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▶ シャンラオ ジンコ ソーラー テクノロジー デベロップメント シーオー.,エルティーディーの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166458
(43)【公開日】2023-11-21
(54)【発明の名称】太陽電池及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0224 20060101AFI20231114BHJP
   H01L 31/0745 20120101ALI20231114BHJP
   C23C 16/24 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
H01L31/04 260
H01L31/06 450
C23C16/24
H01L31/04 264
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023137212
(22)【出願日】2023-08-25
(62)【分割の表示】P 2019220327の分割
【原出願日】2019-12-05
(31)【優先権主張番号】10-2018-0155200
(32)【優先日】2018-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】522401774
【氏名又は名称】シャンラオ ジンコ ソーラー テクノロジー デベロップメント シーオー.,エルティーディー
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ジェ ウォン チャン
(72)【発明者】
【氏名】ヒュン ジュン パク
(72)【発明者】
【氏名】イン ド チャン
(72)【発明者】
【氏名】ジ ス コ
(57)【要約】
【課題】電極の構造を改善して、優れた特性と効率を向上することができる太陽電池及びその製造方法を提供する。
【解決手段】太陽電池10は、半導体基板12と半導体基板12に、または半導体基板12上に位置する導電型領域32、34及び導電型領域32、34に電気的に接続される電極42、44を含む。電極42、44が、第1電極部42a、44aと、第1電極部42a、44aの上に位置する第2電極部42b、44bを含む。第2電極部42b、44bが、第1金属を含む複数の粒子が接続されて形成された粒子接続層426と、第1金属と他の第2金属を含み、少なくとも粒子接続層426の外側表面を覆うカバー層428を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池の製造方法であって、
半導体基板に、又は前記半導体基板の上に導電型領域を形成する段階と、
前記導電型領域に電気的に接続される電極を形成する段階と、を含んでなり、
前記電極を形成する段階は、スパッタリングによってスパッタリング層で構成された第1電極部を形成する段階と、前記第1電極部の上に印刷によって印刷層で構成された第2電極部を形成する段階と、を含んでなり、
前記第2電極部を形成する段階において、
第1金属を含むコア層と、前記コア層上にコーティングされ、前記第1金属と他の第2金属とを含むコーティング層を含む粒子とを備えてなるペーストを使用する、太陽電池の製造方法。
【請求項2】
太陽電池の製造方法であって、
半導体基板に、又は前記半導体基板の上に導電型領域を形成する段階と、
前記導電型領域に電気的に接続される電極を形成する段階と、を含んでなり、
前記電極を形成する段階は、スパッタリングによってスパッタリング層で構成された第1電極部を形成する段階と、前記第1電極部の上に印刷によって印刷層で構成された第2電極部を形成する段階と、を含んでなり、
前記第2電極部を形成する段階において、
第1金属を含む第1粒子と、前記第1金属と他の第2金属とを含む第2粒子を備えてなるペーストを使用する、太陽電池の製造方法。
【請求項3】
太陽電池の製造方法であって、
半導体基板に、又は前記半導体基板の上に導電型領域を形成する段階と、
前記導電型領域に電気的に接続される電極を形成する段階と、を含んでなり、
前記電極を形成する段階は、スパッタリングによってスパッタリング層で構成された第1電極部を形成する段階と、前記第1電極部の上に印刷によって印刷層で構成された第2電極部を形成する段階と、を含んでなり、
前記第2電極部を形成する段階は、
互いに異なる第1金属と第2金属とを含む粒子、バインダー、及び溶媒を備えてなるペーストを前記第1電極部の上に塗布する段階と、
前記ペーストを第1温度で乾燥する段階と、
前記乾燥されたペーストを前記第1温度より高く、前記第1金属の融点より低い第2温度で熱処理する段階と、を含んでなる、太陽電池の製造方法。
【請求項4】
前記第1温度が150℃以下であり、
前記第2温度が450℃以下である、請求項3に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項5】
前記第2電極部を形成する段階において、
前記第1金属を備えた複数の粒子が接続されて粒子接続層を形成し、
前記第2金属が、前記粒子接続層の外側表面から凝集して、少なくとも前記粒子接続層の外側表面を覆うカバー層を形成し、
前記粒子接続層及び前記カバー層を備えた前記第2電極部を形成する、請求項3に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項6】
太陽電池の製造方法であって、
半導体基板に、又は前記半導体基板の上に導電型領域を形成する段階と、
前記導電型領域に電気的に接続される電極を形成する段階と、を含んでなり、
前記電極を形成する段階は、スパッタリングによってスパッタリング層で構成された第1電極部を形成する段階と、前記第1電極部の上に印刷によって印刷層で構成された第2電極部を形成する段階と、を含んでなり、
前記第1電極部を形成する段階において、前記第1電極部を形成する一又は複数の電極層を全体的に形成した後、これをパターニングし、
前記第2電極部を形成する段階において、前記第1電極部に対応する前記第2電極部の部分のみにペーストを塗布する、太陽電池の製造方法。
【請求項7】
太陽電池であって、
半導体基板と、
前記半導体基板の一面に、又は前記半導体基板の一面の上に位置する、導電型領域と、
前記導電型領域に電気的に接続される電極と、を備えてなり、
前記電極が、銅と錫を備えた電極部を備え、
前記電極は、前記半導体基板の前記一面上に1方向に延びる部分が100個以上備えられてなり、
前記電極又は前記電極部の厚さが10μm以上である、太陽電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池及びその製造方法、及び太陽電池パネルに関し、さらに詳細には、構造を改善した太陽電池及びその製造方法、及び太陽電池パネルに関する。
〔関連技術〕
本発明は、韓国特許出願第10-2018-0155200号(出願日:2018年12月5日)に基づくパリ条約4条の優先権主張を伴ったものであり、当該韓国特許出願に開示された内容に基づくものである。参考のために、当該韓国特許出願の明細書及び図面の内容は本願明細書の一部に包摂されるものである。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は、様々な層及び電極を設計に基づいて形成することにより製造することができる。ところが、このような様々な層及び電極の設計に基づいて、太陽電池の効率が決定されることができる。太陽電池の商用化のためには、低効率を克服しなければならないところ、様々な層及び電極が太陽電池の効率を最大化するように設計されることが要求される。
【0003】
従来に太陽電池において電極を形成する工程は、印刷、メッキ、スパッタリングなどの工程をそのまま利用して行われた。このように電極に対しては、工程の便宜性だけを追求して、従来の工程をそのまま用いたため、太陽電池の効率を向上させ、不良率を下げるには限界があった。
【0004】
ところで、印刷工程だけを用いて電極を形成すると電極を形成するためのペーストが絶縁膜を貫通することができ、ペースト内の金属粒子が焼結することができる高い温度で熱処理する工程が必要である。高温の熱処理工程、絶縁膜の貫通のためにペースト内に含まれるガラスフリット等により太陽電池の特性が望まないように変化したり、ひどい場合、太陽電池が損傷することがあった。
【0005】
そして、メッキ工程を用いて電極を形成するとめっき溶液を使用しなければならないが、めっき溶液によって太陽電池の特性が好ましくないものに変化したり、ひどい場合、太陽電池が損傷することがあった。そして、所望する部分のみメッキが行われるようにメッキ工程の前に、シード層を別々に形成しなければならず、処理工程が複雑化する。また、絶縁膜などにピンホール(pin hole)などが存在すると、所望しない部分にメッキされることがあった。
【0006】
そして、スパッタリング工程のみを用いて電極を形成すれば、電極の厚さを十分に増加させ難くて抵抗を低減するのに限界があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、電極の構造を改善して、優れた特性と効率を向上することができる太陽電池及びその製造方法を提供することにある。
【0008】
さらに具体的に、本発明は、電極の積層構造と形成工程を具体化して電極の抵抗を低減して、充密度と効率を向上させながら、製造工程を単純化することができる太陽電池及びその製造方法を提供する。
【0009】
一方、本発明は、優れた特性と効率を有する太陽電池を備えた、優れた出力、優れた安定性及び低不良率を有する太陽電池パネルを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
〔本発明の一の態様〕
本発明は以下の態様を一例として例示することができる。
〔1〕太陽電池であって、
半導体基板と、
前記半導体基板上に、又は前記半導体基板の上に位置する、導電型領域と、
前記導電型領域に電気的に接続される電極と、を備えてなり、前記電極が、第1電極部と、前記第1電極部の上に位置する第2電極部と、を備え、
前記第2電極部が、第1金属を含む複数の粒子が接続され、各粒子は、第1金属を備えるように形成された粒子接続層と、前記第1金属と、他の第2金属と、を備えてなり、少なくとも前記粒子接続層の外側表面を覆うカバー層を備えてなる、太陽電池。
〔2〕前記第1金属は、前記第1電極部の物質と同一であり、又は前記第1電極部の物質より小さい比抵抗を有するものであり、
前記第2金属は、前記第1金属よりイオン化傾向、又は金属の反応性が小さいものであり、前記第1金属の酸化を防止するものである、〔1〕に記載の太陽電池。
〔3〕前記第2金属が、前記第1金属より低い融点を有するはんだ物質を備えてなる、〔2〕に記載の太陽電池。
〔4〕前記第1金属が、銅、銀、アルミニウム、及び金からなる群から選択される少なくとも一つを備えてなり、
前記第2金属が、スズ、クロム、マンガン、モリブデン、及びニッケルからなる群から選択される少なくとも一つを備えてなる、〔1〕に記載の太陽電池。
〔5〕前記第1金属が銅を備えてなり、
前記第2金属がスズを備えてなる、〔4〕に記載の太陽電池。
〔6〕前記第2電極部が前記電極の最外郭層を構成し、
前記第2電極部の密度が前記第1電極部の密度より小さい、〔1〕に記載の太陽電池。
〔7〕前記第1電極部の厚さに対する前記第2電極部の厚さの割合が10倍以上である、〔1〕に記載の太陽電池。
〔8〕前記粒子接続層の第1厚さが、前記粒子接続層の外側表面上に位置する部分で前記カバー層の第2厚さより大きい、〔7〕に記載の太陽電池。
〔9〕前記第1厚さに対する前記第2厚さの比率が0.04乃至0.2である、〔8〕に記載の太陽電池。
〔10〕前記カバー層の厚さが、前記粒子接続層の外側表面の表面粗さより大きい、〔1〕に記載の太陽電池。
〔11〕前記カバー層の外側表面の表面粗さが、前記粒子接続層の外側表面の表面粗さより小さい、〔1〕に記載の太陽電池。
〔12〕前記第2電極部の幅が、前記第1電極部の幅と同一であるか、又は前記第1電極部の幅より小さい、〔1〕に記載の太陽電池。
〔13〕前記第2電極部が前記半導体基板と反対して位置する前記第1電極部の表面上にのみ形成され、前記半導体基板と交差する方向に延長された前記第1電極部の側面上には形成されない、〔12〕に記載の太陽電池。
〔14〕前記第1電極部は、
耐火金属を備えた第1電極層と、
前記第1電極層の上に位置し、前記第1電極層より低い抵抗を有する第2電極層と、
前記第2電極層上に形成されて拡散バリアとして作用する第3電極層と、
前記第3電極層の上に位置し、スズまたはニッケル-バナジウム合金を備えた第4電極層と、を備えてなり、
前記第2電極部が、前記第4電極層に接触して位置する、〔1〕に記載の太陽電池。
〔15〕前記第1電極層がチタンを備え、
前記第2電極層がアルミニウムを備え、
前記第3電極層がチタンを備え、
前記第4電極層がニッケル-バナジウム合金を備えてなる、〔14〕に記載の太陽電池。
〔16〕前記導電型領域が、前記半導体基板の一面に位置し、第1導電型を有する第1導電型領域と、
前記半導体基板の前記一面において、前記第1導電型領域と別の位置に位置し、第2導電型を有する第2導電型領域と、を備えてなり、
前記電極が、前記第1導電型領域に接続される第1電極と、及び前記第2導電型領域に接続される第2電極と、を備えてなり、
前記第1電極及び前記第2電極の少なくとも1つが、前記第1電極部と前記第2電極部とを備えてなる、〔1〕に記載の太陽電池。
〔17〕太陽電池であって、
半導体基板と、
前記半導体基板に、又は前記半導体基板の上に位置する、導電型領域と、
前記導電型領域に電気的に接続される電極と、を備えてなり、
前記電極が、スパッタリングによって形成されたスパッタリング層で構成された第1電極部と、前記第1電極部の上に位置し、印刷によって形成された印刷層で構成された第2電極部と、を備えてなる、太陽電池。
〔18〕太陽電池の製造方法であって、
半導体基板に、又は前記半導体基板の上に導電型領域を形成する段階と、
前記導電型領域に電気的に接続される電極を形成する段階と、を含んでなり、
前記電極を形成する段階は、スパッタリングによってスパッタリング層で構成された第1電極部を形成する段階と、前記第1電極部の上に印刷によって印刷層で構成された第2電極部を形成する段階と、を含んでなる、太陽電池の製造方法。
〔19〕前記第2電極部を形成する段階において、
