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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166540
(43)【公開日】2023-11-21
(54)【発明の名称】流動蒸気圧装置および関連方法
(51)【国際特許分類】
   G01L 11/00 20060101AFI20231114BHJP
【FI】
G01L11/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023146873
(22)【出願日】2023-09-11
(62)【分割の表示】P 2021195940の分割
【原出願日】2017-11-13
(71)【出願人】
【識別番号】500205770
【氏名又は名称】マイクロ モーション インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホリングスワース, ジャスティン クレイグ
(72)【発明者】
【氏名】バトラー, マーク アラン
(72)【発明者】
【氏名】リープリー, ジェイソン アラン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】流体の蒸気圧を測定する方法を提供する。
【解決手段】方法は、メータ電子機器(20)を有するメータ(5)を提供するステップを含み、メータ(5)は、流量計および密度計のうちの少なくとも1つであり、プロセス流体をメータ(5)に流す。プロセス流体の圧力が測定される。プロセス流体の圧力は、単相/二相境界に到達するまで調整される。プロセス流体の流動蒸気圧は、単相/二相境界で測定される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の蒸気圧を測定する方法であって、
メータ電子機器を有するメータを提供するステップであって、前記メータが流量計および密度計のうちの少なくとも1つを含むステップと、
プロセス流体を前記メータに流すステップと、
前記プロセス流体の圧力を測定するステップと、
単相/二相境界に到達するまで前記プロセス流体の圧力を調整するステップと、
単相/二相境界での前記プロセス流体の流動蒸気圧を測定するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記単相/二相境界に到達するまで前記プロセス流体の圧力を調整するステップが、前記メータの上流に配置されたバルブの圧力を下げることを含む、請求項1に記載の流体の蒸気圧を測定する方法。
【請求項3】
前記単相/二相境界に到達するまで前記プロセス流体の圧力を調整するステップが、前記メータの下流に配置されたバルブの圧力を上げることを含む、請求項1に記載の流体の蒸気圧を測定する方法。
【請求項4】
前記プロセス流体の温度を測定するステップと、
温度および流動蒸気圧からリード蒸気圧を計算するステップと
を含む、請求項1に記載の流体の蒸気圧を測定する方法。
【請求項5】
前記温度および前記流動蒸気圧からリード蒸気圧を計算するステップが、前記温度からの前記リード蒸気圧を用いてメータ電子機器に記憶されたリード蒸気圧値を参照することを含む、請求項4に記載の流体の蒸気圧を測定する方法。
【請求項6】
前記メータ電子機器に記憶されたリード蒸気圧値がルックアップテーブルを含む、請求項5に記載の流体の蒸気圧を測定する方法。
【請求項7】
前記メータ電子機器に記憶されたリード蒸気圧値が曲線から計算される、請求項5に記載の流体の蒸気圧を測定する方法。
【請求項8】
測定された駆動ゲインを用いて前記プロセス流体中の混入ガスの存在を決定することを含む、請求項1に記載の流体の蒸気圧を測定する方法。
【請求項9】
前記流体の密度を測定することにより前記プロセス流体中の混入ガスの存在を決定することを含む、請求項1に記載の流体の蒸気圧を測定する方法。
【請求項10】
測定された駆動ゲインと測定された密度との組合せを用いて前記プロセス流体中の混入ガスの存在を決定することを含む、請求項1に記載の流体の蒸気圧を測定する方法。
【請求項11】
プロセス流体の流動蒸気圧を測定するためのシステム(300)であって、
流量計および密度計のうちの少なくとも1つを備えるメータ(5)と、
前記メータ(5)と流体連通している圧力調整器(308)と、
圧力センサ(312)と、
前記メータ(5)および前記圧力センサ(312)と通信するメータ電子機器(20)とを備え、前記メータ電子機器(20)が、
測定された圧力を受け取り、
前記圧力調整器(308)を制御して単相/二相境界に到達するまで前記プロセス流体
の圧力を調整し、
前記単相/二相境界での前記プロセス流体の前記流動蒸気圧を測定するように構成される、システム。
【請求項12】
