(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166414
(43)【公開日】2023-11-21
(54)【発明の名称】棚板およびこれを備えた台車
(51)【国際特許分類】
B62B 5/00 20060101AFI20231114BHJP
【FI】
B62B5/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023132674
(22)【出願日】2023-08-16
(62)【分割の表示】P 2019201222の分割
【原出願日】2019-11-06
(71)【出願人】
【識別番号】394016874
【氏名又は名称】河淳株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 松吉
(57)【要約】
【解決課題】着脱時の作業負担を低減した棚板およびこの棚板を備えた台車を提供する。
【解決手段】 棚板は、辺部と、前記辺部から内側に窪んで手を差し入れることが可能な凹部と、を有する平板状の棚板本体と、前記棚板本体に取り付けられるカバーであって、前記辺部を覆うカバー本体と、前記凹部を覆うとともに外側に向けて凸になる円弧状の断面を有する手掛部と、を有するカバーと、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
辺部と、前記辺部から内側に窪んで手を差し入れることが可能な凹部と、を有する平板状の棚板本体と、
前記棚板本体に取り付けられるカバーであって、前記辺部を覆うカバー本体と、前記凹部を覆うとともに外側に向けて凸になる円弧状の断面を有する手掛部と、を有するカバーと、
を備える棚板。
【請求項2】
前記手掛部は、前記凹部が収納される段部と、前記段部に隣接して設けられ前記棚板本体の表面と面一になった頂部と、を有する請求項1に記載の棚板。
【請求項3】
前記カバー本体は、前記辺部の表側に当接する第1当接片を有し、
前記手掛部は、前記凹部の裏側に当接する第2当接片を有する請求項2に記載の棚板。
【請求項4】
前記棚板本体は、前記辺部と交差する方向に延びる1以上の梁部を有し、
前記凹部および前記手掛部は、前記1以上の梁部から外れた位置に設けられる請求項3に記載の棚板。
【請求項5】
前記カバー本体は、前記1以上の梁部の裏側に当接する第3当接片を有し、
前記頂部は、前記第1当接片と連続し、
前記手掛部は、前記頂部とは反対側に設けられ前記第3当接片と連続するように形成された底部を有する請求項4に記載の棚板。
【請求項6】
前記第1当接片の先端は、前記第3当接片の先端よりも外側に位置する請求項5に記載の棚板。
【請求項7】
前記カバー本体に設けられる第1部分と、
前記カバー本体に設けられ前記第1部分に対して前記手掛部を間に挟んだ反対側に設けられた第2部分と、
前記手掛部と対向するように設けられ前記第1部分と前記第2部分とを連結する第2手掛部と、
前記手掛部と前記第2手掛部との間に設けられ手が通される孔部と、
を備える請求項1に記載の棚板。
【請求項8】
車体と、
前記車体から起立した第1柵と、
前記第1柵から離間して設けられ前記車体から起立した第2柵と、
前記第1柵と前記第2柵との間に渡される棚板と、
を備え、
前記棚板は、
辺部と、前記辺部から内側に窪んで手を差し入れることが可能な凹部と、を有する平板状の棚板本体と、
前記棚板本体に取り付けられるカバーであって、前記辺部を覆うカバー本体と、前記凹部を覆うとともに外側に向けて凸になる円弧状の断面を有する手掛部と、を有するカバーと、
を有する台車。
【請求項9】
前記第1柵は、前記車体から成人の略腰の高さにまで延びる一対の第1縦部材と、前記一対の第1縦部材の略先端部同士を連結した第1横部材と、を有し、
前記第2柵は、前記車体から成人の略腰の高さにまで延びる一対の第2縦部材と、前記一対の第2縦部材の略先端部同士を連結した第2横部材と、を有し、
前記棚板は、前記第1横部材と前記第2横部材との間に渡される請求項8に記載の台車。
【請求項10】
前記棚板は、
前記カバー本体に設けられる第1部分と、
前記カバー本体に設けられ前記第1部分に対して前記手掛部を間に挟んだ反対側に設けられた第2部分と、
前記手掛部と対向するように設けられ前記第1部分と前記第2部分とを連結する第2手掛部と、
前記手掛部と前記第2手掛部との間に設けられ手が通される孔部と、
を有する請求項9に記載の台車。
【請求項11】
前記第2手掛部の直径は、前記第1横部材および前記第2横部材の直径よりも大きく構成され、
前記第2手掛部は、前記第1横部材および前記第2横部材のいずれかと当接する当接面を有するとともに、前記第1横部材と前記第2横部材との間に前記棚板が渡された状態で、前記当接面を介して前記第1横部材および前記第2横部材のいずれかと一体化することが可能である請求項10に記載の台車。
【請求項12】
前記第2手掛部は、上側に向けて凸になる円弧状の断面を有する請求項11に記載の台車。
【請求項13】
前記カバー本体は、前記第1横部材および前記第2横部材のいずれかが嵌め入れられる凹所を前記孔部の近傍に有する請求項10に記載の台車。
【請求項14】
前記第1柵は、前記車体から成人の胸以上の高さにまで延びる一対の第1縦部材と、前記一対の第1縦部材同士を連結した第1中間横部材と、を有し、
前記第2柵は、前記車体から成人の胸以上の高さにまで延びる一対の第2縦部材と、前記一対の第2縦部材同士を連結した第2中間横部材と、を有し、
前記棚板は、前記第1中間横部材と前記第2中間横部材との間に渡される請求項8に記載の台車。
【請求項15】
前記棚板は、
前記カバー本体に設けられる第1部分と、
前記カバー本体に設けられ前記第1部分に対して前記手掛部を間に挟んだ反対側に設けられた第2部分と、
前記手掛部と対向するように設けられ前記第1部分と前記第2部分とを連結する第2手掛部と、
前記手掛部と前記第2手掛部との間に設けられ手が通される孔部と、
を有する請求項14に記載の台車。
