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特開2023-166532車両用クッションパッド及びその下層用の発泡体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166532
(43)【公開日】2023-11-21
(54)【発明の名称】車両用クッションパッド及びその下層用の発泡体
(51)【国際特許分類】
   A47C 27/15 20060101AFI20231114BHJP
   B60N 2/90 20180101ALI20231114BHJP
   A47C 7/18 20060101ALI20231114BHJP
   B29C 39/12 20060101ALI20231114BHJP
   B29C 44/06 20060101ALI20231114BHJP
   B29C 44/00 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
A47C27/15 A
B60N2/90
A47C27/15 B
A47C7/18
B29C39/12
B29C44/06
B29C44/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023145703
(22)【出願日】2023-09-08
(62)【分割の表示】P 2019035321の分割
【原出願日】2019-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(72)【発明者】
【氏名】松本 真人
(57)【要約】      (修正有)
【課題】金型側の調整がいらず、また第一発泡成形体を削ってしまう外観不良を解消するだけでなく、第一発泡成形体の上型との干渉可能にしてセットを容易にし、上型への保持力向上をも図る車両用クッションパッド及びその製造方法を提供する。
【解決手段】下層になる第一発泡成形体2上に、着座乗員が当接する側の当たり面部分311の在る座部層31を積層させた第二発泡成形体3が発泡成形されている車両用クッションパッドにおいて、前記第一発泡成形体2は、前記第二発泡成形体3よりも密度小で硬度大にして、その裏面側の一部に、クッションパッドの車両設置下で、略垂直となる側壁面241を有して盛り上がった隆起部24を具備し、且つ該隆起部24の略垂直になっている前記側壁面241に複数の突状膨らみ25が成形されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下層になる第一発泡成形体上に、着座乗員が当接する側の当たり面部分の在る座部層を積層させた第二発泡成形体が発泡成形されている車両用クッションパッドにおいて、 前記第一発泡成形体は、前記第二発泡成形体よりも密度小で硬度大にして、その裏面側の一部に、クッションパッドの車両設置下で、略垂直となる側壁面を有して盛り上がった隆起部を具備し、且つ該隆起部の略垂直になっている前記側壁面に複数の突状膨らみが成形されていることを特徴とする車両用クッションパッド。
【請求項2】
上下方向の縦筋条にした前記膨らみが、前記側壁面の周方向に複数設けられている請求項1記載の車両用クッションパッド。
【請求項3】
前記膨らみが、下方に向けその横断面形状を小さくして、成形されている請求項1又は2に記載の車両用クッションパッド。
【請求項4】
前記隆起部が車幅方向に離れて一対形成され、双方が車幅方向の両外方寄りに配されると共に、両隆起部における相対する側壁面に前記膨らみが露出形成されている請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両用クッションパッド。
【請求項5】
車両への設置で、前記隆起部が車体床面よりも下方に突出する高さに設定されている請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車両用クッションパッド。
【請求項6】
前記第一発泡成形体の裏面外周部を残して、その内側に一段低い陥没域を設け、且つ該陥没域の陥没底を該第一発泡成形体の裏面としてその一部が盛り上がって前記隆起部が形成されている請求項1乃至5のいずれか1項に記載の車両用クッションパッド。
【請求項7】
下層になる第一発泡成形体上に、着座乗員が当接する側の当たり面部分を有した座部層が積層された第二発泡成形体を発泡成形する車両用クッションパッドの製造方法において、 前記第一発泡成形体は、前記第二発泡成形体よりも密度小で硬度大にして、裏面側の一部に、クッションパッドの車両設置下で、略垂直となる側壁面を有して盛り上がった隆起部を形成し、且つ該隆起部の略垂直になっている前記側壁面に突条膨らみを複数成形する一方、上型キャビティ面に該隆起部に対応する凹穴を形成して、 該第一発泡成形体の裏面側を上向きにし、前記膨らみを圧縮変形させつつ前記凹穴へ前記隆起部を嵌め入れて上型に該第一発泡成形体をセットし、 次いで、下型キャビティ面上に第二発泡成形体用発泡原料を注入すると共に型閉じし、 その後、第二発泡成形体を発泡成形したことを特徴とする車両用クッションパッドの製造方法。