前記メータ(5)が、
1つ以上の導管(103、103’)と、
前記1つ以上の導管(103、103’)に振動信号を生成するように構成された1つ以上の導管(103、103’)に取り付けられた少なくとも1つの駆動装置(104)と、
1つ以上の導管(103、103’)からの振動信号を受信するように構成された1つ以上の導管(103、103’)に取り付けられた少なくとも1つのピックオフ(105、105’)と
を含む、請求項11に記載のシステム(300)。
【請求項13】
前記プロセス流体の温度を測定するように構成された温度センサ(106)をさらに含み、
前記メータ電子機器(20)が、前記プロセス流体の測定された温度と流動蒸気圧からリード蒸気圧を計算するように構成されている、請求項11に記載のシステム(300)。
【請求項14】
前記メータ電子機器(20)は、その中にリード蒸気圧基準値を記憶している、請求項13に記載のシステム(300)。
【請求項15】
前記メータ電子機器に記憶されたリード蒸気圧基準値が、ルックアップテーブルを含む、請求項14に記載のシステム(300)。
【請求項16】
前記メータ電子機器に記憶されたリード蒸気圧基準値は、メータ電子機器の内部で計算される、請求項14に記載のシステム(300)。
【請求項17】
前記メータ電子機器(20)が、測定された駆動ゲインを用いて前記プロセス流体中の混入ガスの存在を決定するように構成される、請求項11に記載のシステム(300)。
【請求項18】
前記メータ電子機器(20)が、測定された密度を用いて前記プロセス流体中の混入ガスの存在を決定するように構成される、請求項11に記載のシステム(300)。
【請求項19】
前記メータ電子機器(20)が、測定された駆動ゲインと測定された密度との組合せを用いて前記プロセス流体中の混入ガスの存在を決定するように構成される、請求項11に記載のシステム(300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動計に関し、より具体的には、リアルタイムの蒸気圧測定のための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リード蒸気圧(RVP)は、燃料品質基準を測定および施行するための最も広く認識されている特性の1つである。流動蒸気圧は、ガソリン、天然ガス液体、および液化石油ガスなどの揮発性流体の流れと保管を扱う用途では重要な特性である。蒸気圧は、取り扱い中に揮発性流体がどのように機能し得るかの指標を提供し、さらに、泡が発生して圧力が高まる可能性がある条件を示す。このように、揮発性流体の蒸気圧測定は安全性を高め、輸送容器や輸送インフラストラクチャーの損傷を防ぐ。
【0003】
流体の蒸気圧が高すぎると、ポンピングおよび移送操作中にキャビテーションが発生する可能性がある。さらに、容器またはプロセスラインの蒸気圧は、温度変化により安全レベルを超えて上昇する可能性がある。したがって、保管や輸送の前にRVPを知っておく必要があることがよくある。
通常、RVPは、サンプルを採り、それらを実験室に移し、テストしてサンプルから値を測定することにより決定される。これは、最終結果の取得の遅延、実験室の維持コスト、およびサンプル処理に伴う安全性と法的証拠の脆弱性のため、規制燃料品質基準の施行に困難な問題を引き起こす。流動蒸気圧は、多くの場合、これと同じプロセスで測定され、その後、実験室で測定されたRVPから、経験的測定値に基づくルックアップテーブルとデータベースに依拠することで、流動温度での流動蒸気圧に変換される。
【0004】
したがって、プロセス条件下で連続的、リアルタイムに、流動蒸気圧および/またはRVPを測定できるインライン装置またはシステムが必要とされる。これは、本実施形態により提供され、当該技術分野の進歩が達成される。オンサイト測定は、定期的なサンプリングの必要性を除去し、サンプル収集時と実験室アッセイ時との間の流体特性変化のリスクを完全に排除するため、より信頼性が高い。さらに、危険な状態がすぐに改善される可能性があるため、リアルタイム測定を行うことで安全性が向上する。さらに、規制施行は、簡単なオンサイトチェックを介して行われ得るため、費用が節約され、検査や施行の決定は、ほとんど遅延やプロセスの停止なく行うことができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態によれば、流体の蒸気圧を測定する方法が提供される。本方法は、メータ電子機器を有するメータを提供することであって、メータが流量計および密度計のうちの少なくとも1つを含むことを含む。プロセス流体がメータを流れ、プロセス流体の圧力が測定される。プロセス流体の圧力は、単相/二相境界に到達するまで調整され、単相/二相境界でのプロセス流体の流動蒸気圧が測定される。
【0006】
