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特開2023-166550コンピュータ断層撮影撮像のための散乱補正
<図1A>
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166550
(43)【公開日】2023-11-21
(54)【発明の名称】コンピュータ断層撮影撮像のための散乱補正
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/046 20180101AFI20231114BHJP
【FI】
G01N23/046
【審査請求】有
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023148006
(22)【出願日】2023-09-13
(62)【分割の表示】P 2021166821の分割
【原出願日】2021-10-11
(31)【優先権主張番号】63/090,144
(32)【優先日】2020-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/492,525
(32)【優先日】2021-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520327227
【氏名又は名称】ベイカー ヒューズ オイルフィールド オペレーションズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Baker Hughes Oilfield Operations, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ニルス・ローテ
(57)【要約】
【課題】 X線画像の散乱補正のためのシステム及び方法が提供される。
【解決手段】 物体の散乱画像は、開口板を使用して取得された部分的散乱なし画像を使用して補正することができる。板は、物体と放射検出器との間に位置付けられ、グリッド内の開口を含む。元のX線は、開口を通過し、散乱X線は、開口板によって遮断され得る。開口板は、異なる位置に移動させることができ、それにより、開口板の各位置において部分的散乱なし画像を取得することができる。完全な散乱なし画像は、部分的散乱なし画像を組み合わせることによって生成することができる。散乱画像及び散乱なし画像を更に使用して、散乱補正モデルを訓練することができる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体の画像の散乱補正のための方法であって、
撮像システムの放射検出器によって、物体の撮像ボリュームを通って透過される放射の検出に基づく前記物体の散乱画像をそれぞれが表す複数の散乱画像データを取得することと、
前記物体と前記放射検出器との間に開口板を配置することであって、前記開口板が、二次元グリッド状に配置された複数の開口を含み、放射線が放射源から前記物体に方向付けられたとき、散乱されない放射線が前記複数の開口を通過し、散乱した放射線の一部が当該開口板によって遮断されるように配置される、配置することと、
前記放射検出器によって、各前記散乱画像に対応する部分的散乱なし画像を表す部分的散乱なし画像データを取得することであって、各前記部分的散乱なし画像は、前記開口板が存在するときに前記物体の前記撮像ボリュームを通って透過される放射の検出に基づいており、前記散乱画像及びその対応する部分的散乱なし画像が、前記開口板の前記存在を除いて実質的に同じ撮像条件下で撮像される、取得することと、
1つ以上のプロセッサを含む分析器によって、前記複数の散乱画像データ及び対応する部分的散乱なし画像データを受信することと、
前記分析器によって、訓練された散乱補正モデルを受信することと、
前記分析器によって、前記受信された複数の散乱画像データ及び対応する部分的散乱なし画像データに基づいて、前記訓練された散乱補正モデルを更新して、更新された訓練された散乱補正モデルを得ることと、
前記分析器によって、前記更新された訓練された散乱補正モデルに基づいて、前記複数の散乱画像データのうちの少なくとも1つを補正することと、
前記分析器によって、少なくとも1つの補正された散乱画像データを出力することと、を含み、
前記訓練された散乱補正モデルが、物体の撮像ボリュームを通って透過される放射の検出に基づく少なくとも1つの散乱画像の少なくとも一部分と、当該物体の撮像ボリュームを通って透過される放射の検出に基づく少なくとも1つの散乱なし画像とを使用して訓練され、
前記少なくとも1つの散乱なし画像が、前記開口板の位置をそれぞれ異ならせて撮像された複数の部分的散乱なし画像の前記開口の領域に対応する画像部分を組み合わせることで生成され、前記少なくとも1つの散乱画像と、前記複数の部分的散乱なし画像が前記開口板の存在を除いて実質的に同じ撮像条件下で撮像されている、方法。
【請求項2】
前記訓練された散乱補正モデルが、訓練されたニューラルネットワークモデルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記訓練された散乱補正モデルを前記更新することが、
対応する前記散乱画像データ及び前記部分的散乱なし画像データの各ペアに対して、前記散乱画像データに関する前記訓練されたニューラルネットワークモデルの出力と、前記部分的散乱なし画像データに関する前記訓練されたニューラルネットワークモデルの出力との間で補間を実行することと、
前記補間に基づいて、前記更新された訓練された散乱補正モデルを生成することと、を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記訓練された散乱補正モデルが、以前に決定されたデコンボリューション点拡散関数推定値を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記訓練された散乱補正モデルを更新することが、
対応する前記散乱画像データ及び前記部分的散乱なし画像データのそれぞれのペアの測定点を使用して、前記デコンボリューション点拡散関数推定値を局所的にパラメータ化することと、
前記局所的パラメータ化に基づいて前記デコンボリューション点拡散関数推定値を更新することと、を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
撮像システムであって、
物体に向かって方向付けられた放射を放出するように構成された放射源と、
前記物体の撮像ボリュームを通って透過される、前記放出された放射を検出するように構成された放射検出器と、
二次元グリッド状に配置された複数の開口を含み、放射線が前記放射源から前記物体に方向付けられたとき、散乱されない放射線が前記複数の開口を通過し、散乱した放射線の一部が開口板によって遮断されるように前記物体と前記放射検出器との間に配置された開口板と、
1つ以上のプロセッサを含む分析器と、
を備え、前記分析器が、
前記物体の前記撮像ボリュームを通って透過される前記放射源による放射の検出に基づく前記物体の散乱画像をそれぞれが表す複数の散乱画像データを受信することと、
各前記散乱画像に対応する部分的散乱なし画像を表す部分的散乱なし画像データを受信することであって、各前記部分的散乱なし画像は、前記開口板が存在するときに前記物体の前記撮像ボリュームを通って透過される放射の検出に基づいており、前記散乱画像及びその対応する部分的散乱なし画像が、前記開口板の前記存在を除いて実質的に同じ撮像条件下で撮像される、受信することと、
訓練された散乱補正モデルを受信することと、
前記受信された複数の散乱画像データ及び対応する部分的散乱なし画像データに基づいて、前記訓練された散乱補正モデルを更新して、更新された訓練された散乱補正モデルを得ることと、
前記更新された訓練された散乱補正モデルに基づいて、前記複数の散乱画像データのうちの少なくとも1つを補正することと、
少なくとも1つの補正された散乱画像データを出力することと、を行うように構成され、
前記訓練された散乱補正モデルが、物体の撮像ボリュームを通って透過される放射の検出に基づく少なくとも1つの散乱画像の少なくとも一部分と、当該物体の撮像ボリュームを通って透過される放射の検出に基づく少なくとも1つの散乱なし画像とを使用して訓練され、
前記少なくとも1つの散乱なし画像が、前記開口板の位置をそれぞれ異ならせて撮像された複数の部分的散乱なし画像データの前記開口の領域に対応する画像部分を組み合わせることで生成され、前記少なくとも1つの散乱画像と、前記複数の部分的散乱なし画像が前記開口板の存在を除いて実質的に同じ撮像条件下で撮像されている、撮像システム。
【請求項7】
前記訓練された散乱補正モデルが、訓練されたニューラルネットワークモデルである、請求項6に記載の撮像システム。
【請求項8】
前記訓練された散乱補正モデルを前記更新することが、
対応する前記散乱画像データ及び前記部分的散乱なし画像データの各ペアに対して、前記散乱画像データに関する前記訓練されたニューラルネットワークモデルの出力と、前記部分的散乱なし画像データに関する前記訓練されたニューラルネットワークモデルの出力との間で補間を実行することと、
前記補間に基づいて、前記更新された訓練された散乱補正モデルを生成することと、を含む、請求項7に記載の撮像システム。
【請求項9】
前記訓練された散乱補正モデルが、以前に決定されたデコンボリューション点拡散関数推定値を含む、請求項6に記載の撮像システム。
【請求項10】
前記訓練された散乱補正モデルを更新することが、
前記対応する散乱画像データ及び部分的散乱なし画像データのそれぞれのペアの測定点を使用して、前記デコンボリューション点拡散関数推定値を局所的にパラメータ化することと、
前記局所的パラメータ化に基づいて前記デコンボリューション点拡散関数推定値を更新することと、を含む、請求項9に記載の撮像システム。
【請求項11】
物体の画像の散乱補正のための方法であって、
撮像システムの放射検出器によって、物体の撮像ボリュームを通って透過される放射の検出に基づく前記物体の散乱画像をそれぞれが表す複数の散乱画像データを取得することと、
前記物体と前記放射検出器との間に開口板を配置することであって、前記開口板が、二次元グリッド状に配置された複数の開口を含み、放射線が放射源から前記物体に方向付けられたとき、散乱されない放射線が前記複数の開口を通過し、散乱した放射線の一部が当該開口板によって遮断されるように配置される、配置することと、
前記放射検出器によって、単一の部分的散乱なし画像を表す単一の部分的散乱なし画像データを取得することであって、前記単一の部分的散乱なし画像は、前記開口板が存在するときに前記物体の前記撮像ボリュームを通って透過される放射の検出に基づいている、取得することと、
1つ以上のプロセッサを含む分析器によって、前記複数の散乱画像データ及び前記単一の部分的散乱なし画像データを受信することと、
前記分析器によって、訓練された散乱補正モデルを受信することと、
前記分析器によって、前記受信された複数の散乱画像データ及び前記単一の部分的散乱なし画像データに基づいて、前記訓練された散乱補正モデルを更新して、更新された訓練された散乱補正モデルを得ることと、
前記分析器によって、前記更新された訓練された散乱補正モデルに基づいて、前記複数の散乱画像データのうちの少なくとも1つを補正することと、
前記分析器によって、少なくとも1つの補正された散乱画像データを出力することと、を含み、
前記訓練された散乱補正モデルが、物体の撮像ボリュームを通って透過される放射の検出に基づく少なくとも1つの散乱画像の少なくとも一部分と、当該物体の撮像ボリュームを通って透過される放射の検出に基づく少なくとも1つの散乱なし画像とを使用して訓練され、
前記少なくとも1つの散乱なし画像が、前記開口板の位置をそれぞれ異ならせて撮像された複数の部分的散乱なし画像データの前記開口の領域に対応する画像部分を組み合わせることで生成され、前記少なくとも1つの散乱画像と、前記複数の部分的散乱なし画像が前記開口板の存在を除いて実質的に同じ撮像条件下で撮像されている、方法。
【請求項12】
