローン病、あるいは大腸炎の処置剤を調製する方法であって、前記方法は、
請求項1~30のいずれか1つに記載のTL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメント、および薬学的に許容可能な賦形剤、担体、あるいは希釈剤を混合する工程を含む、
方法。
【請求項44】
疾患または疾病に関連するリスク変異体を保有する個体の疾患あるいは疾病を処置する方法であって、前記方法は、
有効な量の請求項1~30のいずれか1つに記載のTL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメント、あるいは請求項31または32に記載の医薬組成物を、前記疾患または疾病のリスク変異体を保有する前記個体に投与する工程を含み、ここで、前記疾患または疾病は炎症性腸疾患(IBD)、クローン病(CD)、もしくは大腸炎の少なくとも1つを含む、
方法。
【請求項45】
前記個体は複数のリスク変異体を保有する、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記複数のリスク変異体は、少なくとも3、4、5、または10のリスク変異体である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
リスク変異体あるいは複数のリスク変異体は、前記疾患または疾病の無症状の表現型に関連する、請求項44~46のいずれか1つに記載の方法。
【請求項48】
前記疾患または疾病は、IBD、CD、あるいは大腸炎の少なくとも1つの重症型である、請求項44に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2018年4月25日に出願された米国仮特許出願第62/662,605号;および2018年11月6日に出願された米国仮特許出願第62/756,494号に基づく利益を主張するものであって、これらの出願は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
炎症性腸疾患(IBD)は、胃腸管において炎症性疾病を引き起こす腸疾患の集まりを指す。IBDの正基準標本は、潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)である。これらの疾患は流行しており、包括的に約186万人がUCであると診断され、包括的に約130万人がCDであると診断されている。
【0003】
これらの形態の各々には、CDとUCの患者の亜母集団に存在する、重症のIBDの様々な無症状の表現型特性がある。そのような疾病の1つは閉塞性クローン病(obstructive Crohn’s disease)であり、この病気は、腸壁における瘢痕組織の形成(線維性狭窄(fibrostenosis))あるいは膨張に結びつく可能性がある長期的な炎症に起因し得る。両方の結果は、狭小化(すなわち閉塞)を引き起こす場合があり、これは、繊維症性狭窄または炎症性狭窄のいずれかとして知られている。重度の狭窄は、腸の閉塞を引き起こし、腹痛症、鼓脹、悪心、および排便できないことにつながる可能性がある。別の例として、腸閉塞症あるいは内部浸透性の瘻孔(internal penetrating fistulas)、またはその両方によって特徴付けられる浸透性疾患表現型は、しばしば、例えば、腹腔内敗血症などを含む、IBDに伴う合併症をもたらす。
【0004】
残念ながら、IBD患者に利用可能な治療の数は限られており、新しい治療方の開発は臨床試験での最適以下の結果によって妨げられている。ステロイドおよび腫瘍壊死因子(TNF)阻害剤などの既存の抗炎症性の治療は、典型的に、IBDを処置するための一次処置として使用される。あいにく、かなりの数の患者は、既存の抗炎症性の治療、特にTNF-α阻害剤に対する反応の不足または反応の消失を経験する。患者は、効果のない抗炎症性の治療で処置され、その病気は悪化する。狭窄形成術(腸の再成形)または切除術(腸の除去)の形態の外科手術は、一次治療に反応しない患者に対する唯一の処置オプションである。IBDのための外科的治療は侵襲的であり、手術を受けている患者の予測される3分の1に手術後のリスク、例えば、吻合部漏出、感染、および出血を引き起こす。
【0005】
BDの原因は、遺伝的に感受性が強い宿主において、ある環境要因が引き金となって起きる可能性がある、制御されていない免疫応答に関与していると思われる。処置に対する様々な反応およびその関連する副作用と相まって、病因および臨床経過の異質性(heterogeneity)は、これらの疾患の処置への標的治療用アプローチが最良の治療方針であることを示唆する。しかし、IBD患者、特に既存のIBD治療(例えば、抗TNFa阻害剤)に非反応性であり得る患者に利用可能な標的療法はほとんどない。したがって、IBDの病因に関与する酵素を特異的に標的とする、IBDを処置するための新しい治療法が必要とされる。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、本明細書に開示される無症状の表現型によって特徴付けられるIBDの中度から重度の形態(例えば、難治性疾患、狭窄疾患、浸透性疾患(penetrating disease))を含む、IBDの処置に有用な抗体を提供する。本明細書に記載される抗体は、他の腫瘍壊死因子リガンド1A(TL1A)結合抗体と比較して、優れた治療面を有する。まず、本明細書に記載される抗体は、高い結合親和性を依然として示しながらヒト生殖系列ネットワークへの高い配列相同性を有し、細菌と哺乳動物の培養物において高レベルで発現し、分解の増加と治療効果の減少につながる、脱アミド部位(deamidation sites)などのより小さい配列のライアビリィティ(sequence liabilities)を有する。
【0007】
TL1Aおよび核酸をコードするTL1A(腫瘍壊死因子リガンドスーパーファミリーメンバー15(TNFSF15)はEntrez Gene: 9966; UniProtKB: O95150で提供される。TL1Aは、TCR刺激の存在下において、CD8(+)細胞傷害性T細胞、ならびにTh1、Th2、およびTh17細胞の増殖とエフェクター機能を刺激する炎症性分子である。TL1Aは、自然免疫反応と適応免疫応答を橋渡しし、Th1、Th2、およびTh17エフェクター細胞機能を増大させることにより適応免疫を調節することによって、IBDの病因に関与し、ならびにT細胞蓄積と炎症組織の免疫病理に関与すると考えられる。
【0008】
TNFSF15遺伝子で同定された多型を含有する特定の遺伝子型は、IBD(例えば、UCあるいはCD)またはIBDの無症状の表現型が発生するリスクと関連し、したがって、そのIBD(例えば、UCあるいはCD)またはIBDの無症状の表現型が発生するリスクを予測する。TL1A mRNA発現は、これらのリスク遺伝子型を保有するIBDであると診断された患者において高まる。したがって、TL1A発現および/または活性の阻害は、IBD(例えば、UCならびにCD)を含む様々なT細胞依存性自己免疫疾患の有望な治療方針である。
【0009】
一態様では、TL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメントが本明細書で提供され、前記抗体または抗原結合フラグメントは:(a)SEQ ID NO:553によって記載されるアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)SEQ ID NO:554~564または574~577のいずれか1つによって記載されるアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)SEQ ID NO:565~568または578~581のいずれか1つによって記載されるアミノ酸配列を含むHCDR3;を含む重鎖可変領域と、(d)SEQ ID NO:569または570のいずれか1つによって記載されるアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)SEQ ID NO:488によって記載されるアミノ酸配列を含むLCDR2;(f)SEQ ID NO:571~573または582~585のいずれか1つによって記載されるアミノ酸配列を含む、LCDR3を含む、軽鎖可変領域とを含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:545に記載されるものと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるヒト重鎖フレームワーク領域1を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:546に記載されるものと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるヒト重鎖フレームワーク領域2を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:547または586~588記載されるものと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるヒト重鎖フレームワーク領域3を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:548に記載されるものと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるヒト重鎖フレームワーク領域4を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:549に記載されるものと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるヒト軽鎖フレームワーク領域1を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:550に記載されるものと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるヒト軽鎖フレームワーク領域2を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:551に記載されるものと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるヒト軽鎖フレームワーク領域3を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:552に記載されるものと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるヒト軽鎖フレームワーク領域4を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは:(a)SEQ ID NO:545に記載されるものと少なくとも90%、95%、97%、あるいは98%同一である、ヒト重鎖フレームワーク領域1と;(b)SEQ ID NO:546に記載されるものと少なくとも90%、95%、97%、あるいは98%同一である、ヒト重鎖フレームワーク領域2と;(c)SEQ ID NO:547または586~588に記載されるものと少なくとも90%、95%、97%、あるいは98%同一である、ヒト重鎖フレームワーク領域3と;(d)SEQ ID NO:548に記載されるものと少なくとも90%、95%、97%、あるいは98%同一である、ヒト重鎖フレームワーク領域4と;(e)SEQ ID NO:549に記載されるものと少なくとも90%、95%、97%、あるいは98%同一である、ヒト軽鎖フレームワーク領域1と;(f)SEQ ID NO:550に記載されるものと少なくとも90%、95%、97%、あるいは98%同一である、ヒト軽鎖フレームワーク領域2と;(g)SEQ ID NO:551に記載されるものと少なくとも90%、95%、97%、あるいは98%同一である、ヒト軽鎖フレームワーク領域3と;(h)SEQ ID NO:552に記載されるものと少なくとも90%、95%、97%、あるいは98%同一である、ヒト軽鎖フレームワーク領域4と、を含む。ある実施形態では、抗体は、ELISAによって決定されように、L8クローンと比較してより強力な親和性で、あるいは2倍強力な親和性でヒトTL1Aに結合し、ここで、上記L8クローンは、SEQ ID NO:491によって記載される重鎖可変領域アミノ酸配列と、SEQ ID NO:490によって記載される軽鎖可変領域アミノ酸配列とを含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、キメラであるか、あるいはヒト化される。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントはIgG抗体である。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、Fab、F(ab)、単一ドメイン抗体、単鎖可変フラグメント(scFv)、あるいはナノボディを含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:542あるいは543に記載されるアミノ酸配列を含む、重鎖定常領域を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:542に記載されるアミノ酸配列を含む、重鎖定常領域を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、軽鎖定常領域を含む、SEQ ID NO:544に記載されるアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、Tリンパ球からのインターフェロンγのTL1A誘導分泌を阻害する。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、抗体または抗原結合フラグメント、および薬学的に許容可能な賦形剤、担体、あるいは希釈剤を含む、医薬組成物の成分である。ある実施形態において、医薬組成物は静脈内投与のために製剤化される。ある実施形態では、抗体あるいは抗原結合フラグメント、または医薬組成物は、炎症性腸疾患、クローン病、もしくは大腸炎の処置に使用するためのものである。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは核酸によってコードされる。ある実施形態では、細胞は核酸を含む。ある実施形態では、細胞は真核細胞である。ある実施形態では、細胞はチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。ある実施形態では、有効な量の抗体または抗原結合フラグメントまたは医薬組成物を個体に投与する工程を含む、炎症性腸疾患、クローン病、あるいは大腸炎を患う個体を処置するための方法が本明細書に記載され、ここで、上記個体は、炎症性腸疾患、クローン病、あるいは大腸炎であると診断されるか、または炎症性腸疾患、クローン病、あるいは大腸炎に罹患している疑いがある。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントまたは医薬組成物は、Tリンパ球によるインターフェロンγ分泌の防止あるいは減少に使用するためのものである。ある実施形態では、有効な量の抗体または抗原結合フラグメントまたは医薬組成物を個体に投与する工程を含む、個体におけるTリンパ球によるインターフェロンγ分泌を防ぐか、あるいは減少させる方法が本明細書に記載されている。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントを培地へと分泌するのに十分な条件下で、抗体または抗原結合フラグメントをコードする核酸を含む細胞を、培地中でインキュベートする工程を含む、炎症性腸疾患、クローン病、あるいは大腸炎の処置剤を調製する方法が本明細書に記載されている。ある実施形態では、上記方法は、上記培地を少なくとも1つの精製工程に供する工程をさらに含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントおよび薬学的に許容可能な賦形剤、担体、あるいは希釈剤を混合する工程を含む、炎症性腸疾患、クローン病あるいは大腸炎の処置剤を調製する方法が本明細書に記載される。
【0010】
他の態様では、TL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメントが本明細書に提供され、上記抗体または抗原結合フラグメントは:(a)SEQ ID NO:553によって記載されるアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)SEQ ID NO:559によって記載されるアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)SEQ ID NO:567によって記載されるアミノ酸配列を含むHCDR3;を含む重鎖可変領域と、(d)SEQ ID NO:569によって記載されるアミノ酸配列を含む、LCDR1;(e)SEQ ID NO:488によって記載されるアミノ酸配列を含む、LCDR2;および、(f)SEQ ID NO:573のいずれか1つによって記載されるアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、軽鎖可変領域と、を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:545に記載されるものと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるヒト重鎖フレームワーク領域1を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:546に記載されるものと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるヒト重鎖フレームワーク領域2を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:547または586~588記載されるものと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるヒト重鎖フレームワーク領域3を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:548に記載されるものと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるヒト重鎖フレームワーク領域4を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:549に記載されるものと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるヒト軽鎖フレームワーク領域1を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:550に記載されるものと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるヒト軽鎖フレームワーク領域2を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:551に記載されるものと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるヒト軽鎖フレームワーク領域3を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:552に記載されるものと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるヒト軽鎖フレームワーク領域4を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは:(a)SEQ ID NO:545に記載されるものと少なくとも90%、95%、97%、あるいは98%同一である、ヒト重鎖フレームワーク領域1と;(b)SEQ ID NO:546に記載されるものと少なくとも90%、95%、97%、あるいは98%同一である、ヒト重鎖フレームワーク領域2と;(c)SEQ ID NO:547または586~588に記載されるものと少なくとも90%、95%、97%、あるいは98%同一である、ヒト重鎖フレームワーク領域3と;(d)SEQ ID NO:548に記載されるものと少なくとも90%、95%、97%、あるいは98%同一である、ヒト重鎖フレームワーク領域4と;(e)SEQ ID NO:549に記載されるものと少なくとも90%、95%、97%、あるいは98%同一である、ヒト軽鎖フレームワーク領域1と;(f)SEQ ID NO:550に記載されるものと少なくとも90%、95%、97%、あるいは98%同一である、ヒト軽鎖フレームワーク領域2と;(g)SEQ ID NO:551に記載されるものと少なくとも90%、95%、97%、あるいは98%同一である、ヒト軽鎖フレームワーク領域3と;(h)SEQ ID NO:552に記載されるものと少なくとも90%、95%、97%、あるいは98%同一である、ヒト軽鎖フレームワーク領域4と、を含む。ある実施形態では、TL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメントは:(a)SEQ ID NO:503と少なくとも約85%、90%、95%、97%、98%、99%あるいは100%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、(b)SEQ ID NO:502と少なくとも約85%、90%、95%、97%、98%、99%あるいは100%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。ある実施形態では、抗体は、ELISAによって決定されるように、より強力な親和性あるいはL8クローンと比較して2倍強力な親和性でヒトTL1Aに結合し、ここで、上記L8クローンは、SEQ ID NO:491によって記載される重鎖可変領域アミノ酸配列と、SEQ ID NO:490によって記載される軽鎖可変領域アミノ酸配列とを含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、キメラであるか、あるいはヒト化される。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントはIgG抗体である。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、Fab、F(ab)、単一ドメイン抗体、単鎖可変フラグメント(scFv)、あるいはナノボディを含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:542あるいは543に記載されるアミノ酸配列を含む、重鎖定常領域を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:542に記載されるアミノ酸配列を含む、重鎖定常領域を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、軽鎖定常領域を含む、SEQ ID NO:544に記載されるアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、Tリンパ球からのインターフェロンγのTL1A誘導分泌を阻害する。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、抗体または抗原結合フラグメント、および薬学的に許容可能な賦形剤、担体、あるいは希釈剤を含む、医薬組成物の成分である。ある実施形態において、医薬組成物は静脈内投与のために製剤化される。ある実施形態では、抗体あるいは抗原結合フラグメント、または医薬組成物は、炎症性腸疾患、クローン病、もしくは大腸炎の処置に使用するためのものである。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは核酸によってコードされる。ある実施形態では、細胞は核酸を含む。ある実施形態では、細胞は真核細胞である。ある実施形態では、細胞はチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。ある実施形態では、有効な量の抗体または抗原結合フラグメントまたは医薬組成物を個体に投与する工程を含む、炎症性腸疾患、クローン病、あるいは大腸炎を患う個体を処置するための方法が本明細書に記載され、ここで、上記個体は、炎症性腸疾患、クローン病、あるいは大腸炎であると診断されるか、または炎症性腸疾患、クローン病、あるいは大腸炎に罹患している疑いがある。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントまたは医薬組成物は、Tリンパ球によるインターフェロンγ分泌の防止あるいは減少に使用するためのものである。ある実施形態では、有効な量の抗体または抗原結合フラグメントまたは医薬組成物を個体に投与する工程を含む、個体におけるTリンパ球によるインターフェロンγ分泌を防ぐか、あるいは減少させる方法が本明細書に記載されている。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントを培地へと分泌するのに十分な条件下で、抗体または抗原結合フラグメントをコードする核酸を含む細胞を、培地中でインキュベートする工程を含む、炎症性腸疾患、クローン病、あるいは大腸炎処置を調製する方法が本明細書に記載されている。ある実施形態では、上記方法は、上記培地を少なくとも1つの精製工程に供する工程をさらに含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントおよび薬学的に許容可能な賦形剤、担体、あるいは希釈剤を混合する工程を含む、炎症性腸疾患、クローン病あるいは大腸炎の処置剤を調製する方法が本明細書に記載される。
【0011】
他の態様では、TL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメントが本明細書に提供され、上記抗体または抗原結合フラグメントは:(a)SEQ ID NO:553によって記載されるアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)SEQ ID NO:563によって記載されるアミノ酸配列を含むHCDR2;および、(c)SEQ ID NO:568によって記載されるアミノ酸配列を含むHCDR3;を含む重鎖可変領域と、(d)SEQ ID NO:569によって記載されるアミノ酸配列を含む、LCDR1;(e)SEQ ID NO:488によって記載されるアミノ酸配列を含む、LCDR2;および、(f)SEQ ID NO:572のいずれか1つによって記載されるアミノ酸配列を含む、LCDR3を含む、軽鎖可変領域とを含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:545に記載されるものと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるヒト重鎖フレームワーク領域1を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:546に記載されるものと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるヒト重鎖フレームワーク領域2を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:547または586~588記載されるものと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるヒト重鎖フレームワーク領域3を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:548に記載されるものと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるヒト重鎖フレームワーク領域4を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:549に記載されるものと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるヒト軽鎖フレームワーク領域1を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:550に記載されるものと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるヒト軽鎖フレームワーク領域2を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:551に記載されるものと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるヒト軽鎖フレームワーク領域3を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:552に記載されるものと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるヒト軽鎖フレームワーク領域4を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは:(a)SEQ ID NO:545に記載されるものと少なくとも90%、95%、97%、あるいは98%同一である、ヒト重鎖フレームワーク領域1と;(b)SEQ ID NO:546に記載されるものと少なくとも90%、95%、97%、あるいは98%同一である、ヒト重鎖フレームワーク領域2と;(c)SEQ ID NO:547または586~588に記載されるものと少なくとも90%、95%、97%、あるいは98%同一である、ヒト重鎖フレームワーク領域3と;(d)SEQ ID NO:548に記載されるものと少なくとも90%、95%、97%、あるいは98%同一である、ヒト重鎖フレームワーク領域4と;(e)SEQ ID NO:549に記載されるものと少なくとも90%、95%、97%、あるいは98%同一である、ヒト軽鎖フレームワーク領域1と;(f)SEQ ID NO:550に記載されるものと少なくとも90%、95%、97%、あるいは98%同一である、ヒト軽鎖フレームワーク領域2と;(g)SEQ ID NO:551に記載されるものと少なくとも90%、95%、97%、あるいは98%同一である、ヒト軽鎖フレームワーク領域3と;(h)SEQ ID NO:552に記載されるものと少なくとも90%、95%、97%、あるいは98%同一である、ヒト軽鎖フレームワーク領域4と、を含む。ある実施形態では、TL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメントは:(a)SEQ ID NO:511と少なくとも約85%、90%、95%、97%、98%、99%あるいは100%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、(b)SEQ ID NO:510と少なくとも約85%、90%、95%、97%、98%、99%あるいは100%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。ある実施形態では、抗体は、ELISAによって決定されるように、より強力な親和性あるいはL8クローンと比較して2倍強力な親和性でヒトTL1Aに結合し、ここで、上記L8クローンは、SEQ ID NO:491によって記載される重鎖可変領域アミノ酸配列と、SEQ ID NO:490によって記載される軽鎖可変領域アミノ酸配列とを含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、キメラであるか、あるいはヒト化される。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントはIgG抗体である。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、Fab、F(ab)、単一ドメイン抗体、単鎖可変フラグメント(scFv)、あるいはナノボディを含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:542あるいは543に記載されるアミノ酸配列を含む、重鎖定常領域を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:542に記載されるアミノ酸配列を含む、重鎖定常領域を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、軽鎖定常領域を含む、SEQ ID NO:544に記載されるアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、Tリンパ球からのインターフェロンγのTL1A誘導分泌を阻害する。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、抗体または抗原結合フラグメント、および薬学的に許容可能な賦形剤、担体、あるいは希釈剤を含む、医薬組成物の成分である。ある実施形態において、医薬組成物は静脈内投与のために製剤化される。ある実施形態では、抗体あるいは抗原結合フラグメント、または医薬組成物は、炎症性腸疾患、クローン病、もしくは大腸炎の処置に使用するためのものである。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは核酸によってコードされる。ある実施形態では、細胞は核酸を含む。ある実施形態では、細胞は真核細胞である。ある実施形態では、細胞はチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。ある実施形態では、有効な量の抗体または抗原結合フラグメントまたは医薬組成物を個体に投与する工程を含む、炎症性腸疾患、クローン病、あるいは大腸炎を患う個体を処置するための方法が本明細書に記載され、ここで、上記個体は、炎症性腸疾患、クローン病、あるいは大腸炎である診断されるか、または炎症性腸疾患、クローン病、あるいは大腸炎に罹患している疑いがある。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントまたは医薬組成物は、Tリンパ球によるインターフェロンγ分泌の防止あるいは減少に使用するためのものである。ある実施形態では、有効な量の抗体または抗原結合フラグメントまたは医薬組成物を個体に投与する工程を含む、個体におけるTリンパ球によるインターフェロンγ分泌を防ぐか、あるいは減少させる方法が本明細書に記載されている。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントを培地へと分泌するのに十分な条件下で、抗体または抗原結合フラグメントをコードする核酸を含む細胞を、培地中でインキュベートする工程を含む、炎症性腸疾患、クローン病、あるいは大腸炎処置を調製する方法が本明細書に記載されている。ある実施形態では、上記方法は、上記培地を少なくとも1つの精製工程に供する工程をさらに含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントおよび薬学的に許容可能な賦形剤、担体、あるいは希釈剤を混合する工程を含む、炎症性腸疾患、クローン病あるいは大腸炎の処置剤を調製する方法が本明細書に記載される。