第1金属を含むコア層と、前記コア層上にコーティングされ、前記第1金属と他の第2金属とを含むコーティング層を含む粒子とを備えてなるペーストを使用する、〔18〕に記載の太陽電池の製造方法。
〔20〕前記第2電極部を形成する段階において、
第1金属を含む第1粒子と、前記第1金属と他の第2金属とを含む第2粒子を備えてなるペーストを使用する、〔18〕に記載の太陽電池の製造方法。
〔21〕前記第2電極部を形成する段階は、
互いに異なる第1金属と第2金属とを含む粒子、バインダー、及び溶媒を備えてなるペーストを前記第1電極部の上に塗布する段階と、
前記ペーストを第1温度で乾燥する段階と、
前記乾燥されたペーストを前記第1温度より高く、前記第1金属の融点より低い第2温度で熱処理する段階と、を含んでなる、〔18〕に記載の太陽電池の製造方法。
〔22〕前記第1温度が150℃以下であり、
前記第2温度が450℃以下である、〔21〕に記載の太陽電池の製造方法。
〔23〕前記第2電極部を形成する段階において、
前記第1金属を備えた複数の粒子が接続されて粒子接続層を形成し、
前記第2金属が、前記粒子接続層の外側表面から凝集して、少なくとも前記粒子接続層の外側表面を覆うカバー層を形成し、
前記粒子接続層及び前記カバー層を備えた前記第2電極部を形成する、〔21〕に記載の太陽電池の製造方法。
〔24〕前記第1電極部を形成する段階において、前記第1電極部を形成する一又は複数の電極層を全体的に形成した後、これをパターニングし、
前記第2電極部を形成する段階において、前記第1電極部に対応する前記第2電極部の部分のみにペーストを塗布する、〔18〕に記載の太陽電池の製造方法。
〔25〕太陽電池パネルであって、
太陽電池と、
前記太陽電池が、
半導体基板と、
前記半導体基板に、又は前記半導体基板の上に位置する導電型領域と、
前記導電型領域に電気的に接続される電極と、を備えてなるものであり、
前記太陽電池の前記電極に電気的に接続される配線部と、
前記太陽電池と前記配線部を包み込むシール材と、
前記シール材の上、前記太陽電池の一面上に位置する第1カバー部材と、
前記シール材の上、前記太陽電池の他面上に位置する第2カバー部材と、を備えてなり、
前記電極が、第1電極部と、前記第1電極部の上に位置する第2電極部とを備え、
前記第2電極部が、第1金属を含む複数の粒子が接続されて形成された粒子接続層と、前記第1金属と他の第2金属を含み、少なくとも前記粒子接続層の外側表面を覆うカバー層とを備えてなる、太陽電池パネル。
〔26〕前記第2電極部と前記配線材との間に位置し、はんだ物質を備え、前記電極部と前記配線材を電気的及び物理的に接続する、接続部材を備えてなる、〔25〕に記載の太陽電池パネル。
〔27〕前記第2電極部と前記配線材が互いに接触して接続される、〔25〕に記載の太陽電池パネル。
〔28〕太陽電池であって、
半導体基板と、
前記半導体基板の一面に、又は前記半導体基板の一面の上に位置する、導電型領域と、
前記導電型領域に電気的に接続される電極と、を備えてなり、
前記電極が、銅と錫を備えた電極部を備え、
前記電極は、前記半導体基板の前記一面上に1方向に延びる部分が100個以上備えられてなり、
前記電極又は前記電極部の厚さが10μm以上である、太陽電池。
【0011】
本発明の実施の形態に係る太陽電池は、第1電極部と、前記第1電極部の上に位置する第2電極部を含む電極を含む(「含む」は備えるとも読む。以下、同じである)。ここで、第1電極部と第2電極部は、互いに異なる工程によって形成されるか、互いに異なる厚さ、特性、形状などを有することができる。前記第1電極部がスパッタリングによって形成されたスパッタリング層で構成することができ、前記第2電極部が、前記第1電極部の上に位置し、印刷によって形成された印刷層で構成されることができる。前記第2電極部が互いに異なる第1金属と第2金属を含むことができる。前記第2電極部は、第1金属を含む複数の粒子が接続されて形成された粒子接続層と、前記第1金属と他の第2金属を含み、少なくとも前記粒子接続層の外側表面を覆うカバー層を備えることができる。そして、太陽電池は、半導体基板と、前記半導体基板に、または前記半導体基板上に位置し、前記電極が位置する導電型領域をさらに含むことができる。
【0012】
前記第1金属は、前記第1電極部の物質と同じか、それより小さな比抵抗を有し、前記第2金属は、前記第1金属よりイオン化傾向または金属の反応性が小さくて、前記第1金属の酸化を防止することができる。
【0013】
前記第2金属が、前記第1金属より低い融点を有するはんだ物質を含むことができる
前記第1金属が銅、銀、アルミニウム、金の内、少なくとも一つを含み、前記第2金属がスズ、クロム、マンガン、モリブデン、ニッケルの内、少なくとも一つを含むことができる。
【0014】
前記第1金属が銅を含み、前記第2金属がスズを含むことができる。
【0015】
前記第2電極部が前記電極の最外郭層を構成し、前記第1電極部より前記第2電極部の密度が小さいことができる。
【0016】
前記第1電極部の厚さに対する前記第2電極部の厚さの比率が10倍以上で有り得る。
【0017】
前記粒子接続層の第1厚さが前記粒子接続層の外側表面上に位置する部分で前記カバー層の第2厚さより大きいことがある。
【0018】
前記第1厚さに対する前記第2厚さの比率が0.04乃至0.2で有り得る。
【0019】
前記粒子接続層の外側表面の表面粗さより前記カバー層の厚さがさらに大きくなることがある。
【0020】
前記粒子接続層の外側表面の表面粗さより前記カバー層の外側表面の表面粗さがさらに小さいことがある。
【0021】
前記第2電極部の幅が前記第1電極部の幅と同じか、それより小さいことがある。
【0022】
前記第2電極部が前記半導体基板と反対して位置する前記第1電極部の表面上にのみ形成され、前記半導体基板と交差する方向に延長された前記第1電極部の側面上には形成されないことがある。
【0023】
前記第1電極部は、耐火金属を含む第1電極層、第1電極層の上に位置し、前記第1電極層より低い抵抗を有する第2電極層、前記第2電極層上に形成されて拡散バリアとして作用する第3電極層、前記第3電極層の上に位置し、スズまたはニッケル-バナジウム合金を含む第4電極層を含み、前記第2電極部が、前記第4電極層に接触して位置することができる。
【0024】
前記第1電極層がチタンを含み、前記第2電極層がアルミニウムを含み、前記第3電極層がチタンを含み、前記第4電極層がニッケル-バナジウム合金を含むことができる。
【0025】
前記導電型領域が、前記半導体基板の一面に位置し、第1導電型を有する第1導電型領域と、前記半導体基板の前記一面において、前記第1導電型領域と異なる位置に位置し、第2導電型を有する第2導電型領域を含むことができる。前記電極が前記第1導電型領域に接続される第1電極と前記第2導電型領域に接続される第2電極を含むことができる。前記第1電極と前記第2電極の内、少なくとも1つが前記第1電極部と前記第2電極部を含むことができる。
【0026】
本発明の実施の形態に係る太陽電池の製造方法においては、互いに異なる工程によって、第1電極部と第2電極部を形成して電極を形成する。前記第1電極部がスパッタリングによって形成されたスパッタリング層で構成することができ、前記第2電極部が、前記第1電極部の上に位置し、印刷によって形成された印刷層で構成されることができる。前述した太陽電池の製造方法は、前記電極の形成段階の前に、半導体基板に、または前記半導体基板上に導電型領域を形成する段階と、前記導電型領域に電気的に接続される電極を形成する段階を含むことができる。
【0027】
前記第2電極部を形成する段階においては、第1金属を含むコア層と、前記コア層上にコーティングされ、前記第1金属と他の第2金属を含むコーティング層を使用することができる。または、前記第2電極部を形成する段階においては、第1金属を含む第1粒子と、前記第1金属と他の第2金属を含む第2粒子を含むペーストを使用することができる。
【0028】
前記第2電極部を形成する段階は、互いに異なる第1金属と第2金属を含む粒子、バインダー及び溶媒を含むペーストを前記第1電極部の上に塗布する段階と前記ペーストを第1温度で乾燥する段階と前記乾燥されたペーストを前記第1温度より高く、前記第1金属の融点より低い第2温度で熱処理する段階を含むことができる。
【0029】
前記第1温度が150℃以下であり、前記第2温度が450℃以下で有り得る。
【0030】
前記第2電極部を形成する段階においては、前記第1金属を含む複数の粒子が接続されて粒子接続層を形成し、前記第2金属が、前記粒子接続層の外側表面から凝集して、少なくとも前記粒子接続層の外側表面を覆うカバー層を形成し、前記粒子接続層及び前記カバー層を含む前記第2電極部を形成することができる。
【0031】
前記第1電極部を形成する段階においては、前記第1電極部を形成する一つまたは複数の電極層を全体的に形成した後、これをパターニングすることができる。前記第2電極部を形成する段階においては、前記第1電極部に該当する部分のみにペーストを塗布することができる。
【0032】
本発明の実施の形態に係る太陽電池は、前述した太陽電池と、前記太陽電池の前記電極に電気的に接続される配線部と、前記太陽電池及び前記配線部を包み込むシール材と、前記シール材の上で、前記太陽電池の一面上に位置する第1カバー部材と、シール材の上で、前記太陽電池の他面上に位置する第2カバー部材を含むことができる。
【0033】
前記太陽電池パネルは、前記第2電極部と前記配線材との間に位置し、はんだ物質を含みから前記電極部と前記配線材を電気的及び物理的に接続する接続部材をさらに含むことができる。
【0034】
前記第2電極部と前記配線材が互いに接触して接続することができる。
【発明の効果】
【0035】
本実施の形態においては、電極がスパッタリング層で構成された第1電極部と、印刷層で構成された第2電極部を備え、第1電極部によって電極と導電型領域の接触特性などを優秀に実現しながら、第2電極部により抵抗を大幅に削減することができる。このように、第2電極部が印刷層で構成されると、第2電極部を簡単な工程によって、十分な厚さに形成することができるところ、電極の製造工程を単純化し、電極の抵抗を効果的に低減することができる。一方、第2電極部が第1金属を主に含む粒子接続層及び第2金属を主に含むカバー層を含む。それでは、粒子接続層を低い温度で形成することができるので、電極形成工程で導電型領域などの損傷、特性の変化などを防止することができる。そしてカバー層によって粒子接続層の電気的及び物理的な接続特性を向上し、粒子接続層の酸化を防止し、配線部などとの接着特性を向上することができる。これにより、太陽電池の効率及びこれを含む太陽電池パネルの出力を向上することができる。
【0036】
また、本実施の形態に係る太陽電池の製造方法においては、第1金属と第2金属を含むペーストを印刷することにより、第2電極部を形成して、第1及び第2電極部を含む電極を簡単な工程で形成することができる。これにより、優れた効率を有する太陽電池を高い生産性で製造することができる。特に、本実施の形態においては、配線部または接続部材と接続される最外郭層のカバー層で第2金属が第1金属の酸化を効果的に防止することができる。これにより、従来は、配線部または接続部材の形成前に行われた、従来のプラズマ工程を省略することができる。これによって工程を単純化し、電極または太陽電池の損傷などの問題を根本的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明の一実施の形態に係る太陽電池を示す断面図である。
図2図1に示した太陽電池の部分後面平面図である。
図3】本発明の一変形例に係る太陽電池を示す断面図である。
図4】本発明の他の変形例に係る太陽電池を示す断面図である。
図5】本発明のまた他の変形例に係る太陽電池を示す断面図である。
図6A】本発明の実施の形態に係る太陽電池の製造方法を示す断面図である。
図6B】本発明の実施の形態に係る太陽電池の製造方法を示す断面図である。
図6C】本発明の実施の形態に係る太陽電池の製造方法を示す断面図である。
図7】本発明の実施の形態に係る太陽電池の製造方法に使用するペーストに含まれる粒子の形態を概略的に示す図である。
図8】本発明の実施の形態に係る太陽電池パネルを概略的に示す分解斜視図である。
図9図8に示した太陽電池パネルに含まれた2つの太陽電池、接続部材と絶縁部材及び配線部を概略的に示した後面平面図である。
図10図8に示した太陽電池パネルで太陽電池、接続部材及び配線部の接続構造の一例を概略的に示す部分断面図である。
図11図8に示した太陽電池パネルの太陽電池、接続部材及び配線部の接続構造の他の例を概略的に示す部分断面図である。
図12】本発明の実施の形態に係る太陽電池で第1及び第2電極部の平面形状の様々な例を示す平面図である。
図13】本発明の他の実施の形態に係る太陽電池を示す断面図である。
図14】製造例1及び比較例1により製造された複数の太陽電池の充密度を測定してその結果を示したグラフである。
図15】製造例1及び比較例1により製造された複数の太陽電池の効率を測定してその結果を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下においては、添付した図面を参考にして、本発明の実施の形態を詳細に説明する。しかし、本発明がこのような実施の形態に限定されるものではなく、様々な形態に変形することができることはもちろんである。
【0039】
図においては本発明を明確かつ簡略に説明するために説明と関係ない部分の図示を省略し、明細書全体を通じて同一または極めて類似の部分に対しては、同一の図面参照符号を使用する。そして、図面では、説明をさらに明確にするために厚さ、広さなどを拡大または縮小して示したところ、本発明の厚さ、広さなどは図面に示されたところに限定されない。
【0040】
そして、明細書全体においてどのような部分が他の部分を「含む(備える)」とするとき、特に反対される記載がない限り、他の部分を排除するものではなく、他の部分をさらに含むことができる。また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分「上に」あるとする時、これは他の部分「真上に」ある場合だけでなく、その中間に他の部分が位置する場合も含む。層、膜、領域、板などの部分が他の部分「真上に」あるとするときは、中間に他の部分が位置しないことを意味する。
【0041】
以下、図面を参考にして本発明の実施の形態に係る太陽電池及びその製造方法を詳細に説明する。
【0042】
図1は、本発明の一実施の形態に係る太陽電池を示す断面図であり、図2は、図1に示した太陽電池の部分後面平面図である。