一実施形態によれば、プロセス流体の流動蒸気圧を測定するためのシステムが提供される。本システムは、流量計および密度計のうちの少なくとも1つを備えるメータを含む。圧力調整器は、メータと流体連通している。本システムは、圧力センサを含む。メータ電子機器は、メータおよび圧力センサと通信し、メータ電子機器は、測定された圧力を受け取るように構成される。メータ電子機器は、圧力調整器を制御して単相/二相境界に到達するまでプロセス流体の圧力を調整し、単相/二相境界でのプロセス流体の流動蒸気圧を測定するように構成される。
【0007】
態様
一態様によれば、流体の蒸気圧を測定する方法は、メータ電子機器を有するメータを提供するステップであって、メータが流量計および密度計のうちの少なくとも1つを備えるステップと、プロセス流体をメータに流すステップと、プロセス流体の圧力を測定するステップと、単相/二相境界に到達するまでプロセス流体の圧力を調整するステップと、単相/二相境界でのプロセス流体の流動蒸気圧を測定するステップとを含む。
【0008】
好ましくは、単相/二相境界に到達するまでプロセス流体の圧力を調整するステップは、メータの上流に配置されたバルブの圧力を下げることを含む。
好ましくは、単相/二相境界に到達するまでプロセス流体の圧力を調整するステップは、メータの下流に配置されたバルブの圧力を上げることを含む。
好ましくは、本方法は、プロセス流体の温度を測定することと、温度および流動蒸気圧からリード蒸気圧を計算することとを含む。
好ましくは、温度および流動蒸気圧からリード蒸気圧を計算するステップは、温度からのリード蒸気圧を用いてメータ電子機器に記憶されたリード蒸気圧値を参照することを含む。
【0009】
好ましくは、メータ電子機器に記憶されたリード蒸気圧値は、ルックアップテーブルを含む。
好ましくは、メータ電子機器に記憶されたリード蒸気圧値は、曲線から計算される。
好ましくは、本方法は、測定された駆動ゲインを用いてプロセス流体中の混入ガスの存在を決定することを含む。
好ましくは、本方法は、流体の密度を測定することによりプロセス流体中の混入ガスの存在を決定することを含む。
好ましくは、本方法は、測定された駆動ゲインと測定された密度との組合せを用いてプロセス流体中の混入ガスの存在を決定することを含む。
【0010】
一態様によれば、プロセス流体の流動蒸気圧を測定するためのシステムは、流量計および密度計のうちの少なくとも1つを備えるメータを含む。圧力調整器は、メータと流体連通している。本システムは、圧力センサを含む。メータ電子機器は、メータおよび圧力センサと通信し、メータ電子機器は、測定された圧力を受け取り、圧力調整器を制御して単相/二相境界に到達するまでプロセス流体の圧力を調整し、単相/二相境界でのプロセス流体の流動蒸気圧を測定するように構成される。
【0011】
好ましくは、本システムは、1つ以上の導管と、振動信号を1つ以上の導管に生成するように構成された1つ以上の導管に取り付けられた少なくとも1つの駆動装置とを含む。少なくとも1つのピックオフが、1つ以上の導管から振動信号を受信するように構成された1つ以上の導管に取り付けられる。
好ましくは、本システムは、プロセス流体の温度を測定するように構成された温度センサを含み、メータ電子機器は、プロセス流体の測定された温度と流動蒸気圧からリード蒸気圧を計算するように構成される。
【0012】
好ましくは、メータ電子機器は、その中に記憶されたリード蒸気圧基準値を含む。
好ましくは、メータ電子機器に記憶されたリード蒸気圧基準値は、ルックアップテーブルを含む。
好ましくは、メータ電子機器に記憶されたリード蒸気圧基準値は、その中で計算される。
好ましくは、メータ電子機器は、測定された駆動ゲインを用いてプロセス流体中の混入ガスの存在を決定するように構成される。
好ましくは、メータ電子機器は、測定された密度を用いてプロセス流体中の混入ガスの存在を決定するように構成される。
好ましくは、メータ電子機器は、測定された駆動ゲインと測定された密度との組合せを用いてプロセス流体中の混入ガスの存在を決定するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態による流量計センサセンブリを示す図である。
図2】一実施形態によるメータ電子機器を示す図である。
図3】一実施形態による蒸気圧測定システムを示す図である。
図4】一実施形態による蒸気圧測定方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1乃至図4および以下の説明は、本発明の最良の形態を作成および使用する方法を当業者に教示するための具体例を示す。発明の原理を教示するために、いくつかの従来の態様は簡略化または省略されている。当業者は、本発明の範囲内に入るこれらの例からの変形を理解するであろう。当業者は、下記の特徴が、本発明の複数の変形を形成する種々の方法で組み合わされ得ることを理解するであろう。その結果、本発明は、下記具体例に限定されず、特許請求の範囲およびそれらの均等物のみにより限定される。