前記訓練された散乱補正モデルが、訓練されたニューラルネットワークモデルである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記訓練された散乱補正モデルを前記更新することが、
前記複数の散乱画像データのうちの散乱画像データ、及び前記単一の部分的散乱なし画像データを含む各画像ペアに対して、前記散乱画像データに関する前記訓練されたニューラルネットワークモデルの出力と、前記単一の部分的散乱なし画像データに関する前記訓練されたニューラルネットワークモデルの出力との間で補間を実行することと、
前記補間に基づいて、前記更新された訓練された散乱補正モデルを生成することと、を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記訓練された散乱補正モデルが、以前に決定されたデコンボリューション点拡散関数推定値を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記訓練された散乱補正モデルを更新することが、
前記複数の散乱画像データのうちの散乱画像データ、及び前記単一の部分的散乱なし画像データを含むそれぞれの画像ペアの測定点を使用して、前記デコンボリューション点拡散関数推定値を局所的にパラメータ化することと、
前記局所的パラメータ化に基づいて前記デコンボリューション点拡散関数推定値を更新することと、を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
撮像システムであって、
物体に向かって方向付けられた放射を放出するように構成された放射源と、
前記物体の撮像ボリュームを通って透過される、前記放出された放射を検出するように構成された放射検出器と、
二次元グリッド状に配置された複数の開口を含み、放射線が前記放射源から前記物体に方向付けられたとき、散乱されない放射線が前記複数の開口を通過し、散乱した放射線の一部が開口板によって遮断されるように前記物体と前記放射検出器との間に配置された開口板と、
1つ以上のプロセッサを含む分析器と、
を備え、前記分析器が、
前記物体の前記撮像ボリュームを通って透過される前記放射源による放射の検出に基づく前記物体の散乱画像をそれぞれが表す複数の散乱画像データを受信することと、
単一の部分的散乱なし画像を表す単一の部分的散乱なし画像データを受信することであって、前記単一の部分的散乱なし画像は、前記開口板が存在するときに前記物体の前記撮像ボリュームを通って透過される放射の検出に基づいている、受信することと、
訓練された散乱補正モデルを受信することと、
前記受信された複数の散乱画像データ及び前記単一の部分的散乱なし画像データに基づいて、前記訓練された散乱補正モデルを更新して、更新された訓練された散乱補正モデルを得ることと、
前記更新された訓練された散乱補正モデルに基づいて、前記複数の散乱画像データのうちの少なくとも1つを補正することと、
少なくとも1つの補正された散乱画像データを出力することと、を行うように構成され、
前記訓練された散乱補正モデルが、物体の撮像ボリュームを通って透過される放射の検出に基づく少なくとも1つの散乱画像の少なくとも一部分と、当該物体の撮像ボリュームを通って透過される放射の検出に基づく少なくとも1つの散乱なし画像とを使用して訓練され、
前記少なくとも1つの散乱なし画像が、前記開口板の位置をそれぞれ異ならせて撮像された複数の部分的散乱なし画像データの前記開口の領域に対応する画像部分を組み合わせることで生成され、前記少なくとも1つの散乱画像と、前記複数の部分的散乱なし画像が前記開口板の存在を除いて実質的に同じ撮像条件下で撮像されている、撮像システム。
【請求項17】
前記訓練された散乱補正モデルが、訓練されたニューラルネットワークモデルである、請求項16に記載の撮像システム。
【請求項18】
前記訓練された散乱補正モデルを前記更新することが、
前記複数の散乱画像データのうちの散乱画像データ、及び前記単一の部分的散乱なし画像データを含む各画像ペアに対して、前記散乱画像データに関する前記訓練されたニューラルネットワークモデルの出力と、前記単一の部分的散乱なし画像データに関する前記訓練されたニューラルネットワークモデルの出力との間で補間を実行することと、
前記補間に基づいて、前記更新された訓練された散乱補正モデルを生成することと、を含む、請求項17に記載の撮像システム。
【請求項19】
前記訓練された散乱補正モデルが、以前に決定されたデコンボリューション点拡散関数推定値を含む、請求項16に記載の撮像システム。
【請求項20】
前記訓練された散乱補正モデルを更新することが、
前記複数の散乱画像データのうちの散乱画像データ、及び前記単一の部分的散乱なし画像データを含むそれぞれの画像ペアの測定点を使用して、前記デコンボリューション点拡散関数推定値を局所的にパラメータ化することと、
前記局所的パラメータ化に基づいて前記デコンボリューション点拡散関数推定値を更新することと、を含む、請求項19に記載の撮像システム。
【請求項21】
前記訓練された散乱補正モデルが、散乱縁部拡散関数を含むデコンボリューションを含み、前記散乱縁部拡散関数が、散乱画像内の散乱を補正するように構成された点拡散関数を更に含む、
請求項4から5および14から15のいずれか1項記載の方法。
【請求項22】
前記訓練された散乱補正モデルが、散乱縁部拡散関数を含むデコンボリューションを含み、前記散乱縁部拡散関数が、散乱画像内の散乱を補正するように構成された点拡散関数を更に含む、
請求項9から10および19から20のいずれか1項記載の撮像システム。
【請求項23】
物体の画像の散乱補正のための方法であって、
撮像システムの放射検出器によって、前記物体の撮像ボリュームを通って透過される放射の検出に基づいて、前記物体の少なくとも1つの散乱画像を表すデータを取得することと、
前記物体と前記放射検出器との間において第1の位置に開口板を配置することであって、前記開口板が、二次元グリッド状に配置された複数の開口を含み、放射線が放射源から前記物体に方向付けられたとき、散乱されない放射線が前記複数の開口を通過し、散乱した放射線の一部が当該開口板によって遮断されるように配置される、配置することと、
前記放射検出器によって、前記開口板が前記第1の位置にあるときに前記物体の前記撮像ボリュームを通って透過される放射の検出に基づいて、少なくとも1つの第1の部分的散乱なし画像を表す第1の部分的散乱なし画像データを取得することと、
前記開口板を、前記第1の位置とは異なる1つ以上の第2の位置に移動させることであって、撮像のために位置決めされた前記物体と前記開口板に関して、前記開口板が前記第1の位置に配置されたときの前記開口の領域と前記開口板が前記1つ以上の第2の位置に配置されたときの前記開口の領域との組み合わせが、前記物体の前記撮像ボリュームを通る放射線が通過する領域を包含するように構成される、移動させることと、
前記放射検出器によって、前記開口板が前記1つ以上の第2の位置にあるときに前記物体の前記撮像ボリュームを通って透過される放射の検出に基づいて、少なくとも1つの第2の部分的散乱なし画像を表す第2の部分的散乱なし画像データを取得することと、
1つ以上のプロセッサを含む分析器によって、前記第1及び第2の部分的散乱なし画像データを受信することと、
前記分析器によって、前記第1の部分的散乱なし画像データから得られた前記複数の開口の領域に対応する画像部分と、前記第2の部分的散乱なし画像データから得られた前記複数の開口の領域に対応する画像部分とを組み合わせることで、少なくとも1つの散乱なし画像を生成することと、
前記分析器によって、前記少なくとも1つの散乱画像の少なくとも一部分及び前記少なくとも1つの散乱なし画像を使用して散乱補正モデルを訓練することと、
前記分析器によって、前記訓練された散乱補正モデルを出力することと、を含み、
前記散乱補正モデルが、散乱補正アルゴリズムを含むニューラルネットワークモデルであり、前記方法が、前記分析器によって、
前記少なくとも1つの散乱画像の少なくとも一部分に前記散乱補正アルゴリズムを適用して、散乱補正画像を生成することと、
前記生成された散乱補正画像と前記少なくとも1つの散乱なし画像との間の差を所定の方法によって決定することと、
前記差が所定の差よりも大きいとき、前記差を低減するために前記散乱補正アルゴリズムを更新することと、
前記差が前記所定の差以下であるとき、前記更新された散乱補正アルゴリズムを含む前記更新された散乱補正モデルを出力することと、によって前記散乱補正モデルを訓練することを更に含む、方法。
【請求項24】
撮像システムであって、
物体に向かって方向付けられた放射を放出するように構成された放射源と、
前記物体の撮像ボリュームを通って透過される、前記放出された放射を検出するように構成された放射検出器と、
前記物体と前記放射検出器との間に位置付けられ、二次元グリッド状に配置された複数の開口を含み、放射線が前記放射源から前記物体に方向付けられたとき、散乱されない放射線が前記複数の開口を通過し、散乱した放射線の一部が開口板によって遮断されるように配置される、移動可能な開口板と、
1つ以上のプロセッサを含む分析器と、を備え、前記分析器が、
前記物体の前記撮像ボリュームを通って透過される放射の検出に基づいて、前記物体の少なくとも1つの散乱画像を表すデータを受信することと、
前記開口板が第1の位置にあるときに前記物体の前記撮像ボリュームを通って透過される放射の検出に基づいて、前記物体の少なくとも1つの第1の部分的散乱なし画像を表す第1の部分的散乱なし画像データを受信することと、
前記開口板が、前記第1の位置とは異なる1つ以上の第2の位置にあるときに、前記物体の前記撮像ボリュームを通って透過される放射の検出に基づいて、少なくとも1つの第2の部分的散乱なし画像を表す第2の部分的散乱なし画像データを受信することであって、
撮像のために位置決めされた前記物体と前記開口板に関して、前記開口板が前記第1の位置に配置されたときの前記開口の領域と前記開口板が前記1つ以上の第2の位置に配置されたときの前記開口の領域との組み合わせが、前記物体の前記撮像ボリュームを通る放射線が通過する領域を包含するように構成される、受信することと、
前記第1の部分的散乱なし画像データから得られた前記複数の開口の領域に対応する画像部分と、前記第2の部分的散乱なし画像データから得られた前記複数の開口の領域に対応する画像部分とを組み合わせることで、少なくとも1つの散乱なし画像を生成することと、
前記少なくとも1つの散乱画像の少なくとも一部分及び前記少なくとも1つの散乱なし画像を使用して散乱補正モデルを訓練することと、
前記分析器によって、前記訓練された散乱補正モデルを出力することと、を行うように構成され、
前記散乱補正モデルが、散乱補正アルゴリズムを含むニューラルネットワークモデルであり、前記分析器が、
前記少なくとも1つの散乱画像の少なくとも一部分に前記散乱補正アルゴリズムを適用して、散乱補正画像を生成することと、
前記生成された散乱補正画像と前記少なくとも1つの散乱なし画像との間の差を所定の方法によって決定することと、
前記差が所定の差よりも大きいとき、前記差を低減するために前記散乱補正アルゴリズムを更新することと、
前記差が前記所定の差以下であるとき、前記更新された散乱補正アルゴリズムを出力することと、によって前記散乱補正アルゴリズムを訓練するように構成されている、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年10月9日に出願された「Scatter Correction For Computed Tomography Imaging」と題する米国仮特許出願第63/090,144号の利益を主張し、その全体が参照により組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
物体の検査が、一般に製造工業及び修理工業において行われる。工業検査プロセスでは、コンピュータ断層撮影(computed tomography、CT)、座標測定機(coordinate measuring machines、CMM)、レーザベースのプロフィロメトリ、光ゲージ、赤外線など、様々なタイプの検査システムを使用することができる。例えば、これらの検査システムを使用して、製造された部品(例えば、タービンブレード)において寸法を測定するか、又は欠陥を識別することができる。