【0043】
図1及び図2を参照すると、本実施の形態に係る太陽電池10は、半導体基板12と、半導体基板12に、または半導体基板12上に形成される導電型領域(32、34)と、導電型領域(32、34)に電気的に接続される電極(42、44)を含む。ここで、導電型領域(32、34)は、第1導電型を有する第1導電型領域32と、第1導電型と反対の第2導電型を有する第2導電型領域34を含むことができ、電極(42、44)は、第1導電型領域32に電気的に接続される第1電極42と第2導電型領域34に接続される第2電極44を含むことができる。本実施の形態において、第1及び第2電極(42、44)の内、少なくとも1つが、第1電極部(42a、44a)と、この上に位置する第2電極部(42b、44b)を含む。第1電極部(42a、44a)と第2電極部(42b、44b)は、互いに異なる工程によって形成されて、互いに異なる形状、特性、厚さなどを有することができる。そのほか、太陽電池10は、中間膜20、絶縁膜41、前面パッシベーション膜24、反射防止膜26、後面パッシベーション膜40などをさらに含むことができる。これさらに詳細に説明する。
【0044】
一例として、半導体基板12は、第1または第2導電型ドーパントを含む結晶質半導体(例えば、単結晶または多結晶半導体、一例として、単結晶または多結晶シリコン、特に単結晶シリコン)で構成されたベース領域12aを含むことができる。このように結晶性が高く、欠陥の少ないベース領域12aまたは半導体基板12をベースにした太陽電池10は、電気的特性が優れる。
【0045】
半導体基板12の前面には、前面電界領域12bが位置することができる。一例として、前面電界領域12bは、ベース領域12aと同じ導電型を有し、ベース領域12aより高いドーピング濃度を有するドーピング領域で、半導体基板12の一部を構成することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。したがって、前面電界領域12bが半導体基板12と別に位置する半導体層であるか、ドーパントを有さなく、固定電荷等を有する酸化膜などで構成されるなど、様々な変形が可能である。
【0046】
そして、半導体基板12の前面は、反射を防止するための反射防止構造(一例として、半導体基板12の(111)面で構成されたピラミッド形状のテクスチャリング構造)を備え、反射を最小化することができる。そして、半導体基板12の後面は、鏡面研磨された面で構成されて、前面より小さい表面粗さを有しパッシベーション特性を向上することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0047】
半導体基板12の後面の上で半導体基板12と導電型領域(32、34)との間に中間膜20が位置することができる。中間膜20は、半導体基板12の後面の上に全体的に位置(一例として、接触)することができる。
【0048】
中間膜20は、半導体基板12の表面をパッシベーションするパッシベーション役割をすることができる。または、中間膜20が導電型領域(132、34)のドーパントが半導体基板12に過度に拡散することを防止するドーパントの制御の役割または拡散バリアとしての役割を実行することができる。このような中間膜20は、前述した役割を実行することができる様々な物質を含むことができるが、一例として、酸化膜、シリコンを含む誘電膜または絶縁膜、窒化酸化膜、炭化酸化膜、真性非晶質シリコン膜などでなることができる。一例として、導電型領域(32、34)が、多結晶半導体で構成されると中間膜20は、容易に製造することができ、キャリア伝達が円滑に行われることができるシリコン酸化膜で有り得る。他の例として、導電型領域(32、34)が非晶質半導体で構成されると、中間膜20が真性非晶質シリコン膜で構成されることができる。
【0049】
中間膜20の厚さが前面パッシベーション膜24、反射防止膜26及び後面パッシベーション膜40より小さいことができる。一例として、中間膜20の厚さが10nm以下(例えば、5nm以下、さらに具体的には、2nm以下、一例として、0.5nm乃至2nm)で有り得る。これは中間膜20の効果を十分に実現するためのものであるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0050】
中間膜20の上には導電型領域(32、34)を含む半導体層30が位置(一例として、接触)することができる。さらに具体的には、第1導電型領域32と第2導電型領域34が中間膜20の上で連続的に形成された半導体層30内に一緒に位置して同一平面上に位置することができる。そして、第1導電型領域32と第2導電型領域34との間に、これらと同一平面上にバリア領域36が位置することができる。
【0051】
第1と第2導電型領域(32、34)及びバリア領域36、または半導体層30は、半導体基板12と、他の結晶構造を有することができる。一例として、第1及び第2導電型領域(32、34)とバリア領域36、または半導体層30は、非晶質半導体、微細結晶半導体、または多結晶半導体(一例として、非晶質シリコン、微細結晶シリコン、または多結晶シリコン)などを含み、第1導電型領域32には、第1導電型ドーパントが含まれ、第2導電型領域34には、第2導電型ドーパントが含まれることができる。バリア領域36は、第1及び第2導電型ドーパントがドーピングされていない真性またはアンドフト半導体で構成されることができる。このとき、第1及び第2導電型領域(32、34)とバリア領域36、または半導体層30が、多結晶半導体を有することで、高いキャリア移動度を有することができる。このとき、第1及び第2導電型領域(32、34)とバリア領域36、または半導体層30が非晶質半導体を有するころで、単純な工程によって形成されることができる。
【0052】
このとき、ベース領域12aが第2導電型を有するころで、ベース領域12aと、他の導電型を有する第1導電型領域32は、エミッタ領域に機能し、ベース領域12aと同じ導電型を有する第2導電型領域34は、後面電界(back surface field)領域に機能する。バリア領域36は、第1導電型領域32と第2導電型領域34を物理的に離隔させて、これらが接触する場合に発生することができるシャント(shunt)を防止することができる。
【0053】
このとき、第1導電型領域32の面積(一例として、幅)が第2導電型領域34の面積(一例として、幅)より大きくなることができる。これによれば、エミッタ領域に機能する第1導電型領域32が後面電界領域に機能する第2導電型領域34より広い面積を有し光電変換に有利で有り得る。
【0054】
このように、第1及び第2導電型領域(32、34)が中間膜20を間に置いて、半導体基板12と他の別の層で構成される。これにより、半導体基板12にドーパントをドーピングして形成されたドーピング領域を導電型領域で使用する場合よりも、再結合による損失を最小化することができる。そしてバリア領域36を真性またはアンドフト半導体で構成してバリア領域36の形成工程を単純化することができる。
【0055】
しかし、本発明がこれに限定されるものではない。したがって中間膜20を備えないことがある。または、第1及び第2導電型領域(32、34)の内、少なくとも1つが、半導体基板12の一部にドーパントがドーピングされて形成され半導体基板12の一部を構成するドーピング領域で構成することもできる。そしてバリア領域36を備えないか、バリア領域36が、半導体物質以外の他の物質を含むことができる。その他の様々な変形が可能である。
【0056】
ここで、第1または第2導電型ドーパントがp型である場合には、ボロン(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)などの3族元素を使用することができる。第1または第2導電型ドーパントがn型である場合には、リン(P)、ヒ素(As)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)などの5族元素を使用することができる。一例として、第1及び第2導電型ドーパントの内、いずれか1つがボロン(B)であり、他の一つがリン(P)で有り得る。
【0057】
半導体基板12の前面上には前面パッシベーション膜24と反射防止膜26が位置(一例として、接触)することができ、導電型領域(32、34)、または半導体層30上にコンタクトホール46を備える後面パッシベーション膜40が位置(一例として、接触)することができる。前面パッシベーション膜24と反射防止膜26は、半導体基板12の前面上に全体的に形成され、後面パッシベーション膜40は、半導体層30の上でコンタクトホール46を除外した部分に全体的に形成されることができる。一例として、前面パッシベーション膜24、反射防止膜26、または後面パッシベーション膜40は、優れた絶縁特性、パッシベーション特性などを有することができるようにドーパントなどを備えないことがある。
【0058】
一例として、前面パッシベーション膜24、反射防止膜26または後面パッシベーション膜40は、シリコン窒化膜、水素を含むシリコン窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン酸化窒化膜、アルミニウム酸化膜、シリコン炭化膜、MgF2、ZnS、TiO2及びCeO2からなる群から選択されたいずれか1つの単一膜または2つ以上の膜を組み合わせた多層膜構造を有することができる。
【0059】
そして、第1電極42がコンタクトホール46を介して第1導電型領域32に電気的に接続され、第2電極44がコンタクトホール46を介して第2導電型領域34に電気的に接続されることができる。
【0060】
本実施の形態においては、導電型領域(32、34)と電極(42、44)との間に絶縁膜41が位置して電極(42、44)、絶縁膜41及び導電型領域(32、34)が、金属-絶縁層-半導体(MIS)構造を形成することを例示した。
【0061】
さらに具体的に、後面パッシベーション膜40のコンタクトホール46の内部には、導電型領域(32、34)と電極(42、44)との間に絶縁膜41が位置する。これにより、後面パッシベーション膜40が除去されて発生することができるパッシベーション特性の低下を効果的に防止することができる。そして導電型領域(32、34)と電極(42、44)が直接接触することに比べて界面のコンタクト特性を向上することができる。また、絶縁膜41は、コンタクトホール46を形成した後に実行される様々な工程で導電型領域(32、34)が損傷することを防止することができる。
【0062】
本実施の形態において絶縁膜41は、耐火金属と酸素が結合して形成された耐火金属酸化物を含むことができる。一例として、絶縁膜41が耐火金属酸化物からなる耐火金属酸化膜で有り得る。シリコン酸化物で構成された絶縁膜は、反射率が低いものの、前述した絶縁膜41は、高屈折率を有し長波長の反射度をさらに向上することができる。これにより、半導体基板12の後面に到達した光を効果的に反射することができる。このとき、耐火金属酸化物で構成された絶縁膜41は、化学気相蒸着ではない、原子層蒸着法によって形成されて、高い膜密度を有し、優れた結晶性を有することができる。それでは、光の吸収を最小化し、光の反射をさらに効果的に向上することができ、電極(42、44)の接触抵抗をおおきく低減することができる。
【0063】
例えば、絶縁膜41が、酸化チタン(TiOx、一例として、TiO2)、またはモリブデン酸化物(MoOx、一例として、MoO2またはMoO3)を含むことができる。一例として、絶縁膜41がチタン酸化膜またはモリブデン酸化膜からなることができ、特にチタン酸化膜からなることができる。酸化チタンまたはモリブデン酸化物は、長波長の光に対して高い反射度を有し、電極(42、44)の接触抵抗を下げることができ、特に、チタン酸化物が、このような効果が優れる。さらに具体的には、絶縁膜41が、アナターゼ相(anatase phase)を有するチタン酸化物を含むと、他の相のチタン酸化物より優れた結晶性と高い屈折率を有し反射度向上及び接触抵抗の低下効果を大きく向上することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく絶縁膜41が、他の相(例えば、ルチル相(rutile phase)を有する酸化チタンを含むこともできる。
【0064】
このとき、導電型領域(32、34)と電極(42、44)が絶縁膜41を間に置いて電気的に接続されるので、導電型領域(32、34)と電極(42、44)との間の電気的接続特性を向上することができるように絶縁膜41が薄く形成されることができる。つまり、絶縁膜41は、後面パッシベーション膜40、前面パッシベーション膜24、反射防止膜26より小さい厚さを有し、中間膜20と同じか、それより小さい厚さを有することができる。特に、絶縁膜41が中間膜20より小さい厚さを有することができる。これは絶縁膜41が電気的接続特性を低下しない程度の薄い厚さを有するからである。
【0065】
例えば、絶縁膜41の厚さが1nm以下(一例として、0.005nm乃至1nmで有り得る。絶縁膜41の厚さが1nmを超えると、導電型領域(32、34)と電極(42、44)の電気的接続特性が多少低下することができる。そして、絶縁膜41の厚さが0.005nm未満では、均一な厚さで絶縁膜41を全体的に形成することが難しいことがあり絶縁膜41による効果が十分ではないことがある。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0066】
図1においてでは、一例として、絶縁膜41がコンタクトホール46によって露出された半導体層30と一緒に、後面パッシベーション膜40の表面及び側面を覆いながら全体的及び連続的に形成されたことを例示した。このとき、絶縁膜41は、非常に薄い厚さを有するのでコンタクトホール46による段差、屈曲などをそのまま備えながら形成されることがある。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、図3に示すように、絶縁膜41が電極(42、44)のパターニング時に一緒にパターニングされて電極(42、44)が位置した部分にのみ形成されて電極(42、44)の側面(特に、第1電極部(42a、42b)の側面)に連続的に接続される側面を有することもできる。また、図1においては、絶縁膜41が半導体基板12の後面側にのみ位置して前面などで反射特性を変化させることを防止することを例示した。しかし、図4に示すように絶縁膜41が半導体基板12の側面及び/または前面にも位置することができる。それでは、電極(42、44)のパターニング時に半導体基板12の側面及び/または前面を保護するなどの役割をすることができる。図では、絶縁膜41が半導体基板12の前面において一例として、前面電界領域12bと前面パッシベーション膜24との間に位置することを例示した。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく絶縁膜41の形成順序に従って絶縁膜41が前面パッシベーション膜24と反射防止膜26との間、または反射防止膜26の上に位置することもできる。または、図5に示すように、絶縁膜41が形成されず、第1及び第2電極(42、44)が、第1及び第2導電型領域(32、34)にそれぞれ接触することも可能である。
