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特開2023-166489MRNA担持脂質ナノ粒子を調製する改善されたプロセス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166489
(43)【公開日】2023-11-21
(54)【発明の名称】MRNA担持脂質ナノ粒子を調製する改善されたプロセス
(51)【国際特許分類】
   A61K 48/00 20060101AFI20231114BHJP
   A61K 31/7105 20060101ALI20231114BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20231114BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20231114BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20231114BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20231114BHJP
   A61K 38/43 20060101ALI20231114BHJP
   A61K 38/18 20060101ALI20231114BHJP
   A61K 38/00 20060101ALI20231114BHJP
   C12N 15/00 20060101ALI20231114BHJP
   B82Y 5/00 20110101ALI20231114BHJP
   B82Y 40/00 20110101ALI20231114BHJP
【FI】
A61K48/00 ZNA
A61K31/7105
A61K9/16
A61K47/12
A61K47/22
A61K47/24
A61K38/43
A61K38/18
A61K38/00
C12N15/00 100Z
B82Y5/00
B82Y40/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023141009
(22)【出願日】2023-08-31
(62)【分割の表示】P 2019524194の分割
【原出願日】2017-11-10
(31)【優先権主張番号】62/420,413
(32)【優先日】2016-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/580,155
(32)【優先日】2017-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517316797
【氏名又は名称】トランスレイト バイオ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】シュリラング カーブ
(72)【発明者】
【氏名】フランク デローサ
(72)【発明者】
【氏名】ザーナ バブサー
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ハートレイン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】MRNA担持脂質ナノ粒子を調製する改善されたプロセスの提供。
【解決手段】本発明は、脂質ナノ粒子製剤およびmRNA封入のための改善された方法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、予め形成された脂質ナノ粒子とmRNAの溶液を混合する工程を含む、脂質ナノ粒子にメッセンジャーRNA(mRNA)を封入する方法を提供する。特に、本発明は、予め形成された脂質ナノ粒子をmRNAと組み合わせることにより、mRNAを封入することが、mRNAの予想外に効率的なin vivo送達、ならびにmRNAがコードするタンパク質および/またはペプチドの驚くべき強力な発現を示す形成された粒子をもたらす。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2016年11月10日に出願された米国仮出願第62/420,413号、および2017年11月1日に出願された米国仮出願第62/580,155号に対する優先権を主張するものであり、当該開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
配列表
【0002】
本明細書は、配列表(「MRT-1246WO_SL」という名称のテキスト(.txt)ファイルとして2017年11月10日に電子的に提出されたもの)を参照する。該テキストファイルは、2017年11月10日に作成されたものであり、サイズは17,482バイトである。配列表の全内容が、参照によって本明細書に援用される。
【背景技術】
【0003】
メッセンジャーRNA療法(MRT)は、様々な疾患の治療にますます重要なアプローチとなっている。MRTは、治療を必要とする患者にメッセンジャーRNA(mRNA)を投与し、患者体内でmRNAによってコードされるタンパク質を産生するものである。一般的には、効率よくmRNAをin vivoで送達するために、脂質ナノ粒子を使用してmRNAを封入する。
【0004】
脂質ナノ粒子送達を改善するために、多くの試みは、例えば、種々の種類の哺乳類組織、器官および/または細胞(例えば、哺乳類肝細胞)において、mRNAの細胞内送達および/または発現に影響を与え得る新しい脂質または特定の脂質組成物を識別することに焦点を当てたものである。しかし、これらの既存のアプローチは、費用がかかり、時間がかかり、予測不可能である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、とりわけ、mRNA担持脂質ナノ粒子を調製するための改善されたプロセスを提供する。特に、本発明は、予め形成された脂質ナノ粒子をmRNAと組み合わせることにより、mRNAを封入することが、mRNAの予想外に効率的なin vivo送達、ならびにmRNAがコードするタンパク質および/またはペプチドの驚くべき強力な発現を示す形成された粒子をもたらす。
【0006】
従来のプロセスと比較して、本明細書に記載の本発明のプロセスは、より高い効力およびより良好な有効性の脂質ナノ粒子により送達されるmRNAを提供し、それによって治療指数を正方向にシフトさせ、より低いコスト、より良好な患者コンプライアンス、およびより患者にやさしい投与計画などの追加的利点を提供する。本発明により提供されるmRNA担持脂質ナノ粒子製剤は、静脈内、筋肉内、関節内、くも膜下腔内、吸入(呼吸)、皮下、硝子体内、および点眼などの異なる投与経路を介して、より強力かつ有効なタンパク質発現のため、in vivoで首尾よく送達され得る。
【0007】
本発明のプロセスは、ポンプシステムを使用して実施することができ、従って拡張可能であり、例えば、臨床試験および/または商業販売の実施に十分な量の改善された粒子形成/製剤を可能にする。パルスレスフローポンプ、ギアポンプ、蠕動ポンプ、および遠心ポンプを含むがこれに限定されない様々なポンプシステムを、本発明を実施するために使用しうる。
【0008】
本発明のプロセスにより、優れた封入効率、mRNA回収率、および均質な粒子サイズももたらされる。
【0009】
従って、一態様では、本発明は、予め形成された脂質ナノ粒子を含む溶液とmRNAを含む溶液とを混合する工程を含む脂質ナノ粒子中のメッセンジャーRNA(mRNA)を封入し、mRNAを封入している脂質ナノ粒子封入を形成するプロセスを提供する。本明細書で使用される場合、予め形成された脂質ナノ粒子はmRNAを実質的に含まない。いくつかの実施形態では、予め形成された脂質ナノ粒子は、空の脂質ナノ粒子と呼ばれる。
【0010】
いくつかの実施形態では、本発明によるプロセスは、一つ以上の溶液を周囲温度よりも高い温度に加熱する(または温度に維持する)(すなわち、熱源からの熱を溶液に適用する)工程を含み、一つ以上の溶液は予め形成された脂質ナノ粒子を含む溶液であり、mRNAを含む溶液であり、脂質ナノ粒子により封入されたmRNAを含む混合溶液である。いくつかの実施形態では、プロセスは、混合工程の前に、mRNA溶液および予め形成された脂質ナノ粒子溶液の一方または両方を加熱する工程を含む。いくつかの実施形態では、プロセスは、混合工程の間、予め形成された脂質ナノ粒子を含む溶液、mRNAを含む溶液および脂質ナノ粒子により封入されたmRNAを含む溶液の一つ、または一つ以上を加熱することを含む。いくつかの実施形態では、プロセスは、混合工程の後、脂質ナノ粒子により封入されたmRNAを加熱する工程を含む。いくつかの実施形態では、溶液の一つ以上が加熱される(または溶液の一つ以上が維持される)温度は、約30℃、37℃、40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、もしくは70℃であるか、またはそれより高い。いくつかの実施形態では、溶液の一つ以上が加熱される温度は、約25~70℃、約30~70℃、約35~70℃、約40~70℃、約45~70℃、約50~70℃、または約60~70℃の範囲である。いくつかの実施形態では、溶液の一つ以上が加熱される周囲温度よりも高い温度は、約65℃である。
【0011】
いくつかの実施形態では、本発明によるプロセスは、予め形成された脂質ナノ粒子を含む溶液、mRNAを含む溶液および脂質ナノ粒子により封入されたmRNAを含む混合溶液の一つ以上を周囲温度で維持する(すなわち、熱源からの熱を溶液に適用しない)ことを含む。いくつかの実施形態では、プロセスは、混合工程の前に、mRNA溶液および予め形成された脂質ナノ粒子溶液の一方または両方を周囲温度で維持する工程を含む。いくつかの実施形態では、プロセスは、混合工程中に、予め形成された脂質ナノ粒子を含む溶液、mRNAを含む溶液および脂質ナノ粒子により封入されたmRNAを含む溶液の一つまたは一つ以上を周囲温度で維持することを含む。いくつかの実施形態では、プロセスには、混合工程の後、脂質ナノ粒子により封入されたmRNAを周囲温度で維持する工程が含まれる。いくつかの実施形態では、溶液の一つ以上が維持される周囲温度は、約35℃、30℃、25℃、20℃、もしくは16℃であるか、またはそれ未満である。いくつかの実施形態では、溶液の一つ以上が維持される周囲温度は、約15~35℃、約15~30℃、約15~25℃、約15~20℃、約20~35℃、約25~35℃、約30~35℃、約20~30℃、約20~30℃、約25~30℃、または20~25℃の範囲である。いくつかの実施形態では、溶液の一つ以上が維持される周囲温度は、20~25℃である。
【0012】
いくつかの実施形態では、本発明によるプロセスは、予め形成された脂質ナノ粒子を含む溶液と、mRNAを含む溶液とを混合して、mRNAを封入している脂質ナノ粒子を形成する工程を周囲温度で実施することを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、予め形成された脂質ナノ粒子は、エタノール中に溶解した脂質を水溶液と混合することにより形成される。いくつかの実施形態では、資質は、一種以上のカチオン性脂質、一種以上のヘルパー脂質、および一種以上のPEG脂質を含む。いくつかの実施形態では、脂質には一種以上のコレステロール脂質も含まれる。予め形成された脂質ナノ粒子は、それらの脂質の混合によって形成される。従って、一部の実施形態では、予め形成された脂質ナノ粒子は、一種以上のカチオン性脂質、一種以上のヘルパー脂質、および一種以上のPEG脂質を含む。いくつかの実施形態では、予め形成された脂質ナノ粒子は、一種以上のコレステロール脂質も含有する。
【0014】
いくつかの実施形態では、一種以上のカチオン性脂質は、cKK-E12、OF-02、C12-200、MC3、DLinDMA、DLinkC2DMA、ICE(イミダゾールベース)、HGT5000、HGT5001、HGT4003、DODAC、DDAB、DMRIE、DOSPA、DOGS、DODAP、DODMAおよびDMDMA、DODAC、DLenDMA、DMRIE、CLinDMA、CpLinDMA、DMOBA、DOcarbDAP、DLinDAP、DLincarbDAP、DLinCDAP、KLin-K-DMA、DLin-K-XTC2-DMA、3-(4-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)ブチル)-6-(4-((2-ヒドロキシドデシル)(2-ヒドロキシウンデシル)アミノ)ブチル)-1,4-ジオキサン-2,5-ジオン(ターゲット23)、3-(5-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)ペンタン-2-イル)-6-(5-((2-ヒドロキシドデシル)(2-ヒドロキシウンデシル)アミノ)ペンタン-2-イル)-1,4-ジオキサン-2,5-ジオン(ターゲット24)、N1GL、N2GL、V1GLならびにその組み合わせからなる群から選択される。
【0015】
一部の実施形態では、一種以上のカチオン性脂質は、アミノ脂質である。本発明での使用に適したアミノ脂質は、国際公開第2017180917号に記載されているものを含み、これは参照により本明細書に援用される。国際公開第2017180917号における典型的なアミノ脂質は、DLin-MC3-DMA(MC3)、(13Z,16Z)-N,N-ジメチル-3-ノニルドコサ-13,16-ジエン-1-アミン(L608)、及び化合物18などの段落[0744]で記載されたものが挙げられる。その他のアミノ脂質には、化合物2、化合物23、化合物27、化合物10、および化合物20が含まれる。本発明での使用に適したさらなるアミノ脂質には、国際公開第2017112865号に記載されているものが含まれ、これは参照により本明細書に援用される。国際公開第2017112865号における典型的なアミノ脂質は、式(I)、(Ial)-(Ia6)、(lb)、(II)、(Ila)、(III)、(Ilia)、(IV)、(17-1)、(19-1)、(19-11)、および(20-1)のうちの一つによる化合物、ならびに段落[00185]、[00201]、[0276]の化合物を含む。いくつかの実施形態では、本発明での使用に適したカチオン性脂質は、国際公開第2016118725号に記載されているものを含み、これは参照により本明細書に援用される。国際公開第2016118725号における典型的なカチオン性脂質は、KL22およびKL25などのものを含む。いくつかの実施形態では、本発明での使用に適したカチオン性脂質は、国際公開第2016118724号に記載されているものを含み、これは参照により本明細書に援用される。国際公開第2016118725号におけるカチオン性脂質の例としては、KL10、1,2-ジグリノレイロキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLin-DMA)、及びKL25などのものが挙げられる。
【0016】
一部の実施形態では、一種以上の非カチオン性脂質は、DSPC(1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、DPPC(1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、DOPE(1,2-ジオレイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン)、DOPC(1,2-ジオレイル-sn-グリセロ-3-ホスホチジルコリン)、DPPE(1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン)、DMPE(1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン)、DOPG(1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-(1’-rac-グリセロール))から選択される。
【0017】
一部の実施形態では、一種以上のPEG修飾脂質は、C-C20長のアルキル鎖を有する脂質に共有結合された、長さが最大5kDaのポリ(エチレン)グリコール鎖を含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、予め形成された脂質ナノ粒子は、接線流ろ過(TFF)プロセスによって精製される。いくつかの実施形態では、精製されたナノ粒子の約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%は、サイズ約150nm未満(例えば、約145nm未満、約140nm未満、約135nm未満、約130nm未満、約125nm未満、約120nm未満、約115nm未満、約110nm未満、約105nm未満、約100nm未満、約95nm未満、約90nm未満、約85nm未満、約80nm未満、約75nm未満、約70nm未満、約65nm未満、約60nm未満、約55nm、または約50nm)を有する。いくつかの実施形態では、精製されたナノ粒子の実質的にすべては、150nm未満(例えば、約145nm、約140nm、約135nm、約130nm、約125nm、約120nm、約115nm、約110nm、約105nm、約100nm、約95nm、約90nm、約85nm、約80nm、約75nm、約70nm、約65nm、約60nm、約55nm、または約50nm)のサイズを有する。いくつかの実施形態では、精製されたナノ粒子の約70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%より多くは、50~150nmの範囲のサイズを有する。いくつかの実施形態では、精製されたナノ粒子の実質的にすべては、50~150nmの範囲のサイズを有する。いくつかの実施形態では、精製されたナノ粒子の約70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%より多くは、80~150nmの範囲のサイズを有する。いくつかの実施形態では、精製されたナノ粒子の実質的にすべては、80~150nmの範囲のサイズを有する。
【0019】
いくつかの実施形態では、本発明によるプロセスは、約90%、95%、96%、97%、98%、または99%を超える封入率をもたらす。いくつかの実施形態では、本発明によるプロセスは、mRNAの60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%を超える回収をもたらす。
【0020】
いくつかの実施形態では、予め形成された脂質ナノ粒子とmRNAは、ポンプシステムを使用して混合される。いくつかの実施形態では、ポンプシステムは、パルスレスフローポンプを含む。いくつかの実施形態では、ポンプシステムはギアポンプである。いくつかの実施形態では、適切なポンプは、蠕動ポンプである。いくつかの実施形態では、適切なポンプは、渦巻ポンプである。いくつかの実施形態では、ポンプシステムを使用するプロセスは、大規模で実施される。例えば、一部の実施形態では、プロセスは、本明細書に記載されるポンプを使用して、少なくとも約1mg、5mg、10mg、50mg、100mg、500mg、または1000mgのmRNAの溶液を、予め形成された脂質ナノ粒子の溶液と混合し、脂質ナノ粒子に封入されたmRNAを生成することを含む。いくつかの実施形態では、mRNAを予め形成された脂質ナノ粒子と混合するプロセスは、少なくとも約1mg、5mg、10mg、50mg、100mg、500mg、または1000mgの封入mRNAを含有する本発明による組成物を提供する。
【0021】
いくつかの実施形態では、予め形成された脂質ナノ粒子を含む溶液は、約25~75ml/分、約75~200ml/分、約200~350ml/分、約350~500ml/分、約500~650ml/分、約650~850ml/分、または約850~1000ml/分の範囲の流量で混合される。いくつかの実施形態では、予め形成された脂質ナノ粒子を含む溶液は、約50ml/分、約100ml/分、約150ml/分、約200ml/分、約250ml/分、約300ml/分、約350ml/分、約400ml/分、約450ml/分、約500ml/分、約550ml/分、約600ml/分、約650ml/分、約700ml/分、約750ml/分、約800ml/分、約850ml/分、約900ml/分、約950ml/分、または約1000ml/分の流量で混合される。
【0022】
いくつかの実施形態では、mRNAは、約25~75ml/分、約75~200ml/分、約200~350ml/分、約350~500ml/分、約500~650ml/分、約650~850ml/分、または約850~1000ml/分の範囲の流量で溶液中で混合される。いくつかの実施形態では、mRNAは、約50ml/分、約100ml/分、約150ml/分、約200ml/分、約250ml/分、約300ml/分、約350ml/分、約400ml/分、約450ml/分、約500ml/分、約550ml/分、約600ml/分、約650ml/分、約700ml/分、約750ml/分、約800ml/分、約850ml/分、約900ml/分、約950ml/分、または約1000ml/分の流量で溶液中で混合される。
【0023】
いくつかの実施形態では、本発明によるプロセスは、エタノール中に溶解された脂質とクエン酸緩衝液を混合することによって予め形成された脂質ナノ粒子溶液をまず生成する工程を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、本発明によるプロセスは、クエン酸緩衝液をmRNAストック溶液と混合することによってmRNA溶液をまず生成する工程を含む。特定の実施形態では、好適なクエン酸緩衝液は、約10Mmクエン酸塩、約150Mm Naclを含有し、Ph約4.5である。いくつかの実施形態では、適切なmRNAストック溶液は、約1mg/ml、約10mg/ml、約50mg/ml、または約100mg/ml以上の濃度でmRNAを含有する。
【0025】
いくつかの実施形態では、クエン酸緩衝液は、約100~300ml/分、300~600ml/分、600~1200ml/分、1200~2400ml/分、2400~3600ml/分、3600~4800ml/分、または4800~6000ml/分の範囲の流量で混合される。いくつかの実施形態では、クエン酸緩衝液は、約220ml/分、約600ml/分、約1200ml/分、約2400ml/分、約3600ml/分、約4800ml/分、または約6000ml/分の流量で混合される。
【0026】
いくつかの実施形態では、mRNAストック溶液は、約10~30ml/分、約30~60ml/分、約60~120ml/分、約120~240ml/分、約240~360ml/分、約360~480ml/分、または約480~600ml/分の範囲の流量で混合される。いくつかの実施形態では、mRNAストック溶液を、約20ml/分、約40ml/分、約60ml/分、約80ml/分、約100ml/分、約200ml/分、約300ml/分、約400ml/分、約500ml/分、または約600ml/分の流量で混合する。
【0027】
いくつかの実施形態では、mRNAを封入している脂質ナノ粒子は、mRNAを含有する水溶液を予め形成された脂質ナノ粒子を含有する水溶液と混合することにより、予め形成された脂質ナノ粒子を用いて調製される。いくつかの実施形態では、mRNAを含有する水溶液および/または予め形成された脂質ナノ粒子を含む水溶液は、トレハロース、スクロース、ラクトース、およびマンニトールのうちの一種以上を含むがこれに限定されない薬学的に許容可能な賦形剤を含む水溶液である。
【0028】
いくつかの実施形態では、エタノールなどの非水性溶媒、およびクエン酸塩の一方または両方は、mRNAを予め形成された脂質ナノ粒子に添加する間、mRNAを含有する溶液、予め形成された脂質ナノ粒子を含有する溶液の一方または両方に存在しない(すなわち、検出可能なレベル未満である)。いくつかの実施形態では、mRNAを含有する溶液、および予め形成された脂質ナノ粒子を含有する溶液の一方または両方は、mRNAの予め形成された脂質ナノ粒子への混合の前に、エタノールのような非水性溶媒、およびクエン酸塩の一方または両方を除去するために交換される緩衝液である。いくつかの実施形態では、mRNAを含有する溶液および予め形成された脂質ナノ粒子を含有する溶液の一方または両方は、mRNAの予め形成された脂質ナノ粒子への混合中、除去できないクエン酸塩のみを含む。いくつかの実施形態では、mRNAを含む溶液および予め形成された脂質ナノ粒子を含む溶液の一方または両方は、エタノールなどの除去できない非水性溶媒のみを含む。いくつかの実施形態では、mRNAを含有する溶液の一方または両方と、予め形成された脂質ナノ粒子を含有する溶液は、予め形成された脂質ナノ粒子へのmRNAの添加中に存在する、約10mM未満(例えば、約9mM、約8mM、約7mM、約6mM、約5mM、約4mM、約3mM、約2mM、または約1mM未満)のクエン酸塩を含有する。いくつかの実施形態では、mRNAを含有する溶液と、予め形成された脂質ナノ粒子を含有する溶液の一方または両方が、予め形成された脂質ナノ粒子へのmRNAの添加の間に存在する、約25%未満(例えば、約20%、約15%、約10%、約5%、約4%、約3%、約2%、または約1%未満)のエタノールなどの非水性溶媒を含有する。いくつかの実施形態では、mRNAを封入している脂質ナノ粒子を含む溶液は、予め形成された脂質ナノ粒子およびmRNAが混合されてその溶液を形成した後、さらなる下流処理(例えば、緩衝液交換および/またはさらなる精製工程)を必要としない。
