(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166455
(43)【公開日】2023-11-21
(54)【発明の名称】心室補助デバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61M 60/165 20210101AFI20231114BHJP
A61M 60/237 20210101ALI20231114BHJP
A61M 60/419 20210101ALI20231114BHJP
A61M 60/804 20210101ALI20231114BHJP
A61M 60/824 20210101ALI20231114BHJP
A61M 60/861 20210101ALI20231114BHJP
【FI】
A61M60/165
A61M60/237
A61M60/419
A61M60/804
A61M60/824
A61M60/861
【審査請求】有
【請求項の数】26
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023137124
(22)【出願日】2023-08-25
(62)【分割の表示】P 2019558621の分割
【原出願日】2018-04-18
(31)【優先権主張番号】15/582,037
(32)【優先日】2017-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/582,030
(32)【優先日】2017-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516245324
【氏名又は名称】ヌハート エーエス
【氏名又は名称原語表記】NUHEART AS
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ツセス, ベーガール
(72)【発明者】
【氏名】パターソン, ショーン
(72)【発明者】
【氏名】ハールスタッド, フィリップ ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】クレプスビク, クヌート
(57)【要約】 (修正有)
【課題】患者の心臓機能を支援するための体内デバイスを提供する。
【解決手段】体内デバイス1は心臓の少なくとも2つの解剖学的壁(例えば、心房中隔、左心房、大動脈壁)の壁を横切って固定されるように適合され構成される。本発明はまた、患者の心臓機能を支援するための方法であって、心臓の少なくとも2つの解剖学的壁を横切って体内デバイスを固定するステップを含み、少なくとも1つの解剖学的壁が心臓内壁であり、少なくとも1つの解剖学的壁が心臓外壁である、方法に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の心臓機能を支援するための体内デバイスであって、
心臓の少なくとも2つの解剖学的壁を横切って固定されるように適合され構成されており、
当該体内デバイスが、第1の解剖学的区画内に配置されることになっている近位部分と、第2の解剖学的区画内に配置されることになっている中間部分と、第3の解剖学的区画内に配置されることになっている遠位部分とを備え、
当該体内デバイスが、前記近位部分内に配置されたモータと、前記中間部分の1つまたは複数の流体入口ポートと、前記中間部分内のポンプと、前記遠位部分の1つまたは複数の流体出口ポートとを備えており、
前記少なくとも2つの解剖学的壁のうちの少なくとも1つの解剖学的壁が心臓内壁であり、前記少なくとも2つの解剖学的壁のうちの少なくとも1つの解剖学的壁が心臓外壁であり、
当該体内デバイスが、前記モータの駆動軸を前記ポンプに結合するように構成されたモータ結合要素を備えており、前記モータ結合要素が、前記モータの前記駆動軸を前記ポンプに磁気的に結合する、体内デバイス。
【請求項2】
前記体内デバイスが、
1つまたは複数の解剖学的壁を横切って配置されるように構成されたコネクタによって、および
任意選択的に、前記体内デバイスに一体的に形成されているか、または結合される固定手段によって、
1つまたは複数の解剖学的壁に固定されるように適合され構成されている、請求項1に記載の体内デバイス。
【請求項3】
前記固定手段が、前記体内デバイスから延びる複数のアームを備える、請求項2に記載の体内デバイス。
【請求項4】
前記体内デバイスが、1つまたは複数の解剖学的壁を受け入れるように適合され構成された1つまたは複数の凹部を備える、請求項1に記載の体内デバイス。
【請求項5】
前記ポンプが、インペラとポンプハウジングとを備え、前記インペラが、前記ポンプハウジング内に配置されている、請求項1に記載の体内デバイス。
【請求項6】
前記インペラが、前記インペラの中央部分で最大となるテーパ形状を備える、請求項5に記載の体内デバイス。
【請求項7】
前記遠位部分内におよび前記1つまたは複数の流体出口ポートの前に配置された静的拡散器を備える、請求項1に記載の体内デバイス。
【請求項8】
前記遠位部分の端部に結合部材を備える、請求項1に記載の体内デバイス。
【請求項9】
前記結合部材が、静的拡散器を備える、請求項8に記載の体内デバイス。
【請求項10】
前記結合部材が、固定手段の結合を促進する、請求項8に記載の体内デバイス。
【請求項11】
前記静的拡散器が、前記ポンプのインペラと前記1つまたは複数の流体出口ポートとの間に配置されている、請求項7に記載の体内デバイス。
【請求項12】
前記モータ結合要素が、前記モータの前記駆動軸を前記ポンプに軸方向に結合する、請求項1に記載の体内デバイス。
【請求項13】
前記モータ結合要素が、前記モータの前記駆動軸を前記ポンプに径方向に結合する、請求項1に記載の体内デバイス。
【請求項14】
前記モータ、前記駆動軸、および前記駆動軸の端部の磁気要素が、密閉型ハウジング内に位置している、請求項1に記載の体内デバイス。
【請求項15】
前記モータ結合要素の一部分が、前記磁気要素を収容する前記密閉型ハウジングの一部分を取り囲んでいる、請求項14に記載の体内デバイス。
【請求項16】
間隙空間が、前記モータ結合要素の前記部分と前記密閉型ハウジングの前記部分との間に存在している、請求項15に記載の体内デバイス。
【請求項17】
前記モータ結合要素のインターフェースが、前記駆動軸を前記ポンプに結合するために前記モータのインターフェースに磁気的に固定可能であり、空隙が、結合中に前記インターフェース間に存在している、請求項1に記載の体内デバイス。
【請求項18】
使用中、前記空隙が、前記モータのインターフェースと前記モータ結合要素の前記インターフェースとの間の流体の流れを促進する、請求項17に記載の体内デバイス。
【請求項19】
前記モータ結合要素のさらなるインターフェースが、前記ポンプのインペラのインターフェースに結合する、請求項17に記載の体内デバイス。
【請求項20】
前記モータ結合要素が、1つまたは複数のボア部分を備える、請求項1に記載の体内デバイス。
【請求項21】
前記1つまたは複数のボア部分が、前記モータ結合要素を通って延びるボアホールを備える、請求項20に記載の体内デバイス。
【請求項22】
前記1つまたは複数のボア部分が、前記モータ結合要素のインターフェースをそれぞれのインペラインターフェースに結合する分割されたアームを備える、請求項20に記載の体内デバイス。
【請求項23】
使用中、流体が、前記モータのインターフェースと前記モータ結合要素の前記インターフェースとの間および前記1つまたは複数のボア部分を通って、前記ポンプのインペラに向かって流れるようになっている、請求項20に記載の体内デバイス。
【請求項24】
前記1つまたは複数の流体入口ポートが、前記1つまたは複数のボア部分と前記ポンプのインペラとの間に配置されている、請求項20に記載の体内デバイス。
【請求項25】
前記モータが、電源および制御手段を備える、請求項1に記載の体内デバイス。
【請求項26】
前記電源および制御手段が、テーパ部分を介して前記モータに結合されている、請求項25に記載の体内デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、医療デバイスおよび手術デバイスの分野に関する。より詳細には、本発明は、カテーテルおよび対応するカテーテル使用方法に関する。本発明は、2015年3月17日に出願され、参照によってその全体が明示的に組み込まれる、「PERCUTANEOUS SYSTEM、DEVICES AND METHODS」と題する、PCT出願番号国際出願EP2015/055578号明細書に記載されるものなどの低侵襲性経カテーテルおよび/または経皮的処置の文脈において特に有用である。
【背景技術】
【0002】
国際出願EP2015/055578号明細書では、発明者は、第1の解剖学的区画と第2の解剖学的区画との間の流体連通のための体内コネクタ、特に患者の左心房と大動脈との間の血流を可能にするための心室補助システムについて説明している。このシステムは、左心房のルーフおよび大動脈壁を横切って埋め込まれ、通常、2つの主要な構成要素、すなわちアンカまたはコネクタ要素と、ポンプなどの流体調節デバイスとを備える。
