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特開2023-166494ケイ素炭素複合材料及びその製造方法、並びに二次電池
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  • 特開-ケイ素炭素複合材料及びその製造方法、並びに二次電池 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166494
(43)【公開日】2023-11-21
(54)【発明の名称】ケイ素炭素複合材料及びその製造方法、並びに二次電池
(51)【国際特許分類】
   C01B 32/05 20170101AFI20231114BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20231114BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
C01B32/05
H01M4/38 Z
H01M4/36 A
H01M4/36 C
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2023141745
(22)【出願日】2023-08-31
(31)【優先権主張番号】202211611940.5
(32)【優先日】2022-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】520416026
【氏名又は名称】広東▲凱▼金新能源科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Guangdong Kaijin New Energy Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】Room 302, Unit 2, Building 29, No.4, Keji 10th Road, Songshanhu Park, Dongguan, Guangdong, 523000, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】陳 振宇
(72)【発明者】
【氏名】鄭 安華
(72)【発明者】
【氏名】余 徳馨
(72)【発明者】
【氏名】傅 儒生
(72)【発明者】
【氏名】仰 韻霖
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ケイ素炭素複合材料及びその製造方法、並びに二次電池を提供する。
【解決手段】ケイ素炭素複合材料がケイ素炭素複合コアと、ケイ素炭素複合コアを被覆する炭素被覆層とを含み、ケイ素炭素複合コアに複数の閉孔が分散している。ケイ素炭素複合材料の製造方法は、高分子ポリマーの表面改質処理を行うステップ(I)と、ナノシリコン分散液の製造を行うステップ(II)と、第1前駆体の製造を行うステップ(III)と、第2前駆体の製造を行うステップ(IV)と、炭素被覆を行うステップ(V)とを含む。
【効果】複数の閉孔によってケイ素がリチウム脱離/挿入過程で発生した巨大な体積効果を効果的に緩和することができるとともに、ケイ素炭素複合コアと炭素被覆層とにより材料の構造を安定化させ、強度を高くすることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケイ素炭素複合材料であって、
ケイ素炭素複合コアと、前記ケイ素炭素複合コアを被覆する炭素被覆層とを含み、前記ケイ素炭素複合コアに複数の閉孔が分散していることを特徴とするケイ素炭素複合材料。
【請求項2】
前記ケイ素炭素複合コアは炭素充填層と、前記炭素充填層に分散し且つ表面に窒素をドープしたナノシリコンとを含み、前記炭素充填層及び前記ナノシリコンの表面に炭素窒素結合が形成されることを特徴とする請求項1に記載のケイ素炭素複合材料。
【請求項3】
複数の前記閉孔が前記炭素充填層に分散しており、前記閉孔の周壁が炭素層であり、前記炭素層及び前記ナノシリコンの表面に炭素窒素結合が形成されることを特徴とする請求項2に記載のケイ素炭素複合材料。
【請求項4】
前記炭素層の厚さが0.1~2.0μmであり、前記炭素層が前記ケイ素炭素複合材料の重量比の1~10%を占めることを特徴とする請求項3に記載のケイ素炭素複合材料。
【請求項5】
隣接する前記閉孔間の間隔が0.5~1.5μmである第1特徴、
前記閉孔の孔直径が0.5~2.0μmである第2特徴、
前記ケイ素炭素複合材料が関係式(S1-S2)/S1≧50%を満足し、ここで、S1が前記ケイ素炭素複合材料の断面面積であり、S2が前記ケイ素炭素複合材料の断面におけるすべての前記閉孔の面積の和である第3特徴、
前記ケイ素炭素複合材料の総炭素含有量が10~60wt.%である第4特徴、
前記炭素被覆層の厚さが0.5~2.0μmである第5特徴、
前記炭素被覆層が前記ケイ素炭素複合材料の重量比の1~10%を占める第6特徴、
前記ケイ素炭素複合コアの厚さが≧1.9μmである第7特徴、
前記ケイ素炭素複合材料の初回可逆容量が≧1900mAh/gである第8特徴、
前記ケイ素炭素複合材料の初回クーロン効率が≧87.8%である第9特徴、
前記ケイ素炭素複合材料の100サイクル後の容量保持率が≧89.6%である第10特徴、のうちの少なくとも1つの特徴を含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のケイ素炭素複合材料。
【請求項6】
ケイ素炭素複合材料の製造方法であって、下記ステップを含み、
(I)高分子ポリマーの表面改質処理
表面に酸素含有極性官能基を有するまで高分子ポリマーを紫外線-オゾン装置により表面処理し、
(II)ナノシリコン分散液の製造
ナノシリコン、アミノ系シランカップリング剤を有機溶媒に溶解して撹拌してナノシリコン分散液を得て、
(III)第1前駆体の製造
表面改質処理後の前記高分子ポリマーを前記ナノシリコン分散液に加えて撹拌した後、噴霧乾燥造粒して第1前駆体を得て、
(IV)第2前駆体の製造
保護雰囲気下で、前記第1前駆体をまず前記高分子ポリマーの軟化温度まで昇温して1回目の保温処理を行い、次に前記高分子ポリマーの熱分解温度まで昇温して2回目の保温処理を行い、ついで昇温して炭化処理して冷却して第2前駆体を得て、
(V)炭素被覆
前記第2前駆体を炭素被覆することを特徴とするケイ素炭素複合材料の製造方法。
【請求項7】
前記高分子ポリマーがアルコールに微量溶解したり、アルコールに難溶であったり、アルコールに溶解しなくなったりする特徴(1)、
前記高分子ポリマーがポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリカプロラクタム及びポリアクリルアミドのうちの少なくとも1つを含む特徴(2)、
前記高分子ポリマーのDv50が0.5~5.0μmである特徴(3)、
前記高分子ポリマーの軟化点が100~300℃である特徴(4)、
前記高分子ポリマーの熱分解温度が350~450℃である特徴(5)、
前記紫外線-オゾン装置の紫外光源が低圧水銀ランプである特徴(6)、
前記紫外線-オゾン装置に供給されるガス中の酸素濃度が大気酸素濃度である特徴(7)、
前記紫外線-オゾン装置の紫外線は2波長であって、波長範囲がそれぞれ250~260nm及び180~190nmである特徴(8)、
前記紫外線-オゾン装置の紫外光源の電力が10~50Wである特徴(9)、
前記紫外線-オゾン装置が前記高分子ポリマーを表面処理するとき、前記高分子ポリマーと紫外光源との距離が5.0~10.0cmである特徴(10)、
紫外線-オゾン装置による表面処理の時間が1~10minである特徴(11)、
前記ナノシリコンのDv50が30~150nmである特徴(12)、
高分子ポリマー、ナノシリコン及びアミノ系シランカップリング剤の質量比が(2~6):(8~12):1である特徴(13)、
前記アミノ系シランカップリング剤が(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン、アニリノメチルトリエトキシシラン、アニリノメチルトリメトキシシラン及びポリアミノアルキルトリアルコキシシランのうちの少なくとも1つを含む特徴(14)、
ステップ(II)におけるナノシリコン分散液の製造中の撹拌時間が10~30minである特徴(15)、
ステップ(II)におけるナノシリコン分散液の製造中の撹拌回転速度が800~1300r/minである特徴(16)、
ステップ(III)における第1前駆体の製造において、表面改質処理後の前記高分子ポリマーを前記ナノシリコン分散液に加え、且つ有機溶媒を加えて固形分含有量を10~15%に調整する特徴(17)、
前記噴霧乾燥のための材料供給口の温度が120~200℃であり、前記噴霧乾燥のための材料排出口の温度が70~120℃である特徴(18)、
前記保護雰囲気がアルゴンガス、窒素ガス及びヘリウムガスのうちの少なくとも1つを含む特徴(19)、
前記炭化処理の温度が600~1100℃である特徴(20)、
前記1回目の保温処理の時間が0.1~1.0hである特徴(21)、
前記2回目の保温処理の時間が1~3hである特徴(22)、
前記炭化処理の時間が2~4hである特徴(23)、
前記第2前駆体を炭素被覆してから後処理し、前記後処理が粉砕及びふるい分けを含む特徴(24)、のうちの少なくとも1つの特徴を含むことを特徴とする請求項6に記載のケイ素炭素複合材料の製造方法。