【0029】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載されるプロセスにより生成されたmRNAを封入している脂質ナノ粒子の組成物を提供する。いくつかの実施形態では、実質的な量の脂質ナノ粒子が予め形成される。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子の少なくとも85%(例えば、少なくとも86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)が予め形成される。いくつかの実施形態では、本発明は、精製された脂質ナノ粒子を含む組成物を提供し、精製された脂質ナノ粒子の約90%より多くが、約150nm未満(例えば、約145nm、約140nm、約135nm、約130nm、約125nm、約120nm、約115nm、約110nm、約105nm、約100nm、約95nm、約90nm、約85nm、約80nm、約75nm、約70nm、約65nm、約60nm、約55nm、または約50nm未満)の個々の粒子サイズを有し、精製された脂質ナノ粒子の約70%より多くが、それぞれ個々の粒子内にmRNAを封入する。いくつかの実施形態では、精製された脂質ナノ粒子の約95%、96%、97%、98%、または99%をより多くは、約150nm未満(例えば、約145nm、約140nm、約135nm、約130nm、約125nm、約120nm、約115nm、約110nm、約105nm、約100nm、約95nm、約90nm、約85nm、約80nm、約75nm、約70nm、約65nm、約60nm、約55nm、または約50nm未満)の個々の粒子サイズを有する。いくつかの実施形態では、精製された脂質ナノ粒子の実質的にすべては、約150nm未満(例えば、約145nm、約140nm、約135nm、約130nm、約125nm、約120nm、約115nm、約110nm、約105nm、約100nm、約95nm、約90nm、約85nm、約80nm、約75nm、約70nm、約65nm、約60nm、約55nm、または約50nm未満)の個々の粒子サイズを有する。いくつかの実施形態では、精製されたナノ粒子の約70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%より多くは、50~150nmの範囲のサイズを有する。いくつかの実施形態では、精製されたナノ粒子の実質的にすべては、50~150nmの範囲のサイズを有する。いくつかの実施形態では、精製されたナノ粒子の約70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%より多くは、80~150nmの範囲のサイズを有する。いくつかの実施形態では、精製されたナノ粒子の実質的にすべては、80~150nmの範囲のサイズを有する。
【0030】
いくつかの実施形態では、精製された脂質ナノ粒子の約90%、95%、96%、97%、98%、または99%より多くは、それぞれ個々の粒子内にmRNAを封入する。いくつかの実施形態では、精製された脂質ナノ粒子の実質的に全ては、それぞれ個々の粒子内にmRNAを封入する。いくつかの実施形態では、本発明による組成物は、少なくとも約1mg、5mg、10mg、100mg、500mg、または1000mgの封入されたmRNAを含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、予め形成された脂質ナノ粒子は、一種以上のカチオン性脂質、一種以上のヘルパー脂質、および一種以上のPEG脂質を含む。いくつかの実施形態では、それぞれ個々の脂質ナノ粒子はまた、一種以上のコレステロール系脂質を含む。いくつかの実施形態では、一種以上のカチオン性脂質は、cKK-E12、OF-02、C12-200、MC3、DLinDMA、DLinkC2DMA、ICE(イミダゾールベース)、HGT5000、HGT5001、HGT4003、DODAC、DDAB、DMRIE、DOSPA、DOGS、DODAP、DODMAおよびDMDMA、DODAC、DLenDMA、DMRIE、CLinDMA、CpLinDMA、DMOBA、DOcarbDAP、DLinDAP、DLincarbDAP、DLinCDAP、KLin-K-DMA、DLin-K-XTC2-DMA、3-(4-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)ブチル)-6-(4-((2-ヒドロキシドデシル)(2-ヒドロキシウンデシル)アミノ)ブチル)-1,4-ジオキサン-2,5-ジオン(ターゲット23)、3-(5-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)ペンタン-2-イル)-6-(5-((2-ヒドロキシドデシル)(2-ヒドロキシウンデシル)アミノ)ペンタン-2-イル)-1,4-ジオキサン-2,5-ジオン(ターゲット24)、N1GL、N2GL、V1GLならびにその組み合わせからなる群から選択される。
【0032】
一部の実施形態では、一種以上のカチオン性脂質は、アミノ脂質である。本発明での使用に適したアミノ脂質は、国際公開第2017180917号に記載されているものを含み、これは参照により本明細書に援用される。国際公開第2017180917号における典型的なアミノ脂質は、DLin-MC3-DMA(MC3)、(13Z,16Z)-N,N-ジメチル-3-ノニルドコサ-13,16-ジエン-1-アミン(L608)、及び化合物18などの、段落[0744]で記載されたものが挙げられる。その他のアミノ脂質には、化合物2、化合物23、化合物27、化合物10、および化合物20が含まれる。本発明での使用に適したさらなるアミノ脂質には、国際公開第2017112865号に記載されているものが含まれ、これは参照により本明細書に援用される。国際公開第2017112865号における例示的なアミノ脂質は、式(I)、(Ial)-(Ia6)、(lb)、(II)、(Ila)、(III)、(Ilia)、(IV)、(17-1)、(19-1)、(19-11)、および(20-1)のうちの一つによる化合物と、段落[00185]、[00201]、[0276]の化合物を含む。いくつかの実施形態では、本発明での使用に適したカチオン性脂質は、国際公開第2016118725号に記載されているものを含み、これは参照により本明細書に援用される。国際公開第2016118725号における典型的なカチオン性脂質は、KL22およびKL25などのものを含む。いくつかの実施形態では、本発明での使用に適したカチオン性脂質は、国際公開第2016118724号に記載されているものを含み、これは参照により本明細書に援用される。国際公開第2016118725号における典型的なカチオン性脂質としては、KL10、1,2-ジグリノレイロキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLin-DMA)、及びKL25などのものが挙げられる。
【0033】
一部の実施形態では、一種以上の非カチオン性脂質は、DSPC(1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、DPPC(1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、DOPE(1,2-ジオレイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン)、DOPC(1,2-ジオレイル-sn-グリセロ-3-ホスホチジルコリン)、DPPE(1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン)、DMPE(1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン)、DOPG(1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-(1’-rac-グリセロール))から選択される。
【0034】
一部の実施形態では、一種以上のコレステロール系脂質は、コレステロールまたはPEG化コレステロールである。一部の実施形態では、一種または複数のPEG修飾脂質は、長さがC-C20のアルキル鎖を有する脂質に共有結合された長さ最大5kDaのポリ(エチレン)グリコール鎖を含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、本発明は、一つ以上の修飾されたヌクレオチドを含有するmRNAを封入するために使用される。いくつかの実施形態では、一つ以上のヌクレオチドがプソイドウリジンに修飾されている。いくつかの実施形態では、一つ以上のヌクレオチドは、5-メチルシチジンに修飾される。いくつかの実施形態では、本発明は、修飾されていないmRNAを封入するために使用される。
【0036】
さらに別の態様では、本発明は、本明細書に記載されるプロセスにより生成されたmRNAを封入している脂質ナノ粒子の組成物を被験者に投与することを含む、in vivoタンパク質生成のためmRNAを送達する方法を提供し、mRNAは、一つ以上の関心対象のタンパク質またはペプチドをコードする。
【0037】
別の態様では、本発明は、脂質ナノ粒子中にメッセンジャーRNA(mRNA)を封入する方法を提供し、この方法はエタノールの使用なしに実施される。いくつかの実施形態では、一種以上のカチオン性脂質、一種以上の非カチオン性脂質、および一種以上のPEG修飾脂質を含む溶液を、mRNAを含む溶液と混合する工程を含む。いくつかの実施形態では、一種以上のカチオン性脂質、一種以上の非カチオン性脂質、および一種以上のPEG修飾脂質を含む溶液において、一種以上のカチオン性脂質、一種以上の非カチオン性脂質、および一種以上のPEG修飾脂質の少なくとも一部は、予め形成された脂質ナノ粒子として存在する。いくつかの実施形態では、クエン酸塩を使用することなく、方法はまた実施される。
【0038】
特定の実施形態では、方法は、非水性溶媒を全く使用することなく実施される。いくつかの実施形態では、検出可能なエタノールはなく、および/または検出可能な非水性溶媒もない。いくつかの実施形態では、検出可能なクエン酸塩は存在しない。いくつかの実施形態では、溶液の約25%未満(例えば、約20%、約15%、約10%、約5%、約4%、約3%、約2%、または約1%未満)で存在するエタノールおよび/または非水溶媒の残留量のみが存在する。いくつかの実施形態では、10mM未満(例えば、約9mM、約8mM、約7mM、約6mM、約5mM、約4mM、約3mM、約2mM、または約1mM未満)のクエン酸塩の残量のみが存在する。
【0039】
本出願において、「または」の使用は、他に記載がない限り、「および/または」を意味する。本出願において使用される場合、用語「含む(comprise)」、ならびに「含んでいる(comprising)」および「含み(comprises)」などの用語の変化形は、他の添加物、成分、整数、または工程を除外することを意図するものではない。本出願において使用される場合、「約」及び「およそ」という用語は同意語として用いられている。両方の用語は、当業者によって理解される任意の通常のゆらぎを網羅することを意味する。
【0040】
本発明の他の特徴、目的、および利点は、以下の詳細な説明、図面、および特許請求の範囲において明らかになる。しかしながら、以下の詳細な説明、図面、および特許請求の範囲は、本発明の実施形態を示すが、単に例示のために与えられるものであり、制限するものではないことを理解すべきである。本発明の範囲内の様々な変更および修正は、当業者には明らかになるであろう。
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
脂質ナノ粒子にメッセンジャーRNA(mRNA)を封入する方法であって、
mRNAを封入している脂質ナノ粒子が形成されるように、予め形成された脂質ナノ粒子およびmRNAを含む溶液を混合することを含む、方法。
(項目2)
予め形成された脂質ナノ粒子およびmRNAを含む前記溶液が、10mM未満のクエン酸塩を含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
予め形成された脂質ナノ粒子およびmRNAを含む前記溶液が、25%未満の非水性溶媒を含む、項目1に記載の方法。
(項目4)
混合後に、前記脂質ナノ粒子およびmRNAを周囲温度よりも高い温度に加熱することをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記mRNAおよび/または前記予め形成された脂質ナノ粒子が、前記混合前に周囲温度よりも高い温度に加熱される、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記温度が、約30℃、37℃、40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、もしくは70℃であるか、またはそれより高い、項目4または5に記載の方法。
(項目7)
前記温度が、約25~70℃、約30~70℃、約35~70℃、約40~70℃、約45~70℃、約50~70℃、または約60~70℃の範囲である、項目4~6のいずれか一項に記載の方法。
(項目8)
前記温度が約65℃である、項目4~7のいずれか一項に記載の方法。
(項目9)
前記予め形成された脂質ナノ粒子が、エタノール中に溶解された脂質を水溶液と混合することによって形成される、項目1~8のいずれか一項に記載の方法。
(項目10)
前記脂質が、一種以上のカチオン性脂質、一種以上のヘルパー脂質、一種以上のコレステロール系脂質、およびPEG脂質を含む、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記一種以上のカチオン性脂質が、cKK-E12、OF-02、C12-200、MC3、DLinDMA、DLinkC2DMA、ICE(イミダゾールベース)、HGT5000、HGT5001、HGT4003、DODAC、DDAB、DMRIE、DOSPA、DOGS、DODAP、DODMAおよびDMDMA、DODAC、DLenDMA、DMRIE、CLinDMA、CpLinDMA、DMOBA、DOcarbDAP、DLinDAP、DLincarbDAP、DLinCDAP、KLin-K-DMA、DLin-K-XTC2-DMA、3-(4-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)ブチル)-6-(4-((2-ヒドロキシドデシル)(2-ヒドロキシウンデシル)アミノ)ブチル)-1,4-ジオキサン-2,5-ジオン(ターゲット23)、3-(5-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)ペンタン-2-イル)-6-(5-((2-ヒドロキシドデシル)(2-ヒドロキシウンデシル)アミノ)ペンタン-2-イル)-1,4-ジオキサン-2,5-ジオン(ターゲット24)、およびその組み合わせからなる群から選択される、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記一種以上のカチオン性脂質がターゲット24を含む、項目10に記載の方法。
(項目13)
前記一種以上のカチオン性脂質がICEを含む、項目10に記載の方法。
(項目14)
前記一種以上のカチオン性脂質が、cKK-E12を含む、項目10に記載の方法。
(項目15)
前記一種以上の非カチオン性脂質は、DSPC(1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、DPPC(1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、DOPE(1,2-ジオレイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン)、DOPC(1,2-ジオレイル-sn-グリセロ-3-ホスホチジルコリン)DPPE(1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン)、DMPE(1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン)、DOPG(1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-(1’-rac-グリセロール))から選択される、項目10に記載の方法。
(項目16)
前記一種以上のPEG修飾脂質が、C-C20長のアルキル鎖を有する脂質に共有結合した長さ最大5kDaのポリ(エチレン)グリコール鎖を含む、項目10に記載の方法。
(項目17)
前記予め形成された脂質ナノ粒子が、接線流ろ過(TFF)プロセスによって精製される、項目1~16のいずれか一項に記載の方法。
(項目18)
前記精製されたナノ粒子の約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%より多くが、75~150nmの範囲のサイズを有する、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記精製されたナノ粒子の実質的にすべてが75~150nmの範囲のサイズを有する、項目17または18のいずれか一項に記載の方法。
(項目20)
前記精製されたナノ粒子の約70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%より多くが、50~80nmの範囲のサイズを有する、項目17~19のいずれか一項に記載の方法。
(項目21)
前記精製されたナノ粒子の実質的にすべてが75~150nmの範囲のサイズを有する、項目15~18のいずれか一項に記載の方法。
(項目22)
約90%、95%、96%、97%、98%、または99%を超える封入率をもたらす、項目1~21のいずれか一項に記載の方法。
(項目23)
mRNAの約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%を超える回収率をもたらす、項目1~22のいずれか一項に記載の方法。
(項目24)
前記予め形成された脂質ナノ粒子およびmRNAが、ポンプシステムを使用して混合される、項目1~23のいずれか一項に記載の方法。
(項目25)
前記ポンプシステムが、パルスレスフローポンプを備える、項目22に記載の方法。
(項目26)
前記ポンプがギアポンプである、項目23に記載の方法。
(項目27)
予め形成された脂質ナノ粒子を含む前記溶液が、約25~75ml/分、約75~200ml/分、約200~350ml/分、約350~500ml/分、約500~650ml/分、約650~850ml/分、または約850~1000ml/分の範囲の流量で混合される、項目1~26のいずれか一項に記載の方法。
(項目28)
予め形成された脂質ナノ粒子を含む前記溶液が、約50ml/分、約100ml/分、約150ml/分、約200ml/分、約250ml/分、約300ml/分、約350ml/分、約400ml/分、約450ml/分、約500ml/分、約550ml/分、約600ml/分、約650ml/分、約700ml/分、約750ml/分、約800ml/分、約850ml/分、約900ml/分、約950ml/分、または約1000ml/分の流量で混合される、項目1~27のいずれか一項に記載の方法。
(項目29)
前記mRNAが、約25~75ml/分、約75~200ml/分、約200~350ml/分、約350~500ml/分、約500~650ml/分、約650~850ml/分、または約850~1000ml/分の範囲の流量で混合される、項目1~28のいずれか一項に記載の方法。
(項目30)
前記mRNAが、約50ml/分、約100ml/分、約150ml/分、約200ml/分、約250ml/分、約300ml/分、約350ml/分、約400ml/分、約450ml/分、約500ml/分、約550ml/分、約600ml/分、約650ml/分、約700ml/分、約750ml/分、約800ml/分、約850ml/分、約900ml/分、約950ml/分、または約1000ml/分の流量で混合される、項目1~29のいずれか一項に記載の方法。
(項目31)
クエン酸緩衝液をmRNAストック溶液と混合することによってmRNA溶液をまず生成する工程を含む、項目1~30のいずれか一項に記載の方法。
(項目32)
前記クエン酸緩衝液が約10mMのクエン酸塩、約150mM Nacl、約4.5のpHを含む、項目29に記載の方法。
(項目33)
前記mRNAストック溶液が、約1mg/ml、約10mg/ml、約50mg/ml、約100mg/ml以上の濃度の前記mRNAを含む、項目29または30に記載の方法。
(項目34)
前記クエン酸緩衝液が、約100~300ml/分、300~600ml/分、600~1200ml/分、1200~2400ml/分、2400~3600ml/分、3600~4800ml/分、または4800~6000ml/分の範囲の流量で混合される、項目29~31のいずれか一項に記載の方法。
(項目35)
前記クエン酸緩衝液が、約220ml/分、約600ml/分、約1200ml/分、約2400ml/分、約3600ml/分、約4800ml/分、または約6000ml/分の流量で混合される、項目29~32のいずれか一項に記載の方法。
(項目36)
前記mRNAストック溶液が、約10~30ml/分、約30~60ml/分、約60~120ml/分、約120~240ml/分、約240~360ml/分、約360~480ml/分、または約480~600ml/分の範囲の流量で混合される、項目29~33のいずれか一項に記載の方法。
(項目37)
前記mRNAストック溶液が、約20ml/分、約40ml/分、約60ml/分、約80ml/分、約100ml/分、約200ml/分、約300ml/分、約400ml/分、約500ml/分、または約600ml/分の流量で混合される、項目29~34のいずれか一項に記載の方法。
(項目38)
前記mRNAを封入している脂質ナノ粒子がトレハロース溶液中の前記予め形成された脂質ナノ粒子で調製される、項目1~37のいずれか一項に記載の方法。
(項目39)
前記mRNAを封入している脂質ナノ粒子が、さらなる下流処理を必要としない、項目1~38のいずれか一項に記載の方法。
(項目40)
項目1~39のいずれか一項に記載の方法により生成されたmRNAを封入している脂質ナノ粒子の組成物。
(項目41)
前記mRNAが、一個以上の修飾ヌクレオチドを含む、項目1~40のいずれか一項に記載の方法または組成物。
(項目42)
前記mRNAが修飾されていない、項目1~41のいずれか一項に記載の方法または組成物。
(項目43)
前記ナノ粒子が約75nm~150nmのサイズを有する、項目39に記載の組成物。
(項目44)
前記ナノ粒子が、約0.25未満~0.16未満のPdIを含む、項目39に記載の組成物。
(項目45)
前記投与製剤が、約0.016mg/kg~1.0mg/kgの脂質ナノ粒子に封入されているmRNAの濃度を含む、項目39に記載の組成物。
(項目46)
in vivoタンパク質産生のためのmRNAの送達方法であって
項目1~39のいずれか一項に記載の方法により生成されたmRNAを封入している脂質ナノ粒子の組成物を対象に投与することを含み、前記mRNAが関心対象のタンパク質をコードする、方法。
(項目47)
in vivoタンパク質産生のためのmRNAの送達方法であって
項目40~45のいずれか一項に記載の組成物を対象に投与することを含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図面は、解説のみを目的とするものであり、限定のためではない。
【0042】
図1図1ポンプシステムを使用して、水性緩衝液中に溶解されたmRNAとエタノール中に溶解された脂質を混合することを含む、例示的な脂質ナノ粒子mRNAの封入プロセス(プロセスA)の概略図を示す。
【0043】
図2図2ポンプシステムを使用して、水性緩衝液中に溶解されたmRNAと予め形成された空の脂質ナノ粒子を混合することを含む、例示的な脂質ナノ粒子mRNAの封入プロセス(プロセスB)の概略図を示す。
【0044】
図3図3プロセスAまたはプロセスBによって作製された脂質ナノ粒子中に封入されたhOTC mRNAの単回0.5mg/kg投与の24時間後のOTC spfashマウスの肝臓中の発現されたヒトオルニチントランスカルバミラーゼ(hOTC)タンパク質(シトルリン産生に関する)の典型的な活性を示す。使用前、プロセスAおよびプロセスBによって作製された脂質ナノ粒子は、(i)T=0ヵ月(凍結せず新鮮)、または(ii)T=2.5ヶ月間-80での凍結形態で保存された。
【0045】
図4図4異なるポンプの組み合わせを使用したプロセスAによりまたはプロセスBにより作成された脂質ナノ粒子製剤中に封入されたhOTC mRNAの単回0.5mg/kg投与の24時間後のメスOTC spfashマウスの肝臓中の発現されたhOTCタンパク質(シトルリン産生に関する)の典型的な活性を示す。プロセスBによって作製された脂質ナノ粒子製剤は、(1)ギアポンプを使用して、(2)蠕動ポンプを使用して、(3)低流量で蠕動ポンプを使用して、および(4)mRNAおよび空の未成形の脂質ナノ粒子の異なる流量で蠕動ポンプを使用して調製された。
【0046】
図5図5プロセスAまたはプロセスBによって生成されたネイキッドhASS1 mRNA(リポフェクタミンを含む)または脂質ナノ粒子で封入されたhASS1 mRNA(リポフェクタミンを含まない)のいずれかでの、トランスフェクションの16時間後の、293T細胞における典型的なヒトアルギニノコハク酸シンテターゼ(ASS1)タンパク質発現を示す。
【0047】
図6図6異なるカチオン性脂質を使用してプロセスBにより調製されたhCFTR mRNA脂質ナノ粒子の吸入の24時間後のラット肺内のヒト嚢胞性線維症膜コンダクタンス受容体(hCFTR)タンパク質の典型的な免疫組織化学的検出を示す。気管支上皮細胞ならびに肺胞領域の両方でタンパク質が検出された。生理食塩水処置対照ラットの肺と比較して、すべてのmRNA脂質ナノ粒子試験物群で陽性(茶色)染色が観察された。
【0048】
図7図7プロセスBにより調製されたhCFTR mRNA脂質ナノ粒子の吸入の24時間後のマウス肺中のhCFTRタンパク質の免疫組織化学的検出の例を示す。タンパク質は、気管支上皮細胞ならびに肺胞領域の両方で検出された。生理食塩水で処理した対照マウスの肺と比較して、mRNA脂質ナノ粒子試験物品群について、陽性(茶色)染色が観察された。
【0049】
図8図8プロセスBにより調製された脂質ナノ粒子に封入されたホタルルシフェラーゼ(FFL)mRNAの硝子体内投与の24時間後の、野生型マウスの生物発光画像の例を示す。
【0050】
図9図9ポリビニルアルコールで製剤され、プロセスBによって調製された脂質ナノ粒子で封入されたFFL mRNAを含有する点眼薬の局所適用の24時間後の、野生型マウスの生物発光画像の例を示す。
【0051】
図10図10プロセスBにより調製された脂質ナノ粒子中に封入されたヒトPAH(hPAH)mRNAの処置前および後のフェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)ノックアウト(KO)マウスにおける血清フェニルアラニンレベルの例を示す。単回皮下投与の24時間後に血清試料を測定した。
【0052】
図11図11プロセスBにより調製された脂質ナノ粒子で封入されたhOTC mRNAの単回皮下投与の24時間後のOTC KO spfashマウスの肝臓における発現hOTCタンパク質(シトルリン産生に関する)の活性の例を示す。
【0053】