【0012】
他の態様では、TL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメントが本明細書に提供され、上記抗体または抗原結合フラグメントは:(a)SEQ ID NO:553によって記載されるアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)SEQ ID NO:555によって記載されるアミノ酸配列を含むHCDR2;および、(c)SEQ ID NO:566によって記載されるアミノ酸配列を含むHCDR3;を含む重鎖可変領域と、(d)SEQ ID NO:569によって記載されるアミノ酸配列を含む、LCDR1;(e)SEQ ID NO:488によって記載されるアミノ酸配列を含む、LCDR2;および、(f)SEQ ID NO:572のいずれか1つによって記載されるアミノ酸配列を含む、LCDR3を含む、軽鎖可変領域とを含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:545に記載されるものと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるヒト重鎖フレームワーク領域1を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:546に記載されるものと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるヒト重鎖フレームワーク領域2を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:547または586~588記載されるものと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるヒト重鎖フレームワーク領域3を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:548に記載されるものと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるヒト重鎖フレームワーク領域4を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:549に記載されるものと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるヒト軽鎖フレームワーク領域1を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:550に記載されるものと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるヒト軽鎖フレームワーク領域2を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:551に記載されるものと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるヒト軽鎖フレームワーク領域3を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:552に記載されるものと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるヒト軽鎖フレームワーク領域4を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは:(a)SEQ ID NO:545に記載されるものと少なくとも90%、95%、97%、あるいは98%同一である、ヒト重鎖フレームワーク領域1と;(b)SEQ ID NO:546に記載されるものと少なくとも90%、95%、97%、あるいは98%同一である、ヒト重鎖フレームワーク領域2と;(c)SEQ ID NO:547または586~588に記載されるものと少なくとも90%、95%、97%、あるいは98%同一である、ヒト重鎖フレームワーク領域3と;(d)SEQ ID NO:548に記載されるものと少なくとも90%、95%、97%、あるいは98%同一である、ヒト重鎖フレームワーク領域4と;(e)SEQ ID NO:549に記載されるものと少なくとも90%、95%、97%、あるいは98%同一である、ヒト軽鎖フレームワーク領域1と;(f)SEQ ID NO:550に記載されるものと少なくとも90%、95%、97%、あるいは98%同一である、ヒト軽鎖フレームワーク領域2と;(g)SEQ ID NO:551に記載されるものと少なくとも90%、95%、97%、あるいは98%同一である、ヒト軽鎖フレームワーク領域3と;(h)SEQ ID NO:552に記載されるものと少なくとも90%、95%、97%、あるいは98%同一である、ヒト軽鎖フレームワーク領域4と、を含む。ある実施形態では、TL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメントは:(a)SEQ ID NO:493と少なくとも約85%、90%、95%、97%、98%、99%あるいは100%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、(b)SEQ ID NO:492と少なくとも約85%、90%、95%、97%、98%、99%あるいは100%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。ある実施形態では、抗体は、ELISAによって決定されるように、より強力な親和性あるいはL8クローンと比較して2倍強力な親和性でヒトTL1Aに結合し、ここで、上記L8クローンは、SEQ ID NO:491によって記載される重鎖可変領域アミノ酸配列と、SEQ ID NO:490によって記載される軽鎖可変領域アミノ酸配列とを含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、キメラであるか、あるいはヒト化される。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントはIgG抗体である。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、Fab、F(ab)、単一ドメイン抗体、単鎖可変フラグメント(scFv)、あるいはナノボディを含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:542あるいは543に記載されるアミノ酸配列を含む、重鎖定常領域を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:542に記載されるアミノ酸配列を含む、重鎖定常領域を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、軽鎖定常領域を含む、SEQ ID NO:544に記載されるアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、Tリンパ球からのインターフェロンγのTL1A誘導分泌を阻害する。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、抗体または抗原結合フラグメント、および薬学的に許容可能な賦形剤、担体、あるいは希釈剤を含む、医薬組成物の成分である。ある実施形態において、医薬組成物は静脈内投与のために製剤化される。ある実施形態では、抗体あるいは抗原結合フラグメント、または医薬組成物は、炎症性腸疾患、クローン病、もしくは大腸炎の処置に使用するためのものである。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは核酸によってコードされる。ある実施形態では、細胞は核酸を含む。ある実施形態では、細胞は真核細胞である。ある実施形態では、細胞はチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。ある実施形態では、有効な量の抗体または抗原結合フラグメントまたは医薬組成物を個体に投与する工程を含む、炎症性腸疾患、クローン病、あるいは大腸炎を患う個体を処置するための方法が本明細書に記載され、ここで、上記個体は、炎症性腸疾患、クローン病、あるいは大腸炎であると診断されるか、または炎症性腸疾患、クローン病、あるいは大腸炎に罹患している疑いがある。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントまたは医薬組成物は、Tリンパ球によるインターフェロンγ分泌の防止あるいは減少に使用するためのものである。ある実施形態では、有効な量の抗体または抗原結合フラグメントまたは医薬組成物を個体に投与する工程を含む、個体におけるTリンパ球によるインターフェロンγ分泌を防ぐか、あるいは減少させる方法が本明細書に記載されている。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントを培地へと分泌するのに十分な条件下で、抗体または抗原結合フラグメントをコードする核酸を含む細胞を、培地中でインキュベートする工程を含む、炎症性腸疾患、クローン病、あるいは大腸炎処置を調製する方法が本明細書に記載されている。ある実施形態では、上記方法は、上記培地を少なくとも1つの精製工程に供する工程をさらに含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントおよび薬学的に許容可能な賦形剤、担体、あるいは希釈剤を混合する工程を含む、炎症性腸疾患、クローン病あるいは大腸炎の処置剤を調製する方法が本明細書に記載される。
【0013】
他の態様では、TL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメントが本明細書に提供され、上記抗体または抗原結合フラグメントは:(a)SEQ ID NO:553によって記載されるアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)SEQ ID NO:558によって記載されるアミノ酸配列を含むHCDR2;および、(c)SEQ ID NO:566によって記載されるアミノ酸配列を含むHCDR3;を含む重鎖可変領域と、(d)SEQ ID NO:569によって記載されるアミノ酸配列を含む、LCDR1;(e)SEQ ID NO:488によって記載されるアミノ酸配列を含む、LCDR2;および、(f)SEQ ID NO:572のいずれか1つによって記載されるアミノ酸配列を含む、LCDR3を含む、軽鎖可変領域とを含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:545に記載されるものと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるヒト重鎖フレームワーク領域1を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:546に記載されるものと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるヒト重鎖フレームワーク領域2を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:547または586~588記載されるものと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるヒト重鎖フレームワーク領域3を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:548に記載されるものと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるヒト重鎖フレームワーク領域4を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:549に記載されるものと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるヒト軽鎖フレームワーク領域1を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:550に記載されるものと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるヒト軽鎖フレームワーク領域2を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:551に記載されるものと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるヒト軽鎖フレームワーク領域3を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:552に記載されるものと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるヒト軽鎖フレームワーク領域4を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは:(a)SEQ ID NO:545に記載されるものと少なくとも90%、95%、97%、あるいは98%同一である、ヒト重鎖フレームワーク領域1と;(b)SEQ ID NO:546に記載されるものと少なくとも90%、95%、97%、あるいは98%同一である、ヒト重鎖フレームワーク領域2と;(c)SEQ ID NO:547または586~588に記載されるものと少なくとも90%、95%、97%、あるいは98%同一である、ヒト重鎖フレームワーク領域3と;(d)SEQ ID NO:548に記載されるものと少なくとも90%、95%、97%、あるいは98%同一である、ヒト重鎖フレームワーク領域4と;(e)SEQ ID NO:549に記載されるものと少なくとも90%、95%、97%、あるいは98%同一である、ヒト軽鎖フレームワーク領域1と;(f)SEQ ID NO:550に記載されるものと少なくとも90%、95%、97%、あるいは98%同一である、ヒト軽鎖フレームワーク領域2と;(g)SEQ ID NO:551に記載されるものと少なくとも90%、95%、97%、あるいは98%同一である、ヒト軽鎖フレームワーク領域3と;(h)SEQ ID NO:552に記載されるものと少なくとも90%、95%、97%、あるいは98%同一である、ヒト軽鎖フレームワーク領域4と、を含む。ある実施形態では、TL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメントは:(a)SEQ ID NO:501と少なくとも約85%、90%、95%、97%、98%、99%あるいは100%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、(b)SEQ ID NO:500と少なくとも約85%、90%、95%、97%、98%、99%あるいは100%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。ある実施形態では、抗体は、ELISAによって決定されるように、より強力な親和性あるいはL8クローンと比較して2倍強力な親和性でヒトTL1Aに結合し、ここで、上記L8クローンは、SEQ ID NO:491によって記載される重鎖可変領域アミノ酸配列と、SEQ ID NO:490によって記載される軽鎖可変領域アミノ酸配列とを含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、キメラであるか、あるいはヒト化される。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントはIgG抗体である。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、Fab、F(ab)、単一ドメイン抗体、単鎖可変フラグメント(scFv)、あるいはナノボディを含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:542あるいは543に記載されるアミノ酸配列を含む、重鎖定常領域を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:542に記載されるアミノ酸配列を含む、重鎖定常領域を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、軽鎖定常領域を含む、SEQ ID NO:544に記載されるアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、Tリンパ球からのインターフェロンγのTL1A誘導分泌を阻害する。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、抗体または抗原結合フラグメント、および薬学的に許容可能な賦形剤、担体、あるいは希釈剤を含む、医薬組成物の成分である。ある実施形態において、医薬組成物は静脈内投与のために製剤化される。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントまたは医薬組成物は、炎症性腸疾患の処置に使用するためのものである。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは核酸によってコードされる。ある実施形態では、細胞は核酸を含む。ある実施形態では、細胞は真核細胞である。ある実施形態では、細胞はチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。ある実施形態では、有効な量の抗体または抗原結合フラグメントまたは医薬組成物を個体に投与する工程を含む、炎症性腸疾患、クローン病、あるいは大腸炎を患う個体を処置するための方法が本明細書に記載され、ここで、上記個体は、炎症性腸疾患、クローン病、あるいは大腸炎であると診断されるか、または炎症性腸疾患、クローン病、あるいは大腸炎に罹患している疑いがある。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントまたは医薬組成物は、Tリンパ球によるインターフェロンγ分泌の防止あるいは減少に使用するためのものである。ある実施形態では、有効な量の抗体または抗原結合フラグメントまたは医薬組成物を個体に投与する工程を含む、個体におけるTリンパ球によるインターフェロンγ分泌を防ぐか、あるいは減少させる方法が本明細書に記載されている。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントを培地へと分泌するのに十分な条件下で、抗体または抗原結合フラグメントをコードする核酸を含む細胞を、培地中でインキュベートする工程を含む、炎症性腸疾患、クローン病、あるいは大腸炎処置を調製する方法が本明細書に記載されている。ある実施形態では、上記方法は、上記培地を少なくとも1つの精製工程に供する工程をさらに含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントおよび薬学的に許容可能な賦形剤、担体、あるいは希釈剤を混合する工程を含む、炎症性腸疾患、クローン病あるいは大腸炎の処置剤を調製する方法が本明細書に記載される。
【0014】
他の態様では、TL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメントが本明細書に提供され、上記抗体または抗原結合フラグメントは:(a)SEQ ID NO:553によって記載されるアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)SEQ ID NO:564によって記載されるアミノ酸配列を含むHCDR2;および、(c)SEQ ID NO:568によって記載されるアミノ酸配列を含むHCDR3;を含む重鎖可変領域と、(d)SEQ ID NO:569によって記載されるアミノ酸配列を含む、LCDR1;(e)SEQ ID NO:488によって記載されるアミノ酸配列を含む、LCDR2;および、(f)SEQ ID NO:572のいずれか1つによって記載されるアミノ酸配列を含む、LCDR3を含む、軽鎖可変領域とを含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:545に記載されるものと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるヒト重鎖フレームワーク領域1を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:546に記載されるものと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるヒト重鎖フレームワーク領域2を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:547または586~588記載されるものと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるヒト重鎖フレームワーク領域3を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:548に記載されるものと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるヒト重鎖フレームワーク領域4を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:549に記載されるものと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるヒト軽鎖フレームワーク領域1を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:550に記載されるものと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるヒト軽鎖フレームワーク領域2を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:551に記載されるものと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるヒト軽鎖フレームワーク領域3を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:552に記載されるものと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるヒト軽鎖フレームワーク領域4を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは:(a)SEQ ID NO:545に記載されるものと少なくとも90%、95%、97%、あるいは98%同一である、ヒト重鎖フレームワーク領域1と;(b)SEQ ID NO:546に記載されるものと少なくとも90%、95%、97%、あるいは98%同一である、ヒト重鎖フレームワーク領域2と;(c)SEQ ID NO:547または586~588に記載されるものと少なくとも90%、95%、97%、あるいは98%同一である、ヒト重鎖フレームワーク領域3と;(d)SEQ ID NO:548に記載されるものと少なくとも90%、95%、97%、あるいは98%同一である、ヒト重鎖フレームワーク領域4と;(e)SEQ ID NO:549に記載されるものと少なくとも90%、95%、97%、あるいは98%同一である、ヒト軽鎖フレームワーク領域1と;(f)SEQ ID NO:550に記載されるものと少なくとも90%、95%、97%、あるいは98%同一である、ヒト軽鎖フレームワーク領域2と;(g)SEQ ID NO:551に記載されるものと少なくとも90%、95%、97%、あるいは98%同一である、ヒト軽鎖フレームワーク領域3と;(h)SEQ ID NO:552に記載されるものと少なくとも90%、95%、97%、あるいは98%同一である、ヒト軽鎖フレームワーク領域4と、を含む。ある実施形態では、TL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメントは:(a)SEQ ID NO:515と少なくとも約85%、90%、95%、97%、98%、99%あるいは100%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、(b)SEQ ID NO:514と少なくとも約85%、90%、95%、97%、98%、99%あるいは100%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。ある実施形態では、抗体は、ELISAによって決定されるように、より強力な親和性あるいはL8クローンと比較して2倍強力な親和性でヒトTL1Aに結合し、ここで、上記L8クローンは、SEQ ID NO:491によって記載される重鎖可変領域アミノ酸配列と、SEQ ID NO:490によって記載される軽鎖可変領域アミノ酸配列とを含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、キメラであるか、あるいはヒト化される。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントはIgG抗体である。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、Fab、F(ab)、単一ドメイン抗体、単鎖可変フラグメント(scFv)、あるいはナノボディを含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:542あるいは543に記載されるアミノ酸配列を含む、重鎖定常領域を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:542に記載されるアミノ酸配列を含む、重鎖定常領域を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、軽鎖定常領域を含む、SEQ ID NO:544に記載されるアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、Tリンパ球からのインターフェロンγのTL1A誘導分泌を阻害する。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、抗体または抗原結合フラグメント、および薬学的に許容可能な賦形剤、担体、あるいは希釈剤を含む、医薬組成物の成分である。ある実施形態において、医薬組成物は静脈内投与のために製剤化される。ある実施形態では、抗体あるいは抗原結合フラグメント、または医薬組成物は、炎症性腸疾患、クローン病、もしくは大腸炎の処置に使用するためのものである。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは核酸によってコードされる。ある実施形態では、細胞は核酸を含む。ある実施形態では、細胞は真核細胞である。ある実施形態では、細胞はチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。ある実施形態では、有効な量の抗体または抗原結合フラグメントまたは医薬組成物を個体に投与する工程を含む、炎症性腸疾患、クローン病、あるいは大腸炎を患う個体を処置するための方法が本明細書に記載され、ここで、上記個体は、炎症性腸疾患、クローン病、あるいは大腸炎であると診断されるか、または炎症性腸疾患、クローン病、あるいは大腸炎に罹患している疑いがある。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントまたは医薬組成物は、Tリンパ球によるインターフェロンγ分泌の防止あるいは減少に使用するためのものである。ある実施形態では、有効な量の抗体または抗原結合フラグメントまたは医薬組成物を個体に投与する工程を含む、個体におけるTリンパ球によるインターフェロンγ分泌を防ぐか、あるいは減少させる方法が本明細書に記載されている。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントを培地へと分泌するのに十分な条件下で、抗体または抗原結合フラグメントをコードする核酸を含む細胞を、培地中でインキュベートする工程を含む、炎症性腸疾患、クローン病、あるいは大腸炎処置を調製する方法が本明細書に記載されている。ある実施形態では、上記方法は、上記培地を少なくとも1つの精製工程に供する工程をさらに含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントおよび薬学的に許容可能な賦形剤、担体、あるいは希釈剤を混合する工程を含む、炎症性腸疾患、クローン病あるいは大腸炎の処置剤を調製する方法が本明細書に記載される。
【0015】
他の態様では、TL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメントが本明細書に提供され、上記抗体または抗原結合フラグメントは:(a)SEQ ID NO:491、493、495、497、499、501、503、505、507、509、511、513、515、517、519、521、523、525、527、529、531、533、535、537、539、または541のいずれか1つからのHCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含む重鎖可変領域と;(b)SEQ ID NO:490、492、494、496、498、500、502、504、506、508、510、512、514、516、518、520、522、524、526、528、530、532、534、536、538、または540のいずれか1つからのLCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む軽鎖可変領域とを含み;ここで、CDRは、Kabat法、Chothia法、あるいはIMGT法、もしくはそれらの組み合わせによって定義される。ある実施形態では、TL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメントは:(a)SEQ ID NO:491、493、495、497、499、501、503、505、507、509、511、513、515、517、519、521、523、525、527、529、531、533、535、537、539、または541のいずれか1つと少なくとも約85%、90%、95%、97%、98%、99%、あるいは100%同一のアミノ酸配列含む重鎖可変領域と、(b)SEQ ID NO:490、492、494、496、498、500、502、504、506、508、510、512、514、516、518、520、522、524、526、528、530、532、534、536、538、または540のいずれか1つと少なくとも約85%、90%、95%、97%、98%、99%、あるいは100%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、を含む。ある実施形態では、抗体は、ELISAによって決定されるように、より強力な親和性あるいはL8クローンと比較して2倍強力な親和性でヒトTL1Aに結合し、ここで、上記L8クローンは、SEQ ID NO:491によって記載される重鎖可変領域アミノ酸配列と、SEQ ID NO:490によって記載される軽鎖可変領域アミノ酸配列とを含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、キメラであるか、あるいはヒト化される。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントはIgG抗体である。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、Fab、F(ab)、単一ドメイン抗体、単鎖可変フラグメント(scFv)、あるいはナノボディを含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:542あるいは543に記載されるアミノ酸配列を含む、重鎖定常領域を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:542に記載されるアミノ酸配列を含む、重鎖定常領域を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、軽鎖定常領域を含む、SEQ ID NO:544に記載されるアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、抗体または抗原結合フラグメント、および薬学的に許容可能な賦形剤、担体、あるいは希釈剤を含む、医薬組成物の成分である。ある実施形態において、医薬組成物は静脈内投与のために製剤化される。
【0016】
他の態様では、疾患または疾病に関連するリスク変異体(risk variant)を保有する個体の疾患または疾病を処置する方法が本明細書に記載され、上記方法は、この開示の有効な量の抗体または抗原結合フラグメントを、上記リスク変異体を保有する個体に投与する工程を含み、ここで、上記疾患または疾病は、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病(CD)、あるいは大腸炎の少なくとも1つを含む。ある実施形態では、個体は複数のリスク変異体を保有する。ある実施形態では、複数のリスク変異体は、少なくとも3、4、5、または10のリスク変異体である。ある実施形態では、複数のリクス変異体の1つのリスク変異体は、疾患または疾病の無症状の表現型に関連する。ある実施形態では、疾患または疾病は、IBD、CD、または大腸炎の少なくとも1つの重症型である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