【0067】
本実施の形態において第1電極42及び第2電極44は、伝導性物質(一例として、金属)で構成されることができる。以下では、図1の拡大円を参照して、第1及び/または第2電極(42、44)の積層構造を詳細に説明した後、図2を参照して、第1及び第2電極(42、44)の平面構造を詳細に説明する。図1の拡大円では、第1電極42を拡大して示したが、第2電極44も、これと同じ積層構造を有することができる。これにより、以下では、第1または第2導電型領域(32、34)を導電型領域(32、34)に、これに接続される第1または第2電極42を電極(42、44)と指して説明する。そして、第1及び/または第2電極(42、44)の第1電極部(42a、44a)は、第1電極部42aに、第1及び/または第2電極(42、44)の第2電極部(42b、44b)は、第2電極部42bと指して説明する。
【0068】
本実施の形態において、電極(42、44)は、導電型領域(32、34)、またはこの上に位置する絶縁膜41の上に位置(一例として、接触)する第1電極部42aと、第1電極部42a上に位置する第2電極部42bを含む。
【0069】
ここで、第1電極部42aは、スパッタリングによって形成されたスパッタリング層で構成されることができる。さらに具体的には、第1電極部42aが複数の電極層(421、422、423、424)を含み、複数の電極層(421、422、423、424)のそれぞれがスパッタリング層で構成されることができる。本実施の形態において、第1電極部42aは、導電型領域(32、34)の上に位置(一例として、絶縁膜41に接触)する第1電極層421を含み、第1電極層421上に順に位置する第2電極層422、第3電極層423と第4電極層424を含むことができる。
【0070】
第1電極層421は、第2~第4電極層(422、423、424)(特に、第2電極層422)の金属物質が導電型領域(32、34)と所望しなく反応することを防止する役割をすることができる。このとき、導電型領域(32、34)と、第1電極層421との間に絶縁膜41がさらに位置して絶縁膜41もバリアの役割を実行して、金属物質の拡散による問題を効果的に防止することができる。
【0071】
さらに具体的には、太陽電池10の様々な製造工程の中には、様々な熱処理工程が行われる。例えば、電極(42、44)を形成するための電極物質層をスパッタリングなどの物理蒸着法(physical vapor deposition、PVD)などで形成した後には、電極物質層のストレスを軽減し導電型領域(32、34)とのコンタクト特性を改善するためにアニーリング(annealing)工程を行う。従来は、このような熱処理工程中に導電型領域(32、34)の半導体物質が第2電極層422に拡散し、第2電極層422の電極物質が導電型領域(32、34)の方向に拡散して問題が発生することができる。例えば、第2電極層422の電極物質(特に、アルミニウム)は、半導体物質より低い融点を有するため、拡散によって導電型領域(32、34)に位置する電極物質が容易に溶出されることができ、これにより、導電型領域(32、34)が、小さなホール、穴などが形成されるスパイキング(spiking)現象が発生することがある。このように導電型領域(32、34)が、スパイキング現象が発生すると、導電型領域(32、34)に欠陥が発生するので、導電型領域(32、34)の特性が大きく低下することができる。本実施の形態では、導電型領域(32、34)と第2電極層422との間に第1電極層421及び/または絶縁膜41が位置して、このような問題を防止することができる。
【0072】
このとき、第1電極層421が絶縁膜41の金属酸化物に含まれた耐火金属と同じ耐火金属(例えば、チタンまたはモリブデン)を含むことができ、第1電極層421が絶縁膜41の金属酸化物に含まれた耐火金属層からなることができる。特に、第1電極層421の金属と絶縁膜41に含まれた耐火金属が同じであることができる。それでは、第1電極層421と絶縁膜41に同じ耐火金属が備えるので、化学的濃度勾配等による拡散が起こることを効果的に防止することができる。一例として、絶縁膜41がチタン酸化物を含み、第1電極層421がチタンを含むことができる。この場合には、低い接触抵抗と優れた熱的安定性を有し安定したMISコンタクト構造を形成することができる。
【0073】
第1電極層421上に位置(一例として、接触)する第2電極層422は、低抵抗(一例として、第1電極層421より低い抵抗)を有し電気的特性を向上する役割をすることができる。前述したように、第2電極層422がアルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)などを含むことができる。特に、第2電極層422がアルミニウムを含むことができる。第2電極層422がアルミニウムを含むと、第2電極層422及びこれを含む第1電極部42aの側面が所望するパターンに応じた断面を有することができる。一方、第2電極層422が銅を含むと、第1電極部42aのパターニング時に使用されるエッチング液が銅で構成された第2電極層422の側面を強く速い速度でエッチングして第2電極層422にアンダーカット(under-cut)が発生することができる。これにより、第2電極層422の側面の少なくとも一部が第1、第3及び第4電極層(421、422、423、424)より内部に位置して所望する形状に第1電極部42aを安定的にパターニングしにくいことがある。
【0074】
第2電極層422上に位置(一例として、接触)する第3電極層423は、第2電極層422の金属物質が第4電極層424に拡散することを防止するバリアの役割をすることができる。第2電極層422の金属物質が第4電極層424の金属物質と反応して形成された合金によって抵抗が増加することがあるが、これを第3電極層423が防止することができる。第3電極層423は、第1電極層421と同一の物質(すなわち、耐火金属、一例として、チタン、モリブデン、またはタングステン)を有することができる。
【0075】
第3電極層423上に位置(一例として、接触)する第4電極層424は、他の太陽電池10または外部との接続のための配線部(図9の参照符号140、以下同じ)と接続される部分として、配線部140との接続特性に優れた物質を含むことができる。
【0076】
第4電極層424は、スズ(Sn)またはニッケル-バナジウム合金(NiV)を含むことができる。スズまたはニッケル-バナジウム合金は、第2電極部42bとの接合特性が非常に優れる。さらに具体的には、第2電極部42bがスズを含めると、第2電極部42bのスズとニッケル-バナジウム合金のニッケルの接合特性が非常に優れる。そしてニッケル-バナジウム合金は、融点が約1000℃以上で非常に高いレベルなので、第1~第3電極層(421、422、423)より高い融点を有する。これにより、配線部140との接合工程または太陽電池10の製造工程中に変形されず、第1~第3電極層(421、422、423)を保護するキャッピング膜の役割を十分に行うことができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、第4電極層424が、様々な伝導性物質(一例として、様々な金属)で構成されることができる。
【0077】
第1電極層421の厚さは、第2電極層422と第4電極層(422、424)の厚さよりそれぞれ小さいことができる。さらに具体的には、第1電極層421の厚さは、50nm以下(例えば、15nm以下、一例として、2nm乃至15nm)で有り得る。第1電極層421は、薄い厚さでも前述した効果を十分に実現することができるからである。
【0078】
第2電極層422は、第1電極層421、第3電極層423及び/または第4電極層424より大きい厚さを有することができ、一例として、50nm乃至400nmの厚さを有することができる。一例として、第2電極層422の厚さが100nm乃至400nm(さらに具体的には、100nm乃至300nm)で有り得る。第2電極層422の厚さが50nm未満であると、バリア層及び反射電極層の役割を実行することが難しいことがある。第2電極層422の厚さが400nmを超えると、反射特性などが大きく向上されないのにも製造コストは増加することができる。第2電極層422の厚さが100nm乃至300nmであれば、抵抗をさらに低減しながら熱的ストレスによる剥離を効果的に防止することができる。
【0079】
第3電極層423は、第2電極層422と第4電極層424のそれぞれより小さい厚さを有することができる。一例として、第3電極層423の厚さが50nm以下で有り得る。第3電極層423の厚さが50nmを超えると、抵抗が相対的に増加することができる。ここで、第3電極層423の厚さが5nm乃至50nmで有り得る。第3電極層423の厚さが5nm未満の場合には、第3電極層423が第2電極層422と第4電極層424との間で均等に形成されなくて、これらの間の反応を防ぐ効果が十分でないことがある。または、第3電極層423は、第1電極層421と同一又は類似の厚さを有したり、第1電極層421より厚い厚さを有することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、第3電極層423の厚さを第1電極層421より小さくすることができる。
【0080】
第4電極層424は、ナノレベルの厚さ、例えば、50nm乃至300nmの厚さを有することができる。第4電極層424の厚さが50nm未満であれば、第2電極部42bとの接合特性が低下することができ、300nmを超えると、製造コストが増加することができる。
【0081】
本実施の形態においては、第1電極層421、第2電極層422、第3電極層423及び第4電極層424が互いに接触するように形成されることができる。それでは、第1電極部42aの特性を向上しながらも、第1電極部42aの積層構造を単純化することができる。一例として、本実施の形態において、第1電極部42aが、第1~第4電極層(421、422、423、424)を備える4層の積層構造を有することができる。これによれば、第1電極部42aの積層構造を最大限に単純化することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、第1電極部42aが、第1~第4電極層(421、422、423、424)の間、または、その上に別の層を備えることもできる。また、第1~第4電極層(421、422、423、424)の内、少なくとも一つの電極層を含まないこともある。
【0082】
本実施の形態においては、スパッタリングにより、第1~第4電極層(421、422、423、424)を含む複数の電極物質層を形成した後、これをパターニングして第1電極部42aを形成することができる。さらに具体的に、後面パッシベーション膜40のコンタクトホール46を満たすように、第1~第4電極層(421、422、423、424)に対応する電極物質層を順に、全体的に形成した後、これらをパターニングすることにより、第1電極部42aを形成することができる。このようにスパッタリングによると、当該物質が太陽電池10の厚さ方向に積層されるので、第1電極層421が全体の部分で均一な厚さを有し、第2電極層422が全体部分で均一な厚さを有し、第3電極層423が全体部分で均一な厚さを有し、第4電極層424が全体部分で均一な厚さを有するように積層される。ここで、均一な厚さとは、工程誤差などを考慮すると、均一であると判断することができる厚さ(例えば、10%以内の差を有する厚さ)を意味することができる。
【0083】
このように、第1乃至第4電極層(421、422、423、424)がそれぞれスパッタリングによって形成されると、各電極層(421、422、423、424)に含めることができる単一の金属を含む単一金属膜(不可避な不純物の他に、残りのすべてが単一の金属)でなることができる。これにより、第1~第4電極層(421、422、423、424)は、それぞれ電極層(421、422、423、424)に含めることができる単一金属を99.9wt%以上(さらに具体的には、99.99wt%以上)で含むことができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、第1~第4電極層(421、422、423、424)内の単一の金属の含量は、第1~第4電極層(421、422、423、424)の製造方法、工程条件などにより異なることがある。また、第1~第4電極層(421、422、423、424)の物質、厚さ、積層構造なども多様に変化することもある。
【0084】
本実施の形態においては、スパッタリング層で構成される第1電極部42aの上に印刷により形成された印刷層で構成された第2電極部42bが位置することができる。第2電極部42bは、一例として、第1電極部42a(さらに具体的には、第4電極層424)に接触することができる。スパッタリング層で構成される第1電極部42aと、印刷層で構成された第2電極部42bは、優れたコンタクト抵抗を有しながら安定的に形成することができる。本実施の形態においては、電極(42、44)の最外郭層を形成し、印刷層で構成された、第2電極部42bの密度がスパッタリング層で構成された第1電極部42aの密度より小さい。
【0085】
ここで、第2電極部42bが、第1電極部42aの各電極層(421、422、423、424)の物質の比抵抗と同じか、それより小さな比抵抗を有する第1金属と、第1金属の酸化を防止する第2金属を含むことができる。つまり、第2金属は、第1金属よりイオン化傾向または金属の反応性が小さい金属で有り得る。さらに具体的に、第2電極部42bは、複数の第1金属を含む複数の粒子426aが互いに接続(一例として、接触)されて形成された粒子接続層426と、第2金属を含み、少なくとも粒子接続層426の外側表面を覆いながら形成されるカバー層428を含むことができる。ここで、第1金属は、第2電極部42bの抵抗を下げて電極(42、44)の電極のためのものであり、第2金属は、第1金属の酸化などの特性変化を防止しながら、第1金属によって形成された粒子接続層426内で粒子426aの接続を補助する役割をする。