【請求項8】
上下方向の縦筋条にした前記膨らみを前記側壁面に複数成形した請求項7記載の車両用クッションパッドの製造方法。
【請求項9】
前記膨らみの横断面形状を下方に向け小さくした請求項7又は8に記載の車両用クッションパッドの製造方法。
【請求項10】
前記隆起部を車幅方向に離れて一対形成し、双方を車幅方向の両外方寄りに配すると共に、両隆起部における相対する側壁面に前記膨らみを形成した請求項7乃至9のいずれか1項に記載の車両用クッションパッドの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用座席シートを構成する車両用クッションパッド及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両用座席シートで、座部を構成するクッションパッドは快適なクッション性が得られるよう軟質ポリウレタン発泡成形体uで造られてきたが、近年、軽量化対策で、嵩上げ用下層として発泡スチロール等のビーズ発泡体mに置き換える動きが進んでいる(図14のイ)。ただ、ビーズ発泡体mはその発泡成形で成形収縮が発生し、寸法精度にバラツキが生じる。 クッションパッドPは、車両設置の状態と上下を逆にして軟質ポリウレタン発泡成形体uが成形される。ビーズ発泡体mがインサート成形されることから、上型Tにビーズ発泡体mの裏面から張り出す張出部m1を利用してセットするが、所定寸法よりも小さいと、張出部m1用の上型凹みT1から張出部立面m18が離れ、脱落してしまう(図14のロ)。一方、張出部m1が大きいと、つかえる箇所m19ができてしまい、上型Tへのビーズ発泡体mのセットが困難になる(図14のハ)。 こうしたことから脱落防止,装着困難防止を図る発明がいくつか提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-130398号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、特許文献1は、上型がビーズ発泡体(本発明では第一発泡成形体)の張出部たる凸部を挟む凹状部の壁面に、該凸部と干渉するよう該壁面から突出する金属製突部を有する構成である。よって、干渉度合いが少しでも大きいと機能せず、金型のチューニングを要し、硬い突起の寸法調整が必要であった。さらに、上型にビーズ発泡体をセットできても、該突部でビーズ発泡体の側面を削ってしまう問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するもので、金型側の調整がいらず、また第一発泡成形体を削ってしまう外観不良を解消するだけでなく、第一発泡成形体の上型との干渉可能にしてセットを容易にし、上型への保持力向上をも図る車両用クッションパッド及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく、請求項1に記載の発明の要旨は、下層になる第一発泡成形体上に、着座乗員が当接する側の当たり面部分の在る座部層を積層させた第二発泡成形体が発泡成形されている車両用クッションパッドにおいて、前記第一発泡成形体は、前記第二発泡成形体よりも密度小で硬度大にして、その裏面側の一部に、クッションパッドの車両設置下で、略垂直となる側壁面を有して盛り上がった隆起部を具備し、且つ該隆起部の略垂直になっている前記側壁面に複数の突状膨らみが成形されていることを特徴とする車両用クッションパッドにある。請求項2の発明たる車両用クッションパッドは、請求項1で、上下方向の縦筋条にした前記膨らみが、前記側壁面の周方向に複数設けられていることを特徴とする。請求項3の発明たる車両用クッションパッドは、請求項1又は2で、膨らみが、下方に向けその横断面形状を小さくして、成形されていることを特徴とする。請求項4の発明たる車両用クッションパッドは、請求項1~3で、隆起部が車幅方向に離れて一対形成され、双方が車幅方向の両外方寄りに配されると共に、両隆起部における相対する側壁面に前記膨らみが露出形成されていることを特徴とする。請求項5の発明たる車両用クッションパッドは、請求項1~4で、車両への設置で、前記隆起部が車体床面よりも下方に突出する高さに設定されていることを特徴とする。請求項6の発明たる車両用クッションパッドは、請求項1~5で、第一発泡成形体の裏面外周部を残して、その内側に一段低い陥没域を設け、且つ該陥没域の陥没底を該第一発泡成形体の裏面としてその一部が盛り上がって前記隆起部が形成されていることを特徴とする。 