【0003】
心室補助システムは、例えば、参照によって本明細書にすべて組み込まれる、PCT出願番号国際出願EP2015/055578号明細書、または2016年12月29日に出願された「TRANSCATHETER INSERTION SYSTEM」と題する国際出願EP2016/082889号明細書、2017年1月6日に出願された、「CONNECTOR AND METHOD FOR COUPLING ANATOMICAL WALLS」と題する、PCT出願番号国際出願EP2017/050275号明細書、および2016年10月7日に出願された、米国特許出願第15/288642号明細書および米国特許出願第15/288738号明細書に記載された経カテーテルシステムを使用して送達され埋め込まれることが好ましい。
【0004】
コネクタ要素は、近位部分と、中間部分と、遠位部分とを備える。近位部分は、動作構成において第1の区画の壁に接する複数のアームを備え、中間部分は、流体導管を備え、動作構成において解剖学的壁を横切って配置され、遠位部分は、動作構成において大動脈壁に接する複数のアームを備える。中間部分は、2つの解剖学的壁が互いに接触したままになるように適合され構成され、一方で、遠位および近位アームは、解剖学的壁の構造的完全性を維持するように適合され構成される。これは特に重要である。その理由は、コネクタは、例えば流体調節デバイス自体の構造、ポンプおよび患者の動きによって生み出された血流によって圧力下にあり、ずれやすくなる解剖学的壁を横切って、流体調節デバイスを安全に支持するように適合および構成されるためである。
【0005】
上記の心室補助システムは安全に埋め込み可能であり、流体の流れをうまく確立することができるが、心臓のサイズおよび構造は、流体調節デバイス、結果として送達および埋め込みの方法およびシステムを適合させる必要があるようなものである。流体調節デバイスは、通常、ポンプ要素と、モータ要素と、任意選択により(例えば、2016年8月11日に出願されたPCT出願番号国際出願EP2016/069159号明細書に記載されているような)電池要素と、必要に応じて、前記電池を充電するための手段とを備える。心臓内の空間および操作は制限されており、流体調節デバイスの効率が悪影響を受けない程度の小型化しか考慮することはできない。デバイスのサイズが大きくなると、解剖学的壁により大きく圧力がかかり、その完全性が損なわれる可能性がある。したがって、心臓組織の外傷のリスクが存在し、これは危険であり、患者にとって致命的となる場合がある。
【0006】
本発明の目的は、上記のような問題を軽減することである。
【発明の概要】
【0007】
第1の態様によれば、患者の心臓機能を支援するための方法であって、心臓の少なくとも2つの解剖学的壁を横切って体内デバイスを固定するステップを含み、少なくとも1つの解剖学的壁が心臓内壁であり、少なくとも1つの解剖学的壁が心臓外壁である、方法が提供される。
【0008】
したがって、体内デバイスは、2点アンカ固定システムを使用して心臓に安全に固定される。デバイスは安定化され、デバイスおよび血流によって心臓構造に及ぼされる圧力は共有され、それにより、単一の壁に対する負担および外傷のリスクが低減される。
【0009】
本発明の文脈において、「体内」は患者の体の内側を意味し、「体外」は患者の体の外側を意味する。例えば、体内デバイスまたは構成要素は、患者の体内に配置され、体外デバイスまたは構成要素は、患者の体外に配置される。
【0010】
本発明の文脈において、「心臓内」は心臓の内側を意味し、「心臓外」は、心臓の内側と外側との間、または心臓の外側を意味する。例えば、心臓内壁は、心臓の内側に配置された解剖学的壁である。心臓内壁の例は、右心房と左心房との間の心房中隔および右心室と左心室との間の心室中隔を含むが、これらに限定されない。心臓外壁は、心臓の内側と外側との間の解剖学的壁、例えば、左心房、右心房、左心室または右心室の内側と、心臓およびさらに大動脈壁の外側との間の解剖学的壁であることができる。
【0011】
好ましい実施形態では、心臓内壁は心房中隔であり、心臓外壁は、左心房の壁、最も好ましくは左心房のルーフである。これらの解剖学的壁は、左心房から大動脈までの流体の流れを調節する流体調節デバイスを埋め込む場合に特に有効である。例えば、国際出願EP2015/055578号明細書では、流体調節デバイスは、心房中隔の穿孔部を通って挿入され、次いで、左心房のルーフ上に埋め込まれ、それにより、左心房内に配置された入口から大動脈内に配置された出口まで血液が流れるようになる。左心房および大動脈壁は、流体調節デバイス自体の埋め込みによる張力、および流体の流れによる圧力を受ける。例えば心房中隔上に第2のアンカ固定点を提供することにより、デバイスは安定化され、解剖学的壁が個々に受ける圧力はより小さくなる。したがって、負傷、外傷、および漏れのリスクは最小限に抑えられる。心房中隔は、体内デバイスを固定および支持するのに十分に略堅固であり、堅牢であるが、埋め込み中および埋め込み後の動きを緩衝するのに十分な可撓性があるという点で好ましい。加えて、心房中隔は、しばしば挿入経路として使用され、さらなる穿孔を必要とせずに第2のアンカ点として使用され得る。
【0012】
好ましくは、方法は、少なくとも第3の解剖学的壁を横切って体内デバイスを固定するステップをさらに含む。より好ましくは、第3の解剖学的壁は、心臓外壁に隣接する壁である。本発明の文脈内では、「隣接する壁」とは、「自然に物理的に近い壁」を意味する。例えば、2つの隣接する壁は、左心房の壁および大動脈壁などの2つの隣接する解剖学的区画の隣接する壁であってよい。好ましい実施形態では、第3の解剖学的壁は、左心房のルーフに隣接する大動脈壁である。
【0013】
本発明は、少なくとも2つの解剖学的壁によって分離された2つの解剖学的区画間に流体の流れを確立する場合に特に有用である。国際出願EP2015/055578号明細書に記載されているように、解剖学的壁は、送達カテーテルまたは外側シースによって互いに接触するように押され、穿孔され、例えばコネクタを使用して一緒に固定される。2つのアンカ点が設けられる場合、圧力および張力が分散され、コネクタ上およびその周辺に集中しなくなる。
【0014】
好ましくは、体内デバイスは、第1の解剖学的区画内に配置されることになっている近位部分と、第2の解剖学的区画内に配置されることになっている中間部分と、第3の解剖学的区画内に配置されることになっている遠位部分とを備える。好ましい実施形態では、体内デバイスの近位部分は、右心房内に配置されることになっており、中間部分は、左心房内に配置されることになっており、遠位部分は、大動脈内に配置されることになっている。したがって、体内デバイスは、心房中隔(近位部分と中間部分との間)および左心房および大動脈の壁(中間部分と遠位部分との間)に固定され得る。
【0015】
体内デバイスのさまざまな要素の位置は、以下により詳細に説明するように、任意の2つの区画間の流体の流れを補助するように適合され構成され得る。好ましい実施形態では、体内デバイスは、第2の区画から第3の区画へ、例えば左心房から大動脈への流体の流れを補助するための流体調節デバイスである。
【0016】
好ましくは、体内デバイスは、コネクタによって1つまたは複数の解剖学的壁に固定される。より好ましくは、コネクタは、別個のコネクタであってよく、または体内デバイスに一体的に形成されるか、または取り付けられてもよい。
【0017】
好ましくは、コネクタは、1つまたは複数の解剖学的壁を横切って配置されることになっているネックと、ネックの第1の端部から延びる第1の複数のアームと、ネックの第2の端部から延びる第2の複数のアームとを備える。本明細書に引用した本出願人の以前の出願に記載されているように、アームは、好ましくは、(例えばネックと一直線の)経カテーテル送達構成から(例えばネックに略垂直な)動作構成に移動可能である。
【0018】
別個のコネクタの場合、コネクタおよび/または体内デバイスは、体内デバイスをコネクタに結合するための手段を備える。
【0019】
好ましくは、コネクタは、体内デバイスに一体的に形成されるか、または結合される。この実施形態では、コネクタは、体内デバイスを解剖学的壁に連結するための手段を備える。例えば、体内デバイスは、体内デバイスから延びる複数のアームを備えることができる。好ましくは、アームは、(例えば、ネックと一直線の)経カテーテル送達構成から(例えば、ネックに略垂直な)動作構成に移動可能であることが好ましい。
【0020】
好ましい実施形態では、体内デバイスは、体内デバイスをコネクタに固定するための手段を備える。好ましくは、固定手段は、体内デバイス、好ましくは体内デバイスの遠位端から延びる複数のアームを備える。アームは、(例えば、体内デバイスから略長手方向に延びる)送達構成から(例えば、体内デバイスの長手方向軸線から離れる方向に延びる)動作構成に移動され得る。動作構成では、固定アームはコネクタと協働して、体内デバイスを解剖学的壁にアンカ固定することができる。さらに、固定アームは、流体の流れおよび/または体内デバイスの自重およびかさばりに対する、壁組織に対する追加の支持体としての役割を果たすことができる。