【請求項16】
前記カバー本体は、前記第1中間横部材および前記第2中間横部材のいずれかが嵌め入れられる凹所を前記孔部の近傍に有する請求項15に記載の台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台車に設置可能な棚板および棚板を備えた台車に関する。
【背景技術】
【0002】
運搬用台車に対して着脱可能に構成される棚板が開示されている。この棚板は、台車の前柵と後柵との両方に渡され、前柵および後柵に対して着脱可能に構成されている。ユーザは、棚板を異なる段に移動させることで、必要に応じて棚板の設置高さを変更することができる。台車に対する棚板の設置は、前柵および後柵に対して上方から棚板側の凹部を位置合わせして嵌め込むことで行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、棚板は、台車の全長に対応するように細長くに構成されるものであり、その着脱や設置高さの変更には一定の労力を伴う。特に細長い棚板の端部にある凹所を前柵又は後柵の腕木に位置合わせする際に、棚板を持ち上げた状態のまま棚板の位置を微調整する必要があり、作業者に対する作業負担が大きく、作業負担の低減が望まれていた。
【0005】
従って、本発明の課題は、着脱時の作業負担を低減した棚板およびこの棚板を備えた台車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、以下の本発明により解決される。すなわち、本発明(1)の棚板は、辺部と、前記辺部から内側に窪んで手を差し入れることが可能な凹部と、を有する平板状の棚板本体と、
前記棚板本体に取り付けられるカバーであって、前記辺部を覆うカバー本体と、前記凹部を覆うとともに外側に向けて凸になる円弧状の断面を有する手掛部と、を有するカバーと、
を備える。
【0007】
また、本発明(2)の棚板は、(1)記載の棚板であって、前記手掛部は、前記凹部が収納される段部と、前記段部に隣接して設けられ前記棚板本体の表面と面一になった頂部と、を有する。
【0008】
また、本発明(3)の棚板は、(2)記載の棚板であって、前記カバー本体は、前記辺部の表側に当接する第1当接片を有し、前記手掛部は、前記凹部の裏側に当接する第2当接片を有する。
【0009】
また、本発明(4)の棚板は、(3)記載の棚板であって、前記棚板本体は、前記辺部と交差する方向に延びる1以上の梁部を有し、
前記凹部および前記手掛部は、前記1以上の梁部から外れた位置に設けられる。
【0010】
また、本発明(5)の棚板は、(4)記載の棚板であって、前記カバー本体は、前記1以上の梁部の裏側に当接する第3当接片を有し、
前記頂部は、前記第1当接片と連続し、
前記手掛部は、前記頂部とは反対側に設けられ前記第3当接片と連続するように形成された底部を有する。
【0011】
また、本発明(6)の棚板は、(5)記載の棚板であって、前記第1当接片の先端は、前記第3当接片の先端よりも外側に位置する。
【0012】
また、本発明(7)の棚板は、(1)記載の棚板であって、前記カバー本体に設けられる第1部分と、
前記カバー本体に設けられ前記第1部分に対して前記手掛部を間に挟んだ反対側に設けられた第2部分と、
前記手掛部と対向するように設けられ前記第1部分と前記第2部分とを連結する第2手掛部と、
前記手掛部と前記第2手掛部との間に設けられ手が通される孔部と、
を備える。
【0013】
本発明(8)の台車は、車体と、
前記車体から起立した第1柵と、
前記第1柵から離間して設けられ前記車体から起立した第2柵と、
前記第1柵と前記第2柵との間に渡される棚板と、
を備え、
前記棚板は、
辺部と、前記辺部から内側に窪んで手を差し入れることが可能な凹部と、を有する平板状の棚板本体と、
前記棚板本体に取り付けられるカバーであって、前記辺部を覆うカバー本体と、前記凹部を覆うとともに外側に向けて凸になる円弧状の断面を有する手掛部と、を有するカバーと、
を有する。
【0014】
また、本発明(9)の台車は、(8)記載の台車であって、前記第1柵は、前記車体から成人の略腰の高さにまで延びる一対の第1縦部材と、前記一対の第1縦部材の略先端部同士を連結した第1横部材と、を有し、
前記第2柵は、前記車体から成人の略腰の高さにまで延びる一対の第2縦部材と、前記一対の第2縦部材の略先端部同士を連結した第2横部材と、を有し、
前記棚板は、前記第1横部材と前記第2横部材との間に渡される。
【0015】
また、本発明(10)の台車は、(9)記載の台車であって、前記棚板は、
前記カバー本体に設けられる第1部分と、
前記カバー本体に設けられ前記第1部分に対して前記手掛部を間に挟んだ反対側に設けられた第2部分と、
前記手掛部と対向するように設けられ前記第1部分と前記第2部分とを連結する第2手掛部と、
前記手掛部と前記第2手掛部との間に設けられ手が通される孔部と、
を有する。
【0016】
また、本発明(11)の台車は、(10)記載の台車であって、前記第2手掛部の直径は、前記第1横部材および前記第2横部材の直径よりも大きく構成され、
前記第2手掛部は、前記第1横部材および前記第2横部材のいずれかと当接する当接面を有するとともに、前記第1横部材と前記第2横部材との間に前記棚板が渡された状態で、前記当接面を介して前記第1横部材および前記第2横部材のいずれかと一体化すること
が可能である。
【0017】
また、本発明(12)の台車は、(11)記載の台車であって、前記第2手掛部は、上側に向けて凸になる円弧状の断面を有する。
【0018】
また、本発明(13)の台車は、(10)記載の台車であって、前記カバー本体は、前記第1横部材および前記第2横部材のいずれかが嵌め入れられる凹所を前記孔部の近傍に有する。
【0019】
また、本発明(14)の台車は、(8)記載の台車であって、前記第1柵は、前記車体から成人の胸以上の高さにまで延びる一対の第1縦部材と、前記一対の第1縦部材同士を連結した第1中間横部材と、を有し、