請求項7に記載の発明の要旨は、下層になる第一発泡成形体上に、着座乗員が当接する側の当たり面部分を有した座部層が積層された第二発泡成形体を発泡成形する車両用クッションパッドの製造方法において、前記第一発泡成形体は、前記第二発泡成形体よりも密度小で硬度大にして、裏面側の一部に、クッションパッドの車両設置下で、略垂直となる側壁面を有して盛り上がった隆起部を形成し、且つ該隆起部の略垂直になっている前記側壁面に突条膨らみを複数成形する一方、上型キャビティ面に該隆起部に対応する凹穴を形成して、該第一発泡成形体の裏面側を上向きにし、前記膨らみを圧縮変形させつつ前記凹穴へ前記隆起部を嵌め入れて上型に該第一発泡成形体をセットし、次いで、下型キャビティ面上に第二発泡成形体用発泡原料を注入すると共に型閉じし、その後、第二発泡成形体を発泡成形したことを特徴とする車両用クッションパッドの製造方法にある。請求項8の発明たる車両用クッションパッドの製造方法は、請求項7で、上下方向の縦筋条にした前記膨らみを前記側壁面に複数成形したことを特徴とする。請求項9の発明たる車両用クッションパッドの製造方法は、請求項7又は8で、膨らみの横断面形状を下方に向け小さくしたことを特徴とする。請求項10の発明たる車両用クッションパッドの製造方法は、請求項7~9で、隆起部を車幅方向に離れて一対形成し、双方を車幅方向の両外方寄りに配すると共に、両隆起部における相対する側壁面に前記膨らみを形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の車両用クッションパッド及びその製造方法は、隆起部の側壁面に設けた膨らみが上型と干渉するものの、第一発泡成形体に圧縮変形可能な突状膨らみが形成されているので、該膨らみを圧縮変形させて該第一発泡成形体を上型へ保持力を高めて簡単にセットでき、優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の車両用クッションパッド及びその製造方法の一形態で、クッションパッドの全体斜視図である。
図2図1のクッションパッドを車幅方向で切断した説明断面図である。
図3図1の第一発泡成形体を裏面側から見た斜視図である。
図4図3に代わる他態様の第一発泡成形体を裏面側から見た斜視図である。
図5図2に代わる他態様のクッションパッドの説明断面図である。
図6】(イ)が図4の隆起部周りの断面図、(ロ)~(ニ)は(イ)に代わる他態様図である。
図7図5の第一発泡成形体を上型にセットする様子の説明断面図である。
図8】(イ)が上型に第一発泡成形体をセットした部分拡大図、(ロ)は(イ)のVIII-VIII線断面図である。
図9図8の後、発泡原料を注入する説明断面図である。
図10】型閉じの説明断面図である。
図11】第二発泡成形体を発泡成形した説明断面図である。
図12図7に代わる他態様図である。
図13図11に代わる他態様図である。
図14】(イ)が従来のクッションパッドの斜視図、(ロ),(ハ)が(イ)の第一発泡成形体を上型にセットする際の不具合を示す説明断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る車両用クッションパッド(以下、単に「クッションパッド」ともいう。)及びその製造方法について詳述する。 図1図13は本発明のクッションパッド及びその製造方法の一形態で、図1はクッションパッドの斜視図、図2図1の断面図、図3図1の第一発泡成形体の裏面側斜視図、図4,図5図3,図2に代わる他態様図、図6は(イ)が図4の隆起部周りの断面図、(ロ)~(ニ)は(イ)に代わる他態様図、図7図5の第一発泡成形体を上型にセットする断面図、図8は(イ)が上型に第一発泡成形体をセットした部分拡大図、(ロ)は(イ)のVIII-VIII線断面図、図9は発泡原料を注入する断面図、図10は型閉じの断面図、図11は第二発泡成形体を発泡成形した断面図、図12,図13図7,図11に代わる他態様図である。各図は図面を判り易くするため発明要部を強調図示し、また本発明と直接関係しない部分を簡略化又は省略する。
【0010】
(1)車両用クッションパッド 車両用クッションパッド1は、着座した乗員の下半身を受け支えるクッションパッドである。車両後部座席のクッションパッド1に適用する(図1図3)。クッションパッド1に表皮を被せてシートクッションの形にすれば、公知のバックパッドに表皮を被せたシートバックとで、車幅方向に補助席部3Cが在る後部座席になる。図2は車両設置の姿態にしたクッションパッド1で、紙面左右方向が車幅方向、紙面上方が車両上方を示し、本発明でいう「車幅方向」,「上方」も同様とする。 クッションパッド1は、第一発泡成形体2と第二発泡成形体3とを具備する。
【0011】