典型的な実施形態が参照図面において例示される。本明細書に開示される実施形態および図面は、限定的なものではなく、例示的なものであると考慮されるべきことが意図されている。
【0018】
図1】キメラ5C3D11 Fab発現および抗原結合の定性的評価として実施された、フィルター・リフト・アッセイの結果を示す。フィルターの部分Aは重鎖5C3D11の発現を示し、フィルターの部分Bは軽鎖5C3D11の発現を示し、およびフィルターの部分CはヒトTL1A抗原に結合する5C3D11 Fabの結合を示す。
図2】酵素結合免疫吸着定量法(ELISA)による、ヒトTL1Aへのキメラ5C3D11およびヒト化クローン12835抗体の結合を示す。
図3】ヒトTL1Aに対するキメラ5C3D11の高い感度および高い結合強度を実証する捕捉フィルター・リフト・アッセイ(capture filter lift assay)の結果を示す。
図4A】ヒトTL1Aへの、CDR移植抗体クローン18-7、21-3およびヒト化クローン12835の結合を示す、ELISAの結果を示す。
図4B】ヒト化クローン12835のヒトTL1Aへの結合と比較した、CDR移植抗体L8のヒトTL1Aへの結合を示す、ELISAの結果を示す。
図5】固定化Fab(キメラ5C3D11、ヒト化クローン12835、クローン18-7、クローン21-3、およびCDR移植片クローンL8(CDR graft clone L8))の可溶性ヒトTL1A抗原への強力な結合を実証する、ELISAの結果を示す。
図6A】ELISAの結果を示し、この結果は、CDR移植片(クローンL8)と比較した、重鎖CDR3突然変異H3-7(V102M)-SEQ ID NO:44、38、H3-7(V102K)-SEQ ID NO:43、38、およびH3-7(V102Q)-SEQ ID NO:45、38、およびヒト化クローン12835を有する抗TL1A抗体の、ヒトTL1Aに対する親和性の増加を実証する。
図6B】ELISAの結果を示し、この結果は、CDR移植片クローンL8と比較した、重鎖CDR3突然変異H3-7(V102W)-SEQ ID NO:46、38、およびヒト化クローン12835を有する抗TL1Aの抗体の、ヒトTL1Aに対する親和性の増加を実証す。
図7A】ELISAの結果を示し、この結果は、CDR移植片クローンL8と比較した、軽鎖CDR3突然変異L3-4(S92D)-SEQ ID NO:47、40、L3-4(S92E)-SEQ ID NO:48、40、L3-4(S92H)-SEQ ID NO:49、40、L3-4(S92N)-SEQ ID NO:50、40、およびヒト化クローン12835を有する抗TL1A抗体の、ヒトTL1Aに対する親和性の増加を実証する。
図7B】ELISAの結果を示し、この結果は、CDR移植片クローンL8と比較した、軽鎖CDR3突然変異L3-4(S92Q)-SEQ ID NO:51、40、およびヒト化クローン12835を有する抗TL1Aの抗体の、ヒトTL1Aに対する親和性の増加を実証する。
図8】ヒト重鎖生殖系列IGH1-4602およびヒト軽鎖生殖系列IGKV3-2001上に移植された5C3D11 CDR変異体を含むFabの、固定化ヒトTL1Aへの結合を実証する、ELISAを示す。
図9】ヒト重鎖生殖系列IGH1-301およびヒト軽鎖生殖系列IGKV3-2001上に移植された5C3D11 CDR変異体を含むFabの、固定化ヒトTL1Aへの結合を実証する、ELISAを示す。
図10】ヒト重鎖生殖系列IGH1-4602およびヒト軽鎖生殖系列IGKV3-2001上に移植された5C3D11 CDR変異体を含む固定化Fabの、可溶性のビオチン化ヒトTL1Aへの結合を実証する、ELISAを示す。
図11】ヒト重鎖生殖系列IGH1-4602およびヒト軽鎖生殖系列IGKV3-2001上に移植された5C3D11 CDR変異体を含む固定化Fabの、可溶性のビオチン化ヒトTL1Aへの結合を実証する、ELISAを示す。
図12】ヒト重鎖生殖系列IGH1-4602およびヒト軽鎖生殖系列IGKV3-2001上に移植された5C3D11 CDR変異体を含む固定化Fabの、可溶性のビオチン化ヒトTL1Aへの結合を実証する、ELISAを示す。
図13】ヒト重鎖生殖系列IGH1-301およびヒト軽鎖生殖系列IGKV3-2001上で移植された5C3D11 CDR変異体を含む固定化Fabの、可溶性のビオチン化ヒトTL1Aへの結合を実証する、ELISAを示す。
図14】5C3D11 CDR変異体を含むFabの、膜結合性(membrane-associated)ヒトTL1Aへの結合を示す。
図15】ヒト重鎖生殖系列IGH1-4602およびヒト軽鎖生殖系列IGKV3-2001上に移植された5C3D11 CDR変異体を含むFabの、TRAILへの結合の欠如を示す。
図16】ヒト重鎖生殖系列IGH1-4602およびヒト軽鎖生殖系列IGKV3-2001上に移植された5C3D11 CDR変異体を含むFabの、LIGHTへの結合の欠如を示す。
図17】ヒト重鎖生殖系列IGH1-4602およびヒト軽鎖生殖系列IGKV3-2001上に移植された5C3D11 CDR変異体を含むFabの、Fasへの結合の欠如を示す。
図18】ヒト重鎖生殖系列IGH1-301およびヒト軽鎖生殖系列IGKV3-2001の上に移植された5C3D11 CDR変異体を含むFabの、TRAILへの結合の欠如を示す。
図19】ヒト重鎖生殖系列IGH1-301およびヒト軽鎖生殖系列IGKV3-2001上に移植された5C3D11 CDR変異体を含むFabの、LIGHTへの結合の欠如を示す。
図20】ヒト重鎖生殖系列IGH1-301およびヒト軽鎖生殖系列IGKV3-2001上に移植された5C3D11 CDR変異体を含むFabの、Fasへの結合の欠如を示す。
図21】IgG1重鎖(修飾された)ならびにκ軽鎖定常領域(21A)を有するか、あるいはIgG2重鎖ならびにκ軽鎖定常領域(21B)を有する5C3D11 CDR変異体を含む重、鎖可変領域および軽鎖可変領域の、固定化ヒトTL1Aへの結合を実証するELISAを示す。
図22】IgG1重鎖(修飾された)ならびにκ軽鎖定常領域(22A)を有するか、あるいはIgG2重鎖ならびにκ軽鎖定常領域(22B)を有する5C3D11 CDR変異体を含む固定化重鎖可変領域および軽鎖可変領域への、可溶性のビオチン化ヒトTL1Aの結合を実証するELISAを示す。
図23】IgG1重鎖(修飾された)ならびにκ軽鎖定常領域、あるいはIgG2重鎖ならびにκ軽鎖定常領域を有する5C3D11 CDR変異体を含む重鎖可変領域および軽鎖可変領域の、ヒトTL1Aの膜結合型への結合の維持を実証する。
図24A】IgG1重鎖(修飾された)ならびにκ軽鎖定常領域を有するか、またはIgG2重鎖ならびにκ軽鎖定常領域を有する5C3D11 CDR変異体を含む重鎖可変領域および軽鎖可変領域の、TNFSFファミリーメンバーであるFas(24A)、TRAIL(24B)、またはLIGHT(24C)への結合の欠如を実証するELISAを示す。
図24B】IgG1重鎖(修飾された)ならびにκ軽鎖定常領域を有するか、またはIgG2重鎖ならびにκ軽鎖定常領域を有する5C3D11 CDR変異体を含む重鎖可変領域および軽鎖可変領域の、TNFSFファミリーメンバーであるFas(24A)、TRAIL(24B)、またはLIGHT(24C)への結合の欠如を実証するELISAを示す。
図24C】IgG1重鎖(修飾された)ならびにκ軽鎖定常領域を有するか、またはIgG2重鎖ならびにκ軽鎖定常領域を有する5C3D11 CDR変異体を含む重鎖可変領域および軽鎖可変領域の、TNFSFファミリーメンバーであるFas(24A)、TRAIL(24B)、またはLIGHT(24C)への結合の欠如を実証するELISAを示す。
図25】IgG1重鎖(修飾された)ならびにκ軽鎖定常領域を有するヒト重鎖生殖系列IGH1-4602およびヒト軽鎖生殖系列IGKV3-2001上に移植された5C3D11 CDR変異体を含むヒト化Ig構築物による、全血中のカニクイザルTL1A誘導IFN-γ産生の阻害を示す。
図26A】本明細書に記載される抗体による、ヒト全血のTL1A誘導IFN-γ産生の阻害を例示する。3つの異なるドナー(26A)、(26B)、および(26C)から得られた結果が示され、抗体濃度(ナノモル)がX軸に示される。
図26B】本明細書に記載される抗体による、ヒト全血のTL1A誘導IFN-γ産生の阻害を例示する。3つの異なるドナー(26A)、(26B)、および(26C)から得られた結果が示され、抗体濃度(ナノモル)がX軸に示される。
図26C】本明細書に記載される抗体による、ヒト全血のTL1A誘導IFN-γ産生の阻害を例示する。3つの異なるドナー(26A)、(26B)、および(26C)から得られた結果が示され、抗体濃度(ナノモル)がX軸に示される。
図27A】本明細書に記載される抗体による、カニクイザル全血のTL1A誘導IFN-γ産生の阻害を例示する。3つの異なるドナー(27A)、(27B)、および(27C)から得られた結果が示され、抗体濃度(ナノモル)がX軸に示される。
図27B】本明細書に記載される抗体による、カニクイザル全血のTL1A誘導IFN-γ産生の阻害を例示する。3つの異なるドナー(27A)、(27B)、および(27C)から得られた結果が示され、抗体濃度(ナノモル)がX軸に示される。
図27C】本明細書に記載される抗体による、カニクイザル全血のTL1A誘導IFN-γ産生の阻害を例示する。3つの異なるドナー(27A)、(27B)、および(27C)から得られた結果が示され、抗体濃度(ナノモル)がX軸に示される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
腫瘍壊死因子様タンパク質(Tumor necrosis factor-like protein)1A(TL1A)は、大腸炎およびクローン病(CD)の重症型を含む、重症の炎症性腸疾患(IBD)の発現と重症度に関連している。加えて、前臨床およびヒト遺伝学関連データは、TL1Aがクローン病の可能性のある治療標的であることを示唆している。本開示は、TL1Aに対して最適化された抗体について記載し、IBDの処置のための新規治療法を提供する。
【0020】
一態様では、TL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメントが本明細書に記載され、上記抗体または抗原結合フラグメントは:(a)SEQ ID NO:553によって記載されるアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)SEQ ID NO:554~564または574~577のいずれか1つによって記載されるアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)SEQ ID NO:565~568または578~581のいずれか1つによって記載されるアミノ酸配列を含むHCDR3;を含む重鎖可変領域と、(d)SEQ ID NO:569または570のいずれか1つによって記載されるアミノ酸配列を含む、LCDR1と;(e)SEQ ID NO:488によって記載されるアミノ酸配列を含む、LCDR2;(f)SEQ ID NO:571~573または582~585のいずれか1つによって記載されるアミノ酸配列を含む、LCDR3と、を含む、軽鎖可変領域を含む。
【0021】
別の態様では、TL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメントが本明細書に記載され、上記抗体または抗原結合フラグメントは:(a)SEQ ID NO:491、493、495、497、499、501、503、505、507、509、511、513、515、517、519、521、523、525、527、529、531、533、535、537、539、または541のいずれか1つと少なくとも約90%同一のアミノ酸配列を含む、重鎖可変領域と;(b)SEQ ID NO:490、492、494、496、498、500、502、504、506、508、510、512、514、516、518、520、522、524、526、528、530、532、534、536、538、または540のいずれか1つと少なくとも約90%同一のアミノ酸配列を含む、軽鎖可変領域と、を含む。
【0022】
いくつかの実施形態において、抗体は、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、あるいは前述のものの組み合わせなどの、免疫グロブリン分子の可変領域内の少なくとも1つの抗原認識部位を介して、標的を認識し、その標的に特異的に結合する免疫グロブリン分子を指す。いくつかの実施形態において、抗体は、無傷のポリクローナル抗体、無傷のモノクローナル抗体、抗体フラグメント(Fab、Fab’、F(ab’)、ならびにFvフラグメントなど)、単鎖Fv(scFv)突然変異体、CDR移植抗体、多特異性抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、抗体の抗原決定部分を含む融合タンパク質、および、抗体が所望の生物学的活性を示す限り、抗原認識部位を含む任意の他の修飾免疫グロブリン分子を含む。抗体は、それぞれアルファ、ベータ、イプシロン、ガンマ、およびミューと呼ばれる重鎖定常ドメインの同一性に基づいて、免疫グロブリンの5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMのいずれか、あるいはそのサブクラス(アイソタイプ)(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2)であり得る。免疫グロブリンの異なるクラスは、異なる周知のサブユット構造および3次元配置を有する。抗体はネイキッドであってもよいし、あるいは毒素やラジオアイソトープなどの他の分子に結合されてもよい。
【0023】
いくつかの実施形態において、1つ以上のアミノ酸修飾が、本明細書で提供される抗体のFc領域に導入され、それによって、Fc領域変異体が生成され得る。本明細書においてFc領域は、定常領域の少なくとも一部を含有している免疫グロブリン重鎖のC末端領域である。Fc領域は天然配列Fc領域および変異体Fc領域を含む。Fc領域変異体は、1以上のアミノ酸位置で、アミノ酸修飾(例えば、置換)を含むヒトFc領域配列(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4のFc領域)を含み得る。
【0024】
いくつかの実施形態において、この開示の抗体は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)を低減させたか、あるいは補体を固定する能力を減少させた。このことは、標的機能の阻害が望まれる状況においては望ましいが、下流免疫応答の活性化は、望まれない副作用を引き起こす可能性がある。あるFc領域は、エフェクター機能(例えば、IgG2、SEQ ID NO:543)の自然な欠如を有しており、あるFc領域は、エフェクター機能(例えば、修飾されたIgG1、SEQ ID NO:542)を減少させる突然変異を含み得る。ある実施形態では、この開示の抗体はエフェクター機能を減少させた。ある実施形態では、この開示の抗体は、SEQ ID NO:543に記載されるIgG2定常領域を含む。ある実施形態では、この開示の抗体は、SEQ ID NO:542に記載される修飾されたIgG1定常領域を含む。
【0025】
いくつかの実施形態において、本開示の抗体は、エフェクター機能のすべてではなく、その一部を保有する変異体であり、このことは、上記抗体を、インビボでの抗体の半減期が重要であるが、特定のエフェクター機能(補体およびADCCなど)は不必要または有害である用途のための望ましい候補にする。インビトロおよび/またはインビボの細胞毒性アッセイは、CDCおよび/またはADCC活性の減少/枯渇を確認するために実行され得る。例えば、Fc受容体(FcR)結合アッセイは、抗体がFcγR結合を欠く(したがって、おそらくADCC活性を欠いている)が、FcRn結合能力を保持することを確実にするために実行され得る。対象の分子のADCC活性を評価するインビトロのアッセイの非限定的な例は、米国特許第5,500,362号および第5,821,337号に記載されている。あるいは、非放射性アッセイ法(例えば、ACTI(商標)およびCytoToxの96(登録商標)非放射性細胞毒性アッセイ)が使用されてもよい。そのようなアッセイに有用なエフェクター細胞は、末梢血単核細胞(PBMC)単球、マクロファージ、およびナチュラルキラー(NK)細胞を含む。
【0026】
抗体は、半減期を増大させ、および/または新生児型Fc受容体(FcRn)への結合を改善することができる(例えば、米国特許出願第2005/0014934号を参照)。そのような抗体は、FcRnへのFc領域の結合を改善する1つ以上の置換を有するFc領域を含むことができ、および、Fc領域残基:EU番号方式にしたがって、238、256、265、272、286、303、305、307、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、413、424、あるいは434の1つ以上において置換を有するFc領域を含むことができる(例えば、米国特許第7,371,826を参照)。Fc領域変異体の他の例も企図される(例えば、Duncan & Winter, Nature 322:738-40(1988);米国特許第5,648,260号および第5,624,821号;およびWO94/29351を参照)。ある実施形態では、この開示の抗体は、Fc領域の変性の結果として、血清半減期を増大させた。ある実施形態では、その変性は、IgG1に対するM252Y/S254T/T256E突然変異、あるいはIgG1に対するM428L/N434S突然変異を含む。
【0027】
いくつかの実施形態において、抗体は、抗体の可変領域を決定する抗原を有する抗体の一部を指す抗原結合フラグメントを含む。抗体フラグメントの例としては、限定されないが、Fab、Fab’、F(ab’)、およびFvフラグメント、線状抗体(linear antibodies)、単鎖抗体、および抗体フラグメントから形成された多特異性抗体が挙げられる。
【0028】
いくつかの実施形態において、ヒト化抗体は、最小限の非ヒト(例えば、マウス)配列を含有している特異的免疫グロブリン鎖、キメラ免疫グロブリン、またはそのフラグメントを有する非ヒト(例えば、マウス)の抗体の形態を指す。非限定的な例では、ヒト化抗体は、可変領域において約40%未満の非ヒト配列含む。場合によっては、ヒト化抗体は、完全長の抗体配列において約20%未満の非ヒト配列含む。場合によっては、ヒト化抗体は、所望の特異性、親和性、および能力を有する相補性決定領域(CDR)からの残基が、非ヒト種(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター)からのCDRの残基によって交換されるヒト免疫グロブリンである。
【0029】
いくつかの実施形態において、キメラ抗体は、免疫グロブリン分子の配列が2つ以上の種に由来する抗体を指す。非限定的な例として、軽鎖と重鎖の両方の可変領域は、所望の特異性、親和性、および能力を有する哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ウサギなど)のある種に由来する抗体の可変領域に対応するが、定常領域は、別の種(通常、ヒト)に由来する抗体中の配列と相同であり、その種において免疫応答を誘発することを回避する。
【0030】
本明細書で使用されるように、用語「約」は、記載された量の10%以内を意味する。
【0031】
本明細書で使用されるように、「リスク変異体」は、個体の任意の遺伝子配列、典型的に、DNA配列を意味し、その個体において表現型(例えば、炎症性腸疾患、クローン病、大腸炎、またはそれらの無症状の表現型)を発症させるリスクを増大させる。リスク変異体は、限定されることなく、一塩基多型(SNP)、任意の長さのインデル、短いタンデム反復(STR)、および染色体転座(chromosol translocations)、重複、あるいは欠失を含む。前記リスク変異体は、炎症性腸疾患、クローン病、または大腸炎の重症型に関連する変異体を含む。前記リスク変異体は、個体が炎症性腸疾患、クローン病、または大腸炎のための任意の現在の治療法を用いた処置に対して抵抗性である可能性があることを示し得る変異体を含む。本明細書で企図されるように、リスク変異体は、本明細書に記載される抗体のいずれかを用いた処置方法の決定を知らせるために使用することができる。
【0032】
「超可変領域」または「HVR」と同義である「相補性決定領域」、および「CDR」という用語は、当技術分野において、抗体可変領域内のアミノ酸の隣接しない配列を指すことが知られており、それは、抗原特異性および/または結合親和性を与える。一般的に、各重鎖可変領域に3つのCDR(CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3)と、各軽鎖可変領域に3つのCDR(CDR-L1、CDR-L2、CDR-L3)がある。「フレームワーク領域」および「FR」は、当技術分野において、重鎖と軽鎖の可変領域の非CDR部分を指すことが知られている。一般的に、各完全長の重鎖可変領域に4つのFR(FR-H1、FR-H2、FR-H3、およびFR-H4)と、各完全長の軽鎖可変領域に4つのFR(FR-L1、FR-L2、FR-L3、およびFR-L4)がある。所与のCDRまたはFRの正確なアミノ酸配列境界は、Kabat et al. (1991), “Sequences of Proteins of Immunological Interest,” 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (“Kabat”番号設定), Al-Lazikani et al., (1997) JMB 273,927-948 (“Chothia”番号設定);MacCallum et al., J. Mol. Biol. 262:732-745 (1996), “Antibody-antigen interactions: Contact analysis and binding site topography,” J. Mol. Biol. 262, 732-745.” (“Contact”番号設定(numbering scheme));Lefranc MP et al.,“IMGT unique numbering for immunoglobulin and T cell receptor variable domains and Ig superfamily V-like domains,” Dev Comp Immunol, 2003 Jan; 27(1):55-77 (“IMGT”番号設定);Honegger A and Pluckthun A, “Yet another numbering scheme for immunoglobulin variable domains: an automatic modeling and analysis tool,” J Mol Biol, 2001 Jun 8; 309(3):657-70, (“Aho”番号設定);および、Whitelegg NR and Rees AR, “WAM: an improved algorithm for modelling antibodies on the WEB,” Protein Eng. 2000 Dec; 13(12):819-24 (“AbM”番号設定)によって記載されるものを含む、多くの周知のスキームのいずれかを使用して容易に決定され得る。ある実施形態では、本明細書に記載される抗体のCDRは、Kabat、Chothia、IMGT、Aho、AbM、またはそれらの組み合わせから選択される方法によって定義され得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、タンパク質に特異的に結合する抗体は、抗体が、無関係なタンパク質を含む代替物質よりも、より頻繁に、より迅速に、より長い持続時間で、より高い親和性で、または上記のいくつかの組み合わせで、タンパク質に対して反応するか、関連することを示す。
【0034】
いくつかの実施形態では、用語「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」は、本明細書で交換可能に使用され、あらゆる長さのアミノ酸のポリマーを指す。ポリマーは、線状あるいは分岐状であってもよく、修飾されたアミノ酸を含み、および非アミノ酸によって中断される場合がある。この用語は、自然に、または、介入、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質修飾、アセチル化、リン酸化、あるいは他の操作もしくは修飾、例えば、別のポリペプチドとの融合、および/または結合(例えば、標識する成分を用いた)によって、修飾されているアミノ酸ポリマーも包含する。その定義には、当該技術分野で知られている他の修飾と同様に、例えば、アミノ酸(例えば、非天然アミノ酸など)の1つ以上のアナログを含有するポリペプチドも含まれる。
【0035】
いくつかの実施形態では、「ポリヌクレオチド」、または「核酸」は、本明細書で互換的に使用され、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを指し、DNAおよびRNAを含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾されたヌクレオチドあるいは塩基、および/またはそれらのアナログ、もしくは、DNAまたはRNAポリメラーゼによりによりポリマーに組み込まれ得る任意の基質であってもよい。ポリヌクレオチドは、修飾されたヌクレオチド、例えば、限定されないが、メチル化ヌクレオチドおよびそれらのアナログまたは非ヌクレオチド成分を含み得る。ヌクレオチド構造への修飾は、ポリマーの組み立ての前または後に与えられ得る。ポリヌクレオチドは、標識化成分との結合によってなど、重合の後にさらに修飾され得る。
【0036】
参照ポリペプチド配列に対するパーセント(%)配列同一性は、最大パーセントの配列同一性を達成するために、必要であれば、配列を整列させてギャップを導入した後の、参照ポリペプチド配列中のアミノ酸残基と同一である候補配列におけるアミノ酸残基のパーセンテージであり、任意の保存的置換を配列同一性の一部として考慮しない。パーセントアミノ酸配列同一性を決定する目的のための整列は、既知の様々な方法、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、またはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアなどの、公的に入手可能なコンピューター・ソフトウェアを用いて達成可能である。比較される配列の全長にわたって最大の整列を達成するために必要とされるアルゴリズムを含む、配列を整列させるための適切なパラメーターが決定され得る。しかし、本明細書に記載される目的のために、%アミノ酸配列同一性値は配列比較コンピュータプログラムALIGN-2を使用して生成される。ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムは、Genentech, Inc.によって作成され、ソースコードは、利用者文書とともにアメリカ合衆国著作権局(Washington D.C.20559)に提出され、米国著作権登録番号TXU510087で登録されている。ALIGN-2プログラムは、Genentech, Inc., South San Francisco, Calif.から公的に利用可能であるか、またはソースコードからコンパイルされ得る。ALIGN-2プログラムは、デジタルUNIX(登録商標) V4.0Dを含むUNIX(登録商標)オペレーティングシステムで使用するためにコンパイルされる必要がある。配列比較パラメーターはすべて、ALIGN-2プログラムによって設定され、変化しない。
【0037】
ALIGN-2がアミノ酸配列比較のために利用される状況では、所与のアミノ酸配列Bへの、所与のアミノ酸配列Bとの、あるいは所与のアミノ酸配列Bに対する、所与のアミノ酸配列Aの%アミノ酸配列同一性(これは、所々のアミノ酸配列Bへの、所々のアミノ酸配列Bとの、あるいは所々のアミノ酸配列Bに対する、特定の%アミノ酸配列同一性を有する所与のアミノ酸配列Aとして、代替的に表現され得る)は、以下のように計算される:画分X/Yの100倍、ここで、Xは、そのプログラムのAとBの整列において、配列アラインメントプログラムALIGN-2によって、同一の一致としてスコア化されたアミノ酸残基の数であり、および、YはB中のアミノ酸残基の合計数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと等しくない場合、Bに対するAの%アミノ酸配列同一性は、Aに対するBの%アミノ酸配列同一性と等しくないことが理解されよう。特に別記されない限り、本明細書で使用されるすべての%アミノ酸配列同一性値は、ALIGN-2コンピュータプログラムを使用して、直前の段落に記載されるように得られる。
【0038】
いくつかの実施形態において、「個体」、「被験体」という用語は交換可能に使用され、限定されないが、特定の処置のレシピエントとなるヒト、非ヒト霊長類、げっ歯類、および家畜ならびに狩猟動物を含む、任意の動物を指す。霊長類は、チンパンジー、カニクイザル、クモザル、およびマカク、例えば、アカゲザルを含む。げっ歯類は、マウス、ラット、ヤマネズミ、フェレット、ウサギ、およびハムスターを含む。家畜ならびに狩猟動物は、雌ウシ、ウマ、ブタ、シカ、バイソン、水牛、ネコ科の種(例えば、家ネコ)、イヌ科の種(例えば、イヌ、キツネ、オオカミ)、鳥(例えば、ニワトリ、エミュー、ダチョウ)、および魚(例えば、マス、ナマズ、ならびにサケ)を含む。様々な実施形態において、被験体は、処置が必要な疾病を患っているか、または有していると以前に診断あるいは特定されたことがある者であり得る。特定の実施形態では、被験体はヒトである。様々な他の実施形態では、疾病を患っているか、または有していると以前に診断あるいは特定されたことがある被験体は、疾病のための処置を受けたことがあっても、なくてもよい。さらに他の実施形態では、被験体は、疾病を有していると以前に診断されたことがない者(つまり、疾病の1つ以上危険因子を示す被験体)であってもよい。特定の疾病のための処置を「必要とする被験体」とは、その疾病を有しており、その疾病を有すると診断され、またはその疾病を発症するリスクがある被験体であり得る。いくつかの実施形態において、被験体は、本明細書に記載される疾患または疾病であると診断された「患者」である。
【0039】
いくつかの実施形態において、用語「治療上有効な量」は、被験体または哺乳動物の疾患または疾病を「処置する」のに有効な、抗体、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、小有機分子、あるいは他の薬物の量を指す。場合によっては、治療上有効な量の薬物は、疾患または障害の症状の重症度を低下させる。いくつかの例では、疾患または障害は、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病(CD)、あるいは潰瘍性大腸炎(UC)を含む。いくつかの例では、IBD、CD、および/またはUCは、IBD、CD、および/またはUCの重症型あるいは医学的に難治性(medically refractory)の形態である。IBD、CD、および/またはUCの症状の非限定的な例としては、限定されないが、下痢、熱、疲労、腹痛症、腹部痙攣、炎症、潰瘍、悪心、嘔吐、出血、血便、食欲不振、および体重の減少が挙げられる。
【0040】
いくつかの実施形態では、本明細書で使用される用語「処置(treat)」および「処置すること(treating)」は、治療処置および予防手段の両方を指し、ここで、その目的は、標的とされた病理的疾病を予防あるいは遅延する(和らげる)こと、病理的疾病を予防すること、良好な全生存を追求するもしくは得ること、または、処置が最終的に成功しなかった場合であっても、個体が上記疾病を進行させる可能性を低減することである。本明細書で提供されるいくつかの態様では、処置を必要とする被験体は、疾患または疾病をすでに有している者、ならびに、疾患または疾病を発症しやすい者あるいは疾患または疾病が予防されるべき者を含む。疾患または疾病は、炎症性の疾患あるいは疾病、線維狭窄(fibrostenotic)あるいは線維性疾患、チオプリン毒性、もしくはチオプリン毒性に関連する疾患、抗TNF治療、ステロイド、あるいは免疫調節薬に対する非応答を含む。
【0041】
抗TL1A抗体
様々な実施形態は、TL1Aに結合する抗体を提供する。いくつかの実施形態では、抗体は可溶性TL1Aに特異的に結合する。いくつかの実施形態では、抗体は、膜結合型TL1Aに特異的に結合する。いくつかの実施形態において、4つの重鎖フレームワーク領域(HCFR)および3つの重鎖相補性決定領域(HCDR):HCFR1、HCDR1、HCFR2、HCDR2、HCFR3、HCDR3、およびHCFR4を含む重鎖と;4つの軽鎖フレームワーク領域(LCFR)および3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR):LCFR1、LCDR1、LCFR2、LCDR2、LCFR3、LCDR3、およびLCFR4を含む軽鎖とを含む、抗TL1A抗体が提供される。抗TL1A抗体は、本明細書に記載される、例えば、表1、2、3、実施例、およびSEQ ID NO:1~54、490~588で提供される、任意の領域を含み得る。いくつかの実施形態において、抗TL1A抗体は、例えば、表2あるいは19~22に示される1つ以上のCDR突然変異を有する、本明細書で提供される可変ドメインを含む。いくつかの実施形態において、抗TL1A抗体は、表19~22に示される配列を含む1つ以上のCDRを含む。
【0042】
ある実施形態では、抗TL1A抗体は、表19~22に記載されるものに対応するCDRを含む。ある実施形態では、抗TL1A抗体あるいは抗原結合フラグメントは:(a)SEQ ID NO:484(DTYMH)によって記載されるアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)SEQ ID NO:485(PASGH)によって記載されるアミノ酸配列を含むHCDR2;および(c)SEQ ID NO:486(SGGLPD)によって記載されるアミノ酸配列を含むHCDR3;を含む重鎖可変領域と、(d)SEQ ID NO:487(ASSSVSYMY)によって記載されるアミノ酸配列を含む、LCDR1;(e)SEQ ID NO:488(ATSNLAS)によって記載されるアミノ酸配列を含む、LCDR2;(f)SEQ ID NO:489(GNPRT)によって記載されるアミノ酸配列を含む、LCDR3を含む、軽鎖可変領域とを含む。