前記第2柵は、前記車体から成人の胸以上の高さにまで延びる一対の第2縦部材と、前記一対の第2縦部材同士を連結した第2中間横部材と、を有し、
前記棚板は、前記第1中間横部材と前記第2中間横部材との間に渡される。
【0020】
また、本発明(15)の台車は、(14)記載の台車であって、前記棚板は、
前記カバー本体に設けられる第1部分と、
前記カバー本体に設けられ前記第1部分に対して前記手掛部を間に挟んだ反対側に設けられた第2部分と、
前記手掛部と対向するように設けられ前記第1部分と前記第2部分とを連結する第2手掛部と、
前記手掛部と前記第2手掛部との間に設けられ手が通される孔部と、
を有する。
【0021】
また、本発明(16)の台車は、(15)記載の台車であって、前記カバー本体は、前記第1中間横部材および前記第2中間横部材のいずれかが嵌め入れられる凹所を前記孔部の近傍に有する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、着脱時の作業負担を低減した棚板およびこの棚板を備えた台車を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】第1実施形態の棚板および棚板を備える台車を示す斜視図である。
【
図4】
図1に示す棚板を表面側から示す斜視図である。
【
図5】
図4に示す棚板を裏面側から示す斜視図である。
【
図6】
図4に示す棚板を分解して示す斜視図である。
【
図7】
図5に示す棚板を分解して示す斜視図である。
【
図9】
図8に示すF9-F9線の位置に沿った断面図である。
【
図10】
図8に示すF10-F10線の位置に沿った断面図である。
【
図11】
図9に示す棚板の手掛部を拡大して示す断面図である。
【
図12】
図3に示すF12-F12線の位置に沿った断面図である。
【
図13】
図4に示す棚板の凹部(孔部)に片方の手を差し入れて棚板を横にして持ち上げた状態を示す断面図である。
【
図14】
図4に示す棚板の第2手掛部を片方の手で把持して棚板を縦方向に吊下げた状態を示す断面図である。
【
図15】第2実施形態の棚板および棚板を備える台車を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下図面を参照して、本発明の棚板およびこの棚板を備えた台車の実施形態について説明する。本発明の台車は、商店のバックヤードと商店の売場との間を行き来できるものであって、バックヤードにおいては商品の在庫をストックしておく棚として用いられるとともに、売場においては商品をバックヤードから陳列棚に輸送する輸送手段として用いられるものである。
[第1実施形態]
【0025】
図1~
図3に示すように、台車11は、床(地面)に沿うように配置された車体12と、車体12から起立した第1柵13と、第1柵13から離間して設けられ車体12から起立した第2柵14と、第1柵13と第2柵14との間に渡される棚板15と、を備える。
【0026】
車体12は、底板部21と、底板部21の下側に回転可能に設けられた複数の車輪22と、を有する。
図2に示すように、車輪22は、進行方向に沿って回転軸回りに回転可能であることは言うまでもなく、その位置で支軸22Aを中心に水平方向に360°旋回可能に構成されてもよい。底板部21は、例えば、合成樹脂材料によって形成されてもよい。
【0027】
第1柵13は、例えば、車体12の前側の端部に設けられる。第1柵13は、底板部21の角部から起立した一対の第1縦部材23と、一対の第1縦部材23の略先端部同士を連結した第1横部材24と、一対の第1縦部材23の途中の位置同士を連結した第1中間横部材25と、を有する。第1縦部材23の先端部(上端部)は、成人の略腰の高さに相当する高さに位置している。ここで、略先端部とは、第1縦部材23の先端部か、又は先端部の近傍の部分をいうものとする。
【0028】
第2柵14は、例えば、車体12の後側の端部に設けられる。第2柵14は、底板部21の角部から起立した一対の第2縦部材26と、一対の第2縦部材26の略先端部同士を連結した第2横部材27と、一対の第2縦部材26の途中の位置同士を連結した第2中間横部材28と、を有する。第2縦部材26の先端部(上端部)は、成人の略腰の高さに相当する高さに位置している。ここで、略先端部とは、第2縦部材26の先端部か、又は先端部の近傍の部分をいうものとする。第1横部材24の直径は、第1中間横部材25、第2横部材27、および第2中間横部材28の直径と同じである。
【0029】
棚板15は、例えば、第1柵13の第1横部材24と、第2柵14の第2横部材27と、の間に着脱可能に渡される。或いは、棚板15は、第1柵13の第1中間横部材25と、第2柵14の第2中間横部材28と、の間に着脱可能に渡されてもよい。棚板15は、略水平に配置されるように、第1柵13と第2柵14との間で、同じ高さの横部材の間に渡されるように設置される。1個の台車11に棚が複数段に形成されるように、1個の台車11に対して複数の棚板15が設置されていてもよい。
【0030】
図4、
図8に示すように、棚板15は、上方から見て長方形に形成される。
図4~
図7に示すように、棚板15は、平板状の棚板本体31と、棚板本体31に取り付けられるカバー32と、棚板本体31とカバー32とを固定する固定部材33と、を備える。固定部材33は、例えばねじで構成されるが、ねじ以外のリベット等の固定手段で構成されていてもよい。
【0031】
棚板本体31は、長辺部34と、長辺部34と交差する方向に延びる短辺部35と、短辺部35から内側に窪んだ凹部36と、凹部36の近傍に設けられた貫通孔37と、短辺
部35と交差する方向に延びる1以上の梁部38と、を有する。短辺部35は、辺部の一例である。また、本実施形態において、凹部36は、短辺部35から窪んで設けられているが、凹部36が設けられる位置はこれに限られるものではなく、長辺部34から窪んで設けられていてもよい。その場合には、カバー32は、長辺部34を覆うように設けられる。棚板本体31は、例えば、金属材料(例えば、鉄、アルミニウム合金)によって形成されることが好ましい。棚板本体31の梁部38を除く部分は、例えば、平坦な板金で構成されている。凹部36および手掛部43は、短辺部35が延びている方向に関して、1以上の梁部38から外れた位置に設けられることが好ましい。