第一発泡成形体2は、クッションパッド1の下層を占める嵩上げ用発泡成形体である(図3)。第二発泡成形体3よりも密度(詳しくは見掛け密度)小で、硬度大になる。例えば、いわゆるビーズ発泡法によって得られた発泡成形体で構成される。原料ビーズを予備発泡成形させた後、型内発泡成形によって成形されているブロック状ビーズ発泡体である。ビーズ発泡体は、発泡スチロール、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン、又はこれらのうち一つを少なくとも含む成形体であるのが好ましい。気泡が内部に密閉されたビーズ発泡体は、体積の大部分が気体で軽量にして第二発泡成形体3よりも硬く、クッションパッド1用嵩上げ部材としての硬度と保形性がある。
【0012】
第一発泡成形体2は、その裏面2b側の一部に、クッションパッドの車両設置下で、略垂直(略鉛直)となる側壁面241を有して盛り上がった隆起部24を具備する(図2,図3)。第一発泡成形体2には、隆起部24の略垂直に形成された側壁面241に断続的に複数の突状膨らみ25が成形されている。各膨らみ25は疣状の凸部でもよいが、クッションパッドの製造で、膨らみ25の突端部分251を圧縮して後述の凹穴92へ隆起部24をセット保持させるため、凹穴92への挿入方向に延びる縦筋条のものがより好ましい。
【0013】
本実施形態は、略四角柱の隆起部24が車幅方向に離れて一対形成され、ここでは車幅方向の両外方寄りに配される。そして、両隆起部24の側壁面241に突状膨らみ25が露出形成されている。クッションパッド1の車両設置で、第一発泡成形体2の裏面2bが略水平に配され、該裏面2bに対し、側壁面241を略垂直面とした隆起部24が、下方(鉛直)方向に突出して起立する。車両への設置で、隆起部24が車体床面6よりも下方に突出する高さhに設定される。 隆起部24は裏面視で矩形とし、その長辺を車両前後方向に合わしている。隆起部24の側壁面241には膨らみ25が上下方向の縦筋条に成形され、側壁面241における隆起部24の高さ方向と直交する周方向に複数の突条膨らみ25が所定ピッチで突出成形される。図3で、複数の突状膨らみ25が側壁面241の平らな部分を残して平行に配されるが、平らな面をなしにして突状膨らみ25を波状に連設してもよい。
【0014】
ここでの突状膨らみ25は、凹穴92への隆起部24の挿入方向に対し直交する横断面を、図3ごとくの突端側が頂点となる三角形とする。該膨らみ25の横断面形状は、このように膨らみ25の突端に向け先細り形状であるのが好ましい。三角形の他、半円,楕円,台形等に突出する形状であれば、後述するクッションパッドの製造で、凹穴92と膨らみ25がそのままでは干渉して凹穴92の穴口でつかえても、膨らみ25の突端部分251は、先細り形状であり、且つ圧縮変形可能な第一発泡成形体2の一部である。干渉度合に応じて突端部分251から比較的簡単に圧縮変形でき、凹穴92への膨らみ25付き隆起部24の挿入,セットが容易になる。
【0015】
また
、第一発泡成形体2は図4のような二分割構成した他態様品にできる。同図の第一発泡成形体2は、図3の右半分側に相当する分割パッド2Nだけ図示するが、これと略面対称の左半分側の分割パッド2Mの一対が備わって、図13のようなクッションパッド1になる。四面在る側壁面24の全てに突状膨らみ25を形成している。符号20は抜孔で、乗員が座った時の底付きを防止する。
【0016】
図6(イ)に、側壁面241に膨らみ25が在る隆起部24が第一発泡成形体2の裏面2bから盛り上がった図4の部分拡大図を示す。図6は第一発泡成形体2の裏面2b側に在る隆起部24周りの断面図で、車両設置時における上下方向が逆になっている。 第一発泡体裏面2bに対し垂直起立する隆起部24の上下方向全域に亘って、横断面同形の膨らみ25が縦筋突条に形成されており、該膨らみ25が後述するクッションパッドの製法で、上型9の凹穴92と干渉して上型9への保持力を高める。符号929は凹穴92の面取りで、凹穴92への膨らみ25付き隆起部24の挿入を容易にする。
【0017】
凹穴92へ膨らみ25を干渉させて嵌め入れた隆起部24が抜け落ちないようにするには、第一発泡体の裏面2bに対し全ての側壁面241が垂直起立する図6(イ)が好ましい。膨らみ25は、隆起部24の全ての側壁面241に無くても、相対する二面に設けてあってもよい。凹穴92へセットした隆起部24は、側壁面241を僅かに傾けた垂直面に近い起立面にしても、クッションパッドの製造過程で抜け落ちない状態を保持できればよい。また側壁面241が裏面2bに対し起立状態を保ちつつも、凹穴92への隆起部24の嵌め込みが容易になるよう、隆起部24の頂面242側が基端側に対して断面積が小さい垂直な側壁面241となる隆起部24としてもよい(図6のロ)。膨らみ25が凹穴92と強干渉する膨らみ25付き隆起部24であっても、上型9への第一発泡成形体2のセットで、凹穴92への該膨らみ25付き隆起部24の挿入が容易になる。隆起部頂面242の面積に膨らみ25の横断面積を加えても、凹穴92の穴口より小さくできる。