【0086】
本実施の形態において第2電極部42bは、第1電極部42a上に第1金属と第2金属を一緒に含むペーストを塗布して乾燥及び硬化(curing)することにより、形成することができる。すると、製造工程を単純化しながら、第2電極部42bを十分な厚さに形成して、第2電極部42b及びこれを含む電極(42、44)の抵抗を効果的に低減することができる。第1金属及び第2金属を含むペーストを用いた第2電極部42bの製造方法については、後で図6A図6C、それと図7を参照して、さらに詳細に説明する。
【0087】
これと逆に、第1金属を含む電極層と、その上に形成され、配線部との接続のための第2金属を含む電極層を別々に形成する場合には、第1金属の酸化を防止するために、前述した電極層を真空装置内でこれらを順に形成しなければならない。それでは、工程が複雑になり電極層(特に、第1金属を含む電極層)を十分な厚さで形成するのが困難である。反面、本実施の形態においては、第1金属と第2金属を一緒に含むペーストを用いる印刷工程を適用して工程を単純化しながらも、十分な厚さで、第2電極部42bを形成することができる。特に、第1金属を含む複数の粒子が接続されて形成された粒子接続層426を含む第2電極部42bは、相対的低い温度(一例として、450℃以下)の熱処理によって形成されることができるところ、電極(42、44)の形成工程で導電型領域(32、34)の特性が低下したり、導電型領域(32、34)が損傷する問題が発生しない。
【0088】
本実施の形態とは異なり、電極が印刷層にのみ行われる場合には、電極が密度が低い層だけで行われ導電型領域(32、34)とのコンタクト特性等が優れないことがあり、電極が導電型領域(32、34)から容易に剥離することができる。また、印刷層に形成された電極を導電型領域(32、34)に接続するために、焼成または焼結(sintering)工程が必要であるため、高温(一例として、700℃以上)での熱処理が必要である。それでは、熱処理工程中に導電型領域(32、34)に含まれたドーパントが所望しないように拡散または活性化されて導電型領域(32、34)の特性が変化することができ、高い温度によって導電型領域(32、34)が損傷されるなどの問題が発生することができる。
【0089】
また、本実施の形態とは異なり、電極がスパッタリング層でのみ行われる場合には、電極を十分な厚さ(例えば、1μm超え)で形成しにくいことがある。十分な厚さで形成するために工程時間を大きく増加させると、電極形成時、導電型領域(32、34)の特性が低下するなどの問題があった。これにより、電極の抵抗を下げるのに限界があった。
【0090】
また、本実施の形態とは異なり、電極がメッキ層を含む場合には、スパッタリング層、印刷層などを形成した後、メッキを介してメッキ層を形成しなければならない。この場合には、メッキ層の密度は、スパッタリング層と類似し、印刷層より高いので、外側に位置したメッキ層の密度が内側に位置した、スパッタリング層、印刷層などと同じかそれより高い。従来のようにメッキ層を含むとメッキ層がスパッタリング層、印刷層等の側面及びその周辺の絶縁層の上にも形成されるところ、後面パッシベーション膜40または絶縁膜41にピンホール、スクラッチなどの欠陥がある場合にその部分でもメッキがなされ、所望しない部分がメッキされることができる。そしてメッキ工程で使用されるめっき溶液が酸またはアルカリであるため、後面パッシベーション膜40または絶縁膜41に損傷を与えたり、後面パッシベーション膜40または絶縁膜41の特性を低下させることができる。これにより、パッシベーション特性が低下されリーク電流が発生して太陽電池10の開放電圧が低下することができる。このように、従来の様々な形態の電極部を混合して使用する場合に、前述したように、最外郭層を形成する電極部の密度は、その下部に位置する電極部の密度と同じかそれより高い。これにより、外側に低密度の印刷層が位置し、内側に高密度のスパッタリングが位置する本実施の形態との違いがある。
【0091】
また他の例として、印刷層とメッキ層を一緒に形成すると電極の高さが過度に大きくなって、電極の安定性が優れなく電極に配線部140が安定的に付着しにくいことがある。特に、本実施の形態のように電極(42、44)が、半導体基板12の一面(つまり、後面)に一緒に位置して配線部140が電極(42、44)と交差する方向に延長され、所望する電極(42、44)にのみ接続し、他の電極(42、44)には接続しないように取り付けるしなければならない構造においては、印刷層とメッキ層を一緒に形成した電極に配線部140を安定的に付着しにくいことがある。参照で、メッキ層の上にスパッタリング層を形成することは技術的に可能性が高くないし工程上においても有利ではない。
【0092】
本実施の形態においては、前述したように、第2電極部42bを印刷層で構成し、印刷層の形成時に、第1電極部42aの上にのみ第2電極部42bが位置するようにすることができる。印刷層は、マスクを用いてパターンを有する状態に所望する部分のみに形成することができるところ、印刷層によって所望しない部分に電極が形成されて発生することができるリーク電流、パッシベーション特性の低下、開放電圧の低下などの問題を根本的に防止することができる。
【0093】
さらに具体的に、粒子接続層426に含まれる第1金属は、低比抵抗を有する金属で有り得る。例えば、第1金属としては、銅、銀、アルミニウム、金などを使用することができる一方、比抵抗が高いチタン(Ti)などは使用しないことがある。特に、第1金属は、比抵抗が非常に低く、価格が値安な銅で構成されることができる。
【0094】
それと第2金属は、第1金属または粒子接続層426の酸化を防止することができる金属で有り得る。例えば、第2金属としては、スズ、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)などを含むことができる。このとき、第2金属が第1金属より低い融点を有すると、熱処理工程で容易に溶融した後、凝集して外側表面にカバー層428を安定的に形成することができ、第1金属を含む粒子426aを物理的及び電気的に接続する役割をする。また、第2金属は、配線部140またはこれとの接続のための接続部材(図9の参照符号CP、以下同じ)などと優れた接触特性を有することができる物質(一例として、はんだ物質に含まれる物質)を含むことができる。特に、第2金属は、配線部140または接続部材(CP)に含まれる物質と同一の物質を含みから、配線部140との接触特性、接合特性を大きく向上することができる。第2金属がスズを含むと、第2金属が第1金属の酸化を効果的に防止しつつ、第1金属より低い融点を有し、配線部140または接続部材(CP)に含まれる物質で構成されるところ、前述した効果をすべて効果的に実現することができる。
【0095】
粒子接続層426は、低比抵抗を有する第1金属を含む複数の粒子を含み、電極(42、44)の抵抗を下げる役割をすることができる。粒子接続層426は、第1金属の融点より低い融点で硬化して電極(42、44)の厚さ方向及び/または平面方向に複数の粒子が互いに凝集(aggregation)と接続(一例として、架橋結合(cross-linking)されて形成された層で有り得る。一例として、粒子接続層426の複数の粒子は、直接接触によって、互いに物理的及び電気的に接続することもあり、複数の粒子の間または複数の粒子にわたって位置するカバー層428または残留部分(428a、428b)、またはバインダーを介して互いに物理的及び電気的に接続することもできる。このような粒子接続層426は、硬化によって互いに接続された層である。これにより、粒子接続層426を形成するための熱処理で、第1金属は融点以上まで溶融されず、焼結されなくて粒子の一部が変形して結合するネッキング(necking)現象などが発生しない。これにより、粒子接続層426は、おおよその球状の形状を有する複数の粒子426bが互いに接触または接続された状態で残留しており、粒子接続層426の外側表面(第1電極部42aに接していない表面またはカバー層428によってカバーされた表面)には、外側に位置した複数の粒子426aの一部分の表面に沿ってでこぼこした屈曲が備えた屈曲面の形状を有する。例えば、粒子接続層426の外側表面は、おおよその矩形形状の部分に対応する複数の凹部を備える屈曲面の形状を有することができる。
【0096】
例えば、複数の粒子426aは1μm以上(一例として、1μm乃至20μm)の平均粒径を有することができる。または、複数の粒子426aの平均粒径は、第1電極部42bを構成する各電極層(421、422、423、424)の厚さより大きいことがある。一例として、複数の粒子426aの平均粒径は、第1電極部42bの総厚さと同じか、それより大きくなることができる(特に、大きくなることがある)。複数の粒子426aがこのように一定の水準以上の平均粒径を有する場合に、第2電極部42bの抵抗を効果的に低減することができるからである。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。
【0097】
カバー層428は、第2金属を含み、少なくとも粒子接続層426の外側表面を覆いながら形成される。第2金属は、第1金属より低い融点を有せば、相対的に低い温度でも容易に溶け、互いに容易に凝集することができる。これにより、熱処理工程で第1金属を含む複数の粒子426aの間に抜け出して粒子接続層426の外側表面で互いに凝集して層状形状を構成してカバー層428を形成することができる。カバー層428は、粒子接続層426の外側表面を全体と連続的に覆いながら形成されることができる。これにより、粒子接続層426の特性変化(例えば、酸化)などを防止し、粒子接続層426を保護する役割を効果的に行うことができる。また、カバー層428を構成する第2金属が、はんだ物質に含まれる物質を含むと、配線部140などの接触特性を向上することができる。
【0098】
ここで、カバー層428は、第1金属で構成された複数の粒子426aの間を満たしながら形成することができる。そしてカバー層428と離隔して複数の粒子426aの間、または第1電極部42aに隣接した境界面などにカバー層428と同じ第2金属を含む残留部分(428a、428b)がさらに位置することができる。残留部分(428a、428b)は、カバー層428と離隔して複数の粒子426aとの間に位置する第1残留部分428a、第1電極部42aに隣接する境界面などで部分的に形成されカバー層428より薄い厚さを有する第2残留部分428bなどを含むことができる。
【0099】
本実施の形態において、第2電極部42bは、第1電極部42aより大きい厚さを有することができる。第2電極部42bは、電極(42、44)の抵抗を下げるための層であるところ、十分な厚さで形成して抵抗を効果的に下げることができる。例えば、第1電極部42aの厚さ(一例として、平均厚さ)の第2電極部42bの厚さ(一例として、平均厚さ)の比率が10倍以上で有り得る。一例として、第1電極部42aの厚さの第2電極部42bの厚さの比率が10倍乃至250倍で有り得る。前記比率が10倍以上の場合、第2電極部42bの厚さによる抵抗低減効果を最大化することができる。前記比率が250倍を超えると、電極(42、44)の構造的安定性が低下するなどの問題が有り得る。または、第1電極部42aの厚さが1μm以下(例えば、600nm以下)であり、第2電極部42bの厚さが10μm以上(例えば、10μm乃至100μm、さらに具体的には、10μm乃至50μm)で有り得る。このような範囲内で、第1電極部42a及び第2電極部42bによる効果を最大化しながら、製造工程を単純化し、電極(42、44)の構造的安定性を低下させないことができる。
【0100】
そして第2電極部42bから第1金属の体積比が第2金属の体積比より大きいことができ、粒子接続層426の厚さがカバー層428の厚さより大きいことがある。これは第1金属が抵抗を下げるための主要な金属であるところ第1金属を第2金属より多くの量で含まれていたからである。例えば、粒子接続層426の第1厚さ(T1)が8μm以上(一例として、10μm以上、10μmないし100μm、さらに具体的には、10μmないし50μm)で有り得、粒子接続層426の外側表面に位置する部分でカバー層428の第2厚さ(T2)が10μm以下(例えば、2μmないし10μm、一例として、2~5μm)で有り得る。または、粒子接続層426の第1厚さ(T1)のカバー層428の第2厚さ(T2)の割合が0.04乃至0.2で有り得る。このような範囲を有するとき、粒子接続層426による抵抗低減効果が十分することができ、カバー層428による酸化防止、配線部140などの接着特性向上効果などが効果的で有り得る。ここで、第1厚さ(T1)は、粒子接続層426の平均厚さまたは最小厚さで有り得、第2厚さ(T2)は、カバー層428の最小厚さを意味することができる。
【0101】
しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、カバー層428の厚さが粒子接続層426の厚さと同じか、それより大きいこともある。このような場合にも、第2電極部42bに含まれた第1及び第2金属による効果は、実現することができるからである。前述したように、粒子接続層426の外側表面は、複数の粒子の形状によってでこぼこな屈曲が備えた屈曲面で構成されることができる。このとき、粒子接続層426の外側表面の表面粗さ(粒子接続層426の外側表面から外部に最も突出した部分と最も低い部分との間の距離)(R1)よりカバー層428の第2厚さ(T2)がさらに大きくなることができる。これによればカバー層428が安定的に粒子接続層426を覆うことができる。そしてカバー層428の外側表面は、粒子接続層426の外側表面より低い表面粗さを有することができる。これによれば、配線部140などが接着される面で第2電極部42bの表面粗さを減らし配線部140などとの接合安定性をさらに向上することができる。
【0102】
前述したように、第2電極部42bが印刷によって形成された印刷層で構成されるところ、粒子接続層426も十分な厚さで形成することができ、第1金属による低比抵抗によって抵抗を効果的に低減することができる。
【0103】