【請求項8】
前記炭素被覆が炭素源で前記第2前駆体を被覆してなるものであり、前記被覆の手段が液相被覆、気相被覆又は固相被覆であることを特徴とする請求項6に記載のケイ素炭素複合材料の製造方法。
【請求項9】
請求項1~4のいずれか1項に記載のケイ素炭素複合材料、請求項6~8のいずれか1項に記載のケイ素炭素複合材料の製造方法により製造されたケイ素炭素複合材料の負極材料における応用。
【請求項10】
正極材料及び負極材料を含む二次電池であって、
前記負極材料は請求項1~4のいずれか1項に記載のケイ素炭素複合材料、請求項6~8のいずれか1項に記載のケイ素炭素複合材料の製造方法により製造されたケイ素炭素複合材料を含むことを特徴とする二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は材料製造の技術分野に関し、特にケイ素炭素複合材料及びその製造方法、並びに二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、商用のリチウムイオン電池は既に新エネルギー自動車の長い航続能力への要件を満足することが困難になっており、従って、エネルギー密度が高く且つサイクル寿命がより長い電池製品を開発するニーズが非常に高まっている。現段階では、商用のリチウムイオン電池の負極材料が主に黒鉛であるが、黒鉛の比容量が既にその理論比容量に近いため、リチウムイオン電池のエネルギーの更なる増加が大幅に制限されてしまう。理論比容量がより高く(4200mAh/g)且つ放電プラットフォームに適切なシリコン系材料は業界において重点的に注目されている。ところが、ケイ素にも明らかな欠点があり、例えば、リチウム脱離/挿入過程において巨大な体積膨張が発生することとなり(理論的に300%に達することができる)、風解されやすく、このため、電極との電気接触をなくして容量が完全に損失するまで、集電体の表面に接着される活性物質が破裂ひいては粉砕されやすい。
【0003】
CN102651476Aにはリチウムイオン電池のケイ素炭素複合負極材料の製造方法が開示されており、そのケイ素炭素複合負極材料は黒鉛をコアとし、ナノシリコンをシェルとし、溶液中の正負イオン界面活性剤の電荷吸着方法により製造されてなるものである。該技術で製造された複合負極材料は優れたサイクル特性を有し、金属リチウムシートを対電極とし、該技術によるリチウムイオン電池のケイ素炭素複合負極材料を電池に組み立ててテストし、1100mAh/gの初回可逆容量を示し、初回クーロン効率が79.8%である。しかしながら、その初回可逆容量比容量が1100mAh/gだけであり、且つ初回クーロン効率が低くていずれも80%以下であり、現在の容量ニーズから見ると、その実際の応用が制限されてしまう。
【0004】
CN108963208Aにはケイ素炭素負極材料の製造方法及びリチウムイオン電池が開示されており、ナノシリコンと黒鉛を固相混合してふるいにかけ、次に無定形炭素前駆体と固相混合してふるいにかけて、振動成形し焼結して、ケイ素炭素負極材料を得る。該方法を用いればナノシリコンが黒鉛の表面に均一に分散していることが実現され得るが、外表面に存在する炭素被覆はリチウム脱離/挿入過程においてナノシリコンが発生した体積膨張を緩和する。しかしながら、その初回充電比容量が高くとも585mAh/gだけであり、これは現在の容量ニーズにとってより低い。
【0005】
従って、体積膨張を効果的に緩和するとともに、高い比容量及び長いサイクル寿命のケイ素負極材料をどのように得るかは、依然として業界において早急な解決の待たれる難題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記問題に鑑みて、本発明の目的はケイ素炭素複合材料及びその製造方法、並びに二次電池を提供することにある。本発明に係るケイ素炭素複合材料はケイ素がリチウム脱離/挿入過程で発生する巨大な体積効果を効果的に緩和することができ、より高い容量及びより優れたサイクル特性を有する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を実現するために、本発明の第1態様ではケイ素炭素複合材料を提供し、ケイ素炭素複合コアと、ケイ素炭素複合コアを被覆する炭素被覆層とを含み、ケイ素炭素複合コアには複数の閉孔、例えば少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ又はそれ以上の閉孔が分散している。ケイ素炭素複合材料は粒子であり、球形、楕球形、扁平形、短冊形、塊状、扁平球形、不規則な立体形状などであってもよい。
【0008】
本発明のケイ素炭素複合コアにおける複数の閉孔はケイ素がリチウム脱離/挿入過程で発生した巨大な体積効果を効果的に緩和することができるとともに、ケイ素炭素複合コアと炭素被覆層とにより材料の構造を安定化させ、強度を高くすることができ、ケイ素がリチウム脱離/挿入過程で発生した体積効果を更に緩和して、材料がより優れたサイクル特性を有するようにすることができる。
【0009】
第1態様と併せて、ケイ素炭素複合コアとはコアにケイ素材料及び炭素材料が含まれることを意味する。炭素被覆層は少なくとも1層、例えば1層、2層、3層などであってもよい。閉孔とは閉じるように形成された孔を指す。
【0010】
いくつかの実施形態では、ケイ素炭素複合コアは炭素充填層と、炭素充填層に分散し且つ表面に窒素をドープしたナノシリコンとを含み、炭素充填層及びナノシリコンの表面に炭素窒素結合が形成される。
【0011】
いくつかの実施形態では、複数の閉孔が炭素充填層に分散しており、閉孔の周壁が炭素層であり、炭素層及びナノシリコンの表面に炭素窒素結合が形成される。
【0012】
いくつかの実施形態では、炭素層の厚さが0.1~2.0μmであり、炭素層がケイ素炭素複合材料の重量比の1~10%を占める。
【0013】
いくつかの実施形態では、隣接する閉孔間の間隔が0.5~1.5μmである。
【0014】
いくつかの実施形態では、閉孔の孔直径が0.5~2.0μmである。
【0015】
いくつかの実施形態では、ケイ素炭素複合材料が関係式(S1-S2)/S1≧50%を満足し、ここで、S1がケイ素炭素複合材料の断面面積であり、S2がケイ素炭素複合材料の断面における閉孔の面積の和である。
【0016】
いくつかの実施形態では、ケイ素炭素複合材料の総炭素含有量が10~60wt.%である。
【0017】
いくつかの実施形態では、炭素被覆層の厚さが0.5~2.0μmである。
【0018】
いくつかの実施形態では、炭素被覆層がケイ素炭素複合材料の重量比の1~10%を占める。
【0019】
いくつかの実施形態では、ケイ素炭素複合コアの厚さが≧1.9μm、例えば1.9~20μm、例えば1.9~15μmである。
【0020】
いくつかの実施形態では、ケイ素炭素複合材料の初回可逆容量が≧1900mAh/gである。
【0021】
いくつかの実施形態では、ケイ素炭素複合材料の初回クーロン効率が≧87.8%である。
【0022】
いくつかの実施形態では、ケイ素炭素複合材料の100サイクル後の容量保持率が≧89.6%である。
【0023】
本発明の第2態様ではケイ素炭素複合材料の製造方法を提供し、ステップ(I)~(V)を含む。
【0024】
(I)高分子ポリマーの表面改質処理
表面に酸素含有極性官能基を有するまで高分子ポリマーを紫外線-オゾン装置により表面処理する。
【0025】
(II)ナノシリコン分散液の製造
ナノシリコン、アミノ系シランカップリング剤を有機溶媒に溶解して撹拌してナノシリコン分散液を得る。
【0026】
(III)第1前駆体の製造
表面改質処理後の高分子ポリマーをナノシリコン分散液に加えて撹拌した後、噴霧乾燥造粒して第1前駆体を得る。
【0027】
(IV)第2前駆体の製造
保護雰囲気下で、第1前駆体をまず高分子ポリマーの軟化温度まで昇温して1回目の保温処理を行い、次に高分子ポリマーの熱分解温度まで昇温して2回目の保温処理を行い、ついで昇温して炭化処理して冷却して第2前駆体を得る。
【0028】
(V)炭素被覆
第2前駆体を炭素被覆する。
【0029】
第2態様と併せて、本発明は上記ケイ素炭素複合材料の製造方法により製造されたケイ素炭素複合材料を提供する。
【0030】
本発明に係るケイ素炭素複合材料の製造方法は少なくとも下記技術的効果を有する。
【0031】
第(1)として、高分子ポリマーを紫外線-オゾン装置により表面処理してナノシリコン分散液と混合するとき、アミノ系シランカップリング剤中のアミノ基と酸素含有極性官能基との間にアミド結合を形成してナノシリコン粒子を高分子ポリマーの表面に予め吸着して1層の「ケイ素膜」を形成させ、更に噴霧乾燥によって高分子ポリマーを第1前駆体材料の内部に均一に分散させる。高分子ポリマーが軟化温度で軟化され、軟化後の一部の高分子ポリマーが炭化する前に熱分解して複数の閉孔を形成し、高分子ポリマーが炭化後に閉孔の周壁を形成し、形成された閉孔によってケイ素がリチウム脱離/挿入過程で発生した巨大な体積効果を効果的に緩和することができる。
【0032】
第(2)として、軟化後の一部の高分子ポリマーがナノシリコン粒子の間に浸透し、更に熱分解及び炭化してナノシリコン粒子と緻密なケイ素炭素複合層を形成し、製造された材料の構造を安定化させ、強度を高くすることができ、それにより体積効果を更に緩和し及び材料のサイクル安定性を向上させる。高分子ポリマーが炭化後に更にナノシリコン粒子の表面の窒素元素と炭素窒素結合を形成することができ、材料の導電特性を改善することができる。
