(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023016652
(43)【公開日】2023-02-02
(54)【発明の名称】主管垂下型飛散防止カバー
(51)【国際特許分類】
A01D 34/90 20060101AFI20230126BHJP
【FI】
A01D34/90 Z
A01D34/90 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021139414
(22)【出願日】2021-07-23
(71)【出願人】
【識別番号】502450848
【氏名又は名称】篠山 明政
(72)【発明者】
【氏名】篠山 明政
【テーマコード(参考)】
2B083
【Fターム(参考)】
2B083AA02
2B083BA02
2B083CA12
2B083HA52
(57)【要約】 (修正有)
【課題】動力刈払機による刈払い作業時に発生する草や小石などの飛散を効果的に防止できる、小型軽量、低コストな主管垂下型飛散防止カバーを提供する。
【解決手段】回転切断具の回転外周右側にステーの一端が位置するように設け、回転切断具の回転軸と軸線が垂直方向となる軸を備える丁番をステーの一端に設け、丁番に側板6を取り付け、側板と回転切断具との接触防止機構となる係止部を丁番に設け、側板の外側に位置し、且つ刈払い時に地面と接するように飛散防止カバー1を設け、飛散防止カバーの一端を側板に取り付け、回転切断具後方に位置する防護カバー9をメインパイプ2に設け、ステーの他端を防護カバーに取り付け、飛散防止カバーの他端に吊具を設け、刈払機の重心点近くに位置する掛け部材をメインパイプに設け、掛け部材と飛散防止カバーの他端とを吊具を介して連結することで主管垂下型飛散防止カバーを構成している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に回転切断具を備える刈払機に装着する飛散防止カバーであり、回転切断具の回転外周右側にステーの一端が位置するように設け、当該回転切断具の回転軸と軸線が垂直方向となる軸を備える丁番を当該ステーの一端に設け、当該丁番に側板を取り付け、当該側板と当該回転切断具との接触防止機構となる係止部を当該丁番に設け、当該側板の外側に位置し、且つ刈払い時に地面と接するように飛散防止カバーを設け、当該飛散防止カバーの一端を当該側板に取り付け、当該回転切断具後方に位置する防護カバーをメインパイプに設け、当該ステーの他端を当該防護カバーに取り付け、当該飛散防止カバーの他端に吊具を設け、刈払機の重心点近くに位置する掛け部材を当該メインパイプに設け、当該掛け部材と当該飛散防止カバーの他端とを当該吊具を介して連結することを特徴とする主管垂下型飛散防止カバー。
【請求項2】
請求項1における、飛散防止カバーの他端側にクリップを設け、草刈り作業時に着用する前掛けの右端部を当該クリップで挟持し、当該飛散防止カバーと当該前掛けとを連結することを特徴とする主管垂下型飛散防止カバー。
【請求項3】
請求項1、または請求項2において、丁番に設ける係止部を側板下部が若干外側方向へ開状態となる係止位置に設けることを特徴とする主管垂下型飛散防止カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力刈払機の飛散防止具であり、刈払い作業において発生する刈草や小石などの飛散を防止し、安全で効率よく作業を行うことができる刈払機用飛散防止カバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、刈払い作業時の飛散防止策としてはネットを用いるものが多くあり、特にカッターコードを用いる刈払い作業は飛散物の拡散範囲が広いため、大きなネットを用いている。
【0003】
先ず、自走式のネットを立てて飛散防止策とするものがあり、リモコンによりネットの走行を遠隔操作し、一人で飛散を防止しつつ刈払い作業を行う構成となっている(特許文献1参照)。
【0004】
次に、刈払機のメインパイプに円弧状の枠を設け、その枠にネットやシートを取り付けて飛散防止策とするものがあり、刈払機先端の回転切断具により比較的飛散しやすい方向である後方をカバーする形態となっており、これも一人で飛散を防止しつつ刈払い作業を行う構成となっている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3230892号公報
