IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝メモリ株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166482
(43)【公開日】2023-11-21
(54)【発明の名称】半導体製造装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20231114BHJP
   H05K 13/04 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
H01L21/60 311T
H05K13/04 M
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023140630
(22)【出願日】2023-08-31
(62)【分割の表示】P 2019168748の分割
【原出願日】2019-09-17
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 哲也
(57)【要約】      (修正有)
【課題】適切にボンディングを行う半導体製造装置を提供する。
【解決手段】ボンディングツール1620は、突起部22とベース部21を有する。突起部は、第1表面と、第1の吸着穴、第2表面及び複数の第2の吸着穴を有する。第1表面は、載置面に対向する。第1の吸着穴は、第1表面に形成される。第1の吸着穴は、第1方向に沿ってみたときに半導体チップに重なる位置にある。第1方向Zは、ステージに対して垂直な方向である。第2表面は、第1表面の周囲に設けられる。第2表面は、第1表面よりもステージから第1方向に沿って離れた位置にある。第2表面は、第1方向に沿ってみたとき第1表面に最も近い面である。複数の第2の吸着穴は、第2表面に設けられた互いに独立した穴である。ベース部は、前記突起部を接続する。複数の第2の吸着穴に対応したそれぞれの流路がベース部に形成されている。
【選択図】図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板が載置されるステージと、
複数のバンプ電極を介して前記基板にボンディングされる半導体チップと切断されていないテープとを吸着するヘッドと、
を備え、
前記ヘッドは、
載置面に対向する第1表面と、前記第1表面に形成され前記ステージに対して垂直な方向である第1方向に沿ってみたときに前記半導体チップに重なる位置にある第1の吸着穴、前記第1表面の周囲に設けられ前記第1表面よりも前記ステージから前記第1方向に沿って離れた位置にあり且つ前記第1方向に沿ってみたとき前記第1表面に最も近い面である第2表面、及び、前記第2表面に設けられた互いに独立した複数の第2の吸着穴を有する突起部と、
前記突起部を接続するベース部と、
を有し、
前記複数の第2の吸着穴に対応したそれぞれの流路が前記ベース部に形成されている
半導体製造装置。
【請求項2】
前記第2表面から、前記第1方向に垂直な方向であり前記第1表面の面内方向である第2方向に沿って遠ざかるにしたがって、前記第1方向に沿って前記第1表面から遠くなるように傾斜する第3表面を有する
請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項3】
前記第2表面は平坦面である
請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項4】
前記第1方向に沿ってみたとき、前記第2表面は前記半導体チップの周囲に形成される
請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項5】
前記第1の吸着穴は、複数形成されており、
前記突起部には、複数の前記第1の吸着穴を連結する溝が形成されている
請求項1から4のいずれか1項に記載の半導体製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップをボンディングする半導体製造装置では、ボンディングツールの表面と半導体チップとの間にテープ(フィルム)を介在させボンディングツールがテープ越しに半導体チップを押圧することで基板に複数のバンプ電極を介してボンディングすることがある。このとき、適切にボンディングを行うことが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5612963号公報
【特許文献2】特許第5827043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一つの実施形態は、適切にボンディングを行うことができる半導体製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの実施形態によれば、ステージとヘッドとを有する半導体製造装置が提供される。ステージは、基板が載置される。ヘッドは、半導体チップとテープとを吸着する。半導体チップは、複数のバンプ電極を介して基板にボンディングされる。テープは、切断されていない。ヘッドは、突起部とベース部とを有する。突起部は、第1表面と、第1の吸着穴、第2表面、及び、複数の第2の吸着穴を有する。第1表面は、載置面に対向する。第1の吸着穴は、第1表面に形成される。第1の吸着穴は、第1方向に沿ってみたときに半導体チップに重なる位置にある。第1方向は、ステージに対して垂直な方向である。第2表面は、第1表面の周囲に設けられる。第2表面は、第1表面よりもステージから第1方向に沿って離れた位置にある。第2表面は、第1方向に沿ってみたとき第1表面に最も近い面である。複数の第2の吸着穴は、第2表面に設けられた互いに独立した穴である。ベース部は、突起部を接続する。複数の第2の吸着穴に対応したそれぞれの流路がベース部に形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1の実施形態にかかる半導体製造装置の構成を示す図である。
図2図2は、第1の実施形態におけるボンディングツールの構成を示す図である。
図3図3は、第1の実施形態におけるボンディングツールの構成を示す図である。
図4図4は、第1の実施形態における半導体装置の実装状態を示す図である。
図5図5は、第1の実施形態における半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
図6図6は、第1の実施形態における半導体装置の製造方法を示す図である。
図7図7は、第1の実施形態における半導体装置の製造方法を示す図である。
図8図8は、第1の実施形態における半導体装置の製造方法を示すタイミングチャートである。
図9図9は、第1の実施形態における半導体装置の製造方法を示す図である。
図10図10は、第1の実施形態の第1の変形例~第2の変形例におけるボンディングツールの構成を示す図である。
図11図11は、第1の実施形態の第3の変形例~第5の変形例におけるボンディングツールの構成を示す図である。