図12図12プロセスBにより調製された脂質ナノ粒子で封入されたhASS1 mRNAの単回皮下投与の24時間後のASS1 KOマウスの肝臓で測定されたヒトASS1タンパク質レベルの例を示す。
【0054】
図13図13プロセスBにより調製された脂質ナノ粒子で封入されたhEPO mRNAの異なる用量の単回投与の6時間および24時間後での、処置されたマウスの血清中の測定されたヒトエリスロポエチン(hEPO)タンパク質レベルの例を示す。使用された投与経路は、皮内、皮下、および筋肉内送達であった。
【0055】
図14図14プロセスAによってまたはプロセスBによって作製された脂質ナノ粒子製剤に封入されたhEPO mRNAの単回皮内投与の6時間後および24時間後の、処置されたマウスの血清中の測定されたhEPOタンパク質レベルの比較を示す。
【0056】
図15図15プロセスAによってまたはプロセスBによって作製された脂質ナノ粒子製剤に封入されたhEPO mRNAの単回筋肉内投与の6時間後および24時間後の、処置されたマウスの血清中の測定されたhEPOタンパク質レベルの比較を示す。
【0057】
図16図16は、アンモニア負荷に参加したSpfashマウスにおける、投与および検査のスキームの例を示す。
【0058】
図17図17は、NH4Clでのアンモニア負荷後、それぞれプロセスBを介して調製された、異なる用量レベルのhOTC mRNA担持脂質ナノ粒子での処置後のSpfashマウスにおける血漿アンモニアレベルの例を示す。
【0059】
図18図18プロセスAによってまたはプロセスBによって作製された脂質ナノ粒子製剤に封入されたhOTC mRNAの単回静脈内投与(すなわち、0.5mg/kg、0.16mg/kg、0.05mg/kg、または0.016mg/kg)の24時間後のSpfashマウス肝臓におけるhOTCタンパク質発現を示すを含む。
【0060】
図19図19プロセスAによってまたはプロセスBによって作製された脂質ナノ粒子製剤に封入されたhOTC mRNAの単回静脈内投与(すなわち、0.5mg/kg、0.16mg/kg、0.05mg/kg、または0.016mg/kg)の24時間後のOTCspfashマウスの肝臓組織におけるhOTC mRNAコピー数の比較を示す。
【0061】
図20図20プロセスAによってまたはプロセスBによって作製された脂質ナノ粒子製剤に封入されたhOTC mRNAの単回静脈内投与(すなわち、0.5mg/kg、0.16mg/kg、0.05mg/kg、および0.016mg/kg)の24時間後のOTCspfashマウスの試験されたRNAにおけるhOTC mRNAコピー数の比較を示す。
【0062】
図21図21野生型マウス(WT)、未処置のspfashマウス(未処置)、ならびにプロセスBにより製造された1.0mg/kgのhOTC mRNA脂質ナノ粒子の投与の24時間(2日目)、48時間(3日目)、72時間(4日目)、96時間(5日目)、8日(8日目)、11日(11日目)、および15日(15日目)後のspfashマウスのそれぞれにおける、アンモニア負荷の対象にされた40分後の血漿アンモニア結果を示す。
【0063】
図22図22野生型マウス(WT)、未処置spfashマウス(未処置)、ならびにプロセスBにより製造された1.0mg/kgのhOTC mRNA脂質ナノ粒子の投与の24時間(2日目)、48時間(3日目)、72時間(4日目)、96時間(5日目)、8日(8日目)、11日(11日目)、および15日(15日目)後のspfashマウスのそれぞれにおける、シトルリン産生によって測定されたhOTCタンパク質活性を示す。
【0064】
図23図23spfashマウス(未処置)、プロセスBにより産生された1.0 mg/kg hOTC mRNA脂質ナノ粒子の投与の24時間(2日目)、48時間(3日目)、72時間(4日目)、96時間(5日目)、8日(8日目)、11日(11日目)、および15日(15日目)後のsphashマウス、ならびに未処置の野生型マウス(未処置C57BL/6)のぞれそれにおける維持された低レベルの尿オロチン酸産生により測定されたhOTCタンパク質活性を示す。
【0065】
図24図24プロセスAによってまたはプロセスBによって作製された脂質ナノ粒子製剤に封入された、異なる用量レベルのhOTC mRNAでの、単回静脈内投与の24時間後のOTC sphashマウスの肝臓における発現されたhOTCタンパク質(シトルリン産生に関する)の典型的な活性を示す。
【0066】
図25図25様々な投与レベルでの、プロセスAによってまたはプロセスBによって作製された脂質ナノ粒子製剤に封入されたhOTC mRNAの単回静脈内投与後の、ウェスタンブロットによるマウス肝臓における発現されたhOTCタンパク質の免疫組織化学的検出を示す。
【0067】
図26図26プロセスAによって作製されたものと比較した、プロセスBによって作製された脂質ナノ粒子製剤に封入されたhOTC mRNAの0.5mg/kg単回静脈内投与の24時間後のOTCspfashマウスの肝臓における、発現されたhOTCタンパク質(シトルリン産生に関する)の例示的な活性を示す。
【0068】
図27図27(a)~(d)免疫組織化学染色を介した、プロセスAによりまたはプロセスBにより調製されたhOTC mRNA脂質ナノ粒子の投与の24時間後の、マウス肝臓組織中のhOTCタンパク質の免疫組織化学的検出を示す。図27(a)~(b)プロセスBにより産生されたmRNA脂質ナノ粒子の結果を示す。図27(c)~(d)プロセスAにより産生されたmRNA脂質ナノ粒子の結果を示す。
【0069】
図28図28カチオン性脂質としてHGT 5001を使用して製剤された、プロセスA及びプロセスBによって作製された脂質ナノ粒子mRNA製剤の送達後のhEPOタンパク質発現を表す。
【0070】
図29図29ICEをカチオン性脂質として使用して製剤された、プロセスAおよびプロセスBによって産生された脂質ナノ粒子mRNA製剤の送達後のhEPOタンパク質発現を表す。
【0071】
図30図30CKK-E12をカチオン性脂質として使用して製剤化された、プロセスA及びプロセスBによって作製された脂質ナノ粒子mRNA製剤の送達後のhEPOタンパク質発現を表す。
【0072】
図31図31カチオン性脂質としてC12-200を使用して製剤された、プロセスA及びプロセスBにより製造された脂質ナノ粒子mRNA製剤の送達後のhEPOタンパク質発現を表す。
【0073】
図32図32カチオン性脂質としてHGT4003を使用して製剤された、プロセスA及びプロセスBによって作製された脂質ナノ粒子mRNA製剤の送達後のhEPOタンパク質発現を表す。
【発明を実施するための形態】
【0074】
定義
本発明をより容易に理解するために、いくつかの用語を最初に以下に定義する。以下の用語および他の用語の追加の定義は、明細書全体を通して述べられている。
【0075】
アルキル:本明細書において使用される場合、「アルキル」とは、1~20個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状の飽和炭化水素基のラジカル(「C1-20アルキル」)を指す。一部の実施形態では、アルキル基は、1~3個の炭素原子を有する(C1-3アルキル)。C1-3アルキル基の例としては、メチル(C)、エチル((C))、n-プロピル(C)、およびイソプロピル(C)が挙げられる。一部の実施形態では、アルキル基は、8~12個の炭素原子を有する(C8-12アルキル)。C8-12アルキル基の例としては、限定されないが、n-オクチル(C)、n-ノニル(C)、n-デシル(C10)、n-ウンデシル(C11)、n-ドデシル(C12)などが挙げられる。接頭辞の“n-”(直鎖状)とは、非分枝状アルキル基を指す。たとえば、n-Cアルキルとは、-(CHCHを指し、n-C10アルキルとは、-(CHCHを指すなどである。
【0076】
アミノ酸:本明細書で使用される場合、「アミノ酸」という用語は、その最も広い意味で、ポリペプチド鎖に組み込まれ得る任意の化合物及び/または物質を指す。一部の実施形態では、アミノ酸は、一般構造HN-C(H)(R)-COOHを有する。一部の実施形態では、アミノ酸は、天然に存在するアミノ酸である。一部の実施形態ではアミノ酸は合成アミノ酸であり、一部の実施形態ではアミノ酸はD-アミノ酸であり、一部の実施形態ではアミノ酸はL-アミノ酸である。「標準アミノ酸」は、天然に存在するペプチドに通常見られる20個の標準L-アミノ酸のいずれかを意味する。「非標準アミノ酸」は、合成して調製されるか天然源から得られるかにかかわらず、標準アミノ酸以外の任意のアミノ酸を意味する。本明細書で使用される場合、「合成アミノ酸」は、塩、アミノ酸誘導体(アミドなど)、及び/または置換を含むがこれらに限定されない、化学修飾されたアミノ酸を包含する。ペプチドにカルボキシ末端アミノ酸及び/またはアミノ末端アミノ酸を含むアミノ酸は、メチル化、アミド化、アセチル化、保護基によって修飾され、及び/またはその活性に悪影響を及ぼすことなくペプチドの循環半減期を変更することができる他の化学基との置換によって修飾され得る。アミノ酸は、ジスルフィド結合に関与する場合がある。アミノ酸は、一つ以上の化学成分(例えば、メチル基、アセテート基、アセチル基、リン酸基、ホルミル部分、イソプレノイド基、硫酸基、ポリエチレングリコール部分、脂質部分、炭水化物部分、ビオチン部分など)との会合といった、一修飾または翻訳後の修飾を含み得る。用語「アミノ酸」は、「アミノ酸残基」と互換的に使用され、遊離アミノ酸及び/またはペプチドのアミノ酸残基を指す場合がある。この用語が遊離アミノ酸かまたはペプチドの残基を指すか否かについては、用語が使用される文脈から明らかになるであろう。
【0077】
動物:本明細書で使用される場合、用語「動物」は、動物界の任意のメンバーを意味する。一部の実施形態では、「動物」は、発達の任意の段階でのヒトを意味する。一部の実施形態では、「動物」は、発達の任意の段階での非ヒト動物を意味する。特定の実施形態では、非ヒト動物は、哺乳類(例えば、ゲッ齒類、マウス、ラット、ウサギ、サル、イヌ、ネコ、ヒツジ、ウシ、霊長類、及び/またはブタ)である。一部の実施形態では、動物には、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類、昆虫類、及び/または蠕虫類が含まれるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、動物は、トランスジェニック動物、遺伝子組換え動物、及び/またはクローンであり得る。
【0078】
略または約:本明細書で使用する場合、関心対象の一つ以上の値に適用される「約(approximately)」または「約(about)」という用語は、記載された基準値に類似する値を指す。特定の実施形態では、「約(approximately)」または「約(about)」という用語は、特段の記載がない限り、または文脈から明らかでない限り(そのような数が可能な値の100%を超える場合を除く)、いずれかの方向(より大きいまたは小さい)で25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%またはそれ未満の値の範囲を指す。
【0079】
送達:本明細書で使用される場合、用語「送達」は局所送達及び全身送達の両方を包含する。例えば、mRNAの送達は、mRNAが標的組織に送達され、コードされたタンパク質またはペプチドが発現され、標的組織内で保持される状況(「局所分布」もしくは「局所送達」とも称される)、およびmRNAが標的組織に送達され、コードされたタンパク質またはペプチドが発現され、患者の循環系(例えば、血清)に分泌され、全身に分配され、他の組織によって取り込まれる状況(「全身分布」または「全身送達」とも称される)を包含する。
【0080】
有効性:本明細書で使用される場合、用語「有効性」または文法上の相当語句は、関連するタンパク質またはペプチドをコードするmRNAの送達に関連する、生物学的に関連するエンドポイントの改善を指す。いくつかの実施形態では、生物学的エンドポイントは、投与後の特定の時点での塩化アンモニウム負荷に対する保護である。
【0081】
封入:本明細書で使用される場合、用語「封入」または文法上の相当語句は、ナノ粒子内に個々のmRNA分子を閉じ込めるプロセスを指す。
【0082】
発現:本明細書で使用される場合、mRNAの「発現」は、ペプチド(例えば、抗原)、ポリペプチド、またはタンパク質(例えば、酵素)へのmRNAの翻訳を指し、また文脈によって示されるように、ペプチド、ポリペプチド、または完全に組み立てられたタンパク質(例えば、酵素)の翻訳後修飾も含みうる。この用途において、用語「発現」及び「産生」ならびに文法的等価物は互換的に使用される。
【0083】
改善、増加または低減:本明細書で使用される場合、用語「改善する」、「増加する」、もしくは「低減する」、または文法上の相当語句は、本明細書に記載される治療の開始前の同一個体での測定値、あるいは本明細書に記載される処置を受けていない対照試料あるいは被験体(または複数の対照試料もしくは被験体)での測定値などのベースラインの測定値に相当する値を示す。「対照試料」は、試験物品を除き、試験試料と同じ条件の対象にされた試料である。「対照被験体」とは、治療を受けている対象と同じ疾患形態を患っており、治療を受けている対象とほぼ同じ年齢の対象のことである。
【0084】
不純物:本明細書で使用される場合、用語「不純物」は、限定された量の液体、気体、または固体内の物質を指し、これは標的物質または化合物の化学組成とは異なる。不純物は混入物とも呼ばれる。
【0085】
in vitro:本明細書で使用される場合、用語「in vitro」は、多細胞生物体内ではなく、例えば、試験管または反応容器中、細胞培養液中などの人工的な環境で生じる事象を意味する。
【0086】
in vivo:本明細書で使用される場合、用語「in vivo」は、ヒト及び非ヒト動物などの多細胞生物体内で生じる事象を意味する。細胞型系の文脈において、該用語は、生細胞内で生じる事象を意味するのに(例えばin vitro系の対語として)使用され得る。
【0087】
単離された:本明細書で使用される場合、用語「単離された」は、(1)最初に生成された際に(自然界において及び/または実験的な環境においてにかかわらず)会合した成分の少なくとも一部から分離された、ならびに/または(2)人の手によって生成、調製、及び/もしくは製造された、物質及び/または要素を意味する。単離された物質及び/または要素は、それらが最初に会合した他の成分の約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約99%超から分離され得る。一部の実施形態では、単離された作用物質は、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約99%超純粋である。本明細書で使用される場合、物質は、他の構成成分を実質的に含まない場合に「純粋」である。本明細書で使用される場合、単離された物質及び/または要素のパーセント純度の計算は、賦形剤(例えば、緩衝剤、溶媒、水など)を含むべきではない。
【0088】
局所分布または局所送達:本明細書において使用される場合、「局所分布」、「局所送達」またはその文法的に均等な用語は、組織特異的な送達または分布を指す。典型的には、局所分布または局所送達は、mRNAにコードされるペプチドまたはタンパク質(たとえば酵素)が、細胞内でまたは患者の循環系への侵入を無効にする限られた分泌物と共に、翻訳および発現されることを必要とする。
【0089】
メッセンジャーRNA(mRNA):本明細書で使用される場合、用語「メッセンジャーRNA(mRNA)」は、少なくとも一つのペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質をコードするポリヌクレオチドを指す。本明細書で使用されるmRNAは、修飾されたものと修飾されていないRNAの両方を包含する。mRNAは、一つ以上のコード領域及び非コード領域を含み得る。mRNAは、天然供給源から精製されてもよく、組換え発現系を用いて産生されてもよく、また任意選択的に精製、化学合成などをされてもよい。必要に応じて、例えば、化学的に合成された分子の場合、mRNAは、化学修飾された塩基または糖類、骨格修飾などを有する類似体といった、ヌクレオシド類似体を含み得る。mRNA配列は、別段に示されない限り、5’から3’の方向に提示される。一部の実施形態では、mRNAは、天然のヌクレオシド(例えば、アデノシン、グアノシン、シチジン、ウリジン);ヌクレオシド類似体(例えば、2-アミノアデノシン、2-チオチミジン、イノシン、ピロロ-ピリミジン、3-メチルアデノシン、5-メチルシチジン、C-5プロピニル-シチジン、C-5プロピニル-ウリジン、2-アミノアデノシン、C5-ブロモウリジン、C5-フルオロウリジン、C5-ヨードウリジン、C5-プロピニル-ウリジン、C5-プロピニル-シチジン、C5-メチルシチジン、2-アミノアデノシン、7-デアザアデノシン、7-デアザグアノシン、8-オキソアデノシン、8-オキソグアノシン、O(6)-メチルグアニン、2-チオシチジン、プソイドウリジン、および5-メチルシチジン);化学的に修飾された塩基;生物学的に修飾された塩基(例えば、メチル化塩基);介在塩基(intercalated base);修飾された糖類(例えば、2’-フルオロリボース、リボース、2’-デオキシリボース、アラビノース、及びヘキソース);ならびに/または修飾されたリン酸基(例えば、ホスホロチオエート及び5’-N-ホスホルアミダイト結合)を含む。
【0090】
核酸:本明細書で用いられる場合、用語「核酸」は、最も広い意味において、ポリヌクレオチド鎖に組み込まれるか、または組み込まれ得る任意の化合物及び/または物質を意味する。一部の実施形態では、核酸は、ホスホジエステル結合を介してポリヌクレオチド鎖に組み込まれるか、または組み込まれ得る化合物及び/または物質である。一部の実施形態では、「核酸」は、個々の核酸残基(例えば、ヌクレオチドおよび/またはヌクレオシド)を意味する。一部の実施形態では、「核酸」は、個々の核酸残基を含むポリヌクレオチド鎖を意味する。一部の実施形態では、「核酸」は、RNA、ならびに一本鎖DNA及び/または二本鎖DNA及び/またはcDNAを包含する。さらに、用語「核酸」、「DNA」、「RNA」、および/または類似の用語は、核酸類似体、すなわち、ホスホジエステル骨格以外を有する類似体を含む。
【0091】
患者:本明細書で使用される場合、「患者」または「対象」という用語は、提供される組成物が、例えば、実験、診断、予防、美容、及び/または治療目的のために投与され得る任意の生物体を意味する。典型的な患者には、動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類、及び/またはヒトなどの哺乳類)が含まれる。一部の実施形態では、患者はヒトである。ヒトには、出生前及び出生後の形態が含まれる。
【0092】
医薬的に許容される:本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される」という用語は、妥当な医学的判断の範囲内で、過度な毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症を伴うことなく、合理的な利益/リスクの比率に相応で、ヒト及び動物の組織に接触させて使用することに適した物質を指す。
【0093】
薬学的に許容される塩:薬学的に許容される塩は、当該技術分野において周知である。例えば、S.M.Bergeらは、J.Pharmaceutical Sciences(1977)66:1-19において薬学的に許容される塩について詳述している。本発明の化合物の薬学的に許容される塩は、好適な無機酸及び有機酸ならびに無機塩基及び有機塩基に由来するものを含む。薬学的に許容される非毒性の酸付加塩の例には、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、及び過塩素酸などの無機酸を用いて、または酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、もしくはマロン酸などの有機酸を用いて、あるいはイオン交換などの当該技術分野において使用される他の方法を用いて形成されたアミノ基の塩がある。他の薬学的に許容される塩として、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。適切な塩基に由来する塩として、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、及びN(C1-4アルキル)塩が挙げられる。代表的なアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩には、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが含まれる。さらなる薬学的に許容される塩には、適宜、ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、スルホン酸塩、及びアリールスルホン酸塩などの対イオンを使用して形成される非毒性アンモニウムカチオン、四級アンモニウムカチオン、及びアミンカチオンが含まれる。さらなる薬学的に許容される塩には、適切な求電子物質(例えば、ハロゲン化アルキル)を使用して四級化アルキル化アミノ塩を形成する、アミンの四級化から形成される塩が含まれる。
【0094】
効力:本明細書で使用される場合、用語「効力」または文法上の相当語句は、mRNAがコードするタンパク質もしくはペプチドの発現、および/または得られた生物学的効果を指す。
【0095】
塩:本明細書で使用される場合、用語「塩」は、酸と塩基との間の中和反応から生じるか、または生じ得るイオン化合物を意味する。
【0096】
全身分布または全身送達:本明細書で使用される場合、用語「全身分布」、「全身送達」、または文法的等価物は、全身もしくは生物体全体に影響を及ぼす送達または分布のメカニズムまたはアプローチを意味する。典型的には、全身分布または全身送達は、身体の循環系、例えば、血流を介して成し遂げられる。「局所分布または局所送達」の定義と比較される。
【0097】
対象:本明細書で使用する「対象」という用語は、ヒトまたは任意の非ヒト動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマ、または霊長類)を意味する。ヒトには、出生前及び出生後の形態が含まれる。多くの実施形態では、対象はヒトである。対象は患者である場合があり、これは、疾患の診断または治療のために医療機関に来院するヒトを意味する。用語「対象」は、本明細書において「個体」または「患者」と交換可能に使用される。対象は、疾患または障害に罹患している可能性があるか、またはそれに感受性を有するが、疾患または障害の症状を表していてもいなくてもよい。
【0098】
実質的:本明細書で使用される場合、用語「実質的」は、関心対象の特徴または特性の全てもしくはほぼ全ての範囲または程度を示す、定性的な状態を意味する。生物学分野の当業者であれば、生物学的及び化学的な現象が、完了すること及び/もしくは完了の域に到達すること、または絶対的な結果を達成もしくは回避することが、仮にあったとしても稀であることを理解するであろう。したがって、用語「実質的」は、本明細書において、多くの生物学的及び化学的現象に固有の潜在的な完全性の欠如を捉えるのに用いられる。
【0099】
標的組織:本明細書で使用される場合、用語「標的組織」は、治療されるべき疾患の影響を受ける任意の組織を意味する。一部の実施形態では、標的組織には、疾患関連病態、症状、または特徴を現す組織が含まれる。
【0100】
治療:本明細書で使用される場合、用語「治療する」、「治療」または「治療している」は、ある特定の疾患、障害、及び/または症状の一つ以上の徴候または特徴を、部分的にまたは完全に軽減する、寛解させる、緩和する、抑制する、予防する、その開始を遅延する、その重篤度を低減する、及び/またはその発症率を低減するために使用する任意の方法を意味する。疾患の症状を提示していない対象、及び/または疾患の初期の症状のみを提示している対象に対して、該疾患に関連する病態を発症させる危険性を減らすために、治療が行われる場合もある。
【0101】
収率:本明細書で使用される場合、用語「収率」は、開始材料としての総mRNAと比較した、封入後に回収されたmRNAの割合を指す。いくつかの実施形態では、用語「回収」は、用語「収率」と互換的に使用される。
【0102】
詳細な説明
本発明は、脂質ナノ粒子製剤およびmRNA封入のための改善されたプロセスを提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、予め形成された脂質ナノ粒子に脂質を形成する(すなわち、mRNAの不存在下で形成される)工程、次に、予め形成された脂質ナノ粒子をmRNAと組み合わせる工程を含む、メッセンジャーRNA(mRNA)を脂質ナノ粒子に封入するプロセスを提供する。いくつかの実施形態では、新規製剤プロセスは、in vitroとin vivoの両方で、脂質ナノ粒子を予め成形する工程なしに(例えば、脂質をmRNAと直接組み合わせる工程)調製された同一のmRNA製剤と比較して潜在的により良好な忍容性を有する、より高い効力(ペプチドまたはタンパク質の発現)とより高い有効性(生物学的に関連性のあるエンドポイントの改善)を有するmRNA製剤をもたらす。こうした製剤の効力および/または有効性が高いほど、薬物製品のより低い用量および/またはより少ない頻度の投与が提供されうる。いくつかの実施形態では、本発明は、カチオン性脂質、ヘルパー脂質、およびPEGまたはPEG修飾脂質を含む改善された脂質製剤を特徴とする。
【0103】
いくつかの実施形態では、本脂質ナノ粒子製剤および製造方法について得られた封入効率は、約90%である。核酸の送達のため、高い封入効率を達成することは、薬物物質の保護を達成し、in vivoでの活性の喪失を減少させるために重要である。さらに、本発明の新規な方法によって調製された脂質ナノ粒子製剤についての驚くべき結果は、in vitroで観察される有意に高いトランスフェクション効率である。
【0104】
本発明の様々な態様は、以下のセクションで詳細に説明される。セクションの使用は、本発明を限定することを意味しない。各セクションは、本発明の任意の態様に適用することができる。
メッセンジャーRNA(mRNA):
【0105】