【0021】
好ましくは、体内デバイスは、1つまたは複数の解剖学的壁を受け入れるように適合され構成された1つまたは複数の凹部を備える。好ましい実施形態では、体内デバイスは、細長いハウジングまたは略円筒状のハウジングを備える。体内デバイスは、解剖学的壁を内部に受け入れるように適合された円周方向凹部を備えることができ、それによって体内デバイスを壁に固定する。好ましくは、解剖学的壁の凹部内への挿入を促進するために、凹部は傾斜した、または湾曲した壁を有する。
【0022】
本発明の第2の態様によれば、患者の心臓機能を支援するための体内デバイスであって、心臓の少なくとも2つの解剖学的壁を横切って固定されるように適合され構成される、体内デバイスが提供される。
【0023】
好ましくは、少なくとも1つの解剖学的壁は心臓内壁であり、少なくとも1つの解剖学的壁は心臓外壁である。
【0024】
好ましくは、体内デバイスは、コネクタによって1つまたは複数の解剖学的壁に固定されるように適合され構成され、前記コネクタは、体内デバイスに一体的に形成されるか、または結合される。
【0025】
好ましくは、体内デバイスは、コネクタおよび固定手段によって1つまたは複数の解剖学的壁に固定されるように適合され構成され、前記コネクタは、1つまたは複数の解剖学的壁を横切って配置されるように構成され、前記固定手段は、体内デバイスに一体的に形成されるか、または結合される。
【0026】
好ましくは、固定手段は、体内デバイス、例えば体内デバイスの遠位端から延びる複数のアームを備える。
【0027】
好ましくは、体内デバイスは、1つまたは複数の解剖学的壁を受け入れるように適合され構成された1つまたは複数の凹部を備える。
【0028】
好ましくは、体内デバイスは、第1の解剖学的区画内に配置されることになっている近位部分と、第2の解剖学的区画内に配置されることになっている中間部分と、第3の解剖学的区画内に配置されることになっている遠位部分とを備える。
【0029】
好ましくは、体内デバイスは、近位部分内に配置されたモータを備える。好ましくは、体内デバイスは、中間部分内に1つまたは複数の流体入口ポートを備える。好ましくは、体内デバイスは、中間部分内にポンプを備える。
【0030】
好ましくは、ポンプは、インペラおよびポンプハウジングを備え、インペラは、ポンプハウジング内に配置される。インペラは、一般に軸流インペラと呼ばれる、インペラの主要(長手方向)軸線に平行な方向に回転中心から外向きに流体を加速する回転可能な要素である。インペラは、その主軸線を中心にポンプハウジングに対して回転する。インペラはポンプハウジングに囲まれているため、流体の外向きの動きがポンプハウジングによって制限されると、インペラの回転速度が圧力に変わる。
【0031】
好ましくは、インペラはテーパ形状を備える。テーパ形状は、インペラの近位部端から中央部に向かって増大し、テーパ形状は、次いで、テーパインペラの断面が楕円に近づくように遠位部分に向かって減少し、楕円の主軸線はポンプハウジングの主軸線に平行である。インペラのテーパ形状は、ポンプハウジング内の流体圧力を増大させるという利点を有する。したがって、血液などの流体が、体内デバイス内のモータおよびさまざまなベアリングなど、熱を生成するデバイスの部材の周りで費やす時間が少なくなる。これにより、デバイスによって生成される熱によって流体が損傷する可能性が低くなり、これは、さらに、流体が凝固し、循環系をブロックする可能性を低くする。したがって、流体は、モータハウジングの表面および内部ポンプ要素を冷却する。
【0032】
好ましくは、体内デバイスは、遠位部分内に1つまたは複数の流体出口ポートを備える。流体が出入りする区画に応じて、1つまたは複数の流体入口ポートは、近位部分および/または中間部分内に配置され得る。好ましい実施形態では、体内デバイスの近位部分は、右心房内に配置されることになっており、中間部分は、左心房内に配置されることになっており、遠位部分は、大動脈内に配置されることになっている。最も好ましい実施形態では、中間部分は、1つまたは複数の入口ポートを備え、遠位部分は、1つまたは複数の出口ポートを備え、それにより、流体は左心房から大動脈に流れることができる。
【0033】
好ましくは、中間部分および遠位部分の長さは、中間部分内の1つまたは複数の流体入口ポートが左心房内に配置され、遠位部分内の1つまたは複数の流体出口ポートが大動脈内に配置されるように設計される。
【0034】
好ましくは、体内デバイスは、体内デバイスの遠位部分内に配置された静的拡散器を備える。好ましくは、拡散器は、インペラと1つまたは複数の流体出口ポートとの間に配置される。好ましくは、拡散器は、ベアリングを介してインペラの端部に結合される。好ましくは、拡散器は、拡散器が回転できないようにポンプハウジングの内部に固定的に取り付けられる。好ましくは、拡散器およびベアリングはインペラを支持し、インペラがその主軸線を中心に回転することを可能にするが、拡散器は、ポンプハウジングの内部に固定されたままである。拡散器は、拡散器のブレードの角度および形状により、デバイスの出口からの流体拡散を増大させるという利点を有する。
【0035】
好ましくは、体内デバイスは、体内デバイスを解剖学的壁に固定するように配置された固定手段を備える。好ましくは、固定手段は、体内デバイスの遠位部分の端部にある。
【0036】
好ましくは、使用中、コネクタは、左心房のルーフおよび大動脈壁を通して配置される。好ましくは、コネクタのネックおよび/または体内デバイスの遠位部分は、心膜シールを形成する。好ましくは、コネクタのネックは、体内デバイスの遠位部分を解剖学的壁を横切っておよびコネクタに対して結合するのを補助するドッキング手段として作用する。
【0037】
固定手段は、例えば大動脈の壁に対して展開することができるいくつかのアーム/組織支持部材を備えたタイプのアンカ/支持部材であってよい。これにより、大動脈に対してデバイスの遠位部分を配置し、固定して、デバイスを通る効率的な流体伝達を可能にすることができる。
【0038】
好ましくは、体内デバイスは、遠位部分の端部に配置された静的拡散器を備える。これは、固定ブレードが流体拡散を助けるため、デバイスの出口での流体拡散をさらに増大させるという利点を有する。これはまた、ガイドワイヤおよび/またはバルーンを静的拡散器上のガイドワイヤホルダに取り付けて、人体内での正確な配置を可能にするため、デバイスの展開をより容易に促進するという利点も有する。
【0039】
好ましくは、体内デバイスは、モータの駆動軸をポンプに連結するように配置されたモータ結合要素を備える。好ましくは、モータ結合要素は、モータとインペラとの間に配置される。好ましくは、モータ結合要素は、モータの駆動軸をポンプに磁気的に結合する。これは、循環系内の流体に対するモータおよび駆動軸の密閉を維持しながら、モータおよび駆動軸を体内デバイスの残りの部分から容易に取り外すこともできるという利点を有する。したがって、取り外し、変更、または交換を必要とする可能性が最も高い体内デバイスの構成要素、例えばモータを、体内デバイスの残りの部分を体内の適所に維持しながら、容易に取り外して交換することができる。
【0040】
好ましくは、モータ結合要素は、モータの駆動軸をポンプに軸方向に結合する。これは、モータの駆動軸とポンプとの間の結合を単純化しながら、モータと体内の流体との間の密閉を維持するという利点を有する。
【0041】
好ましくは、モータ結合要素は、モータの駆動軸をポンプに径方向に結合する。好ましくは、モータ結合要素の一部分は、モータ駆動軸を収容するモータの細長い部分を取り囲み、磁気的に結合する。これは、駆動軸とポンプインペラとの間のトルク伝達が増大するという利点を有する。結合磁石力の径方向構成により、追加のベアリング負荷および摩擦による熱が排除される。
【0042】
好ましくは、モータ、駆動軸、および駆動軸の端部の磁気要素は、密閉型ハウジング内に位置する。これは、モータを循環系内に配置できるという利点を有する。上記で論じた要素が密閉型ハウジング内に位置しない場合、循環系内の流体はこれらの要素を損傷し、および/または要素は循環系内の流体に汚染を引き起こす可能性がある。
【0043】
好ましくは、モータ結合要素の一部分は、磁気要素を収容する密閉型ハウジングの一部分を部分的に取り囲む。これは、径方向の磁気結合を促進し、流体がモータ結合要素と密閉型ハウジングのその部分との間を流れることができるという利点を有する。
【0044】
好ましくは、モータ結合要素のその部分と密閉型ハウジングのその部分との間に間隙空間/隙間が存在する。これは、間隙空間内の流体の流れを促進して、流体の損傷を防止するという利点を有する。
【0045】