【0015】
例えば、振動密度計やコリオリ流量計などの振動センサが一般に知られており、流量計の導管または密度計を含む導管を流れる材料に関する質量流量および他の情報を測定するために使用される。例示的な流量計は、米国特許第4,109,524号、米国特許第4,491,025号、および再発行特許31,450号(すべてJ.E.Smithらに帰属)に開示されている。これらの流量計には、直線構成または曲線構成の1つ以上の導管がある。例えば、コリオリ質量流量計の各導管構成には、単純な曲げタイプ、ねじれタイプ、または結合タイプであり得る固有振動モードのセットがある。各導管は、好ましいモードで振動するように駆動できる。
【0016】
いくつかのタイプの質量流量計、特にコリオリ流量計は、密度の直接測定を実行して質量を密度で割った商から体積情報を提供する方法で動作できる。例えば、コリオリ流量計を使用して未知の多相流体の密度を測定するネットオイルコンピュータに対するRueschの米国特許番号4,872,351号参照。Buttlerらの米国特許第5,687,100号は、振動管密度計として動作する質量流量計における質量流量効果の密度測定値を補正するコリオリ効果密度計を教示する。
【0017】
材料は、流量計の入口側の接続されたパイプラインから流量計に流れ込み、導管を通って導かれ、流量計の出口側から流量計を出る。振動システムの固有振動モードは、導管と導管内を流れる材料との複合質量により部分的に定義される。
流量計を通る流れがない場合、導管に加えられる駆動力により、導管に沿った全点が、同じ位相で、またはゼロ流量で測定される時間遅延である小さな「ゼロオフセット」で振動する。材料が流量計を流れ始めると、コリオリの力により、導管に沿った各点が異なる位相を有する。例えば、流量計の入口端の位相は、中央の駆動装置の位置の位相より遅れるが、出口の位相は中央の駆動装置の位置の位相に先行する。導管のピックオフは、導管の動きを表す正弦波信号を生成する。ピックオフからの信号出力は、ピックオフ間の時間遅延を決定するために処理される。2つ以上のピックオフ間の時間遅延は、導管を流れる材料の質量流量に比例する。
【0018】
駆動装置に接続されたメータ電子機器は、駆動装置を動作させ、また、ピックオフから受信した信号からプロセス材料の質量流量および/または他の特性を測定するための駆動信号を生成する。駆動装置は、多くの周知の構成のうちの1つを備えることができる。し
かし、磁石と対向駆動コイルは、流量計業界で大成功を収めている。交流電流を駆動コイルに流して、導管を所望の導管振幅および導管周波数で振動させる。また、駆動装置の構成に非常に類似した磁石およびコイルの構成としてピックオフを提供することが当該技術分野で知られている。しかし、駆動装置が動きを誘導する電流を受け取る間、ピックオフは、駆動装置により提供される動きを使用して電圧を誘導できる。ピックオフによって測定される時間遅延の大きさは、非常に小さく、多くの場合、ナノ秒で測定される。したがって、変換器の出力を非常に正確にする必要がある。
【0019】
図1は、例えば、限定なく、コリオリ流量計または密度計などの任意の振動計であり得る流量計5を示す。流量計5は、センサセンブリ10およびメータ電子機器20を備える。センサセンブリ10は、プロセス材料の質量流量および密度に応答する。メータ電子機器20は、リード線100を介してセンサセンブリ10に接続され、経路26にわたる密度、質量流量、および温度情報、ならびに他の情報を提供する。センサセンブリ10は、フランジ101および101’、一対のマニホールド102および102’、一対の平行管103(第1の導管)および103’(第2の導管)、駆動装置104、測温抵抗体(RTD)などの温度センサ106、磁石/コイルピックオフなどの一対のピックオフ105および105’、歪ゲージ、光学センサ、または当該技術分野で知られている他の任意のピックオフを含む。導管103および103’は、それぞれ入口脚107および107’ならびに出口脚108および108’を有する。導管103および103’は、長さに沿って少なくとも1つの対称位置で曲がり、長さ全体にわたって基本的に平行である。各導管103、103’は、それぞれ軸WおよびW’ の周りで振動する。
【0020】
導管103、103’の脚107、107’、108、108’は、導管取付ブロック109および109’にしっかりと取り付けられ、これらのブロックは、同様に、マニホールド102および102’にしっかりと取り付けられる。これは、センサセンブリ10を通る連続的な閉じた材料経路を提供する。