【0033】
第(3)として、第2前駆体を炭素被覆することにより炭素被覆層を形成することができ、それと緻密なケイ素炭素複合層との結合により材料の構造を安定化させることができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、高分子ポリマーがアルコールに微量溶解したり、アルコールに難溶であったり、アルコールに溶解しなくなったりする。
【0035】
いくつかの実施形態では、高分子ポリマーがポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリカプロラクタム及びポリアクリルアミドのうちの少なくとも1つを含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、高分子ポリマーのDv50が0.5~5.0μmである。
【0037】
いくつかの実施形態では、高分子ポリマーの軟化点が100~300℃である。
【0038】
いくつかの実施形態では、高分子ポリマーの熱分解温度が350~450℃である。
【0039】
いくつかの実施形態では、紫外線-オゾン装置の紫外光源が低圧水銀ランプである。
【0040】
いくつかの実施形態では、紫外線-オゾン装置に供給されるガス中の酸素濃度が大気酸素濃度である。
【0041】
いくつかの実施形態では、紫外線-オゾン装置の紫外線は2波長であって、波長範囲がそれぞれ250~260nm及び180~190nmである。
【0042】
いくつかの実施形態では、紫外線-オゾン装置の紫外光源の電力が10~50Wである。
【0043】
いくつかの実施形態では、紫外線-オゾン装置が高分子ポリマーを表面処理するとき、高分子ポリマーと紫外光源との距離が5.0~10.0cmである。
【0044】
いくつかの実施形態では、紫外線-オゾン装置による表面処理の時間が1~10minである。
【0045】
いくつかの実施形態では、ナノシリコンのDv50が30~150nmである。
【0046】
いくつかの実施形態では、高分子ポリマー、ナノシリコン及びアミノ系シランカップリング剤の質量比が(2~6):(8~12):1である。
【0047】
いくつかの実施形態では、アミノ系シランカップリング剤が(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン、アニリノメチルトリエトキシシラン、アニリノメチルトリメトキシシラン及びポリアミノアルキルトリアルコキシシランのうちの少なくとも1つを含む。
【0048】
いくつかの実施形態では、ステップ(II)におけるナノシリコン分散液の製造中の撹拌時間が10~30minである。
【0049】
いくつかの実施形態では、ステップ(II)におけるナノシリコン分散液の製造中の撹拌回転速度が800~1300r/minである。
【0050】
いくつかの実施形態では、ステップ(III)における第1前駆体の製造において、表面改質処理後の高分子ポリマーをナノシリコン分散液に加え、且つ有機溶媒を加えて固形分含有量を10~15%に調整する。
【0051】
いくつかの実施形態では、噴霧乾燥のための材料供給口の温度が120~200℃であり、噴霧乾燥のための材料排出口の温度が70~120℃である。
【0052】
いくつかの実施形態では、保護雰囲気がアルゴンガス、窒素ガス及びヘリウムガスのうちの少なくとも1つを含む。
【0053】
いくつかの実施形態では、炭化処理の温度が600~1100℃である。
【0054】
いくつかの実施形態では、1回目の保温処理の時間が0.1~1.0hであり、
いくつかの実施形態では、2回目の保温処理の時間が1~3hであり、
いくつかの実施形態では、炭化処理の時間が2~4hである。
【0055】
いくつかの実施形態では、第2前駆体を炭素被覆してから後処理し、後処理が粉砕及びふるい分けを含む。
【0056】
いくつかの実施形態では、炭素被覆が炭素源で第2前駆体を被覆してなるものであり、被覆の手段が液相被覆、気相被覆又は固相被覆である。
【0057】
本発明の第3態様ではケイ素炭素複合材料の負極材料における応用を提供する。このケイ素炭素複合材料を負極活性材料として使用すれば、負極材料の高サイクル・低膨張の使用ニーズを満足することができる。
【0058】
本発明の第4態様では二次電池を提供し、正極材料及び負極材料を含み、負極材料は上記ケイ素炭素複合材料、上記ケイ素炭素複合材料の製造方法により製造されたケイ素炭素複合材料を含む。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1図1は本発明に係るケイ素炭素複合材料の構造模式図である。
図2図2は実施例1におけるケイ素炭素複合材料の単一粒子の部分断面線走査図である。
図3図3は比較例1におけるケイ素炭素複合材料の単一粒子の部分断面線走査図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
本発明に係るケイ素炭素複合材料は負極活性材料として二次電池に応用され得る。二次電池は正極材料及び負極材料を含む。正極材料はコバルト酸リチウム系正極材料、リン酸鉄リチウム系正極材料、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム系正極材料及びニッケルコバルトアルミン酸リチウム系正極材料のうちの少なくとも1つを含む。ケイ素炭素複合材料は負極活性材料として独立して使用されてもよく、他の負極活性材料(例えば、シリコン系材料、天然黒鉛、人造黒鉛、ソフトカーボン及び/又はハードカーボンなど)と混合して使用されてもよい。二次電池はリチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池又はカリウムイオン電池であってもよい。
【0061】
図1に示すように、本発明に係るケイ素炭素複合材料100はケイ素炭素複合コア10と、ケイ素炭素複合コア10を被覆する炭素被覆層30とを含み、ケイ素炭素複合コア10に複数の閉孔50が分散している。ケイ素炭素複合コア10は炭素充填層11と、炭素充填層11に充填されるナノシリコン13とを含む。閉孔50は炭素充填層11に分散し且つ周壁が炭素層15である。
【0062】
ケイ素炭素複合材料の初回可逆容量は≧1900mAh/gであり、例として、ケイ素炭素複合材料の初回可逆容量は≧1900mAh/g、1930mAh/g、1950mAh/g、1970mAh/g、1990mAh/g、2000mAh/g、2030mAh/g、2060mAh/g、2090mAh/g、2100mAh/gであってもよいが、それらに限らない。ケイ素炭素複合材料の初回クーロン効率は≧87.8%であり、例として、ケイ素炭素複合材料の初回クーロン効率は≧87.8%、88.1%、88.5%、88.8%、89.0%、89.5%、89.8%、90.0%、90.3%、90.5%、90.8%、91.0%であってもよいが、それらに限らない。ケイ素炭素複合材料の100サイクル後の容量保持率は≧89.6%であり、例として、ケイ素炭素複合材料の100サイクル後の容量保持率は≧89.6%、90.0%、90.5%、91.0%、91.5%、92.0%、92.5%、93.0%、93.5%、94.0%、94.5%、95.0%、95.5%、96.0%、96.5%、97.0%、97.5%、98.0%、98.5%、99.0%であってもよいが、それらに限らない。1つの技術案として、ケイ素炭素複合材料の総炭素含有量は10~60wt.%である。いくつかの実施形態では、ケイ素炭素複合材料の総炭素含有量は10~55wt.%である。他のいくつかの実施形態では、ケイ素炭素複合材料の総炭素含有量は20~50wt.%である。例として、ケイ素炭素複合材料の総炭素含有量は10wt.%、20wt.%、30wt.%、40wt.%、50wt.%、60wt.%であってもよいが、それらに限らない。
【0063】
1つの技術案として、ケイ素炭素複合コアの厚さは≧1.9μm、例えば1.9~20μm、例えば1.9~15μm、2~15μm、3~15μm、4~15μm、5~15μm、2~14μm、2~13μm、2~12μm、2~11μm、2~10μmである。ケイ素炭素複合コアにおいて、ナノシリコンの表面に窒素がドープされ、炭素充填層及びナノシリコンの表面に炭素窒素結合が形成され、それにより材料の導電特性を向上させる。
【0064】
閉孔の周壁が炭素層であり、炭素層及びナノシリコンの表面に炭素窒素結合が形成される。炭素層の厚さは0.1~2.0μmであり、例として、炭素層の厚さは0.1μm、0.3μm、0.5μm、0.8μm、1.0μm、1.3μm、1.6μm、1.8μm、2μmであってもよいが、それらに限らない。炭素層はケイ素炭素複合材料の重量比の1~10%を占め、例として、炭素層はケイ素炭素複合材料の重量比の1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%を占めてもよいが、それらに限らない。1つの技術案として、隣接する閉孔間の間隔は0.5~1.5μm、例えば0.5~1.2μm、例えば0.5~1.0μmである。例として、隣接する閉孔間の間隔は0.5μm、0.7μm、0.9μm、1.0μm、1.2μm、1.4μm、1.5μmであってもよいが、それらに限らない。1つの技術案として、閉孔の孔直径は0.5~2.0μm、例えば0.5~1.5μm、例えば0.7~1.2μmである。例として、閉孔の孔直径は0.5μm、0.7μm、0.9μm、1.0μm、1.1μm、1.3μm、1.5μm、1.7μm、1.9μm、2.0μmであってもよいが、それらに限らない。