【0032】
図7に示すように、1以上の梁部38は、断面四角形に形成されている。梁部38のそれぞれは、凸形に折り曲げられた金属板金と平坦な金属板金とを溶接することで断面四角形に形成されてもよいし、平坦な金属板金をプレス加工で略四角形断面に折り曲げて形成されてもよい。1以上の梁部38は、棚板15の長手方向の全幅に亘って設けられる。また、変形例として、梁部38の一つは、手掛部43に対応する位置で短辺部35と交差する方向に延びるように設けられていてもよく、その場合に、梁部38の両端部が手掛部43と一体化されていてもよい。
【0033】
図4~
図8に示すように、カバー32は、短辺部35を覆う第1部分42Aおよび第2部分42Bを有するカバー本体42と、凹部36を覆う手掛部43と、手掛部43と対向するように設けられ第1部分42Aと第2部分42Bとを連結する第2手掛部44と、手掛部43と第2手掛部44との間に設けられ手が通される孔部45と、カバー本体42の裏側から下方に突出するように設けられたフック部46と、を有する。カバー32は、例えば、合成樹脂材料によって一体的に成形されることが好ましい。孔部45は、短辺部35に沿う方向に長くなった長円形に形成される。フック部46は、断面「L」字形に形成されている。棚板15は、フック部46を第1柵13の第1横部材24又は第2柵14の第2横部材27等に引っかけることで、その長手方向を縦方向(鉛直方向)にした縦置き状態で第1柵13又は第2柵14に吊下げることができる。
【0034】
図6、
図7に示すように、カバー本体42の第1部分42Aおよび第2部分42Bのそれぞれは、短辺部35を差し込んで保持することが可能な袋状の形状を有する。また、第1部分42Aおよび第2部分42Bのそれぞれは、棚板本体31側に開放部を有する有底枠状をなしているとも言い換えられる。第1部分42Aは、棚板15の一つの角部に対応し、第2部分42Bは、棚板15の前記一つの角部とは異なる角部に対応する。第2部分42Bは、第1部分42Aとは分離して設けられ、第1部分42Aに対して手掛部43を間に挟んだ反対側に設けられる。第2部分42Bは、手掛部43および第2手掛部44を介して第1部分42Aと連結されている。
【0035】
図6、
図7、
図10に示すように、第1部分42Aおよび第2部分42Bのそれぞれは、短辺部35の表側に当接する第1当接片47と、1以上の梁部38の裏側に当接する第3当接片51と、第1当接片47と第3当接片51とを連結するとともに短辺部35に沿った短壁部52と、第1当接片47と第3当接片51とを連結するとともに長辺部34に沿った略台形の側壁部53と、第1当接片47に形成された第2貫通孔54と、第2貫通孔54に対向する位置に設けられたボス部55と、短壁部52から下方に向けて突出した爪部56と、他の棚板15から延びる爪部56が差し込まれる受け部57と、第3当接片51の下面から下方に向けて突出した突出片58と、第1柵13および第2柵14の横部材(第1横部材24、第1中間横部材25、第2横部材27、第2中間横部材28)が嵌め入れられる凹所61(
図12参照)と、を有する。凹所61は、孔部45の近傍に設けられる。
【0036】
図10に示すように、第1当接片47の先端は、第3当接片51の先端よりも外側に位
置していることが好ましい。第1当接片47の先端は、棚板15の内側に行くにつれて上方に行くように斜めになった第1面取部47Aを有する。第1当接片47と第3当接片51との間に、棚板本体31を挟んで保持することができる。また、変形例として、上方から見たときに、第3当接片51の先端が、第1当接片47の先端と重なるような位置関係で第3当接片51を形成してもよい。
【0037】
図6に示すように、ボス部55は、第3当接片51から第1当接片47に向けて突出するように設けられている。ボス部55と第1当接片47との間には、隙間が設けられており、この隙間に棚板本体31の短辺部35を差し込むことができる。
【0038】
図12に示すように、凹所61は、爪部56と、突出片58との間に設けられる。
【0039】
図8に示すように、手掛部43は、上方から見て、内側に凸になる緩やかな円弧状をなしている。
図9、
図11に示すように、手掛部43は、外側に向けて凸になる円弧状の断面を有する。手掛部43は、内側に開口した略「C」字状の断面を有するとも言い換えられる。手掛部43は、凹部36が収納される段部62と、段部62に隣接して設けられる頂部63と、頂部63とは反対側に設けられる底部64と、段部62の底面を構成するとともに内側に向けて延びる第2当接片65と、を有する。頂部63は、棚板本体31の表面31Aと面一になっている。頂部63は、表側および外側に向けて凸になるように円弧状に加工された第1円弧部63Aを有する。
図9、
図10等に示すように、頂部63は、第1当接片47と連続している。
【0040】
図6、
図7、
図9、
図10に示すように、底部64は、カバー本体42(第1部分42A、第2部分42B)の第3当接片51と連続するように形成されている。底部64は、裏側および外側に向けて凸になるように円弧状に加工された第2円弧部64Aを有する。ここで、本発明にいう「外側に向けて凸になる円弧状の断面」は、種々の態様をとることができ、本実施形態のように頂部63と底部64との間に平坦な面を有していてもよい。また、「外側に向けて凸になる円弧状の断面」は、手掛部43に第1円弧部63Aを有する頂部63のみ有していてもよいし、或いは、手掛部43に第2円弧部64Aを有する底部64のみ有していてもよいし、手掛部43の断面が楕円形の一部又は全部であってもよい。或いは、「外側に向けて凸になる円弧状の断面」は、頂部63と底部64との間に指掛け用の凹部を一部に含んでいてもよい。