【0043】
ある実施形態では、TL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメントが本明細書に記載され、上記抗体または抗原結合フラグメントは:(a)SEQ ID NO:553によって記載されるアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)SEQ ID NO:554~564または574~577のいずれか1つによって記載されるアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)SEQ ID NO:565~568または578~581のいずれか1つによって記載されるアミノ酸配列を含むHCDR3;を含む重鎖可変領域と、(d)SEQ ID NO:569または570のいずれか1つによって記載されるアミノ酸配列を含むLCDR1と;(e)SEQ ID NO:488によって記載されるアミノ酸配列を含むLCDR2;(f)SEQ ID NO:571~573または582~585のいずれか1つによって記載されるアミノ酸配列を含むLCDR3とを含む、軽鎖可変領域を含む。
【0044】
ある実施形態では、TL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメントが本明細書に記載され、上記抗体または抗原結合フラグメントは:(a)SEQ ID NO:553によって記載されるアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)SEQ ID NO:559によって記載されるアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)SEQ ID NO:567によって記載されるアミノ酸配列を含むHCDR3;を含む重鎖可変領域と、(d)SEQ ID NO:569によって記載されるアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)SEQ ID NO:488によって記載されるアミノ酸配列を含むLCDR2;および、(f)SEQ ID NO:573のいずれか1つによって記載されるアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、軽鎖可変領域と、を含む。ある実施形態では、TL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメントが本明細書に記載され、上記抗体または抗原結合フラグメントは:SEQ ID NO:503と少なくとも約85%、90%、95%、97%、98%、99%、あるいは100%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と;SEQ ID NO:502と少なくとも約85%、90%、95%、97%、98%、99%、あるいは100%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。ある実施形態では、抗体あるいは抗原結合フラグメントは、κ軽鎖定常領域とIgG1重鎖定常領域を含む。ある実施形態では、抗体あるいは抗原結合フラグメントは、κ軽鎖定常領域とIgG2重鎖定常領域を含む。
【0045】
ある実施形態では、TL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメントが本明細書に記載され、上記抗体または抗原結合フラグメントは:(a)SEQ ID NO:553によって記載されるアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)SEQ ID NO:563によって記載されるアミノ酸配列を含むHCDR2;および、(c)SEQ ID NO:568によって記載されるアミノ酸配列を含むHCDR3;を含む重鎖可変領域と、(d)SEQ ID NO:569によって記載されるアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)SEQ ID NO:488によって記載されるアミノ酸配列を含むLCDR2;および、(f)SEQ ID NO:572のいずれか1つによって記載されるアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、軽鎖可変領域とを含む。ある実施形態では、TL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメントが本明細書に記載され、上記抗体または抗原結合フラグメントは:SEQ ID NO:511と少なくとも約85%、90%、95%、97%、98%、99%、あるいは100%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と;SEQ ID NO:510と少なくとも約85%、90%、95%、97%、98%、99%、あるいは100%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。ある実施形態では、抗体あるいは抗原結合フラグメントは、κ軽鎖定常領域とIgG1重鎖定常領域を含む。ある実施形態では、抗体あるいは抗原結合フラグメントは、κ軽鎖定常領域とIgG2重鎖定常領域を含む。
【0046】
ある実施形態では、TL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメントが本明細書に記載され、上記抗体または抗原結合フラグメントは:(a)SEQ ID NO:553によって記載されるアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)SEQ ID NO:555によって記載されるアミノ酸配列を含むHCDR2;および、(c)SEQ ID NO:566によって記載されるアミノ酸配列を含むHCDR3;を含む重鎖可変領域と、(d)SEQ ID NO:569によって記載されるアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)SEQ ID NO:488によって記載されるアミノ酸配列を含むLCDR2;および、(f)SEQ ID NO:572のいずれか1つによって記載されるアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、軽鎖可変領域とを含む。ある実施形態では、TL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメントが本明細書に記載され、上記抗体または抗原結合フラグメントは:SEQ ID NO:493と少なくとも約85%、90%、95%、97%、98%、99%、あるいは100%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と;SEQ ID NO:492と少なくとも約85%、90%、95%、97%、98%、99%、あるいは100%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。ある実施形態では、抗体あるいは抗原結合フラグメントは、κ軽鎖定常領域とIgG1重鎖定常領域を含む。ある実施形態では、抗体あるいは抗原結合フラグメントは、κ軽鎖定常領域とIgG2重鎖定常領域とを含む。
【0047】
ある実施形態では、TL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメントが本明細書に記載され、上記抗体または抗原結合フラグメントは:(a)SEQ ID NO:553によって記載されるアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)SEQ ID NO:558によって記載されるアミノ酸配列を含むHCDR2;および、(c)SEQ ID NO:566によって記載されるアミノ酸配列を含むHCDR3;を含む重鎖可変領域と、(d)SEQ ID NO:569によって記載されるアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)SEQ ID NO:488によって記載されるアミノ酸配列を含むLCDR2;および、(f)SEQ ID NO:572によって記載されるアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、軽鎖可変領域とを含む。ある実施形態では、TL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメントが本明細書に記載され、上記抗体または抗原結合フラグメントは:SEQ ID NO:501と少なくとも約85%、90%、95%、97%、98%、99%、あるいは100%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と;SEQ ID NO:500と少なくとも約85%、90%、95%、97%、98%、99%、あるいは100%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。ある実施形態では、抗体あるいは抗原結合フラグメントは、κ軽鎖定常領域とIgG1重鎖定常領域を含む。ある実施形態では、抗体あるいは抗原結合フラグメントは、κ軽鎖定常領域とIgG2重鎖定常領域とを含む。
【0048】
ある実施形態では、TL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメントが本明細書に記載され、上記抗体または抗原結合フラグメントは:(a)SEQ ID NO:553によって記載されるアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)SEQ ID NO:564によって記載されるアミノ酸配列を含むHCDR2;および、(c)SEQ ID NO:568によって記載されるアミノ酸配列を含むHCDR3;を含む重鎖可変領域と、(d)SEQ ID NO:569によって記載されるアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)SEQ ID NO:488によって記載されるアミノ酸配列を含むLCDR2;および、(f)SEQ ID NO:572のいずれか1つによって記載されるアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、軽鎖可変領域とを含む。ある実施形態では、TL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメントが本明細書に記載され、上記抗体または抗原結合フラグメントは:SEQ ID NO:515と少なくとも約85%、90%、95%、97%、98%、99%、あるいは100%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と;SEQ ID NO:514と少なくとも約85%、90%、95%、97%、98%、99%、あるいは100%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。ある実施形態では、抗体あるいは抗原結合フラグメントは、κ軽鎖定常領域とIgG1重鎖定常領域を含む。ある実施形態では、抗体あるいは抗原結合フラグメントは、κ軽鎖定常領域とIgG2重鎖定常領域とを含む。
【0049】
ある実施形態では、抗TL1A抗体あるいは抗原結合フラグメントでは、SEQ ID NO:491、493、495、497、499、501、503、505、507、509、511、513、515、517、519、521、523、525、527、529、531、533、535、537、539、または541のいずれか1つからのHCDR1、HCDR2、HCDR3を含む、重鎖可変領域と;SEQ ID NO:490、492、494、496、498、500、502、504、506、508、510、512、514、516、518、520、522、524、526、528、530、532、534、536、538、または540のいずれか1つからのLCDR1、LCDR2、LCDR3を含む、軽鎖可変領域とを含み、ここで、CDRは、Kabat法、IMGT法、Chothia法、あるいはそれらの組み合わせによって定義される。ある実施形態では、抗TL1Aの抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:491、493、495、497、499、501、503、505、507、509、511、513、515、517、519、521、523、525、527、529、531、533、535、537、539、および541のいずれか1つと少なくとも約85%、90%、95%、97%、98%、99%、あるいは100%同一のアミノ酸配列を含む、重鎖可変領域と;SEQ ID NO:490、492、494、496、498、500、502、504、506、508、510、512、514、516、518、520、522、524、526、528、530、532、534、536、538、または540のいずれか1つと少なくとも約85%、90%、95%、97%、98%、99%、あるいは100%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、を含む。
【0050】
ある実施形態では、抗TL1Aの抗体または抗原結合フラグメントは、重鎖可変領域であって:(a)SEQ ID NO:545に記載されるもとの少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、あるいは99%同一であるヒト重鎖フレームワーク領域1;(b)SEQ ID NO:484(DTYMH)によって記載されるアミノ酸配列を含むHCDR1;(c)SEQ ID NO:546に記載されるものと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、あるいは99%同一であるヒト重鎖フレームワーク領域2;(d)SEQ ID NO:485(PASGH)によって記載されるアミノ酸配列を含むHCDR2;(e)SEQ ID NO:547もしくは586~588に記載されるものと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、あるいは99%同一であるヒト重鎖フレームワーク領域3と;(f)SEQ ID NO:486(SGGLPD)によって記載されるアミノ酸配列を含むHCDR3;(g)SEQ ID NO:548に記載されるものと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、あるいは99%同一であるヒト重鎖フレームワーク領域4;を含む重鎖可変領域と、軽鎖可変領域であって:(h)SEQ ID NO:549に記載されるものと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、あるいは99%同一であるヒト軽鎖フレームワーク領域1;(i)SEQ ID NO:487(ASSSVSYMY)によって記載されるアミノ酸配列を含むLCDR1;(j)SEQ ID NO:550に記載されるものと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、あるいは99%同一であるヒト軽鎖フレームワーク領域2;(k)SEQ ID NO:488(ATSNLAS)によって記載されるアミノ酸配列を含むLCDR2;(l)SEQ ID NO:551に記載されるものと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、あるいは99%同一であるヒト軽鎖フレームワーク領域3;(m)SEQ ID NO:489(GNPRT)によって記載されるアミノ酸配列を含むLCDR3;(n)SEQ ID NO:552に記載されるものと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、あるいは99%同一であるヒト軽鎖フレームワーク領域4を含む、軽鎖可変領域とを含む。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
様々な実施形態において、抗TL1Aの抗体は特異的にTL1Aの同じ領域に結合するか、または、SEQ ID NO:3と少なくとも約90%、92%、95%、98%、あるいは100%同一の配列を含む重鎖と、SEQ ID NO:6と少なくとも約90%、92%、95%、98%あるいは100%同一の配列を含む軽鎖と含む抗体が特異的に結合するTL1Aの領域と重複する、TL1Aの領域に特異的に結合する。様々な実施形態において、抗TL1Aの抗体は特異的にTL1Aの同じ領域に結合するか、または、SEQ ID NO:26と少なくとも約90%、92%、95%、98%、あるいは100%同一の配列を含む重鎖と、SEQ ID NO:28と少なくとも約90%、92%、95%、98%、あるいは100%同一の配列を含む軽鎖とを含む抗体が特異的に結合するTL1Aの領域と重複する、TL1Aの領域に特異的に結合する。様々な実施形態において、抗TL1Aの抗体は特異的にTL1Aの同じ領域に結合するか、または、SEQ ID NO:36と少なくとも約90%、92%、95%、98%、あるいは100%同一の配列を含む重鎖と、SEQ ID NO:38と少なくとも約90%、92%、95%、98%、あるいは100%同一の配列を含む軽鎖とを含む抗体が特異的に結合するTL1Aの領域と重複する、TL1Aの領域に特異的に結合する。様々な実施形態において、抗TL1Aの抗体は特異的にTL1Aの同じ領域に結合するか、または、SEQ ID NO:40と少なくとも約90%、92%、95%、98%、あるいは100%同一の配列を含む重鎖と、SEQ ID NO:42と少なくとも約90%、92%、95%、98%、あるいは100%同一の配列を含む軽鎖とを含む抗体が特異的に結合するTL1Aの領域と重複する、TL1Aの領域に特異的に結合する。様々な実施形態において、抗TL1Aの抗体は特異的にTL1Aの同じ領域に結合するか、または、SEQ ID NO:40と少なくとも約90%、92%、95%、98%、あるいは100%同一の配列を含む重鎖と、SEQ ID NO:38と少なくとも約90%、92%、95%、98%、あるいは100%同一の配列を含む軽鎖とを含む抗体が特異的に結合するTL1Aの領域と重複する、TL1Aの領域に特異的に結合する。様々な実施形態において、抗TL1Aの抗体は特異的にTL1Aの同じ領域に結合するか、または、SEQ ID NO:503と少なくとも約90%、92%、95%、98%、あるいは100%同一の配列を含む重鎖と、SEQ ID NO:502と少なくとも約90%、92%、95%、98%、あるいは100%同一の配列を含む軽鎖とを含む抗体が特異的に結合するTL1Aの領域と重複する、TL1Aの領域に特異的に結合する。様々な実施形態において、抗TL1Aの抗体は特異的にTL1Aの同じ領域に結合するか、または、SEQ ID NO:511と少なくとも約90%、92%、95%、98%、あるいは100%同一の配列を含む重鎖と、SEQ ID NO:510と少なくとも約90%、92%、95%、98%、あるいは100%同一の配列を含む軽鎖とを含む抗体が特異的に結合するTL1Aの領域と重複する、TL1Aの領域に特異的に結合する。様々な実施形態において、抗TL1Aの抗体は特異的にTL1Aの同じ領域に結合するか、または、SEQ ID NO:493と少なくとも約90%、92%、95%、98%、あるいは100%同一の配列を含む重鎖と、SEQ ID NO:492と少なくとも約90%、92%、95%、98%、あるいは100%同一の配列を含む軽鎖とを含む抗体が特異的に結合するTL1Aの領域と重複する、TL1Aの領域に特異的に結合する。様々な実施形態において、抗TL1Aの抗体は特異的にTL1Aの同じ領域に結合するか、または、SEQ ID NO:501と少なくとも約90%、92%、95%、98%、あるいは100%同一の配列を含む重鎖と、SEQ ID NO:500と少なくとも約90%、92%、95%、98%、あるいは100%同一の配列を含む軽鎖とを含む抗体が特異的に結合するTL1Aの領域と重複する、TL1Aの領域に特異的に結合する。様々な実施形態において、抗TL1Aの抗体は特異的にTL1Aの同じ領域に結合するか、または、SEQ ID NO:515と少なくとも約90%、92%、95%、98%、あるいは100%同一の配列を含む重鎖と、SEQ ID NO:514と少なくとも約90%、92%、95%、98%、あるいは100%同一の配列を含む軽鎖とを含む抗体が特異的に結合するTL1Aの領域と重複するTL1Aの領域に特異的に結合する。
【0054】
様々な実施形態において、抗TL1A抗体またはフラグメントは、少なくとも約1E-7、1E-8、1E-9、1E-10、あるいは1E-11のTL1Aに対して結合親和性を有する。場合によっては、結合親和性は約1E-9から約1E-11である。
【0055】
様々な実施形態は、参照抗体、例えば、本明細書に記載される任意の抗TL1A抗体が結合するのと同じ、TL1Aタンパク質またはその一部の領域に結合する抗TL1A抗体を提供する。いくつかの実施形態において、参照抗体は、SEQ ID NO:150、12、ならびに152の重鎖CDR、およびSEQ ID NO:18、21、および155の軽鎖CDRを含む。
【0056】
抗TL1A抗体(つまり、試験抗体)が、本明細書に記載される抗体が結合するのと同じ、TL1Aタンパク質またはその一部の領域に結合するか否かを決定するための非限定的な方法が提供される。例示的な実施形態は競合アッセイを含む。例えば、上記方法は、試験抗体が、参照抗体とTL1Aタンパク質またはその一部との間の結合と競合することができるか否かを決定する工程、あるいは、参照抗体が、試験抗体とTL1Aタンパク質またはその一部との間の結合と競合することができるか否かを決定する工程を含む。例示的な方法は、抗TL1Aの抗体が、TL1Aと他の抗TL1A抗体との間の結合と競合することができるか否かを評価するための、表面プラズモン共鳴の使用を含む。場合によっては、表面プラズモン共鳴が競合アッセイで利用される。非限定的な方法が実施例に記載されている。
【0057】
本明細書に記載されるTL1A抗体は、ヒトTL1Aの特異的領域あるいはエピトープに結合する。これらの領域は、Tリンパ球からのインターフェロンγ分泌を阻害するのに有用なものとして、本明細書中で示される。ある実施形態では、本明細書に記載される抗体と、TL1Aへの結合を競争する抗体が本明細書に開示される。ある実施形態では、本明細書に記載される抗体によって結合されたTL1Aの同じエピトープに結合する抗体が本明細書に開示される。ある実施形態では、本明細書に記載される抗体によって結合されたTL1Aのエピトープと重複する分離エピトープに結合する抗体が本明細書に開示される。ある実施形態では、TL1Aの同じエピトープに結合し、1つ以上のアミノ酸残基によってTL1Aのエピトープと重複する抗体、あるいは、SEQ ID NO:503のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と;SEQ ID NO:502のアミノ酸を含む軽鎖可変領域とを含む抗体またはそのフラグメントと、TL1Aのエピトープへの結合について競合する抗体が、本明細書で開示される。ある実施形態では、TL1Aの同じエピトープに結合し、1つ以上のアミノ酸残基によってTL1Aのエピトープと重複する抗体、あるいは、SEQ ID NO:511のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と;SEQ ID NO:510のアミノ酸を含む軽鎖可変領域とを含む抗体またはそのフラグメントと、TL1Aのエピトープへの結合について競合する抗体が、本明細書に開示される。ある実施形態では、TL1Aの同じエピトープに結合し、1つ以上のアミノ酸残基によってTL1Aのエピトープと重複する抗体、あるいは、SEQ ID NO:493のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と;SEQ ID NO:492のアミノ酸を含む軽鎖可変領域とを含む抗体またはそのフラグメントと、TL1Aのエピトープへの結合について競争する、抗体が本明細書に開示される。ある実施形態では、TL1Aの同じエピトープに結合し、1つ以上のアミノ酸残基によってTL1Aのエピトープと重複する抗体、あるいは、SEQ ID NO:501のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と;SEQ ID NO:500のアミノ酸を含む軽鎖可変領域とを含む抗体またはそのフラグメントと、TL1Aのエピトープへの結合について競争する、抗体が本明細書に開示される。ある実施形態では、TL1Aの同じエピトープに結合し、1つ以上のアミノ酸残基によってTL1Aのエピトープと重複する抗体、あるいは、SEQ ID NO:515のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と;SEQ ID NO:514のアミノ酸を含む軽鎖可変領域とを含む抗体またはそのフラグメントと、TL1Aのエピトープへの結合について競争する、抗体が本明細書に開示される。
【0058】
抗体を生成する方法
様々な実施形態は、ポリペプチドまたはヌクレオチド配列を使用して生成される抗体を提供する。いくつかの実施形態では、抗体はモノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、抗体はヒト抗体あるいはヒト化抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は抗体フラグメントである。例えば、抗体は、Fab、scFv、あるいは(Fab)である。いくつかの実施形態では、抗体はキメラ抗体である。
【0059】
本明細書に記載される抗体は、当技術分野において既知の任意の方法によって、特異的結合について分析され得る。使用することができる免疫学的アッセイとしては、限定されないが、BIAcore分析、FACS分析、免疫蛍光検査法、免疫細胞化学、ウェスタンブロット、放射線免疫検定法、ELISA、「サンドイッチ」免疫学的アッセイ、免疫沈降アッセイ、沈降反応、ゲル拡散沈降反応、免疫拡散法、凝集アッセイ、補体固定アッセイ、イムノラジオメトリックアッセイ、蛍光免疫検定法、またプロテインA免疫学的アッセイなどの技術を使用する、競合ならびに非競合アッセイシステムが挙げられる。そのようなアッセイは、例えば、Ausubel et al., eds, 1994, Current Protocols in Molecular Biology, Vol. 1, John Wiley & Sons, Inc., New Yorkで提供される。
【0060】
様々な実施形態において、抗TL1Aの抗体は、限定されないが、DR3およびTR6/DcR3などの、TL1A受容体のアンタゴニストである。ある実施形態では、抗体は、結合TL1A受容体の1つ以上の活性の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、あるいは約100%を阻害する。ある実施形態では、抗体はヒト血液中でインターフェロンγ放出によって測定されるようなTL1A活性化を阻害する。ある実施形態では、抗体は、約1ナノモル~約100ピコモルの間のIC50でヒト血液中のインターフェロンγ放出を阻害する。ある実施形態では、抗体は、約500ピコモル~約100ピコモルの間のIC50でヒト血液中のインターフェロンγ放出を阻害する。ある実施形態では、抗体は、約500ピコモルのIC50でヒト血液中のインターフェロンγ放出を阻害する。ある実施形態では、抗体は、約250ピコモルのIC50でヒト血液中のインターフェロンγ放出を阻害する。
【0061】
様々な実施形態において、モノクローナル抗体は、上述されるように、限定されないが、ハイブリドーマ法などの当技術分野において既知の方法を使用して調製され、その方法では、宿主動物が免疫化されて、免疫抗原に特異的に結合する抗体のリンパ球による産生を誘発する(Kohler and Milstein (1975) Nature 256:495)。ハイブリドーマは、選択された抗原に対して特異的に向けられるモノクローナル抗体を産生する。モノクローナル抗体は、インビトロまたはインビボのいずれかで増殖される場合、当技術分野において既知の技術によって培地または腹水から精製される。
【0062】
いくつかの実施形態において、モノクローナル抗体は、米国特許第4,816,567号に記載される組換えDNA法を使用して作られる。モノクローナル抗体をコードするポリヌクレオチドは、成熟B細胞あるいはハイブリドーマ細胞から単離される。その後、重鎖および軽鎖をコードする単離されたポリヌクレオチドは、適切な発現ベクターにクローン化され、宿主細胞(例えば、大腸菌細胞、サルのCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、あるいは骨髄細胞)にトランスフェクトされると、モノクローナル抗体を生成する。モノクローナル抗体をコードするポリヌクレオチドは、代替抗体を生成するために、組換えDNA技術を使用して、多くの異なる様式でさらに修飾され得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、キメラ抗体、つまり、異なる部分が、マウスのモノクローナル抗体に由来する可変領域、およびヒト免疫グロブリン定常領域(例えば、ヒト化抗体)を有するものなど、様々な動物種に由来する分子が生成され得る。Morrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 81:851-855 (1984);Neuberger et al., Nature 312:604-608 (1984);Takeda et al., Nature 314:452-454 (1985)に記載されるものなどの、様々な技術を使用して、キメラ抗体は産生され得る。
【0064】
いくつかの実施形態において、抗TL1Aのモノクローナル抗体は、ヒトの被験体に投与されると、抗原性およびHAMA(ヒト抗マウス抗体)の応答を減少させるヒト化抗体である。ヒト化抗体は、当該技術分野で既知の様々な技術を使用して生成され得る。例えば、抗体は、(1)出発抗体の軽鎖および重鎖の可変ドメインのヌクレオチドおよび予測されたアミノ酸配列を決定すること;(2)ヒト化抗体を設計すること、例えば、ヒト化プロセス中に使用する抗体フレームワーク領域を決定すること;(3)実際のヒト化方法論/技術;および(4)ヒト化抗体のトランスフェクションおよび発現によって、ヒト化される(例えば、米国特許第5,585,089号;第6,835,823号;第6,824,989号を参照)。様々な実施形態において、ヒト化抗体は最適化され、ヒトの治療のための機能活性を維持しながら、潜在的免疫原性を減少させる。
【0065】
ヒト化抗体はさらに、免疫化の際に、内因性免疫グロブリン産生がない状態で、ヒト抗体の十分なレパートリーを産生することができるヒト免疫グロブリン遺伝子座を含有しているトランスジェニックマウスにおいて作ることができる。このアプローチは、米国特許第5,545,806号;第5,545,806号;第5,569,825号;第5,625,126号;第5,633,425号;および第5,661,016号に記載される。ヒト化抗体はまた、例えば、ウサギおよびマウスなどの大動物中の親和性成熟ヒト様ポリクローナル抗体の産生を可能にする新規な遺伝子操作アプローチによって得られ得る。(例えば、米国特許第6,632,976号を参照。)
【0066】
完全にヒト化された抗体は、ヒト由来のフレームワーク配列に埋め込まれる非ヒトの、例えば、げっ歯類由来のCDRを含有する可変領域アミノ酸配列を最初に設計することにより作製され得る。非ヒトCDRは所望の特異性を提供する。したがって、場合によっては、これらの残基は、本質的に不変の再成形された可変領域の設計に含まれる。場合によっては、修飾は、したがって、最小に抑えられ、抗体の特異性および親和性の変化が注視されるべきである。他方では、理論上のフレームワーク残基は、任意のヒト可変領域に由来する場合がある。1つの容認可能な、さらには、改善された親和性を示す再成形された抗体を作るために、再成形された可変領域を作り、および抗体親和性を保持するのに等しく適切であるヒトフレームワーク配列が選択されるべきである。ヒトフレームワークは生殖系列由来であってもよく、または非生殖系列(例えば、突然変異した、あるいは親和性成熟した)配列に由来してもよい。当技術分野において周知の遺伝子工学手法、例えば、限定されないが、ヒト抗体のライブラリのファージディスプレイ、トランスジェニックマウス、ヒト-ヒトのハイブリドーマ、ハイブリッドハイブリドーマ、B細胞不死化とクローニング、シングルセルRT-PCRまたはHuRAbテクノロジーが、ヒトフレームワークおよび非ヒトCDRを含有するDNA配列を有するヒト化抗体を生成するために使用されてもよい。「ヒト化抗体」を得る方法は当業者に周知である(例えば、米国特許第5,861,155号、米国特許第6,479,284号、米国特許第6,407,213号、米国特許第5,624,821号、US2003166871、US20020078757、Queen et al., Proc. Natl. Acad Sci USA, 86:10029-10032 (1989)、およびHodgson et al., Bio/Technology, 9:421 (1991))。
【0067】
ある実施形態では、抗TL1A抗体はヒト抗体である。ヒト抗体は、当該技術分野で既知の様々な技術を使用して生成され得る。標的抗原に向けられる抗体を産生するインビトロで免疫化されたか、あるいは免疫化された個体から単離される不死化ヒトBリンパ球が、生成され得る(例えば、Cole et al., Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, p. 77 (1985); Boerner et al., 1991, J. Immunol., 147 (1):86-95; and U.S. Pat. No. 5,750,373を参照)。ヒト抗体はファージライブラリーから選択されてもよい。抗体ファージライブラリーの生成と使用の技術は、米国特許第5,969,108号,第6,172,197号,第5,885,793号,第6,521,404号;第6,544,731号;第6,555,313号;第6,582,915号;第6,593,081号;第6,300,064号;第6,653,068号;第6,706,484号;ならびに7,264,963号;および、Rothe et al., 2007, J. Mol. Bio., doi:10.1016/j.jmb.2007.12.018に記載されている。