【0018】
また、図6(イ)の上下方向に等断面形状となる膨らみ25でなくても、図6(ハ)のごとく下方に向けその横断面形状を徐々に小さくした膨らみ25でもよい。膨らみ25は頂面地点での突出高さf1に対し、基端部分(裏面地点)での突出高さf2を大きくする。凹穴92へ膨らみ25付き隆起部24を挿入していくと、その途中から膨らみ25と凹穴内壁921とが干渉し始め、上型9への第一発泡成形体2のセットが円滑に進み、且つ干渉度合が次第に大きくなっていくため、上型9への保持力をスムーズに高めることができる。 さらに、側壁面241に設ける膨らみ25は上下方向の全域に亘って設ける必要がなく、図6(ニ)のように頂面242から少し裏面2b側へ下った側壁面241の途中から膨らみ25の始点がスタートし、該膨らみ25を筋条に延在させてもよい。
【0019】
また、第一発泡成形体2は例えば図5のような隆起部24が陥没域23に設けられるものであってもよい。第一発泡成形体2は、裏面外周部22を残してその内側に一段低い陥没域23を設け、且つ該陥没域23の陥没底235を第一発泡成形体2の裏面2bとして、該裏面2bの一部を盛り上げた隆起部24が形成される。裏面視外形を図3と同じような形状にしながら、裏面外周部22を全周に亘って残し、該裏面外周部22の内側にカルデラのような大きな窪みの陥没域23を設ける。そして、車幅方向の両外方寄りの陥没域23で、一対の隆起部24を島状に盛り上げる。隆起部24の頂面242と裏面外周部22の裏面は面一とし、車体床面6へのクッションパッド1の設置で、水平に配し易くする。尚、図5では一対の隆起部24を一緒に収容する凹穴92が形成された上型9を用いて、クッションパッドを製造するため(詳細後述)、図5の二つの隆起部24にあって、対向する両側壁面241は膨らみ25をなしにする。膨らみ25の横断面形状は半円状とする(図8のロ)。 符号2A,2B,2Cはメイン部下層,サイド部下層,補助席下層を示す。
【0020】
第二発泡成形体3は、着座乗員が当接する側の当たり面部分311の在る座部層31を有して、軟質ポリウレタン発泡成形体で形成したクッション体である。嵩上げ用下層になる前記第一発泡成形体2上に座部層31を積層させて第二発泡成形体3が発泡成形されている。着座乗員はクッションパッド1に被せる図示しない表皮を介して当たり面部分311に当接する。
【0021】
図1,図2で、第二発泡成形体3は座部層31が芯パッド天面2aを覆い、側周層32が第一発泡成形体2の側面2dを覆う。第二発泡成形体3に係る座部層31の上面は着座乗員が当接する当たり面部分311側の意匠面となり、側周層32の外面が第二発泡成形体3の側面側意匠面3dになる。第二発泡成形体3が、クッションパッド裏面1bにもなる第一発泡成形体2の裏面2bを除いて、第一発泡成形体2に覆い被さって一体化し、クッションパッド1に仕上がっている。 図示を省略するが、第一発泡成形体2に天面2aから裏面2bへ貫通する、特開2017-206077に開示のガス抜き用透孔を設け、さらに裏面2b側に該透孔の孔径よりも大きな窪みを設けている。後述する第二発泡成形体3の発泡成形で、該透孔や窪みを第二発泡成形体3が埋めることによって、第二発泡成形体3は第一発泡体との一体強化が図られる。符号3Aは乗員座席のメイン部、符号3Bはサイド部、符号3Dは斜面、符号3Eはバックレストとの合わせ部、符号39は吊溝を示す。
【0022】
(2)車両用クッションパッドの製造方法 前記クッションパッド1は、例えば第一発泡成形体2が図5の場合、次のような製法によって造られる(図7図11)。発泡成形型7を用い、乗員が当接する側の当たり面部分311を軟質ポリウレタン発泡成形体で形成した第二発泡成形体3を発泡成形し、その発泡成形で、インサート品の第一発泡成形体2と一体化する車両用クッションパッドを製造する。
【0023】
クッションパッドの製造に先立ち、第一発泡成形体2,発泡成形型7を準備する。第一発泡成形体2は、(1)クッションパッドで述べたものと同じで、説明を省く。 発泡成形型7は図9ごとくの分割型で、下型8と上型9が開閉可能に接続されている。図10のように型閉じすると、全体が椀状に凹んで当たり面部分311の意匠面を形成する下型キャビティ面81と、第一発泡成形体2の裏面2bに合わせた全体が略平坦な上型キャビティ面91とで、クッションパッド用キャビティCをつくる。上型9への第一発泡成形体2のセットで、上型キャビティ面91には隆起部24との対応位置に図示ごとくの凹穴92が形成される。ここでは、陥没底235を含めて一対の隆起部24を収容する図7のような大きな凹穴92を設ける。尚、発泡成形型7は図5のクッションパッド1を上下が逆になった形で成形する。