図12図12は、第1の実施形態の第6の変形例~第8の変形例におけるボンディングツールの構成を示す図である。
図13図13は、第1の実施形態の第9の変形例~第10の変形例におけるボンディングツールの構成を示す図である。
図14図14は、第1の実施形態の第11の変形例~第12の変形例におけるボンディングツールの構成を示す図である。
図15図15は、第1の実施形態の第13の変形例~第14の変形例におけるボンディングツールの構成を示す図である。
図16図16は、第1の実施形態の第15の変形例~第16の変形例におけるボンディングツールの構成を示す図である。
図17図17は、第2の実施形態における半導体製造装置の構成を示す図である。
図18図18は、第2の実施形態におけるボンディングツールの構成を示す図である。
図19図19は、第2の実施形態における半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
図20図20は、第2の実施形態における半導体装置の製造方法を示す図である。
図21図21は、第2の実施形態における半導体装置の製造方法を示すタイミングチャートである。
図22図22は、第2の実施形態における半導体装置の製造方法を示す図である。
図23図23は、第2の実施形態における半導体装置の製造方法を示す図である。
図24図24は、第2の実施形態の変形例におけるボンディングツールの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に添付図面を参照して、実施形態にかかる半導体製造装置を詳細に説明する。なお、これらの実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0008】
(第1の実施形態)
第1の実施形態にかかる半導体製造装置は、隙間が接着樹脂(アンダーフィル)で埋められた複数のバンプ電極を介して配線基板上に半導体チップを熱圧着して半導体装置を構成するフリップチップ実装を行う。半導体製造装置は、半導体チップ裏面(回路が施された面と逆の裏面)と熱圧着ツール(以下ボンディングツール)との間にテープ(フィルム)を介在させたFAB(Film Assist Bonding)を行う。これにより、熱圧着時にチップの外形よりはみだした接着樹脂がボンディングツールに付着しないようにする。
【0009】
FABでは、フリップチップ時のボンディングツールと半導体チップとの間に介在するテープがボンディングツールの熱でテープにしわがよることがある。チップの外形よりはみだした接着樹脂は、テープのしわを伝わり、顕著に飛び出すことがある。すなわち、FABを用いたフリップチップ実装において、チップ外周の基板上にテープのしわが原因で、基板上に接着樹脂の一部が飛び出したフィレット(以下、飛び出しフィレット)、チップと離れた場所に島状にフィレット(以下、飛び島フィレット)が発生し得る。すなわち、飛び出したフィレット、チップと離れた場所に発生する島状のフィレットは、テープが垂れて基板に接触した状態で、接着樹脂がテープおよび基板表面を伝って基板と接触した場所に発生し得る。これにより、安定した接着樹脂のはみ出しが得られずチップの剥離などが生じたり、接着樹脂が隣接チップまたは隣接部品へ汚染し不良となったりする可能性がある。
【0010】
そこで、本実施形態では、半導体製造装置において、チップ用の吸着構造より外側にテープ用の吸着構造が設けられたボンディングツールからチップへの加圧力が一定になるように制御しつつステージからチップへの加熱が2段階で行われるように制御することで、ボンディングの円滑化及びそれによるテープのしわの低減を図る。
【0011】
具体的には、フリップチップ時に半導体チップを加圧すべきボンディングツールにおいて、半導体チップが接触すべき領域にチップ用の吸着構造を設け、その領域の外側にテープ用の吸着構造を設ける。半導体チップ(の電極パッド)には、バンプ電極が接合される。ボンディングツール及び半導体チップの間にテープを介在させ、テープ用の吸着構造でテープを吸着する。そして、テープにチップ用の吸着構造の空間に連通する穴をあけ、その穴を介してチップ用の吸着構造で半導体チップを吸着させる。この状態で、半導体チップを吸着しているボンディングツールを基板もくしは、予め接着剤が所定の位置で部分的に覆った(塗布または貼り付けられた)基板が載置されたステージに近づけ、半導体チップ上のバンプ電極を基板上の配線に接触させる。そして、ボンディングツールから半導体チップへの加圧力を目標圧力に維持しながらボンディングツールの温度を第1の目標温度に制御する。これにより、半導体チップと基板の配線との間に介在するバンプ電極が適度に変形してバンプ電極と基板との接触面積がそれぞれ確保され得る。その後、ボンディングツールから半導体チップへの加圧力を目標圧力に維持しながらボンディングツールの温度を第1の目標温度より高い第2の目標温度に制御する。このとき、バンプ電極と基板との接触面積が確保された状態でバンプ電極が溶融し得るので、バンプ電極の周辺への溶出を抑制でき、バンプ電極と基板との接合が円滑に行われ得る。また、加圧力を目標圧力に維持する制御を行っていることに加えて、2段階の加熱によりバンプ電極の急激な変形を抑制できボンディングツールから半導体チップへの圧力の急激な変動を抑制できるので、テープのしわの発生を抑制できる。そして、ボンディングツールの温度を第2の目標温度に所定時間維持した後、チップ用の吸着構造による半導体チップの吸着を解除し、その状態でボンディングツールをステージから遠ざける。その後、テープ用の吸着構造によるテープの吸着を解除し、テープを送る。これにより、テープ用の吸着構造でテープを吸着し保持していることに加えて、半導体チップの基板へのボンディングを円滑に行うことができボンディングツールから半導体チップへの加圧力が急減に変動することを抑制できるので、ボンディング時におけるテープのしわを低減できる。
【0012】
より具体的には、半導体製造装置1は、図1に示すように構成される。図1は、半導体製造装置1の構成を示す図である。
【0013】
半導体製造装置1は、ステージ10、ボンディングツール20、コントローラ30、駆動機構41、駆動機構42、送りリール51、巻き取りリール52、テープ53、温度センサ61、加圧センサ62、配管系91、配管系92、真空装置81、及び真空装置82を有する。以下では、ステージ10の主面10aに垂直な方向をZ方向とし、Z方向に垂直な面内で互いに直交する2方向をX方向及びY方向とする。
【0014】