【0003】
これらの検査システムの各々は、その利点及び不利点を有する。CMM及びレーザベースのプロフィロメトリなどのモダリティを使用して、高い精度で外部表面を測定することができるが、物体が切り開かれない限り、内部特徴を測定することはできない。現在までのところ、CTが、非破壊的に工業部品の内部構造及び外部構造の両方を明らかにするための測定/検査システムのうちで最も汎用性がある。内部測定並びに外部測定を提供する能力のために、CTベースの技術は、とりわけ、リバースエンジニアリング、ラピッドプロトタイピング、鋳造シミュレーション及び検証、タイヤ開発、第1の物品検査、セラミック多孔性検査、プロセス検証、部品認定、並びに欠陥検出などのプロセスを容易にし得る。
【発明の概要】
【0004】
しかしながら、CTベースの技術はまた、それらの広範な使用を抑止し得る特定の制限を有する場合がある。例えば、工業用途(例えば、金属部品の撮像)のための容積測定コンピュータ断層撮影(volumetric computerized tomography、VCT)撮像は、放射物質相互作用に基づくアーチファクト、スキャナに基づくアーチファクト、再構成技術に基づくアーチファクトなどに起因する画像アーチファクトを有する不満足な画像を提供することがある。放射物質相互作用に基づくアーチファクトは、ビームハードニングアーチファクト、及びX線散乱放射に起因するアーチファクトを更に含み得る。散乱放射は、撮像下の物体、使用されるビームスペクトル、幾何学的距離、及び周囲媒体などの撮像パラメータの強い関数である。一般に、投影画像内の散乱放射は、投影画像のコントラストを低減し、生成されたボリューム画像内の物体の鮮明な特徴の劣化を生じさせるか又はぼかし、計測用途の精度及びより小さい特徴の検出可能性を低減する可能性があるため、望ましくなり得る。
【0005】
したがって、CT画像からの散乱を低減又は排除するために、散乱を推定する様々な技術が開発されてきた。一般に、撮像パラメータにおける様々な依存性により、投影撮像における散乱信号含量の正確な推定が困難であり得る。物理学ベースモデルは、多くの場合、X線画像内の散乱含量を予測するために使用されることが多いが、材料特性が既知であるという条件で、時間がかかり、スキャン下の物体から生じる散乱のみを予測する。
【0006】
取得された投影画像内の散乱測定及び散乱補正のための異なる技術が存在する。例えば、1つの普及している散乱測定技術は、放射源と、VCTシステム内でスキャンされている物体との間に位置するビームストッパを用いて、対応する場所における散乱を測定する。しかしながら、現在既知であるほとんどの技術は、主に物体散乱に対処し、時間がかかるコンピュータシミュレーションを伴う。
【0007】
製造公差がより厳しくなるにつれて、公差を維持するための計測技術に対する要求の対応する増加がある。品質及び性能試験の必要性は、生産又は製造プロセスの不可欠な部分となっている。したがって、CT検査精度及び効率を改善するために、散乱放射関連のアーチファクトを除去するためのより効果的な方法が必要とされる。
【0008】
本開示の実施形態は、散乱補正のための改善されたシステム及び方法を提供する。物体の散乱画像は、散乱排除開口板を用いて取得された追加の画像を使用して補正することができる。散乱排除開口板は、グリッド上に位置付けられた複数の開口を含むことができる。使用中、開口板は、撮像されている物体と検出器との間に位置付けられる。コリメートされたX線が、X線源から物体に方向付けられたとき、元のX線は開口を通過することができ、その一方で、散乱X線の有意な部分が開口板によって遮断され得る。開口板はまた、異なる位置の間で移動するように構成することができる。したがって、部分的散乱なし画像は、開口板の各位置において取得することができ、これは、本明細書では部分的散乱なし画像と称される。部分的散乱なし画像を組み合わせることによって、散乱なし画像(グランドトゥルース)を得ることができる。位置の数及び取得された部分的散乱なし画像は、開口板の幾何学的形状に応じて変化し得る。一般に、位置の数は、散乱補正される散乱画像の領域全体を開口が覆うように十分であり得る。
【0009】
上で考察される実施形態は、部分的散乱なし画像を取得するために、ビーム孔とも称される個別の孔を有する開口板の使用に依拠する。代替的な実施形態では、スリットコリメータ又はビームストップは、部分的散乱なし画像を取得するために、開口板の代わりに使用され得る。開口板の手法と同様に、スリットコリメータ又はビームストップは、放射源と検出器との間に位置付けられ、移動され得る。各部分的散乱なし画像は、スリットコリメータ又はビームストップの異なる位置において取得することができ、部分的散乱なし画像を組み合わせて、散乱なし画像を形成することができる。
【0010】
開口板、スリットコリメータ、又はビームストップのうちのいずれかの使用によって取得された散乱なし画像は、散乱補正を容易にするために更に使用することができる。一態様では、散乱なし画像は、ニューラルネットワークを訓練するための基準として使用して、散乱補正のためのアルゴリズムを決定することができる。別の態様では、散乱なし画像を使用して、散乱デコンボリューションアルゴリズムの点拡散関数(point spread function、PSF)を決定することができる。
【0011】
更なる実施形態では、部分的散乱なし画像又は散乱なし画像を使用して、既に訓練されているニューラルネットワークを調整するか、又はコンボリューションベースの散乱補正のための既知のPSFのパラメータを調整することができる。
【0012】
一実施形態では、物体の画像の散乱補正のための方法が提供される。この方法は、撮像システムの放射検出器によって、物体の撮像ボリュームを通って透過される放射の検出に基づいて、物体の少なくとも1つの散乱画像を表すデータを取得することを含み得る。この方法は、物体と放射検出器との間において第1の位置に開口板を配置することを更に含むことができる。開口板は、放射検出器による検出からの散乱放射を抑制するように構成された複数の開口を含むことができる。この方法はまた、放射検出器によって、開口板が第1の位置にあるときに物体の撮像ボリュームを通って透過される放射の検出に基づいて、少なくとも1つの第1の部分的散乱なし画像を表すデータを取得することを含むことができる。この方法は、開口板を、第1の位置とは異なる1つ以上の第2の位置に移動させることを更に含み得る。第1の位置及び1つ以上の第2の位置における開口は、少なくとも1つの散乱画像内に捕捉された物体の領域を覆うことができる。この方法はまた、放射検出器によって、開口板が1つ以上の第2の位置にあるときに物体の撮像ボリュームを通って透過される放射の検出に基づいて、少なくとも1つの第2の部分的散乱なし画像を表すデータを取得することを含むことができる。この方法は、1つ以上のプロセッサを含む分析器によって、少なくとも1つの第1及び第2の部分的散乱なし画像データを受信することを更に含むことができる。この方法は、分析器によって、少なくとも1つの第1の部分的散乱なし画像データの少なくとも一部分と、少なくとも1つの第2の部分的散乱なし画像データの少なくとも一部分との組み合わせに基づいて、少なくとも1つの散乱なし画像を生成することを更に含むことができる。この方法はまた、分析器によって、少なくとも1つの散乱画像の少なくとも一部分及び少なくとも1つの散乱なし画像を使用して散乱補正モデルを更新することを含むことができる。この方法は、分析器によって、更新された散乱補正モデルを出力することを更に含むことができる。
【0013】
別の実施形態では、散乱補正モデルは、散乱補正アルゴリズムを含むニューラルネットワークモデルであり得る。この方法は、少なくとも1つの散乱画像の少なくとも一部分に散乱補正アルゴリズムを適用して、散乱補正画像を生成することと、生成された散乱補正画像と少なくとも1つの散乱なし画像との間の偏差を決定することと、を含む動作によって散乱補正モデルを更新することを含む、分析器によって実行される動作を更に含むことができる。動作は、偏差が所定の偏差よりも大きいとき、偏差を低減するために散乱補正アルゴリズムを更新することを更に含み得る。動作は、偏差が所定の偏差以下であるとき、更新された散乱補正アルゴリズムを含む更新された散乱補正モデルを出力することを更に含むことができる。
【0014】
別の実施形態では、散乱補正モデルは、散乱縁部拡散関数(edge spread function、ESF)を含むデコンボリューションであり得る。散乱縁部拡散関数は、散乱画像内の散乱を補正するように構成された点拡散関数(PSF)を更に含むことができる。この方法は、散乱補正モデルを更新することを更に含むことができる。散乱補正モデルは、少なくとも1つの散乱画像の少なくとも一部分にPSFを適用して、散乱補正画像を生成することと、散乱補正画像と少なくとも1つの散乱なし画像との間の偏差を決定することと、を含む動作によって更新することができる。動作は、偏差が所定の偏差を上回るとき、PSFのパラメータを更新して、偏差を低減し、上記適用動作及び決定動作を繰り返すことを更に含むことができる。動作は、偏差が所定の偏差未満であるとき、更新されたPSFパラメータを含む更新された散乱補正モデルを出力することを更に含むことができる。
【0015】
別の実施形態では、検出された放射をコリメートすることができる。
【0016】
別の実施形態では、少なくとも1つの散乱なし画像は、少なくとも1つの第1の部分的散乱なし画像データ又は少なくとも1つの第2の部分的散乱なし画像データの補間によって生成されない。
【0017】
別の実施形態では、開口板を移動させることは、一方向並進、双方向並進、又は回転のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0018】
別の実施形態では、少なくとも1つの散乱画像は、複数の画像を含む散乱画像セットとすることができる。
【0019】
別の実施形態では、開口は、二次元グリッド内に配設され得る。
【0020】
別の実施形態では、第1の位置及び少なくとも1つの第2の位置における開口は、互いに重なり合うことができる。
【0021】
別の実施形態では、第1の位置及び少なくとも1つの第2の位置における開口は、互いに所定の距離だけ離間し得る。
【0022】
一実施形態では、撮像システムが提供される。撮像システムは、放射源、移動可能な開口板、及び分析器を含むことができる。放射源は、物体に向かって方向付けられた放射を放出するように構成することができる。放射検出器は、物体の撮像ボリュームを通って透過される、放出された放射を検出するように構成することができる。移動可能な開口板は、物体と放射検出器との間に位置付けることができ、放射検出器による検出からの散乱放射を抑制するように構成された複数の開口を更に含むことができる。分析器は、1つ以上のプロセッサを含むことができる。分析器は、物体の撮像ボリュームを通って透過される放射の検出に基づいて、物体の少なくとも1つの散乱画像を表すデータを受信するように更に構成することができる。分析器はまた、開口板が第1の位置にあるときに物体の撮像ボリュームを通って透過される放射の検出に基づいて、物体の少なくとも1つの第1の部分的散乱なし画像を表すデータを受信するように構成することができる。分析器は、開口板が、第1の位置とは異なる1つ以上の第2の位置にあるときに、物体の撮像ボリュームを通って透過される放射の検出に基づいて、少なくとも1つの第2の部分的散乱なし画像を表すデータを受信するように更に構成することができる。第1の位置及び1つ以上の第2の位置における開口は、少なくとも1つの散乱画像内に捕捉された物体の領域を覆うことができる。分析器はまた、少なくとも1つの第1の部分的散乱なし画像データの少なくとも一部分と、少なくとも1つの第2の部分的散乱なし画像データの少なくとも一部分との組み合わせに基づいて、少なくとも1つの散乱なし画像を生成するように構成することができる。分析器は、少なくとも1つの散乱画像の少なくとも一部分及び少なくとも1つの散乱なし画像を使用して散乱補正モデルを訓練するように更に構成することができる。分析器は、訓練された散乱補正モデルを出力するように更に構成することができる。