それと第2電極部42bの幅(一例として、最大幅)が、第1電極部42aの幅(一例として、最大幅)と同じか、それより小さいことができる。そして第2電極部42bが半導体基板12と反対して位置する第1電極部42aの表面上にのみ形成され、半導体基板12と交差する方向に延長された第1電極部42aの側面上及びその周辺には、形成されない。本実施の形態においては、第2電極部42bを印刷によって形成するところ、第1電極部42aの表面上にのみ安定的に形成することができる。このような形状を有することで、後面パッシベーション膜40の上に第2電極部42bが位置しなくて第2電極部42bが後面パッシベーション膜40に位置するところ第2電極部42bによる漏れ電流などの問題を根本的に防止することができる。一例として、第1電極部42aの幅(一例として、最大幅)の第2電極部42bの幅(一例として、最大幅)の比率が0.5以上(一例として、0.8乃至1.0)で有り得る。前述した割合が0.5未満であると、第2電極部42bによる抵抗低減効果が十分でないことがある。前述した割合が0.8以上であれば、第2電極部42bによる抵抗低減効果を十分に実現することができる。
【0104】
本実施の形態において、電極(42、44)は、前述したように、一方向(図のy軸方向)に延長されて形成され、銅とスズを含む第2電極部(42b、44b)(さらに具体的には、銅を含む粒子接続層426と、この上を覆うカバー層428を含む第2電極部(42b、44b)を含む第1及び第2電極(42、44)の部分(例えば、第1及び第2電極(42、44))が、半導体基板10の一面上に100個以上位置することができる。これにより、キャリアの移動距離を減らすことができ、キャリアを安定的に収集して伝達することができる。ここで、前述したように、一方向に延長されて形成され、銅とスズを含む第2電極部(42b、44b)(さらに具体的には、銅を含む粒子接続層426と、この上を覆うカバー層428を含む第2電極部(42b、44b))の厚さ、またはこれを含む第1及び第2電極(42、44)の厚さが10μm以上で有り得る。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。
【0105】
前述した電極(42、44)は、コンタクトホール46の幅より大きい幅を有するように形成することができる。これは、第1及び第2電極(42、44)の幅(電極(42、44)を構成する部分の幅の内、最も広い幅)を十分に確保して電極(42、44)の抵抗を低減するためである。これにより、電極(42、44)(特に、第1電極層421)は、コンタクトホール46の内部(底面と側面)に位置する絶縁膜41の上、そしてコンタクトホール46に隣接した、後面パッシベーション膜40上に位置した絶縁膜41の上に亘って形成されることができる。絶縁膜41が備えられてない場合には、電極(42、44)(特に、第1電極層421)がコンタクトホール46の内部を介して露出した導電型領域(32、34)の上、及びコンタクトホール46に隣接した後面パッシベーション膜40の側面と表面上に亘って形成されることができる。
【0106】
本実施の形態においては、第1及び第2電極(42、44)がそれぞれ第1電極部(42a、44a)及び第2電極部(42b、44b)を備えることができる。それでは、第1及び第2電極(42、44)の第1電極部(42a、44a)及び第2電極部(42b、44b)をそれぞれ同じ工程で同時に形成して工程を単純化することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、第1及び第2電極(42、44)の内、いずれか一つだけ、前述した構造を有し、他の一つは、これと異なる構造を有することもある。その他の様々な変形が可能である。
【0107】
以下においては、図1及び図2を参照して、第1導電型領域32及び第2導電型領域34、バリア領域36と、第1及び第2電極(42、44)の平面形状の一例を詳細に説明する。
【0108】
図1及び図2を参照すると、本実施の形態においては、第1導電型領域32と第2導電型領域34は、それぞれストライプ形状をなすように長く形成されながら、長さ方向と交差する方向で互いに交互して位置している。第1導電型領域32と第2導電型領域34との間にこれらを離隔するバリア領域36が位置することができる。図示しなかったが、互いに離隔した複数の第1導電型領域32が一側の端で互いに接続することができ、互いに離隔した複数の第2導電型領域34が他側の端で互いに接続することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。
【0109】
このとき、第1導電型領域32の面積が第2導電型領域34の面積よりも大きくすることができる。一例として、第1導電型領域32及び第2導電型領域34の面積は、それらの幅が異なることによって調節することができる。すなわち、第1導電型領域32の幅(W1)が第2導電型領域34の幅(W2)よりも大きくなることがある。これに対応するように、第1電極42(第1電極42の第1及び第2電極部(42a、42b)のそれぞれ)の幅が第2電極44(第2電極44の第1及び第2電極部(44a、44b)のそれぞれ)の幅より大きいことができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、第1電極42(第1電極42の第1及び第2電極部(42a、42b)のそれぞれ)の幅が第2電極44(第2電極44の第1及び第2電極部(44a、44b)のそれぞれ)の幅と同じであることがある。
【0110】
そして、第1電極42が第1導電型領域32に対応してストライプ状に形成され、第2電極44が第2導電型領域34に対応してストライプ状に形成されることがある。コンタクトホール46が、第1及び第2電極(42、44)の一部のみを第1導電型領域32及び第2導電型領域34にそれぞれ接続するように形成されることがある。例えば、コンタクトホール46が複数のコンタクトホールで構成されることがある。または、コンタクトホール46のそれぞれが、第1及び第2電極(42、44)に対応して、第1及び第2電極(42、44)の全体の長さに形成されることもできる。これによれば、第1及び第2電極(42、44)と、第1導電型領域32及び第2導電型領域34の接触面積を最大化して、キャリアの収集効率を向上することができる。その他の様々な変形が可能である。そして図示しなかったが、第1電極42が一側の端で互いに接続されて形成され、第2電極44が他側の端で互に接続されて形成されることもある。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。
【0111】
本実施の形態に係る太陽電池10に光が入射されると、ベース領域12aと第1導電型領域32との間に形成されたpn接合での光電変換によって電子と正孔が生成され、生成された正孔と電子は中間膜20を通過して、それぞれ第1導電型領域32及び第2導電型領域34に移動した後に、第1及び第2電極(42、44)に移動する。これによって電気エネルギーを生成することになる。
【0112】
本実施の形態に示すように、半導体基板12の後面に電極(42、44)が形成され、半導体基板12の前面には、電極が形成されない後面電極構造の太陽電池10では、半導体基板12の前面からシェーディング損失(shading loss)を最小化することができる。これにより、太陽電池10の効率を向上することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。そして、第1及び第2導電型領域(32、34)が中間膜20を間に置いて、半導体基板12上に形成されるので、半導体基板12と他の別個の層で構成される。これにより、半導体基板12にドーパントをドーピングして形成されたドーピング領域を導電型領域で使用する場合より、再結合による損失を最小化することができる。
【0113】
そして本実施の形態では、第1及び第2電極(42、44)の内、少なくとも1つがスパッタリング層で構成された第1電極部(42a、44a)と、印刷層で構成された第2電極部(42b、44b)を備え、第1電極部42aによって電極(42、44)と導電型領域(32、34)の接触特性などを優秀に実現しながら、第2電極部(42b、44b)によって抵抗を大きく削減し、配線部140などとの接着特性を向上することができる。このように、第2電極部(42b、44b)が印刷層で構成されると、第2電極部(42b、44b)を簡単な工程によって、十分な厚さに形成することができるところ、電極(42、44)の製造工程を単純化し、電極(42、44)の抵抗を効果的に低減することができる。
【0114】
一方、第2電極部42bが第1金属を主に含む粒子接続層426と、第2金属を主に含まれるカバー層428を含む。それでは、粒子接続層426を低い温度で形成することができるので、電極(42、44)の形成工程で導電型領域(32、34)などの損傷、特性の変化などを防止することができる。そしてカバー層428によって粒子接続層426の電気的及び物理的な接続特性を向上し、粒子接続層426の酸化を防止し、配線部140などとの接着特性を向上することができる。
【0115】
前述した構造の太陽電池10の製造方法を図6A図6C、それと図7を参照して、詳細に説明する。図6A図6Cは、本発明の実施の形態に係る太陽電池の製造方法を示す断面図である。図7は、本発明の実施の形態に係る太陽電池の製造方法に使用するペーストに含まれる粒子の形態を概略的に示す図である。前述した説明においては、既に説明した部分については詳細な説明を省略し説明されていない部分を中心に詳細に説明する。
【0116】
まず、図6Aに示すように、半導体基板12の後面上に中間膜20、第1導電型領域32、第2導電型領域34、バリア領域36、後面パッシベーション膜40、絶縁膜41などを形成し、半導体基板12の前面の方向に前面電界領域12b、前面パッシベーション膜24、反射防止膜26などを形成する。このとき、後面パッシベーション膜40は、電極(図6Cの参照符号42、44、以下同じ)が形成される部分に対応して、コンタクトホール46が形成された状態である。
【0117】
中間膜20、第1導電型領域32、第2導電型領域34、バリア領域36、後面パッシベーション膜40、絶縁膜41、前面電界領域12b、前面パッシベーション膜24、反射防止膜26などの形成手順、形成方法などは、多様に変形することができる。
【0118】
例えば、半導体基板12のテクスチャリングには知られている様々なプロセスが用いられる。中間膜20または絶縁膜41は、熱的成長法、蒸着法(例えば、化学気相蒸着法(PECVD)、原子層蒸着法(ALD))等により形成することができる。第1及び第2導電型領域(32、34)は、熱成長法、蒸着法(例えば、低圧化学気相蒸着法(LPCVD))等により形成された半導体層にドーパントをドーピングして形成することができる。ドーパントのドーピングは、半導体層を形成する工程で一緒に実行されることもあり、半導体層を形成した後に実行されるドーピング工程によることもある。前面電界領域12bは、様々なドーピング工程によって形成することができる。ドーピング工程としては、イオン注入法、熱拡散法、レーザードーピング法などで行うことができる。前面パッシベーション膜24、反射防止膜26または後面パッシベーション膜40は、化学気相蒸着法、真空蒸着法、スピンコーティング、スクリーン印刷またはスプレーコーティングなどの様な、さまざまな方法によって形成することができる。コンタクトホール46は、レーザーエッチング、ウェットエッチングなどの様々な方法によって形成することができる。
【0119】
続いて、図6Bに示すように、コンタクトホール46内を満たすように、第1及び第2電極(42、44)の第1電極部(42a、44a)を形成する。第1電極部(42a、44a)は、スパッタリングによって形成されることができる。
【0120】
第1及び第2電極(42、44)の第1電極部(42a、44a)は、半導体基板12と導電型領域(32、34)(またはこの上に位置する絶縁膜41)の上にスパッタリング、メッキなどを実行して、半導体基板12と導電型領域(32、34)(またはこの上に位置する絶縁膜41)の上に全体的に複数の電極物質層を順に形成した後、これをパターニングして形成することができる。パターニング方法としては、エッチング液、エッチングペースト、ドライエッチングなどを用いて行うことができる。例えば、第1電極部(42a、44a)が形成されるべき部分にレジストペーストを塗布してエッチング溶液を用いて、残りの部分をエッチングして第1電極部(42a、44a)をパターニングすることができる。その後レジストペーストは除去される。その他の様々な方法が可能である。
【0121】
続いて、図6Cに示すように、第1電極部(42a、44a)の上に、これと同じかそれより小さい幅を有するパターンを有するように、第2電極部(42b、44b)を形成する。第2電極部(42b、44b)は、印刷によって形成されることができる。
【0122】
さらに具体的に、第2電極部(42b、44b)を形成するためのペーストを第1電極部(42a、44a)上に塗布し、これを第1温度で乾燥し、乾燥されたペーストを第1温度より高い第2温度で熱処理してアニーリングして、第2電極部(42b、44b)を形成することができる。
【0123】
第2電極部42bを形成するためのペーストは、互いに異なる第1金属と第2金属を含む粒子426b、バインダー及び溶媒を含むことができる。本実施の形態において、第2電極部(42b、44b)は、絶縁膜などを貫通するファイヤースルー(fire-through)が要求されないので、ガラスフリットを含まない。
【0124】
ペーストに含まれ、第1金属と第2金属を含む粒子426bは、多様な形態を有することができる。すなわち、図7の(a)に示すように、粒子426bが第1金属を含むコア層4260と、コア層4260の上にコーティングされ、第2金属を含むコーティング層4280を含むことができる。このとき、コア層4260の平均直径よりコーティング層4280の平均厚さが小さいことがある。それでは、カバー層428の厚さを粒子接続層426の厚さより小さくすることができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。したがってコーティング層4280の厚さがコア層4260の平均直径と同じか、それより大きいことができ、及び/またはカバー層428の厚さが粒子接続層426の厚さと同じかそれより大きいことがある。または、図7の(b)に示すように、粒子426bが第1金属を含む第1粒子4260aと、第2金属を含む第2粒子4280aを含むことができる。このとき、第1粒子4260aの平均直径より第2粒子4280aの平均直径がさらに小さいか、及び/または第1粒子4260aの数より、第2粒子4280aの数がさらに少なくなることがある。それでは、カバー層428の厚さを粒子接続層426の厚さよりさらに小さくすることができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。したがって、第2粒子4260bの大きさ、個数等が第1粒子4260aの大きさ、数などと、それぞれ同じかそれより大きいことができ、および/またはカバー層428の厚さが粒子接続層426の厚さと同じかそれより大きいことができる。