ステージ10は、その表面10aにおける-Y側の領域に針部11が配され、表面10aにおける+Y側の領域に基板100が載置される。またステージ10に針部11が配置されていなく、ステージ10と針部のユニットが別でも構わない。基板100は、配線基板又はプリント回路基板(PCB)とも呼ばれる。基板100は、ステージ10の表面10aに載置された姿勢において、表面100aにおける半導体チップのバンプ電極に対応した位置に基板のSR開口(solder resist)100a1,100a2を有する。表面100aは、基板100における+Z側の主面である。穴100a1,100a2の底面100a11,100a21には、半導体チップのバンプ電極が接合されるべき配線101a、101bが配されている。基板100の表面100a、基板のSR開口(solder resist)100a1,100a2の底面100a11,100a21、及び配線101a、101bは、接着樹脂(アンダーフィル)110で部分的に覆われる。接着樹脂110は、例えば、NCP(Non Conducting Paste)であってもよいし、NCF(Non Conducting Film)であってもよい。またNCFにおいては、基板側を部分に覆うのではなく、予め半導体チップ側の電極が施されたチップ表面(全面)を覆っていても良い。
【0015】
ステージ10は、ヒータ等の加熱素子12が埋め込まれている。加熱素子12は、コントローラ30による制御に従い、ステージ10を介して基板100を加熱する。
【0016】
ボンディングツール20は、半導体チップを吸着固定する。ボンディングツール20は、その+Z側に配されたボンディングヘッド(図示せず)により吸着等で保持されている。ボンディングツール20は、半導体チップのサイズよりも大きく、半導体チップのサイズよりも大きい外周位置にテープ53を吸着できる吸着構造が付与されている。
【0017】
ボンディングツール20は、例えば、図2に示すような構成を有する。図2(a)は、ボンディングツールの構成を示す平面図であり、図2(b)は、ボンディングツールの構成を示す正面図であり、図2(c)は、ボンディングツールの構成を示す側面図である。ボンディングツール20は、ベース部21及び突起部22を有する。ボンディングツール20は一つの材料から切削加工等を施し、ベース部21及び突起部22を有するようにしてもよい。この場合ベース部21と突起部22とは一体のツールである。
【0018】
ベース部21は、XY方向に沿って延びた板形状を有する。ベース部21は、XY平面視において、略矩形状を有していてもよい。突起部22は、ベース部21の表面21aに台座状に隆起している。表面21aは、ベース部21における+Z側の主面である。
【0019】
突起部22は、ベース部21の表面21aにおける中心を含む領域に配され、ベース部21の表面21aに固定されていてもよい。突起部22は、XY平面視において、略矩形状を有していてもよい。突起部22は、表面22a、吸着構造(第1の吸着構造)23、吸着構造(第2の吸着構造)24を有する。表面22aは、突起部22における+Z側の主面である。表面22aは、領域RG1及び領域RG2を有する。領域RG1は、ボンディングツール20が半導体チップを吸着した際に半導体チップに重なるべき領域である。領域RG2は、領域RG1の周囲の領域である。
【0020】
吸着構造23は、領域RG1に配されている。吸着構造23は、半導体チップを吸着する。例えば、吸着構造23は、図3に示すような構成を有する。図3(a)は、ボンディングツールにおける突起部の構成を示す拡大平面図であり、図3(b)は、ボンディングツールにおける突起部の構成を示す拡大断面図であり、図3(a)の構成をA-A線で切った場合の断面を示す。
【0021】
吸着構造23は、複数の吸着穴23a~23c及び吸着溝23dを有する。各吸着穴23a~23cは、Z方向に沿って延び、突起部22及びベース部21を貫通している。複数の吸着穴23a~23cは、Y方向に沿って配列されている。吸着溝23dは、突起部22の表面22aに配され、複数の吸着穴23a~23cを+Z側で連絡するようにY方向に沿って延びている。
【0022】
吸着構造24は、領域RG2に配されている。吸着構造24は、半導体チップの外周に存在するテープを吸着する。吸着構造24は、複数の吸着穴24a~24pを有する。各吸着穴24a~24pは、Z方向に沿って延び、突起部22及びベース部21を貫通している。複数の吸着穴24a~24pは、領域RG1を囲むように配列されている。複数の吸着穴24a~24pは、領域RG1の外縁に沿って配列されている。
【0023】
図1に示す駆動機構41及び駆動機構42は、コントローラ30による制御に従い、ステージ10及びボンディングツール20をX方向、Y方向、及びZ方向に相対的に移動可能である。例えば、駆動機構41は、コントローラ30による制御に従い、ステージ10をX方向及びY方向に移動可能である。駆動機構42は、コントローラ30による制御に従い、ステージ10をZ方向の移動も可能である。
【0024】
送りリール51は、ボンディングツール20の-Y側において、ボンディングツール20より若干+Z側に配されている。巻き取りリール52は、ボンディングツール20の+Y側において、ボンディングツール20より若干+Z側に配されている。ボンディングツール20の突起部22の先端(半導体チップを吸着する表面22a側)には、接着樹脂110がボンディングツール20の突起部22の表面22aに付着し無いようにボンディングヘッド20の両脇にリール状に巻かれている。すなわち、テープ53がボンディングツール20の突起部22の表面22aに介在する状態で設けられている。
【0025】
これにより、送りリール51と巻き取りリール52との間のテープ53がボンディングツール20の突起部22の表面22aに接触するように配されることで、テープ53に張力が働くようになっている。
【0026】
送りリール51は、ボンディングに使用されていないテープ53が巻かれている。送りリール51は、コントローラ30による制御に従い、テープ53を送り出し可能である。巻き取りリール52は、コントローラ30による制御に従い、テープ53を巻き取り可能である。巻き取りリール52は、半導体チップの実装が1つ終了する毎に回転してテープ53を巻き取っていく。テープ53は、ボンディングツール20の突起部22の表面22aと半導体チップ(図7(a)参照)との間に挟まれ、半導体チップが基板100に実装されるときに接着樹脂110がボンディングツール20の突起部22の表面22aに付着することを防止する。
【0027】
温度センサ61は、ボンディングヘッドのボンディングツール20を保持する表面に配されている。またボンディングツール20内に埋め込まれている場合もある。温度センサ61は、ボンディングツール20の温度を検知し、検知結果をコントローラ30へ供給する。
【0028】
加圧センサ62は、ボンディングツール20又はボンディングヘッドに配されている。加圧センサ62は、ボンディングツール20が半導体チップを吸着固定する際に、ボンディングツール20から半導体チップへの加圧力を検知し、検知結果をコントローラ30へ供給する。
【0029】
配管系91は、吸着構造23に対応し、吸着構造23と真空装置81との間に配されている。配管系91は、複数の排気管91a~911を有する。排気管91a~91cは、吸着構造23における空間に連通されている。排気管91a~91cは、それぞれ、吸着穴23a~23cに連通されている。排気管911は、排気管91a~91cと真空装置81との間に配されている。