本発明は、任意のmRNAを封入するために使用されてもよい。mRNAは、DNAからリボソームに情報を運ぶRNAのタイプと一般的に考えられる。典型的には、真核生物において、mRNA処理は、5’末端に「キャップ」を付加すること、および3’末端の「尾部」に不可することを含む。典型的なキャップは、7-メチルグアノシンキャップであり、これは最初に転写されたヌクレオチドに結合した5’-5’-三リン酸塩を介して連結されたグアノシンである。キャップの存在は、大半の真核生物細胞に見られるヌクレアーゼへの耐性を付与するのに重要である。尾部の付加は、典型的にはポリアデニル化現象であり、これによりポリアデニリル部分がmRNA分子の3’末端に加えられる。この「尾部」の存在は、エキソヌクレアーゼ分解からmRNAを保護するのに役立つ。メッセンジャーRNAは、タンパク質を構成する一連のアミノ酸にリボソームによって翻訳される。
【0106】
mRNAは、様々な公知の方法のいずれかに従い合成することができる。たとえば本発明に従うmRNAは、in vitro転写(IVT)を介して合成することができる。簡潔に述べると、IVTは多くの場合、プロモーターを含む直線状または環状のDNA鋳型、一群のリボヌクレオチド三リン酸塩、DTTおよびマグネシウムイオンを含み得る緩衝系、ならびに適切なRNAポリメラーゼ(たとえば、T3、T7、またはSP6 RNAポリメラーゼ)、DNAseI、ピロホスファターゼ、ならびに/またはRNAse阻害剤を用いて行われる。厳密な条件は具体的なアプリケーションに従い変化するであろう。
【0107】
いくつかの実施形態では、in vitroで合成されたmRNAは、製剤および封入前に精製されて、mRNA合成中に使用された様々な酵素および他の試薬を含む望ましくない不純物が除去されてもよい。
【0108】
本発明は、さまざまな長さのmRNAを製剤し、封入するために使用されうる。いくつかの実施形態では、本発明を使用して、約1kb、1.5kb、2kb、2.5kb、3kb、3.5kb、4kb、4.5kb、5kb、6kb、7kb、8kb、9kb、10kb、11kb、12kb、13kb、14kb、15kb、または20kb長より長いin vitroで合成されたmRNAが製剤され、封入され得る。いくつかの実施形態では、本発明を使用して、長さ約1~20kb、約1~15kb、約1~10kb、約5~20kb、約5~15kb、約5~12kb、約5~10kb、約8~20kb、または約8~15kbの範囲のin vitroで合成されたmRNAが製剤され、封入され得る。
【0109】
本発明は、修飾されていないmRNA、または一般的に安定性を強化する一つ以上の修飾を含むmRNAを製剤し、封入するために使用されうる。いくつかの実施形態では、修飾は、修飾ヌクレオチド、修飾糖リン酸塩骨格、ならびに5’および/または3’非翻訳領域から選択される。
【0110】
一部の実施形態では、mRNAの修飾は、RNAのヌクレオチドの修飾を含み得る。本発明による修飾mRNAは、たとえば骨格修飾、糖修飾、または塩基修飾を含み得る。一部の実施形態では、mRNAは、限定されないが、プリン類(アデニン(A)、グアニン(G))もしくはピリミジン類(チミン(T)、シトシン(C)、ウラシル(U))を含む天然で生じるヌクレオチドおよび/またはヌクレオチド類似体(修飾ヌクレオチド)から合成されてもよく、ならびにたとえば1-メチルアデニン、2-メチルアデニン、2-メチルチオ-N-6-イソペンテニル-アデニン、N6-メチル-アデニン、N6-イソペンテニル-アデニン、2-チオ-シトシン、3-メチル-シトシン、4-アセチル-シトシン、5-メチル-シトシン、2,6-ジアミノプリン、1-メチル-グアニン、2-メチル-グアニン、2,2-ジメチル-グアニン、7-メチル-グアニン、イノシン、1-メチル-イノシン、プソイドウラシル(5-ウラシル)、ジヒドロ-ウラシル、2-チオ-ウラシル、4-チオ-ウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオ-ウラシル、5-(カルボキシヒドロキシメチル)-ウラシル、5-フルオロ-ウラシル、5-ブロモ-ウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-ウラシル、5-メチル-2-チオ-ウラシル、5-メチル-ウラシル、N-ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、5-メチルアミノメチル-ウラシル、5-メトキシアミノメチル-2-チオ-ウラシル、5’-メトキシカルボニルメチル-ウラシル、5-メトキシ-ウラシル、ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)、1-メチル-プソイドウラシル、キューオシン、ベータ-D-マンノシル-キューオシン、ワイブトキソシン(wybutoxosine)、ならびにホスホロアミデート、ホスホロチオエート、ペプチドヌクレオチド、メチルホスホネート、7-デアザグアノシン、5-メチルシトシン、プソイドウリジン、5-メチルシチジンおよびイノシンなどのプリン類ならびにピリミジン類の修飾ヌクレオチド類似体または誘導体として合成されてもよい。こうした類似体の調製は、米国特許第4,373,071号、同第4,401,796号、同第4,415,732号、同第4,458,066号、同第4,500,707号、同第4,668,777号、同第4,973,679号、同第5,047,524号、同第5,132,418号、同第5,153,319号、第5,262,530号および第5,700,642号(その開示は参照によりその全範囲において本明細書に含まれる)から当業者に公知である。
【0111】
mRNA合成には、5’末端への「キャップ」及び3’末端への「テール」の付加が含まれるのが典型的である。キャップの存在は、大半の真核生物細胞に見られるヌクレアーゼへの耐性を付与するのに重要である。「テール」の存在は、エキソヌクレアーゼ分解からmRNAを保護するのに役立つものである。
【0112】
したがって、一部の実施形態では、mRNAは、5’キャップ構造を含む。5’キャップは、典型的には次のように付加される:最初に、RNA末端ホスファターゼが5’ヌクレオチドから末端リン酸基のうちの一つを除去して2つの末端リン酸を残し、次に、グアノシン三リン酸(GTP)がグアニリルトランスフェラーゼを介して末端リン酸に付加されて5’5’5三リン酸結合を生成し、次いで、グアニンの7-窒素がメチルトランスフェラーゼによりメチル化される。2’-O-メチル化は、7-メチルグアノシン三リン酸塩残基の後の第一の塩基および/または第二の塩基で生じうる。キャップ構造の例には、m7GpppNp-RNA、m7GpppNmp-RNAおよびm7GpppNmpNmp-RNA(式中、mは2’-O-メチル残基を示す)が含まれるが、これに限定されない。
【0113】
一部の実施形態では、mRNAは、5’および/または3’非翻訳領域を含む。一部の実施形態では、5’非翻訳領域には、mRNAの安定性または翻訳に影響を及ぼす一つ以上の要素、例えば、鉄応答要素が含まれる。一部の実施形態では、5’非翻訳領域は、長さ約50~500のヌクレオチドであり得る。
【0114】
一部の実施形態では、3’非翻訳領域は、ポリアデニル化シグナル、細胞中のmRNAの位置の安定性に影響を及ぼすタンパク質の結合部位、またはmiRNAの一つ以上の結合部位のうちの一つ以上を含む。一部の実施形態では、3’非翻訳領域は、長さ約50~500ヌクレオチドであるか、またはそれ以上の長さであり得る。
【0115】
in vitro転写反応からもたらされたmRNAが、一部の実施形態で望ましい一方、細菌、真菌、植物、および/または動物から産生されたmRNAを含む、mRNAの他の供給源が、本発明の範囲内であると意図される。
【0116】
本発明は、様々なタンパク質をコードするmRNAを製剤し、封入するために使用されうる。本発明に適したmRNAの非限定的な例には、脊髄運動ニューロン1(SMN)、アルファ-ガラクトシダーゼ(GLA)、アルギニノコハク酸シンテターゼ(ASS1)、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)、第IX因子(FIX)、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)、エリスロポエチン(EPO)、嚢胞性線維症膜貫通型コンダクタンス受容体(CFTR)およびホタルルシフェラーゼ(FFL)をコードするmRNAが含まれる。本明細書に開示されるmRNA配列の例を以下に挙げる:
コドン最適化ヒトOTCコード配列
AUGCUGUUCAACCUUCGGAUCUUGCUGAACAACGCUGCGUUCCGGAAUGGUCACAACUUCAUGGUCCGGAACUUCAGAUGCGGCCAGCCGCUCCAGAACAAGGUGCAGCUCAAGGGGAGGGACCUCCUCACCCUGAAAAACUUCACCGGAGAAGAGAUCAAGUACAUGCUGUGGCUGUCAGCCGACCUCAAAUUCCGGAUCAAGCAGAAGGGCGAAUACCUUCCUUUGCUGCAGGGAAAGUCCCUGGGGAUGAUCUUCGAGAAGCGCAGCACUCGCACUAGACUGUCAACUGAAACCGGCUUCGCGCUGCUGGGAGGACACCCCUGCUUCCUGACCACCCAAGAUAUCCAUCUGGGUGUGAACGAAUCCCUCACCGACACAGCGCGGGUGCUGUCGUCCAUGGCAGACGCGGUCCUCGCCCGCGUGUACAAGCAGUCUGAUCUGGACACUCUGGCCAAGGAAGCCUCCAUUCCUAUCAUUAAUGGAUUGUCCGACCUCUACCAUCCCAUCCAGAUUCUGGCCGAUUAUCUGACUCUGCAAGAACAUUACAGCUCCCUGAAGGGGCUUACCCUUUCGUGGAUCGGCGACGGCAACAACAUUCUGCACAGCAUUAUGAUGAGCGCUGCCAAGUUUGGAAUGCACCUCCAAGCAGCGACCCCGAAGGGAUACGAGCCAGACGCCUCCGUGACGAAGCUGGCUGAGCAGUACGCCAAGGAGAACGGCACUAAGCUGCUGCUCACCAACGACCCUCUCGAAGCCGCCCACGGUGGCAACGUGCUGAUCACCGAUACCUGGAUCUCCAUGGGACAGGAGGAGGAAAAGAAGAAGCGCCUGCAAGCAUUUCAGGGGUACCAGGUGACUAUGAAAACCGCCAAGGUCGCCGCCUCGGACUGGACCUUCUUGCACUGUCUGCCCAGAAAGCCCGAAGAGGUGGACGACGAGGUGUUCUACAGCCCGCGGUCGCUGGUCUUUCCGGAGGCCGAAAACAGGAAGUGGACUAUCAUGGCCGUGAUGGUGUCCCUGCUGACCGAUUACUCCCCGCAGCUGCAGAAACCAAAGUUCUGA(配列番号1)
コドン最適化ヒトASS1コード配列
AUGAGCAGCAAGGGCAGCGUGGUGCUGGCCUACAGCGGCGGCCUGGACACCAGCUGCAUCCUGGUGUGGCUGAAGGAGCAGGGCUACGACGUGAUCGCCUACCUGGCCAACAUCGGCCAGAAGGAGGACUUCGAGGAGGCCCGCAAGAAGGCCCUGAAGCUGGGCGCCAAGAAGGUGUUCAUCGAGGACGUGAGCCGCGAGUUCGUGGAGGAGUUCAUCUGGCCCGCCAUCCAGAGCAGCGCCCUGUACGAGGACCGCUACCUGCUGGGCACCAGCCUGGCCCGCCCCUGCAUCGCCCGCAAGCAGGUGGAGAUCGCCCAGCGCGAGGGCGCCAAGUACGUGAGCCACGGCGCCACCGGCAAGGGCAACGACCAGGUGCGCUUCGAGCUGAGCUGCUACAGCCUGGCCCCCCAGAUCAAGGUGAUCGCCCCCUGGCGCAUGCCCGAGUUCUACAACCGCUUCAAGGGCCGCAACGACCUGAUGGAGUACGCCAAGCAGCACGGCAUCCCCAUCCCCGUGACCCCCAAGAACCCCUGGAGCAUGGACGAGAACCUGAUGCACAUCAGCUACGAGGCCGGCAUCCUGGAGAACCCCAAGAACCAGGCCCCCCCCGGCCUGUACACCAAGACCCAGGACCCCGCCAAGGCCCCCAACACCCCCGACAUCCUGGAGAUCGAGUUCAAGAAGGGCGUGCCCGUGAAGGUGACCAACGUGAAGGACGGCACCACCCACCAGACCAGCCUGGAGCUGUUCAUGUACCUGAACGAGGUGGCCGGCAAGCACGGCGUGGGCCGCAUCGACAUCGUGGAGAACCGCUUCAUCGGCAUGAAGAGCCGCGGCAUCUACGAGACCCCCGCCGGCACCAUCCUGUACCACGCCCACCUGGACAUCGAGGCCUUCACCAUGGACCGCGAGGUGCGCAAGAUCAAGCAGGGCCUGGGCCUGAAGUUCGCCGAGCUGGUGUACACCGGCUUCUGGCACAGCCCCGAGUGCGAGUUCGUGCGCCACUGCAUCGCCAAGAGCCAGGAGCGCGUGGAGGGCAAGGUGCAGGUGAGCGUGCUGAAGGGCCAGGUGUACAUCCUGGGCCGCGAGAGCCCCCUGAGCCUGUACAACGAGGAGCUGGUGAGCAUGAACGUGCAGGGCGACUACGAGCCCACCGACGCCACCGGCUUCAUCAACAUCAACAGCCUGCGCCUGAAGGAGUACCACCGCCUGCAGAGCAAGGUGACCGCCAAGUGA(配列番号2)
コドン最適化ヒトCFTRコード配列
AUGCAACGCUCUCCUCUUGAAAAGGCCUCGGUGGUGUCCAAGCUCUUCUUCUCGUGGACUAGACCCAUCCUGAGAAAGGGGUACAGACAGCGCUUGGAGCUGUCCGAUAUCUAUCAAAUCCCUUCCGUGGACUCCGCGGACAACCUGUCCGAGAAGCUCGAGAGAGAAUGGGACAGAGAACUCGCCUCAAAGAAGAACCCGAAGCUGAUUAAUGCGCUUAGGCGGUGCUUUUUCUGGCGGUUCAUGUUCUACGGCAUCUUCCUCUACCUGGGAGAGGUCACCAAGGCCGUGCAGCCCCUGUUGCUGGGACGGAUUAUUGCCUCCUACGACCCCGACAACAAGGAAGAAAGAAGCAUCGCUAUCUACUUGGGCAUCGGUCUGUGCCUGCUUUUCAUCGUCCGGACCCUCUUGUUGCAUCCUGCUAUUUUCGGCCUGCAUCACAUUGGCAUGCAGAUGAGAAUUGCCAUGUUUUCCCUGAUCUACAAGAAAACUCUGAAGCUCUCGAGCCGCGUGCUUGACAAGAUUUCCAUCGGCCAGCUCGUGUCCCUGCUCUCCAACAAUCUGAACAAGUUCGACGAGGGCCUCGCCCUGGCCCACUUCGUGUGGAUCGCCCCUCUGCAAGUGGCGCUUCUGAUGGGCCUGAUCUGGGAGCUGCUGCAAGCCUCGGCAUUCUGUGGGCUUGGAUUCCUGAUCGUGCUGGCACUGUUCCAGGCCGGACUGGGGCGGAUGAUGAUGAAGUACAGGGACCAGAGAGCCGGAAAGAUUUCCGAACGGCUGGUGAUCACUUCGGAAAUGAUCGAAAACAUCCAGUCAGUGAAGGCCUACUGCUGGGAAGAGGCCAUGGAAAAGAUGAUUGAAAACCUCCGGCAAACCGAGCUGAAGCUGACCCGCAAGGCCGCUUACGUGCGCUAUUUCAACUCGUCCGCUUUCUUCUUCUCCGGGUUCUUCGUGGUGUUUCUCUCCGUGCUCCCCUACGCCCUGAUUAAGGGAAUCAUCCUCAGGAAGAUCUUCACCACCAUUUCCUUCUGUAUCGUGCUCCGCAUGGCCGUGACCCGGCAGUUCCCAUGGGCCGUGCAGACUUGGUACGACUCCCUGGGAGCCAUUAACAAGAUCCAGGACUUCCUUCAAAAGCAGGAGUACAAGACCCUCGAGUACAACCUGACUACUACCGAGGUCGUGAUGGAAAACGUCACCGCCUUUUGGGAGGAGGGAUUUGGCGAACUGUUCGAGAAGGCCAAGCAGAACAACAACAACCGCAAGACCUCGAACGGUGACGACUCCCUCUUCUUUUCAAACUUCAGCCUGCUCGGGACGCCCGUGCUGAAGGACAUUAACUUCAAGAUCGAAAGAGGACAGCUCCUGGCGGUGGCCGGAUCGACCGGAGCCGGAAAGACUUCCCUGCUGAUGGUGAUCAUGGGAGAGCUUGAACCUAGCGAGGGAAAGAUCAAGCACUCCGGCCGCAUCAGCUUCUGUAGCCAGUUUUCCUGGAUCAUGCCCGGAACCAUUAAGGAAAACAUCAUCUUCGGCGUGUCCUACGAUGAAUACCGCUACCGGUCCGUGAUCAAAGCCUGCCAGCUGGAAGAGGAUAUUUCAAAGUUCGCGGAGAAAGAUAACAUCGUGCUGGGCGAAGGGGGUAUUACCUUGUCGGGGGGCCAGCGGGCUAGAAUCUCGCUGGCCAGAGCCGUGUAUAAGGACGCCGACCUGUAUCUCCUGGACUCCCCCUUCGGAUACCUGGACGUCCUGACCGAAAAGGAGAUCUUCGAAUCGUGCGUGUGCAAGCUGAUGGCUAACAAGACUCGCAUCCUCGUGACCUCCAAAAUGGAGCACCUGAAGAAGGCAGACAAGAUUCUGAUUCUGCAUGAGGGGUCCUCCUACUUUUACGGCACCUUCUCGGAGUUGCAGAACUUGCAGCCCGACUUCUCAUCGAAGCUGAUGGGUUGCGACAGCUUCGACCAGUUCUCCGCCGAAAGAAGGAACUCGAUCCUGACGGAAACCUUGCACCGCUUCUCUUUGGAAGGCGACGCCCCUGUGUCAUGGACCGAGACUAAGAAGCAGAGCUUCAAGCAGACCGGGGAAUUCGGCGAAAAGAGGAAGAACAGCAUCUUGAACCCCAUUAACUCCAUCCGCAAGUUCUCAAUCGUGCAAAAGACGCCACUGCAGAUGAACGGCAUUGAGGAGGACUCCGACGAACCCCUUGAGAGGCGCCUGUCCCUGGUGCCGGACAGCGAGCAGGGAGAAGCCAUCCUGCCUCGGAUUUCCGUGAUCUCCACUGGUCCGACGCUCCAAGCCCGGCGGCGGCAGUCCGUGCUGAACCUGAUGACCCACAGCGUGAACCAGGGCCAAAACAUUCACCGCAAGACUACCGCAUCCACCCGGAAAGUGUCCCUGGCACCUCAAGCGAAUCUUACCGAGCUCGACAUCUACUCCCGGAGACUGUCGCAGGAAACCGGGCUCGAAAUUUCCGAAGAAAUCAACGAGGAGGAUCUGAAAGAGUGCUUCUUCGACGAUAUGGAGUCGAUACCCGCCGUGACGACUUGGAACACUUAUCUGCGGUACAUCACUGUGCACAAGUCAUUGAUCUUCGUGCUGAUUUGGUGCCUGGUGAUUUUCCUGGCCGAGGUCGCGGCCUCACUGGUGGUGCUCUGGCUGUUGGGAAACACGCCUCUGCAAGACAAGGGAAACUCCACGCACUCGAGAAACAACAGCUAUGCCGUGAUUAUCACUUCCACCUCCUCUUAUUACGUGUUCUACAUCUACGUCGGAGUGGCGGAUACCCUGCUCGCGAUGGGUUUCUUCAGAGGACUGCCGCUGGUCCACACCUUGAUCACCGUCAGCAAGAUUCUUCACCACAAGAUGUUGCAUAGCGUGCUGCAGGCCCCCAUGUCCACCCUCAACACUCUGAAGGCCGGAGGCAUUCUGAACAGAUUCUCCAAGGACAUCGCUAUCCUGGACGAUCUCCUGCCGCUUACCAUCUUUGACUUCAUCCAGCUGCUGCUGAUCGUGAUUGGAGCAAUCGCAGUGGUGGCGGUGCUGCAGCCUUACAUUUUCGUGGCCACUGUGCCGGUCAUUGUGGCGUUCAUCAUGCUGCGGGCCUACUUCCUCCAAACCAGCCAGCAGCUGAAGCAACUGGAAUCCGAGGGACGAUCCCCCAUCUUCACUCACCUUGUGACGUCGUUGAAGGGACUGUGGACCCUCCGGGCUUUCGGACGGCAGCCCUACUUCGAAACCCUCUUCCACAAGGCCCUGAACCUCCACACCGCCAAUUGGUUCCUGUACCUGUCCACCCUGCGGUGGUUCCAGAUGCGCAUCGAGAUGAUUUUCGUCAUCUUCUUCAUCGCGGUCACAUUCAUCAGCAUCCUGACUACCGGAGAGGGAGAGGGACGGGUCGGAAUAAUCCUGACCCUCGCCAUGAACAUUAUGAGCACCCUGCAGUGGGCAGUGAACAGCUCGAUCGACGUGGACAGCCUGAUGCGAAGCGUCAGCCGCGUGUUCAAGUUCAUCGACAUGCCUACUGAGGGAAAACCCACUAAGUCCACUAAGCCCUACAAAAAUGGCCAGCUGAGCAAGGUCAUGAUCAUCGAAAACUCCCACGUGAAGAAGGACGAUAUUUGGCCCUCCGGAGGUCAAAUGACCGUGAAGGACCUGACCGCAAAGUACACCGAGGGAGGAAACGCCAUUCUCGAAAACAUCAGCUUCUCCAUUUCGCCGGGACAGCGGGUCGGCCUUCUCGGGCGGACCGGUUCCGGGAAGUCAACUCUGCUGUCGGCUUUCCUCCGGCUGCUGAAUACCGAGGGGGAAAUCCAAAUUGACGGCGUGUCUUGGGAUUCCAUUACUCUGCAGCAGUGGCGGAAGGCCUUCGGCGUGAUCCCCCAGAAGGUGUUCAUCUUCUCGGGUACCUUCCGGAAGAACCUGGAUCCUUACGAGCAGUGGAGCGACCAAGAAAUCUGGAAGGUCGCCGACGAGGUCGGCCUGCGCUCCGUGAUUGAACAAUUUCCUGGAAAGCUGGACUUCGUGCUCGUCGACGGGGGAUGUGUCCUGUCGCACGGACAUAAGCAGCUCAUGUGCCUCGCACGGUCCGUGCUCUCCAAGGCCAAGAUUCUGCUGCUGGACGAACCUUCGGCCCACCUGGAUCCGGUCACCUACCAGAUCAUCAGGAGGACCCUGAAGCAGGCCUUUGCCGAUUGCACCGUGAUUCUCUGCGAGCACCGCAUCGAGGCCAUGCUGGAGUGCCAGCAGUUCCUGGUCAUCGAGGAGAACAAGGUCCGCCAAUACGACUCCAUUCAAAAGCUCCUCAACGAGCGGUCGCUGUUCAGACAAGCUAUUUCACCGUCCGAUAGAGUGAAGCUCUUCCCGCAUCGGAACAGCUCAAAGUGCAAAUCGAAGCCGCAGAUCGCAGCCUUGAAGGAAGAGACUGAGGAAGAGGUGCAGGACACCCGGCUUUAA(配列番号3)
コドン最適化ヒトCFTR mRNAコード配列の比較