【特許文献2】特開2006-296311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
文献1に示される先行技術は、構成全体が大きいという問題があり、道路や園路などに設置すると通行に支障をきたし、また運搬に不便であるという課題があり、更に強風を受けると予期しない動きをするという点も問題である。
【0007】
次に、文献2に示される先行技術は刈払機本体に飛散防止カバーを設けるため、刈払い作業時に飛散防止カバーの下部が地面に接すると刈払機の動きの妨げとなるため、可撓性を有するネットやシートで飛散防止カバーを形成することで動きやすくしてある。
【0008】
しかしながら、この飛散防止カバーが内側方向へたわむと回転切断具の切断部と接触してしまうため、クリアランスを広めに設ける配置となっており、そのため飛散防止カバーを大きくする必要があり、構成全体を大きくすると視界の確保や軽量化の点で不利であり、更にこの大きな飛散防止カバーを装着する構成は風を受けると刈払機の円滑な動きを妨げるという点も問題である。
【0009】
本発明は以上の問題を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明の第1の解決手段として、先端に回転切断具を備える刈払機に装着する飛散防止カバーであり、回転切断具の回転外周右側にステーの一端が位置するように設け、当該回転切断具の回転軸と軸線が垂直方向となる軸を備える丁番を当該ステーの一端に設け、当該丁番に側板を取り付け、当該側板と当該回転切断具との接触防止機構となる係止部を当該丁番に設け、当該側板の外側に位置し、且つ刈払い時に地面と接するように飛散防止カバーを設け、当該飛散防止カバーの一端を当該側板に取り付け、当該回転切断具後方に位置する防護カバーをメインパイプに設け、当該ステーの他端を当該防護カバーに取り付け、当該飛散防止カバーの他端に吊具を設け、刈払機の重心点近くに位置する掛け部材を当該メインパイプに設け、当該掛け部材と当該飛散防止カバーの他端とを当該吊具を介して連結する構成である。
【0011】
次に、本発明の第2の解決手段としては、前記第1の解決手段における、飛散防止カバーの他端側にクリップを設け、刈払い作業時に着用する前掛けの右端部を当該クリップで挟持し、当該飛散防止カバーと当該前掛けとを連結する構成である。
【0012】
次に、本発明の第3の解決手段としては、前記第1、または前記第2の解決手段において、丁番に設ける係止部を側板下部が若干外側方向へ開状態となる係止位置に設ける構成である。
【発明の効果】
【0013】
先ず、本発明は刈払機本体に増設するものであるため、作業効率の観点から視界を確保しつつ軽量であるものが望ましく、この点本発明は接触防止機構を設けることで回転切断具の近くに側板を設けることができるため、飛散防止カバーの小型軽量化を可能としている。
【0014】
なお、刈払い作業は主に回転切断具の左側で刈り取り、右方向へ振り戻すという動きを繰り返して行う手順が一般的であり、本発明の回転切断具の左側に飛散防止カバーを設けない構成は、刈り取るときの視認性の確保だけでなく、刈草などの滞留により著しく増大する回転切断具の負荷を軽減し、円滑な作業を可能とするものである。
【0015】
回転切断具としてカッターコードを用いると飛び石が多く発生し飛距離もあるため、有効な飛散防止策を必要としており、その対策として本発明は非常に有用であり、本発明の前掛けと連結する構成は右方に加え、後方への飛び石の憂いをなくすため安全性の高いものとなっている。
【0016】
本発明は刈払機本体や前掛けに取り付ける部材として蝶ネジやスナップフック、並びにクリップなど容易に脱着可能なものを用いることができるため、刈払い作業場所の状況に合わせ効率よく運用することができる。
【0017】
本発明の飛散防止カバーについては、可撓性を有する網状体で形成することで軽量化が可能であり、且つ風の影響を受けにくくすることができ、またこの構成は刈払機の重心点近くに設ける掛け部材と飛散防止カバーとを連結するため、良好な作業性と高い安全性を兼ね備えるものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】 本発明の第1実施形態を示す斜視図である。
【
図2】 本発明の側板と丁番を示す分解斜視図である。
【
図3】 本発明の側板や後部カバー、及びステーを示す分解斜視図である。
【
図4】 本発明の第1実施形態を示す分解斜視図である。
【
図6】 本発明の前掛けの一部を切断した斜視図である。