【0125】
バインダーでは、第2電極部(42b、44b)内に含まれる粒子426aの物理的及び電気的接続特性、第1電極部(42a、44b)(特に、第4電極層424)との接着特性を向上することができる様々な物質を含むことができる。一例として、バインダーとして知られているポリマーレジンなどを使用することができる。バインダーは、熱処理時に除去されることも、除去されないことがあり、熱処理後の第2電極部(42b、44b)に残留しないことも、残留することもある。
【0126】
ペーストには溶媒が含まれるが、熱処理時の溶媒は、揮発され、第2電極部(42b、44b)には、溶媒が含まれていないか、または非常に微量で含まれることができる。溶媒としては、有機溶媒を使用することができますが、一例として、ブチルカルビトールアセテート(butyl carbitol acetate、BCA)、セルロースアセテート(cellulose acetate、CA)などを使用することがあるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0127】
ペーストは、第1電極部(42a、44a)の上に該当する部分にのみ塗布することができる。例えば、マスクを利用するスクリーン印刷(screen printing)によって第2電極部(42b、44b)を形成するためのペーストを塗布することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。
【0128】
第1電極部(42a、44a)上に塗布されたペーストは、第1温度で乾燥される。第1温度は常温より高く150℃以下で有り得る。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、第1温度は、他の値を有することがある。ペーストを乾燥してペーストが所望しないように流れ落ちるなどの問題を防止することができる。乾燥段階を含まず、すぐ熱処理を実行すると、温度差によって亀裂などの問題が発生することができる。これに熱処理温度より低い温度で乾燥をしてペーストの流動性を減らした後、硬化のための熱処理を行う。
【0129】
乾燥したペーストは、第1温度より高く、第1金属の融点(第1及び第2金属の融点の内、高い融点)より低い第2温度で硬化するための熱処理(アニーリング熱処理)が行われる。このとき、第2温度は、第2金属の融点(第1及び第2金属の融点の内、低い融点)より高くなることができる。例えば、第2温度は450℃以下で有り得る。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、第2温度は、他の値を有することがある。
【0130】
乾燥したペーストに熱処理を行うと、溶媒は揮発され、第1及び第2金属に熱が加えられる。第1金属及び第2金属が熱を受けると、第1金属は、第1金属同士の凝集し、第2金属は、第2金属同士凝集することになる。
【0131】
さらに具体的に、図7の(a)に示すように、第1金属のコア層4260と第2金属のコーティング層4280を備える場合には、コーティング層4280が溶けて流れて出てくるようになる。それでは、コア層4260の粒子が凝集して粒子接続層426を形成し、溶けた出た第2金属が粒子接続層426の外側表面で互いに凝集しながら、粒子接続層426を覆うカバー層428を形成する。図7の(b)のように第1金属の第1粒子4260aと第2金属の第2粒子4280aを備える場合には、第2金属の第2粒子4280aが溶けて流れて出るようになる。それでは、第1粒子4260aが凝集して粒子接続層426を形成し、第2粒子4280aが溶けて形成された第2金属が粒子接続層426の外側表面で互いに凝集しながら、粒子接続層426を覆うカバー層428を形成する。このとき、第1金属が銅で構成されると、銅は熱が加わると容易に凝集されて熱をよく含有して第2金属に伝達する役割を効果的に行うことができる。これにより、第2金属がさらに円滑に粒子接続層426の外側表面に移動して外側表面で互いに凝集することができる。
【0132】
このとき、粒子接続層426は、粒子426bが互いに焼結されるものではなく、互いに接触して凝集され、単純に硬化されることにより、伝導性を有するようになる。このように、単純に硬化されることによって形成された粒子接続層426の粒子426aの間は、バインダーや第2金属などが残留した残留部分(428a、428b)などが満たされる。粒子426aとの間の一部には、空隙(図1の参照符号v、以下同じ)が残存することができる。これにより、第2電極部(42b、44b)は、空隙(v)を備えない第1電極部(42a、44a)より高い空隙率を有することができる。このような空隙率の違いからスパッタリング層で構成された第1電極部(42a、44a)と、印刷層で構成された第2電極部(42b、44b)を判別することもできる。参照で、スパッタリング層で構成された第1電極部42aと、印刷層で構成された第2電極部42bは、顕微鏡写真などで断面形状、外面形状などを見て判別したり、成分の分析を通じたバインダーの可否などを通じ判別することができる。
【0133】
本実施の形態に係る太陽電池10の製造方法においては、第1金属と第2金属を含むペーストを印刷することにより、第2電極部(42b、44b)を形成して、第1及び第2電極部(42a、42b)(44a、44b)を含む電極(42、44)を簡単工程で形成することができる。これにより、優れた効率を有する太陽電池10を高い生産性で製造することができる。
【0134】
特に、本実施の形態においては、配線部140または接続部材(CP)と接続される最外郭層のカバー層428で第2金属が第1金属の酸化を効果的に防止することができる。従来は、配線部140または接続部材(CP)の形成前に電極(42、44)に形成された酸化層を除去するプラズマ工程を追加で行うたが、本実施の形態においては、第2金属によって電極(42、44)の最外郭層での酸化を防止して酸化層を除去するプラズマ工程を省略することができる。これにより工程を単純化して電極(42、44)または太陽電池10の損傷などの問題を根本的に防止することができる。
【0135】
図では、第2電極部(42b、44b)の熱処理をペーストの乾燥後に、他の工程なしですぐに実行して、電極(42、44)を形成して太陽電池10の製造を完了することを例示した。これによれば、スパッタリングで形成された第1電極部(42a、44a)のアニーリング熱処理と第2電極部(42b、44b)のアニーリング熱処理を一緒に同時に行うことができ、製造工程の面で有利で有り得る。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。第2電極部(42b、44b)の熱処理は、様々な順序で実行することができる。すなわち、第2電極部(42b、44b)の熱処理は、太陽電池10の製造工程以後の工程、例えば、太陽電池パネル100を形成する工程で行われることができる。一例として、接続部材(CP)を形成した後に実行されるリフロー(reflow)工程で第2電極部(42b、44b)のアニーリング熱処理を一緒に実行すると、熱処理工程の回数を最小化することができる。その他の様々な変形が可能である。
【0136】
前述した太陽電池10は、配線部140によって接続され、シール材130とカバー部材(110、120)によって密封されて太陽電池パネル100を構成することができる。以下、図8図11を参照して、本発明の実施の形態に係る太陽電池パネルを詳細に説明する。
【0137】
図8は、本発明の一実施の形態に係る太陽電池パネルを概略的に示す分解斜視図であり、図9は、図8に示した太陽電池パネル100に含まれる2つの太陽電池10、接続部材(CP)と絶縁部材(IP)、及び配線部140を概略的に示した後面平面図である。図10は、図8に示した太陽電池パネル100で太陽電池10、接続部材(CP)及び配線部140の接続構造の一例を概略的に示す部分断面図である。明確と簡略な図示のために、図9においては、太陽電池10と関連して、半導体基板12と、第1及び第2電極(42、44)のみ示した。明確な区別をするために以下では、互いに隣接する二つの太陽電池10太陽電池(10a、10b)とすることができる。
【0138】
図8図10を参照すると、本実施の形態に係る太陽電池パネル100は、太陽電池10と、太陽電池10の電極(42、44)に電気的に接続される配線部140を含む。そして、電極(42、44)と配線部140との間に電極(42、44)と配線部140を電気的に接続する接続部材(CP)を含むことができる。また、太陽電池パネル100は、太陽電池10と配線部140を囲んで密封するシール材130と、シール材130の上で太陽電池10の一面(一例として、前面)に位置する第1カバー部材110と、シール材130の上で太陽電池10の他面(一例として、後面)に位置する第2カバー部材120をさらに含むことができる。これをさらに詳細に説明する。
【0139】
本実施の形態において太陽電池パネル100は、複数の太陽電池10を備え、複数の太陽電池10は、配線部140によって電気的に直列、並列または直並列に接続することができる。具体的に、配線部140は、少なくとも一部が各太陽電池10の第1及び第2電極(42、44)と重畳され、第1及び第2電極(42、44)に接続される配線材142と、太陽電池10の間で配線材142と交差する方向に位置して配線材142に接続される接続配線144を含むことができる。配線材142と接続配線144によって、複数の太陽電池10が一方向(図のx軸方向)に接続されて1つの列(つまり、太陽電池ストリング)を形成することができる。そして、配線部140は、太陽電池ストリングの両端に位置し、これをまた異なる太陽電池ストリング又はジャンクションボックス(図示せず)に接続するバスバー配線をさらに含むことができる。
【0140】
配線材142、接続配線144、バスバー配線はそれぞれ導電性物質(一例として、金属物質)を含むことができる。一例として、配線材142、接続配線144、バスバー配線が金、銀、銅またはアルミニウムの内、いずれか1つを含む導電性コアと、コアの表面上に位置し、スズまたはスズを含む合金を含む導電性コーティング層を含むことができる。一例として、コアは、銅で形成されることができ、導電性コーティング層は、スズを含む合金であるSnBiAgで形成されることができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、配線材142、接続配線144、バスバー配線の物質、形状、リンク構造などは多様に変形することができる。また、接続配線144を別途備えずに配線材142にのみ隣接した太陽電池(10a、10b)を接続することもできる。
【0141】
シール材130は、配線部140によって接続された太陽電池10の前面に位置する第1シール材131と、太陽電池10の後面に位置する第2シール材132を含むことができる。第1シール材131と第2シール材132は、水分と酸素の流入を防止し、太陽電池パネル100の各要素を化学的に結合する。第1及び第2シール材(131、132)は、透光性と接着性を有する絶縁物質で構成されることができる。一例として、第1シール材131と第2シール材132でエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)、ポリビニルブチラール、ケイ素樹脂、エステル系樹脂、オレフィン系樹脂などが用いられる。第1及び第2シール材(131、132)を用いたラミネート工程などによって第2カバー部材120、第2シール材132、太陽電池10、配線部140、第1シール材131、第1カバー部材110が一体化されて、太陽電池パネル100を構成することができる。
【0142】
第1カバー部材110は、第1シール材131上に位置して太陽電池パネル100の前面を構成し、第2カバー部材120は、第2シール材132上に位置して、太陽電池10の後面を構成する。第1カバー部材110及び第2カバー部材120は、それぞれ、外部の衝撃、湿気、紫外線などから太陽電池10を保護することができる絶縁物質で構成されることができる。そして、第1カバー部材110は、光が透過することができる透光性物質で構成され、第2カバー部材120は、透光性物質、比透光性物質、または反射物質などで構成されるシートで構成されることができる。一例として、第1カバー部材110が、ガラス基板などで構成されることができ、第2カバー部材120がフィルムまたはシートなどで構成されることができる。第2カバー部材120は、TPT(Tedlar/PET/Tedlar)タイプを有したり、またはベースフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET))の少なくとも一面に形成されたポリフッ化ビニリデン(poly vinylidene fluoride、PVDF)樹脂層を含むことができる。
【0143】
しかし、本発明がこれに限定されるものではない。したがって、第1及び第2シール材(131、132)、第1カバー部材110、または第2カバー部材120が、前述した説明以外の様々な物質を含むことがあり、様々な形態を有することができる。例えば、第1カバー部材110または第2カバー部材120が、様々な形態(例えば、基板、フィルム、シートなど)または物質を有することができる。
【0144】
このような太陽電池10には、配線材142を含む配線部140が電気的に接続されて、他の太陽電池10または外部回路と電気的接続が可能するようにする。このとき、本実施の形態においては、電極(42、44)と配線部140が重畳された複数の重畳部の内、互いに接続するべき部分には、電極(42、44)と配線部140との間に接続部材(CP)が位置し、互に接続されないべき部分には、電極(42、44)と配線部140との間に絶縁部材(IP)が位置する。
【0145】