AUGCAGCGGUCCCCGCUCGAAAAGGCCAGUGUCGUGUCCAAACUCUUCUUCUCAUGGACUCGGCCUAUCCUUAGAAAGGGGUAUCGGCAGAGGCUUGAGUUGUCUGACAUCUACCAGAUCCCCUCGGUAGAUUCGGCGGAUAACCUCUCGGAGAAGCUCGAACGGGAAUGGGACCGCGAACUCGCGUCUAAGAAAAACCCGAAGCUCAUCAACGCACUGAGAAGGUGCUUCUUCUGGCGGUUCAUGUUCUACGGUAUCUUCUUGUAUCUCGGGGAGGUCACAAAAGCAGUCCAACCCCUGUUGUUGGGUCGCAUUAUCGCCUCGUACGACCCCGAUAACAAAGAAGAACGGAGCAUCGCGAUCUACCUCGGGAUCGGACUGUGUUUGCUUUUCAUCGUCAGAACACUUUUGUUGCAUCCAGCAAUCUUCGGCCUCCAUCACAUCGGUAUGCAGAUGCGAAUCGCUAUGUUUAGCUUGAUCUACAAAAAGACACUGAAACUCUCGUCGCGGGUGUUGGAUAAGAUUUCCAUCGGUCAGUUGGUGUCCCUGCUUAGUAAUAACCUCAACAAAUUCGAUGAGGGACUGGCGCUGGCACAUUUCGUGUGGAUUGCCCCGUUGCAAGUCGCCCUUUUGAUGGGCCUUAUUUGGGAGCUGUUGCAGGCAUCUGCCUUUUGUGGCCUGGGAUUUCUGAUUGUGUUGGCAUUGUUUCAGGCUGGGCUUGGGCGGAUGAUGAUGAAGUAUCGCGACCAGAGAGCGGGUAAAAUCUCGGAAAGACUCGUCAUCACUUCGGAAAUGAUCGAAAACAUCCAGUCGGUCAAAGCCUAUUGCUGGGAAGAAGCUAUGGAGAAGAUGAUUGAAAACCUCCGCCAAACUGAGCUGAAACUGACCCGCAAGGCGGCGUAUGUCCGGUAUUUCAAUUCGUCAGCGUUCUUCUUUUCCGGGUUCUUCGUUGUCUUUCUCUCGGUUUUGCCUUAUGCCUUGAUUAAGGGGAUUAUCCUCCGCAAGAUUUUCACCACGAUUUCGUUCUGCAUUGUAUUGCGCAUGGCAGUGACACGGCAAUUUCCGUGGGCCGUGCAGACAUGGUAUGACUCGCUUGGAGCGAUCAACAAAAUCCAAGACUUCUUGCAAAAGCAAGAGUACAAGACCCUGGAGUACAAUCUUACUACUACGGAGGUAGUAAUGGAGAAUGUGACGGCUUUUUGGGAAGAGGGUUUUGGAGAACUGUUUGAGAAAGCAAAGCAGAAUAACAACAACCGCAAGACCUCAAAUGGGGACGAUUCCCUGUUUUUCUCGAACUUCUCCCUGCUCGGAACACCCGUGUUGAAGGACAUCAAUUUCAAGAUUGAGAGGGGACAGCUUCUCGCGGUAGCGGGAAGCACUGGUGCGGGAAAAACUAGCCUCUUGAUGGUGAUUAUGGGGGAGCUUGAGCCCAGCGAGGGGAAGAUUAAACACUCCGGGCGUAUCUCAUUCUGUAGCCAGUUUUCAUGGAUCAUGCCCGGAACCAUUAAAGAGAACAUCAUUUUCGGAGUAUCCUAUGAUGAGUACCGAUACAGAUCGGUCAUUAAGGCGUGCCAGUUGGAAGAGGACAUUUCUAAGUUCGCCGAGAAGGAUAACAUCGUCUUGGGAGAAGGGGGUAUUACAUUGUCGGGAGGGCAGCGAGCGCGGAUCAGCCUCGCGAGAGCGGUAUACAAAGAUGCAGAUUUGUAUCUGCUUGAUUCACCGUUUGGAUACCUCGACGUAUUGACAGAAAAAGAAAUCUUCGAGUCGUGCGUGUGUAAACUUAUGGCUAAUAAGACGAGAAUCCUGGUGACAUCAAAAAUGGAACACCUUAAGAAGGCGGACAAGAUCCUGAUCCUCCACGAAGGAUCGUCCUACUUUUACGGCACUUUCUCAGAGUUGCAAAACUUGCAGCCGGACUUCUCAAGCAAACUCAUGGGGUGUGACUCAUUCGACCAGUUCAGCGCGGAACGGCGGAACUCGAUCUUGACGGAAACGCUGCACCGAUUCUCGCUUGAGGGUGAUGCCCCGGUAUCGUGGACCGAGACAAAGAAGCAGUCGUUUAAGCAGACAGGAGAAUUUGGUGAGAAAAGAAAGAACAGUAUCUUGAAUCCUAUUAACUCAAUUCGCAAGUUCUCAAUCGUCCAGAAAACUCCACUGCAGAUGAAUGGAAUUGAAGAGGAUUCGGACGAACCCCUGGAGCGCAGGCUUAGCCUCGUGCCGGAUUCAGAGCAAGGGGAGGCCAUUCUUCCCCGGAUUUCGGUGAUUUCAACCGGACCUACACUUCAGGCGAGGCGAAGGCAAUCCGUGCUCAACCUCAUGACGCAUUCGGUAAACCAGGGGCAAAACAUUCACCGCAAAACGACGGCCUCAACGAGAAAAGUGUCACUUGCACCCCAGGCGAAUUUGACUGAACUCGACAUCUACAGCCGUAGGCUUUCGCAAGAAACCGGACUUGAGAUCAGCGAAGAAAUCAAUGAAGAAGAUUUGAAAGAGUGUUUCUUUGAUGACAUGGAAUCAAUCCCAGCGGUGACAACGUGGAACACAUACUUGCGUUACAUCACGGUGCACAAGUCCUUGAUUUUCGUCCUCAUCUGGUGUCUCGUGAUCUUUCUCGCUGAGGUCGCAGCGUCACUUGUGGUCCUCUGGCUGCUUGGUAAUACGCCCUUGCAAGACAAAGGCAAUUCUACACACUCAAGAAACAAUUCCUAUGCCGUGAUUAUCACUUCUACAAGCUCGUAUUACGUGUUUUACAUCUACGUAGGAGUGGCCGACACUCUGCUCGCGAUGGGUUUCUUCCGAGGACUCCCACUCGUUCACACGCUUAUCACUGUCUCCAAGAUUCUCCACCAUAAGAUGCUUCAUAGCGUACUGCAGGCUCCCAUGUCCACCUUGAAUACGCUCAAGGCGGGAGGUAUUUUGAAUCGCUUCUCAAAAGAUAUUGCAAUUUUGGAUGACCUUCUGCCCCUGACGAUCUUCGACUUCAUCCAGUUGUUGCUGAUCGUGAUUGGGGCUAUUGCAGUAGUCGCUGUCCUCCAGCCUUACAUUUUUGUCGCGACCGUUCCGGUGAUCGUGGCGUUUAUCAUGCUGCGGGCCUAUUUCUUGCAGACGUCACAGCAGCUUAAGCAACUGGAGUCUGAAGGGAGGUCGCCUAUCUUUACGCAUCUUGUGACCAGUUUGAAGGGAUUGUGGACGUUGCGCGCCUUUGGCAGGCAGCCCUACUUUGAAACACUGUUCCACAAAGCGCUGAAUCUCCAUACGGCAAAUUGGUUUUUGUAUUUGAGUACCCUCCGAUGGUUUCAGAUGCGCAUUGAGAUGAUUUUUGUGAUCUUCUUUAUCGCGGUGACUUUUAUCUCCAUCUUGACCACGGGAGAGGGCGAGGGACGGGUCGGUAUUAUCCUGACACUCGCCAUGAACAUUAUGAGCACUUUGCAGUGGGCAGUGAACAGCUCGAUUGAUGUGGAUAGCCUGAUGAGGUCCGUUUCGAGGGUCUUUAAGUUCAUCGACAUGCCGACGGAGGGAAAGCCCACAAAAAGUACGAAACCCUAUAAGAAUGGGCAAUUGAGUAAGGUAAUGAUCAUCGAGAACAGUCACGUGAAGAAGGAUGACAUCUGGCCUAGCGGGGGUCAGAUGACCGUGAAGGACCUGACGGCAAAAUACACCGAGGGAGGGAACGCAAUCCUUGAAAACAUCUCGUUCAGCAUUAGCCCCGGUCAGCGUGUGGGGUUGCUCGGGAGGACCGGGUCAGGAAAAUCGACGUUGCUGUCGGCCUUCUUGAGACUUCUGAAUACAGAGGGUGAGAUCCAGAUCGACGGCGUUUCGUGGGAUAGCAUCACCUUGCAGCAGUGGCGGAAAGCGUUUGGAGUAAUCCCCCAAAAGGUCUUUAUCUUUAGCGGAACCUUCCGAAAGAAUCUCGAUCCUUAUGAACAGUGGUCAGAUCAAGAGAUUUGGAAAGUCGCGGACGAGGUUGGCCUUCGGAGUGUAAUCGAGCAGUUUCCGGGAAAACUCGACUUUGUCCUUGUAGAUGGGGGAUGCGUCCUGUCGCAUGGGCACAAGCAGCUCAUGUGCCUGGCGCGAUCCGUCCUCUCUAAAGCGAAAAUUCUUCUCUUGGAUGAACCUUCGGCCCAUCUGGACCCGGUAACGUAUCAGAUCAUCAGAAGGACACUUAAGCAGGCGUUUGCCGACUGCACGGUGAUUCUCUGUGAGCAUCGUAUCGAGGCCAUGCUCGAAUGCCAGCAAUUUCUUGUCAUCGAAGAGAAUAAGGUCCGCCAGUACGACUCCAUCCAGAAGCUGCUUAAUGAGAGAUCAUUGUUCCGGCAGGCGAUUUCACCAUCCGAUAGGGUGAAACUUUUUCCACACAGAAAUUCGUCGAAGUGCAAGUCCAAACCGCAGAUCGCGGCCUUGAAAGAAGAGACUGAAGAAGAAGUUCAAGACACGCGUCUUUAA(配列番号4)
コドン最適化ヒトPAHコード配列
AUGAGCACCGCCGUGCUGGAGAACCCCGGCCUGGGCCGCAAGCUGAGCGACUUCGGCCAGGAGACCAGCUACAUCGAGGACAACUGCAACCAGAACGGCGCCAUCAGCCUGAUCUUCAGCCUGAAGGAGGAGGUGGGCGCCCUGGCCAAGGUGCUGCGCCUGUUCGAGGAGAACGACGUGAACCUGACCCACAUCGAGAGCCGCCCCAGCCGCCUGAAGAAGGACGAGUACGAGUUCUUCACCCACCUGGACAAGCGCAGCCUGCCCGCCCUGACCAACAUCAUCAAGAUCCUGCGCCACGACAUCGGCGCCACCGUGCACGAGCUGAGCCGCGACAAGAAGAAGGACACCGUGCCCUGGUUCCCCCGCACCAUCCAGGAGCUGGACCGCUUCGCCAACCAGAUCCUGAGCUACGGCGCCGAGCUGGACGCCGACCACCCCGGCUUCAAGGACCCCGUGUACCGCGCCCGCCGCAAGCAGUUCGCCGACAUCGCCUACAACUACCGCCACGGCCAGCCCAUCCCCCGCGUGGAGUACAUGGAGGAGGAGAAGAAGACCUGGGGCACCGUGUUCAAGACCCUGAAGAGCCUGUACAAGACCCACGCCUGCUACGAGUACAACCACAUCUUCCCCCUGCUGGAGAAGUACUGCGGCUUCCACGAGGACAACAUCCCCCAGCUGGAGGACGUGAGCCAGUUCCUGCAGACCUGCACCGGCUUCCGCCUGCGCCCCGUGGCCGGCCUGCUGAGCAGCCGCGACUUCCUGGGCGGCCUGGCCUUCCGCGUGUUCCACUGCACCCAGUACAUCCGCCACGGCAGCAAGCCCAUGUACACCCCCGAGCCCGACAUCUGCCACGAGCUGCUGGGCCACGUGCCCCUGUUCAGCGACCGCAGCUUCGCCCAGUUCAGCCAGGAGAUCGGCCUGGCCAGCCUGGGCGCCCCCGACGAGUACAUCGAGAAGCUGGCCACCAUCUACUGGUUCACCGUGGAGUUCGGCCUGUGCAAGCAGGGCGACAGCAUCAAGGCCUACGGCGCCGGCCUGCUGAGCAGCUUCGGCGAGCUGCAGUACUGCCUGAGCGAGAAGCCCAAGCUGCUGCCCCUGGAGCUGGAGAAGACCGCCAUCCAGAACUACACCGUGACCGAGUUCCAGCCCCUGUACUACGUGGCCGAGAGCUUCAACGACGCCAAGGAGAAGGUGCGCAACUUCGCCGCCACCAUCCCCCGCCCCUUCAGCGUGCGCUACGACCCCUACACCCAGCGCAUCGAGGUGCUGGACAACACCCAGCAGCUGAAGAUCCUGGCCGACAGCAUCAACAGCGAGAUCGGCAUCCUGUGCAGCGCCCUGCAGAAGAUCAAGUAA
(配列番号5)
【0117】
一部の実施形態では、本発明に適したmRNAは、配列番号と少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一のヌクレオチド配列を有する。1、配列番号2、配列番号3、または配列番号4.いくつかの実施形態では、本発明に適したmRNAは、配列番号と同一のヌクレオチド配列を含む。1、配列番号2、配列番号3、または配列番号4.
mRNA溶液
【0118】
mRNAは、mRNAが脂質ナノ粒子に封入されうるように、脂質溶液と混合されるべき溶液で提供されうる。適切なmRNA溶液は、様々な濃度で封入されるべきmRNAを含む任意の水溶液であってもよい。例えば、適切なmRNA溶液は、約0.01mg/ml、0.05mg/ml、0.06mg/ml、0.07mg/ml、0.08mg/ml、0.09mg/ml、0.1mg/ml、0.15mg/ml、0.2mg/ml、0.3mg/ml、0.4mg/ml、0.5mg/ml、0.6mg/ml、0.7mg/ml、0.8mg/ml、0.9mg/ml、または1.0mg/mlより高い濃度でmRNAを含有してもよい。いくつかの実施形態では、適切なmRNA溶液は、約0.01~1.0mg/ml、0.01~0.9mg/ml、0.01~0.8mg/ml、0.01~0.7mg/ml、0.01~0.6mg/ml、0.01~0.5mg/ml、0.01~0.4mg/ml、0.01~0.3mg/ml、0.01~0.2mg/ml、0.01~0.1mg/ml、0.05~1.0mg/ml、0.05~0.9mg/ml、0.05~0.8mg/ml、0.05~0.7mg/ml、0.05~0.6mg/ml、0.05~0.5mg/ml、0.05~0.4mg/ml、0.05~0.3mg/ml、0.05~0.2mg/ml、0.05~0.1mg/ml、0.1~1.0mg/ml、0.2~0.9mg/ml、0.3~0.8mg/ml、0.4~0.7mg/ml、または0.5~0.6mg/mlの範囲の濃度でmRNAを含有してもよい。いくつかの実施形態では、適切なmRNA溶液は、最高約5.0mg/ml、4.0mg/ml、3.0mg/ml、2.0mg/ml、1.0mg/ml、0.09mg/ml、0.08mg/ml、0.07mg/ml、0.06mg/ml、または0.05mg/mlの濃度でmRNAを含有してもよい。
【0119】
典型的には、適切なmRNA溶液は、緩衝剤および/または塩も含みうる。一般に、緩衝剤は、HEPES、硫酸アンモニウム、重炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸カリウムおよびリン酸ナトリウムを含みうる。いくつかの実施形態では、緩衝剤の適切な濃度は、約0.1mM~100mM、0.5mM~90mM、1.0mM~80mM、2mM~70mM、3mM~60mM、4mM~50mM、5mM~40mM、6mM~30mM、7mM~20mM、8mM~15mM、または9~12mMの範囲でありうる。いくつかの実施形態では、緩衝剤の適切な濃度は、約0.1mM、0.5mM、1mM、2mM、4mM、6mM、8mM、10mM、15mM、20mM、25mM、30mM、35mM、40mM、45mM、または50mM以上である。
【0120】
例示的な塩には、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、および塩化カリウムが含まれうる。いくつかの実施形態では、mRNA溶液中の塩の適切な濃度は、約1mM~500mM、5mM~400mM、10mM~350mM、15mM~300mM、20mM~250mM、30mM~200mM、40mM~190mM、50mM~180mM、50mM~170mM、50mM~160mM、50mM~150mM、または50mM~100mMの範囲でありうる。適切なmRNA溶液中の塩濃度は、約1mM、5mM、10mM、20mM、30mM、40mM、50mM、60mM、70mM、80mM、90mM、または100mM以上である。
【0121】
いくつかの実施形態では、適切なmRNA溶液は、約3.5~6.5、3.5~6.0、3.5~5.5、3.5~5.0、3.5~4.5、4.0~5.5、4.0~5.0、4.0~4.9、4.0~4.8、4.0~4.7、4.0~4.6、または4.0~4.5の範囲のpHを有してもよい。いくつかの実施形態では、適切なmRNA溶液は、約3.5、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.2、5.4、5.6、5.8、6.0、6.1、6.3、及び6.5以下のpHを有していてもよい。
【0122】
本発明に適したmRNA溶液を調製するために、様々な方法を使用してもよい。いくつかの実施形態では、mRNAは、本明細書に記載される緩衝液溶液中に直接溶解されてもよい。いくつかの実施形態では、mRNA溶液は、封入のために脂質溶液と混合する前に、mRNAストック溶液を緩衝液と混合することにより生成されうる。いくつかの実施形態では、mRNA溶液は、封入のために脂質溶液と混合する直前に、mRNAストック溶液をバッファ溶液と混合することにより生成され得る。いくつかの実施形態では、適切なmRNAストック溶液は、約0.2mg/ml、0.4mg/ml、0.5mg/ml、0.6mg/ml、0.8mg/ml、1.0mg/ml、1.2mg/ml、1.4mg/ml、1.5mg/ml、または1.6mg/ml、2.0mg/ml、2.5mg/ml、3.0mg/ml、3.5mg/ml、4.0mg/ml、4.5mg/ml、または5.0mg/ml以上の濃度で水中にmRNAを含有してもよい。
【0123】
いくつかの実施形態では、mRNAストック溶液は、ポンプを使用して緩衝液と混合される。例示的ポンプとしては、ギアポンプ、蠕動ポンプ、および遠心ポンプが挙げられるがこれらに限定されない。
【0124】
典型的には、緩衝溶液は、mRNAストック溶液のものよりも速い速度で混合される。例えば、緩衝溶液は、mRNAストック溶液の速度よりも少なくとも1×、2×、3×、4×、5×、6×、7×、8×、9×、10×、15×または20×の速度で混合されてもよい。いくつかの実施形態では、緩衝溶液は、約100~6000ml/分(例えば、約100~300ml/分、300~600ml/分、600~1200ml/分、1200~2400ml/分、2400~3600ml/分、3600~4800ml/分、4800~6000ml/分、または60~420ml/分)の流量で混合される。いくつかの実施形態では、緩衝溶液は、約60ml/分、100ml/分、140ml/分、180ml/分、220ml/分、260ml/分、300ml/分、340ml/分、380ml/分、420ml/分、480ml/分、540ml/分、600ml/分、1200ml/分、2400ml/分、3600ml/分、4800ml/分、または6000ml/分以上の流量で混合される。
【0125】
いくつかの実施形態では、mRNAストック溶液は、約10~600ml/分(例えば、約5~50ml/分、約10~30ml/分、約30~60ml/分、約60~120ml/分、約120~240ml/分、約240~360ml/分、約360~480ml/分、または約480~600ml/分)の範囲の流量で混合される。いくつかの実施形態では、mRNAストック溶液を、約5ml/分、10ml/分、15ml/分、20ml/分、25ml/分、30ml/分、35ml/分、40ml/分、45ml/分、50ml/分、60ml/分、80ml/分、100ml/分、200ml/分、300ml/分、400ml/分、500ml/分、または600ml/分以上の流量で混合する。
脂質溶液
【0126】
本発明によれば、脂質溶液は、mRNAの封入のために脂質ナノ粒子を形成するのに適切な脂質の混合物を含有する。いくつかの実施形態では、適切な脂質溶液はエタノール系である。例えば、適切な脂質溶液は、純エタノール(すなわち、100%エタノール)に溶解した所望の脂質の混合物を含みうる。別の実施形態では、好適な脂質溶液はイソプロピルアルコール系である。別の実施形態では、好適な脂質溶液はジメチルスルホキシドベースである。別の実施形態では、好適な脂質溶液は、エタノール、イソプロピルアルコール、およびジメチルスルホキシドを含むがこれに限定されない適切な溶媒の混合物である。
【0127】
適切な脂質溶液は、様々な濃度で望ましい脂質の混合物を含みうる。例えば、適切な脂質溶液は、約0.1mg/ml、0.5mg/ml、1.0mg/ml、2.0mg/ml、3.0mg/ml、4.0mg/ml、5.0mg/ml、6.0mg/ml、7.0mg/ml、8.0mg/ml、9.0mg/ml、10mg/ml、15mg/ml、20mg/ml、30mg/ml、40mg/ml、50mg/ml、または100mg/ml以上の総濃度の所望の脂質の混合物を含みうる。いくつかの実施形態では、適切な脂質溶液は、約0.1~100mg/ml、0.5~90mg/ml、1.0~80mg/ml、1.0~70mg/ml、1.0~60mg/ml、1.0~50mg/ml、1.0~40mg/ml、1.0~30mg/ml、1.0~20mg/ml、1.0~15mg/ml、1.0~10mg/ml、1.0~9mg/ml、1.0~8mg/ml、1.0~7mg/ml、1.0~6mg/m、または1.0~5mg/mlの範囲の総濃度の所望の脂質を含有してもよい。いくつかの実施形態では、適切な脂質溶液は、最高約100mg/ml、90mg/ml、80mg/ml、70mg/ml、60mg/ml、50mg/ml、40mg/ml、30mg/ml、20mg/ml、または10mg/mlの総濃度の所望の脂質の混合物を含有してもよい。
【0128】
任意の望ましい脂質は、mRNAの封入に適した任意の比で混合されうる。いくつかの実施形態では、適切な脂質溶液は、カチオン性脂質、ヘルパー脂質(例えば、非カチオン性脂質および/もしくはコレステロール脂質)ならびに/またはPEG化脂質を含む所望の脂質の混合物を含有する。いくつかの実施形態では、適切な脂質溶液は、一つ以上のカチオン性脂質、一種以上のヘルパー脂質(例えば、非カチオン性脂質および/またはコレステロール脂質)ならびに一種以上のPEG化脂質を含む所望の脂質の混合物を含有する。
カチオン性脂質
【0129】
本明細書で使用される場合、語句「カチオン性脂質」は、生理学的pHなどの選択されたpHで正味の正電荷を有する多数の脂質種のいずれかを指す。いくつかのカチオン性脂質は文献に記載されており、その多くは市販されている。本発明の組成物及び方法で使用するのに特に好適なカチオン性脂質は、国際特許公開第2010/053572号(具体的には、段落[00225]に記載されているC12-200)及び国際公開第2012/170930号に記載されているものを含み、その両方の文献は、参照により本明細書に援用される。特定の実施形態では、本発明の組成物及び方法に適したカチオン性脂質は、例えば、(15Z,18Z)-N,N-ジメチル-6-(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-l-イル)テトラコサ-15,18-ジエン-1-アミン(HGT5000)、(15Z,18Z)-N,N-ジメチル-6-((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イル)テトラコサ-4,15,18-トリエン-l-アミン(HGT5001)、及び(15Z,18Z)-N,N-ジメチル-6-((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イル)テトラコサ-5,15,18-トリエン-1-アミン(HGT5002)などの、2012年3月29日に出願された米国仮特許出願第61/617,468号(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されたイオン化可能なカチオン性脂質を含む。
【0130】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物及び方法に適したカチオン性脂質は、3,6-ビス(4-(ビス((9Z,12Z)-2-ヒドロキシオクタデカ-9,12-ジエン-1-イル)アミノ)ブチル)ピペラジン-2,5-ジオン(OF-02)などのカチオン性脂質を含む。
【0131】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物および方法に適したカチオン性脂質は、3-(4-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)ブチル)-6-(4-((2-ヒドロキシドデシル)(2-ヒドロキシウンデシル)アミノ)ブチル)-1,4-ジオキサン-2,5-ジオン(ターゲット23)、3-(5-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)ペンタン-2-イル)-6-(5-((2-ヒドロキシドデシル)(2-ヒドロキシウンデシル)アミノ)ペンタン-2-イル)-1,4-ジオキサン-2,5-ジオン(ターゲット24)などの名称「核酸の送達のための生分解性脂質」の国際公開第2015/184256号(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるカチオン性脂質を含む。
【0132】
一部の実施形態では、本発明の組成物および方法に適したカチオン性脂質は、名称「メッセンジャーRNAの送達のための脂質製剤」の国際公開第2013/063468号と米国仮出願に記載されるカチオン性脂質を含み、その両方の文献は、参照により本明細書に援用される。一部の実施形態では、カチオン性脂質は、式I-c1-aの化合物を含む:
【化1】
またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、
各Rは独立して水素またはC1-3アルキルであり;
各qは独立して2~6であり;
各R’は独立して水素またはC1-3アルキルであり;
各Rは独立してC8-12アルキルである。
【0133】
一部の実施形態では、各Rは独立して水素、メチル、またはエチルである。一部の実施形態では、各Rは独立して水素またはメチルである。一部の実施形態では、各Rは水素である。
【0134】
一部の実施形態では、各qは独立して3~6である。一部の実施形態では、各qは独立して3~5である。一部の実施形態では、各qは4である。
【0135】
一部の実施形態では、各R’は独立して水素、メチル、またはエチルである。一部の実施形態では、各R’は独立して水素またはメチルである。一部の実施形態では、各R’は独立して水素である。
【0136】
一部の実施形態では、各Rは独立してC8-12アルキルである。一部の実施形態では、各Rは独立してn-C8-12アルキルである。一部の実施形態では、各Rは独立してC9-11アルキルである。一部の実施形態では、各Rは独立してn-C9-11アルキルである。一部の実施形態では、各Rは独立してC10アルキルである。一部の実施形態では、各Rは独立してn-C10アルキルである。
【0137】
一部の実施形態では、各Rは独立して水素またはメチルであり、各qは独立して3~5であり、各R’は独立して水素またはメチルであり、各Rは独立してC8-12アルキルである。
【0138】
一部の実施形態では、各Rは水素であり、各qは独立して3~5であり、各R’は水素であり、各Rは独立してC8-12アルキルである。
【0139】
一部の実施形態では、各Rは水素であり、各qは4であり、各R’は水素であり、各Rは独立してC8-12アルキルである。
【0140】
一部の実施形態では、カチオン性脂質は、以下の式I-gの化合物:
【化2】
またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、各Rは独立してC8-12アルキルである。一部の実施形態では、各Rは独立してn-C8-12アルキルである。一部の実施形態では、各Rは独立してC9-11アルキルである。一部の実施形態では、各Rは独立してn-C9-11アルキルである。一部の実施形態では、各Rは独立してC10アルキルである。一部の実施形態では、各Rはn-C10アルキルである。
【0141】
特定の実施形態では、適切なカチオン性脂質は、cKK-E12または(3,6-ビス(4-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)ブチル)ピペラジン-2,5-ジオン)である。cKK-E12の構造を以下に示す:
【化3】
【0142】
カチオン性脂質のさらなる例として、式Iのカチオン性脂質と、
【化4】
その薬学的に許容される塩とが挙げられ、
式中、
Rは
【化5】
(「OF-00」)であるか、
Rは
【化6】
(「OF-01」)であるか、
Rは
【化7】
(「OF-02」)であるか、または
Rは
【化8】
(「OF-03」)である(例えば、Fenton,Owen S.,et al.“Bioinspired Alkenyl Amino Alcohol Ionizable Lipid Materials for Highly Potent In Vivo mRNA Delivery.”Advanced materials(2016)を参照のこと)。
【0143】
一部の実施形態では、本発明に適した一種以上のカチオン性脂質は、N-[l-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド、または「DOTMA」であってもよい。(Feigner et al.(Proc.Nat’l Acad.Sci.84,7413(1987);米国特許第4,897,355号)。他の好適なカチオン性脂質として、例えば、5-カルボキシスペルミルグリジンジオクタデシルアミド(carboxyspermylglycinedioctadecylamide)すなわち「DOGS」、2,3-ジオレイルオキシ-N-[2(スペルミン-カルボキサミド)エチル]-N,N-ジメチル-l-プロパンアミニウムすなわち「DOSPA」(Behr et al.Proc.Nat.’l Acad.Sci.86,6982(1989);米国特許第5,171,678号、米国特許第5,334,761号)、l,2-ジオレオイル-3-ジメチルアンモニウム-プロパンすなわち「DODAP」、l,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパンすなわち「DOTAP」が挙げられる。
【0144】
さらなる例示的なカチオン性脂質として、l,2-ジステアリルオキシ-N,N-ジメチル-3-アミノプロパンまたは「DSDMA」、1,2-ジオレイルオキシ-N,N-ジメチル-3-アミノプロパンまたは「DODMA」、1,2-ジリノレイルオキシ-N,N-ジメチル-3-アミノプロパンまたは「DLinDMA」、l,2-ジリノレニルオキシ-N,N-ジメチル-3-アミノプロパンまたは「DLenDMA」、N-ジオレイル-N,N-ジメチルアンモニウムクロリドまたは「DODAC」、N,N-ジステアリル-N,N-ジメチルアンモニウムブロミドまたは「DDAB」、N-(l,2-ジミリスチルオキシプロプ-3-イル)-N,N-ジメチル-N-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミドまたは「DMRIE」、3-ジメチルアミノ-2-(コレスト-5-エン-3-ベータ-オキシブタン-4-オキシ)-l-(シス,シス-9,12-オクタデカジエノキシ)プロパンまたは「CLinDMA」、2-[5’-(コレスト-5-エン-3-ベータ-オキシ)-3’-オキサペントキシ)-3-ジメチル-l-(シス,シス-9’,l-2’-オクタデカジエノキシ)プロパンまたは「CpLinDMA」、N,N-ジメチル-3,4-ジオレイルオキシベンジルアミンまたは「DMOBA」、1,2-N,N’-ジオレイルカルバミル-3-ジメチルアミノプロパンまたは「DOcarbDAP」、2,3-ジリノレオイルオキシ-N,N-ジメチルプロピルアミンまたは「DLinDAP」、l,2-N,N’-ジリノレイルカルバミル-3-ジメチルアミノプロパンまたは「DLincarbDAP」、l,2-ジリノレイルカルバミル-3-ジメチルアミノプロパンまたは「DLinCDAP」、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノメチル-[l,3]-ジオキソランまたは「DLin- -DMA」、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノエチル-[l,3]-ジオキソランまたは「DLin-K-XTC2-DMA」、及び2-(2,2-ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,l 2-ジエン-1-イル)-l,3-ジオキソラン-4-イル)-N,N-ジメチルエタンアミン(DLin-KC2-DMA))(国際公開第2010/042877号;Semple et al.,Nature Biotech.28:172-176(2010)を参照のこと)、またはこれらの混合物が挙げられる。(Heyes,J.,et al.,J Controlled Release 107:276-287(2005);Morrissey,DV.,et al.,Nat.Biotechnol.23(8):1003-1007(2005);PCT公開第WO2005/121348A1号)。一部の実施形態では、カチオン性脂質のうちの一つ以上は、イミダゾール部分、ジアルキルアミノ部分、またはグアニジウム部分のうちの少なくとも一つを含む。
【0145】
一部の実施形態では、一種以上のカチオン性脂質は、XTC(2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノエチル-[1,3]-ジオキソラン)、MC3(((6Z,9Z,28Z,31Z)-ヘプタトリアコンタ-6,9,28,31-テトラエン-19-イル 4-(ジメチルアミノ)ブタノエート)、ALNY-100((3aR,5s,6aS)-N,N-ジメチル-2,2-ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)テトラヒドロ-3aH-シクロペンタ[d][1,3]ジオキソール-5-アミン))、NC98-5(4,7,13-トリス(3-オキソ-3-(ウンデシルアミノ)プロピル)-N1,N16-ジウンデシル-4,7,10,13-テトラアザへキサデカン-1,16-ジアミド)、DODAP(1,2-ジオレイル-3-ジメチルアンモニウムプロパン)、HGT4003(国際公開第2012/170889号、その教示は、その全体が参照により本明細書に援用される)、ICE(国際公開第2011/068810号、その教示は、その全体が参照により本明細書に援用される)、HGT5000(米国仮特許出願第61/617,468号、その教示は、その全体が参照により本明細書に援用される)またはHGT5001(シスまたはトランス)(仮特許出願第61/617,468号)、国際公開第2010/053572号に開示されるものなどのアミノアルコールリピドイド、DOTAP(1,2-ジオレイル-3-トリメチルアンモニウムプロパン)、DOTMA(1,2-ジ-O-オクタデセニル-3-トリメチルアンモニウムプロパン)、DLinDMA(Heyes,J.;Palmer,L.;Bremner,K.;MacLachlan,I.“Cationic lipid saturation influences intracellular delivery of encapsulated nucleic acids”J.Contr.Rel.2005,107,276-287)、DLin-KC2-DMA(Semple,S.C.et
al.“Rational Design of Cationic Lipids for siRNA Delivery”Nature Biotech.2010,28,172-176)、C12-200(Love,K.T.et al.“Lipid-like materials for low-dose in vivo gene silencing”PNAS 2010,107,1864-1869)から選択され得る。
【0146】
一部の実施形態では、一種以上のカチオン性脂質は、アミノ脂質である。本発明での使用に適したアミノ脂質は、国際公開第2017180917号に記載されているものを含み、これは参照により本明細書に援用される。国際公開第2017180917におけるアミノ脂質の例としては、DLin-MC3-DMA(MC3)、(13Z,16Z)-N,N-ジメチル-3-ノニルドコサ-13,16-ジエン-1-アミン(L608)、及び化合物18などの段落[0744]で記載されたものが挙げられる。その他のアミノ脂質には、化合物2、化合物23、化合物27、化合物10、および化合物20が含まれる。本発明での使用に適したさらなるアミノ脂質には、国際公開第2017112865号に記載されているものが含まれ、これは参照により本明細書に援用される。国際公開第2017112865号における例示的なアミノ脂質は、式(I)、(Ial)-(Ia6)、(lb)、(II)、(Ila)、(III)、(Ilia)、(IV)、(17-1)、(19-1)、(19-11)、および(20-1)のうちの一つによる化合物と、段落[00185]、[00201]、[0276]の化合物を含む。いくつかの実施形態では、本発明での使用に適したカチオン性脂質は、国際公開第2016118725号に記載されているものを含み、これは参照により本明細書に援用される。国際公開第2016118725号における典型的なカチオン性脂質は、KL22およびKL25などのものを含む。いくつかの実施形態では、本発明での使用に適したカチオン性脂質は、国際公開第2016118724号に記載されているものを含み、これは参照により本明細書に援用される。国際公開第2016118725号におけるカチオン性脂質の例としては、KL10、1,2-ジグリノレイロキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLin-DMA)、及びKL25などのものが挙げられる。
【0147】
いくつかの実施形態では、カチオン性脂質は、重量またはモルで、適切な脂質溶液中の合計脂質の少なくとも約5%、10%、20%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、または70%を構成する。一部の実施形態では、カチオン性脂質は、重量またはモルで、総脂質混合物の約30~70重量%(例えば、約30~65%、約30~60%、約30~55%、約30~50%、約30~45重量%、約30~40重量%、約35~50重量%、約35~45重量%、または約35~40重量%)を構成する。

非カチオン性/ヘルパー脂質
【0148】
本明細書で使用される場合、語句「非カチオン性脂質」は、任意の中性脂質、双性イオン性脂質、または陰イオン性脂質を意味する。本明細書で使用される場合、語句「カチオン性脂質」は、生理学的pHなどの選択されたpHで正味の負電荷を運ぶ多数の脂質種のいずれかを指す。非カチオン性脂質として、以下に限定されないが、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、パルミトイルオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(POPE)、ジオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-l-カルボキシレート(DOPE-mal)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスホエタノールアミン(DMPE)、ジステアロイル-ホスファチジル-エタノールアミン(DSPE)、16-O-モノメチルPE、16-O-ジメチルPE、18-1-トランスPE、l-ステアロイル-2-オレオイル-ホスファチジエタノールアミン(SOPE)、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0149】
いくつかの実施形態では、非カチオン性脂質は、重量またはモルで、適切な脂質溶液中の合計脂質の少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%または70%を構成しうる。いくつかの実施形態では、非カチオン性脂質は、重量またはモルで、適切な脂質溶液中の合計脂質の約30~50%(例えば、約30~45%、約30~40%、約35~50%、約35~45%、または約35~40%)を構成する。
コレステロール系脂質
【0150】
いくつかの実施形態では、適切な脂質溶液は、一種以上のコレステロール系脂質を含む。例として、好適なコレステロール系カチオン性脂質として、例えば、DC-Choi(N,N-ジメチル-N-エチルカルボキサミドコレステロール)、l,4-ビス(3-N-オレイルアミノ-プロピル)ピペラジン(Gao,et al.Biochem.Biophys.Res.Comm.179,280(1991);Wolf et al.BioTechniques 23,139(1997);米国特許第5,744,335号)、またはICEが挙げられる。いくつかの実施形態では、コレステロール系脂質は、重量またはモルで、適切な脂質溶液中の合計脂質の少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、または70%を構成する。いくつかの実施形態では、コレステロール系脂質は、重量またはモルで、適切な脂質溶液中の合計脂質の約30~50%(例えば、約30~45%、約30~40%、約35~50%、約35~45%、または約35~40%)を構成する。
PEG化脂質
【0151】
いくつかの実施形態では、適切な脂質溶液は、一種以上のPEG化脂質を含む。例えば、ポリエチレングリコール(PEG)修飾リン脂質およびN-オクタノイル-スフィンゴシン-l-[スクシニル(メトキシポリエチレングリコール)-2000](C8 PEG-2000セラミド)を含めた誘導体化されたセラミド(PEG-CER)などの誘導体化脂質も、本発明により企図される。企図されるPEG修飾脂質は、長さがC-C20のアルキル鎖を有する脂質に共有結合された長さ最大2kDa、最大3kDa、最大4kDa、または最大5kDaのポリエチレングリコール鎖を含むが、これらに限定されない。一部の実施形態では、PEG修飾またはPEG化脂質は、PEG化コレステロールまたはPEG-2Kである。一部の実施形態では、特定の有用な交換可能な脂質は、より短いアシル鎖(例えば、C14またはC18)を有するPEGセラミドである。
【0152】
PEG修飾リン脂質および誘導体化脂質は、重量またはモルで、適切な脂質溶液中の合計脂質の少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、または70%を構成しうる。いくつかの実施形態では、PEG化脂質脂質は、重量またはモルで、適切な脂質溶液中の合計脂質の約30~50%(例えば、約30~45%、約30~40%、約35~50%、約35~45%、または約35~40%)を構成する。
【0153】
予め形成された脂質ナノ粒子を調製するために使用でき、それに含まれる脂質、すなわち、カチオン性脂質、非カチオン性脂質、PEG修飾脂質、および任意選択的にコレステロールの種々の組み合わせが、文献および本明細書に記載される。例えば、適切な脂質溶液は、CKK-E12、DOPE、コレステロール、およびDMG-PEG2K;C12-200、DOPE、コレステロールおよびDMG-PEG2K;HGT5000、DOPE、コレステロールおよびDMG-PEG2K;HGT5001、DOPE、コレステロールおよびDMG-PEG2K;cKK-E12、DPPC、コレステロールおよびDMG-PEG2K;C12-200、DPPC、コレステロール、およびDMG-PEG2K;HGT5000、DPPC、コール、およびDMG-PEG2K;HGT5001、DPPC、コレステロール、およびDMG-PEG2K;またはICE、DOPE、およびDMG-PEG2Kを含有してもよい。脂質のさらなる組み合わせは、当該技術分野、例えば、米国特許第62/420,421号(2016年11月10日出願)、米国特許第62/421,021号(2016年11月11日出願)、米国特許第62/464,327号(2017年2月27日出願)、および名称「mRNAの送達のための新規ICEベースの脂質ナノ粒子製剤」のPCT出願(2017年11月10日出願)に記載され、これらの開示は、全範囲が、参照により本明細書に含まれる。脂質混合物を含むカチオン性脂質、非カチオン性脂質、及び/またはPEG修飾脂質の選択、ならびにこれらの脂質の相互の相対的モル比は、選択される脂質の特徴、ならびに封入されるべきmRNAの性質および特徴に基づいく。さらなる考慮すべき事項には、例えば、選択される脂質のアルキル鎖の飽和度、ならびに大きさ、電荷、pH、pKa、融合性、及び毒性が含まれる。したがって、モル割合はそれらに応じて調節され得る。
予め形成されたナノ粒子の製剤および混合プロセス
【0154】
本発明は、空の予め形成された脂質ナノ粒子(すなわち、mRNAが存在しないで形成された脂質ナノ粒子)とmRNAを混合することが、得られた封入されたmRNAに効力および有効性をもたらすという驚くべき予期せぬ効果の発見に基づく。
【0155】
いくつかの以前に開示されたプロセスにおいては、名称「メッセンジャーRNAの封入」の米国特許出願第14/790,562号(2015年7月2日出願)およびその米国仮特許出願第62/020,163号(2014年7月2日出願)(これらの開示は、その全体が本明細書に組み込まれる)を参照し、いくつかの実施形態では、先行発明は、mRNA溶液と脂質溶液を混合することにより、脂質ナノ粒子中にメッセンジャーRNA(mRNA)を封入する工程を提供し、mRNA溶液および/または脂質溶液は、混合の前に、周囲温度より高い予め決められた温度まで加熱されて、mRNAを封入している脂質ナノ粒子が形成される。
【0156】
本発明は、mRNA含有脂質ナノ粒子を製剤する新規方法に関する。本発明では、mRNAを含有する脂質ナノ粒子を調製する新規のプロセスが特定され、これはこうした構成成分の追加順に起因し、得られた形成された粒子は改善された効力および有効性を示す条件下で、予め形成された脂質ナノ粒子をmRNAと組み合わせることを含む。構成成分の混合は、プロセスを通じて一定の脂質/mRNA(N/P)比を維持し、また容易なスケールアップをもたらすポンプシステムで達成される。いくつかの実施形態では、プロセスは、大規模で実施される。例えば、一部の実施形態では、本発明による組成物は、少なくとも約1mg、5mg、10mg、50mg、100mg、500mg、または1000mgの封入mRNAを含有する。
【0157】
mRNAの高い封入を達成するために、mRNAの特定のカチオン性脂質ナノ粒子製剤については、mRNAの保護および送達に必須であるが、クエン酸緩衝液中のmRNAは加熱されなければならない。それらのプロセスまたは方法では、製剤後(ナノ粒子の形成後)の加熱は、脂質ナノ粒子中のmRNAの封入効率を増加させないので、加熱は、製剤プロセス前に生じることが要求される(すなわち、別々の成分を加熱すること)。対照的に、本発明の新規のプロセスの一部の実施形態では、mRNAの加熱順序は、mRNAの封入率に影響を及ぼさないようである。いくつかの実施形態では、予め形成された脂質ナノ粒子を含む溶液、mRNAを含む溶液および脂質ナノ粒子で封入されたmRNAを含む混合溶液の一つ以上を加熱すること(すなわち、周囲温度で維持すること)は、製剤プロセスの前または後に行う必要がない。混合後の制御された温度変化は達成しやすいので、これは、潜在的には、精密にスケールアップに大きな利点をもたらす。
【0158】
この新規なプロセスでは、一部の実施形態では、mRNAを空の(すなわち、mRNAのない)予め形成された脂質ナノ粒子と混合する工程を使用することによりmRNAを封入すること(プロセスB)は、mRNAを脂質成分のみと混合すること(すなわち、脂質ナノ粒子に予め形成されない)によりmRNAを封入すること(プロセスA)と比較して、顕著により高い効力をもたらす。以下の実施例、例えば、表3および4に記載されるように、試験された、脂質ナノ粒子に封入された任意のmRNAの効力は、プロセスAと比較して、プロセスBによって調製された場合、100%より高い効力から1000%より高い効力である。
【0159】
いくつかの実施形態では、mRNAのない空の(すなわち、mRNAのない)脂質ナノ粒子は、溶媒中に溶解した脂質を含む脂質溶液と水性/緩衝溶液を混合することにより形成される。いくつかの実施形態では、溶媒はエタノールであり得る。いくつかの実施形態では、水溶液は、クエン酸緩衝液であり得る。
【0160】
本明細書で使用される場合、用語「周囲温度」は、部屋の温度、あるいは加熱または冷却なしに、関心対象の物体(例えば、予め形成された空の脂質ナノ粒子溶液、mRNA溶液、もしくはmRNAを含む脂質ナノ粒子溶液)を囲む温度を意味する。いくつかの実施形態では、一つ以上の溶液が維持される周囲温度は、約35℃、30℃、25℃、20℃、または16℃未満である。いくつかの実施形態では、一つ以上の溶液が保持される周囲温度は、約15~35℃、約15~30℃、約15~25℃、約15~20℃、約20~35℃、約25~35℃、約30~35℃、約20~30℃、約25~30℃または約20~25℃の範囲である。いくつかの実施形態では、一つ以上の溶液が維持される周囲温度は20~25℃である。
【0161】
したがって、周囲温度よりも高い予め決められた温度は典型的には約25℃より高い。いくつかの実施形態では、本発明に適した予め決められた温度は、約30℃、37℃、40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、または70℃以上である。いくつかの実施形態では、本発明に適した予め決められた温度は、約25~70℃、約30~70℃、約35~70℃、約40~70℃、約45~70℃、約50~70℃、または約60~70℃以上である。特定の実施形態では、本発明に適した予め決められた温度は約65℃である。
【0162】
いくつかの実施形態では、mRNAもしくは予め形成された空(すなわち、mRNAのない)脂質ナノ粒子溶液、または両方は、混合前に周囲温度より高い予め決められた温度に加熱されてもよい。いくつかの実施形態では、mRNAおよび予め形成された空の脂質ナノ粒子溶液は、混合前に別々に予め決められた温度に加熱される。いくつかの実施形態では、mRNAおよび予め形成された空の脂質ナノ粒子溶液は、周囲温度で混合されるが、次に、混合後に予め決められた温度まで加熱される。いくつかの実施形態では、予め形成された空の脂質ナノ粒子溶液は、予め決められた温度に加熱され、周囲温度でmRNAと混合される。いくつかの実施形態では、mRNA溶液は、予め決められた温度に加熱され、周囲温度で予め形成された空の脂質ナノ粒子溶液と混合される。
【0163】
いくつかの実施形態では、mRNA溶液は、所望の予め決められた温度を達成するために、周囲温度にあるmRNAストック溶液を加熱された緩衝溶液に添加することによって、予め決められた温度に加熱される。
【0164】
いくつかの実施形態では、溶解した脂質を含む脂質溶液、もしくは水性/緩衝溶液、または両方は、混合前に周囲温度より高い予め決められた温度に加熱されてもよい。いくつかの実施形態では、溶解した脂質を含む脂質溶液および水溶液は、混合前に別々に予め決められた温度に加熱される。いくつかの実施形態では、溶解した脂質を含む脂質溶液および水溶液は、周囲温度で混合されるが、次に、混合後に予め決められた温度まで加熱される。いくつかの実施形態では、溶解した脂質を含む脂質溶液は、予め決められた温度に加熱され、周囲温度で水溶液と混合される。いくつかの実施形態では、水溶液は、予め決められた温度に加熱され、周囲温度で溶解した脂質を含む脂質溶液と混合される。いくつかの実施形態では、予め形成された脂質ナノ粒子を含む溶液、mRNAを含む溶液および脂質ナノ粒子で封入されたmRNAを含む混合溶液の一つ以上を加熱することは、製剤プロセスの前または後に起こらない。
【0165】
いくつかの実施形態では、脂質溶液および水性または緩衝溶液は、ポンプを使用して混合されうる。いくつかの実施形態では、mRNA溶液および予め形成された空の脂質ナノ粒子溶液は、ポンプを使用して混合されうる。封入手段は、広範囲のスケールで起こり得るため、望ましいスケールに順応するために異なるタイプのポンプが使用されうる。しかしながら、一般的にはパルスより小さな流れポンプを使用することが望ましい。本明細書で使用される場合、パルスレスフローポンプは、安定した流量と連続的な流れを確立できる任意のポンプを意味する。適切なポンプのタイプには、ギアポンプおよび遠心ポンプが含まれうるが、これに限定されない。例示的ギアポンプとしては、コール-パーマーまたはジーナーギアポンプが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な遠心ポンプとしては、限定されないが、グレンジャーまたはコールパーマーによって製造されるものが挙げられる。
【0166】
mRNA溶液および予め形成された空の脂質ナノ粒子溶液は、様々な流量で混合されうる。典型的には、mRNA溶液は、脂質溶液のものよりも速い速度で混合されてもよい。例えば、mRNA溶液は、脂質溶液の速度よりも少なくとも1×、2×、3×、4×、5×、6×、7×、8×、9×、10×、15×または20×の速度で混合されてもよい。
【0167】
混合に適切な流量は、スケールに基づいて決定されうる。いくつかの実施形態では、mRNA溶液は、約40~400ml/分、60~500ml/分、70~600ml/分、80~700ml/分、90~800ml/分、100~900ml/分、110~1000ml/分、120~1100ml/分、130~1200ml/分、140~1300ml/分、150~1400ml/分、160~1500ml/分、170~1600ml/分、180~1700ml/分、150~250ml/分、250~500ml/分、500~1000ml/分、1000~2000ml/分、2000~3000ml/分、3000~4000ml/分、または4000~5000ml/分の範囲の流量で混合される。いくつかの実施形態では、mRNA溶液は、約200ml/分、約500ml/分、約1000ml/分、約2000ml/分、約3000ml/分、約4000ml/分、または約5000ml/分の流量で混合される。
【0168】
いくつかの実施形態では、脂質溶液または予め形成された脂質ナノ粒子溶液は、約25~75ml/分、20~50ml/分、25~75ml/分、30~90ml/分、40~100ml/分、50~110ml/分、75~200ml/分、200~350ml/分、350~500ml/分、500~650ml/分、650~850ml/分、または850~1000mlの範囲の流量で混合される。いくつかの実施形態では、脂質溶液は、約50ml/分、約100ml/分、約150ml/分、約200ml/分、約250ml/分、約300ml/分、約350ml/分、約400ml/分、約450ml/分、約500ml/分、約550ml/分、約600ml/分、約650ml/分、約700ml/分、約750ml/分、約800ml/分、約850ml/分、約900ml/分、約950ml/分、または約1000ml/分の流量で混合される。