【0030】
真空装置81は、コントローラ30による制御に従い、配管系91を介して吸着構造23における空間を真空排気する。真空装置81は、吸着穴23a~23cから排気管91a~91c経由で排気された気体を排気管911経由で排気する。配管系91は、配管系92と独立して設けられている。すなわち、真空装置81は、配管系92を介さずに、配管系91を介して吸着構造23における空間を真空排気する。
【0031】
配管系92は、吸着構造24に対応し、吸着構造24と真空装置82との間に配されている。配管系92は、複数の排気管92a~92o,921を有する。排気管92a~92o,921は、吸着構造24における空間に連通されている。排気管92a~92oは、それぞれ、吸着穴24a~24pに連通されている。排気管921は、排気管92a~92oと真空装置82との間に配されている。
【0032】
真空装置82は、コントローラ30による制御に従い、配管系92を介して吸着構造24における空間を真空排気する。真空装置82は、吸着穴24a~24pから排気管92a~92o経由で排気された気体を排気管921経由で排気する。配管系92は、配管系91と独立して設けられている。すなわち、真空装置82は、配管系91を介さずに、配管系92を介して吸着構造24における空間を真空排気する。しかし、製造装置の構造的に難しい場合は、配管系92は、配管系91と合流し配管系91と同じ真空装置81で真空排気されるように構成されても構わない。
【0033】
半導体製造装置1は、隙間が接着樹脂110で埋められた複数のバンプ電極を介して基板100上に半導体チップ(図7(a)参照)を熱圧着して半導体装置を構成するフリップチップ実装を行う。半導体製造装置1は、半導体チップの裏面とボンディングツール20との間にテープ53を介在させたFAB(Film Assist Bonding)を行う。
【0034】
FABでは、フリップチップ時のボンディングツール20と半導体チップとの間に介在するテープ53がボンディングツール20の熱でテープ53にしわがよることがある。半導体チップ200の外形よりはみだした接着樹脂110は、図4に示すように、テープ53(図1参照)のしわを伝わり、顕著に飛び出すことがある。図4は、半導体装置の実装状態を示す図である。すなわち、FABを用いたフリップチップ実装において、半導体チップ200外周の基板100上にテープ53のしわが原因で接着樹脂110の飛び出しフィレット110a、飛び島フィレット110bが発生し得る。すなわち、飛び出しフィレット110a、飛び島フィレット110bは、テープ53が垂れて基板100に接触した状態で、接着樹脂110がテープ53を伝って基板100に接触した場所に発生し得る。これにより、安定した接着樹脂110のはみ出しが得られず半導体チップの基板100からの剥離などが生じたり、接着樹脂110が隣接チップまたは隣接部品へ汚染し不良となったりする可能性がある。
【0035】
それに対して、半導体製造装置1では、吸着構造23に加えて吸着構造24が設けられているので、半導体チップ200の外側(すなわち、領域RG1の外側)においてもテープ53を吸着でき、テープ53のしわの発生を抑制できる。
【0036】
また、吸着構造24における空間を真空排気するための配管系92が吸着構造23における空間を真空排気するための配管系91と別系統になっている。これにより、吸着構造24における空間の真空排気と吸着構造23における空間の真空排気とを互いに独立して行うことができ、配管系92を配管系91から独立してテープ53の吸着に適したタイミングで真空排気できることなどにより、テープ53のしわの発生を抑制できる。
【0037】
次に、半導体製造装置1を用いた半導体装置の製造方法について図5図9を用いて説明する。図5は、半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。図6(a)は、導体装置の製造方法を示す斜視図であり、図6(b)~図7(b)、図9(a)~図9(b)は、半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。図8は、半導体装置の製造方法を示すタイミングチャートである。
【0038】
図6(a)に、予め所定の軌跡で接着樹脂110が塗布された基板100及び、その一部の拡大部を示す。図6(a)では、複数の半導体チップに対応した複数の矩形領域を含む基板100において、各矩形領域の対角線に沿った軌跡で接着樹脂110が塗布される場合が例示されている。基板100は半導体製造装置1に投入される。半導体製造装置1は、半導体チップをフリップチップ実装するための装置である。投入された基板100は、加熱素子12により加温されているステージ(熱圧着ステージ)10まで搬送される(S1)。
【0039】
半導体ウエハをダイシングテープに貼り付けてダイシングを行い、複数の半導体チップへ個片化し、個片化された半導体チップ200をダイシングテープから剥離する(S2)。
【0040】
図6(b)に示すように、ボンディングツール20の吸着構造23,24でテープ53を真空吸着する(S4)。その吸着固定されたテープ53に、図6(c)に示すように、所定の配置で針部(ピン)11で穴53a~53cを開ける(S5)。その後、搬送系からボンディングツール20への半導体チップの受け渡しを行い、図7(a)に示すように、半導体チップ200をテープ53の穴53a~53c及びボンディングツール20の吸着穴23a~23cを介して裏面200bから真空吸着し固定する(S6)。半導体チップ200において、表面200aは、素子のパターンが形成された面であり、裏面200bは、表面200aと反対側の面である。半導体チップ200の表面200aには電極パッドが配され、その電極パッドにはバンプ電極210が接合されている。
【0041】
吸着された半導体チップ200とステージ10に搭載された基板100とを熱圧着するために、基板100のアライメントと半導体チップ200のアライメントとを行い(S7)、指定された位置と条件(荷重、温度、時間)で半導体チップ200と基板100とを熱圧着する。
【0042】
熱圧着においては、コントローラ30が、予め指定された条件で動作できるように加圧力(荷重)とボンディングツール温度と吸着圧力と時間とをモニターする。コントローラ30は、熱圧着毎(常時)モニタリングをする。また予め指定された荷重(加圧力)、ボンディングツール温度、吸着圧力で半導体チップ200とボンディングツール20に介在されたテープ53吸着のON/OFFを切り替えて半導体チップ200を基板100に熱圧着する。
【0043】