第1太陽電池10aの第1電極42と、これに隣接した第2太陽電池10bの第2電極44は、複数の配線材142と接続配線144によって接続することができる。
【0146】
本実施の形態において、電極(42、44)は、一方向(図面のy軸方向)に延長され、これに交差する方向(図面のx軸方向)で互いに交互して位置する複数の第1及び第2電極(42、44)を含む。そして配線材142は、第2方向に延長され、第1電極42に電気的に接続される第1配線142a及び第2方向に延長され、第2電極44に電気的に接続される第2配線142bを含むことができる。第1配線142aが複数で備えられ、第2配線142bが複数で備えられ、第1方向で第1配線142aと第2配線142bが互いに交互して位置することができる。それでは、複数の第1及び第2配線(142a、142b)が均一な間隔を有しながら、第1及び第2電極(42、44)に接続されて、キャリアを効果的に伝えることができる。
【0147】
このとき、第1配線142aは、各太陽電池10に備えられた第1電極42に接続部材(CP)を介して電気的に接続され、第2配線142bは、それぞれの太陽電池10に備えられた第2電極44に接続部材(CP)を介して電気的に接続される。そして絶縁部材(IP)により第1配線142aと第2電極44それと、第2配線142bと、第1電極42が互いに絶縁されることができる。
【0148】
接続部材(CP)は、様々な導電性を有する接着物質を含むことができる。例えば、接続部材(CP)は、第1及び第2電極(42、44)、及び/または配線材142に含まれる物質を含む物質、またはこれらの混合物質で形成することができる。一例として、接続部材(CP)は、配線材142を第1または第2電極(42、44)の上に置き熱を加える工程等により第1及び第2電極(42、44)、及び/または配線材142の物質を含むことができる。または、接続部材(CP)がスズ又はこれを含む合金を含むはんだペースト層、スズ、またはこれを含む合金がエポキシ樹脂内に含まれるエポキシはんだペースト層などを含むことができる。このように接続部材(CP)は、はんだまたはエポキシのような電極(42、44)と配線材142の物理的な固定または接着のための接着物質を備えている。これにより、接続部材(CP)が電極(42、44)と配線材142を電気的及び物理的に固定することができる。一例として、接続部材(CP)が電極(42、44)と配線材142に接触、形成されて電極(42、44)と配線材142を物理的及び電気的に接続することができる。
【0149】
絶縁部材(IP)は、少なくとも電気的に互に接続されてはならない第1配線142aと第2電極44の間に位置してこれらを電気的に絶縁させることができる。これと類似に、絶縁部材(IP)が、少なくとも電気的に互に接続されてはならない第2配線142bと、第1電極42の間に位置してこれらを電気的に絶縁させることができる。絶縁部材(IP)は、様々な絶縁物質を含むことができる。例えば、絶縁部材(IP)は、シリコン系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリイミド、ポリエチレンなどを含むことができる。
【0150】
本実施の形態においては、電極(42、44)の最外郭層の第2電極部42bと配線部140との間に接続部材(CP)が位置して電極(42、44)の上に配線部140が電気的に接続されながら固定される。このとき、互いに接触する第2電極部42bのカバー層428と接続部材(CP)が同じ金属(例えば、第2金属であるスズ)を含み電極(42、44)と配線部140の接着特性をさらに向上することができる。
【0151】
前述した図面においては、電極(42、44)と配線部140が接続部材(CP)を間に置いて互いに接着されることを例示した。しかし、第2電極部42bにスズのようなはんだ物質またはこれに含まれる物質が含まれる場合には、図11に示すように、第2電極部42bのカバー層428に配線部140を直接接触させた状態で熱を加えて電極(42、44)と配線部140を接着することもできる。これにより、接続部材(CP)を用いらないでコストを削減し、工程を単純化することができる。
【0152】
本実施の形態に係る太陽電池パネル100は、優れた特性と効率を有する太陽電池10を備え、太陽電池10の電極(42、44)と配線部140が、優れた接着特性を有するので、優れた出力、優れた安定性、低不良率を有することができる。
【0153】
本実施の形態において、第2電極部42bは、第1電極部42aの上で、様々な平面形状を有しながら形成することができる。以下では、図12を参照して、第2電極部42bの様々な平面形状を詳細に説明する。
【0154】
図12は、本発明の実施の形態に係る太陽電池の第1及び第2電極部の平面形状の様々な例を示す平面図である。
【0155】
一例として、図12の(a)に示すように、第1電極(42、44)の長さ方向で第1電極部(42a、44a)及び第2電極部(42b、44b)のそれぞれが全体的及び連続的に長く続く形状を有することができる。これによれば、第2電極部(42b、44b)を十分な面積で形成して、第2電極部(42b、44b)による効果を効果的に実現することができる。
【0156】
別の例として、図12の(b)乃至(d)に示したように、第1電極(42、44)の長さ方向で第1電極部(42a、44a)が全体的及び連続的に形成され、第1電極(42、44)の長さ方向の一部にのみ第2電極部(42b、44b)が形成され、他の一部には、第2電極部(42b、44b)が形成されないことがある。一例として、第2電極部(42b、44b)が長さ方向で一定の間隔を置いて互いに離隔されるように複数備えられる。
【0157】
ここで、図12の(b)に示すように、第2電極部(42b、44b)が接続部材(CP)または配線部140に接続または接触する部分に形成される部分に対応して複数備えられることができる。それでは、第2電極部(42b、44b)が形成された部分に接続部材(CP)または配線部140が位置して第2電極部(42b、44b)によって電極(42、44)と接続部材(CP)または配線部140との間の接着特性を向上することができる。
【0158】
または、図12の(c)に示すように、第2電極部(42b、44b)が接続部材(CP)または配線部140に接続または接触する部分を除外した部分に対応して複数備えられることができる。これにより、第2電極部(42b、44b)が接続部材(CP)または配線部140に接続または接触する部分を挟んで離隔される複数の部分を含むことができる。これによれば、接続部材(CP)または配線部140に接続または接触する部分には、第1電極部(42a、44a)のみ備えられて配線部140が接続される部分で構造的安定性を向上することができる。そして、配線部140が接続される部分を除外した部分に、全体的に第2電極部(42b、44b)が形成されるので長さ方向に見るときに、第1電極部(42a、44a)の上で第2電極部(42b、44b)が形成された部分の長さが第2電極部(42b、44b)が形成されない部分の長さよりさらに大きくなることができる。これにより、第2電極部(42b、44b)が部分的に形成される場合に、第2電極部(42b、44b)を十分な長さまたは面積に形成することができ、第2電極部(42b、44b)による効果を効果的に実現することができる。他の例として、第2電極部(42b、44b)が絶縁部材(IP)を除外した部分に対応して複数備えられることができる。
【0159】
または、図12の(d)に示したように、第2電極部(42b、44b)が接続部材(CP)、絶縁部材(IP)及び/または配線部140が位置する部分を除外した部分に対応して複数備えられることができる。これにより、第2電極部(42b、44b)が接続部材(CP)、絶縁部材(IP)及び/または配線部140が位置する部分を挟んで離隔される複数の部分を含むことができる。これによれば、配線部140との接続、及び絶縁に関与する部分には、第1電極部(42a、44a)のみ備えられて配線部140の接着時構造的安定性を向上することができる。そして、当該部分を除外した部分に、全体的に第2電極部(42b、44b)が形成されるので長さ方向に見るときに、第1電極部(42a、44a)の上で第2電極部(42b、44b)が形成された部分の長さが第2電極部(42b、44b)が形成されない部分の長さと同じかそれより大きいことができる。これにより、第2電極部(42b、44b)が部分的に形成される場合に、第2電極部(42b、44b)を十分な長さまたは面積に形成することができ、第2電極部(42b、44b)による効果を効果的に実現することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、長さ方向に見るとき、第1電極部(42a、44a)の上で第2電極部(42b、44b)が形成された部分の長さが、第2電極部(42b、44b)が形成されない部分の長さより小さいこともある。
【0160】
図12の各例においては、第1電極42の第2電極部42bと第2電極44の第2電極部44bが同一または類似の平面形状を有することを例示したが、本発明がこれに限定されるではない。すなわち、第1電極42の第2電極部42bが、図12の(a)乃至(d)の内、いずれか1つの平面形状を有し、第2電極44の第2電極部44bが図12の(a)乃至(d)の内、他の1つの平面形状を有することができる。その他の様々な変形が可能である。
【0161】
前述した説明においては、第1及び第2電極(42、44)が、太陽電池10の後面に位置し、第1及び第2導電型領域(32、34)が、半導体基板12とは別の半導体層に備えたことを例示した。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。他の一例を図13を参照して、詳細に説明する。
【0162】
図13は、本発明の他の実施の形態に係る太陽電池を示す断面図である。
【0163】
図13を参照すると、本実施の形態においては、太陽電池10は、第1導電型領域32と、これに接続される第1電極42が半導体基板12の一面に位置し、第2導電型領域34と、これに接続される第2電極44が半導体基板12の他の一面に位置する。半導体基板12の両面にテクスチャリング構造が備えられたことを示したが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0164】
図13においては、第1及び第2導電型領域(32、34)が、半導体基板12の一部にドーパントをベース領域12aより高い濃度でドーピングして形成されたドーピング領域であることを例示した。しかし、第1及び第2導電型領域(32、34)の内、少なくとも1つが、半導体基板12と別である半導体層で構成されることができ、この場合に、半導体基板12と、第1及び第2導電型領域(32、34)の内、少なくとも一つの間に中間膜(図1の参照符号20)がさらに位置することもできる。このとき、第1及び第2電極(42、44)の内、少なくとも一つは、前述した実施の形態の第1及び第2電極部(42a、42b)を備えることができる。これについては、前述した第1及び第2電極部(42a、42b)の説明がそのまま適用されることができるところ詳細な説明を省略する。
【0165】
そのほかにも導電型領域(32、34)の物質、構造、形状など、太陽電池10の構造、形状などに関係なしで、第1及び第2電極(42、44)の内、少なくとも1つが、前述した構造を有することで、本発明の範囲に属する。そして、前述した様々な実施の形態及び変形例は、互いに結合して実施されることができ、これもまた本発明の範囲に属する。
【実施例0166】
以下、本発明の製造例を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。しかし、後述する本発明の製造例は、例示のために提示したものに過ぎず、本発明がこれに限定されるものではない。
【0167】
製造例1
n型単結晶半導体基板の一面にシリコン酸化膜で構成される中間膜を形成した。トンネリング層の上に、低圧化学気相蒸着によって多結晶シリコンを含む半導体層を形成した。そして、半導体層の一部の領域にp型ドーパントをドーピングし、他の領域にn型ドーパントをドーピングして、それぞれ第1導電型領域と第2導電型領域を備える半導体層を形成した。そして、シリコン窒化膜とシリコン炭化膜で構成された後面パッシベーション膜を形成し、コンタクトホールを形成した後のコンタクトホールの内部と後面パッシベーション膜の上にチタン酸化膜からなる絶縁膜を形成した。コンタクトホールを介して絶縁膜の上に第1導電型領域と第2導電型領域にそれぞれ電気的に接続される第1電極及び第2電極を形成した。第1及び第2電極を形成する工程においては、スパッタリングでチタン膜、アルミニウム膜、チタン膜とニッケル-バナジウム合金膜を順に積層して第1電極部を形成し、その上に銅粒子とスズ粒子を含むペーストを印刷で塗布した後、乾燥及び、アニーリング熱処理して、第2電極部を形成した。同じ方法で、複数の太陽電池を製造した。
【0168】
比較例1
第1及び第2電極を形成する工程において、第2電極部を形成しなくて第1及び第2電極がそれぞれ第1電極部のみ備えられるものを除外する製造例1と同様の方法で、複数の太陽電池を製造した。
【0169】
製造例1と比較例1により製造された複数の太陽電池の充密度と効率をそれぞれ測定し、その結果を図14及び図15に示した。
【0170】
図14及び図15を参照すると、比較例1による太陽電池に比べて製造例1による太陽電池で高充密度と高効率を有することが分かる。さらに具体的には、製造例1による太陽電池は、比較例1による太陽電池に比べて0.33%位高い充密度を有することができる。これは第2電極部によって他の特性の低下なしで抵抗を減らしたためと予測される。これにより、表1に示すように、比較例1による太陽電池より製造例1による太陽電池が高い効率を有することが分かる。さらに具体的に、製造例1による太陽電池は、比較例1による太陽電池に比べて0.07%位高い効率を有することができる。
【0171】
前述したところに従った特徴、構造、効果などは、本発明の少なくとも1つの実施の形態に含まれ、必ずしも1つの実施の形態のみに限定されるものではない。さらに、各実施の形態において例示された特徴、構造、効果などは、実施の形態が属する分野の通常の知識を有する者によって他の実施の形態に対しても組み合わせ、または変形して実施可能である。したがって、このような組み合わせと変形に係る内容は、本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15