【0169】
一般に、一部の実施形態では、溶解した脂質を含む脂質溶液および水性または緩衝溶液は、脂質がmRNAなしでナノ粒子(または空の予め形成された脂質ナノ粒子)を形成できるように、溶液に混合される。いくつかの実施形態では、mRNA溶液および予め形成された脂質ナノ粒子溶液は、mRNAが脂質ナノ粒子内に封入されるように、溶液に混合される。こうした溶液は、製剤または封入溶液とも呼ばれる。適切な製剤または封入溶液は、エタノールなどの溶媒を含む。例えば、適切な製剤または封入溶液は、約10%エタノール、約15%エタノール、約20%エタノール、約25%エタノール、約30%エタノール、約35%エタノール、または約40%エタノールを含む。
【0170】
いくつかの実施形態では、適切な製剤または封入溶液は、イソプロピルアルコールなどの溶媒を含む。例えば、適切な製剤または封入溶液は、約10%イソプロピルアルコール、約15%イソプロピルアルコール、約20%イソプロピルアルコール、約25%イソプロピルアルコール、約30%イソプロピルアルコール、約35%イソプロピルアルコール、または約40%イソプロピルアルコールを含む。
【0171】
いくつかの実施形態では、適切な製剤または封入溶液は、ジメチルスルホキシドなどの溶媒を含む。例えば、適切な製剤または封入溶液は、約10%ジメチルスルホキシド、約15%ジメチルスルホキシド、約20%ジメチルスルホキシド、約25%ジメチルスルホキシド、約30%ジメチルスルホキシド、約35%ジメチルスルホキシド、または約40%ジメチルスルホキシドを含む。
【0172】
いくつかの実施形態では、適切な製剤または封入溶液は、緩衝剤または塩も含みうる。例示的な緩衝剤には、HEPES、硫酸アンモニウム、重炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸カリウムおよびリン酸ナトリウムが含まれうる。例示的な塩は、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、および塩化カリウムを含む。いくつかの実施形態では、この新規ナノ粒子製剤を作製する際に使用される空の予め形成された脂質ナノ粒子製剤は、10%トレハロース溶液中で安定的に凍結させることができる。
【0173】
いくつかの実施形態では、この新規ナノ粒子製剤を作製する際に使用される空の(すなわち、mRNAのない)予め形成された脂質ナノ粒子製剤は、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、または約50%トレハロース溶液中に安定的に凍結されうる。いくつかの実施形態では、空の脂質ナノ粒子にmRNAを添加すると、下流の精製または処理を必要としない最終製剤が得られ、凍結形態で安定的に保存されうる。
【0174】
いくつかの実施形態では、エタノール、クエン酸緩衝液、および他の不安定化剤は、mRNAの添加中に存在せず、そのため製剤はさらなる下流処理を必要としない。いくつかの実施形態では、この新規プロセスにより調製される脂質ナノ粒子製剤であり、トレハロース溶液中の予め形成された脂質ナノ粒子から成る。不安定化剤の欠如およびトレヘルス溶液の安定性は、製剤のスケールアップおよびmRNAを封入した脂質ナノ粒子の産生の容易さを増加させる。
精製
【0175】
いくつかの実施形態では、空の予め形成された脂質ナノ粒子またはmRNAを含有する脂質ナノ粒子は、精製され、および/または濃縮される。様々な精製方法を使用してもよい。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、接線流ろ過を使用して精製される。交差流ろ過とも呼ばれる接線流ろ過(TFF)は濾過のタイプであり、濾過されるべき物質は、フィルターを通過するよりむしろ、その接線方向に通過する。TFFでは、望ましくない透過物はフィルターを通過し、一方で望ましい保持物はフィルターに沿って通過し、下流に収集される。望ましい物質は、通常はTFFにおいて保持物に含有され、通常の全量濾過において普通出会うものの反対であることに注意することが重要である。
【0176】
濾過されるべき物質に応じて、TFFは通常、微量濾過または限外ろ過のいずれかに使用される。微量濾過は、典型的には、フィルターが0.05μm~1.0μm(それぞれを含む)の孔径を有する場合として定義され、一方で限外ろ過は通常、0.05μm未満の孔径を有するフィルターを伴う。孔サイズはまた、特定のフィルターについて分子量カットオフ(MWCO)とも呼ばれる公称分画分子量(NMWL)を決定し、これは、1,000キロダルトン(kDa)を超えるNMWLを典型的に有する微量濾過膜、およびマイクロ濾過膜および1kDa~1,000kDaのNMWLを有する限外濾過フィルターを有する。
【0177】
接線流ろ過の主な利点は、従来的な「全量」濾過の間にフィルターに凝集してフィルターを塞ぎ、代わりにフィルターの表面に沿って運ばれる非透過性粒子(ときに、「濾過ケーク」と呼ばれる)である。この利点により、フィルターは一般的に除去および掃除される必要がないため、中断時間が有意に低減されるので、連続的な操作を必要とする工業プロセスで接線流ろ過を広く使用できるようになる。
【0178】
接線流ろ過は、特に濃縮及び透析ろ過を含むいくつかの目的に使用することができる。濃縮は、溶媒が溶液から除去され、一方溶質分子は保持される、プロセスである。試料を効果的に濃縮するために、保持されるべき溶質分子の分子量よりも実質的に小さいNMWLまたはMWCOを有する膜が使用される。一般的に、当業者は、標的分子の分子量より3~6倍小さいNMWLまたはMWCOを有するフィルターを選択し得る。
【0179】
透析ろ過は分画プロセスであり、それによって小さな望ましくない粒子がフィルターを通過し、一方大きな所望のナノ粒子は、溶液中のそれらのナノ粒子の濃度を変化させることなく、保持物内に維持される。透析ろ過は、溶液から塩または反応緩衝液を除去するためにしばしば使用される。透析ろ過は、連続または不連続のいずれかであってもよい。連続透析ろ過では、透析ろ過溶液を、濾液が生成されるのと同じ速度で試料供給に添加する。不連続透析ろ過では、溶液はまず希釈され、次に開始濃度まで濃縮される。不連続透析ろ過は、所望のナノ粒子濃度に達するまで繰り返されてもよい。
【0180】
精製および/または濃縮された脂質ナノ粒子は、例えば、PBSなどの望ましい緩衝液中で製剤化されうる。
提供されるmRNAを封入しているナノ粒子
【0181】
本発明によるプロセスは、より高い効力および有効性をもたらし、それによってより低い用量を可能にし、それによって治療指数を正の方向にシフトさせる。いくつかの実施形態では、本発明によるプロセスは、従来の技術のプロセスと比較して、均質かつ小さな粒子サイズ(例えば、150nm未満)、ならびに有意に改善された封入効率および/またはmRNA回収率をもたらす。
【0182】
したがって、本発明は、本明細書に記載の精製されたナノ粒子を含む組成物を提供する。いくつかの実施形態では、組成物中の精製されたナノ粒子の大部分、すなわち、精製されたナノ粒子の約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%は、約150nm(例えば、約145nm、約140nm、約135nm、約130nm、約125nm、約120nm、約115nm、約110nm、約105nm、約100nm、約95nm、約90nm、約85nm、または約80nm)のサイズを有する。いくつかの実施形態では、精製されたナノ粒子の実質的にすべてが、約150nm(例えば、約145nm、約140nm、約135nm、約130nm、約125nm、約120nm、約115nm、約110nm、約105nm、約100nm、約95nm、約90nm、約85nm、または約80nm)のサイズを有する。
【0183】
さらに、細い粒子サイズ範囲を有するより均質なナノ粒子が、本発明のプロセスによって達成される。例えば、本発明により提供される組成物中の精製されたナノ粒子の約70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%より多くが、約75~150nm(例えば、約75~145nm、約75~140nm、約75~135nm、約75~130nm、約75~125nm、約75~120nm、約75~115nm、約75~110nm、約75~105nm、約75~100nm、約75~95nm、約75~90nm、または75~85nm)の範囲のサイズを有する。いくつかの実施形態では、精製されたナノ粒子の実質的にすべてが、約75~150nm(例えば、約75~145nm、約75~140nm、約75~135nm、約75~130nm、約75~125nm、約75~120nm、約75~115nm、約75~110nm、約75~105nm、約75~100nm、約75~90nm、または75~85nm)の範囲のサイズを有する。
【0184】
いくつかの実施形態では、本発明により提供される組成物中のナノ粒子の、分子のサイズの分散性、または分子のサイズの不均一性の測定値(PDI)は、約0.23未満(例えば、約0.23、0.22、0.21、0.20、0.19、0.18、0.17、0.16、0.15、0.14、0.13、0.12、0.11、0.10、0.09、または0.08未満)である。特定の実施形態では、PDIは約0.16未満である。
【0185】
いくつかの実施形態では、本発明により提供される組成物中の精製された脂質ナノ粒子の約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%より多くが、各々個別粒子内にmRNAを封入する。いくつかの実施形態では、組成物中の精製された脂質ナノ粒子の実質的にすべてが、各々個々の粒子内にmRNAを封入する。
【0186】
いくつかの実施形態では、本発明による組成物には、少なくとも約1mg、5mg、10mg、100mg、500mg、または1000mgの封入されたmRNAが含まれる。いくつかの実施形態では、本発明によるプロセスは、mRNAの60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%を超える回収をもたらす。
【0187】
いくつかの実施形態では、本発明による組成物は、用量を対象に投与するために製剤される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるmRNA脂質ナノ粒子の組成物は、1.0mg/kg mRNA脂質ナノ粒子(例えば、0.6mg/kg、0.5mg/kg、0.3mg/kg、0.016mg/kg)未満の用量濃度で製剤化される。0.05mg/kg、および0.016mg/kg。いくつかの実施形態では、用量は、より低い用量が高い効力および有効性を生じるという予想外の知見に起因し、減少される。いくつかの実施形態では、用量は約70%、65%、60%、55%、50%、45%または40%減少する。
【0188】
いくつかの実施形態では、プロセスBにより産生されたmRNAを封入した脂質ナノ粒子の効力は、プロセスAと比較して、プロセスBによって調製された時、100%より高い(すなわち、200%より高い、300%より高い、400%より高い、500%より高い、600%より高い、700%より高い、800%より高い、または900%より高い)効力から、1000%より高い効力である。
【実施例0189】
本発明の特定の化合物、組成物、及び方法について、特定の実施形態に従って具体的に説明してきたが、以下の実施例は、本発明を単に説明するという役割を果たすものであり、それを制限することを意図するものではない。
脂質材料
【0190】
以下の実施例に記載されている製剤は、特に規定されない限り、以前に考察するように、様々な核酸材料を封入するよう設計された一つ以上のカチオン性脂質、ヘルパー脂質(例えば、非カチオン性脂質、および/またはコレステロール脂質)ならびにPEG化脂質を用いた、変動する割合の多成分の脂質混合物を含む。
実施例1.脂質ナノ粒子製剤プロセスA
【0191】
この例は、mRNAを封入するための例示的な脂質ナノ粒子製剤プロセスを例示する。本明細書で使用される場合、プロセスAは、最初に脂質を脂質ナノ粒子に予め形成することなく、mRNAを脂質の混合物と混合することによってmRNAを封入する方法を指す。以下に記載するプロセスBと比較して、プロセスAは脂質ナノ粒子の予め形成を伴わない。
【0192】
例示的な製剤プロセスAが、図1に示される。このプロセスでは、一部の実施形態では、エタノール脂質溶液およびmRNAの緩衝液溶液を別個に調製した。脂質の混合物(カチオン性脂質、ヘルパー脂質、双性イオン脂質、PEG脂質など)の溶液を、エタノール中で溶解することによって調製した。mRNAをクエン酸緩衝液中に溶解することによってmRNA溶液を調製し、pH4.5のクエン酸緩衝液中0.0833mg/mlの濃度でmRNAを得た。図1に示すように、その後、混合前に、混合物両方を、65℃に加熱した。次に、これらの2つの溶液をポンプシステムを使用して混合した。一部の実例では、2つの溶液をギアポンプシステムを使用して混合した。特定の実施形態では、2つの溶液を「T」接合部(または「Y」接合部)を使用して混合した。次いで、混合物をTFFプロセスで透析ろ過により精製した。結果として得られた製剤を、濃縮し、さらなる使用まで2~8℃で保存した。
実施例2.予め形成された脂質ナノ粒子を用いた、脂質ナノ粒子製剤プロセスB
【0193】
本実施例は、mRNAを封入するための模範的プロセスBを例示する。本明細書で使用される場合、プロセスBは、予め形成された脂質ナノ粒子をmRNAと混合することによってメッセンジャーRNA(mRNA)を封入するプロセスを指す。変化する温度(すなわち、混合物の加熱または非加熱)、緩衝液、および濃度などの広範囲の異なる条件が、プロセスBに用いられてもよい。このおよび他の例で説明した例示的な条件は、例示目的のみである。
【0194】
例示的な製剤プロセスBは、図2に示される。このプロセスでは、一部の実施形態では、エタノールおよびクエン酸緩衝液に溶解した脂質を、ポンプシステムを使用して混合した。2つの流れの瞬間混合により、空の脂質ナノ粒子が形成され、これは自己組織化プロセスであった。得られた製剤混合物は、アルコールを含有するクエン酸緩衝液中の空の脂質ナノ粒子であった。次いで、製剤をTFF精製プロセスに供し、バッファ交換を行った。次いで、予め形成された空の脂質ナノ粒子の得られた懸濁液をポンプシステムを使用してmRNAと混合した。ある特定のカチオン性脂質については、混合後の溶液の加熱によって、mRNAを含む脂質ナノ粒子の割合が高く、mRNAの合計収率が高くなった。
【0195】
加えて、プロセスBにおけるmRNAの添加中のクエン酸緩衝液の存在の効果を研究した。表1は、クエン酸緩衝液(Ph4.5)を伴う脂質ナノ粒子製剤プロセスBの封入効率の例を示す。予め形成された空の脂質ナノ粒子とmRNAの混合中にクエン酸緩衝液が存在した場合、mRNAの封入効率の減少を観察した。クエン酸緩衝液の存在下で、脂質ナノ粒子製剤プロセスBの封入効率は60%未満であった。クエン酸緩衝液を含まないプロセスBによって調製された脂質ナノ粒子製剤の封入効率は、90%以上であった。
表1 クエン酸緩衝液を含むプロセスBおよび含まないプロセスBを用いた脂質ナノ粒子製剤の封入効率。
【表1】
実施例3.spfash マウスにおける発現したhOTCのin vivo活性
【0196】
本実施例は、プロセスBによって生成された脂質ナノ粒子を介して送達されたmRNAは、プロセスAによって生成されたものより予想外により効果的であったことを示している。
【0197】
この例では、OTC spfashマウスに、プロセスAまたはプロセスBにより調製された脂質ナノ粒子に封入されたhOTC mRNAの単回0.5mg/kg用量を投与した。これらのマウス由来の肝組織を、シトルリン産生について投与の24時間後に解析した。製剤を、保存することなく混合した直後にまず試験し、ならびに製剤の混合後試験し、-80℃で2.5ヶ月間保存した。
【0198】
図3は、プロセスAまたはプロセスBによって作製された脂質ナノ粒子製剤に封入されたhOTC mRNAの単回0.5mg/kg投与の24時間後のOTC spfashマウスを示す。
【0199】
一般的に、シトルリンの産生を使用して、発現したhOTCタンパク質の活性を評価できる。図3に示すように、OTC spfashマウス肝臓における発現したhOTCタンパク質によるシトルリン活性を、それぞれプロセスAおよびプロセスBで作製された脂質ナノ粒子mRNA製剤の単回投与の24時間後に測定した。図3中のグラフ(i)は、製剤の混合直後、かつ保存時間なしに、それぞれ、プロセスAおよびプロセスBによる脂質ナノ粒子mRNA製剤の送達後、発現したhOTCに起因したシトルリン活性を示す。図3中のグラフ(ii)は、製剤の混合物を、2.5ヶ月間-80℃で保存後、それぞれ、プロセスAおよびプロセスBによる脂質ナノ粒子mRNA製剤の送達後、発現したhOTCに起因したシトルリン活性を示す。
【0200】
図3に示す結果は、予め形成された空の脂質ナノ粒子でプロセスBにより調製された製剤が、プロセスAによって調製された製剤と比較して、hOTCタンパク質の約3倍のシトルリン活性をもたらしたことを示す。グラフ(i)および(ii)に示した結果の類似性が証拠となる通り、プロセスAによってとプロセスBによっての産生された製剤の両方は、-80℃での延長した保存後、安定性および機能性を示した。
実施例4.異なるプロセスBパラメータ下でのspfashマウスにおける発現したhOTCのin vivo活性
【0201】
この実施例は、異なるパラメータを有するプロセスBによって製造された脂質ナノ粒子が、spfashマウスに送達されたとき、野生型マウスに見られるものに匹敵するシトルリン活性を導くことを示す。
【0202】
この実施例では、OTC spfashマウスに、プロセスAまたはプロセスBにより調製した脂質ナノ粒子に封入したhOTC mRNAの単回0.5mg/kg用量を投与した。これらのマウス由来の肝組織を、シトルリン産生について投与の24時間後に解析した。4つの異なる脂質ナノ粒子製剤を、それぞれが異なるタイプのポンプを使用して調製し、プロセスBによって作製した。
【0203】
図4は、プロセスAまたはプロセスBで作製した脂質ナノ粒子製剤に封入したhOTC
mRNAの単回0.5mg/kg投与の24時間後のOTC spfashのマウスの肝臓において発現したhOTCタンパク質(シトルリン産生について)の典型的な活性を示す。プロセスBで作製した脂質ナノ粒子製剤を、(1)ギアポンプを使用して、(2)ぜん動ポンプを使用して、(3)より低い流量でぜん動ポンプを使用して、および(4)異なる流量のmRNAと空の予め形成した脂質ナノ粒子を使用して、調製した。
【0204】
いくつかの実施形態では、プロセスBによる脂質ナノ粒子製剤を、表2に示す通り、異なるプロセスパラメータ下で調製することができる。
表2
【表2】
【0205】
いくつかの実施形態では、1~4に番号付けしたプロセスAおよびプロセスB製剤によって調製した異なる製剤を、in vivoで試験した。
【0206】
一般的に、シトルリンの産生を使用して、発現したhOTCタンパク質の活性を評価することができる。図4に示すように、OTC spfashマウス肝臓におけるhOTCタンパク質のシトルリン活性を、異なるパラメータを有するプロセスAまたはプロセスBのいずれかによって作製した脂質ナノ粒子mRNA製剤の単回投与の24時間後に測定した。
【0207】
図4に示すように、模範的データは、プロセスBによって作製した異なる脂質ナノ粒子製剤(1~4)をspfashマウスに投与した時に、処置は、野生型マウスのものと匹敵する、驚くべきレベルのhOTCタンパク質のシトルリン活性を導いたことを示す。同一の投薬レベル(0.5mg/kg)のOTC mRNAでは、プロセスBによって調製した脂質ナノ粒子製剤は、プロセスAによって調製した製剤の2~4倍高いin vivo活性を示した。
実施例5.293T細胞におけるin vitroのASS1発現
【0208】
本実施例は、プロセスBによって調製した脂質ナノ粒子が、遺伝子導入した細胞において予想外に高いタンパク質発現をもたらしたことを示している。
【0209】
図5は、プロセスAまたはプロセスBによって産生されたhASS1 mRNA(リポフェクタミンで)またはhASS1 mRNAを封入した脂質ナノ粒子(リポフェクタミンなし)のいずれかでのトランスフェクションの16時間後の、293T細胞におけるヒトASS1タンパク質発現の例を示す。
【0210】
この実施例では、プロセスAによってまたはプロセスBによって調製したASS1 mRNA脂質ナノ粒子製剤を用いて293T細胞を形質導入した。1μgのASS1をリポフェクタミンを使用して形質導入するか、または10μgの、脂質ナノ粒子製剤に封入したASS1 mRNAを、10細胞当たり24時間形質導入した。ASS1タンパク質発現を、ELISAによって決定した。
【0211】
図5に示すように、プロセスBにより調製した脂質ナノ粒子製剤は、プロセスAにより調製した製剤よりもずっと高いレベルのASS1タンパク質発現をもたらす。プロセスBによって調製した脂質ナノ粒子でのトランスフェクションから生じたASS1タンパク質発現のレベルは、ASS1 mRNA-リポフェクタミン複合体でのトランスフェクションから生じたレベルと同等であった。mRNA-リポフェクタミン複合体、脂質ナノ粒子製剤-プロセスA及び脂質ナノ粒子製剤-プロセスBについての10細胞当たりのASS1タンパク質レベルは、それぞれ、12.43、0.43、及び12.11μgであった。プロセスBによって調製した脂質ナノ粒子製剤を用いたトランスフェクションから生じたASS1タンパク質レベルは、プロセスAにより調製した脂質ナノ粒子製剤を用いたトランスフェクション由来のものの28倍であった。
実施例6.ラット肺におけるhCFTRのin vivo発現
【0212】
図6は、異なるカチオン性脂質を使用してプロセスBにより調製されhCFTR mRNA脂質ナノ粒子吸入の24時間後のラット肺中のhCFTRタンパク質の免疫組織化学的検出の例を示す。
【0213】
オスのスプラーグドーリーラットに、プロセスBにより調製されたhCFTR mRNAを含有する脂質ナノ粒子製剤を、吸入を介して投与した。cKK-E12、ICEまたはターゲット24脂質をカチオン性脂質として使用して、脂質ナノ粒子製剤を作製した。これらのラット由来の固定肺組織を、免疫組織化学染色によりhCFTRタンパク質の存在について解析した。
【0214】
気管支上皮細胞と肺胞領域の両方でタンパク質を検出した。生理食塩水で処置した対照ラットの肺における茶色の染色の欠如と比較して、すべてのmRNA脂質ナノ粒子試験物品群で、陽性(茶色)染色を観察した。ラットに、(i)生理食塩水、(ii)プロセスBにより調製したcKK-E12脂質の脂質ナノ粒子製剤、(iii)プロセスBにより調製したICE脂質の脂質ナノ粒子製剤、または(iv)プロセスBによって調製したターゲット24脂質の脂質ナノ粒子製剤を、吸入を介して投与した。
実施例7.マウス肺におけるhCFTRのin vivo発現
【0215】
図7は、プロセスBにより調製したhCFTR mRNA脂質ナノ粒子の吸入の24時間後のマウス肺におけるhCFTRタンパク質の免疫組織化学的検出の例を示す。
【0216】
この実施例において、C57BLマウスに、cKK-E12を含み、hCFTR mRNAを含有する、プロセスBによって調製した脂質ナノ粒子を吸入を介して投与した。これらのマウス由来の固定肺組織を、免疫組織化学染色によりhCFTRタンパク質の存在について解析した。
【0217】
気管支上皮細胞と肺胞領域の両方でタンパク質を検出した。生理食塩水で処置した対照マウスの肺における茶色の染色の欠如と比較して、mRNA脂質ナノ粒子試験物品群について陽性(茶色)染色を観察した。
実施例8.硝子体内投与後のマウスにおけるホタルルシフェラーゼタンパク質のin vivo発現
【0218】
本実施例は、プロセスBにより生成されたホタルルシフェラーゼ(FFL)mRNA担持脂質ナノ粒子の投与方法の例およびin vivoの標的組織におけるホタルルシフェラーゼの解析方法の例を解説する。
【0219】
図8は、脂質ナノ粒子に封入したFFL mRNAの硝子体内投与の24時間後の野生型マウスの生物発光画像を描写するものである。
【0220】
この実施例において、野生型マウスを、硝子体内投与を介してプロセスBにより産生されたFFLをコードするmRNAを封入している脂質ナノ粒子を用いて処置した。5μgのFFL mRNA脂質ナノ粒子を含む溶液をマウスの左眼に注入した。発光を、注射の24時間後にモニターした。
【0221】
図8に示す結果は、これらのマウスの眼における活性FFLタンパク質の十分な産生を表す、有意な発光を観察したことを示す。さらに、持続FFL活性を、少なくとも24時間維持した。
実施例9.局所眼適用後のマウスにおけるホタルルシフェラーゼタンパク質のin vivo発現
【0222】
本実施例は、プロセスBにより生成したホタルルシフェラーゼ(FFL)mRNA担持脂質ナノ粒子の投与方法の例およびin vivoの標的組織におけるホタルルシフェラーゼの解析方法の例を解説する。
【0223】
図9は、ポリビニルアルコールで製剤した脂質ナノ粒子に封入されたFFL mRNAを含有する点眼薬の局所適用の24時間後の野生型マウスの生物発光画像を描写する。
【0224】
この実施例では、野生型マウスを、局所適用(点眼)を介してプロセスBにより産生されたFFLをコードするmRNAを封入している脂質ナノ粒子を用いて処置した。ポリビニルアルコールを用いて製剤した5μgのFFL mRNA脂質ナノ粒子を含む溶液をマウスの右眼に適用した。発光を、適用の24時間後にモニターした。
【0225】
図9に示す結果は、これらのマウスの眼における活性FFLタンパク質の十分な産生を表す、有意な発光を観察したことを示す。さらに、持続FFL活性を、少なくとも24時間維持した。
実施例10.マウスで発現したPAHのin vivo活性
【0226】
この実施例では、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)ノックアウト(KO)マウスに、プロセスBによって産生された20.0mg/kg hPAH脂質ナノ粒子の単回皮下注射を投与した。マウス血清中のフェニルアラニンレベルを、投与の24時間後に測定した。
【0227】