【
図7】 本発明の第2実施形態を示す斜視図である。
【
図8】 本発明の第3実施形態の丁番とストッパーを示す斜視図である。
【
図9】 本発明の第3実施形態の要部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
先ず、本発明の第1実施形態を
図1、ないし
図4を参照し説明すれば、防護カバー(9)をメインパイプ(2)にサドルバンド(14)で固定し、メインパイプ(2)に掛け部材(12)を設け、側板(6)とステー(8)の一端を丁番(7)を介して連結し、側板(6)の外側に飛散防止カバー(1)の一端を取り付け、ステー(8)の他端を防護カバー(9)に蝶ネジ(10)によって締着し、飛散防止カバー(1)の他端に吊具(11)を設け、掛け部材(12)と飛散防止カバー(1)とを吊具(11)を介して連結する構成である(請求項1記載)。
【0020】
次に、丁番(7)については
図5に示すように軸受け部(18)に軸(3)を嵌合し、係止部(17)を設ける構成である。
【0021】
次に、本発明の丁番(7)の機能を
図1、及び
図2、並びに
図5を参照し説明すれば、丁番(7)に設ける係止部(17)は丁番(7)の動きを制限するストッパー機構であり、この機能により側板(6)とカッターコード(4)との接触を防止している。
【0022】
また、丁番(7)は円滑な作業を可能とするものであり、左方向へ振りつつ刈払うときに側板(6)や飛散防止カバー(1)の下部が地面や草と接触すると丁番(7)の開く動きにより、刈払い作業の妨げとならずに飛散を防止できる構成となっている。
【0023】
なお、地面に起伏があると刈払い時に側板(6)の下部と地面との間に隙間が生じてしまうため、本構成では飛散防止カバー(1)を側板(6)の下側に垂下するように設けて隙間をカバーし飛散を防止している。
【0024】
また、この構成は地面に凹凸のある場所で右方向へ振り戻すときに、側板(6)下部と地面との間に可撓性を有する飛散防止カバー(1)が介在するため、動きを円滑にすることができる。
【0025】
次に、本発明は、
図3に示す蝶ネジ(10)や
図4に示す吊具(11)で刈払機本体に取り付けてあるため、工具を用いずに簡単に脱着できる構成となっている。
【0026】
掛け部材(12)については刈払機の重心点近くに設けるものであり、肩掛けベルトのフックと吊具(11)の両方を併用して掛けることができる。
【0026】
なお、
図4に示す矢印(15)は刈払機先端に設ける回転切断具の一般的な回転方向であり、逆方向へ回転するものは非常に例外的であるため、本発明は一般的な刈払機に取り付けての利用をコンセプトとしている。
【0027】
次に、本発明の第2実施形態を
図6、及び
図7を参照し説明すれば、飛散防止カバー(1)にクリップ(13)を設け、刈払い時に着用する前掛け(16)の前掛け右端部(5)をクリップ(13)で挟持し、前掛け(16)と飛散防止カバー(1)とを連結する構成である(請求項2記載)。
【0028】
特に、カッターコード(4)を用いて刈払い作業を行うときの飛散物は非常に広範囲に広がるため、刈払機に付属している防護カバー(9)だけでは飛散防止策として不十分であり、その解決策として本構成は飛散防止カバー(1)と前掛け(16)とを組み合わせて、より有効な飛散防止策としている。
【0029】
なお、本構成は飛散防止カバー(1)と前掛け右端部(5)とは互いにオーバーラップする配置であり、隙間のない良好な飛散防止具となっている。
【0030】
次に、本発明の第3実施形態を
図8を参照し説明すれば、丁番(7)にストッパー(19)を設ける構成である。
【0031】
この構成は
図9に示すように、
図2に示す構成にストッパー(19)を増設し、側板(6)の下部が若干外側方向へ開いている状態でストッパー(19)が機能し係止するものとなっている(請求項3記載)。
【0032】
この構成は丁番(7)や側板(6)、並びに飛散防止カバー(1)の動きの抵抗を軽減するものであり、地面と側板(6)や飛散防止カバー(1)の下部が接触するときの動きを円滑にすることができ、凹凸のある地面での刈払い作業時に有効なものとなっている。
【符号の説明】
【0033】
1 飛散防止カバー
2 メインパイプ
3 軸
4 カッターコード
5 前掛け右端部
6 側板
7 丁番
8 ステー
9 防護カバー
10 蝶ネジ
11 吊具
12 掛け部材
13 クリップ
14 サドルバンド
15 矢印
16 前掛け
17 係止部
18 軸受け部
19 ストッパー