【0041】
第2当接片65は、凹部36の裏側に当接する。第2当接片65は、その先端に、棚板15の内側に行くにつれて下方に行くように斜めになった第2面取部65Aを有する。
【0042】
図4、
図5、
図9に示すように、第2手掛部44は、手掛部43の外側で手掛部43と略平行に設けられている。第2手掛部44は、上側に向けて凸になるように円弧状に加工された第3円弧部44Aをその上部に有する。第2手掛部44は、第1横部材24および第2横部材27のいずれかと当接する平坦な当接面44Bをその下部に有する。第2手掛部44は、棚板15が第1柵13および第2柵14の横部材(第1横部材24、第1中間横部材25、第2横部材27、第2中間横部材28)間に渡された際に、横部材の上側に位置される。
図12に示すように、第2手掛部44の直径D1は、第1柵13および第2柵14の横部材(第1横部材24、第1中間横部材25、第2横部材27、第2中間横部材28)の直径D2よりも大きく構成される。
【0043】
続いて、
図4~
図11を参照して、本実施形態の棚板15の組み立て工程について説明する。棚板15は、棚板本体31の短辺部35に対してカバー32を装着して、一体に形成される。
【0044】
図6、
図7に示すように、カバー32は、凹部36に対して手掛部43を差し込むように、棚板本体31に対して位置合わせして棚板本体31に差し込まれる。このとき、カバー32の袋状をなした第1部分42Aと第2部分42Bに対して、棚板本体31の短辺部35が差し込まれる。
【0045】
図10に示すように、短辺部35の表側には、カバー本体42(第1部分42A、第2部分42B)の第1当接片47が当接する。短辺部35の裏側には、カバー本体42の第3当接片51が当接する。凹部36の裏側には、手掛部43の第2当接片65が当接する。このとき、第1当接片47の先端には、第1面取部47Aが設けられているため、短辺部35が差し込まれる際に短辺部35がカバー本体42の内側に円滑に案内される。同様に、
図9に示すように、第2当接片65の先端には、第2面取部65Aが設けられているため、凹部36が差し込まれる際に凹部36が第2当接片65の外側に円滑に案内される。
【0046】
このように、短辺部35の表側は、第1当接片47によって保持されるとともに、凹部36の裏側は、第2当接片65によって保持される。このため、棚板本体31の形状が安定し、棚板本体31に重量のある商品を設置した場合でも、棚板本体31に撓みや陥没等を生じることが極力防止される。
【0047】
カバー本体42に対して短辺部35が差し込まれた状態で、カバー32の第2貫通孔54および棚板本体31の貫通孔37に固定部材33を通し、ボス部55に対してこの固定部材33を締結することで、棚板本体31とカバー32とを一体にする。これによって、棚板15の組み立て工程が完了する。
【0048】
続いて、
図13等を参照して、本実施形態の棚板15およびこの棚板15を備えた台車11の作用について説明する。本実施形態の棚板15は、手を差し入れることが可能な凹部36(孔部45)および手掛部43が設けられている。このため、作業者は、
図1、
図13に示すように、一方の凹部36(孔部45)に対して片方の手を差し入れ、且つ他方の凹部36(孔部45)に対してもう片方の手を差し入れることで、第1柵13と第2柵14の間の位置から、棚板15を持ち上げることができる。したがって、第1柵13と第2柵14との間に渡すように棚板15を設置したり、或いは、すでに第1柵13と第2柵14の間に設置されている棚板15の設置高さを変更したりする場合でも、第1柵13と第2柵14の間の位置から作業者が棚板15を持ち上げることができ、且つ簡単に棚板15を移動させることができる。また、手掛部43は、外側に向けて凸になる円弧状の断面を有するために、凹部36が作業者の手に食い込むことがなく、作業者が棚板15を持ちやすい。
【0049】
図1に示すように、台車11は、ハンドルが省略されている。そして、第1横部材23と第2横部材27との間に棚板15が渡された状態で、第2手掛部44は、当接面44Bを介して第1横部材24および第2横部材27のいずれかと一体化されている。したがって、作業者は、棚板15の凹部36(孔部45)に手を差し入れたり、第2手掛部44を把持したりすることで、台車11を後ろ側から押したり或いは台車11を前側から引いたりすることができる。このため、台車11に持ち手部分となるハンドルを設ける必要がなく、第1柵13と第2柵14とを共通部品することができる。これによって、台車11の製造コストが低減される。また、本実施形態の台車11では、このようにハンドルが存在しないために、
図1に示すように、棚板15を第1横部材24と第2横部材27とに渡すことで、棚板15よりも大きいサイズの商品についても棚板15上に載置することができる。特に、その場合、
図2に示すように、第1縦部材23の先端部および第2縦部材26の先端部は、棚板15のカバー32の第1当接片47と面一になるため、作業者が棚板15に商品を載置する際に、誤って第1縦部材23および第2縦部材26に商品や手を引っ
かけてしまう恐れがない。したがって、大型の商品についても対応することができ、作業者にとって使い勝手が良い。
【0050】
また、作業者は、
図14に示すように、棚板15を片手で吊下げることもできる。その際、作業者は、棚板15を縦にして第2手掛部44を把持することで、棚板15を吊下げるように持つことができる。その際、第2手掛部44に第3円弧部44Aが形成されているために、作業者が楽に棚板15を吊下げることができる。このため、棚板15の取り回し性が良好となる。
【0051】
本実施形態によれば、以下のことがいえる。棚板15は、辺部と、前記辺部から内側に窪んで手を差し入れることが可能な凹部36と、を有する平板状の棚板本体31と、棚板本体31に取り付けられるカバー32であって、前記辺部を覆うカバー本体42と、凹部36を覆うとともに外側に向けて凸になる円弧状の断面を有する手掛部43と、を有するカバー32と、を備える。