好ましくは、モータ結合要素のインターフェースは、モータ駆動軸をポンプに結合するためにモータのインターフェースに磁気的に固定可能であり、流体入口は、結合中に前記インターフェース間に画定される。これは、インターフェース間の間隙空間に流体が入ることができるようにインターフェース間の流体の流れを促進するという利点を有する。
【0046】
好ましくは、モータ結合要素のさらなるインターフェースが、インペラのインターフェースと結合する。これは、モータ駆動軸の動きをインペラに移すという利点を有する。
【0047】
好ましくは、モータ結合要素は、1つまたは複数のボア部分を備える。これは、間隙空間に入った流体がモータ結合要素から出ることを可能にするという利点を有する。この結果、モータ結合要素内部のベアリングは洗浄され、このとき流体が損傷するポイントまで流体の温度を上昇させない。
【0048】
好ましくは、1つまたは複数のボア部分は、モータ結合要素のインターフェースをそれぞれのインペラインターフェースに結合するボアホールおよび/または分割されたアームである。
【0049】
好ましくは、使用中、流体は、モータインターフェースとモータ結合要素のインターフェースとの間を、および1つまたは複数のボア部分を通ってインペラに向かって流れるようになっている。これは、ベアリングの熱を低減し、過剰な熱によって流体が損傷するのを防止するという利点を有する。
【0050】
好ましくは、1つまたは複数の流体入口ポートは、1つまたは複数のボア部分と、ポンプハウジングの中間部分内のインペラとの間に配置される。これは、ボア部分から出る流体を、流体入口ポートに入る流体と混合することを可能にするという利点を有する。したがって、ボア部分を出る流体によって吸収される過剰な熱は、流体入口ポートを介して進入する流体によって効率的に放散され得る。
【0051】
好ましくは、体内デバイスは、電源および制御手段を備える。好ましくは、制御手段は、テーパ部分を介してモータに結合される。テーパ部分は、モータと電源および制御手段との間のコネクタにかかる負担を低減するという利点を有する。好ましくは、テーパ部分は、体内デバイスの近位部分から離れるにつれてテーパになるように寸法が低減する。
【0052】
本発明の文脈内で、用語「近位」および「遠位」は、医療専門家に対して使用され、例えば、近位端は、医療専門家に最も近い端部であり、遠位端は、最初に患者に挿入されるデバイスの部分である。
【0053】
本発明の文脈内で、経カテーテルは、経皮的、経心房的、経大腿的(脚を通る)、経心尖(肋骨間の胸部内)、および経大動脈(上胸部内)を含む。好ましい実施形態は、経皮システム、デバイス、および方法である。
【0054】
本発明は、図面および図を参照してさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1】第1の体内デバイスを使用する本発明による方法を示す図である。
【
図1A】第1の体内デバイスを使用する本発明による方法を示す別の図である。
【
図1B】第1の体内デバイスを使用する本発明による方法を示す別の図である。
【
図2】第2の体内デバイスを使用する本発明による方法を示す図である。
【
図3】本発明による固定手段および制御手段を組み込んだ体内デバイスの概略図である。
【
図4】固定手段を有さない
図3からの体内デバイスの概略図である。
【
図5A】固定手段または制御手段のない体内デバイスの外観の概略図である。
【
図5B】固定手段または制御手段のない体内デバイスの内部の概略図である。
【
図6A】モータとモータ結合要素との間の径方向結合を利用する体内デバイスの概略断面図である。
【
図6B】モータとモータ結合要素との間の軸方向結合を利用する体内デバイスの概略断面図である。
【
図7】モータ結合要素からの分割されたアームの概略図である。
【
図8】体内デバイスの構成要素の分解概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
本発明は、例として説明されており、例示の目的でのみ提供される。これらの例は、特許請求の範囲で定義されている保護の範囲を制限することを意図していると解釈されるべきではない。例えば、心臓および循環系に関してさまざまな態様が説明されてきたが、これは限定することを意図するものではなく、単に実施の例を提供するために実施されるものである。本明細書に開示する態様は、人体内、例えば心血管系、呼吸器系、胃系、神経系などに埋め込み可能な任意の医療デバイスに利用されてよく、いくつかの例は、埋め込み可能なポンプおよび薬物送達ポンプを含む。本明細書で使用する「手段」という用語は、次の用語:デバイス、装置、構造、部品、サブ部品、アセンブリ、サブアセンブリ、マシン、機構、物品、媒体、材料、機器、設備、システム、本体または同様の表現として等価に表現されるか、またはこれと置き換えられ得る。
【0057】
図1を参照すると、患者の心臓機能を支援するための本発明による方法であって、心臓の少なくとも2つの解剖学的壁を横切って体内デバイス1を固定するステップを含み、少なくとも1つの解剖学的壁が心臓内壁であり、少なくとも1つの解剖学的壁が心臓外壁である、方法が示される。
【0058】
この例では、体内デバイス1は、心房中隔2(心臓内解剖学的壁)、左心房3のルーフ(心臓外解剖学的壁)、および大動脈壁4(すなわち第3の解剖学的壁)を横切って固定される。体内デバイス1は、右心房RA内に使用中に配置される近位部分5と、左心房LA内に使用中に配置される中間部分6と、大動脈内に使用中に配置される遠位部分7を備える。電源および制御ケーブル16が、近位部分5の端部に結合される。
【0059】
体内デバイス1は、略円筒状であるか、または略円筒状のハウジングを備える。モータMが、近位部分5内に配置され、ポンプPが、中間部分6内に配置される。流体入口および出口ポートの位置は、流体入口ポートが第1の流体供給区画内に形成され、流体出口ポートが第2の流体受け入れ区画内に形成されるように調整され得る。この例では、流体入口ポート8は、左心房LA内に配置された中間部分6内に形成され、流体出口ポート9は、大動脈AO内に配置された遠位部分7内に形成される。
【0060】
代替の実施形態では、モータMは、中間部分6内に収容されてもよい。その結果、近位部分5はもはや必要とされず、もはや右心房内に位置しない。したがって、右心房には電源ケーブルおよび制御ケーブルのみが存在する。
【0061】
図1では、体内デバイス1は、その近位部分5と中間部分6との間に円周凹部10を備える。凹部の形状および寸法は、心房中隔を凹部10内に受け入れることができるようなものである。凹部10は、心房中隔2の凹部10内への挿入を促進するために、それぞれ
図1Aおよび
図1Bに示すように、傾斜した、または湾曲した壁を有することができる。
【0062】
体内デバイス1が単一の解剖学的壁(例えば、心房中隔2)に固定される場合、凹部10で十分になり得る。しかし、体内デバイス1が2つ以上の解剖学的壁(例えば、左心房の壁および大動脈壁4)を横切って固定される場合、コネクタ11が好ましくなり得る。
図1に示すコネクタ11は、別個のコネクタである。
【0063】
本発明の文脈で使用するのに適したコネクタは、国際出願EP2017/050275号明細書、米国特許出願第15/288642号明細書および米国特許出願第15/288738号明細書に詳細に説明される。コネクタ11は、通常、使用中に解剖学的壁3、4を横切って/貫通して配置される、2つの解剖学的区画間の流体通過のためのネック13と、ネック13の遠位端から延び、使用中に受け入れ区画の壁に寄りかかる第1の複数のアームおよび/またはブレード15と、ネック13の近位端から延び、使用中に供給区画の壁に寄りかかる第2の複数のアームおよび/またはブレード14とを備える。アームおよび/またはブレードは、好ましくは、ネック13の遠位端に一体的に形成されるか、または固定される。使用中、アームおよび/またはブレードは、解剖学的壁3、4に部分的または全体的に支えられる。ネック13はまた、体内デバイス1を、これが解剖学的壁3、4を横切って配置されたときに支持する。使用中、体内デバイス1上の遠位部分7(の一部)は、コネクタ11のネック13を通して、したがって解剖学的壁3、4を横切って配置される。例えば、体内デバイスは、コネクタのネックを受け入れるための凹部を含むことができる。ネック13および体内デバイス1の遠位部分7の寸法は、遠位部分7をネック13に結合することにより心膜腔シールを形成するように構成される。したがって、ネック13は、シールを促進すると共に、ポンプのドッキングおよび体内デバイス1の支持を促進する。
【0064】
体内デバイスをコネクタ11から取り外すと、コネクタ11は解剖学的壁3、4間にシールを形成して、前記壁3、4によって画定される2つの領域間で流体が拡散するのを防止する。
【0065】
この特定の構成は、コネクタ11を解剖学的壁3、4に固定し、解剖学的壁3、4の完全性を支持しながら、コネクタ11が解剖学的壁3、4を互いに接触した状態に維持できるようにする。したがって、アームおよび/またはブレードは、解剖学的壁3、4の完全性を支持するための組織支持部材として作用する。