図10は、プロセスBによって産生された脂質ナノ粒子に封入したヒトPAH(hPAH)mRNAでの処置の前および後の、PAH KOマウスにおける血清フェニルアラニンレベルの例を示す。血清試料を、単回皮下投与の24時間後に測定した。
【0228】
カスタムex vivo活性アッセイを使用して血清フェニルアラニン低下のレベルを測定することにより示すように、mRNA由来hPAHタンパク質は酵素的に活性であることを示した。一般的に、 血清フェニルアラニンの低減を使用して、効力(すなわち、発現したPAHタンパク質)の活性および送達方法の有効性を評価することができる。図10に示すように、PAH KOマウスにおける典型的な血清フェニルアラニンレベルを、皮下で送達されたプロセスBによって調製したhPAHmRNA製剤の単回投与の前および24時間後に測定した。比較として、生理食塩水で処置したPAH KOマウスにおける血清フェニルアラニンレベルも測定した。
【0229】
図10に示す結果は、皮下注射した脂質ナノ粒子hPAHmRNA製剤が、有意なフェニルアラニンレベルの減少をもたらしたことを示す。投与前および後の生理食塩水で処置したPAH KOマウスにおいてフェニルアラニンレベルにおける有意差は存在しなかった。
実施例11.マウスにおける発現したOTCのin vivo活性
【0230】
この実施例は、生理食塩水で処置したOTC KOspfashマウスおよびプロセスBによって作製したhOTC mRNA担持脂質ナノ粒子の皮下投与で処置したOTC KO spfashマウスの肝臓におけるOTCタンパク質のレベルの比較を示す。
【0231】
図11に示すように、OTC KOspfashマウスの肝臓における発現したhOTCタンパク質の結果としてのシトルリン産生の例を、プロセスBによって作製したhOTC mRNA製剤を封入している脂質ナノ粒子の単回皮下投与の24時間後に測定した。加えて、OTC KOspfashマウスの肝臓におけるシトルリン産生を、生理食塩水を注入した後に、測定した。
【0232】
図11に示す結果は、プロセスBによって作製した皮下注射した脂質ナノ粒子hOTC
mRNA製剤が、生理食塩水で処置した病気のマウスと比較して、投与の24時間後の発現したhOTCタンパク質の有意な活性をもたらしたことを示す。
実施例12.マウスにおけるASS1のin vivo発現
【0233】
図12は、プロセスBによって作製したhASS1 mRNAを封入している脂質ナノ粒子製剤の単回皮下投与の24時間後の、ASS1 KOマウス肝臓における測定したヒトASS1タンパク質レベルの例を示す。
【0234】
一般的に、発現したhASS1タンパク質レベルを使用して、送達方法の効率を評価することができる。図12に示すように、SAS1KOマウスにおける例示的なhASS1タンパク質レベルを、プロセスBによって作製したhASS1 mRNA製剤の単回皮下投与の24時間後に測定した。加えて、比較として、生理食塩水で処置したASS1 KOマウスにおけるhASS1タンパク質レベルも測定した。
【0235】
図12に示す結果は、プロセスBによって作製した皮下注射したhASS1 mRNA脂質ナノ粒子製剤が、生理食塩水で処置したhASS1 KOマウスと比較したとき、投与の24時間後のhASS1 KOマウスにおいて有意なhASS1タンパク質レベルを生じたことを示す。
実施例13.様々な投与経路を介したマウスにおけるhEPOのin vivo発現
【0236】
本実施例は、プロセスBによって作製した脂質ナノ粒子に封入したhEPO mRNAの投与後の、野生型マウスにおける発現したヒトEPO(HePO)の比較を示す。本実施例は、様々な用量レベルでの皮内投与および筋肉内投与のためのプロセスAおよびプロセスBによって産生された脂質ナノ粒子を介して送達されたmRNAの効力の比較をさらに例示する。プロセスBによって産生された脂質ナノ粒子を介して送達されたmRNAは、評価した皮内または筋肉内投与経路によって送達されたかどうかにかかわらず、すべての投薬量および時点でプロセスAにより産生されたものよりも実質的に強力であることが示されている。
【0237】
この実施例では、野生型マウスに、皮内、皮下、または筋肉内経路を介して、プロセスBによって作製したhEPO mRNAを封入した脂質ナノ粒子の様々な濃度(すなわち、1μg、10μg、または50μg)の単回用量を投与した。hEPOタンパク質の血清レベルを、投与の6時間後および24時間後に測定した。さらに、野生型マウスに、皮内、または筋肉内経路を介して、プロセスAまたはプロセスBにより産生されたhEPO
mRNAを封入した脂質ナノ粒子の様々な濃度(すなわち、1μg、10μg、または50μg)の単回用量を投与した。hEPOタンパク質の血清レベルを、投与の6時間後および24時間後に測定した。
【0238】
図13は、プロセスBによって作製したhEPO mRNA製剤の単回投与の6時間後および24時間後に処置したマウスの血清において測定したhEPOタンパク質レベルの例を示す。比較した経路は、皮内、皮下、または筋肉内注射による投与であった。
【0239】
治療後のマウスの血清中のhEPOタンパク質のレベルを使用して、異なる送達方法を介したmRNAの効力を評価することができる。図13に示すように、マウス血清中の例示的hEPOタンパク質レベルタンパク質を、1μg、10μg、および50μgでプロセスBにより作製したhEPO mRNA脂質ナノ粒子製剤の単回投与の6時間後および24時間後に、ELISAにより評価した。さらに、皮内、皮下、および筋肉内投与経路由来のhEPOタンパク質レベルを比較した。
【0240】
図13に示す結果は、筋肉内注入したhEPO mRNA脂質ナノ粒子製剤が、皮内および皮下経路に比べたとき、一般的に最高レベルのhEPOタンパク質をもたらしたことを示す。投与後6時間で、hEPOタンパク質レベルは、皮内投与からよりも皮下投与からわずかに高かった。
様々な用量レベルでの皮内投与および筋肉内投与についてのプロセスAおよびプロセスBにより産生されたmRNA脂質ナノ粒子の比較。
【0241】
図14は、プロセスAまたはプロセスBによって作製した脂質ナノ粒子製剤に封入したhEPO mRNAの単回皮内投与の6時間後および24時間後の、処置したマウスの血清中で測定したhEPOタンパク質レベルの比較を示す。図14は、すべての用量で、プロセスBによって調製した製剤が、プロセスAによって調製した製剤と比較して、約2~4倍高いhEPOタンパク質レベル発現をもたらしたことを示す。
【0242】
図15は、プロセスAまたはプロセスBによって作製した脂質ナノ粒子製剤に封入したhEPO mRNAの単回筋肉内投与の6時間後および24時間後の、処置したマウスの血清中で測定したhEPOタンパク質レベルの比較を示す。図15は、すべての用量で、プロセスBによって調製した製剤が、プロセスAによって調製した製剤と比較して、約2~4倍高いhEPOタンパク質レベル発現をもたらしたことを示す。
【0243】
図14および図15に示すように、マウス血清中のhEPOタンパク質レベルタンパク質を、それぞれ皮内投与および筋肉内投与により、1μg、10μgおよび50μgの、プロセスAまたはプロセスBによって作製したhEPO mRNA脂質ナノ粒子製剤の単回投与の6時間後および24時間後にELISAにより評価した。結果は、プロセスBによって産生されたmRNAを封入した脂質ナノ粒子の実質的に高い効力を示している。プロセスB製剤のより高い効力は、外皮系の様々な細胞(すなわち、筋細胞、線維芽細胞、マクロファージ、脂肪細胞など)と関連したことを観察した。
実施例14.動物モデルにおけるmRNA脂質ナノ粒子からのタンパク質発現
【0244】
この実施例は、広範囲の用量レベルに渡る、プロセスAと比較して、プロセスBにより生成した脂質ナノ粒子を介して送達したmRNAでの有意に改善したin vivoタンパク質発現を説明する。
【0245】
この研究では、オスのspfashマウスを、プロセスAまたはプロセスBによって作製したhOTC mRNA脂質ナノ粒子を用いて、4つの異なる用量レベル(0.50mg/kg、0.16mg/kg、0.05mg/kg、および0.016mg/kg)のそれぞれの場合で処置した。試験全体を通して使用した試験物品は、脂質ナノ粒子製造プロセス(プロセスA対プロセスB)および用量の示した差異を除いて同じであった。
【0246】
試験物品を、尾静脈注射を介して単回投与として投与した。投与の24時間後に、マウスにアンモニア負荷をし、塩化アンモニウム(5mmol/kg NH4Cl)のボーラス注入を、腹腔内投与した。全血のアリコートをリチウムヘパリン血漿チューブに集めることにより、NH4Cl負荷の40分後に血液を集め、これを血漿に処理し、血漿アンモニアを、IDEXX Catalyst Dx分析器を用いて解析した。次いで、動物を屠殺し、それらの肝臓を採取し、サンドイッチELISAを使用してhOTC発現について評価した。
【0247】
図16は、研究のアンモニア負荷部分の概略図を示し、これは、OTC欠損症に罹患している患者が経験しうる高アンモニア血症発症を再現するよう実施した。
【0248】
図17は、アンモニア負荷したマウス、特に正常なマウスOTC(WT)を有する野生型マウス、hOTC mRNA脂質ナノ粒子(KO)を受けなかったspfashマウス、およびプロセスBにより製造した0.5、0.16、0.05または0.016mg/kg mRNA脂質ナノ粒子の単回投与を受けたspfashマウスのそれぞれの血漿アンモニアレベルを示す。図が示す通り、hOTC mRNA脂質ナノ粒子(KO)を受けなかったspfashマウスについて同一条件下での血漿アンモニアの顕著な上昇と比較して、プロセスBにより作成したhOTC mRNA脂質ナノ粒子の0.5mg/kgおよび0.16mg/kgで、モデル高アンモニア血症発症の統計上有意な防御を達成した。このデータは、プロセスBによって産生され、0.5mg/kgおよび0.16mg/kgの用量で投与したmRNA脂質ナノ粒子が、塩化アンモニウム負荷に対する保護において投与後少なくとも24時間有効であることを説明する。
【0249】
図18および表3は、サンドイッチELISAによって測定した、hOTC mRNA脂質ナノ粒子の投与の24時間後に屠殺した動物の肝臓からのhOTCタンパク質レベルを示す。これらの結果を示す通り、プロセスBによって調製したmRNA脂質ナノ粒子で処置したマウスの肝臓から発現したhOTCタンパク質は、プロセスAによって調製した同じmRNA脂質ナノ粒子で処置したマウスの肝臓由来のものよりも約1000%(すなわち、10倍)高かった。表3は、投与の24時間後に全ての用量について、プロセスAによりおよびプロセスBにより調製したmRNA脂質ナノ粒子で処置したマウスの肝臓から発現したhOTCタンパク質の特定量(総タンパク質のパーセントとして)を提供する。
表3 プロセスAまたはプロセスBにより製剤したhOTC mRNA脂質ナノ粒子の異なる用量(示した通り)の投与の24時間後に測定したIn vivo hOTCタンパク質発現。
【表3】
【0250】
表3が示す通り、プロセスBにより調製したmRNA脂質ナノ粒子で処置したマウスの肝臓から発現したhOTCタンパク質の量は、全ての用量に渡り投与後24時間で、プロセスAによって調製したmRNA脂質ナノ粒子で処置した肝臓から発現したhOTCタンパク質の約700%(約8倍)、最大約1000%(約11倍)超過した。プロセスBによって調製されたmRNA脂質ナノ粒子対プロセスAによって調製されたmRNA脂質ナノ粒子で処置したマウスの肝臓から発現したhOTCタンパク質の量の全体平均増加は、全ての投薬量に渡り投与後24時間で884%(9.65倍)であった。このデータは、プロセスBによって製造したmRNA脂質ナノ粒子が、全ての用量で、投与後24時間でプロセスAにより産生された同一mRNA脂質ナノ粒子よりも有意に強力であることを示している。
【0251】
図19は、プロセスAまたはプロセスBで作製した脂質ナノ粒子製剤に封入した様々な用量(すなわち、0.5mg/kg、0.16mg/kg、0.05mg/kg、および0.016mg/kg)のhOTC mRNAの単回静脈内注射の24時間後のOTC spfashマウスの肝臓組織におけるhOTCタンパク質量の比較を示す。図に示し得る通り、プロセスBによって作製した製剤用量は、プロセスAによって製造した製剤よりも組織1mg当たりより多いコピーのhOTC mRNAを生じた。図20は、プロセスAまたはプロセスBにより作成した脂質ナノ粒子製剤に封入した様々な用量(すなわち、0.5mg/kg、0.16mg/kg、0.05mg/kgおよび0.016mg/kg)でのhOTC mRNAの単回静脈内注射の24時間後のOTC spfashマウスの試験したRNAにおけるhOTCタンパク質量の比較を示す。図において見られる通り、プロセスBによって産生された製剤用量は、プロセスAによって産生された製剤よりも、試験したRNA 1μg当たり多いコピーのhOTC mRNAをもたらした。
実施例15.動物モデルにおけるmRNA脂質ナノ粒子から発現したタンパク質による活性の持続時間
【0252】
この実施例では、mRNA脂質ナノ粒子からin vivoで発現した例示的なタンパク質の活性は、少なくとも15日間の延長した持続時間、持続した。
【0253】
この研究では、オスのspfashマウスに、プロセスBによって製造した1.0mg/kg hOTC mRNA脂質ナノ粒子の単回静脈内尾静脈注射を介して投与した。投与後24時間(2日目)、48時間(3日目)、72時間(4日目)、96時間(5日目)、8日(8日目)、11日(11日目)、および15日(15日目)のそれぞれの時間ポイントで、マウスのコホートを取り除いた。
【0254】
それぞれの取り除いたコホートについて、動物をアンモニア負荷に供し、その後、血漿アンモニア(μmol/L)測定のために血液を採取した。その後、動物を屠殺し、シトルリン(シトルリンμmol/hr/総タンパク質mg)と尿オロチン酸(μmol/クレアチニン mmol)を測定した。
【0255】
アンモニア負荷および血漿アンモニア測定については、一般的な概略図の図16を、この試験の説明については、実施例14を参照。
【0256】
シトルリン測定値のため、マウス肝臓ホモジネートを調製し、1×DPBSで希釈し、その後、超純水に加えた。予め決めた量のシトルリン標準物を加え、内部参照として役立てた。リン酸カルバモイル、オルニチンおよびトリエタノールアミンを含む反応混合物を加え、30分間、37℃で反応を進行させた。リン酸と硫酸の混合物を使用して反応を停止させ、ジアセチルモノオキシムを加えた。試料を85℃で30分間インキュベートし、簡潔に冷却し、490nmで読み取り、シトルリン標準に対してシトルリンを定量した。
【0257】
尿オロチン酸測定のため、動物の尿試料からのオロチン酸定量を、イオン交換カラムを使用した超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)を介して行った。簡潔に記載すると、尿サンプルを、RNaseフリー水を使用して2倍に希釈し、一部をThermoScientific 100xカラムにローディングした。アセトニトリルと25mM酢酸アンモニウムを含む移動相によりオロチン酸が分離され、280nmの吸光度に基づいた検出でオロチン酸が定量された。
【0258】
図21は、プロセスBにより産生された1.0mg/kg hOTC mRNA脂質ナノ粒子の投与後24時間(2日目)、48時間(3日目)、72時間(4日目)、96時間(5日目)、8日(8日目)、11日(11日目)、および15日(15日目)での、野生型マウス(WT)、未処置のspfashマウス(未処置)、及びspfashマウスのそれぞれについて、アンモニア負荷に供した40分後の動物における血漿アンモニアを示す。破線は、野生型対照群(WT)の平均血漿アンモニアレベルを表す。図に示す結果によって見られるように、hOTC mRNA脂質ナノ粒子の単回投与は、少なくとも15日間、高アンモニア血症に対する有意な保護をもたらす。具体的には、負荷後の血漿アンモニアレベルは、野生型レベル(WT)に匹敵するか、または15日まで評価したすべての時点で未処置のレベル(未処置)未満である。
【0259】
図22は、プロセスBにより製造した1.0mg/kg hOTC mRNA脂質ナノ粒子の投与後24時間(2日目)、48時間(3日目)、72時間(4日目)、96時間(5日目)、8日(8日目)、11日(11日目)、および15日(15日目)の野生型マウス(WT)、未処置のspfashマウス(未処置)、及びspfashマウスのそれぞれにおけるシトルリン産生により測定したhOTCタンパク質活性を示す。図に示す結果により見られる通り、単回用量のhOTC mRNA脂質ナノ粒子は、野生型対照(WT)を超えるか、またはそれに匹敵する生じたシトルリンレベル、および15日まで評価した全ての時点で未処置対照(未処置)をはるかに超える生じたシトルリンレベルをもたらす。
【0260】
図23は、未処置のspfashマウス(未処置)、プロセスBにより産生された1.0mg/kg hOTC mRNA脂質ナノ粒子の投与後24時間(2日目)、48時間(3日目)、72時間(4日目)、96時間(5日目)、8日(8日目)、11日(11日目)、および15日(15日目)でのspfashマウス、および未処置の野生型マウス(未処置のC57BL/6)のそれぞれにおける維持した低レベルの尿オロチン酸産生により測定したhOTCタンパク質活性を示す。図に示される結果によって見られるように、hOTC mRNA脂質ナノ粒子の単回投与は、野生型対照(未処置のC57BL/6)よりも低いか、またはそれに匹敵する生じた低レベルの尿オロチン酸、および15日まで評価した全ての時点で未処置spfashマウス(未処置)よりずっと少ない生じた低レベルの尿オロチン酸をもたらす。
【0261】
まとめると、本実施例のデータは、プロセスBによって産生された例示的なmRNA脂質ナノ粒子の単回静脈内投与が、少なくとも15日間、いくつかの測定にわたって活性な活性タンパク質を生じることを示す。
実施例16.様々な用量でのspfashマウスにおける発現したhOTCのin vivo活性
【0262】
本実施例は、3つの異なる用量レベル(1.0mg/kg、0.6mg/kg、及び0.3mg/kg)での、プロセスBによって産生された脂質ナノ粒子を介して送達されたhOTC mRNAが、評価した各用量でプロセスAによって生成したものよりも予想外に強力であったことを説明する。
【0263】
この実施例では、OTC spfashマウスに、プロセスAまたはプロセスBによって産生された脂質ナノ粒子に封入したhOTC mRNAの単回静脈内投与(様々な濃度、すなわち、1mg/kg、0.6mg/kg、または0.3mg/kgで)投与した。これらのマウス由来の肝組織を、シトルリン産生の投与の24時間後に解析した。
【0264】
図24は、プロセスAまたはプロセスBにより作製した脂質ナノ粒子製剤に封入したhOTC mRNAの単回静脈内投与の24時間後のOTC spfashマウスの肝臓における発現したhOTCタンパク質(シトルリン産生に関する)の典型的な活性を表す。hOTC mRNAを、1.0mg/kg、0.6mg/kg、および0.3mg/kgの異なる投与レベルで投与した。
【0265】
一般的に、シトルリンの産生を使用して、発現したhOTCタンパク質の活性を評価することができる。図24に示すように、OTC spfashマウス肝臓における発現したhOTCタンパク質によるシトルリン活性を、様々な用量レベルでの、それぞれプロセスAおよびプロセスBにより作製した脂質ナノ粒子mRNA製剤の単回投与の24時間後に測定した。図24中のグラフは、上記のプロセス毎に製剤した、プロセスAおよびプロセスBによる脂質ナノ粒子mRNA製剤の送達後の発現したhOTCに起因するシトルリン活性を示す。
【0266】
図24に示す結果は、予め形成した空の脂質ナノ粒子を用いてプロセスBにより調製した製剤が、プロセスAにより調製した製剤と比較した場合、hOTCタンパク質のより高いシトルリン活性をもたらしたことを示す。
【0267】
図25は、様々な投与レベル(すなわち、1.0mg/kg、0.6mg/kg、および0.3mg/kg)でのプロセスAまたはプロセスBによって作製したhOTC mRNAの単回静脈内投与後のウェスタンブロット画像によるマウス肝臓におけるhOTCタンパク質の免疫組織化学的検出を表す。図に示すように、全3種の用量で、発現したhOTCタンパク質は、バンドの強度が証拠とする通り、プロセスAに比べてプロセスBによって作製した脂質ナノ粒子製剤により投与した群についてより高かった。
実施例17.spfashマウスにおける発現したhOTCのin vivo活性
【0268】
本実施例は、プロセスBによって産生された脂質ナノ粒子を介して送達されたhOTC
mRNAが、プロセスAによって生成したものよりも予想外に有効であったことを示している。
【0269】
図26は、プロセスAまたはプロセスBによって作製した脂質ナノ粒子製剤に封入したhOTC mRNAの単回静脈内0.5mg/kg投与の24時間後のOTC spfashマウスの肝臓における発現したhOTCタンパク質(シトルリン産生に関する)の例示的活性を示す。
【0270】
一般的に、シトルリンの産生を使用して、発現したhOTCタンパク質の活性を評価することができる。図26に示すように、OTC spfashマウス肝臓における発現したhOTCタンパク質によるシトルリン活性を、用量を投与した24時間後に測定し、結果は、等しい用量で、プロセスBにより調製した製剤が、プロセスAにより調製した製剤と比較して、hOTCタンパク質のより高いシトルリン活性をもたらしたことを示す。
【0271】
図27(a)~(d)は、免疫組織化学染色を介した、プロセスAまたはプロセスBにより調製したhOTC mRNA脂質ナノ粒子の投与の24時間後の、マウス肝臓中のhOTCタンパク質の免疫組織化学的検出を示す。図で見られるように、hOTCタンパク質の染色は、プロセスA(図27(c)~(d))と比較して、プロセスB(図27(a)~(b))により調製したLMP製剤を投与したマウス群についてより強かった。図27(a)~(d)に示す結果は、図26に示す通り、プロセスAと比較して、プロセスBによって調製した製剤の用量のより高いシトルリン産生と合致する。
実施例18.異なるカチオン性脂質を使用したプロセスBおよびプロセスAにより調製したmRNA脂質ナノ粒子製剤のin vivo発現
【0272】
本実施例は、プロセスBによって産生された脂質ナノ粒子(様々な異なるカチオン性脂質から成る)を介して送達されたEPO mRNAが、プロセスAによって生成したものよりも予想外に効果的であったことを示している。
【0273】
この研究では、オスCD1マウスに、1日目に、それぞれ、5つの異なるカチオン性脂質のうちの一つを使用して調製し、プロセスAまたはプロセスBにより作製した(前述のように)1.0mg/kg hEPO mRNA脂質ナノ粒子の用量で単回静脈内尾静脈注射を投与した。
【0274】
表4は、ELISAによって測定した、それぞれが、5種の異なるカチオン性脂質のうちの一つを使用して調製し、プロセスAによってまたはプロセスBによって製造したhEPO mRNA脂質ナノ粒子の投与後6時間で屠殺した動物の血清において測定した特定のhEPOタンパク質発現レベルをもたらす。これらの結果が示すように、マウス血清中で測定した、プロセスBによって調製したmRNA脂質ナノ粒子から発現したhEPタンパク質は、評価したすべての異なるカチオン性脂質に渡り、プロセスAにより調製した同じmRNA脂質ナノ粒子よりも実質的に高かった。増加率は133%~603%の範囲であり、研究で試験した5つの異なる脂質にわたって観察した100%より高い効力の一貫した増加を伴った。
【0275】
図28は、カチオン性脂質としてHGT 5001を使用して製造したプロセスA及びプロセスBによって作製した脂質ナノ粒子mRNA製剤の送達後のhEPOタンパク質発現を表す。図29は、ICEをカチオン性脂質として使用して製剤化した、プロセスAおよびプロセスBによって産生された脂質ナノ粒子mRNA製剤の送達後のhEPOタンパク質発現を表す。図30は、cKK-E12をカチオン性脂質として製剤化した、プロセスA及びプロセスBによって作製した脂質ナノ粒子mRNA製剤の送達後のhEPOタンパク質発現を表す。図31は、カチオン性脂質としてC12-200を使用して製剤した、プロセスA及びプロセスBにより製造した質ナノ粒子mRNA製剤の送達後のhEPOタンパク質発現を表す。図32は、カチオン性脂質としてHGT 4003を使用して製剤した、プロセスA及びプロセスBによって作製した脂質ナノ粒子mRNA製剤の送達後のhEPOタンパク質発現を表す。これらの図28~32グラフのそれぞれにおける結果が示す通り、マウス血清において測定した、 プロセスBによって調製したmRNA脂質ナノ粒子からの発現したhEPOタンパク質が、評価した5つの異なるカチオン性脂質全てにわたり、プロセスAによって調製した同じmRNA脂質ナノ粒子より実質的に高かった。
表4.プロセスAまたはプロセスBにより製剤したhEPO mRNA脂質ナノ粒子(様々なカチオン性脂質に渡る)の投与の6時間後のマウス血清中で測定したin vivoヒトEPOタンパク質発現。
【表4】
【0276】
表5は、様々なカチオン性脂質を使用して、プロセスAまたはプロセスBによって調製したhEPO脂質ナノ粒子の構造詳細を示す。特に、表5は、異なるカチオン性脂質を用いるとき、プロセスAまたはプロセスBにより調製した、hEPO脂質ナノ粒子のナノ粒子サイズ(nm)およびPdIを表す。表に示す通り、プロセスBにより調製したhEPO mRNA脂質ナノ粒子のナノ粒子サイズは、評価した5つのカチオン性脂質を使用して調製した全ナノ粒子に渡り約90nm~150nmであり、一方、プロセスAにより調製したものは、評価した5つのカチオン性脂質を使用して調製した全ナノ粒子に渡り約75nm~95nmであった。
表5
【表5】
【0277】
まとめると、本実施例のデータは、様々な異なる脂質成分を含む脂質ナノ粒子に渡り、プロセスAによるものと比較して、プロセスBにより産生されるmRNA脂質ナノ粒子についての効力の実質的な増加が存在する。
均等
【0278】
当業者は、日常的な実験手法を越えない手法を使用して、本明細書に記載される本発明の特定の実施形態に対する多くの均等を認識するか、または確認することができるであろう。本発明の範囲は、上記の記載に限定されることは意図されず、むしろ以下の特許請求の範囲に記述されるとおりである。
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【配列表】
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【外国語明細書】