フランジ101および101’が、測定されているプロセス材料を運ぶプロセスライン(図示せず)に接続されると、材料は、フランジ101の第1のオリフィス(図1では見えない)を通って流量計5の第1の端部110に入り、マニホールド102を通って導管取付ブロック109に導かれる。マニホールド102内で、材料は分割され、導管103および103’を通って送られる。導管103および103’を出ると、プロセス材料はマニホールド102’内で単一の流れに再結合され、その後、フランジ101’によりプロセスライン(図示せず)に接続された第2の端部112を出るように送られる。
【0021】
導管103および103’が選択され、それぞれ曲げ軸W-WおよびW’-W’の周りの質量分布、慣性モーメント、およびヤング率が実質的に同じになるように導管取付ブロック109および109’に適切に取り付けられる。導管103、103’のヤング率が温度とともに変化し、この変化が流量と密度の計算に影響するため、温度センサ106は、導管の温度を連続的に測定するために少なくとも1つの導管103、103’に取り付けられる。導管の温度、したがって導管を流れる所与の電流に対して温度センサ106の両端に現れる電圧は、主に導管を流れる材料の温度により左右される。温度センサ106の両端に現れる温度依存電圧をメータ電子機器20が周知の方法で使用して導管103、103’の温度のどんな変化による導管103、103’の弾性率の変化も補償する。温度センサ106は、メータ電子機器20に接続される。
【0022】
両方の導管103、103’は、流量計の第1の位相外れ曲げモードと称するもので、それぞれの曲げ軸WおよびW’の周りで反対方向に駆動装置104により駆動される。この駆動装置104は、導管103’に取り付けられた磁石や導管103に取り付けられた対向コイルなど、交流電流が流れて両方の導管を振動させる、多くの周知の構成のうちのいずれか1つを含んでもよい。適切な駆動信号が、リード線113を介して、メータ電子
機器20により駆動装置104に印加される。本説明は、2つの導管103、103’に向けられているが、他の実施形態では、単一の導管のみ、または3つ以上の導管が提供されてもよいことを理解されたい。複数の駆動装置および第1の位相ずれ曲げモード以外のモードで導管を駆動する駆動装置のための複数の駆動信号を生成することも本発明の範囲内である。
【0023】
メータ電子機器20は、リード線114の温度信号、リード線115および115’にそれぞれ現れる左右の速度信号を受信する。メータ電子機器20は、リード線113に現れる駆動信号を駆動装置104に生成し、導管103、103’を振動させる。メータ電子機器20は、左右の速度信号と温度信号を処理して、センサセンブリ10を流れる材料の質量流量と密度を計算する。この情報は、他の情報とともに、経路26を介してメータ電子機器20により利用手段に適用される。メータ電子機器20の回路の説明は、本発明を理解するために必要ではなく、この説明を簡潔にするために省略される。図1の説明は、単に1つの可能な振動計の動作の例として提供されており、本発明の教示を限定することを意図していないことを理解されたい。
コリオリ流量計の構造について説明するが、コリオリ質量流量計により提供される追加の測定機能なく振動管またはフォーク密度計で本発明を実施できることは当業者に明らかであろう。
【0024】
図2は、一実施形態による流量計5のメータ電子機器20のブロック図である。動作では、流量計5は、質量流量、体積流量、個々の流れ成分の質量流量および体積流量ならびに例えば個々の流れ成分の体積流量も質量流量も含む総流量の測定値または平均値の1つ以上を含む、出力され得る種々の測定値を提供する。
流量計5は振動応答を生成する。振動応答は、メータ電子機器20により受け取られ処理されて1つ以上の流体測定値を生成する。値は、監視、記録、保存、合計および/または出力できる。
【0025】
メータ電子機器20は、インターフェース201、インターフェース201と通信する処理システム203、および処理システム203と通信する記憶システム204を備える。これらのコンポーネントは、別個のブロックとして示されているが、メータ電子機器20は、統合されたおよび/または個別のコンポーネントの種々の組合せで構成され得ることを理解されたい。
インターフェース201は、流量計5のセンサセンブリ10と通信するように構成される。インターフェース201は、リード線100(図1参照)に結合し、駆動装置104、ピックオフセンサ105および105’、および例えば、温度センサ106と信号を交換するように構成されてもよい。インターフェース201は、通信経路26を介して、例えば、外部デバイスと通信するようにさらに構成されてもよい。
【0026】