【0066】
体内デバイス1には、コネクタ11のネック13を内部に受け入れる、1つまたは複数の凹部、例えば円周方向凹部が設けられ得る。
【0067】
体内デバイス1を解剖学的壁2、3、4に固定するための他の手段が想定され、これには、タブ、フック、アーム、クッション、高摩擦表面、生物学的に活性なカバーなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0068】
図2を参照すれば、コネクタ11に対して体内デバイス1を固定する代替方法が示される。先述では、
図1を参照すれば、体内デバイスの遠位部分7は、例えば、摩擦力により、またはコネクタ11の圧縮によって、コネクタ11のネック13を通して/コネクタ11のネック13に結合されていた(すなわち、コネクタ11は、好ましくは、拡張可能な/圧縮可能な材料から作製される)。代替として、または組み合わせて、いくつかの組織支持/固定部材12が、体内デバイス1の遠位部分7に結合され得る。これらの組織支持/ドッキング部材12は、展開されると、大動脈壁に接触し、コネクタ11に対して体内デバイス1をさらに支持する。したがって、コネクタ11と組織支持/ドッキング部材12との組み合わせにより、支持が強化されると共に、コネクタ11に対して体内デバイス1の遠位部分7を容易に結合および結合解除する能力が可能になる。
【0069】
図3を参照すれば、関連する固定手段302および制御手段304を備えた体内デバイス300の概略図が示される。この実施形態における固定手段302は、
図2に関連して説明した組織支持/ドッキング部材12に関する。固定手段302は、固定手段302の近位端に取り付けられたカプラ330を備える。いくつかのポンプドッキング部材/支持アーム306が、固定手段302の遠位(反対側)端に取り付けられる。
図3は、「展開された」位置にある固定手段302を示しており、いくつかのポンプドッキング部材/支持アーム306は、体内デバイス300の長手方向軸線に略垂直に広げられている。これらのポンプドッキング部材/支持アーム306は、使用中、解剖学的壁3、4(
図1、
図2を参照)と、コネクタ11のネック13の内側との間に体内デバイス300を配置し、固定するために、解剖学的壁4(
図1、
図2を参照)の一部分、例えば、大動脈壁に当接する。
【0070】
いくつかのポンプドッキング部材/支持アーム306は、大動脈の壁が大動脈の内側に配置された体内デバイス300から離れて保持されるため、組織シールドおよびポンプ保護装置として作用する。いくつかのポンプドッキング部材/支持アーム306は、それぞれ個々のドッキング部材/アームが解剖学的壁4を損傷しないように圧力を分散させる。
【0071】
体内デバイス300を解剖学的壁3、4上から取り外す必要がある場合、ポンプドッキング部材/支持アーム306は、「送達」位置に再配置され、ポンプドッキング部材/支持アーム306は、体内デバイス300の長手方向軸線に略平行に配置されて、前記デバイスをコネクタ11のネックから取り外すことを可能にする(
図2を参照)。これは、コネクタ11によって保護されている解剖学的壁3、4を損傷することなく、体内デバイス300を取り外すことを可能にするという利点を有する。体内デバイス300を取り外すと、コネクタ11は、体内デバイス300が再挿入されるまで解剖学的壁3、4間の空間をシールする。
【0072】
好ましい実施形態では、体内デバイス300の送達は、特定の穿刺部位のためのエコー誘導経中隔および/または経大動脈法を介するものであり、エコー面はすべての穿刺部位に使用され得る。エコー面は、特定の関心領域を特定の方法で視覚化するために解剖構造および角度が事前に定義された、定義済みの投影/視野である。エコー誘導法は、例えば、心臓内、経食道、または経胸腔的であってよい。
【0073】
カプラ330は、体内デバイス300のクラウンコネクタ/結合部材(見えない)上に配置され、体内デバイス300の端部分332に当接する。
【0074】
制御手段304は、体内デバイス300に給電しおよび/または制御するためのケーブル配線を収容する駆動ライン308を備える。この例では、制御手段304は、テーパ部分312を介して体内デバイス300の近位部分310に結合される。テーパ部分312は、体内デバイス300の近位部分310から離れる方向にサイズがテーパになっていく。テーパ部分312は、近位部分310とテーパ部分312との間の部分314内に収容されたコネクタインターフェース(図示せず)の負担を低減するという利点を有する。コネクタインターフェースは、制御手段304内のケーブル配線をモータ316に結合する。モータ316、コネクタインターフェースおよび制御手段304は、流体の侵入を防ぐように配置された密閉型ユニットを形成する。
【0075】
モータ316の一部分は、ポンプハウジング320の後部分318内に位置する。ポンプハウジング320の後部分318は、血液などの流体がポンプハウジングの後部分318を通ってモータ316の駆動部分(図示せず)と、この図では部分的に見えるモータ結合要素324との間を流れることを可能にする、ボア部分とも呼ばれるいくつかの洗浄孔322を画定する。流体入口326が、ポンプハウジング320の後部分318内に配置される。流体入口326と固定手段302との間には、ポンプハウジング320の前部分328内に位置するインペラ(図示せず)が存在する。
【0076】
クラウンコネクタ/結合部材(図示せず)は、体内デバイス300の流体の主出口として作用する。クラウンコネクタ/結合部材の内側の静的拡散器305(部分的に見える)は、流体の流れを干渉して、主出口から大動脈に入る所望の流体の流れを生成する。クラウンコネクタ/結合部材は、1つまたは複数の流体出口ポート303を備える。
【0077】
他のいくつかの実施形態、例えば
図1の実施形態では、固定手段302を無しにすることができる。これらの実施形態では、クラウンコネクタ/結合部材も無しにすることができる。したがって、拡散器305は、クラウンコネクタ/結合部材の内側ではなく、ポンプハウジング320の前部分328の遠位端内に位置することができる。
【0078】
この例では、体内デバイス300の遠位部分は、固定手段302と、クラウンコネクタ/結合部材(図示せず)とを備え、使用中、遠位部分は大動脈内に位置する。体内デバイス300の中間部分は、インペラなどの関連要素を備えたポンプハウジング320と、モータ結合要素324とを備える。体内デバイス300の近位部分は、ポンプハウジング320内にないモータの部分と、部分314と、テーパ部分312と、制御手段304とを備える。
【0079】
図4を参照すれば、
図3からの体内デバイス300が、体内デバイスに結合された固定手段302無しで示されている。したがって、この例では、クラウンコネクタ/結合部材331をより詳細に見ることができる。クラウンコネクタ331は、クラウンコネクタ331の側壁に結合された静的拡散器305を備える。拡散器は、静的ブレード404と、ガイドワイヤホルダ402とを備える。使用中、流体は、静的拡散器305の静的ブレード404上を流れ、ブレードは、流体がクラウンコネクタ331を通って1つまたは複数の流体出口ポート303に流れるときに流体の配向に影響を与えるように配向される。ガイドワイヤホルダ402はまた、強化されたガイドワイヤ接続性および/またはバルーン接続性も可能にする。例えば、ガイドワイヤ(図示せず)をガイドワイヤホルダ402に通して、例えばカテーテルベースの埋め込み方法によって体内デバイス300を人体内に正確に配置することを可能にすることができる。
【0080】
いくつかの例では、クラウンコネクタ331を無しにすることができ、静的拡散器305をポンプハウジング320の前部分328に配置することができる。
【0081】
再び
図4を参照すれば、コネクタインターフェース406を見ることができるように、部分314が示されている。コネクタインターフェース406は、制御手段304をモータの後端に電気的に結合する。これにより、モータ316の電源および/または制御が可能になる。テーパ部分312は、コネクタインターフェース406上の負担を低減する。体内デバイス300は可撓性を維持する必要があるため、これは本発明において特に重要である。その理由は、使用中、体内デバイス300は、カテーテルベースの挿入システムを介して、心臓の左右の心房および大動脈内に埋め込まれるためである。そのため、体内デバイスは、動脈系の方向に従うのに十分に可撓である必要がある。部分314は、モータ316の密閉を維持する一方、モータを人体の循環系内に埋め込むことができるように制御手段304とモータ316との結合を可能にする。
【0082】
図5を参照すれば、体内デバイス500の概略図が示される。この例では、電源および制御手段は示されない。さらに、この例では、体内デバイス500は、固定手段302またはクラウンコネクタ/結合部材331無しで示されている。したがって、拡散器534は、