【0065】
ケイ素炭素複合材料は関係式(S1-S2)/S1≧50%、≧60%、≧70%又は≧80%、選択肢として、(S1-S2)/S1≦90%、選択肢として、S2/S1≦50%、選択肢として、S2/S1≧10%、≧20%、≧30%又は≧40%を満足し、ここで、S1がケイ素炭素複合材料の断面面積であり、S2がケイ素炭素複合材料の断面におけるすべての閉孔の面積の和である。
【0066】
炭素被覆層の厚さは0.5~2.0μmであり、例として、炭素被覆層の厚さは0.5μm、0.8μm、1.0μm、1.3μm、1.6μm、1.8μm、2.0μmであってもよいが、それらに限らない。炭素被覆層はケイ素炭素複合材料の重量比の1~10%を占め、例として、炭素被覆層はケイ素炭素複合材料の重量比の1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%を占めてもよいが、それらに限らない。
【0067】
本発明に係るケイ素炭素複合材料の製造方法はステップ(I)~(V)を含む。
【0068】
ステップ(I) 高分子ポリマーの表面改質処理
表面に酸素含有極性官能基を有するまで高分子ポリマーを紫外線-オゾン装置により表面処理することを含む。
【0069】
高分子ポリマーは固体であってもよく、アルコールに微量溶解し、アルコールに難溶で、又はアルコールに溶解しない。1つの技術案として、高分子ポリマーはポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリカプロラクタム及びポリアクリルアミドのうちの少なくとも1つを含む。このような高分子ポリマーの表面の炭素水素基は紫外線-オゾン装置により表面処理する際に紫外光を吸収することで、高分子ポリマーの表面活性を向上させることができる。
【0070】
1つの技術案として、高分子ポリマーのDv50は0.5~5.0μmであり、例として、高分子ポリマーのDv50は0.5μm、1.0μm、1.5μm、2.0μm、2.5μm、3.0μm、3.5μm、4.0μm、4.5μm、5.0μmであってもよいが、それらに限らない。高分子ポリマーの軟化点は100~300℃であり、例として、高分子ポリマーの軟化点は100℃、120℃、150℃、170℃、200℃、220℃、240℃、260℃、280℃、300℃であってもよいが、それらに限らない。高分子ポリマーの熱分解温度は350~450℃であり、例として、高分子ポリマーの熱分解温度は350℃、360℃、370℃、380℃、390℃、400℃、410℃、420℃、430℃、440℃、450℃であってもよいが、それらに限らない。
【0071】
紫外線-オゾン装置により例えば固体の高分子ポリマーを表面処理するとき、高分子ポリマーの表面は紫外線-オゾンにより形成される活性環境に露出することとなり、環境には大量の活性粒子、例えば原子酸素、励起状態にある分子酸素及び活性遊離基などが含まれる。2種類の波長(波長範囲がそれぞれ250~260nm、180~190nmである)の短波紫外光の照射によって、オゾンが絶えず生成及び分解されることとなり、原子酸素及び分子酸素の濃度が絶えず累積されることとなる。原子酸素はO(P)(主に180~190nmの波長の照射によって生成される)及びO(D)(主に250~260nmの波長の照射によって生成される)の形式で存在し、両方はいずれも強酸化剤が高分子ポリマーに作用するため、高分子ポリマーの表面の炭化水素化合物が迅速に酸化される。それと同時に、大多数の炭化水素化合物が2種類の波長の紫外光を吸収するため、ポリマーの表面活性が向上する。
【0072】
オゾンの生成及び光分解メカニズム過程は以下のとおりである。
ような重畳は分子酸素が高エネルギー電子状態から低エネルギー電子状態に移行することが許容される。
【0073】
反発的な励起状態のO*(3Π)が解離されて2つの基底状態酸素原子O(P)を形成することができる。
【0074】
*(3Πu)→2O(P) (3)
基底状態酸素原子O(P)が分子酸素と反応してオゾンを形成する。
【0075】
オゾンが250~260nmの紫外光の照射によって光分解して原子酸素O(D)及び分子酸素を形成する。紫外線-オゾンにて処理された高分子ポリマーの表面の酸素含有極性官能基がナノシリコンの表面のシランカップリング剤中のアミノ基とエステル反応して、アミド結合(-CONH-)を形成することにより、ナノシリコン粒子が高分子ポリマーの表面に予め吸着されることが実現され、これは、高分子ポリマーを噴霧造粒過程に粒子の内部に均一に分散させるだけでなく、且つ炭化過程において形成された炭素窒素結合によってケイ素炭素複合材料の導電性を更に向上させることができる。
【0076】
1つの技術案として、紫外線-オゾン装置の型番はBZD250-Sであってもよいが、それに限らず、深セン市匯沃科技有限会社からのものである。紫外線-オゾン装置の紫外光源は低圧水銀ランプである。紫外線-オゾン装置に供給されるガス中の酸素濃度は大気酸素濃度である。1つの技術案として、紫外線-オゾン装置の紫外光源の電力は10~50W、例えば10~30W、例えば10~20Wである。例として、紫外線-オゾン装置の紫外光源の電力は10W、11W、12W、13W、14W、15W、16W、17W、18W、19W、20Wであってもよいが、それらに限らない。紫外線-オゾン装置が例えば固体の高分子ポリマーを表面処理するとき、1つの技術案として、高分子ポリマーと紫外光源との距離は5.0~10.0cm、例えば6.0~9.0cm、例えば6.0~7.5cmである。例として、高分子ポリマーと紫外光源との距離は6.0cm、6.1cm、6.2cm、6.3cm、6.4cm、6.5cm、6.6cm、6.7cm、6.8cm、6.9cm、7.0cm、7.1cm、7.2cm、7.3cm、7.4cm、7.5cmであってもよいが、それらに限らない。1つの技術案として、紫外線-オゾン装置による表面処理の時間は1~10min、例えば1~8min、例えば1~5minである。例として、紫外線-オゾン装置による表面処理の時間は1min、2min、3min、4min、5min、6min、7min、8min、9min、10minであってもよいが、それらに限らない。
【0077】
ステップ(II) ナノシリコン分散液の製造
ナノシリコン、アミノ系シランカップリング剤を有機溶媒に溶解して撹拌してナノシリコン分散液を得ることを含む。
【0078】
1つの技術案として、ナノシリコンのDv50は30~150nm、例えば50~150nm、例えば50~130nmである。例として、ナノシリコンのDv50は30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、110nm、120nm、130nm、140nm、150nmであってもよいが、それらに限らない。高分子ポリマー、ナノシリコン及びアミノ系シランカップリング剤の質量比は(2~6):(8~12):1であり、例として、質量比は2:8:1、2:9:1、2:10:1、2:11:1、2:12:1、3:9:1、3:10:1、3:11:1、3:12:1、4:9:1、4:10:1、4:11:1、4:12:1、5:9:1、5:10:1、5:11:1、5:12:1、6:9:1、6:10:1、6:11:1、6:12:1であってもよいが、それらに限らない。アミノ系シランカップリング剤は(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン、アニリノメチルトリエトキシシラン、アニリノメチルトリメトキシシラン及びポリアミノアルキルトリアルコキシシランのうちの少なくとも1つを含む。
【0079】
1つの技術案として、撹拌時間は10~30minである。1つの技術案として、撹拌回転速度は800~1300r/minである。
【0080】
1つの技術案として、撹拌状態で、表面改質処理後の高分子ポリマーをナノシリコン分散液に加え、且つ有機溶媒を加えて固形分含有量を10~15%、例えば12~15%、14~15%に調整する。有機溶媒はエタノール、アセトン、イソプロパノールであってもよいが、それらに限らない。例として、有機溶媒を加えて固形分含有量を10%、11%、12%、13%、14%、15%に調整するが、それらに限らない。
【0081】
ステップ(III) 第1前駆体の製造
表面改質処理後の高分子ポリマーをナノシリコン分散液に加えて撹拌した後、噴霧乾燥造粒して第1前駆体を得ることを含む。
【0082】
1つの技術案として、噴霧乾燥のための材料供給口の温度は120~200℃、例えば120~170℃、例えば130~150℃である。例として、噴霧乾燥のための材料供給口の温度は120℃、130℃、140℃、150℃、160℃、170℃、180℃、190℃、200℃であってもよいが、それらに限らない。1つの技術案として、噴霧乾燥のための材料排出口の温度は70~120℃、例えば70~100℃、例えば70~90℃である。例として、噴霧乾燥のための材料排出口の温度は70℃、80℃、90℃、100℃、110℃、120℃であってもよいが、それらに限らない。
【0083】
ステップ(IV) 第2前駆体の製造
保護雰囲気下で、第1前駆体をまず高分子ポリマーの軟化温度まで昇温して1回目の保温処理を行い、次に高分子ポリマーの熱分解温度まで昇温して2回目の保温処理を行い、ついでに昇温して炭化処理して冷却して第2前駆体を得ることを含む。