【0068】
キメラヒト化抗体およびキメラヒト抗体は、組換え発現によって産生され得る。組換えポリヌクレオチド構築物は、典型的には、天然に関連するあるいは異種のプロモーター領域を含む抗体鎖のコード配列に動作可能に連結された発現制御配列を含む。ある実施形態では、特に、これらのヒト化抗体のアミノ酸配列変異体が、抗体の結合親和性または抗体の他の生物学的特性を改善する場合には、生成されることが望ましいことがある。
【0069】
ある実施形態では、抗体フラグメントは、IBDを処置し、および/または寛解させるために使用される。抗体フラグメントの産生のための様々な技術が知られている。通常、これらのフラグメントは、無傷の抗体のタンパク質消化によって得ることができる(例えば、Morimoto et al., 1993, Journal of Biochemical and Biophysical Methods 24:107-117; Brennan et al., 1985, Science, 229:81)。Fab、Fv、scFv抗体フラグメントのすべてが、大腸菌あるいは他の宿主細胞中で発現され、および、大腸菌あるいは他の宿主細胞から分泌され、それにより、大量のこれらのフラグメントの産生を可能にすることができる。抗体フラグメントの生産のための他の技術が、当業者には明らかとなろう。
【0070】
本開示に従って、技術は、TL1Aに特異的な単鎖抗体の産生に適合し得る(例えば、米国特許第4,946,778号)。加えて、方法は、TL1Aに対する所望の特異性を有するモノクローナルFAbフラグメント、またはその誘導体、フラグメント、アナログ、あるいはそのホモログの迅速で効果的な同定を可能にするために、Fab発現ライブラリ(例えば、Huse, et al., Science 246:1275-1281 (1989)を参照)の構築に適合され得る。抗体フラグメントは、当技術分野の技術によって生成されてもよく、その抗体フラグメントとしては、限定されないが、(a)抗体分子のペプシン処理によって生成されたF(ab’)フラグメント;(b)F(ab’)フラグメントのジスルフィド架橋を減少することにより生成されるFAbフラグメント、(c)パパインおよび還元剤を用いた抗体分子の処置により生成されるFAbフラグメント、および(d)Fvフラグメントが挙げられる。
【0071】
さらに、TL1Aと抗体の関連性を提供する任意のタイプの可変領域を含む修飾抗体が、本明細書で提供される。当業者は、修飾抗体は、定常領域ドメインの1つ以上の少なくとも一部が、欠失させられたか、そうでなければ、TL1Aを減少させるなどの所望の生化学的性質をもたらすように改変されている抗体(例えば、完全長の抗体あるいはその免疫反応性フラグメント)を含む場合があることを理解するだろう。ある実施形態では、重鎖および軽鎖の両方における可変領域は、1つ以上のCDRの少なくとも部分的な置換によって、および、必要ならば、部分的なフレームワーク領域の置換と配列の変更によって改変される。いくつかの実施形態において、置換されたCDRは、異なるクラスの抗体、例えば、異なる種および/またはその組み合わせからの抗体の同じクラス、同じサブクラスの抗体に由来することがある。いくつかの実施形態において、修飾抗体の定常領域はヒト定常領域を含む。本開示と適合する定常領域への修飾は、1つ以上のドメイン中の1つ以上のアミノ酸の付加、欠失、あるいは置換を含む。
【0072】
様々な実施形態において、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合フラグメントの発現は、原核生物あるいは真核細胞のいずれかで生じ得る。適切な宿主には、インビボもしくはインサイチュのいずれかの酵母、昆虫、菌類、鳥および哺乳類の細胞を含む細菌あるいは真核生物の宿主、または、哺乳動物、昆虫、鳥あるいは酵母の起原の宿主細胞が含まれる。哺乳動物の細胞または組織は、ヒト、霊長類、ハムスター、ウサギ、げっ歯類、雌ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマ、ヤギ、イヌ、あるいはネコ由来のものであるが、他の哺乳動物細胞が使用されてもよい。他の実施形態では、本明細書に記載される抗体またはその抗原フラグメントは、宿主へトランスフェクトされることがある。
【0073】
いくつかの実施形態において、発現ベクターは、本明細書に記載されるキメラのヒト化抗体または複合ヒト抗体(composite human antibodies)の産生のために、受容細胞株にトランスフェクトされる。様々な実施形態において、哺乳動物細胞は、抗体タンパク質の産生のための宿主として有用であり得、限定されないが、Vero(ATCC CRL 81)またはCHO-K1(ATCC CRL 61)細胞、HeLa細胞、およびL細胞などの、線維芽細胞起原の細胞を含み得る。ポリペプチドを発現するために使用され得る例示的な真核細胞としては、限定されないが、COS 7細胞を含むCOS細胞を含む;293-6E細胞を含む293細胞;CHO--SおよびDG44細胞を含むCHO細胞;PER.C6(商標)細胞(Crucell);および、NSO細胞が挙げられる。いくつかの実施形態において、特定の真核生物の宿主細胞は、重鎖および/または軽鎖に対して所望の翻訳後修飾を行う能力に基づいて選択される。
【0074】
無傷の異種のタンパク質を分泌することができる多くの適切な宿主細胞株が、当技術分野において開発されており、限定されないが、CHO細胞株、様々なCOS細胞株、HeLa細胞、L細胞、および多発性骨髄腫細胞株を含む。
【0075】
キメラのヒト化抗体構築物または複合ヒト抗体構築物、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合フラグメントを有する発現ベクターは、細胞の宿主のタイプに基づいて、限定されないが、当業者に既知の形質転換、トランスフェクション、リポフェクション、結合(conjugation)、エレクトロポレーション、直接マイクロインジェクション、および微粒子銃を含む任意の様々な適切な手段によって、適切な宿主細胞へ導入することができる。これらの細胞のための発現ベクターは、発現制御配列、例えば、複製開始点、プロモーター、エンハンサー、および必要な情報処理部位、例えば、リボソーム結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位、および転写ターミネーター配列を含み得る。
【0076】
様々な実施形態において、酵母も、本明細書に記載される抗体分子またはペプチドの産生のための宿主として利用することができる。様々な他の実施形態では、菌種も、本明細書に記載される抗体分子またはペプチドの産生のための宿主として利用することができる。菌種の例としては、限定されないが、大腸菌、バチルス菌種、腸内細菌、および様々なシュードモナス種が挙げられる。
【0077】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される1つ以上の抗体あるいはその抗原結合フラグメントは、任意の適切な方法に従ってポリペプチドをコードする1つ以上の核酸分子を用いて操作されている(トランスジェニック)か、あるいはトランスフェクトされている、動物のインビボで生成することができる。トランスジェニック動物を生産する場合、導入遺伝子は、受精卵母細胞にマイクロインジェクされト得るか、あるいは、胚性幹細胞のゲノムに取り込まれ得、およびそのような細胞の神経核は除核卵母細胞に移される。一旦発現されると、抗体は、HPLC精製、カラムクロマトグラフィー、ゲル電気泳動などを含む当該技術の標準的な手順に従って精製され得る(一般的に、スコープ、タンパク質精製(Springer-Verlag, NY, 1982)を参照)。
【0078】
宿主中で発現されると、抗体全体、抗体フラグメント(例えば、個々の軽鎖および重鎖)、あるいは本開示の他の免疫グロブリン形態は、既知の技術(例えば、免疫吸着法、イムノアフィニティークロマトグラフィー、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)などのクロマトグラフィー法、硫酸アンモニウム沈殿法、ゲル電気泳動、あるいはこれらの任意の組み合わせによって、収集および精製され得る。一般的に、スコープ、タンパク質精製(Springer- Verlag, NY, 1982)を参照。少なくとも約90%~95%の相同性の実質的に純粋な免疫グロブリンが有利であり、特に医薬品使用のためには、98%~99%以上の相同性を有するものも有利である。必要に応じて部分的にあるいは均一的に精製されると、ヒト化抗体または複合ヒト抗体は、治療的に、あるいは免疫蛍光染色などのアッセイ手順の開発および実施に使用することができる。一般的に、Vols. I & II Immunol. Meth. (Lefkovits & Pernis, eds., Acad. Press, NY, 1979 and 1981)を参照。
【0079】
様々な実施形態は、本明細書で提供される抗TL1Aの抗体またはフラグメントをコードする核酸を含む、遺伝子構築物を提供する。抗体の遺伝子構築物は、コードされた抗TL1A抗体またはフラグメントの発現に適合し得る発現カセットの形態である場合がある。遺伝子構築物は、ベクターに取り込まれているか否かに関わらず、宿主細胞に導入され得る。例えば、遺伝子構築物はリポソームまたはウイルス粒子内に取り込まれてもよい。あるいは、精製された核酸分子は、当技術分野で既知の方法によって宿主細胞に直接挿入されてもよい。遺伝子構築物は、トランスフェクション、感染、エレクトロポレーション、細胞融合、プロトプラスト融合、マイクロインジェクション、または弾道衝撃(ballistic bombardment)によって、宿主被験体の細胞へ直接導入することができる。
【0080】
様々な実施形態は、本明細書で提供される抗体の遺伝子構築物を含む、組換えベクターを提供する。組換えベクターはプラスミド、コスミド、あるいはファージであってもよい。組換えベクターは、他の機能エレメント、例えば、遺伝子発現を開始する適切なプロモーターを含むことができる。
【0081】
様々な実施形態は、本明細書に記載される遺伝子構築物および/または組換えベクターを含む宿主細胞を提供する。
【0082】
様々な宿主系も、組換えタンパク質を発現するために有利に使用される。適切な哺乳動物宿主細胞株の例は、サル腎細胞のCOS-7株と、例えば、L細胞、C127、3T3、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、HeLa細胞株、ならびにBHK細胞株を含む、適切なベクターを発現することができる他の細胞株とを含む。哺乳動物発現ベクターは、非転写エレメント、例えば、複製開始点、発現される遺伝子に連結された適切なプロモーターとエンハンサー、他の5’あるいは3’の隣接する非転写配列、および5’あるいは3’の非翻訳配列、例えば、必要なリボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプライスドナー部位と受容部位、および転写終結配列を含む。
【0083】
形質転換された宿主によって作られたタンパク質は、任意の適切な方法に従って精製することができる。そのような標準的な分析法は、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、親和性、およびサイジングカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、示差溶解度(differential solubility)、あるいはタンパク質精製のための他の標準的技術を含む。ヘキサヒスチジンなどのアフィニティータグ、マルトース結合ドメイン、インフルエンザコート配列、およびグルタチオン-S-トランスフェラーゼは、タンパク質に結合し、適切なアフィニティーカラム上での継代による容易な精製を許可にする。単離されたタンパク質も、タンパク質分解、核磁気共鳴、およびX線結晶学などの技術を使用して、物理的に特徴づけられ得る。細菌培養で産生された組換え型タンパク質は、単離されてもよい。抗体および他のタンパク質の精製のための当技術分野における既知の方法は、例えば、米国特許出願公報第2008/0177048号および第2009/0187005号に記載されるものを含む。
【0084】
当業者は、コードされた配列中の1つのアミノ酸あるいはアミノ酸の僅かな割合を変更する核酸、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質の配列に対する個々の置換、欠失、あるいは付加は、「保存的に修飾された変異体」であり、そこでは、改変により、アミノ酸の化学的に類似するアミノ酸との置換をもたらし、標的抗原に特異的に結合する能力を保持することを認識するであろう。そのような保存的に修飾された変異体は、本開示と一致する多形性の変異体、異種間の同族体、ならびに対立遺伝子に加えられ、それらを除外しない。
【0085】
所与のアミノ酸は、同様の物理化学的特性を有する残基によって置き換えること、例えば、ある脂肪族残基を別の脂肪族残基に置換すること(例えば、互いにHe、Val、Leu、あるいはAla)、またはある極性残基を別の残基に置換すること(例えば、LyとArgの間;GluとAspとの間;あるいはGlnとAsnの間)ができる。他のそのような保存的置換(例えば、同様の疎水性特性を有する領域全体の置換)は、周知である。保存的アミノ酸置換を含むポリペプチドは、本明細書に記載されるアッセイのいずれか1つで試験され、所望の活性(例えば、天然ポリペプチドあるいは参照ポリペプチドの抗原結合性活性および特異性が保持される)を確認することができる。
【0086】
特定の保存的置換は、例えば;AlaからGlyあるいはSerへと;ArgからLysへと;AsnからGinあるいはHisへと;AspからGluへと;CysからSerへと;GinからAsnへと;GluからAspへと;GlyからAlaあるいはProへと;HisからAsnあるいはGinへと;lieからLeuあるいはValへと;LeuからlieあるいはValへと;LysからArg、Gin、あるいはGluへと;MetからLeu、Tyr、あるいはlieへと;PheからMet、Leu、あるいはTyrへと;SerからThrへと;ThrからSerへと;TrpからTyrへと;TyrからTrpへと;および/またはPheから、Val、lieあるいはLeuへと行われる。
【0087】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抗体および/またはその抗原結合フラグメントは、本明細書に記載される配列の変異体であってもよく、例えば、抗体ポリペプチドの保存的置換変異体であってもよい。いくつかの実施形態において、変異体は保存的に修飾された変異体である。変異体は、天然ポリペプチドあるいは参照ポリペプチドに対して実質的に相同性のポリペプチドを指し得るが、それは、1あるいは複数の欠失、挿入、または置換のために、天然あるいは参照ポリペプチドのアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を有する。変異体ポリペプチドをコードするDNA配列は、天然あるいは参照DNA配列と比較すると、ヌクレオチドの1つ以上の付加、欠失、あるいは置換を包含しているが、活性(例えば、関連する標的のポリペプチドに対する抗原特異性結合活性)を保持する変異体タンパク質またはそのフラグメントをコードする、配列を包含する。
【0088】
天然のアミノ酸配列の改変は、当業者に既知の多くの技術のいずれかによっても遂行することができる。突然変異は、特定の遺伝子座で、またはオリゴヌクレオチドに指向性突然変異誘発手法(oligonucleotide-directed site-specific mutagenesis procedures)によって導入され得る。そのような改変を行うための技術は非常によく確立されており、例えば、Walder et al. (Gene 42: 133, 1986);Bauer et al. (Gene 37:73, 1985);Craik (BioTechniques, January 1985, 12-19);Smith et al. (Genetic Engineering: Principles and Methods, Plenum Press, 1981);および、米国特許第4,518,584号ならびに第4,737,462号に記載されるものを含む。
【0089】
抗体のアミノ酸配列変異体をコードする核酸分子は、当該技術分野で既知の様々な方法によって調製される。これらの方法としては、限定されないが、オリゴヌクレオチド媒介性(あるいは、部位指向性)突然変異誘発、PCR突然変異誘発、および抗体の以前に調製された変異体あるいは非変異体バージョンのカセット変異導入による調製物が挙げられる。本明細書に記載される少なくとも1つの抗体、部分あるいはポリペプチドをコードする核酸配列は、ライゲーションのための平滑末端または突出末端ならびに制限酵素消化を含むがこれらに限定されない従来の技術に従って、ベクターDNAと再結合することができる。そのような操作のための技術は、例えば、Maniatis et al., Molecular Cloning, Lab. Manual (Cold Spring Harbor Lab. Press, NY, 1982 and 1989)に開示され、モノクローナル抗体分子または抗原結合領域をコードする核酸配列を構築するために使用され得る。
【0090】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合フラグメントをコードする核酸が、ベクターによって構成される。本明細書に記載される態様のいくつかでは、本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合フラグメントをコードする核酸配列、あるいはその任意のモジュールは、ベクターに動作可能に連結される。用語「ベクター」とは、本明細書で使用されるように、宿主細胞への送達、あるいは異なる宿主細胞間での移動のために設計された核酸構築物を指す。本明細書で使用されるように、ベクターはウイルスあるいは非ウイルスであってもよい。用語「ベクター」は、調節エレメントと関係する場合に複製することができ、かつ遺伝子配列を細胞に移動させることができる遺伝要素を包含する。ベクターとしては、限定されないが、クローニングベクター、発現ベクター、プラスミド、ファージ、トランスポゾン、コスミド、染色体、ウイルス、ビリオンなどが挙げられる。
【0091】
本明細書で使用されるように、用語「発現ベクター」は、ベクター上の転写制御配列に連結された配列のRNAまたはポリペプチドの発現を指示するベクターを指す。用語「発現」とは、RNAおよびタンパク質の産生、および必要に応じて、タンパク質の分泌に関与する細胞内プロセスを指し、その細胞内プロセスには、適用可能であれば、限定されないが、例えば、転写、転写プロセシング、翻訳とタンパク質フォールディング、修飾、および処理が含まれる。「発現産物」は、遺伝子から転写されたRNAと、および遺伝子から転写されたmRNAの翻訳によって得られたポリペプチドとを含む。用語「遺伝子」は、適切な制御配列に動作可能に連結されると、インビトロまたはインビボでRNAに転写される(DNA)核酸配列を意味する。遺伝子は、コード領域の前および後にある領域、例えば、5’非翻訳(5’UTR)あるいは「リーダー」配列および3’UTRあるいは「トレーラー」配列、ならびに、個々のコードセグメント(エクソン)間の介在配列(イントロン)を含んでいても、含んでいなくてもよい。
【0092】
本明細書で使用されるように、用語「ウイルスベクター」は、ウイルス起原の少なくとも1つの要素を含み、かつ、ウイルスベクター粒子にパッケージングされる能力を有する核酸ベクター構築物を指す。ウイルスベクターは、非本質的なウイルス遺伝子の代わりに、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合性部分をコードする核酸を含有することができる。ベクターおよび/または粒子は、インビトロまたはインビボで任意の核酸を細胞に導入する(transferring)目的で利用されてもよい。ウイルスベクターの多数の形態が当技術分野において既知である。
【0093】
「組換えベクター」によって、ベクターが、異種核酸配列、あるいはインビボで発現することができる「導入遺伝子」を含むことが意味される。
【0094】
医薬組成物、投与、および投与量
提供される抗TL1Aの抗体は、IBDの処置などの治療用処置方法を含むがこれらに限定されない、様々な用途に有用である。使用方法は、インビトロ、エクスビボ、あるいはインビボの方法であり得る。ある実施形態では、抗TL1Aの抗体は、TL1A受容体のためのアンタゴニストである。
【0095】
ある実施形態では、抗TL1A抗体またはTL1A受容器アンタゴニストを用いて処置される疾患は、IBD、CD、UC、および/またはMR-UCである。
【0096】
様々な実施形態において、医薬組成物は、任意の投与経路を介して送達するために製剤化される。「投与経路」とは、限定されないが、噴霧、経鼻、経口、経粘膜的、経皮的または非経口を含む、当該技術において既知の投与経路を指し得る。
【0097】
「経皮的」投与は、塗り薬あるいは軟膏を使用して、または経皮パッチによって遂行され得る。
【0098】
「非経口」は、一般的に、眼窩内、点滴、動脈内、嚢内、心臓内、皮内、筋肉内、腹腔内、肺内、脊髄内、胸骨内、鞘内、子宮内、静脈内、くも膜下、被膜下、皮下、経粘膜、または経気管を含む注射に通常は関連付けられる投与経路を指す。非経口経路を介して、組成物は、注入または注射のための溶液あるいは懸濁液の形態、あるいは凍結乾燥された粉末剤であり得る。
【0099】
腸内経路を経由する場合、医薬組成物は、制御放出を可能にする錠剤、ゲルカプセル、糖衣錠、シロップ剤、懸濁液、溶液、粉末剤、果粒剤、乳剤、微粒子あるいはナノ粒子、または脂質ベシクルあるいはポリマーベシクルの形態であり得る。
【0100】
局所的経路を経由する場合、医薬組成物は、皮膚と粘膜の処置のために製剤化され、軟膏剤、クリーム剤、乳剤、軟膏、粉末剤、浸透性パッド、液剤、ゲル剤、噴霧剤、ローション剤、または懸濁剤の形態である。それらはさらに、制御放出を可能にするミクロスフェアあるいはナノスフェア、または脂質ベシクルあるいはポリマーベシクル、またはポリマー貼付剤およびヒドロゲルであり得る。これらの局所的経路用の組成物は、臨床的適応に応じて無水形態または水性形態であり得る。
【0101】
経眼の経路を経由する場合、それらは点眼剤の形態であり得る。
【0102】
様々な実施形態では、薬剤は、注射によって、または経時的な長時間にわたる緩やかな注入によって、静脈内に投与されてもよい。所与の経路に適切な製剤を考慮すると、例えば、本明細書に記載の方法および組成物に有用な薬剤は、静脈内に、鼻腔内に、吸入によって、腹腔内に、筋肉内に、皮下に、窩内に投与することができ、および必要に応じて、蠕動性の手法または当業者に既知の他の手法によって送達され得る。特定の実施形態では、本明細書に使用される化合物は、IBD、CD、UC、および/またはMR-UCを患う患者に、経口的に、静脈内に、あるいは筋肉内に投与される。
【0103】
医薬組成物はさらに、任意の薬学的に許容可能な担体も含有することができる。本明細書で使用されるように「薬学的に許容可能な担体」とは、体内のある組織、臓器、あるいは部分から体内の別の組織、臓器、あるいは部分へと対象の化合物を運ぶか、もしくは輸送することに関与する、薬学的に許容可能な物質、組成物、またはビヒクルを指す。例えば、担体は、液体または固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶剤、または封入材料(encapsulating material)、またはそれらの組み合わせであってもよい。担体の各成分は、製剤の他の成分と適合性でなければならないという点において、「薬学的に許容可能」でなければならない。担体の各成分はさらに、接触する可能性がある任意の組織あるいは臓器に接している使用に適していなければならず、毒性、刺激作用、アレルギー応答、免疫原性、あるいは治療効果を過度に上回る他の合併症のリスクを伴ってはならないことを意味する。
【0104】
様々な実施形態において、治療上有効な量の抗TL1Aの抗体と共に、薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物が提供される。「薬学的に許容可能な賦形剤」とは、一般に安全で、無毒で、望ましい医薬組成物を調製するのに役立つ賦形剤を意味し、動物への使用ならびにヒトの製薬用途に許容可能な賦形剤を含んでいる。有効成分は、薬学的に許容可能かつ有効成分と適合性である賦形剤と混合され、および本明細書に記載される治療法で使用するのに適した量であり得る。そのような賦形剤は、固体、液体、半固体、または、エアゾール組成物の場合にはガスであってもよい。適切な賦形剤は、例えば、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、水、食塩水、ブドウ糖、プロピレングリコール、グリセリン、エタノール、マンニトール、ポリソルベートなど、およびそれらの組み合わせである。加えて、必要に応じて、組成物は、有効成分の効果を高めるまたは維持する、湿潤剤あるいは乳化剤、pH緩衝薬などの小量の補助物質を含んでいてもよい。本明細書に記載される治療用組成物は、薬学的に許容可能な塩を含むことができる。薬学的に許容可能な塩は、無機酸(例えば、塩化水素またはリン酸)、有機酸(例えば、酢酸、酒石酸またはマンデル酸)で形成された酸付加塩、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウムまたは水酸化鉄などの無機塩から形成された塩、およびイソプロピルアミン、トリメチルアミン、2-エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどの有機塩から形成された塩を含む。液状組成物は、水に添加した、および水を排除した状態の液相、例えば、グリセリン、綿実油などの植物油、ならびに油-水エマルジョンを含有することができる。薬学的に許容できる担体は当該技術分野で周知である。特定の疾病または状態の処置に効果的である、使用される活性薬剤(つまり、抗体あるいはそのフラグメント)の量は、疾病または状態の性質に依存し、および標準的な臨床技術を用いて当業者によって決定され得る。
【0105】
医薬組成物はさらに、経口投与のために、カプセル化され、錠剤にされ、または乳剤ないしシロップ剤として製剤化され得る。薬学的に許容可能な固体あるいは液体の担体は、組成物を増強し、安定させるために、または組成物の調製化を容易にするために添加されてもよい。液体の担体は、シロップ、落花生油、オリーブオイル、グリセリン、食塩水、アルコール、および水を含む。固体の担体は、デンプン、ラクトース、硫酸カルシウム、二水和物、白土、ステアリン酸マグネシウムあるいはステアリン酸、タルク、ペクチン、アラビアゴム、寒天またはゼラチンを含む。担体はさらに、モノステアリン酸グリセリンまたはジステアリン酸グリセリンなどの徐放性物質を、単独でまたはワックスと共に含んでもよい。
【0106】
医薬品は、錠剤形態のために、必要に応じて、粉砕、混合、顆粒化、および圧縮を含む、あるいは硬カプセル形態のために、粉砕、混合、および充填を含む、薬学の従来の技術に従って作られる。液体担体が使用される時、調製物は、シロップ剤、エリキシル、エマルジョン、または水性あるいは非水性の懸濁液の形態である。そのような液体製剤は、直接経口投与されてもよいし、柔らかいゼラチンカプセル剤に充填されてもよい。
【0107】
医薬組成物は、治療上有効な量で送達され得る。正確な治療上有効な量は、所与の被験体における処置の有効性の観点から、最も効果的な結果を生み出す組成物の量である。この量は、限定されないが、治療用化合物の特性(作用、薬物動態、薬力学、ならびにバイオアベイラビリティを含む)、被験体の生理的状態(年齢、性別、疾患のタイプとステージ、一般的な身体状況、所与の用量への反応性、ならびに薬物治療のタイプを含む)、薬学的に許容可能な担体または製剤内の担体の性質、および投与経路を含む様々な因子に依存して変わるだろう。臨床および薬学の分野の当業者は、慣例的な手順を通じて、例えば、化合物の投与に対する被験体の反応をモニタリングし、それに応じて用量を調整することによって、治療上有効な量を決定することができるであろう。さらなるガイダンスについては、Remington: The Science and Practice of Pharmacy (Gennaro ed. 20th edition, Williams & Wilkins PA, USA) (2000)を参照。
【0108】
有効な抗TL1A抗体の典型的な投与量は、インビトロでの応答または動物モデルにおける応答によって、当業者に示される通りであり得る。そのような投与量は、典型的に、関連する生物学的活性を失うことなく、濃度または量を最大約一桁低減することができる。したがって、実際の投与量は、医師の判断、患者の状態、および、例えば、関連する初代培養細胞あるいは得られた生体サンプルなどの組織培養された組織サンプル(histocultured tissue sampl)のインビトロでの応答性、または適切な動物モデルにおいて観察された応答に基づく治療方法の有効性に依存する。
【0109】
疾患の処置のために、抗体の適切な投与量は、処置される疾患の種類、疾患の重症度と経過、疾患の反応性、治療目的または予防目的で抗体が投与されるか否か、以前の治療、および患者の病歴に依存する。投与量はさらに、何らかの併発症が起きた場合に個々の医師によって、および処置を行う医師の裁量で調整することができる。投与する医師は、最適な用量、投薬法、および反復率を決定することができる。TL1A抗体は、1回のみ、または数日から数ヶ月続く一連の処置にわたって、または治癒するまで、または疾患状態の低下が達成される(例えば、IBDの処置または改善)まで、投与され得る。処置の期間は、被験体の臨床経過と治療への反応性に依存する。ある実施形態では、投与量は、体重1kg当たり0.01μg~100mgであり、毎日、毎週、毎月、毎年、1回以上与えることができる。全身投与の場合、被験体は、例えば、約0.1mg/kg、0.5mg/kg、1.0mg/kg、2.0mg/kg、2.5mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、40mg/kg、50 mg/kg、またはそれ以上などの治療量を投与され得る。ある実施形態では、治療量は、一定の投与量(flat dosage)として投与される、約1、3、10、30、100、300、600、および800ミリグラムから選択される。ある実施形態では、治療量は、一定の投与量として投与される、約1、2、3、4、5、6、7、8、あるいは9ミリグラムである。ある実施形態では、治療量は、一定の投与量として投与される、約10、20、30、40、50、60、70、80、あるいは90ミリグラムである。ある実施形態では、治療量は、一定の投与量として投与される、約100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、あるいは900ミリグラムである。ある実施形態では、治療量は、1キログラム当たり約5~約30ミリグラムである。ある実施形態では、治療量は、毎週または隔週投与される、1キログラム当たり約5~約30ミリグラムである。ある実施形態では、治療量は、1キログラム当たり約5、10、15、20、25、または30ミリグラムである。ある実施形態では、治療量は、毎週または隔週で投与される、1キログラム当たり約5、10、15、20、25、あるいは30ミリグラムである。
【0110】
処置方法
様々な実施形態は、炎症性腸疾患(IBD)を処置する方法を提供し、上記方法は、被験体に本明細書に記載される抗TL1Aの抗体を投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、被験体は1以上のリスク遺伝子型を含む。いくつかの実施形態では、IBDはIBDの重症型である。IBDの重症型は、本明細書に記載される無症状の表現型によって特徴付けられ得る。
【0111】
様々な実施形態において、被験体の炎症性腸疾患(IBD)を処置する方法が本明細書で提供され、上記方法は:TL1Aに特異的に結合する治療上有効な量の抗体あるいは抗原結合フラグメントを、被験体に投与する工程を含む。いくつかの実施形態において、抗TL1A抗体は、SEQ ID NO:545を含むHCFR1、または最大約5、4、3、あるいは2つのアミノ酸だけSEQ ID NO:545とは異なる配列を含む。いくつかの実施形態において、抗TL1Aの抗体は、SEQ ID NO:9、150、484、および553から選択されるHCDR1、または最大約5、4、3、あるいは2つのアミノ酸だけSEQ ID NO:9、150、484、および553から選択される配列とは異なる配列を含む。いくつかの実施形態において、抗TL1Aの抗体は、SEQ ID NO:546を含むHCFR2、または最大約5、4、3、あるいは2つのアミノ酸だけSEQ ID NO:546とは異なる配列を含む。いくつかの実施形態において、抗TL1Aの抗体は、SEQ ID NO:12、574~564、および554~577から選択されるHCDR2、または、最大約5、4、3、あるいは2つのアミノ酸だけSEQ ID NO:12、574~564、および554~577とは異なる配列を含む。いくつかの実施形態において、抗TL1Aの抗体は、SEQ ID NO:547および586~588から選択されるHCFR3 または最大約5、4、3、あるいは2つのアミノ酸だけSEQ ID NO:547および586~588から選択される配列と異なる配列を含む配列を含む。いくつかの実施形態において、抗TL1Aの抗体は、SEQ ID NO:15、152、565~568、および578~581から選択されるHCDR3、または最大約5、4、3、あるいは2つのアミノ酸だけSEQ ID NO:15、152、565~568、および578~581から選択される配列とは異なる配列を含む。いくつかの実施形態において、抗TL1Aの抗体は、SEQ ID NO:548を含むHCFR4、または最大約5、4、3、あるいは2つのアミノ酸だけSEQ ID NO:548とは異なる配列を含む。いくつかの実施形態において、抗TL1Aの抗体は、SEQ ID NO:549を含むLCFR1、または最大約5、4、3、あるいは2つのアミノ酸だけSEQ ID NO:549とは異なる配列を含む。いくつかの実施形態において、抗TL1Aの抗体は、SEQ ID NO:487、569、および570から選択されるLCDR1、または最大約5、4、3、あるいは2つのアミノ酸だけSEQ ID NO:487、569、および570とは異なる配列を含む。いくつかの実施形態において、抗TL1Aの抗体は、SEQ ID NO:550を含むLCFR2、または最大約5、4、3、あるいは2つのアミノ酸だけSEQ ID NO:550とは異なる配列を含む。いくつかの実施形態において、抗TL1Aの抗体は、SEQ ID NO:488を含むLCDR2、または最大約5、4、3、あるいは2つのアミノ酸だけSEQ ID NO:488とは異なる配列を含む。いくつかの実施形態において、抗TL1Aの抗体は、SEQ ID NO:551を含むLCFR3、または最大約5、4、3、あるいは2つのアミノ酸だけSEQ ID NO:551とは異なる配列を含む。いくつかの実施形態において、抗TL1Aの抗体は、SEQ ID NO:571~573および582~585から選択されるLCDR3、または最大約5、4、3、あるいは2つのアミノ酸だけSEQ ID NO:571~573および582~585から選択される配列とは異なる配列を含む。いくつかの実施形態において、抗TL1Aの抗体は、SEQ ID NO:552を含むLCFR4、または最大約5、4、3、あるいは2つのアミノ酸だけSEQ ID NO:552とは異なる配列を含む。