例えば、その条件は、図8に示すように指定されている。図8では、縦軸が値の大きさを示し、横軸が時間を示している。図8には、駆動機構42による目標Z位置Zh、ボンティングツール20の目標温度Th、ボンティングツール20による目標加圧力Fh、配管系91,92の目標真空度Phが例示されている。目標Z位置Zhは、コントローラ30が駆動機構42からZ軸移動量の情報を受け、そのZ軸移動量に基づいて、駆動機構42に指示すべきZ軸移動量を調整することで制御できる。目標温度Thは、コントローラ30が温度センサ61で検知される温度に基づき加熱素子12による加熱量を調節することで制御できる。目標加圧力Fhは、コントローラ30が加圧センサ62で検知される加圧力に基づき駆動機構42によるZ軸移動量を調節することで制御できる。コントローラ30は、目標加圧力Fhに応じた駆動機構42のZ軸移動量と目標加圧力Fhに応じた駆動機構42のZ軸移動量とが異なる場合、目標加圧力Fhに応じた駆動機構42のZ軸移動量を優先することができる。目標真空度Phは、コントローラ30が真空装置81,82の動作を調節することで制御できる。
【0044】
期間TP1より前から(すなわち、S4から)、真空装置81,82が稼働され、配管系91,92の真空度が目標真空度Ph=P1(>0)に制御されている。すなわち、配管系91,92が減圧状態に制御されている。
【0045】
期間TP1において、図7(a)に点線の矢印で示すように、ボンディングツール20を-Z方向に高速に下降させ(S8)、半導体チップ200の-Z側のバンプ電極210が接着樹脂110に接触する位置までボンディングツール20をステージ10に近づける。
【0046】
期間TP2において、バンプ電極210が接着樹脂110に接触すると、ボンディングツール20の下降速度を若干緩め、ボンディングツール20を-Z方向にその緩めた速度で下降させる(S9)。図7(b)に示すように、半導体チップ200の-Z側のバンプ電極210が基板100の穴100a1,100a2の底に接触する位置までボンディングツール20をステージ10に近づける。
【0047】
期間TP3において、ボンディングツール20から半導体チップ200への加圧力を図8に示す目標圧力Fh=F1に維持しながらボンディングツール20を図8に示す目標温度Th=T1に制御する(S10)。
【0048】
期間TP4において、ボンディングツール20から半導体チップ200への加圧力が目標圧力Fh=F1に維持されるようにボンディングツール20及びステージ10の距離を相対的に制御するとともに、ボンディングツール20の温度を目標温度Th=T2(>T1)に制御する(S10)。すなわち、図9(a)に点線の矢印で示すように、加圧力が目標圧力Fh=F1に維持されるようにボンディングヘッド20のZ位置を+Z方向又は-Z方向に制御する。図8には、徐々に+Z方向にボンディングヘッド20のZ位置を制御する場合について例示されている。
【0049】
期間TP5において、図9(b)に点線の矢印で示すように、その状態でボンディングツール20を+Z方向に上昇させ(S11)、ボンディングツール20をステージ10から相対的に遠ざける。ボンディングヘッド20の吸着構造23,24による吸着を解除する(S12)。すなわち、真空装置81,82の稼働が停止され、配管系91,92の減圧状態が解除される。そして、図9(b)に一点鎖線の矢印で示すように、送りリール51から巻き取りリール52までテープ53を所定量巻き取り、ボンディングヘッド20の突起部22の表面22aの-Z側に、新しいテープ53が位置するようにする(S13)。またボンディング後の吸着構造23,24による吸着を解除するタイミングとボンディングヘッドをステージから遠ざけるタイミングは、半導体チップサイズ等により任意に変えられる。
【0050】
半導体基板の取り数分(指定分)の半導体チップが処理されるまで(S14でYes)、S2~S13を繰り返す。半導体基板の取り数分(指定分)の半導体チップが処理され、処理すべき他のチップがない状態になると(S14でNo)、半導体基板内の全ての半導体チップの熱圧着が終了したものとして、終了した半導体基板が、装置から払い出され(S15)、次の工程に運ばれる。
【0051】
以上のように、本実施形態では、半導体製造装置1において、チップ用の吸着構造23より外側にテープ用の吸着構造24が設けられたボンディングツール20からチップへの加圧力が一定になるように制御しつつステージ10からチップへの加熱が2段階で行われるように制御する。これにより、ボンディングを円滑化できるので、テープ53のしわを低減できる。この結果、安定した接着樹脂のはみ出しを得ることができ、チップの剥離を抑制でき、接着樹脂の隣接チップまたは隣接部品への汚染を抑制できる。
【0052】
なお、ボンディングツール120の吸着構造124は、図10(a)に示すように、複数の吸着穴24a~24pに加えて、吸着溝124qをさらに有していてもよい。図10(a)は、第1の実施形態の第1の変形例におけるボンディングツール120の構成を示す図である。吸着溝124qは、領域RG1の外縁に沿って延びている。吸着溝124qは、複数の吸着穴24a~24pを連絡するように領域RG1を囲んで延びていてもよい。吸着溝124qの幅は、XY平面視において、各吸着穴24a~24pの直径に略等しい。この構成によっても、半導体チップの外側(すなわち、領域RG1の外側)においてもテープ53を吸着でき、テープ53のしわの発生を抑制できる。
【0053】
あるいは、ボンディングツール220の吸着構造224は、図10(b)に示すように、図10(a)に示す構成に対して、吸着穴24a~24pが間引かれた構成であってもよい。図10(b)は、第1の実施形態の第2の変形例におけるボンディングツール220の構成を示す図である。図10(b)では、複数の吸着穴24a~24pが1つおきに間引かれた構成が例示されている。この構成によっても、半導体チップの外側(すなわち、領域RG1の外側)においてもテープ53を吸着でき、テープ53のしわの発生を抑制できる。
【0054】
あるいは、ボンディングツール320の吸着構造324は、図11(a)に示すように、図10(a)に示す構成に対して、吸着溝324qの幅が各吸着穴24a~24pの直径より狭くなるように変更された構成であってもよい。図11(a)は、第1の実施形態の第3の変形例におけるボンディングツール320の構成を示す図である。この構成によっても、半導体チップの外側(すなわち、領域RG1の外側)においてもテープ53を吸着でき、テープ53のしわの発生を抑制できる。
【0055】
あるいは、ボンディングツール420の吸着構造424は、図11(b)に示すように、図10(a)に示す構成に対して、吸着溝124qが吸着溝424q1,424q2に2分割された構成であってもよい。図11(b)は、第1の実施形態の第4の変形例におけるボンディングツール420の構成を示す図である。各吸着溝424q1,424q2の幅は、XY平面視において、各吸着穴24a~24pの直径に略等しい。吸着溝424q1,424q2は、XY平面視において、互いに開口端が向かい合った略U字形状を有する。吸着溝424q1は、吸着穴24m~24p,24a~24dを連絡するように略横U字形状に沿って延びている。吸着溝424q2は、吸着穴24f~24lを連絡するように略横U字形状に沿って延びている。吸着溝424q1及び吸着溝424q2の間には、吸着穴24e,24mが配されている。この構成によっても、半導体チップの外側(すなわち、領域RG1の外側)においてもテープ53を吸着でき、テープ53のしわの発生を抑制できる。