処理システム203は、あらゆる方法の処理システムを含むことができる。処理システム203は、流量計5を動作させるために記憶されたルーチンを検索および実行するように構成される。記憶システム204は、流量計ルーチン205、バルブ制御ルーチン211、駆動ゲインルーチン213、および蒸気圧ルーチン215を含むルーチンを記憶することができる。記憶システム204は、測定値、受信値、作業値、および他の情報を記憶することができる。いくつかの実施形態では、記憶システムは、質量流量(m.)221
、密度(ρ)225、密度閾値(226)、粘度(μ)223、温度(T)224、圧力209、駆動ゲイン306、駆動ゲイン閾値302、ガス混入閾値244、ガス混入率248、および当該技術分野で知られている任意の他の変数を記憶する。ルーチン205、211、213、215は、言及されたあらゆる信号、および当該技術分野で知られているそれらの他の変数を含むことができる。他の測定/処理ルーチンが考えられ、本説明および特許請求の範囲内である。
【0027】
流量計ルーチン205は、流体定量値および流量測定値を生成および記憶することができる。これらの値は、実質的に瞬間的な測定値を含むことができ、または合計値または累積値を含むことができる。例えば、流量計ルーチン205は、質量流量測定値を生成し、それらを、例えば、記憶システム204の質量流量221記憶装置に記憶することができる。流量計ルーチン205は、例えば、密度225測定値を生成し、それらを密度225記憶装置に記憶することができる。質量流量221および密度225の値は、前記のように、および当該技術分野で知られているように、振動応答から決定される。質量流量測定値および他の測定値は、実質的に瞬間的な値を含むことができ、サンプルを含むことができ、時間間隔にわたる平均値を含むことができ、または時間間隔にわたる累積値を含むことができる。時間間隔は、特定の流体状態、例えば、液体のみの流体状態、あるいは、液体および混入ガスを含む流体状態が検出される時間のブロックに対応するように選択されてもよい。さらに、他の質量流量および体積流量ならびに関連定量値が考えられ、本説明および特許請求の範囲内である。
【0028】
記載のように、駆動ゲイン306は、流れなし/偽合計状態を示す信号として利用されてもよい。駆動ゲイン閾値302を使用して、流れの期間、流れなし、単相/二相境界、およびガス混入/混合相流を識別することができる。同様に、密度測定値225に適用される密度閾値226も、個別に、または駆動ゲインと一緒に使用して、ガス混入/混合相流を識別することができる。駆動ゲイン306は、例えば、限定なく、液相および気相などの異なる密度の流体の存在に対する流量計5の導管振動の感度の測定基準として利用されてもよい。エネルギー入力と結果として生じる振幅に対する減衰の複合効果は、拡張駆動ゲインとして知られている。これは、100%を超える電力が利用可能な場合に、ターゲットの振動振幅を維持するために必要な電力量の見積もりを表す。
拡張駆動ゲイン=駆動ゲイン×駆動ターゲット/最大(左ピックオフ、右ピックオフ)/周波数 (1)
【0029】
本明細書で提供される実施形態の目的のために、駆動ゲインという用語は、いくつかの実施形態では、駆動電流、ピックオフ電圧、または特定の振幅の流導管103、103’を駆動するのに必要な電力量を示す測定または導出された信号を指してもよいことに留意されたい。関連する実施形態では、駆動ゲインという用語は、ノイズレベル、信号の標準偏差、減衰関連測定値、および混合相流を検出するために当該技術分野で知られている他の任意の手段など、多相流を検出するために利用される任意の測定基準を包含するように拡張されてもよい。一実施形態では、これらの測定基準は、混合相流を検出するために、ピックオフセンサ105および105’にわたって比較されてもよい。
【0030】
振動導管103、103’は、管内のすべての流体が密度に関して均一である限り、それらの第1の共振周波数で振動を維持するのにほとんどエネルギーを必要としない。密度の異なる2つ(またはそれ以上)の非混和性成分からなる流体の場合、管の振動により、各成分の変位の大きさが異なる。この変位の違いはデカップリングとして知られており、このデカップリングの大きさは、成分の密度の比率および逆ストークス数に依存することが示されている。
【数1】
【数2】
ここで、ωは振動の周波数、νは流体の動粘度、そしてrは粒子の半径である。泡の場合のように、粒子は流体よりも密度が低い場合があることに留意されたい。
【0031】
成分間で発生するデカップリングにより、管の振動に減衰が発生し、一定のエネルギー入力に対して、振動を維持するためにより多くのエネルギーが必要になるか、振動の振幅が減少する。