【0112】
本明細書に開示される被験体は、哺乳動物、例えば、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、非ヒト霊長類、あるいは家畜であってもよい。いくつかの例では、被験体はヒトである。いくつかの例では、被験体はIBDであると診断される患者である。いくつかの例では、被験体はIBDであると診断されない。いくつかの例では、被験体は、本明細書に開示される疾患または疾病(例えば、腹痛症、筋痙攣、下痢、直腸出血、熱、体重減少、疲労、食欲不振、脱水、および栄養失調、貧血症、あるいは潰瘍)に関連する症状に苦しんでいる。
【0113】
様々な実施形態において、被験体は、抗TNF治療(例えば、アダリムマブ、セルトリズマブ、エタネルセプト、ゴリムマブ、インフリキシマブ)の誘導に反応性でない(抗TNF非応答)か、または処置の一定期間後に前記抗TNF治療に対する反応を消失する(抗TNFの応答消失)。様々な実施形態において、被験体は、抗TNF非応答あるいは抗TNF応答消失を発症させるリスクがある。いくつかの実施形態において、被験体は、本明細書に開示される抗TL1A抗体を被験体に投与することによって処置され、ただし、被験体は、抗TNF非応答あるいは抗TNF応答消失を発症するリスクがあるか、または抗TNF非応答あるいは抗TNF応答消失に苦しんでいる。
【0114】
様々な他の実施形態では、被験体は増加したTL1A発現を有すると決定される。いくつかの実施形態において、治療上有効な量の抗TL1A抗体の投与は、処置された被験体のTL1Aの減少を引き起こす。
【0115】
本明細書に開示される方法は、本明細書に記載される抗TL1A抗体を被験体に投与することによって、被験体の炎症性腸疾患(IBD)を処置する方法が提供される。様々な実施形態において、IBDはクローン病(CD)または潰瘍性大腸炎(UC)である。いくつかの実施形態において、IBDはIBDの重症型である。いくつかの実施形態において、IBDの重症型は無症状の表現型によって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、IBDは中程度~重症型のIBDである。いくつかの実施形態において、IBDは中程度型のIBDである。
【0116】
IBDの無症状の表現型としては、限定されないが、非狭窄、狭窄、狭窄と浸透、ならびに単離された内部浸透、疾患、および肛門周囲のCD(pCD)が挙げられる。狭窄は、腸の進行性狭窄である。内部浸透性の疾患は、腸と他の構造との間に異常な通路(瘻孔)を作る。pCDは、肛門のまわりの炎症を引き起こすクローン病の形態である。
【0117】
IBDは難治性であり得る。用語「医学的に難治性(medically refractory)」あるいは「難治性」は、本明細書で使用されるように、疾患の寛解を誘導するための標準的な処置の失敗を指す。いくつかの実施形態において、その病気は本明細書に開示される炎症性疾患を含む。難治性の炎症性疾患の非限定的な例は、難治性のクローン病、および難治性の潰瘍性大腸炎(例えば、mrUC)を含む。標準的処置の非限定的な例は、グルココルチコステロイド、抗TNF治療、抗a4-b7治療(ベドリズマブ)、抗IL12p40治療(ウステキヌマブ)、サリドマイド、およびサイトキシン(Cytoxin)を含む。いくつかの実施形態において、UCは医学的に難治性UC(mrUC)である。いくつかの実施形態において、CDは難治性である。
【0118】
抗TL1Aの抗体を被験体に投与する方法が本明細書に開示される。様々な実施形態では、抗体はモノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、抗体はヒト抗体である。様々な実施形態では、抗体はヒト化抗体である。様々な実施形態では、抗体は中和抗体である。
【0119】
様々な態様では、抗TL1Aの抗体は、本明細書に記載されるIBDの処置のために被験体に投与される。様々な他の実施形態では、抗TL1Aの抗体は一連の処置において投与される。いくつかの実施形態において、抗TL1A抗体および第2のIBD処置剤は、任意の順序で、または同時に投与され得る。選択された実施形態では、抗TL1Aの抗体は、以前に第2のIBD処置剤での処置を受けたことがある患者に投与される。ある他の実施形態では、抗TL1Aの抗体および第2のIBD処置剤は、実質的に同時にまたは同時に投与される。例えば、被験体は、第2のIBD処置剤での一連の処置を受けている間に、抗TL1Aの抗体が与えられてもよい。ある実施形態では、抗TL1Aの抗体は、第2のIBD処置剤での処置の1年以内に投与される。ある他の実施形態では、抗TL1Aの抗体は、第2のIBD処置剤での任意の処置の10、8、6、4、あるいは2ヶ月内に投与される。ある他の実施形態では、抗TL1Aの抗体は、第2のIBD処置剤での任意の処置の4、3、2、あるいは1週間以内に投与される。いくつかの実施形態において、抗TL1Aの抗体は、第2のIBD処置剤での任意の処置の5、4、3、2、あるいは1日以内に投与される。2つの処置剤が、わずか数時間あるいは数分以内に(つまり、同時に)被験体に投与され得ることがさらに理解されよう。
【0120】
他のIBD処置剤としては、限定されないが、1)抗炎症薬(例えば、スルファサラジン、アザルフィジン、5-アミノサリチル酸、メサラミン、アサコール、リアルダ、Rowasa、Canasa、バルサラジド Colazal、およびオルサラジン、ジペンタム(Dipentum)などであるがこれらに限定されない、アミノサリチル酸;2)コルチコステロイド(例えば、プレドニゾンおよびヒドロコルチゾン);3)免疫系抑制因子(例えば、アザチオプリン、アザサン(Azasan)、イムラン、メルカプトプリン、プリネトール、Purixan、シクロスポリン、ゲングラフ(Gengraf)、ネオーラルとサンディミュン、インフリキシマブ、レミケード、アダリムマブ、ヒュミラ、ゴリムマブ、ならびにシンポニー、腫瘍壊死因子(TNF)-α阻害剤(例えば、インフリキシマブ)、メトトレキセート、リウマトレックス、ナタリズマブ、タイサブリ、ベドリズマブ、エンタイビオ、ウステキヌマブ、およびステラーラ;4)抗生物質(例えば、メトロニダゾール、フラジール、シプロフロキサシン、シプロ(Cipro));5)止痢薬(例えば、繊維サプリメント-メタムシル(Metamucil)あるいはシトルセル(Citrucel))あるいはロペラミド;6)鎮痛剤(例えば、タイレノール、イブプロフェン、ナプロキセンナトリウム、およびジクロフェナクナトリウム);ならびに7)外科手術(例えば、大腸の除去、部分的な消化管の除去、結腸切除、直腸結腸切除、および/または狭窄形成術)が挙げられる。いくつかの実施形態において、これらのIBD処置剤は、抗TL1A抗体と組み合わせて投与され得る。抗体を用いた処置剤は、IBD処置剤の投与前、IBD処置剤の投与と同時に、あるいはIBD処置剤の投与後に行われてもよい。併用投与は、単一の医薬製剤での、あるいは別個の製剤を使用した同時投与、または、いずれかの順序での、しかし、一般に、活性薬剤がすべて生物学的活性を同時に発揮することができるような期間内での継続的な投与を含み得る。そのようなIBD処置剤のための任意の服薬スケジュールも、熟練した開業医によって決定されるように使用することができる。
【0121】
いくつかの実施形態において、第2のIBD処置は抗体を含む。したがって、処置は、追加のIBD関連抗原に対する他の抗体(限定されないが、腫瘍壊死因子(TNF)-αなど)と、本明細書で提供される抗体の併用投与を含み得る。併用投与は、単一の医薬製剤での、あるいは別個の製剤を使用した同時投与、またはいずれかの順序での、しかし、一般には、活性薬剤がすべて生物学的活性を同時に発揮することができるような期間内の継続的な投与を含むことができる。
【0122】
キット
さらに、IBD(例えば、CD、UC、および/またはmrUC)を処置するキットが提供される。キットは、本明細書に記載される抗体を含み、それは本明細書に記載される方法を実施するために使用され得る。キットは、抗TL1Aの抗体の投与によって、IBD、CD、UC、および/またはmrUC患者を処置する本発明の方法を実行するのに有用である。キットは、本発明の組成物の少なくとも1つを含む、物質または構成要素の集合体である。したがって、いくつかの実施形態では、キットは、上に記載されるようなIBD、CD、UC、および/またはMR-UCの処置のための、抗TL1A抗体を含む組成物を含有している。他の実施形態では、キットは、すべての対照、アッセイを実施するための指示、および結果の分析ならびに提示のための任意の必要なソフトウェアを含む、TL1Aのための検出アッセイを実施するのに必要なおよび/または十分な構成要素を含有する。
【0123】
本発明のキットにおいて構成された構成要素の正確な性質は、その意図する目的に依存する。例えば、いくつかの実施形態は、IBD、CD、UC、および/またはMR-UCを処置する目的で構成される。一実施形態において、キットは、特に、哺乳動物の被験体を処置する目的で構成される。別の実施形態において、キットは、特に、ヒト被験体を処置する目的で構成される。さらなる実施形態において、キットは、限定されないが、家畜、家庭動物、および実験動物などの被験体を処置する、獣医学的な用途のために構成される。
【0124】
使用説明書がキットに含まれ得る。「使用説明書」は、典型的には、IBD、CD、UC、および/またはMR-UCを処置あるいは緩和するなど、所望の結果を達成するためのキットの構成要素の使用に利用される技術を説明する明確な表現を含む。任意に、キットはまた、希釈剤、緩衝液、薬学的に許容可能な担体、注射器、カテーテル、アプリケーター、ピペッティング、または測定器、包帯材料(bandaging materials)、または当業者によって容易に認識される他の有用な道具などの他の有用な構成要素を含む。
【0125】
キットにおいて組み立てられた物質または構成要素は、それらの操作性と有用性を維持する、好都合かつ適切な方法で保管されて、従事者に提供され得る。例えば、構成要素は、溶かされ、脱水され、または凍結乾燥された形態であってもよく;室温、冷蔵温度、あるいは冷凍温度で提供されてもよい。構成要素は典型的に適切な包装材料に含まれる。本明細書で利用されるように、句「包装材料」は、本発明の組成物などの、キットの内容物を収容するために使用される1つ以上の物理構造を指す。包装材料は、好ましくは、無菌の汚染物質を含まない環境を提供するために、周知の方法で構築される。キットに利用される包装材料は、遺伝子発現アッセイおよび処置剤の投与に慣習的に利用されるものである。本明細書で使用されるように、用語「包装」とは、個々のキットの構成要素を保持することができる、ガラス、プラスチック、紙、ホイルなどの適切な固体マトリクスまたは物質を指す。したがって、例えば、包装は、抗TL1A抗体および/またはTL1Aのためのプライマーならびにプローブを含有する適切な量の本発明の組成物を含むために使用される、ガラスバイアルあるいはあらかじめ充填されたシリンジであり得る。包装材料は、通常、内容物、および/または、キットおよび/またはその構成要素の目的を示す外部ラベルを有する。
【実施例0126】
以下の例は、本明細書に記載される実施形態の例示であり、この開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。特定の材料が言及される限り、それは単なる例示目的のためのものであり、限定するようには意図されていない。当業者は、発明能力を行使することなく、かつ本開示の範囲から逸脱することなく、同等な手段または反応物を開発することができる。
【0127】
実施例1:ヒト化抗TL1A抗体の生成および特徴付け
マウス抗TL1A抗体をヒト化し、潜在的免疫原性を減少させた。第1の変異体である12835を生成し、Sそれは、EQ ID NO:26を含む重鎖可変領域およびSEQ ID NO:28を含む軽鎖可変領域を生成するために、ヒト可変領域フレームワークに移植されたマウス5C3D11 CDR(SEQ ID NO:9、12、15、18、21、24)からなる。残念ながら、クローン12835は、9つのフレームワーク逆突然変異(マウスフレームワーク残基)を含有しており、不完全にヒト化された変異体になる。被験体が投与された抗体に対して免疫応答を引き起こす可能性を低減するために、完全なヒト化は重要である。結果的に、目標は、親12835抗体の機能活性を保持しながら、より少ないマウスフレームワーク残基を含むヒト化抗体を生成することであった。残念ながら、配列の目視検査を使用すると、抗体の機能に重要なマウスフレームワーク残基と、重要ではないマウスフレームワーク残基を区別するのは簡単ではなく、したがって、どのアミノ酸残基が、対応するヒトフレームワーク残基によって置き換え得るかを区別することは簡単ではない。したがって、第1の工程として、最も近い完全なヒト生殖系列フレームワークへのCDR移植によって12835を再ヒト化した(NCBIのigblastツールによって決定されるIGV1-4602およびIGKV3-2001)。このクローンはL8であり、5C3D11およびKabat法、Chothia法、およびIMGT法の組み合わせによって定義される12835のCDRを含む(HCDR1,GFDIQDTYMH;HCDR2,RIDPASGHTKYDPKFQV;HCDR3,SRSGGLPDV;LCDR1,RASSSVSYMY;LCDR2,ATSNLAS;LCDR3,QQWSGNPRT)。
【0128】
本試験では、12835の多くの変異体を作り、親12835抗体の機能活性を保持するよりヒトに似た抗体を同定するために試験した。第1段階では、有意により少ないマウスフレームワーク残基を含有している変異体を同定した。その後、マウスフレームワーク残基を含有していないが、親12835抗体の機能活性および/または親和性を保持する複数の変異体を同定するために、12835のCDRライブラリを1つの完全なヒト生殖系列フレームワークと組み合わせた。
【0129】
ファージ発現系への、マウス5C3D11およびヒト化構築物12835のクローニング
マウス5C3D11およびヒト化12835の両方の重鎖可変領域ならびに軽鎖可変領域をコードするDNAを、ヒトκ軽鎖定常ドメインならびにヒトG1重鎖定常ドメイン1を含有していたファージ発現ベクターへとクローン化した。加えて、そのベクターは、重鎖のカルボキシ末端終端(carboxy-terminal end)にhis-タグおよび赤血球凝集素Aタグを含有しており、精製ならびに検出を容易にする。ヒト定常ドメインを含有するファージ発現ベクターへのマウス可変領域のクローニングは、キメラ5C3D11の発現を結果としてもたらす。
【0130】
マウス5C3D11重鎖可変領域DNA(SEQ ID NO:1)および軽鎖可変領域DNA(SEQ ID NO:4)は、SEQ ID NO:2および5をそれぞれ生成するための細菌発現に最適化されたコドンであった。ヒト化12835の重鎖可変領域DNAは、SEQ ID NO:25を生成するために最適化されたコドンであり、軽鎖可変領域DNAは、SEQ ID NO:27を生成するために最適化されたコドンであった。
【0131】
大腸菌の細胞膜周辺腔におけるFabの発現および定量化
クローニングは、大腸菌の細胞膜周辺腔におけるFabを発現および定量化することにより検証された。簡潔に言えば、培養物がOD600で0.9-1.1の密度に達するまで、XL-0細菌を37°Cで2X YT培地で成長させ、その後、イソプロピルβ-D-チオガラクトシドを細胞に添加し、1mMの最終濃度および3.0mLの培養物を14mLのスナップトップチューブ(snap-top tube)に移した。各チューブを25uLの高力価のファージストックでトランスフェクトし、培養物を37°Cの振盪機(225rpm)に入れた。1時間後に、温度を25°Cに変えて、培養物をさらに14~16時間成長させた。細胞を、Eppendorf 5810R遠心機(~3,200xg)における3900rpmで30分間の遠心分離によって集め、上清をデカントし、および、その細胞を、0.3mLの溶解緩衝液(30mMのTris、pH8.0、2mMのEDTA、20%のスクロース、2mg/mlのリゾチーム、5U/mLのDNase I)に再撹拌し、15分間の氷上に置いた。細胞懸濁液を1.5mLのチューブに移し、細胞片をEppendorf 5424 微量遠心管(~21,000xg)において15,000rpmで15分間の遠心分離によって、ペレット化した。ペレットを乱すことなく上清を慎重に取り除き、使用するまで4°Cで保存した。
【0132】
Fab発現を定量化するために、96ウェルのCostar-3366プレートを、4°Cで、PBS中の2μg/mlヒツジ抗ヒトFd(Southern Biotech, Prod. # 2046-01, Lot # A7212-VJ06)の50μl/ウェルで、一晩コーティングした。上記プレートを、0.05%のTween 20(PBS-T)を含有するPBSで3回洗浄し、50μl/ウェルのサンプル希釈剤を添加した。PBS-Tを用いてサンプル希釈を実施した。500ng/mlで始めて、連続的に3倍に希釈したヒトFab(Rockland, Prod. # 009-01015, Lot # 38543)を使用して、検量線を生成した。上記プレートを25°Cで1時間インキュベートし、PBS-Tで3回洗浄し、50μl/ウェルの抗κ、PBS-Tにおいて25°Cで1時間10,000倍に希釈したHRPコンジュゲート(Southern Biotech, Prod. # 2060-05, Lot # K3114-S506B)を用いてインキュベートした。上記プレートをPBSTで3回洗浄し、50μl/ウェルの1-Step Ultra TMB-ELISA(Thermo Scientific, Prod. # 34028, Lot # SF2405221)で展開した。その反応を2NのHSOの添加により終了させ、および、Spectramaxプレートリーダーを使用して、A650およびA450を、HSOの添加前後にそれぞれ測定した。
【0133】
キメラ5C3D11の特徴付けおよび12835のフィルター・リフト・アッセイ
フィルター・リフト・アッセイは、重鎖および軽鎖の発現の特徴付けを容易にし、かつビオチン化された抗原への結合を介したFab構築物の機能活性を検証するために開発された。フィルター・リフト・アッセイを用いて、各ファージがそれぞれ異なるプラークを生成する条件下で、菌叢をファージに感染させた(より低速で成長する細菌のゾーン)。その菌叢上にニトロセルロースフィルターを置き、発現されたFabを補足した。その後、フィルターを、免疫グロブリンあるいはペプチドタグに対して向けられたビオチン化抗原および/または試薬を用いて調査することができる。
【0134】
高力価ファージストックの希釈剤(典型的に106倍)を、0.35mlのコンフルエントな大腸菌株XL培養物および20μg/mlのテトラサイクリンと組み合わせた。その混合物を、3.5mlのトップアガー(ルリア培地(Luria broth)中の0.7%のバクトアガー(Bacto-agar))と結合し、LB寒天プレート(ルリア培地の1.5%のバクトアガー)上に重ねた。上記プレートを37°Cで6~8時間インキュベートし、その時点で、ニトロセルロースフィルター(Whatman 82mmの直径、0.45μmの孔径、GE Healthcare、Prod. #10401116)を上に置き、そのプレートを25°Cで12~15時間インキュベートした。上記フィルターを取り除き、PBS中で簡単にすすぎ、絶えず撹拌しながら、25°Cで2時間、5%のM-Pブロッキング溶液に移した。
【0135】
その後、上記フィルターを3つの部分(軽鎖発現を評価するために1つ、重鎖発現を評価するために1つ、抗原結合を評価するために1つ)に切断した。各部分を一次検出試薬に移した:ヤギ抗ヒトκ、軽鎖の検出のために5%のM-P中で1000倍に希釈されたHRPコンジュゲート(Southern Biotech, Prod. # 2060-05, Lot # K3114-S506B)、ラット抗HA、重鎖の検出のために5%のM-P中で1000倍希釈されたHRPコンジュゲート(Roche, Prod. # 12013819001)、または5%のM-P中の所望の濃度のビオチン化抗原。
【0136】
ビオチンで抗原を標識するために、500μgのヒトTL1A(Fitzgerald, Prod. # 30R-AT070, Lot # A13102302)を、1mg/mlの水に再撹拌した。水中での懸濁後に、タンパク質を、75mMのアルギニンを有する10mMのTris(pH 8.5)に入れた。65mMのNaClを有する10mMのリン酸塩緩衝液(pH8.0)で平衡化された、7K MWのカットオフ、5mlのZeba スピン脱塩カラム(Zeba spin desalting column)(Thermo Prod. # 89891)を使用して、Trisおよびアルギニンを緩衝液交換によって除去した。タンパク質を回収した後直に、それを、5:1モル濃度で、25°Cで30分間、EZ-Link Sulfo-NHS-LC-Biotin(Thermo Prod. # 21327)と組み合わせることにより、ビオチン化した。その反応を750mMのアルギニンの添加によって終了させることで、75mMの最終濃度を達成した。その反応物を氷に移し、4°Cで保存した。
【0137】
フィルターを、絶えず撹拌しながら25°Cで2時間インキュベートし、PBS-0.05%のTween 20で5回洗浄した(各洗浄は、絶えず撹拌しながら2分間)。ビオチン化抗原でプローブされたフィルターを、10mlの高感度ニュートラアビジン(High Sensitivity Neutravidin)、PBS中の1%のBSAにおいて5000倍に希釈されたHRPコンジュゲート(Thermo Scientific, Prod. #31030)に移し、25°Cで1時間インキュベートした。その後、上記フィルターを、PBS-0.05%のTween 20で5回洗浄した(各洗浄は、絶えず撹拌しながら2分間)。すべてのフィルターは、1-Step Ultra TMB-Blotting(Thermo Scientific, Prod. #37574)で展開した。
【0138】
このアプローチを使用して、重鎖(図1A)および軽鎖(図1B)の発現を実証した。さらに、フィルターを8nMのビオチン化ヒトTL1Aでプローブすると、細菌が機能性Fabを発現していたことを示す染色が観察された(図1C)。
【0139】
ELISAによるFab結合の特徴付け
フィルター・リフト・アッセイは、抗原結合性の定性的評価を提供する。より定量的な方法で、キメラ5C3D11の結合活性をヒト化構築物12835と比較するために、ELISAが開発された。96ウェル Costar-3366を、PBS中の50μl/ウェルの2μg/mlのヒトTL1A(Fitzgerald, Prod. # 30R-AT070, Lot # A13102302)で、4°Cで一晩コーティングした。上記プレートをPBS-Tで1回すすぎ、PBS中の100μl/ウェルの1%のBSA(1%のBSA)で、25°Cで1時間遮断した。1%のBSAを使用してFabサンプルを3倍に段階希釈し、25°Cで1時間インキュベートした(50μl/ウェル)。上記プレートをPBS-Tで3回洗浄し、50μl/ウェルの抗ヒトκ、1%のBSA中で10,000倍に希釈されたHRPコンジュゲート(Southern Biotech, Prod. # 2060-05, Lot # K3114-S506B)を、25°Cで1時間添加した。特定のアッセイ(拡張洗浄フォーマット)では、上記プレートを、大量のPBS-T(最大1L)中に入れ、混合しながら2~5時間インキュベートし、その後、抗ヒトκ、HRPコンジュゲートを添加した。上記プレートを、PBS-Tで3回洗浄し、50μl/ウェルの1-Step Ultra TMB-ELISA(Thermo Scientific, Prod. # 34028, Lot # SF2405221)で展開した。その反応を2NのHSOの添加により終了させ、および、Spectramaxプレートリーダーを使用して、A650およびA450を、HSOの添加前後にそれぞれ測定した。マウスTL1Aへの結合を測定するために、同じプロトコルを使用したが、上記プレートを2μg/mlのマウスTL1A(BioLegend, Prod. #753004, Lot # B204691)でコーティングし、Fabサンプルを2倍に段階希釈した。
【0140】
キメラ5C3D11 Fabの結合活性を、ヒト化12835Fabと比較した(図2)。IgGフォーマット(二価)での5C3D11とヒト化12835の結合活性は類似して見えたが、Fabフォーマット(一価)での12835の結合活性は、キメラFabと比較して多少減少したことが観察された(図2)。この矛盾は、真の親和性(一価のフォーマット)対同様のアビディティー(二価のフォーマット)の違いを反映する。一価のアッセイフォーマットを使用すると、キメラFabは、ヒト化12835Fabよりも2~3倍高い親和性であるように見える。
【0141】
リフトアッセイの捕捉
ニトロセルロースフィルター(Whatman 82mmの直径、0.45μmの孔径、GE Healthcare、Prod. #10401116)を、10mlの10mg/mlのヤギ抗ヒトκ(Southern Biotech Prod. #2060-01) 上に、25°Cで2時間浮かせた。上記フィルターを短時間水浸させた後、取り除き、25°Cで2時間、10mlの5%のM-Pに移した。上記フィルターを5%のM-Pから取り除き、PBSで簡単に1回すすぎ、風乾させた。その後、上記フィルターを、わずかな変更を伴う上述されるフィルター・リフト・アッセイと同じ方法で処理した。簡潔に言えば、高力価ファージストック(典型的に、10倍)の希釈剤を、0.35mlのコンフルエントな大腸菌株XL培養物および20μg/mlテトラサイクリンと組み合わせた。その混合物を、3.5mlのトップアガー(ルリア培地(Luria broth)中の0.7%のバクトアガー(Bacto-agar))と結合し、LB寒天プレート(ルリア培地の1.5%のバクトアガー)上に重ねた。上記プレートを37°Cで6~8時間インキュベートし、その時点で、あらかじめ処理されたニトロセルロースフィルター(上述される)を上に置き、上記プレートを25°Cで12~15時間インキュベートした。上記フィルターを取り除き、PBS中で簡単にすすぎ、5%のM-P中の所望の濃度のビオチン化抗原に移した。上記フィルターを、絶えず撹拌しながら25°Cで2時間インキュベートし、PBS-0.05%のTween 20で5回洗浄し(各洗浄は、絶えず撹拌しながら2分)、10mlの高感度ニュートラアビジン、PBS中の1%のBSAにおける5000倍に希釈されたHRPコンジュゲート(Thermo Scientific, Prod. #31030)に移し、25°Cで1時間インキュベートした。その後、上記フィルターを、PBS-0.05%のTween 20で5回洗浄した(各洗浄は、絶えず撹拌しながら2分間)。フィルターはすべて、1-Step Ultra TMB-Blotting(Thermo Scientific, Prod. #37574)で展開した。図3に示されるような展開されたフィルターは、TL1Aに対する5C3D11の高感度およびアビディティーを実証する。
【0142】
18-7および21-3を含む複数の活性なヒト化クローンを同定するための、12835からのマウスフレームワーク残基の除去
Kunkel突然変異誘発Kunkel TA 1985. PNAS 82:488-492)を使用して、マウスフレームワーク残基を除去した。簡潔に言えば、一本鎖M13プラスミドを単離し、マウスフレームワーク残基の代わりに、ヒトをコードする変異導入用合成オリゴヌクレオチド(mutagenic oligonucleotide)でDNA複製のために刺激した。円を完成するために伸長した後、細菌の形質転換は、野生型(類がないマウスフレームワーク残基)プラスミドと突然変異した(ヒトフレームワーク残基)プラスミドの混合物をもたらした。突然変異誘発を複数の部位で同時に行い、マウスフレームワークとヒトフレームワークの突然変異の様々な組み合わせを含有しているクローンの混合物を含む小さなコンビナトリアルライブラリーを生成した。その後、その混合物をプレーティングし、捕捉リフトによってスクリーニングして、最も活性なフレームワークの組み合わせを同定した。
【0143】
DNA配列決定によって特徴付けられるライブラリークローン
Fabを大腸菌中で発現させ、ELISAによって定量化し、および、固定化抗原に対して滴定することにより、結合活性をELISAによって評価した。Fabの発現、ペリプラズム画分の単離、Fab発現の定量化、およびELISAによる抗原への結合をすべて、上述されるように行った。
【0144】
このアプローチを使用して、異なる数のマウスフレームワーク残基を含有している複数の活性なクローンを同定した。様々な数の活性なクローンの例およびマウスフレームワーク残基の位置が、表3に要約されている。
【0145】
【表3】
【0146】
CDR移植構築物の合成
同定されたクローンの2つである18-7と21-3は、2つのマウスフレームワーク逆突然変異しか含有していなかった。クローン18-7の軽鎖はマウスフレームワーク残基を含有しておらず、クローン21-3の重鎖はマウスフレームワーク残基を含有していなかった。フレームワークコンビナトリアルライブラリーのスクリーニングは、CDR移植変異体(重鎖および軽鎖の両方においてマウスフレームワーク残基がない)を同定しなかった。比較のために、Kunkel突然変異誘発を使用してCDR移植変異体を合成し、比較し、その結合活性をELISAによって特徴付けた。CDR移植構築物は抗原に結合したが、ヒト化12835の変異体は、抗原に対するより強力な結合を一貫して示した(図4B)。
【0147】
表3に示されるようなマウスフレームワーク残基の逆突然変異を作った後、重鎖可変領域フレームワーク1-3は、ヒト生殖系列IGHV1-4601、IGHV1-4602、およびIGHV1-4603と同一であり、軽鎖可変領域フレームワークは、ヒト生殖系列IGKV3-2001と同一であった。
【0148】
加えて、新規な重鎖可変領域がヒト生殖系列IGHV1-301に相同であるように、様々な逆突然変異を重鎖可変領域の第3のフレームワークに導入した(VH SEQ ID 519、521、523、525、527、529、531、533、535、537、539、および541を参照)。総称して、これらの逆突然変異を含有しているクローンは、代替フレームワーク変異体(alternative framework variants)と呼ばれる。
【0149】
代替ELISAフォーマットでのヒト化変異体の特徴付け
クローンの相対的な発現レベルにかかわらず、異なる培養物から単離された異なるFabクローンの相対親和度の迅速かつ直接的な比較(希釈系列が必要とされない単一のウェルの決定)を可能にする代替フォーマットを使用して、複数のFab変異体をELISAによって特徴付けた(Watkins et al. 1997, Analytical Biochemistry 253)。異なる発現レベルにもかかわらず、プレートが異なるFabで飽和しているため、このアッセイは、変異体の相対的な結合強度のより定量的な比較を可能にする。したがって、Fab定量化アッセイにおける多様性(variation)によって引き起こされた、結合プロファイルのわずかな差が除去される。簡潔に言えば、96ウェル Costar-3366プレートを、50μl/ウェルの2μg/mlヤギ抗ヒトκ(Southern Biotech Prod. #2060-01)で、25°Cで2時間コーティングし、PBS-0.05%のTween 20で1回洗浄し、50μl/ウェルのサンプルFabで25°Cで2時間インキュベートした。上記プレートを、PBS-0.05%のTween 20で4回洗浄し、ビオチン化抗原の50μl/ウェルの系列希釈を用いて、25°Cで2時間インキュベートした。ビオチン化抗原の調製物は上述されている。上記プレートを、PBS-0.05%のTween 20で4回洗浄し、50μl/ウェルの高感度ニュートラアビジン、PBS中の1%のBSAで5000倍希釈されたHRPコンジュゲート(Thermo Scientific, Prod. #31030)で、25°Cで1時間インキュベートした。上記プレートを、PBS-Tで3回洗浄し、50μl/ウェルの1-Step Ultra TMB-ELISA(Thermo Scientific, Prod. # 34028, Lot # SF2405221)で展開した。その反応を2NのHSOの添加により終了させ、および、Spectramaxプレートリーダーを使用して、A650およびA450を、HSOの添加前後にそれぞれ測定した。
【0150】
キメラFabは、代替ELISAフォーマットにおいて、CDR移植Fabよりも強力に抗原に結合する(図5、白丸と黒丸を比較)。ヒト化12835クローンは、キメラと比較して結合がわずかに減少し(白三角形と白丸を比較)、その後に、クローン18-7および21-3が続く。クローン21-3の結合は、CDR移植変異体に最も類似し、このことは、マウス重鎖フレームワーク逆突然変異の1つが、親(野生型)CDRとの完全な結合活性を維持するのに重要であり得ることを示唆している。
【0151】
実施例2:最適化されたCDRを有する抗TL1A抗体の生成および特徴付け