【0052】
台車11は、車体12と、車体12から起立した第1柵13と、第1柵13から離間して設けられ車体12から起立した第2柵14と、第1柵13と第2柵14との間に渡される棚板15と、を備え、棚板15は、辺部と、前記辺部から内側に窪んで手を差し入れることが可能な凹部36と、を有する平板状の棚板本体31と、棚板本体31に取り付けられるカバー32であって、前記辺部を覆うカバー本体42と、凹部36を覆うとともに外側に向けて凸になる円弧状の断面を有する手掛部43と、を有するカバー32と、を有する。
【0053】
これらの構成によれば、棚板15に内側に窪む凹部36が設けられているために、作業者が棚板15を持ち上げる際に、凹部36に手を差し入れて棚板15を持ち上げることができ、作業者の棚板15の設置作業又は棚板15の設置高さの変更の作業を円滑に行うことができる。また、円弧状断面の手掛部43によって、凹部36が覆われているために、凹部36を把持している作業者の手に凹部36が食い込んでしまうことを防止できる。これらによって、棚板15を持ち上げたり棚板15の設置高さを変更したり際に、作業者にかかる作業負担を低減して、省力化を実現できる。
【0054】
手掛部43は、凹部36が収納される段部62と、段部62に隣接して設けられ棚板本体31の表面と面一になった頂部63と、を有する。この構成によれば、棚板本体31の表面と手掛部43の頂部63が面一になっているために、棚板本体31と手掛部43とに跨る位置に商品を載置した場合でも、頂部63に商品が引っ掛かってしまうことがない。これによって、商品の積み下ろしをする際に、作業を円滑にすることができ、作業者の作業負担を低減できる。また、凹部36および手掛部43の上側も商品の載置面とすることができ、凹部36を設けたことに起因して商品を設置スペースが小さくなってしまうという不具合を生じることがない。これによって、作業者の作業負担の低減と、棚板15上の広い商品設置スペースの確保との両立を図ることができる。
【0055】
カバー本体42は、前記辺部の表側に当接する第1当接片47を有し、手掛部43は、凹部36の裏側に当接する第2当接片65を有する。この構成によれば、棚板本体31の表側を第1当接片47で保持し、棚板本体31の裏側を第2当接片65で保持することができ、棚板本体31を近い位置で両面から挟むように保持できる。これによって、棚板本体31の剛性を向上することができ、商品重さによって棚板15が大きく撓んだりすることを防止できる。
【0056】
棚板本体31は、前記辺部と交差する方向に延びる1以上の梁部38を有し、凹部36および手掛部43は、1以上の梁部38から外れた位置に設けられる。この構成によれば
、梁部38によって、棚板15の剛性を向上することができる。また、凹部36および手掛部43と梁部38とが干渉してしまうことがなく、梁部38を例えば、辺部と交差する方向に関して棚板本体31の全幅に亘るように設置することができる。これによって、棚板15の剛性をさらに向上することができる。
【0057】
カバー本体42は、1以上の梁部38の裏側に当接する第3当接片51を有し、頂部63は、第1当接片47と連続し、手掛部43は、頂部63とは反対側に設けられ第3当接片51と連続するように形成された底部64を有する。この構成によれば、相互に連続する構造を採用することで、手掛部43およびカバー本体42の剛性を向上できる。
【0058】
第1当接片47の先端は、第3当接片51の先端よりも外側に位置する。この構成によれば、棚板15の表側に広い商品設置面を形成することができる。これによって、作業者の作業負担の低減と、棚板15上の広い商品設置スペースの確保との両立を図ることができる。
【0059】
棚板15は、カバー本体42に設けられる第1部分42Aと、カバー本体42に設けられ第1部分42Aに対して手掛部43を間に挟んだ反対側に設けられた第2部分42Bと、手掛部43と対向するように設けられ第1部分42Aと第2部分42Bとを連結する第2手掛部44と、手掛部43と第2手掛部44との間に設けられ手が通される孔部45と、を備える。
【0060】
この構成によれば、手掛部43に手を掛けて棚板15を保持できるのみならず、第2手掛部44に手を掛けて、片手で棚板15を吊下げるように保持することもできる。このため、作業者にとってさらに使い勝手の良好な棚板15を提供できる。
【0061】
第1柵13は、車体12から成人の略腰の高さにまで延びる一対の第1縦部材23と、一対の第1縦部材23の略先端部同士を連結した第1横部材24と、を有し、第2柵14は、車体12から成人の略腰の高さにまで延びる一対の第2縦部材26と、一対の第2縦部材26の略先端部同士を連結した第2横部材27と、を有し、棚板15は、第1横部材24と第2横部材27との間に渡される。
【0062】
この構成によれば、棚板15を台車11の天板として用いることができる。また、台車11にハンドルが存在しないために、棚板15よりも大きいサイズの商品についても棚板15上に載置することができる。したがって、大型の商品についても対応することができ、作業者にとって使い勝手が良好な台車11を実現できる。
【0063】
棚板15は、カバー本体42に設けられる第1部分42Aと、カバー本体42に設けられ第1部分42Aに対して手掛部43を間に挟んだ反対側に設けられた第2部分42Bと、手掛部43と対向するように設けられ第1部分42Aと第2部分42Bとを連結する第2手掛部44と、手掛部43と第2手掛部44との間に設けられ手が通される孔部45と、を有する。
【0064】
この構成によれば、作業者が棚板15を持ち上げる際に、手掛部43のみならず、第2手掛部44を把持して棚板15を持ち上げることもできる。また、第2手掛部44を台車11を操作する際のハンドルとして利用することができる。このため、台車11の柵からハンドルの構造を省略することができ、第1柵13と第2柵14とを共通部品にして低コスト化を図ることができる。