図3を参照すると、一実施形態によれば、蒸気圧測定システム300が提供される。入口304および出口307を有するプロセスライン303が提供され、プロセスライン303は、入口304を通ってプロセスライン303に入るプロセス流体を運ぶように構成される。プロセスライン303を通る流量を制御する上流圧力調整器308が提供される。プロセスライン303を通る流量を制御する下流圧力調整器310が提供される。メータ電子機器20を有する流量計5は、上流圧力調整器308と下流圧力調整器310との間に配置され、上流圧力調整器308を流れるプロセス流体を受け取るように構成される。圧力センサ312および温度センサ314もシステム300に存在する。圧力センサ312および温度センサ314は、流量計5の下流に示されているが、これらのセンサ312、314は、流量計5の前に配置されてもよいし、流量計5内に組み込まれてもよい。
【0032】
メータ電子機器20は、上流圧力調整器308、下流圧力調整器310、圧力センサ312、および温度センサ314と通信する。メータ電子機器20は、上流圧力調整器308および下流圧力調整器310を制御できる。メータ電子機器20は、圧力センサ312からの圧力測定値、および温度センサ314からの温度測定値を受け取る。メータ電子機器20は、プロセス流体の圧力を監視し、蒸気圧に到達したことを示す第2の位相の導入を流量計5が検出するまでその圧力を下げるように構成される。一実施形態では、単一の圧力調整器308のみが存在する。
【0033】
図4を参照すると、システム300により使用される蒸気圧測定スキームの例を示すフローチャート400が提供される。システム300内のプロセス流体の圧力は、ステップ402で測定される。これは、圧力センサ312により実現される。システム300内のプロセス流体の温度は、ステップ403で測定される。プロセス流体が通常のプロセス条件下で単相である場合、ステップ404に示すように、上流圧力調整器308を部分的に閉じることにより、流動圧を下げることができる。駆動ゲインおよび/または密度は、ステップ406で測定でき、上記のように、多相流の存在を決定するために利用でき、単相/二相境界を決定するためにも利用できる。プロセス流体の圧力が測定され400、プロセス流体の圧力が低下しているため404、第2の位相の導入は、駆動ゲインおよび/または同様に蒸気圧に到達したことを示す密度測定値406を介して決定される。流動蒸気圧の検出は、ステップ408で、第2の位相が決定される時点での圧力も温度も記録することにより示される。ステップ410では、RVPは、流動蒸気圧が記録されたときの温度を考慮して、測定された流動蒸気圧から計算される。
【0034】
プロセス流体が既にいくらかの蒸気を含んでいる場合、これは、駆動ゲインおよび/または密度を測定することにより検出され、下流圧力調整器310を部分的に閉じて、第2の位相がもはや存在していない時点の蒸気圧および温度を測定するために圧力を上げることができることに留意されたい。いずれの場合も、プロセス流体の流動蒸気圧を示すために利用されるのは、単相/二相境界とこの境界でのプロセス流体の関連温度/圧力である。
【0035】
他の実施形態では、上流/下流圧力調整器構成が蒸気圧に到達するのに十分な圧力変化を提供しない場合には、他の圧力調整器および圧力制御の方法を使用してもよい。他の実施形態では、真の蒸気圧(TVP)と標準温度での蒸気圧(例えばリード蒸気圧(RVP))との間で変換する能力を提供するために、温度測定値も含んでもよい。TVPは、測定された温度での液体製品の実際の蒸気圧である。TVPは、直接測定するのが困難であり、測定装置内の液体の組成と温度に依存する。TVPと温度が分かると、他の任意の温度での流動蒸気圧および/またはRVPは、メータ電子機器20に記憶された経験的相関データから計算できる。経験的相関データは、ルックアップテーブル、数学的アルゴリズム、および/または数学的な曲線を含んでもよい。通常、直接RVP測定では、実験室分析のためにサンプルを送る必要がある。
【0036】
一実施形態では、システム300は、主フローストリームのサンプルのみを測定するスリップストリーム内に配置され、したがって材料プロセスへの影響を低下させる。RVPは、組成に大きく依存するため、組成が合理的に均一である場合、スリップストリームサンプルが効果的になる。これにより、システムのサイズが小さくなり、低コストになり、あまり目立たなくなる。
【0037】
上記実施形態の詳細な説明は、本発明の範囲内であると発明者が考えたすべての実施形態の網羅的な説明ではない。実際、当業者は、上記実施形態の特定の要素を種々組み合わせ、または除去してさらなる実施形態を作成することができ、このようなさらなる実施形態が本発明の範囲および教示内に入ることを認識するであろう。また、上記実施形態を全体的または部分的に組み合わせて、本発明の範囲および教示内の追加の実施形態を作成することができることも当業者には明らかであろう。
【0038】