【0084】
1つの技術案として、保護雰囲気はアルゴンガス、窒素ガス及びヘリウムガスのうちの少なくとも1つを含む。1回目の保温処理の時間は0.1~1.0hであり、例として、1回目の保温処理の時間は0.1h、0.2h、0.3h、0.4h、0.5h、0.6h、0.7h、0.8h、0.9h、1.0hであってもよいが、それらに限らない。2回目の保温処理の時間は1~3hであり、例として、2回目の保温処理の時間は1h、2h、3hであってもよいが、それらに限らない。1つの技術案として、炭化処理の温度は600~1100℃、例えば600~900℃、例えば650~750℃である。例として、炭化処理の温度は600℃、650℃、700℃、750℃、800℃、850℃、900℃、950℃、1000℃、1050℃、1100℃であってもよいが、それらに限らない。炭化処理の時間は2~4hであり、例として、炭化処理の時間は2h、3h、4hであってもよいが、それらに限らない。
【0085】
ステップ(V) 炭素被覆
第2前駆体を炭素被覆することを含む。
【0086】
1つの技術案として、炭素被覆は炭素源で第2前駆体を被覆してなるものであり、被覆の手段は液相被覆、気相被覆又は固相被覆である。当然ながら、プラズマなどの他の被覆手段であってもよく、被覆により炭素被覆層を形成できればよい。形成された炭素被覆層は1層、2層、3層などであってもよい。本発明に係るケイ素炭素複合材料は炭素被覆の手段により制限されることがないとともに、炭素被覆層の層数により制限されることもない。
【0087】
1つの技術案として、気相被覆は、化学気相成長法であり、CVD炉に第2前駆体を加えて保護雰囲気下で気相炭素源を供給して反応してケイ素炭素複合材料を得ることができるステップを含んでもよい。
【0088】
この気相被覆において、保護雰囲気はアルゴンガス、窒素ガス及びヘリウムガスのうちの少なくとも1つであってもよいが、それらに限らない。保護雰囲気のガス流量は4~10L/minであり、例として、保護雰囲気のガス流量は4L/min、5L/min、6L/min、7L/min、8L/min、9L/min、10L/minであってもよいが、それらに限らない。反応の温度は700~1100℃であり、例として、反応温度は700℃、800℃、900℃、1000℃、1100℃であってもよいが、それらに限らない。昇温速度は5~10℃/minであり、例として、昇温速度は5℃/min、6℃/min、7℃/min、8℃/min、9℃/min、10℃/minであってもよいが、それらに限らない。気相炭素源はアルカン、アルケン及びアルキンのうちの少なくとも1つを含む。例として、アルカンはメタン、エタン及びプロパンのうちの少なくとも1つを含む。アルケンはエチレン及び/又はプロピレンを含む。アルキンはアセチリン及び/又はプロピンを含む。気相炭素源のガス流量は0.5~3.0L/minであり、例として、気相炭素源のガス流量は0.5/min、1.0L/min、1.5L/min、2.0L/min、2.5L/min、3.0L/minであってもよいが、それらに限らない。気相炭素源の供給時間は4~8hであり、例として、気相炭素源の供給時間は4h、5h、6h、7h、8hであってもよいが、それらに限らない。
【0089】
1つの技術案として、液相被覆は、有機炭素源、溶媒及び第2前駆体を均一に混合して混合液を得て、混合液を噴霧乾燥してから炭化してケイ素炭素複合材料を得ることができるステップを含んでもよい。
【0090】
この液相被覆において、有機炭素源はポリビニルアルコール、ブドウ糖及び蔗糖のうちの少なくとも1つであってもよいが、それらに限らない。溶媒は水、エタノール、アセトン及びイソプロパノールのうちの少なくとも1つであってもよいが、それらに限らない。有機炭素源が溶媒に溶解する温度は60~95℃であり、例として、溶解時の温度は60℃、63℃、65℃、67℃、70℃、73℃、75℃、77℃、80℃、83℃、86℃、88℃、90℃、92℃、95℃であってもよいが、それらに限らない。溶解時に撹拌によって反応を加速させることができ、且つ撹拌時間は0.5~2.0hであってもよく、例として、撹拌時間は0.5h、0.7h、0.9h、1.1h、1.3h、1.5h、1.7h、1.9h、2.0hであってもよいが、それらに限らない。炭化時に保護雰囲気下で行われ、保護雰囲気は窒素ガス、アルゴンガス及びヘリウムガスのうちの少なくとも1つを含む。炭化が用いる温度は700~1100℃であり、例として、炭化の温度は700℃、800℃、900℃、1000℃、1100℃であってもよいが、それらに限らない。炭化時間は2~6hであり、例として、炭化時間は2h、3h、4h、5h、6hであってもよいが、それらに限らない。炭化の昇温速度は1~5℃/minであり、例として、昇温速度は1℃/min、2℃/min、3℃/min、4℃/min、5℃/minであってもよいが、それらに限らない。
【0091】
1つの技術案として、固相被覆は、固相炭素源及び第2前駆体を高速混合分散させて保護雰囲気下で炭化してケイ素炭素複合材料を得ることができるステップを含んでもよい。
【0092】
この固相被覆において、固相炭素源は固相アスファルト、ブドウ糖、蔗糖、フェノール樹脂であってもよいが、それらに限らない。高速混合分散は汎用装置により行われてもよく、且つ混合が用いるパラメータは通常のパラメータであってもよい。
【0093】
炭化時に用いる温度は700~1100℃であり、例として、炭化の温度は700℃、800℃、900℃、1000℃、1100℃であってもよいが、それらに限らない。炭化時間は2~6hであり、例として、炭化の時間は2h、3h、4h、5h、6hであってもよいが、それらに限らない。炭化の昇温速度は1~5℃/minであり、例として、昇温速度は1℃/min、2℃/min、3℃/min、4℃/min、5℃/minであってもよいが、それらに限らない。
【0094】
1つの技術案として、第2前駆体を炭素被覆してから後処理し、後処理が粉砕及びふるい分けを含む。粉砕はVC粉砕であってもよいが、それに限らない。粉砕時に用いる回転速度は500~3000r/minであり、例として、粉砕の回転速度は500r/min、600r/min、700r/min、800r/min、900r/min、1000r/min、1100r/min、1200r/min、1300r/min、1400r/min、1500r/min、2000r/min、2500r/min、3000r/minであってもよいが、それらに限らない。粉砕が用いる時間は30~120minであり、例として、粉砕の時間は30min、40min、50min、60min、70min、80min、90min、100min、110min、120minであってもよいが、それらに限らない。ふるいにかける際に用いるふるいは100~500メッシュであり、例として、ふるいは100メッシュ、130メッシュ、150メッシュ、170メッシュ、200メッシュ、230メッシュ、250メッシュ、300メッシュ、350メッシュ、400メッシュ、450メッシュ、500メッシュであってもよいが、それらに限らない。
【0095】
本発明の目的、技術案及び有益な効果をより良く説明するために、以下に具体的な実施例によって本発明を更に説明する。なお、下記実施における前記方法は本発明を更に解釈・説明するものであり、本発明を制限するものとされるべきではない。
【0096】
実施例1
本実施例はケイ素炭素複合材料の製造方法であり、下記ステップを含む。
【0097】
(I)高分子ポリマーの表面改質処理
0.5kgのポリエチレンテレフタレート粒子を紫外線-オゾン装置に置いて、ポリエチレンテレフタレートのDv50を2μmとし、紫外光源を低圧水銀ランプとし且つ電力を10Wとし、大気条件下で照射し且つポリエチレンテレフタレートと紫外光源との距離を7cmとし、紫外線を2波長とし、且つ波長をそれぞれ254nm及び184nmとし、5min照射して表面に酸素含有極性官能基を有するポリエチレンテレフタレートを得て、
【0098】
(II)ナノシリコン分散液の製造
2.0kgのナノシリコン(Dv50が100nmである)及び0.20kgの(3-アミノプロピル)トリエトキシシランをエタノールに溶解して混合し且つ固形分含有量を10wt.%にし、900r/minの回転速度で30min撹拌してナノシリコン分散液を得る。
【0099】
(III)第1前駆体の製造
撹拌状態で表面改質処理後のポリエチレンテレフタレートをナノシリコン分散液に加え、無水エタノールを加えて系の固形分含有量を15%にし、30min持続的に撹拌し、噴霧乾燥造粒(材料供給口の温度が130℃であり、材料排出口の温度が80℃である)して第1前駆体を得る。
【0100】
(IV)第2前駆体の製造
窒素ガス雰囲気下で第1前駆体を反応器に置いて、全過程にわたって1℃/minの昇温速度でまず230℃まで昇温して1回目の保温処理を0.5h行い、次に417℃まで昇温して2回目の保温処理を2h行い、ついでに900℃まで昇温して3h炭化処理してから室温まで冷却して第2前駆体を得る。
【0101】
(V)炭素被覆
第2前駆体をCVD炉に置いて5℃/minの昇温速度で700℃まで昇温し、次にそれぞれ4L/minのガス流量で窒素ガスを供給し、0.5L/minのガス流量でアセチリンを供給し、ガスの供給時間をいずれも4hとし、室温まで自然冷却し、ついでに1000r/minの速度で60min粉砕してから400メッシュのふるいをかける。
【0102】