図3および
図4に示すようにクラウンコネクタ/結合部材331ではなく、体内デバイス500の出口503に位置する。
【0083】
図5Aは、体内デバイス500の外観図を示し、一方で
図5Bは、体内デバイス500の内部図を示す。
図5Cは、拡散器534を示し、
図5Dは、代替のインペラ設計を示す。
【0084】
図5Aの体内デバイス500は、モータ502と、ポンプハウジング504とを備える。モータ502の一部分は、ポンプハウジング504内に位置する。
図5Aの体内デバイスは、これまで論じたように、近位部分506と、中間部分508と、遠位部分510とを備える。
【0085】
モータの部分を収容するポンプハウジング504の部分は、洗浄穴/スリット512でもあってもよいいくつかのボア部分を備える。ポンプハウジング504は、いくつかの流体入口514をさらに備える。
【0086】
図5Bを参照すれば、モータ502とモータ結合要素518との間に間隙空間516が存在することが分かる。点線は、モータ結合要素518の内側に延びるモータ502の部分を表す。この例では、この部分は、密閉型モータ駆動軸520に関連する。ベアリング522は、密閉型モータ駆動軸520をモータ結合要素518に結合する。モータ結合要素518内側の密閉型モータ駆動軸520は、モータ結合要素518よりも小さい直径のものであり、モータ結合要素518は、ベアリング522、ならびにモータ駆動軸520上およびモータ結合要素518内の1つまたは複数の磁気要素によって生成された磁場の補助によって、密閉型モータ駆動軸520の周りに懸架される。この例では、モータ結合要素518の内側の密閉型モータ駆動軸520は、第1の極性の磁石または一連の磁石(図示せず)を備える。モータ結合要素518は、第2の極性の磁石または一連の磁石を備え、第1および第2の極性は異なる。したがって、間隙空間が、モータ結合要素518内側の密閉型モータ駆動軸520の部分と、密閉型モータ結合要素518を取り囲むモータ結合要素518の部分との間に維持される。これは
図6からよく理解することができる。
【0087】
モータ駆動軸520上の磁石とモータ結合要素518との間の磁気結合は、モータ駆動軸520が流体にさらされることなく、モータ結合要素518によってモータ駆動軸520の動きを複製できるという利点を有する。ここでも、この機能は、
図6からよりよく理解することができる。これにより、モータ502の密閉が維持され、流体環境での作動が可能になる。
【0088】
モータ駆動軸520上の磁石とモータ結合要素518との間の磁気結合のさらなる利点は、モータ502および任意の関連する制御手段(図示せず、
図3および
図4の304を参照)を、デバイスが体内に位置するときに体内デバイス500の残りの部分から連結解除できることである。したがって、ポンプハウジング504およびモータ結合要素518などの関連要素を体内の適所に保ちながら、モータ502およびケーブル配線などの取り外し、交換、または変更を必要とする可能性が高い体内デバイス500の部分を取り外して交換することができる。これは、左右の心房および大動脈などの患者の心臓の解剖学的壁間に配置され得るポンプハウジング504の動きおよび再配置を低減するという利点を有する。患者の心臓の解剖学的壁に対するポンプハウジング504の機械的な動きおよび/または再配置は、状況によっては、前記解剖学的壁に対する損傷のリスクを含み得る。
【0089】
この例では、いくつかの分割されたアーム524が、ベアリング522を取り囲む。分割されたアーム524のインターフェースは、モータ結合要素518をインペラ526に結合する。したがって、モータ駆動軸520上の磁石の動きは、モータ502の駆動軸または任意の他の直接接続をインペラ526上に直接結合させることなく、インペラ526に移すことができる。アーム524間の分割された領域は、流体が間隙空間516から流れ、分割されたアーム524を介してインペラ526を通して押し出されている流体と合流することを可能にする。
【0090】
別の例では、分割されたアーム524は、モータ結合要素内の1つまたは複数のボアホールによって置き換えられてもよい。ボアホールおよび分割されたアームは、集合的にボア部分と呼ぶことができる。
【0091】
モータ502およびモータ結合要素518の配置にはいくつかの利点があり、次にこれについて説明する。作動中、ベアリング522は、密閉型モータ駆動軸520に対するモータ結合要素518の動きを支持するときに熱を生成する。流体は、モータ502とモータ結合要素518との間の間隙空間516を通って流れて、ベアリング522を冷却することができる。分割されたアーム524、および/またはボアホールは、流体がベアリング522から流れ去ることを可能にする。したがって、流体は、洗浄穴512を通って間隙空間516内に流れ、ベアリング522を冷却し、流体入口514を介してインペラ526に引き込まれている流体と混合することができる。これにより、流体が損傷する可能性のある点までその温度を大幅に上昇させずに、ベアリング522の冷却が可能になる。分割されたアーム524またはボアホールがなければ、血液などの流体は、ベアリング522を容易に流れて通過することはできない。したがって、ベアリング522から流体までの熱伝達により、流体の温度が上昇し、損傷する可能性がある。血液の温度が2度上昇すると、血液の損傷および/または凝固を引き起こす可能性がある。これらの凝固は移動し、循環系を動き回って、望ましくない閉塞を引き起こす可能性がある。
【0092】
別の例では、分割されたアーム524は、連続アームを形成するために一緒に接合され得る。この例では、モータ結合要素518からの流体の流れを可能にするために、1つまたは複数の穴ボアが存在することができる。
【0093】
好ましくは、ベアリング522は、セラミック材料から形成され、これは、熱の上昇および磨耗耐性だけでなく、必要とする冷却が小さいという利点を有する。次に、流体に伝達される熱が少なくなるため、流体および/または周囲の組織の局所的な加熱が低減する。
【0094】
上記で論じたように、インペラ526は、分割されたアーム524を介してモータ結合要素518に結合される。別の例では、分割されたアームは一緒に接合され、インペラは連続アームを介してモータ結合要素518に結合される。
【0095】
作動中、インペラ526は、その軸線528を中心に回転し、流体入口514および分割されたアーム524を介して(間隙空間516を介して)ポンプハウジングに流体を引き込む。インペラ526は、本体530と、いくつかのブレード532とを備える。ブレード532は、インペラ526の回転速度により規定される速度で、流体を、インペラ526を超えてポンプハウジングまで押し出す。
【0096】
好ましくは、インペラ526の本体530はテーパにされ、このテーパは、モータ結合要素518端からインペラの中間領域にかけて増大させてから、体内デバイス500の出口端にかけて再度低減する。テーパ本体は、こうして、インペラの長手方向軸線に対して楕円形の形状である。インペラ526の本体530のテーパは、インペラ526の周りのポンプハウジング内の流体圧力を増大させる。この結果、熱を生成するモータ502の部分周りで流体が費やす時間が短くなり、それによって体内デバイス500内および/またはその周りの血液損傷/凝固を低減する。
【0097】
この例では、拡散器534は、ベアリング536を介してインペラ526の出口端に結合される。ベアリング536は、ベアリング522と同様であってよい。ベアリング536により、インペラ526は、その軸線を中心に、拡散器534によって支持されながら回転することが可能である。拡散器534は、回転しないようにハウジング504の壁に結合される。拡散器534の端部分538は、ポンプハウジング504の出口503に配置される。
【0098】
図5Cに示すように、拡散器534は、本体539と、本体539に結合されたいくつかのブレード535と、ガイドワイヤホルダ541とを備える。ガイドワイヤホルダ541により、ガイドワイヤおよび/またはバルーンを体内デバイス500に結合することが可能になる。好ましくは、拡散器は4つのブレード535を備える。ブレード535は、厚さ、および拡散器534の本体539に対する配向において変動する。ブレード535は、本体539から離れる方向または本体539に向かって湾曲する。ブレード535の厚さは、ブレード535が拡散器の本体539から離れるにつれて変動する。ブレード535の角度と結合されたブレード535の厚い/薄い形状により、体内デバイス500の出口からの流体の最適な拡散が可能になる。したがって、ブレード535の厚さ形状および角度は、血液損傷を最小限にし、体内デバイス500内側の圧力発生を最大限にするように最適化される。
【0099】