【0065】
第2手掛部44の直径は、第1横部材24および第2横部材27の直径よりも大きく構成され、第2手掛部44は、第1横部材24および第2横部材27のいずれかと当接する
当接面44Bを有するとともに、第1横部材24と第2横部材27との間に棚板15が渡された状態で、当接面44Bを介して第1横部材24および第2横部材27のいずれかと一体化することが可能である。この構成によれば、第2手掛部44を台車11を操作するためのハンドルとして用いやすくして作業者の作業負担を低減できる。
【0066】
第2手掛部44は、上側に向けて凸になる円弧状の断面を有する。この構成によれば、作業者が台車11を押し引きする際に、第2手掛部44に対して上方から手を掛けやすく、台車11を操作する時に手が痛くない構造にすることができる。これによって、さらに作業者の作業負担が低減された台車11を実現できる。
【0067】
カバー本体42は、第1横部材24および第2横部材27のいずれかが嵌め入れられる凹所61を孔部45の近傍に有する。この構成によれば、作業者の手が通される孔部45の近傍に凹所61が設けられるために、凹所61を第1横部材24および第2横部材27のいずれかに位置合わせする際に、作業者が狙いをつけやすい。このため、棚板15を第1柵13と第2柵14との間に渡すように設置する際や棚板15の設置高さを変更する際に、作業性に優れ、作業者の作業負担が低減された台車11を実現できる。
【0068】
以下の第2実施形態では、主として第1実施形態と異なる部分について説明し、第1実施形態と共通する部分については、図示又は説明を省略する。
[第2実施形態]
【0069】
図15を参照して、台車の第2実施形態について説明する。本実施形態では、第1柵13および第2柵14の構成が第1実施形態とは異なっている。
【0070】
第1柵13は、例えば、車体12の前側の端部に設けられる。第1柵13は、底板部21の角部から起立した一対の第1縦部材23と、一対の第1縦部材23の略先端部同士を連結した第1横部材24と、一対の第1縦部材23の途中の位置同士を連結した第1中間横部材25と、を有する。第1縦部材23の先端部(上端部)は、成人の胸以上の高さに位置し、より好ましくは成人の胸から頭部に対応する高さに位置している。第1縦部材23の先端部(上端部)は、成人の頭部以上の高さであってもよい。ここで、略先端部とは、第1縦部材23の先端部か、又は先端部の近傍の部分をいうものとする。
【0071】
第2柵14は、例えば、車体12の後側の端部に設けられる。第2柵14は、底板部21の角部から起立した一対の第2縦部材26と、一対の第2縦部材26の略先端部同士を連結した第2横部材27と、一対の第2縦部材26の途中の位置同士を連結した第2中間横部材28と、を有する。第2縦部材26の先端部(上端部)は、成人の胸以上の高さに位置し、より好ましくは成人の胸から頭部に対応する高さに位置している。第2縦部材26の先端部(上端部)は、成人の頭部以上の高さであってもよい。ここで、略先端部とは、第1縦部材23の先端部か、又は先端部の近傍の部分をいうものとする。
【0072】
棚板15は、例えば、第1柵13の第1横部材24と、第2柵14の第2横部材27と、の間に着脱可能に渡される。或いは、棚板15は、第1柵13の第1中間横部材25と、第2柵14の第2中間横部材28と、の間に着脱可能に渡されてもよい。棚板15は、略水平に配置されるように、第1柵13と第2柵14との間で、同じ高さの横部材の間に渡されるように設置される。1個の台車11に棚が複数段に形成されるように、1個の台車11に対して複数の棚板15が設置されてもよい。
【0073】
続いて、
図15等を参照して、本実施形態の棚板15およびこの棚板15を備えた台車11の作用について説明する。本実施形態の棚板15は、手を差し入れることが可能な凹部36および手掛部43が設けられている。このため、作業者は、
図15に示すように、
一方の凹部36(孔部45)に対して片方の手を差し入れ、且つ他方の凹部36(孔部45)に対してもう片方の手を差し入れることで、第1柵13と第2柵14の間の位置から、棚板15を持ち上げることができる。したがって、第1柵13と第2柵14との間に渡すように棚板15を設置したり、或いは、すでに第1柵13と第2柵14の間に設置されている棚板15の設置高さを変更したりする場合でも、第1柵13と第2柵14の間の位置から作業者が棚板15を持ち上げることができ、且つ簡単に棚板15を移動させることができる。また、手掛部43は、外側に向けて凸になる円弧状の断面を有するために、凹部36が作業者の手に食い込むことがなく、作業者が棚板15を持ちやすい。
【0074】
図15に示すように、台車11は、ハンドルが省略されている。そして、第1中間横部材25と第2中間横部材28との間に棚板15が渡された状態で、第2手掛部44は、当接面44Bを介して第1中間横部材25および第2中間横部材28のいずれかと一体化されている。したがって、作業者は、棚板15の凹部36(孔部45)に手を差し入れたり、第2手掛部44を把持したりすることで、台車11を後ろ側から押したり或いは台車11を前側から引いたりすることができる。このため、台車11に持ち手部分となるハンドルを設ける必要がなく、第1柵13と第2柵14とを共通部品することができる。これによって、台車11の製造コストが低減される。
【0075】
また、作業者は、
図14に示すように、棚板15を片手で吊下げることもできる。その際、作業者は、棚板15を縦にして第2手掛部44を把持することで、棚板15を吊下げるように持つことができる。その際、第2手掛部44に第3円弧部44Aが形成されているために、作業者が楽に棚板15を吊下げることができる。このため、棚板15の取り回し性が良好となる。
【0076】