製造されたケイ素炭素複合材料の断面線走査図は図2に示される。ケイ素炭素複合材料はケイ素炭素複合コアと、ケイ素炭素複合コアを被覆する炭素被覆層とを含み、ケイ素炭素複合コアは炭素充填層と、炭素充填層に分散するナノシリコンとを含む。ケイ素炭素複合コアに閉孔が分散しており、閉孔間の間隔が0.5~1.0μmであり、閉孔の孔直径が1.5~2.0μmであり、(S1-S2)/S1が約60%であり、閉孔の占有率がより高く、且つ閉孔がより均一に分布しており、閉孔のサイズもほぼ一致する。検出したところ、ケイ素炭素複合材料の総炭素含有量が35wt.%であり、炭素被覆層の厚さが約1.5μmであり、炭素被覆層がケイ素炭素複合材料の重量比の6%を占め、ケイ素炭素複合コアの厚さが約8μmであり、炭素層の厚さが約0.1μmであり、炭素層がケイ素炭素複合材料の重量比の5%を占める。
【0103】
実施例2
本実施例はケイ素炭素複合材料の製造方法であり、下記ステップを含む。
【0104】
(I)高分子ポリマーの表面改質処理
0.5kgのポリエチレンテレフタレート粒子を紫外線-オゾン装置に置いて、ポリエチレンテレフタレートのDv50を2μmとし、紫外光源を低圧水銀ランプとし且つ電力を10Wとし、大気条件下で照射し且つポリエチレンテレフタレートと紫外光源との距離を7cmとし、紫外線を2波長とし、且つ波長をそれぞれ254nm及び184nmとし、5min照射した後、表面に酸素含有極性官能基を有するポリエチレンテレフタレートを得て、
【0105】
(II)ナノシリコン分散液の製造
1.5kgのナノシリコン(Dv50が100nmである)及び0.15kgの(3-アミノプロピル)トリエトキシシランをエタノールに溶解して混合し且つ固形分含有量を10wt.%にし、900r/minの回転速度で30min撹拌してナノシリコン分散液を得る。
【0106】
(III)第1前駆体の製造
撹拌状態で表面改質処理後のポリエチレンテレフタレートをナノシリコン分散液に加え、無水エタノールを加えて系の固形分含有量を15%にし、30min持続的に撹拌し、噴霧乾燥造粒(材料供給口の温度が130℃であり、材料排出口の温度が80℃である)して第1前駆体を得る。
【0107】
(IV)第2前駆体の製造
窒素ガス雰囲気下で第1前駆体を反応器に置いて、全過程にわたって1℃/minの昇温速度でまず230℃まで昇温して1回目の保温処理を0.5h行い、次に417℃まで昇温して2回目の保温処理を2h行い、ついでに900℃まで昇温して3h炭化処理してから室温まで冷却して第2前駆体を得る。
【0108】
(V)炭素被覆
第2前駆体をCVD炉に置いて5℃/minの昇温速度で700℃まで昇温し、次にそれぞれ4L/minのガス流量で窒素ガスを供給し、0.5L/minのガス流量でアセチリンを供給し、ガスの供給時間をいずれも4hとし、室温まで自然冷却し、ついでに1000r/minの速度で60min粉砕してから400メッシュのふるいをかける。
【0109】
実施例3
本実施例はケイ素炭素複合材料の製造方法であり、下記ステップを含む。
【0110】
(I)高分子ポリマーの表面改質処理
0.5kgのポリエチレンテレフタレート粒子を紫外線-オゾン装置に置いて、ポリエチレンテレフタレートのDv50を2μmとし、紫外光源を低圧水銀ランプとし且つ電力を10Wとし、大気条件下で照射し且つポリエチレンテレフタレートと紫外光源との距離を7cmとし、紫外線を2波長とし、且つ波長をそれぞれ254nm及び184nmとし、5min照射した後、表面に酸素含有極性官能基を有するポリエチレンテレフタレートを得て、
【0111】
(II)ナノシリコン分散液の製造
1.0kgのナノシリコン(Dv50が100nmである)及び0.10kgの(3-アミノプロピル)トリエトキシシランをエタノールに溶解して混合し且つ固形分含有量を10wt.%にし、900r/minの回転速度で30min撹拌してナノシリコン分散液を得る。
【0112】
(III)第1前駆体の製造
撹拌状態で表面改質処理後のポリエチレンテレフタレートをナノシリコン分散液に加え、無水エタノールを加えて系の固形分含有量を15%にし、30min持続的に撹拌し、噴霧乾燥造粒(材料供給口の温度が130℃であり、材料排出口の温度が80℃である)して第1前駆体を得る。
【0113】
(IV)第2前駆体の製造
窒素ガス雰囲気下で第1前駆体を反応器に置いて、全過程にわたって1℃/minの昇温速度でまず230℃まで昇温して1回目の保温処理を0.5h行い、次に417℃まで昇温して2回目の保温処理を2h行い、ついでに900℃まで昇温して3h炭化処理してから室温まで冷却して第2前駆体を得る。
【0114】
(V)炭素被覆
第2前駆体をCVD炉に置いて5℃/minの昇温速度で700℃まで昇温し、次にそれぞれ4L/minのガス流量で窒素ガスを供給し、0.5L/minのガス流量でアセチリンを供給し、ガスの供給時間をいずれも4hとし、室温まで自然冷却し、ついでに1000r/minの速度で60min粉砕してから400メッシュのふるいをかける。
【0115】
実施例4
本実施例はケイ素炭素複合材料の製造方法であり、下記ステップを含む。
【0116】
(I)高分子ポリマーの表面改質処理
0.5kgのポリカーボネート粒子を紫外線-オゾン装置に置いて、ポリカーボネートのDv50を2μmとし、紫外光源を低圧水銀ランプとし且つ電力を10Wとし、大気条件下で照射し且つポリカーボネートと紫外光源との距離を7cmとし、紫外線を2波長とし、且つ波長をそれぞれ254nm及び184nmとし、5min照射した後、表面に酸素含有極性官能基を有するポリカーボネートを得て、
【0117】
(II)ナノシリコン分散液の製造
2.0kgのナノシリコン(Dv50が100nmである)及び0.20kgの(3-アミノプロピル)トリエトキシシランをエタノールに溶解して混合し且つ固形分含有量を10wt.%にし、900r/minの回転速度で30min撹拌してナノシリコン分散液を得る。
【0118】
(III)第1前駆体の製造
撹拌状態で表面改質処理後のポリカーボネートをナノシリコン分散液に加え、無水エタノールを加えて系の固形分含有量を15%にし、30min持続的に撹拌し、噴霧乾燥造粒(材料供給口の温度が130℃であり、材料排出口の温度が80℃である)して第1前駆体を得る。
【0119】
(IV)第2前駆体の製造
窒素ガス雰囲気下で第1前駆体を反応器に置いて、全過程にわたって1℃/minの昇温速度でまず245℃まで昇温して1回目の保温処理を0.5h行い、次に380℃まで昇温して2回目の保温処理を2h行い、ついでに900℃まで昇温して3h炭化処理してから室温まで冷却して第2前駆体を得る。
【0120】
(V)炭素被覆
第2前駆体をCVD炉に置いて5℃/minの昇温速度で700℃まで昇温し、次にそれぞれ4L/minのガス流量で窒素ガスを供給し、0.5L/minのガス流量でアセチリンを供給し、ガスの供給時間をいずれも4hとし、室温まで自然冷却し、ついでに1000r/minの速度で60min粉砕してから400メッシュのふるいをかける。
【0121】
実施例5
本実施例はケイ素炭素複合材料の製造方法であり、下記ステップを含む。
【0122】
(I)高分子ポリマーの表面改質処理
0.5kgのポリカーボネート粒子を紫外線-オゾン装置に置いて、ポリカーボネートのDv50を2μmとし、紫外光源を低圧水銀ランプとし且つ電力を10Wとし、大気条件下で照射し且つポリカーボネートと紫外光源との距離を7cmとし、紫外線を2波長とし、且つ波長をそれぞれ254nm及び184nmとし、5min照射した後、表面に酸素含有極性官能基を有するポリカーボネートを得て、
【0123】
(II)ナノシリコン分散液の製造
1.5kgのナノシリコン(Dv50が100nmである)及び0.15kgの(3-アミノプロピル)トリエトキシシランをエタノールに溶解して混合し且つ固形分含有量を10wt.%にし、900r/minの回転速度で30min撹拌してナノシリコン分散液を得る。
【0124】
(III)第1前駆体の製造
撹拌状態で表面改質処理後のポリカーボネートをナノシリコン分散液に加え、無水エタノールを加えて系の固形分含有量を15%にし、30min持続的に撹拌し、噴霧乾燥造粒(材料供給口の温度が130℃であり、材料排出口の温度が80℃である)して第1前駆体を得る。
【0125】
(IV)第2前駆体の製造
窒素ガス雰囲気下で第1前駆体を反応器に置いて、全過程にわたって1℃/minの昇温速度でまず245℃まで昇温して1回目の保温処理を0.5h行い、次に380℃まで昇温して2回目の保温処理を2h行い、ついでに900℃まで昇温して3h炭化処理してから室温まで冷却して第2前駆体を得る。
【0126】
(V)炭素被覆
第2前駆体をCVD炉に置いて5℃/minの昇温速度で700℃まで昇温し、次にそれぞれ4L/minのガス流量で窒素ガスを供給し、0.5L/minのガス流量でアセチリンを供給し、ガスの供給時間をいずれも4hとし、室温まで自然冷却し、ついでに1000r/minの速度で60min粉砕してから400メッシュのふるいをかける。
【0127】
実施例6
本実施例はケイ素炭素複合材料の製造方法であり、下記ステップを含む。
【0128】
(I)高分子ポリマーの表面改質処理
0.5kgのポリカーボネート粒子を紫外線-オゾン装置に置いて、ポリカーボネートのDv50を2μmとし、紫外光源を低圧水銀ランプとし且つ電力を10Wとし、大気条件下で照射し且つポリカーボネートと紫外光源との距離を7cmとし、紫外線を2波長とし、且つ波長をそれぞれ254nm及び184nmとし、5min照射した後、表面に酸素含有極性官能基を有するポリカーボネートを得て、