【0023】
別の実施形態では、散乱補正モデルは、散乱補正アルゴリズムを含むニューラルネットワークモデルであり得る。分析器は、少なくとも1つの散乱画像の少なくとも一部分に散乱補正アルゴリズムを適用して、散乱補正画像を生成することと、生成された散乱補正画像と少なくとも1つの散乱なし画像との間の偏差を決定することと、によって、散乱補正アルゴリズムを訓練するように更に構成することができる。偏差が所定の偏差よりも大きいとき、分析器は、偏差を低減するために散乱補正アルゴリズムを更に更新することができる。偏差が所定の偏差以下であるとき、分析器は、更新された散乱補正アルゴリズムを更に出力することができる。
【0024】
別の実施形態では、散乱補正モデルは、散乱縁部拡散関数(ESF)を含むデコンボリューションであり得る。散乱縁部拡散関数は、散乱画像内の散乱を補正するように構成された点拡散関数(PSF)を更に含むことができる。分析器は、少なくとも1つの散乱画像の少なくとも一部分にPSFを適用して、散乱補正画像を生成することと、散乱補正画像と少なくとも1つの散乱なし画像との間の偏差を決定することと、によって、PSFを訓練するように更に構成することができる。偏差が所定の偏差を上回るとき、分析器は、PSFのパラメータを更に更新して、偏差を低減し、上記適用動作及び決定動作を繰り返すことができる。偏差が所定の偏差未満であるとき、分析器は、PSFパラメータを出力することができる。
【0025】
別の実施形態では、システムは、放出された放射をコリメートするように構成されたコリメータを更に含むことができる。
【0026】
別の実施形態では、分析器は、少なくとも1つの第1の部分的散乱なし画像データ又は少なくとも1つの第2の部分的散乱なし画像データの補間によって、少なくとも1つの散乱なし画像を生成するように構成されていない。
【0027】
別の実施形態では、第1の位置及び少なくとも1つの第2の位置は、一方向並進、双方向並進、又は回転のうちの少なくとも1つによって異なり得る。
【0028】
別の実施形態では、少なくとも1つの散乱画像は、複数の画像を含む散乱画像セットとすることができる。
【0029】
別の実施形態では、開口は、二次元グリッド内に配設され得る。
【0030】
別の実施形態では、開口板の第1の位置及び開口板の少なくとも1つの第2の位置における開口は、互いに重なり合うことができる。
【0031】
別の実施形態では、開口板の第1の位置及び開口板の少なくとも1つの第2の位置における開口は、互いに所定の距離だけ離間され得る。
【0032】
一実施形態では、物体の画像の散乱補正のための方法が提供される。この方法は、撮像システムの放射検出器によって、物体の撮像ボリュームを通って透過される放射の検出に基づいて、物体の複数の散乱画像を表すデータを取得することを含むことができる。この方法はまた、物体と放射検出器との間に開口板を配置することを含むことができる。開口板は、放射検出器による検出からの散乱放射を抑制するように構成された複数の開口を含むことができる。この方法は、放射検出器によって、各散乱画像に対応する部分的散乱なし画像を表すデータを取得することを更に含むことができる。各部分的散乱なし画像は、開口板が存在するときに物体の撮像ボリュームを通って透過される放射の検出に基づくことができる。散乱画像及びその対応する部分的散乱なし画像は、開口板の存在を除いて、ほぼ同じ条件下で取得することができる。この方法は、1つ以上のプロセッサを含む分析器によって、複数の散乱画像データ及び対応する部分的散乱なし画像データを受信することを更に含むことができる。この方法は、分析器によって、訓練された散乱補正モデルを受信することを更に含むことができる。この方法は、分析器によって、受信された複数の散乱画像データ及び対応する部分的散乱なし画像データに基づいて、訓練された散乱補正モデルを更新して、更新された訓練された散乱補正モデルを得ることと、更新された訓練された散乱補正モデルに基づいて複数の散乱画像のうちの少なくとも1つを補正することと、少なくとも1つの補正された散乱画像を出力することと、を含む。
【0033】
一実施形態では、訓練された散乱補正モデルは、訓練されたニューラルネットワークモデルであり得る。
【0034】
別の実施形態では、訓練された散乱補正モデルを更新することは、対応する散乱画像及び部分的散乱なし画像の各ペアに対して、散乱画像に関する訓練されたニューラルネットワークモデルの出力と、部分的散乱なし画像に関する訓練されたニューラルネットワークモデルの出力との間で補間を実行することと、補間に基づいて、更新された訓練された散乱補正モデルを生成することと、を含むことができる。
【0035】
別の実施形態では、訓練された散乱補正モデルは、以前に決定されたデコンボリューション点拡散関数(PSF)推定値を含むことができる。
【0036】
別の実施形態では、訓練された散乱補正モデルを更新することは、対応する散乱画像及び部分的散乱なし画像のそれぞれのペアの測定点を使用して、デコンボリューションPSF推定値を局所的にパラメータ化することと、局所的パラメータ化に基づいてデコンボリューションPSF推定値を更新することと、を含むことができる。
【0037】
別の実施形態では、撮像システムが提供される。撮像システムは、放射源、放射検出器、及び分析器を含むことができる。放射源は、物体に向かって方向付けられた放射を放出するように構成することができる。放射検出器は、物体の撮像ボリュームを通って透過される、放出された放射を検出するように構成することができる。分析器は、1つ以上のプロセッサを含むことができる。分析器は、物体の撮像ボリュームを通って透過される放射源による放射の検出に基づいて、物体の複数の散乱画像を表すデータを受信するように更に構成することができる。分析器はまた、各散乱画像に対応する部分的散乱なし画像を表すデータを受信するように構成することができる。各部分的散乱なし画像は、開口板が存在するときに物体の撮像ボリュームを通って透過される放射の検出に基づくことができる。散乱画像及びその対応する部分的散乱なし画像は、開口板の存在を除いて、ほぼ同じ条件下で取得することができる。分析器は、訓練された散乱補正モデルを受信し、受信された複数の散乱画像データ及び対応する部分的散乱なし画像データに基づいて、訓練された散乱補正モデルを更新して、更新された訓練された散乱補正モデルを得るように更に構成することができる。分析器は、更新された訓練された散乱補正モデルに基づいて複数の散乱画像のうちの少なくとも1つを補正し、少なくとも1つの補正された散乱画像を出力するように更に構成することができる。
【0038】
別の実施形態では、訓練された散乱補正モデルは、訓練されたニューラルネットワークモデルであり得る。
【0039】
別の実施形態では、訓練された散乱補正モデルを更新することは、対応する散乱画像及び部分的散乱なし画像の各ペアに対して分析器によって、散乱画像に関する訓練されたニューラルネットワークモデルの出力と、部分的散乱なし画像に関する訓練されたニューラルネットワークモデルの出力との間で補間を実行することと、補間に基づいて、更新された訓練された散乱補正モデルを生成することと、を含むことができる。
【0040】
別の実施形態では、訓練された散乱補正モデルは、以前に決定されたデコンボリューション点拡散関数(PSF)推定値を含むことができる。
【0041】
別の実施形態では、訓練された散乱補正モデルを更新することは、対応する散乱画像及び部分的散乱なし画像のそれぞれのペアの測定点を使用して、デコンボリューションPSF推定値を局所的にパラメータ化することと、局所的パラメータ化に基づいてデコンボリューションPSF推定値を更新することと、を含むことができる。
【0042】
別の実施形態では、物体の画像の散乱補正のための方法が提供される。この方法は、撮像システムの放射検出器によって、物体の撮像ボリュームを通って透過される放射の検出に基づいて、物体の複数の散乱画像を表すデータを取得することを含むことができる。この方法は、物体と放射検出器との間に開口板を配置することを更に含むことができる。開口板は、放射検出器による検出からの散乱放射を抑制するように構成された複数の開口を含むことができる。この方法は、放射検出器によって、単一の部分的散乱なし画像を表すデータを取得することを更に含むことができる。単一の部分的散乱なし画像は、開口板が存在するときに物体の撮像ボリュームを通って透過される放射の検出に基づくことができる。この方法は、1つ以上のプロセッサを含む分析器によって、複数の散乱画像データ及び単一の部分的散乱なし画像データを受信することを更に含むことができる。この方法はまた、分析器によって、訓練された散乱補正モデルを受信することを含むことができる。この方法は、分析器によって、受信された複数の散乱画像データ及び単一の部分的散乱なし画像データに基づいて、訓練された散乱補正モデルを更新して、更新された訓練された散乱補正モデルを得ることを更に含むことができる。この方法は、分析器によって、更新された訓練された散乱補正モデルに基づいて複数の散乱画像のうちの少なくとも1つを補正することと、分析器によって、少なくとも1つの補正された散乱画像を出力することと、を更に含むことができる。
【0043】
別の実施形態では、訓練された散乱補正モデルは、訓練されたニューラルネットワークモデルであり得る。
【0044】
別の実施形態では、訓練された散乱補正モデルを更新することは、複数の散乱画像のうちの散乱画像、及び単一の部分的散乱なし画像を含む各画像ペアに対して、散乱画像に関する訓練されたニューラルネットワークモデルの出力と、単一の部分的散乱なし画像に関する訓練されたニューラルネットワークモデルの出力との間で補間を実行することと、補間に基づいて、更新された訓練された散乱補正モデルを生成することと、を含むことができる。
【0045】
別の実施形態では、訓練された散乱補正モデルは、以前に決定されたデコンボリューション点拡散関数(PSF)推定値を含むことができる。
【0046】
別の実施形態では、訓練された散乱補正モデルを更新することは、複数の散乱画像のうちの散乱画像、及び単一の部分的散乱なし画像を含むそれぞれの画像ペアの測定点を使用して、デコンボリューションPSF推定値を局所的にパラメータ化することと、局所的パラメータ化に基づいてデコンボリューションPSF推定値を更新することと、を含むことができる。
【0047】
別の実施形態では、撮像システムが提供され、放射源、放射検出器、及び分析器を含むことができる。放射源は、物体に向かって方向付けられた放射を放出するように構成することができる。放射検出器は、物体の撮像ボリュームを通って透過される、放出された放射を検出するように構成することができる。分析器は、1つ以上のプロセッサを含むことができる。分析器はまた、物体の撮像ボリュームを通って透過される放射源による放射の検出に基づいて、物体の複数の散乱画像を表すデータを受信するように構成することができる。分析器は、単一の部分的散乱なし画像を表すデータを受信するように更に構成することができる。単一の部分的散乱なし画像は、開口板が存在するときに物体の撮像ボリュームを通って透過される放射の検出に基づくことができる。分析器は、訓練された散乱補正モデルを受信することと、受信された複数の散乱画像データ及び単一の部分的散乱なし画像データに基づいて、訓練された散乱補正モデルを更新して、更新された訓練された散乱補正モデルを得ることと、更新された訓練された散乱補正モデルに基づいて複数の散乱画像のうちの少なくとも1つを補正することと、少なくとも1つの補正された散乱画像を出力することと、を行うように更に構成することができる。
【0048】
別の実施形態では、訓練された散乱補正モデルは、訓練されたニューラルネットワークモデルであり得る。
【0049】
別の実施形態では、訓練された散乱補正モデルを更新することは、複数の散乱画像のうちの散乱画像、及び単一の部分的散乱なし画像を含む各画像ペアに対して、散乱画像に関する訓練されたニューラルネットワークモデルの出力と、単一の部分的散乱なし画像に関する訓練されたニューラルネットワークモデルの出力との間で補間を実行することと、補間に基づいて、更新された訓練された散乱補正モデルを生成することと、を含むことができる。