次に、体内デバイス500の全体的な作動を説明する。密閉型モータ駆動軸520は、その長手方向軸線を中心に回転し、その結果モータ駆動軸上の磁石およびモータ結合要素518上の磁石も互いに対して回転し、それによってさらに、インペラ526がその長手方向軸線を中心に回転し、一方で拡散器534は固定位置に留まる。使用中、近位部分506は、右心房内に配置される。洗浄穴/スリット512および流体入口514を備える中間部分508は、左心房内に配置される。体内デバイス500の出口を備える遠位部分は、大動脈内に配置される。したがって、ポンプハウジング504は、左心房3の壁と大動脈壁4との間に配置される(
図1を参照)。コネクタ11は、ポンプハウジング504の周りの左心房3の壁および大動脈壁4をシールし、流体シールを効果的にもたらす。したがって、血液などの流体は、デバイスが全能力で作動しているとき、体内デバイス500を介して左心房3の壁と大動脈壁4との間を流れることしかできない。インペラ530は、流体入口514、間隙空間516、および関連する分割されたアーム524を介して、ポンプハウジング504に流体を引き込む。インペラ526の本体530のテーパ設計により、ポンプハウジング504内の流体圧力が上昇する。インペラブレード532は、インペラ526を通る軸方向の流体の流れを生成し、拡散器534は、最適には、流体の流れ/拡散をポンプハウジング504の出口までもたらして大動脈に入れる。これまで論じたように、ポンプハウジング504および構成要素の長さは、1つまたは複数の流体入口ポートが左心房内にあり、1つまたは複数の流体出口ポートが大動脈内にあるように設計される。
【0100】
例えば患者の心臓に部分的な支持を提供するために体内デバイス500が部分的な能力で作動している例では、左心室を通る血液などの流体の部分的な流れが存在し得る。
【0101】
図5Dを参照すれば、代替のインペラ550が示されている。この例では、「混合流」インペラ550と示される代替インペラが、分割されたアーム524を介してモータ結合要素518に結合されて示されている。混合流インペラ550は、ブレード552の第1のセットと、ブレード554の第2のセットとを備え、ブレード552の第1のセットは、ブレード554の第2のセットよりも長い。異なる形状および角度の付いたブレードの分布は、混合流インペラ550に、部分的な径方向出口と共に軸方向出口も与える。したがって、混合流インペラは、体内デバイス500の出口に向かう流体の軸方向および径方向の流れを生成する。これは、混合流インペラ550が軸流インペラと比較してより高い出力圧力を提供するため、体内デバイス500の効率を高めるという利点を有する。混合流インペラ550のさらなる利点は、インペラ530とは対照的に、このインペラ550を利用する体内デバイス500が、拡散器534を必要としないため、全長が低減されることである。
【0102】
任意選択により、拡散器534に類似する拡散器が、任意選択により、混合流インペラ550に結合されてもよい。
【0103】
図6Aは、体内デバイス内で利用され得るモータとモータ結合要素との間の径方向結合の概略図を示し、
図6Bは、体内デバイスで利用され得るモータとモータ結合要素との間の軸方向結合の概略図を示す。
図6Aおよび
図6Bの両方は、体内デバイス600、640の主出口とインペラ632との間に拡散器634を含む。したがって、固定手段302およびクラウンコネクタ/結合部材331は図示されていない。
【0104】
図6Aを参照すれば、体内デバイス600の断面が示されている。モータ602は、モータ結合要素606によって部分的に囲まれたモータの一部分内に延びるモータ駆動軸604を含む。軸604の端部は、第1の極性の磁石608の第1のセットを含む。磁石608の第1のセットは、磁石608および駆動軸をカプセル封入する密閉型ユニット610内に収容される。モータ結合要素606は、密閉型ユニット610を部分的に取り囲み、反対の極性の磁石615の第2のセットがモータ結合要素606内に位置する。ベアリング612は、モータ結合要素606を密閉型ユニット610に回転可能に結合する。磁石608の第1のセットおよび磁石615の第2のセットによって生成された相対する磁場は、互いに引き付け合い、したがって、モータ結合要素606を密閉型ユニット610に向かって引っ張る。磁石は、密閉型ユニット610およびモータ結合要素606の全周囲を取り囲み、それにより、密閉型ユニット610およびモータ結合要素606のインターフェースが接触するのを防ぐ等しい磁力が存在し、それによって密閉型ユニット610とモータ結合要素606との間に間隙空間を生成する。使用中、流体、例えば血液は、モータ602とモータ結合要素606との間の間隙空間614内に流れ、密閉型ユニット610およびモータ結合要素606によって画定された間隙空間を通って、分割されたアーム616間の空隙を介して出る。したがって、ベアリング612は、流体で「洗浄」され、ベアリング612が過剰な熱を生成するのを防ぐ。間隙空間614から分割されたアーム616までの流体の流れにより、ベアリング612は、局所的な加熱を生成しないか、または流体がベアリング612を「洗浄」するときに流体を加熱しない。
【0105】
さらに、流体は流体入口618に流れ込み617、分割されたアーム616間に出た流体619と混合する。これまで論じたように、分割されたアーム616は、同じ流体の流れ効果を達成するために、1つまたは複数のボアホールを有する連続アームに置き換えられてよい。
【0106】
この例では、駆動軸604上の磁石608は、軸604の軸に沿って回転し、その結果、モータ結合要素606内の磁石615の関連する回転が生じる。この径方向結合は、結合アセンブリ内の軸方向力を排除し、(
図6Bで論じた)軸方向に結合されたデバイスと比較して定格トルクが高くなる。さらに、ベアリング612は、軸方向に結合されたデバイスに比べて摩擦が少ない。
【0107】
図6Bを参照すれば、軸方向に結合された体内デバイス640の断面が示されており、モータハウジング部650と、ポンプ部651とを備える。この例では、第1の極性の第1の磁石652が、モータハウジング部650内のモータ軸654の端部上に配置される。第2の異なる極性の第2の磁石656が、ポンプ部651内に第1の磁石に対向して配置され、軸654、したがって第1の磁石652の動きは、第2の磁石656によって複製される。この形式の結合は、軸方向結合として定義される。
【0108】
間隙空間670が、
図6Aに関して論じたのと同様に、モータハウジング部650とポンプ部651との間に画定される。間隙空間は、モータハウジング部650に対してポンプ部651を支持するベアリング672の周りに流体が流れる671ことを可能にする。
【0109】
軸方向結合は、
図6Aに示す径方向結合よりも設計が簡単である。この形式の間接結合は、モータの密閉を維持し、モータとインペラ駆動軸658との間のトルク伝達を可能にする。さらに、磁気要素は径方向結合に必要とされる磁気要素ほど薄くないため、軸方向結合は、製造がより簡単である。
【0110】
図7を参照すれば、
図6からの分割されたアームの一例が、示される。分割されたアーム702は、インペラ704をモータ結合要素706に結合する。分割されたアーム702間の領域/空隙により、流体がベアリング(図示せず)を通り過ぎて「洗浄」することが可能になる。したがって、流体は、密閉型モータ駆動軸(図示せず)とモータ結合要素706との間の間隙空間内を流れることができる。これは、デバイスを冷却し、流体の流れを維持して損傷および/または凝固を防ぐという利点を有する。分割されたアーム702内の空隙から出力される流体は、インペラの回転中にポンプハウジング(図示せず)内に引き込まれた流体と混合する。組み合わされた流体は、インペラ704を通って軸方向に流れる。
【0111】
図8を参照すれば、体内デバイス800の分解図が示される。
図6Aおよび
図6Bの説明した構成要素を使用して、個別の特徴を文脈に入れる。
【0112】
モータ802は、モータ軸803を備え、モータ軸803は、密閉型ユニット804およびシーリング導管806の内側に収容される。密閉型ユニット804は、
図6Aの密閉型ユニット610に対応する。密閉型ユニット804は、モータ軸803および磁石(図示せず)が密閉型ユニット内で回転できるように中空である。シーリング導管806は、密閉型ユニット804およびモータ結合要素812の一部を収容する。この例では、シーリング導管806は、
図6Aの空隙614を提供して、流体がモータ結合要素606と
図6Aからの密閉型ユニット610との間の隙間に入ることを可能にする。
【0113】
ベアリング808は、
図6Aからのベアリング612に関連し、密閉型ユニット804をモータ結合要素812に回転可能に結合するように配置され、それにより、ベアリング808軸線を中心にしたモータ結合要素812の回転を可能にする。磁気構成要素810は、
図6Aからのモータ結合要素606内に位置する第2の磁石615に関連する。磁気構成要素810は、密閉型ユニット804内の磁石の動きがモータ結合要素812に移るように、モータ結合要素812に固定可能に取り付けられる。インペラ814は、密閉型ユニット804内の磁石の動きがインペラ814にも移るように、モータ結合要素812に結合される。拡散器818は、ベアリング(図示せず)を介してインペラ814およびポンプハウジング816に結合される。インペラ814は、その長手方向軸を中心に回転し、一方で拡散器818は固定されたままである。ポンプハウジング816は、