本実施形態によれば、以下のことがいえる。第1柵13は、車体12から成人の胸以上の高さにまで延びる一対の第1縦部材23と、一対の第1縦部材23同士を連結した第1中間横部材25と、を有し、第2柵14は、車体12から成人の胸以上の高さにまで延びる一対の第2縦部材26と、一対の第2縦部材26同士を連結した第2中間横部材28と、を有し、棚板15は、第1中間横部材25と第2中間横部材28との間に渡される。
【0077】
この構成によれば、棚板15に凹部36が設けられるために、第1柵13と第2柵14との間の位置から棚板15を着脱する際に、作業者が棚板15の長辺部34を把持する必要がなくなり、作業者の作業効率を向上することで、作業負担を低減できる。
【0078】
棚板15は、カバー本体42に設けられる第1部分42Aと、カバー本体42に設けられ第1部分42Aに対して手掛部43を間に挟んだ反対側に設けられた第2部分42Bと、手掛部43と対向するように設けられ第1部分42Aと第2部分42Bとを連結する第2手掛部44と、手掛部43と第2手掛部44との間に設けられ手が通される孔部45と、を有する。
【0079】
この構成によれば、手掛部43に手を掛けて棚板15を保持できるのみならず、第2手掛部44に手を掛けて、片手で棚板15を吊下げるように保持することもできる。このため、作業者にとってさらに使い勝手の良好な棚板15を提供できる。
【0080】
カバー本体42は、第1中間横部材25および第2中間横部材28のいずれかが嵌め入れられる凹所61を孔部45の近傍に有する。この構成によれば、作業者の手が通される孔部45の近傍に凹所61が設けられるために、第1柵13と第2柵14との間の位置から凹所61を第1中間横部材25および第2中間横部材28のいずれかに位置合わせする際に、作業者が狙いをつけやすい。このため、棚板15を第1柵13と第2柵14との間に渡すように設置する際や棚板15の設置高さを変更する際に、作業性に優れ、作業者の
作業負担が低減された台車11を実現できる。
【0081】
上記した実施形態は、種々の置き換えや変形を加えて実施できる。また、上記実施形態同士を適宜に組み合わせて発明を実現することも当然にできる。
【符号の説明】
【0082】
11 台車
12 車体
13 第1柵
14 第2柵
15 棚板
23 第1縦部材
24 第1横部材
25 第1中間横部材
26 第2縦部材
27 第2横部材
28 第2中間横部材
31 棚板本体
31A 表面
32 カバー
35 短辺部
36 凹部
37 貫通孔
42 カバー本体
42A 第1部分
42B 第2部分
43 手掛部
44 第2手掛部
44A 第3円弧部
44B 当接面
45 孔部
46 フック部
47 第1当接片
47A 第1面取部
51 第3当接片
58 突出片
61 凹所
62 段部
63 頂部
63A 第1円弧部
64 底部
64A 第2円弧部
65 第2当接片
65A 第2面取部
【手続補正書】
【提出日】2023-08-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
辺部と、前記辺部から内側に窪んで手を差し入れることが可能な凹部と、を有する平板状の棚板本体と、
前記棚板本体に取り付けられるカバーであって、前記辺部を覆うカバー本体と、前記凹部を覆うとともに前記棚板本体の長手方向に関して外側に向けて凸になる円弧状の断面を有する手掛部と、を有するカバーと、
を備える棚板。
【請求項2】
辺部と、前記辺部から内側に窪んで手を差し入れることが可能な凹部と、を有する平板状の棚板本体と、
前記棚板本体に取り付けられるカバーであって、前記辺部を覆うカバー本体と、前記凹部を覆うとともに外側に向けて凸になる円弧状の断面を有する手掛部と、を有するカバーと、
前記カバー本体に設けられる第1部分と、
前記カバー本体に設けられ前記第1部分に対して前記手掛部を間に挟んだ反対側に設けられた第2部分と、
前記手掛部と対向するように設けられ前記第1部分と前記第2部分とを連結する第2手掛部と、
前記手掛部と前記第2手掛部との間に設けられ手が通される孔部と、
を備える棚板。
【請求項3】
車体と、
前記車体から起立した第1柵と、
前記第1柵から離間して設けられ前記車体から起立した第2柵と、
前記第1柵と前記第2柵との間に渡される棚板と、
を備え、
前記棚板は、
辺部と、前記辺部から内側に窪んで手を差し入れることが可能な凹部と、を有する平板状の棚板本体と、
前記棚板本体に取り付けられるカバーであって、前記辺部を覆うカバー本体と、前記凹部を覆うとともに前記棚板本体の長手方向に関して外側に向けて凸になる円弧状の断面を有する手掛部と、を有するカバーと、
を有する台車。
【請求項4】
前記第1柵は、前記車体から成人の略腰の高さにまで延びる一対の第1縦部材と、前記一対の第1縦部材の略先端部同士を連結した第1横部材と、を有し、
前記第2柵は、前記車体から成人の略腰の高さにまで延びる一対の第2縦部材と、前記一対の第2縦部材の略先端部同士を連結した第2横部材と、を有し、
前記棚板は、前記第1横部材と前記第2横部材との間に渡される請求項3に記載の台車。
【請求項5】
前記棚板は、
前記カバー本体に設けられる第1部分と、
前記カバー本体に設けられ前記第1部分に対して前記手掛部を間に挟んだ反対側に設けられた第2部分と、
前記手掛部と対向するように設けられ前記第1部分と前記第2部分とを連結する第2手掛部と、
前記手掛部と前記第2手掛部との間に設けられ手が通される孔部と、
を有する請求項4に記載の台車。
【請求項6】
前記第2手掛部の直径は、前記第1横部材および前記第2横部材の直径よりも大きく構成され、
前記第2手掛部は、前記第1横部材および前記第2横部材のいずれかと当接する当接面を有するとともに、前記第1横部材と前記第2横部材との間に前記棚板が渡された状態で、前記当接面を介して前記第1横部材および前記第2横部材のいずれかと一体化することが可能である請求項3に記載の台車。
【請求項7】
前記第2手掛部は、上側に向けて凸になる円弧状の断面を有する請求項6に記載の台車。
【請求項8】
前記カバー本体は、前記第1横部材および前記第2横部材のいずれかが嵌め入れられる凹所を前記孔部の近傍に有する請求項7に記載の台車。