【0129】
(II)ナノシリコン分散液の製造
1.0kgのナノシリコン(Dv50が100nmである)及び0.10kgの(3-アミノプロピル)トリエトキシシランをエタノールに溶解して混合し且つ固形分含有量を10wt.%にし、900r/minの回転速度で30min撹拌してナノシリコン分散液を得る。
【0130】
(III)第1前駆体の製造
撹拌状態で表面改質処理後のポリカーボネートをナノシリコン分散液に加え、無水エタノールを加えて系の固形分含有量を15%にし、30min持続的に撹拌し、噴霧乾燥造粒(材料供給口の温度が130℃であり、材料排出口の温度が80℃である)して第1前駆体を得る。
【0131】
(IV)第2前駆体の製造
窒素ガス雰囲気下で第1前駆体を反応器に置いて、全過程にわたって1℃/minの昇温速度でまず245℃まで昇温して1回目の保温処理を0.5h行い、次に380℃まで昇温して2回目の保温処理を2h行い、ついでに900℃まで昇温して3h炭化処理してから室温まで冷却して第2前駆体を得る。
【0132】
(V)炭素被覆
第2前駆体をCVD炉に置いて5℃/minの昇温速度で700℃まで昇温し、次にそれぞれ4L/minのガス流量で窒素ガスを供給し、0.5L/minのガス流量でアセチリンを供給し、ガスの供給時間をいずれも4hとし、室温まで自然冷却し、ついでに1000r/minの速度で60min粉砕してから400メッシュのふるいをかける。
【0133】
実施例7
本実施例はケイ素炭素複合材料の製造方法であり、下記ステップを含む。
【0134】
(I)高分子ポリマーの表面改質処理
0.5kgのポリエチレンテレフタレート粒子を紫外線-オゾン装置に置いて、ポリエチレンテレフタレートのDv50を2μmとし、紫外光源を低圧水銀ランプとし且つ電力を10Wとし、大気条件下で照射し且つポリエチレンテレフタレートと紫外光源との距離を7cmとし、紫外線を2波長とし、且つ波長をそれぞれ254nm及び184nmとし、5min照射した後、表面に酸素含有極性官能基を有するポリエチレンテレフタレートを得て、
【0135】
(II)ナノシリコン分散液の製造
2.0kgのナノシリコン(Dv50が100nmである)及び0.20kgのアニリノメチルトリメトキシシランをエタノールに溶解して混合し且つ固形分含有量を10wt.%にし、900r/minの回転速度で30min撹拌してナノシリコン分散液を得る。
【0136】
(III)第1前駆体の製造
撹拌状態で表面改質処理後のポリエチレンテレフタレートをナノシリコン分散液に加え、無水エタノールを加えて系の固形分含有量を15%にし、30min持続的に撹拌し、噴霧乾燥造粒(材料供給口の温度が130℃であり、材料排出口の温度が80℃である)して第1前駆体を得る。
【0137】
(IV)第2前駆体の製造
窒素ガス雰囲気下で第1前駆体を反応器に置いて、全過程にわたって1℃/minの昇温速度でまず230℃まで昇温して1回目の保温処理を0.5h行い、次に417℃まで昇温して2回目の保温処理を2h行い、ついでに900℃まで昇温して3h炭化処理してから室温まで冷却して第2前駆体を得る。
【0138】
(V)炭素被覆
第2前駆体をCVD炉に置いて5℃/minの昇温速度で700℃まで昇温し、次にそれぞれ4L/minのガス流量で窒素ガスを供給し、0.5L/minのガス流量でアセチリンを供給し、ガスの供給時間をいずれも4hとし、室温まで自然冷却し、ついでに1000r/minの速度で60min粉砕してから400メッシュのふるいをかける。
【0139】
実施例8
本実施例はケイ素炭素複合材料の製造方法であり、下記ステップを含む。
【0140】
(I)高分子ポリマーの表面改質処理
0.5kgのポリエチレンテレフタレート粒子を紫外線-オゾン装置に置いて、ポリエチレンテレフタレートのDv50を2μmとし、紫外光源を低圧水銀ランプとし且つ電力を10Wとし、大気条件下で照射し且つポリエチレンテレフタレートと紫外光源との距離を7cmとし、紫外線を2波長とし、且つ波長をそれぞれ254nm及び184nmとし、5min照射した後、表面に酸素含有極性官能基を有するポリエチレンテレフタレートを得て、
【0141】
(II)ナノシリコン分散液の製造
2.0kgのナノシリコン(Dv50が100nmである)及び0.20kgの(3-アミノプロピル)トリエトキシシランをエタノールに溶解して混合し且つ固形分含有量を10wt.%にし、900r/minの回転速度で30min撹拌してナノシリコン分散液を得る。
【0142】
(III)第1前駆体の製造
撹拌状態で表面改質処理後のポリエチレンテレフタレートをナノシリコン分散液に加え、無水エタノールを加えて系の固形分含有量を15%にし、30min持続的に撹拌し、噴霧乾燥造粒(材料供給口の温度が130℃であり、材料排出口の温度が80℃である)して第1前駆体を得る。
【0143】
(IV)第2前駆体の製造
窒素ガス雰囲気下で第1前駆体を反応器に置いて、全過程にわたって1℃/minの昇温速度でまず230℃まで昇温して1回目の保温処理を0.5h行い、次に417℃まで昇温して2回目の保温処理を2h行い、ついでに900℃まで昇温して3h炭化処理してから室温まで冷却して第2前駆体を得る。
【0144】
(V)炭素被覆
PVAを秤取して脱イオン水に溶解し、100℃で1.5h撹拌して1.5%質量分率のPVA溶液に調製し、次に第2前駆体と90℃で1h撹拌混合して混合液を得て、混合液を噴霧乾燥してから炭化炉に置いて5℃/minの速度で1100℃まで昇温して7h炭化し、室温まで自然冷却し、ついでに800r/min回転速度のVC粉砕機により100min粉砕し、400メッシュのふるいでふるいにかける。
【0145】
実施例9
本実施例はケイ素炭素複合材料の製造方法であり、下記ステップを含む。
【0146】
(I)高分子ポリマーの表面改質処理
1.0kgのポリエチレンテレフタレート粒子を紫外線-オゾン装置に置いて、ポリエチレンテレフタレートのDv50を3μmとし、紫外光源を低圧水銀ランプとし且つ電力を10Wとし、大気条件下で照射し且つポリエチレンテレフタレートと紫外光源との距離を7cmとし、紫外線を2波長とし、且つ波長をそれぞれ254nm及び184nmとし、5min照射した後、表面に酸素含有極性官能基を有するポリエチレンテレフタレートを得て、
【0147】
(II)ナノシリコン分散液の製造
2.0kgのナノシリコン(Dv50が120nmである)及び0.20kgの(3-アミノプロピル)トリエトキシシランをエタノールに溶解して混合し且つ固形分含有量を8wt.%にし、900r/minの回転速度で30min撹拌してナノシリコン分散液を得る。
【0148】
(III)第1前駆体の製造
撹拌状態で表面改質処理後のポリエチレンテレフタレートをナノシリコン分散液に加え、無水エタノールを加えて系の固形分含有量を13%にし、30min持続的に撹拌し、噴霧乾燥造粒(材料供給口の温度が130℃であり、材料排出口の温度が80℃である)して第1前駆体を得る。
【0149】
(IV)第2前駆体の製造
窒素ガス雰囲気下で第1前駆体を反応器に置いて、全過程にわたって1℃/minの昇温速度でまず230℃まで昇温して1回目の保温処理を0.5h行い、次に417℃まで昇温して2回目の保温処理を2h行い、ついでに900℃まで昇温して3h炭化処理してから室温まで冷却して第2前駆体を得る。
【0150】
(V)炭素被覆
第2前駆体をCVD炉に置いて5℃/minの昇温速度で700℃まで昇温し、次にそれぞれ4L/minのガス流量でアルゴンガスを供給し、0.5L/minのガス流量でメタンを供給し、ガスの供給時間をいずれも4hとし、室温まで自然冷却し、ついでに1000r/minの速度で60min粉砕してから400メッシュのふるいをかける。
【0151】
実施例10
本実施例はケイ素炭素複合材料の製造方法であり、下記ステップを含む。
【0152】
(I)高分子ポリマーの表面改質処理
0.5kgのポリエチレンテレフタレート粒子を紫外線-オゾン装置に置いて、ポリエチレンテレフタレートのDv50を2μmとし、紫外光源を低圧水銀ランプとし且つ電力を30Wとし、大気条件下で照射し且つポリエチレンテレフタレートと紫外光源との距離を5cmとし、紫外線を2波長とし、且つ波長をそれぞれ254nm及び184nmとし、3min照射した後、表面に酸素含有極性官能基を有するポリエチレンテレフタレートを得て、
【0153】
(II)ナノシリコン分散液の製造
2.0kgのナノシリコン(Dv50が100nmである)及び0.20kgの(3-アミノプロピル)トリエトキシシランをエタノールに溶解して混合し且つ固形分含有量を10wt.%にし、1000r/minの回転速度で20min撹拌してナノシリコン分散液を得る。
【0154】
(III)第1前駆体の製造
撹拌状態で表面改質処理後のポリエチレンテレフタレートをナノシリコン分散液に加え、無水エタノールを加えて系の固形分含有量を15%にし、40min持続的に撹拌し、噴霧乾燥造粒(材料供給口の温度が180℃であり、材料排出口の温度が100℃である)して第1前駆体を得る。
【0155】
(IV)第2前駆体の製造
窒素ガス雰囲気下で第1前駆体を反応器に置いて、全過程にわたって2℃/minの昇温速度でまず230℃まで昇温して1回目の保温処理を1.0h行い、次に417℃まで昇温して2回目の保温処理を1.5h行い、ついでに1000℃まで昇温して2h炭化処理してから室温まで冷却して第2前駆体を得る。