【0056】
あるいは、ボンディングツール520の吸着構造524は、図11(c)に示すように、図10(a)に示す構成に対して、吸着溝124qが吸着溝524q1~524q4に4分割された構成であってもよい。図11(c)は、第1の実施形態の第5の変形例におけるボンディングツール520の構成を示す図である。各吸着溝524q1~524q4の幅は、XY平面視において、各吸着穴24a~24pの直径に略等しい。吸着溝524q1~524q4は、XY平面視において、互いに開口端が向かい合った略L字形状を有する。吸着溝524q1は、吸着穴24b~24dを連絡するように略L字形状に沿って延びている。吸着溝524q2は、吸着穴24f~24hを連絡するように略L字形状に沿って延びている。吸着溝524q3は、吸着穴24j~24lを連絡するように略L字形状に沿って延びている。吸着溝524q4は、吸着穴24n~24pを連絡するように略L字形状に沿って延びている。吸着溝524q1~524q4の間には、吸着穴24e,24i,24m,24aが配されている。この構成によっても、半導体チップの外側(すなわち、領域RG1の外側)においてもテープ53を吸着でき、テープ53のしわの発生を抑制できる。
【0057】
あるいは、ボンディングツール620の吸着構造624は、図12(a)に示すように、図3に示す構成に対して、表面22aにおける複数の吸着穴24a~24pの外側の部分が傾斜面22a2に変更された構成であってもよい。図12(a)は、第1の実施形態の第6の変形例におけるボンディングツール620の構成を示す図である。すなわち、表面22aは、平坦面22a1及び傾斜面22a2を有する。傾斜面22a2は、平坦面22a1の外側において、平坦面22a1から離れるにつれてZ高さが低くなるように傾斜している。これにより、ボンディングツール620がテープ53を吸着する際に半導体チップの外側でテープ53までの距離を大きくすることができるので、接着樹脂110のテープ53への付着をさらに抑制できる。また、この構成によっても、半導体チップの外側(すなわち、領域RG1の外側)においてもテープ53を吸着できるとともに、テープ53のしわの発生を抑制できる。
【0058】
あるいは、ボンディングツール720の吸着構造724は、図12(b)に示すように、図10(b)に示す構成に対して、表面22aにおける複数の吸着穴24a~24oの外側の部分が傾斜面22a2に変更された構成であってもよい。図12(b)は、第1の実施形態の第7の変形例におけるボンディングツール720の構成を示す図である。すなわち、表面22aは、平坦面22a1及び傾斜面22a2を有する。傾斜面22a2は、平坦面22a1の外側において、平坦面22a1から離れるにつれてZ高さが低くなるように傾斜している。吸着溝124qは、平坦面22a1内で平坦面22a1及び傾斜面22a2の境界に沿って延びている。複数の吸着穴24a~24oは、平坦面22a1内で平坦面22a1及び傾斜面22a2の境界に沿って配列されている。これにより、ボンディングツール720がテープ53を吸着する際に半導体チップの外側でテープ53までの距離を大きくすることができるので、接着樹脂110のテープ53への付着をさらに抑制できる。また、この構成によっても、半導体チップの外側(すなわち、領域RG1の外側)においてもテープ53を吸着できるとともに、テープ53のしわの発生を抑制できる。
【0059】
あるいは、ボンディングツール820の吸着構造824は、図12(c)に示すように、図11(b)に示す構成に対して、表面22aにおける複数の吸着穴24a~24pの外側の部分が傾斜面22a2に変更された構成であってもよい。図12(c)は、第1の実施形態の第8の変形例におけるボンディングツール820の構成を示す図である。すなわち、表面22aは、平坦面22a1及び傾斜面22a2を有する。傾斜面22a2は、平坦面22a1の外側において、平坦面22a1から離れるにつれてZ高さが低くなるように傾斜している。吸着溝424q1,424q2は、平坦面22a1内で平坦面22a1及び傾斜面22a2の境界に沿って延びている。複数の吸着穴24a~24oは、平坦面22a1内で平坦面22a1及び傾斜面22a2の境界に沿って配列されている。これにより、ボンディングツール820がテープ53を吸着する際に半導体チップの外側でテープ53までの距離を大きくすることができるので、接着樹脂110のテープ53への付着をさらに抑制できる。また、この構成によっても、半導体チップの外側(すなわち、領域RG1の外側)においてもテープ53を吸着できるとともに、テープ53のしわの発生を抑制できる。
【0060】
あるいは、ボンディングツール920の吸着構造924は、図13(a)に示すように、図10(b)に示す構成に対して、吸着溝124qの外側の部分が吸着溝124qの底面と同じZ高さになるように変更された構成であってもよい。図13(a)は、第1の実施形態の第9の変形例におけるボンディングツール920の構成を示す図である。すなわち、表面22aは、平坦面22a11、段差面22a12及びテラス面22a13を有する。テラス面22a13は、平坦面22a11の外側に配され、平坦面22a11よりZ高さが低い。段差面22a12は、平坦面22a11の外端とテラス面22a13の内端とを接続するようにZ方向に延びている。複数の吸着穴24a~24oは、テラス面22a13内で平坦面22a1及びテラス面22a13の境界に沿って(すなわち、段差面22a12に沿って)配列されている。これにより、ボンディングツール920がテープ53を吸着する際に半導体チップの外側でテープ53までの距離を大きくすることができるので、接着樹脂110のテープ53への付着をさらに抑制できる。また、この構成によっても、半導体チップの外側(すなわち、領域RG1の外側)においてもテープ53を吸着できるとともに、テープ53のしわの発生を抑制できる。
【0061】
あるいは、ボンディングツール1020の吸着構造1024は、図13(b)に示すように、図10(a)に示す構成に対して、吸着溝124qの外側の部分が吸着溝124qの底面と同じZ高さになるように変更された構成であってもよい。図13(b)は、第1の実施形態の第10の変形例におけるボンディングツール1020の構成を示す図である。すなわち、表面22aは、平坦面22a11、段差面22a12及びテラス面22a13を有する。テラス面22a13は、平坦面22a11の外側に配され、平坦面22a11よりZ高さが低い。段差面22a12は、平坦面22a11の外端とテラス面22a13の内端とを接続するようにZ方向に延びている。複数の吸着穴24a~24pは、テラス面22a13内で平坦面22a1及びテラス面22a13の境界に沿って(すなわち、段差面22a12に沿って)配列されている。これにより、ボンディングツール1020がテープ53を吸着する際に半導体チップの外側でテープ53までの距離を大きくすることができるので、接着樹脂110のテープ53への付着をさらに抑制できる。また、この構成によっても、半導体チップの外側(すなわち、領域RG1の外側)においてもテープ53を吸着できるとともに、テープ53のしわの発生を抑制できる。