【0024】
本クッションパッドの製法は、まず、前記発泡成形型7と前記第一発泡成形体2を用い、第一発泡成形体2の裏面2b側を上にして、二つの隆起部24をまとめて一つの凹穴92に嵌め込んで、第一発泡成形体2を上型9にセットする。 上型キャビティ面91で隆起部24の対応位置に設けられた凹穴92は、隆起部24だけなら収まるものの、膨らみ25があることによって、隆起部24を嵌め込む際に、該膨らみ25が凹穴形成部Fに衝突し干渉する。凹穴92の穴口周縁の凹穴形成部Fに膨らみ25がつかえる。しかるに、膨らみ25は第一発泡成形体2の一部であり圧縮変形可能なことから、該膨らみ25を圧縮変形させつつ凹穴92へ隆起部24を嵌め入れて、上型9に該第一発泡成形体2をセットできる。凹穴92へ膨らみ25が在る隆起部24を少し無理して押し込むと、凹穴形成部Fとの干渉部分になる膨らみ25が凹穴内壁921によって圧縮されて弾性変形する。膨らみ25の干渉する突端部分251を押し潰した状態にして、膨らみ25付き隆起部24が凹穴92に挿入される。
【0025】
図8は凹穴92へ隆起部24が嵌め入れられてセット状態にある図7の左側の凹穴形成部F周りを図示し、符号252はセットに伴って膨らみ25の突端部分251が押し潰された圧縮部分を示す。該押し潰された圧縮部分252の弾性復元力が起立する凹穴内壁921を押圧し、この押圧は図7の右側凹穴形成部Fの凹穴内壁921でも発生しており、上型9にセットされた第一発泡成形体2が保持される。第一発泡成形体2の裏面2bに起立する隆起部側壁面241上に膨らみ25を設けており、図9で説明すると、垂直起立する凹穴内壁921を、左右の膨らみ25付き隆起部24で内側から水平両外方へ突っ張る格好で押圧するので、第一発泡成形体2が上型9に効果的に保持される。尚、図8(ロ)に図示した隆起部24の紙面上下に位置する側壁面には膨らみ25を設けていない。ここにも膨らみ25を設け且つ該膨らみ25に干渉する凹穴形成部Fにすると、凹穴92へ嵌め入れた隆起部24を図8(ロ)に示す凹穴92の上下内壁でも膨らみ25の干渉する突端部分251が押し潰されてなる圧縮部分が、上下内壁921に作用し、上型9により強固に保持される。
【0026】
その後、下型キャビティ面81上に、注入ノズルNL等を使用して第二発泡成形体3用発泡原料gを注入する。 続いて、上型9を作動させ型閉じする(図10)。上型9と下型8との型閉じで、第一発泡成形体2がインサートセットされたクッションパッド用キャビティCができる。本実施形態は発泡原料gの注入後に型閉じしたが、型閉じ後に発泡原料gを注入することもできる。
【0027】
型閉じ後、第二発泡成形体3の発泡成形に移る。意匠面側に当たり面部分311を有し、且つその反対側の内面3bを第一発泡成形体2の天面2aに当接させて座部層31を形成した第二発泡成形体3を発泡成形する。図10の型閉じ状態を所定時間維持し、軟質ポリウレタン発泡成形体の第二発泡成形体3を発泡成形する。下型キャビティ面81で当たり面部分311を形成すると共に、当たり面部分311と反対側の内面3bを第一発泡成形体2の天面2aに当接させた第二発泡成形体3を発泡成形する。 第二発泡成形体3の発泡成形を完了させ脱型すれば、第一発泡成形体2の組み込みによる軽量化を実現した所望のクッションパッド1を得る(図5)。
【0028】
図12,図13は、第一発泡成形体2に図4の分割パッド2Nを用いた別態様のクッションパッドの製造方法を示す。 図3の第一発泡成形体2を二つに分割し、さらに抜孔20を設けた分割パッド2M,2Nとする。それぞれの分割パッド2M,2Nに隆起部24を設け、両隆起部24の側壁面241に膨らみ25を形成する。四つの側壁面241全てに図4のごとく縦筋条の膨らみ25を有する。発泡成形型7は上型9と下型8との型閉じで、図2のクッションパッド1のものと略同じキャビティCができる。二つの隆起部24に対応する上型キャビティ面91に凹穴92が夫々設けられるが、凹穴92は隆起部24を収納可能にしながら膨らみ25と干渉する。上型9への分割パッド2M,2Nのセットでは、膨らみ25が凹穴92周縁の凹穴形成部Fに衝突する。しかし、弾性変形可能な膨らみ25は干渉する突端部分251を押し潰して圧縮させ、膨らみ25付き隆起部24を凹穴92へ収めることができる。 図12の右側分割パッド2Nで、鎖線で示す当初の突端部分251が潰され圧縮されることによる弾性復元力は、隆起部24の四面にある全ての側壁面241から略水平外方へ働き、凹穴内壁921を押圧するので、分割パッド2Nは上型9に確実にセット保持される。また、凹穴92へ膨らみ25付き隆起部24を挿着すれば、隆起部24を平面視略矩形にしているので、分割パッド2N