したがって、本発明の特定の実施形態および例が本明細書に例示目的で説明されているが、当業者が認識するように、本発明の範囲内で種々の同等の変更が可能である。本明細書で提供される教示は、上記で説明され、添付の図に示された実施形態だけでなく、他の振動システムに適用することができる。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲から決定されるべきである。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-10-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の蒸気圧を測定する方法であって、
メータ電子機器及び駆動装置を有するメータを提供するステップであって、前記メータがコリオリ流量計および密度計のうちの少なくとも1つを含むステップと、
多相プロセス流体を前記メータに流すステップと、
前記プロセス流体の圧力を圧力センサで測定するステップと、
前記メータの駆動ゲインを決定するステップと、
前記プロセス流体の密度を測定するステップと、
単相/二相境界に到達するまで、前記メータの上流に配置されたバルブを用いて前記プロセス流体の圧力を調整するステップと、
前記駆動ゲインと前記測定された密度との組合せを用いて、前記コリオリ流量計又は前記密度計内の前記プロセス流体中の混入ガスの比率を決定するステップと、
単相/二相境界での前記プロセス流体の流動蒸気圧を測定するステップと、
前記プロセス流体の温度を測定するステップと、
前記温度および前記流動蒸気圧からリード蒸気圧を計算するステップであって、前記温度からの前記リード蒸気圧を用いてメータ電子機器に記憶されたリード蒸気圧値を参照するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記単相/二相境界に到達するまで前記プロセス流体の圧力を調整するステップが、前記メータの上流に配置された前記バルブの圧力を下げることを含む、請求項1に記載の流体の蒸気圧を測定する方法。
【請求項3】
前記単相/二相境界に到達するまで前記プロセス流体の圧力を調整するステップが、前記メータの下流に配置されたバルブの圧力を上げることを含む、請求項1に記載の流体の蒸気圧を測定する方法。
【請求項4】
前記メータ電子機器に記憶されたリード蒸気圧値がルックアップテーブルを含む、請求項に記載の流体の蒸気圧を測定する方法。
【請求項5】
前記メータ電子機器に記憶されたリード蒸気圧値が曲線から計算される、請求項に記載の流体の蒸気圧を測定する方法。
【請求項6】
プロセス流体の流動蒸気圧を測定するためのシステム(300)であって、
流量計および密度計のうちの少なくとも1つを備え、前記プロセス流体が通って流れ、前記プロセス流体が多相であるメータ(5)と、
前記メータ(5)と流体連通している圧力調整器(308)と、
圧力センサ(312)と、
前記メータ(5)および前記圧力センサ(312)と通信するメータ電子機器(20)とを備え、前記メータ電子機器(20)が、
測定された駆動ゲインを受け取り、
計測された密度を受け取り、
前記駆動ゲインと前記測定された密度との組合せを用いて、前記流量計又は密度計内の前記プロセス流体中の混入ガスの比率を決定し、
上記メータ(5)の上流に配置された前記圧力調整器(308)を制御して単相/二相境界に到達するまで、バルブを用いて前記プロセス流体の圧力を調整し、
前記単相/二相境界での前記プロセス流体の前記流動蒸気圧を測定し、
プロセス流体の温度を測定するように構成された温度センサ(106)を使用して前記プロセス流体の測定された温度と流動蒸気圧からリード蒸気圧を計算するように構成されており、
ここで前記メータ電子機器(20)は、その中にリード蒸気圧基準値を記憶している、システム。
【請求項7】
前記メータ(5)が、
1つ以上の導管(103、103’)と、
前記1つ以上の導管(103、103’)に振動信号を生成するように構成された1つ以上の導管(103、103’)に取り付けられた少なくとも1つの駆動装置(104)と、
1つ以上の導管(103、103’)からの振動信号を受信するように構成された1つ以上の導管(103、103’)に取り付けられた少なくとも1つのピックオフ(105、105’)とを含む、請求項に記載のシステム(300)。
【請求項8】
前記メータ電子機器に記憶されたリード蒸気圧基準値が、ルックアップテーブルを含む、請求項に記載のシステム(300)。
【請求項9】
前記メータ電子機器に記憶されたリード蒸気圧基準値は、メータ電子機器の内部で計算される、請求項に記載のシステム(300)。
【請求項10】
前記メータ電子機器(20)が、測定された密度を用いて前記プロセス流体中の混入ガスの存在を決定するように構成される、請求項に記載のシステム(300)。
【外国語明細書】