CDR移植構築物(完全なヒト、生殖系列フレームワーク)の結合活性を回復および改善することができるCDR突然変異を同定するために、標的アミノ酸をコードするコドンがNNKと取り替えられた縮重オリゴヌクレオチドを使用して、Kunkel突然変異誘発によって全6つのCDRの各位置(LCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3)をそれぞれ変異誘発した。最初に、1つのライブラリをHCDR3およびLCDR3の各位置で合成した。32のコドン/20のアミノ酸/1の終止コドンの理論的多様性を有するこれらの位置ライブラリを、捕捉リフトによってスクリーニングした。ある場合では、各位置をそれ自体でスクリーニングした(ライブラリの理論的多様性は32と等しい)が、他の場合では、特定のCDRの位置をプールし、CDRライブラリとしてスクリーニングした(ライブラリの理論的多様性は、プールされた位置の数の32倍と等しい;例えば、HCDR3は7つの位置からなり、したがって、理論的なライブラリのサイズは、32×7=224メンバーであった)。ライブラリを、15~1,000pMの範囲のビオチン化されたヒトTL1Aの濃度でスクリーニングした。陽性プラークを選んで配列決定した。上述のように、Fabを発現させ、ペリプラズム画分から単離し、ELISAによって特徴付けた。LCDR3ならびにHCDR3の初期スクリーンのいくつかについて、捕捉リフトスクリーニング、DNA配列決定、およびELISAによる相対的な結合活性の要約が表4と5にそれぞれ示される。全6つのCDRのより徹底的な捕捉リフトスクリーニングの結果が、表6~12に要約される。
【0152】
加えて、代替重鎖可変領域フレームワークを使用して構築されたLCDR3およびHCDR3のライブラリを作り、捕捉リフトによってスクリーニングした(表13および14)。代替フレームワーク上に構築されたCDRライブラリのスクリーニングは、VH1-4601フレームワーク上で同定されたいくつかの突然変異を同定しただけでなく、以前は同定されなかった新規な突然変異も同定した(例えば、重鎖CDR3 L98S、V102H、V102F、ならびに軽鎖CDR3 S92A、S92FとS92Y)。
【0153】
【表4】
【0154】
【表5】
【0155】
【表6】
【0156】
【表7】
【0157】
【表8】
【0158】
【表9】
【0159】
【表10】
【0160】
【表11】
【0161】
【表12】
【0162】
【表13】
【0163】
【表14】
【0164】
実施例3.突然変異した(S93)重鎖を使用した、最適化されたCDRを有する抗TL1A抗体の生成および特徴付け
CDR移植重鎖(CDR移植された、および21-3)を含有しているクローンは、重鎖位置93でマウス逆突然変異(S)を含有していたクローンよりも低い結合活性を有していた。この理由のために、さらなるHCDR3ライブラリを構築した。すべての位置の縮重オリゴヌクレオチドを突然変異誘発に先立って混合することを除いて、ライブラリを上記の通りに構築し、および、各位置を別々に調べるのとは対照的に、ライブラリを合成してプールとして発現させた。L8重鎖骨格(S93A)上で実施されたHCDR3の位置スクリーニングと同様に、HCDR3の位置102は、捕捉リフトフォーマットにおいて抗原結合性を増強した複数の突然変異をもたらした。重鎖S93鋳型に基づくHCDR3ライブラリのスクリーニングは、重鎖A93鋳型上で同定されたいくつかの突然変異を同定したが、以前は同定されなかった新規な突然変異(例えば、重鎖CDR3 V102IおよびV102Y)も同定した。捕捉リフトスクリーニングおよびDNA配列決定の要約を表15に示す。
【0165】
【表15】
【0166】
実施例4.潜在的配列のライアビリィティの特定およびエンジニアリング
既知のPDB抗体構造に基づく、CDR移植構築物L8の可変領域の構造的相同性モデルを、分子操作環境(MOE)2018.01ソフトウェア(Chemical Computing Group, Montreal, Canada)を使用して作った。上記モデルおよびBioMOE予測アルゴリズムを使用して、配列ライアビリィティ評価を実施した。加えて、既知の潜在的に不安定な配列モチーフに基づいた潜在的配列ライアビリティについて、変異体12835およびL8を分析した(Jarasch et al., J. Pharm. Sci. 104:1885-1898 (2015); Sydow et al., PLOS ONE 9:e100736 (2014); VlasakおよびIonescu mAbs 3:253-263 (2011))。これらのアプローチを使用して、複数の残基を、以下を含む潜在的に不安定なものとして同定した:軽鎖M33、W35、W47、W91、およびN94;重鎖D31T32、M34、D52P52a、M69、およびW103(表17に要約される;FRはフレームワークを指定する)。
【0167】
CDR内にあるすべての潜在的に不安定な部位での徹底的な捕捉リフトスクリーニングを実施して、抗原結合を保ちながら、これらの残基を除去することができるアミノ酸置換を同定した。一例として、1つのスクリーンを軽鎖CDR3 N94(潜在的な脱アミド部位)に集中させた。LCDR3位置94の初期の捕捉リフトスクリーンは、野生型の配列に対して増強された親和性を示した突然変異を同定しなかった。したがって、これらの潜在的に不安定な残基を除去するための容認可能な突然変異を同定するべく、初期の捕捉リフトスクリーンの条件を変更した。特に、野生型配列がシグナルを提供しなかった濃度の抗原でスクリーニングを行う代わりに、抗原濃度を上げて、野生型配列を発現するクローンをリフト上で目に見えるようにした。このようにして、野生型配列に類似する親和性で結合するが、問題のある残基を除去する変異体を同定することができる。
【0168】
LCDR3位置94ライブラリについて、およそ3,000のクローンをプレーティングし、捕捉リフトによって分析した。1000pMのヒトTL1Aを使用して捕捉リフトをスクリーニングし、8つの最も暗い染色強度と6つのより明るい染色強度を示すプラークを選択し、配列決定した。その結果を表16にまとめた。予想通りに、上記最も暗い染色プラークのうち2つは、野生型残基であるN94を発現した。しかし、他の6つの暗い染色プラークはT94を発現し、このことは、変異体N94Tが野生型配列の結合親和性を大部分維持し、潜在的脱アミド部位を除去することを示している。加えて、より明るい染色プラークから、5つの異なる配列を同定した。これらはD、F、K、R、およびSを含んでいた。これらの代替配列はまた、親和性が野生型配列より多少低い可能性があるが、別の場所で同定された他の、より高い親和性突然変異と結合すると、すべてがN94の代わりとして機能することができる。
【0169】
【表16】
【0170】
【表17】
【0171】
実施例5.大腸菌における増強された発現を与える突然変異の同定
捕捉リフトによるCDRライブラリのスクリーニング中に同定された特定の突然変異は、ELISAフォーマットにおいて、増強された結合を常に示すわけではないが、可溶性Fabを他の変異体より高いレベルで細菌の細胞膜周辺腔において一貫して発現した。特に、この現象は、重鎖CDR2位置V65(V65G、V65T、およびV65K)および軽鎖CDR1位置R24(R24G)で観察された。これらの結果は驚くべきものであった。なぜなら、捕捉リフトスクリーニングフォーマットは、様々な発現レベルの影響を最小限に抑えるように構成される一方で、シグナル強度に対する親和性の影響を最大化するからである。結果的に、その突然変異が、哺乳動物の発現系での無傷の免疫グロブリンとして発現される候補に発現および/または熱安定性の利点を与えるか否かを決定するために、これらの突然変異に注目し、親和性を増強した突然変異を含んでいた後のコンビナトリアルライブラリーに統合した。
【0172】
実施例6.コンビナトリアルHCDR3ならびにLCDR3突然変異を有する抗TL1A抗体の生成および特徴付け
HCDR3とLCDR3の両方における有益突然変異(beneficial mutations)の初期の同定に基づいて、さらなるライブラリを合成し、発現させ、スクリーニングして、結合親和性をさらに改善することができる独立した突然変異の組み合わせを同定した。位置の走査において同定された突然変異のサブセットをコードするオリゴヌクレオチドを使用して、上記ライブラリを2つの部位の突然変異誘発によって構築した。野生型残基をコードするオリゴヌクレオチドも含まれていた。このコンビナトリアルライブラリーは、30の異なる変異体:野生型(突然変異なし)、単一突然変異(表4および5に示されるような位置スクリーンで同定された変異体と重複)を含む9つの変異体、および20の固有の組み合わせを含有していた。200pMの抗原での捕捉リフトスクリーニングは、21の活性なクローンを同定した。21のクローンのDNA配列決定は、他の組み合わせよりも特定の組み合わせを頻繁に同定した(表18)。
【0173】
【表18】
【0174】
その後、複数のコンビナトリアルライブラリーを合成し、発現させ、スクリーニングした(以下に詳細)。一般的に、これらのライブラリは、親和性を改善すると同定された突然変異(実施例2および3)を、潜在的に不安定な残基を改変した突然変異(実施例4)、および増強された熱安定性/発現を潜在的に与えた突然変異(実施例5)と組み合わせた。コンビナトリアルライブラリーを、複数のELISAフォーマットでスクリーニングして、さらなる開発のために最良の特性(親和性、選択性、膜結合性TL1Aへの結合、開発可能性)を有するクローンを同定した。表19~22に要約されるように、様々なVH生殖系列鋳型を利用して、最適化された多様なCDR配列を有する複数の変異体を同定した。
【0175】
【表19】
【0176】
【表20】
【0177】
【表21】
【0178】
【表22】
【0179】
表19~22に示されるCDRを有するFabを、複数のフォーマットでヒトTL1Aへの結合について試験した。初めに、ヒトTL1AをELISAプレートの表面上で固定化し、図8および9に示されるように可溶性Fab変異体を滴定した。次に、一定(飽和)量の溶解可能なFab変異体を、ELISAプレートの表面上で捕捉し、図10~13に示されるように、可溶性のビオチン化されたヒトTL1Aを滴定した。両方のELISAフォーマットでは、Fab変異体はすべて、ヒトTL1Aに結合し、CDR移植変異体であるL8に対して、有意に増強された結合を示した。加えて、変異体はすべてよく結合したか、または異体12835と比べてより良く結合した一方で、フレームワーク中にマウス逆突然変異を持っていないか、あるいは有意に少ないマウス逆突然変異を有していた。その結果、これらの実験は、高い結合親和性と、ヒト生殖系列Ig配列への高い相同性の両方を示した、抗TLIA可変領域の1セットを明らかにした。
【0180】
すべてのFab変異体を、膜結合性ヒトTL1Aに結合について試験した。これらの試験では、ヒトTL1AでトランスフェクトされたHEK293細胞株を使用した。膜結合型ヒトTL1Aを発現する293の細胞を、5%のCOを有する37°Cのインキュベータにおいて、L-グルタミン、グルコース、ピルビン酸ナトリウム、およびフェノールレッド(ThermoFisher cat#11995-065)と、10%のウシ胎仔血清、1Xペニシリン・ストレプトマイシン(Fisher cat#15140122)、および2μg/mlのピューロマイシン(Gibco cat#A11138-03)を含むDMEM中で維持した。アッセイの3日前に、T-75フラスコがアッセイの日に90-95%のコンフルエントであるように、そのフラスコに3×10の細胞を播種した。培地を吸引し、細胞単層を5mlのPBSで優しく洗浄した。上記単層に対して、10mlの氷冷の1%のBSA/PBSを繰り返しピペッティングすることによって、付着細胞を除去した。細胞を計数し、分析される各サンプルについて5×10を等分した。上記細胞を、300xgで、4°Cで、5分間遠心分離機にかけることにより集め、洗浄液を廃棄した。上記細胞を、1%のBSA/PBS中で希釈された100μlのFabあるいはIgGにおいて再撹拌し、氷上に30分間置いた。次に、上記細胞を1mlの1%のBSA/PBSで洗浄し、300xgで、4°Cで、5分間遠心分離機にかけることにより集めた。洗浄液を廃棄し、BSA/PBSにおいて1:200に希釈された100のμlの二次ヤギF(ab’)抗ヒトκFITC(Southern Biotech cat#2062-02)またはヤギF(ab’)抗ヒトIgG PE(Southern Biotech cat#2043-09)コンジュゲートを添加した。細胞を30分間の氷上に置いた。最後に、細胞を300xgで、4°Cで、5分間遠心分離機にかけることにより集め、1mlのBSA/PBSで洗浄した。洗浄液を除去し、細胞を500μlの1%のBSA/PBSにおいて再撹拌した。1つのサンプルごとに1滴のSytox AADvanced ReadyFlow試薬(ThermoFisher cat#R37173)を添加し、サンプルをAttune NxTフローサイトメーター(ThermoFisher)で分析した。図14に示されるように、変異体はすべて、膜結合性ヒトTL1Aに結合した。
【0181】
次に、すべてのFab変異体を、他のTNFSFメンバーであるTRAIL、LIGHT、およびFasに対するヒトTL1Aの選択性について特徴付けた。簡潔に言えば、ELISAプレートを、4°CでPBS中の1μg/mlの50μl/ウェル抗原(Fas/TNFSF6, R&D Systems, cat. no. 126-FL/CF; TRAIL/TNFSF10, R&D Systems, cat. no. 375-TL/CF; LIGHT/TNFSF14, R&D Systems, cat. no. 664-LI/CF)で一晩コーティングした。上記プレートを、PBS-Tで3回洗浄し、100のμlの1%のBSA/PBSでブロックした。上記ブロックを廃棄し、Fab変異体または対照抗体(Fas/TNFSF6, R&D Systems, cat. no. AF126; TRAIL/TNFSF10, R&D Systems, cat. no. AF375; LIGHT/TNFSF14, R&D Systems, cat. no. AF664)を、50μlの1%のBSA/PBSにおいて滴定し、25°Cで1時間インキュベートした。上記プレートを、PBS-Tで3回洗浄し、HRP標識二次抗体(secondary HRP-conjugated antibody)(1%のBSA/PBS中で5,000倍に希釈)を、25°Cで1時間添加した。上記プレートをPBSTで3回洗浄した。図15~20に示されるように、変異体のいずれも、関連するファミリーメンバーへの検出可能な結合を示しておらず、このことは、ヒト生殖系列フレームワーク鋳型を使用してより高い親和性を操作しながら、ヒトTL1A対他のTNFSFファミリーメンバーの選択性を維持したことを示している。
【0182】
実施例7:様々なIgG定常領域上で発現された、選択されたヒト化変異体の特徴付け
上の表19ならびに20からの、クローン14、17L、23、34、47、および53の軽鎖可変領域および重鎖可変領域を、κ軽鎖定常領域、および修飾IgG1またはIgG2の重鎖骨格のそれぞれへとクローン化した。修飾IgG1骨格およびIgG2を選択し、抗体の潜在的なエフェクター機能を減少させた。一過性発現および精製の特徴を以下の表23に示す。これらの変異体では、そのすべてが、IgG2よりも修飾IgG1としてより良く発現した。さらに、得られた収率は、細菌中の発現に対する特定の突然変異の影響に関して行われた観察と一致していた(実施例5を参照)。特異的に、最も高く発現する変異体14、34、および47がすべて、重鎖CDR2 V65G、V65T、またはV65Kで突然変異を含有していたが、最も低く発現する変異体17L、23、および53は突然変異を含有していなかった。
【0183】
一般的に、抗原でコーティングされたプレートに結合するELISA(図21)によって、および可溶性のビオチン化された抗原のELISA捕捉(図22)によって評価されるように、両方のフォーマットにおいて(修飾IgG1およびIgG2)ヒトTL1Aへのすべての変異体の結合が保たれた。加えて、膜結合性ヒトTL1Aへの結合は、IgG2(図23)として発現された場合の変異体53を例外として、すべての変異体で保たれた。最後に、いずれのクローンも、TNFSFファミリーメンバーであるFas、TRAIL、またはLIGHTへの認識できる結合を示さなかったため、ヒトTL1A対他のTNFSFメンバーの選択性が維持された(図24)。
【0184】
【表23】
【0185】
実施例8:全血アッセイにおける効能と種の選択性の特徴付け
IgG1(改変)およびIgG2として発現された、本明細書に記載される変異体の中和活性および効力を、健康なドナーを使用して、ヒト全血アッセイにおいて試験した。このアッセイは、Cassatella et al., “Soluble TNF-like cytokine (TL1A) production by immune complexes stimulated monocytes in rheumatoid arthritis” J Immunol. 2007 Jun 1; 178(11):7325-33を変更したものであり、および、TL1Aおよびその受容体DR3がアップレギュレートならびに活性化される条件下でのIFN-γの産生を測定した。このアッセイでは、可溶性で膜結合性のTL1Aが産生される。このアッセイの結果により、大腸炎のマウスモデルにおけるインビボでの結果と相関することが示された。Takedatsu, “TL1A (TNFSF15) regulates the development of chronic colitis by modulating both T-helper 1 and T-helper 17 activation. Gastroenterology. 2008 Aug; 135(2): 552-567.を参照。
【0186】
簡潔に言えば、96ウェルプレートを、PBS中のヒトガンマグロブリンで、4°Cで一晩コーティングし、PBSで洗浄し、25°Cで、少なくとも1時間抗ヒトIgG(Fcフラグメント特異的)でインキュベートして、免疫複合体(IC)を生成した。使用する直前に、上記プレートをPBSで3回洗浄した。採取された血液サンプルをIL-12およびIL-18で処理し、抗体をサンプルにおいて滴定し、サンプルをプレートに添加し、37°Cで24時間静置した。次に、100μlのPBS/5%のBSAを各ウェルに添加し、混合した。上記プレートを500gで5分間遠心分離機にかけ、その後、IFN-γ測定のために~150μlの希釈された血漿を集めた。血液の割合が高い(95%)ため、プレートからの細胞血漿の収集をより容易にするために、PBSを添加した。値が標準曲線の直線範囲内にあることを確実にするために、すべてのサンプルを希釈する。すべての変異体は、IgGのフォーマット(修飾IgG1またはIgG2)にかかわらず、IFN-γ産生の強力な阻害を示した(表24)。比較のために、マウス親抗体5C3D11およびヒト化12835の典型的なIC50値は、それぞれ1.38±0.95nM(ドナーn=16)および9.28±10.71nM(ドナーn=4)である。
【0187】
【表24】
【0188】
次に、カニクイザルTL1Aを有する最適化されたヒト化変異体の交差反応性を評価するために、カニクイザルから得られた血液を使用して、サンプルを同じアッセイで評価した。完全な滴定を実施するのではなく、上記アッセイを、単一の濃度(10nM)で変異体を試験したことを除いて、ヒト全血を利用したアッセイと同様に実施した。すべての変異体はIFN-γ産生を阻害したが、変異体47および53は、変異体14、23、または34、およびマウス5C3D11の程度までは阻害しなかった(図25)。これらのデータは、最適化されたヒト化変異体が、カニクイザルTL1Aへの交差反応性を保ったことを実証する。
【0189】
TL1A抗体の中和も、エフェクターがないIgG1(SEQ ID NO:542に示される)分子としてフォーマットし、CHO細胞から発現させて精製し、上述のようなヒト(図26A-C)およびカニクイザル(図27A-C)の全血を使用して、効力検定で試験した。結果を以下の表25に要約する。
【0190】
【表25】
【0191】
これらの実験では、すべての変異体が活性かつ強力であることが立証され、変異体14および34は、典型的に、ヒト血液で最も大きい効力を示す。すべての変異体は、カニクイザル血液を使用して強力になる。変異体14、23、および34は、ヒトおよびカニクイザルTL1Aと同様の効力を示し、その一方で、変異体53は、ヒトTL1Aに対して~2倍より大きな効力を示す。
【0192】
実施例9:競合アッセイ
表面プラズモン共鳴(SPR)を使用する結合競合アッセイを実施して、試験抗TL1A抗体が、本明細書に記載される任意の抗TL1A抗体と同じTL1A上の領域に結合するか否かを評価した。
【0193】
Biacore 2000または3000機器を使用して、参照抗体を、カルボキシメチル化したデキストラン・センサチップ表面(CMS)上へのアミン結合(amine coupling)によって直接固定化した。少なくとも100の応答単位(RU)の固定化された抗体上の結合レベルを達成するために、8.1mMのNaHPO、1.47mMのKFPO、pH7.2、237mMのNaCI、2.7mMのKCI、3.4mMのEDTA、および0.01%のTween 20(PBS-NET)において10nMに希釈された、組換え可溶性ヒトTL1AまたはマウスTL1Aが、10RI/分の流量で、約1分間注入される。その後、TL1A上の潜在的な結合部位をすべて飽和させるために、参照抗体を30nMで5分間注入する。参照抗体を繰り返し注入することで、この飽和を確認する。次に、対照としてのPBS-NETまたはPBS-NET中の試験抗体を単独で、30nMで5分間注入する。試験抗体が第1の抗体で飽和したTL1Aに結合する場合、これは、参照抗体と比較して、試験抗体がTL1A上の非競合部位に結合することを示す。試験抗体が飽和したTL1Aに結合しない場合、これは、2つの抗体が同じ領域に結合するか、またはTL1Aへの結合と競合することを示す。この戦略は繰り返すことができ、試験抗体を固定化し、および、試験抗体がTL1Aと結合した後に参照抗体を注入する。各サイクルが反復され得る。各サイクルの終わりに、固定化された抗体表面を、3MのMgClの30秒のパルスによって、または0.1%のTFAと、その後のPBS-NETの2回の連続する15秒のパルスによって、再生成する。注入はすべて、10Hzの採取率(collection rate)で25°Cで実施する。すべてのセンサーグラムが、制御表面(control surface)および緩衝液注射の両方を使用することにより、二重参照される。
【0194】
SPRを使用する他の結合競合アッセイを実施して、試験抗TL1A抗体が、本明細書に記載される抗TL1A抗体と同じTL1A上の領域に結合するか否かを評価する。参照抗体を、アレイにわたって3つあるいは4つの様々な密度で結合されたアミンによって、SPRチップに固定化する。増加する濃度系列でTL1Aタンパク質を注入して、競合ビニング(competition binning)実験中の速度論的パラメーターおよび注入のための適切な濃度を推定した。ビニング実験のための最適な抗原濃度が決定されると、再生条件(典型的に短時間の低いpH注入)を評価して、ビニングアッセイのサイクル間の再生に最適な条件を確立する。
【0195】
ビニングは予備混合アプローチを用いて実施され、そのアプローチでは、アレイ上に、中程度の濃度のTL1Aが単独で注入されるか、または飽和抗体濃度(例えば、30-50μg/mL)の試験抗体にあらかじめ複合化された状態で注入される。試験抗体が固定化され、参照抗体がTL1Aにあらかじめ複合化されるようにアッセイを実施することができる。固定化された抗体の固有の領域に結合するクローンは、シグナルの増加をもたらす一方、競合的なクローンは抗原結合性シグナルを減少させる。すべてのクローンが、リガンドと分析物の両方として試験されるように、競合アッセイを実行する。
【0196】
実施例10:他の抗TL1A抗体に結合する5C3D11の比較
2つのエピトープビニング試験を実施して、表26に示されるように、5C3D11および12835によって認識されるエピトープを、1D1、1681、1B4、および1A9を含む他のTL1A抗体によって認識されるエピトープと比較した。
【0197】
【表26】
【0198】
アビディティー効果を最小限に抑えるために、第1の試験で平面のカルボキシメチルデキストラン表面センサチップを使用し(Xantec Prod. #SPMXCMDP)、第2の試験でHC30Mセンサチップを使用した(Xantec Prod. #SPMXHC30M)。連続フローマイクロスポッティングのための泳動緩衝液(running buffer)はHBS-EP+であり、流量は65μl/分であった。100mMのMES、pH5.5において、チップを、18mMのEDCおよび4.5nMのsulfo-NHSで7分間活性化した。その後、抗体を2つの複製プリント(replicate prints)で15分間固定化した。上記抗体を、10mMの酢酸塩(pH4.5)中の10μg/mlに希釈した。上記抗体を、プレート全体の3つの場所で3倍の系列希釈で滴定し、異なるスポット密度の濃度系列を確立した。各抗体を8回、つまり4回希釈の各々で2回、スポットした。これにより、10×8アレイを作製した。残りの活性基を、1Mのエタノールアミン(pH8.5)を使用して、7分のクエンチで中和した。抗原がホモ三量体タンパク質であり、およびIgGが二価性であるため、予備混合条件を使用してエピトープビニングを実施した。
【0199】
第1のエピトープビニング試験-TL1Aを50nM(3.3μg/ml)の最終濃度で調製し、333nM(50μg/ml)の分析物(溶液相抗体)、あるいは泳動緩衝液(対照)と混合した。IgGフォーマットでのサンプルでは、50μg/mlは333nMであり、Fabフォーマットでのサンプルでは、50μg/mlは1μMである。混合サンプルをアレイ上に5分間注入し、Pierce IgG溶出緩衝液および5MのNaCl(1Mの最終濃度)の4:1の混合物を使用して、各サイクル後に30秒間再生成した。
【0200】
第2のエピトープビニング試験-TL1Aを50nM(3.3μg/ml)の最終濃度で調製し、1μM(150g/ml)のIgGあるいは2μM(200μg/ml)のFab分析物(溶液相抗体)と、または泳動緩衝液(対照)と混合した。抗体サンプルを2倍に段階希釈することを7回行った(IgGで最終7.8nM、Fabで最終15nM)。混合サンプルをアレイ上に5分間注入し、Pierce IgG溶出緩衝液および5MのNaCl(1Mの最終濃度)の4:1の混合物を使用して、各サイクル後に30秒間再生成した。
【0201】
エピトープビニング試験では、明確なシグナル(サンドイッチ)を固定化された5C3D11および12835を用いて観察し、対照抗体のすべてを分析物として試験した(表27、上2列)。これらの結果は、5C3D11と12835が、他の抗体と同時にTL1Aに結合し、したがって、別個のエピトープを認識できることを示す。
【0202】
【表27】
【0203】
実施例11:抗TL1A有効性のインビボでの評価
大腸炎の動物モデルにおいて抗TL1A抗体の有効性を実施した。抗TL1A抗体を、ジ-ニトロベンゼンスルホン酸あるいはトリ-ニトロベンゼンスルホン酸(D/TNBS)の直腸内投与によって引き起こされた急性結腸炎、または、オキサゾロン、および飲料水中のDSSの投与あるいはCD45RBhi T細胞の移植によって引き起こされた慢性大腸炎のげっ歯類モデルにおいて試験した。DNBSおよびオキサゾロンは局所的な潰瘍および炎症を引き起こす。DSS投与は、びらん性病変および炎症性浸潤によって特徴付けられる、胃腸管の強い全身炎症を引き起こす。これらのすべてのモデルの症状は、通常、下痢、潜血、体重減少、および時折、直腸脱を含む。予防用モデルでは、抗体処置を、大腸炎誘導化合物の投与の開始時に始める。治療用モデルでは、抗体処置を、誘導を開始した数日後に始める。重量、便の硬さ、および潜血に対する処置の効果、ならびに、上皮の完全性および炎症性浸潤の程度に対する微視的効果が決定される。毎日の臨床スコアリングを、便の硬さおよび潜血の存在に基づいて実施し、疾患活動性指標(DAI)スコアを得る。
【0204】
実施例12:第1相臨床試験
第1相臨床試験を実施し、クローン病を患う被験体において、本明細書で提供される抗TL1Aの抗体の、安全性、耐容性、薬物動態学、および薬物動力学を評価する。
【0205】
単一用量漸増(SAD)群:各群の被験体(被験体は、リスク変異体の有無に基づいてグループ化される)は、単一用量の抗体またはプラセボのいずれかを受ける。例示的な投与は、1、3、10、30、100、300、600、および800mgの抗体、または1キログラム当たり5~30ミリグラムの間の抗体である。安全性モニタリングおよびPK評価を所定時間実施する。PKデータの評価に基づいて、および、抗体が耐容性が良いと考えられる場合、同じ群あるいは健康な被験者のさらなる群のいずれか内で用量漸増を行う。あらかじめ定義された最大の曝露に達していないか、または不耐性の副作用が明白にならない限り、最高用量に達するまで用量漸増を継続する。
【0206】
複数用量漸増(MAD)群:各群の被験体(被験体は、リスク変異体の有無に基づいてグループ化される)は、複数用量の抗体またはプラセボのいずれかを受ける。投与レベルおよび投与間隔を、SADデータから安全であると予測されるものとして選択する。投与レベルおよび投与頻度は、適切な安全パラメーターがモニタリングされることを可能にするために、数日間定常状態で維持される体循環内の治療薬レベルを達成するように選択される。サンプルを採取し、分析して、PKプロフィールを決定する。
【0207】
包含基準:18~55歳の間の妊娠の可能性がない健康な被験者。健康は、詳細な病歴、血圧と脈拍数測定を含む十分な身体診察、12誘導心電図、および臨床検査によって特定された、臨床的に関連する異常がないこととして定義される。出産の可能性がないメスの被験体は、以下の基準の少なくとも1つを満たしていなければならない:(1)以下のように定義される閉経後状態に達した:代替の病理学的あるいは生理学的な原因がない状態で、少なくとも12ヶ月間連続して定期的な月経が停止する;および、閉経後のメスの実験室での参照範囲(laboratory’s reference range)内の血清卵胞刺激ホルモン(FSH)レベルを有している;(2)実証された子宮摘出および/または両側卵巣摘出を受けている;(3)卵巣不全が医学的に確認されている。他のすべてのメスの被験体(卵管結紮を行ったメス、ならびに子宮摘出、両側卵巣摘出、および/または卵巣不全の記録のないメスを含む)は、出産の可能性があると考えられる。17.5~30.5kg/m2の肥満度指数(BMI);および、全体重>50kg(110lbs)。被験体(あるいは、法定代理人)に試験のすべての適切な態様について通知されたことを示す、個人的に署名され、かつ日付が記入されたインフォームドコンセント書類の証拠。
【0208】
健康な被験者の2つの群:リスク変異体(その存在がクローン病に対する感受性の増加に関連する)を有する被験体の群と、リスク変異体を欠いている被験体の群を選択する。
【0209】
除外基準:臨床的に有意な、血液、腎、内分泌腺、肺性、胃腸、心臓血管、肝臓、精神医学、神経学、またはアレルギー性の疾患(薬物アレルギーを含むが、投与時に未処置かつ無症状の季節性アレルギーは含まない)の証拠あるいは病歴。以下の血清学的試験のいずれかの陽性結果の病歴または現在の陽性結果を有する被験者:B型肝炎表面抗原(HBsAg)、B型肝炎コア抗体(HBcAb)、抗肝炎C抗体(HCV Ab)、あるいはヒト免疫不全ウイルス(HIV)。治療薬に対するアレルギーまたはアナフィラキシー反応の病歴を有する被験者。30日以内(あるいは、現場の要件によって規定されるように、いずれか長い方で)の治験薬を用いた処置、または試験薬物の第1の投与に先行する生物製剤の5半減期あるいは180日の処置。妊娠しているメス;母乳で育てているメス;および出産の可能性のあるメス。
【0210】
主要評価項目:用量制限的または耐え難い処置に関連する有害事象(AE)の発生率[時間枠:12週]。処置下で発現したAE(TEAE)の発生率、重症度、ならびに因果関係、および処置下で発現した有害事象による離脱(withdrawals)[時間枠:12週]。異常な検査所見の発生率および規模[時間枠:12週]。バイタルサイン、血圧(BP)、および心電図(ECG)パラメーターの異常な、かつ臨床的に関連する変化[時間枠:12週]。
【0211】
副次的評価項目:単一用量漸増:最高血漿中濃度(Cmax)[時間枠:12週]。単一用量漸増:最高血漿中濃度(Tmax)に達するまでの時間[時間枠:12週]。単一用量漸増:0時間~14日(AUC14日)の血漿濃度-時間のプロファイル下の面積[時間枠:12週]。単一用量漸増:推定された0時間~無限の時間(AUCinf)の血漿濃度-時間のプロファイル下の面積[時間枠:12週]。単一用量漸増:0時間~最終定量可能時間(AUClast)の血漿濃度-時間のプロファイル下の面積[時間枠:12週]。単一用量漸増:用量正規化最大血漿濃度(Dose normalized maximum plasma concentration)(Cmax[dn])[時間枠:12週]。単一用量漸増:推定された0時間~無限の時間(AUCinf[dn])の血漿濃度-時間のプロファイル下の用量正規化面積[時間枠:12週]。単一用量漸増:0時間~最終定量可能時間(AUClast[dn])の血漿濃度-時間下の用量正規化面積[時間枠:12週]。単一用量漸増:血漿減衰半減期(t1/2)[時間枠:12週]。血漿減衰半減期は、血漿濃度が2分の1減少するのに測定された時間である。単一用量漸増:平均滞留時間(MRT)[時間枠:12週]。単一用量漸増:定常状態(Vss)の分布容積[時間枠:6週間]。分布容積は、薬物の所望の血中濃度を産生するために、薬物の総量が均一に分布される必要がある理論上の容積として定義される。常状態分布容積(Vss)は、定常状態の分布の見かけ容積である。単一用量漸増:全身クリアランス (CL)[時間枠:6]。CLは、原薬が身体から取り除かれる速度の定量的尺度である。
【0212】