【0050】
別の実施形態では、訓練された散乱補正モデルは、以前に決定されたデコンボリューション点拡散関数(PSF)推定値を含むことができる。
【0051】
別の実施形態では、訓練された散乱補正モデルを更新することは、複数の散乱画像のうちの散乱画像、及び単一の部分的散乱なし画像を含むそれぞれの画像ペアの測定点を使用して、デコンボリューションPSF推定値を局所的にパラメータ化することと、局所的パラメータ化に基づいてデコンボリューションPSF推定値を更新することと、を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
これらの特徴及び他の特徴は、添付図面と併せて講じられる以下の発明を実施するための形態からより容易に理解されるであろう。
【0053】
図1A】CT撮像システムの例示的な一実施形態の上面図を示す概略図である。
【0054】
図1B図1AのCT撮像システムの側面図を示す概略図である。
【0055】
図2A】開口板が第1の位置に位置するときの、開口板の開口の位置を示す概略図である。
【0056】
図2B】開口板が第1の位置に、及び第1の位置に対して垂直方向に並進される第2の位置に位置するときの、開口板の開口の位置を示す概略図である。
【0057】
図2C】開口板が第1の位置に、及び第1の位置から水平方向に並進される第3の位置に位置するときの、開口板の開口の位置を示す概略図である。
【0058】
図2D】開口板が第1の位置、第2の位置、及び第3の位置に位置するときの、開口板の開口の位置を示す概略図である。
【0059】
図2E】開口板が所望の視野の実質的に全てを覆う複数の位置に位置するときの、開口板の開口の位置を示す概略図である。
【0060】
図3A】開口板の単一の位置を使用して散乱補正されたCT画像である。
【0061】
図3B】開口板の4つの位置を使用して散乱補正されたCT画像である。
【0062】
図4】散乱画像及び散乱なし画像を使用する計算技術を、散乱補正アルゴリズム又はデコンボリューションの開発のための入力として示す概略ブロック図である。
【0063】
図5】CT画像の散乱補正のための方法の例示的な一実施形態を示すフロー図である。
【0064】
図6】開口板を与えられる調整のための多数の測定点を示す概略図である。
【0065】
図7】以前に訓練されたニューラルネットワーク又は以前に決定されたデコンボリューションPSFが、散乱画像セット及び部分的散乱なし画像セットの対応する画像ペアに基づいて調整される、散乱補正のための方法の例示的な一実施形態を示すフロー図である。
【0066】
図8】以前に訓練されたニューラルネットワーク又は以前に決定されたデコンボリューションPSFが、散乱画像セット及び単一の部分的散乱なし画像の対応する画像ペアに基づいて調整される、散乱補正のための別の方法の例示的な一実施形態を示すフロー図である。
【0067】
図9】以前に訓練されたニューラルネットワーク又は以前に決定されたデコンボリューションPSFが、異なる物体タイプのための未定義の数の散乱画像セットに基づいて調整され、ここで、単一の部分的散乱なし画像又は部分的散乱なし画像セットが使用される、散乱補正のための更なる方法の例示的な一実施形態を示すフロー図である。
【0068】
図10A】CT撮像システムの例示的な一実施形態の上面図を示す概略図である。
【0069】
図10B図10AのCT撮像システムの側面図を示す概略図である。
【0070】
図面は必ずしも縮尺どおりではないことに留意されたい。図面は、本明細書に開示される主題の典型的な態様のみを描写することを意図しており、したがって、本開示の範囲を限定するものと見なされるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0071】
X線検査を実行するとき、X線を標的物体に通過させ、検出器によって検出して画像を生成することができる。いくつかのX線は、初期軌道から散乱される可能性があり、それにより、画像のコントラストを低減するアーチファクトがもたらされる。散乱補正のための技術が開発されてきたが、各々問題がある。一例では、散乱をモデル化するためのシミュレーションが開発されてきた。しかしながら、かかるシミュレーションは、非実験データ(純粋なシミュレーション)の制限に基づく可能性があり、及び/又は補間(補間によって補われる限定された実験データ)に重度に依存する可能性がある。更に、散乱の全ての態様が、十分な正確さを伴ってシミュレート又は補間され得るとは限らない。欠落している正確さは、散乱補正された画像内のアーチファクトの導入をもたらし得る。したがって、これらのシミュレーションから得られる散乱推定値は、実際の散乱から著しく逸脱する可能性がある。したがって、X線検査(例えば、コンピュータ断層撮影)のための散乱補正のための改善されたシステム及び方法が提供される。散乱なし画像及び散乱画像は、深層学習(例えば、ニューラルネットワーク)又はデコンボリューションモデルなどの計算技術の入力として使用することができる。散乱なし画像は、開口を含む開口板を使用して取得された複数の部分的散乱なし画像から生成することができる。各部分的散乱なし画像は、異なる位置における開口板を用いて取得され、散乱X線の一部分を遮断する。異なる位置における開口板の開口位置の組み合わせが散乱画像全体を覆うように、十分な部分的散乱なし画像を取得することができる。部分的散乱なし画像の組み合わせは、散乱なし画像を与える。このようにして生成された散乱なし画像は、補間なしで、小さいコリメート領域内で測定され、散乱推定値の精度が高くなる。
【0072】
本開示の実施形態は、一般に、改善された画質を達成するコンピュータ断層撮影(CT)撮像のための散乱補正を対象とする。かかる撮像技術は、医療用撮像、工業的計測及び検査、セキュリティスクリーニング、手荷物又はパッケージ検査など、様々な撮像コンテキストにおいて有用であり得る。更に、かかる撮像技術は、CTシステム、トモシンセシスシステム、X線撮像システムなどの様々な撮像システムにおいて採用されてもよい。本考察は、測定及び検査精度の改善をもたらす、CTシステムに関する工業検査コンテキストの例を提供するが、当業者であれば、他のコンテキスト及び他のシステムにおけるこれらの技術の適用が本技術の範囲内にあることを容易に理解するであろう。
【0073】
図1A図1Bは、高解像度画像を生成するように構成された撮像システム200を示す。撮像システム200は、画像データを取得することと、ディスプレイ及び分析のために画像データを処理することの両方を行うように設計された容積測定計算断層撮影(VCT)システムであり得る。図示のように、撮像システム200は、X線源202などの放射源202を含むことができる。放射源202によって放出される放射204をコリメートし、放射源202によって放出される放出放射204の寸法及び形状を調整するために、コリメータ205を放射源202に隣接して位置付けることができる。
【0074】
放射204の流れは、撮像される物体208に対して放射源202の反対側に配置された検出器アレイ206に向かって投影することができる。物体208は、X線検査に好適な任意の物体(例えば、タービンブレード)であり得る。放射204の流れは、撮像される物体208が撮像される撮像ボリュームに入ることができる。放射204の一部分は、物体208を通過するか、又は物体208の周りを通り、検出器アレイ206に衝突する。検出器アレイ206は、概して、検出素子の二次元アレイとして形成することができる。検出器アレイ206によって収集されたデータは、1つ以上のプロセッサを含む分析器207に出力することができる。
【0075】
物体208、放射源202、及び検出器アレイ206は、互いに対して変位させることができ、所望であれば、物体208に対して様々なビューで投影データを取得することができる。一例として、物体208は、回転軸210を中心として物体208を回転させることができるように、ターンテーブルなどのテーブル上に位置付けることができる。特定の実施形態では、検出器アレイ206から収集されたデータに(例えば、分析器207によって)前処理を施して、スキャンされる物体208の減衰係数の線積分を表すデータを調整することができる。次いで、処理されたデータ又は投影は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,804,106号でより詳細に考察されるように、スキャンされる領域の容積測定画像を定式化するために、(例えば、分析器207又は別の計算デバイスによって再構成することができる。
【0076】
撮像システム200は、画質及び解像度を改善するための様々な散乱緩和及び/又は補正技術を採用することができる。例えば、物体208から生じる散乱放射、並びに背景から生じる散乱放射を排除するための散乱排除開口板212を採用することができる。解像度及び画質を更に改善するために、開口板212は、以下でより詳細に考察される複数の位置の間で移動可能であり得る。開口板212を複数の位置の間で移動させることにより、物体208上のより小さい構造を認識することができ、アーチファクトをより良好に回避することができる。
【0077】
米国特許第9,804,106号でより詳細に考察されるように、開口板212は、板に穿孔された円形開口など、複数のサブセンチメートルサイズの開口48を含むことができる。開口48は、二次元グリッド上に位置付けられ得る。開口48の実施形態は、とりわけ、円形の形状、矩形の形状、又は六角形の形状など、任意の幾何学的形状を有する。特定の実施形態では、円形開口48は、互いに(中心間で)約5ミリメートルだけ離間していた直径約1~2ミリメートルであってもよい。
【0078】
上で考察されるように、開口板212は、生成される画像の解像度及び品質を増加させるために、複数の位置の間で移動可能であり得る。図2Aに示すように、開口板212は、最初に第1の位置211に配置され得る。第1のグリッド画像が収集された後、開口板212は、第2の位置213、214に再位置付けされ、第2のグリッド画像が収集され得る。一実施形態では、開口板212は一方向に移動させることができる。例えば、開口板212を、図2Bに示すように、第1の位置211から第2の位置213まで垂直方向に移動させることができ、第2の画像を収集するか、又は開口板212を、図2Cに示すように、第1の位置211から第3の位置214まで水平方向に移動させることができ、第2の画像を収集する。別の実施形態では、開口板212は双方向に移動させることができる。例えば、開口板212を、図2Dに示すように、垂直方向と水平方向の両方に移動させることができる。この実施形態では、開口板212は、第1の位置211に配置され、第1の画像が収集され、第2の位置213に移動され、第2の画像が収集され、第3の位置214に移動され、第3の画像が収集され、第4の位置215に移動され、第4の画像が収集され得る。別の実施形態では、開口板212は、物体208に対して回転させることができる。開口板212の各位置211、213、214、215において画像を収集することができる。図2Eに示すように、開口の位置が所望の領域全体を覆うまで、開口板212を移動させ、画像を取得するプロセスを繰り返すことができる。
【0079】
別の実施形態では、開口板212のグリッドの前に物体208を移動させることによって、画像の解像度も増加させることができる。上で考察される開口板212を再位置付けすることと同様に、この実施形態では、サンプルは、例えば、一方向に移動させるか、双方向に移動させるか、又は回転させることができる。物体208に対して開口板212の開口48を再位置付けすることにより、画像の解像度を増加させることができる。開口板212及び/又は物体208は、手動で又は自動的に再位置付けすることができる。
【0080】
画像の解像度は、開口板212及び/又は物体208を配置することができる位置の数によって決定することができる。位置の数が増加すると、画像の解像度も増加する。例えば、開口板212の双方向の移動を使用して、開口板212を4つの位置に位置付けると、画像解像度が2倍に増加する。別の例では、開口板212を16個の位置に位置付けると、画像解像度が4倍に増加する。開口板212を再位置付けすることによる画像解像度の改善を図3A図3Bに示す。