は自律的に上型9に位置決めセットされる。右側分割パッド2Nと同様に、図12の左側分割パッド2Mを上型9にセットした後、下型キャビティ面81上に第二発泡成形体3用発泡原料gを注入する。その後、型閉じし、第二発泡成形体3を発泡成形し、図13ごとくの所望の車両用クッションパッド1を得る。 符号Sは空所、符号29は表皮の係止用溝、符号89,99は下型側,上型側の型合せ面を示す。
【0029】
(3)効果 このように構成した車両用クッションパッド及びその製造方法のごとく、第一発泡成形体2の裏面2b側に一部が、クッションパッドの車両設置下で、略垂直となる側壁面を有して盛り上がった隆起部24を形成し、且つ該隆起部24の略垂直となる側壁面241に突状膨らみ25が成形されていると、該第一発泡成形体2をインサート品にして上型9に楽にセットできる。第二発泡成形体3を発泡成形してクッションパッド1を造ることができる。 隆起部24に対応する上型キャビティ面91に凹穴92を形成し、膨らみ25付き隆起部24を凹穴92に挿入する際、凹穴92に隆起部24が収まるものの、膨らみ25が凹穴92の穴口周りに衝突し干渉させるように設定する。しかるに、膨らみ25は第一発泡成形の一部にして圧縮変形可能であるので、膨らみ25の突端部分251を押し潰し、圧縮変形させて凹穴92へ膨らみ25付き隆起部24を円滑に嵌め入れることができる。そして、膨らみ25が押し潰され変形した圧縮部分252は反発力が働き、この反発力は隆起部24の側壁面241に在る該圧縮部分から凹穴内壁921を外方に押圧するので、上型9に第一発泡成形体2が保持される。 特許文献1は、上型9に突部を設けて第一発泡成形体2の脱落防止を図るが、突部が型の金属材料で硬く、成形収縮を起こす第一発泡成形体2を相手に変形自由度に乏しい。干渉度合いが少しでも大きいと、金型の寸法調整に迫られる。これに対し、本発明の膨らみ25は、第二発泡成形体3よりも硬いといっても発泡ポリプロピレン等のビーズ発泡体などで形成されており、さらに突状膨らみ25であるので、大きすぎた場合でも、その分だけ押し潰す量を増して変形させて、簡単に凹穴92へ膨らみ25付き隆起部24を挿入できる。上型9への第一発泡成形体2のセットが容易になる。また、無理して、凹穴92へ膨らみ25付き隆起部24を挿入しても、ビーズ発泡法等で得られた第一発泡成形体2を圧縮変形させるものであるので、金属材料の硬い突部で削られるといった特許文献1の不具合もない。
【0030】
上下方向の縦筋条にした膨らみ25が設けられると、側壁面241の高さ方向の全域に亘って、膨らみ25の突端部分251を押し潰し圧縮変形させて、凹穴92に膨らみ25付き隆起部24を嵌め入れることができるので、押し潰された圧縮部分252の面積が増える分、反力を高めて、上型9への第一発泡成形体2の保持力を向上させる。縦筋条の膨らみ25の在る第一発泡成形体2だと、アンダーカットができないので、その成形も容易になる。膨らみ25が側壁面241の周方向に複数設けられれば、押し潰される圧縮部分252が複数に増えるので、上型9への第一発泡成形体2の保持力は一つの膨らみ25の場合の複数倍に高まる。 膨らみ25が下方に向けその横断面形状を小さくして成形されると、凹穴92への膨らみ25付き隆起部24の挿入が楽になる。そして、挿入途中から膨らみ25を凹穴内壁921に干渉させ、その干渉度合いを次第に大きくして、上型9への保持力をスムーズに高めることができる。
【0031】
隆起部24が図2のように車幅方向に離れて一対形成され、双方が車幅方向の両外方寄りに配されると共に、クッションパッド1の車両設置時に、両隆起部24の略垂直となる側壁面241に膨らみ25が露出形成されていると、クッションパッド1をガイド保持するフレーム5のセットが容易になる。フレーム5にも当然、寸法誤差があるが、この誤差を膨らみ25が吸収する(図2)。隆起部24の側壁面241から突出する突状膨らみ25の先端部分の圧縮変形によって、フレーム5側との微調整が可能になる。使用可能なフレーム5の許容範囲が広がり、歩留り向上に貢献する。 車両への設置で、隆起部24が車体床面6よりも下方に突出する高さに設定されていると、隆起部24に対向する車体床面6に、該隆起部24,膨らみ25を収める凹所61又は打抜き孔を設ければ、車体へのクッションパッド1の取付け固定が容易になる(図2)。車両の横揺れに対し、クッションパッドを制止できる。
【0032】
第一発泡成形体2の裏面外周部22を残して、その内側に一段低い陥没域23を設け、且つ該陥没域23の陥没底235を該第一発泡成形体2の裏面2bとしてその一部が盛り上がった隆起部24が形成されると、第一発泡成形体2の裏面2b側で隆起部24を設ける場所の制約がほぼなくなり、設計の自由度が高まる。 かくのごとく、本車両用クッションパッド及びその製造方法は、上述した種々の優れた効果を発揮する。
【0033】