【0062】
あるいは、ボンディングツール1120の吸着構造1124は、図14(a)に示すように、図13(a)に示す構成に対して、テラス面22a13における複数の吸着穴24a~24oの外側の部分が傾斜テラス面22a132に変更された構成であってもよい。図14(a)は、第1の実施形態の第11の変形例におけるボンディングツール1120の構成を示す図である。すなわち、テラス面22a13は、平坦テラス面22a131及び傾斜テラス面22a132を有する。傾斜テラス面22a132は、平坦テラス面22a1の外側において、平坦テラス面22a131から離れるにつれてZ高さが低くなるように傾斜している。複数の吸着穴24a~24oは、平坦テラス面22a131内で平坦テラス面22a131及び傾斜テラス面22a132の境界に沿って配列されている。これにより、ボンディングツール1120がテープ53を吸着する際に半導体チップの外側でテープ53までの距離を大きくすることができるので、接着樹脂110のテープ53への付着をさらに抑制できる。また、この構成によっても、半導体チップの外側(すなわち、領域RG1の外側)においてもテープ53を吸着できるとともに、テープ53のしわの発生を抑制できる。
【0063】
あるいは、ボンディングツール1220の吸着構造1224は、図14(b)に示すように、図13(b)に示す構成に対して、テラス面22a13における複数の吸着穴24a~24oの外側の部分が傾斜テラス面22a132に変更された構成であってもよい。図14(b)は、第1の実施形態の第12の変形例におけるボンディングツール1220の構成を示す図である。すなわち、テラス面22a13は、平坦テラス面22a131及び傾斜テラス面22a132を有する。傾斜テラス面22a132は、平坦テラス面22a1の外側において、平坦テラス面22a131から離れるにつれてZ高さが低くなるように傾斜している。複数の吸着穴24a~24oは、平坦テラス面22a131内で平坦テラス面22a131及び傾斜テラス面22a132の境界に沿って配列されている。これにより、ボンディングツール1220がテープ53を吸着する際に半導体チップの外側でテープ53までの距離を大きくすることができるので、接着樹脂110のテープ53への付着をさらに抑制できる。また、この構成によっても、半導体チップの外側(すなわち、領域RG1の外側)においてもテープ53を吸着できるとともに、テープ53のしわの発生を抑制できる。
【0064】
あるいは、ボンディングツール1320の吸着構造1324は、図15(a)に示すように、図10(a)に示す構成に対して、表面22aにおける領域RG1の外側の部分が傾斜面22a14に変更され、吸着溝124qが吸着溝1324qに変更された構成であってもよい。図15(a)は、第1の実施形態の第13の変形例におけるボンディングツール1320の構成を示す図である。すなわち、表面22aは、平坦面22a11及び傾斜面22a14を有する。傾斜面22a14は、平坦面22a11の外側において、平坦面22a11から離れるにつれてZ高さが低くなるように傾斜している。吸着溝1324qの開口端は、傾斜面22a14上に位置し、そのZ位置が平坦面22a11のZ位置より低くなり得る。吸着溝1324qは、複数の吸着穴24a~24pを連絡するように領域RG1を囲んで延びていてもよい。これにより、ボンディングツール1320がテープ53を吸着する際に半導体チップの外側でテープ53までの距離を大きくすることができるので、接着樹脂110のテープ53への付着をさらに抑制できる。また、この構成によっても、半導体チップの外側(すなわち、領域RG1の外側)においてもテープ53を吸着できるとともに、テープ53のしわの発生を抑制できる。
【0065】
あるいは、ボンディングツール1420の吸着構造1424は、図15(b)に示すように、図15(a)に示す構成に対して、吸着穴24a~24pが間引かれた構成であってもよい。図15(b)は、第1の実施形態の第14の変形例におけるボンディングツール1420の構成を示す図である。図15(b)では、複数の吸着穴24a~24pが1つおきに間引かれた構成が例示されている。この構成によっても、ボンディングツール11420がテープ53を吸着する際に半導体チップの外側でテープ53までの距離を大きくすることができるので、接着樹脂110のテープ53への付着をさらに抑制できる。また、この構成によっても、半導体チップの外側(すなわち、領域RG1の外側)においてもテープ53を吸着できるとともに、テープ53のしわの発生を抑制できる。
【0066】
あるいは、ボンディングツール1520の吸着構造1523は、図16(a)に示すように、図3に示す構成に対して、チップ用の吸着穴が1つに変更された構成であってもよい。図16(a)は、第1の実施形態の第15の変形例におけるボンディングツール1520の構成を示す図である。すなわち、吸着構造1523は、吸着構造23に対して、吸着穴23a,23c及び吸着溝23dが省略された構成になっている。これにより、吸着構造1523を簡略化でき、ボンディングツール1520のコストを低減できる。また、この構成によっても、ボンディングツール1520で半導体チップを吸着できる。
【0067】
あるいは、ボンディングツール1620の吸着構造1423は、図16(b)に示すように、図3に示す構成に対して、チップ用の吸着穴及び吸着溝が増加された構成であってもよい。図16(b)は、第1の実施形態の第16の変形例におけるボンディングツール1620の構成を示す図である。すなわち、吸着構造1423は、吸着構造23に対して、吸着穴23e,23f及び吸着溝23gが追加された構成になっている。吸着穴23e,23fは、それぞれ、Z方向に沿って延び、突起部22及びベース部21を貫通している。複数の吸着穴23e,23b,23fは、X方向に沿って配列されている。吸着溝23gは、突起部22の表面22aに配され、複数の吸着穴23e,23b,23fを+Z側で連絡するようにX方向に沿って延びている。吸着溝23d及び吸着溝23gは、XY平面視において、互いに構成し、略十字形状を形成している。これにより、吸着構造1623の吸着能力をさらに向上できる。また、この構成によっても、ボンディングツール1620で半導体チップを吸着できる。
【0068】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態にかかる半導体製造装置について説明する。以下では、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0069】