【0081】
図3Aは、開口板212が単一の位置に配置された、生成された物体208の画像216を示している。図3Bは、データの収集中に開口板212が4つの位置に配置された物体208の画像219を示している。これらの図に示される第1の場所217及び第2の場所218によって示されるように、開口板212の追加の位置は、図3Aと比較して、第1の場所217及び第2の場所218の各々において更なる詳細が視認可能である図3Bの画像をもたらす。
【0082】
散乱なし画像は、散乱補正のための計算手法と組み合わせて使用することができる。この組み合わせは、X線断層撮影における散乱補正のためのより良好な結果及びより少ないスキャン努力を創出することができる。計算手法の例としては、深層学習(例えば、ニューラルネットワーク)又はデコンボリューション手法が挙げられ得る。
【0083】
図4に示すように、散乱画像のセット402及び散乱なし画像のセットを、モデル406(例えば、ニューラルネットワーク又は散乱縁部拡散関数(ESF))に入力することができる。ニューラルネットワークの場合、散乱補正のために1つ以上のアルゴリズムを受信又は生成し、散乱画像セット402に適用することができる。デコンボリューションの場合、散乱ESFを用いて、デコンボリューションのための点拡散関数(PSF)を受信又は生成し、散乱画像セット402に適用することができる。いずれの場合も、散乱補正画像セットと散乱なし画像セット404との間の偏差が決定され、アルゴリズムの修正のためのフィードバック410として使用される。このプロセスはそれ自体を繰り返し、散乱補正画像セットと散乱なし画像セット404との間の偏差が所定の偏差未満になるまで、各反復でアルゴリズム又はパラメータを更新する。その後、決定されたアルゴリズム又はPSFが出力される。
【0084】
図5は、撮像システム200上の先進的な散乱測定及び補正技術を採用することによって、物体208などの物体の画像の散乱補正のための方法500の例示的な一実施形態を示すフロー図である。示されるように、方法500は、動作502~512を含む。この方法は単なる例示であり、選択された動作は、必要に応じて変更、追加、削除、及び/又は再配設することができることを理解されたい。
【0085】
動作502において、物体208の少なくとも1つの散乱画像を取得することができる。特定の実施形態では、複数の散乱画像(例えば、散乱画像セット)を取得することができる。
【0086】
動作504において、開口板212を、物体208と検出器206との間において第1の位置に配置する。上で考察されるように、開口板212は、複数の開口211を含むことができ、検出器アレイ206による検出からの散乱放射(例えば、物体208及び/又は背景から散乱されるX線)を抑制するように構成することができる。開口板212が第1の位置にあるときに、少なくとも1つの第1の部分的散乱なし画像(例えば、単一の部分的散乱なし画像、又は複数の部分的散乱なし画像を含む部分的散乱なし画像セット)を取得することができる。
【0087】
動作506において、開口板212を、第1の位置とは異なる1つ以上の他の位置(例えば、1つ以上の第2の位置)に移動させることができる。一例として、開口板212の移動は、並進のみ、回転のみ、又は並進と回転の組み合わせを含むことができる。並進は、少なくとも1つの方向(例えば、水平方向、垂直方向、又はこれらの組み合わせ)における移動を含むことができる。開口は、第1の位置と第2の位置との間の所定の距離だけ重なり合ってもよく、又は離間していてもよい。開口板212が、第2の位置のうちの選択された位置(例えば、第2の位置の少なくとも一部分及び最大で全て)に位置付けられたときに、第2の部分的散乱なし画像又は部分的散乱なし画像セットを取得することができる。開口がほぼ散乱画像全体を覆うように、必要な程度に多くの部分的散乱なし画像/画像セットを生成するために、動作506を繰り返すことができる。
【0088】
動作510では、取得された部分的散乱なし画像を、分析器によって受信し、組み合わせて、散乱なし画像/画像セットを生成することができる。特定の実施形態では、部分的散乱なし画像の少なくとも一部分が使用される。
【0089】
動作512において、散乱画像/画像セット及び散乱なし画像/画像セットを使用して、ディープアルゴリズムの訓練又はデコンボリューションアルゴリズムのPSF推定を行う。
【0090】
X線検査システムの変化は、X線検査システムによって取得される画像を変化させ得ることが理解できるであろう。かかる変化としては、X線検出器、X線源、検査されている標的、及び環境が挙げられ得るが、これらに限定されない。X線検出器の変化としては、1つのX線検出器と別のX線検出器との交換、及び経時変化による検出能力の変化のうちの1つ以上が挙げられ得る。X線源の変化としては、X線源によって放出されるX線スペクトルの何らかの変化が挙げられ得る。かかる変化は、X線源の構成要素(例えば、フィルタ、チューブなど)の交換、又はX線源全体と別のX線源との交換に起因して発生し得る。環境の変化としては、X線源を取り囲む環境に起因するX線散乱挙動の何らかの変化が挙げられ得る。
【0091】
これらの変化の結果として、かかる変化の前に訓練されたニューラルネットワークアルゴリズムは、出力散乱補正画像にエラーを導入する可能性がある。同様に、かかる変化の前に決定されたデコンボリューションPSF推定値は、出力散乱補正画像にエラーを導入する可能性がある。
【0092】
したがって、X線検査システムにおける変化の影響に対処するために、以前に決定されたニューラルネットワークアルゴリズムを再訓練することができるか、又はデコンボリューションのPSF推定値を更新することができる。すなわち、ニューラルネットワークの訓練又はデコンボリューションPSF推定値は、完全に再生成される必要はない。以前に決定されたニューラルネットワークアルゴリズムを有益に再訓練するか、又は以前に決定されたPSF推定値を更新することは、最初から生成することよりも著しく少ない訓練データ及び時間を必要とし得る。
【0093】
以下でより詳細に考察されるように、ニューラルネットワークアルゴリズムを再訓練するか、又はデコンボリューションPSF推定値を更新することは、様々な方法で実行することができる。単一の画像又は全画像セットを採用することができる。調整は、1つのデータセット及び1つのサンプルタイプに対して有効であり得るか、又は異なるサンプルタイプも有する多くのデータセットに対して有効であり得る。訓練データの選択は、ニューラルネットワーク又は評価されたPSF、それらが一般的な補正のために作成されたのかより特殊な事例なのために作成されたのか、に依存する。
【0094】
図6は、ニューラルネットワークを再訓練するか又はデコンボリューションアルゴリズムのPSF推定値を調整するための部分的散乱なし画像を取得するために使用され得る多数の異なる可能な測定点を示す、開口板212の概略図である。
【0095】
図7は、ニューラルネットワークを再訓練するための、又はデコンボリューションアルゴリズムのPSF推定値を調整するための方法700の例示的な一実施形態のフロー図である。示されるように、方法700は、動作702~712を含む。この方法は単なる例示であり、選択された動作は、必要に応じて変更、追加、削除、及び/又は再配設することができることを理解されたい。
【0096】
動作702において、物体208の複数の散乱画像(例えば、散乱画像のセット)を取得することができる。
【0097】
動作704において、物体208と検出器206との間に開口板212を配置し、放射検出器206によって、取得された散乱画像の各々に対応する部分的散乱なし画像を取得することができる。すなわち、散乱画像に対応する部分的散乱なし画像は、違いが、部分的散乱なし画像の取得中の開口板212の存在であることを除いて、散乱画像と同じ条件、又はほぼ同じ条件下(例えば、機器公差内)で取得することができる。
【0098】
取得された散乱画像データ及び部分的散乱なし画像データは、分析器207によって更に受信され得る。特定の実施形態では、分析器207は、取得された散乱画像データ及び部分的散乱なし画像データを、放射検出器206から直接受信することができる。他の実施形態では、分析器207は、取得された散乱画像データ及び部分的散乱なし画像データを、別のソース(例えば、メモリデバイス)から受信することができる。
【0099】
動作706において、分析器207が散乱画像セット及び部分的散乱なし画像セットを使用して、以前に訓練された散乱補正モデル(例えば、ニューラルネットワークの以前に訓練された散乱補正アルゴリズム、又は以前に決定されたデコンボリューションPSF推定値)を再訓練(調整又は更新)することができる。ニューラルネットワークを使用した散乱補正モデルの場合、再訓練は、所与の散乱画像に関して以前に訓練されたニューラルネットワークの出力と、対応する取得された部分的散乱なし画像との間の補間を実行することを含み得る。したがって、対応する散乱画像と部分的散乱なし画像とのペアごとに分析器207によって決定される補間が存在し得る。それぞれの補間は、調整された散乱補正アルゴリズムを生成するためにニューラルネットワークによって利用され得る。デコンボリューション手法を採用する散乱補正モデルでは、デコンボリューション関数は、全体的にではなく、測定点ごとに(例えば、対応する散乱画像と部分的散乱なし画像とのペアごとに)局所的にパラメータ化することができる。
【0100】
動作710において、分析器207が、更新された散乱補正モデル(例えば、ニューラルネットワークアルゴリズム又はデコンボリューションPSF推定値)を使用して、複数の散乱画像のうちの少なくとも1つの散乱画像を補正することができる。
【0101】
動作712において、分析器207が、補正された散乱画像のうちの少なくとも1つを出力することができる。例えば、少なくとも1つの補正された散乱画像は、記憶のためにメモリデバイス及び/又は閲覧のためにディスプレイデバイスに出力することができる。
【0102】
図8は、ニューラルネットワーク又はデコンボリューションアルゴリズムのPSF推定値を再訓練(調整又は更新)するために分析器207によって実行され得る別の方法800の例示的な一実施形態のフロー図である。示されるように、方法800は、動作802~812を含む。この方法は単なる例示であり、選択された動作は、必要に応じて変更、追加、削除、及び/又は再配設することができることを理解されたい。
【0103】
動作802において、放射検出器206によって物体208の複数の散乱画像(例えば、散乱画像のセット)を取得することができる。
【0104】
動作804において、物体208と検出器206との間に開口板212を配置し、放射検出器206によって、単一の部分的散乱なし画像を取得することができる。
【0105】
取得された散乱画像データ及び部分的散乱なし画像データは、分析器207によって更に受信され得る。特定の実施形態では、分析器207は、取得された散乱画像データ及び部分的散乱なし画像データを、放射検出器206から直接受信することができる。他の実施形態では、分析器207は、取得された散乱画像データ及び部分的散乱なし画像データを、別のソース(例えば、メモリデバイス)から受信することができる。
【0106】
動作806において、複数の散乱画像データ及び単一の部分的散乱なし画像データを使用して、以前に訓練された散乱補正モデル(例えば、ニューラルネットワークの以前に訓練された散乱補正アルゴリズム、又は以前に決定されたデコンボリューションPSF推定値)を再訓練(例えば、調整又は更新)することができる。ニューラルネットワークを使用した散乱補正モデルの場合、再訓練は、所与の散乱画像に関して以前に訓練されたニューラルネットワークの出力と、単一の取得された部分的散乱なし画像との間の補間を実行することを含み得る。したがって、散乱画像と単一の部分的散乱なし画像とのペアごとに分析器207によって決定される補間が存在し得る。それぞれの補間は、調整された散乱補正アルゴリズムを生成するためにニューラルネットワークによって利用され得る。デコンボリューション手法を採用する散乱補正モデルでは、デコンボリューション関数は、全体的にではなく、測定点ごとに(例えば、散乱画像と単一の部分的散乱なし画像とのペアごとに)局所的にパラメータ化することができる。