尚、本発明においては前記実施形態に示すものに限られず、目的,用途に応じて本発明の範囲で種々変更できる。クッションパッド1,第一発泡成形体2,隆起部24,膨らみ25,第二発泡成形体3,発泡成形型7等の形状,大きさ,個数,材質等は用途に合わせて適宜選択できる。隆起部24が車幅方向に離れて一対形成され、双方が両外方寄りに配された場合、膨らみ25は両隆起部24の全ての側壁面241に設ける必要はなく、図3のように少なくとも両隆起部24における相対する側壁面241に膨らみ25が露出形成されていればよい。
【符号の説明】
【0034】
1 クッションパッド 2 第一発泡成形体 24 隆起部 241 側壁面 25 膨らみ 3 第二発泡成形体 31 座部層 311 当たり面部分 81 下型キャビティ面 91 上型キャビティ面 92 凹穴 95 係入部 F 凹穴形成部 g 発泡原料
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2023-09-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一発泡成形体と、
前記第一発泡成形体上に積層した第二発泡成形体とを備える車両用クッションパッドにおいて、
前記第一発泡成形体は、裏面の一部に、側壁面を有して前記裏面から盛り上がった隆起部を具備し、且つ前記側壁面に突状膨らみが成形されていることを特徴とする車両用クッションパッド。
【請求項2】
車両用クッションパッドの下層を構成する発泡体であって、
裏面の一部に、側壁面を有して前記裏面から盛り上がった隆起部を具備し、且つ前記側壁面に突状膨らみが成形されていることを特徴とする、車両用クッションパッドの下層用の発泡体。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上記目的を達成すべく、第1の発明の要旨は、下層になる第一発泡成形体上に、着座乗員が当接する側の当たり面部分の在る座部層を積層させた第二発泡成形体が発泡成形されている車両用クッションパッドにおいて、前記第一発泡成形体は、前記第二発泡成形体よりも密度小で硬度大にして、その裏面側の一部に、クッションパッドの車両設置下で、略垂直となる側壁面を有して盛り上がった隆起部を具備し、且つ該隆起部の略垂直になっている前記側壁面に複数の突状膨らみが成形されていることを特徴とする車両用クッションパッドにある。第2の発明たる車両用クッションパッドは、第1の発明で、上下方向の縦筋条にした前記膨らみが、前記側壁面の周方向に複数設けられていることを特徴とする。第3の発明たる車両用クッションパッドは、第1又は第2の発明で、膨らみが、下方に向けその横断面形状を小さくして、成形されていることを特徴とする。第4の発明たる車両用クッションパッドは、第1~3の発明で、隆起部が車幅方向に離れて一対形成され、双方が車幅方向の両外方寄りに配されると共に、両隆起部における相対する側壁面に前記膨らみが露出形成されていることを特徴とする。第5の発明たる車両用クッションパッドは、第1~4の発明で、車両への設置で、前記隆起部が車体床面よりも下方に突出する高さに設定されていることを特徴とする。第6の発明たる車両用クッションパッドは、第1~5の発明で、第一発泡成形体の裏面外周部を残して、その内側に一段低い陥没域を設け、且つ該陥没域の陥没底を該第一発泡成形体の裏面としてその一部が盛り上がって前記隆起部が形成されていることを特徴とする。 第7の発明の要旨は、下層になる第一発泡成形体上に、着座乗員が当接する側の当たり面部分を有した座部層が積層された第二発泡成形体を発泡成形する車両用クッションパッドの製造方法において、前記第一発泡成形体は、前記第二発泡成形体よりも密度小で硬度大にして、裏面側の一部に、クッションパッドの車両設置下で、略垂直となる側壁面を有して盛り上がった隆起部を形成し、且つ該隆起部の略垂直になっている前記側壁面に突条膨らみを複数成形する一方、上型キャビティ面に該隆起部に対応する凹穴を形成して、該第一発泡成形体の裏面側を上向きにし、前記膨らみを圧縮変形させつつ前記凹穴へ前記隆起部を嵌め入れて上型に該第一発泡成形体をセットし、次いで、下型キャビティ面上に第二発泡成形体用発泡原料を注入すると共に型閉じし、その後、第二発泡成形体を発泡成形したことを特徴とする車両用クッションパッドの製造方法にある。第8の発明たる車両用クッションパッドの製造方法は、第7の発明で、上下方向の縦筋条にした前記膨らみを前記側壁面に複数成形したことを特徴とする。第9の発明たる車両用クッションパッドの製造方法は、第7又は第8の発明で、膨らみの横断面形状を下方に向け小さくしたことを特徴とする。第10の発明たる車両用クッションパッドの製造方法は、第7~9の発明で、隆起部を車幅方向に離れて一対形成し、双方を車幅方向の両外方寄りに配すると共に、両隆起部における相対する側壁面に前記膨らみを形成したことを特徴とする。