複数用量漸増の第1の用量:最高血漿中濃度(Cmax)[時間枠:12週]。複数用量漸増の第1の用量:最高血漿中濃度(Tmax)に達するまでの時間[時間枠:12週]。複数用量漸増の第1の用量:0時間~τ時間の血漿濃度-時間のプロファイル下の面積、τ=2週間の投与間隔(AUCτ)[時間枠:12週]。複数用量漸増の第1の用量:用量正規化最大血漿濃度(Cmax[dn])[時間枠:12週]。複数用量漸増の第1の用量:0時間~τ時間の血漿濃度-時間のプロファイル下の用量正規化面積、τ=2週間の投与間隔(AUCτ[dn])[時間枠:12週]。血漿減衰半減期(t1/2)[時間枠:12週]。血漿減衰半減期は、血漿濃度が2分の1減少するのに測定された時間である。複数用量漸増の第1の用量:平均滞留時間(MRT)[時間枠:12週]。見かけの分布容積(Vz/F)[時間枠:12週]。分布容積は、薬物の所望の血漿濃度を産生するために、薬物の総量が均一に分布される必要がある理論上の容積として定義される。経口投与後の見かけの分布容積(Vz/F)は吸収された割合によって影響を受ける。複数用量漸増の第1の用量:定常状態(Vss)の分布容積[時間枠:12週]。分布容積は、薬物の所望の血中濃度を産生するために、薬物の総量が均一に分布される必要がある理論上の容積として定義される。常状態分布容積(Vss)は、定常状態の分布の見かけ容積である。複数用量漸増の第1の用量:見かけの経口クリアランス(CL/F)[時間枠:12週]。薬物のクリアランスは、薬物が通常の生物学的プロセスによって代謝されるか、または除去される速度の尺度である。経口投与後に得られたクリアランス(見かけの経口クリアランス)は、吸収された用量の割合によって影響を受ける。クリアランスは集団薬物動態(PK)モデリングから推定される。薬物クリアランスは、原薬が血液から取り除かれる速度の定量的尺度である。複数用量漸増の第1の用量:全身クリアランス(CL)[時間枠:12週]。CLは、原薬が身体から取り除かれる速度の定量的尺度である。
【0213】
複数用量漸増の複数用量:最高血漿中濃度(Cmax)[時間枠:12週]。複数用量漸増の複数用量:最高血漿中濃度(Tmax)に達するまでの時間[時間枠:12週]。複数用量漸増の複数用量:0時間~τ時間の血漿濃度-時間のプロファイル下の面積、τ=2週間の投与間隔(AUCτ)[時間枠:12週]。複数用量漸増の複数用量:用量正規化最大血漿濃度(Cmax[dn])[時間枠:12週]。複数用量漸増の複数用量:0時間~τ時間の血漿濃度-時間のプロファイル下の用量正規化面積、τ=2週間の投与間隔(AUCτ[dn])[時間枠:12週]。複数用量漸増の複数用量:血漿減衰半減期(t1/2)[時間枠:12週]。血漿減衰半減期は、血漿濃度が2分の1減少するのに測定された時間である。複数用量漸増の複数用量:見かけの分布容積(Vz/F)[時間枠:12週]。分布容積は、薬物の所望の血漿濃度を産生するために、薬物の総量が均一に分布される必要がある理論上の容積として定義される。経口投与後の見かけの分布容積(Vz/F)は吸収された割合によって影響を受ける。複数用量漸増の複数用量:定常状態(Vss)の分布容積[時間枠:12週]。分布容積は、薬物の所望の血中濃度を産生するために、薬物の総量が均一に分布される必要がある理論上の容積として定義される。常状態分布容積(Vss)は、定常状態の分布の見かけ容積である。
【0214】
複数用量漸増の複数用量:見かけの経口クリアランス(CL/F)[時間枠:12週]。薬物のクリアランスは、薬物が通常の生物学的プロセスによって代謝されるか、または除去される速度の尺度である。経口投与後に得られたクリアランス(見かけの経口クリアランス)は、吸収された用量の割合によって影響を受ける。クリアランスは集団薬物動態(PK)モデリングから推定された。薬物クリアランスは、原薬が血液から取り除かれる速度の定量的尺度である。複数用量漸増の複数用量:全身クリアランス (CL)[時間枠:12週]。CLは、原薬が身体から取り除かれる速度の定量的尺度である。複数用量漸増の複数用量:最低血漿中トラフ濃度(Cmin)[時間枠:12週]。複数用量漸増の複数用量:定常状態の平均濃度(Cav)[時間枠:12週]。複数用量漸増の複数用量:蓄積比(Rac)[時間枠:12週]。複数用量漸増の複数用量:ピーク値トラフ値変動(PTF)[時間枠:12週]。複数用量漸増のさらなるパラメーター:対応する静注投与量での皮下投与のためのバイオアベイラビリティ(F)の推定[時間枠:12週]。単一用量漸増および複数用量漸増の両方のための免疫原性:抗薬物抗体(ADA)の開発[時間枠:12週]。
【0215】
実施例13:第1b相臨床試験
第1b非盲検の臨床試験を実施して、クローン病に関連するリスク変異体を有する患者に対する、本明細書で提供される抗TL1A抗体の有効性を評価する。
【0216】
群:リスク変異体(その存在がクローン病に対する感受性の増加に関連する)に対して陽性である、10人の患者に抗体を投与する。リスク変異体に対して陰性である5-10人の患者に抗体を投与する。患者をリアルタイムでモニタリングする。内視鏡検査と生検に中央準備(Central ready)を使用し、リーダー(readers)は処置とエンドポイントの時点に盲目であった。
【0217】
包含基準:被験者の2つの群:リスク変異体(その存在がクローン病に対する感受性の増加に関連する)を有する被験体の群と、リスク変異体を欠いている被験体の群を選択する。
【0218】
主要評価項目:クローン病の簡易な内視鏡スコア(SESCD)、クローン病活性指数(CDAI)、および患者報告アウトカム(PRO)を報告した。リスク変異体陽性群がベースラインから50%の減少を示している場合、第2a相臨床試験を実施する。
【0219】
包含基準:PRO組み入れ基準:2以上の腹痛症スコアおよび/または4以上の排便回数スコア。主要評価項目(Primary outcome)は、0または1の疼痛コアおよび3以下の排便回数スコアであり、ベースラインから悪化しない。内視鏡検査組み入れ基準:結腸が関与する場合、SESCD回腸を4と6のスコアのみで入力する。主要内視鏡検査項目(Primary endoscopic outcome)は、平均のSESCDの40-50%のδである。
【0220】
実施例14:第2a相臨床試験
第2a相臨床試験を実施し、クローン病を患う被験体において、本明細書で提供される抗TL1Aの抗体の有効性を評価する。
【0221】
群:1つの群当たり40人の患者(抗体およびプラセボの群)を、抗体またはプラセボで12週間治療する。各群の20人の患者を最高用量で処置し、主要評価項目においてプラセボと処置された群との間の40-50%のδ(SESCD、CDAI、PROにおけるベースラインから50%の減少)を探した後、中間解析を実施する。
【0222】
主要な評価項目:クローン病の簡易な内視鏡スコア(SESCD)、クローン病活性指数(CDAI)、および患者報告アウトカム(PRO)を報告した。
【0223】
包含基準:PRO組み入れ基準:2以上の腹痛症スコアおよび/または4以上の排便回数スコア。主要評価項目は、0または1の疼痛コアおよび3以下の排便回数スコアであり、ベースラインから悪化しない。内視鏡検査組み入れ基準:結腸が関与する場合、SESCD回腸のみが、4と6のスコアで組み入れられる。主要内視鏡検査項目は、平均のSESCDの40-50%のδである。
【0224】
様々な実施形態が、上の詳細な説明に記載されている。これらの記載は上述の実施形態を直接説明しているが、当業者には、本明細書に示され、かつ記載される特定の実施形態に対する、変更および/または変形を想到することができると理解される。この記載の範囲内にあるそのような変更または変形は、同様にその中に含まれるように意図されている。具体的に注記されていない限り、本明細書および請求項の中の単語ならびに句は、適用可能な分野の当業者にとって、通常かつ慣れ親しまれている意味を与えられていることが、発明者により意図されている。
【0225】
本出願の出願時に出願人に既知の様々な実施形態の前述の説明が提示され、それは、例示および説明の目的のために意図されている。本記載は、包括的となるようにも、または開示される正確な形態に限定されるようにも意図されておらず、多くの変更および変形が、上記の教示に照らして可能となる。記載される実施形態は、原理および実際的応用を説明し、かつ、当業者が、考慮される特定の使用に適するように、随意に様々な変更がなされた実施形態を利用することを可能にするのに役立つ。それゆえ、本開示は、開示される特定の形態に限定されないことが、意図されている。
【0226】
特定の実施形態が示され、かつ記載されてきたが、変更および改変が、本明細書の教示に基づいて本開示およびその広範囲の態様から逸脱することなく行われ得ることが当業者には明白であり、それゆえ、添付の請求項はその範囲内に、そのような変更および改変が全て、本開示の真の精神および範囲内にあるように包含する。通常、本明細書で使用される用語は、包袋禁反言(“open” terms)として一般的に意図されていることは、当業者により理解されている(例えば、用語「含むこと(including)」は、「~を含むがこれらに限定されない」として解釈され、用語「有すること(having)」は「少なくとも~を有する」として解釈され、用語「含む(includes)」は、「~を含むがこれらに限定されない」として解釈されるべきである)。
【0227】
【表28-1】
【0228】
【表28-2】
【0229】
【表28-3】
【0230】
【表28-4】
【0231】
【表28-5】
【0232】
SEQ ID NO: 490 (L8; VL)
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASSSVSYMYWYQQKPGQAPRLLIYATSNLASGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQWSGNPRTFGGGTKLEIK
SEQ ID NO: 491 (L8; VH)
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGFDIQDTYMHWVRQAPGQGLEWMGRIDPASGHTKYDPKFQVRVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCARSGGLPDVWGQGTTVTVSS
SEQ ID NO: 492 (クローン 34; VL)
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASSSVSYMYWYQQKPGQAPRLLIYATSNLASGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQWEGNPRTFGGGTKLEIK
SEQ ID NO: 493 (クローン 34; VH)
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGFDIQDTYMHWVRQAPGQGLEWMGRIEPASGHIKYDPKFQGRVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCARSGGLPDWWGQGTTVTVSS
SEQ ID NO: 494 (クローン 2; VL)
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASSSVSYMYWYQQKPGQAPRLLIYATSNLASGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQWEGNPRTFGGGTKLEIK
SEQ ID NO: 495 (クローン 2; VH)
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGFDIQDTYMHWVRQAPGQGLEWMGRIEPASGHIKYSPKFQGRVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCARSGGLPDWWGQGTTVTVSS
SEQ ID NO: 496 (クローン 52; VL)
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCGASSSVSYMYWYQQKPGQAPRLLIYATSNLASGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQWEGNPRTFGGGTKLEIK
SEQ ID NO: 497 (クローン 52; VH)
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGFDIQDTYMHWVRQAPGQGLEWMGRIEPASGHIKYSPKFQGRVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCARSGGLPDWWGQGTTVTVSS
SEQ ID NO: 498 (クローン 46; VL)
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASSSVSYMYWYQQKPGQAPRLLIYATSNLASGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQWEGNPRTFGGGTKLEIK
SEQ ID NO: 499 (クローン 46; VH)
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGFDIQDTYMHWVRQAPGQGLEWMGRIEPASGHVKYSPKFQVRVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCARSGGLPDWWGQGTTVTVSS
SEQ ID NO: 500 (クローン 47; VL)
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASSSVSYMYWYQQKPGQAPRLLIYATSNLASGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQWEGNPRTFGGGTKLEIK
SEQ ID NO: 501 (クローン 47; VH)
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGFDIQDTYMHWVRQAPGQGLEWMGRIEPASGHVKYDPKFQTRVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCARSGGLPDWWGQGTTVTVSS
SEQ ID NO: 502 (クローン 14; VL)
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASSSVSYMYWYQQKPGQAPRLLIYATSNLASGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQWQGNPRTFGGGTKLEIK
SEQ ID NO: 503 (クローン 14; VH)
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGFDIQDTYMHWVRQAPGQGLEWMGRIDPASGHiKYDPKFQkRVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCARSGGLPDMWGQGTTVTVSS
SEQ ID NO: 504 (クローン 16L; VL)
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASSSVSYMYWYQQKPGQAPRLLIYATSNLASGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQWQGNPRTFGGGTKLEIK
SEQ ID NO: 505 (クローン 16L; VH)
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGFDIQDTYMHWVRQAPGQGLEWMGRIDPASGHvKiDPKFQVRVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCARSGGLPDMWGQGTTVTVSS
SEQ ID NO: 506 (クローン 17L; VL)
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASSSVSYMYWYQQKPGQAPRLLIYATSNLASGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQWQGNPRTFGGGTKLEIK
SEQ ID NO: 507 (クローン 17L; VH)
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGFDIQDTYMHWVRQAPGQGLEWMGRIDPASGHLKYDPKFQVRVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCARSGGLPDMWGQGTTVTVSS
SEQ ID NO: 508 (クローン 17L-1; VL)
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASSSVSYMYWYQQKPGQAPRLLIYATSNLASGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQWQGNPRTFGGGTKLEIK
SEQ ID NO: 509 (クローン 17L-1; VH)
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGFDIQDTYMHWVRQAPGQGLEWMGRIDPASGHLKYDPKFQRRVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCARSGGLPDMWGQGTTVTVSS
SEQ ID NO: 510 (クローン 23; VL)
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASSSVSYMYWYQQKPGQAPRLLIYATSNLASGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQWEGNPRTFGGGTKLEIK
SEQ ID NO: 511 (クローン 23; VH)
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGFDIQDTYMHWVRQAPGQGLEWMGRIDPASGHLKYDPKFQNRVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCARSGGLPDKWGQGTTVTVSS
SEQ ID NO: 512 (クローン A1; VL)
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCGASSSVSYMYWYQQKPGQAPRLLIYATSNLASGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQWEGNPRTFGGGTKLEIK
SEQ ID NO: 513 (クローン A1; VH)
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGFDIQDTYMHWVRQAPGQGLEWMGRIDPASGHLKYDPKFQNRVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCARSGGLPDKWGQGTTVTVSS
SEQ ID NO: 514 (クローン 53; VL)
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASSSVSYMYWYQQKPGQAPRLLIYATSNLASGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQWEGNPRTFGGGTKLEIK
SEQ ID NO: 515 (クローン 53; VH)
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGFDIQDTYMHWVRQAPGQGLEWMGRIEPASGHLKYDPKFQERVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCARSGGLPDKWGQGTTVTVSS
SEQ ID NO: 516 (クローン E1; VL)
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCGASSSVSYMYWYQQKPGQAPRLLIYATSNLASGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQWEGNPRTFGGGTKLEIK
SEQ ID NO: 517 (クローン E1; VH)
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGFDIQDTYMHWVRQAPGQGLEWMGRIEPASGHLKYDPKFQERVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCARSGGLPDKWGQGTTVTVSS
SEQ ID NO: 518 (クローン 3-17L V-A; VL)
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASSSVSYMYWYQQKPGQAPRLLIYATSNLASGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQWQGNPRTFGGGTKLEIK
SEQ ID NO: 519 (クローン 3-17L V-A; VH)
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGFDIQDTYMHWVRQAPGQGLEWMGRIDPASGHLKYDPKFQGRVTITRDTSASTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSGGLPDMWGQGTTVTVSS
SEQ ID NO: 520 (クローン 3-17L; VL)
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASSSVSYMYWYQQKPGQAPRLLIYATSNLASGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQWQGNPRTFGGGTKLEIK
SEQ ID NO: 521 (クローン 3-17L; VH)
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGFDIQDTYMHWVRQAPGQGLEWMGRIDPASGHLKYDPKFQGRVTITRDTSASTVYMELSSLRSEDTAVYYCARSGGLPDMWGQGTTVTVSS
SEQ ID NO: 522 (クローン L8mod; VL)
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASSSVSYMYWYQQKPGQAPRLLIYATSNLASGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQWSGNPRTFGGGTKLEIK
SEQ ID NO: 523 (クローン L8mod; VH)
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGFDIQDTYMHWVRQAPGQGLEWMGRIDPASGHTKYDPKFQGRATITTDTSASTAYLQLSSLRSEDTAVYYCARSGGLPDVWGQGTTVTVSS
SEQ ID NO: 524 (クローン X-V; VL)
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASSSVSYMYWYQQKPGQAPRLLIYATSNLASGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQWSGNPRTFGGGTKLEIK
SEQ ID NO: 525 (クローン X-V; VH)
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGFDIQDTYMHWVRQAPGQGLEWMGRIDPASGHTKYDPKFQVRATITTDTSASTAYLQLSSLRSEDTAVYYCARSGGLPDFWGQGTTVTVSS
SEQ ID NO: 526 (クローン X; VL)
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASSSVSYMYWYQQKPGQAPRLLIYATSNLASGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQWSGNPRTFGGGTKLEIK
SEQ ID NO: 527 (クローン X; VH)
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGFDIQDTYMHWVRQAPGQGLEWMGRIDPASGHTKYDPKFQGRATITTDTSASTAYLQLSSLRSEDTAVYYCARSGGLPDFWGQGTTVTVSS
SEQ ID NO: 528 (クローン H3-1; VL)
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASSSVSYMYWYQQKPGQAPRLLIYATSNLASGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQWSGNPRTFGGGTKLEIK
SEQ ID NO: 529 (クローン H3-1; VH)
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGFDIQDTYMHWVRQAPGQGLEWMGRIDPASGHTKYDPKFQGRATITTDTSASTAYLQLSSLRSEDTAVYYCARSGGLPDLWGQGTTVTVSS
SEQ ID NO: 530 (クローン XL3-6; VL)
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASSSVSYMYWYQQKPGQAPRLLIYATSNLASGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCSQWSGNPRTFGGGTKLEIK
SEQ ID NO: 531 (クローン XL3-6; VH)
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGFDIQDTYMHWVRQAPGQGLEWMGRIDPASGHTKYDPKFQGRATITTDTSASTAYLQLSSLRSEDTAVYYCARSGGLPDFWGQGTTVTVSS
SEQ ID NO: 532 (クローン XL3-10; VL)
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASSSVSYMYWYQQKPGQAPRLLIYATSNLASGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQWSGNPRSFGGGTKLEIK
SEQ ID NO: 533 (クローン XL3-10; VH)
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGFDIQDTYMHWVRQAPGQGLEWMGRIDPASGHTKYDPKFQGRATITTDTSASTAYLQLSSLRSEDTAVYYCARSGGLPDFWGQGTTVTVSS
SEQ ID NO: 534 (クローン XL3-15; VL)
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASSSVSYMYWYQQKPGQAPRLLIYATSNLASGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQWSRNPRTFGGGTKLEIK
SEQ ID NO: 535 (クローン XL3-15; VH)
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGFDIQDTYMHWVRQAPGQGLEWMGRIDPASGHTKYDPKFQGRATITTDTSASTAYLQLSSLRSEDTAVYYCARSGGLPDFWGQGTTVTVSS
SEQ ID NO: 536 (クローン L3-13; VL)
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASSSVSYMYWYQQKPGQAPRLLIYATSNLASGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQWKGNPRTFGGGTKLEIK
SEQ ID NO: 537 (クローン L3-13; VH)
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGFDIQDTYMHWVRQAPGQGLEWMGRIDPASGHTKYDPKFQGRATITTDTSASTAYLQLSSLRSEDTAVYYCARSGGLPDFWGQGTTVTVSS
SEQ ID NO: 538 (クローン H2-2; VL)
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASSSVSYMYWYQQKPGQAPRLLIYATSNLASGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQWSGNPRTFGGGTKLEIK
SEQ ID NO: 539 (クローン H2-2; VH)
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGFDIQDTYMHWVRQAPGQGLEWMGRIDPASGHSKYDPKFQVRATITTDTSASTAYLQLSSLRSEDTAVYYCARSGGLPDFWGQGTTVTVSS
SEQ ID NO: 540 (クローン H2-5; VL)
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASSSVSYMYWYQQKPGQAPRLLIYATSNLASGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQWSGNPRTFGGGTKLEIK
SEQ ID NO: 541 (クローン H2-5; VH)
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGFDIQDTYMHWVRQAPGQGLEWMGRIDPASGHYKYDPKFQVRATITTDTSASTAYLQLSSLRSEDTAVYYCARSGGLPDFWGQGTTVTVSS
SEQ ID NO: 542 modified G1
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGAPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
SEQ ID NO: 543 G2定常ドメイン
ASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
SEQ ID NO: 544 κ定常ドメイン
RTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
SEQ ID NO: 545 (L8 HFR1)
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKAS
SEQ ID NO: 546 (L8 HFR2)
WVRQAPGQGLEWMG
SEQ ID NO: 547 (L8 HFR3)
RVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYC
SEQ ID NO: 548 (L8 HFR4)
WGQGTTVTVSS
SEQ ID NO: 549 (L8 LFR1)
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSC
SEQ ID NO: 550 (L8 LFR2)
WYQQKPGQAPRLLIY
SEQ ID NO: 551 (L8 LFR3)
GIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYC
SEQ ID NO: 552 (L8 LFR4)
FGGGTKLEIK
SEQ ID NO: 586 (VH FR3)
RATITTDTSASTAYLQLSSLRSEDTAVYYC
SEQ ID NO: 587 (VH FR3)
RVTITRDTSASTVYMELSSLRSEDTAVYYC
SEQ ID NO: 588 (VH FR3)
RVTITRDTSASTAYMELSSLRSEDTAVYYC
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24A
図24B
図24C
図25
図26A
図26B
図26C
図27A
図27B
図27C
【配列表】
2023166402000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2023-09-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
TL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメントであって:
(a)SEQ ID NO:553によって記載されるアミノ酸配列を含むHCDR1;
(b)SEQ ID NO:554~564あるいは574~577のいずれか1つによって記載されるアミノ酸配列を含むHCDR2;および、
(c)SEQ ID NO:565~568あるいは578~581のいずれか1つによって記載されるアミノ酸配列を含むHCDR3;
を含む重鎖可変領域と、
(d)SEQ ID NO:569あるいは570のいずれか1つによって記載されるアミノ酸配列を含むLCDR1;
(e)SEQ ID NO:488によって記載されるアミノ酸配列を含むLCDR2;および、
(f)SEQ ID NO:571~573あるいは582~585のいずれか1つによって記載されるアミノ酸配列を含むLCDR3
を含む軽鎖可変領域と、
を含む、
TL1Aに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメント。
【外国語明細書】