【0107】
動作810において、分析器207が、更新された散乱補正モデル(例えば、ニューラルネットワークアルゴリズム又はデコンボリューションPSF推定値)を使用して、複数の散乱画像のうちの少なくとも1つの散乱画像を補正することができる。
【0108】
動作812において、分析器207が、補正された散乱画像のうちの少なくとも1つを出力することができる。例えば、少なくとも1つの補正された散乱画像は、記憶のためにメモリデバイス及び/又は閲覧のためにディスプレイデバイスに出力することができる。
【0109】
調整のために単一の部分的散乱なし画像が取得される状況下では、X線検査システムは、任意選択的に、図10A図10Bに示されるように、開口板212を移動させる能力を省略することができる。
【0110】
ニューラルネットワーク又はデコンボリューションESFを調整するために方法700を採用するか方法800を採用するかの選択は、使用事例、及び散乱補正の必要な精度に依存し得る。一例として、各検査物体208が同じである状況下では、方法800の単一の部分的散乱なし画像手法で十分であり得る。この測定は、構成要素の経時変化を考慮するために、周期的に実行してニューラルネットワーク又はデコンボリューションESFを調整することができる。
【0111】
図9は、ニューラルネットワーク又はデコンボリューションアルゴリズムのPSF推定値を再訓練(調整)するための更なる方法900の例示的な一実施形態のフロー図である。示されるように、方法900は、動作902~912を含む。この方法は単なる例示であり、選択された動作は、必要に応じて変更、追加、削除、及び/又は再配設することができることを理解されたい。
【0112】
動作902において、物体208の散乱画像又は散乱画像のセットを取得する。
【0113】
動作904において、物体208と検出器206との間に開口板212を配置し、単一の部分的散乱なし画像又は部分的散乱なし画像セットを取得する。上述のように、部分的散乱なし画像のセットを取得するとき、散乱なし画像セットの各画像は、散乱画像セットのそれぞれの画像に対応することができる。
【0114】
動作906において、散乱画像セット及び単一の部分的散乱なし画像又は散乱なし画像セットを使用して、以前に訓練されたニューラルネットワーク又は以前に決定されたデコンボリューションPSF推定値を再訓練(調整)することができる。部分的散乱なし画像セットを使用して実行される調整は、動作706において上で考察されるように実行することができる。単一の部分的散乱なし画像を使用して実行される調整は、動作806において上で考察されるように実行することができる。
【0115】
動作910において、調整されたニューラルネットワークアルゴリズム又はデコンボリューションPSF推定値を使用して、散乱画像セットを補正することができる。
【0116】
動作912において、同じタイプの物体208又は異なるタイプの物体208の散乱画像又は散乱画像セットを取得することができる。散乱補正は、調整されたニューラルネットワークアルゴリズム又はデコンボリューションPSF推定値を使用して実行することができる。補正品質が、再調整なしで所望の結果のために十分である限り、動作912を繰り返すことができる。
【0117】
本明細書に記載される方法、システム、及びデバイスの例示的な技術的効果としては、非限定的な例として、X線画像の散乱補正の改善が挙げられる。散乱なし画像は、異なる位置に位置付けられた開口板を使用して取得された複数の部分的散乱なし画像から生成することができる。散乱なし画像は、散乱補正のための計算手法(例えば、深層学習、デコンボリューションなど)と組み合わせて使用することができる。この組み合わせは、X線断層撮影における散乱補正のためのより良好な結果及びより少ないスキャン努力を創出することができる。
【0118】
本明細書に開示されるシステム、デバイス、及び方法の構造、機能、製造、及び使用の原理の全体的な理解を提供するために、特定の例示的な実施形態を記載してきた。これらの実施形態の1つ以上の例が添付の図面に示されている。当業者は、本明細書に明確に記載され、添付の図面に例示されるシステム、デバイス、及び方法が、非限定的な例示的な実施形態であること、及び本発明の範囲が特許請求の範囲によってのみ定義されることを理解するであろう。例示的な一実施形態に関連して図示又は記載される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わされてもよい。かかる修正及び変形は、本発明の範囲内に含まれることが意図される。更に、本開示では、実施形態の類似する名称の構成要素は、概して類似の特徴を有しており、ゆえに、特定の実施形態において類似する名称の各構成要素の各特徴については、必ずしも完全には詳述していない。
【0119】
本明細書に記載される主題は、本明細書に開示される構造的手段及びその構造的等価物を含む、アナログ電子回路、デジタル電子回路、及び/又はコンピュータソフトウェア、ファームウェア、若しくはハードウェアで、又はそれらの組み合わせで実装することができる。本明細書に記載される主題は、データ処理装置(例えば、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、又は多数のコンピュータ)による実行のため又はその動作を制御するため、情報キャリアで(例えば、機械可読記憶デバイスで)明白に具現化されるか、又は伝播信号で具現化される、1つ以上のコンピュータプログラムなどの、1つ以上のコンピュータプログラム製品として実装され得る。コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、又はコードとしても既知である)は、コンパイル又は解釈された言語を含む任意の形態のプログラミング言語で書くことができ、独立型プログラムとして、又はモジュール、構成要素、サブルーチン、若しくはコンピューティング環境での使用に好適な他のユニットとしてなど、任意の形態で展開され得る。コンピュータプログラムは、必ずしもファイルに対応しない。プログラムは、他のプログラム若しくはデータを保持するファイルの一部分に、当該プログラム専用の単一ファイルに、又は多数の調整されたファイル(例えば、1つ以上のモジュール、サブプログラム、若しくはコードの部分を記憶するファイル)に記憶され得る。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で若しくは1つのサイトの多数のコンピュータ上で実行されるように、又は多数のサイトに分散され、通信ネットワークによって相互接続されるように展開され得る。
【0120】
本明細書に記載される主題の方法工程を含む、本明細書に記載されるプロセス及び論理フローは、入力データ上で動作し、出力を生成することによって、本明細書に記載される主題の機能を実行するために1つ以上のコンピュータプログラムを実行する1つ以上のプログラム可能なプロセッサによって実行され得る。プロセス及び論理フローはまた、専用論理回路、例えば、FPGA(field programmable gate array、フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(application-specific integrated circuit、特定用途向け集積回路)によって実行され得、本明細書に記載される主題の装置は、かかる専用論理回路として実装され得る。
【0121】
コンピュータプログラムの実行に好適なプロセッサとしては、例えば、汎用マイクロプロセッサ及び専用マイクロプロセッサの両方、並びに任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1つ以上のプロセッサが挙げられる。一般的に、プロセッサは、読み出し専用メモリ若しくはランダムアクセスメモリ、又はその両方から命令及びデータを受信する。コンピュータの必須要素は、命令を実行するためのプロセッサ、並びに命令及びデータを記憶するための1つ以上のメモリデバイスである。一般的に、コンピュータはまた、データを記憶するための1つ以上の大容量記憶デバイス、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、若しくは光ディスクを含むか、又はそこからデータを受信する、そこにデータを転送する、若しくはその両方を行うように動作可能に結合される。コンピュータプログラム命令及びデータを具現化するのに好適な情報キャリアとしては、例として、半導体メモリデバイス(例えば、EPROM、EEPROM、及びフラッシュメモリデバイス)と、磁気ディスク(例えば、内部ハードディスク又はリムーバブルディスク)と、光磁気ディスクと、光ディスク(例えば、CD及びDVDディスク)と、を含む、不揮発性メモリの全ての形態が挙げられる。プロセッサ及びメモリは、専用論理回路によって補完されるか、又はその中に組み込まれ得る。
【0122】
ユーザとの相互作用を提供するために、本明細書に記載される主題は、ユーザに情報を表示するためのディスプレイデバイス、例えば、CRT(cathode ray tube、陰極線管)又はLCD(liquid crystal display、液晶ディスプレイ)モニタ、並びにユーザがコンピュータに入力を提供するのに利用し得るキーボード及びポインティングデバイス(例えば、マウス又はトラックボール)を有するコンピュータ上に実装され得る。他の種類のデバイスを使用して、ユーザとの相互作用を提供することもできる。例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、任意の形態の感覚フィードバック(例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、又は触覚フィードバック)であり得、ユーザからの入力は、音響、音声、又は触覚入力を含む任意の形態で受信され得る。
【0123】
本明細書に記載される技術は、1つ以上のモジュールを使用して実装され得る。本明細書で使用するとき、「モジュール」という用語は、コンピューティングソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、及び/又はそれらの様々な組み合わせを指す。しかしながら、最低でも、モジュールは、ハードウェア、ファームウェア上に実装されていないか、又は非一時的プロセッサの読み取り可能で記録可能な記憶媒体(すなわち、モジュールはソフトウェアそれ自体ではない)上に実装されていないソフトウェアとして解釈されるべきではない。実際に、「モジュール」は、プロセッサ又はコンピュータの一部などの少なくとも何らかの物理的な非一時的ハードウェアを常に含むものと解釈されるべきである。2つの異なるモジュールは、同じ物理ハードウェアを共有し得る(例えば、2つの異なるモジュールは、同じプロセッサ及びネットワークインターフェースを使用し得る)。本明細書に記載されるモジュールは、様々な用途をサポートするために組み合わせ、統合、分離、及び/又は複製が可能である。また、特定のモジュールで実行されるものとして本明細書に記載される機能は、特定のモジュールで実行される機能の代わりに、又はそれに加えて、1つ以上の他のモジュールで、及び/又は1つ以上の他のデバイスによって実行され得る。更に、モジュールは、互いにローカル又はリモートの多数のデバイス及び/又は他の構成要素にまたがって実装され得る。加えて、モジュールを1つのデバイスから移動し、別のデバイスに追加することができ、かつ/又は両方のデバイスに組み込むこともできる。
【0124】