【0156】
(V)炭素被覆
第2前駆体をCVD炉に置いて3℃/minの昇温速度で800℃まで昇温し、次にそれぞれ5L/minのガス流量で窒素ガスを供給し、1.5L/minのガス流量でアセチリンを供給し、ガスの供給時間をいずれも3hとし、室温まで自然冷却し、ついでに1200r/minの速度で40min粉砕してから400メッシュのふるいをかける。
【0157】
比較例1
本実施例はケイ素炭素複合材料の製造方法であり、下記ステップを含む。
【0158】
(I)ナノシリコン分散液の製造
2.0kgのナノシリコン(Dv50が100nmである)及び0.20kgの(3-アミノプロピル)トリエトキシシランをエタノールに溶解して混合し且つ固形分含有量を10wt.%にし、900r/minの回転速度で30min撹拌してナノシリコン分散液を得る。
【0159】
(II)第1前駆体の製造
撹拌状態でポリエチレンテレフタレートをナノシリコン分散液に加え、無水エタノールを加えて系の固形分含有量を15%にし、30min持続的に撹拌し、噴霧乾燥造粒(材料供給口の温度が130℃であり、材料排出口の温度が80℃である)して第1前駆体を得る。
【0160】
(III)第2前駆体の製造
窒素ガス雰囲気下で第1前駆体を反応器に置いて、全過程にわたって1℃/minの昇温速度でまず230℃まで昇温して1回目の保温処理を0.5h行い、次に417℃まで昇温して2回目の保温処理を2h行い、ついでに900℃まで昇温して3h炭化処理してから室温まで冷却して第2前駆体を得る。
【0161】
(IV)炭素被覆
第2前駆体をCVD炉に置いて5℃/minの昇温速度で700℃まで昇温し、次にそれぞれ4L/minのガス流量で窒素ガスを供給し、0.5L/minのガス流量でアセチリンを供給し、ガスの供給時間をいずれも4hとし、室温まで自然冷却し、ついでに1000r/minの速度で60min粉砕してから400メッシュのふるいをかける。
【0162】
製造されたケイ素炭素複合材料の断面線走査図は図3に示される。比較例1におけるケイ素炭素複合材料はケイ素炭素複合コアと、ケイ素炭素複合コアを被覆する炭素被覆層とを含み、ケイ素炭素複合コアは炭素充填層と、炭素充填層に分散するナノシリコンとを含む。ナノシリコン粒子が炭素充填層に不規則に分布しており、且つケイ素炭素複合コアに形成された孔の一部が互いに貫通し且つケイ素炭素複合材料に不均一に分布しており、この構造を有するケイ素炭素複合材料はケイ素の体積効果を効果的に緩和することができない。
【0163】
比較例2
本実施例はケイ素炭素複合材料の製造方法であり、下記ステップを含む。
【0164】
(I)ナノシリコン分散液の製造
2.0kgのナノシリコン(Dv50が100nmである)及び0.20kgの(3-アミノプロピル)トリエトキシシランをエタノールに溶解して混合し且つ固形分含有量を10wt.%にし、900r/minの回転速度で30min撹拌してナノシリコン分散液を得る。
【0165】
(II)第1前駆体の製造
撹拌状態でポリカーボネートをナノシリコン分散液に加え、無水エタノールを加えて系の固形分含有量を15%にし、30min持続的に撹拌し、噴霧乾燥造粒(材料供給口の温度が130℃であり、材料排出口の温度が80℃である)して第1前駆体を得る。
【0166】
(III)第2前駆体の製造
窒素ガス雰囲気下で第1前駆体を反応器に置いて、全過程にわたって1℃/minの昇温速度でまず245℃まで昇温して1回目の保温処理を0.5h行い、次に380℃まで昇温して2回目の保温処理を2h行い、ついでに900℃まで昇温して3h炭化処理してから室温まで冷却して第2前駆体を得る。
【0167】
(IV)炭素被覆
第2前駆体をCVD炉に置いて5℃/minの昇温速度で700℃まで昇温し、次にそれぞれ4L/minのガス流量で窒素ガスを供給し、0.5L/minのガス流量でアセチリンを供給し、ガスの供給時間をいずれも4hとし、室温まで自然冷却し、ついでに1000r/minの速度で60min粉砕してから400メッシュのふるいをかける。
【0168】
比較例3
本実施例はケイ素炭素複合材料の製造方法であり、下記ステップを含む。
【0169】
(I)高分子ポリマーの表面改質処理
0.5kgのポリエチレンテレフタレート粒子を紫外線-オゾン装置に置いて、ポリエチレンテレフタレートのDv50を2μmとし、紫外光源を低圧水銀ランプとし且つ電力を10Wとし、大気条件下で照射し且つポリエチレンテレフタレートと紫外光源との距離を7cmとし、紫外線を2波長とし、且つ波長をそれぞれ254nm及び184nmとし、5min照射した後、表面に酸素含有極性官能基を有するポリエチレンテレフタレートを得て、
【0170】
(II)ナノシリコン分散液の製造
2.0kgのナノシリコン(Dv50が100nmである)及び0.20kgの(3-アミノプロピル)トリエトキシシランをエタノールに溶解して混合し且つ固形分含有量を10wt.%にし、900r/minの回転速度で30min撹拌してナノシリコン分散液を得る。
【0171】
(III)第1前駆体の製造
撹拌状態で表面改質処理後のポリエチレンテレフタレートをナノシリコン分散液に加え、無水エタノールを加えて系の固形分含有量を15%にし、30min持続的に撹拌し、噴霧乾燥造粒(材料供給口の温度が130℃であり、材料排出口の温度が80℃である)して第1前駆体を得る。
【0172】
(IV)第2前駆体の製造
窒素ガス雰囲気下で第1前駆体を反応器に置いて、1℃/minの昇温速度で900℃まで昇温して5h炭化処理してから室温まで冷却して第2前駆体を得る。
【0173】
(V)炭素被覆
第2前駆体をCVD炉に置いて5℃/minの昇温速度で700℃まで昇温し、次にそれぞれ4L/minのガス流量で窒素ガスを供給し、0.5L/minのガス流量でアセチリンを供給し、ガスの供給時間をいずれも4hとし、室温まで自然冷却し、ついでに1000r/minの速度で60min粉砕してから400メッシュのふるいをかける。
【0174】
実施例1~10及び比較例1~3において製造されたケイ素炭素複合材料に対して下記テスト条件下で充放電特性テスト及びサイクル特性テストを行い、そのテスト結果は表1に示される。
【0175】
(1)充放電特性テスト
実施例1~10及び比較例1~3において製造されたケイ素炭素複合材料をそれぞれ活性物質として、バインダーであるポリフッ化ビニリデン及び導電剤(Super-P)と70:15:15の質量比で混合して、適量のN-メチルピロリドン(NMP)を溶媒として加えてペーストに調製して銅箔に塗布し、且つ真空乾燥、ロールプレスにて負極シートに製造する。金属リチウムを対電極とし、1mol/LのLiPFとEC:DMC:EMC=1:1:1(v/v)の三成分混合溶媒を混合して電解液を形成し、ポリプロピレン微細孔膜をセパレータとして用い、保護ガスをいっぱいに充填しているグローブボックスでCR2032型ボタン電池に組み立てる。ボタン電池の充放電テストは武漢市藍電電子株式会社LANHEの電池テストシステムにおいて行われる。常温条件下で、0.1Cで0.01Vまで定電流で充放電し、次に0.02Cで0.005Vまで定電流放電し、最後に0.1Cで1.5Vまで定電流充電し、1.5Vに充電する容量が初回充電容量であり、初回充電容量と初回放電容量との比が初回クーロン効率である。
【0176】
(2)サイクル特性テスト
実施例1~10及び比較例1~3において製造されたケイ素炭素複合材料をそれぞれ黒鉛と混合して活性物質とし(容量を約500mAh/gに調整する)、バインダーであるアクリロニトリル多元共重合体の水分散液(LA132、固形分含有量15%)及び導電剤(Super-P)と70:10:20の質量比で混合し、適量の水を溶媒として加えてペーストに調製して銅箔に塗布し、且つ真空乾燥、ロールプレスにて負極シートに製造する。金属リチウムを対電極とし、1mol/LのLiPFとEC:DMC:EMC=1:1:1(v/v)の三成分混合溶媒を混合して電解液を形成し、ポリプロピレン微細孔膜をセパレータとして用い、不活性ガスをいっぱいに充填しているグローブボックスでCR2032型ボタン電池に組み立てる。ボタン電池の充放電テストは武漢市藍電電子株式会社の電池テストシステムにおいて行われる。常温条件下で、0.1Cで定電流で充放電し、充放電電圧を0.005~1.5Vに制限し、且つ100サイクル後の容量保持率及び膨張率を計算する。
【0177】
【0178】
表1 各実施例及び比較例における電気化学特性テスト結果
【0179】
表1の結果から分かるように、比較例1~3に比べて、実施例1~10において製造されたケイ素炭素複合材料はより優れた充放電特性及びサイクル特性を有する。比較例1及び2における高分子ポリマーは紫外線-オゾンによる表面改質を行わず、高分子ポリマーをナノシリコン分散液に均一に分散させることができず、炭化後に均一に分布している閉孔を形成できず、ケイ素の体積効果を効果的に緩和することが困難である。比較例3において、段階的な昇温を採用せず、高分子ポリマーが主に炭化時に炭素充填層を形成し、閉孔構造を形成することが困難であり、その故、サイクル特性が悪い。
【0180】
最後に説明すべきことは、以上の実施例は単に本発明の技術案を説明するためのものであって、本発明の保護範囲を制限するものではなく、好適な実施例によって本発明を詳しく説明したが、実施例に列挙したものに限らず、当業者であれば理解されるように、本発明の技術案の本質及び範囲を逸脱せずに、本発明の技術案に対して修正又は等価置換を行うことができる。
図1
図2
図3