図6Aに関して示すように、構成要素の周りに配置される。
【0114】
任意選択により、上記で論じたベアリング、例えばベアリング808は、油圧ベアリング、またはセラミックおよび油圧ベアリングの組み合わせであってもよく、ベアリングの基部(モータ側)はセラミックであってよく、ベアリングの上部(出口側)は油圧式であってよい。
【0115】
任意選択により、拡散器818は、
図3からのクラウンコネクタ331などのクラウンコネクタ/結合部材(図示せず)内に配置され得る。
【0116】
本発明は、左心房から大動脈までの処置に関して説明されたが、システムおよび方法は、右心房-大動脈、大静脈-肺動脈、大静脈-大静脈を含むがこれらに限定されない他の送達部位にも適用され得る。したがって、本発明は、例えば、心肺補助(CPS)、または体内膜酸素化(ICMO)またはバブル酸素化のため、圧力の問題がある他の臓器の治療(例、胃または神経学的処置)のために、左心室補助デバイス(LVAD)、右心室補助デバイス(RVAD)または両心室補助デバイス(BiVAD)として広く適用され得る。本発明は多目的に使用でき、したがって、多種多様な適用範囲が想定され得る。
【0117】
したがって、上記の説明から、本発明は、2つの解剖学的区画間に流体連通を確立するためのコネクタを提供することが分かる。また、このコネクタにより、ポンプまたは他の医療デバイスを1つまたは複数の解剖学的壁にしっかりと埋め込むことが可能になる。これは、正確かつ安全に達成され得る。本発明は、患者の負傷を防止するために解剖学的壁および組織に対して支持を提供しながら、埋め込み処置中の血液漏れのリスクを最小限に抑えて流体連通を確立できるデバイスを提供する。
[発明の項目]
[項目1]
患者の心臓機能を支援するための方法であって、心臓の少なくとも2つの解剖学的壁を横切って体内デバイスを固定するステップを含み、少なくとも1つの解剖学的壁が心臓内壁であり、少なくとも1つの解剖学的壁が心臓外壁である、方法。
[項目2]
前記少なくとも1つの心臓内壁が心房中隔であり、前記少なくとも1つの心臓外壁が左心房の壁である、項目1に記載の方法。
[項目3]
少なくとも第3の解剖学的壁を横切って前記体内デバイスを固定するステップを含む、項目1に記載の方法。
[項目4]
前記体内デバイスが、第1の解剖学的区画内に配置されることになっている近位部分と、第2の解剖学的区画内に配置されることになっている中間部分と、第3の解剖学的区画内に配置されることになっている遠位部分とを備える、項目1~3のいずれか一項に記載の方法。
[項目5]
前記体内デバイスが、前記第2の区画から前記第3の区画への流体の流れを補助するための流体調節デバイスである、項目4に記載の方法。
[項目6]
前記体内デバイスが、コネクタによって1つまたは複数の解剖学的壁に固定される、項目1~5のいずれか一項に記載の方法。
[項目7]
前記コネクタが、1つまたは複数の解剖学的壁を横切って配置されることになっているネックと、前記ネックの第1の端部から延びる第1の複数のアームと、前記ネックの第2の端部から延びる第2の複数のアームとを備える、項目6に記載の方法。
[項目8]
固定手段が、前記体内デバイスに一体的に形成されているか、または結合される、項目1に記載の方法。
[項目9]
前記固定手段が、前記体内デバイスから延びる複数のアームを備える、項目8に記載の方法。
[項目10]
前記体内デバイスが、1つまたは複数の解剖学的壁を受け入れるように適合され構成された1つまたは複数の凹部を備える、項目6に記載の方法。
[項目11]
患者の心臓機能を支援するための体内デバイスであって、心臓の少なくとも2つの解剖学的壁を横切って固定されるように適合され構成された体内デバイス。
[項目12]
少なくとも1つの解剖学的壁が心臓内壁であり、少なくとも1つの解剖学的壁が心臓外壁である、項目11に記載の体内デバイス。
[項目13]
前記体内デバイスが、
1つまたは複数の解剖学的壁を横切って配置されるように構成されたコネクタによって、および
任意選択的に、前記体内デバイスに一体的に形成されているか、または結合される固定手段によって、
1つまたは複数の解剖学的壁に固定されるように適合され構成されている、項目11に記載の体内デバイス。
[項目14]
前記固定手段が、前記体内デバイスから延びる複数のアームを備える、項目13に記載の体内デバイス。
[項目15]
前記体内デバイスが、1つまたは複数の解剖学的壁を受け入れるように適合され構成された1つまたは複数の凹部を備える、項目11に記載の体内デバイス。
[項目16]
第1の解剖学的区画内に配置されることになっている近位部分と、第2の解剖学的区画内に配置されることになっている中間部分と、第3の解剖学的区画内に配置されることになっている遠位部分とを備える、項目11に記載の体内デバイス。
[項目17]
前記近位部分内に配置されたモータと、前記中間部分内の1つまたは複数の流体入口ポートと、前記中間部分内のポンプと、前記遠位部分内の1つまたは複数の流体出口ポートとを備える、項目16に記載の体内デバイス。
[項目18]
前記ポンプが、インペラとポンプハウジングとを備え、前記インペラが、前記ポンプハウジング内に配置されている、項目17に記載の体内デバイス。
[項目19]
前記インペラが、前記インペラの中央部分で最大となるテーパ形状を備える、項目18に記載の体内デバイス。
[項目20]
前記遠位部分内におよび前記1つまたは複数の流体出口ポートの前に配置された静的拡散器を備える、項目17に記載の体内デバイス。
[項目21]
前記遠位部分の端部に結合部材を備える、項目16に記載の体内デバイス。
[項目22]
前記結合部材が、静的拡散器を備える、項目21に記載の体内デバイス。
[項目23]
前記結合部材が、固定手段の結合を促進する、項目21に記載の体内デバイス。
[項目24]
前記静的拡散器が、前記インペラと前記1つまたは複数の流体出口ポートとの間に配置されている、項目20に記載の体内デバイス。
[項目25]
前記モータの駆動軸を前記ポンプに結合するように構成されたモータ結合要素を備える、項目17に記載の体内デバイス。
[項目26]
前記モータ結合要素が、前記モータの前記駆動軸を前記ポンプに磁気的に結合する、項目25に記載の体内デバイス。
[項目27]
前記モータ結合要素が、前記モータの前記駆動軸を前記ポンプに軸方向に結合する、項目26に記載の体内デバイス。
[項目28]
前記モータ結合要素が、前記モータの前記駆動軸を前記ポンプに径方向に結合する、項目26に記載の体内デバイス。
[項目29]
前記モータ、前記駆動軸、および前記駆動軸の端部の磁気要素が、密閉型ハウジング内に位置している、項目25に記載の体内デバイス。
[項目30]
前記モータ結合要素の一部分が、前記磁気要素を収容する前記密閉型ハウジングの一部分を取り囲んでいる、項目29に記載の体内デバイス。
[項目31]
間隙空間が、前記モータ結合要素の前記部分と前記密閉型ハウジングの前記部分との間に存在している、項目30に記載の体内デバイス。
[項目32]
前記モータ結合要素のインターフェースが、前記駆動軸を前記ポンプに結合するために前記モータのインターフェースに磁気的に固定可能であり、空隙が、結合中に前記インターフェース間に存在している、項目25に記載の体内デバイス。
[項目33]
使用中、前記空隙が、前記モータインターフェースと前記モータ結合要素の前記インターフェースとの間の流体の流れを促進する、項目32に記載の体内デバイス。
[項目34]
前記モータ結合要素のさらなるインターフェースが、前記インペラのインターフェースに結合する、項目32に記載の体内デバイス。
[項目35]
前記モータ結合要素が、1つまたは複数のボア部分を備える、項目25に記載の体内デバイス。
[項目36]
前記1つまたは複数のボア部分が、前記モータ結合要素を通って延びるボアホールを備える、項目35に記載の体内デバイス。
[項目37]
前記1つまたは複数のボア部分が、前記モータ結合要素の前記インターフェースをそれぞれのインペラインターフェースに結合する分割されたアームを備える、項目35に記載の体内デバイス。
[項目38]
使用中、流体が、前記モータインターフェースと前記モータ結合要素の前記インターフェースとの間および前記1つまたは複数のボア部分を通って、前記インペラに向かって流れるようになっている、項目35に記載の体内デバイス。
[項目39]
前記1つまたは複数の流体入口ポートが、前記1つまたは複数のボア部分と前記インペラとの間に配置されている、項目35に記載の体内デバイス。
[項目40]
前記モータが、電源および制御手段を備える、項目17に記載の体内デバイス。
[項目41]
前記電源および制御手段が、テーパ部分を介して前記モータに結合されている、項目40に記載の体内デバイス。
【外国語明細書】