本明細書に記載される主題は、バックエンド構成要素(例えば、データサーバ)、ミドルウェア構成要素(例えば、アプリケーションサーバ)、若しくはフロントエンド構成要素(例えば、グラフィカルユーザインターフェース又はウェブブラウザを有するクライアントコンピュータであって、ユーザはそれらを通して、本明細書に記載される主題の実装と相互作用することができる)、又はかかるバックエンド、ミドルウェア、及びフロントエンド構成要素の任意の組み合わせを含む、コンピューティングシステムに実装され得る。システムの構成要素は、デジタルデータ通信の任意の形態又は媒体、例えば、通信ネットワークによって相互接続され得る。通信ネットワークの例としては、ローカルエリアネットワーク(「local area network、LAN」)及び広域ネットワーク(「wide area network、WAN」)、例えば、インターネットが挙げられる。
【0125】
本明細書及び特許請求の範囲全体を通して本明細書で使用するとき、近似言語は、それが関連する基本機能の変化をもたらすことなく、許容可能に変化し得る、任意の定量的表現を修正するために適用されてもよい。したがって、「約」、「およそ」、及び「実質的に」など、1つ又は複数の用語によって修飾された値は、指定された正確な値に限定されるものではない。少なくともいくつかの例において、近似言語は、値を測定するための器具の精度に対応し得る。本明細書において、本明細書及び特許請求の範囲全体を通して、範囲制限の組み合わせ及び/又は交換が行われてもよく、かかる範囲は識別され、文脈又は言語が別段の指示をしていない限り、そこに含まれる全ての部分範囲を含む。
【0126】
当業者は、上述の実施形態に基づいて本発明の更なる特徴及び利点を理解するであろう。したがって、本出願は、添付の特許請求の範囲によって示されるものを除き、特に示され説明されてきたものによって限定されるものではない。本明細書に引用される全ての刊行物及び参考文献は、その全体が参照により明示的に組み込まれる。
【0127】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
実施形態1
物体の画像の散乱補正のための方法であって、
撮像システムの放射検出器によって、物体の撮像ボリュームを通って透過される放射の検出に基づいて、前記物体の複数の散乱画像を表すデータを取得することと、
前記物体と前記放射検出器との間に開口板を配置することであって、前記開口板が、前記放射検出器による検出からの散乱放射を抑制するように構成された複数の開口を含む、配置することと、
前記放射検出器によって、各散乱画像に対応する部分的散乱なし画像を表すデータを取得することであって、各部分的散乱なし画像は、前記開口板が存在するときに前記物体の前記撮像ボリュームを通って透過される放射の検出に基づいており、前記散乱画像及びその対応する部分的散乱なし画像が、前記開口板の前記存在を除いてほぼ同じ条件下で取得される、取得することと、
1つ以上のプロセッサを含む分析器によって、前記複数の散乱画像データ及び対応する部分的散乱なし画像データを受信することと、
前記分析器によって、訓練された散乱補正モデルを受信することと、
前記分析器によって、前記受信された複数の散乱画像データ及び対応する部分的散乱なし画像データに基づいて、前記訓練された散乱補正モデルを更新して、更新された訓練された散乱補正モデルを得ることと、
前記分析器によって、前記更新された訓練された散乱補正モデルに基づいて、前記複数の散乱画像のうちの少なくとも1つを補正することと、
前記分析器によって、少なくとも1つの補正された散乱画像を出力することと、を含む、方法。
実施形態2
前記訓練された散乱補正モデルが、訓練されたニューラルネットワークモデルである、実施形態1に記載の方法。
実施形態3
前記訓練された散乱補正モデルを前記更新することが、
対応する散乱画像及び部分的散乱なし画像の各ペアに対して、前記散乱画像に関する前記訓練されたニューラルネットワークモデルの出力と、前記部分的散乱なし画像に関する前記訓練されたニューラルネットワークモデルの出力との間で補間を実行することと、
前記補間に基づいて、前記更新された訓練された散乱補正モデルを生成することと、を含む、実施形態2に記載の方法。
実施形態4
前記訓練された散乱補正モデルが、以前に決定されたデコンボリューション点拡散関数(point spread function、PSF)推定値を含む、実施形態1に記載の方法。
実施形態5
前記訓練された散乱補正モデルを更新することが、
対応する散乱画像及び部分的散乱なし画像のそれぞれのペアの測定点を使用して、前記デコンボリューションPSF推定値を局所的にパラメータ化することと、
前記局所的パラメータ化に基づいて前記デコンボリューションPSF推定値を更新することと、を含む、実施形態4に記載の方法。
実施形態6
撮像システムであって、
物体に向かって方向付けられた放射を放出するように構成された放射源と、
前記物体の撮像ボリュームを通って透過される、前記放出された放射を検出するように構成された放射検出器と、
1つ以上のプロセッサを含む分析器と、を備え、前記分析器が、
物体の撮像ボリュームを通って透過される前記放射源による放射の検出に基づいて、前記物体の複数の散乱画像を表すデータを受信することと、
各散乱画像に対応する部分的散乱なし画像を表すデータを受信することであって、各部分的散乱なし画像は、前記開口板が存在するときに前記物体の前記撮像ボリュームを通って透過される放射の検出に基づいており、前記散乱画像及びその対応する部分的散乱なし画像が、前記開口板の前記存在を除いてほぼ同じ条件下で取得される、受信することと、
訓練された散乱補正モデルを受信することと、
前記受信された複数の散乱画像データ及び対応する部分的散乱なし画像データに基づいて、前記訓練された散乱補正モデルを更新して、更新された訓練された散乱補正モデルを得ることと、
前記更新された訓練された散乱補正モデルに基づいて、前記複数の散乱画像のうちの少なくとも1つを補正することと、
少なくとも1つの補正された散乱画像を出力することと、を行うように構成されている、撮像システム。
実施形態7
前記訓練された散乱補正モデルが、訓練されたニューラルネットワークモデルである、実施形態6に記載の撮像システム。
実施形態8
前記訓練された散乱補正モデルを前記更新することが、
対応する散乱画像及び部分的散乱なし画像の各ペアに対して、前記散乱画像に関する前記訓練されたニューラルネットワークモデルの出力と、前記部分的散乱なし画像に関する前記訓練されたニューラルネットワークモデルの出力との間で補間を実行することと、
前記補間に基づいて、前記更新された訓練された散乱補正モデルを生成することと、を含む、実施形態7に記載の撮像システム。
実施形態9
前記訓練された散乱補正モデルが、以前に決定されたデコンボリューション点拡散関数(point spread function、PSF)推定値を含む、実施形態6に記載の撮像システム。
実施形態10
前記訓練された散乱補正モデルを更新することが、
対応する散乱画像及び部分的散乱なし画像のそれぞれのペアの測定点を使用して、前記デコンボリューションPSF推定値を局所的にパラメータ化することと、
とと、を含む、実施形態9に記載の撮像システム。
実施形態11
物体の画像の散乱補正のための方法であって、
撮像システムの放射検出器によって、物体の撮像ボリュームを通って透過される放射の検出に基づいて、前記物体の複数の散乱画像を表すデータを取得することと、
前記物体と前記放射検出器との間に開口板を配置することであって、前記開口板が、前記放射検出器による検出からの散乱放射を抑制するように構成された複数の開口を含む、配置することと、
前記放射検出器によって、単一の部分的散乱なし画像を表すデータを取得することであって、前記単一の部分的散乱なし画像は、前記開口板が存在するときに前記物体の前記撮像ボリュームを通って透過される放射の検出に基づいている、取得することと、
1つ以上のプロセッサを含む分析器によって、前記複数の散乱画像データ及び前記単一の部分的散乱なし画像データを受信することと、
前記分析器によって、訓練された散乱補正モデルを受信することと、
前記分析器によって、前記受信された複数の散乱画像データ及び前記単一の部分的散乱なし画像データに基づいて、前記訓練された散乱補正モデルを更新して、更新された訓練された散乱補正モデルを得ることと、
前記分析器によって、前記更新された訓練された散乱補正モデルに基づいて、前記複数の散乱画像のうちの少なくとも1つを補正することと、
前記分析器によって、少なくとも1つの補正された散乱画像を出力することと、を含む、方法。
実施形態12
前記訓練された散乱補正モデルが、訓練されたニューラルネットワークモデルである、実施形態11に記載の方法。
実施形態13
前記訓練された散乱補正モデルを前記更新することが、
前記複数の散乱画像のうちの散乱画像、及び前記単一の部分的散乱なし画像を含む各画像ペアに対して、前記散乱画像に関する前記訓練されたニューラルネットワークモデルの出力と、前記単一の部分的散乱なし画像に関する前記訓練されたニューラルネットワークモデルの出力との間で補間を実行することと、
前記補間に基づいて、前記更新された訓練された散乱補正モデルを生成することと、を含む、実施形態12に記載の方法。
実施形態14
前記訓練された散乱補正モデルが、以前に決定されたデコンボリューション点拡散関数(point spread function、PSF)推定値を含む、実施形態11に記載の方法。
実施形態15
前記訓練された散乱補正モデルを更新することが、
前記複数の散乱画像のうちの散乱画像、及び前記単一の部分的散乱なし画像を含むそれぞれの画像ペアの測定点を使用して、前記デコンボリューションPSF推定値を局所的にパラメータ化することと、
前記局所的パラメータ化に基づいて前記デコンボリューションPSF推定値を更新することと、を含む、実施形態14に記載の方法。
実施形態16
撮像システムであって、
物体に向かって方向付けられた放射を放出するように構成された放射源と、
前記物体の撮像ボリュームを通って透過される、前記放出された放射を検出するように構成された放射検出器と、
1つ以上のプロセッサを含む分析器と、を備え、前記分析器が、
物体の撮像ボリュームを通って透過される前記放射源による放射の検出に基づいて、前記物体の複数の散乱画像を表すデータを受信することと、
単一の部分的散乱なし画像を表すデータを受信することであって、前記単一の部分的散乱なし画像は、前記開口板が存在するときに前記物体の前記撮像ボリュームを通って透過される放射の検出に基づいている、受信することと、
訓練された散乱補正モデルを受信することと、
前記受信された複数の散乱画像データ及び前記単一の部分的散乱なし画像データに基づいて、前記訓練された散乱補正モデルを更新して、更新された訓練された散乱補正モデルを得ることと、
前記更新された訓練された散乱補正モデルに基づいて、前記複数の散乱画像のうちの少なくとも1つを補正することと、
少なくとも1つの補正された散乱画像を出力することと、を行うように構成されている、撮像システム。
実施形態17
前記訓練された散乱補正モデルが、訓練されたニューラルネットワークモデルである、実施形態16に記載の撮像システム。
実施形態18
前記訓練された散乱補正モデルを前記更新することが、
前記複数の散乱画像のうちの散乱画像、及び前記単一の部分的散乱なし画像を含む各画像ペアに対して、前記散乱画像に関する前記訓練されたニューラルネットワークモデルの出力と、前記単一の部分的散乱なし画像に関する前記訓練されたニューラルネットワークモデルの出力との間で補間を実行することと、
前記補間に基づいて、前記更新された訓練された散乱補正モデルを生成することと、を含む、実施形態17に記載の撮像システム。
実施形態19
前記訓練された散乱補正モデルが、以前に決定されたデコンボリューション点拡散関数(point spread function、PSF)推定値を含む、実施形態16に記載の撮像システム。
実施形態20
前記訓練された散乱補正モデルを更新することが、
前記複数の散乱画像のうちの散乱画像、及び前記単一の部分的散乱なし画像を含むそれぞれの画像ペアの測定点を使用して、前記デコンボリューションPSF推定値を局所的にパラメータ化することと、
前記局所的パラメータ化に基づいて前記デコンボリューションPSF推定値を更新することと、を含む、実施形態9に記載の撮像システム。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B