第2実施形態では、半導体製造装置1701は、ボンディングツールにテープのしわの監視用の診断穴を設け、熱圧着時にテープ53のしわが起きた現象を診断穴の真空度の低下で読み取るモニターニング機能を持つ。そして、半導体製造装置1501は、テープのしわが起きた時にテープ吸着の真空をONさせてチップ外周のテープを吸着し、チップを基板に熱圧着する。
【0070】
具体的には、半導体製造装置1701は、図17に示すように、ボンディングツール20(図1参照)に代えてボンディングツール1720を有し、吸引センサ63、配管系93、真空装置83を有する。
【0071】
ボンディングツール1720は、例えば、図18に示すような構成を有する。図18(a)は、ボンディングツール1720の突起部1722の構成を示す拡大平面図であり、図18(b)は、ボンディングツール1720における突起部1722の構成を示す拡大断面図であり、図18(a)の構成をB-B線で切った場合の断面を示す。ボンディングツール1720は、突起部22(図3参照)に代えて突起部1722を有する。突起部1722は、複数の診断穴25a~25dをさらに有する。診断穴25a~25dは、吸着構造24の周囲に配されている。診断穴25aは、吸着穴24aの周囲に排されている。診断穴25bは、吸着穴24eの周囲に排されている。診断穴25cは、吸着穴24iの周囲に排されている。診断穴25dは、吸着穴24mの周囲に排されている。図18では、XY平面視において、診断穴25a~25dが複数の吸着穴24a~24pの外側に配される構成が例示されている。ボンディングツール1720は一つの材料から切削加工等を施し、ベース部21及び突起部1722を有するようにしてもよい。この場合ベース部21と突起部1722とは一体となっている。
【0072】
図17に示す配管系93は、診断穴25a~25dに対応し、診断穴25a~25dと真空装置83との間に配されている。配管系93は、複数の排気管93a~931を有する。排気管93a~93dは、それぞれ、診断穴25a~25dに連通されている。排気管931は、排気管93a~93dと真空装置83との間に配されている。
【0073】
真空装置83は、コントローラ30による制御に従い、配管系93を介して診断穴25a~25dを真空排気する。配管系93は、配管系91及び配管系92と独立して設けられている。すなわち、真空装置83は、配管系91及び配管系92を介さずに、配管系93を介して診断穴25a~25dを真空排気する。
【0074】
吸引センサ63は、配管系93の途中に配される。図17では、吸引センサ63が排気管93bの途中に配される構成が例示されている。吸引センサ63は、配管系93内を通る気体の圧力を検知し、検知結果をコントローラ30へ供給する。吸引センサ63の検知結果は、配管系93の真空度を表している。すなわち、配管系93内を通る気体の圧力が低ければ、真空度が高いことを表し、配管系93内を通る気体の圧力が高ければ、真空度が低いことを表す。
【0075】
また、半導体製造装置1701を用いた半導体装置の製造方法が、図19図23に示すように、次の点で第1の実施形態と異なる。図19は、半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。図20図22(a)~図23(b)は、半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。図21は、半導体装置の製造方法を示すタイミングチャートである。
【0076】
S1~S2を行われた後、コントローラ30は、真空装置81,83を稼働するが、真空装置82を稼働しない。図20に示すように、吸着構造23(複数の吸着穴24a~24p)による吸着と診断穴25a~25dによる吸着とは行われる(S24)が、吸着構造24による吸着はまだ行われない。
【0077】
例えば、図21に示す期間TP1より前から(すなわち、S24から)、真空装置81,83が稼働され、図22(a)に示すように、配管系91,93の真空度が目標真空度Ph=P1(>0),Pd=P1(>0)に制御されている。すなわち、配管系91,93が減圧状態に制御されている。真空装置82が稼働されないので、配管系92の真空度が目標真空度Ptr≒0に制御されている。
【0078】
その後、S5~S9が行われた後、コントローラ30は、吸引センサ63による検知結果に基づき、配管系93における真空度が低下した場合に、図22(b)に示すように、テープ53のしわが発生したとして、真空装置82を稼働し、図23(a)に示すように、吸着構造24による吸着を行う。
【0079】
例えば、図21に示す期間TP4において、ボンディングツール20から半導体チップ200への加圧力が目標圧力Fh=F1に維持されるようにボンディングツール20及びステージ10の距離を相対的に制御するとともに、ボンディングツール20の温度を目標温度Th=T2(>T1)に制御する。それとともに、配管系93の真空度をモニターしている(S10)。期間TP4中のタイミングt1において、配管系93の真空度が所定の閾値Pdthより下がると、センサーがON(すなわち、しわが発生した)として、真空装置82が稼働され、配管系92の真空度が目標真空度Ptr=P1(>0)に制御される。
【0080】
その後、S11~S15の処理(図23(b)参照)が行われる点は、第1の実施形態と同様である。
【0081】
以上のように、第2の実施形態では、半導体製造装置1701において、吸着構造24の周辺に配された診断穴25a~25dを介してテープ53の異常(例えば、しわの発生)の診断を行い、異常発生に応じて吸着構造24による吸着を行う。これにより、テープ53の異常(例えば、しわの発生)に対して適応的にテープ53の吸着を行うので、テープ53の異常を効果的に抑制できる。
【0082】
なお、ボンディングツール1820の突起部1822は、図24に示すように、診断穴1825a~1825dが複数の吸着穴24a~24pの間に配される構成であってもよい。図24は、第2の実施形態の変形例におけるボンディングツール1820の構成を示す図である。診断穴1825aは、吸着穴24aと吸着穴24bとの間に配されている。診断穴1825bは、吸着穴24eと吸着穴24fとの間に配されている。診断穴1825cは、吸着穴24iと吸着穴24jとの間に配されている。診断穴1825dは、吸着穴24lと吸着穴24mとの間に配されている。このような構成によっても、テープ53の異常(例えば、しわの発生)に対して適応的にテープ53の吸着を行うことができる。
【0083】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0084】
1,1701 半導体製造装置、10 ステージ、20,120,220,320,420,520,620,720,820,920,1020,1120,1220,1320,1420,1520,1620,1720,1820 ボンディングツール、30 コントローラ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24